JP5683634B2 - 圧力緩衝装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、減衰バルブの背圧室に対する受圧面積が、減衰バルブの加圧された一方の油室に対する受圧面積より大きくなるように設定され、バックアップカラーの減衰バルブの背面に対する当接位置が、ピストンのピストンラウンドが減衰バルブの正面に対する当接位置より、減衰バルブの内周側に配置されてなる圧力緩衝装置の減衰力調整構造が開示されている。
本発明は、振幅に応じて減衰力が可変な圧力緩衝装置を簡易な構成で実現することを目的とする。
また、移動区画部材は、ピストンが所定量以下の移動量で移動する際に一端部および他端部から離れた状態を形成し、ピストンが所定量よりも大きい移動量で移動する際に一端部または他端部に位置した状態を形成するとよい。
そして、第2流路は、ピストンとシリンダとの間に形成されるとよい。
また、第2流路は、移動区画部材が移動することによって液体の流れを形成するとよい。
そして、ピストンは、側部において周方向に形成される凹部を有し、移動区画部材は、環形状を有し、ピストンの凹部において移動可能に取り付けられるとよい。
さらに、移動区画部材は、ピストンの動作に伴ってピストンに対して移動することで第1液室および第2液室の容積を変更し、ピストンに対する位置が固定されることで第1液室および第2液室の容積の変化を制限するとよい。
また、前記移動区画部材の前記移動可能領域における前記一端部側および前記他端部側の少なくとも一方に、当該移動区画部材が突き当たる衝撃を緩める緩衝材を備えるとよい。
さらに、前記移動区画部材における前記シリンダの軸方向端部に対峙して設けられ、当該移動区画部材を当該シリンダの軸方向において付勢する付勢部材を備えるとよい。
ることができる。
図1は、本実施形態の油圧緩衝装置1の全体構成図である。
図2は、本実施形態の油圧緩衝装置1を詳細に説明するための図である。
油圧緩衝装置1は、図1に示すように、サスペンションの一部を構成する複筒型式油圧緩衝装置である。そして、油圧緩衝装置1は、シリンダ部10と、ピストンロッド20と、第1ピストンバルブ30と、第2ピストンバルブ40と、ボトムバルブ60と、を備えている。
シリンダ部10は、薄肉円筒状の外シリンダ11と、外シリンダ11内に収容される薄肉円筒状の内シリンダ12と、円筒状の外シリンダ11の円筒の中心軸方向(図1では上下方向)の一方の端部を塞ぐ底蓋13とを備えている。
なお、以下の説明においては、外シリンダ11の円筒の中心軸方向を、単に「軸方向」と称す。また、外シリンダ11の軸方向において図中下側の端部側を「一方」と称し、外シリンダ11の図中上側の端部側を「他方」と称する。
具体的には、第2ピストンバルブ40のフリクション部材45よりも軸方向の一方側に第3油室Y3が形成される。また、第2ピストンバルブ40のフリクション部材45の軸方向の他方側と第1ピストンバルブ30のコントロールリング35の軸方向の一方側との間に第1油室Y1が形成される。そして、第1ピストンバルブ30のコントロールリング35よりも軸方向の他方側に第2油室Y2が形成される。
さらに、本実施形態の油圧緩衝装置1においては、図1に示すように、ボトムバルブ60の後述するバルブボディ61により第3油室Y3とリザーバ室Rとを区画する。
ピストンロッド20は、軸方向に延びるとともに軸方向の一方の端部(図1では下側)で第1ピストンバルブ30および第2ピストンバルブ40に接続する。
ピストンロッド20は、本実施形態では中実または中空の棒状の部材であり、円柱状または円筒状のロッド部21と、軸方向の一方の端部に第1ピストンバルブ30や第2ピストンバルブ40を取り付けるための一方側取付部22aと、軸方向の他方の端部にこのピストンロッド20を車体などへ取り付けるための他方側取付部22bと、を有している。一方側取付部22aおよび他方側取付部22bの端部の外面には螺旋状の溝が切られて雄ねじが形成されており、ボルトとして機能する。
また、一方側取付部22aは、ロッド部21と比較して外径が小さく形成されロッド部21との接続箇所となる段差部23を有している。
第1ピストンバルブ30は、図2に示すように、ピストンの一例としての第1ピストン31と、第1ピストン31に形成された複数の油路の内の一部の油路における軸方向の一方側の端部を塞ぐ第1開閉部材の一例としての伸張側バルブ群32と、伸張側バルブ群32に隣接するバルブシート32Vsと、第1ピストン31に形成された複数の油路の内の一部の油路における軸方向の他方側の端部を塞ぐ第2開閉部材の一例としての圧縮側バルブ群33と、圧縮側バルブ群33に隣接するバルブシート33Vsとを備えている。さらに、第1ピストンバルブ30は、バルブストッパ34と、移動区画部材の一例としてのコントロールリング35とを備えている。
さらに、第1ピストン31は、第1ピストン31の軸方向における他方側の端面に形成される第1環状溝部31C1および第2環状溝部31C2と、軸方向における一方側の端面に形成される第3環状溝部31C3と、第1ピストン31の側面にて周方向に形成される側部環状溝部31Tと、側部環状溝部31Tよりも軸方向における他方側にて第1ピストン31の側面の周方向に形成される断面が凹部形状をしたリング移動保持部36とを有している。
そして、図2に示すように、第1ピストン31に圧縮側バルブ群33が取り付けられた状態にて、第1環状溝部31C1と第2環状溝部31C2とは、後述の第1バルブ33Vc1によって全体が覆われる。また、この状態にて第1環状溝部31C1は、後述の第1バルブ33Vc1の油孔33Hと対向する。
上記のように構成される伸張側バルブ群32によって、第1ピストン31の第1油室Y1側(一方側)の端部が覆われ、第1油路311の開閉動作が行われる。
また、本実施形態では、第2バルブ33Vc2は、第1バルブ33Vc1に対して軸方向に移動して接離できるように構成されている。具体的には、図2に示すように、第2バルブ33Vc2は、第1バルブ33Vc1とのバルブシート33Vsとの間にて移動可能な隙間が形成されるように取り付けられている。
第2バルブ33Vc2の外径は、第1バルブ33Vc1よりも小さく設定している。また、第2バルブ33Vc2は、図2に示すように、断面が屈曲し環状形成される屈曲部33Bを有している。この屈曲部33Bは、第1バルブ33Vc1の油孔33Hとの間に空間を形成するとともに、油孔33Hよりも径方向の外側において第1バルブ33Vc1の外周部を押さえ付けるように形成している。
バルブシート33Vsの外径は、第2バルブ33Vc2よりも小さく設定している。また、本実施形態では、バルブシート33Vsは、第2バルブ33Vc2の屈曲部33Bの内側に位置するように形成される。そして、バルブシート33Vsは、第1バルブ33Vc1や第2バルブ33Vc2が変形するときのたわみの支点として機能する。
上記のように構成される圧縮側バルブ群33によって、第1ピストン31の第2油室Y2側(他方側)の端部が覆われ、第1油路311または第2油路312の開閉動作が行われる。
環状凹部34Cは、圧縮側バルブ群33側を向いて形成される環状の凹部である。本実施形態では、環状凹部34Cは、圧縮側バルブ群33の第2バルブ33Vc2の屈曲部33Bと対向する位置に形成される。そして、環状凹部34Cは、後述するように、第2バルブ33Vc2の動作に伴って第2バルブ33Vc2が変位および変形した際にその動きを許容する空間を形成する。
そして、バルブストッパ34は、圧縮側バルブ群33の変形による第1油路311や第2油路312の開閉を可能にしながら、圧縮側バルブ群33を第1ピストン31に向けて押さえる。
また、コントロールリング35の外径は、内シリンダ12の内径と同程度に設定している。これによって、コントロールリング35は、内シリンダ12の内周に接触しながら移動する。
そして、コントロールリング35は、内シリンダ12内のオイルが封入された空間を、コントロールリング35よりも軸方向の一方側に形成される第1油室Y1と、第1ピストン31よりも軸方向の他方側に形成される第2油室Y2とに区画する。
本実施形態では、第1受部361と第2受部362との距離は、第1端面351と第2端面352との幅に対して約2倍程度になるように設定している。これによって、リング移動保持部36は、コントロールリング35を移動可能に保持するとともに、第1受部361または第2受部362にてコントロールリング35を受けた場合には相対的な移動を止める。
第2ピストンバルブ40は、第2ピストン41と、第2ピストン41の軸方向の一方側の端部に設けられる伸張側バルブ群42と、伸張側バルブ群42に隣接するバルブシート42Vsと、軸方向の他方側の端部に設けられる圧縮側バルブ43と、伸張側バルブ群42を保持するナット44と、第2ピストン41の外周に取り付けられるフリクション部材45とを備える。
さらに、第2ピストン41は、第2ピストン41の軸方向における他方側(第2油室Y2側)の端面に形成される第1環状溝部41C1および第2環状溝部41C2と、軸方向における一方側(第1油室Y1側)の端面に形成される第3環状溝部41C3と、第2ピストン41の側面にて周方向に形成されるリング保持部41Hとを有している。
そして、図2に示すように、第2ピストン41に圧縮側バルブ43が取り付けられた状態にて、第1環状溝部41C1と第2環状溝部41C2とは、圧縮側バルブ43によって全体が覆われる。また、この状態にて、第1環状溝部41C1は、圧縮側バルブ43の後述の油孔43Hと対向する。
また、バルブシート42Vsは、第1バルブ42Vt1および第2バルブ42Vt2よりも外径が小さく形成される。そして、バルブシート42Vsは、第1バルブ42Vt1および第2バルブ42Vt2が変形するときのたわみの支点として機能する。
そして、上記のように構成される伸張側バルブ群42によって、第2ピストン41の第3油室Y3側の(一方側)端部が覆われ、第1油路411の開閉動作が行われる。
また、本実施形態では、圧縮側バルブ43は、第1ピストンバルブ30のバルブシート32Vsに対向して配置される。そして、圧縮側バルブ43に対して、バルブシート32Vsの外径は小さい。そのため、バルブシート32Vsは、圧縮側バルブ43が変形する際のたわみの支点として機能する。
そして、圧縮側バルブ43によって、第2ピストン41の第1油室Y1側の(他方側)端部が覆われ、第2油路412の開閉動作が行われる。
そして、ナット44は、取付孔44Rに一方側取付部22aが嵌め込まれてピストンロッド20に保持される。そして、ナット44は、伸張側バルブ群42の変形による第1油路411の開閉を可能にしながら、伸張側バルブ群42を第2ピストン41に向けて締め付ける。
そして、本実施形態では、フリクション部材45によって、内シリンダ12のオイルが第1油室Y1と第3油室Y3とに区画される。また、フリクション部材45は、第2ピストン41が軸方向に移動する際に、内シリンダ12との間の摩擦によって所定の減衰力を発生させる。
ボトムバルブ60は、図1に示すように、軸方向に形成された複数の油路を有するバルブボディ61と、バルブボディ61に形成された複数の油路の内の一部の油路における軸方向の一方の端部を塞ぐ第1バルブ621と、バルブボディ61に形成された複数の油路の内の一部の油路における軸方向の他方の端部を塞ぐ第2バルブ622、これらの部材を固定するボルト60Bとを備えている。
円盤状部63には、ボルト60Bの軸部を通すために軸方向に形成されたボルト孔65Rと、ボルト孔65Rよりも半径方向の外側の部位に軸方向に形成された第1油路661と、第1油路661よりも半径方向の外側の部位に軸方向に形成された第2油路662とが形成されている。第1油路661および第2油路662は、円周方向に等間隔に複数(本実施形態においては4つ)形成されており、第3油室Y3とリザーバ室Rとを連通する連通路として機能する。
次に、上述のように構成された油圧緩衝装置1の動作について説明する。
まず、圧縮行程時における動作について説明する。
図3は、ピストンロッド20が小さな振幅で移動する場合の、圧縮行程時におけるオイルの流れを示す図である。
ピストンロッド20が、図3中白抜き矢印のように内シリンダ12に対して軸方向の一方側へ移動すると、第2ピストン41の移動で第3油室Y3のオイルは押され、第2ピストンバルブ40の第3油室Y3側の圧力が上昇し、第2ピストン41の第2油路412に高圧が作用する。その結果、この第2油路412を塞ぐ圧縮側バルブ43が開き、オイルは図3の太矢印で示すように第2油路412を通って第2ピストンバルブ40の他方側の第1油室Y1に流入する。なお、この第3油室Y3から第1油室Y1へのオイルの流れは、圧縮側バルブ43および第2油路412で絞られ、油圧緩衝装置1の圧縮行程時における減衰力となる。
ピストンロッド20の移動が大振幅の範囲に達し、図4に示すように、リング移動保持部36においてコントロールリング35が移動した後、第1受部361に第1端面351が接する。そうすると、コントロールリング35が第1ピストン31に対しての移動(位置)が固定され、第1油室Y1の容積の変化が制限される。すなわち、第1油室Y1におけるオイルの圧力の吸収が行われなくなる。そして、第1ピストンバルブ30の第1油室Y1側の圧力が上昇し、第1ピストンバルブ30の第2油路312に高圧が作用する。
その結果、この第2油路312を塞ぐ圧縮側バルブ群33の第1バルブ33Vc1が開き、オイルは図4の太矢印で示すように第2油路312を通って第1ピストンバルブ30の他方側の第2油室Y2に流入する。なお、この第1油室Y1から第2油室Y2へのオイルの流れは、圧縮側バルブ群33および第2油路312で絞られ、油圧緩衝装置1の圧縮行程時における減衰力となる。
図5は、ピストンロッド20が小さな振幅で移動する場合の、伸張行程時におけるオイルの流れを示す図である。
ピストンロッド20が、図5中白抜き矢印のように内シリンダ12に対して軸方向の他方側へ移動すると、第1ピストン31の移動で第2油室Y2のオイルは押され、第1ピストンバルブ30の他方側の第2油室Y2側の圧力が上昇する。
ただし、この第2油室Y2におけるオイルの圧力は、リング移動保持部36においてコントロールリング35が第1油室Y1に向けて移動することによって吸収される。すなわち、コントロールリング35が第1ピストン31に対して移動することによって第2油室Y2の容積が拡大し、第2油室Y2におけるオイルの上昇が抑制される。そして、リング移動保持部36においてコントロールリング35が移動することで、第2油室Y2から第1油室Y1へとオイルが実質的に流れる状態が形成される。そのため、コントロールリング35が移動している状態では、第2油室Y2と第1油室Y1との圧力の差は、ほとんど無い状態となる。従って、第1ピストンバルブ30の第1油路311を介したオイルの流れは生じず、第1ピストンバルブ30による減衰力の発生はほとんど無い状態になる。
ピストンロッド20の移動が大振幅の範囲に達し、図6に示すように、リング移動保持部36においてコントロールリング35が移動した後、第2受部362に第2端面352が接する。そうすると、コントロールリング35が第1ピストン31に対しての移動(位置)が固定され、第2油室Y2の容積の変化が制限される。すなわち、第2油室Y2におけるオイルの圧力の吸収が行われなくなる。そして、第1ピストンバルブ30の第2油室Y2側の圧力が上昇し、第1油室Y1より第2油室Y2における圧力が高くなる。
このとき、まず圧縮側バルブ群33の第2バルブ33Vc2がバルブストッパ34側へと移動して、第2油路312の第2油室Y2側におけるオイルの流入部が開放される。そして、第2油室Y2のオイルが第1油路311に流入し、第1油路311のオイルの圧力が高まることで、第1油路311を塞ぐ伸張側バルブ群32が開く。
その結果、図6の太矢印で示すようにオイルは第1油路311を通って第1ピストンバルブ30の一方側の第1油室Y1に流入する。なお、この第2油室Y2から第1油室Y1へのオイルの流れは、伸張側バルブ群32および第1油路311で絞られ、油圧緩衝装置1の伸張行程時における減衰力を得る。
まず、図7(a)に示すように、大振幅時における減衰力と比較して、小振幅時における減衰力が低くなることがわかる。また、大振幅時においては、ピストンロッド20の移動速度が増加するに従って減衰力も次第に高くなる。一方で、小振幅時においては、移動速度が増加しても一定の速度に到るまでは概ね減衰力が低い状態が維持されることがわかる。
また、大振幅かつ低速時においては、一定のストロークまではコントロールリング35が移動した状態となり減衰力が比較的小さくなるものの、ストロークが一定量を超えることでコントロールリング35が移動できなくなった状態になると減衰力が大きくなることがわかる。
さらに、大振幅かつ高速時においては、ピストンロッド20が移動動作を開始した後に直ぐにコントロールリング35が移動できなくなる状態へと移行するため、直ぐに比較的高い減衰力が発生し、その後においても高い減衰力が維持されることがわかる。
さらに、本実施形態が適用される油圧緩衝装置1は、第1ピストンバルブ30における第1ピストン31の周囲に設けたコントロールリング35によって、振幅に応じて高い減衰力を発生させる状態と、低い減衰力を発生させる状態とを形成することを、比較的簡易な構造によって実現している。それゆえ、油圧緩衝装置1の製造バラツキを低減することができるとともに低コスト化を図ることができる。
すなわち、本実施形態の油圧緩衝装置1においてコントロールリング35を有する第1ピストンバルブ30だけを備える構成であっても、振幅に応じた減衰力の変更を行うことが可能である。この場合、コントロールリング35が移動している状態では第1ピストンバルブ30において減衰力を発生させず減衰力が低い状態を形成する。一方、コントロールリング35の移動が止まった状態にて第1ピストンバルブ30において減衰力を発生させるとともに、コントロールリング35における摩擦力を減衰力として作用させることで高い減衰力を発生させる状態とを形成することができる。
例えば、第1ピストン31の側部において周方向に凸部を形成する。一方、コントロールリング35の開口部35Hの内周に周方向に形成される凹部を形成する。そして、このコントロールリング35の内周の凹部に、第1ピストン31の凸部を、軸方向において移動可能に取り付ける。そして、このような構成を備えた油圧緩衝装置において、第1ピストン31に対するコントロールリング35の位置関係に応じて、減衰力を変更させても良い。
続いて、変形例1の油圧緩衝装置1について説明する。
図8は、変形例1の油圧緩衝装置1を詳細に説明するための図である。
変形例1の油圧緩衝装置1は、基本構成が上述の実施形態の油圧緩衝装置1と同様である。以下の説明では、上述した実施形態の油圧緩衝装置1と異なる構成について主に説明するとともに、上述した実施形態の油圧緩衝装置1と同様の部材については同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。
第1バルブストッパ51は、ピストンロッド20の段差部23に取り付けられる。そして、第2ピストンバルブ40は、段差部23との間に第1バルブストッパ51を挟み込むようにしてピストンロッド20に取り付けられる。そして、第2ピストンバルブ40のフリクション部材45によって、他方側に第3油室Y3を形成する。
なお、変形例1の油圧緩衝装置1では、圧縮側バルブ43と第1バルブストッパ51との間にバルブシート43Vsが設けられる。そして、バルブシート43Vsは、圧縮側バルブ43が変形するときのたわみの支点として機能する。
そして、カラー部材53は、第2ピストンバルブ40と第1ピストンバルブ30との間に位置することで、第2ピストンバルブ40と第1ピストンバルブ30とを間においてオイルが流入する空間を形成する。変形例1の油圧緩衝装置1においては、この第2ピストンバルブ40と第1ピストンバルブ30との間に形成される空間が第1油室Y1を構成する。
続いて、変形例2の油圧緩衝装置1について説明する。
図9は、変形例2の油圧緩衝装置1を詳細に説明するための図である。図9(a)は変形例2の油圧緩衝装置1の全体構成を示す図であり、図9(b)はケースリング367の構成を示す図である。
変形例2の油圧緩衝装置1は、基本構成が上述の実施形態の油圧緩衝装置1と同様である。以下の説明では、上述した実施形態の油圧緩衝装置1と異なる構成について主に説明するとともに、上述した実施形態の油圧緩衝装置1と同様の機能である部材については同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。
ここで、移動区画部材の一例としてのフリーピストン350は、第1ピストンバルブ30に対して固定されておらず、軸方向に移動可能である。一方、フリーピストン350の内側に挿入して設けられる円筒状部360は、第1ピストンバルブ30に対して固定されている。
このフリーピストン350は、内側に開口部350Bを有するリング状(環形状)の部材であるピストン本体350Aと、ピストン本体350Aの外側に設けられるリング状の部材であるシール材353とを備える。
また、ピストン本体350Aの内径は、円筒状部360の外径よりも大きく設定されているとともに、ピストン本体350Aの外径は、内シリンダ12の内径に対して小さく設定される。これによって、フリーピストン350は、内シリンダ12の軸方向において移動可能に構成される。
円筒本体360Aは、ピストンロッド20の一方側取付部22aが貫通可能な内径を有している。また、図示の例においては、軸方向の一方の端部は、軸方向の他方の端部よりも外径が大きくなるように形成されている。さらに、一方の端部は、第1ピストン31を内部に収容可能な内径であり、他方の端部は、フリーピストン350の内部を貫通可能な外径である。
緩衝材の一例であるOリング365は、リング状(環形状)の部材であり、軸方向において、保持リング363とフリーピストン350との間、およびフリーピストン350と段差部360Cとの間に、それぞれ設けられている。このOリング365は、軸方向において移動するフリーピストン350が保持リング363あるいは段差部360Cと衝突することで生じる衝突音を抑制する。なお、図示の例とは異なり、保持リング363とフリーピストン350との間、あるいはフリーピストン350と段差部360Cとの間のいずれかにOリング365を設けてもよい。
ここで、図9(b)に示すように、このケースリング367には、周方向の一部が切り欠かれる切り欠き(絞り)367aが設けられる。ケースリング367が切り欠き367aを備えることにより、切り欠き367aを備えない場合と比較して、ピストンロッド20の周波数(速度)が上昇した場合であっても、減衰力がより早期に発生する。言い替えると、減衰力の立ち上がりがはやくなる。
また、フリーピストン350の移動量分だけ、ピストン本体350Aは振動を吸収できる構造となる。
まず、圧縮行程時における動作について説明する。
図10は、変形例2の圧縮行程時におけるオイルの流れを示す図である。より詳細には、図10(a)は、小さな振幅で移動する場合の圧縮行程時のオイルの流れを示す図であり、図10(b)は、大きな振幅で移動する場合の圧縮行程時のオイルの流れを示す図である。
図10(a)に示すように、ピストンロッド20が、図中白抜き矢印のように内シリンダ12に対して軸方向の一方側へ移動すると、第3油室Y3側の圧力が上昇し、第2油路412を塞ぐ圧縮側バルブ43が開き、オイルは図中の太矢印で示すように第2油路412を通って第1油室Y1に流入する。
ここで、第3油室Y3から流れ込んだオイルによって第1油室Y1の圧力が上昇しようとするが、第1油室Y1の圧力は、フリーピストン350が第2油室Y2側(保持リング363側)に向けて移動することによって吸収される。このことにより、第1ピストンバルブ30の第2油路312を介したオイルの流れは生じない。
図10(b)に示すように、ピストンロッド20の移動が大振幅の範囲に達し、フリーピストン350が第1ピストン31に対して第2油室Y2側に向けて移動した後、保持リング363側のOリング365に到達する。そうすると、第1ピストン31に対してのフリーピストン350の移動(位置)が固定され、第1油室Y1におけるオイルの圧力の吸収が行われなくなる。
このことにより、上述の実施形態の油圧緩衝装置1と同様に、ピストンロッド20が大振幅で移動する場合は、小振幅で移動する際と比較して、より大きな減衰力を得る。
図11は、変形例2の伸張行程時におけるオイルの流れを示す図である。より詳細には、図11(a)は、小さな振幅で移動する場合の伸張行程時のオイルの流れを示す図であり、図11(b)は、大きな振幅で移動する場合の伸張行程時のオイルの流れを示す図である。
図11(a)に示すように、ピストンロッド20が、図中白抜き矢印のように内シリンダ12に対して軸方向の他方側へ移動すると、第2油室Y2側の圧力が上昇する。この第2油室Y2におけるオイルの圧力は、フリーピストン350が第1油室Y1側(段差部360C側)に向けて移動することによって吸収される。このことにより、第1ピストンバルブ30の第1油路311を介したオイルの流れは生じない。
一方、フリーピストン350の移動により第1油室Y1の圧力が上昇するとともに、ピストンロッド20の移動により、第1油室Y1に対して第3油室Y3の圧力が低くなる。このことにより、第1油路411を塞ぐ伸張側バルブ群42が開き、図中の太矢印で示すようにオイルは第1油路411を通って第3油室Y3に流入する。
図11(b)に示すように、ピストンロッド20の移動が大振幅の範囲に達し、フリーピストン350が第2油室Y1側に向けて移動した後、段差部360C側のOリング365に到達する。そうすると、第1ピストン31に対してのフリーピストン350の移動(位置)が固定され、第1油室Y2におけるオイルの圧力の吸収が行われなくなる。
このことにより、上述の実施形態の油圧緩衝装置1と同様に、ピストンロッド20が大振幅で移動する場合は、小振幅で移動する際と比較して、より大きな減衰力を得る。
続いて、変形例3の油圧緩衝装置1について説明する。
図12は、変形例3の油圧緩衝装置1を詳細に説明するための図である。
図13は、変形例4の油圧緩衝装置1を詳細に説明するための図である。
変形例3および変形例4の油圧緩衝装置1は、基本構成が上述の実施形態の油圧緩衝装置1と同様である。以下の説明では、上述した実施形態の油圧緩衝装置1と異なる構成について主に説明するとともに、上述した実施形態の油圧緩衝装置1と同様の機能である部材については同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。
例えば、図12に示すように、変形例3の円筒状部360は、フリーピストン350を軸方向において挟むように、フリーピストン350の軸方向の両端それぞれにスプリング366を備えてもよい。あるいは、図示の例とは異なり、フリーピストン350の軸方向の一端にスプリング366を備えてもよい。
フリーピストン350が軸方向においてスプリング366によって挟まれることにより、軸方向における予め定められた位置へフリーピストン350を復元させる復元力が、フリーピストン350に対して加えられる状態となる。
また、スプリング366のばね定数を変更することにより、フリーピストン350がオイルの圧力を受けて移動を開始してから、保持リング363側あるいは段差部360C側にて動きが制限されるまでの時間を調整し得る。
スプリング366および弾性部材370を軸方向に沿って配置することにより、軸方向に移動するフリーピストン350が保持リング363あるいは段差部360Cと衝突する際の衝突音が、より確実に抑制される。
Claims (13)
- 液体を収容するシリンダと、
前記シリンダ内において当該シリンダの軸方向に移動可能に設けられ、液体の複数の流路が形成されたピストンと、
前記ピストンと前記シリンダとの間に位置し、当該ピストンに設けられた移動可能領域の軸方向の一端部から他端部まで移動可能に設けられ、当該シリンダ内の空間を液体を収容する第1液室と第2液室とに区画する移動区画部材と、
前記ピストンの複数の流路の少なくとも一部の開口を開閉するとともに、前記移動区画部材が当該ピストンの前記一端部に位置するときに当該開口を開放し、当該移動区画部材が当該一端部に位置しないときには当該開口を閉じる第1開閉部材と、
前記ピストンの複数の流路の前記第1開閉部材により開閉される側と反対側にて当該複数の流路の少なくとも一部の開口を開閉するとともに、前記移動区画部材が当該ピストンの前記他端部に位置するときに当該開口を開放し、当該移動区画部材が当該他端部に位置しないときには当該開口を閉じる第2開閉部材と、
を備えることを特徴とする圧力緩衝装置。 - 前記シリンダの前記第1液室側に設けられることで当該シリンダ内の空間に液体を収容する第3液室を形成するとともに、当該第1液室と当該第3液室とを連通する複数の流路が形成された第2ピストンをさらに備え、
前記移動区画部材が前記一端部から前記他端部までの間を移動している状態では前記第2ピストンによって減衰力を発生させ、当該移動区画部材が当該一端部または当該他端部に位置した状態では前記ピストンおよび当該第2ピストンによって減衰力を発生させることを特徴とする請求項1に記載の圧力緩衝装置。 - 前記移動区画部材は、前記ピストンが所定量以下の移動量で移動する際に前記一端部および前記他端部から離れた状態を形成し、当該ピストンが当該所定量よりも大きい移動量で移動する際に当該一端部または当該他端部に位置した状態を形成することを特徴とする請求項1に記載の圧力緩衝装置。
- 液体を収容するシリンダと、
液体の複数の第1流路が形成され前記シリンダ内において当該シリンダの軸方向に移動可能に設けられるピストンと、
前記ピストンの前記複数の第1流路とは別に液体の流路を形成する第2流路と、
前記第2流路上にて前記軸方向に移動可能に設けられ、当該シリンダ内の空間を液体を収容する第1液室と第2液室とに区画する移動区画部材と、
前記ピストンの複数の第1流路の少なくとも一部の開口を開閉する第1開閉部材と、
前記ピストンの複数の第1流路の前記第1開閉部材により開閉される側と反対側にて当該複数の第1流路の少なくとも一部の開口を開閉する第2開閉部材と、
を備えることを特徴とする圧力緩衝装置。 - 前記第1開閉部材は、前記移動区画部材が前記軸方向の一端側に向けて移動して前記第2流路における液体の流れを止めた際に前記開口を開放し、
前記第2開閉部材は、前記移動区画部材が前記軸方向の他端側に移動して前記第2流路における液体の流れを止めた際に前記開口を開放することを特徴とする請求項4に記載の圧力緩衝装置。 - 前記第2流路は、前記ピストンと前記シリンダとの間に形成されることを特徴とする請求項4に記載の圧力緩衝装置。
- 前記第2流路は、前記移動区画部材が移動することによって液体の流れを形成することを特徴とする請求項4に記載の圧力緩衝装置。
- 前記ピストンは、側部において周方向に形成される凹部を有し、
前記移動区画部材は、環形状を有し、前記ピストンの前記凹部において移動可能に取り付けられることを特徴とする請求項4に記載の圧力緩衝装置。 - 前記移動区画部材は、前記ピストンの動作に伴って当該ピストンに対して移動することで前記第1液室および前記第2液室の容積を変更し、当該ピストンに対する位置が固定されることで当該第1液室および当該第2液室の容積の変化を制限することを特徴とする請求項4に記載の圧力緩衝装置。
- 液体を収容するシリンダと、
前記シリンダ内において当該シリンダの軸方向に移動可能に設けられ、液体の複数の流路が形成されたピストンと、
前記シリンダ内であって前記ピストンとは当該シリンダの軸方向における異なる位置にて、当該シリンダの軸方向に沿う移動可能領域の軸方向の一端部から他端部まで移動可能に設けられ、当該シリンダ内の空間を液体を収容する第1液室と第2液室とに区画する移動区画部材と、
前記ピストンの複数の流路の少なくとも一部の開口を開閉するとともに、前記移動区画部材が当該ピストンの前記一端部に位置するときに当該開口を開放し、当該移動区画部材が当該一端部に位置しないときには当該開口を閉じる第1開閉部材と、
前記ピストンの複数の流路の前記第1開閉部材により開閉される側と反対側にて当該複数の流路の少なくとも一部の開口を開閉するとともに、前記移動区画部材が当該ピストンの前記他端部に位置するときに当該開口を開放し、当該移動区画部材が当該他端部に位置しないときには当該開口を閉じる第2開閉部材と、
を備えることを特徴とする圧力緩衝装置。 - 前記シリンダ内に設けられ、当該シリンダの軸方向に沿う液体の流れを制限する環形状の部材であり、周方向の一部に切り欠きが形成された制限部材を備えることを特徴とする請求項10記載の圧力緩衝装置。
- 前記移動区画部材の前記移動可能領域における前記一端部側および前記他端部側の少なくとも一方に、当該移動区画部材が突き当たる衝撃を緩める緩衝材を備えることを特徴とする請求項10記載の圧力緩衝装置。
- 前記移動区画部材における前記シリンダの軸方向端部に対峙して設けられ、当該移動区画部材を当該シリンダの軸方向において付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項10に記載の圧力緩衝装置。
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