JP6345460B2 - 圧力緩衝装置および減衰力発生機構 - Google Patents
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Description
そして、従来の技術の圧力緩衝装置において、区画部材の一方向および他方向の両方向の移動に伴って生じさせる減衰力の調整を行おうとすると、装置構成が複雑にならざるを得なかった。また、圧力緩衝装置は、区画部材の一方向の移動により生じる減衰力と、区画部材の他方向の移動により生じる減衰力とを均一化させることが可能な構成であることが好ましい。
また、かかる目的のもと、本発明は、液体を収容するシリンダと、シリンダ内において軸方向に移動可能に設けられ、シリンダ内の空間を第1液室と第2液室とに区画する区画部材と、区画部材内に設けられて液体の流路を形成する流路形成部と、流路形成部に形成されるとともに、区画部材の軸方向における一方向の移動に伴って第1液室から第2液室に向かう液体を特定方向に流して、流路形成部の端部に配置される第1流路口から流出させる第1流路と、流路形成部に形成されるとともに、区画部材の軸方向における他方向の移動に伴って第2液室から第1液室に向かう液体の流れを反転させることで特定方向に沿って流して、流路形成部の端部にて第1流路口が位置する円周上に配置される第2流路口から流出させる第2流路と、流路形成部に形成されるとともに、流路形成部の端部に配置される第3流路口から液体が流入する第3流路と、流路形成部の端部側に位置し、区画部材が一方向に移動する際と他方向に移動する際とでそれぞれ液体の流れを制御するバルブと、備え、バルブは、区画部材が一方向に移動する際に、第1流路の第1流路口を開き、第1液室から第2液室に向かう液体の流れを制御し、区画部材が他方向に移動する際に、第2流路の第2流路口を開き、第3流路を通って第2液室から第1液室に向かう液体の流れを制御する圧力緩衝装置である。
<実施形態1>
図1は、本実施形態の油圧緩衝装置1の全体構成図である。
図2は、図1の矢印IIが示すピストン部30周辺の拡大図である。
なお、以下の説明においては、図1に示す油圧緩衝装置1の軸方向における図中下側を「一方側」と称し、図中上側を「他方側」と称する。また、油圧緩衝装置1の半径方向の中心を「中央側」、半径方向の外側を単に「外側」と称する。
[油圧緩衝装置1の構成・機能]
油圧緩衝装置1は、図1に示すように、シリンダ部10と、他方側がシリンダ部10の外部に突出して設けられるとともに一方側がシリンダ部10の内部にスライド可能に挿入されるロッド部20と、ロッド部20の一方側の端部に設けられるピストン部30と、シリンダ部10の一方側の端部に配置されるボトムバルブ部50とを備えている。
減衰ユニット40は、複数の油路を有するバルブシート41と、バルブシート41の他方側に設けられる減衰バルブ42と、バルブシート41の他方側に配置される第1保持ボルト43と、バルブシート41の内側に設けられる反転流路部44とを有する。
また、ピストン部30は、図2に示すように、ピストンハウジング31内に、第1油室Y1および第2油室Y2とは区分してオイルを収容する第1中間室P1および第2中間室P2(第3液室)を形成する。本実施形態では、第1中間室P1は、ピストンハウジング31の一方側にて、押付ユニット32、チェックバルブユニット33および減衰ユニット40によって形成される。第2中間室P2は、ピストンハウジング31の他方側にて、押付ユニット32およびチェックバルブユニット33によって形成される。
そして、ボトムバルブ部50は、油圧緩衝装置1の一方側の端部に設けられて、後述のリザーバ室Rと第1油室Y1とを区分する。
以下、これらの構成について詳述する。
シリンダ11は、図1に示すように、一方側および他方側が開口した薄肉円筒状に形成される。シリンダ11は、一方側の端部がボトムバルブ部50によって閉じられ、他方側の端部がロッドガイド15によって閉じられる。そして、シリンダ11は、内部にオイルを収容する。
また、シリンダ11には、ピストン部30が内周面に対して軸方向にスライド可能に設けられる。さらに、シリンダ11は、他方側であってロッドガイド15よりも一方側に、半径方向に開口するシリンダ開口11Hを有している。シリンダ開口11Hは、シリンダ11の第2油室Y2と後述する連絡路Lとを連絡する。そして、シリンダ開口11Hは、第2油室Y2と連絡路Lとの間のオイルの流れを可能にする。
ロッド部材21は、図1に示すように、軸方向に長く延びる棒状の部材である。ロッド部材21は、内部に軸方向に貫通する貫通孔21Hを有する。また、ロッド部材21は、一方側の端部に設けられる一方側取付部21aと、他方側の端部に設けられる他方側取付部21bとを有する。
ロッド部材21の一方側取付部21aは、ピストン部30を保持する。また、ロッド部材21の他方側取付部21bには、油圧緩衝装置1を自動車などの車体などに連結するための連結部材(不図示)が取り付けられる。
なお、伝達部材22を移動させる移動手段23の機構は特に限定されるものではないが、本実施形態では、例えばモータの回転運動をねじ等の機構を用いて直進運動に変換する直動アクチュエータを用いている。
(ピストンハウジング31)
ピストンハウジング31は、図2に示すように、一方側が開口し、他方側が閉じられた中空の部材である。そして、ピストンハウジング31は、他方側の端部であって半径方向の中央側に設けられる接続部311と、半径方向の外側に配置されるハウジング油路312と、一方側における外周にピストンリング313とを備えている。
ハウジング油路312は、周方向において複数(本実施形態では例えば6つ)形成される。そして、図2に示すように、ハウジング油路312は、第2油室Y2と第2中間室P2とを連絡する。
図16は、比較例の油圧緩衝装置を説明するための図である。
ここで、本実施形態の減衰ユニット40の説明の便宜上、比較例の減衰ユニット900について先に説明する。なお、比較例の減衰ユニット900は、本実施形態の減衰ユニット40に対応する構成である。また、図16は、後述する図4の本実施形態のバルブシート41の図示に対応し、他方側から見た比較例バルブシート910を示す。
そして、以上説明したような比較例の減衰ユニット900に対して、本実施形態の減衰ユニット40では、以下の構成を採用することで、圧縮行程および伸張行程における減衰力の均一化を図っている。
図4は、実施形態1のバルブシート41の上面図である。なお、図4は、バルブシート
41を他方側から見たものである。
バルブシート41は、図3(a)に示すように、内側に一方側に向けて開口する開口部41Hを有す有底円筒状に形成された部材である。そして、開口部41Hは、反転流路部44を収容する。また、バルブシート41は、ピストンハウジング31の一方側の端部に軸方向に移動しないように固定される。
さらに、バルブシート41は、図3(b)に示すように、第1保持ボルト43を通すボルト孔よりも半径方向の外側にて、軸方向に沿って形成された圧側油路47および伸側油路48を有する。
内側共通ラウンド41R1は、第2油路口47P2および第4油路口48P2に対して半径方向の内側に形成される。また、外側共通ラウンド41R2は、第2油路口47P2および第4油路口48P2に対して半径方向の外側に形成される。そして、本実施形態では、内側共通ラウンド41R1および外側共通ラウンド41R2は、共通して、複数形成される第2油路口47P2および第4油路口48P2を各々囲って隔離する。
第1径方向ラウンド41R3および第2径方向ラウンド41R4は、それぞれ第2油路口47P2と第4油路口48P2との間に形成される。そして、本実施形態では、第1径方向ラウンド41R3および第2径方向ラウンド41R4は、各第2油路口47P2および第4油路口48P2をそれぞれ囲って隔離する。
案内部431の外径は、押付部材327の後述する受部327bの内径と略等しく形成される。そして、案内部431は、押付部材327を軸方向において移動可能に案内する。
開口部432は、軸方向に延びる貫通孔である。開口部432の他方側の内径は、スプール321の外径よりも大きい。そして、開口部432の他方側には、スプール321の一方側の端部が軸方向において移動可能に挿入される。さらに、開口部432は、他方側にてスプール321の後述する中空部321Lと連絡する。また、開口部432は、一方側にて反転流路部44の後述する開口部441と連絡する。
開口部441は、軸方向に延びて、他方側が閉じられている。そして、開口部441は、他方側にて第1保持ボルト43の一方側に連絡する。
反転流路442は、半径方向に開口し、本実施形態では複数設けられる。そして、反転流路442は、一方が開口部441に連絡し、他方が伸側油路48に連絡する。
押付ユニット32は、軸方向に延びてピストンハウジング31における他方側に配置される伝達ロッド320と、軸方向に延びて伝達ロッド320の一方側に配置されるスプール321と、スプール321の外側に取り付けられるバルブ保持部323と、バルブ保持部323の一方側に取り付けられるプリセットバルブ324と、プリセットバルブ324の一方側に設けられるバルブストッパ325と、バルブストッパ325の一方側に取り付けられるリング326と、プリセットバルブ324の一方側に配置される押付部材327とを備える。
受部321Rは、伝達ロッド320の一方側の端部と接触する。後述するように伝達ロッド320が荷重を受けた際に、受部321Rにて伝達ロッド320から荷重を受けてスプール321全体が軸方向に移動する。中空部321Lは、他方側がスプール開口部321Hに接続し、一方側が開口するとともに減衰ユニット40の開口部432に連絡する。そして、中空部321Lは、第2中間室P2と開口部432との間のオイルの流れを可能にする。スプール開口部321Hは、中空部321Lと第2中間室P2とを連絡する。
バルブストッパ325は、プリセットバルブ324を一方側からバルブ保持部323に向けて押し付ける。
リング326は、スプール321の外周に形成される溝に装着される。そして、リング326は、バルブストッパ325を軸方向に固定する。
図2に示すように、接触部327aは、減衰バルブ42における第2油路口47P2および第4油路口48P2の対向部にて半径方向に単一の箇所で減衰バルブ42に接触する。より具体的には、減衰バルブ42の半径方向の中央側から外側に至るまでに、接触部327aは、減衰バルブ42における第2油路口47P2および第4油路口48P2の対向部において複数の箇所ではなく、1箇所のみで減衰バルブ42に接触する。なお、接触部327aは、バルブシート41の半径方向において内側共通ラウンド41R1よりも外側であって、外側共通ラウンド41R2よりも中央側に配置されるとよい。
チェックバルブユニット33は、図2に示すように、チェックバルブシート331と、チェックバルブシート331の他方側に設けられるチェックバルブ332と、チェックバルブ332の他方側に配置される第1保持ボルト333と、チェックバルブシート331の一方側に配置される第2保持ボルト334とを有する。
また、チェックバルブシート331は、半径方向の外側にて軸方向に貫通する複数の油路331Rを有する。油路331Rは、第1中間室P1と第2中間室P2との間におけるオイルの流路を形成する。
図5は、図1の矢印Vが示すボトムバルブ部50周辺の拡大図である。
第1バルブボディ51は、軸方向に形成された第1油路511と、第2油路512とを有する。また、第1バルブボディ51は、半径方向に開口する開口部511Hと、軸方向に伸びる溝511Tを外周部に有している。さらに、第1バルブボディ51は、円筒の内側に空間511Sを形成する。
第1油路511および第2油路512は、第1油室Y1と空間511Sとを連絡する。開口部511Hは、外筒体12に対向して設けられる。そして、空間511Sの内側から溝511Tを通って連絡路Lに向けて流れるオイルの流路を形成する。溝511Tは、シリンダ11と外筒体12との間に形成される連絡路Lに対向配置され、連絡路Lにおける第1バルブボディ51を挟んだオイルの流れを可能にする。
チェックバルブ55は、第2バルブボディ54の一部を通す開口部が形成された円盤状の金属板材である。そして、チェックバルブ55は、第2バルブボディ54の油路541の一方側を開閉可能にする。
第1開口58H1には、第2バルブボディ54の一部が挿入される。第2開口58H2は、ダンパケース13の底部14との間にオイルが流れる空間58Sを形成する。また、空間58Sには、第2バルブボディ54の貫通孔54Hが連絡する。第3開口58H3は、第2開口58H2とリザーバ室Rとを連絡する。
図6(a)および図6(b)は、実施形態1の油圧緩衝装置1の動作を説明するための図である。なお、図6(a)は圧縮行程時のオイルの流れを示す図であり、図6(b)は伸張行程時のオイルの流れを示す図である。
まず、油圧緩衝装置1の圧縮行程時のオイルの流れを説明する。
図6(a)に示すように、ピストン部30が、白抜き矢印のようにシリンダ部10に対して軸方向の一方側へ移動すると、ピストン部30の移動により第1油室Y1内のオイルが押され、第1油室Y1内の圧力が上昇する。
以上のようにして、本実施形態の油圧緩衝装置1では、ピストン部30の一方向の移動(本実施形態では軸方向の一方側に向かう移動)に伴って、第1油室Y1から第2油室Y2へのオイルの流れが生じ、そのオイルの流れを圧側油路47および減衰バルブ42によって制御することで減衰力を発生させる。
一方で、空間511Sに流れたオイルは、第2バルブボディ54の貫通孔54Hにも流れる。貫通孔54Hに流れたオイルは、空間58Sおよび第3開口58H3を通って、リザーバ室Rに流れ出る。
図6(b)に示すように、ピストン部30が、白抜き矢印のようにシリンダ部10に対して軸方向の他方側へ移動すると、ピストン部30の移動により第2油室Y2内のオイルが押され、第2油室Y2内の圧力が上昇する。
なお、図5に示すように、シリンダ開口11Hから連絡路Lを通じてオイルが流れようとしても、チェックバルブ55は油路541を閉じたままである。従って、連絡路Lを通じた第2油室Y2から第1油室Y1へのオイルの流れは生じない。
なお、第2中間室P2に圧力が高められたオイルが流れ込むことによって、第2油室Y2(第2中間室P2)の圧力が第1中間室P1よりも相対的に高くなっている。そのため、チェックバルブ332は油路331Rを開かず、チェックバルブユニット33を介したオイルの流れは生じない。
そして、伸側油路48のオイルは、押付部材327から受ける力に抗して減衰バルブ42を開き、第4油路口48P2から第1中間室P1に流れ出る。この伸側油路48および減衰バルブ42をオイルが流れる際に生じる抵抗によって減衰力が生じる。
以上のようにして、ピストン部30の他方向の移動に伴って、第2油室Y2から第1油室Y1へのオイルの流れが生じ、そのオイルの流れを伸側油路48および減衰バルブ42によって制御することで、伸張行程時における減衰力を発生させる。
引き続いて、油圧緩衝装置1の減衰ユニット40における減衰力の変更制御について説明する。
図1に示すように移動手段23によって伝達部材22を一方側に向けて一定量押し込む。そして、図2に示すように、伝達部材22の一方側への移動によって、伝達ロッド320が一方側に移動する。さらに、伝達ロッド320の移動によって、スプール321が一方側に移動する。これに伴って、スプール321に固定されるプリセットバルブ324が一方側に押し込まれる。そして、プリセットバルブ324が弾性変形しながら押付部材327を一方側に移動させる。このように、押付ユニット32は、他方側から一方側に向けて、一方向にのみ減衰バルブ42に荷重を付与する。
本実施形態では、減衰バルブ42は、他方側に変形または変位することで圧側油路47および伸側油路48を開く。そのため、押付部材327が減衰バルブ42を他方側から一方側に付与する荷重が大きくなることで、減衰バルブ42が開きにくくなる。その結果、油圧緩衝装置1において発生させる減衰力を大きくすることができる。
さらに、弾性部材であるプリセットバルブ324を介在させることによって、例えばピストン部30を構成する各部材の寸法公差を吸収し、仮に部材間の隙間や、逆に部材同士間で押し込みすぎたりすることによって生じるおそれのある油圧緩衝装置1の信頼性の低下を防止している。
図7は、実施形態2のピストン部230周辺の拡大図である。
図8(a)および図8(b)は、実施形態2の第2減衰ユニット70の分解斜視図である。なお、図8(a)は第2減衰ユニット70を軸方向の一方側から見たものであり、図8(b)は第2減衰ユニット70を軸方向の他方側から見たものである。なお、図8では、押付ユニット32の押付部材327も併せて図示している。
図9は、実施形態2のバルブシート71の油路を説明するための図である。なお、図9(a)は、圧側油路77を通る第2減衰ユニット70周辺の断面、図9(b)は第1伸側油路78および第2伸側油路79を通る第2減衰ユニット70周辺の断面を示す。
図10は、実施形態2のバルブシート71の上面図である。なお、図10は、バルブシート71を他方側から見たものである。
実施形態2のピストン部230は、図7に示すように、ピストンハウジング31と、第2減衰ユニット70と、押付ユニット32と、チェックバルブユニット33とを有している。
第2減衰ユニット70は、図7に示すように、複数の油路を有するバルブシート71と、バルブシート71の他方側に設けられる減衰バルブ72と、他方側に配置される第1保持部73と、バルブシート41の内側に設けられる反転流路部74と、反転流路部74の一方側に設けられる第2チェックバルブ75と、第2チェックバルブ75の一方側に配置される第2保持部76とを有する。
以下で、これらの構成について詳述する。
また、バルブシート71は、図10に示すように、他方側の端部において、バルブシート71における他の面よりも突出して第2油路口77P2および第4油路口78P2を囲うための共通部分となる共通ラウンド71R1を有する。さらに、バルブシート71は、他方側の端部において、バルブシート71における他の面よりも突出して第2油路口77P2を共通ラウンド71R1とともに囲う圧側ラウンド71R2を有する。また、バルブシート71は、他方側の端部において、バルブシート71における他の面よりも突出して第4油路口78P2を共通ラウンド71R1とともに囲う伸側ラウンド71R3を有する。
圧側ラウンド71R2は、第2油路口77P2の半径方向外側にて略円弧状に周方向に延びて形成される周方向壁R21と、第2油路口77P2の周方向外側にてそれぞれ略直線状に半径方向に延びて形成される2つの径方向壁R22とによって形成される。
伸側ラウンド71R3は、第4油路口78P2の半径方向外側にて略円弧状に周方向に延びて形成される周方向壁R31と、第4油路口78P2の周方向外側にてそれぞれ略直線状に半径方向に延びて形成される2つの径方向壁R32とによって形成される。
なお、本実施形態では、圧側ラウンド71R2の周方向壁R21と伸側ラウンド71R3の周方向壁R31とは、略同一円周上に形成される。
開口部741は、軸方向に延びる貫通孔である。そして、開口部741は、他方側にて第1保持部73の一方側に連絡する。また、開口部741は、一方側にて第2保持部76の後述する第2保持ボルト763が挿入され、他方側が閉じられている。
そして、リング部材761は、図7に示すように、外径が、第2チェックバルブ75を介して対向する圧側油路77の第1油路口77P1の位置よりも半径方向の中央側に形成される。
第2保持ボルト763は、反転流路部74の開口部741の一方側にて固定される。そして、第2保持ボルト763は、バルブシート71の一方側の端部との間に第2チェックバルブ75、リング部材761およびワッシャ762を挟み込む。そして、第2保持ボルト763は、第2チェックバルブ75をバルブシート71の一方側に押し付ける。
図11(a)および図11(b)は、油圧緩衝装置1の動作を説明するための図である。なお、図11(a)は圧縮行程時のオイルの流れを示す図であり、図11(b)は伸張行程時のオイルの流れを示す図である。
まず、油圧緩衝装置1の圧縮行程時のオイルの流れを説明する。
図11(a)に示すように、ピストン部230が、白抜き矢印のようにシリンダ部10に対して軸方向の一方側へ移動すると、ピストン部230の移動により第1油室Y1内のオイルが押され、第1油室Y1内の圧力が上昇する。
以上のようにして、本実施形態の油圧緩衝装置1では、ピストン部230の一方向の移動(本実施形態では軸方向の一方側への移動)に伴って、第1油室Y1から第2油室Y2へのオイルの流れが生じ、そのオイルの流れを圧側油路77および減衰バルブ72によって制御することで減衰力を発生させる。
図11(b)に示すように、ピストン部230が、白抜き矢印のようにシリンダ部10に対して軸方向の他方側へ移動すると、ピストン部230の移動により第2油室Y2内のオイルが押され、第2油室Y2内の圧力が上昇する。
なお、第2中間室P2に圧力が高められたオイルが流れ込むことで、第2油室Y2(第2中間室P2)の圧力が第1中間室P1よりも相対的に高い。そのため、チェックバルブ332は油路331Rを開かず、チェックバルブユニット33を介したオイルの流れは生じない。
そして、第1伸側油路78のオイルは、押付部材327から受ける力に抗して減衰バルブ72を開き、第4油路口78P2から第1中間室P1に流れ出る。この第1伸側油路78および減衰バルブ72をオイルが流れる際に生じる抵抗によって減衰力が生じる。
以上のようにして、ピストン部230の他方向の移動(本実施形態では軸方向の他方側への移動)に伴って、第2油室Y2から第1油室Y1へのオイルの流れが生じ、そのオイルの流れを第1伸側油路78、第2伸側油路79および減衰バルブ72によって制御することで、伸張行程時における減衰力を発生させる。
さらに、実施形態2の油圧緩衝装置1においても、圧側油路77および第1伸側油路78は、周方向において並べて配置され、略同一の円周上に配置される。これによって、実施形態2の油圧緩衝装置1では、ピストン部230が一方側に移動する伸張行程時に生じる減衰力と、ピストン部230が他方側に移動する圧縮行程時に生じる減衰力とを均一化することができる。
また、押付部材327の接触部327aは、減衰バルブ72における第2油路口77P2および第4油路口78P2の対向部にて半径方向に単一の箇所で減衰バルブ72に接触するため、さらに伸張張行程時に生じる減衰力と、圧縮行程時に生じる減衰力とを均一化することができる。
図12は、実施形態3の第3減衰ユニット80の分解斜視図である。なお、図12(a)は第3減衰ユニット80を軸方向の一方側から見たものであり、図12(b)は第3減衰ユニット80を軸方向の他方側から見たものである。
なお、実施形態1と同様の部材等については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
第3減衰ユニット80は、図12(a)および図12(b)に示すように、複数の油路を有するバルブシート41と、バルブシート41の他方側に設けられる第3減衰バルブ82と、バルブシート41の他方側に配置される第1保持ボルト43と、バルブシート41の内側に設けられる反転流路部44と、バルブシート41の一方側に設けられる第3チェックバルブ85と、第3チェックバルブ85をバルブシート41に保持する第2保持ボルト86を備える。
このように、第3減衰ユニット80は、第3減衰バルブ82、第3チェックバルブ85および第2保持ボルト86を備える点で、実施形態1の減衰ユニット40とは異なる。以下では、第3減衰バルブ82および第3チェックバルブ85について詳細に説明する。
図13(a)および図13(b)は、実施形態3の油圧緩衝装置1の動作を説明するための図である。なお、図13(a)は圧縮行程時のオイルの流れを示す図であり、図13(b)は伸張行程時のオイルの流れを示す図である。
図13(a)に示すように、圧縮行程時では、第3チェックバルブ85の凸部851(図12(a)参照)が対向していない第1油路口47P1から圧側油路47にオイルが流れ込む。その後のオイルの流れは、実施形態1の油圧緩衝装置1と同じである。
一方、図13(b)に示すように、第3減衰ユニット80における伸張行程時のオイルの流れは、第2油室Y2から伸側油路48に流れるまでは同じである。そして、実施形態3の油圧緩衝装置1は、伸側油路48を流れた後のオイルの流れが実施形態1の油圧緩衝装置1とは異なる。すなわち、伸張行程時では、図13(b)に示すように、伸側油路48の第4油路口48P2から第1中間室P1に流れ出たオイルは、第3減衰バルブ82の開口部821が対向する第2油路口47P2から圧側油路47に流れ込む。そして、オイルは、第2油路口47P2から、第3チェックバルブ85の凸部851を開いて、第1油室Y1に流れ出る。
そして、実施形態3の第3減衰ユニット80では、伸張行程時に第1中間室P1から第1油室Y1にオイルを流す際に、開口部821が開放する圧側油路47にオイルを流すことによって、より安定したオイルの流れを実現している。
また、実施形態3の油圧緩衝装置1においても、圧側油路47および伸側油路48は、周方向において並べて配置され、略同一の円周上に配置される。これによって、実施形態3の油圧緩衝装置1では、伸張行程時に生じる減衰力と、圧縮行程時に生じる減衰力とを均一化することができる。
図14は、実施形態4のピストン部430を説明するための図である。
なお、図14(a)は実施形態4のピストン部430の全体図であり、図14(b)には比較のために実施形態1のピストン部30の全体図を示す。
要するに、押付ユニット32によって押付部材327を一方側から他方側に向けて『引く方向』に移動させる場合、圧縮行程時のオイルを流す流路と、伸張行程時のオイルを流す流路の関係は、実施形態1の押付ユニット32を一方側から他方側に向けて『押す方向』に移動させる場合と比較して逆転する。
また、実施形態4の油圧緩衝装置1においても、圧側油路147および伸側油路148は、周方向において並べて配置され、略同一の円周上に配置される。これによって、実施形態4の油圧緩衝装置1においても、伸張行程時に生じる減衰力と、圧縮行程時に生じる減衰力とを均一化することができる。
図15は、実施形態5の油圧緩衝装置1を説明するための図である。
なお、実施形態5の説明において、他の実施形態と同様な部材等については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
例えば実施形態1では、シリンダ11内に減衰力を発生させる機構(ピストン部30)を設ける例を用いているが、これに限らず、減衰力を発生させる機構は、シリンダ11とは別に配置してもよい。
減衰力発生部520は、略円筒状に形成され、オイルを収容可能な第2シリンダ530を備える。第2シリンダ530は、第1連絡路531および第2連絡路532を有する。そして、第2シリンダ530は、上述した実施形態1のピストン部30の各構成部品を収容する。第1連絡路531は、図15に示すように、シリンダ11に形成され、第1油室Y1との間でオイルの流れを可能にするシリンダ第2開口11Cに連絡する。また、第2連絡路532は、図15に示すように、外筒体12に形成され、連絡路Lとの間でのオイルの流れを可能にする外筒体開口12Tに連絡する。なお、第2連絡路532は、第2油室Y2に連絡していても構わない。
また、実施形態5の油圧緩衝装置1においても、圧側油路47および伸側油路48は、周方向において並べて配置され、略同一の円周上に配置される。これによって、実施形態5の油圧緩衝装置1では、伸張行程時に生じる減衰力と、圧縮行程時に生じる減衰力とを均一化することができる。
また、実施形態2〜実施形態4が適用されるピストン部(230,430)や減衰ユニット(80)の構成を、実施形態5の油圧緩衝装置1における減衰力発生部520に内蔵しても良い。
Claims (8)
- 液体を収容するシリンダと、
前記シリンダ内において軸方向に移動可能に設けられ、前記シリンダ内の空間を第1液室と第2液室とに区画する区画部材と、
前記区画部材内に設けられて前記液体の流路を形成する流路形成部と、
前記流路形成部に形成されるとともに、前記区画部材の軸方向における一方向の移動に伴って前記第1液室から前記第2液室に向かう前記液体を特定方向に流して、前記流路形成部の端部に配置される第1流路口から流出させる第1流路と、
前記流路形成部に形成されるとともに、前記区画部材の前記軸方向における他方向の移動に伴って前記第2液室から前記第1液室に向かう液体の流れを反転させることで前記特定方向に沿って流して、前記流路形成部の前記端部にて前記第1流路口が位置する円周上に配置される第2流路口から流出させる第2流路と、
前記流路形成部の前記端部側に位置し、前記区画部材が前記一方向に移動する際と前記他方向に移動する際とでそれぞれ液体の流れを制御するバルブと、
を備え、
前記バルブは、
前記区画部材が前記一方向に移動する際に、前記第1流路の前記第1流路口を開き、前記第1液室から前記第2液室に向かう前記液体の流れを制御し、
前記区画部材が前記他方向に移動する際に、前記第2流路の前記第2流路口および前記第1流路の前記第1流路口を開き、前記第1流路を通って前記第2液室から前記第1液室に向かう前記液体の流れを制御する圧力緩衝装置。 - 前記バルブの前記第1流路口および前記第2流路口の対向部にて半径方向に単一の箇所で前記バルブに接触する接触部を有し、前記第1流路口および前記第2流路口を閉じる方向に前記バルブを押し付ける押付部材をさらに備える請求項1に記載の圧力緩衝装置。
- 前記バルブに対して一方向にのみ荷重を付与する荷重付与手段をさらに備える請求項1に記載の圧力緩衝装置。
- 前記流路形成部は、
前記第1流路口の周囲に設けられて前記バルブとの接触部位を形成する第1ラウンドと、
前記第1ラウンドが設けられる前記端部にて、前記第2流路口の周囲に設けられて前記バルブとの接触部位を形成する第2ラウンドとを有する請求項1に記載の圧力緩衝装置。 - 前記区画部材は、前記第1液室および前記第2液室とは区分して前記液体を収容するとともに、前記第1流路の前記第1流路口、前記第2流路の前記第2流路口および前記バルブが配置される第3液室を形成し、
前記区画部材の前記軸方向における前記一方向および前記他方向の移動に伴って、前記第1液室および前記第2液室から前記第3液室への液体の流れを許容または制限する許容制限部材を備える請求項1に記載の圧力緩衝装置。 - 液体を収容するシリンダと、
前記シリンダ内において軸方向に移動可能に設けられ、前記シリンダ内の空間を第1液室と第2液室とに区画する区画部材と、
前記区画部材内に設けられて前記液体の流路を形成する流路形成部と、
前記流路形成部に形成されるとともに、前記区画部材の軸方向における一方向の移動に伴って前記第1液室から前記第2液室に向かう前記液体を特定方向に流して、前記流路形成部の端部に配置される第1流路口から流出させる第1流路と、
前記流路形成部に形成されるとともに、前記区画部材の前記軸方向における他方向の移動に伴って前記第2液室から前記第1液室に向かう液体の流れを反転させることで前記特定方向に沿って流して、前記流路形成部の前記端部にて前記第1流路口が位置する円周上に配置される第2流路口から流出させる第2流路と、
前記流路形成部に形成されるとともに、前記流路形成部の前記端部に配置される第3流路口から前記液体が流入する第3流路と、
前記流路形成部の前記端部側に位置し、前記区画部材が前記一方向に移動する際と前記他方向に移動する際とでそれぞれ液体の流れを制御するバルブと、
を備え、
前記バルブは、
前記区画部材が前記一方向に移動する際に、前記第1流路の前記第1流路口を開き、前記第1液室から前記第2液室に向かう前記液体の流れを制御し、
前記区画部材が前記他方向に移動する際に、前記第2流路の前記第2流路口を開き、前記第3流路を通って前記第2液室から前記第1液室に向かう前記液体の流れを制御する圧力緩衝装置。 - 液体を収容するシリンダ内の空間を第1液室と第2液室とに区画するとともに前記シリンダの軸方向に移動可能に設けられる区画部材の移動に伴って流れる前記液体の流路を形成する流路形成部と、
前記流路形成部に形成されるとともに、前記区画部材の軸方向における一方向の移動に伴って前記第1液室から前記第2液室に向かう前記液体を特定方向に流して、前記流路形成部の端部に配置される第1流路口から流出させる第1流路と、
前記流路形成部に形成されるとともに、前記区画部材の前記軸方向における他方向の移動に伴って前記第2液室から前記第1液室に向かう液体の流れを反転させることで前記特定方向に沿って流して、前記流路形成部の前記端部にて前記第1流路口が位置する円周上に配置される第2流路口から流出させる第2流路と、
前記流路形成部の前記端部側に位置し、前記区画部材が前記一方向に移動する際と前記他方向に移動する際とでそれぞれ液体の流れを制御するバルブと、
を備え、
前記バルブは、
前記区画部材が前記一方向に移動する際に、前記第1流路の前記第1流路口を開き、前記第1液室から前記第2液室に向かう前記液体の流れを制御し、
前記区画部材が前記他方向に移動する際に、前記第2流路の前記第2流路口および前記第1流路の前記第1流路口を開き、前記第1流路を通って前記第2液室から前記第1液室に向かう前記液体の流れを制御する減衰力発生機構。 - 液体を収容するシリンダ内の空間を第1液室と第2液室とに区画するとともに前記シリンダの軸方向に移動可能に設けられる区画部材の移動に伴って流れる前記液体の流路を形成する流路形成部と、
前記流路形成部に形成されるとともに、前記区画部材の軸方向における一方向の移動に伴って前記第1液室から前記第2液室に向かう前記液体を特定方向に流して、前記流路形成部の端部に配置される第1流路口から流出させる第1流路と、
前記流路形成部に形成されるとともに、前記区画部材の前記軸方向における他方向の移動に伴って前記第2液室から前記第1液室に向かう液体の流れを反転させることで前記特定方向に沿って流して、前記流路形成部の前記端部にて前記第1流路口が位置する円周上に配置される第2流路口から流出させる第2流路と、
前記流路形成部に形成されるとともに、前記流路形成部の前記端部に配置される第3流路口から前記液体が流入する第3流路と、
前記流路形成部の前記端部側に位置し、前記区画部材が前記一方向に移動する際と前記他方向に移動する際とでそれぞれ液体の流れを制御するバルブと、
を備え、
前記バルブは、
前記区画部材が前記一方向に移動する際に、前記第1流路の前記第1流路口を開き、前記第1液室から前記第2液室に向かう前記液体の流れを制御し、
前記区画部材が前記他方向に移動する際に、前記第2流路の前記第2流路口を開き、前記第3流路を通って前記第2液室から前記第1液室に向かう前記液体の流れを制御する減衰力発生機構。
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