JP3123679B2 - 油圧緩衝器 - Google Patents

油圧緩衝器

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JP3123679B2
JP3123679B2 JP17743192A JP17743192A JP3123679B2 JP 3123679 B2 JP3123679 B2 JP 3123679B2 JP 17743192 A JP17743192 A JP 17743192A JP 17743192 A JP17743192 A JP 17743192A JP 3123679 B2 JP3123679 B2 JP 3123679B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、走行車両のばね下振
動周波数が設定値以上の高周波域に入ったときに、自動
的に伸側減衰力を低く保って車両の乗り心地の向上を図
ると共に、伸側減衰力を低く保つばね下振動周波数の設
定高周波域を適宜に調整し得るようにした依存周波数可
変型油圧緩衝器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】振動周波数が設定値以上の高周波域に入
ったときに上部作動油室から伸側減衰力調整用の圧力室
に伝わる油圧に位相差を与えて、即ち、上部作動油室に
発生した油圧を一次遅れとして伸側減衰力調整用の圧力
室(以下、一次遅れ圧力室という。)に伝えて伸側減衰
力を低く保つと共に、この伸側減衰力を低く保つ設定高
周波域を適宜に調整することもできる依存周波数可変型
の油圧緩衝器としては、例えば、平成3年特許出願公開
第168435号公報に示されるものがある。
【0003】このものは、上部作動油室と一次遅れ圧力
室とを結ぶ通路に可変オリフイスを介装し、振動周波数
が設定値以上の高周波域に入ったときに、この可変オリ
フィスで上部作動油室内の発生油圧が位相差をもって一
次遅れ圧力室に伝わるようにし、一次遅れ圧力室内の油
圧上昇を抑えることで伸側減衰力を低く保つと共に、可
変オリフィスの調整操作で伸側減衰力を低く保つ設定高
周波域を適宜に調整し得るようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記の油
圧緩衝器は、減衰力周波数依存性を可変オリフィス径の
選択により制御して、伸側減衰力をハードからソフトま
で制御できる構造となっているが、しかしこれは、飽く
迄もピストンの伸長行程時においてのみであって圧縮行
程時の減衰力特性までは可変制御できず、車両の乗心地
および操縦安定性の面で未だ不十分であるという問題点
をもつ。
【0005】したがって、この発明の目的は、減衰力周
波数依存可変方式の油圧緩衝器において、ピストンの伸
長行程および圧縮行程の両方の減衰力特性を可変制御す
ることのできるこの種依存周波数可変型の油圧緩衝器を
提供することである。
【0006】
【問題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明にあっては、上部作動油室から伸側減衰
力発生バルブを通して下部作動油室に通じる通路と、上
部作動油室を伸側減衰力発生バルブの一次遅れ圧力室に
結ぶ通路とを備え、後者の通路中に可変オリフイスを介
装することで、この可変オリフィスの調整操作に伴い伸
側減衰力を低下させる高周波域を適宜に調整し得るよう
にした依存周波数可変型の油圧緩衝器において、下部作
動油室を上部作動油室に連通する通路と、下部作動油室
を前記可変オリフィスと連動する圧側可変オリフィスを
通して同じく上部作動油室に連通するバイパス通路とを
それぞれ形成し、前者の通路に上部作動油室側へと向か
って開く背面バルブを配設すると共に、後者の通路には
同じく上部作動油室側に向かって開くチェックバルブを
介装した構造をとっている。
【0007】
【作用】かくして、この発明によれば、ピストンの伸長
行程時における減衰力周波数依存性を可変オリフィス径
の選択により制御すると同時に、この可変オリフィスの
制御と連動して、ピストンの圧縮行程時における減衰力
発生バルブである背面バルブの圧側バイバス通路中に介
装した圧側可変オリフィス径も制御されることになり、
ピストンの伸長行程および圧縮行程の両方の減衰力特性
が同時に可変となるのである。
【0008】
【実施例】以下、図面に基づいてこの発明を説明する。
【0009】図1に示すように、この発明の一実施例で
ある油圧緩衝器は、密閉筒体のシリンダ1と、このシリ
ンダ1内に摺動自在に挿入したピストン2、およびピス
トン2からシリンダ1の上端密閉部を貫通して外方に伸
びるピストンロッド3とからなる。
【0010】ピストン2は、ピストンロッド3の下部イ
ンロー部3eに嵌挿されており、かつ、下面にメタルラ
バー等のシール部材からなるガスケット18を当て、こ
のガスケット18でピストン2とピストンロッド3の下
部インロー部3eおよびピストンナット4のそれぞれの
接合面をシールしつつ下方からピストンロッド3の下端
螺旋部3aに螺装したピストンナット4でピストンロッ
ド3に固定され、このピストン2でシリンダ1内をロッ
ド側の上部作動油室Aとヘッド側の下部作動油室Bとに
区画すると共に、油圧緩衝器の伸長行程時において上部
作動油室A内の作動油を、ピストン2から伸側減衰力発
生機構を通して下部作動油室Bに流すことにより、この
伸側減衰力発生機構の部分で伸長行程時の減衰力を発生
し、また、圧縮行程時には下部作動油室B内の作動油
を、ピストン2と図示しない公知のベースバルブからそ
れぞれの圧側減衰力発生機構を通して上部作動油室Aと
リザーバ室とに流すことで、これら圧側減衰力発生機構
の部分で圧縮行程時の減衰力を発生する。
【0011】そのために、ピストン2には、上部作動油
室Aと下部作動油室Bとを連通する外周側の圧側ポート
2aと内周側の伸側ポート2bの二組のポート群が設け
られており、圧側ポート2a群は、下端を直接下部作動
油室Bに開口すると共に、上端は圧側減衰力発生機構で
ある背面バルブ5を介して上部作動油室Aに通じ、ま
た、伸側ポート2b群は、下端をガスケット18の孔1
8bからピストンナット4に穿設した通路4bを通して
伸側減衰力発生機構側に連通すると共に、上端はピスト
ン2の上面に形成した環状溝2eから通路2fを通して
上部作動油室Aに通じている。
【0012】一方、ピストンナット4からピストンロッ
ド3内に亙って伸側減衰力発生機構と、この伸側減衰力
発生機構の減衰力特性と共に圧側減衰力発生機構である
背面バルブ5の減衰力特性をも制御する制御機構が納め
られている。
【0013】伸側減衰力発生機構は、ピストンナット4
の下端内方にカシメ止めされた支持部材8の環状リブ8
eと、この支持部材8の上面に対向して配置したバルブ
シート9の環状リブ9eとで外周を挟持された外周固定
のリーフバルブ10として構成されており、また、制御
機構は、後に詳細に説明するように、バルブシート9の
内周面に上下動自在に嵌挿したプッシュ部材11と、こ
のプッシュ部材11にピン12でカシメ止めされたリー
フスプリング13、それらの上方に配置したブロック部
材14、およびピストンロッド3を貫通して穿った通孔
3c内に回動自在に納めた伸側可変オリフィス15cを
もつ制御バルブ15等からなる伸側制御機構と、同じく
制御バルブ15に形成した圧側可変オリフィス15dと
チェックポート15e等からなる圧側制御機構とで構成
されている。
【0014】伸側減衰力発生機構のバルブシート9は、
同心円上に並べて穿った複数個の通孔9bと、これら通
孔9bに連通して下面に形成した環状溝9dとを備え、
制御機構側のプッシュ部材11,リーフスプリング13
およびブロック部材14と一緒に、開口16bをもつキ
ャップ状部材16の上端をブロック部材14に引掛けつ
つ、キャップ状部材16の下端をバルブシート9に圧入
することによって予めサブアッセンブリとして組み立て
られている。
【0015】そして、このサブアッセンブリしたブロッ
ク部材14の段部14eとピストンナット4の肩部4e
との間にシール機能をもった弾性体17を介装した状態
でブロック部材14のガイド部14fをピストンナット
4の貫通孔4cに挿入することにより、弾性体17でピ
ストンナット4とブロック部材14との接合面を油密に
シールしつつサブアッセンブリした部品全体を常に下方
へと押圧するようにしている。
【0016】かくして、リーフバルブ10は、弾性体1
7の復元力によって支持部材8の環状リブ8eとバルブ
シート9の環状リブ9eとで外周部分を上下から挟持さ
れ、かつ、リーフバルブ10の内周上面は、バルブシー
ト9における内周下面のシート部9fに圧接して、通常
バルブシート9の環状リブ9eとシート部9fとの間に
形成された環状溝9dを閉じ、上部作動油室Aが、ピス
トン2の上面の通路2fから伸側ポート2b−ピストン
ナット4の通路4b−キャップ状部材16の開口16b
−およびバルブシート9の通孔9b−同じく環状溝9d
を通して下部作動油室Bに通じるのをリーフバルブ10
で阻止している。
【0017】なお、弾性体17の復元力を利用してリー
フバルブ10を挟持するようにしたのは、支持部材8や
バルブシート9およびキャップ状部材16等の寸法誤差
によってリーフバルブ10の挟持にガタが生じるのを防
止するためである。
【0018】伸側減衰力発生機構を制御する伸側制御機
構は、前記バルブシート9の内周面に上下動自在に嵌装
したプッシュ部材11と、このプッシュ部材11の中央
にピン12でカシメ止めしたリーフスプリング13を有
する。
【0019】リーフスプリング13は、先のサブアッセ
ンブリ化のときに外周部分をバルブシート9とブロック
部材14とで挟持され、リーフスプリング13のスプリ
ング力で通常プッシュ部材11を上方位置に保つ。
【0020】また、この状態において、バルブシート9
と同じ厚さに形成されたプッシュ部材11の下面シート
部11eは、リーフバルブ10の内周側上面に近接して
対向するなり或いは接触した状態にある。
【0021】プッシュ部材11にピン12で結合したリ
ーフスプリング13とブロック部材14の下面との間に
は、伸側減衰力調整用の一次遅れ圧力室Rが形成されて
おり、この一次遅れ圧力室Rは、ブロック部材14の貫
通孔14cからピストンナット4の貫通孔4cとピスト
ンロッド3に形成した調整用の通孔3cを通して、この
通孔3c内に回動自在に嵌装した制御バルブ15の内部
通路15fから伸側可変オリフス15cおよび後記する
圧側可変オリフィス15dとチェックポート15eにそ
れぞれ通じている。
【0022】一方、ピストン2の内周面には、伸側可変
オリフィス15cと同一平面上に位置して環状溝2cが
設けられており、この環状溝2cは、一方ではピストン
ロッド3の下端インロー部3eに穿設した通孔3dを通
して制御バルブ15の伸側可変オリフィス15cに通
じ、かつ、他方ではピストン2に穿った通孔2dを通し
てピストン2の上面の環状溝2eから通路2fを通して
上部作動油室Aに連通している。
【0023】かくして、上部作動油室Aは、ピストン2
の上面の通路2fから同じく環状溝2e−ピストン2の
通孔2d−同じく環状溝2c−ピストンロッド3におけ
る下端インロー部3eの通孔3d−制御バルブ15の伸
側可変オリフィス15c−同じくその内部通路15f−
ピストンロッド3における下端インロー部3eの通孔3
c−ブロック部材14の貫通孔14cを通して一次遅れ
圧力室Rに連通し、上部作動油室A内の油圧が可変オリ
フィス15cを介して一次遅れ圧力室Rに導かれること
になる。
【0024】圧側減衰力発生機構である背面バルブ5の
減衰力特性を制御する圧側制御機構は、前記伸側制御機
構の可変オリフィス15cを挟んで制御バルブ15の上
下に形成した圧側可変オリフィス15dとチェックポー
ト15eを有し、これら圧側可変オリフィス15dとチ
ェックポート15eは、制御バルブ15の内部通路15
fを通して互いに連通している。
【0025】圧側可変オリフィス15dは、ピストンロ
ッド3の下端インロー部3eに穿った通孔3fからピス
トンナット4に形成した環状凹部4d、および通路4b
と干渉しないようにしてピストンナット4に穿った通孔
4f(図2参照)を通して下部作動油室Bに連通してお
り、環状凹部4dの周壁部には通孔4fとの間に位置し
て環状凹部4d側へと向かって開くチェックバルブ6が
介装されている。
【0026】また、チェックポート15eと同一平面上
に位置してピストンロッド3のインロー部3eの外周面
にはディスク23が設けられており、このディスク23
の内周面には環状溝23cが形成されていて、この環状
溝23cが、一方ではピストンロッド3の下端インロー
部3eに穿設した通孔3gから制御バルブ15の外周面
に形成した環状溝15gを通してチェックポート15e
に通じ、他方では、ディスク23に穿った通孔23dを
通して上部作動油室A側に開口しており、しかも、ディ
スク23の上部には、上部作動油室A側に向かって開く
チェックバルブ24が設けられていると共に、チェック
バルブ24の上部には、間座25を挟んでチェックスプ
リング26とバルブストッパ27とが配設されている。
【0027】そして、これらバルブストッパ27,チェ
ックスプリング26,間座25,チェックバルブ24,
ディスク23,バルブストッパ7,圧側減衰力発生機構
の背面バルブ5,ピストン2およびガスケット18を順
次に積み重ねてピストンロッド3の下端インロー部3e
に挿通し、その下からピストンナット4をピストンロッ
ド3の下端螺旋部3aに螺合してこれらを締め上げるこ
とにより、ピストンナット4の上端とピストンロッド3
の段部3bとの間でそれらを固定している。
【0028】かくして、下部作動油室Bは、ピストン2
の圧側ポート2aから背面バルブ5を通して上部作動油
室Aに通じると共に、ピストンナット4の通孔4f−チ
ェックバルブ6−環状溝4d−通孔3f−圧側可変オリ
フィス15d−内部通路15f−チェックポート15e
−環状溝15g−通孔3g−環状溝23c−通孔23d
からなるバイパス通路およびチェックバルブ24を通し
て上部作動油室Aに通じることになる。
【0029】制御バルブ15からは、ピストンロッド3
の通孔3cを通して制御ロッド20が外部に延びてお
り、この制御ロッド20を介して制御バルブ15を外部
から回動操作することにより伸側可変オリフィス15c
と圧側可変オリフィス15dのそれぞれの開口面積を同
時に制御できるようになっている。
【0030】なお、このときチェックポート15eは環
状溝15gの働きによって制御バルブ15の回転操作に
関係なく常に通孔3gと連通状態を保っている。
【0031】また、制御ロッド20とピストンロッド3
の通孔3cとの間はシール21で油密に保たれており、
かつ、制御バルブ15の下方には、制御ロッド20から
制御バルブ15が抜け出て脱落してしまうのを防止する
ための筒状ストッパ22が、ピストンロッド3の通孔3
c内に位置して嵌着されている。
【0032】そして、以上のように構成された油圧緩衝
器によれば、ピストン2が下部作動油室B側に向かって
移動する圧縮行程時にあっては、振動周波数に関係なく
下部作動油室B内の作動油が、ピストン2の圧側ポート
2aから背面バルブ5を押し開いて上部作動油室A内に
流入すると共に、ピストンナット4の通孔4fからチェ
ックバルブ6を押し開いて圧側可変オリフィス15dを
通り、さらに内部通路15fからチェックポート15e
を通してチェックバルブ24を押し開きつつ上部作動油
室Aに流れると同時に、図示しない公知のベースバルブ
を通してリザーバ室にも流れ、これら背面バルブ5と圧
側可変オリフィス15dの相乗作用およびベースバルブ
によって圧側減衰力を発生する。
【0033】それに対し、逆にピストン2が上部作動油
室A側に向かって移動する伸長行程時にあっては、上部
作動油室A内の作動油が、ピストン2の通路2fから環
状溝2e−伸側ポート2b−ガスケット18の通孔18
b−ピストンナット4の通路4b−キャップ状部材16
の開口16b−バルブシート9の通孔9bを通り、リー
フバルブ10の内周側を下方に撓ませて伸側減衰力を発
生しつつ下部作動油室Bに流れる一方、この伸側減衰力
そのものである上部作動油室A内の発生油圧がピストン
2の環状溝2eから通孔2d−環状溝2c−ピストンロ
ッド3における下部インロー部3eの通孔3d−制御バ
ルブ15の伸側可変オリフィス15c−内部通路15f
−ピストンロッド3の通孔3c−ピストンナット4の貫
通孔4c−ブロック部材14の貫通孔14cを通して一
次遅れ圧力室Rに導かれ、この油圧でプシュ部材11を
リーフスプリング13に抗して下方に押し下げるように
作用する。
【0034】したがって、伸長行程時の振動周波数がそ
のときの伸側可変オリフィス15cで設定した振動周波
数以下であれば、上部作動油室A内の発生油圧(上記し
たように=伸側減衰力)が伸側可変オリフィス15cを
通して一次遅れ圧力室Rに作用し、プッシュ部材11を
押し下げてリーフバルブ10の内周端側を下方に撓ま
せ、リーフバルブ10のイニシャル荷重を上げて所定の
減衰力を発生させるが、伸長行程での振動周波数が伸側
可変オリフィス15cによる設定振動周波数を越える
と、上部作動油室A内の発生油圧が伸側可変オリフィス
15cを通して一次遅れ圧力室Rに伝わる以前にピスト
ン2が圧縮行程に移り、いわゆる伸側可変オリフィス1
5cが一次遅れ作用を行うことになるので一次遅れ圧力
室R内の油圧は上昇せず低い値のままに保たれ、プッシ
ュ部材11がリーフスプリング13のスプリング力で上
昇位置を保ったままリーフバルブ10の内周端側を下方
に撓ませないので発生減衰力は所定値よりも低くなり、
ハイカット効果をもつ周波数依存型の油圧緩衝器として
作用する。
【0035】なお、図3は、上記したこの油圧緩衝器の
伸縮行程時における作動油の流れを油圧回路図として示
したものであって、伸長行程時にあっては実線矢印のよ
うに作動油が流れ、また、圧縮行程時にあっては破線矢
印に示すような作動油の流れが生じる。
【0036】以上のことから、制御ロッド20を通して
外部から制御バルブ15を操作し、伸側可変オリフィス
15cの開口面積を大きくしてやれば、上部作動油室A
から一次遅れ圧力室Rに伝わる油圧の位相遅れは小さく
ゲインが高くなるため伸側減衰力特性は高減衰力とな
り、伸側可変オリフィス15c開口面積を絞って小さく
すれば周波数依存性が大きくなって伸側減衰力特性はハ
イカット特性となり、しかも、この開口面積の大きさを
適宜に選ぶことにより入力周波数に対するハイカット特
性を自由に選ぶこともでき、さらに、伸側可変オリフィ
ス15cの開口面積をゼロにしてやれば一次遅れ圧力室
R内の油圧は上昇せずに常に低く保たれるので、伸側減
衰力特性は低減衰力となり、かくしてこの油圧緩衝器
は、依存周波数可変型の油圧緩衝器としても作用する。
【0037】また、上記制御バルブ15の操作に伴い伸
側可変オリフィス15cの開口面積と並行して圧側可変
オリフィス15dの開口面積も所定の組み合わせをもっ
て変化することになるため、圧側減衰力特性も同時に調
整されることになる。
【0038】このことから、常に開放状態にあるチェッ
クポート15eに対し伸側可変オリフィス15cと圧側
可変オリフィス15dとの開口面積の組み合わせを例え
ば図4に示すような状態で予め選定しておけば、油圧緩
衝器の伸縮動作に伴って伸側減衰力と圧側減衰力を図5
の減衰力特性概念図にみられるように、ハード,ソフト
およびミディアムの3段階に亙って調整することが可能
になる。
【0039】一方、伸側可変オリフィス15cの開口面
積を大きい状態から小さい状態或いは閉鎖状態に切り替
えたときとか、または、可変オリフィス15cの開口面
積の大きさに関係なく伸長行程が低周波で圧縮行程が高
周波で振動する場合等には、上部作動油室Aの発生油圧
が低くなる圧縮行程が終了した時点でも一次遅れ圧力室
R内の油圧が殆ど低下せず、上部作動油室A内の油圧よ
りも一次遅れ圧力室R内の油圧が高いという状態が生
じ、いずれの場合でも伸長行程での発生減衰力が常に高
減衰力となってしまって減衰力周波数特性(減衰力モー
ド)の切り換えができなくなるという不具合が生じる恐
れがあるが、このような場合であっても、前記圧側バイ
パス通路の一部としてチェックポート15eを設けたこ
とがその防止に役立つ。
【0040】即ち、上記のような場合にあっても、圧縮
行程時に上部作動油室A内の油圧が低下して一次遅れ圧
力室R内の油圧との間に圧力差が生じると、直ちにチェ
ックバルブ24が開いて伸長行程時に一次遅れ圧力室R
に流入した作動油量を、チェックポート15eから環状
溝15g−通孔3g−環状溝23c−通孔23dを通し
て速やかに上部作動油室Aに戻し、圧縮行程の終了まで
には一次遅れ圧力室R内の油圧を上部作動油室A内の油
圧と等しくする。
【0041】このため、連続加振状態であっても、伸側
減衰力の周波数特性を可変オリフィス15cの開口面積
の調整で確実に切り換えることが可能になる。
【0042】なお、これまでの実施例では、伸側減衰力
のみを周波数依存型とした油圧緩衝器にこの発明を適用
した場合を例にとって述べてきたが、伸側および圧側減
衰力の両方を周波数依存型とした油圧緩衝器についても
この発明を適用し得ることは言うまでもない。
【0043】図6はその場合の実施例を示すものであっ
て、シリンダ1の下端に配設した圧側減衰力発生機構で
あるベースバルブ40に対しても、前記図1の実施例に
おける伸側減衰力発生機構と同様の周波数依存型の圧側
減衰力発生機構が設けられている。
【0044】即ち、圧側減衰力発生機構であるベースバ
ルブ40は、シリンダ1の下端に嵌着した支持部材41
の環状リブ41eと、この支持部材41の上面に対向し
て配置したバルブシート42の環状リブ42eとで上下
外周面を挟持された外周固定のリーフバルブ43を有
し、このリーフバルブ43でベースバルブ40での圧側
減衰力を発生する。
【0045】上記圧側減衰力を発生するリーフバルブ4
3に対して周波数依存特性を付与するために、ベースバ
ルブ40は、さらにバルブシート42の内周面に上下動
自在に納めたプッシュ部材44、このプッシュ部材44
にピン45でカシメ止めしたリーフスプリング46、リ
ーフスプリング46の上方に配置したディスク47、並
びにディスク47上に重ねて設けたオリフィス板48を
備えている。
【0046】バルブシート42は、同心円上に並べて穿
った複数個の通孔42bと、これら通孔42bに連通し
て下面に形成した環状溝42dとを備え、前記プッシュ
部材44とリーフスプリング46およびディスク47と
一緒に、開口49bをもつキャップ部材49の上端をデ
ィスク47に引掛けつつ、キャップ部材49の下端をバ
ルブシート42に圧入することによって予めサブアッセ
ンブリとして組み立てられている。
【0047】また、リーフスプリング46とディスク4
7との間は一次遅れ圧力室R1となっており、この一次
遅れ圧力室R1がディスク47に穿った穴47cからオ
リフィス板48のオリフィス孔48cを通してシリンダ
1内の下部作動油室Bに通じている。
【0048】そして、このサブアッセンブリ化した各部
材を、さらに支持部材41に下端を圧入して取り付けた
開口50bをもつケース部材50内に上下動自在に納
め、かつ、ディスク47とケース部材50間にスプリン
グ51を介装してサブアッセンブリ化したバルブシート
42の環状リブ42eをリーフバルブ43へと押し付け
ることでベースバルブ40を構成している。
【0049】かくして、ベースバルブ40におけるリー
フバルブ43は、スプリング51の復元力により支持部
材41とバルブシート42の環状リブ41e,42eで
外周部分を上下から挟持され、かつ、リーフバルブ43
の内周上面は、バルブシート42における内周下面のシ
ート部42fに圧接して通常バルブシート42の環状溝
42dを閉じている。
【0050】一方、ピストン2側に設けられた各機構
は、機能的にみて先の図1の実施例の場合と同一であ
り、ただ単に一部の構造のみが異なるに過ぎない。した
がって、図1の実施例と同一構造部分および同一機能部
分については先の説明に基づいて容易に理解できること
なので、ここでは説明の煩雑化を防ぐ上から同一符号を
付すことでその説明は極力省略し、構造的に異なる部分
についてのみ以下に説明する。
【0051】ピストン2に設けられる圧側ポート2a群
と伸側ポート2b群は、この実施例の場合斜め孔として
構成されており、圧側ポート2a群は、下端を直接下部
作動室Bに開口すると共に、上端はスプリング53で押
圧されたチェックバルブ6を通してピストン2の上面に
形成した凹部2gに通じている。
【0052】この凹部2gは、さらに一方では当該凹部
2gを覆ってピストン2の上面に介装したバルブシート
54の孔54aから圧側減衰力発生機構である背面バル
ブ5を介して上部作動油室Aに通じ、他方ではピストン
ロッド3の下部インロー部3eに穿った通孔3fから制
御バルブ15の圧側可変オリフィス15d−その内部通
路15f−同じくチェックポート15e−環状溝15g
−通孔3g−ディスク23の環状溝23c−同じく通孔
23d−チェックバルブ24を通して上部作動油室Aに
通じている。
【0053】また、伸側ポート2b群は、上端を直接上
部作動油室Aに開口すると共に、下端はピストン2の下
面に形成した環状溝3hに通じ、この環状溝3hが、一
方では通孔2dから環状溝2c−ピストンロッド3の下
部インロー部3eに穿った通孔3d−制御バルブ15の
伸側可変オリフィス15c−その内部通路15fを通し
て一次遅れ圧力室Rに通じると同時に、他方ではピスト
ンナット4の通路4bから伸側減衰力発生機構であるリ
ーフバルブ10を通して下部作動油室Bにも通じてい
る。
【0054】なお、この図6の実施例の場合、ディスク
23は円盤状に形作られており、それによって下面が背
面バルブ5のバルブストッパとしての役目をも果たすよ
うになっている。
【0055】さらに、伸側減衰力発生機構のブロック部
材14は、先の図1の実施例の場合にあってはピストン
ナット4の肩部4eとブロック部材14の段部14eと
の間にシール機能をもつ弾性体17を介装することによ
って、その部分のシールとブロック部材14に対する圧
下力の付与とを行うようにしていたが、図6の実施例に
あっては、ピストンナット4の肩部4eとブロック部材
14の段部14eとの間に皿ばね19を介装し、かつ、
ブロック部材14のガイド部14fの外周面にシール5
2を設けることによってその部分のシールとブロック部
材14に対する圧下力の付与とを行っている。
【0056】このことから、図6の実施例を先の実施例
における図3と同様に油圧回路図で示せば図7のように
なり、これら図3と図7との対比からピストン2側の各
機構が先の図1の実施例の場合と同一機能を果たすこと
が容易に理解できよう。
【0057】また、図6の実施例にあっては、ベースバ
ルブ40自体もオリフィス孔48cの孔径に基づく周波
数依存型として構成してあるので、制御ロッド20を操
作することにより伸側減衰力と共に圧側減衰力をも、図
8の減衰力特性概念図にみられるようにハード,ミディ
アム,ソフトの3段階に亙って調整し得ることは明らか
である。
【0058】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、減衰
力周波数依存可変方式の油圧緩衝器において、ピストン
の伸長行程および圧縮行程の両方の減衰力特性を好まし
い組み合わせの基に可変制御することが可能になり、車
両の乗心地向上と操縦安定性の向上とに寄与することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例である油圧緩衝器の要部を
切断して示す図である。
【図2】図1におけるX−X線からの横断面図である。
【図3】図1の実施例の油圧回路図である。
【図4】制御バルブと発生減衰力の関係を示す表であ
る。
【図5】図1の実施例における減衰力制御特性を概念的
に示すグラフである。
【図6】この発明の他の実施例である油圧緩衝器の要部
を切断して示す図である。
【図7】図6の実施例の油圧回路図である。
【図8】図6の実施例における減衰力制御特性を概念的
に示すグラフである。
【符号の説明】
A 上部作動油室 B 下部作動油室 R,R1 一次遅れ圧力室 2 ピストン 2a 圧側ポート 2b 伸側ポート 3 ピストンロッド 3e 下端インロー部 4 ピストンナット 5 圧側減衰力発生機構である背面バルブ 9 バルブシート 10 伸側減衰力発生機構であるリーフバルブ 11 プッシュ部材 15 制御バルブ 15c 伸側可変オリフィス 15d 圧側可変オリフィス 15e チェックポート 18 ガスケット 20 制御ロッド 24 チェックバルブ 40 ベースバルブ 43 圧側減衰力発生機構であるリーフバルブ 48c オリフィス孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−168435(JP,A) 特開 平5−202972(JP,A) 特開 平5−202973(JP,A) 実開 昭62−34238(JP,U) 実開 昭58−191448(JP,U) 実開 昭62−122943(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 9/50 F16F 9/44 B60G 17/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部作動油室から伸側減衰力発生バルブ
    を通して下部作動油室に通じる通路と、上部作動油室を
    伸側減衰力発生バルブの一次遅れ圧力室に結ぶ通路とを
    備え、後者の通路中に可変オリフイスを介装すること
    で、この可変オリフィスの調整操作に伴い伸側減衰力を
    低下させる高周波域を適宜に調整し得るようにした依存
    周波数可変型の油圧緩衝器において、下部作動油室を上
    部作動油室に連通する通路と、下部作動油室を前記可変
    オリフィスと連動する圧側可変オリフィスを通して同じ
    く上部作動油室に連通するバイパス通路とをそれぞれ形
    成し、前者の通路に上部作動油室側へと向かって開く背
    面バルブを配設すると共に、後者の通路には同じく上部
    作動油室側に向かって開くチェックバルブを介装したこ
    とを特徴とする油圧緩衝器。
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