JP5683085B2 - 補強シート付き電解質膜−触媒層積層体及びそれを具備する固体高分子形燃料電池 - Google Patents

補強シート付き電解質膜−触媒層積層体及びそれを具備する固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、補強シート付き電解質膜−触媒層積層体及びそれを具備する固体高分子形燃料電池に関するものである。
燃料電池は、電解質の両面に電極が配置され、水素と酸素の電気化学反応により発電する電池であり、発電時に発生するのは水のみである。このように、燃料電池は従来の内燃機関と異なり、二酸化炭素等の環境負荷ガスを発生しないために次世代のクリーンエネルギーシステムとして普及が見込まれている。その中でも特に固体高分子形燃料電池は、作動温度が低く、電解質の抵抗が少ないことに加え、活性の高い触媒を用いるため小型でも高出力を得ることができ、家庭用コージェネレーションシステム等として早期の実用化が見込まれている。
この固体高分子形燃料電池は、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜を用い、当該電解質膜の両面に触媒層及びガス拡散層を順に積層している。そして、この触媒層及びガス拡散層からなる電極の周囲を囲むようにガスケットを配置し、さらにこれをセパレータで挟んだ構造を有している。また、ガスケットは位置精度の観点から電極の一回り外側を囲むように設置されているため、ガスケットと電極との間には隙間が形成されており、この隙間部分に対応する電解質膜は、電極及びガスケットのどちらにも押さえられていない状態となっている。ここで、上記固体高分子形燃料電池の発電及び非発電を繰り返すと、電解質膜は、湿潤状態と乾燥状態とを繰り返すが、この上記隙間部分に対応する電解質膜は、電極またはガスケットで押さえられていないため、膨張と収縮が繰り返される(非特許文献1参照)。この結果、電解質膜が疲労してしまい、長時間使用すると、電解質膜が破損してしまう問題を有している。
この問題を解消するため、例えば特許文献1に開示された固体高分子形燃料電池は、電極とガスケットとの間の隙間に補強膜をさらに設けている。この補強膜は、ガスケットと同様に中央部に開口部を有する枠状に形成されており、前記補強膜の外周縁部がガスケットと電解質膜との間に挟まれており、前記補強膜の内周縁部は、セパレータとガス拡散層との間に挟まれている。このように、特許文献1の固体高分子形燃料電池は、補強膜を使用して、ガスケットと電極との間の隙間部分を拘束して、電解質膜の膨張・収縮を抑制して緩和しようとしている。
しかしながら、特許文献1の補強膜は、フッ素樹脂等の単層で構成される膜であって、当該膜上に直接ガスケットが配置されているものであるが、このような構成を採用することによっても、電解質膜の膨張及び収縮が充分に緩和することが不可能である。それ故、長時間電池を作動した場合には、電解質膜の破損を充分に防止できないおそれがあり、より一層の改善が要望されている。
また、特許文献2では、電解質膜の外縁表面の少なくとも一部に第1外縁部材及び第2外縁部材を介して狭持されるとともに、電解質膜の外縁側面が前記第1外縁部材及び前記第2外縁部材によって固定されず、前記第1外縁部材及び前記第2外縁部材の、前記電解質膜側の表面が電解質膜に対して易滑性を有しており、乾湿変化等により、電解質膜の寸法が変化しても、電解質膜がシール部材に対して滑ることができるため、寸法変化によって電解質膜に生じる応力を低減できるので、電解質膜の破損を防ぐことができるとしている。
しかしながら、特許文献2は、電解質膜の外縁側面がシール部材により固定されておらず、膨張及び収縮は抑制されないため、長時間電池を作動した場合には、電解質膜の破損を充分に防止できないおそれがあり、また、固定されていないことから、ガスリークのおそれがあるため、より一層の改善が要望されている。
さらに、特許文献3では、電極−電解質膜積層体接合体に弾性層と接着層を備えた多層フィルムからなるガスケットを取り付け、ガスケットと電極−電解質膜接合体を一体化し、ガスの漏出の無い構造を開示している。
しかしながら、特許文献3では、弾性体を用いているものの、支持体を有する多層フィルムであり、この支持層の弾性率が弾性層と大きく異なることから、電解質膜の膨張収縮による応力変化に追従することが困難であり、長時間運転した場合にガスリークのおそれがある。
また、接着層は広く選択され、二液硬化型樹脂であり、電解質膜として記載されたナフィオンとは材質が大きく異なるため、電解質膜と同様の挙動を示さず、必ずしも適切なものではない。
特許第3052536号公報 特開2008−34116号公報 特開2008−512828号公報
Application Brief TA No.76 2005. 6 SIIナノテクノロジー社
本発明の課題は、電解質膜の膨張及び収縮を充分に抑制して、長時間電池を作動させても電解質膜の破損が起こらず、ガスリークの発生を抑制できる電解質膜−触媒層積層体を提供することである。
本発明者らは、上記問題に鑑み、鋭意研究を行った結果、接着層と、特定の材料を使用した弾性層とから構成される補強シートを使用することにより、上記問題が解決された電解質膜−触媒層積層体が得られることを見出した。本発明はこのような知見に基づき、完成されたものである。すなわち、本発明は、下記の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体に係る。
項1.固体高分子電解質膜及び触媒層を備えた電解質膜−触媒層積層体であって、
(1)前記固体高分子電解質膜の外周縁部を除いた両面にそれぞれ触媒層が積層されており、
(2)前記固体高分子電解質膜の外周側面に接するように、前記電解質膜−触媒層積層体の少なくとも1方面に、中央に開口部を有する枠状の補強シートが設置されており、
(3)前記補強シートが、接着層と弾性層とから構成されており、
(4)前記補強シートを構成する接着層が、前記固体高分子電解質膜の外周縁部に接触するように配置されており、
(5)前記弾性層を構成する弾性体が、エチレン−プロピレン−ジエンゴムからなり、
(6)前記接着層を構成する樹脂が、固体高分子電解質アイオノマー樹脂である、
ことを特徴とする補強シート付き電解質膜−触媒層積層体。
項2.前記触媒層と前記補強シートとの間電解質膜が露出しない、項1に記載の電解質膜−触媒層積層体。
項3.前記補強シート前記触媒層の外周縁部上に配置していない、項1又は2に記載の電解質膜−触媒層積層体
.項1〜のいずれかに記載の電解質膜−触媒層積層体を具備する、固体高分子形燃料電池。
1.補強シート付き電解質膜−触媒層積層体
<第1の態様:触媒層が固体高分子電解質膜より一回り小さい場合>
本発明の第1の態様における補強シート付き電解質膜−触媒層積層体は、固体高分子電解質膜及び触媒層を備えた電解質膜−触媒層積層体であって、(1)前記固体高分子電解質膜の外周縁部を除いた両面にそれぞれ触媒層が積層されており、(2)前記固体高分子電解質膜の外周側面に接するように、前記電解質膜−触媒層積層体の少なくとも1方面に、中央に開口部を有する枠状の補強シートが設置されており、(3)前記補強シートが、接着層と弾性層とから構成されており、(4)前記補強シートが、前記固体高分子電解質膜の外周縁部に接触するように配置されている。
このように、特定の補強シートを配置することにより、電解質膜−触媒層積層体の破損を抑制することができ、水素等の燃料ガスのガスリークを防止することができる。
本発明の第1の態様における電解質膜−触媒層積層体は、例えば、図1に示すように、固体高分子電解質膜1(以下、単に、「電解質膜」ともいう。)の外周縁部を除いた両面(上面及び下面)にそれぞれ触媒層2が積層されている。このように、触媒層は電解質膜よりも一回り小さく形成されているため、電解質膜の外周縁部上には触媒層が形成されていない。電解質膜の外周縁から触媒層の外周縁までの距離Aは特に制限されないが、例えば0〜50mm程度(特に1〜30mm程度)であることが好ましい。
本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体は、固体高分子電解質膜の外周縁部に接するように、前記電解質膜−触媒層積層体の少なくとも1方面に、中央に開口部を有する枠状の補強シートが設置されている。そして、補強シートは、接着層と弾性層とから構成されている。また、補強シートを構成する接着層は、電解質膜の外周縁部に固着していることが好ましい。
この際、例えば、図2に示すように、接着層3と弾性層4とから構成される補強シート5は、接着層3が電解質膜1の上面及び下面の外周縁部並びに側面に覆うように電解質膜1に配置されている場合等が挙げられる。
この補強シート5は、電解質膜の外周縁部に接するように配置されていればよく、例えば、図3に示すように、電解質膜1の外周縁部のみならず、電解質膜1上に形成されている触媒層2の外周縁部上にも配置していてもよい。
なお、電解質膜1からはみ出た補強シートの距離Bは特に制限されないが、例えば5〜50mm程度(特に10〜30mm程度)であることが好ましく、電解質膜1の外周縁部上(さらには、触媒層2の外周縁部上)に積層されている補強シートの距離Cは限定的でないが、例えば1〜30mm程度(特に3〜20mm程度)であることが好ましい。また、触媒層2と補強シート5との間の電解質膜1の露出部分の距離Dは特に制限されないが、例えば、0〜40mm程度(特に1〜20mm程度)であることが好ましい。さらに、触媒層2の外周縁部上にも補強シート5が配置している場合、補強シート5と触媒層2の接触する距離Eは特に制限されないが、1〜20mm程度(特に3〜5mm程度)であることが好ましい。
なお、図4に示すように、本発明で使用する接着層3と弾性層4とから構成される補強シート5の弾性層3上には、さらに、ガスケット6が配置されていてもよい。これにより、より確実にガスリークを防止することができる。また、この場合においても、図5に示すように、この接着層3と弾性層4とから構成される補強シート5及びガスケット6は、例えば、電解質膜1の外周縁部のみならず、電解質膜1上に形成されている触媒層2の外周縁部上にも配置されていてもよい。
以上のようにして得られた本発明の電解質膜−触媒層積層体の両面の触媒層上に公知又は市販のガス拡散層を配置することにより電解質膜−電極接合体が得られる。また、当該電解質膜−電極接合体の両面に公知又は市販のセパレータを配置することにより固体高分子形燃料電池を製造できる。
<第2の態様:触媒層と固体高分子電解質膜とが同一の形状及び大きさの場合>
本発明の第2の態様における補強シート付き電解質膜−触媒層積層体は、固体高分子電解質膜及び触媒層を備えた電解質膜−触媒層積層体であって、(1)前記固体高分子電解質膜の両面に、それぞれ前記固体高分子電解質膜と同一の形状及び大きさの触媒層が積層されており、(2)前記固体高分子電解質膜の外周側面に接するように、前記電解質膜−触媒層積層体の少なくとも1方面に、中央に開口部を有する枠状の補強シートが設置されており、(3)前記補強シートが、接着層と弾性層とから構成されており、(4)前記補強シートが、前記固体高分子電解質膜の外周側面及び前記触媒層の外周側面に接触するように配置されている。
このように、特定の補強シートを配置することにより、電解質膜−触媒層積層体の破損を抑制することができ、水素等の燃料ガスのガスリークを防止することができる。
本発明の第2の態様における電解質膜−触媒層積層体は、例えば、図6に示すように、電解質膜1と触媒層2とが同一の形状及び大きさであり、電解質膜1の全面(上面及び下面)にそれぞれ触媒層2が積層されている。
本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体は、固体高分子電解質膜の外周側面及び触媒層の外周側面に接するように、中央に開口部を有する枠状の補強シートが設置されている。そして、補強シートは、接着層と弾性層とから構成されている。また、補強シートを構成する接着層は、固体高分子電解質膜の外周側面及び触媒層の外周側面に固着していることが好ましい。
この際、接着層と弾性層とから構成される補強シートは、電解質膜の外周側面及び触媒層の外周側面に接するように配置されていればよく、図7に示すように、接着層3と弾性層4とから構成される補強シート5が、電解質膜1の外周側面及び触媒層2の外周側面のみならず、触媒層2の外周縁部上にも配置していてもよい。なお、図7の場合には、電解質膜1の外周縁部上(さらには、触媒層2の外周縁部上)に積層されている補強シートの距離Cと、補強シート5と触媒層2の接触する距離Eとは、同じとなる。
なお、電解質膜1及び触媒層2からはみ出た補強シート5の距離Bは特に制限されないが、例えば5〜50mm程度(特に10〜30mm程度)であることが好ましい。また、触媒層2の外周縁部上にも補強シート5が配置している場合、電解質膜1の外周縁部上(さらには、触媒層2の外周縁部上)に積層されている補強シート5の距離Cは限定的でないが、例えば1〜30mm程度(特に3〜20mm程度)であることが好ましい。
なお、上記では、電解質膜−触媒層積層体の両面に、補強シートが配置されている場合のみを説明したが、これに限られるものではなく、電解質膜−触媒層積層体の一方面のみ(上面又は下面)に、枠状に形成された補強シートを配置することによっても形成でき、これによっても電解質膜破れ改善の効果を有する。この例として、枠状に形成された補強シートを、電解質膜−触媒層積層体の上面のみに配置した態様を、電解質膜と触媒層の大きさが異なる場合と同じ場合のそれぞれについて、図8及び9に示す。
カソード触媒層は、ラジカルの攻撃を受けやすく、作動中の生成水の増減により膨潤・収縮が生じる。また、触媒層と電解質膜の剥がれが生じやすいため、これを防止するにはカソード側に設置するのが望ましい。
アノード触媒層は低加湿条件で、水がプロトンとともにカソード側に移行して乾燥しやすく、触媒層や電解質膜が収縮することにより、触媒層と電解質膜の剥がれが生じやすく、アノード側に補強シートを形成した場合はこれを防止することができる。
また、アノード側とカソード側の両面に補強シートを設置する場合は、アノード側とカソード側では異なる構成の補強シートを配置することも好適である。
なお、アノード触媒層とカソード触媒層を補強シートにより保護し、長時間運転時の電解質膜−触媒層積層体の耐久性をより向上させるという点から、補強シートは、両面に設置されるのが好ましい。
なお、本発明では、第1態様と第2態様のうち、電解質膜の外周縁部を除いた両面に触媒層が形成されており、電解質膜の上面と下面で触媒層の開口部が異なる場合、及び、電解質膜の全面に触媒層が積層されており、触媒層の開口部の大きさが異なる場合は、上記で説明した範囲内で、距離A〜Eを選択することができる。
なお、本発明で使用する接着層と弾性層とから構成される補強シートの弾性層上には、さらに、ガスケットが配置されていてもよい。これにより、より確実にガスリークを防止することができる。また、この場合においても、図10に示すように、この接着層3と弾性層4とから構成される補強シート5及びガスケット6は、例えば、電解質膜1の外周側面及び触媒層2の外周側面のみならず、電解質膜1上に形成されている触媒層2の外周縁部上にも配置されていてもよい。
以上のようにして得られた本発明の電解質膜−触媒層積層体の両面の触媒層上に公知又は市販のガス拡散層を配置することにより電解質膜−電極接合体が得られる。また、当該電解質膜−電極接合体の両面に公知又は市販のセパレータを配置することにより固体高分子形燃料電池を製造できる。
本発明では、第1態様と第2態様のうち、補強シートと触媒層が接触する部分において、電解質膜の部分で確実にガスリークを防ぐという点から、触媒層が電解質膜よりも一回り小さく形成されている第1態様が好ましい。
次に、上記のように構成された電解質膜−触媒層積層体の各構成要素の材質について説明する。
<固体高分子電解質膜>
固体高分子電解質膜は、公知又は市販のものを使用することができるが、例えば、基材上に水素イオン伝導性高分子電解質を含有する溶液を塗工し、乾燥することによっても製造することができる。水素イオン伝導性高分子電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂、より具体的には、炭化水素系イオン交換膜のC−H結合をフッ素で置換したパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー(PFS系ポリマー)等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入することで、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の解離度が高く、高いイオン伝導性が実現できる。このような水素イオン伝導性高分子電解質の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)等が挙げられる。水素イオン伝導性高分子電解質含有溶液中に含まれる水素イオン伝導性高分子電解質の濃度は、通常5〜60重量%程度、好ましくは20〜40重量%程度である。なお、電解質膜の膜厚は通常20〜250μm程度、好ましくは20〜80μm程度で
ある。
固体高分子電解質膜としては、上記の水素イオン伝導性高分子電解質膜以外にも、アニオン導電性固高分子電解質膜や液状物質含浸膜も挙げられる。アニオン伝導性電解質膜としては、炭化水素系樹脂又はフッ素系樹脂等が挙げられ、具体例としては、炭化水素系樹脂としては、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)A201、211、221や、トクヤマ(株)製のネオセプタ(登録商標)AM−1、AHA等が挙げられ、フッ素系樹脂としては、東ソー(株)製のトスフレックス(登録商標)IE−SF34等が挙げられる。また液状物質含浸膜としては、例えばポリベンゾイミダゾール(PBI)が挙げられる。
また、固体高分子電解質膜は、水の吸収・放出に伴い、寸法形状が変化し、膨張収縮することが知られており(非特許文献1参照)、燃料電池を運転する温度及び湿度により、0〜10%程度寸法が変化する。
<触媒層>
触媒層は、公知又は市販の白金含有の触媒層(カソード触媒及びアノード触媒)である。具体的には、触媒層は、(1)触媒粒子を担持させた炭素粒子及び(2)水素イオン伝導性高分子電解質を含有する。触媒粒子としては、例えば、白金、白金合金、白金化合物等が挙げられる。白金合金としては、例えば、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、イリジウム、鉄よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と、白金との合金等が挙げられる。なお、通常は、カソード触媒層に含まれる触媒粒子は白金であり、アノード触媒層に含まれる触媒粒子は前記金属と白金との合金である。また、水素イオン伝導性高分子電解質としては、上述した電解質膜に使用されるものと同じ材料を使用することができる。
<接着層>
接着層を構成する樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、固体高分子電解質アイオノマー樹脂等が挙げられる。
固体高分子電解質膜が膨張収縮することから、膨張収縮時に補強シートも追従できることが好ましく、固体高分子電解質アイオノマー樹脂等が特に好ましい。
固体高分子電解質アイオノマーとしては、Nafion(登録商標)アイオノマー溶液(デュポン社製)、Aciplex(登録商標)アイオノマー溶液(旭化成(株)製)、Flemion(登録商標)アイオノマー溶液(旭硝子(株)製)等が好適に使用できる。
また、炭化水素系アイオノマーとして、例えば、芳香族ポリエーテルスルホン酸と芳香族ポリチオエーテルスルホン酸の共重合体のクロロメチル化物をアミノ化して得られる電解質や、フッ素系として、例えば、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボンポリマーの末端をジアミンで処理し4級化したポリマー或いはポリクロロメチルスルチレンの4級化物等のポリマーで好適には溶媒可溶性のものも使用できる。
これら電解質は通常、アルコール、エーテル等の有機溶剤や有機溶剤と水との混合溶剤に5〜30重量%程度の濃度で分散されている。
<弾性層>
弾性層は、弾性体から構成されている。
弾性体としては、弾性率(ヤング率)が1〜100MPa、好ましくは3〜50MPa、さらに好ましくは5〜10MPa程度のものがあげられ、具体的には、天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(VMQ)、アクリルゴム(ACM)等のゴム等が挙げられる。なかでも、耐熱性や化学安定性の観点から、特にエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム(VMQ)、アクリルゴム(ACM)が、さらにはエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム(VMQ)が好ましい。
<補強シート>
本発明で使用する補強シートは、例えば、図11に示されるように、中央に平面視で開口部7を有する枠状をしており、接着層と弾性層とから構成されるものである。なお、本発明では、接着層と弾性層とから構成される補強シートは、接着層と弾性層のみからなる補強シートを意味する。これは、補強シートが接着層と弾性層以外のもの(例えば、特許文献3の支持層等)を含むと、弾性層との弾性率の違いにより、電解質膜の膨張収縮による応力変化に追従することが困難であり、長時間運転した場合にガスリークのおそれがあるからである。なお、補強シートの開口部の形状及び補強シートそのものの外形はそれぞれ限定的でなく、図11のように共に矩形であってもよく、また円形であってもよい。
補強シートの厚みは限定的でないが、通常、20〜300μm程度、好ましくは100〜250μm程度、さらに好ましくは150〜200μm程度である。
本発明で使用する補強シートは、例えば、固体高分子電解質アイオノマーを、ダイコート等を用いて上記弾性体からなる弾性層上にコーティングすることにより製造することができる。
本発明で使用する補強シートは、上述の弾性層が設けられている。従って、本発明で使用する補強シートは、剛性を保ちながらフレキシブル性を持つため、電解質膜−触媒層積層体に設置した場合に、電解質膜−触媒層積層体の寸法変化(電池作動時における電解質膜の膨張及び収縮)を抑制できる。すなわち、電解質膜が膨張する場合は電解質膜を膨張しないように圧縮する力が働き、電解質膜が収縮する場合は収縮する力を緩和するよう力が働くため、電解質膜の形状をなるべく一定にさせて、電解質膜の膨張及び収縮を抑制できる。その結果、電解質膜−触媒層積層体の破損を抑制することができ、水素等の燃料ガスのガスリークを防止することができる。なお、接着層として、膨張収縮時に補強シートも追従できる固体高分子電解質アイオノマー樹脂から構成されるものを使用した場合には、上記の効果がより顕著に得られる。
<ガスケット>
本発明では、必要に応じて、弾性層上の接着層とは反対側にさらに、ガスケットを配置してもよい。
ガスケットとしては、熱プレスに耐えうる強度を保ち、外部に燃料及び酸化剤を漏出しない程度のガスバリア性を有しているものを使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートシート、テフロン(登録商標)シート、シリコーンゴムシート、ニトリルゴムシート、エチレンプロピレンゴムシート、アクリルゴムシート等を例示することができる。
ガスケットの厚みは、触媒層の厚みとガス拡散層の厚みとの和の±20μm程度の範囲で調整することが好ましい。
2.補強シート付き電解質膜−触媒層積層体の製造方法
本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体は、例えば、(1)固体高分子電解質膜の両面に触媒層を形成させ、次いで、(2)中央に開口部を設けた枠状の補強シート2枚を接着層が対向するように当該触媒層形成電解質膜に配置し、熱プレスすることにより製造される。この際、必ずしも枠状の補強シートを2枚使用する必要があるわけではなく、1枚のみを使用して製造することもできる。
(1)触媒層の形成
固体高分子電解質膜の両面に触媒層を形成させるに当たっては、例えば、触媒層形成用転写シートを触媒層が電解質膜に対面するように配置し、転写シートの背面側から加熱プレスを施して触媒層を電解質膜に転写させて、転写シートの転写用基材を剥離する。この際、作業性を考慮すると、触媒層を電解質膜の両面に同時に積層することが好ましいが、片面ずつ触媒層を形成してもよい。
加熱プレスの加圧レベルは、転写不良を避けるために、通常0.5〜20MPa程度、好ましくは1〜10MPa程度がよい。
この加圧操作の際に、加圧面を加熱するのが好ましい。加熱温度は、電解質膜の破損、変形等を避けるために、通常200℃以下、好ましくは150℃以下がよい。このように電解質膜の両面に触媒層を形成することで電解質膜−触媒層積層体が形成される。なお、電解質膜よりも一回り小さい触媒層を用いる場合には、電解質膜の外周縁部は露出された状態となっている。
触媒層形成用転写シートは、転写される触媒層が転写用基材に形成されたものである。触媒層形成用転写シートは、例えば、上述した触媒粒子を担持させた炭素粒子及び水素イオン伝導性高分子電解質を溶剤に混合、分散して触媒層形成用ペースト組成物を調製し、形成される触媒層が所望の膜厚になるように触媒層形成用ペースト組成物を公知の方法に従い、必要に応じて離型層を介して、転写用基材上に塗工することにより製造される。なお、電解質膜よりも一回り小さい触媒層を使用する場合には、電解質膜よりも一回り小さい形状となるように、触媒層形成用ペースト組成物を転写用基材に塗工すればよい。
触媒層形成用ペースト組成物を塗布するに際しては、その方法は特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を適用できる。
溶剤は限定的でなく、公知又は市販のものを広く使用できるが、本発明では、特に、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の炭素数1〜4程度の1価又は多価のアルコールが好ましい。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上混合して使用できる。
触媒層形成用ペースト組成物を塗工した後、所定の温度及び時間で乾燥することにより転写用基材上に触媒層が形成される。乾燥温度は、通常40〜100℃程度、好ましくは60〜80℃程度とすればよい。乾燥時間は、乾燥温度等により異なり一概には言えないが、通常5分〜2時間程度、好ましくは10分〜1時間程度とすればよい。
転写用基材としては、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリパラバン酸アラミド、ポリアミド(ナイロン等)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート等の高分子フィルムを挙げることができる。また、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の耐熱性フッ素樹脂を用いることもできる。さらに転写用基材は、高分子フィルム以外にアート紙、コート紙、軽量コート紙等の塗工紙、ノート用紙、コピー用紙等の非塗工紙であっても良い。本発明では、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート等がより好ましい。転写用基材の厚さは、取り扱い性及び経済性の観点から通常6〜100μm程度、好ましくは10〜30μm程度とするのがよい。
(2)補強シートの取り付け方
次いで、上記電解質膜−触媒層積層体に、例えば、開口部を設けた枠状の補強シート2枚を接着層が対向するように当該触媒層形成電解質膜に配置し、熱プレスすることにより、補強シートを取り付ける。
より詳細には、例えば、電解質膜の外周縁部を除いた両面に触媒層が積層されている場合(図1)には、電解質膜−触媒層積層体の上面及び下面に開口部を設けた枠状の補強シートをそれぞれ配置する。このとき各補強シートの接着層が互いに向き合うように各補強シートを配置する。次いで、補強シートの開口部から触媒層が外周縁部を除いて露出するよう、補強シートをそれぞれ電解質膜の外周縁部上に配置し、次いで、加熱プレスを行う。この際、補強シートは、電解質膜の外周縁部上のみならず、触媒層の外周縁部上にも配置されていてもよい。
この際、加熱プレスを行うことにより、2枚の補強シートの接着層同士が熱融着されて、実質的に一つの接着層を形成することとなる。
なお、補強シートを取り付ける際には、上述したように、開口部を設けた枠状の補強シートを1枚のみ使用し、電解質膜−触媒層積層体の片面のみに補強シートを取り付けてもよい。この場合には、枠状の補強シートを1枚のみ使用し、電解質膜−触媒層積層体の上面又は下面に設置すること以外は上記と同様に取り付けることができる。
加熱温度は、弾性体が溶融する温度で行う限り限定的でないが、通常60〜160℃、好ましくは80〜130℃程度である。加圧レベルは、通常0.05〜5MPa程度、好ましくは0.1〜1MPa程度である。
なお、必要に応じて、補強シート上にガスケットを設けてもよい。このガスケットを設ける場合は、弾性層上の接着層とは反対側にガスケットを加熱プレスすればよい。加熱プレスの条件は、上記補強シートを設ける際と同様の条件とすればよい。
本発明の電解質膜−触媒層積層体の両面に公知又は市販のガス拡散層を設けることにより、電解質膜−電極接合体(MEA)を得ることができ、さらに当該電解質膜−電極接合体に公知又は市販のセパレータを設けることにより、固体高分子形燃料電池を得ることができる。
本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体によれば、電解質膜−触媒層積層体の破損を充分に抑制できる。そのため、長時間電池を作動させた場合でも水素等の燃料ガスのガスリークを防止でき、燃料電池の耐久時間を向上させることができる。
図1は、電解質膜と、電解質膜より一回り小さい触媒層を用いて得られる電解質膜−触媒層積層体の斜視図(a)及び断面図(b)の一例を示す。 図2は、触媒層が電解質膜より一回り小さい電解質膜−触媒層積層体を用いて得られる本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体の断面図の一例を示す。 図3は、触媒層が電解質膜より一回り小さい電解質膜−触媒層積層体を用いて得られる本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体の断面図の一例を示す。 図4は、触媒層が電解質膜より一回り小さい電解質膜−触媒層積層体を用いて得られる本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体の断面図の一例を示す。 図5は、触媒層が電解質膜より一回り小さい電解質膜−触媒層積層体を用いて得られる本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体の断面図の一例を示す。 図6は、形状及び大きさが同一の電解質膜と触媒層を用いて得られる電解質膜−触媒層積層体の斜視図(a)及び断面図(b)の一例を示す。 図7は、触媒層と電解質膜の形状及び大きさが同一の電解質膜−触媒層積層体を用いて得られる本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体の断面図の一例を示す。 図8は、触媒層が電解質膜より一回り小さい電解質膜−触媒層積層体を用い、当該電解質膜−触媒層積層体の上面のみに、枠状に形成した補強シートを設置して得られた本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体の断面図の一例を示す。 図9は、触媒層と電解質膜の形状及び大きさが同一の電解質膜−触媒層積層体を用い、当該電解質膜−触媒層積層体の上面のみに、枠状に形成した補強シートを設置して得られた本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体の断面図の一例を示す。 図10は、触媒層と電解質膜の形状及び大きさが同一の電解質膜−触媒層積層体を用いて得られる本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体の断面図の一例を示す。 図11は、本発明に用いる補強シートの平面図の一例を示す。 図12は、実施例13のように、触媒層が電解質膜より一回り小さい電解質膜−触媒層積層体を用い、当該電解質膜−触媒層積層体の上面と下面に形状の異なる補強シートを設置して得られた本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体の断面図の一例を示す。 図13は、実施例14のように、触媒層と電解質膜の形状及び大きさが同一の電解質膜−触媒層積層体を用い、当該電解質膜−触媒層積層体の上面と下面に形状の異なる補強シートを設置して得られた本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体の断面図の一例を示す。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1及び参考例1〜17
触媒層形成用転写シートを次の要領で作製した。まず、白金触媒担持カーボン(白金担持量:45.7wt%、田中貴金属工業(株)製、「TEC10E50E」)2gに、1−ブタノール10g、3−ブタノール10g、フッ素樹脂(5wt%ナフィオンアイオノマー、デュポン社製)20g及び水6gを加え、これらを分散機にて攪拌混合することにより、触媒層形成用ペースト組成物を調製した。次に、調製したペースト組成物をポリエステルフィルム(東レ(株)製、「X44」、厚さ25μm)に触媒層乾燥後の白金重量が0.4mg/cmとなるように塗工し、乾燥して、触媒層形成用転写シートを作製した。
以上のように作製した触媒層形成用転写シートを50mm×50mmの大きさに切断し、電解質膜の両面それぞれに触媒層が電解質膜側を向くように中心を合わせて配置した。そして、135℃、5.0MPa、150秒の条件で熱プレスすることで、電解質膜の両面に触媒層を形成し、電解質膜−触媒層積層体を作製した。なお、触媒層の厚さは20μmであった。
続いて、補強シートを作製した。参考例1〜8及び16〜17はシリコーンゴム(厚さ200μm、「VMQ」、NOK(株)製)、実施例1及び参考例9はエチレン−プロピレン−ジエンゴム(厚さ200μm、「EPDM」、NOK(株)製)、参考例10〜11はニトリルブタジエンゴム(厚さ200μm、「NBRゴム」、NOK(株)製)の一方の面に接着層として、5wt%ナフィオン溶液(「DE520」、デュポン社製)をダイコート法で乾燥後の接着層の重量が3g/mとなるように塗工し、乾燥した。
参考例12〜13はシリコーンゴム(厚さ200μm、「VMQ」、NOK(株)製)の一方の面に接着層としてエポキシ樹脂接着剤(EXA−4710、DIC(株)製)をダイコート法で乾燥後の接着層の重量が3g/mとなるように塗工し、乾燥した。
参考例14〜15はシリコーンゴム(厚さ200μm、「VMQ」、NOK(株)製)の一方の面に接着層としてアクリル樹脂接着剤(アクリディック、DIC(株)製)をダイコート法で乾燥後の接着層の重量が3g/mとなるように塗工し、乾燥した。
以上のようにして、実施例1及び参考例1〜17の補強シートを得た。
この補強シートを枠上に形成するため、表1に示すように、触媒面積と電解質膜のはみ出した部分(図1におけるA)を足した面積を切り取り、補強シート2枚を各々の接着層が電解質膜−触媒層積層体を向くように、電解質膜−触媒層積層体の両面に中心を合わせて配置し、100℃、1.0MPa、30秒の条件で熱プレスすることで補強シートの接着層を電解質膜−触媒層積層体に熱融着させることにより、本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体を作製した。
また、参考例16及び17では、電解質膜−触媒層積層体の上面と下面で補強シートのサイズを変えて本発明の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体を作製した。なお、参考例16及び17の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体の断面図は、それぞれ図12及び13に示されるとおりである。
比較例1
補強シートを用いなかったこと以外は参考例1と同様に、比較例1の電解質膜−触媒層積層体を作製した。
比較例2
補強シートの支持層としては、100μm厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を使用し、次に、前記支持層の上部に液状形シリコーンを、ブレードコーティング方法を利用してコーティングした後、硬化して、200μm厚さの弾性層を形成した。次いで、前記弾性層が形成されていない支持層の他側面に、ポリエステルポリウレタン重合体の2液型樹脂接着剤を、バーコーターを使用して2〜3g/mの量でコーティングした後、乾燥した。作製した補強シートを使用し、参考例1と同様に比較例2の電解質膜−触媒層積層体を作製した。
上述の実施例1、参考例1〜17及び比較例1〜2における補強シートの弾性層を構成する弾性体の種類;接着層の種類;支持層の種類;電解質膜、触媒層及び補強シートのサイズやその関係について、表1に示す。なお、表1において、A〜Eは、図1〜3及び7のA〜Eに対応するものである。
Figure 0005683085
(評価方法)
実施例1、参考例1〜17及び比較例1〜2の補強シート付き電解質膜−触媒層積層体について、それぞれ各触媒層表面にガス拡散層(東レ(株)製、カーボンペーパー、TGP−H−060、厚さ200μm)を熱プレスにより積層することにより電解質膜−電極接合体(MEA)を作製し、さらにこのMEAにセパレータを設置して固体高分子形燃料電池をそれぞれ作製し、300時間までの負荷変動サイクル試験を実施した。このときの測定条件は、セル温度80℃、燃料利用率70%、酸化剤利用率40%、加湿温度50℃とした。負荷変動条件は1分間間隔で0.01A/cmと0.3A/cmを走査することで行った。なお、評価は、連続運転可能時間、ガスリーク量及び電解質膜の破れの有無で評価した。
電流電圧測定評価の結果を表2に示す。
Figure 0005683085
電流電圧測定評価の結果、実施例1及び参考例1〜17の燃料電池セルの連続運転可能時間は300時間であり、比較例1〜2の燃料電池セルの耐久性時間は250時間であり、実施例のセルのほうが耐久性に優れることがわかった。
また、水素ガスリーク量を電気的に測定した結果、実施例1及び参考例1〜17の燃料電池セルは0.8〜1.6mA/cmと、初期性能とあまり変わらなかったが、比較例1の燃料電池では15.2mA/cm、比較例2は8.5mA/cmであり、これは電解質膜の劣化による水素漏れが原因であると考えられる。
さらに、評価後、燃料電池セルを分解したところ、実施例1及び参考例1〜17では電解質膜の破損は見られなかった。一方、比較例1〜2は目視により電解質膜の破損が見られた。
ついで、実施例1及び参考例1〜17で作成した補強シート付き電解質膜−触媒層積層体について、それぞれ各触媒層表面にガス拡散層の厚みを変更し、(東レ(株)製、カーボンペーパー、TGP−H−090 、厚さ300μm)熱プレスにより積層することにより電解質膜−電極接合体(MEA)を作製した。ガスケットとして、テフロン(登録商標)シートと積層することで、ガスケット付MEAを作成した。このガスケット付MEAにセパレータを設置して固体高分子形燃料電池をそれぞれ作製し、上記と同様にして300時間までの電池評価を行ったが、いずれも連続運転可能時間は300時間であり、電解質膜破れが無いことを確認した。
1 電解質膜
2 触媒層
3 接着層
4 弾性層
5 補強シート
6 ガスケット
7 開口部

Claims (4)

  1. 固体高分子電解質膜及び触媒層を備えた電解質膜−触媒層積層体であって、
    (1)前記固体高分子電解質膜の外周縁部を除いた両面にそれぞれ触媒層が積層されており、
    (2)前記固体高分子電解質膜の外周側面に接するように、前記電解質膜−触媒層積層体の少なくとも1方面に、中央に開口部を有する枠状の補強シートが設置されており、
    (3)前記補強シートが、接着層と弾性層とから構成されており、
    (4)前記補強シートを構成する接着層が、前記固体高分子電解質膜の外周縁部に接触するように配置されており、
    (5)前記弾性層を構成する弾性体が、エチレン−プロピレン−ジエンゴムからなり、
    (6)前記接着層を構成する樹脂が、固体高分子電解質アイオノマー樹脂である、
    ことを特徴とする補強シート付き電解質膜−触媒層積層体。
  2. 前記触媒層と前記補強シートとの間電解質膜が露出しない、請求項1に記載の電解質膜−触媒層積層体。
  3. 前記補強シート前記触媒層の外周縁部上に配置していない、請求項1又は2に記載の電解質膜−触媒層積層体。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の電解質膜−触媒層積層体を具備する、固体高分子形燃料電池。
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