JP2016199536A - 筋肉増強およびメタボリックシンドローム改善ならびにqol改善のための組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]トリテルペンとポリフェノール類とを含む、筋肉を増強もしくは増加させ、またはメタボリックシンドロームもしくはQOLを改善させるための組成物。
[2]トリテルペンが、オレアノール酸、コロソリン酸、ウルソール酸、マスリン酸、およびこれらの誘導体からなる群から1つ以上選択される、上記[1]に記載の組成物。
[3]ポリフェノール類が、オレウロペイン、ヒドロキシチロソール、チロソール、フラボノール配糖体、カテキン類、クロロゲン酸、カテコールアミン分泌促進物質およびUCP−1活性化物質、ならびにこれらの塩または誘導体からなる群から1つ以上選択される、上記[1]または[2]に記載の組成物。
[4]肥満防止、体脂肪減少、脂質代謝改善、血糖値改善、インスリン抵抗性改善、糖代謝改善、または白色脂肪細胞の褐色脂肪細胞化促進の効果を有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]トリテルペンとポリフェノール類を5:95〜95:5(重量比)で含有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]トリテルペンとポリフェノール類の総量が、組成物の1重量%以上である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]トリテルペンがオレアノール酸であり、ポリフェノール類がオレウロペインである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物を含有する医薬組成物。
[9]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物を含有する化粧品。
[10]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物を含有する食品。
本発明の組成物に使用されるトリテルペンは、ファルネシル二リン酸(FPP)の2量化によって生成するプレスクアレン二リン酸を前駆体として生合成されるC30炭化水素から派生する炭化水素である。上記の通り、本発明の組成物に使用され得る好ましいトリテルペンは、オレアノール酸、コロソリン酸、ウルソール酸、マスリン酸、これらの塩または誘導体から選択される。このうち、オレアノール酸は、下記式(I)の構造を有する。
本発明の組成物に使用されるポリフェノール類としては、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシル基を有するポリフェノール、ならびにカテコールアミン分泌促進物質および脱共役タンパク質−1(UCP−1活性化物質)などが挙げられる。ここで、本明細書で使用するとき、「ポリフェノール」としては、限定されないが、オレウロペイン、ヒドロキシチロソール、チロソール、フラボノール配糖体、カテキン(フラバン−3−オール、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなど)、クロロゲン酸、タンニン酸、タンニン、ネオクロロゲン酸、シアニジン、プロアントシアニジン、テアルビジン、ルチン、フラボノイド(ケルシトリン、アントシアニン、フラバノン、フラバノール、フラボノール、イソフラボンなど)、フラボン、カルコン類(ナリンゲニンカルコンなど)、キサントフィル、カルノシン酸、エリオシトリン、ノビレチン、タンジェレチン、マグノロール、ホノキオール、エラグ酸、リグナン、クルクミン、クマリン、カテコール、プロシアニジン、テアフラビン、ロズマリン酸、キサントン、ケルセチン、レスベラトロール、没食子酸、フロロタンニン、ならびにこれらの塩および誘導体などが挙げられる。また、分子内にこれらの化合物を1以上有する化合物(例えば、これらの化合物を含む形で結合し高分子化した複合体)も挙げることができる。一方、本明細書で使用するとき、「カテコールアミン分泌促進物質」および「UCP−1活性化物質」としては、限定されないが、カフェイン、カフェイン酸、カプシノイド、ならびにこれらの塩および誘導体などが挙げられる。本発明の組成物に使用される好ましいポリフェノールは類、オレウロペイン、ヒドロキシチロソール、チロソール、これらの塩または誘導体から選択される。オレウロペイン、ヒドロキシチロソール、およびチロソールの化学構造は、以下の通りである。
本発明の組成物は、トリテルペンとポリフェノール類を含有することを特徴とする組成物である。これまで、トリテルペンとポリフェノール類を含有する組成物が、顕著に筋肉を増強もしくは増加させ、および/またはメタボリックシンドロームを改善させ、ならびに/あるいはQOLを改善することについては、これまで報告された例がない。本発明の組成物に含有するトリテルペンとポリフェノール類の割合は、適切な任意の割合であってもよく、例えば、これらの割合は、5:95〜95:5(重量比)、例えば、10:90〜90:10(重量比)、15:85〜85:15(重量比)、20:80〜80:20(重量比)、30:70〜70:30(重量比)、40:60〜60:40(重量比)、50:50〜50:50(重量比)、60:40〜40:60(重量比)、70:30〜30:70(重量比)、80:20〜20:80(重量比)、85:15〜15:85(重量比)、90:10〜10:90(重量比)、95:5〜5:95(重量比)である。別の態様では、本発明の組成物に含有するトリテルペンとポリフェノール類の総量は、1重量%以上であればよい。好ましくは2重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは4重量%以上、さらにより好ましくは5重量%以上である。また、本発明の組成物中のトリテルペンの含有量としては、1重量%以上であればよく、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90重量%以上である。一方、本発明の組成物中のポリフェノール類の含有量としては、1重量%以上であればよく、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90重量%以上である。後述するように、所定の割合でトリテルペンとポリフェノール類を含有した本発明の組成物は、トリテルペンの単独投与またはポリフェノール類の単独投与と比較して、トリテルペンおよび/またはポリフェノール類の持つ生理活性、具体的には、筋肉の増強または増加作用、メタボリックシンドローム改善作用、および/またはQOL改善作用を好ましくは高める特徴を有する。
本発明のトリテルペンとポリフェノール類を含む組成物は、医薬組成物および/または飲食品(もしくは飲食物)の形態で好適に使用できる。医薬組成物または飲食品に添加する本発明の組成物の割合は、その機能を有する限り特に制限されないが、通常0.01〜100重量%の範囲から適宜選択することができる。ここで、本発明の組成物の割合が100重量%である場合とは、本発明の医薬組成物および/または飲食品が、本発明の組成物からなる場合を意味する。
本発明のトリテルペンとポリフェノール類を含む組成物は、化粧品の形態で好適に使用できる。化粧品に添加する本発明の組成物の割合は、その機能を有する限り特に限定されないが、通常0.01〜100重量%の範囲から適宜選択することができる。ここで、本発明の組成物の割合が100重量%である場合とは、本発明の化粧品が、本発明の組成物からなる場合を意味する。
本発明のトリテルペンおよびポリフェノールを含む組成物が、筋肉量の増加において有意な効果を示すかどうかを試験した。使用したトリテルペンおよびポリフェノールとして、トリテルペンとしてオレアノール酸と、ポリフェノールとしてオレウロペインを含むオレアビータ(登録商標)(ラボラトワールフィトディア社、フランス)を使用した。オレアビータは、オレアノール酸を5%以上、およびオレウロペインを5%以上含有する粉末である。そこで、被験者は、体格指数(BMI)が18.5〜25の健常者(9名)であり、各人は、オレアビータを50mg/日の用量で服用し、服用開始から90日目まで経時的に除脂肪体重(または筋肉量)(kg)を測定し、記録した。なお、除脂肪体重(筋肉量)の測定は、各種機能を備えた市販の体重計によって行われた。
実施例1において試験された被験者らに対して、除脂肪体重の測定と同時に、体脂肪重量(kg)を測定し、記録した。なお、測定には、実施例1と同様に、市販の各種機能を有する体重計を用いた。図2に示されるように、本発明の組成物を服用開始から顕著な体脂肪の減少が観察された。測定期間中の体脂肪重量変化は、平均して−1.2kgであった。
(1)培地調製
DMEM培地(日水製薬株式会社)に10%FBS(GIBCO)を添加し、基本培地とした。オレアノール酸添加培地としては、オレアノール酸(和光純薬工業株式会社)10mgをDMSO(株式会社同仁化学研究所)1mlにて溶解後、DMEM10%FBSで希釈し使用した。オレウロペイン添加培地としては、オレウロペイン(SIGMA−ALDRICH,Co.LLC.)10mgをDMSO(株式会社同仁化学研究所)1mlにて溶解後、DMEM10%FBSで希釈し使用した。次に、ガラスボトムディッシュの観察部位にはあらかじめCellmatrix Type1−C(新田ゼラチン株式会社)0.3μg/100μl/1cm2にてコラーゲンコートを施し、観察用ディッシュを作製した。
妊娠後期のICRマウスの胎児の大腿部の筋肉を分離し、トリプシン(DIFCO)0.25%、ディスパーゼ(合同酒精株式会社)0.25%、EDTA(国産化学株式会社)0.1%/PBS(SIGMA−ALDRICH,Co.LLC.)溶液を加えて、37℃ 5%CO2環境下で50分間処理し分解した。PBSを加え2回遠心にて洗浄後、DMEM10%FBS培地にて適宜希釈した。
オレアノール酸溶液、オレウロペイン溶液を基本培地に各濃度になるよう添加して、調製したガラスボトムディッシュに細胞を播種し、37℃ 5%CO2環境下にて培養した。筋芽細胞が分化して筋管細胞になると拍動するため、培養3日目よりディッシュ内の拍動している筋管細胞を全てカウントした。
細胞播種10日後、オレアノール酸1μM(OA1μM)、オレウロペイン1μM(OP1μM)添加培地ではそれぞれコントロールより拍動している筋管細胞がわずかに増加していたが、オレアノール酸とオレウロペインの組み合わせでは単独より5倍増加しており、筋管細胞に分化促進、増加することが示唆された(図3)。
(1)飼育条件
実験動物には7週齢のC57BL/6J雄マウスを用いた。これらのマウスを無作為に以下の6群に分けた:(a)ノーマルケージ+通常食(オリエンタル酵母)(ND)、(b)6分割ケージ飼育+高脂肪食(HF)、(c)6分割ケージ+オレアノール酸添加食(HF+OA)、(d)6分割ケージ飼育+オレウロペイン添加食(HF+OP)、(e)6分割ケージ飼育+オレアノール酸およびオレウロペイン添加食(HF+OA+OP)、および(f)6分割ケージ飼育+オレアビータ添加食(HF+オレアビータ)。マウスの飼育に用いた6分割ケージは、普通のマウスケージ内をアルミ板で6分割したケージであり、このケージでの飼育はマウスの活動量を約60%低下させることをプレ実験で確認している。高脂肪食はオリエンタル酵母社製のウェスタン飼料(F2WTD粉末)を用いた。この飼料は100g当たり20gの脂肪を含み、カロリー比で40%の脂肪を含む高カロリー飼料である。試験飼料はこの飼料をベースに用い、以下の条件で作成した。オレアノール酸添加食はウェスタン飼料にオレアノール酸(和光純薬155−01701)を飼料1kg当たり50mg、オレウロペイン添加食はオレウロペイン(Chengdu Biopurify Phytochemicals Ltd.Catalogue No.BP1028)を飼料1kg当たり50mg、オレアノール酸+オレウロペイン添加食はオレアノール酸とオレウロペインを飼料1kg当たり各々50mg、オレアビータ添加食はオレアビータを飼料1kg当たり1000mg添加した。飼料に目的の試験試料を混和後、飼料80gに対して20gのバターを加え混和し、更に10%(W/W)で水を加えて捏ねてペースト状にした。その後。ペースト状飼料から直径約2cm程度の団子を作り乾燥機で一晩、加温(60℃)して乾燥させ、更に室温で2日間風乾させてから飼料として用いた。飼育期間中、水は水道水を与え、飼料と水は自由摂取とした。また、2週間毎に体重と摂取量の測定を行った。マウスを断頭にて屠殺し、副睾丸脂肪を採取してその組織重量を測定し、直ちに液体窒素で凍結した。
投与10週間後において、高脂肪食摂取群(HF)と比較して、オレアノール酸添加食(HF+OA)、オレウロペイン添加食(HF+OP)では脂肪減少効果が見られなかったが、オレアビータを添加食(HF+オレアビータ)では有意に減少していた(図4)。オレアノール酸とオレウロペインの相乗効果であると考えられた。
(1)飼育条件
実施例4と同様に、マウスを飼育し、10週間投与後のマウスを断頭にて屠殺し、解剖、及び採血した。
解剖時に採取した血漿サンプルを用いて血漿のインスリン濃度とレプチン濃度を測定した。血漿インスリン濃度はマウスインスリン測定キット(森永生科学研究所)、血漿レプチン濃度はマウス/ラットレプチン測定キット(森永生科学研究所)を用いて、それぞれに添付されたマニュアルに従って測定した。
通常食と比較して高脂肪食群では血漿インスリン濃度が有意に上昇していた。オレアノール酸単独(HF+OA)、オレウロペイン単独(HF+OP)では抑制効果がなかったが、オレアビータ(HF+オレアビータ)では抑制されており、インスリン抵抗性、血糖値の改善効果が期待された(図5)。また、血漿レプチン濃度は高脂肪食摂取により有意に増加しており、オレアノール酸単独(HF+OA)、オレウロペイン単独(HF+OP)では高値だったがオレアビータ(HF+オレアビータ)では有意に抑制されていた。レプチンは摂食抑制、エネルギー消費亢進をもたらすが、高脂肪食摂取ではレプチン抵抗性が起こり、血中濃度が上昇する。オレアビータはレプチン抵抗性を抑制したため血漿レプチン濃度が抑制されたと考えられ、脂質代謝の改善および肥満を解消する効果があった(図6)。
Claims (10)
- トリテルペンとポリフェノール類とを含む、筋肉を増強もしくは増加させ、またはメタボリックシンドロームもしくはQOLを改善させるための組成物。
- トリテルペンが、オレアノール酸、コロソリン酸、ウルソール酸、マスリン酸、およびこれらの誘導体からなる群から1つ以上選択される、請求項1に記載の組成物。
- ポリフェノール類が、オレウロペイン、ヒドロキシチロソール、チロソール、フラボノール配糖体、カテキン類、クロロゲン酸、カテコールアミン分泌促進物質およびUCP−1活性化物質、ならびにこれらの塩または誘導体からなる群から1つ以上選択される、請求項1または2に記載の組成物。
- 肥満防止、体脂肪減少、脂質代謝改善、血糖値改善、インスリン抵抗性改善、糖代謝改善、または白色脂肪細胞の褐色脂肪細胞化促進の効果を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
- トリテルペンとポリフェノール類を5:95〜95:5(重量比)で含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
- トリテルペンとポリフェノール類の総量が、組成物の1重量%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
- トリテルペンがオレアノール酸であり、ポリフェノール類がオレウロペインである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物を含有する医薬組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物を含有する化粧品。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物を含有する食品。
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