JP2006219389A - 低比重リポタンパク酸化抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【発明の課題】人体に安全な、LDL酸化抑制剤を提供する。
【解決手段】ミリシトリンを用いることによって、動脈疾患、心筋梗塞等のアテローム性動脈硬化症の原因ともなるLDLの酸化を抑制する。
【選択図】なし

Description

本発明は、低比重リポタンパク質(LDL)酸化抑制剤およびLDL酸化抑制方法に関する。
心臓疾患、脳血管疾患などの循環器系疾患は動脈硬化症が主因を成しており、健康上の大きな懸念事項である。動脈硬化発症の主な要因の一つとして、アテローム性(粥状)動脈硬化症が挙げられ、その進行は狭心症、心筋梗塞、痴呆などの発症にもつながる。
低比重リポタンパク質(以下、LDLとする)はアテローム性動脈硬化症に深く関与しているといわれている。血液中を循環する非アテローム発生性LDLは、各種要因により酸化されアテローム発生性酸化LDLに変換されることによりアテローム性動脈硬化症となるといわれているが、そのメカニズムは現在明確には解明されていない。
LDLはコレステロールを各組織に運搬する役割を果たしており、その組成としては、20%アポリポタンパクB、20%リン脂質、40%コレステロール、20%トリグリセライドである。特にこれらの脂質には酸化されやすい不飽和脂肪酸が含まれており、活性酸素やフリーラジカルなどによる攻撃の標的となる。
生体における酸化的障害を誘引する因子としては、薬物、金属、食物、喫煙やストレスなどがあり、これらから活性酸素やフリーラジカルなどが生成し、酸化的障害の連鎖反応が進行する。
酸化LDL中の不飽和脂肪酸は、次々と連鎖反応を起こし、共役ジエンを経て、過酸化脂質やアルデヒドとなる。これに伴ってアポリポタンパクBは断裂し、LDL粒子は球形の構造を失っていく。こうして酸化LDLは、LDL受容体に認識されなくなり、細胞に取り込まれなくなる。一方、酸化LDLはマクロファージのスカベンジャー受容体に認識されるようになり、マクロファージに取り込まれ、泡沫細胞化することで動脈硬化の初期病変となるといわれている。
酸化LDLは、マクロファージの泡沫細胞化だけでなく、そのほか様々な面において動脈硬化促進的に働くことが知られている。例えば、酸化LDLは、血管内皮細胞に対し直接の細胞傷害作用を示し、動脈硬化形成の引き金となりうる。またそれ自身が単球、リンパ球などの遊走因子として働くだけでなく、内皮細胞からのサイトカインの放出を刺激し、単球の接着・遊走あるいはマクロファージへの分化を促進することが知られている。
動脈硬化症と動脈内における過酸化脂質量には密接な関係があることが示唆されている。また、酸化によって増加する過酸化脂質は、TBA法で測定することができる。TBA法は2- Thiobarbituric acid(TBA)と反応するTBARS(Thiobarbituric acid reacting substance)と呼ばれる物質量を測定するものである。動脈硬化症とTBA法によって測定される、TBARS量にも正の相関があることが確認されている。(例えば、特許文献1参照)
現在、動脈硬化症を治療する手段としては、食事療法、運動療法または薬事療法などがあるが、発症した組織に直接作用して、疾患を治療する方法は現在では開発されていない。
薬剤による治療も、肝臓におけるコレステロール合成を抑制して、LDL受容体数を増加させ、血中からのLDLの取り込みを促進して血中LDL濃度を低下させるといったものしかない。
動脈硬化症によって誘発される重大な結果と、薬剤等による医療処置にかかる費用を考えると、これらの症状の発生および再発を防止するのに有効な薬理学的かつ栄養学的介入が必要である。
そこで、LDL酸化抑制等を目的とした、フラボノイドを用いた食物サプリメント(例えば、特許文献2参照)や、LDL取り込み促進作用を有し、脂肪低下剤として動脈硬化性疾患に有用なリグナン系化合物(例えば特許文献3参照)、LDL−コレステロール値を低下させる作用と同時にHDL−コレステロール値を上昇させる作用を有する焙煎した羅布麻の葉から得られる羅布麻茶(例えば、特許文献4参照)等多くの方法が提案されている。
また、ミリシトリンについては、アンギオテンシン変換酵素抑制作用で高血圧治療剤に用いられること(例えば、特許文献5参照)や、抗酸化性を有することが知られている(例えば、非特許文献1参照)が、強いLDL酸化抑制能を有することは知られていない。
特開平09−67255号公報 特表2001−513332号公報 特開平05−194464号公報 特許第3517318号公報 特開平06−135830号公報 月刊フードケミカル,9月号, 51-56 (1998)
本発明は、動脈硬化症の発症要因であるLDLの酸化を抑制するのに有用なLDL酸化抑制剤を提供することを目的とする。さらに、LDLの酸化を抑制する有用な方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、ミリシトリンを用いることによってLDLの酸化が有意に抑制されることを見いだした。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、下記に掲げるものである:
項1.ミリシトリンを用いることを特徴とする低比重リポタンパク(LDL)酸化抑制方法。
項2.ミリシトリンを含有することを特徴とする低比重リポタンパク(LDL)酸化抑制剤。
項3.項2記載の低比重リポタンパク(LDL)酸化抑制剤を有効量含有する飲食物。
本発明のLDL酸化抑制方法は、ミリシトリンを用いることを特徴とする。
ここで、ミリシトリンとは、ポリフェノールの一種であるフラボノイド配糖体を指す。自然界では街路樹や果樹などとして日本でも栽培されているヤマモモ(Myrica rubra)(月刊フードケミカル,9月号, 51-56 (1998))、チューインガムの原料として用いられていたサポジラ(Manilkara zapota)(J.Nat.Prod., 66, 983-986 (2003))やツルマンリョウ(Myrisine seguinii)(Phytochemistry, 46, 943-946 (1997))等のメタノール抽出物中にも広く存在が確認されている。
また、ヤマモモ抽出物は、ヤマモモ科植物を本出願人による特許出願の方法(特開平5−156249号、特開平9−87619号)を用いて抽出することによって調製取得でき、このような操作により得られるヤマモモ抽出物はフラボノール配糖体であるミリシトリン(ミリセチン−3−O−ラムノシド)の給源となる。またこのヤマモモ抽出物は、そのままで使用することもできるが、さらに特開平9−95672号公報記載の方法に従って糖転移酵素処理を施すこともでき、これは水易溶性ヤマモモ抽出物として使用することができる。
LDLに直接ミリシトリンを添加した場合の添加量は、LDL 100質量部に対して、ミリシトリンの添加量は、1×10-5〜1質量部、好ましくは1×10-4〜1×10-1 質量部である。
本発明のLDL酸化抑制剤は、ミリシトリンを含有するものであればよく、上述のヤマモモ抽出物をそのまま用いるか、あるいは、ミリシトリンだけからなるものでも良いが、これら以外の成分として希釈剤、担体またはその他の添加物を含有していてもよい。
希釈剤または担体としては、本発明の効果を妨げないものであれば特に制限されず、例えばシュクロース、グルコース、デキストリン、澱粉類、サイクロデキストリン、トレハロース、乳糖、マルトース、水飴、液糖などの糖類;エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類;ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール等の糖アルコール類;アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、グァーガム、ジェランガム等の多糖類;または水を挙げることができる。また添加剤としては、抗酸化剤、キレート剤等の助剤、香料、香辛料抽出物、防腐剤などを挙げることができる。
使用上の利便等から、これらの希釈剤、担体または添加剤を用いてLDL酸化抑制剤を調製する場合は、ミリシトリンが、LDL酸化抑制剤100質量%中に固形換算で0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜20質量%で含まれるように調製することが望ましい。
なお、ここで添加剤として用いられる抗酸化剤としては、食品添加物として用いられるものを広く例示することができる。例えば、制限はされないが、エリソルビン酸及びその塩(例えばエリソルビン酸ナトリウム)等のエリソルビン酸類;亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムまたはピロ亜硫酸カリウムなどの亜硫酸塩類;α−トコフェロールやミックストコフェロール等のトコフェロール類;ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)やブチルヒドロキシアニソール(BHA)等;エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウムやエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム等のエチレンジアミン四酢酸類;没食子酸や没食子酸プロピル等の没食子酸類;アオイ花抽出物、アスペルギルステレウス抽出物、カンゾウ油性抽出物、食用カンナ抽出物、グローブ抽出物、精油除去ウイキョウ抽出物、セイヨウワサビ抽出物、セージ抽出物、セリ抽出物、チャ抽出物、テンペ抽出物、ドクダミ抽出物、生コーヒー豆抽出物、ヒマワリ種子抽出物、ピメンタ抽出物、ブドウ種子抽出物、ブルーベリー葉抽出物、プロポリス抽出物、ヘゴ・イチョウ抽出物、ペパー抽出物、ホウセンカ抽出物、ユーカリ葉抽出物、リンドウ根抽出物、ルチン(抽出物)(小豆全草,エンジュ,ソバ全草抽出物)、ローズマリー抽出物、チョウジ抽出物、リンゴ抽出物等の各種植物の抽出物;その他、酵素処理ルチン、クエルセチン、ルチン酵素分解物(イソクエルシトリン)、酵素処理イソクエルシトリン、酵素分解リンゴ抽出物、ごま油抽出物、菜種油抽出物、コメヌカ油抽出物、コメヌカ酵素分解物、没食子酸及びそのエステル類等を挙げることができる。好ましくは、エンジュ抽出物、ルチン(抽出物)、生コーヒー豆抽出物、ローズマリー抽出物等の植物抽出物;酵素処理ルチン、ルチン酵素分解物(イソクエルシトリン)、酵素処理イソクエルシトリン等を挙げることができる。
本発明において特に好ましい抗酸化剤として、フラボノール類を挙げることができる。このフラボノール類としては、フラボノール並びにアグリコン部にフラボノールを有するフラボノール配糖体を広く挙げることができる。例えば、エンジュ、ダッタンソバ、ドクダミなどの植物体から抽出することにより入手できるもの、さらにそれを精製した精製物、並びにそれらに酵素処理若しくは加水分解等の各種処理を施したものを挙げることができる。具体的には、ルチン、及びイソクエルシトリン等、並びにルチン、イソクエルシトリンと澱粉質の共存下において糖転移酵素を用いて公知の方法で処理することにより得られる糖転移ルチン等を例示することができる。これらのフラボノール類は1種単独で使用されてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
またフラボノール類そのものに代えて、上記に掲げる各種フラボノール類を含む植物抽出物をそのまま用いることもできる。かかるものとしてはエンジュ抽出物、ダッタンソバ抽出物及びドクダミ抽出物を例示することができる。なお、かかる植物抽出物は、フラボノール類を比較的多量に含む植物の該当部位を水、アルコールまたはその他の有機溶剤を用いて抽出することによって得ることができ、そのままで使用しても、またさらに酵素処理して使用することもできる。なお、これらの植物抽出物も1種単独で使用されても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
また、前述するフラボノール類の中には水難溶性で取り扱いにくい物質があるため、必要に応じて、フラボノール類をエタノールなどの低級アルコールやグリセリンまたはプロピレングリコールなどの多価アルコールに溶かして用いてもよい。
抗酸化剤を用いる場合、LDL酸化抑制剤100質量%中に配合される当該抗酸化剤の割合としては、制限されないが、例えば、酵素処理イソクエルシトリンを用いる場合、0.0001〜20質量%、好ましくは0.001〜10質量%を挙げることができる。他の抗酸化剤もこれに準じて用いることができる。
本発明のLDL酸化抑制剤はその形態を特に制限するものではなく、例えば粉末状、顆粒状、錠剤状などの固体状;液状、乳液状等の溶液状;またはペースト状等の半固体状などの、任意の形態に調製することができる。
本発明のLDL酸化抑制剤は様々な製品に広く適応することができ、例えば飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品、飼料等をあげることができる。
本発明が対象とする飲食物としては、例えば乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜・果実混合飲料、アルコール飲料、粉末飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、麦茶飲料などの飲料類;カスタードプリン、ミルクプリン、スフレプリン、果汁入りプリン等のプリン類、ゼリー、ババロア及びヨーグルト等のデザート類;アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、ミルクアイスクリーム、果汁入りアイスクリーム及びソフトクリーム、アイスキャンディー、シャーベット、氷菓等の冷菓類;チューインガムや風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガム);マーブルチョコレート等のコーティングチョコレートの他、イチゴチョコレート、ブルーベリーチョコレート及びメロンチョコレート等の風味を付加したチョコレート等のチョコレート類;ハードキャンディー(ボンボン、バターボール、マーブル等を含む)、ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)、ドロップ、タフィ等のキャラメル類;ハードビスケット、クッキー、おかき、煎餅等の焼き菓子類(以上、菓子類);コンソメスープ、ポタージュスープ等のスープ類;浅漬け、醤油漬け、塩漬け、味噌漬け、粕漬け、麹漬け、糠漬け、酢漬け、芥子漬、もろみ漬け、梅漬け、福神漬、しば漬、生姜漬、梅酢漬け等の漬物類;セパレートドレッシング、ノンオイルドレッシング、ケチャップ、たれ、ソースなどのソース類;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジャム、プレザーブ等のジャム類;赤ワイン等の果実酒;シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ、桃等の加工用果実;ハム、ソーセージ、焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き、鯨ベーコン等の水産練り製品;バター、マーガリン、チーズ、ホイップクリーム等の酪農・油脂製品類;うどん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺類;その他、各種総菜及び麩、田麩等の種々の加工食品を挙げることができる。好ましくは飲料及び菓子類である。
本発明の飲食物は、製造の任意の工程でミリシトリン、または本発明のLDL酸化抑制剤を配合することを除けば、各種飲食物の慣用の製造方法に従って製造することができる。ミリシトリン、またはLDL酸化抑制剤の配合方法やその順番に特にも制限はない。
本発明が対象とする化粧品としてはスキン化粧料(ローション、乳液、クリームなど)、口紅、日焼け止め化粧品、メークアップ化粧品等を;医薬品としては各種錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ剤、うがい薬等を;医薬部外品としては歯磨き剤、口中清涼剤、口臭予防剤等を;また飼料としてはキャットフードやドッグフード等の各種ペットフード、観賞魚若しくは養殖魚の餌等を一例として挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
これらの化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料などの各種製品は、それら製造の任意の工程でミリシトリン、または本発明のLDL酸化抑制剤を配合することを除けば、各種製品の慣用方法に従って製造することができる。化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料に対するミリシトリン、またはLDL酸化抑制剤の配合時期も特に制限されない。
本発明によれば、LDLの酸化を有意に抑制することのできるLDL酸化抑制方法並びにLDL酸化抑制剤を提供することができる。このため、本発明のLDL酸化抑制方法並びにLDL酸化抑制剤を用いることにより、動脈硬化症の発症要因であるLDLの酸化を抑制することができ、かつ脂質の酸化を抑制する効果も有する為、極めて有効な動脈硬化症の予防方法の一つとして期待することができる。
また日常的に経口摂取することが可能であり、これによって動脈硬化症の主要因であるLDLの酸化を日常的に予防し、しかも副作用の無い安全な酸化抑制剤を提供することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、特に記載のない限り「%」とは「質量%」を、「部」とは、「質量部」を意味するものとする。
実験例1
試験管にミリシトリン(フナコシ社製)を、下記の表1の各濃度になるように試料を調製し、該試料に、ヒト由来LDL(SIGMA社製、終濃度100μg protein/ml)を添加しよく混合した。次いで、水溶性ラジカルであるAAPH(2,2'-azobis(2-aminodinopropane)-dihydrochloride、終濃度10mM)もしくはCuSO4(終濃度12μM)を上記試料液に添加して、37℃で酸化を誘導し、180分間インキュベート後の脂質過酸化度(TBARS)をTBA法(Ohkawa,H., Ohishi,N., Yagi,k., Anal.Biochem., 95, p351-358 (1979) Assay for lipid peroxides in animal tissues by thiobarbituric acid reaction.)を用いて測定した。
上記酸化誘導後の反応液を0.5ml採取し、これに35% TCA(trichloro acetic acid)溶液を0.5ml、0.5% TBA溶液を1.0ml、0.2%BHT(butylated hydroxytoluene)溶液0.05ml、0.5% SDS(sodium dodecyl sulfate)溶液を0.05ml加えた後、100℃で30分加熱する。冷却後、酢酸0.5ml、クロロホルム1.0mlを加えて攪拌後、遠心分離(3,000rpm×10分)を行い、上層の吸光度を532nmで測定して、過酸化脂質量を求めた。結果は試料無添加(リン酸緩衝液)のものを過酸化度(TBARS)100%として表した。
なお、TBA法は生体組織中の過酸化脂質を高感度に測定するのに適した方法であり、現在もこれを改変したものなど多くの報告がある。TBA法は酸性条件下で試料をTBAと加熱することで、試料から遊離するTBA反応性物質(TBARS)とTBAの反応で生じる赤色色素を定量することにより脂質過酸化度を測定するものである。すなわち、TBARSの数値が高いほど、過酸化脂質が多く生成したこととなる。
TBA法によって測定されるTBARSとしては、脂質ヒドロペルオキシド、マロンジアルデヒド、アルデヒドとタンパク質などとの反応物であり、TBA法はこれらを総合的に測定するものである。
Figure 2006219389
ミリシトリンはAAPHラジカルとCuSO4で誘導したLDL酸化に対して、濃度依存的に強い抑制能を示し、ミリシトリン100μMの添加では、AAPHラジカルで誘導した酸化の88.8%を、CuSO4で誘導した酸化においては95.5%を抑制した。
実験例2
試験管にミリシトリン(フナコシ社製)50μMを調製し、実験例1の操作を行った。同様に、試験管にルチン(シグマ社製)50μMを調製し、同様の操作を行った。
Figure 2006219389
以上のように、既知フラボノイドであるルチンと比較しても(図1)、ルチンが62.7%のLDL酸化を抑制したのに対して、ミリシトリンは有意(P <0.05)に強い活性を示し、82.6%のLDL酸化を抑制した。これらのことから、ミリシトリンがLDLに対して強いLDL酸化抑制能を有することが確認できる。
以上の結果から、ミリシトリンはラジカル捕捉能や金属キレート能を有することで、フリーラジカルや金属によって誘導されるLDLの酸化を強く抑制し、LDLの酸化抑制に非常に有用な素材であることが示された。
実験例3
ミリシトリンは腸管内等に見られる弱アルカリ性環境中では安定性が低下し、分解してしまう可能性が考えられる。そこで、ミリシトリン(フナコシ社製)50μMを調製し、pH8.5で60分間インキュベートし、ミリシトリンを分解後、実験例1の操作を行った。
Figure 2006219389
分解物中のミリシトリンの残存率は2%以下であったが、AAPHとCuSO4で誘導したLDL酸化に対して強い抑制能を維持していた。このことから、生体内の弱アルカリ性環境などで分解されても、ミリシトリンはLDL酸化を抑制することが示された。
実施例1 レモン飲料
果糖ブドウ糖液糖 10 (%)
5倍濃縮レモン透明果汁 1
レモン香料 0.15
クエン酸 0.09
クエン酸三ナトリウム 0.01
ミリシトリン 0.001
水にて全量を100%とする。
上記全成分を混合して調製した溶液を、93℃達温殺菌して500mlPETボトルに熱時充填を行った。これを室温まで冷却してレモン飲料を調製した。
実施例2 オレンジゼリー
<原料A>
砂 糖 5 (%)
果糖ブドウ糖液糖 10
ゲル化剤 0.8
<原料B>
5倍濃縮柑橘混合混濁果汁 2
オレンジ香料 0.2
カロテン色素 0.3
ミリシトリン 0.005
水にて全量を100%とする。
<原料A>の成分を全て水に分散し80℃に加熱して10分間撹拌溶解し、それをクエン酸にてpH4に調製した後、<原料B>を加えて半透明ポリエチレン容器に充填した。これを85℃で20分間加熱殺菌した後、オレンジゼリーを調製した。
実施例3 酸乳飲料
発酵乳(無脂乳固形分9.5%) 10 (%)
グラニュー糖 7
酸性乳飲料用安定剤 0.2
ヨーグルト香料 0.13
50%クエン酸水溶液 適量
ミリシトリン 0.001
水にて全量を100%とする。
発酵乳、グラニュー糖及び酸性乳飲料用安定剤を水に溶解し、次いで50%クエン酸溶液にてpH3.8に調整した。これを湯煎にて70℃に加温してホモゲナイズ(150kg/cm=14710000Pa)した後、90℃まで加温し、香料、ミリシトリンを加えて93℃まで加温し500mlPETボトルにホットパックしミリシトリン含有酸乳飲料を調製した。
実施例4 ミルクコーヒー
グラニュー糖 7 (%)
コーヒー(粗引き) 5
牛乳 25
乳化安定剤 0.13
コーヒー香料 0.15
ミリシトリン 0.008
水にて全量を100%とする。
コーヒーに熱湯加えて40分煮出し、その後ろ過を行い、コーヒー液を得た。水に乳化安定剤、グラニュー糖を加えて80℃に加温して10分間撹拌、冷却後、牛乳を加えて10%重曹溶液にてpH6.8に調製した。これをコーヒー液と合わせて、更にミリシトリンを加えて再度pH6.8に調製し、70℃まで湯煎で加温しホモゲナイズ(150kg/cm=14710000Pa)した。香料を加えて200ml缶に充填後、124℃20分間殺菌を行い、ミリシトリン含有ミルクコーヒーを調製した。
本発明によると、心臓疾患、脳血管疾患等の循環器系疾患の発症要因であり、アテローム性動脈硬化症の主因ともなるLDLの酸化を抑制するLDL酸化抑制方法およびLDL酸化抑制剤を提供することができ、極めて有効な動脈硬化症の予防方法の一つとして期待することができる。
LDL酸化抑制におけるミリシトリンとルチンの比較を示す。

Claims (3)

  1. ミリシトリンを用いることを特徴とする低比重リポタンパク(LDL)酸化抑制方法。
  2. ミリシトリンを含有することを特徴とする低比重リポタンパク(LDL)酸化抑制剤。
  3. 請求項2記載の低比重リポタンパク(LDL)酸化抑制剤を有効量含有する飲食物。

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