JP6118701B2 - 圧力緩衝装置および減衰力発生機構 - Google Patents
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Description
そして、従来の技術において、区画部材の一方向および他方向の両方向の移動に伴って生じさせる減衰力の調整を行おうとすると、装置構成が複雑にならざるを得なかった。
(実施形態1)
図1は、本実施形態の懸架装置100の概略構成を示す図である。
〔懸架装置100の構成・機能〕
懸架装置100は、図1に示すように、油圧緩衝装置1と、油圧緩衝装置1の外側に配置されたコイルスプリング2とを備えている。そして、懸架装置100は、コイルスプリング2は、両端に設けられるスプリングシート3およびスプリングシート4に保持される。懸架装置100は、車体等に取り付けるためのボルト5と、油圧緩衝装置1の下部に設けられた車輪側取付部6とを備えている。
なお、以下の説明においては、図1に示す懸架装置100の軸方向における図中下側を「一方側」と称し、図中上側を「他方側」と称する。
〔油圧緩衝装置1の構成・機能〕
油圧緩衝装置1は、図2に示すように、シリンダ部10と、他方側がシリンダ部10の外部に突出して設けられるとともに一方側がシリンダ部10の内部に摺動可能に挿入されるロッド部20と、ロッド部20の一方側の端部に設けられるピストン部30と、シリンダ部10の一方側の端部に配置されるボトムバルブ部50とを備えている。
シリンダ部10は、シリンダ11と、シリンダ11の外側に設けられる外筒体12と、外筒体12のさらに外側に設けられるダンパケース13とを備えている。これら、シリンダ11、外筒体12およびダンパケース13は同心(同軸)に配置される。
また、シリンダ11には、ピストン部30(減衰力発生機構)が内周面に対して軸方向に摺動可能に設けられる。そして、ピストン部30は、シリンダ11内の空間のオイルを収容する第1油室Y1と第2油室Y2とに区画する。本実施形態では、ピストン部30の一方側に第1油室Y1が形成され、ピストン部30の他方側に第2油室Y2が形成される。
さらに、シリンダ11は、他方側であってロッドガイド15よりも一方側に、半径方向に開口するシリンダ開口11Hを有している。シリンダ開口11Hは、シリンダ11の第2油室Y2と後述する連絡路Lとを連絡する。そして、シリンダ開口11Hは、第2油室Y2と連絡路Lとの間のオイルの流れを可能にする。
バンプストッパキャップ17は、ダンパケース13の他方側の端部にてダンパケース13の外側を覆うように設けられる。そして、バンプストッパキャップ17は、懸架装置100の圧縮行程時において、バンプラバー7(図1参照)の衝突を受ける際に油圧緩衝装置1の他方側の端部を保護する。
ロッド部20は、中空の棒状の部材であるロッド部材21と、ロッド部材21の内部に設けられる伝達部材22と、ロッド部材21の他方側に設けられる移動手段23とを有する。
一方側取付部21aは、ロッド部材21の外周に形成される螺旋状の溝によって構成されボルトとして機能する。そして、一方側取付部21aには、ピストン部30が取り付けられる。他方側取付部21bは、ロッド部材21の外周に形成される螺旋状の溝によって構成されボルトとして機能する。そして、他方側取付部21bには、懸架装置100を自動車などの車体などへ取り付けるための所定の部材が取り付けられる。
図3(a)および図3(b)は、実施形態1のピストン部30の分解斜視図である。なお、図3(a)はピストン部30を一方側から見たものであり、図3(b)はピストン部30を他方側から見たものである。
図4は、図2の矢印VIが示すピストン部30周辺の拡大図である。
図5は、実施形態1の減衰ユニット40の分解斜視図である。
ピストン部30は、図3に示すように、ピストン部30を構成する各部材およびオイルを内側に収容するピストンハウジング31と、ピストンハウジング31内の他方側において軸方向に延びるプリセットバルブユニット32と、プリセットバルブユニット32が軸方向に通されるチェックバルブユニット33と、プリセットバルブユニット32の一方側に設けられる減衰ユニット40と、減衰ユニット40の一方側に設けられるロックピース34とを有している。
ハウジング油路312は、図3(a)および(b)に示すように、周方向において複数(本実施形態では例えば6つ)形成される。そして、図4に示すように、ハウジング油路312は、第2油室Y2と他方側油室P1とを連絡する。
受部321Rは、ピストンハウジング31の接続部311に挿入される。そして、受部321Rは、伝達部材22の一方側の端部が接触する。後述するように伝達部材22が荷重を受けた際に、受部321Rにて伝達部材22から荷重を受けてスプール321全体が移動する。中空部321Lは、他方側がスプール開口部321Hに接続し、一方側が開口するとともに減衰ユニット40の後述のボルト開口部442に連絡する。そして、中空部321Lは、他方側油室P1からボルト開口部442との間のオイルの流れを可能にする。スプール開口部321Hは、中空部321Lと後述するカラー開口部322Hとを連絡する。
カラー開口部322Hは、スプール開口部321Hに対向して設けられ、他方側油室P1とスプール開口部321Hとを連絡する。接触部322Jは、カラー322の他の箇所と比較して外径が大きく形成された部分である。そして、接触部322Jは、第2カラー323の他方側の端部に接触する。
リング326は、スプール321の外周に形成される溝に装着される。そして、リング326は、バルブストッパ325を軸方向に固定する。なお、リング326がスプール321の一方側にて固定され、上述のカラー322はスプール321の他方側にて固定される。これによって、スプール321とリング326との間に挟み込まれる第2カラー323、プリセットバルブ324およびバルブストッパ325がスプール321に固定される。従って、スプール321、カラー322、第2カラー323、プリセットバルブ324、バルブストッパ325およびリング326は、後述するように伝達部材22から荷重を受けた際に一体となって軸方向に移動する。
また、チェックバルブシート331は、中央部に形成された開口331Hと、軸方向に形成された複数の油路331Rとを有する。開口331Hには、スプール321および第2カラー323が挿入される。また、油路331Rは、他方側油室P1と中間油室P2との間におけるオイルの流路を形成する。
ロックナット335は、外周にピストンハウジング31の内周に形成されるねじ溝に嵌るねじ部を有している。ロックナット335は、チェックバルブシート331を一方側から他方側の段差部31Cに向けて押し付ける。そして、ロックナット335は、チェックバルブシート331を軸方向に固定することで、チェックバルブユニット33全体を固定する。
段差部41Cは、図5に示すように、バルブシート41の他方側よりも一方側の外径を大きくすることで形成された部分である。そして、段差部41Cは、図4に示すように、ピストンハウジング31の内周に形成された溝に装着されるストッパリング414に一方側から掛けられる。
第2油路412は、図5に示すように、第1油路411よりも断面が大きく、第1油路411よりも数(本実施形態では例えば6個)が少なく設けられる。また、第2油路412は、図4に示すように、一方側が一方側油室P3に連絡し、他方側が中間油室P2と連絡可能になっている。そして、第2油路412は、減衰バルブ42の開閉状態に応じて流れる一方側油室P3と中間油室P2との間のオイルの流路を形成する。
第1押付部431および第2押付部432は、減衰バルブ42の他方側に押し付けられる部分である。そして、第1押付部431は、減衰バルブ42における第1油路411と対向する位置に設けられる。また、第2押付部432は、減衰バルブ42における第2油路412と対向する位置に設けられる。被接触部433は、プリセットバルブ324の外径と略等しい外径を有し、プリセットバルブユニット32の接触を受ける部分を形成する。
また、プリセットバルブユニット32が押付部材43を介して減衰バルブ42に付与する荷重を変えることで、減衰バルブ42により発生させる減衰力を変更可能にしている。なお、この減衰バルブ42の減衰力の可変については後に詳しく説明する。
突出部341は、一方側に向けて軸方向に突出する部分である。そして、突出部341は、バルブシート41の開口部41Hの内側に挿入される。また、突出部341は、上述した反転油路41Rを形成する軸方向に窪む凹部343が形成される。凹部343は、本実施形態では他方側を向く面を有し、この他方側を向く面によって他方側から一方側へと流れてきたオイルの流れを他方側へと反転させる。
径大部342は、図3(a)および図3(b)に示すように、周方向に複数の油路344が形成される。油路344は、第1油室Y1と一方側油室P3との間のオイルの流路を形成する。また、径大部342には、ピストンハウジング31に形成されるねじ溝に嵌るねじ部が形成される。
そして、ロックピース34は、図4に示すように、バルブシート41を一方側から他方側のストッパリング414に向けて押し付ける。ロックピース34は、バルブシート41を固定することで、減衰ユニット40全体を軸方向において固定する。
図6は、図2の矢印VIが示すボトムバルブ部50周辺の拡大図である。
図6に示すように、ボトムバルブ部50は、複数の油路を有する第1バルブボディ51と、第1バルブボディ51の一方側に設けられる圧側バルブ521と、第1バルブボディ51の他方側に設けられる伸側バルブ522と、伸側バルブ522の他方側に位置して伸側バルブ522を押さえるバルブストッパ53と、これらの部材を保持するボルト56とナット57とを有する。また、ボトムバルブ部50は、複数の油路を有して第1バルブボディ51の一方側に配置される第2バルブボディ54と、第2バルブボディ54の一方側に設けられるチェックバルブ55とを有する。さらに、ボトムバルブ部50は、チェックバルブ55の一方側に配置されるベース部材58を有する。
そして、ボトムバルブ部50は、油圧緩衝装置1の一方側の端部に設けられて、リザーバ室Rと第1油室Y1とを区分する。
また、第1バルブボディ51は、円盤状部51aおよび円筒状部51bの外周において軸方向に形成された溝511Tを有する。溝511Tは、シリンダ11と外筒体12との間に形成される連絡路Lに対向配置される。そして、溝511Tは、連絡路Lの一方側の端部にて第1バルブボディ51を挟んだオイルの流れを可能にする。
伸側バルブ522は、ボルト56を通すボルト孔522Bが形成された円盤状の金属板材である。また、伸側バルブ522は、第1油路511に対応する位置に油孔522Hが形成されている。そして、伸側バルブ522は、第1バルブボディ51に形成された第1油路511の他方側を常に開放するとともに、第2油路512の他方側を開閉可能にする。
また、第2バルブボディ54は、突出部54aにおいて軸方向に貫通する貫通孔54Hと、貫通孔54Hの半径方向外側に配置されるとともに軸方向に貫通する油路541とを有している。
第1開口58H1は、第2バルブボディ54の突出部54aの外径と略等しい内径を有し、突出部54aが挿入される。第2開口58H2は、第1開口58H1よりも大きい内径を有し、ダンパケース13の底部14との間にオイルが流れる空間58Sを形成する。また、第2開口58H2には、第2バルブボディ54の貫通孔54Hが連絡する。第3開口58H3は、第2開口58H2とリザーバ室Rとを連絡する。
図7(a)および図7(b)は、油圧緩衝装置1の動作を説明するための図である。なお、図7(a)は圧縮行程時のオイルの流れを示す図であり、図7(b)は伸張行程時のオイルの流れを示す図である。
まず、油圧緩衝装置1の圧縮行程時のオイルの流れを説明する。
図7(a)に示すように、ピストン部30が、白抜き矢印のようにシリンダ部10に対して軸方向の一方側へ移動すると、ピストン部30の移動により第1油室Y1内のオイルが押され、第1油室Y1内の圧力が上昇する。
以上のようにして、ピストン部30の一方向の移動に伴って、第1油室Y1から第2油室Y2へのオイルの流れが生じ、そのオイルの流れに第2油路412および減衰バルブ42によって抵抗を与えて制御することで減衰力が発生する。
図7(b)に示すように、ピストン部30が、白抜き矢印のようにシリンダ部10に対して軸方向の他方側へ移動すると、ピストン部30の移動により第2油室Y2内のオイルが押され、第2油室Y2内の圧力が上昇する。
なお、シリンダ開口11H(図2参照)から連絡路Lを通じてオイルが流れようとしても、オイルの流れがチェックバルブ55を閉じる方向であるため、チェックバルブ55が油路541を開かない。従って、連絡路Lを通じた第2油室Y2から第1油室Y1へのオイルの流れは生じない。
なお、他方側油室P1に流れたオイルによって、チェックバルブユニット33のチェックバルブ332の他方側の圧力が油路331Rの位置する一方側に対して相対的に高くなる。従って、チェックバルブ332は油路331Rを開かず、チェックバルブユニット33を介したオイルの流れは生じない。
そして、第1油路411において高まったオイルの圧力によって、減衰バルブ42が押付部材43から受ける押圧力に抗して撓む。そして、第1油路411内のオイルが減衰バルブ42を押し開きながら中間油室P2に流れる。この第1油路411および減衰バルブ42をオイルが流れる際に生じる抵抗によって減衰力が生じる。
以上のようにして、ピストン部30の他方向の移動に伴って、第2油室Y2から第1油室Y1へのオイルの流れが生じ、そのオイルの流れに第1油路411および減衰バルブ42によって抵抗を与えて制御することで減衰力が発生する。
引き続いて、油圧緩衝装置1における減衰力の変更について説明する。
例えば、図2に示すように移動手段23によって伝達部材22を一方側に一定量押し込む。そして、図4に示すように、伝達部材22の一方側への移動によってスプール321が一方側に移動する。これに伴って、スプール321に固定されるプリセットバルブ324が一方側へと押し込まれる。そして、プリセットバルブ324が弾性変形しつつ押付部材43を一方側へと移動させることによって、押付部材43が他方側から一方側に減衰バルブ42に荷重を付与する。本実施形態では、減衰バルブ42は、他方側に向けて撓むことで第1油路411または第2油路412を開く。そのため、押付部材43が減衰バルブ42を他方側から一方側に付与する荷重が大きくなることで、減衰バルブ42が開きにくくなる。
換言すれば、実施形態1に係る減衰バルブ42は、伸張行程および圧縮行程の両行程の減衰力操作を行うことができるため、後述する実施形態2の油圧緩衝装置1に設けられるチェックバルブ76を排除することができる。
次に、実施形態2の油圧緩衝装置1について説明する。なお、実施形態2の油圧緩衝装置1は、実施形態1のピストン部30と構成が異なるものである。以下では、実施形態1と同様な部材については同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。
図8は、実施形態2のピストン部60を説明するための図である。
図9は、実施形態2の減衰ユニット70の分解斜視図である。
減衰ユニット70は、複数の油路を有するバルブシート71と、バルブシート71の他方側に設けられる減衰バルブ72(制御手段,制御部材)と、減衰バルブ72の他方側に設けられる押付部材73と、これらの部材を保持する保持ボルト74およびナット75と、バルブシート71の一方側に設けられるチェックバルブ76とを有する。
第1油路711は、図9に示すように、一方側が第2油路712の一方側の端部よりも軸方向に窪んでおり、他方側が第2油路712の他方側の端部よりも軸方向に突出している。また、第1油路711は、図8に示すように、一方側が一方側油室P3に連絡可能であって、他方側が中間油室P2と連絡する。そして、第1油路711は、減衰バルブ72の開閉状態に応じて流れる一方側油室P3と中間油室P2との間のオイルの流路を形成する。
減衰バルブ72は、図9に示すように、凹部721が第2油路712に対向するように形成され、凸部722が第1油路711の他方側の端部を覆うことが可能な外径を有している。また、環状部723は、内側油路710の他方側の端部を覆うことが可能に半径方向の幅が設定されている。
そして、減衰バルブ72は、保持ボルト74によってバルブシート71の他方側の端部に押し付けられる。減衰バルブ72は、第2油路712の他方側の端部を常に開き、オイルの流れに応じて内側油路710および第1油路711の他方側の端部を開閉する。
第1押付部731および第2押付部732は、減衰バルブ72の他方側に押し付けられる部分である。そして、第1押付部731は、減衰バルブ72における内側油路710と対向する位置に設けられる。また、第2押付部732は、減衰バルブ72における第1油路711および第2油路712と対向する位置に設けられる。被接触部733は、プリセットバルブ324の外径と略等しい外径を有し、プリセットバルブユニット32の接触を受ける部分を構成する。
図10は、実施形態2の油圧緩衝装置1の動作を説明するための図である。
なお、以下の説明では、実施形態1と構成が異なるピストン部60におけるオイルの流れを主に説明する。また、図10では、圧縮行程時のオイルの流れを実線の矢印で示し、伸張行程時のオイルの流れを破線の矢印で示す。
まず、油圧緩衝装置1の圧縮行程時のオイルの流れを説明する。
ピストン部60の軸方向の一方側への移動によって高まった第1油室Y1のオイルの圧力によって、ロックピース34の油路344から一方側油室P3へとオイルが流れる。さらに、一方側油室P3から減衰ユニット70の第1油路711にオイルが流れる。このように第1油路711にて軸方向の一方側から他方側への特定方向に流れてきたオイルにより高められた圧力によって、減衰バルブ72の凸部722(図9参照)が押付部材43から受ける押圧力に抗して撓む。そして、第1油路711内のオイルが減衰バルブ72を押し開きながら中間油室P2に流れる。この第1油路711および減衰バルブ72をオイルが流れる際に生じる抵抗によって減衰力が生じる。
なお、一方側油室P3に流れたオイルのうち第2油路712に流れたオイルは、チェックバルブ76を閉じる方向に流れる。従って、チェックバルブ76は第2油路712を閉じたままであり、第2油路712を通るオイルの流れは生じない。
ピストン部60の軸方向の他方側への移動によって高まった第2油室Y2のオイルの圧力によって、ピストンハウジング31のハウジング油路312から他方側油室P1にオイルが流れる。さらに、他方側油室P1からカラー開口部322Hおよびスプール開口部321Hを通って中空部321Lにオイルが流れる。
そして、内側油路710において高まったオイルの圧力を減衰バルブ72の環状部723(図9参照)にて受けて、減衰バルブ72が押付部材73から受ける押圧力に抗して撓む。そして、内側油路710内のオイルが減衰バルブ72を押し開きながら中間油室P2に流れる。この内側油路710および減衰バルブ72をオイルが流れる際に生じる抵抗によって減衰力が生じる。
以上のようにして、ピストン部60の他方向の移動に伴って、第2油室Y2から第1油室Y1へのオイルの流れが生じ、そのオイルの流れに内側油路710および減衰バルブ72によって抵抗を与えて制御することで減衰力が発生する。
次に、実施形態3の油圧緩衝装置1について説明する。なお、実施形態3の油圧緩衝装置1は、実施形態1のピストン部30と構成が異なるものである。以下では、実施形態1と同様な部材については同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。
図11は、実施形態3のピストン部80を説明するための図である。
また、実施形態3のピストン部80では、ピストンハウジング31内において、プリセットバルブユニット82および第1減衰ユニット83によって区画された他方側油室P4と、プリセットバルブユニット82、第1減衰ユニット83および第2減衰ユニット84によって区画された中間油室P5とが形成される。
第2プリセットバルブ827は、スプール321を通す開口部827Bが形成された複数の円盤状の金属板材が重ね合わされて構成される。そして、第2プリセットバルブ827は、カラー322の接触部322Jと、第2カラー323の他方側の端部との間に挟み込まれてスプール321に固定される。
バルブシート831は、内側に一方側に向けて開口する開口部831Hを有す有底円筒状に形成された部材である。また、バルブシート831は、外周に角部831Cを有している。さらに、バルブシート831は、保持ボルト834を通すために軸方向に形成されたボルト孔831Bと、ボルト孔831Bよりも半径方向の外側にて軸方向に形成された油路831Yとを有する。
開口部831Hは、中間油室P5を形成する。角部831Cは、バルブシート831をピストンハウジング31において軸方向に固定するための部分である。
油路831Yは、円周方向に等間隔に複数形成されている。油路831Yは、他方側油室P4と中間油室P5の間のオイルの流れを可能にする。
バルブシート841は、内側に一方側に向けて開口する開口部841Hを有す有底円筒状に形成された部材である。さらに、バルブシート841は、保持ボルト844を通すために軸方向に形成されたボルト孔841Bと、ボルト孔841Bよりも半径方向の外側にて軸方向に形成された油路841Yと、油路841Yよりも半径方向のさらに外側にて軸方向に形成された外側油路841Lとを有している。
開口部841Hは、ロックピース85の凹部853とによって区画された空間である反転油路841Rを形成する。反転油路841Rは、保持ボルト844の後述するボルト開口部844Hと油路841Yとを連絡する。
油路841Yは、円周方向に等間隔に複数形成されている。油路841Yは、中間油室P5と反転油路841Rとの間のオイルの流れを可能にする。
突出部851は、一方側に向けて軸方向に突出する部分である。そして、突出部851は、バルブシート841の開口部841Hの内側に挿入される。また、突出部851は、上述した反転油路841Rを形成する軸方向に窪む凹部853が形成される。
径大部852は、図11に示すように、複数の油路854が形成される。複数の油路854は、周方向において略等間隔に配置される。そして、油路854は、第1油室Y1と第2減衰ユニット84の油路841Yとの間のオイルの流路を形成する。また、径大部852には、ピストンハウジング31に形成されるねじ溝に嵌るねじ部が形成される。
そして、ロックピース85は、バルブシート841を一方側から他方側の第1減衰ユニット83のバルブシート831に向けて押し付ける。ロックピース85は、バルブシート841を固定することで、第2減衰ユニット84全体を軸方向において固定する。
図12は、実施形態3の油圧緩衝装置1の動作を説明するための図である。
なお、以下の説明では、実施形態1と構成が異なるピストン部80におけるオイルの流れを主に説明する。また、図12では、圧縮行程時のオイルの流れを実線の矢印で示し、伸張行程時のオイルの流れを破線の矢印で示す。
まず、油圧緩衝装置1の圧縮行程時のオイルの流れを説明する。
ピストン部80の軸方向の一方側への移動によって高まった第1油室Y1のオイルの圧力によって、ロックピース85の油路854から外側油路841Lにオイルが流れる。そして、外側油路841Lから中間油室P5にオイルが流れる。さらに、中間油室P5から第1減衰ユニット83の油路831Yにオイルが流れる。
なお、中間油室P5にて高められるオイルの圧力は、第2減衰ユニット84の伸側減衰バルブ842を閉じる方向に作用する。従って、伸側減衰バルブ842は、油路841Yを閉じたままであり、油路841Yを通るオイルの流れは生じない。
以上のようにして、ピストン部80の一方向の移動に伴って、第1油室Y1から第2油室Y2へのオイルの流れが生じ、そのオイルの流れに油路831Yおよび圧側減衰バルブ832によって抵抗を与えて制御することで減衰力が発生する。
ピストン部80の軸方向の他方側への移動によって高まった第2油室Y2のオイルの圧力によって、ピストンハウジング31のハウジング油路312から他方側油室P4にオイルが流れる。さらに、他方側油室P4からカラー開口部322Hおよびスプール開口部321Hを通って中空部321Lにオイルが流れる。
そして、油路841Yにおいて高まったオイルの圧力によって伸側減衰バルブ842が押付部材843から受ける押圧力に抗して撓む。そして、油路841Y内のオイルが伸側減衰バルブ842を押し開きながら中間油室P5に流れる。この油路841Yおよび伸側減衰バルブ842をオイルが流れる際に生じる抵抗によって減衰力が生じる。
以上のようにして、ピストン部80の他方向の移動に伴って、第2油室Y2から第1油室Y1へのオイルの流れが生じ、そのオイルの流れに油路841Yおよび伸側減衰バルブ842によって抵抗を与えて制御することで減衰力が発生する。
ただし、実施形態1の油圧緩衝装置1では、例えばプリセットバルブ324を設けることによって、例えば移動手段23により伝達部材22に荷重を付与しない状態であっても、プリセットバルブ324自体の弾性力によって一定の荷重を押付部材43に付与する。そして、押付部材43が減衰バルブ42に付与する荷重が、移動手段23などの外部の条件に関わらず常に一定以上の力となるようにして減衰バルブ42の減衰力を安定させている。
例えば、圧縮行程時に減衰を生じさせるバルブと、伸張行程時に減衰を生じさせるバルブとを、軸と交差する方向である半径方向において異なる位置に配置してもよい。具体的には、内側が開口した円環状の一のバルブと、一のバルブの内側に一のバルブよりも外径が小さい円環状の他のバルブを配置する。そして、一のバルブと他のバルブとに対して、ピストン部の一方向および他方向の移動に伴って生じるピストン部内のオイルの流れを制御するように構成して、減衰力を発生させる。この場合、例えば実施形態3と比較して、ピストン部の軸方向における長さを短くすることができる。
図13は、実施形態4のピストン部130を説明するための図である。
なお、図13(a)は実施形態4のピストン部130の全体図であり、図13(b)は実施形態1のピストン部30の全体図を示す。
上述した実施形態1〜実施形態3において、図13(b)に示す例えば実施形態1のピストン部30では、プリセットバルブユニット32を移動手段23(図1参照)によって、軸方向における「他方側」(図13中上側)から「一方側」(図13中下側)にかけて押付部材43および減衰バルブ42を押す方向に移動させる構成を例に用いているが、これに限定するものではない。例えば、実施形態4のピストン部130のように、プリセットバルブユニット132の移動方向を実施形態1のプリセットバルブユニット32と逆にして、プリセットバルブユニット132を、「一方側」(例えば図13中下側)から「他方側」(例えば図13中上側)に向けて引く方向に移動させるようにしてもよい。
さらに、プリセットバルブユニット132は、弾性部材であるプリセットバルブ1324を有し、このプリセットバルブ1324を介して減衰バルブ142に荷重を付与する。
Claims (6)
- 液体を収容するシリンダと、
前記シリンダ内において軸方向に移動可能に設けられ、前記シリンダ内の空間の液体を収容する第1液室と第2液室とに区画する区画部材と、
前記区画部材内に形成され、前記区画部材の軸方向における一方向の移動に伴って前記第1液室から前記第2液室へと向かう液体を特定方向に流す第1流路と、
前記区画部材内に形成され、前記区画部材の軸方向における他方向の移動に伴って前記第2液室から前記第1液室へと向かう液体を前記特定方向に沿って流す第2流路と、
前記第1流路および前記第2流路を開閉して、前記第1流路および前記第2流路における液体の流れを制御する制御手段と、
前記制御手段が前記第1流路および前記第2流路を閉じる方向に前記制御手段に荷重を付与するとともに前記制御手段の荷重を変更可能に構成される荷重付与手段と、
を備え、
前記荷重付与手段は、前記制御手段に対して一方向にのみ荷重を付与する圧力緩衝装置。 - 前記荷重付与手段は、弾性部材を介して前記制御手段に荷重を付与する請求項1に記載の圧力緩衝装置。
- 液体を収容するシリンダと、
前記シリンダ内において軸方向に移動可能に設けられ、前記シリンダ内の空間の液体を収容する第1液室と第2液室とに区画する区画部材と、
前記区画部材内に形成され、前記区画部材の軸方向における一方向の移動に伴って前記第1液室から前記第2液室へと向かう液体を特定方向に流す第1流路と、
前記区画部材内に形成され、前記区画部材の軸方向における他方向の移動に伴って前記第2液室から前記第1液室へと向かう液体を前記特定方向に沿って流す第2流路と、
前記第1流路および前記第2流路を開閉して、前記第1流路および前記第2流路における液体の流れを制御する制御手段と、
前記制御手段が前記第1流路および前記第2流路を閉じる方向に前記制御手段に荷重を付与するとともに前記制御手段の荷重を変更可能に構成される荷重付与手段と、
を備え、
前記第1流路は、前記区画部材の一方側から前記区画部材内に導入した液体を前記区画部材の他方側に向けて流し、
前記第2流路は、前記区画部材の前記他方側から前記区画部材内に導入した液体を前記他方側に向けて反転させて流す圧力緩衝装置。 - 液体を収容するシリンダと、
前記シリンダ内において軸方向に移動可能に設けられ、前記シリンダ内の空間の液体を収容する第1液室と第2液室とに区画する区画部材と、
前記区画部材内に形成され、前記区画部材の軸方向における一方向の移動に伴って前記第1液室から前記第2液室へと向かう液体を特定方向に流す第1流路と、
前記区画部材内に形成され、前記区画部材の軸方向における他方向の移動に伴って前記第2液室から前記第1液室へと向かう液体を前記特定方向に沿って流す第2流路と、
前記第1流路および前記第2流路を開閉して、前記第1流路および前記第2流路における液体の流れを制御する制御手段と、
前記制御手段が前記第1流路および前記第2流路を閉じる方向に前記制御手段に荷重を付与するとともに前記制御手段の荷重を変更可能に構成される荷重付与手段と、
を備え、
前記制御手段は、一の側から前記第1流路および前記第2流路を開閉する単一の制御部材を備えている圧力緩衝装置。 - 液体を収容するシリンダと、
前記シリンダ内において軸方向に移動可能に設けられ、前記シリンダ内の空間の液体を収容する第1液室と第2液室とに区画する区画部材と、
前記区画部材内に形成され、前記区画部材の軸方向における一方向の移動に伴って前記第1液室から前記第2液室へと向かう液体を特定方向に流す第1流路と、
前記区画部材内に形成され、前記区画部材の軸方向における他方向の移動に伴って前記第2液室から前記第1液室へと向かう液体を前記特定方向に沿って流す第2流路と、
前記第1流路および前記第2流路を開閉して、前記第1流路および前記第2流路における液体の流れを制御する制御手段と、
前記制御手段が前記第1流路および前記第2流路を閉じる方向に前記制御手段に荷重を付与するとともに前記制御手段の荷重を変更可能に構成される荷重付与手段と、
を備え、
前記第1流路の他方側の流路口と前記第2流路の前記他方側の流路口とは前記区画部材に並べて配置され、
前記制御手段は、前記区画部材の前記他方側に配置され、
前記荷重付与手段は、前記制御手段の前記他方側にて前記制御手段に接触する接触部材と、前記他方側から一方側に向けて前記接触部材を移動させる移動手段とを有する圧力緩衝装置。 - 前記第1流路の前記他方側の流路口と前記第2流路の前記他方側の流路口とは前記区画部材の半径方向に並べて配置され、
前記制御手段は、円環状に形成されて、前記第1流路および前記第2流路を開閉可能に設けられる請求項5に記載の圧力緩衝装置。
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