JP2008221478A - インク受容体とその製造方法およびインクジェット印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】着色剤として銀微粒子を用いたインクジェットインクを用いて印刷した際に、銀が短期間で変色するのを防止して、印刷面に、より長期間に亘って、良好な金属光沢を維持させることができるインク受容体と、その製造方法と、インクジェット印刷方法とを提供する。
【解決手段】インク受容体は、インクジェットインクを受容して定着させる受容層、または、前記受容層の上に形成される通過層に、銀の変色を防止する変色防止剤を含有させた。製造方法は、変色防止剤としての2−メルカプトベンゾチアゾールの塩と、等電点のpHが7以下であるフィラーとを含む塗布液を塗布し、乾燥させて、前記受容層を形成する工程を有する。インクジェット印刷方法は、前記インク受容体に、銀微粒子と、銀の変色を防止する変色防止剤とを含むインクジェットインクによって印刷する。
【選択図】なし
【解決手段】インク受容体は、インクジェットインクを受容して定着させる受容層、または、前記受容層の上に形成される通過層に、銀の変色を防止する変色防止剤を含有させた。製造方法は、変色防止剤としての2−メルカプトベンゾチアゾールの塩と、等電点のpHが7以下であるフィラーとを含む塗布液を塗布し、乾燥させて、前記受容層を形成する工程を有する。インクジェット印刷方法は、前記インク受容体に、銀微粒子と、銀の変色を防止する変色防止剤とを含むインクジェットインクによって印刷する。
【選択図】なし
Description
本発明は、着色剤として銀微粒子を含むインクジェットインクによって印刷するためのインク受容体と、前記インク受容体の製造方法と、前記インク受容体を用いたインクジェット印刷方法に関するものである。
近年、パーソナルコンピュータの出力印刷から、例えば商業広告などの、大型印刷物の印刷までの幅広い分野で、いわゆるインクジェット方式による印刷が利用されている。インクジェット方式の印刷では、紙等のインク受容体の表面に、色の3原色であるシアン、マゼンタ、イエローの3色、あるいは前記3色を基本とする4色以上の多色のインク組成物を用いてインクパターンを印刷して、各色の混色によってフルカラー画像などを表現している。しかし、前記表現方法ゆえに、インクジェット方式の印刷では、金属光沢を表現できないという問題がある。
そこで近時、金属光沢を表現するために、着色剤として、金属コロイド起源の金属微粒子を用いたインク組成物が提案されている(特許文献1)。例えば、水系の金属コロイドは、金属イオンを含む水溶液と還元剤とを混合したり、金属イオンを含む水溶液を噴霧して、水素炎と接触させたりして、前記金属イオンを還元させて、水溶液中に、金属微粒子を析出させることで製造される。金属コロイドに含まれる金属微粒子は、前記還元反応が系中で均一に進行するため、個々の粒径が揃っており、粒度分布がシャープである。また、前記金属微粒子は、その形状もほぼ球形で揃っている。
しかも、反応条件を調整することで、金属微粒子の粒径を、できるだけ小さくすることもできる。そのため、着色剤として、金属コロイド起源の金属微粒子を用いたインク組成物は、インクジェット方式による印刷の高画質化に対応して、プリンタのヘッドから吐出させるインク組成物の液滴を、できるだけ微小化するために、径が微小化しつつある前記ヘッドから、目詰まり等を生じることなしに、良好に吐出させることができると共に、印刷面を、個々の粒子の粒状感が目立たない、例えば金属塊や金属箔、連続した金属膜の表面のような滑らかな、良好な金属光沢に仕上げることもできる。
また、金属コロイドに含まれる金属微粒子は、先に説明したように、水中での還元反応などによって析出、生成され、その表面が親水性を有しているため、水系のインクジェットインクに対する分散安定性にも優れている。そのため、着色剤として、金属コロイド起源の金属微粒子を用いたインク組成物は、製造されてから、実際に末端のユーザーによって使用されるまでの間に分離、沈降して使えなくなるといった問題を生じるおそれもない。前記金属微粒子としては、表現したい金属光沢の色合い等に合わせた、種々の金属からなるものが使用可能である。
特に銀は、他の金属と比べて明るい色調を有していることから、金属微粒子として銀微粒子を含むインク組成物は、金属らしい光沢を表現するのに適している。しかし、銀微粒子を含むインク組成物を用いて形成した印刷面は、印刷直後こそ良好な金属光沢を有するものの、銀が、空気中の硫化ガス(硫黄ガス)と硫化反応して、その表面に黒色の硫化銀の被膜が生成されやすいため、比較的短期間で変色してしまうという問題がある。そこで、着色剤として銀コロイド起源の銀微粒子を含むインクジェットインクに、前記銀の変色を防止するための変色防止剤を含有させることが提案されている(特許文献2)。
特開2003−306625号公報
国際公開WO2006/112031A1
ところが、発明者の検討によると、インクジェットインクに変色防止剤を含有させた場合には、確かに、銀の変色を防止する効果は得られるものの、その効果に限界があることが明らかとなった。すなわち、銀の変色防止剤の多くは、特許文献2に記載されているように、水不溶性、もしくは難溶性であるため、水系のインクジェットインクに含有させる変色防止剤としては、水溶性を有する2−メルカプトベンゾチアゾールまたはそのナトリウム塩等が好ましいが、前記2−メルカプトベンゾチアゾールやその塩を、水系のインクジェットインクに、多量に含有させることはできない。これは、特に2−メルカプトベンゾチアゾールの水溶性が、あまり良好でなく、多量に含有させるのが難しいこと、一方、2−メルカプトベンゾチアゾールの塩を多量に含有させると、前記2−メルカプトベンゾチアゾールの塩は塩基性であるため、インクジェットインクの塩基性が強くなって、前記インクジェットインクを構成する他の成分が析出しやすくなること等が原因である。
しかも、前記2−メルカプトベンゾチアゾールやその塩等の変色防止剤を含有させたインクジェットインクを、紙等のインク受容体の表面に印刷すると、銀微粒子は、前記インク受容体の表面、ないしは、表面から一定の深さまでの表層部に留まるのに対し、変色防止剤をはじめとする、インクジェットインクを構成するその他の、水に溶解した成分は、水と共に、インク受容体中に吸収されてしまうため、銀微粒子の周囲に留まって、変色を防止するために機能する変色防止剤の量は、最初にインクジェットインクに添加した量の、ごく一部に過ぎないことになる。そのため、インクジェットインクに変色防止剤を含有させても、その添加効果には限界があるのである。
本発明の目的は、着色剤として銀微粒子を用いたインクジェットインクを用いて印刷した際に、銀が短期間で変色してしまうのを防止して、印刷面に、これまでよりも長期間に亘って、良好な金属光沢を維持させることができるインク受容体と、前記インク受容体の製造方法と、前記インク受容体を用いたインクジェット印刷方法とを提供することにある。
本発明は、着色剤として銀微粒子を含むインクジェットインクによって印刷するためのインク受容体であって、少なくとも最表層に、銀の変色を防止するための変色防止剤が含まれていることを特徴とするものである。前記本発明によれば、印刷により、最表層またはその直下の層に定着される銀微粒子の近傍である、少なくとも最表層中に多量に含有させた変色防止剤により、銀の変色を、これまでよりも効率よく防止することができる。そのため、本発明によれば、着色剤として銀微粒子を用いたインクジェットインクを用いて印刷した際に、銀が短期間で変色してしまうのを防止して、印刷面に、これまでよりも長期間に亘って、良好な金属光沢を維持させることができる。
前記最表層としては、インクジェットインクを受容して定着させるための受容層が挙げられ、前記受容層に変色防止剤が含まれているのが好ましい。前記構成によれば、受容層に定着された銀微粒子の変色を、同じ受容層中に多量に存在する変色防止剤によって、より効率よく防止することができる。なお、受容層としては、結着樹脂中に、吸水性を有する無機のフィラーが分散された分散構造を有するものが、広く用いられる。しかし、前記フィラーとして、例えばアルミナ等の、等電点のpHが7を超えるものを用いる場合には、前記フィラーと、変色防止剤としての2−メルカプトベンゾチアゾールの塩とを含む塗布液を塗布した後、乾燥させて、変色防止剤を含む受容層を形成する際に、先に説明したように、前記2−メルカプトベンゾチアゾールの塩が塩基性物質であるため塗布液が塩基性となって、フィラーが凝集しやすくなり、前記塗布液中に、均一に分散させることができないおそれがある。
そのため、均一な厚みを有する、表面が平滑な受容層を形成できなくなる場合を生じる。これに対し、受容層を形成するためのフィラーとして、例えばシリカ等の、等電点のpHが7以下であるフィラーを用いる場合には、前記フィラーが凝集せずに、塩基性の塗布液中に、均一に分散されるため、均一な厚みを有する、表面が平滑な受容層を形成することができる。したがって、本発明のインク受容体においては、変色防止剤が2−メルカプトベンゾチアゾールの塩であると共に、受容層が、前記2−メルカプトベンゾチアゾールの塩と、等電点のpHが7以下であるフィラーとを含む塗布液を塗布した後、乾燥させて形成されているのが好ましい。
本発明の他の態様としては、最表層が、インクジェットインクを受容して定着させる受容層の表面に積層された、インクジェットインクを、前記受容層まで通過させる通過層であり、前記通過層に変色防止剤が含まれているのが好ましい。前記構成では、通過層を通過して、その下の受容層に定着された銀微粒子の変色を、その上に被覆された通過層中に多量に存在する変色防止剤によって、より効率よく防止することができる。また、受容層の下層として着色層を備えている場合には、前記着色層の色を、受容層における、銀による印刷と組み合わせることができる。
そのため、例えば着色層を、イエロー、オレンジ等に着色すると、白地と銀色との組み合わせだけでなく、イエローとシルバー、オレンジとシルバー等の多彩なカラーバリエーションを表現したりすることもできる。その上、受容層や通過層に含ませた変色防止剤の働きによって、前記カラーバリエーションを、長期間に亘って維持することができる。
本発明は、最表層が、変色防止剤として2−メルカプトベンゾチアゾールの塩を含む受容層であるインク受容体を製造するための製造方法であって、前記2−メルカプトベンゾチアゾールの塩と、等電点のpHが7以下であるフィラーとを含む、受容層のもとになる塗布液を塗布したのち、乾燥させて、受容層を形成する工程を含むことを特徴とするものである。本発明によれば、先に説明したように、フィラーの凝集を防止して、前記フィラーを、塗布液中に均一に分散させることができるため、均一な厚みを有する、表面が平滑な受容層を備えたインク受容体を製造することができる。
本発明は、最表層が、変色防止剤として2−メルカプトベンゾチアゾールの塩を含む受容層であるインク受容体を製造するための製造方法であって、前記2−メルカプトベンゾチアゾールの塩と、等電点のpHが7以下であるフィラーとを含む、受容層のもとになる塗布液を塗布したのち、乾燥させて、受容層を形成する工程を含むことを特徴とするものである。本発明によれば、先に説明したように、フィラーの凝集を防止して、前記フィラーを、塗布液中に均一に分散させることができるため、均一な厚みを有する、表面が平滑な受容層を備えたインク受容体を製造することができる。
本発明は、少なくとも最表層に、銀の変色を防止するための変色防止剤が含まれたインク受容体に、着色剤として銀微粒子を含むインクジェットインクによって印刷するためのインクジェット印刷方法であって、前記インクジェットインクとして、銀の変色を防止するための変色防止剤を含むものを用いることを特徴とするものである。本発明によれば、インクジェットインク中にも変色防止剤を含有させることによって、銀の変色を、より一層、良好に防止して、印刷面に、さらに長期間に亘って、良好な金属光沢を維持させることが可能となる。
本発明によれば、着色剤として銀微粒子を用いたインクジェットインクを用いて印刷した際に、銀が短期間で変色してしまうのを防止して、印刷面に、これまでよりも長期間に亘って、良好な金属光沢を維持させることができるインク受容体と、前記インク受容体の製造方法と、前記インク受容体を用いたインクジェット印刷方法とを提供することができる。
本発明のインク受容体は、着色剤として銀微粒子を含むインクジェットインクによって印刷するためのものであって、少なくとも最表層に、銀の変色を防止するための変色防止剤が含まれていることを特徴とするものである。本発明のインク受容体の、具体的な構成としては、紙等の基材の表面に、インクジェットインクを受容して定着させるための受容層を含む単層の、または2層以上の層を積層した積層構造を有し、かつ、その少なくとも最表層に、前記のように、変色防止剤が含まれたものが挙げられる。
前記のうち基材としては、上質紙、中質紙、アート紙、ボンド紙、再生紙、キャストコート紙、段ボール紙、コンデンサー紙、グラシン紙等紙の他、例えばポリスルフォン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセテート等の各種合成樹脂からなるフィルムや合成紙、シート、さらにはセロファン等が挙げられる。また、受容層としては、インクジェットインクを受容して定着させることができる、種々の構成を有する受容層が挙げられ、中でも、先に説明した、結着樹脂中に、吸水性を有する多孔質のフィラーを分散させた分散構造を有するものが好ましい。
前記分散構造を有する受容層を形成する結着樹脂としては、例えばポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等のポリビニルピロリドン系樹脂;ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコールのアセタール化物;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロール系樹脂;ポリビニルアセタール、ポリウレタン、カルボキシメチルセルロース、ポリエステル、ポリアクリル酸またはそのエステル、ポリアクリルアミド、メラミン樹脂、あるいはこれらの変性物等の合成樹脂や、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、デンプン、カチオン化デンプン、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等の天然樹脂の1種または2種以上が挙げられる。
また、フィラーとしては、吸水性を有する種々の、多孔質のフィラーが挙げられる。前記フィラーとしては、例えばアルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、タルク、クレイ、ハイドロサルファイト、炭酸カルシウム、チタニア、酸化亜鉛、シリカ等の粒子(ゾル等)の1種または2種以上が挙げられる。また、先に説明したように、受容層が最表層であって、変色防止剤として2−メルカプトベンゾチアゾールの塩を含む場合には、前記受容層に含有させるフィラーとして、等電点のpHが7以下であるフィラーを用いるのが好ましい。
これにより、フィラーの凝集を防止して、前記フィラーを、塗布液中に均一に分散させることができるため、均一な厚みを有する、表面が平滑な受容層を備えたインク受容体を製造することができる。等電点のpHが7以下であるフィラーとしては、例えばシリカ等が挙げられる。
ただし、変色防止剤として、前記2−メルカプトベンゾチアゾールの塩以外の他の変色防止剤を使用する場合や、受容層が最表層でなく、変色防止剤を含有しない場合には、前記条件を満足しない他のフィラーも、好適に使用することができる。また、先に説明したように、インク受容体が、受容層の下層として着色層を備える場合は、前記着色層の色を透過させて、受容層における、銀による印刷に反映させるために、前記受容層が、できるだけ透明であるのが好ましく、かかる透明な受容層としては、例えばフィラーとして、擬ベーマイト構造を有するアルミナ等を用いた、所定の細孔分布を有する層等が挙げられる(特開平3−215082号公報等)。
ただし、変色防止剤として、前記2−メルカプトベンゾチアゾールの塩以外の他の変色防止剤を使用する場合や、受容層が最表層でなく、変色防止剤を含有しない場合には、前記条件を満足しない他のフィラーも、好適に使用することができる。また、先に説明したように、インク受容体が、受容層の下層として着色層を備える場合は、前記着色層の色を透過させて、受容層における、銀による印刷に反映させるために、前記受容層が、できるだけ透明であるのが好ましく、かかる透明な受容層としては、例えばフィラーとして、擬ベーマイト構造を有するアルミナ等を用いた、所定の細孔分布を有する層等が挙げられる(特開平3−215082号公報等)。
受容層が、インク受容体の最表層である場合、前記受容層には、銀の変色を防止するための変色防止剤が含まれる。変色防止剤としては、先に説明した銀の硫化反応を抑制することができる、従来公知の種々の変色防止剤を用いることができる。前記変色防止剤としては、例えば2−メルカプトベンゾチアゾールまたはその塩(ナトリウム塩、亜鉛塩、シクロヘキシルアミン塩等)、2−ヘプタデシルイミダゾール、チオナリド(2−メルカプト−N−2−ナフタレニルアセトアミド)、アルキル基の炭素数が12〜20程度のアルキルメルカプタン〔例えばオクタデシルメルカプタン(CH3(CH2)17SH)等〕等の1種または2種以上が挙げられる。
特に、前記受容層を、環境に及ぼす影響の小さい水系の塗布液を用いて形成する場合には、水溶性を有する2−メルカプトベンゾチアゾールの塩、特にナトリウム塩が好ましい。変色防止剤の含有割合は、受容層を形成する固形分の総量の0.1〜15質量%、特に0.3〜12質量%であるのが好ましい。含有割合が、前記範囲未満では、変色防止剤を、受容層に含ませることによる、銀の変色を防止する効果が十分に得られないおそれがある。また、前記範囲を超えても、それ以上の効果が得られないだけでなく、例えば過剰の変色防止剤が、受容層の表面に析出して、前記表面の平滑性を低下させたりするおそれもある。
また、特に変色防止剤が、2−メルカプトベンゾチアゾールの塩である場合には、塗布液の塩基性が強くなりすぎるため、たとえフィラーとして、先に説明した、等電点のpHが7以下であるフィラーを使用したとしても、前記フィラーを、塗布液中に均一に分散させるのが容易でなくなって、均一な厚みを有する、表面が平滑な受容層を備えたインク受容体を製造できなくなるおそれがある。なお、塗布液には、フィラーの分散を安定させるために、分散剤を含有させても良い。
受容層の厚みは、前記受容層のもとになる塗布液の、単位面積あたりの、固形分換算の塗布量で表して1〜70g/m2、中でも基材が紙である場合には3〜40g/m2、樹脂のフィルム等である場合には10〜60g/m2であるのが好ましい。また、乾燥後の受容層の厚みで表して3〜70μm、中でも基材が紙である場合には5〜40μm、樹脂のフィルム等である場合には15〜60μmであるのが好ましい。
塗布液の塗布量、または受容層の厚みが前記範囲未満では、前記受容層による、インクジェットインクの吸収能が十分に得られず、受容層の表面に、広範囲にわたって、前記受容層の内部に定着し切れなかった銀微粒子が露出する結果、前記受容層、もしくはその上の通過層に含有させた変色防止剤によって、銀の変色を防止する効果が十分に得られなくなるおそれがある。また、前記範囲を超える場合には、受容層の強度や密着性が低下して、特にインク受容体を曲げたり折ったりした際に、前記受容層が剥離したり、割れたりしやすくなるおそれがある。また、受容層の透明性が低下して、下地である着色層の色を、銀による印刷に、十分に繁栄させることができなくなるおそれもある。
受容層の表面は、良好な金属光沢を再現するために、できるだけ平滑であるのが好ましい。具体的には、紙等の表面平滑度を規定する基準となる王研式平滑度が200秒以上であるか、あるいは日本工業規格JIS Z8741:1997「鏡面光沢度−測定方法」に規定された60度鏡面光沢度が20以上であるのが好ましい(特開2003−306625号公報等)。受容層の表面が、前記2つの条件を共に満足するか、あるいは、少なくとも一方を満足していれば、その表面に、着色剤として銀微粒子を含むインクジェットインクによって印刷することで、良好な金属光沢を再現することが可能となる。
なお、王研式平滑度とは、紙等の試料の、表面の平滑性を規定するための指標となる単位であって、詳細には、「ベックの平滑度について」〔山本、海田、岩崎、紙パ技協誌第20巻第2号(第179号)、紙パルプ技術協会、昭和41年2月発行〕に記載されている圧力降下式平滑度測定器を用いて測定される平滑度を指す。前記王研式平滑度の数値は、試料表面の平滑性が高いほど高くなり、平滑性が低いほど低くなる。受容層の表面を、前記2つの条件のうちの少なくとも一方を満足するように仕上げるためには、塗布液を塗布し、乾燥させて形成した形成した受容層を、例えばマシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等によってカレンダー処理、ないしはスーポーカレンダー処理等すればよい。
受容層の表面には、インクジェットインクを、前記受容層まで通過させる機能を有すると共に、先に説明した銀の変色防止剤が含まれた通過層を積層してもよい。また、通過層には、蛍光増白剤等を含有させてもよい。前記通過層の直下の受容層には、銀の変色防止剤が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。前記通過層としては、例えば、受容層を形成する結着樹脂としてポリビニルアルコールを用いると共に、前記受容層の表面に、ホウ酸および/またはホウ砂と、変色防止剤とを含む塗布液を塗布して、前記受容層の表層部のポリビニルアルコールを、ホウ酸および/またはホウ砂によって架橋反応させて形成される層が挙げられる。
また、通過層としては、受容層の表面に、ホウ酸および/またはホウ砂と、ポリビニルアルコールと、吸水性の少ない無機または有機のフィラーと、変色防止剤とを含む塗布液を塗布して、前記塗布液中のポリビニルアルコールを、ホウ酸および/またはホウ砂によって架橋反応させて形成される層も挙げられる(特開2001−334748号公報等)。
受容層の下層には、先に説明したように、銀による印刷に様々な色を組み合わせて、種々のカラーバリエーションを表現するための着色層を設けてもよい。着色層は、任意の樹脂の層を、適当な着色剤で着色して形成することができるが、前記着色剤としては、カチオン染料が好ましい。前記カチオン染料で着色した着色層は、正の電荷を有するため、負電荷のインクジェットインクと引き合って、前記インクジェットインクを、受容層に定着させる働きをする。
また、樹脂としては、その上の受容層によるインクジェットインクの吸収を助けるために、水溶性樹脂が好ましい。前記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコールのアセタール化物;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロール系樹脂;ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等のポリビニルピロリドン系樹脂;ポリビニルアセタール等の1種または2種以上が挙げられる。
最表層が、変色防止剤として2−メルカプトベンゾチアゾールの塩を含む受容層であるインク受容体は、前記2−メルカプトベンゾチアゾールの塩と、等電点のpHが7以下であるフィラーとを含む、受容層のもとになる塗布液を塗布したのち、乾燥させて、受容層を形成する工程を含む本発明の製造方法によって製造することができる。塗布液の塗布の厚みは、先に説明した範囲であるのが好ましく、前記塗布液を乾燥させる条件等は、任意に設定することができる。受容層の下層に着色層を形成する場合は、前記受容層の形成に先立って、着色層のもとになる塗布液を塗布したのち、乾燥させればよい。
また、最表層が、変色防止剤を含む通過層であるインク受容体は、前記と同様に塗布液を塗布して形成した、受容層を形成する結着樹脂としてポリビニルアルコールを用いた受容層の表面に、ホウ酸および/またはホウ砂と、変色防止剤とを含む塗布液を塗布して、前記受容層の表層部のポリビニルアルコールを、ホウ酸および/またはホウ砂によって架橋反応させて、前記通過層を形成することで製造される。あるいは、受容層の表面に、ホウ酸および/またはホウ砂と、ポリビニルアルコールと、吸水性の少ない無機または有機のフィラーと、変色防止剤とを含む塗布液を塗布して、前記塗布液中のポリビニルアルコールを、ホウ酸および/またはホウ砂によって架橋反応させて通過層を形成することで製造される。また、その他の層構成を有するインク受容体も、前記と同様の手順で製造することができる。
本発明のインクジェット印刷方法は、前記本発明のインク受容体に、着色剤として銀微粒子を含むと共に、銀の変色を防止するための変色防止剤を含むインクジェットインクを用いて印刷することを特徴とするものである。前記インクジェットインクとしては、先に説明した、特許文献2に記載されたもの等を用いることができる。すなわち、インクジェットインクとしては、水系で、かつ銀微粒子を、インクの総量の1〜20質量%、変色防止剤としての2−メルカプトベンゾチアゾールまたはその塩を、インクの総量の0.02〜2質量%の割合で含むと共に、必要に応じて、結着樹脂その他の添加剤を、任意の割合で含むもの等が挙げられる。
前記本発明のインクジェット印刷方法によれば、銀の変色を、より一層、良好に防止して、印刷面に、さらに長期間に亘って、良好な金属光沢を維持させることができる。また、前記インクジェットインクを用いて印刷した上に、着色透明のインクジェットインクを重ねて印刷してもよい。これにより、銀による印刷に様々な色を反映させて、種々の金属色を表現することができる。また、着色層による着色と、着色透明のインクジェットインクによる着色とを併用して、さらに多彩なカラーバリエーションを表現することもできる。
《実施例1》
純水20.00質量部に、結着樹脂としてのポリビニルアルコール〔(株)クラレ製のPVA235〕2.40質量部を溶解させて第1の溶液を調製すると共に、純水67.56質量部に、変色防止剤としての2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩0.12質量部を溶解させて第2の溶液(pH=9.10)を調製した。次に、前記第2の溶液に、分散剤〔第一工業製薬(株)製のシャロール(登録商標)DC−902P〕2.30質量部を加えて溶解させた後、フィラーとしてのシリカ〔(株)トクヤマ製のファインシール(登録商標)X−37B、電気泳動法による等電点のpH=1.0〜2.0〕7.62質量部を加え、かく拌して分散させた。そして、前記第2の溶液に、第1の溶液の全量を加え、かく拌して、下記配合を有する受容層用の塗布液(pH=5.49)を調製した。pHの測定には、東亜電波工業(株)製のHV−40を使用した。
純水20.00質量部に、結着樹脂としてのポリビニルアルコール〔(株)クラレ製のPVA235〕2.40質量部を溶解させて第1の溶液を調製すると共に、純水67.56質量部に、変色防止剤としての2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩0.12質量部を溶解させて第2の溶液(pH=9.10)を調製した。次に、前記第2の溶液に、分散剤〔第一工業製薬(株)製のシャロール(登録商標)DC−902P〕2.30質量部を加えて溶解させた後、フィラーとしてのシリカ〔(株)トクヤマ製のファインシール(登録商標)X−37B、電気泳動法による等電点のpH=1.0〜2.0〕7.62質量部を加え、かく拌して分散させた。そして、前記第2の溶液に、第1の溶液の全量を加え、かく拌して、下記配合を有する受容層用の塗布液(pH=5.49)を調製した。pHの測定には、東亜電波工業(株)製のHV−40を使用した。
(成 分) (質量部)
・フィラー
シリカ 7.62
〔(株)トクヤマ製のファインシール(登録商標)X−37B〕
・結着樹脂
ポリビニルアルコール 2.40
〔(株)クラレ製のPVA235〕
・分散剤 2.30
〔第一工業製薬(株)製のシャロール(登録商標)DC−902P〕
・変色防止剤
2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩 0.12
・純水 87.56
また、基材として、両面レジンコート紙〔三菱製紙(株)製〕を用意し、前記基材の片面に、先に調整した塗布液を、単位面積あたりの、固形分換算の塗布量が20.0g/m2となるように塗布したのち、乾燥させて、厚み25μmの受容層を形成して、前記変色防止剤を含む受容層を備えたインク受容体を製造した。そして、前記インク受容体の受容層に、ピエゾ方式のインクジェットプリンタ〔日本ヒューレットパッカード(株)製のPSC1315〕を用いて、変色防止剤を含む、下記インクジェットインクによってベタ印刷をした。
・フィラー
シリカ 7.62
〔(株)トクヤマ製のファインシール(登録商標)X−37B〕
・結着樹脂
ポリビニルアルコール 2.40
〔(株)クラレ製のPVA235〕
・分散剤 2.30
〔第一工業製薬(株)製のシャロール(登録商標)DC−902P〕
・変色防止剤
2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩 0.12
・純水 87.56
また、基材として、両面レジンコート紙〔三菱製紙(株)製〕を用意し、前記基材の片面に、先に調整した塗布液を、単位面積あたりの、固形分換算の塗布量が20.0g/m2となるように塗布したのち、乾燥させて、厚み25μmの受容層を形成して、前記変色防止剤を含む受容層を備えたインク受容体を製造した。そして、前記インク受容体の受容層に、ピエゾ方式のインクジェットプリンタ〔日本ヒューレットパッカード(株)製のPSC1315〕を用いて、変色防止剤を含む、下記インクジェットインクによってベタ印刷をした。
(インクジェットインクの調製)
銀コロイドとしては、レーザー回折散乱法型粒度測定装置〔日機装(株)製のMicrotrac UPA〕を用いて測定したメジアン径d50が0.0168μmである水系の銀コロイド(銀粒子含有濃度30質量%)を用いた。また変色防止剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩を用いた。そしてこの銀コロイドおよび変色防止剤と、下記の各成分とを配合し、かく拌、混合した後、0.8μmのメンブランフィルターを用いてろ過して水系のインク組成物を製造した。インク組成物の全量に対する銀粒子の含有割合は3.0質量%であった。
銀コロイドとしては、レーザー回折散乱法型粒度測定装置〔日機装(株)製のMicrotrac UPA〕を用いて測定したメジアン径d50が0.0168μmである水系の銀コロイド(銀粒子含有濃度30質量%)を用いた。また変色防止剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩を用いた。そしてこの銀コロイドおよび変色防止剤と、下記の各成分とを配合し、かく拌、混合した後、0.8μmのメンブランフィルターを用いてろ過して水系のインク組成物を製造した。インク組成物の全量に対する銀粒子の含有割合は3.0質量%であった。
配合の順序は、まず2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩を超純水に溶解し、次いで2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを加えてかく拌後、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、水溶性オキサゾリン、オルフィンE1010、およびプロキセルXL−2を加えてかく拌し、最後に水系の銀コロイドAを加えてかく拌した。
超純水に、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩と、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールとを加えてかく拌した時点でのpHを測定したところ、12.10であった。また、全ての成分を加えてかく拌した時点でのpHを測定したところ10.52であった。そして、このことから、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを加えることによって、製造開始から完成に至るまでのインク組成物のpHを、9.5〜12.5の範囲内に維持できることが確認された。pHの測定には、東亜電波工業(株)製のHV−40を使用した。
(成 分) (質量部)
・銀コロイドA 10.0
・変色防止剤
2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩 0.5
・湿潤剤
グリセリン 23.2
・殺生剤
プロキセルXL−2〔アビシア社製〕 0.2
・分散媒
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 10.0
超純水 52.6
・塩基性物質
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール 0.5
・結着樹脂
水溶性オキサゾリン基含有ポリマー 2.0
〔(株)日本触媒製の商品名エポクロス WS−700〕
・表面張力調整剤
アセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物 1.0
〔日信化学工業(株)製の商品名オルフィンE1010〕
《実施例2》
変色防止剤を配合せず、かつ超純水の量を53.1質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。そして、実施例1で製造したのと同じインク受容体の受容層に、同じインクジェットプリンタを用いて、変色防止剤を含まない前記インクジェットインクによってベタ印刷をした。
・銀コロイドA 10.0
・変色防止剤
2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩 0.5
・湿潤剤
グリセリン 23.2
・殺生剤
プロキセルXL−2〔アビシア社製〕 0.2
・分散媒
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 10.0
超純水 52.6
・塩基性物質
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール 0.5
・結着樹脂
水溶性オキサゾリン基含有ポリマー 2.0
〔(株)日本触媒製の商品名エポクロス WS−700〕
・表面張力調整剤
アセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物 1.0
〔日信化学工業(株)製の商品名オルフィンE1010〕
《実施例2》
変色防止剤を配合せず、かつ超純水の量を53.1質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。そして、実施例1で製造したのと同じインク受容体の受容層に、同じインクジェットプリンタを用いて、変色防止剤を含まない前記インクジェットインクによってベタ印刷をした。
《実施例3》
基材としての、実施例1で使用したのと同じ両面レジンコート紙の片面に、下記の各成分を含む、受容層用の塗布液を、単位面積あたりの、固形分換算の塗布量が20.0g/m2となるように塗布したのち、乾燥させて、厚み25μmの受容層を形成した。
(成 分) (質量部)
・フィラー
擬ベーマイト構造を有するアルミナ 19.5
〔触媒化成工業(株)のカタロイド(登録商標)AP−5〕
・結着樹脂
ポリビニルアルコール 2.0
〔(株)クラレ製のPVA235〕
・純水 78.5
次に、前記受容層の上に、下記の各成分を含む、通過層用の塗布液を塗布することで、受容層の表層部のポリビニルアルコールを、ホウ砂によって架橋反応させて、通過層を形成して、変色防止剤を含まない透明な受容層と、変色防止剤を含む通過層とを備えたインク受容体を製造した。そして、前記インク受容体の受容層に、実施例1で使用したのと同じインクジェットプリンタを用いて、実施例1で調製したのと同じ、変色防止剤を含むインクジェットインクによってベタ印刷をした。
基材としての、実施例1で使用したのと同じ両面レジンコート紙の片面に、下記の各成分を含む、受容層用の塗布液を、単位面積あたりの、固形分換算の塗布量が20.0g/m2となるように塗布したのち、乾燥させて、厚み25μmの受容層を形成した。
(成 分) (質量部)
・フィラー
擬ベーマイト構造を有するアルミナ 19.5
〔触媒化成工業(株)のカタロイド(登録商標)AP−5〕
・結着樹脂
ポリビニルアルコール 2.0
〔(株)クラレ製のPVA235〕
・純水 78.5
次に、前記受容層の上に、下記の各成分を含む、通過層用の塗布液を塗布することで、受容層の表層部のポリビニルアルコールを、ホウ砂によって架橋反応させて、通過層を形成して、変色防止剤を含まない透明な受容層と、変色防止剤を含む通過層とを備えたインク受容体を製造した。そして、前記インク受容体の受容層に、実施例1で使用したのと同じインクジェットプリンタを用いて、実施例1で調製したのと同じ、変色防止剤を含むインクジェットインクによってベタ印刷をした。
(成 分) (質量部)
・ホウ砂 3.0
・蛍光増白剤〔昭和化学工業(株)製のPRX−L〕 1.0
・変色防止剤
2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩 0.5
・純水 95.9
配合の順序は、まず2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩を純水に溶解し、次いでホウ砂を加えてかく拌後、蛍光増白剤を加えてかく拌した。
・ホウ砂 3.0
・蛍光増白剤〔昭和化学工業(株)製のPRX−L〕 1.0
・変色防止剤
2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩 0.5
・純水 95.9
配合の順序は、まず2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩を純水に溶解し、次いでホウ砂を加えてかく拌後、蛍光増白剤を加えてかく拌した。
《実施例4》
基材としての、実施例1で使用したのと同じ両面レジンコート紙の片面に、下記の各成分を含む、着色層用の塗布液を、単位面積あたりの、固形分換算の塗布量が5.0g/m2となるように塗布したのち、乾燥させて、厚み5μmの着色層を形成した。
(成 分) (質量部)
・着色剤
カチオン染料 0.15
〔保土谷化学工業(株)製のSWT−RED−7〕
・結着樹脂
ポリビニルアルコール 2.40
〔(株)クラレ製のPVA235〕
・純水 97.45
次に、前記着色層の上に、実施例3で使用したのと同じ受容層用の塗布液を、単位面積あたりの、固形分換算の塗布量が20.0g/m2となるように塗布したのち、乾燥させて、厚み25μmの受容層を形成し、次いで、前記受容層の上に、実施例3で使用したのと同じ通過層用の塗布液を塗布して、受容層の表層部のポリビニルアルコールを、ホウ砂によって架橋反応させることで通過層を形成して、着色層と、変色防止剤を含まない透明な受容層と、変色防止剤を含む通過層とを備えたインク受容体を製造した。そして、前記インク受容体の受容層に、実施例1で使用したのと同じインクジェットプリンタを用いて、実施例1で調製したのと同じ、変色防止剤を含むインクジェットインクによってベタ印刷をした。
基材としての、実施例1で使用したのと同じ両面レジンコート紙の片面に、下記の各成分を含む、着色層用の塗布液を、単位面積あたりの、固形分換算の塗布量が5.0g/m2となるように塗布したのち、乾燥させて、厚み5μmの着色層を形成した。
(成 分) (質量部)
・着色剤
カチオン染料 0.15
〔保土谷化学工業(株)製のSWT−RED−7〕
・結着樹脂
ポリビニルアルコール 2.40
〔(株)クラレ製のPVA235〕
・純水 97.45
次に、前記着色層の上に、実施例3で使用したのと同じ受容層用の塗布液を、単位面積あたりの、固形分換算の塗布量が20.0g/m2となるように塗布したのち、乾燥させて、厚み25μmの受容層を形成し、次いで、前記受容層の上に、実施例3で使用したのと同じ通過層用の塗布液を塗布して、受容層の表層部のポリビニルアルコールを、ホウ砂によって架橋反応させることで通過層を形成して、着色層と、変色防止剤を含まない透明な受容層と、変色防止剤を含む通過層とを備えたインク受容体を製造した。そして、前記インク受容体の受容層に、実施例1で使用したのと同じインクジェットプリンタを用いて、実施例1で調製したのと同じ、変色防止剤を含むインクジェットインクによってベタ印刷をした。
《比較例1》
基材としての、実施例1で使用したのと同じ両面レジンコート紙の片面に、実施例1で使用したのと同じ受容層用の塗布液を、単位面積あたりの、固形分換算の塗布量が20.0g/m2となるように塗布したのち、乾燥させて、厚み25μmの受容層を形成して、変色防止剤を含まない受容層を備えたインク受容体を製造した。そして、前記インク受容体の受容層に、実施例1で使用したのと同じインクジェットプリンタを用いて、実施例2で調製したのと同じ、変色防止剤を含まないインクジェットインクによってベタ印刷をした。
基材としての、実施例1で使用したのと同じ両面レジンコート紙の片面に、実施例1で使用したのと同じ受容層用の塗布液を、単位面積あたりの、固形分換算の塗布量が20.0g/m2となるように塗布したのち、乾燥させて、厚み25μmの受容層を形成して、変色防止剤を含まない受容層を備えたインク受容体を製造した。そして、前記インク受容体の受容層に、実施例1で使用したのと同じインクジェットプリンタを用いて、実施例2で調製したのと同じ、変色防止剤を含まないインクジェットインクによってベタ印刷をした。
《比較例2》
比較例1で製造したのと同じインク受容体の受容層に、同じインクジェットプリンタを用いて、実施例1で調製したのと同じ、変色防止剤を含むインクジェットインクによってベタ印刷をした。
《耐変色性評価》
各実施例、比較例においてベタ印刷した印刷面を常温にて4週間、放置したのち観察して、下記の基準で変色の有無を評価した。
比較例1で製造したのと同じインク受容体の受容層に、同じインクジェットプリンタを用いて、実施例1で調製したのと同じ、変色防止剤を含むインクジェットインクによってベタ印刷をした。
《耐変色性評価》
各実施例、比較例においてベタ印刷した印刷面を常温にて4週間、放置したのち観察して、下記の基準で変色の有無を評価した。
◎:印刷直後と変わらず美麗な金属光沢を有していた。
○:僅かに変色が見られたが、金属光沢に問題はなかった。
×:著しく変色して金属光沢が失われていた。
結果を表1に示す。
○:僅かに変色が見られたが、金属光沢に問題はなかった。
×:著しく変色して金属光沢が失われていた。
結果を表1に示す。
表より、変色防止剤を含まない受容層を備えたインク受容体と、変色防止剤を含まないインクジェットインクとを組み合わせた比較例1、および、同じインク受容体と、変色防止剤を含むインクジェットインクとを組み合わせた比較例2は、共に耐変色性が不十分で、4週間の放置によって変色して金属光沢が失われてしまうことが判った。ちなみに、前記比較例2は、特許文献2の実施例1に相当するものであって、前記特許文献2に記載された1週間の放置では、金属光沢が失われなかったが、今回の4週間の放置には耐えることができず、変色してしまった。
これに対し、変色防止剤を含む受容層、または通過層を備えたインク受容体を用いた各実施例は、いずれも耐変色性が○〜◎であって、4週間の放置に対して、十分に実用レベルの耐変色性を有していることが判った。また、各実施例を比較すると、受容層と通過層のいずれに変色防止剤を含ませても、ほぼ同等の、良好な耐変色性が得られること、インクジェットインクとして変色防止剤を含むものを組み合わせることで、前記耐変色性を、さらに向上できることが判った。さらに、着色層と、フィラーとして擬ベーマイト構造を有するアルミナを用いた透明な受容層と、変色防止剤を含む通過層とを組み合わせた実施例4では、前記着色層の赤色と、受容層における、銀による印刷とを組み合わせて、鮮やかなカラーバリエーションを表現できる上、前記カラーバリエーションを、長期間に亘って維持できることも判った。
Claims (7)
- 着色剤として銀微粒子を含むインクジェットインクによって印刷するためのインク受容体であって、少なくとも最表層に、銀の変色を防止するための変色防止剤が含まれていることを特徴とするインク受容体。
- 最表層が、インクジェットインクを受容して定着させるための受容層であり、前記受容層に変色防止剤が含まれている請求項1に記載のインク受容体。
- 変色防止剤が2−メルカプトベンゾチアゾールの塩であると共に、受容層が、前記2−メルカプトベンゾチアゾールの塩と、等電点のpHが7以下であるフィラーとを含む塗布液を塗布した後、乾燥させて形成されている請求項2に記載のインク受容体。
- 最表層が、インクジェットインクを受容して定着させる受容層の表面に積層された、インクジェットインクを、前記受容層まで通過させる通過層であり、前記通過層に変色防止剤が含まれている請求項1に記載のインク受容体。
- 受容層の下層として着色層を備えている請求項1に記載のインク受容体。
- 最表層が、変色防止剤として2−メルカプトベンゾチアゾールの塩を含む受容層であるインク受容体を製造するための製造方法であって、前記2−メルカプトベンゾチアゾールの塩と、等電点のpHが7以下であるフィラーとを含む、受容層のもとになる塗布液を塗布したのち、乾燥させて、受容層を形成する工程を含むことを特徴とするインク受容体の製造方法。
- 少なくとも最表層に、銀の変色を防止するための変色防止剤が含まれたインク受容体に、着色剤として銀微粒子を含むインクジェットインクによって印刷するためのインクジェット印刷方法であって、前記インクジェットインクとして、銀の変色を防止するための変色防止剤を含むものを用いることを特徴とするインクジェット印刷方法。
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JP2007058731A JP2008221478A (ja) | 2007-03-08 | 2007-03-08 | インク受容体とその製造方法およびインクジェット印刷方法 |
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-
2007
- 2007-03-08 JP JP2007058731A patent/JP2008221478A/ja active Pending
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