JP5685496B2 - 電子回路部品装着システム - Google Patents

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Description

本発明は、トレイ等の部品保持体から電子回路部品を取り出し、回路基材に装着する電子回路部品装着システムに関するものであり、特に、同数の電子回路部品を保持し得る部品保持体の小形化を可能にする技術に関するものである。
電子回路部品を供給するトレイにおいては、従来、下記の特許文献1に記載されているように、平面的に並べて形成された複数の部品収容凹部の各々に電子回路部品が1個ずつ収納されている。
特開2008−10594号公報
しかしながら、従来のトレイには改善の余地がある。例えば、行方向と列方向とにそれぞれ所定のピッチで格子状に配列された複数の部品収容凹部の各々に1つずつの電子回路部品が互いに同じ回転位相で収容されているため、電子回路部品の平面形状がL字形等、密に配列し難い形状のものである場合には、1つのトレイに形成し得る部品収容凹部の数が少なくなる。その結果、同じ数の電子回路部品を供給するために多数のトレイが必要となり、あるいは1つのトレイにより所望数の電子回路部品を供給しようとすれば、トレイが大形化し、配置に大きいスペースを要する場合があるというように改善の余地があるのである。
本発明は、上記の事情を背景として為されたものであり、改善された部品保持体から供給される電子回路部品の装着が可能な電子回路部品装着システムの提供を課題とする。
上記課題は、電子回路部品装着システムを、(a)第1規則に従って繰り返し規定される複数の単位スペースの各々において、それぞれ複数の電子回路部品が第2規則に従って規定される複数の状態で保持された部品保持体を支持する部品保持体支持装置と、(b)電子回路部品が装着されるべき回路基材を支持する回路基材支持装置と、(c)前記電子回路部品を解放可能に保持する部品保持具と、(d)前記部品保持体支持装置に支持された部品保持体の前記単位スペース毎の前記複数の電子回路部品の各々を前記部品保持具により保持させるべき位置である部品保持位置を順次取得する部品保持位置取得部と、(e)前記回路基材支持装置に支持された回路基材の電子回路部品を装着すべき位置である部品装着位置を順次取得する部品装着位置取得部と、(f)前記部品保持体支持装置および前記回路基材支持装置と、前記部品保持具とを、前記部品保持位置取得部により取得された部品保持位置と、部品装着位置取得部により取得された部品装着位置とに基づいて相対移動させ、前記部品保持体保持装置に保持された部品保持体から前記電子回路部品を前記部品保持具に保持させ、前記回路基材保持装置に保持された回路基材に装着させる相対移動装置とを含むものとすることにより解決される。
前記部品保持位置取得部と前記部品装着位置取得部との少なくとも一方を、さらに、前記部品保持具の前記部品保持体から前記電子回路部品を保持する際の回転位置と、前記部品保持具の前記回路基材へ前記回路部品を装着する際の回転位置との少なくとも一方を取得するものとすることにより、前記課題が一層良好に解決される。
上記構成の電子回路部品装着システムによれば、第1規則に従って繰り返し規定される複数の単位スペースの各々において、それぞれ複数の電子回路部品が第2規則に従って規定される複数の状態で保持された部品保持体から電子回路部品を取り出し、回路基材に装着することが可能となる。上記部品保持体は従来の部品保持体に比較して電子回路部品の配列密度を高くし得るため、部品保持体の交換頻度を低くすることができ、その分、作業工数を減らすことができる。また、部品保持体の消費量を減らすこともできる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、本願の特許請求の範囲に記載された発明である本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載,従来技術等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、(4)項が請求項4に、(5)項が請求項5にそれぞれ相当する。
(1)第1規則に従って繰り返し規定される複数の単位スペースの各々において、それぞれ複数の電子回路部品が第2規則に従って規定される複数の状態で保持された部品保持体を支持する部品保持体支持装置と、
電子回路部品が装着されるべき回路基材を支持する回路基材支持装置と、
前記電子回路部品を解放可能に保持する部品保持具と、
前記部品保持体支持装置に支持された部品保持体の前記単位スペース毎の前記複数の電子回路部品の各々を前記部品保持具により保持させるべき位置である部品保持位置を順次取得する部品保持位置取得部と、
前記回路基材支持装置に支持された回路基材の電子回路部品を装着すべき位置である部品装着位置を順次取得する部品装着位置取得部と、
前記部品保持体支持装置および前記回路基材支持装置と、前記部品保持具とを、前記部品保持位置取得部により取得された部品保持位置と、部品装着位置取得部により取得された部品装着位置とに基づいて相対移動させ、前記部品保持体保持装置に保持された部品保持体から前記電子回路部品を前記部品保持具に保持させ、前記回路基材保持装置に保持された回路基材に装着させる相対移動装置と
を含むことを特徴とする電子回路部品装着システム。
次項に記載の態様で本発明を実施することが特に有効であるが、それに限定されるわけではない。第1規則に従って繰り返し規定される複数の単位スペースの各々において、それぞれ複数の電子回路部品を第2規則に従って規定される複数の状態で配列すれば、従来より電子回路部品の配列密度を増大させることが可能となるのである。例えば、平板的な形状のトレイにおいて剛性を向上させるために、格子状に補強リブを形成し、それら補強リブの間に形成されるくぼみを部品収容凹部として利用することが広く行われているが、その場合には、部品収容凹部の形成ピッチと補強リブの形成ピッチとが必然的に同じになる。そして、補強リブは部品保持体の形成技術上、ある程度の厚さにせざるを得ないため、その分、部品収容凹部の形成密度が低くなってしまうのであるが、後に実施形態の互いに隣接する補強リブの間に複数の収容凹部を形成すれば、後に実施形態として具体的に説明するように、部品収容凹部の形成密度、すなわち電子回路部品の配列密度を向上させることができる。
(2)前記部品保持位置取得部と前記部品装着位置取得部との少なくとも一方が、さらに、前記部品保持具の前記部品保持体から前記電子回路部品を保持する際の回転位置と、前記部品保持具の前記回路基材へ前記回路部品を装着する際の回転位置との少なくとも一方を取得する(1)項に記載の電子回路部品装着システム。
本項に記載の電子回路部品装着システムによれば、単位スペースに保持された電子回路部品の回転位相が複数種類に異ならされた部品保持体から、部品保持具に電子回路部品を受け取らせて回路基材に装着させることができる。そのため、平面形状がL字形等、回転位相が1種類に限定される場合には、部品保持体において密に配列し難い形状の電子回路部品を、後に実施形態として具体的に説明するように密に配列することが可能となり、一層効果的となる。
(3)前記部品保持体支持装置が、前記部品保持体として、前記複数の単位スペースが、一面上において互いに交差する2方向の各々に関してそれぞれ繰り返し規定される規則に従って面配列された面保持体を支持する面保持体支持装置を含む(1)項または(2)項に記載の電子回路部品装着システム。
面保持体の一例は、上記一面が一平面であるトレイであるが、可撓性のあるシートとすることも可能である。後者の場合は、部品保持体支持装置を、シートを湾曲させた状態、例えば、円筒面上にシートを、そのシートの電子回路部品を保持する面を半径方向外向きにして巻き付けた状態、あるいはシートをロール状に巻かれた状態(シートの電子部品を保持する面が外向き状態でも内向きの状態でもよい)で保持するものとすることも可能であり、部品保持体支持装置の設置所要スペースを縮小したり、相対移動装置による相対移動距離を短縮して装着作業能率を向上させたりすることが可能になる。ただし、後者の場合は、部品保持体からの電子回路部品の脱落を防止する手段、例えば、カバー,シート側への吸引手段,シートへの粘着手段等を設けることが望ましい。
(4)前記複数の単位スペースが順序付けられており、前記相対移動装置が、前記複数の単位スペースの前記順序付けが先である先単位スペースに保持された前記複数の電子回路部品を1個ずつ順次前記部品保持具に保持させ、その先単位スペースに保持された電子回路部品のすべての保持が終了した後、その先単位スペースの次に順序付けられた単位スペースである後単位スペースに保持された前記複数の電子回路部品のすべてを1個ずつ、前記先単位スペースにおける前記複数の電子回路部品の保持順序と同じ保持順序で前記部品保持具に保持させることを、前記順序付けの順に繰り返すものである(3)項に記載の電子回路部品装着システム。
(5)前記複数の単位スペースが順序付けられており、前記相対移動装置が、前記複数の単位スペースの前記順序付けが先である先単位スペースに前記複数の状態の1つである第1状態で保持された1つの電子回路部品を前記部品保持具に保持させ、次に、前記先単位スペースの次に順序付けられた単位スペースである後単位スペースに前記第1状態で保持された電子回路部品を前記部品保持具に保持させることを、前記順序付けの順に繰り返すものである(3)項に記載の電子回路部品装着システム。
(6)前記複数の単位スペースが、前記順序付けの順に従って予め設定された数の単位スペースを含む単位スペース群として規定されており、前記相対移動装置が、その単位スペース群内において前記繰り返しを行う(4)項または(5)項に記載の電子回路部品装着システム。
(7)前記相対移動装置が、前記部品保持体全体の単位スペースを前記単位スペース群として作動するものである(6)項に記載の電子回路部品装着システム。
一実施形態である電子回路部品装着システムを示す平面図である。 上記電子回路部品装着システムの装着制御部の装着ヘッドを示す側面図である。 上記電子回路部品装着装置システムのトレイ型部品供給装置を示す平面図である。 上記トレイ型部品供給装置を示す右側面図である。 上記トレイ型部品供給装置のトレイおよび支持台を示す平面図である。 従来のトレイの一例を示す平面図である。 従来のトレイの別の一例を示す平面図である。 図5に示したトレイの一部を拡大して示す平面図である。 図8における9−9断面図である。 図5に示したのとは別のレイの一部を拡大して示す平面図である。 図10における11−11断面図である。 前記電子回路部品装着システムの制御装置を示すブロック図である。 上記制御装置のROMに格納されているトレイデータ作成プログラムを示すフローチャートである。 上記制御装置のROMに格納されている装着プログラムを示すフローチャートである。 上記装着プログラムの部品取出しステップのうちの複数配列トレイからの部品取出しの部分を抜き出して示すフローチャートである。 複数配列トレイからの部品取出順序を説明するための図である。 複数配列トレイからの部品取出順序を説明するための別の図である。 トレイ支持台上における複数配列トレイの配置姿勢を概略的に示す説明図である。 請求可能発明の別の実施形態である電子回路部品装着システムのトレイ型部品供給装置に保持される複数配列トレイを示す平面図である。 図19における20−20断面図である。 図13のフローチャートで表されるトレイデータ作成プログラムの実行により作成される取出データ表の一例を示す図表である。 図13のフローチャートで表されるトレイデータ作成プログラムの実行により作成される取出データ表の別の例を示す図表である。
以下、請求可能発明のいくつかの実施形態を、上記各図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
図1に、請求可能発明の一実施形態としての電子回路部品装着システムを示す。本電子回路部品装着システムは、基板搬送装置6,基板保持装置8,トレイ型部品供給装置10,フィーダ型部品供給装置12,装着装置14および制御装置16(図12参照)を含む電子回路部品装着機18を1台以上含む。基板搬送装置6は、装着機本体としてのベッド20上に設けられ、回路基材の一種である回路基板22を水平な姿勢で一方向に搬送する。基板保持装置8は、例えば、基板搬送装置6により搬入され、基板保持装置8上において停止させられた回路基板22を支持部材により下方から支持するとともに、回路基板22の搬送方向に平行な両縁をクランプ部材によりクランプする装置とされ、回路基板22は部品装着面が水平な姿勢で支持される。
装着装置14は、図1に示すようにヘッドユニット30およびヘッド移動装置32を含む。ヘッド移動装置32はヘッドユニット30を、基板保持装置8に保持された回路基板22の部品装着面に平行な一平面内において互いに直交する2方向へ移動させる。その2方向の一方をX軸方向、他方をY軸方向とする。本電子回路部品装着システムにおいては基板搬送方向に平行な方向をX軸方向とし、X軸,Y軸方向はいずれも水平である。ヘッド移動装置32はX軸方向移動装置34およびY軸方向移動装置36を含み、ヘッドユニット30を水平面内の任意の位置へ移動させる。
X軸方向移動装置34は、図1に示すように可動部材としてのX軸スライド40および1対のX軸スライド移動装置42を含む。各X軸スライド移動装置42は、駆動源たるX軸移動用モータ44,送りねじたるボールねじ46およびナット(図示省略)を含み、X軸スライド40をX軸方向に平行な任意の位置へ移動させる。Y軸方向移動装置36は、X軸スライド40上に設けられ、可動部材としてのY軸スライド52およびY軸スライド移動装置54を含む。Y軸スライド移動装置54は、駆動源たるY軸移動用モータ56,ボールねじおよびナット(図示省略)を含み、Y軸スライド52をY軸方向に平行な任意の位置へ移動させる。モータ44,56は、例えば、電動モータの一種であり、回転角度の精度の良い制御が可能な電動回転モータの一種であるエンコーダ付きのサーボモータにより構成されている。
本電子回路部品装着システムにおいてヘッドユニット30は、図2に示すようにY軸スライド52上に設けられている。ヘッドユニット30は、ヘッド保持装置60と装着ヘッド62とを含む。これらヘッド保持装置60および装着ヘッド62は、特開平6−291490号公報に記載のヘッド保持装置および装着ヘッドと同様に構成され、ヘッド保持装置60は負圧源から供給される負圧により装着ヘッド62を着脱可能に保持する。また、ヘッドユニット30は、Y軸スライド52に設けられたヘッド昇降装置68により昇降させられるとともに、ギヤ69と、それに噛み合う別のギヤとそれらを回転させる電動モータ(いずれも図示省略)とを含むヘッド回転装置70により、その鉛直な軸線まわりに回転させられる。
装着ヘッド62はノズル保持部64と、ノズル保持部64に保持された部品保持具としての吸着ノズル66とを含み、吸着ノズル66が電子回路部品を負圧により吸着して保持する。吸着ノズル66への負圧の供給は、図示を省略する切換装置(例えば、電磁制御弁の一種である電磁開閉弁により構成される)の切換えにより許容,遮断される。ヘッド保持装置60により、吸着ノズル66の吸着管の直径とノズル保持部64の数との少なくとも一方を異にする複数種類の装着ヘッド62が選択的に保持される。
Y軸スライド52にはまた、図1に示すように、回路基板22に設けられた複数の基準マーク80を撮像する撮像装置たるマーク撮像装置82が設けられ、ヘッド移動装置32により水平面内の任意の位置へ移動させられる。ヘッド移動装置32は、部品保持具移動装置であり、撮像装置移動装置でもある。マーク撮像装置82は、例えば、撮像デバイスの一種であるCCDカメラにより構成されている。CMOSカメラにより構成されてもよい。また、X軸スライド40には、吸着ノズル66により吸着された電子回路部品を撮像する部品撮像装置90が2組設けられ、トレイ型部品供給装置10およびフィーダ型部品供給装置12の各々により供給された電子回路部品がそれぞれ撮像される。装着装置14は、Y軸スライド上にX軸スライドが設けられ、そのX軸スライドに装着ヘッドが設けられたものとされてもよい。
トレイ型部品供給装置10を説明する。トレイ型部品供給装置10は、図3および図4に示すように、電子回路部品をトレイ100に収容して供給する装置である。本トレイ型部品供給装置10は、請求可能発明に関する部分以外の部分は、特開2007−201416号公報に記載のトレイ型部品供給装置と同じであり、簡単に説明する。
トレイ型部品供給装置10は、供給装置本体としての台車102を備え、装着装置14に連結,切離し可能とされている。台車102は車体104に昇降可能に設けられた昇降部材106において、位置決め装置108により水平方向に位置決めされて装着装置14に連結される。連結状態においてトレイ型部品供給装置10の幅方向ないし左右方向はX軸方向に平行となり、前後方向はY軸方向に平行となる。前後方向において基板保持装置8に近い側が前側であり、離れた側が後側である。
トレイ100は、昇降部材106上に設けられた支持部112により支持される。昇降部材106は上昇位置に位置する状態で装着装置14に連結され、その状態では、トレイ100を位置決めするL形定規(後述する)の上面の高さが、基板保持装置8に保持された回路基板22の上面である部品装着面の高さとほぼ同じになり、マーク撮像装置82によるマークの撮像が回路基板22についてもL形定規についても焦点が合った状態で行われる。マーク撮像装置82を昇降装置により昇降可能に設け、いずれのマークについても焦点が合わされるようにしてもよく、マーク撮像装置82を焦点距離の調節可能なカメラとしてもよい。昇降部材106の支持部112は、図4に示すように、昇降部材106に対して前後方向に延びる状態で設けられるとともに、可動部材たる1対のスライダ130が前後方向に移動可能に設けられ、スライダ駆動装置132により移動させられる。
トレイ100はトレイ支持台(以後、支持台と略称する)140に支持されて台車102に搭載される。本支持台140は1枚の板状を為し、支持台位置決め装置146により、1対のスライダ130に対して水平方向に位置決めされた状態で下方から着脱可能に支持され、装着装置14に対して位置決めされる。支持台140は、スライダ130の移動により、図4に実線で示すように、装着装置14に近接し、トレイ100が電子回路部品を供給する供給位置と、二点鎖線で示すように装着装置14から離れ、供給位置から退避した退避位置とに移動させられる。
支持台140は、本体部と、本体部の上面に固定された磁性材料製の表層部とから成り、その表層部により構成される支持台140の水平な支持面150上にトレイ100が載せられ、下方から支持される。支持面150には、図5に示すように部品供給装置10の幅方向に平行に延びるガイドバー152が設けられ、案内部を構成している。ガイドバー152は、支持面150に直角な位置決め面154を有する。また、ガイドバー152の支持面150に平行な上面には、その長手方向に沿って目盛156が設けられている。
トレイ100は板状に形成され、平面視の形状が長方形あるいは正方形を成し、複数の単位スペースが格子状に配列されている。トレイ100には、図5において、左端に示すトレイ100Aのように、1単位スペース170に1個の電子回路部品172(部品172と略称する)が配列されたもの(単一配列トレイと略称する)と、中央および右端に示すトレイBやトレイCのように、単位スペース170に複数個ずつの部品172が配列されたもの(複数配列トレイと略称する)とがある。単一配列トレイ100Aは従来のトレイと同様のものであるが、複数配列トレイ100B,100Cは新規なものである。従来は、それぞれ図6および図7に示すトレイ160,162とされていたのと比較すれば、複数配列トレイ100B,100Cにおいては、部品172の配列密度が著しく改善されることが明らかである。
複数配列トレイ100B,100Cにおいては、単位スペース170が各々補強リブ174により囲まれた状態となっており、それら単位スペース170のうち、複数配列トレイ100Bの単位スペース170を代表的に図8および図9に示す。補強リブ174により囲まれてくぼんだ単位スペース170の底面176に、位置決め突部178が形成され、その位置決め突部178と補強リブ174とにより、それぞれ平面形状がL字形を成す2つ部品172が位置決めされ、互いに直接接触しないようにされている。これは、2つの部品172が直接接触していると、一方の部品172が吸着ノズル66に吸着されて複数配列トレイ100Bから取り出される際に、他方の部品172が立ち上がらされたり、位置決め突部178に乗り上がらされたりすることを防止するためである。
なお付言すれば、上記のように単位スペース170に位置決め突部178が形成されているのは、単位スペース170の面積を大きくすることなくL字形の部品172が互いに直接接触することを防止するのに都合が良いからである。図10および図11に示すように、単位スペース170の底面176に2つの位置決め凹部180を形成し、それら位置決め凹部180の各々にL字形の部品172の下部を嵌め込んでも部品172が互いに直接接触することを防止し得る。しかし、その場合には、2つの部品172の互いに最も近接する部分の間に、それら両部分を仕切る仕切部182の厚さとその仕切部182の両側の2つの隙間との和に相当する大きさの隙間が必要となり、仕切部182の厚さ分だけ単位スペース170の所要スペースが大きくなり、その分、部品172の配列密度が低くなってしまう。それに対し、2つの位置決め凹部180を形成する代わりに、1つの位置決め突部178を形成する場合には、上記仕切部182を形成する必要がなく、部品172の配列密度を高くし得るのである。
ただし、位置決め突部178を設ける方がよいか、位置決め凹部180を設ける方がよいかは、トレイ170を形成する材料と形成方法とによって決まることであり、また、単位スペース170内における部品172の形状と配列状態とによっても変わるため、位置決め突部178を形成するか、位置決め凹部180を形成するかはそれらの条件を総合的に勘案して決められるべきことである。また、位置決めの大半は位置決め凹部によって行われ、複数の部品同士が最も近接する部分の間に、トレイ全体とは異なる部材から成る薄い仕切部を設けることも可能である。要するに、単位スペース170に配列される複数の部品172を位置決めして互いに接触することを防止し得る位置決め部が設けられればよいのである。いずれにしても、位置決め凹部は補強リブ174の高さに比較して浅くてよく、位置決め突部も補強リブ174に比較して低くてよいため、その点からも、互いに隣接する部品172の間を補強リブ174で仕切る場合に比較して、部品172の配列密度を高くすることができる。トレイ170は一般的に合成樹脂を主成分とする材料の成形によって製造され、その場合には立上がり面には抜き勾配を付けることが必要であり、また、部品172の取出しを容易にするためにも立上がり面に勾配を付けることは有効なのであるが、立上がり面が高ければそれだけ立上がり面を形成する壁部の底面積が広くなって、その分、部品172の配列密度が低くなってしまうからである。
上記トレイ100(100A,100B,100C等)には図5に示すように、4つの角のうちの3つに丸味が付けられ、1つに切欠190が形成されて特定部を構成している。切欠190は、トレイ100の互いに直交する2辺と交差する一直線に沿ってトレイ100の角部を厚さ方向に切断することにより得られる形状を有する。また、トレイ100には二次元コード192が設けられ、情報記録部を構成している。二次元コード192には、例えば、トレイ100を個々に識別するためのトレイ識別コード,初期(未使用時)の部品収容数,部品種類,後述する未使用時における初期取出開始位置指定の無視の許可あるいは不許可等が記録され、例えば、トレイ100の切欠190に隣接する部分に設けられている。情報記録部は、上記二次元コードの他、バーコード等、コード読取装置により読み取り可能な形態で情報が記録されたものでも、通信により情報の取得が可能な情報記憶部でもよい。
トレイ100は、支持台140上に少なくとも1つ、位置決め部材としてのL形定規194により、X軸方向およびY軸方向においてそれぞれ位置決めされた状態でX軸方向に並べて支持される。L形定規194は、互いに直角な方向に延びる第1定規部196と第2定規部198(いずれも、以後、定規部と略称する)とを備え、それら定規部196,198の底面には、複数の永久磁石200が埋設されている。
L形定規194は、支持台140に磁力により着脱可能に固定される。したがって、L形定規194は、支持台140の磁性材料製の支持面150の任意の位置に取付け可能であり、図5に示すように、定規部196がガイドバー152の位置決め面154に密着させられ、Y軸方向において位置決めされるとともに、X軸方向に平行な方向においては、位置決め面154に沿った任意の位置に取り付けられる。L形定規194の定規部196,198が互いに交差する角部に第1基準マーク(以後、基準マークと略称する)204が形成され、定規部198の、定規部196と交差する角部から隔たった先端部に第2基準マーク(以後、基準マークと略称する)206が形成されている。
トレイ型部品供給装置10により供給される部品172の種類,支持台140に支持させるトレイ100の種類,並び順および定規取付位置は、作業者により入力装置210(図12参照)を用いて後述するコンピュータに入力され、例えば、表示装置212の表示画面214に表示される。定規取付位置はトレイ載置位置ないし支持位置であり、ガイドバー152に設けられた目盛156の数値により指示され、作業者は指示された位置にL形定規194を取り付ける。これら定規取付位置データ等は、トレイ支持データとして、後述するコンピュータのRAMに設けられたトレイ支持データメモリに記憶される。
作業者は支持台140にL形定規194を取り付けた後、トレイ100を支持台140に支持させる。図5に示すように、トレイ100を、その互いに直交する2側面を定規部196,198に当てて位置決めし、その状態で拘束部材208により拘束し、移動を阻止する。長方形トレイ100の載置姿勢は、その長手方向(長辺)がトレイ型部品供給装置10の前後方向(Y軸方向)に平行となる姿勢が基本とされている。また、いずれのトレイ100も、切欠190を挟む2辺が定規部196,198に当てられ、切欠190が両定規部196,198が交差する角部に対応する位置に位置する状態で載置することが決められている。したがって、切欠190は、トレイ100の4つの角のうちの1つであって、L形定規194に対して決められた状態が得られる角に設けられている。拘束部材208は、少なくとも底面の少なくとも一部に永久磁石を備え、支持台140の支持面150の任意の位置に磁力によって固定される。
前記制御装置16は、図12に示すように、CPU250,ROM252,RAM254およびそれらを接続するバス256を含む装着制御コンピュータ260を主体とするものであり、入出力部262には、前記入力装置210,マーク撮像装置82等によって得られた画像データを処理する画像処理コンピュータ264,データベース266が接続されている。本データベース266はコンピュータにより構成されている。入出力部262にはまた、駆動回路270を介してX軸移動用モータ44等、種々のアクチュエータが接続されるとともに、制御回路272を介して表示装置212が接続され、それの表示画面214が制御される。
また、ROM252には、図13にフローチャートで示す複数配列トレイ100B,100C等のトレイデータ作成プログラム、図14にフローチャートで示す装着プログラム、およびその装着プログラムの部品取出ステップのうちの複数配列トレイ100B,100C等からの部品取出しに関連する部分を抜き出してフローチャートで示す複数配列部品取出プログラムを始めとする各種プログラムが格納されている。また、RAM254には、後述のトレイデータ作成プログラムの実行時に入力され、あるいは使用される、部品名,
トレイ名,取出方向,取出形態,トレイ情報(開始スペースの位置,単位スペースの行数および列数,単位スペースの配列ピッチ,単位スペースからの部品の取出順序、単位スペース内の部品の配列位置等),第1ないし第4の取出データ表等や、複数配列部品取出プログラムの実行時に入力され、あるいは利用される、装着データ,複数配列トレイの配置等の種々のデータが記憶させられるとともに、CPU250による各種プログラムの実行に必要なデータが一時的に記憶させられる。
まず、複数配列トレイ100B,100C等のトレイデータの作成を図13のトレイデータ作成プログラムに基づいて説明する。なお、このトレイデータ作成プログラムは、特定の部品172と特定の複数配列トレイ100との組合わせ毎に、専用のトレイデータを作成するために実行されるものである。また、本実施形態においてはトレイデータ作成プログラムが電子回路部品装着システムの制御装置16において実行されるようになっているが、このプログラムは制御装置16とは別のコンピュータに格納されて実行されることも可能である。
複数配列トレイ100からの部品172の取出しは、図16に複数配列トレイ100Bを例として示すように、切欠190に最も近い単位スペース170を開始スペースとして、実線で示す列方向に沿った単位スペース170から順次取り出す列方向取出しと、破線で示す行方向に沿った単位スペースから順次取り出す行方向取出しとの2つの取出方向のいずれかを選択可能とされている。
また、1つの単位スペース170には複数の部品172が配列されているのであるが、これら複数の部品172の取出しが、開始スペース170から図17(a)に実線で示す部品172を1つを取り出した後、次の単位スペース170から実線で示す部品172を1つ取り出すというように、各単位スペース170から部品172を1つずつ取り出し、すべての単位スペース170からの部品172の取出しが終了したならば、開始スペース170に戻って二点鎖線で示す部品172の取出しを開始するというように、1単位スペースから1部品ずつ取り出す1部品取出しと、図17(b)に(1),(2),(3),(4)・・・で示すように、開始スペース170に配列されている部品172のすべてを取り出した後、次の単位スペース170からの複数の部品の取出しを開始する全部品取出しとの2つの取出形態を選択可能とされている。そして、各単位スペース170における複数の部品172の取出し順序は各複数配列トレイにおいて予め1通りに定められている。
トレイデータ作成プログラムにおいて、まず、ステップ10(以下、S10と略記する。他のステップについても同様とする)で部品名を入力すべき旨の指示が表示装置212の表示画面214に行われ、それに応じて入力装置210から部品名が入力されれば、RAM254に記憶させられる。次に、S11でトレイ名の入力指示および記憶が行われ、S12で取出方向、すなわちスペース170の変更方向を選択すべき旨の指示および記憶が行われ、S13で部品取出形態を選択すべき旨の指示および記憶が行われる。
そして、S14でトレイ情報の読出しが行われる。複数配列トレイ100における単位スペース170の行数Lmaxと列数Cmax、開始スペースの位置、行方向おおび列方向における単位スペース170の配列ピッチ、単位スペース170内における複数(トレイ100Bにおいては2つ)の部品172の配列位置等の情報が読み出されるのである。なお、複数配列トレイ100には、前記切欠190の頂点を原点とする直角座標であるトレイ座標が想定されており、開始スペース170の位置(例えば、単位スペース170の中心点の位置),各単位スペース170における複数の部品172の吸着点(吸着ノズル66によって吸着されるべき部分の中心点であり、図6および図7に十字線として示されている)の位置、上記単位スペースの配列ピッチ等は、このトレイ座標の座標値で規定される。
S15で、複数配列トレイ100全体からの部品取出順を表す取出番号Nと、単位スペース170の行番号Lおよび列番号Cと、単位スペース内における複数の部品172の取出順を表すスペース内番号Pとがそれぞれ1に設定される。複数配列トレイ100全体で最初に取り出される(N=1)部品172が、開始単位スペース(L=1,C=1)のスペース内番号P=1の部品172に設定されるのである。なお、本実施形態においては、S12で選択される取出方向(スペース変更方向)が図16に示す「行方向」か「列方向」かと、S13で選択される部品取出形態が図17(a)に示す「1個ずつ」か、図17(b)に示す「全部」かとの組合わせによって4種類の取出し方があるため、それらを区別するために取出番号NはN1,N2,N3,N4の4種類で表すこととする。
そして、S16で取出方向が、また、S17およびS18で取出形態がそれぞれいずれであるかが判定され、「列方向」かつ「全部」である場合はS19ないしS25において取出データの決定が行われる。まず、S19において現時点の取出番号N1に対応付けて単位スペース170の行番号Lおよび列番号Cと単位スペース内番号PとがRAM254の図21の図表に示す第1取出データ表に格納される。その後、S20およびS21の実行により、単位スペース内番号Pが単位スペース170内に配列されている部品172の数(トレイ100Bにおいては2)と同じになるまで変化させられ、次に、S22およびS23の実行により、行番号Lが行数Lmaxと等しくなるまで変化させられ、続いて、S24およびS25の実行により、列番号Cが列数Cmaxと等しくなるまで変化させられて図21の図表の第1取出データ表が完成させられる。図21における「ノズル回転位置」については後に説明する。
そして、取出方向が「列方向」かつ取出形態が「1個ずつ」である場合にはS26ないしS32において同様に取出データの決定が行われ、図22の図表に示す第2取出データ表が完成させられる。さらに、取出方向が「行方向」かつ取出形態が「全部」である場合には第3取出データ表が、また、取出方向が「行方向」かつ取出形態が「1個ずつ」である場合には第4取出データ表がそれぞれ完成される。第3取出データ表は第1取出データ表において行番号Lと列番号Cとを置き換えた状態のものに過ぎず、第4取出データ表は第2取出データ表において行番号Lと列番号Cとを置き換えた状態のものに過ぎないので、図表は省略する。
基板保持装置8により保持された回路基板22への部品172の装着は、図14に示すように、S60において、トレイ型部品供給装置10またはフィーダ型部品供給装置12から部品172を取出し、S61において、吸着ノズル66に保持された部品172を部品撮像装置90により撮像し、S62において、吸着ノズル66による部品172の保持位置誤差と、基板保持装置8による回路基板22の保持位置誤差とを修正しつつ部品172を装着することによって行われる。そのうち、S61の撮像ステップおよびS62の装着ステップと、S61におけるフィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置における通常のトレイ100からの部品取出しとは、従来と同じであるため説明を省略し、新規である複数配列トレイ100からの部品172の取出しについて、図15のフローチャートに基づいて説明する。
図15において、S70ないしS72は部品172の装着が開始される前に実行されるステップであり、まず、S70において、部品172の名称とその部品が収容されている複数配列トレイ100のトレイデータ情報(図13のトレイデータ作成プログラムで作成されたもの)とを入力すべき旨の指示が行われ、それに応じて入力される情報がRAM254に記憶させられる。この入力および記憶は、各電子回路部品装着機18に搭載されることが予定されている複数配列トレイ100のすべてについて行われる。続いて、S71で複数配列トレイ100の配置データを入力すべき旨の指示が行われる。複数配列トレイ100は支持台140に、図18の(a)に示す基本姿勢、(b)に示す90°回転姿勢、(c)に示す180°回転姿勢および(d)に示す−90°回転姿勢の4種類の回転姿勢で配置されることが予定されている。これは、例えば、複数配列トレイ100に収容された部品172が吸着ノズルにより取り出され、回路基板22に装着されるまでにノズル軸線まわりに回転させられる角度をできる限り小さくする等のためである。また、前述のように、トレイ100は支持台140上の種々の位置に載置されるため、S71においては、その位置と上記回転姿勢とのデータを入力すべきことが求められ、この入力も各電子回路部品装着機18に搭載されることが予定されている複数配列トレイ100のすべてについて行われる。
S72においては、取出開始位置データを入力すべき旨の指示が行われる。支持台140に配置された複数配列トレイ100が全く使用されていないものである場合には、前述のように、取出開始位置は単位スペースが第1行、第1列(L=1,C=1)で、単位スペース内番号が1番(P=1)の位置に決まっている。しかし、既に一部が使用されたものである場合には複数配列トレイ100全体からの部品取出順を表す取出番号Nが何番であるかを指定する必要があり、しかも実際の取出開始位置は、取出方向が「行方向」か「列方向」かと、部品取出形態が「1個ずつ」か「全部」かとの組合わせによって4種類に異なるため、それら4種類の取出し方における取出番号(N1,N2,N3,N4)が何番の取出開始番号(N1s,N2s,N3s,N4s)であるかを指定する必要があり、S72においてはその入力が行われ、RAM254に記憶させられる。この入力および記憶も各電子回路部品装着機18に搭載されることが予定されている複数配列トレイ100のすべてについて行われる。
以上の初期設定が行われた後、部品装着作動が開始され、まず、S73の装着データの読出しが行われる。そして、S74で、読み出されるべき装着データがないか否か、すなわち、その電子回路部品装着機18において装着が予定されている部品172のすべての装着が終了したか否かの判定が行われ、1枚の回路基板22への装着が終了すれば、判定結果がYESとなって、S75で取出番号N(N1,N2,N3,N4)が1に戻された上で、プログラムの実行がS73に戻される。それに対し、S74の判定結果がNOであった場合には、S76が実行される。S73で読み出される装着データには、従来と同様に、取り出すべき部品172の種類と、装着すべき回路基板上の位置および部品の回転姿勢との情報が含まれている。この情報に基づいて、S76で該当部品であるか否か、すなわち、次に取り出されるべき部品172が電子回路部品装着機18に搭載されている複数配列トレイ100に収容されているものか否かの判定が行われる。この判定の結果がNOであった場合には、S77で他の部品の取出し、すなわち、1スペースに1個のみの部品172が収容されている通常のトレイ100からの取出し、あるいはフィーダ型部品供給装置12からの取出しが行われる。
それに対し、S76の判定結果がYESであった場合には、S78で吸着ノズル66の回転が行われる。S70ないしS72において記憶された情報に基づいて次に取り出すべき部品172の複数配列トレイ100内における回転姿勢が判り、かつ、S73で読み出された装着データから装着時における回転姿勢が判る。一方、前記装着プログラムのS61での部品撮像後に吸着ノズル66を回転させれば、慣性力により部品172が吸着ノズル66に対してずれる恐れがあるため、部品172の取出し後、撮像までに部品172の回転姿勢を装着時の回転姿勢にできる限り近い回転姿勢にしておくことが望ましい。かつ、吸着ノズルの曲がりの影響を排除するために、撮像時には吸着ノズル66ができる限り原点位置に近い回転位置にあることが望ましい。そこで、S78において、部品172の取出し前に、以上の条件が満たされる回転位置へ吸着ノズル66が予め回転させられるのである。前記図21や図22の図表における「ノズル回転位置」は上記回転位置を示している。なお、図21、22の図表においてノズル回転位置が0°である場合があることから明らかなように、S78で吸着ノズル66が回転させられる必要がない場合もあることは勿論であり、図18に基づいて前述したように、複数配列トレイ100の回転姿勢の選択はこのことを考慮して行われる。
続いて、S79で部品172の取出しが行われる。この取出しは、勿論、電子回路部品装着機18に搭載されている複数配列トレイ100のうち、装着データにより明らかとなった種類の部品172が収容されている複数配列トレイ100から行われる。
なお、図13のトレイデータ作成プログラムの実行で作成されるトレイデータは、単位スペース170の行番号Lおよび列番号Cと、単位スペース内におけるスペース内番号Pとを含んでおり、これらの番号は、複数配列トレイ100における部品取出位置を特定するものではあるが、実際に吸着ノズル66に部品172を取り出させるためには、電子回路部品装着機18における絶対位置座標を特定することが必要である。そのためには、まず、上記各番号L,C,Pが、S14においてRAM254に記憶させられたトレイ情報に基づいて、切欠190を規定する三角形の頂点を原点とするトレイ座標における座標値に換算され、さらに、S71で入力された複数配列トレイ100の配置データに基づいて、トレイ座標における座標値が電子回路部品装着機18における絶対座標の座標値に座標変換されることが必要である。本実施形態においては、これらの演算がS79において1回の部品取出し毎に行われる。ただし、これは不可欠ではなく、図13に示すトレイデータ作成プログラムにおいて、上記各番号L,C,Pの決定が行われた後にトレイ座標における座標値への換算が行われ、図14の部品装着プログラムの開始前における段取替え作業中に、電子回路部品装着機18における絶対座標の座標値への座標変換が行われるようにするなど、トレイデータ作成プログラムにおける番号L,C,Pの決定後であって、S79における部品取出動作の開始前の適宜の時期に行われるようにすればよい。
S79における部品172の取出し後、S80,S81およびS82において、その部品取出しが行われた複数配列トレイ100についてのトレイデータにおける部品取出方向および部品取出形態が判定され、その判定結果に基づいてS83ないしS86のいずれかが実行され、部品取出方向と部品取出形態との各組合わせに応じた取出番号N1,N2,N3,N4の更新が行われる。以上で複数配列トレイ100からの1個の部品172の取出しが終了し、複数配列部品取出しプログラムの実行はS73に戻る。ただし、実際に次の装着データが読み出されるのは、部品装着プログラムのS62の実行終了後である。
本実施形態においては、複数の単位スペース170が、行番号と列番号とで規定され、行方向と列方向とにそれぞれ一定のピッチで格子状に配列されており、これら単位スペース170の配列を規定する規則が第1規則である。また、それら単位スペース170の各々の内部では部品172が同じ状態で配列されており、この同じ配列状態を規定する規則が第2規則である。そして、複数配列トレイ100B,100Cがそれぞれ面保持体の一例である。
以上、本発明の一実施形態を詳細に説明したが、これは文字通り例示に過ぎず、本発明は、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
例えば、上記実施形態においては、新品の複数配列トレイ100の取出開始位置が切欠190に最も近い単位スペース170に一義的に決められていたが、不可欠ではなく、切欠190が設けられていない角のいずれかに最も近い単位スペース170を取出開始位置に選択し得るようにすることも可能である。
また、上記実施形態においては、複数配列トレイ100B,100Cの各単位スペース170から1個ずつの部品172が取り出される部品取出形態においては、1枚のトレイ100の全単位スペース170についての1個ずつの部品172の取出しが終了した後に、1枚の複数配列トレイ100B,100Cの全単位スペース170についての別の部品172の取出しが開始されるようにされている。したがって、スペース内番号Pが同じである一連の部品172の群の各々を、従来のトレイ1枚に収容された部品のすべてと同じと考えれば(例えば、複数配列トレイ100Bを2枚の互いに別の従来型トレイと見なし、複数配列トレイ100Cを4枚の互いに別の従来型トレイと見なせば)、従来型トレイからの部品の取出しと全く同じ部品装着プログラムを使用して複数配列トレイからの部品の取出しを行うことが可能となる。
また、1単位スペース170に配列されている複数の部品172をすべて取り出してから、次の単位スペース170からの複数の部品172の取出しを開始する場合でも、複数の互いに別の従来型トレイから交互に1個ずつの部品を取り出すものと考えれば、従来型トレイからの部品の取出しと全く同じ部品装着プログラムを使用して複数配列トレイからの部品の取出しを行うことが可能となる。
また、前記実施形態においては、複数配列トレイ100B,100Cの各単位スペース170から1個ずつの部品172が取り出される部品取出形態においては、1枚のトレイ100の全単位スペースについての1個ずつの部品172の取出しが終了した後に、1枚のトレイ100の全単位スペースについての別の部品172の取出しが開始されるようにされていた。そのため、一部の部品172が取り出された使い掛けの複数配列トレイ100B,100Cを使用する場合には、その複数配列トレイ100B,100Cが使い掛けとされた際の部品取出形態と同じ取出形態で部品の取出しが行われるようにしないと、トレイデータの作成が面倒になる不便があった。それに対し、一定数ずつの単位スペース170(例えば、1行あるいは1列の単位スペースを1群として、1群の単位スペース170のすべてからの1個ずつの部品172の取出しが終了した後に、その1群の単位スペース170の先頭から別の部品172の1個ずつの取出しが開始されるようにすれば、一定数のスペースを単位として使い掛けか否かを決めることが可能となり、使い掛けの複数配列トレイ100を使用する際のデータ処理を単純化することが可能となる。
さらに、前記複数配列トレイ100B,100Cにおいては、単位スペース170に配列された複数の部品172は回転姿勢(回転位置)を互いに異にしており、それによって、部品172の配列密度を特に効果的に高くし得る場合が多いが、回転姿勢を異にすることは不可欠ではない。例えば、図19および図20に示す複数配列トレイ100Dにおいては、格子状の補強リブ290に囲まれた単位スペース292内に2つの部品172が互いに同じ回転姿勢で配列されている。これら2つの部品172の間には、図20に示すように、補強リブ290に比較して、低くかつ狭い位置決め突部294が形成されているに過ぎないため、単位スペース292内の2つの部品172間の隙間は補強リブ290を挟んで互いに隣接する2つの部品172間の隙間に比較して小さくて済む。すなわち、すべての部品172が同一の規則で配列されているわけではないが、複数の単位スペース292は同一の規則(第1規則)で配列されており、かつ、複数の単位スペース292の間では、複数(図示の例では2個)の部品172が同じ状態(この状態を規定する規則が第2規則である)で配列されており、前記実施形態と同様にして部品172を取り出すことができる。そして、単位スペース292内に配列されている複数の部品172間の隙間を小さくし得る分だけ部品172の配列密度を高めることができるのであり、図19,20に示す複数配列トレイ100Dから部品172を取り出して回路基板に装着し得る電子回路部品装着システムも請求可能発明の一実施形態である。
6:基板搬送装置 8:基板保持装置 10:トレイ型部品供給装置 12:フィーダ型部品供給装置 14:装着装置 16:制御装置 18:電子回路部品装着機 30:ヘッドユニット 32:ヘッド移動装置 52:Y軸スライド 60:ヘッド保持装置 62:装着ヘッド 64:ノズル保持部 66:吸着ノズル 68:ヘッド昇降装置 70:ヘッド回転装置 90:部品撮像装置 100:トレイ(100A:単一配列トレイ、100B,100C,100D:複数配列トレイ) 140:トレイ支持台(支持台) 150:支持面 152:ガイドバー 154:位置決め面 156:目盛 170:単位スペース 172:電子回路部品(部品) 174:補強リブ 176:底面 178:位置決め突部 180:位置決め凹部 182:仕切部 190:切欠 210:入力装置 212:表示装置 214:表示画面 260:装着制御コンピュータ 292:単位スペース 294:位置決め突部

Claims (5)

  1. 第1規則に従って繰り返し規定される複数の単位スペースの各々において、それぞれ複数の電子回路部品が第2規則に従って規定される複数の状態で保持された部品保持体を支持する部品保持体支持装置と、
    電子回路部品が装着されるべき回路基材を支持する回路基材支持装置と、
    前記電子回路部品を解放可能に保持する部品保持具と、
    前記部品保持体支持装置に支持された部品保持体の前記単位スペース毎の前記複数の電子回路部品の各々を前記部品保持具により保持させるべき位置である部品保持位置を順次取得する部品保持位置取得部と、
    前記回路基材支持装置に支持された回路基材の電子回路部品を装着すべき位置である部品装着位置を順次取得する部品装着位置取得部と、
    前記部品保持体支持装置および前記回路基材支持装置と、前記部品保持具とを、前記部品保持位置取得部により取得された部品保持位置と、部品装着位置取得部により取得された部品装着位置とに基づいて相対移動させ、前記部品保持体保持装置に保持された部品保持体から前記電子回路部品を前記部品保持具に保持させ、前記回路基材保持装置に保持された回路基材に装着させる相対移動装置と
    を含むことを特徴とする電子回路部品装着システム。
  2. 前記部品保持位置取得部が、さらに、前記部品保持具の前記部品保持体から前記電子回路部品を保持する際の回転位置を取得する請求項1に記載の電子回路部品装着システム。
  3. 前記部品保持体支持装置が、前記部品保持体として、前記複数の単位スペースが、一面上において互いに交差する2方向の各々に関してそれぞれ繰り返し規定される規則に従って面配列された面保持体を支持する面保持体支持装置を含む請求項1または2に記載の電子回路部品装着システム。
  4. 前記複数の単位スペースが順序付けられており、前記相対移動装置が、前記複数の単位スペースの前記順序付けが先である先単位スペースに保持された前記複数の電子回路部品を1個ずつ順次前記部品保持具に保持させ、その先単位スペースに保持された電子回路部品のすべての保持が終了した後、その先単位スペースの次に順序付けられた単位スペースである後単位スペースに保持された前記複数の電子回路部品のすべてを1個ずつ、前記先単位スペースにおける前記複数の電子回路部品の保持順序と同じ保持順序で前記部品保持具に保持させることを、前記順序付けの順に繰り返すものである請求項3に記載の電子回路部品装着システム。
  5. 前記複数の単位スペースが順序付けられており、前記相対移動装置が、前記複数の単位スペースの前記順序付けが先である先単位スペースに前記複数の状態の1つである第1状態で保持された1つの電子回路部品を前記部品保持具に保持させ、次に、前記先単位スペースの次に順序付けられた単位スペースである後単位スペースに前記第1状態で保持された電子回路部品を前記部品保持具に保持させることを、前記順序付けの順に繰り返すものである請求項3に記載の電子回路部品装着システム。
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