以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の一例である複合機1の構成の一例を示す構成図である。
例えば図1に示すように、複合機1は、画像読取部7と、原稿給送部8と、ユーザーが種々の操作指令等を入力するための操作部9と、本体部100と、を備えている。
画像読取部7は、CCD(Charge Coupled Device)センサと露光ランプ等の光源部とを備えるスキャナー部71と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台72と、原稿読取スリット73とを備えている。
スキャナー部71の光源部は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台72に載置された原稿を読み取るときは、原稿台72に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査しつつ取得した画像データを出力する。また、原稿給送部8により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット73と対向する位置に移動され、原稿読取スリット73を介して原稿給送部8による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データを出力する。
原稿給送部8は、原稿を載置するための原稿載置部81と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部82と、原稿載置部81に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット73に対向する位置へ搬送し、原稿排出部82へ排出する原稿搬送機構83と、を備えている。
原稿給送部8は、その前面側が上方に移動可能となるように画像読取部7に対して回動自在に設けられている。原稿給送部8の前面側を上方に移動させて原稿台72の上面を開放することにより、原稿台72の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等を操作者が載置できるように構成されている。
操作部9は、ユーザーが複合機1に備えられた各種機能の実行指示を入力するためのスタートキー91と、印刷部数等を入力するためのテンキー92と、タッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等、各種情報を表示する表示部93を備えている。また、操作部9は、表示部93で設定された設定内容等をリセットするリセットキー94と、実行中の印刷(画像形成)動作を停止させるためのストップキー95と、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能及びファクシミリ機能を切り換えるための機能切換キー96とを備えている。
本体部100は、複数の給紙部2a,2b,2cと、給紙部2a,2b,2cから給紙され搬送されてくる記録紙に画像を形成する画像形成部6と、レジストローラー53と、搬送ローラー対33,43と、マスター制御部10と、を備えている。
給紙部2aは、画像形成部6に給紙する記録紙を貯留するための給紙カセット24aと、給紙カセット24aから用紙を1枚ずつ繰り出す(給紙する)ための、後述のモーター22aにより駆動される給紙ローラー23aとを備えている。
給紙部2bは、給紙部2aと同様に、画像形成部6に給紙する記録紙を貯留するための給紙カセット24bと、給紙カセット24bから用紙を1枚ずつ繰り出すための、後述のモーター22bにより駆動される給紙ローラー23bとを備えている。
給紙部2cは、給紙部2a,2bと同様に、画像形成部6に給紙する記録紙を貯留するための給紙カセット24cと、給紙カセット24cから用紙を1枚ずつ繰り出すための、後述のモーター22cにより駆動される給紙ローラー23cとを備えている。
画像形成部6は、後述する画像読取部7で取得された画像データに基づいてレーザー光等を出力して、感光体ドラム64を露光する光学ユニット65と、感光体ドラム64上にトナー像を形成する現像部66とを備えている。
画像形成部6は、更に、感光体ドラム64上のトナー像を記録紙に転写する転写部67と、トナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる一対のローラー61及び62からなる定着部63とを備えている。
レジストローラー53は、各給紙部2a,2b,2cから給紙される記録紙の搬送経路の合流箇所Pよりも下流側に配設され、後述のモーター52によって駆動するローラー部材である。レジストローラー53は、各給紙部2a,2b,2cから給紙され、各搬送路上を搬送されてきた記録紙を画像形成部6に搬送するタイミングを調整するとともに、記録紙の姿勢を整える。
搬送ローラー対33は、後述のモーター32によって駆動する1対のローラー部材である。搬送ローラー対33は、画像形成部6によって画像が形成された記録紙を本体部100の左方に設けられたスタックトレイ30まで搬送する。
搬送ローラー対43は、後述のモーター42によって駆動する1対のローラー部材である。搬送ローラー対43は、画像形成部6によって画像が形成された記録紙を本体部100の上部に設けられた排出トレイ40まで搬送する。
マスター制御部10は、複合機1全体の動作を制御する。
図2は、複合機1の電気的構成の一例を示すブロック図である。以下、図1と同じ符号を付した部分については、特筆しない限り、説明を省略する。
例えば図2に示すように、複合機1は、レジストローラー53と、レジストローラー53を駆動するためのモーター52と、モーター52を回転駆動させるドライバー51と、を備えている。また、複合機1は、搬送ローラー対43と、搬送ローラー対43を駆動するためのモーター42と、モーター42を回転駆動させるドライバー41と、搬送ローラー対33と、搬送ローラー対33を駆動するためのモーター32と、を回転駆動させるドライバー31と、画像形成部6と、給紙部2a〜2cと、マスター制御部10と、を備えている。
給紙部2aは、給紙ローラー23aと、給紙ローラー23aを駆動するためのモーター22aと、モーター22aを回転駆動させるドライバー21aと、第1給紙制御部(スレーブ制御部)20aと、を備えている。同様に、給紙部2bは、給紙ローラー23bと、給紙ローラー23bを駆動するためのモーター22bと、モーター22bを回転駆動させるドライバー21bと、第2給紙制御部(スレーブ制御部)20bと、を備えている。また、給紙部2cは、給紙ローラー23cと、給紙ローラー23cを駆動するためのモーター22cと、モーター22cを回転駆動させるドライバー21cと、第3給紙制御部(スレーブ制御部)20cと、を備えている。
第1給紙制御部20aは、例えばシリアル通信線等の制御線L1と信号線L2aによってマスター制御部10に接続されている。第1給紙制御部20aは、マスター制御部10による動作指示に従って、給紙部2aの動作を制御する。具体的には、第1給紙制御部20aは、マスター制御部10による動作指示に従って、モーター22aの回転速度に対応する周波数の駆動クロック信号をドライバー21aに出力する。つまり、第1給紙制御部20aは、ドライバー21aを介してモーター22aを駆動クロック信号に対応する所定の回転速度で回転駆動させることによって、給紙ローラー23aの回転動作を制御する。
同様に、第2給紙制御部20bは、例えばシリアル通信線等の制御線L1と信号線L2bによってマスター制御部10に接続されている。第2給紙制御部20bは、マスター制御部10による動作指示に従って、給紙部2bの動作を制御する。具体的には、第2給紙制御部20bは、マスター制御部10による動作指示に従って、モーター22bの回転速度に対応する周波数の駆動クロック信号をドライバー21bに出力する。つまり、第2給紙制御部20bは、ドライバー21bを介してモーター22bを駆動クロック信号に対応する所定の回転速度で回転駆動させることによって、給紙ローラー23bの回転動作を制御する。
また、第3給紙制御部20cは、例えばシリアル通信線等の制御線L1と信号線L2cによってマスター制御部10に接続されている。第3給紙制御部20cは、マスター制御部10による動作指示に従って、給紙部2cの動作を制御する。具体的には、第3給紙制御部20cは、マスター制御部10による動作指示に従って、モーター22cの回転速度に対応する周波数の駆動クロック信号をドライバー21cに出力する。つまり、第3給紙制御部20cは、ドライバー21cを介してモーター22cを駆動クロック信号に対応する所定の回転速度で回転駆動させることによって、給紙ローラー23cの回転動作を制御する。
以下では、説明の便宜上、給紙部2a、2b、2cを総称して説明する場合に、給紙部2と示す。また、第1給紙制御部20a、第2給紙制御部20b、第3給紙制御部20cを総称して説明する場合に、給紙制御部20と示す。また、ドライバー21a,21b,21cを総称して説明する場合に、ドライバー21と示す。また、モーター22a,22b,22cを総称して説明する場合に、モーター22と示す。また、給紙ローラー23a,23b,23cを総称して説明する場合に、給紙ローラー23と示す。また、信号線L2a,L2b,L2cを総称して説明する場合に、信号線L2と示す。
マスター制御部10は、給紙部2a,2b,2cの中から、操作部9によって入力された画像形成動作の条件に対応する記録紙を収容する給紙部2を選択する。そして、マスター制御部10は、選択した給紙部2の動作を制御する給紙制御部20に対して、給紙ローラー23の回転動作を制御するように指示する。
また、マスター制御部10は、画像形成部6に、例えばシリアル通信線等の制御線L6によって接続されている。マスター制御部10は、給紙部2から給紙され、各搬送経路上を搬送されてくる記録紙の所定の位置に画像が形成されるように、画像形成部6における現像、転写及び定着に関わる動作を制御する。
また、マスター制御部10は、信号線L3によってドライバー31に接続されている。マスター制御部10は、モーター32の回転速度に対応する周波数の駆動クロック信号を信号線L3を介してドライバー31に出力し、ドライバー31によってモーター32を駆動クロック信号に対応する所定の回転速度で回転駆動させる。これによって、マスター制御部10は、搬送ローラー対33の回転動作を制御する。
また、マスター制御部10は、信号線L4によってドライバー41に接続されている。マスター制御部10は、モーター42の回転速度に対応する周波数の駆動クロック信号を信号線L4を介してドライバー41に出力し、ドライバー41によってモーター42を駆動クロック信号に対応する所定の回転速度で回転駆動させる。これによって、マスター制御部10は、搬送ローラー対43の回転動作を制御する。
また、マスター制御部10は、信号線L5によってドライバー51に接続されている。マスター制御部10は、モーター52の回転速度に対応する周波数の駆動クロック信号をドライバー51に出力し、ドライバー51を介してモーター52を駆動クロック信号に対応する所定の回転速度で回転駆動させる。これによって、マスター制御部10は、レジストローラー53の回転動作を制御する。
つまり、マスター制御部10は、給紙部2から給紙され、各搬送経路上を搬送されてくる記録紙の所定の位置に画像を形成して、スタックトレイ30又は排出トレイ40に記録紙を搬送するために、第1給紙制御部20a、第2給紙制御部20b、第3給紙制御部20c、レジストローラー53、画像形成部6、搬送ローラー対33及び搬送ローラー対43の各動作のタイミングを調整する。
以下、マスター制御部10及び給紙制御部20の構成について詳述する。図3は、マスター制御部10及び給紙制御部20の構成の一例を示すブロック図である。
マスター制御部10は、例えば図3に示すように、水晶発振器(マスタークロック生成部)18、カウンター回路101、タイマー回路102、通信インターフェイス(I/F)回路103、所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)104、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)105、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory、記憶部)106、駆動クロック生成回路107、及びこれらの周辺回路等を備えている。
水晶発振器18は、例えば、数百MHz程度の高い周波数であるマスター周波数で発振する時間精度の高いマスタークロック信号を発振する。
カウンター回路101は、信号線L2を介して給紙制御部20に備えられた後述の信号出力回路(信号出力部)29から出力されてくる後述のスレーブクロック信号の立ち上がりエッジをカウントする。これによって、カウンター回路101は、スレーブクロック信号のクロック数を測定する。
タイマー回路102は、水晶発振器18から発振されるマスタークロック信号を用いて、マスタークロック信号の周期の所定倍に相当する時間を測定する。
通信インターフェイス回路103は、制御線L1を介して、マスター制御部10と給紙制御部20との間で、例えば制御コマンドを示す信号等の各種信号の通信を行う。
CPU104は、水晶発振器18から発振されるマスタークロック信号に同期して動作し、ROM105等に記憶された制御プログラムを実行することによって各種処理を実行する処理部を構成する。例えば、CPU104は、処理部として、駆動制御部11、画像形成制御部12、クロック誤差算出部13、誤差記録部14、及び補正パラメーター送信部15を構成する。
駆動制御部11は、搬送ローラー対33、搬送ローラー対43、及びレジストローラー53の各ローラー部材を駆動するモーター32、42、52を所定の回転速度で駆動させる制御を行う。具体的には、駆動制御部11は、後述の駆動クロック生成回路107に対して、各モーター32、42、52の回転速度に対応する周波数の駆動クロック信号を各ドライバー31、41、51にそれぞれ出力させる指示を示す信号を出力する。
また、駆動制御部11は、通信インターフェイス回路103を介して、給紙制御部20に対して、給紙ローラー23を所定の回転速度で回転動作させる指示を示す信号を送信する。
画像形成制御部12は、画像形成部6における現像、転写及び定着に関わる動作を制御する。
クロック誤差算出部13は、水晶発振器18から発振されるマスタークロック信号に基づいて、給紙制御部20に設けられた後述の信号出力回路29から出力されたスレーブクロック信号の周期に関する情報を周期情報として取得し、取得した周期情報に基づいて、スレーブクロック信号の誤差を算出する。尚、クロック誤差算出部13の詳細については後述する。
誤差記録部14は、クロック誤差算出部13によって算出されたスレーブクロック信号の誤差をRAM106に記憶する。尚、誤差記録部14の詳細については後述する。
補正パラメーター送信部15は、クロック誤差算出部13によって算出されたスレーブクロック信号の誤差を用いて、給紙制御部20の動作に関する制御パラメーターを補正し、通信インターフェイス回路103によって、補正後の制御パラメーターを給紙制御部20に送信する。尚、補正パラメーター送信部15の詳細については後述する。
駆動クロック生成回路107は、図略の逓倍回路及び分周回路を備えている。駆動クロック生成回路107は、駆動制御部11からの指示に従って、各モーター32、42、52の回転速度に対応する周波数の駆動クロック信号を、水晶発振器18から発振されるマスタークロック信号の周期を逓倍する又は分周することによってそれぞれ生成し、生成した駆動クロック信号をそれぞれ各ドライバー31、41、51に出力する。
一方、給紙制御部20は、RC発振回路(スレーブクロック生成部)28、信号出力回路(信号出力部)29、通信インターフェイス(I/F)回路203、所定の演算処理を実行するCPU204、所定の制御プログラムが記憶されたROM205、データを一時的に記憶するRAM206、駆動クロック生成回路207、及びこれらの周辺回路等を備えている。
RC発振回路28は、水晶発振器18よりも時間精度が低く、例えば数十MHz程度のマスター周波数よりも低い周波数であるスレーブ周波数で発振するスレーブクロック信号を発振する。
信号出力回路29は、RC発振回路28から発振されるスレーブクロック信号を、信号線L2を介してマスター制御部10に出力する。
通信インターフェイス回路203は、制御線L1を介して、マスター制御部10と給紙制御部20との間で、例えば制御コマンドを示す信号等の各種信号の通信を行う。
CPU204は、RC発振回路28から発振されるスレーブクロック信号に同期して動作し、ROM205等に記憶された制御プログラムを実行することによって各種処理を実行する処理部を構成する。例えば、CPU204は、処理部として、駆動制御部25、補正パラメーター受信部26、及びパラメーター補正部27を構成する。
駆動制御部25は、給紙ローラー23を駆動するモーター22を所定の回転速度で駆動させる制御を行う。具体的には、駆動制御部25は、通信インターフェイス回路203を介して、マスター制御部10の駆動制御部11によって送信された給紙ローラー23の回転動作の指示を示す信号を受信する。そして、駆動制御部25は、当該受信した信号によって示される指示に従って、モーター22を所定の回転速度で駆動させるために、後述の駆動クロック生成回路207に対して、モーター22の回転速度に対応する周波数の駆動クロック信号をドライバー21に出力させる指示を示す信号を出力する。
補正パラメーター受信部26は、通信インターフェイス回路203を介して、補正パラメーター送信部15によって送信された補正後の制御パラメーターを受信する。尚、補正パラメーター受信部26の詳細については後述する。
パラメーター補正部27は、補正パラメーター受信部26により受信された補正後の制御パラメーターによって、給紙制御部20の動作に関する制御パラメーターを置き換える。尚、パラメーター補正部27の詳細については後述する。
駆動クロック生成回路207は、図略の逓倍回路及び分周回路を備えている。駆動クロック生成回路207は、駆動制御部25からの指示に従って、モーター22の回転速度に対応する周波数の駆動クロック信号を、RC発振回路28から発振されるスレーブクロック信号の周期を逓倍する又は分周することによって生成し、生成した駆動クロック信号をドライバー21に出力する。
図4は、スレーブクロック信号の誤差の算出動作に関わるマスター制御部10の動作の一例を示すフローチャートである。図5は、スレーブクロック信号の誤差の算出動作に関わる給紙制御部20の動作の一例を示すフローチャートである。以下では、図4及び図5を用いて、スレーブクロック信号の誤差の算出動作について説明する。そして、当該説明の中で、クロック誤差算出部13、誤差記録部14、補正パラメーター送信部15、補正パラメーター受信部26、及びパラメーター補正部27の詳細について説明する。
例えば、図4及び図5に示すように、ユーザーによって複合機1に電源が投入されると、マスター制御部10及び給紙制御部20はそれぞれ起動する(SA1、SB1)。
マスター制御部10では、水晶発振器18によってマスタークロック信号の発振が開始され、CPU104はROM105に記憶された制御プログラムの実行を開始し、RAM106や周辺回路の初期化処理を行う(SA2)。
一方、給紙制御部20では、RC発振回路28によってスレーブクロック信号の発振が開始され、CPU204はROM205に記憶された制御プログラムの実行を開始し、RAM206や周辺回路の初期化処理を行う(SB2)。
例えば、給紙制御部20は、初期化処理として、ROM205に予め記憶されている給紙ローラー23の所定の回転速度を読み出してRAM206に記憶する。駆動制御部25は、給紙ローラー23を回転動作させる場合には、駆動クロック生成回路207に対して、RAM206に記憶された所定の回転速度に対応する周波数の駆動クロック信号をドライバー21に出力させる指示を示す信号を出力する。
そして、信号出力回路29は、信号線L2を介して、RC発振回路28から発振されるスレーブクロック信号をマスター制御部10へ出力する(SB3)。
カウンター回路101は、信号出力回路29から出力されたスレーブクロック信号を受信すると(SA3;YES)、受信したスレーブクロック信号の立ち上がりエッジのカウントを開始する。つまり、カウンター回路101は、スレーブクロック信号のクロック数の測定を開始する(SA4)。
次に、クロック誤差算出部13は、ステップSA4でスレーブクロック信号のクロック数の測定が開始されてから、測定値が予め定められた基準値になるまで測定するのに要した時間を、タイマー回路102を用いて測定する(SA5)。尚、基準値は、例えば、試験運転等の実験値等に基づいて、スレーブクロック信号のクロック数の測定を開始してから、マスタークロック信号の1周期以上の誤差が生じるまでの間に測定したスレーブクロック信号のクロック数に設定され、その値はROM105等に予め記憶されている。
次に、クロック誤差算出部13は、ステップSA5で測定した時間を、スレーブクロック信号の周期に関する情報である周期情報としてRAM106に記憶する(SA6)。
図6は、クロック誤差算出部13によるスレーブクロック信号の誤差を算出する動作の一例を示す説明図である。図6において、符号Tmは、マスタークロック信号の1周期を示している。また、符号Tsは、スレーブクロック信号の正しい周期を示し、つまり、誤差が生じていないときのスレーブクロック信号の1周期を示している。以下、スレーブクロック信号の正しい周期を基準発振時間Tsと示す。また、図6においては、基準発振時間Tsは、マスタークロック信号の1周期Tmの10倍(10×Tm、×は乗算(掛け算)を示す)の時間に設定されている。
また、図6は、カウンター回路101によってスレーブクロック信号のクロック数の測定が開始されてから、測定値が基準値としての「10」になるまで測定するのに要した時間が、マスタークロック信号の110周期分に相当する時間である「110×Tm」であった場合を示している。
この場合、クロック誤差算出部13は、ステップSA5において、スレーブクロック信号のクロック数の測定を開始してから、測定値が基準値としての「10」になるまで測定するのに要した時間を、マスタークロック信号の110周期分に相当する時間である「110×Tm」と測定する。そして、クロック誤差算出部13は、ステップSA6において、当該測定した時間「110×Tm」を周期情報としてRAM106に記憶する。
次に、クロック誤差算出部13は、ステップSA6で周期情報としてRAM106に記憶した、スレーブクロック信号のクロック数の測定を開始してから測定値が基準値になるまで測定するのに要した時間を基準値によって除算する。これによって、クロック誤差算出部13は、スレーブクロック信号が1クロック発振するのに要した時間、つまり、スレーブクロック信号の周期に相当する時間である第1単位発振時間T1を算出する(SA7)。
例えば図6に示すように、クロック誤差算出部13は、ステップSA7において、スレーブクロック信号のクロック数の測定を開始してから測定値が基準値になるまで測定するのに要した時間「110×Tm」を基準値「10」によって除算する。そして、クロック誤差算出部13は、当該除算した結果の「110×Tm/10(/は除算(割り算)」を第1単位発振時間T1として算出する。
次に、クロック誤差算出部13は、ステップSA7で算出した第1単位発振時間T1と基準発振時間Tsとの差又は比率を表す第1誤差値Td1を算出し、当該算出した第1誤差値Td1をスレーブクロック信号の誤差とする(SA8)。
例えば図6に示すように、クロック誤差算出部13は、ステップSA7で算出した第1単位発振時間T1(=110×Tm/10)から、基準発振時間Ts(=10×Tm)を減算することによって、第1単位発振時間T1と基準発振時間Tsとの差を表す第1誤差値Td1(=Tm)を算出し、当該算出した第1誤差値Td1をスレーブクロック信号の誤差とする。
又は、クロック誤差算出部13は、ステップSA7で算出した第1単位発振時間T1(=110×Tm/10)を、基準発振時間Ts(=10×Tm)によって除算することによって、第1単位発振時間T1と基準発振時間Tsとの比率を表す第1誤差値Td1(=1.1)を算出する。
次に、誤差記録部14は、ステップSA8でクロック誤差算出部13によって算出されたスレーブクロック信号の誤差をRAM106に記憶する(SA9)。
次に、補正パラメーター送信部15は、ステップSA8でクロック誤差算出部13によって算出されたスレーブクロック信号の誤差に基づいて、給紙制御部20の動作に関わる制御パラメーターを補正し(SA10)、ステップSA10で補正した制御パラメーターである補正パラメーターを給紙制御部20に送信する(SA11)。
一方、給紙制御部20において、補正パラメーター受信部26は、補正パラメーター送信部15から送信された補正パラメーターを受信すると(SB5;YES)、パラメーター補正部27は、補正パラメーター受信部26によって受信された補正パラメーターによって、給紙制御部20の動作に関わる制御パラメーターを置き換える(SB6)。
例えば図6に示すように、ステップSA8でクロック誤差算出部13によって算出されたスレーブクロック信号の誤差が、第1単位発振時間T1と基準発振時間Tsとの差として算出され、「Tm」であったものとする。この場合、スレーブクロック信号は、基準発振時間Tsよりもマスタークロック信号の1周期分長い周期(Ts+Tm、+は足し算(加算)を示す)で発振している。つまり、スレーブクロック信号は、誤差のない正しいスレーブクロック信号よりも遅いペースで発振している。
この場合、補正パラメーター送信部15は、ステップSA10において、ステップSA8でクロック誤差算出部13によって算出されたスレーブクロック信号の誤差(Tm)を基準発振時間Tsに加算することによって、スレーブクロック信号の周期(Ts+Tm=11×Tm)を算出する。そして、補正パラメーター送信部15は、算出したスレーブクロック信号の周期(11×Tm)を基準発振時間Ts(=10×Tm)で除算することによって、回転速度を補正する度合い(1.1)を算出する。そして、補正パラメーター送信部15は、当該算出した回転速度を補正する度合い(1.1)で、給紙ローラー23の回転速度を補正することを示す情報を補正パラメーターとして給紙制御部20に送信する。
又は、例えば図6に示すように、ステップSA8でクロック誤差算出部13によって算出されたスレーブクロック信号の誤差が、第1単位発振時間T1と基準発振時間Tsとの比率として算出され、「1.1」であったものとする。この場合、スレーブクロック信号は、基準発振時間Tsの1.1倍の周期(1.1×Ts)で発振している。つまり、スレーブクロック信号は、誤差のない正しいスレーブクロック信号よりも遅いペースで発振している。
この場合、補正パラメーター送信部15は、ステップSA10において、ステップSA8で算出されたスレーブクロック信号の誤差(1.1)をそのまま、給紙ローラー23の回転速度を補正する度合いとし、当該回転速度を補正する度合い(1.1)で、給紙ローラー23の回転速度を補正することを示す情報を補正パラメーターとして給紙制御部20に送信する。
一方、給紙制御部20では、ステップSB5において、補正パラメーター受信部26によって、補正パラメーターとしての給紙ローラー23の回転速度を所定の度合い(1.1倍)で補正することを示す情報が受信される。そして、パラメーター補正部27は、ステップSB6において、ステップSB2における初期化処理でRAM206に記憶された給紙ローラー23の回転速度を読み出して、これに補正パラメーター受信部26によって受信された補正パラメーターが示す回転速度を補正する度合い(1.1)を乗算する。そして、パラメーター補正部27は、当該乗算結果によって、RAM206に記憶されていた回転速度を置き換える。
尚、ROM105にも、給紙ローラー23の所定の回転速度を示す情報を予め記憶するように構成してもよい。これに合わせて、補正パラメーター送信部15は、ステップSA10において、ROM105に記憶している給紙ローラー23の回転速度に、回転速度を補正する度合いを乗算するように構成してもよい。そして、補正パラメーター送信部15は、当該乗算結果が示す補正後の回転速度を示す情報を補正パラメーターとして給紙制御部20に送信するように構成してもよい。そして、これに合わせて、パラメーター補正部27は、ステップSB5において、補正パラメーター受信部26によって受信された補正パラメーターが示す補正後の回転速度によって、RAM206に記憶された回転速度を置き換えるように構成してもよい。
このように、上記実施形態の構成によれば、スレーブクロック信号の周期は、マスタークロック信号の周期よりも長いので、スレーブクロック信号の周期を所定倍に変換する必要がない。そのため、信号出力回路29は、スレーブクロック信号を変換することなく、そのままマスター制御部10に送信する。したがって、スレーブクロック信号の周期を所定倍に変換する過程で、変換の精度に起因してスレーブクロック信号の周期が正確に所定倍にならない虞を回避することができる。これによって、信号出力回路29から出力されたスレーブクロック信号の周期に関する正確な情報を周期情報として取得することができる。そして、この正確に取得した周期情報に基づいてスレーブクロック信号の誤差を算出するため、スレーブクロック信号の誤差を精度良く算出することができる。
また、上記実施形態の構成によれば、クロック誤差算出部13によって、マスタークロック信号に基づいて、スレーブクロック信号のクロック数の測定を開始してから、測定値が予め定められた基準値になるまで測定するのに要した時間が周期情報として測定され、当該測定された時間を基準値によって除算した結果である第1単位発振時間T1が算出される。つまり、スレーブクロック信号が1クロック発振するのに要する時間であるスレーブクロック信号の周期が第1単位発振時間T1として算出される。そして、第1単位発振時間T1と基準発振時間Tsとの差又は比率を表す第1誤差値Td1がスレーブクロック信号の誤差として算出される。
このため、スレーブクロック信号の誤差を、給紙制御部20から出力されたスレーブクロック信号の周期を示す第1単位発振時間T1と、スレーブクロック信号の正しい周期に対応する基準発振時間Tsとの差又は比率として、適切に算出することができる。
また、上記実施形態の構成によれば、誤差記録部14によって、クロック誤差算出部13によって算出されたスレーブクロック信号の誤差をRAM106に記憶することができる。したがって、例えば複合機1の初期起動時等に、クロック誤差算出部13によって算出されたスレーブクロック信号の誤差をRAM106に記憶することができる。
このため、スレーブクロック信号の誤差をRAM106に記憶した後は、クロック誤差算出部13によってスレーブクロック信号の誤差を算出することなく、RAM106からスレーブクロック信号の誤差を容易に取得することができ、スレーブクロック信号の誤差を算出するのに要する時間を軽減することができる。
また、上記実施形態の構成によれば、マスター制御部10において、クロック誤差算出部13によって精度良く算出された誤差に基づいて、給紙制御部20の動作に関する制御パラメーターを精度良く補正することができる。そして、このように精度良くされた補正後の制御パラメーターを給紙制御部20に送信し、給紙制御部20の動作に関する制御パラメーターを補正後の制御パラメーターによって置き換えることができる。このため、スレーブクロック信号に誤差が生じた場合であっても、給紙制御部20の動作を精度良く補正することができる。
また、上記実施形態の構成によれば、水晶発振器18によって発振される時間精度の高いマスタークロック信号を用いることによって、RC発振回路28から発振されたスレーブクロック信号の周波数情報を精度良く取得することができる。このため、給紙制御部20は、高価な水晶発振器を備える必要がなく、低価格なRC発振回路を備えるようにして安価に構成することができる。
尚、上記実施形態において図1乃至図6に示した構成は単なる一例に過ぎず、本発明を当該実施形態に限定する趣旨ではない。
図7は、スレーブクロック信号の誤差の算出動作に関わるマスター制御部10の動作の図4とは別の一例を示すフローチャートである。例えば、図7に示すように、図4に示したステップSA5〜SA11を、ステップSA25〜SA31に置き換えて構成してもよい。
具体的には、クロック誤差算出部13は、タイマー回路102によって、ステップSA4でスレーブクロック信号のクロック数の測定が開始されてから、予め定められた基準時間Tf経過したことが測定されるまでの間、カウンター回路101によってスレーブクロック信号のクロック数を測定させる(SA25)。尚、基準時間Tfは、例えば、試験運転等の実験値等に基づいて、スレーブクロック信号が発振を開始してから、マスタークロック信号の1周期以上の誤差が生じるまでに経過した時間によって設定され、その値はROM105等に予め記憶されている。
次に、クロック誤差算出部13は、ステップSA25で測定したスレーブクロック信号のクロック数を、スレーブクロック信号の周期に関する情報である周期情報としてRAM106に記憶する(SA26)。
図8は、クロック誤差算出部13によるスレーブクロック信号の誤差を算出する動作の図6とは別の一例を示す説明図である。図8において、符号Tmは、図6と同様に、マスタークロック信号の1周期を示している。また、符号Tsは、図6と同様に、基準発振時間Tsを示している。また、図8においては、図6と同様に、基準発振時間Tsは、マスタークロック信号の1周期Tmの10倍(10×Tm)の時間に設定されている。
また、図8は、タイマー回路102によって、カウンター回路101によってスレーブクロック信号のクロック数の測定が開始されてから、基準時間Tfとしてのマスタークロック信号の100周期分に相当する時間(100×Tm)の経過が測定されるまでの間に、カウンター回路101によって測定されたスレーブクロック信号のクロック数が「9」であった場合を示している。
この場合、クロック誤差算出部13は、ステップSA25において、スレーブクロック信号のクロック数の測定を開始してから、基準時間Tfとしてのマスタークロック信号の100周期分に相当する時間(110×Tm)が経過したことがタイマー回路102によって測定されるまでの間のスレーブクロック信号のクロック数を、「9」と測定する。そして、クロック誤差算出部13は、ステップSA26において、当該測定したクロック数「9」を周期情報としてRAM106に記憶する。
次に、クロック誤差算出部13は、ステップSA26で周期情報としてRAM106に記憶した、スレーブクロック信号のクロック数の測定を開始してから基準時間Tfが経過するまでの間のスレーブクロック信号のクロック数によって、基準時間Tfを除算する。これによって、クロック誤差算出部13は、スレーブクロック信号が1クロック発振するのに要した時間、つまり、スレーブクロック信号の周期に相当する時間である第2単位発振時間(単位発振時間)T2を算出する(SA27)。
例えば図8に示すように、クロック誤差算出部13は、ステップSA27において、スレーブクロック信号のクロック数の測定を開始してから基準時間Tfが経過するまでの間のスレーブクロック信号のクロック数「9」によって、基準時間Tf「100×Tm」を除算する。そして、クロック誤差算出部13は、当該除算した結果の「100×Tm/9」を第2単位発振時間T2として算出する。
次に、クロック誤差算出部13は、ステップSA27で算出した第2単位発振時間T2と基準発振時間Tsとの差又は比率を表す第2誤差値(誤差値)Td2を算出し、当該算出した第2誤差値Td2をスレーブクロック信号の誤差とする(SA28)。
例えば図8に示すように、クロック誤差算出部13は、ステップSA27で算出した第2単位発振時間T2(=100×Tm/9)から、基準発振時間Ts(=10×Tm)を減算することによって、第2単位発振時間T2と基準発振時間Tsとの差を表す第2誤差値Td2(=(10/9)×Tm)を算出し、当該算出した第2誤差値Td2をスレーブクロック信号の誤差とする。
又は、クロック誤差算出部13は、ステップSA27で算出した第2単位発振時間T2(=100×Tm/9)を、基準発振時間Ts(=10×Tm)によって除算することによって、第2単位発振時間T2と基準発振時間Tsとの比率を表す第2誤差値Td2(=10/9)を算出する。
次に、誤差記録部14は、ステップSA9と同様に、ステップSA28でクロック誤差算出部13によって算出されたスレーブクロック信号の誤差をRAM106に記憶する(SA29)。
次に、補正パラメーター送信部15は、ステップSA10と同様に、ステップSA28でクロック誤差算出部13によって算出されたスレーブクロック信号の誤差に基づいて、給紙制御部20の動作に関わる制御パラメーターを補正する(SA30)。そして、補正パラメーター送信部15は、ステップSA11と同様に、ステップSA30で補正した制御パラメーターである補正パラメーターを給紙制御部20に送信する(SA31)。
この構成によれば、クロック誤差算出部13によって、マスタークロック信号に基づいて、予め定められた基準時間Tf内に測定したスレーブクロック信号のクロック数によって基準時間Tfを除算した結果である第2単位発振時間T2が算出される。つまり、スレーブクロック信号が1クロック発振するのに要する時間であるスレーブクロック信号の周期が第2単位発振時間T2として算出される。そして、第2単位発振時間T2と基準発振時間Tsとの差又は比率を表す第2誤差値Td2がスレーブクロック信号の誤差として算出される。
このため、スレーブクロック信号の誤差を、給紙制御部20から出力されたスレーブクロック信号の周期を示す第2単位発振時間T2と、スレーブクロック信号の正しい周期に対応する基準発振時間Tsとの差又は比率として、適切に算出することができる。
また、例えば図4に示したステップSA4〜SA8の実行後、更に、例えば図7に示したステップSA24〜SA28を実行するように構成してもよい。そして、これに合わせて、ステップSA4〜SA8の実行によって算出された第1誤差値Td1(例えば、「Tm」又は「1.1」(図6))とステップSA24〜SA28の実行によって算出された第2誤差値Td2(例えば、「(10/9)×Tm」又は「10/9」(図8))の平均値(「(19/18)×Tm」又は「199/180」)を、ステップSA6で算出されるスレーブクロック信号の誤差とするように構成してもよい。
この構成によれば、第1誤差値Td1と第2誤差値Td2の平均値をスレーブクロック信号の誤差として算出する。つまり、第1誤差値Td1及び第2誤差値Td2のうちの何れか1つの誤差値をスレーブクロック信号の誤差とする場合に比して、誤差の算出回数を1回多くすることによって、スレーブクロック信号の誤差の精度を高めることができる。
尚、上記実施形態において図7及び図8に示した構成は単なる一例に過ぎず、本発明を当該実施形態に限定する趣旨ではない。
また、給紙制御部20は、RC発振回路28に代えて、例えば、セラミック発振子を用いる発振回路を備えるように構成してもよい。また、マスター制御部10は、水晶発振器18に代えて、例えば、スレーブクロック信号よりも時間精度の高いセラミック発振子を用いた発振回路を備えるように構成してもよい。
また、CPU104が、処理部として、補正パラメーター送信部15を構成しないようにしてもよい。また、CPU204が、処理部として、補正パラメーター受信部26を構成しないようにしてもよい。これに合わせて、ステップSA10〜SA11(図4)、ステップSA30〜SA31(図7)、及びステップSB4〜SB5(図5)の処理を実行しないように、スレーブクロック信号の誤差の算出動作を簡素化してもよい。
また、CPU104が、処理部として、誤差記録部14を構成しないようにし、これに合わせて、ステップSA9(図4)及びステップSA29(図7)の処理を実行しないようにスレーブクロック信号の誤差の算出動作を簡素化してもよい。
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の複合機1に適用される場合の他、コピー機、スキャナー装置、及びファクシミリ装置等の画像形成装置に適用することが可能である。