JP5703623B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法に関する。
近年、記録面に光輝性を有する画像が形成された記録物の需要が高まっている。光輝性を有する画像を形成する方法としては、従来は、例えば、平坦性の高い記録面を有する記録媒体を準備して、これに金属箔を押しつけて記録する箔押し記録法、記録面が平滑なプラスチックフィルムに対して金属等を真空蒸着する方法、および、記録媒体に光輝性顔料インキを塗布し、さらにプレス加工を行う方法等が知られている。
また、インクジェット法によって光輝性顔料を有するインク(以下、光輝性インクという)を吐出して記録する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、普通紙のような表面の平滑性が十分でない記録媒体の場合には、光輝性顔料をインクジェットで記録しても、光輝性顔料の平滑に配置されていないため、光が乱反射してしまい良好な光輝性を得ることは困難であった。
特開2008−174712号公報
本発明の目的は、平滑性の低い記録媒体上であっても、優れた光輝性を有する画像を記録(形成)することが可能なインクジェット記録方法、インクセットを提供すること、また、優れた光輝性を有する画像が記録された記録物を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット法により、光輝性顔料が分散した水系光輝性インクを、記録媒体に記録するインクジェット記録方法であって、
前記記録媒体の、少なくとも前記水系光輝性インクを記録する部位に、樹脂成分が分散媒に分散または溶解した樹脂インクを付与し、下地層を形成する下地層形成工程と、
前記下地層上に、前記水系光輝性インクを記録する光輝性インク記録工程と、を有し、
前記記録媒体の前記水系光輝性インクを記録する面の算術平均粗さRaが20μm以上であることを特徴とする。
これにより、優れた光輝性を有する画像を記録(形成)することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクジェット記録方法では、前記下地層の算術平均粗さRaは20μm以下であることが好ましい。
これによって、特に優れた光輝性を有する画像を記録(形成)することができる。
本発明のインクジェット記録方法では、前記下地層の60°光沢度が20以上であることが好ましい。
これにより、より優れた光輝性を有する記録物を形成することができる。
本発明のインクジェット記録方法では、前記下地層形成工程は、前記下地層を乾燥させる乾燥工程を含む第1下地層形成工程であることが好ましい。
これにより、優れた光輝性を有する記録物をより効率よく形成することができる。
本発明のインクジェット記録方法では、前記乾燥工程における乾燥温度は、30℃以上120℃以下であることが好ましい。
これにより、優れた光輝性を有する画像をより効率よく形成することができる。
本発明のインクジェット記録方法では、前記乾燥工程を含まずに、前記下地層を形成する第2下地層形成工程を有することが好ましい。
これら成分は成膜性に優れるため、より平滑な下地層を形成することができ、その結果、形成される画像の光輝性をより優れたものとすることができる。また、画像の記録媒体に対する密着性をより高いものとすることができ、耐擦性をより優れたものとすることができる。
本発明のインクジェット記録方法では、前記樹脂成分は、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
これにより、より効率よく下地層を形成することができる。
インクジェット装置の概略構成を示す斜視図である。 下地層の60°光沢度と光輝性インクの層の60°光沢度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《インクジェット装置》
まず、本発明のインクジェット記録方法の説明に先立ち、本発明のインクジェット記録方法に適用されるインクジェット装置(液滴吐出装置)の好適な実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るインクジェット装置の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように、記録装置としてのインクジェット式プリンタ1(以下、プリンタ1という)は、フレーム2を有している。フレーム2には、プラテン3が設けられ、プラテン3上には、記録媒体送りモーター4の駆動により用紙Pが給送されるようになっている。また、フレーム2には、プラテン3の長手方向と平行に、棒状のガイド部材5が設けられている。
ガイド部材5には、キャリッジ6がガイド部材5の軸線方向に往復移動可能に支持されている。キャリッジ6は、フレーム2内に設けられたタイミングベルト7を介して、キャリッジモーター8に連結されている。そして、キャリッジ6は、キャリッジモーター8の駆動により、ガイド部材5に沿って往復移動されるようになっている。
キャリッジ6には、ヘッド9が設けられるとともに、ヘッド9に液体としてのインクを供給するためのインクカートリッジ10が着脱可能に配置されている。インクカートリッジ10内のインクは、ヘッド9に備えられた図示しない圧電素子の駆動により、インクカートリッジ10からヘッド9へと供給され、ヘッド9のノズル形成面に形成された複数のノズルから、プラテン3上に給送された記録媒体Pに対して吐出されるようになっている。これにより記録物を製造することが可能となる。
吐出方法としては、サーマルジェット(バブルジェット)方式でもよい。また、従来公知の方法はいずれも使用できる。
《インクジェット記録方法》
次に、本発明のインクジェット記録方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、算術平均粗さRaが20μm以上の粗面を備える記録媒体上に、上述したようなインクジェット装置を用いて、光輝性顔料が水に分散した水系光輝性インク(以下、単に光輝性インクとも言う。)を当該粗面に吐出して、記録物を製造する方法である。
具体的には、本実施形態に係るインクジェット記録方法は、記録媒体上の光輝性インクを吐出する部位に、樹脂成分が分散媒に分散または溶解した樹脂インクを上述したようなインクジェット装置を用いて吐出し、樹脂成分で構成された下地層を形成する下地層形成工程と、当該形成された下地層を乾燥させる乾燥工程と、乾燥させた下地層上にインクジェット装置を用いて光輝性インクを吐出し、記録物を得る光輝性インク記録工程とを有している。
なお、本発明において、記録媒体は、水系光輝性インクを吐出する面の算術平均粗さRaが20μm以上であるものであるが、20μm以上100μm以下であるのが好ましい。
なお、算術平均粗さ(Ra)は、例えば、表面粗さ計や光干渉型顕微鏡を用いて測定することが可能であり、具体的な表面粗さの測定装置としては、段差・表面粗さ・微細形状測定装置P−15(KLA−Tencor社製)等がある。
上記粗面を有する記録媒体としては、例えば、上質紙「55PW8R」、XeroxP(富士ゼロックス社製;算術平均粗さRa=29.2μm)、プレイン・デザインペーパー ブラックペーパー(トチマン(株)社製;算術平均粗さRa=30.2μm)、およびスーパーファイン紙(セイコーエプソン社製;Ra=36.6μm)、Bフルート段ボールシート(レンゴー社製;算術平均粗さRa=39.9μm)等が挙げられる。
以下、各工程について、詳細に説明する。
<下地層形成工程>
下地層形成工程は、後述に詳述する樹脂インクを、記録媒体に付与し、下地層を形成する工程である。
ところで、従来のインクジェット記録方法においては、普通紙のような表面の平滑性が十分でない記録媒体の場合には、光輝性顔料をインクジェットで記録しても、光輝性顔料の平滑に配置されていないため、光が乱反射してしまい良好な光輝性を得ることは困難であった。
これに対して、本発明では、算術平均粗さRaが20μm以上の粗面を備える記録媒体上の、当該粗面の少なくとも光輝性インクを付与する部位に、樹脂インクを用いて下地層を形成し、当該下地層上に光輝性インクを付与する点に特徴を有している。樹脂インクを用いて下地層を形成することにより、光輝性インクを吐出する面を平滑なものとすることができる。すなわち、樹脂インクを用いて、上記記録媒体の表面の凹凸を埋めるように下地層を形成することで、少なくとも光輝性インクを吐出する面の平滑性をより高いものし、記録媒体の表面に光輝性顔料を平滑に配向させることができる。その結果、光輝性顔料が記録媒体上に平滑に配列し高い光沢(光輝性)を発揮させることができる。
本実施形態では、樹脂インクの付与は、上述したようなインクジェット装置を用いて行う。これにより、任意の箇所に下地層を形成することができる。また、光輝性インクを付与する部位に選択的に下地層を形成することができ、樹脂インクの使用量を少なくすることができ、経済的にも優れる。なお、下地層形成に用いられる樹脂インクの、後述のdutyは、特に限定されないが、100%以上であることが好ましく、300%以上であることが一層好ましい。これにより、優れた光輝性(光沢)と耐擦性を得ることができる。
本工程で形成される下地層は記録媒体の算術平均粗さを低くするのであれば特に量や厚みは限定されないが、算術平均粗さRaは20μm以下であるのが好ましく、10μm以下であるのがより好ましい。これにより、記録媒体の表面に光輝性顔料をより平滑に配向させることができ、特に優れた光輝性を有する画像を記録(形成)することができる。
また、下地層の平均膜厚は、0.1μm以上20μm以下であるのが好ましく、0.2μm以上10μm以下であるのがより好ましい。これにより、より優れた光輝性を有する画像を形成することができる。
なお、本実施形態では、樹脂インクの付与手段として、インクジェット装置を用いたものについて説明したが、これに限定されず、公知の技術を選択することができる。例えば、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、スプレーコーター、スリットコーター等の従来から利用されているアナログコーターによって付与してもよい。アナログコーターの場合は、樹脂インクの粘度の制限範囲が広く、高速で塗布できる点で優れている。アナログコーターの市販品としては、たとえばKハンドコーター(松尾産業株式会社製)、バーコーター(第一理化株式会社製)、Capilary_Coater小型基板&小容量タイプ(株式会社ヒラノテクシード製)、No579バーコーター(株式会社安田精機製作所製)等がある。
また、樹脂インクの層の表面粗さは樹脂インクの層の光沢度と密接な関係を有する。また、樹脂インクの層の光沢度と、光輝性インクの層の光沢度も後述の図2のように密接な関係を有する。本願発明にかかる樹脂インクに含有される好適な樹脂の屈折率の範囲(1.4〜1.6)においては、樹脂インクの層の60°光沢度が20以上であることが好ましく、より好ましくは45以上であり、さらに好ましくは70以上であり、一層好ましくは90以上である。ここで、樹脂の60°光沢度については、市販されている光沢度計を用いて測定する事が可能であり、前述の樹脂インクの層の60°光沢度は光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用いて、煽り角度60°で測定した値である。
<乾燥工程>
本工程では、上記のように形成した下地層を加熱手段によって加熱し、乾燥させる。このような工程を有することにより、下地層のインク受容層としての機能をより優れたものとすることができる。また、下地層のインク受容層としての機能が向上することにより、光輝性顔料をより平滑に配列させることができ、より高い光沢(光輝性)を発揮させることができる。
加熱手段としては、プラテン3を加熱してヒーターとして機能させてよいし、ヒータ線等により放射熱で加熱させてもよいし、装置内に温風を送る手段を設けそれによって加熱させてもよい。また、他の公知の加熱手段を用いてもよい。
加熱温度(乾燥温度)は、上述した記録媒体の耐熱性等に応じて適宜決定することができるが、30℃以上120℃以下であるのが好ましく、40℃以上80℃以下であるのがより好ましい。これにより、樹脂インクの乾燥速度を高めることができる。その結果、優れた耐擦性を有する記録物を効率よく形成することができる。
なお、本工程は、上記下地層形成工程と同時に行ってもよい。
なお、乾燥工程は下地層の平滑な面の形状を早期に維持出来ることが効果的であるが、必ずしも設ける必要は無い。また、下地層の形状を維持するための方法は、活性エネルギー線を用いた樹脂インクの硬化方法であってもよい。活性エネルギー線としては、その照射により重合開始剤から開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば特に制限はなく、広く、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度および装置の入手容易性の観点からは、活性エネルギー線としては、紫外線および電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。
<光輝性インク記録工程>
本工程では、上述したインクジェット装置を用い、下地層の上に、光輝性インクの液滴を吐出して、記録媒体に付着させ、記録媒体上に画像を形成する。これにより、記録物(本発明の記録物)が得られる。
画像の膜厚は、好ましくは0.02〜10μmであり、より好ましくは0.05〜5μmである。光輝性層の膜厚が0.02μm未満であると、光輝性顔料の種類によっては、十分な耐擦性が得られなくなる場合がある。
本工程は、たとえば、室温で行うことができ、さらに高い温度で行ってもよい。高い温度で行った場合、光輝性インクに溶媒が含有されるときの乾燥速度を高めることができる。高い温度で行う場合の温度は、30℃以上120℃以下であるのが好ましく、40℃以上80℃以下であるのがより好ましい。
なお、記録方法は、乾燥工程を含む第1下地層形成工程と、乾燥工程を含まない第2下地層形成工程とを有していても良い。これによって、高い光沢(光輝性)を有した記録物が欲しい場合には第1下地層形成工程で下地層を形成、その後に記録し、少し抑えた光沢を有した記録物が欲しい場合には第2下地層形成工程で下地層を形成、その後に記録することが可能になり、より一層広い範囲の光沢を表現することが可能となる。また、高い光沢を持った領域と、少し光沢を抑えた領域を持った記録媒体がほしい場合には、部分的に加熱させる乾燥工程(たとえば、部分的に温風を当てる、プラテンを部分的に加熱させるなど)を設けることにより、目的の光沢を持った記録物を得ることが可能となる。また、少し抑えた光沢が欲しい領域に対して光輝性インクで記録を行い(第2下地層形成工程を利用)、その後に乾燥工程を入れて、再度光輝性インクで高い光沢が欲しい領域に記録することで(第1下地層形成工程を利用)、目的の光沢を持った記録物を得ることが出来る。つまりこの場合は、最初に行われた下地層形成工程が第2下地層形成工程に該当し、最初に行われた下地形成工程と、光輝性インクによって記録された後に行われる乾燥工程とを合わせたのが、第1下地層形成工程に該当する。
《インクセット》
次に、上述したインクジェット記録方法に適用されるインクセットについて説明する。
本実施形態にかかるインクジェット記録用のインクセットは、上述したようなインク非吸収性または低吸収性の記録媒体に対し、インクジェット記録装置を用いて、光輝性を有する画像の記録に用いられるインクセットであって、少なくとも、樹脂インクと、光輝性インクとを備えている。
なお、上記の各インクをそれぞれ単独または複数備えたインクセットとしてもよいし、さらに一または複数の他のインクを含むインクを備えたインクセットとしてもよい。インクセットに備えることができる他のインクとしては、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエロー、レッド、グリーン、ブルー、オレンジ、バイオレット等のカラーインク、ブラックインク、ライトブラックインク等が挙げられる。
<樹脂インク>
本実施形態にかかる樹脂インクは、水溶性樹脂溶剤(分散媒)と、樹脂成分としての、前記水溶性樹脂溶剤に相溶する樹脂とを含んでいる。相溶とは、前記水溶性樹脂溶剤中に樹脂を混ぜると溶解あるいは粒子が膨潤する組み合わせを指す。なお、本発明において樹脂インクは、水系のインク(水分含有量が50%以上)、非水系(水分含有量が50%未満)のインクのいずれであってもよい。以下、水系のインクの場合を具体例にして各成分を説明する。
(1)水
水は、水系インクの主な媒体であり、好ましい水は、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射、または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、顔料分散液及びこれを用いた水系インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
(2)水溶性樹脂溶剤
水溶性樹脂溶剤は、樹脂インクに同時に添加している樹脂と相溶する水溶性溶剤から選ばれる。用いる樹脂によって最適な組み合わせはあるが、例えば、水溶性の複素環式化合物、水溶性のアルキレングリコールアルキルエーテル等が好ましく、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、および2−ピロリドン等のピロリドン類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、ε−カプロラクタム等のラクタム類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸イソプロピル、および乳酸ブチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、およびジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のオキシアルキレングリコールエーテル類、1,4−ジオキサン等の環式エーテル類が好ましい。特に、樹脂インクの保存安定性、十分な乾燥速度、と下地層の皮膜化促進の点で、ピロリドン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類が特に好ましい。
水溶性樹脂溶剤添加量は、樹脂インクの全量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下であるのが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であるのがより好ましい。水溶性樹脂溶剤添加量が、前記下限値未満であると、樹脂成分の種類によっては、樹脂インク中の樹脂および下地形成ワックスの皮膜形成に支障が生じ、結果的に樹脂インクの固化・定着が不充分となる場合がある。一方、水溶性樹脂溶剤添加量が前記上限値を超えると、樹脂インクの保存安定性が低下する場合がある。
(3)樹脂(樹脂成分)
樹脂は、水溶性樹脂溶剤と相溶することで、樹脂インクの乾燥後に強固な樹脂膜(下地層)を形成することができる。
インクジェット装置に用いる場合には、水に分散可能な樹脂を用いることで、樹脂インク中に十分な量の樹脂成分を添加しつつ、各インクの粘度を低く抑えることができ、高速記録において吐出安定性を確保することができるため好ましい。
このような水に分散可能な樹脂の具体例としては、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリメタアクリル酸エステル、ポリエチルアクリル酸、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレン共重合体、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン、ポリオレフィン樹脂、セルロース、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン、スチレン−アクリルアミド共重合体、ポリイソブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ロジン系樹脂、ポリエチレン、ポリカーボネート、塩化ビニリデン樹脂、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、ロジンエステル等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
上述した中でも、樹脂成分として、特に、スチレン−アクリル樹脂、および、ポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1種を用いるのが好ましい。これら成分は成膜性に優れるため、より平滑な下地層を形成することができ、その結果、形成される画像の光輝性をより優れたものとすることができる。また、画像の記録媒体に対する密着性をより高いものとすることができ、耐擦性をより優れたものとすることができる。
樹脂は、分散媒中に溶解していても、微粒子として分散していてもよいが、樹脂エマルジョンの形態でインク中に含まれることが好ましい。その理由は、樹脂粒子としてインク中に添加しても該樹脂粒子の分散が不十分となる場合があるため、分散性の観点からはエマルジョンの形態が好ましいからである。また、エマルジョンとしては、樹脂インクの保存安定性の観点から、アクリルエマルジョンが好ましく、スチレン−アクリル酸共重合体エマルジョンがさらに好ましい。
本願明細書において、「樹脂粒子」とは、水に不溶性の樹脂が主として水からなる分散媒中に粒子状に分散しているもの、あるいは水に不溶性の樹脂を主として水からなる分散媒中に粒子状に分散させたもの、更にはその乾燥物をも包含したものを意味する。また、「エマルジョン」というときは、ディスパージョン、ラテックス、サスペンジョンと呼ばれる固/液の分散体をも包含したものを意味するものとする。
樹脂をエマルジョンの状態で得る場合には、樹脂粒子を場合により界面活性剤と共に水に混合することによって調製することができる。例えば、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル酸共重合体系樹脂のエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステルの樹脂またはスチレン−(メタ)アクリル酸エステルの樹脂と、場合により(メタ)アクリル酸樹脂と、界面活性剤とを水に混合することによって得ることができる。樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常50:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲に満たない場合には、エマルジョンが形成されにくく、また前記範囲を越える場合には、インクの耐水性が低下したり、密着性が悪化する場合があるので好ましくない。
樹脂エマルジョンとして、市販の樹脂エマルジョンを利用することも可能であり、例えばマイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン;日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン;大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン;大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン;日本ゼオン株式会社製)、レザミンD−1060(ウレタン系樹脂エマルジョン;大日精化工業株式会社製)、またはサイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン;サイデン化学株式会社製)などを挙げることができる。
樹脂は、樹脂インク中に、固形分換算で4質量%以上50質量%以下の範囲で含まれることが好ましく、6質量%以上25質量%以下の範囲で含まれることがより好ましい。これら樹脂の含有量の好適範囲は、樹脂インクのインクジェット適正物性値、信頼性(目詰まりや吐出安定性等)の観点から上限値を規定し、本発明の効果(光輝性等)をより有効に得る観点から下限値を規定したものである。
(4)ワックス
水系樹脂インクは、さらにワックスを添加してもよい。これにより、乾燥後のインク膜表面の摩擦抵抗を低減する特性を有する。このようなワックスを構成する成分としては、例えばカルナバワックス、キャンデリワックス、みつろう、ライスワックス、ラノリン等の植物・動物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト等の鉱物系ワックス;カーボンワックス、ヘキストワックス、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸アミド等の合成ワックス類、α−オレフィン・無水マレイン酸共重合体等の天然・合成ワックスエマルジョンや配合ワックス等を単独あるいは複数種を混合して用いることができる。この中で好ましいワックスの種類としては、ポリオレフィンワックス、特にポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスであり、さらには、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体に対する耐擦性の観点から、ポリエチレンワックスがより好ましい。ワックスとしては市販品をそのまま利用することもでき、例えばノプコートPEM17(商品名、サンノプコ株式会社製)、ケミパールW4005(商品名、三井化学株式会社製)、AQUACER515(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
水系樹脂インクのワックス含有量は、樹脂インク中において、固形分換算で好ましくは0.5質量%〜6質量%であり、より好ましくは1質量%〜3質量%である。これらワックスの含有量の好適範囲は、樹脂インクのインクジェット適正物性値、信頼性(目詰まりや吐出安定性等)の観点から上限値を規定し、本発明の効果(耐擦性等)をより有効に得る観点から下限値を規定したものである。
上述した樹脂インクで下地層を形成しその上から光輝性顔料の層を記録した記録物は、光輝性顔料が表層で平滑に配列させることが可能となり、光沢が上昇する。また、これによって従来光輝性を発揮できなかった記録媒体にも光輝性を発揮させることが可能となる。さらに記録物としての耐擦性が良好となり、強固な下地層の形成が可能となる。耐擦性が良好となる理由はいまだ明らかではないが、下記のように推察される。樹脂は、記録媒体上に定着するとともに、乾燥後の被膜を堅固にする特性を有する。一方、ワックスは、前記皮膜表面の摩擦抵抗を低減する特性を有する。これにより、外部から擦れによって削れにくく、かつ記録媒体から剥がれにくい樹脂被膜を形成することができるため、記録物の耐擦性が向上するものと推察される。また、樹脂インクで層を形成していると、その樹脂インクがインク受容層としての機能をも発揮し、光輝性顔料の記録媒体上でのブリードを抑える効果があり良好な記録を行うことが可能となる。また、光輝性インク自体の定着性と乾燥性を仮に飛躍的に向上させることが可能となったに場合でも、光沢性確保の為に顔料粒子の平均粒径を大きめにする必要がある為、ヘッドから記録を行う際に記録信頼性が低下し、目詰まりや記録不良を一層起こす可能性もあるので、そういった課題を抱えない点から考慮しても下地層を形成することは有利である。
(5)その他の成分
その他の成分として、樹脂インクは、必要に応じて、水溶性溶剤や、界面活性剤を含む。これらの添加量は、記録媒体やインクの種類に応じて適宜調整できる。さらに必要に応じて添加するものとして、保湿剤、防腐剤・防かび剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤・紫外線吸収剤、金属トラップ剤などがあげられる。
(5−1)水溶性溶剤
水溶性溶剤は、後述する界面活性剤と相乗して、記録媒体に対する樹脂インクの濡れ性を高めて均一に濡らす作用を有する。そのため、樹脂インクに水溶性溶剤を含有させることは、均一に下地層を形成できるという観点から好ましい。このような水溶性溶剤としては、1価アルコール、または多価アルコールおよびその誘導体が挙げられる。
1価アルコールとしては、特に炭素数1〜4の1価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、またはn−ブタノールなどを用いることができる。
多価アルコールおよびその誘導体としては、炭素数2〜6の2価〜5価アルコール、およびそれらと炭素数1〜4の低級アルコールとの完全または部分エーテルを用いることができる。ここで多価アルコール誘導体とは、少なくとも1個のヒドロキシル基がエーテル化されたアルコール誘導体であり、エーテル化されたヒドロキシル基を含まない多価アルコールそれ自体を意味するものではない。
これらの多価アルコールおよびそれらの低級アルキルエーテルの具体例としては、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,3−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,3−オクタンジオール、1,2−ペンタンジオール等のジオール類、モノ、ジ若しくはトリエチレングリコール−モノ若しくはジ−アルキルエーテル、モノ、ジ若しくはトリプロピレングリコール−モノ若しくはジ−アルキルエーテルが挙げられ、好ましくは1,2−ヘキサンジオール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、またはプロピレングリコールモノブチルエーテルなどを挙げることができる。
水溶性溶剤の含有量は、例えば、各色のインク全量に対して0.5質量%以上15.0質量%以下、好ましくは、1.0質量%以上8.0質量%以下である。
(5−2)界面活性剤
界面活性剤は、上述した水溶性溶剤と相乗して、記録媒体に対する色インクの濡れ性を高めて均一に濡らす作用を有する。界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。
シリコン系界面活性剤は、記録媒体上でインクの記録ムラや滲みを生じないように均一に広げる作用を有する。
シリコン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられ、BYK−348が好ましい。
シリコン系界面活性剤の含有量は、各色のインク全量に対して、好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下である。シリコン系界面活性剤の含有量が0.1質量%未満であると、記録媒体上でインクが均一に濡れ広がりにくいため、インクの記録ムラや滲みが発生しやすい。一方、シリコン系界面活性剤の含有量が1.5質量%を超えた場合、水性インクの保存安定性・吐出安定性が確保できない場合がある。
アセチレングリコール系界面活性剤は、他の界面活性剤と比較して、表面張力および界面張力を適正に保つ能力に優れており、かつ起泡性がほとんどないという特性を有する。これにより、アセチレングリコール系界面活性剤を含有する色インクは、表面張力およびヘッドノズル面等のインクと接触するプリンタ部材との界面張力を適正に保つことができるため、これをインクジェット記録方式に適用した場合、吐出安定性を高めることができる。また、アセチレングリコール系界面活性剤を含有する色インクは、記録媒体に対して良好な濡れ性・浸透性を示すため、インクの記録ムラや滲みの少ない高精細な画像を得ることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、82、DF37、DF110D、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられ、サーフィノール104PG−50、DF110Dが好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、各色のインク全量に対して、好ましくは0.05質量%〜1.0質量%である。アセチレングリコール系界面活性剤の含有量が0.05質量%未満であると、記録媒体上でインクが均一に濡れ広がりにくいため、インクの記録ムラや滲みが発生しやすい。一方、アセチレングリコール系界面活性剤の含有量が1.0質量%を超えた場合、色インクの保存安定性・吐出安定性が確保できない場合がある。
特に好ましくは、シリコン系界面活性剤とHLB値が6以下のアセチレングリコール系界面活性剤とを同時に含む組み合わせである。
上述の水溶性溶剤と界面活性剤を組み合わせて、水性インクの表面張力を23.0mN/m〜40.0mN/mの範囲で用いることが好ましく、より好ましくは25.0mN/m〜35.0mN/mの範囲である。
(5−3)保湿剤
保湿剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、2,3−ブタンジオール等の多価アルコール、または糖類および糖アルコール等が挙げられる。
(5−4)防腐剤・防かび剤
防腐剤・防かび剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)などが挙げられる。
(5−5)pH調整剤
pH調整剤としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリン等のアミン類及びそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩類その他燐酸塩等があげられる。
(5−6)溶解助剤
溶解助剤としては、尿素、チオ尿素、ジメチル尿素、テトラエチル尿素などがあげられる。
(5−7)酸化防止剤・紫外線吸収剤
酸化防止剤・紫外線吸収剤としては、アロハネート、メチルアロハネート、などのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩等、チバガイギー社製のTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024など、あるいはランタニドの酸化物等があげられる。
(5−8)金属トラップ剤
金属トラップ剤としては、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム等のキレート剤などがあげられる。
(5−9)重合性化合物、重合開始剤
樹脂インクは、活性エネルギー線により重合反応により硬化させる場合には、従来より用いられている重合性化合物、重合開始剤等を有していてもよい。重合開始剤としては、例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、ベンジル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ポリ塩化ポリフェニル、ヘキサクロロベンゼン等が挙げられる。
また、重合性化合物としては、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴアクリレート、アルキドアクリレート、ポリオールアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ヒドロキシピオペリン酸エステルネオペンチンルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、ジペンタエリストールヘキサアクリレート、アクロイルモルホリン、2−フェノキシエチルアクリレート、フタル酸水素−(2,2,2−トリアクロイルオキシメチル)エチル、ジペンタエリストールポリアクリレート、ジペンタエリストールポリアクリレート、N−ビニルフォルムアミド、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセリンEO付加物トリアクリレート等が挙げられる。
<光輝性インク>
水系光輝性インク(以下、適宜光輝性インクという)は、光輝性顔料と、水を50質量%以上含有する(水系インク)。光輝性インクに含有される光輝性顔料としては、インクジェット記録方法によって当該インクの液滴を吐出できる範囲内で、任意のものを用いることができる。光輝性顔料は、光輝性インクが樹脂インクの層の上に付着したときに、光輝性を付与する機能を有し、また、付着物に光輝性を付与することもできる。このような光輝性顔料としては、パール顔料や金属粒子があげられる。パール顔料の代表例としては、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。一方、金属粒子としてはアルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等の粒子を挙げることができ、これらの単体またはこれらの合金およびこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
本実施形態で使用される光輝性顔料は、光沢度(光輝性)の高さの観点から、銀粒子を用いることが好ましい。以下、光輝性インクの具体例として銀インクを用いて説明する。
(1)銀粒子
上述したように、本実施形態に係る銀インクは、銀粒子を含むものである。このように、銀インクが、銀粒子を含むものであることにより(特に、所定の条件を満足するワックスとともに含むことにより)、優れた金属光沢を有する画像を形成することができる。また、銀は、各種金属の中でも、白色度の高い金属であるため、他色のインクと重ね合わせることにより、金色、銅色等の様々な金属色を表現することができる。
銀粒子の平均粒径は、5nm以上100nm以下であるのが好ましく、20nm以上65nm以下であるのがより好ましい。これにより、銀インクを用いて形成される画像の光沢感(光輝性)および耐擦性を特に優れたものとすることができる。また、インクジェット方式によるインクの吐出安定性(着弾位置精度、吐出量の安定性等)を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって所望の画質の画像をより確実に形成することができる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置として、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)を用いることができる。
銀インク中における銀粒子の含有率は、0.5質量%以上30質量%以下であるのが好ましく、5.0質量%以上15質量%以下であるのがより好ましい。これにより、インクのインクジェット方式による吐出安定性、インクの保存安定性を特に優れたものとすることができる。また、記録物とされたときの記録媒体上での銀粒子の密度(単位面積当たりの含有量)が低い場合から高い場合まで、広い密度の範囲で、良好な画質、耐擦性を実現することができる。
銀粒子は、いかなる方法で調製されたものであってもよく、例えば、銀イオンを含む溶液を用意し、この銀イオンを還元ずることにより、好適に形成することができる。
(2)樹脂
本発明に係る銀インクは、樹脂を含有していても良く、これを含有することで定着性や耐擦性が向上する。樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリメタアクリル酸エステル、ポリエチルアクリル酸、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレン共重合体、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン、ポリオレフィン樹脂、セルロース、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン、スチレン−アクリルアミド共重合体、ポリイソブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ロジン系樹脂、ポリエチレン、ポリカーボネート、塩化ビニリデン樹脂、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、ロジンエステル等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(3)水
本発明にかかるインクは、水を含むものである。
インク中において、水は、主に銀粒子およびワックス粒子を分散させる分散媒として機能する。インクが水を含むことにより、銀粒子等の分散安定性等を優れたものとすることができ、また、後述するような液滴吐出装置のノズル付近でのインクの不本意な乾燥(分散媒の蒸発)を防止しつつ、インクが付与される記録媒体上での乾燥を速やかに行うことができるため、所望の画像の高速記録を、長期間にわたって好適に行うことができる。インク中における水の含有率は、特に限定されないが、20質量%以上80質量%以下であるのが好ましく、25質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。
(4)多価アルコール
本発明に係るインクは、多価アルコールを含有することが好ましい。多価アルコールは、本実施形態に係るインクをインクジェット式記録装置に適用した場合に、インクの乾燥を抑制し、インクジェット式記録ヘッド部分におけるインクによる目詰まりを防止することができる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールなどが挙げられる。中でも、炭素数が4〜8アルカンジオールが好ましく、炭素数が6〜8のアルカンジオールがより好ましい。これにより、記録媒体への浸透性を特に高いものとすることができる。インク中における多価アルコールの含有率は、特に限定されないが、0.1質量%以上20質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であるのがより好ましい。
上記の多価アルコールの中でも、インクは、1,2−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンを含むものであるのが好ましい。これにより、インク中における銀粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、インクの保存安定性を特に優れたものとすることができるとともに、インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
(5)グリコールエーテル
本発明に係るインクは、グリコールエーテルを含有することが好ましい。グリコールエーテルを含有することにより、記録媒体などの被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテルを挙げることができる。この中でも、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いると良好な記録品質を得ることができる。インク中におけるグリコールエーテルの含有率は、特に限定されないが、0.2質量%以上20質量%以下であるのが好ましく、0.3質量%以上10質量%以下であるのがより好ましい。
(6)界面活性剤
本発明に係るインクは、アセチレングリコール系界面活性剤またはポリシロキサン系界面活性剤を含有することが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤またはポリシロキサン系界面活性剤は、記録媒体などの被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品を利用することもでき、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(以上、日信化学社製)、サーフィノール104、82、465、485、TG(以上、Air Products and Chemicals Inc.製)が挙げられる。
ポリシロキサン系界面活性剤としては、市販品を利用することができ、例えば、BYK−347、BYK−348(ビックケミー・ジャパン社製)などが挙げられる。
さらに、本発明に係るインクは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などのその他の界面活性剤を含有することもできる。
インク中における上記界面活性剤の含有率は、特に限定されないが、0.01質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下であるのがより好ましい。
(7)その他の成分
本発明に係るインクは、上記以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、pH調整剤、浸透剤、有機バインダー、尿素系化合物、アルカノールアミン(トリエタノールアミン等)等の乾燥抑制剤、チオ尿素等が挙げられる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]樹脂インクの調製
樹脂インクは、表1に記載の組成になるように、樹脂成分、水溶性有機溶媒、界面活性剤、ワックス、およびイオン交換水を混合し調製した。その後、常温で1時間混合撹拌して、表1に記載の樹脂インク1〜4を得た。
表1中で使用した成分は、下記のとおりである。
(1)樹脂成分
・スチレン−アクリル酸共重合体(熱可塑性樹脂粒子、平均粒子径50nm、分子量55000、ガラス転移温度80℃、酸価130)
・ポリウレタン(レザミンD−2020、大日精化社製)
(2)水溶性有機溶媒
・1,2−ヘキサンジオール
・2−ピロリドン
・プロピレングリコール
(3)界面活性剤
・シリコン系界面活性剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−348」、ポリエーテル変性シロキサン)
・アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、商品名「サーフィノール104PG−50」)
(4)ポリオレフィンワックス
・ポリエチレンワックス(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「AQUACER−515」)
Figure 0005703623
[2]光輝性インクの調製
(1)光輝性インク1
ポリビニルピロリドン(PVP、重合平均分子量10000)を70℃の条件下で15時間加熱して、その後室温で冷却をした。そのPVP1000gを、エチレングリコール溶液500mlに添加してPVP溶液を調整した。別の容器にエチレングリコールを500ml入れ、硝酸銀128gを加えて電磁攪拌器で十分に攪拌をして硝酸銀溶液を調整した。PVP溶液を120℃の条件下でオーバーヘッドミキサーを用いて攪拌しつつ、硝酸銀溶液を添加して約80分間加熱して反応を進行させた。そして、その後室温で冷却をさせた。得られた溶液を遠心分離機で2200rpmの条件下で10分間遠心分離を行った。その後、分離が出来た銀粒子を取り出して、余分なPVPを除去するためエタノール溶液500mlに添加した。そして、さらに遠心分離を行い、銀粒子を取り出した。さらに、取り出した銀粒子を真空乾燥機で35℃、1.3Paの条件下で乾燥させた。
上記によって製造された銀粒子10質量%に、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを5質量%、グリセリンを5質量%、1,2−ヘキサンジオールを1.5質量%、トリメチロールプロパンを1.5質量%、シリコン系界面活性剤(BYK−348)1質量%)、さらに濃度調整用のイオン交換水を添加することにより、光輝性インク1とした。
(2)光輝性インク2
膜厚100μmのPETフィルム上に、セルロースアセテートブチレート(ブチル化率35〜39%、関東化学社製)3.0質量%およびジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤社製)97質量%からなる樹脂層塗工液をバーコート法によって均一に塗布し、60℃、10分間乾燥することで、PETフィルム上に樹脂層薄膜を形成した。
次いで、真空蒸着装置(「VE−1010型真空蒸着装置」、真空デバイス社製)を用いて、上記樹脂層上に平均膜厚20nmのアルミニウム蒸着層を形成した。
次いで、上記方法にて形成した積層体を、ジエチレングリコールジエチルエーテル中、VS−150超音波分散機(アズワン社製)を用いて、剥離・微細化・分散処理を同時に行い、積算の超音波分散処理時間が12時間であるアルミニウム顔料分散液を作製した。
得られたアルミニウム顔料分散液を、開き目5μmのSUSメッシュフィルタにて濾過処理を行い、粗大粒子を除去した。次いで、濾液を丸底フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターを用いてジエチレングリコールジエチルエーテルを留去した。これにより、アルミニウム顔料分散液を濃縮し、その後、そのアルミニウム顔料分散液の濃度調整を行い、5質量%のアルミニウム顔料分散液Aを得た。
次いで、得られたアルミニウム顔料分散液A100gをビーカーへ投入し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、商品名「KBM−503」)26.93gを添加して、1日間室温で攪拌することにより加水分解反応させた。このようにして、アルミニウム顔料の表面に被覆層を形成させたアルミニウム顔料分散液Bを得た。
次いで、アルミニウム顔料分散液B100gをビーカーへ投入し、トリメトキシメチルシラン(東京化成工業社製)3.69gを添加して、1日間室温で攪拌することにより加水分解反応させた。このようにして、アルミニウム顔料の表面に残存する水酸基をキャッピング処理したアルミニウム顔料分散液Cを得た。
このアルミニウム顔料分散液C5質量%に、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを5質量%、グリセリンを5質量%、1,2−ヘキサンジオールを1.5質量%、トリメチロールプロパンを1.5質量%、シリコン系界面活性剤(BYK−348)1質量%)、さらに濃度調整用のイオン交換水を添加することにより、光輝性インク2とした。
[3]記録物の形成
(1)光輝性インク1
(実施例1〜20)
まず、PX−G930(セイコーエプソン社製)を用いて、表2に示す記録媒体に、表2に示すduty(%)の所定パターンで、表2に示す樹脂インクを付与した。なお、100%duty(%)ごとに乾燥工程を設け、乾燥はプラテンを50℃で加熱して行った。
次に、PX−G930(セイコーエプソン社製)を用いて、形成した下地層上に、表2に示すduty(%)の所定パターンで、表2に示す光輝性インクを付与し、画像を形成し、記録物を得た。
参考例3、4
表2に示す記録媒体上に、塗工装置Kハンドコーター(松尾産業社製、商品名)および
バーNo.7を用いて、樹脂インク4を乾燥膜厚が20μmとなるように下地層を形成し
た。その上に、表2に示すduty(%)の所定パターンで、光輝性顔料インク1を付与
した。なお、下地層の形成は、50℃で加熱しつつ行った。
次に、PX−G930(セイコーエプソン社製)を用いて、形成した下地層上に、表2
に示すduty(%)の所定パターンで、表2に示す光輝性インクを付与し、画像を形成
し、記録物を得た。
参考例5〜9
まず、PX−G930(セイコーエプソン社製)を用いて、表3に示す記録媒体に、表
3に示すduty(%)の所定パターンで、表3に示す樹脂インクを付与した。なお、乾
燥工程を設けずに付与を行った。
次に、PX−G930(セイコーエプソン社製)を用いて、形成した下地層上に、表3
に示すduty(%)の所定パターンで、表3に示す光輝性インクを付与し、画像を形成
し、記録物を得た。
(比較例1)
PX−G930(セイコーエプソン社製)を用いて、表2に示す記録媒体に、表2に示すduty(%)の所定パターンで、表2に示す光輝性インクを付与し、画像を形成し、記録物を得た。
(参考例1)
PX−G930(セイコーエプソン社製)を用いて、表2に示す記録媒体に、表2に示すduty(%)の所定パターンで、表2に示す光輝性インクを付与し、画像を形成し、記録物を得た。
(2)光輝性インク2
(実施例28〜32)
まず、PX−G930(セイコーエプソン社製)を用いて、表4に示す記録媒体に、表4に示すduty(%)の所定パターンで、表4に示す樹脂インクを付与した。なお、100%duty(%)ごとに乾燥工程を設け、乾燥は50℃で加熱した。
次に、形成した下地層上に、表4に示すduty(%)の所定パターンで、表4に示す光輝性インクを付与し、画像を形成し、記録物を得た。
(比較例2)
PX−G930(セイコーエプソン社製)を用いて、表4に示す記録媒体に、表4に示すduty(%)の所定パターンで、表3に示す光輝性インクを付与し、画像を形成し、記録物を得た。
(参考例2)
PX−G930(セイコーエプソン社製)を用いて、表4に示す記録媒体に、表4に示すduty(%)の所定パターンで、表3に示す光輝性インクを付与し、画像を形成し、記録物を得た。
ここで、「duty」とは、下式で算出される値である。
duty(%)=実記録ドット数/(縦解像度×横解像度)×100(式中、「実記録ドット数」は単位面積当たりの実記録ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
また、表2、3中、記録媒体として、上質紙(リンテック社製、商品名「55PW8R」)を「上質紙」と示し、普通紙(富士ゼロックス社製、商品名「XeroxP」;算術平均粗さRa=29.2μm)を「普通紙」と示した。また、写真用紙(写真用紙<光沢>、セイコーエプソン社製、算術平均粗さRa=1.13nm)を「写真用紙」と示した。
Figure 0005703623
Figure 0005703623
Figure 0005703623
[4]評価
[4.1]光沢度
前記各実施例および各比較例、各参考例に係る記録物の記録面について、光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での光沢度を測定し、以下の基準に従い評価した。なお、基準は、参考例1および2の、写真用紙(写真用紙<光沢>、セイコーエプソン社製、Ra=1.13nm)に対して記録した場合の光沢度の数値(参考例)を基にしている。
(1)光輝性インク1
S :光沢度が500以上。
A :光沢度が350以上500未満。
B :光沢度が200以上350未満。
C :光沢度が50以上200未満。
D :光沢度が50未満。
(2)光輝性インク2
S :光沢度が280以上。
A :光沢度が200以上280未満。
B :光沢度が120以上200未満。
C :光沢度が40以上120未満。
D :光沢度が40未満。
[4.2]耐擦性試験
乾燥後の記録物を学振型摩耗堅牢度試験機AB−301(商品名、テスター産業株式会社製)にセットし、接触部に白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子(荷重;300g)にて10回擦ることで、耐摩耗性評価を実施した。そして、樹脂インクの層を付与しなかった場合に対して、耐擦性の向上が見られた場合は、「○」とした。
表2、表3、表4から明らかなように、本発明のインクジェット記録方法によって得られた記録物では、光輝性および耐擦性に優れていたのに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
[4.3]下地層(樹脂インクの層)と光輝性インクの層
図2に、下地層の60°光沢度と光輝性インクの層の60°光沢度との関係を示す。
図2から明らかなように、本発明のインクジェット記録方法によれば、優れた吸収性および優れた平滑性(光沢度)を有する下地層を種々の記録媒体に付与することが可能である。したがって、光沢度および耐擦性に優れた光輝性層を得ることができる。
1…インクジェット式プリンタ(プリンタ) 2…フレーム 3…プラテン 4…記録媒体送りモーター 5…ガイド部材 6…キャリッジ 7…タイミングベルト 8…キャリッジモーター 9…ヘッド 10…インクカートリッジ P…記録媒体(用紙)

Claims (7)

  1. 光輝性顔料が分散した水系光輝性インクを、記録媒体に記録するインクジェット記録方法であって、
    前記記録媒体の、少なくとも前記水系光輝性インクを記録する部位にインクジェット法により樹脂成分を含む水系樹脂インクを付与し、下地層を形成する下地層形成工程と、
    前記下地層上に、前記水系光輝性インクを記録する光輝性インク記録工程と、を有し、
    前記記録媒体の前記水系光輝性インクを記録する面の算術平均粗さRaが20μm以上であり、前記下地層形成工程は、40℃以上80℃以下で乾燥させる乾燥工程を含み、前記下地層の平均膜厚は0.2μm以上10μm以下であって、算術平均粗さRaは20μm以下であるインクジェット記録方法。
  2. 前記水系光輝性インクには、体積基準の平均粒径5nm以上100nmの銀粒子を0.5質量%以上30質量%以下含む、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記下地層の60°光沢度が20以上である請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記下地層形成工程における前記水系樹脂インクの下式で算出されるduty(%)が、
    100%以上である請求項1ないし3のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
    duty(%)=実記録ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
    (式中、「実記録ドット数」は単位面積当たりの実記録ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度)
  5. 前記水系樹脂インクには、シリコン系界面活性剤とHLB値が6以下のアセチレングリコール系界面活性剤を含む請求項1ないし4のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記下地層形成工程において、前記水系樹脂インクの100%dutyごとに前記乾燥工程を設ける請求項1ないし5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記樹脂成分は、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1ないし6のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
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