JP2009107283A - メタリック印刷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】着色剤としての金属微粒子が短期間で変色してしまったり、被印刷体の表面から簡単に取れてしまったりするのを防止して、インクジェット印刷法によって形成したメタリック画像に、これまでよりも長期間に亘って、良好な金属光沢を維持させることができるメタリック印刷方法を提供する。
【解決手段】受容シート1の、基材2の片面に形成した印刷層5に、金属微粒子7を含有するインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷をした後、前記受容シート1を、被印刷体8の表面に熱接着させて、メタリック画像を形成する。
【選択図】図6

Description

本発明は、着色剤として金属微粒子を含むインクジェットインクを用いたインクジェット印刷法によって、紙等の被印刷体の表面に、メタリック画像を形成するためのメタリック印刷方法に関するものである。
近年、パーソナルコンピュータの出力印刷から、例えば商業広告等の、大型印刷物の印刷までの幅広い分野で、いわゆるインクジェット印刷法が利用されている。インクジェット印刷法では、紙等の被印刷体の表面に、色の3原色であるシアン、マゼンタ、イエローの3色、あるいは前記3色を基本とする4色以上の多色のインクジェットインクを用いてインクパターンを印刷して、各色の混色によってフルカラー画像等を表現している。しかし、前記表現方法ゆえに、インクジェット印刷法では、金属光沢を有するメタリック画像を形成することができないという問題がある。そこで近時、メタリック画像を形成するために、着色剤として、金属コロイド起源の金属微粒子を用いたインクジェットインクが提案されている(特許文献1)。
例えば、水系の金属コロイドは、金属イオンを含む水溶液と還元剤とを混合したり、金属イオンを含む水溶液を噴霧して、水素炎と接触させたりして、前記金属イオンを還元させて、水溶液中に、金属微粒子を析出させることで製造される。金属コロイドに含まれる金属微粒子は、前記還元反応が系中で均一に進行するため、個々の粒径が揃っており、粒度分布がシャープである。また、前記金属微粒子は、その形状もほぼ球形で揃っている。しかも、反応条件を調整することで、金属微粒子の粒径を、できるだけ小さくすることもできる。そのため、着色剤として、金属コロイド起源の金属微粒子を用いたインクジェットインクによれば、個々の粒子の粒状感が目立たない、例えば金属塊や金属箔、連続した金属膜の表面のような滑らかな、良好な金属光沢を有するメタリック画像を形成することができる。
また、インクジェット印刷法の高画質化に対応して、プリンタのヘッドから吐出させるインクジェットインクの液滴を、できるだけ微小化するために、径が微小化しつつある前記ヘッドから、目詰まり等を生じることなしに、良好に吐出させることもできる。また、金属コロイドに含まれる金属微粒子は、先に説明したように、水中での還元反応等によって析出、生成され、その表面が親水性を有しているため、水系のインクジェットインクに対する分散安定性にも優れている。そのため、着色剤として、金属コロイド起源の金属微粒子を用いたインクジェットインクは、製造されてから、実際に末端のユーザーによって使用されるまでの間に分離、沈降して使えなくなるといった問題を生じるおそれもない。前記金属微粒子としては、表現したいメタリック画像の色合い等に合わせた、種々の金属からなるものが使用可能である。
特に銀は、他の金属と比べて明るい色調を有していることから、前記銀の微粒子を含むインクジェットインクは、金属らしい光沢を表現するのに適している。しかし、銀微粒子を含むインクジェットインクを用いて形成したメタリック画像は、印刷直後こそ良好な金属光沢を有するものの、銀が、空気中の硫化ガス(硫黄ガス)と硫化反応して、その表面に黒色の硫化銀の被膜が生成されやすいため、比較的短期間で変色してしまうという問題がある。そこで、着色剤として銀微粒子を含むインクジェットインクに、前記銀の変色を防止するための変色防止剤を含有させることが提案されている(特許文献2)。
特開2003−306625号公報 国際公開WO2006/112031A1
ところが、発明者の検討によると、インクジェットインクに変色防止剤を含有させた場合には、確かに、銀の変色を防止する効果が、ある程度は得られるものの、その効果に限界があることが明らかとなった。すなわち、銀の変色防止剤の多くは、特許文献2に記載されているように、水不溶性、もしくは難溶性であるため、水系のインクジェットインクに含有させる変色防止剤としては、水溶性を有する2−メルカプトベンゾチアゾールまたはそのナトリウム塩等が好ましいが、前記2−メルカプトベンゾチアゾールやその塩を、水系のインクジェットインクに多量に含有させることはできない。これは、2−メルカプトベンゾチアゾールの水溶性があまり良好でなく、多量に含有させるのが難しいこと、一方、2−メルカプトベンゾチアゾールの塩を多量に含有させると、前記2−メルカプトベンゾチアゾールの塩は塩基性であるため、インクジェットインクの塩基性が強くなって、前記インクジェットインクを構成する他の成分が析出しやすくなること等が原因である。
しかも、前記2−メルカプトベンゾチアゾールやその塩等の変色防止剤を含有させたインクジェットインクを、紙等の被印刷体の表面に印刷すると、銀微粒子は、前記被印刷体の表面、ないしは、表面から一定の深さまでの表層部に留まるのに対し、変色防止剤をはじめとする、インクジェットインクを構成するその他の、水に溶解した成分は、水と共に被印刷体中に吸収されてしまう。そのため、銀微粒子の周囲に留まって変色を防止するために機能する変色防止剤の量は、最初にインクジェットインクに添加した量のごく一部に過ぎないことになり、インクジェットインクに変色防止剤を含有させても、その添加効果には限界があるのである。
また、先に説明したように、銀微粒子等の金属微粒子は、紙等の被印刷体の表面、ないしは、表面から一定の深さまでの表層部に留まるため耐擦過性が低く、前記被印刷体の表面が擦られると簡単に取れてしまって、形成されたメタリック画像がかすれやすいという問題もある。本発明の目的は、着色剤としての金属微粒子が短期間で変色してしまったり、被印刷体の表面から簡単に取れてしまったりするのを防止して、インクジェット印刷法によって形成したメタリック画像に、これまでよりも長期間に亘って、良好な金属光沢を維持させることができるメタリック印刷方法を提供することにある。
本発明は、透明な基材と、前記基材の片面に形成された、熱接着性と、インクジェットインクを受容するインク受容性とを有する少なくとも1層の印刷層とを備える受容シートの、前記印刷層に、着色剤として金属微粒子を含有するインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷をした後、前記受容シートを、印刷層の熱接着性によって被印刷体の表面に熱接着させて、前記被印刷体の表面にメタリック画像を形成することを特徴とするメタリック印刷方法である。前記本発明によれば、着色剤として金属微粒子を含有するインクジェットインクを、インクジェット印刷法によって、受容シートの印刷層に印刷して受容させた状態で、前記受容シートを、印刷層が有する熱接着性を利用して、紙等の被印刷体の表面に熱接着させることによって、前記被印刷体の表面に、透明な基材を通して外部から見ることができる状態で、メタリック画像を形成することができる。
そして、形成したメタリック画像を構成する金属微粒子を、前記被印刷体と、印刷層と、透明な基材とによって保護して、前記金属微粒子が空気と接触するのを防止することができる。また、金属微粒子の耐擦過性を向上することもできる。そのため、特に銀微粒子等の金属微粒子が、空気中の硫化ガス(硫黄ガス)等と反応して短期間で変色してしまうのを防止すると共に、被印刷体の表面が擦られても簡単に取れないようにして、形成したメタリック画像に、これまでよりも長期間に亘って、良好な金属光沢を維持させることが可能となる。前記本発明のメタリック印刷方法において、受容シートの印刷層に、できるだけ良好なインク受容性と、熱接着性とを付与することを考慮すると、前記印刷層の機能を分離して、印刷層を、基材の片面に順に形成された、インク受容性を有するインク受容層と、インク透過性および熱接着性を有する熱接着層とを含む積層体とするのが好ましい。
また、本発明のメタリック印刷方法において、受容シートとして、印刷層が、基材と接する面側に透明着色層を含むものを用いると、基材の側から見たメタリック画像に、前記透明着色層によって任意の着色をすることができる。そのため、例えば黄色ないし橙色に着色された透明着色層と、銀微粒子とを組み合わせることによって、金を用いずに金色を表現したり、様々な色に着色された透明着色層と、種々の金属微粒子とを組み合わせることで、実際にはない種々の色の金属光沢を有するメタリック画像を形成したりすることが可能となる。
本発明は、基材と、前記基材の片面に形成された、熱転写性と、インクジェットインクを受容するインク受容性とを有する少なくとも1層の印刷層とを備える受容シートの、前記印刷層に、着色剤として金属微粒子を含有するインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷をした後、前記受容シートの印刷層を、基材から被印刷体の表面に熱転写させて、前記被印刷体の表面にメタリック画像を形成することを特徴とするメタリック印刷方法である。前記本発明によれば、着色剤として金属微粒子を含有するインクジェットインクを、インクジェット印刷法によって、受容シートの印刷層の、基材側と反対側の露出した面側から印刷して、前記印刷層に受容させた状態で、前記印刷層を、基材から被印刷体の表面に熱転写させることによって、前記被印刷体の表面に、メタリック画像を形成することができる。
またこの際に、例えばプリンタのヘッドから吐出させるインクジェットインクの液滴の大きさ等に応じて、印刷層のうち、インク受容性を有する領域の厚みや、前記領域におけるインク受容性能等を調整することで、インクジェットインク中に含まれる金属微粒子を、前記印刷層のうち、インク受容性を有する領域の表面、ないしは、表面から一定の深さまでの表層部に留めて、基材と印刷層との界面、つまり転写後の印刷層の表面に達するのを防止することもできる。そのため、形成したメタリック画像を構成する金属微粒子を、被印刷体と、印刷層のうち、金属微粒子が達していない領域とによって保護して、前記金属微粒子が空気と接触するのを防止することができる。また、金属微粒子の耐擦過性を向上することもできる。
したがって、特に銀微粒子等の金属微粒子が、空気中の硫化ガス(硫黄ガス)等と反応して短期間で変色してしまうのを防止すると共に、被印刷体の表面が擦られても簡単に取れないようにして、形成したメタリック画像に、これまでよりも長期間に亘って、良好な金属光沢を維持させることが可能となる。前記本発明のメタリック印刷方法において、受容シートの印刷層に、できるだけ良好なインク受容性と、熱転写性とを付与することを考慮すると、前記印刷層の機能を分離して、印刷層を、基材の片面に順に形成された、インク受容性を有するインク受容層と、インク透過性および熱接着性を有する熱接着層とを含む積層体とすると共に、前記基材の、印刷層が形成される面に、前記印刷層に対する離型性を付与する処理を施すことによって、前記印刷層に熱転写性を付与するのが好ましい。
また、本発明のメタリック印刷方法においても、受容シートとして、印刷層が、基材と接する面側に透明着色層を含むものを用いると、基材の側から見たメタリック画像に、前記透明着色層によって任意の着色をすることができる。そのため、例えば黄色ないし橙色に着色された透明着色層と、銀微粒子とを組み合わせることによって、金を用いずに金色を表現したり、様々な色に着色された透明着色層と、種々の金属微粒子とを組み合わせることで、実際にはない種々の色の金属光沢を有するメタリック画像を形成したりすることが可能となる。また、受容シートとして、基材の、印刷層が形成される面に、あらかじめ、その表面平滑度を調整する処理が施されたものを用いると、熱転写後の印刷層の表面平滑度を制御して、メタリック画像の光沢を調整することができる。
本発明によれば、着色剤としての金属微粒子が短期間で変色してしまったり、被印刷体の表面から簡単に取れてしまったりするのを防止して、インクジェット印刷法によって形成したメタリック画像に、これまでよりも長期間に亘って、良好な金属光沢を維持させることができるメタリック印刷方法を提供することができる。
図1ないし図4は、本発明のメタリック印刷方法の、実施の形態の一例の各工程を示す断面図である。図1を参照して、この例では、受容シート1として、透明な基材2と、前記基材2の、図において上面に順に形成された、インク受容性を有するインク受容層3と、インク透過性および熱接着性を有する熱接着層4とからなる2層構造の印刷層5とを備えるものを用いている。そして、前記印刷層5の、基材2側と反対側の露出した表面に、インクジェット印刷法によって、図示しないプリンタのヘッドから吐出させたインクジェットインクの液滴6を到達させると、前記液滴6を構成するインクジェットインクが、印刷層5のうち熱接着層4を透過してインク受容層3に達して、図2に示すように、前記インクジェットインク中に含まれる金属微粒子が、図中に符号7を付して示すように、前記インク受容層3のうち、その表面から一定の深さまでの表層部に受容される。
次に図3を参照して、印刷後の受容シート1を、熱接着層4の表面が接するように、紙等の被印刷体8の表面に重ねた状態で、専用のヒートロールや、あるいは家庭用のアイロン等を用いて、図中に白抜きの矢印で示すように加圧しながら加熱すると、図4に示すように、前記受容シート1が、熱接着層4の熱接着性によって被印刷体8の表面に熱接着されて、前記被印刷体8の表面に、透明な基材2を通して外部から見ることができる状態で、メタリック画像が形成される。前記メタリック画像を構成する金属微粒子は、前記被印刷体8と、印刷層5を構成する熱接着層4およびインク受容層3と、透明な基材2とによって保護されて、空気と接触するのが防止される。また、前記各部によって保護されることで、金属微粒子の耐擦過性も向上する。そのため、特に銀微粒子等の金属微粒子が、空気中の硫化ガス(硫黄ガス)等と反応して短期間で変色してしまうのを防止すると共に、被印刷体8の表面が擦られても簡単に取れないようにして、形成したメタリック画像に、これまでよりも長期間に亘って、良好な金属光沢を維持させることが可能となる。
前記例のメタリック印刷方法に用いる受容シート1のうち基材2としては、透明な種々の樹脂フィルムが使用される。前記樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、アクリル樹脂系フィルム、スチレン系フィルム、塩化ビニル系フィルム、酢酸ビニルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム等の酢酸ビニル系フィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ジアセテートフィルム、トリアセテートフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。
中でも、長尺の基材2を連続的に搬送しながら、その片面にインク受容層3や熱接着層4のもとになる塗剤を塗布して乾燥させる、一般的な製造工程を経て受容シート1を製造する際に、途中で切れたりカールしたりしない十分な強度や適度なコシを有すると共に、前記製造工程を経る際の温度変化、湿度変化に対する寸法変化が少なく、かつ、受容シート1を被印刷体8の表面に熱接着させるための加熱に対して十分な耐熱性を有する上、透明性に優れ、しかも薄物として厚みのムラが小さい厚み0.8μm以上、12μm以下、中でも1μm以上、9μm以下、特に1μm以上、5μm以下程度の延伸ポリエステルフィルム、特に2軸延伸PETフィルムが好ましい。
インク受容層3としては、インクジェットインクを受容してメタリック画像を形成することができるインク受容性を有する種々の、インク受容層の構成を採用することができる。例えばインクジェットインクが、パーソナルコンピュータの出力用として最も一般的なプリンタ用の、水系のインクジェットインクである場合、前記インク受容層3は、親水性ないしは吸水性を有する結着樹脂と、必要に応じてフィラーとを含む、例えば水系の塗剤を塗布した後、乾燥させて形成することができる。なお、インク受容層3に受容されたインクジェットインクからなるメタリック画像を、前記インク受容層3と基材2とを通して、前記基材2側からできるだけ鮮明に見ることができるようにすることを考慮すると、インク受容層3は透明であるのが好ましい。
前記インク受容層3を形成する結着樹脂としては、例えばポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等のビニルピロリドン系樹脂;ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の、ビニルアルコールのアセタール化物;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロール系樹脂;ポリビニルアセタール、ポリウレタン、カルボキシメチルセルロース、ポリエステル、ポリアクリル酸またはそのエステル、ポリアクリルアミド、メラミン樹脂、あるいはこれらの変性物等の合成樹脂や、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、デンプン、カチオン化デンプン、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等の天然樹脂の1種または2種以上が挙げられる。
またフィラーとしては、吸水性を有する種々の、多孔質のフィラーが挙げられる。前記フィラーとしては、例えばアルミナ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、タルク、クレイ、ハイドロサルファイド、炭酸カルシウム、チタニア、酸化亜鉛、シリカ等の粒子(ゾル等)の1種または2種以上が挙げられる。インク受容層3を透明にすることを考慮すると、フィラーとしては、擬ベーマイト構造を有するアルミナ〔例えば、触媒化成工業(株)製の登録商標カタロイド−Aシリーズ〕、もしくは一次粒子径が100nm以下の球状シリカが好ましく、特に一次粒子径が20nm以下の球状シリカ〔例えば、日産化学工業(株)製の登録商標スノーテックスXS、スノーテックス40等〕が好ましい。フィラーの含有割合は、前記インク受容層3を形成する固形分の総量の90質量%以下、特に30質量%以上、85質量%以下であるのが好ましい。
またインク受容層3には、水系のインクジェットインクの着色剤として多用されているアニオン性染料とイオン結合して、画像の耐水性を高める働きをするカチオン性樹脂を含有させてもよい。前記カチオン性樹脂としては、例えばポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)や、カチオン性アクリル系樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。インク受容層3の厚みは、前記インク受容層3を透明にすることと、インク受容層3に、インクジェットインクの良好な受容性を付与することとを併せ考慮すると10μm以上、35μm以下、特に15μm以上、30μm以下であるのが好ましい。
熱接着層4としては、インク透過性と、紙や樹脂フィルム等の被印刷体8に対する熱接着性とを有する種々の、熱接着層の構成を採用することができる。例えば、インクジェットインクが水系である場合、前記熱接着層4としては、前記被印刷体8に対する熱接着性を有すると共に、インク受容層3よりも親水性が低いか、または疎水性の樹脂からなり、透水性を有するか、もしくは多孔質構造を有する層が挙げられる。前記熱接着層4を形成する樹脂としては、例えばエチレン−酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂や、アクリル系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤等のディレードタック型の粘着剤等の1種または2種以上が挙げられる。
熱可塑性樹脂からなる熱接着層4に透水性を付与するには、前記熱可塑性樹脂の中から、透水性を有するものを選択して使用すればよい。また、熱可塑性樹脂からなる熱接着層4を多孔質構造とするためには、例えは、前記熱可塑性樹脂からなる微小な樹脂粒子を多数、結着剤で結着して複合構造を有する層を形成する際に、前記樹脂粒子と結着剤との配合割合を調整して、樹脂粒子間に微小な隙間が形成されるようにすればよい。結着剤としては、樹脂粒子の貧溶媒によって溶解させることができる、種々の結着剤が挙げられる。前記結着剤としては、例えばポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、デンプン、ポリビニルブチラール、ゼラチン、アイオノマー、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、スチレン−ブタジエンゴム等の1種または2種以上が挙げられる。特に熱接着時に、樹脂粒子による熱接着を補強しうる熱可塑性樹脂からなる結着剤が好ましい。
なお、前記樹脂粒子を形成する熱可塑性樹脂としては、前記方法によって樹脂粒子間に空隙を形成しやすい上、形成された熱接着層に、インクジェットインクの良好な透過性、ならびに良好な熱接着性を付与することができ、しかも熱接着後の透明性に優れた熱可塑性樹脂が特に好ましい。前記好ましい熱可塑性樹脂としては、先に例示したものの中でもポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。また、前記好ましい熱可塑性樹脂と組み合わせて、前記方法によって樹脂粒子間に空隙を形成できると共に、熱接着時に、樹脂粒子による熱接着を補強しうる結着剤としては、先に例示したものの中でもエチレン−酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂の貧溶媒に溶解可能な材料からなる微粒子を含有させた、前記熱可塑性樹脂からなる熱接着層4を形成した後、前記貧溶媒を用いて微粒子を溶出させて除去することで多孔質構造を形成したり、熱可塑性樹脂の貧溶媒である高沸点溶媒と、良溶媒である低沸点溶媒との混合溶媒に熱可塑性樹脂を分散させた塗剤を塗布した後、両溶媒を蒸発させる際の相分離によって多孔質構造を形成したり、発泡剤で発泡させて多孔質構造を形成したりすることもできる。また、ディレードタック型の粘着剤からなる熱接着層4を多孔質構造とするためには、前記粘着剤の活性化温度以下の温度で成膜して多数の亀裂を発生させればよい。熱接着層4の厚みは、前記熱接着層4に良好な熱接着性を付与することと、インク透過性を高めることとを併せ考慮すると1μm以上、10μm以下、特に1μm以上、5μm以下であるのが好ましい。
図5は、前記例のメタリック印刷方法に用いる受容シート1の変形例を示す断面図である。図5を参照して、この例の受容シート1は、印刷層5を、前記印刷層5の、基材2と接する面側に透明着色層9を備えた3層構造とした点が、先の図1の例と異なっている。その他の部分は先の例と同様であるので、同一部分に同一符号を付して説明を省略する。透明着色層9は、透明の結着樹脂からなる層を、前記層の透明性を損なわない範囲で層中に含有させた着色剤によって着色することで構成される。結着樹脂としては、透明性を有する種々の樹脂が使用可能である。また着色剤としても、各種の染料、顔料の中から、結着樹脂の層の透明性を損なわずに前記層を着色することができる任意の着色剤が、いずれも使用可能である。
ただし、インクジェットインクが水系である場合には、メタリック画像の滲みを防止するために、結着樹脂として、インク受容層3よりも親水性が低いか、または疎水性の樹脂を用いるのが好ましい。前記結着樹脂としては、透明性に優れることも併せ考慮すると、例えば疎水性のアクリル系樹脂が好ましい。また、着色剤としては、水に不溶性の染料や、あるいは顔料が好ましく、中でも、透明着色層9の透明性を向上することを併せ考慮すると、例えば油溶性染料等の、水に不溶性の染料が好ましい。例えば、黒色のインクに用いられる、水に不溶性の染料としては、C.I.ソルベントブラック28、C.I.ソルベントブラック29、C.I.ソルベントブラック45等が挙げられる。
また、フルカラー印刷用の各色のインクに用いられる、水に不溶性の染料としては、例えばC.I.ソルベントブルー35、C.I.ソルベントブルー44、C.I.ソルベントブルー45、C.I.ソルベントブルー67、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ソルベントブルー136などのシアン染料;C.I.ソルベントレッド27、C.I.ソルベントレッド90:1、C.I.ソルベントレッド91、C.I.ソルベントレッド92、C.I.ソルベントレッド122、C.I.ソルベントレッド124、C.I.ソルベントレッド125、C.I.ソルベントレッド127、C.I.ソルベントレッド130、C.I.ソルベントレッド233などのマゼンダ染料;C.I.ソルベントイエロー16、C.I.ソルベントイエロー25、C.I.ソルベントイエロー61、C.I.ソルベントイエロー62、C.I.ソルベントイエロー79、C.I.ソルベントイエロー88、C.I.ソルベントイエロー89、C.I.ソルベントイエロー146などのイエロー染料等が挙げられる。
また、前記疎水性の結着樹脂と、水に不溶性の染料、顔料とを組み合わせた透明着色層9は耐水性にも優れるため、その上に、先に説明したように水系の塗剤を塗布した後、乾燥させてインク受容層3を形成する際に、透明着色層9とインク受容層3とが層間で混ざり合うことがない。そのため前記インク受容層3、ならびに透明着色層9を、それぞれの層の機能を損なわずに形成することもできる。前記透明着色層9の厚みは0.05μm以上、3μm以下であるのが好ましい。
前記透明着色層9を備えた、図5の受容シート1を用いたこと以外は、先の例と同様にしてメタリック印刷法を実施すると、図6に示すように、前記受容シート1が、熱接着層4の熱接着性によって、被印刷体8の表面に熱接着されて、前記被印刷体8の表面に、透明な基材2と、透明着色層9とを通して外部から見ることができる状態で、前記透明着色層9の色に着色されたメタリック画像が形成される。例えば黄色ないし橙色に着色された透明着色層9と、銀微粒子とを組み合わせると、金を用いずに金色を表現することができる。また、様々な色に着色された透明着色層9と、種々の金属微粒子とを組み合わせると、実際にはない種々の色の金属光沢を有するメタリック画像を形成することもできる。
この際、被印刷体8として、黒色等の濃色に着色された紙等を用いると、メタリック画像以外の地の色が、透明着色層9の色によって着色されるのを目立たなくすることができ、効果的である。また同様の効果を狙って、熱接着層4を、あらかじめ、黒色等の濃色に着色してもよい。熱接着層4を着色するための着色剤としては、例えばインクジェットインクが水系である場合、滲みを防止するために、水に不溶性の染料や、あるいは顔料が好ましく、中でも熱接着層4の色の隠蔽性を向上して、被印刷体8の表面の色の影響を極力、抑制することを併せ考慮すると顔料が好ましい。また、基材2を任意の色に着色して、透明着色層9を省略することもできる。
図7ないし図11は、本発明のメタリック印刷方法の、実施の形態の他の例の各工程を示す断面図である。図7を参照して、この例では、受容シート1として、基材10と、前記基材10の、図において上面に順に形成された、インク受容性を有するインク受容層3と、インク透過性および熱接着性を有する熱接着層4とからなる2層構造の印刷層5とを備えるものを用いている。基材10は、その少なくとも印刷層5が形成される面が離型処理されて、前記印刷層5に対する離型性が付与されており、それによって印刷層5に熱転写性が付与されている。前記印刷層5の、基材10側と反対側の露出した表面に、インクジェット印刷法によって、図示しないプリンタのヘッドから吐出させたインクジェットインクの液滴6を到達させると、前記液滴6を構成するインクジェットインクが、印刷層5のうち熱接着層4を透過してインク受容層3に達して、図8に示すように、前記インクジェットインク中に含まれる金属微粒子が、図中に符号7を付して示すように、前記インク受容層3のうち、その表面から一定の深さまでの表層部に受容される。
金属微粒子を、前記のように、インク受容層3の表面から一定の深さまでの表層部、ないしは、表面に留めて、基材10とインク受容層3との界面、つまり転写後の印刷層5の表面まで達するのを防止するためには、例えばプリンタのヘッドから吐出させるインクジェットインクの液滴の大きさ等に応じて、インク受容層3の厚みや、前記インク受容層3におけるインク受容性能等を調整すればよい。例えば、メタリック画像を構成する1つのドットを形成するために、およそ1ないし5pl(ピコリットル)程度のインクジェットインクを用いる一般的なインクジェットプリンタを用いて印刷をする場合には、前記インク受容層3を透明にすることや、インク受容層3に、インクジェットインクの良好な受容性を付与することをも併せ考慮して、その厚みを10μm以上、35μm以下、特に15μm以上、30μm以下の範囲に設定すればよい。
次に図9を参照して、印刷後の受容シート1を、熱接着層4の表面が接するように、紙等の被印刷体8の表面に重ねた状態で、専用のヒートロールや、あるいは家庭用のアイロン等を用いて、図中に白抜きの矢印で示すように加圧しながら加熱して、熱接着層4の熱接着性によって、被印刷体8の表面に熱接着させた後、図10に黒矢印で示すように基材10をインク受容層3から剥離すると、図11に示すように、前記被印刷体8の表面に、メタリック画像が形成される。前記メタリック画像を構成する金属微粒子は、前記被印刷体8と、印刷層5を構成する熱接着層4、およびインク受容層3のうち金属微粒子が達していない周囲の領域とによって保護されて、空気と接触するのが防止される。また、前記各部によって保護されることで、金属微粒子の耐擦過性も向上する。
そのため、特に銀微粒子等の金属微粒子が、空気中の硫化ガス(硫黄ガス)等と反応して短期間で変色してしまうのを防止すると共に、被印刷体8の表面が擦られても簡単に取れないようにして、形成したメタリック画像に、これまでよりも長期間に亘って、良好な金属光沢を維持させることが可能となる。受容シート1を構成する前記各部は、いずれも、先の例と同様の材料によって、同様に構成することができる。印刷層5に熱転写性を付与するために、基材10の、少なくとも印刷層5を形成する面を離型処理するには、前記基材10として、先の例で使用した基材2と同様の樹脂フィルムからなるものを用いると共に、その印刷層5を形成する面に、前記印刷層5のうち基材10と接する層(この場合はインク受容層3)を形成する材料に対して離型性を有する材料からなる離型層を形成するのが好ましい。
前記離型層としては、シリコーン系樹脂等を塗布することによって形成した層を用いることができる。また、転写前の印刷層と基材との密着性を向上させたり、後述する、転写後のメタリック画像の光沢を調整するための粒子を結着したりするために、例えば基材2に対して密着性を有する結着樹脂からなり、シリコーン樹脂等の離型剤を含有させた層を用いることもできる。前記離型層の離型性は、離型剤の量によって調整することができるが、シリコーン樹脂等の通常の離型剤を多量に含有させると、離型層それ自体の、基材2に対する密着性が低下して、熱転写時に、印刷層5と共に剥離するおそれがある。また、遊離のシリコーンモノマーがブリードすることによって、転写前に、基材と印刷層との密着性が低下するおそれもある。
そのため、離型層の剥離を防止しながら、前記離型層による、印刷層5の離型性を高めることを考慮すると、離型剤としては、離型層を形成する結着樹脂と相溶性を有する樹脂のもとになる単量体と、相溶性を有しない樹脂のもとになる単量体とのランダム、ブロック、またはグラフト共重合体が好ましく、特にグラフト共重合体が好ましい。前記共重合体によれば、少量の添加で、転写前の基材と印刷層との密着性と、転写時の離型性のバランスを保つことができる。
例えば、先に説明した2軸延伸PETフィルム等の延伸ポリエステルフィルムからなる基材10の表面に形成する離型層を形成する結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましく、前記ポリエステル樹脂からなる離型層中に含有させる離型剤としては、前記ポリエステル樹脂と相溶性を有するシリコーン樹脂に相当する部分と、相溶性を有しないアクリル樹脂に相当する部分とを有する、アクリル−シリコーングラフト共重合体が好ましい。
図12は、前記例のメタリック印刷方法に用いる受容シート1の変形例を示す断面図である。図12を参照して、この例の受容シート1は、印刷層5を、前記印刷層5の、基材10と接する面側に透明着色層9を備えた3層構造とした点が、先の図7の例と異なっている。その他の部分は先の例と同様であるので、同一部分に同一符号を付して説明を省略する。透明着色層9も、先の図5の例の場合と同様に構成することができる。前記透明着色層9を備えた、図12の受容シート1を用いたこと以外は、先の例と同様にしてメタリック印刷法を実施すると、図13に示すように、被印刷体8の表面に、前記透明着色層9の色に着色されたメタリック画像が形成される。
例えば黄色ないし橙色に着色された透明着色層9と、銀微粒子とを組み合わせると、金を用いずに金色を表現することができる。また、様々な色に着色された透明着色層9と、種々の金属微粒子とを組み合わせると、実際にはない種々の色の金属光沢を有するメタリック画像を形成することもできる。この際、被印刷体8として、黒色等の濃色に着色された紙等を用いると、メタリック画像以外の地の色が、透明着色層9の色によって着色されるのを目立たなくすることができ、効果的である。また同様の効果を狙って、熱接着層4を、あらかじめ、顔料等によって黒色等の濃色に着色してもよい。
また、先に説明したように、透明着色層9が、疎水性の結着樹脂と、水に不溶性の染料、顔料とを組み合わせて形成される場合、前記透明着色層9は耐水性に優れるため、その上に、先に説明したように水系の塗剤を塗布した後、乾燥させてインク受容層3を形成する際に、透明着色層9とインク受容層3とが層間で混ざり合うことがない。そのため前記インク受容層3、ならびに透明着色層9を、それぞれの層の機能を損なわずに形成することもできる。しかも、図13に示す転写後の状態において、前記透明着色層9が、インク受容層3の上層に位置することになるので、画像の耐水性を向上することもできる。
図14は、前記例のメタリック印刷方法に用いる受容シート1の、他の変形例を示す断面図である。図14を参照して、この例の受容シート1は、基材10の、印刷層5を形成する面に、あらかじめ、その表面平滑度を調整する処理として、その表面が微細な凹凸形状を形成することでマット化されたマット層11を形成した点が、先の図7の例と異なっている。その他の部分は先の例と同様であるので、同一部分に同一符号を付して説明を省略する。前記マット層11を備えた、図14の受容シート1を用いたこと以外は、先の例と同様にしてメタリック印刷法を実施すると、図15に示すように、被印刷体8の表面にメタリック画像が形成されると共に、前記メタリック画像を構成する金属微粒子を保持するインク受容層3の露出した表面に、マット層11の表面の凹凸形状が転写されて、前記インク受容層3の表面がマット化されることで、メタリック画像がマット化される。
マット層11は、印刷層5の熱転写時に、前記印刷層5を良好に離型させることを考慮すると、それ自体が離型層を兼ねているのが好ましい。前記離型層を兼ねるマット層11は、例えば、先に例示した離型層中にマット剤を分散させることで形成される。マット剤としては、例えばシリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機顔料や、アクリル系樹脂の架橋粒子等の1種または2種以上が挙げられる。前記マット剤の粒径と含有量を調整することで、マット層11の表面における凹凸の度合い、すなわち表面平滑度を調整することができる。また、マット剤に代えてレベリング剤等を含有させて、マット層の場合と逆に表面平滑度を高めた平滑層を形成し、前記平滑層の表面形状を、前記と同様にしてインク受容層3の表面に転写して、前記インク受容層3の表面平滑度を高めることで、メタリック画像をグロス化することもできる。
なお、以上で説明した各図の例では、いずれも印刷層5を、インク受容層3と熱接着層4との2層構造として機能分離させていたが、前記印刷層5は、両層の機能を兼ねる単層構造に形成してもよい。前記単層構造の印刷層は、例えば水溶性もしくは吸水性を有するホットメルト接着剤によって形成できる。前記ホットメルト接着剤の基材樹脂としては、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド共重合体等のポリアルキレンオキシドポリマーや、ポリビニルアルコール、ポリエーテル系ポリエステル、ポリビニルピロリドン、セルロースまたはその誘導体、ポリビニルエーテル類等の1種または2種以上が挙げられる。前記樹脂には、先のインク受容層3の場合と同様に、フィラーやカチオン性樹脂を含有させてもよい。前記単層の印刷層5の厚みは10μm以上、35μm以下、特に15μm以上、30μm以下であるのが好ましい。
本発明のメタリック印刷方法に用いるインクジェットインクとしては、着色剤として金属微粒子を用いた、従来公知の種々のインクジェットインクが挙げられる。例えば水系のインクジェットインクは、水系の金属コロイドと、水や、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒等の水系分散媒と、必要に応じて各種の添加剤とを配合して調製される。このうち水系の金属コロイドは、先に説明したように、金属イオンを含む水溶液と還元剤とを混合したり、金属イオンを含む水溶液を噴霧して、水素炎と接触させたりして、前記金属イオンを還元させて、水溶液中に、金属微粒子を析出させることで製造される。また、前記製造方法によって水系の金属コロイドを製造するに際して、還元反応の前後の任意の時点で、水溶液に界面活性剤や親水性保護コロイドを加えると、金属微粒子の分散安定性をさらに向上できる。
親水性保護コロイドとしては、例えばゼラチン、アルブミン、アラビアゴム、プロタルビン酸、リサルビン酸や、特開平11−80647号公報に記載されている高分子量顔料分散剤のうち、水等の水性分散媒に対応したもの等が好ましい。かかる親水性保護コロイドの具体例としては、例えばゼネカ社製の商品名ソルスパース20000、27000、ビックケミー社製の商品名ディスパービック180、184、190、EFKAケミカル社製の商品名ポリマー451、共栄社化学(株)製のフローレンDOPA−17等の1種または2種以上が挙げられる。
インクジェットインクに添加してもよい添加剤としては、結着樹脂、表面張力調整剤、湿潤剤、防かび剤、殺生剤等が挙げられる。このうち結着樹脂は、金属微粒子等を印刷層に定着させるためのもので、前記結着樹脂としては、例えばセルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピロリドン、水溶性アクリル樹脂、水溶性オキサゾリン基含有ポリマー等の水溶性の結着樹脂の1種または2種以上が挙げられる。表面張力調整剤としては、非イオン界面活性剤等が挙げられる。湿潤剤は、インクの乾燥を抑制して、プリンタのヘッド等でインクの目詰まりが発生するのを防止するために添加するもので、例えば2価または3価のアルコール、2−ピロリドンまたはその誘導体等が好ましい。
前記2価のアルコールとしては、例えば1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、3価のアルコールとしては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。さらに2−ピロリドンおよびその誘導体としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。また、金属微粒子と共に、着色剤として、種々の染料や顔料等を併用してもよい。その場合は、金を用いずに金色を表現したり、実際にはない種々の色の金属光沢を有するメタリック画像を形成したりすることができる。また、金属微粒子としては、熱接着層を良好に通過させることを考慮すると、レーザー回折散乱法によるメジアン径が0.03μm以下、特に0.02μm以下であるものを用いるのが好ましい。
(実施例1)
基材としての厚み5μmの透明2軸延伸PETフィルムの片面に、吸水性を有するホットメルト接着剤の基材樹脂としてのポリエーテル系ポリエステル樹脂〔第一工業製薬(株)製の登録商標パオゲン〕14.0質量部と、シリカ〔日産化学工業(株)製の登録商標スノーテックスXS、一次粒子形状:球形、一次粒子径:4ないし6nm〕6.0質量部と、純水80.0質量部とを配合した印刷層用の塗剤を塗布したのち乾燥させて、厚み25μmの、単層構造を有する印刷層を形成して受容シートを製造した。
また、水系の銀コロイド(銀微粒子の濃度30質量%)10.0質量部と、湿潤剤としてのグリセリン23.2質量部と、殺生剤〔アーチ・ユーケイ・バイオサイズ社製の登録商標プロキセルXL−2〕0.2質量部と、塩基性物質としての2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール0.5質量部と、結着樹脂としての水溶性オキサゾリン基含有ポリマー〔(株)日本触媒製の登録商標エポクロスWS−700〕2.0質量部と、表面張力調整剤としてのアセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物〔日信化学工業(株)製の登録商標オルフィンE1010〕1.0質量部と、ジエチレングリコールモノブチルエーテル10.0質量部と、超純水53.1質量部とを配合し、かく拌、混合したのち0.8μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインクジェットインクを調製した。
前記インクジェットインクについて、レーザー回折散乱法型粒度測定装置〔日機装(株)製の登録商標マイクロトラックUPA〕を用いて測定した粒度分布から、銀微粒子のメジアン径d50を求めたところ0.0177μmであった。そして、前記受容シートの印刷層に、前記インクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷をした後、受容シートを、印刷層の熱接着性によって、被印刷体としての両面レジンコート紙〔三菱製紙(株)製〕の片面に熱接着させてメタリック画像を形成した。
(実施例2)
基材として、厚み25μmの透明2軸延伸PETフィルムの片面に、シリコーン系樹脂からなる離型層を形成して離型処理をしたものを用い、前記離型層の上に、実施例1で使用したのと同じ塗剤を塗布したのち乾燥させて、厚み25μmの、単層構造を有する印刷層を形成して受容シートを製造した。そして、前記受容シートの印刷層に、実施例1で使用したのと同じインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷をした後、前記印刷層を、基材から、被印刷体としての両面レジンコート紙〔三菱製紙(株)製〕の片面に熱転写させてメタリック画像を形成した。
(実施例3)
基材として、厚み25μmの透明2軸延伸PETフィルムの片面に、結着樹脂としてのポリエステル系樹脂〔東洋紡績(株)製の登録商標バイロン200〕12.0質量部と、離型剤としてのシリコーン−アクリルグラフト共重合体0.2質量部と、マット剤としてのシリカ〔富士シリシア化学(株)製の登録商標サイリシア350〕8.0質量部と、トルエン63.8質量部と、メチルエチルケトン16.0質量部とを配合したマット層用の塗剤を塗布したのち乾燥させて、厚み1μmのマット層を形成したものを用い、前記マット層の上に、実施例1で使用したのと同じ塗剤を塗布したのち乾燥させて、厚み25μmの、単層構造を有する印刷層を形成して受容シートを製造した。そして、前記受容シートの印刷層に、実施例1で使用したのと同じインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷をした後、前記印刷層を、基材から、被印刷体としての両面レジンコート紙〔三菱製紙(株)製〕の片面に熱転写させてメタリック画像を形成した。
(実施例4)
基材として、厚み25μmの透明2軸延伸PETフィルムの片面に、シリコーン系樹脂からなる離型層を形成して離型処理をしたものを用い、前記離型層の上に、結着樹脂としての部分けん化ポリビニルアルコール〔ケン化度88%、平均重合度3500〕5.6質量部と、シリカ〔日産化学工業(株)製の登録商標スノーテックスXS、一次粒子形状:球形、一次粒子径:4ないし6nm〕4.0質量部と、分散剤0.4質量部と、純水90.0質量部とを配合したインク受容層用の塗剤を塗布し、乾燥させて、厚み25μmのインク受容層を形成したのち、前記インク受容層の上に、樹脂粒子としての粒状アクリル系樹脂〔綜研化学(株)製のMX−300〕4.0質量部と、結着剤としてのエチレン−酢酸ビニル系樹脂〔三井デュポンポリケミカル(株)製の登録商標エバフレックスEV210〕3.0質量部と、顔料としてのカーボンブラック3.0質量部と、分散剤0.3質量部と、イソプロピルアルコール89.7質量部とを配合した熱接着層用の塗剤を塗布し、乾燥させて、厚み3μmの、多孔質構造を有する黒色の熱接着層を形成して、前記インク受容層と熱接着層の2層構造を有する印刷層を備えた受容シートを製造した。
そして、前記受容シートの印刷層のうちインク受容層に、実施例1で使用したのと同じインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷をした後、前記印刷層を、基材から、被印刷体としての両面レジンコート紙〔三菱製紙(株)製〕の片面に熱転写させて、メタリック画像を形成した。
(実施例5)
基材として、厚み25μmの透明2軸延伸PETフィルムの片面に、シリコーン系樹脂からなる離型層を形成して離型処理をしたものを用い、前記離型層の上に、結着樹脂としてのアクリル系樹脂〔三菱レイヨン(株)製の登録商標ダイヤナールBR−83〕19.0質量部と、油溶性染料としてのC.I.ソルベントイエロー61 1.0質量部と、トルエン40.0質量部と、メチルエチルケトン40.0質量部とを配合した透明着色層用の塗剤を塗布し、乾燥させて、厚み1μmの、黄色の透明着色層を形成したのち、前記透明着色層の上に、実施例4と同様の工程を経て、厚み25μmのインク受容層と、厚み3μmの、多孔質構造を有する黒色の熱接着層とを形成して、前記透明着色層とインク受容層と熱接着層の3層構造を有する印刷層を備えた受容シートを製造した。
そして、前記受容シートの印刷層のうちインク受容層に、実施例1で使用したのと同じインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷をした後、前記印刷層を、基材から、被印刷体としての両面レジンコート紙〔三菱製紙(株)製〕の片面に熱転写させて、メタリック画像を形成した。
(実施例6)
基材として、厚み25μmの透明2軸延伸PETフィルムの片面に、シリコーン系樹脂からなる離型層を形成して離型処理をしたものを用い、前記離型層の上に、結着樹脂としての部分けん化ポリビニルアルコール〔ケン化度88%、平均重合度3500〕5.0質量部と、シリカ〔日産化学工業(株)製の登録商標スノーテックスXS、一次粒子形状:球形、一次粒子径:4ないし6nm〕3.5質量部と、水溶性染料としてのC.I.ダイレクトイエロー86 1.1質量部と、分散剤0.4質量部と、純水90.0質量部とを配合したインク受容層用の塗剤を塗布し、乾燥させて、厚み25μmの、黄色のインク受容層を形成したのち、前記インク受容層の上に、実施例4と同様の工程を経て、厚み3μmの、多孔質構造を有する黒色の熱接着層を形成して、前記インク受容層と熱接着層の2層構造を有する印刷層を備えた受容シートを製造した。
そして、前記受容シートの印刷層のうちインク受容層に、実施例1で使用したのと同じインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷をした後、前記印刷層を、基材から、被印刷体としての両面レジンコート紙〔三菱製紙(株)製〕の片面に熱転写させて、メタリック画像を形成した。
(比較例1)
被印刷体としての両面レジンコート紙〔三菱製紙(株)製〕の片面に、実施例4で使用したのと同じ塗剤を塗布し、乾燥させて、厚み25μmのインク受容層を形成したのち、前記インク受容層に、実施例1で使用したのと同じインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷をしてメタリック画像を形成した。
(比較例2)
水系の銀コロイド(銀微粒子の濃度30質量%)10.0質量部と、変色防止剤としての2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩0.5質量部と、湿潤剤としてのグリセリン23.2質量部と、殺生剤〔アーチ・ユーケイ・バイオサイズ社製の登録商標プロキセルXL−2〕0.2質量部と、塩基性物質としての2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール0.5質量部と、結着樹脂としての水溶性オキサゾリン基含有ポリマー〔(株)日本触媒製の登録商標エポクロスWS−700〕2.0質量部と、表面張力調整剤としてのアセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物〔日信化学工業(株)製の登録商標オルフィンE1010〕1.0質量部と、ジエチレングリコールモノブチルエーテル10.0質量部と、超純水52.6質量部とを配合し、かく拌、混合したのち0.8μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインクジェットインクを調製した。
レーザー回折散乱法型粒度測定装置〔日機装(株)製の登録商標マイクロトラックUPA〕を用いて測定した粒度分布から、銀微粒子のメジアン径d50を求めたところ0.0188μmであった。そして、比較例1で形成したのと同じインク受容層に、前記インクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷をしてメタリック画像を形成した。
(比較例3)
被印刷体としての両面レジンコート紙〔三菱製紙(株)製〕の片面に、部分けん化ポリビニルアルコール〔ケン化度88%、平均重合度3500〕5.0質量部と、シリカ〔日産化学工業(株)製の登録商標スノーテックスXS、一次粒子形状:球形、一次粒子径:4ないし6nm〕3.6質量部と、変色防止剤としての2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩1.0質量部と、分散剤0.4質量部と、純水90.0質量部とを配合したインク受容層用の塗剤を塗布し、乾燥させて、厚み25μmのインク受容層を形成したのち、前記インク受容層に、比較例2で使用したのと同じインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷をしてメタリック画像を形成した。
(耐変色性試験)
実施例1ないし6、比較例1ないし3のメタリック印刷方法で形成したベタのメタリック画像を、室温(15ないし35℃)で3ヶ月間、静置したのち観察して、下記の基準で、メタリック画像の耐変色性を評価した。
○:印刷直後と変わらない美麗な金属光沢を有していた。
×:金属光沢が劣化(変色)していた。
(定着性試験)
実施例1ないし6、比較例1ないし3のメタリック印刷方法で形成した直後のメタリック画像を、消しゴム〔(株)トンボ鉛筆製の登録商標MONO〕を用いて、1.96Nの荷重をかけながら連続10回、擦過した後の状態を観察して、下記の基準で、メタリック画像の耐擦過性を評価した。
○:メタリック画像に変化は見られなかった。
×:擦過箇所の金属光沢が損なわれていた。
《外観評価》
実施例1ないし6のメタリック印刷方法で形成したメタリック画像の外観を観察して評価した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2009107283
表より、各実施例のメタリック印刷方法で形成したメタリック画像は、従来の、被印刷体の表面に直接に、インクジェットインクを用いて形成したメタリック画像に比べて、耐変色性、耐擦過性に優れることが判った。また、実施例3によれば、メタリック画像をマット化でき、実施例4によれば、黒色を背景とする銀色のメタリック画像を形成できることが判った。さらに実施例5、6によれば、銀コロイドを用いて、黒色を背景とする金色のメタリック画像を形成できることが判った。なお実施例5、6を比較すると、実施例6では、実施例5に比べて金属光沢の鮮明性が若干、低かったが、実用上、差し支えのないレベルであった。
本発明のメタリック印刷方法の、実施の形態の一例の一工程を示す断面図である。 本発明のメタリック印刷方法の、実施の形態の一例の一工程を示す断面図である。 本発明のメタリック印刷方法の、実施の形態の一例の一工程を示す断面図である。 本発明のメタリック印刷方法の、実施の形態の一例の一工程を示す断面図である。 前記例のメタリック印刷方法に用いる受容シートの、変形例を示す断面図である。 図6の受容シートを用いて被印刷体の表面に形成したメタリック印刷の、層構造を示す断面図である。 本発明のメタリック印刷方法の、実施の形態の他の例の一工程を示す断面図である。 本発明のメタリック印刷方法の、実施の形態の他の例の一工程を示す断面図である。 本発明のメタリック印刷方法の、実施の形態の他の例の一工程を示す断面図である。 本発明のメタリック印刷方法の、実施の形態の他の例の一工程を示す断面図である。 本発明のメタリック印刷方法の、実施の形態の他の例の一工程を示す断面図である。 前記例のメタリック印刷方法に用いる受容シートの、変形例を示す断面図である。 図12の受容シートを用いて被印刷体の表面に形成したメタリック印刷の、層構造を示す断面図である。 前記例のメタリック印刷方法に用いる受容シートの、他の変形例を示す断面図である。 図14の受容シートを用いて被印刷体の表面に形成したメタリック印刷の、層構造を示す断面図である。
符号の説明
1 受容シート
2 基材
3 インク受容層
4 熱接着層
5 印刷層
6 液滴
7 金属微粒子
8 被印刷体
9 透明着色層
10 基材
11 マット層

Claims (7)

  1. 透明な基材と、前記基材の片面に形成された、熱接着性と、インクジェットインクを受容するインク受容性とを有する少なくとも1層の印刷層とを備える受容シートの、前記印刷層に、着色剤として金属微粒子を含有するインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷をした後、前記受容シートを、印刷層の熱接着性によって被印刷体の表面に熱接着させて、前記被印刷体の表面にメタリック画像を形成することを特徴とするメタリック印刷方法。
  2. 受容シートとして、印刷層が、基材の片面に順に形成された、インク受容性を有するインク受容層と、インク透過性および熱接着性を有する熱接着層とを含むものを用いる請求項1に記載のメタリック印刷方法。
  3. 受容シートとして、印刷層が、基材と接する面側に透明着色層を含むものを用いることによってメタリック画像を着色する請求項1または2に記載のメタリック印刷方法。
  4. 基材と、前記基材の片面に形成された、熱転写性と、インクジェットインクを受容するインク受容性とを有する少なくとも1層の印刷層とを備える受容シートの、前記印刷層に、着色剤として金属微粒子を含有するインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷をした後、前記受容シートの印刷層を、基材から被印刷体の表面に熱転写させて、前記被印刷体の表面にメタリック画像を形成することを特徴とするメタリック印刷方法。
  5. 受容シートとして、印刷層が、基材の片面に順に形成された、インク受容性を有するインク受容層と、インク透過性および熱接着性を有する熱接着層とを含んでいると共に、前記基材の、印刷層が形成される面に、前記印刷層に対する離型性を付与する処理が施されることによって、前記印刷層に熱転写性が付与されたものを用いる請求項4に記載のメタリック印刷方法。
  6. 受容シートとして、印刷層が、基材と接する面側に透明着色層を含むものを用いることによってメタリック画像を着色する請求項4または5に記載のメタリック印刷方法。
  7. 受容シートとして、基材の、印刷層が形成される面に、あらかじめ、その表面平滑度を調整する処理が施されたものを用いることによって、熱転写後の印刷層の表面平滑度を制御して、メタリック画像の光沢を調整する請求項4ないし6のいずれかに記載のメタリック印刷方法。
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