JP5699416B2 - ポリフェノール類の重合体を含有したリパーゼ阻害剤 - Google Patents
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Description
また、特許文献3には、茶に含まれるエピガロカテインガレート(EGCG)の2量体がリパーゼ阻害活性を有すると記載されている。
(1)下記一般式(1)で表されるフラバノン誘導体、下記一般式(2)表されるジヒドロカルコン誘導体、または下記一般式(3)で表されるレスベラトロール誘導体、または下記一般式(4)で表されるロスマリン酸誘導体を酸化重合してなる重合体。
(2)ナリンゲニン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、フロレチン、レスベラトロール、ロスマリン酸およびそれらの配糖体から選ばれる少なくとも1種を酸化重合させて得られる重合体。
(3)前記配糖体が、ナリンギン、およびネオヘスペリジンジヒドロカルコンまたはフロリジンである(1)または(2)に記載の重合体。
(4)配糖体の糖が、ペントース、ヘキソースおよびそれら誘導体から選ばれる単糖または二糖以上の多糖である(2)または(3)に記載の重合体。
(5)かんきつ類(ミカン属植物、キンカン属植物)およびローズマリーからなる群より選ばれる少なくとも1種から抽出した抽出物を酸化重合させて得られる重合体。
(6)数平均分子量が500〜50000である(1)〜(5)のいずれかに記載の重合体。
(7)前記酸化重合が、前記酸化重合が、オキシダーゼまたはペルオキシダーゼを用いて行われる(1)〜(6)のいずれかに記載の重合体。
具体例を挙げると、本発明のリパーゼ阻害剤は、ナリンゲニン、ヘスペレチン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、フロレチン、レスベラトロール、ロスマリン酸およびそれらの配糖体から選ばれる少なくとも1種を酸化重合させて得られる重合体を含有するのがよい。また、たとえばナリンギンを多く含むかんきつ類(シトラス属植物、キンカン属植物)の抽出物やロスマリン酸を多く含むローズマリー抽出物といった、本発明の対象となる物質を多く含む天然物を酸化重合させた重合体を含有させたものもよい。
このようなリパーゼ阻害剤は、飲食料、動物飼料、医薬組成物または化粧料に含有して使用される。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、特にメトキシ基、エトキシ基であるのがよい。
アルカノイル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘキサノイル基などの炭素数2〜6のアルカノイル基が挙げられ、特にアセチル基であるのがよい。
アルカノイルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基などの炭素数2〜6のアルカノイルオキシ基が挙げられ、特にアセトキシ基であるのがよい。
ペントースとしては、特に限定されないが、キシロース(xylose)、リキソース(lyxose)、アラビノース(arabinose)、フルクトース(fructose)、アピオース(apiose)などが例示される。また、ヘキソースとしては、特に限定されないが、グルコース(glucose)、マンノース(mannose)、ラムノース(rhamnose)、ガラクトース(galactose)、ソルビトール(sorbitol)、myo-イノシトール(myo-inositol)、フコース(fucose)、ハマメロース(hamamelose)、グルクロン酸(glucuronic acid)、ガラクツロン酸(galacturonic acid)などが例示される。
前記誘導体としては、水酸基がメトキシ基、アセチル基、カルボキシル基等で置換された糖誘導体が例示される。
上記ナリンギン、フロリジン、ヘスペリジンジヒドロカルコン、NHDCの化学構造は以下の通りである。
・ナリンギン:式(1)において、R1=R3=H、R2=β‐neohesperidose
・フロリジン:式(2)において、R4=R5=R6=R7=H、R8=β‐glucose
・ヘスペレチンジヒドロカルコン:式(2)において、R4が5位に結合、R4=OH、R5=CH3、R6=R7=R8=H
・NHDC:式(2)において、R4が5位に結合、R4=OH、R5=CH3、R6=R8=H、R7=β-neohesperidose
(NHDCは、ヘスペレチンジヒドロカルコンとR8以外は同じである。)
酸化剤である過酸化物や酸素は、原料モノマーの合計量に対して0.3〜10倍モルが好ましく、より好ましくは0.5〜3倍モルが特に好ましい。
上記重合反応によって得られる酸化重合体の数平均分子量は通常500〜20,000の範囲である。
ヘスペリジン:式(1′)において、R1=CH3、R2=R3=H、R16=OH
1.数平均分子量(Mn)の測定
東ソー社製のゲルろ過クロマトグラフィを用いて重合体の数平均分子量(Mn)を測定した。測定条件は以下の通りである。
溶離液:0.1mol/LのLiClを含むジメチルホルムアミド(DMF)溶液
流速:1.0ml/min
カラム温度:60℃
基準物質:ポリエチレンスタンダード
供試試料は全てアセチル化物をDMFに溶解し、メンブレンフィルターにてろ過したのち測定に供した。
原料(ポリフェノールまたは抽出物)またはその重合体である試料0.1gを25℃の水5mlに加えて、1分間攪拌した。その結果、よく溶解したものを◎、溶解したものを○、少し溶解したものを△、溶解しないものを×として評価した。
パネラー3名がそれぞれ試料3mgを口に入れて風味を評価した。甘味、塩味、苦味、酸味、辛味、旨味の各要素に対して官能強度を点数化した。また、風味上の特徴を記述してもらい、原料と重合化物とで比較した。
キサンチン/キサンチンオキシダーゼ系を用いてスーパーオキシドアニオンを発生させ、化学発光法で検出することによりSOD様活性を評価した。0.05mMEDTAを含む100mMリン酸緩衝液(pH7)を用いて0.15U/mlキサンチンオキシダーゼ(from Butter milk,0.23 U/mg)溶液を調製した。またキサンチン 7.5mgを1N NaOH 600μlに溶解させた後、蒸留水7.5mlを加え、さらにリン酸緩衝液16.9mlを加えて希釈し、2mMとした。試料は30%のDMSOを含む蒸留水で各濃度に調製した。MPEC(2-methyl-p-methoxyphenylethynylimidazopyrazinone) 2.8mgはメタノール10mlに溶解させ、使用時に蒸留水で3倍に希釈した。
発光測定装置(コロナ電気株式会社製)にキサンチン溶液を導入した。96wellプレートに試料溶液10μlとリン酸緩衝液170μl、XO溶液60μl、MPEC溶液10μl を混合し、キサンチン溶液50μl 分注後の発光量を30秒間測定した。SOD様活性はEC50(対象〔30% DMSO〕に対して活性酸素を50%消去するのに必要な試料量)として測定した。
リパーゼ活性の測定は、基質に蛍光性の4−メチルウンベリフェロンのオレイン酸エステル(4−UMO)を使用し、反応によって生成した4−メチルウンベリフェロンの蛍光を測定することにより実施した。測定にあたり、緩衝液は、150 mM NaCl、1.36 mM CaCl2を含む 13 mM Tris−HCl (pH 8.0) を用いた。基質である4−UMO(Sigma社製)は0.1MのDMSO溶液として調製したものを上記緩衝液で1000倍希釈したものを、また、リパーゼはブタ膵リパーゼ(Sigma社製)を、同様に上記緩衝液を用い400U/ml溶液として調製したものを酵素測定に供した。
被験試料の阻害活性は、IC50〔対照(30% DMSO)の活性に対して50%阻害を与える試料量〕として求めた。
30ml容器にナリンジン200mgを取り、10mlのメタノールと10mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に20 μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、94.4mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は800、分子量分布は1.0であった。
30mlの容器にナリンジン200mgを取り、10mlのメタノールと10mlのリン酸緩衝液(pH=7)を加えて溶液を調製した。この溶液に1mlのリン酸緩衝液に溶かしたHRP(西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼ)(4mg、400unit)溶液を加えた。その後、過酸化水素水(30%、25 μl)を2分おきに4回加え、室温で撹拌した。3時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、143.7mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は2400、分子量分布は1.4であった。
30mlの容器にαG―ヘスペリジン(東洋精糖(株)製)200mgを取り、20mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に20μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、161.7mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は8300、分子量分布は1.3であった。
30mlの容器にαG―ヘスペリジン200mgを取り、20mlのリン酸緩衝液(pH=7)を加えて溶液を調製した。この溶液に1mlのリン酸緩衝液に溶かしたHRP(西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼ)(4mg、400unit)溶液を加えた。その後、過酸化水素水(30%、25μl)を2分おきに4回加え、室温で撹拌した。3時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、168.2mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は10500、分子量分布は1.5であった。
30mlの容器にNHDC 200mgを取り、20mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて懸濁溶液を調製した。この溶液に20μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、178.9mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は9500、分子量分布は1.9であった。
50mlの容器にNHDC100mgを取り、40mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて懸濁溶液を調製した。この溶液に10 μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、93.1 mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は9000、分子量分布は1.8であった。
30mlの容器にNHDC 500mgを取り、20mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて懸濁溶液を調製した。この溶液に50μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。48時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、465.0mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は9700、分子量分布は2.0であった。
30mlの容器にNHDC200mgを取り、20mlのリン酸緩衝液(pH=7)を加えて溶液を調製した。この溶液に1mlのリン酸緩衝液に溶かしたHRP(西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼ)(4mg、400unit)溶液を加えた。その後、過酸化水素水(30%、25μl)を2分おきに4回加え、室温で撹拌した。3時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、199.9mgの重合体を得た。
30mlの容器にフロリジン100mgを取り、5 mlのエタノールと5mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に10μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、17.8 mgの重合体を得た。
30mlの容器にフロリジン100mgを取り、5mlのエタノールと5mlのリン酸緩衝液(pH=7)を加えて溶液を調製した。この溶液に0.5mlのリン酸緩衝液に溶かしたHRP(西洋ワサビ由来)(2mg、200unit)溶液を加えた。その後、過酸化水素水(30%、25μl)を2分おきに2回加え、室温で撹拌した。3時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、76.4mgの重合体を得た。
30mlの容器にレスベラトロール200mgを取り、10mlのメタノールと10mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に20μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、124.9mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は3800、分子量分布は1.4であった。
30mlの容器にレスベラトロール200mgを取り、10mlのメタノールと10mlのリン酸緩衝液(pH=7)を加えて溶液を調製した。この溶液に1mlのリン酸緩衝液に溶かしたHRP(西洋ワサビ由来)(4mg、400unit)溶液を加えた。その後、過酸化水素水(30%、25μl)を2分おきに4回加え、室温で撹拌した。3時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、202.8mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は2300、分子量分布は1.5であった。
30mlの容器にロスマリン酸200mgを取り、5mlのエタノールと15mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に20μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、184.4mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は850、分子量分布は5.2であった。
すだち(搾汁後の果皮)、キンカン(果実)は、それぞれ原料500gを4.5kgの30%EtOHで2時間還流を行った。ローズマリー(葉)は原料200gを4kgの30%EtOHで2時間還流を行った。それぞれ室温冷却後、ろ過し、ろ液を一晩冷蔵放置した。ついで、ろ液をさらにろ過し、得られたろ液を減圧濃縮し、さらに凍結乾燥して抽出物を得た。
なお、ユズ抽出物は、ナリンギン含量を90%に高めた東洋精糖(株)製の市販品(商品名:ゆずポリフェノール)を用いた。
50lの容器にユズ抽出物(東洋精糖(株)製、柚子抽出物を精製しナリンギン含量を高めたゆずポリフェノール)を300g取り、30lのイオン交換水を加えて溶液を調製した。この溶液に30gのラッカーゼを加え、エアポンプを用いるエアレーション下、30℃にて撹拌した。24時間後、反応混合物の一部を採取し、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥した。反応液50mlから0.522mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は6700、分子量分布は1.4であった。
30mlの容器にユズ抽出物200mgを取り、20mlのリン酸緩衝液(pH=7)を加えて溶液を調製した。この溶液に1mlのリン酸緩衝液(pH=7)に溶かしたHRP(西洋ワサビ由来)(4mg、400unit)溶液を加えた。その後、過酸化水素水(30%、25μl)を2分おきに4回加え、室温で撹拌した。3時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、203.2mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は2900、分子量分布は1.3であった。
30mlの容器にスダチ抽出物200mgを取り、20mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に20μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、86.8mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は2200、分子量分布は29であった。
30mlの容器にキンカン抽出物200mgを取り、20mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に20 μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、18.8mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は330、分子量分布は1.1であった。
30mlの容器にローズマリー抽出物200mgを取り、1mlのエタノールと19mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に20 μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、183.8mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は1200、分子量分布は6.5であった。
以上、本発明で見出された各重合体は、安価かつ簡便に作ることができ、水溶性呈味性等が改善されているのでさまざまな食品等に応用することができるので、抗酸化剤、リパーゼ阻害剤として幅広く利用することができる。
下記表5に示す高脂肪食飼料を作成し、ラットを用いて長期飼育試験を行い、脂肪摂取に起因する肥満、酸化ストレスに対する各重合物の作用について検討した。
<飼育試験>
近交系F344ラット(雄)を1週間予備飼育後、体重に基づいて高脂肪食(HF群)、高脂肪食+0.1%重合ナリンジン(N群)、高脂肪食+0.1%重合αGヘスペリジン(H群)および高脂肪食+0.1%重合NHDC(NH群)の4群分けした(n=6〜7)。HF群をコントロール群とした。
飼育期間は6週間とし、それぞれの飼料を。飼育期間中、体重測定と残飼重量測定を行った。飼育終了後エーテル麻酔下血液および各臓器を採取し、各組織の重量を測定した。さらに、ヘパリン処理した注射器を用いて解剖時に下大静脈から採取した血液を遠心分離し、上清(血漿)を得た。この上清を用いて以下の検査を行った。
(a)血液検査
和光純薬工業製測定キットを用いて血糖値(グルコースCIIテストワコー)、トリグリセリド値(トリグリセライドテストワコー)、クレアチンホスホキナーゼ活性(CPKII−テストワコー)を測定した。
TBARS値はOXI tek TBARS Assay kit(ZeptoMetrix corporation,Buffalo社NY)を用いて測定した。
これらのうち、トリグリセリド値は脂肪の指標であり、クレアチンホスホキナーゼ活性ならびにTBARS値は酸化ストレスの指標である。
(b)肝臓トリグリセリド値の測定
凍結肝臓を用いてFolch法に従って脂質の抽出を行い、LタイプワコーTG・G(和光純薬工業製)を用いて測定した。それぞれの測定結果を表6に示す。
表6に示す体重は解剖時に測定したものである。NH群は他群に比べて体重の増加が大きいが、有意差は認められなかった。肝臓重量は、コントロールであるHF群に比べ、N群とH群は有意に低い値を示した。精巣周辺脂肪重量は、N群がHF群よりも有意に低い値を示した。その他の群に差は認められなかった。血糖値は各群間で有意差は認められなかった。血漿トリグリセリド値に関しては、重合物を与えた群はいずれもHF群に比べ有意な低値を示した。肝臓トリグリセリド値は、N群、H群がHF群よりも有意に低い値を示した。血漿TBARS値は、重合化物を与えた群がいずれもHF群に比べて有意に低い値を示した。血漿クレアチンホスホキナーゼ活性には有意差は認められなかったものの、重合物を与えた群はいずれもHF群に比べ低い値を示した。
以上のように、本発明にかかる重合物を与えた群はコントロールであるHF群に比べて血漿トリグリセリド値が低く、精巣周辺脂肪重量も低い結果を得た。重合物を摂取すると高脂肪食に起因する血中脂肪量および内臓脂肪の増加が抑制されることがわかる。また、心筋、骨格筋等の炎症はフリーラジカルによって惹起するといわれており、それらの炎症マーカーである血漿クレアチンホスホキナーゼ活性、過酸化脂質の指標である血漿TBARS値も低いことから、重合物を摂取すると酸化ストレスが軽減されることがわかる。
Claims (2)
- ナリンジン、αGヘスペリジン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコンおよびフロリジンから選ばれる少なくとも1種を、ラッカーゼ又はペルオキシダーゼを用いて酸化重合してなる数平均分子量500−20000の重合体を含有するリパーゼ阻害剤。
- 飲食料、動物飼料、化粧料または医薬組成物の形態で使用される請求項1に記載のリパーゼ阻害剤。
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