JP5685049B2 - 析出硬化型銅合金箔、及びそれを用いたリチウムイオン2次電池用負極、並びに析出硬化型銅合金箔の製造方法 - Google Patents

析出硬化型銅合金箔、及びそれを用いたリチウムイオン2次電池用負極、並びに析出硬化型銅合金箔の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、析出硬化型銅合金箔、及びそれを用いたリチウムイオン2次電池用負極、並びに析出硬化型銅合金箔の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、高い電圧が得られ、エネルギー密度も高いことから、モバイルパソコンや携帯端末などの電子機器のバッテリーとして実用化が進んでいる。このような電子機器のバッテリーだけでなく、ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動用電池としてリチウムイオン二次電池を適用させることへの期待も高まってきており、研究開発が活発に行われている。
このリチウムイオン二次電池は、セパレータを介して絶縁された正極と負極とを有しており、電解質中のリチウムイオンが正極と負極との間を移動することによって充放電を繰り返す仕組みを基本としている。この仕組みを高いサイクル特性で実現するため、正極、電解質、及び負極の材料の組成や製造条件を見出すことが望まれている。
リチウムイオン二次電池に使用する負極としては、銅箔又は銅合金箔を材料とする負極集電体と、その負極集電体上に形成される負極活物質層とによって構成されるのが一般的である。電池の高容量化や高出力化と同時に、負極が従来の肉厚より薄肉であることが要求され、負極の薄肉化による変形に耐え得る高強度な材質を集電体として用いることが要求されている。更には、繰り返し充放電時の電極の膨張及び収縮に追従し得る延性をも要求されている。
ところで、リチウムイオン二次電池に適した圧延銅箔の延性を高める技術の一例としては、最終焼鈍前の冷間圧延での圧延材料の最高到達表面温度を60℃以下に抑え、最終焼鈍後(最終冷間圧延前)の圧延材料の結晶粒径を5μm以下とすることにより圧延銅箔の屈曲特性を改善させる構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、質量%で、Cr:0.05〜0.4%、Zr:0.01〜0.25%を含有し、残部が銅及び不可避的不純物であるCu−Cr−Zr系銅合金において、伸びが1.0〜2.0%であり、引張強度が550〜600MPaである析出硬化型銅合金箔が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2005−279660号公報 特開2009−79282号公報
しかしながら、特許文献1記載の圧延銅箔は、最終圧延後に仕上げ焼鈍を行うと、延性の向上が得られるものの、強度の低下を引き起こしてしまう。
特許文献2記載の銅合金箔では、リチウムイオン二次電池の高出力化のために、負極集電体である銅合金箔上に形成される負極活物質の量を増やす必要がある。しかしながら、伸びが2.0%程度であり、負極活物質の変形に追従することはできない。そのため、負極活物質層の厚みが制限されてしまい、リチウムイオン二次電池の高出力化の妨げになる。
一方、リチウムイオン二次電池の高容量化のために、銅合金箔上に形成される負極活物質としてケイ素やスズの合金系材料が検討されている。しかしながら、これらの負極活物質は、充放電に伴い数倍の膨張及び収縮が起こる。そのため、充放電を繰り返すと、膨張及び収縮による応力により負極集電体から負極活物質層が脱落し、集電性が低下してサイクル特性が低下してしまう。
本発明の目的は、強度と延性との双方を向上させることを可能とした析出硬化型銅合金箔、及びそれを用いたリチウムイオン2次電池用負極、並びに析出硬化型銅合金箔の製造方法を提供することにある。
本件発明者等は上記目的を達成すべく熱意検討を行った結果、以下のような解決策をとった。
[1]請求項1に係る発明は、Cuを母相として、Crを0.05〜0.4質量%、Zrを0.01〜0.08質量%、Snを0.05〜0.3質量%、残部Cu及び不可避的不純物からなるCu−Cr−Zr系の銅合金であり、圧延方向に垂直な断面の組織が次の条件を満たすことを特徴とする析出硬化型銅合金箔にある。
(1)母相の結晶粒径が50μm以下であり、
(2)前記領域内に存在するCr又はZrを含有する任意の100個の析出物の、結晶粒径が最も大きい径の算術平均値が15nm以下であり、
(3)前記領域内の任意の10箇所の900nmの領域内において前記結晶粒径の最も大きい径が15nm以下の析出物の個数が5個以上である。
[2]請求項2に係る発明である析出硬化型銅合金箔では、前記Cu−Cr−Zr系の銅合金にMgを0.01〜0.3質量%含有することを特徴としている。
[3]請求項3に係る発明である析出硬化型銅合金箔では、前記結晶粒径が最も大きい径の算術平均値が13nm以下であることを特徴としている。
[4]請求項4に係る発明である析出硬化型銅合金箔にあっては、ASTM E−345に準拠して測定した引張試験による伸びが3.0%以上であり、引張強さが450MPa以上であることを特徴としている。
[5]請求項5に係る発明である析出硬化型銅合金箔は、厚さが20μm以下であることを特徴としている。
[6]請求項6に係る発明は、上記[1]〜[5]記載の析出硬化型銅合金箔を負極集電体として用いたことを特徴とするリチウムイオン2次電池用負極を提供する。
[7]請求項7に係る発明であるリチウムイオン2次電池用負極は、前記負極集電体に負極活物質としてSi又はSnを含有する合金系材料を用いたことを特徴としている。
[8]請求項8に係る発明は、Cuを母相として、Crを0.05〜0.4質量%、Zrを0.01〜0.08質量%、残部Cu及び不可避的不純物からなるCu−Cr−Zr系の銅合金材に対し、次の一連の工程を少なくとも行うことを特徴とする、請求項1〜5いずれかに記載の析出硬化型銅合金箔の製造方法にある。
(1)前記銅合金材にSnを0.05〜0.3質量%含有させた銅合金を鋳造する工程、
(2)前記銅合金の鋳造工程で生じた析出物を一旦母相中に固溶させるための溶体化の効果を伴う温度で熱間圧延を行って板材に加工する熱間圧延工程、
(3)前記板材に冷間圧延を施す第1の冷間圧延工程、
(4)前記板材に溶体化処理を施す溶体化処理工程、
(5)前記板材に80%以上の加工度の冷間圧延を施して箔材を形成する第2の冷間圧延工程、及び
(6)前記箔材に350℃以上550℃以下の温度で時効処理を施す時効処理工程。
[9]請求項9に係る発明である製造方法は、前記Cu−Cr−Zr系の銅合金材にMgを0.01〜0.3質量%含有させて鋳造することを特徴としている。
本発明によれば、強度及び延性の良好な析出硬化型の銅合金箔が得られ、特にリチウムイオン二次電池の長寿命化に寄与することができる析出硬化型の銅合金箔が得られる。
本発明の実施の形態に係る銅合金箔の製造工程の流れを示すフロー図である。 本発明の実施の形態に係るリチウムイオン2次電池用負極の断面を模式的に示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態に係る銅合金は、リチウムイオン二次電池の負極の材料として好適に用いられる。
(銅合金の成分)
この第1の実施の形態におけるCu−Cr−Zr系の銅合金は、Cu(銅)を母相として、Cr(クロム)を0.05〜0.4質量%、Zr(ジルコニウム)を0.01〜0.08質量%含有し、残部が不可避的不純物からなる構成を基本組成成分としている。Cuとしては、無酸素銅を用いることが好適である。
この銅合金の副成分としては、Sn(スズ)を0.05〜0.3質量%含有することが好適であり、0.05〜0.3質量%のSnに加えて、Mg(マグネシウム)を0.01〜0.3質量%含有することが好適である。
このように構成された第1の実施の形態に係る銅合金成分の添加理由と限定理由とを以下に説明する。
(Cr)
Crは、時効処理により単独でCu母相中に析出して強度及び耐熱性を向上させる作用を発揮する。Cr含有量が0.05質量%未満では析出が不十分であるため、所望の効果が期待できない。一方、Cr含有量が0.4質量%を超えると、溶体化処理時における未固溶Crが粗粒第2相析出物を形成し、銅合金の強度を増加させることができないばかりでなく、加工性の低下を招くので好ましくない。
(Zr)
Zrは、時効処理によりCuと化合物を形成してCu母相中に析出し、銅合金を強化する作用を有する。Zr含有量が0.01質量%未満では析出が不十分であるため、所望の効果が期待できない。一方、Zr含有量が0.08質量%を超えると、溶体化処理時の未固溶Zrが粗大な粗粒第2相析出物を形成し、銅合金の強度を増加させることができないばかりでなく、加工性の低下を招くので好ましくない。Zr含有量としては、0.01〜0.05質量%にすることで更に微細な析出物を形成するので好ましく、微細な析出物は強度と延性との双方を向上させることができる。
(Sn)
Snは、高温でのCrの不均一析出を抑制する効果を有する。この効果により熱間圧延加工中、その後の冷間圧延時において、Crが析出せずにCu母相中の固溶Cr量が多くなり、時効処理時において微細なCrが析出し、銅合金の強化につながる。Snは更に、固溶強化による銅合金の強化作用を有しているが、Sn含有量が0.01質量%未満では、所望の効果が期待できない。一方、Sn含有量が0.3質量%を超えると、導電率の低下を招くので好ましくない。
(Mg)
Mgは、溶体化処理での再結晶組織を微細化させる効果を有する。この効果によって強度の向上が得られる。更には、冷間圧延時の加工性が良くなり、銅合金の肌荒れを抑制することができる。Mgは、固溶強化による銅合金の強化作用をも有しているが、Mg含有率が0.01質量%未満では、所望の効果が期待できない。一方、Mg含有率が0.3質量%を超えると、導電率の低下を招くので好ましくない。
(析出硬化型銅合金箔の製造方法)
図1を参照すると、図1には、第1の実施の形態に係る銅合金箔を製造するための典型的な製造工程が示されている。この銅合金箔を製造する工程は、図1に示すように、溶製工程、熱間圧延工程、第1の冷間圧延工程、溶体化処理工程、第2の冷間圧延工程、及び時効処理工程の一連の工程からなる。これらの工程で順番に処理を行うことで初期の目的とする析出硬化型銅合金箔が効果的に得られる。
(溶製工程)
この溶製工程においては、CuにCr、Zr、及びSnを添加し、溶解炉を用いて溶製して銅合金材となるインゴットを鋳造する(ステップ10、以下、ステップを「S」という。)。溶製工程では、0.1質量%以上0.4質量%以下のCrと、0.01質量%以上0.08質量%以下のZrと、0.05質量%以上0.3質量%以下のSnとを含有する銅合金材、あるいはこれらの3種の成分に加えて、0.01質量%以上0.3質量%以下のMgを含有する銅合金材を鋳造する。
(熱間圧延工程)
この熱間圧延工程においては、約900℃程度の温度で加熱したインゴットに熱間圧延を施し、板材を形成する(S20)。
(第1の冷間圧延工程)
この第1の冷間圧延工程においては、熱間圧延後の板材に冷間圧延を施す(S30)。この冷間圧延では、定法に従い所定の厚みになるように冷間圧延の加工度を調整する。
(溶体化処理工程)
この溶体化処理工程においては、冷間圧延後の板材に溶体化処理を施す(S40)。溶体化処理とは、板材中のCr、Zr、Sn、及びMgをCu母相中に固溶させる機能である。最終工程となる時効処理工程において生成されるCr及びZrを含有する析出物の銅合金中における分布状態をより均一にすることができるとともに、析出物を微細な状態に保つことができる。
添加物を固溶させる溶体化処理では、添加物の重要な固溶量を得るために高温での熱処理を行う。溶体化処理を約900℃程度の温度で行うと、Cu母相の再結晶が起こり、再結晶組織の粗大化が起こり得る。Mgを添加することで、溶体化処理での再結晶組織を微細化できるため、Cu母相の強度の向上が得られる。
(第2の冷間圧延工程)
この第2の冷間圧延工程においては、溶体化処理後の板材に80%以上の加工度の冷間圧延を施す(S50)。この冷間圧延では、リチウムイオン二次電池用の負極の集電体として要求される厚みの箔材を形成する。箔材の厚さとしては、20μm以下であることが好適であるが、所定の厚みになるように冷間圧延の加工度を調整することで、20μm以上においても同等の特性を得ることができる。
(時効処理工程)
最終工程となる時効処理工程においては、冷間圧延を施された銅合金箔材に350℃以上550℃未満の温度と所定の時間で、時効処理を施す(S60)。この時効析出によって析出硬化が起こり、製造される銅合金箔の強度や延性等の特性を向上させることができる。第2の冷間圧延工程における冷間圧延により、銅合金箔中に多数の格子欠陥が導入され、これらの格子欠陥が時効処理における析出硬化において析出物(例えばCr単体、ZrとCuとの化合物)の析出の起点として機能する。時効温度が350℃未満の温度では延性の向上が得られず、550℃以上の温度では強度の低下を招くので好ましくない。
第2の冷間圧延後の時効処理を行うことで、強度の低下を招くことなく、延性の向上が達成される。Snを添加し、溶体化処理を行うことで、Cu母相中の固溶Cr量が多い状態で時効処理が行える。その結果、時効析出による強度と延性との大きな向上が得られる。
以上のように製造された析出硬化型銅合金箔は、Cu母相の結晶粒径が50μm以下となり、600nm×400nmの領域内に存在するCr又はZrを含有する析出物のうち、任意の100個の析出物の結晶粒径が最も大きい径(長径)の算術平均値が15nm以下の平均粒径となり、その領域内の任意の10箇所の平均粒径の析出物が900nmあたり5個以上有しており、平均粒径15nm未満の析出物が銅合金箔中に多く存在する。これにより、強度と延性とを両立させることが可能となる。
[第2の実施の形態]
(析出硬化型銅合金箔)
上記製造工程で得られた析出硬化型銅合金箔は、リチウムイオン2次電池用の電極として用いられる。その銅合金箔の厚さとしては、20μm以下であることが好適であり、ASTM E−345に準拠して測定した引張試験による伸びが3.0%以上であり、引張強さが450MPa以上であることが好適である。
この析出硬化型銅合金箔においては更に、銅合金箔の圧延方向に垂直な断面において、組織が次の条件を満たすことが肝要である。これにより、初期の目的とする強度と延性との両立が達成される。
(1)u母相の結晶粒径が50μm以下であること、
(2)600nm×400nmの領域内に存在するCr又はZrを含有する析出物のうち、任意の100個の析出物を選択した場合に、各析出物の結晶粒径が最も大きい径(長径)の算術平均値が15nm以下であること、好ましくは、各析出物の長径の算術平均値が13nm以下であること、及び
(3)600nm×400nmの領域内の任意の10箇所の900nmの領域を選択した場合に、それぞれの900nmの領域内において長径が15nm以下の析出物の存在個数が5個以上であること。
[第3の実施の形態]
(リチウムイオン2次電池用負極)
上記のように構成された析出硬化型銅合金箔としては、リチウムイオン2次電池用の負極集電体に用いることが好適である。図2を参照すると、図2にはリチウムイオン2次電池用負極1の構成が模式的に示されている。このリチウムイオン2次電池用負極1は、析出硬化型銅合金箔からなる負極集電体2と、負極集電体2上に設けられた負極活物質層3とを備えている。その負極活物質としては、Si(珪素)を含有するCu−Si合金系、あるいはSn(スズ)を含有するCu−Sn合金系が用いられる。この合金系材料メッキを析出硬化型銅合金箔1上に施すことで負極活物質層3を形成する。高強度と優れた延性との双方を兼ね備えた材料からなる負極集電体2を形成することにより、負極集電体2からの負極活物質層3の剥離を抑制できるとともに、負極集電体2の体積膨張を小さく抑えることができるようになる。
以下に、本発明の更に具体的な実施の形態として、実施例及び比較例を挙げて詳細に説明する。なお、この実施例では、上記実施の形態である銅合金箔の典型的な一例を挙げており、本発明は、これらの実施例及び比較例に限定されるものではないことは勿論である。
実施例1〜8の銅合金箔、及び比較例1〜9の銅合金箔を以下に詳述する条件で製造し、得られた銅合金箔の組成について比較と評価を行った。実施例1〜8、及び比較例1〜9における銅合金箔の組成と、時効温度と、時効処理後の厚み、引張試験での伸びや引張強さと、電子顕微鏡で撮影した画像から算出した析出物の平均粒径と、900nmあたりの析出物の個数とを下記の表1にまとめて示す。
(銅合金箔の製作)
実施例1〜8の銅合金箔を製作するために、無酸素銅を母材にして、表1に示す合金組成の銅合金を溶製し、インゴットに鋳造した。そのインゴットを、種々の条件下で、900℃での熱間加工、第1の冷間加工、900℃での溶体化処理、及び80%以上の加工度で第2の冷間加工を順次行い、20μm以下の厚みを有する銅合金箔を製作した。そして、これらの銅合金箔に対して、表1に示す種々の温度で時効を行った。
比較例1〜9における表1に示す合金組成の銅合金箔については、上記実施例1〜8と同様の製法で、厚みが20μm以下である銅合金箔を作製した。これらの銅合金箔に対して、表1に示す種々の温度で時効を行った。
(銅合金箔の延性の測定、及び強度の測定)
伸び(延性)や引張強さ(強度)の評価方法としては、実施例1〜8、及び比較例1〜9の銅合金箔に対して引張試験を行ない、ASTM E−345に準拠して圧延平行方向の引張強さと伸びとを測定した。
(析出物の粒径の算出、及び個数の算出)
析出物の粒径や900nmあたりの析出物の個数を観察する方法としては、実施例1〜8、及び比較例1〜9の銅合金箔に対して薄膜処理を施し、電子顕微鏡による観察を行なった。電子顕微鏡で撮影した画像から、100個の析出物について銅合金箔の長手方向長さの平均値を析出物の平均粒径として算出し、10箇所での析出物の個数の平均値を900nmあたりの析出物の個数として算出した。
[実施例1〜8]
表1から明らかなように、実施例1〜8の銅合金箔の組成と時効温度とは、許容規定範囲を満足するものであり、15nm以下の平均粒径を有する析出物が銅合金箔中に多く存在し、その平均粒径の析出物が900nmあたり5個以上存在する。これにより、初期の目的とする規定範囲を満足する強度と延性との両立が可能となるということが理解できる。
[比較例1及び2]
比較例1及び2の銅合金箔の組成は、規定外のCrを含有している。比較例1及び2では、伸びが初期の目的とする3%の規定範囲を満たし、初期の目的とする15nm以下の析出物の平均粒径が得られる。しかしながら、比較例1及び2では、引張強さが450MPaの規定範囲より小さくなり、しかも、900nmあたりの個数が5個の規定範囲より少なくなり、初期の目的とする規定範囲から外れていた。比較例1及び2の銅合金箔は、初期の目的とする強度と延性との両立を達成できなかった。
[比較例3及び4]
比較例3及び4の銅合金箔の組成は、規定外のZrを含有している。比較例3では、伸びが初期の目的とする3%の規定範囲を満たし、初期の目的とする15nm以下の析出物の平均粒径が得られるが、引張強さが初期の目的とする450MPaの規定範囲より小さくなり、しかも、900nmあたりの個数が初期の目的とする5個の規定範囲より少なかった。比較例4では、析出物の平均粒径が大きくなり、引張強さが小さく、900nmあたりの個数が少なくなっており、初期の目的とする規定範囲から外れていた。比較例3及び4の銅合金箔は、強度と延性との両立を達成できなかった。
[比較例5及び6]
比較例5及び6の銅合金箔の組成は、規定外のSnを含有している。比較例5及び6では、比較例4と同様に、伸びが初期の目的とする3%の規定範囲を満たしているが、析出物の平均粒径が大きくなり、引張強さが小さく、しかも、900nmあたりの個数が少なく、初期の目的とする規定範囲から外れていた。比較例5及び6の銅合金箔は、強度と延性との両立を達成できなかった。
[比較例7]
比較例7の銅合金箔の組成は、規定外のMgを含有している。比較例7では、伸びが初期の目的とする3%の規定範囲を満たしているが、比較例4と同様に、析出物の平均粒径が大きくなり、引張強さが小さく、しかも、900nmあたりの個数が少なくなっており、初期の目的とする規定範囲から外れていた。比較例7の銅合金箔は、強度と延性との両立を達成できなかった。
[比較例8及び9]
比較例8及び9の銅合金箔の組成は、初期の目的とする規定範囲を満足しているが、規定外の温度で時効が施されている。比較例8では、時効温度が初期の目的とする350℃の規定範囲より小さく、伸びが初期の目的とする3%の規定範囲より小さくなり、延性の向上を果たせなかった。しかも、比較例8では、900nmあたりの個数が初期の目的とする5個の規定範囲より少なかった。
比較例9では、時効温度が初期の目的とする550℃の規定範囲を超えており、伸びが初期の目的とする3%の規定範囲を満たしている。しかしながら、比較例9では、強度の低下を招いており、しかも、析出物の平均粒径が初期の目的とする規定範囲より大きくなり、900nmあたりの個数が少なかった。比較例8及び9の銅合金箔は、強度と延性との両立を達成できなかった。
これらの結果から、実施例1〜8の銅合金箔は、比較例1〜9の銅合金箔に比べて強度と延性との両立を達成できることが分かった。組成含有量や時効温度が初期の目的とする許容規定範囲から外れると、強度と延性との両立が難しいということが理解できる。
Figure 0005685049

Claims (9)

  1. Cuを母相として、Crを0.05〜0.4質量%、Zrを0.01〜0.08質量%、Snを0.05〜0.3質量%、残部Cu及び不可避的不純物からなるCu−Cr−Zr系の銅合金であり、圧延方向に垂直な断面の組織が次の条件を満たすことを特徴とする
    析出硬化型銅合金箔。
    (1)母相の結晶粒径が50μm以下であり、
    (2)600nm×400nmの領域内に存在するCr又はZrを含有する任意の100個の析出物の、結晶粒径が最も大きい径の算術平均値が15nm以下であり、
    (3)前記領域内の任意の10箇所の900nmの領域内において前記結晶粒径の最も大きい径が15nm以下の析出物の個数が5個以上である。
  2. 前記Cu−Cr−Zr系の銅合金にMgを0.01〜0.3質量%含有することを特徴とする請求項1記載の析出硬化型銅合金箔。
  3. 前記結晶粒径が最も大きい径の算術平均値が13nm以下であることを特徴とする請求項1記載の析出硬化型銅合金箔。
  4. ASTM E−345に準拠して測定した引張試験による伸びが3.0%以上であり、引張強さが450MPa以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の析出硬化型銅合金箔。
  5. 厚さが20μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の析出硬化型銅合金箔。
  6. 上記請求項1〜5のいずれかに記載の析出硬化型銅合金箔を負極集電体として用いたことを特徴とするリチウムイオン2次電池用負極。
  7. 前記負極集電体に負極活物質としてSi又はSnを含有する合金系材料を用いたことを
    特徴とする請求項6記載のリチウムイオン2次電池用負極。
  8. Cuを母相として、Crを0.05〜0.4質量%、Zrを0.01〜0.08質量%、残部Cu及び不可避的不純物からなるCu−Cr−Zr系の銅合金材に対し、次の一連の工程を少なくとも行うことを特徴とする、請求項1〜5いずれかに記載の析出硬化型銅合金箔の製造方法。
    (1)前記銅合金材にSnを0.05〜0.3質量%含有させた銅合金を鋳造する工程、
    (2)前記銅合金の鋳造工程で生じた析出物を一旦母相中に固溶させるための溶体化の効果を伴う温度で熱間圧延を行って板材に加工する熱間圧延工程、
    (3)前記板材に冷間圧延を施す第1の冷間圧延工程、
    (4)前記板材に溶体化処理を施す溶体化処理工程、
    (5)前記板材に80%以上の加工度の冷間圧延を施して箔材を形成する第2の冷間圧延工程、及び
    (6)前記箔材に350℃以上550℃以下の温度で時効処理を施す時効処理工程。
  9. 前記Cu−Cr−Zr系の銅合金材にMgを0.01〜0.3質量%含有させて鋳造することを特徴とする請求項8記載の析出硬化型銅合金箔の製造方法。
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