本発明のインクセット及び記録方法の適用対象となる記録媒体は、光沢紙等の平滑性の高い記録媒体であってもよいが、普通紙、マット紙等の平滑性の低い記録媒体であることが好ましい。本発明のインクセット及び記録方法によれば、普通紙、マット紙等の平滑性の低い記録媒体を用いても、ムラ及び滲みが抑制され、優れた光輝性を有した記録物を得ることが可能である。
本発明のインクセットについて説明する。本発明のインクセットは、処理剤及び光輝性顔料インクを含む。
まず、前記処理剤について説明する。前記処理剤は、ヒュームドシリカを含む。前記ヒュームドシリカ(フュームドシリカとも言われる。)とは、湿式法で製造されるコロイダルシリカとは異なり、乾式法(気相法)で製造されるシリカのことである。本発明のインクセットでは、光輝性顔料インク中の溶媒がヒュームドシリカを介して記録媒体に吸収されやすくなり、ムラが抑制されると考えられる。ヒュームドシリカによって光輝性、ムラ及び滲みを改善できる理由は定かではないが、つぎのように考えられる。一般的に、コロイダルシリカは、湿式法で製造される工程において真球に近い形状となる。一方、乾式法(気相法)で製造されるヒュームドシリカは、鎖状の二次凝集体を形成しやすく、比表面積もコロイダルシリカに比べて高いといわれている。したがって、ヒュームドシリカは、コロイダルシリカと比較して、光輝性顔料を捉えて記録媒体の表層に留めやすくしていると考えられる。以上の特性から、ヒュームドシリカを介して光輝性顔料インク中の溶媒が記録媒体に吸収されやすくなるとともに、光輝性顔料を記録媒体表面に残りやすくすることで、優れた光輝性を発現させるとともに滲みを抑制することができるものと考えられる。ただし、これらのメカニズムは推定に過ぎず、本発明はこれに限定及び制限されない。
前記ヒュームドシリカの平均粒子径は、250nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましい。前記ヒュームドシリカの平均粒子径を250nm以下とすることで、ムラ及び滲みがより抑制され、光輝性により優れた記録物を得ることができ、150nm以下とすることで、ムラ及び滲みがさらに抑制され、光輝性にさらに優れた記録物を得ることができる。また、記録媒体への浸透性の観点では、前記ヒュームドシリカの平均粒子径は、50nm以上であることが好ましい。前記ヒュームドシリカの平均粒子径は、例えば、(株)堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置「LB−550」を用いて、算術平均径として測定可能である。
前記ヒュームドシリカは、自家調製してもよいし、市販品を用いてもよい、前記市販品としては、例えば、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「CAB−O−SPERSE(登録商標) PG 001」及び「CAB−O−SPERSE(登録商標) PG 002」等があげられる。
前記処理剤全量に対する前記ヒュームドシリカの配合量は、例えば、1重量%〜40重量%であり、好ましくは、4重量%〜30重量%であり、より好ましくは、8重量%〜25重量%である。
前記処理剤は、さらに、ウレタン樹脂を含むことが好ましい。本発明のインクセットにおいて、前記ウレタン樹脂は、前記処理剤に加え若しくは代えて、後述の光輝性顔料インクに含まれていてもよい。
前記ウレタン樹脂は、特に限定されず、いかなるものを用いてもよいが、ウレタンエマルションであることが好ましい。ウレタン樹脂をウレタンエマルションにする方法としては、例えば、ウレタン樹脂にカルボキシレート基又はスルホネート基等の親水性の官能基を導入して自己乳化させるか、界面活性剤によって強制的に乳化させる方法があげられる。前記界面活性剤としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等があげられる。前記ウレタンエマルションの平均粒子径は、300nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましい。前記ウレタンエマルションの平均粒子径を300nm以下とすることで、ムラ及び滲みがより抑制され、光輝性及び定着性により優れた記録物を得ることができ、150nm以下とすることで、ムラ及び滲みがさらに抑制され、光輝性及び定着性にさらに優れた記録物を得ることができる。前記ウレタンエマルションの平均粒子径は、前述のヒュームドシリカの平均粒子径と同様にして測定できる。
前記ウレタン樹脂は、自家調製してもよいし、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、三洋化成工業(株)製の「ユーコート(登録商標) UWS−145」(平均粒子径:20nm)、「パーマリン(登録商標) UA−150」(平均粒子径:70nm)及び「パーマリン(登録商標) UA−368」(平均粒子径:300nm)、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス(登録商標)シリーズ」等があげられる。
前記処理剤及び前記光輝性顔料インクの少なくとも一方の全量に対する前記ウレタン樹脂の配合量は、例えば、0.5重量%〜45重量%であり、好ましくは、1重量%〜20重量%であり、より好ましくは、2重量%〜8重量%である。「前記処理剤及び前記光輝性顔料インクの少なくとも一方の全量に対する前記ウレタン樹脂の配合量」とは、前記ウレタン樹脂が前記処理剤のみに含まれる場合には、前記処理剤全量に対する前記ウレタン樹脂の配合量であり、前記ウレタン樹脂が前記光輝性顔料インクのみに含まれる場合には、前記光輝性顔料インク全量に対する前記ウレタン樹脂の配合量であり、前記ウレタン樹脂が前記処理剤及び前記光輝性顔料インクの双方に含まれる場合には、前記処理剤全量に対する前記ウレタン樹脂の配合量(T)及び前記光輝性顔料インク全量に対する前記ウレタン樹脂の配合量(I)の和(T+I)である。
本発明のインクセットにおいて、前記ヒュームドシリカ及び前記ウレタン樹脂が、下記(A)及び(B)の条件を満たすように前記処理剤及び前記光輝性顔料インクに配合されていることが好ましく、下記(A1)及び(B1)の条件を満たすように前記処理剤及び前記光輝性顔料インクに配合されていることがより好ましい。
(A) 2≦X/Y≦5
(B) 5≦X+Y≦40
(A1) 2.5≦X/Y≦4
(B1) 10≦X+Y≦30
X:前記処理剤全量に対する前記ヒュームドシリカの配合量(重量%)
Y:前記処理剤及び前記光輝性顔料インクの少なくとも一方の全量に対する前記ウレタン樹脂の配合量(重量%)
2≦X/Yとすることで、ムラ及び滲みがより抑制された記録物を得ることができ、2.5≦X/Yとすることで、ムラ及び滲みがさらに抑制された記録物を得ることができる。また、5≦X+Yとすることで、光輝性により優れた記録物を得ることができ、10≦X+Yとすることで、光輝性にさらに優れた記録物を得ることができる。さらに、X/Y≦5、かつ、X+Y≦40とすることで、ムラ及び滲みがより抑制され、定着性により優れた記録物を得ることができ、X/Y≦4、かつ、X+Y≦30とすることで、ムラ及び滲みがさらに抑制され、定着性にさらに優れた記録物を得ることができる。
前記処理剤は、さらに、着色剤を含んでもよい。前記処理剤が着色剤を含む場合、全ての色(有彩色、並びに黒(ブラック)及び灰色(グレー)の無彩色)に、優れた光輝性を持たせることができる。前記着色剤は、顔料及び染料のいずれであってもよい。また、前記着色剤として、顔料及び染料を混合して用いてもよい。
前記顔料は、例えば、カーボンブラック、無機顔料及び有機顔料等があげられる。前記カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等があげられる。前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系無機顔料及びカーボンブラック系無機顔料等をあげることができる。前記有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ顔料、酸性染料型レーキ顔料等の染料レーキ顔料;ニトロ顔料;ニトロソ顔料;アニリンブラック昼光蛍光顔料;等があげられる。また、その他の顔料であっても水相に分散可能なものであれば使用できる。これらの顔料の具体例としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、6及び7;C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、15、16、17、55、78、150、151、154、180、185及び194;C.I.ピグメントオレンジ31及び43;C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、12、15、16、48、48:1、53:1、57、57:1、112、122、123、139、144、146、149、166、168、175、176、177、178、184、185、190、202、221、222、224及び238;C.I.ピグメントバイオレット196;C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、22及び60;C.I.ピグメントグリーン7及び36等があげられる。
前記顔料は、自己分散型顔料であってもよい。前記自己分散型顔料は、例えば、顔料粒子にカルボニル基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性官能基及びそれらの塩の少なくとも一種が、直接又は他の基を介して化学結合により導入されていることによって、分散剤を使用しなくても水に分散可能なものである。前記自己分散型顔料は、例えば、特開平8−3498号公報、特表2000−513396号公報、特表2008−524400号公報、特表2009−515007号公報等に記載の方法によって顔料が処理されたものを用いることができる。前記自己分散型顔料の原料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。また、前記処理を行うのに適した顔料としては、例えば、三菱化学(株)製の「MA8」及び「MA100」、デグサ社製の「カラーブラックFW200」等のカーボンブラックがあげられる。前記自己分散型顔料は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「CAB−O−JET(登録商標)200」、「CAB−O−JET(登録商標)250C」、「CAB−O−JET(登録商標)260M」、「CAB−O−JET(登録商標)270Y」、「CAB−O−JET(登録商標)300」、「CAB−O−JET(登録商標)400」、「CAB−O−JET(登録商標)450C」、「CAB−O−JET(登録商標)465M」及び「CAB−O−JET(登録商標)470Y」;オリエント化学工業(株)製の「BONJET(登録商標)BLACK CW−2」及び「BONJET(登録商標)BLACK CW−3」;東洋インキ製造(株)製の「LIOJET(登録商標)WD BLACK 002C」;等があげられる。
前記処理剤全量に対する前記顔料の固形分配合量(顔料固形分量)は、特に限定されず、例えば、0.5重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜15重量%であり、より好ましくは、2重量%〜10重量%である。
前記染料は、特に限定されず、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料等があげられる。前記染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック、C.I.ダイレクトブルー、C.I.ダイレクトレッド、C.I.ダイレクトイエロー、C.I.ダイレクトオレンジ、C.I.ダイレクトバイオレット、C.I.ダイレクトブラウン、C.I.ダイレクトグリーン、C.I.アシッドブラック、C.I.アシッドブルー、C.I.アシッドレッド、C.I.アシッドイエロー、C.I.アシッドオレンジ、C.I.アシッドバイオレット、C.I.ベーシックブラック、C.I.ベーシックブルー、C.I.ベーシックレッド、C.I.ベーシックバイオレット及びC.I.フードブラック等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラックとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラック17、19、32、51、71、108、146、154及び168等があげられる。前記C.I.ダイレクトブルーとしては、例えば、C.I.ダイレクトブルー6、22、25、71、86、90、106及び199等があげられる。前記C.I.ダイレクトレッドとしては、例えば、C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83及び227等があげられる。前記C.I.ダイレクトイエローとしては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、86、98、132、142及び173等があげられる。前記C.I.ダイレクトオレンジとしては、例えば、C.I.ダイレクトオレンジ34、39、44、46及び60等があげられる。前記C.I.ダイレクトバイオレットとしては、例えば、C.I.ダイレクトバイオレット47及び48等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラウンとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラウン109等があげられる。前記C.I.ダイレクトグリーンとしては、例えば、C.I.ダイレクトグリーン59等があげられる。前記C.I.アシッドブラックとしては、例えば、C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、63、112及び118等があげられる。前記C.I.アシッドブルーとしては、例えば、C.I.アシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、117、120、167、229及び234等があげられる。前記C.I.アシッドレッドとしては、例えば、C.I.アシッドレッド1、6、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、180、256、289、315及び317等があげられる。前記C.I.アシッドイエローとしては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、42、61及び71等があげられる。前記C.I.アシッドオレンジとしては、例えば、C.I.アシッドオレンジ7及び19等があげられる。前記C.I.アシッドバイオレットとしては、例えば、C.I.アシッドバイオレット49等があげられる。前記C.I.ベーシックブラックとしては、例えば、C.I.ベーシックブラック2等があげられる。前記C.I.ベーシックブルーをしては、例えば、C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、24、25、26、28及び29等があげられる。前記C.I.ベーシックレッドとしては、例えば、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14及び37等があげられる。前記C.I.ベーシックバイオレットとしては、例えば、C.I.ベーシックバイオレット7、14及び27等があげられる。前記C.I.フードブラックとしては、例えば、C.I.フードブラック1及び2等があげられる。
前記処理剤全量に対する前記染料の配合量は、特に限定されず、例えば、0.5重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜15重量%であり、より好ましくは、2重量%〜10重量%である。
前記着色剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記処理剤は、さらに、水を含んでもよい。前記水は、イオン交換水又は純水であることが好ましい。前記処理剤全量に対する前記水の配合量(水割合)は、例えば、10重量%〜98重量%であり、好ましくは、40重量%〜98重量%である。また、例えば、他の成分の残部として水を含み、処理剤をインクジェット記録装置の記録ヘッドから吐出可能な処理液として使用可能な形態としてもよい。
前記処理剤は、さらに、水溶性有機溶剤を含んでもよい。前記水溶性有機溶剤としては、従来公知のものを使用することができる。前記水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール、多価アルコール誘導体、アルコール、アミド、ケトン、ケトアルコール、エーテル、含窒素溶剤、含硫黄溶剤、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等があげられる。前記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロプレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等があげられる。前記多価アルコール誘導体としては、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル等があげられる。前記アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ベンジルアルコール等があげられる。前記アミドとしては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等があげられる。前記ケトンとしては、例えば、アセトン等があげられる。前記ケトアルコールとしては、例えば、ジアセトンアルコール等があげられる。前記エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等があげられる。前記含窒素溶剤としては、例えば、ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等があげられる。前記含硫黄溶剤としては、例えば、チオジエタノール、チオジグリコール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等があげられる。前記処理剤全量に対する前記水溶性有機溶剤の配合量は、特に制限されない。前記水溶性有機溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記処理剤は、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸化防止剤、防黴剤等があげられる。前記粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。
前記処理剤は、例えば、ヒュームドシリカと、必要に応じて他の添加成分とを、従来公知の方法で均一に混合することにより調製できる。
つぎに、前記光輝性顔料インクについて説明する。前記光輝性顔料インクは、光輝性顔料及び水を含む。
前記光輝性顔料としては、特に限定されず、例えば、金属粒子、パール顔料等があげられる。前記金属粒子としては、例えば、銀、アルミニウム、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等の粒子があげられる。前記パール顔料としては、例えば、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、三塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料があげられる。前記光輝性顔料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中で、銀粒子、アルミニウム粒子が好ましく、銀粒子が特に好ましい。
前記光輝性顔料としては、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、三菱マテリアル電子化成(株)製の「銀ナノコロイドH−1(銀濃度20%、水分散液)」、「銀ナノコロイドA−1(銀濃度10%、水分散液)」及び「銀ナノコロイドA−2(銀濃度10%、水分散液)」;SIGMA−ALDRICH社製の「製品番号730785(銀濃度0.1%、緩衝液分散体)」、「製品番号730793(銀濃度0.1%、緩衝液分散体)」、「製品番号730807(銀濃度0.1%、緩衝液分散体)」、「製品番号730815(銀濃度0.1%、緩衝液分散体)」及び「製品番号730777(銀濃度0.1%、緩衝液分散体)」;DOWAエレクトロニクス(株)製の「PChem/DOWAナノインク(銀濃度20%、水分散体)」;三菱製紙(株)製の「銀ナノインク(銀濃度20%、水分散体)」;大研化学工業(株)製の「Ag−Cuナノ粒子ペースト NAGNCU15−K01」;等があげられる。
前記光輝性顔料インク全量に対する前記光輝性顔料の配合量(光輝性顔料割合)は、例えば、0.5重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜12重量%であり、より好ましくは、2重量%〜10重量%である。前記光輝性顔料割合を1重量%〜12重量%とすることで、光輝性により優れた記録物を得ることができ、前記光輝性顔料割合を2重量%〜10重量%とすることで、光輝性にさらに優れた記録物を得ることができる。また、吐出安定性の観点では、前記光輝性顔料割合は、2重量%〜5重量%がより好ましい。
前記水は、イオン交換水又は純水であることが好ましい。前記光輝性顔料インク全量に対する前記水の配合量(水割合)は、例えば、10重量%〜80重量%であり、好ましくは、40重量%〜80重量%である。前記水割合は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
前記光輝性顔料インクは、前記処理剤が前記ウレタン樹脂を含まない場合には、前記ウレタン樹脂を含む。ただし、前記処理剤が前記ウレタン樹脂を含む場合には、前記光輝性顔料インクは、前記ウレタン樹脂を含まなくともよい。前記ウレタン樹脂の種類及び好適配合量については、前述の処理剤において説明したとおりである。
前記光輝性顔料インクは、さらに、水溶性有機溶剤を含むことが好ましい。前記水溶性有機溶剤としては、例えば、インクジェットヘッドのノズル先端部における光輝性顔料インクの乾燥を防止する湿潤剤及び記録媒体上での乾燥速度を調整する浸透剤があげられる。
前記湿潤剤は、特に限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン等のケトン;ジアセトンアルコール等のケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ポリアルキレングリコール等のポリエーテル;アルキレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等があげられる。前記ポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等があげられる。前記アルキレングリコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等があげられる。これらの湿潤剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの中で、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。
前記光輝性顔料インク全量に対する前記湿潤剤の配合量は、例えば、0重量%〜95重量%であり、好ましくは、5重量%〜80重量%であり、より好ましくは、5重量%〜50重量%である。
前記浸透剤は、例えば、グリコールエーテルがあげられる。前記グリコールエーテルは、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル及びトリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル等があげられる。前記浸透剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記光輝性顔料インク全量に対する前記浸透剤の配合量は、例えば、0重量%〜20重量%であり、好ましくは、0.1重量%〜15重量%であり、より好ましくは、1重量%〜5重量%である。
前記光輝性顔料インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。前記粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。
前記光輝性顔料インクは、例えば、光輝性顔料及び水と、必要に応じて他の添加成分とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。
本発明のインクセットにおいて、前記ヒュームドシリカ及び前記ウレタン樹脂を、それぞれ、前記(A1)及び(B1)の条件を満たすように前記処理剤及び前記光輝性顔料インクに配合し、前記ヒュームドシリカの平均粒子径を、150nm以下とし、前記ウレタン樹脂を、平均粒子径が150nm以下のウレタンエマルションとし、かつ、前記光輝性顔料割合を2重量%〜10重量%とすることが、ムラ及び滲みが特に抑制され、光輝性及び定着性に特に優れた記録物を得られることから、特に好ましい。
本発明のインクセットは、インクカートリッジとして提供することも可能である。例えば、本発明のインクカートリッジは、処理剤収納部及びインク収納部を有し、前記処理剤収納部に本発明のインクセットを構成する処理剤が収納され、前記インク収納部に本発明のインクセットを構成する光輝性顔料インクが収納されている。本発明のインクカートリッジは、本発明のインクセットを構成する光輝性顔料インク以外の水性インクの収納部を有してもよい。
本発明のインクカートリッジは、別個独立に形成された処理剤カートリッジ及びインクカートリッジが集合したインクカートリッジ集合体であってもよいし、処理剤収納部とインク収納部とを形成するようにその内部が間仕切りされた一体型のインクカートリッジであってもよい。本発明のインクカートリッジの本体としては、例えば、従来公知のものを使用できる。
つぎに、本発明の記録方法及びインクジェット記録装置について説明する。
本発明の記録方法は、記録媒体に処理剤を付与する前処理工程と、前記処理剤が付与された前記記録媒体に光輝性顔料インクをインクジェット方式により吐出して記録する記録工程とを有する記録方法であって、前記処理剤及び前記光輝性顔料インクとして、本発明のインクセットを構成する前記処理剤及び前記光輝性顔料インクを用いることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録装置は、インクセット収容部と、処理剤付与手段と、インク吐出手段とを含むインクジェット記録装置であって、前記インクセット収容部に、本発明のインクセットが収容され、前記インクセットを構成する処理剤が、前記処理剤付与手段によって記録媒体に付与され、前記インクセットを構成する光輝性顔料インクが、前記インク吐出手段によって前記記録媒体に吐出されることを特徴とする。
本発明の記録方法は、例えば、本発明のインクジェット記録装置を用いて実施可能である。前記記録は、印字、印画、印刷等を含む。
図1に、本発明のインクジェット記録装置の一例の構成を示す。図示のとおり、このインクジェット記録装置1は、インクカートリッジ集合体2と、インク吐出手段(インクジェットヘッド)3と、ヘッドユニット4と、キャリッジ5と、駆動ユニット6と、プラテンローラ7と、パージ装置8とを主要な構成要素として含む。
インクカートリッジ集合体2は、処理剤カートリッジ2aと、光輝性顔料インクカートリッジ2bと、4つの水性インクカートリッジ2cとを含む。処理剤カートリッジ2aは、本発明のインクセットを構成する処理剤を含む。光輝性顔料インクカートリッジ2bは、本発明のインクセットを構成する光輝性顔料インクを含む。4つの水性インクカートリッジ2cは、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色の水性インクを、それぞれ1色ずつ含む。前記4色の水性インクのうち少なくとも一つが、本発明のインクセットを構成する光輝性顔料インクであってもよい。この場合には、インクカートリッジ集合体2は、光輝性顔料インクカートリッジ2bを含まず、処理剤カートリッジ2a及び4つの水性インクカートリッジ2cのみで構成されていてもよい。
ヘッドユニット4に設置されたインクジェットヘッド3は、記録媒体(例えば、記録用紙)Pに記録を行う。キャリッジ5には、インクカートリッジ集合体2及びヘッドユニット4が搭載される。駆動ユニット6は、キャリッジ5を直線方向に往復移動させる。駆動ユニット6としては、例えば、従来公知のものを使用できる(例えば、特開2008−246821号公報参照)。プラテンローラ7は、キャリッジ5の往復方向に延び、インクジェットヘッド3と対向して配置されている。
パージ装置8は、インクジェットヘッド3の内部に溜まる気泡等を含んだ不良インクを吸引する。パージ装置8としては、例えば、従来公知のものを使用できる(例えば、特開2008−246821号公報参照)。
パージ装置8のプラテンローラ7側には、パージ装置8に隣接してワイパ部材20が配設されている。ワイパ部材20は、へら状に形成されており、キャリッジ5の移動に伴って、インクジェットヘッド3のノズル形成面を拭うものである。図1において、キャップ18は、処理剤、光輝性顔料インク及び水性インクの乾燥を防止するため、記録が終了するとリセット位置に戻されるインクジェットヘッド3の複数のノズルを覆うものである。
本例のインクジェット記録装置1においては、インクカートリッジ集合体2は、ヘッドユニット4と共に、1つのキャリッジ5に搭載されている。ただし、本発明は、これに限定されない。インクジェット記録装置1において、インクカートリッジ集合体2の各カートリッジは、ヘッドユニット4とは別のキャリッジに搭載されていてもよい。また、インクカートリッジ集合体2の各カートリッジは、キャリッジ5には搭載されず、インクジェット記録装置1内に配置、固定されていてもよい。これらの態様においては、例えば、インクカートリッジ集合体2の各カートリッジと、キャリッジ5に搭載されたヘッドユニット4とが、チューブ等により連結され、インクカートリッジ集合体2の各カートリッジからヘッドユニット4に前記処理剤、前記光輝性顔料インク及び前記水性インクが供給される。
このインクジェット記録装置1を用いた記録は、例えば、つぎのようにして実施される。まず、記録用紙Pが、インクジェット記録装置1の側方又は下方に設けられた給紙カセット(図示せず)から給紙される。記録用紙Pは、インクジェットヘッド3と、プラテンローラ7との間に導入される。導入された記録用紙Pに、インクジェットヘッド3から本発明のインクセットを構成する処理剤が付与(吐出)される。前記処理剤の付与は、記録用紙Pの記録面の全面でもよく、一部でもよい。一部に付与する場合、記録用紙Pの少なくとも光輝性顔料インクによる記録部分が付与部となる。一部に付与する場合、付与部の大きさは、記録部分より大きい方がよい。例えば、図2(a)に示すように、記録用紙Pに対し、文字(X)を記録する場合は、前記文字の線幅よりも大きな線幅で付与部30を形成するように処理剤を付与することが好ましい。また、図2(b)に示すように、記録用紙Pに対し、図柄を記録する場合には、前記図柄よりも大きな付与部40を形成するように処理剤を付与することが好ましい。
つぎに、記録用紙Pの前記処理剤の付与部に、インクジェットヘッド3から吐出される前記光輝性顔料インクにより所定の記録がされる。前記処理剤の吐出から、前記光輝性顔料インクの吐出までの時間は、特に制限されない。例えば、前記光輝性顔料インクの吐出は、前記処理剤の吐出と同一走査内で実施すればよい。本発明のインクセットで記録された記録物は、記録用紙Pとして平滑性の低い普通紙、マット紙等を用いた場合においても、ムラ及び滲みが抑制され、優れた光輝性を有する。ついで、必要に応じて、インクジェットヘッド3から吐出される前記水性インクによる記録がされた後、記録後の記録用紙Pが、インクジェット記録装置1から排紙される。図1においては、記録用紙Pの給紙機構及び排紙機構の図示を省略している。
本例のインクジェット記録装置1では、インクジェットヘッド3が、前記処理剤付与手段を兼ねている。ただし、本発明は、これに限定されない。本発明において、前記処理剤の付与は、スタンプ塗布、刷毛塗り、ローラ塗布等の方式により実施してもよい。
図1に示す装置では、シリアル型インクジェットヘッドを採用するが、本発明は、これに限定されない。前記インクジェット記録装置は、ライン型インクジェットヘッドを採用する装置であってもよい。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例及び比較例により限定及び制限されない。
[実施例1−1〜1−21及び比較例1−1〜1−8]
(処理剤の調製)
処理剤組成(表1)の各成分を、均一に混合して、処理剤1〜23を得た。
(光輝性顔料インクの調製)
光輝性顔料インク組成(表2)における、光輝性顔料を除く成分を、均一に混合しインク溶媒を得た。つぎに、光輝性顔料に前記インク溶媒を加え、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ(孔径3.00μm)でろ過することで、光輝性顔料インク1−1〜1−7を得た。
表3に示すように、前記処理剤及び前記光輝性顔料インクを組み合わせることで、実施例1−1〜1−21及び比較例1−1〜1−8のインクセットを得た。
実施例1−1〜1−21及び比較例1−1〜1−8のインクセットについて、(a)記録部の光沢感評価、(b)記録部の画品質(ムラ及び滲み)評価、(c)記録部の定着性評価及び(d)総合評価を、下記の方法により実施した。なお、(a)記録部の光沢感評価、(b)記録部の画品質(ムラ及び滲み)評価及び(c)記録部の定着性評価に用いるサンプルは、つぎのようにして準備した。
<評価サンプルの作製>
マット紙(ブラザー工業(株)製のBP60MA)上に、バーコータ―((株)安田製機製作所製のバーコータ―のロッドNo.3)を用いて、実施例1−1〜1−21及び比較例1−1〜1−8のインクセットを構成する処理剤を塗布した。ついで、ブラザー工業(株)製のインクジェットプリンタMFC−J4510Nを使用して、実施例1−1〜1−21及び比較例1−1〜1−8のインクセットを構成する光輝性顔料インクを用いて前記マット紙上に解像度600dpi×2400dpiの画像を記録した。
(a)記録部の光沢感評価
前記評価サンプルのベタ部を目視にて観察し、画像の光沢感を、下記評価基準に従って評価した。
記録部の光沢感評価 評価基準
AA:充分な光沢感があった。
A :僅かに光沢感が劣った。
B :多少光沢感が劣るが、実用上問題ないレベルであった。
C :光沢感がなく、実用上問題となるレベルであった。
(b)記録部の画品質(ムラ及び滲み)評価
前記評価サンプルのベタ部を目視にて観察し、画品質(ムラ及び滲み)を、下記評価基準に従って評価した。
記録部の画品質(ムラ及び滲み)評価 評価基準
AA:ムラ及び滲みが見られなかった。
A :僅かにムラ及び滲みが見られた。
B :多少のムラ及び滲みが見られたが、実用上問題ないレベルであった。
C :明らかにムラ及び滲みが見られ、実用上問題となるレベルであった。
(c)記録部の定着性評価
前記評価サンプルのベタ部を記録から30秒経過した後に指で擦り、光輝性顔料インクの擦れ具合を目視により観察し、定着性を、下記評価基準に従って評価した。
記録部の定着性評価 評価基準
AA:記録部の擦れが見られなかった。
A :僅かに記録部の擦れが見られた。
B :多少記録部の擦れがあるが、実用上問題ないレベルであった。
C :明らかに記録部の擦れがあり、実用上問題となるレベルであった。
(d)総合評価
前記(a)〜(c)の結果から、下記評価基準に従って、総合評価を行った。
総合評価 評価基準
G :(a)〜(c)の結果全てが、AA、A又はBであった。
NG:(a)〜(c)の結果のいずれかがCであった。
実施例1−1〜1−21及び比較例1−1〜1−8の評価結果を、表3に示す。
表3に示すとおり、実施例1−1〜1−21では、記録部の光沢感、記録部の画品質(ムラ及び滲み)及び記録部の定着性の全ての評価結果が良好であった。特に、ヒュームドシリカ及びウレタン樹脂を、それぞれ、前記(A1)及び(B1)の条件を満たすように前記処理剤及び前記光輝性顔料インクに配合し、前記ヒュームドシリカの平均粒子径を、150nm以下とし、前記ウレタン樹脂を、平均粒子径が150nm以下のウレタンエマルションとし、かつ、前記光輝性顔料割合を2重量%〜10重量%とした実施例1−3〜1−5及び1−8〜1−10では、記録部の光沢感、記録部の画品質(ムラ及び滲み)及び記録部の定着性の全ての評価結果が極めて良好であった。
一方、処理剤及び光輝性顔料インクのいずれにもウレタン樹脂を配合しなかった比較例1−1では、記録部の定着性評価の結果が悪かった。また、処理剤にヒュームドシリカを配合しなかった比較例1−2では、記録部の画品質(ムラ及び滲み)評価の結果が悪かった。そして、処理剤に、ヒュームドシリカに代えてコロイダルシリカを配合した比較例1−3〜1−5では、記録部の光沢感評価の結果が悪かった。さらに、処理剤に、ウレタン樹脂以外の樹脂を配合した比較例1−6〜1−8では、記録部の光沢感及び記録部の画品質(ムラ及び滲み)の評価結果が悪かった。
[実施例2−1〜2−25及び比較例2−1〜2−19]
(処理剤の調製)
処理剤組成(表4)の各成分を、均一に混合して、処理剤YP1〜YP22、MP1〜MP3、CP1〜CP4、KP1〜KP3、YD1〜YD3、MD1〜MD3、並びにCD1及びCD2を得た。
(光輝性顔料インクの調製)
光輝性顔料インク組成(表5)における、光輝性顔料を除く成分を、均一に混合しインク溶媒を得た。つぎに、光輝性顔料に前記インク溶媒を加え、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ(孔径3.00μm)でろ過することで、光輝性顔料インク2−1〜2−5を得た。
表6に示すように、前記処理剤及び前記光輝性顔料インクを組み合わせることで、実施例2−1〜2−25及び比較例2−1〜2−19のインクセットを得た。
実施例2−1〜2−25及び比較例2−1〜2−19のインクセットについて、(a)記録部の光沢感評価、(b)記録部の画品質(ムラ及び滲み)評価、(c)記録部の定着性評価及び(d)総合評価を、実施例1−1〜1−21及び比較例1−1〜1−8と同様にして実施した。
実施例2−1〜2−25及び比較例2−1〜2−19の評価結果を、表6に示す。
表6に示すとおり、実施例2−1〜2−25では、記録部の光沢感、記録部の画品質(ムラ及び滲み)及び記録部の定着性の全ての評価結果が良好であった。特に、ヒュームドシリカ及びウレタン樹脂を、それぞれ、前記(A1)及び(B1)の条件を満たすように前記処理剤及び前記光輝性顔料インクに配合し、前記ヒュームドシリカの平均粒子径を、150nm以下とし、前記ウレタン樹脂を、平均粒子径が150nm以下のウレタンエマルションとし、かつ、前記光輝性顔料割合を2重量%〜10重量%とした実施例2−2〜2−4及び2−6〜2−17では、記録部の光沢感、記録部の画品質(ムラ及び滲み)及び記録部の定着性の全ての評価結果が極めて良好であった。
一方、処理剤にヒュームドシリカを配合せず、かつ、処理剤及び光輝性顔料インクのいずれにもウレタン樹脂を配合しなかった比較例2−1〜2−7では、記録部の光沢感、記録部の画品質(ムラ及び滲み)及び記録部の定着性の全ての評価結果が悪かった。また、処理剤及び光輝性顔料インクのいずれにもウレタン樹脂を配合しなかった比較例2−8では、記録部の定着性評価の結果が悪かった。そして、処理剤にヒュームドシリカを配合しなかった比較例2−9では、記録部の画品質(ムラ及び滲み)の評価結果が悪かった。さらに、処理剤に、ヒュームドシリカに代えてコロイダルシリカを配合した比較例2−10〜2−12、2−16及び2−19では、記録部の光沢感評価の結果が悪かった。さらに、処理剤に、ウレタン樹脂以外の樹脂を配合した比較例2−13〜2−15、2−17及び2−18では、記録部の光沢感及び記録部の画品質(ムラ及び滲み)の評価結果が悪かった。