JP5699416B2 - ポリフェノール類の重合体を含有したリパーゼ阻害剤 - Google Patents

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Description

本発明は、抗酸化作用およびリパーゼ阻害作用を有するポリフェノール類の重合体、並びにこれを含有した抗酸化剤およびリパーゼ阻害剤に関する。
糖尿病などに代表される生活習慣病は、遺伝因子と環境因子の相乗作用により発症する。生活習慣病は動脈硬化症等の深刻な疾患に進行することが多く、わが国における保険医療費は増加の一途を辿っている。このような状況下、生活習慣病の前症状であるメタボリックシンドローム段階での予防が注目されているが、わが国におけるメタボリックシンドロームは未病扱いとなっているため、保険が適用できない。そのため、薬剤を用いない方法で、メタボリックシンドロームの予防を目指す必要がある。
メタボリックシンドロームの増悪化は、食後の血糖値や中性脂肪の上昇にともなう酸化的ストレスの亢進によって促進されることが知られている。従って、食後の酸化的ストレスの抑制(以下、「食後抗酸化」という)作用を有する食品素材の開発が望まれている。
一方、ポリフェノールは、体内に摂取、蓄積された悪玉のLDLコレステロールの酸化を阻害し、高血圧、動脈硬化および動脈硬化を原因とした脳血管障害、心臓病などを予防する効果があることから、広く機能性食品の素材として用いられている。緑茶カテキンに代表される天然ポリフェノールの大部分は単量体であるが、紅茶やぶどう等には生理活性に優れた多量体(オリゴマー)が微量含まれており、その機能は単量体より一般に優れており、機能性食品素材としての開発が望まれているが、含有量が極めて低くかつ化学構造も多岐にわたり複雑であるために抽出等による多量体製造法では品質を一定に保つことが困難である。このような理由から天然ポリフェノールの多量体は非常に高額となっており、市場に浸透しているとは言いがたく、メタボリックシンドローム予防の手段としては定着していないのが実情である。
このような問題を解決すべく、特許文献1には、ポリフェノールとアルデヒドの重縮合、または酸化重合することにより合成されるポリフェノール重合物を含有する抗酸化剤が記載されている。ポリフェノールの具体例としては、カテキンおよびルチンが挙げられており、これらの重合体が一定の抗酸化作用を有することが特許文献1に示されている。
また、メタボリックシンドロームの予防として重要なのが肥満対策である。肥満の主たる要因は脂肪の過剰摂取である。また、脂肪の過剰摂取は、肥満のみならず、肥満に起因する糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化等を発症させることが知られている。
肥満を予防するためには、食事制限により摂取カロリーを減らすことが有効な手段ではあるものの、日常生活においての実行は困難である場合が多い。そこで、食事由来の脂肪が体内に吸収されることを安全かつ健康的に抑制することは、肥満及びそれに関連する疾患の治療あるいは健康増進の目的で、現実的で有用な方策であると考えられる。
そのため、植物由来のリパーゼ阻害活性物質、特にリパーゼ阻害活性を有するポリフェノール類が注目されている。特許文献2には、茶に含まれる種々のポリフェノールのリパーゼ阻害活性を評価した結果、プロアントシアニジン類、特にガレート基を有するプロアントシアニジン類が強いリパーゼ阻害活性を有すると記載されている。
また、特許文献3には、茶に含まれるエピガロカテインガレート(EGCG)の2量体がリパーゼ阻害活性を有すると記載されている。
特開2003−138258号公報 特開2006−1909号公報 特開2006−16367号公報
本発明は、高い抗酸化活性およびリパーゼ阻害活性を有するポリフェノール重合体、並びにこれを含有する抗酸化剤およびリパーゼ阻害剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の重合体は、下記の構成を有する。
(1)下記一般式(1)で表されるフラバノン誘導体、下記一般式(2)表されるジヒドロカルコン誘導体、または下記一般式(3)で表されるレスベラトロール誘導体、または下記一般式(4)で表されるロスマリン酸誘導体を酸化重合してなる重合体。
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(各式中、R1〜R3は同一または異なる基であって、水素原子、アルキル基、アルカノイル基またはグリコシド結合した糖部分を示し,R4は水素原子、水酸基、アルコキシ基、アルカノイルオキシ基またはグリコシド結合した糖部分を示し、R5〜R15は同一または異なる基であって、水素原子、アルキル基、アルカノイル基またはグリコシド結合した糖部分を示す。)
(2)ナリンゲニン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、フロレチン、レスベラトロール、ロスマリン酸およびそれらの配糖体から選ばれる少なくとも1種を酸化重合させて得られる重合体。
(3)前記配糖体が、ナリンギン、およびネオヘスペリジンジヒドロカルコンまたはフロリジンである(1)または(2)に記載の重合体。
(4)配糖体の糖が、ペントース、ヘキソースおよびそれら誘導体から選ばれる単糖または二糖以上の多糖である(2)または(3)に記載の重合体。
(5)かんきつ類(ミカン属植物、キンカン属植物)およびローズマリーからなる群より選ばれる少なくとも1種から抽出した抽出物を酸化重合させて得られる重合体。
(6)数平均分子量が500〜50000である(1)〜(5)のいずれかに記載の重合体。
(7)前記酸化重合が、前記酸化重合が、オキシダーゼまたはペルオキシダーゼを用いて行われる(1)〜(6)のいずれかに記載の重合体。
本発明の抗酸化剤は、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の重合体を含有する。具体例を挙げると、本発明の抗酸化剤は、ナリンゲニン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、フロレチン、レスベラトロール、ロスマリン酸およびそれらの配糖体を酸化重合させた重合体を含有するのがよい。また、たとえばナリンギンを多く含むかんきつ類(ミカン属植物、キンカン属植物)の抽出物やロスマリン酸を多く含むローズマリー抽出物といった、本発明の対象となる物質を多く含む天然物を酸化重合させた重合体を含有させたものもよい。
上記(1)〜(7)のいずれかに記載の重合体は、例えば飲食料、動物飼料、化粧料、医薬組成物などに含有して使用される。
本発明のリパーゼ阻害剤は、下記一般式(1′)で表されるフラバノン誘導体、下記一般式(2)で表されるジヒドロカルコン誘導体、下記一般式(3)で表されるレスベラトロール誘導体、または下記一般式(4)で表されるロスマリン酸誘導体を酸化重合してなる重合体を含有するリパーゼ阻害剤。
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(各式中、R1〜R3は同一または異なる基であって、水素原子、アルキル基、アルカノイル基またはグリコシド結合した糖部分を示し,R4は水素原子、水酸基、アルコキシ基、アルカノイルオキシ基またはグリコシド結合した糖部分を示し、R5〜R15は同一または異なる基であって、水素原子、アルキル基、アルカノイル基またはグリコシド結合した糖部分を示し、R16は水素原子、水酸基、アルカノイルオキシ基またはグリコシド結合した糖部分を示す。)
具体例を挙げると、本発明のリパーゼ阻害剤は、ナリンゲニン、ヘスペレチン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、フロレチン、レスベラトロール、ロスマリン酸およびそれらの配糖体から選ばれる少なくとも1種を酸化重合させて得られる重合体を含有するのがよい。また、たとえばナリンギンを多く含むかんきつ類(シトラス属植物、キンカン属植物)の抽出物やロスマリン酸を多く含むローズマリー抽出物といった、本発明の対象となる物質を多く含む天然物を酸化重合させた重合体を含有させたものもよい。
このようなリパーゼ阻害剤は、飲食料、動物飼料、医薬組成物または化粧料に含有して使用される。
本発明に係るポリフェノール類の重合体は、高い抗酸化活性およびリパーゼ阻害活性を有するので、抗酸化剤および/またはリパーゼ阻害剤として、これを飲食料、動物飼料、医薬組成物などに含有させることにより、メタボリックシンドローム予防の手段として、特に肥満対策として有用であり、糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化および動脈硬化を原因とした脳血管障害、心臓病などを予防する効果がある。また、本発明の重合体は、高い抗酸化活性およびリパーゼ阻害活性を有するため、化粧料としても有用である。
本発明に係るポリフェノール類の重合体は、前記一般式(1)または(1′)で表されるフラバノン誘導体または前記一般式(2)表されるジヒドロカルコン誘導体、または下記一般式(3)で表されるレスベラトロール誘導体、または下記一般式(4)で表されるロスマリン酸誘導体を酸化重合して得られるものである。
前記式中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、特にメチル基、エチル基であるのがよい。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、特にメトキシ基、エトキシ基であるのがよい。
アルカノイル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘキサノイル基などの炭素数2〜6のアルカノイル基が挙げられ、特にアセチル基であるのがよい。
アルカノイルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基などの炭素数2〜6のアルカノイルオキシ基が挙げられ、特にアセトキシ基であるのがよい。
また、各式中、グリコシド結合によって配糖体を形成する糖は、ペントース、ヘキソースおよびそれら誘導体から選ばれる単糖または二糖以上の多糖から構成される。
ペントースとしては、特に限定されないが、キシロース(xylose)、リキソース(lyxose)、アラビノース(arabinose)、フルクトース(fructose)、アピオース(apiose)などが例示される。また、ヘキソースとしては、特に限定されないが、グルコース(glucose)、マンノース(mannose)、ラムノース(rhamnose)、ガラクトース(galactose)、ソルビトール(sorbitol)、myo-イノシトール(myo-inositol)、フコース(fucose)、ハマメロース(hamamelose)、グルクロン酸(glucuronic acid)、ガラクツロン酸(galacturonic acid)などが例示される。
これらの単糖が二つ以上結合した多糖としては、例えばマルトース(maltose)、スクロース(sucrose)、トレハロース(trehalose)、ネオヘスペリドース(neohesperidose)、ルチノース(rutinose)、セロビオース(cellobiose)、ソフォロース(sophorose)、ゲンチノビオース(gentiobiose)、ラフィノース(raffinose)、スタキオース(stachyose)、その他のオリゴ糖や多糖が挙げられる。
前記誘導体としては、水酸基がメトキシ基、アセチル基、カルボキシル基等で置換された糖誘導体が例示される。
前記一般式(1)で表されるフラバノン誘導体、一般式(2)表されるジヒドロカルコン誘導体、下記一般式(3)で表されるレスベラトロール誘導体、または下記一般式(4)で表されるロスマリン酸誘導体を酸化重合してなる本発明に係る重合体としては、例えばナリンゲニンnaringenin(別名:5,7,4'-trihydroxyflavanone)、ヘスペレチンジヒドロカルコンhesperetin dihydrochalcone(別名:3,2',4',6'-tetrahydroxy-4-methoxydihydrochalcone)、フロレチンphloretin(別名:3-(4-Hydroxyphenyl)-1-(2,4,6-Trihydroxyphenyl)-1-Propanone)、レスベラトロールresveratrol(別名:trans-1,2-(3,4',5-trihydroxydiphenyl) ethylene)、ロスマリン酸rosmarinic acid(別名:3,4-dihydroxycinnamic acid (R)-1-carboxy-2-(3,4-dihydroxyphenyl) ethyl ester)およびそれらの配糖体から選ばれる少なくとも1種を酸化重合させて得られる重合体が挙げられる。ナリンゲニンの配糖体としてはナリンギンnaringin (別名:naringenin-7-O-β-neohesperidoside)が、ヘスペレチンジヒドロカルコンの配糖体としてはネオヘスペリジンジヒドロカルコンneohesperidin dihydrochalcone(以下、NHDCということがある)が、フロレチンの配糖体としてはフロリジンphlorizin(別名:1-[2-(β-D-glucopyranosyloxy)-4,6-dihydroxyphenyl]-3-(4-hydroxyphenyl)propan-1-one)がそれぞれ例示されるが、これに限定されない。NHDCは、ヘスペレチンジヒドロカルコンの4’位にneohesperidose(2-O-α-L-rhamnosyl-D-Glucose)がグリコシド結合したものである。
上記ナリンギン、フロリジン、ヘスペリジンジヒドロカルコン、NHDCの化学構造は以下の通りである。
・ナリンギン:式(1)において、R1=R3=H、R2=β‐neohesperidose
・フロリジン:式(2)において、R4=R5=R6=R7=H、R8=β‐glucose
・ヘスペレチンジヒドロカルコン:式(2)において、R4が5位に結合、R4=OH、R5=CH3、R6=R7=R8=H
・NHDC:式(2)において、R4が5位に結合、R4=OH、R5=CH3、R6=R8=H、R7=β-neohesperidose
(NHDCは、ヘスペレチンジヒドロカルコンとR8以外は同じである。)
前記ナリンギンは、主にユズ(Citrus junos)、スダチ(C. sudachi)、ダイダイ (C. aurantium var. daidai)、ウンシュウミカン (C. unshu)、キンカン(Fortunella spp.) 等かんきつ類(シトラス属植物、キンカン属植物)の果皮等に含まれている。NHDCは、ナリンギン、ネオヘスぺリジン等を原料に、化学的に誘導して得られる化合物であり、甘味料や香料原料として用いられる。フロリジンは、リンゴ、ナシの果皮等に含まれている。レスベラトロールは赤ワイン、ブドウ果皮、ピーナッツの果実および果皮に含まれている。ロスマリン酸はローズマリーのほか、シソ、ウツボグサ等シソ科植物に含まれている。
また、前記一般式(1′)で表されるフラバノン誘導体は、一般式(1)で表されるフラバノン誘導体の他に、後述するヘスペレチンおよびその配糖体などを含むものである。
ナリンギン、NHDC等の前記一般式(1)または(1′)で表されるフラバノン誘導体および前記一般式(2)表されるジヒドロカルコン誘導体は、溶媒中所定温度で酸化酵素触媒とともに混合することにより、容易に酸化重合されうる(L. Mejias, M. H. Reihmann, S. Sepulveda−Boza, H. Ritter, Macromol. Biosci. 2002, 2, 24、およびM. Kurisawa, J. E. Chung, Y. J. Kim, H. Uyama, S. Kobayashi, Biomacromolecules 2003, 4, 469を参照)。
当該酸化重合で使用される触媒としては、フェノール類の酸化を起こすのに十分な酸化能を有するものであれば特に制限はないが、オキシダーゼまたはペルオキシダーゼ(EC 1.11.1.7)を使用するのが好ましい。オキシダーゼとしては、例えばラッカーゼ(EC 1.10.3.2)、カテコールオキシダーゼ(EC 1.10.3.1)、チロシナーゼ(EC 1.14.18.1)、ビリルビンオキシダーゼ(EC 1.3.3.5)などが挙げられる。これらの酵素は種々の起源のものが使用でき、特に制限はなく、例えば植物由来、細菌由来、坦子菌類由来のものを使用することができる。これらの中で、ラッカーゼは酸化能が高く、しかも酸化剤として空気中の酸素(分子状酸素)が利用できるために、特に好適である。ラッカーゼの例としては、漆の木から得られるラッカーゼ、またはPyricularia属、Pleurotus属、Pycnoporus属、Polystictus属、Mycelopthora属もしくはNeurospora属の微生物ラッカーゼを挙げることができる。特にPycnoporus属、Mycelopthora属のラッカーゼを好ましく使用できる。
また、ペルオキシダーゼは酸化剤が必要であるが、酸化能が非常に高いという特質がある。ペルオキシダーゼの例としては、西洋ワサビおよび大豆ペルオキシダーゼが挙げられ、これらは酸化能が高く、しかも量産されて安価であるため、本発明では好ましく使用することができる。
使用する触媒は、精製・未精製を問わない。触媒量は原料モノマー1gに対して通常1〜1,000,000ユニット、好ましくは3〜500,000ユニット、さらに好ましくは5〜200,000ユニットである。
ペルオキシダーゼを用いて重合させる際に用いる前記酸化剤としては、酸化反応を開始させる酸化剤であればよく、一般的には過酸化物が用いられる。過酸化物は有機過酸化物および無機過酸化物のいずれでも良い。この中で特に好ましいものとして、過酸化水素を挙げることができる。過酸化水素の濃度は、特に限定されない。
酸化剤である過酸化物や酸素は、原料モノマーの合計量に対して0.3〜10倍モルが好ましく、より好ましくは0.5〜3倍モルが特に好ましい。
酸化重合で使用される溶媒としては、モノマーと触媒が共に溶解するものが好ましく、水または有機溶媒と水の混合溶媒が挙げられる。水は蒸留水や脱イオン水でもよいが、水の代わりに緩衝液を用いてもよい。緩衝液を用いる場合はpH2〜12の範囲が望ましい。緩衝液の種類としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
混合溶媒を用いる場合の有機溶媒は水と相溶する溶媒がより好ましい。水と相溶する有機溶媒として、メタノール、エタノール、エチレングリコール、2,2,2−トリフルオロエタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ピリジン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらは単独あるいは混合物として使用される。また、有機溶媒−水の混合比はモノマーと酵素触媒が共に溶解する任意の量を用いることができる。好ましくは1:99〜90:10、特に好ましくは1:99〜70:30の範囲が望ましい。
反応温度は、酵素触媒が不活性化しない温度が望ましい。好ましくは0〜100℃の範囲であり、より好ましくは10〜60℃の範囲である。反応温度が高い場合は、一般に酵素は失活するが、混合溶媒系によっては酵素を安定化するので、その場合は高い反応温度も採用可能となる。
上記重合反応によって得られる酸化重合体の数平均分子量は通常500〜20,000の範囲である。
次に本発明にかかるリパーゼ阻害剤を説明する。このリパーゼ阻害剤は、例えばナリンゲニン、ヘスペレチン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、レスベラトロール、ロスマリン酸およびそれらの配糖体から選ばれる少なくとも1種を酸化重合させて得られる重合体を含有する。
このうち、ヘスペレチンhesperetin(別名:5,7,3'-trihydroxy-4'-methoxyflavanone)の配糖体としては、下記に示すヘスペリジンhesperidin (別名:hesperetin-7-O-β-rutinoside)が例示でき、このものはナリンジンと同様ユズ(Citrus junos)、スダチ(C. sudachi)、ダイダイ (C. aurantium var. daidai)、ウンシュウミカン (C. unshu)、キンカン(Fortunella spp.) 等かんきつ類(シトラス属植物、キンカン属植物)の果皮等に含まれる。フロリジンを含むリンゴ、ナシの果皮等、またははレスベラトロールを含む赤ワイン、ブドウ果皮、ピーナッツの果実および果皮、またはロスマリン酸を含むシソ、ウツボグサ等シソ科植物、ローズマリー等、これら天然物の粗抽出物をそのまま、あるいは部分精製したものを原料に酸化重合させてもよい。また、さらに糖を付加して水溶性を高めた「αGヘスペリジン」(東洋精糖(株)製)等も好適に使用可能である。
ヘスペリジン:式(1′)において、R1=CH3、R2=R3=H、R16=OH
ヘスペレチンまたはその配糖体の重合体は、共に前記したナリンゲニン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、レスベラトロール、ロスマリン酸およびそれらの配糖体と同様にして酸化重合して得ることができ、同様の数平均分子量を有する。このヘスペレチンまたはその配糖体の重合体は、高いリパーゼ阻害活性と共に、抗酸化活性にも優れている。
ナリンゲニン、ヘスペレチン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、レスベラトロール、ロスマリン酸およびそれらの配糖体を代表例とする本発明に係る重合体は、あらゆる飲食料に添加することができる。本発明に係る食品の具体例としては、ジュース等の清涼飲料、コーヒー、紅茶、リキュール、牛乳、乳清飲料、乳酸菌飲料、キャンデー、チューインガム、チョコレート、ビスケット、飴、グミ、ヨーグルト、アイスクリーム、プディング等が挙げられる。重合体の食品への含有量は、0.5〜100mg/gの範囲が適当であるが、この範囲よりも多量に配合しても安全性や効果に問題はない。
本発明に係る前記重合体は、動物飼料にも含有させることができる。動物飼料の具体例としては、家畜用飼料、キャットフード、ドッグフード等のペットフード等が挙げられる。前記重合体の動物飼料への配合量は0.5〜100mg/gの範囲が適当であるが、この範囲よりも多量に配合しても安全性や効果に問題はない。
本発明に係る前記重合体は医薬品の形態で使用することもできる。医薬品として使用する際には、治療及び予防に有効な量の前記重合体が製薬学的に許容できる担体または希釈剤とともに製剤化されるとよい。製剤中の有効成分の量も限定されるものではないし、本発明の効果を損なわない範囲内で他の薬剤と併用することも可能である。
また、当該医薬品は経口または非経口のいずれでも投与できる。非経口投与として静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、関節膣などの投与経路が挙げられる。投与量は年齢、個人差、病状等に依るので特に限定されないが、0.1〜500mg/kg(体重)、好ましくは1〜100mg/kg(体重)で、通常、一日量を1回又は数回に分けて投与する
本発明に係る前記重合体は、その抗酸化機能に基づき、例えば抗老化用の外用薬または化粧料として用いるのに好適である。また、本発明に係る前記重合体は、そのリパーゼ阻害機能に基づき、例えば微生物性のリパーゼを阻害してニキビ,皮膚炎,フケなどを抑制または予防する外用薬または化粧料として用いるのに好適である。すなわち、皮脂腺の肥大増殖や毛嚢孔の角化亢進等が原因となって皮脂が溜まると、毛嚢の毛漏斗に存在する皮膚常在菌のニキビ桿菌や皮膚ブドウ状球菌が増加し、これらの菌のリパーゼが皮脂を構成している皮質成分の内のトリグリセリドを分解して遊離脂肪酸に変え、この遊離脂肪酸が上皮に作用し、各種の酵素を産生して、ニキビ,皮膚炎,フケ等の要因になり得る。本発明のリパーゼ阻害用外用薬または化粧料は、局所適用等で微生物性リパーゼに対する阻害効果を有効に発揮し得る。
本発明に係る前記重合体を外用薬または化粧料として用いる場合、当該重合体に加えて、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常の外用薬や化粧品に用いられる他の成分、例えば油性成分、界面活性剤、アルコール類、水、保湿剤、美白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
また、外用薬や化粧料の形態は特に限定されるものではなく、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系、軟膏、ゲル等の任意の形態が適用される。具体的には、例えば化粧水、乳液、クリーム、パック、ファンデーション、毛髪用化粧料等に適用することができるが、これらに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
なお、各実施例における測定値は以下の方法にて求めた。
1.数平均分子量(Mn)の測定
東ソー社製のゲルろ過クロマトグラフィを用いて重合体の数平均分子量(Mn)を測定した。測定条件は以下の通りである。
溶離液:0.1mol/LのLiClを含むジメチルホルムアミド(DMF)溶液
流速:1.0ml/min
カラム温度:60℃
基準物質:ポリエチレンスタンダード
供試試料は全てアセチル化物をDMFに溶解し、メンブレンフィルターにてろ過したのち測定に供した。
2.水溶性試験
原料(ポリフェノールまたは抽出物)またはその重合体である試料0.1gを25℃の水5mlに加えて、1分間攪拌した。その結果、よく溶解したものを◎、溶解したものを○、少し溶解したものを△、溶解しないものを×として評価した。
3.風味
パネラー3名がそれぞれ試料3mgを口に入れて風味を評価した。甘味、塩味、苦味、酸味、辛味、旨味の各要素に対して官能強度を点数化した。また、風味上の特徴を記述してもらい、原料と重合化物とで比較した。
4.抗酸化性〔スーパーオキシド消去能(SOD様活性)〕の評価
キサンチン/キサンチンオキシダーゼ系を用いてスーパーオキシドアニオンを発生させ、化学発光法で検出することによりSOD様活性を評価した。0.05mMEDTAを含む100mMリン酸緩衝液(pH7)を用いて0.15U/mlキサンチンオキシダーゼ(from Butter milk,0.23 U/mg)溶液を調製した。またキサンチン 7.5mgを1N NaOH 600μlに溶解させた後、蒸留水7.5mlを加え、さらにリン酸緩衝液16.9mlを加えて希釈し、2mMとした。試料は30%のDMSOを含む蒸留水で各濃度に調製した。MPEC(2-methyl-p-methoxyphenylethynylimidazopyrazinone) 2.8mgはメタノール10mlに溶解させ、使用時に蒸留水で3倍に希釈した。
発光測定装置(コロナ電気株式会社製)にキサンチン溶液を導入した。96wellプレートに試料溶液10μlとリン酸緩衝液170μl、XO溶液60μl、MPEC溶液10μl を混合し、キサンチン溶液50μl 分注後の発光量を30秒間測定した。SOD様活性はEC50(対象〔30% DMSO〕に対して活性酸素を50%消去するのに必要な試料量)として測定した。
5.リパーゼ阻害活性の評価
リパーゼ活性の測定は、基質に蛍光性の4−メチルウンベリフェロンのオレイン酸エステル(4−UMO)を使用し、反応によって生成した4−メチルウンベリフェロンの蛍光を測定することにより実施した。測定にあたり、緩衝液は、150 mM NaCl、1.36 mM CaCl2を含む 13 mM Tris−HCl (pH 8.0) を用いた。基質である4−UMO(Sigma社製)は0.1MのDMSO溶液として調製したものを上記緩衝液で1000倍希釈したものを、また、リパーゼはブタ膵リパーゼ(Sigma社製)を、同様に上記緩衝液を用い400U/ml溶液として調製したものを酵素測定に供した。
酵素反応は、25℃条件下において、96穴マイクロプレートに50μlの4−UMO緩衝液溶液、25 μl の30 % DMSO(あるいは試料溶液)を添加し混合した後に、25μlのリパーゼ緩衝液溶液を添加することにより開始させた。30分間反応を行った後に、100μl の0.1M クエン酸緩衝液(pH4.2)を添加して反応を停止させ、反応によって生成した4−メチルウンベリフェロンの蛍光(励起波長360nm、蛍光波長460nm)を96穴マイクロプレートリーダー(BIO−TEK社製 Synergy HT)を用い測定した。
被験試料の阻害活性は、IC50〔対照(30% DMSO)の活性に対して50%阻害を与える試料量〕として求めた。
(ナリンジン重合体の合成)
30ml容器にナリンジン200mgを取り、10mlのメタノールと10mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に20 μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、94.4mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は800、分子量分布は1.0であった。
(ナリンジン重合体の合成)
30mlの容器にナリンジン200mgを取り、10mlのメタノールと10mlのリン酸緩衝液(pH=7)を加えて溶液を調製した。この溶液に1mlのリン酸緩衝液に溶かしたHRP(西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼ)(4mg、400unit)溶液を加えた。その後、過酸化水素水(30%、25 μl)を2分おきに4回加え、室温で撹拌した。3時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、143.7mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は2400、分子量分布は1.4であった。
(αG−ヘスペリジン重合体の合成)
30mlの容器にαG―ヘスペリジン(東洋精糖(株)製)200mgを取り、20mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に20μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、161.7mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は8300、分子量分布は1.3であった。
(αG―ヘスペリジン重合体の合成)
30mlの容器にαG―ヘスペリジン200mgを取り、20mlのリン酸緩衝液(pH=7)を加えて溶液を調製した。この溶液に1mlのリン酸緩衝液に溶かしたHRP(西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼ)(4mg、400unit)溶液を加えた。その後、過酸化水素水(30%、25μl)を2分おきに4回加え、室温で撹拌した。3時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、168.2mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は10500、分子量分布は1.5であった。
(NHDC重合体の合成)
30mlの容器にNHDC 200mgを取り、20mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて懸濁溶液を調製した。この溶液に20μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、178.9mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は9500、分子量分布は1.9であった。
(NHDC重合体の合成)
50mlの容器にNHDC100mgを取り、40mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて懸濁溶液を調製した。この溶液に10 μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、93.1 mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は9000、分子量分布は1.8であった。
(NHDC重合体の合成)
30mlの容器にNHDC 500mgを取り、20mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて懸濁溶液を調製した。この溶液に50μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。48時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、465.0mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は9700、分子量分布は2.0であった。
(NHDC重合体の合成)
30mlの容器にNHDC200mgを取り、20mlのリン酸緩衝液(pH=7)を加えて溶液を調製した。この溶液に1mlのリン酸緩衝液に溶かしたHRP(西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼ)(4mg、400unit)溶液を加えた。その後、過酸化水素水(30%、25μl)を2分おきに4回加え、室温で撹拌した。3時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、199.9mgの重合体を得た。
(フロリジン重合体の合成)
30mlの容器にフロリジン100mgを取り、5 mlのエタノールと5mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に10μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、17.8 mgの重合体を得た。
(フロリジン重合体の合成)
30mlの容器にフロリジン100mgを取り、5mlのエタノールと5mlのリン酸緩衝液(pH=7)を加えて溶液を調製した。この溶液に0.5mlのリン酸緩衝液に溶かしたHRP(西洋ワサビ由来)(2mg、200unit)溶液を加えた。その後、過酸化水素水(30%、25μl)を2分おきに2回加え、室温で撹拌した。3時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、76.4mgの重合体を得た。
これらの実施例で得た重合体の重合条件、性状、EC50およびIC50を測定した。その結果を表1、2に示す。また、比較のため、それぞれの単量体である各ポリフェノールについても同様の評価を行ったので、その結果も併せて表2に示す。
Figure 0005699416
Figure 0005699416
表1から明らかなように、実施例1〜10で得た重合体は、その由来する単量体(ポリフェノール配糖体)に比べて、SOD様活性およびリパーゼ阻害活性が著しく増強されている。しかも、水への溶解性が改善され(特に実施例3、4、7〜10)、さらに風味も単量体よりも改善されるか無味になっていることがわかる。
(レスベラトロールの重合)
30mlの容器にレスベラトロール200mgを取り、10mlのメタノールと10mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に20μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、124.9mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は3800、分子量分布は1.4であった。
(レスベラトロールの重合)
30mlの容器にレスベラトロール200mgを取り、10mlのメタノールと10mlのリン酸緩衝液(pH=7)を加えて溶液を調製した。この溶液に1mlのリン酸緩衝液に溶かしたHRP(西洋ワサビ由来)(4mg、400unit)溶液を加えた。その後、過酸化水素水(30%、25μl)を2分おきに4回加え、室温で撹拌した。3時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、202.8mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は2300、分子量分布は1.5であった。
(ロスマリン酸の重合)
30mlの容器にロスマリン酸200mgを取り、5mlのエタノールと15mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に20μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、184.4mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は850、分子量分布は5.2であった。
参考例(重合化に供する抽出物の製造)
すだち(搾汁後の果皮)、キンカン(果実)は、それぞれ原料500gを4.5kgの30%EtOHで2時間還流を行った。ローズマリー(葉)は原料200gを4kgの30%EtOHで2時間還流を行った。それぞれ室温冷却後、ろ過し、ろ液を一晩冷蔵放置した。ついで、ろ液をさらにろ過し、得られたろ液を減圧濃縮し、さらに凍結乾燥して抽出物を得た。
なお、ユズ抽出物は、ナリンギン含量を90%に高めた東洋精糖(株)製の市販品(商品名:ゆずポリフェノール)を用いた。
(ユズ抽出物の重合)
50lの容器にユズ抽出物(東洋精糖(株)製、柚子抽出物を精製しナリンギン含量を高めたゆずポリフェノール)を300g取り、30lのイオン交換水を加えて溶液を調製した。この溶液に30gのラッカーゼを加え、エアポンプを用いるエアレーション下、30℃にて撹拌した。24時間後、反応混合物の一部を採取し、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥した。反応液50mlから0.522mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は6700、分子量分布は1.4であった。
(ユズ抽出物の重合)
30mlの容器にユズ抽出物200mgを取り、20mlのリン酸緩衝液(pH=7)を加えて溶液を調製した。この溶液に1mlのリン酸緩衝液(pH=7)に溶かしたHRP(西洋ワサビ由来)(4mg、400unit)溶液を加えた。その後、過酸化水素水(30%、25μl)を2分おきに4回加え、室温で撹拌した。3時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、203.2mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は2900、分子量分布は1.3であった。
(スダチ抽出物の重合)
30mlの容器にスダチ抽出物200mgを取り、20mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に20μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、86.8mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は2200、分子量分布は29であった。
(キンカン抽出物の重合)
30mlの容器にキンカン抽出物200mgを取り、20mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に20 μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、18.8mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は330、分子量分布は1.1であった。
(ローズマリー抽出物の重合)
30mlの容器にローズマリー抽出物200mgを取り、1mlのエタノールと19mlの酢酸緩衝液(pH=5)を加えて溶液を調製した。この溶液に20 μlのラッカーゼを加え、空気下、室温で撹拌した。24時間後、排除分子量1000の透析チューブを用いて、反応混合物の透析を行った。透析後、透析チューブ内の溶液を凍結乾燥し、183.8mgの重合体を得た。得られた重合体をアセチル化したところ、そのアセチル化物の数平均分子量は1200、分子量分布は6.5であった。
これらの実施例で得た重合体の重合条件、性状、EC50およびIC50を測定した。その結果を表3,4に示す。また、比較のため、それぞれの単量体である各ポリフェノールについても同様の評価を行ったので、その結果も併せて表に示す。
Figure 0005699416
Figure 0005699416
表から明らかなように、実施例11〜18で得たラッカーゼ処理天然素材は、未処理原料に比べて、SOD様活性およびリパーゼ阻害活性が著しく増強されている。しかも、水への溶解性が改善され(特に実施例)、さらに風味も単量体よりも改善されるか無味になっていることがわかる。
以上、本発明で見出された各重合体は、安価かつ簡便に作ることができ、水溶性呈味性等が改善されているのでさまざまな食品等に応用することができるので、抗酸化剤、リパーゼ阻害剤として幅広く利用することができる。
試験例(ラット長期飼育試験)
下記表5に示す高脂肪食飼料を作成し、ラットを用いて長期飼育試験を行い、脂肪摂取に起因する肥満、酸化ストレスに対する各重合物の作用について検討した。
Figure 0005699416
被験試料として、ナリンジン重合体は実施例2、αGヘスペリジン重合体は実施例3、NHDC重合体は実施例5の条件にて大量製造し、それぞれ試験に用いた。
<飼育試験>
近交系F344ラット(雄)を1週間予備飼育後、体重に基づいて高脂肪食(HF群)、高脂肪食+0.1%重合ナリンジン(N群)、高脂肪食+0.1%重合αGヘスペリジン(H群)および高脂肪食+0.1%重合NHDC(NH群)の4群分けした(n=6〜7)。HF群をコントロール群とした。
飼育期間は6週間とし、それぞれの飼料を。飼育期間中、体重測定と残飼重量測定を行った。飼育終了後エーテル麻酔下血液および各臓器を採取し、各組織の重量を測定した。さらに、ヘパリン処理した注射器を用いて解剖時に下大静脈から採取した血液を遠心分離し、上清(血漿)を得た。この上清を用いて以下の検査を行った。
(a)血液検査
和光純薬工業製測定キットを用いて血糖値(グルコースCIIテストワコー)、トリグリセリド値(トリグリセライドテストワコー)、クレアチンホスホキナーゼ活性(CPKII−テストワコー)を測定した。
TBARS値はOXI tek TBARS Assay kit(ZeptoMetrix corporation,Buffalo社NY)を用いて測定した。
これらのうち、トリグリセリド値は脂肪の指標であり、クレアチンホスホキナーゼ活性ならびにTBARS値は酸化ストレスの指標である。
(b)肝臓トリグリセリド値の測定
凍結肝臓を用いてFolch法に従って脂質の抽出を行い、LタイプワコーTG・G(和光純薬工業製)を用いて測定した。それぞれの測定結果を表6に示す。
Figure 0005699416
なお、飼料総摂取量および解剖時の心臓、脾臓、小腸、腎臓各重量は各群で有意差は認められなかった。
表6に示す体重は解剖時に測定したものである。NH群は他群に比べて体重の増加が大きいが、有意差は認められなかった。肝臓重量は、コントロールであるHF群に比べ、N群とH群は有意に低い値を示した。精巣周辺脂肪重量は、N群がHF群よりも有意に低い値を示した。その他の群に差は認められなかった。血糖値は各群間で有意差は認められなかった。血漿トリグリセリド値に関しては、重合物を与えた群はいずれもHF群に比べ有意な低値を示した。肝臓トリグリセリド値は、N群、H群がHF群よりも有意に低い値を示した。血漿TBARS値は、重合化物を与えた群がいずれもHF群に比べて有意に低い値を示した。血漿クレアチンホスホキナーゼ活性には有意差は認められなかったものの、重合物を与えた群はいずれもHF群に比べ低い値を示した。
以上のように、本発明にかかる重合物を与えた群はコントロールであるHF群に比べて血漿トリグリセリド値が低く、精巣周辺脂肪重量も低い結果を得た。重合物を摂取すると高脂肪食に起因する血中脂肪量および内臓脂肪の増加が抑制されることがわかる。また、心筋、骨格筋等の炎症はフリーラジカルによって惹起するといわれており、それらの炎症マーカーである血漿クレアチンホスホキナーゼ活性、過酸化脂質の指標である血漿TBARS値も低いことから、重合物を摂取すると酸化ストレスが軽減されることがわかる。

Claims (2)

  1. ナリンジン、αGヘスペリジン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコンおよびフロリジンから選ばれる少なくとも1種を、ラッカーゼ又はペルオキシダーゼを用いて酸化重合してなる数平均分子量500−20000の重合体を含有するリパーゼ阻害剤。
  2. 飲食料、動物飼料、化粧料または医薬組成物の形態で使用される請求項1に記載のリパーゼ阻害剤。
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