JP5682484B2 - 厚鋼板の冷却制御方法、冷却制御装置及び厚鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、厚鋼板の冷却工程における冷却制御方法に関し、詳しくは、圧延後の厚鋼板を加速冷却装置で水冷する際に、所望の冷却停止温度を得る、厚鋼板の冷却制御方法、冷却制御装置及びこれを利用した厚鋼板の製造方法に関する。
一般に厚鋼板の冷却工程における冷却停止時の温度制御では、水冷による鋼板温度変化を伝熱計算により推定し、所望の冷却停止温度となるように、冷却装置の水量や装置内での厚鋼板の搬送速度等を予め決定し、決定された冷却装置の操業条件に基づいて、厚鋼板を冷却する。具体的には、特許文献1に開示されているように、冷却装置の入側で鋼板温度を測定し、温度予測モデルを用いた冷却停止後の鋼板温度予測結果に基づき、鋼板の搬送速度、冷却装置の冷却ゾーン長さ、及び、水量密度を調節することによって、冷却停止後の鋼板温度を高精度に制御する方法が考えられる。このように、冷却停止時の温度制御は、伝熱計算をベースとした鋼板温度予測モデルの予測精度に依存するため、制御精度向上を実現するには温度予測モデルの高精度化が必要となる。
従来から、各種制御モデルの予測誤差を補償する目的で、層別テーブル方式の学習制御が用いられてきた。この従来の方法を厚鋼板の冷却制御に用いる場合、厚鋼板製造時に実績データを採取し、製造条件毎(予め決められた層別テーブルのメッシュ毎)に温度計算モデルの予測誤差を導出し、次のモデル計算に反映させる。また、層別テーブル方式では、厚鋼板の製造の度にメッシュのデータを新たに上書きして書き換え、製造実績を反映させる。このため、過去の実績データを蓄積する必要はなく、その計算は非常に簡便である。
しかしながら、層別テーブル方式の学習制御では、層別メッシュの切り方が粗いと、異なる予測誤差傾向の条件が同一メッシュに入り、逆に層別メッシュの切り方が細かいと、各メッシュに反映されるデータ数が少なくなって学習が進まず、精度の確保が困難になるという問題があった(下記表1)。
特開昭60−87914号公報
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、厚鋼板の冷却工程において、冷却停止時の温度制御を高精度にて行うことが可能な、厚鋼板の冷却制御方法及び装置、並びに、当該冷却制御方法を用いて品質が向上された厚鋼板を製造可能な、厚鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
厚鋼板の冷却工程においては、加熱された厚鋼板を移動させながら、複数のヘッダーが設置された水冷ゾーンを通過させ、所定温度で水冷を停止するように冷却ゾーンの水量及び/又は鋼板搬送速度を調整することが行われる。冷却工程は厚鋼板の特性を決定するのに重要な工程であり、冷却工程の冷却制御を高精度にて行う必要がある。しかしながら、層別テーブル学習方式では、製造機会の少ない製造条件においては、当該テーブルにおける学習が進まず、高精度化に限界がある。そのため、厚鋼板の品質確保にも一定の限界があった。
一方、近年のコンピュータ技術の発展により、大量のデータを蓄積し、高速なデータ検索が可能となり、このような計算機処理能力の飛躍的な向上に伴い、蓄積された過去の大量のデータを必要に応じてその場で処理してモデリングする、という新しい事例ベースモデリングの手法が提案されている(木村、鄭:「Just In Time モデリングによる圧延セットアップモデルの学習」、日本鉄鋼協会 計測・制御システム工学部会シンポジウム「高炉のモデルベースト制御とセットアップ学習の新展開」(2000))。本発明者らは、厚鋼板の冷却制御において、当該事例ベースモデリング手法を応用することにより、厚鋼板の加速冷却での冷却停止温度の予測精度向上を図ることができると考えた。
特に、事例データベースモデリング手法においては、製造条件の類似度の計算や、局所回帰モデルのパラメータ決定において、予め適切な説明変数やそれぞれの重みを選択しておく必要があり、選択した説明変数が不適当な場合には、予測精度の向上効果が小さくなってしまう。このため、複数の説明変数のグループ(製造条件)に対して、それぞれ対応する局所回帰モデルを決定し、これらを組み合わせることで、さらなる予測精度向上を図ることができると考えた。
そして、このように、高精度に冷却停止温度を推定し、誤差をも考慮した冷却停止温度となるように冷却装置の水量、鋼板搬送速度の調整を行うことにより、品質の高い厚鋼板が製造できると考えた。
そこで、本発明者らは、事例ベースモデリング手法を用いて鋼板の冷却制御を行う方法について鋭意研究を進め、以下の知見を得た。
(1)鋼板温度予測モデルを用いて冷却工程における鋼板温度の温度降下を予測して冷却停止温度の予測値を算出する場合、当該予測値の予測誤差が大きく、それを補償するため冷却停止温度の予測値をさらに修正する必要がある。
(2)修正は過去のデータを用いて、事例ベースモデリング手法を応用することにより行うことができる。修正にあたり、過去に行った厚鋼板の製造条件(厚鋼板のスペック、圧延実績、冷却条件など)、冷却停止温度の実測値、予測値の誤差(実測値と予測値との差分)、熱伝達係数補正量などをパラメータとして、予めデータベースを作成しておく。このとき、その後新たに厚鋼板を製造する際も同様のパラメータをデータベースに追加することにより、データの信頼性を向上させることができる。
(3)厚鋼板を冷却制御する際、当該厚鋼板の製造条件が類似するデータをデータベースから抽出する。製造条件が類似するデータのみを使用することで誤差修正の精度を向上させることができる。
(4−1)抽出したデータを用い、鋼板温度予測モデルで予測した冷却停止温度の計算値を修正することにより、予測誤差を適切に補償することができる。具体的には、厚鋼板の鋼板温度予測モデルの誤差を推定し、冷却停止温度の予測値を修正する(冷却停止温度の修正値とする)。このとき、予測対象の厚鋼板の製造条件と過去のデータとの類似度が高いデータに重み付けを高くし、誤差を推定すれば、より精度の高い誤差推定が可能となる。
(4−2)また、抽出したデータを用いて、熱伝達係数補正量を求め、この補正量を用いて、鋼板温度予測モデルで使用する熱伝達係数値を修正し、修正した熱伝達係数を用いて、冷却停止温度の修正値を求めることによっても、予測誤差を適切に補償することができる。このとき、予測対象の厚鋼板の製造条件と過去のデータとの類似度が高いデータに重み付けを高くし、熱伝達係数の誤差を推定すれば、より精度の高い鋼板温度予測が可能となる。
(5−1)製造条件が類似するデータをデータベースから抽出する際、類似度を決める説明変数を一つのグループに限定せず、複数のグループを選択し、それぞれの説明変数に対して予測誤差を推定する。さらにそれぞれの説明変数を用いて局所回帰したときの決定係数(重相関係数の2乗)を用いて、それぞれの誤差推定値の重み付き平均を計算し、得られた計算値を予測モデルの誤差推定値とすれば、一層高い精度にて誤差推定が可能となる。
(5−2)製造条件が類似するデータをデータベースから抽出する際、類似度を決める説明変数を一つのグループに限定せず、複数のグループを選択し、それぞれの説明変数に対して予測誤差を推定する。さらに過去の厚鋼板冷却において、どの説明変数を用いた場合に予測精度が良好であったかについて予め指標を求めておき、当該指標に基づいてそれぞれの誤差推定値の重み付き平均を計算し、得られた計算値を予測モデルの誤差推定値とすることで、一層高い精度にて誤差推定が可能となる。
(6−1)冷却停止温度の修正値が冷却停止温度の目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を計算することで、鋼板の冷却制御を適切に行うことが可能となる。このとき、仮の冷却水量、仮の鋼板速度を初期値として仮定し、例えば、鋼板温度予測モデルを用いて冷却停止温度の修正値を計算し、修正値が冷却停止温度の目標値と一定以上乖離している場合には、再度仮の冷却水量、仮の鋼板速度を仮定し、繰り返し計算を行うことで、冷却停止温度の修正値が目標値と一致するような冷却水量、鋼板速度を決定することができる。
(6−2)また、修正した熱伝達係数を用いて求めた冷却停止温度の修正値が冷却停止温度の目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を計算することで、鋼板の冷却制御を適切に行うことが可能となる。このとき、仮の冷却水量、仮の鋼板速度を初期値として仮定し、例えば、修正した熱伝達係数を用いて、鋼板温度予測モデルにて冷却停止温度を計算し、修正値とする。修正値が冷却停止温度の目標値と一定以上乖離している場合には、再度仮の冷却水量、仮の鋼板速度を仮定し、繰り返し計算を行うことで、冷却停止温度の修正値が目標値と一致するような冷却水量、鋼板速度を決定することができる。
本発明は上記知見に基づいてなされたものである。すなわち、
本発明の第1の態様は、厚鋼板の冷却工程における該厚鋼板の冷却制御方法であって、冷却工程に供する当該厚鋼板について、厚鋼板の温度予測モデルを用いて、冷却工程における当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値を算出する、予測値算出工程、スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出する、抽出工程、抽出工程において抽出した過去の実績データから、当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差を推定する、推定工程、予測値算出工程において算出した当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値と、推定工程において推定した当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差とから、冷却停止温度の修正値を算出する、修正値算出工程、及び冷却停止温度の修正値が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する、決定工程を備え、決定工程において決定した冷却水量及び/又は鋼板搬送速度にて、厚鋼板の冷却工程を行う、厚鋼板の冷却制御方法である。
通常、温度予測モデルを用いて厚鋼板の冷却停止温度の予測値を算出する場合、冷却水量や鋼板搬送速度等の種々のパラメータを繰り返し変更しながら、予め定められた冷却停止温度の目標値に近づけるように予測値の計算・算出を行う。そして、当該予測値の算出・決定の後、当該予測値と対応して決定された冷却水量や鋼板搬送速度等となるように実操業を行う。しかしながら、温度予測モデルにより算出した冷却停止温度の予測値が目標値と一致していたとしても、当該温度予測モデル結果にしたがって実操業を行った場合、冷却停止温度の実測値が目標値と一致しない場合がある。これは、温度予測モデルにより予測した予測値に誤差が含まれていることにより生じる。そこで、本発明の第1の態様では、温度予測モデルにおいて冷却水量や鋼板搬送速度等を適宜設定することにより算出した鋼板冷却停止温度の予測値に含まれる誤差を解消すべく、過去実績データから予測値の誤差を推定し、推定した誤差と当初算出した予測値とを用いて修正値とし、当該修正値が目標値となるように冷却水量や鋼板搬送速度を再度設定し、当該再設定した冷却水量や鋼板搬送速度にしたがって、実際の冷却工程を行うことで、厚鋼板の冷却停止温度の実測値と目標値との乖離を抑制した。
本発明の第1の態様、及び、以下に示す態様において、「厚鋼板の温度予測モデル」とは、冷却工程における厚鋼板の温度変化挙動を予測するためのモデルをいい、従来公知の温度予測モデルを適用することができる。「厚鋼板の温度予測モデルを用いて、冷却工程における当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値を算出する」とは、例えば、冷却水量や鋼板搬送速度を仮定し、仮定した冷却水量や鋼板搬送速度を用いて温度予測モデルにて、これから冷却工程に供する厚鋼板の冷却停止温度の予測値を算出する形態が挙げられる。「スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベース」とは、従来の層別テーブル方式に係るデータベースとは異なるデータベースであって、例えば、従来の層別テーブル方式のように過去の実績データを製造条件毎に区分けする必要はなく、過去実績データがスラブ毎に蓄積されてなるものである。特に本発明では後述するように、スラブ毎に、所定の予測誤差因子をデータベースに蓄積し、実績データとすることが好ましい。「製造条件が類似する」とは、厚鋼板のスペック、圧延実績、冷却条件等の厚鋼板に適用する製造条件が類似することを意味する。「冷却停止温度が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する」とは、例えば、仮の冷却水量、仮の鋼板搬送速度を仮定して温度予測モデルを用いた温度計算を行い、冷却停止温度を予測し、過去実績データから予測値の誤差を推定し、推定した誤差を用いて求めた修正値が冷却停止温度の目標値とほぼ同様となるまで、繰り返し計算することによって、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する形態が挙げられる。
本発明の第2の態様は、厚鋼板の冷却工程における該厚鋼板の冷却制御方法であって、冷却工程に供する当該厚鋼板について、スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出する、抽出工程、抽出工程において抽出した過去の実績データから温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z)を推定する、推定工程、推定工程において推定した熱伝達係数補正量(Z)を用いて厚鋼板の温度予測計算を行い、冷却停止温度の修正値を算出する、修正値算出工程、並びに、冷却停止温度の修正値が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する、決定工程を備え、決定工程において決定した冷却水量及び/又は鋼板搬送速度にて、厚鋼板の冷却工程を行う、厚鋼板の冷却制御方法である。なお、「熱伝達係数補正量(Z)」とは、温度予測モデルに用いられる熱伝達係数を補正する量を意味する。すなわち、温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z)の意味するところは、鋼板温度計算において、冷却水と鋼板の間での熱エネルギーの伝え易さを表す熱伝達係数そのものの誤差を補償するところにある。
なお、上記本発明の第1の態様は、温度予測モデルを用いて得られる冷却停止温度の予測値の誤差を修正するものであるが、本発明の第2の態様は、温度予測モデルにおける熱伝達係数を修正するものである。すなわち、過去の実績データから熱伝達係数補正量(Z)を推定することにより、温度予測モデルにおける熱伝達係数の補正を行い、冷却停止温度の修正値を得ている。
本発明の第1の態様及び第2の態様において、さらに、予測値の誤差又は熱伝達係数補正量(Z)の推定に必要となる予測誤差因子をデータベースに蓄積する、予測誤差因子蓄積工程を備えることが好ましい。ここで、「予測誤差因子」とは、過去の厚鋼板の製造条件や実際に測定した冷却停止温度(冷却停止温度の実測値)等、上記予測値の誤差又は上記熱伝達係数補正量(Z)の推定に必要となる因子を適宜適用すればよい。データベースに当該予測誤差因子を蓄積することにより、当該厚鋼板よりも後に冷却工程に供される厚鋼板について、冷却制御精度を一層向上させることができる。
本発明の第1の態様及び第2の態様に係る推定工程において、抽出工程により抽出した過去の実績データに基づいて線形回帰モデル式をたて、厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差又は温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z)を推定することが好ましい。実績データの抽出により、本発明では局所的なデータのみを扱って誤差を修正することとなるが、局所的なデータのみを取り扱う場合は、単純な線形モデルとして処理することが可能となる。そして、線形モデルのような単純なモデルを扱うことで、計算時間を短縮することが可能となる。特に、本発明では事例ベースモデリング手法を採用しているので、その場その場での計算を即時的に終了させることが重要となり、計算時間の短縮により得られる効果が大きい。
本発明の第1の態様及び第2の態様において、抽出工程により抽出した過去の実績データにおける過去の予測値の誤差又は過去の熱伝達係数補正量(Z)と、推定工程において推定した当該予測値の誤差又は当該熱伝達係数補正量(Z)と、を比較し、比較の結果に基づいて、 抽出した過去の実績データにおける過去の予測値の誤差又は過去の熱伝達係数補正量(Z)の平均値、あるいは重み付き平均値を、推定工程における、当該予測値の誤差又は当該熱伝達係数補正量(Z)とすることが好ましい。例えば、推定工程において推定した当該予測値の誤差又は当該熱伝達係数補正量(Z)が、抽出工程により抽出した過去の実績データにおける過去の予測値の誤差又は過去の熱伝達係数補正量(Z)の平均値±2σ(ここで、抽出工程により抽出した過去の実績データにおける過去の予測値の誤差又は過去の熱伝達係数補正量(Z)の標準偏差をσとする。)の範囲外となった場合、推定工程における当該予測値の誤差又は当該熱伝達係数補正量(Z)を、抽出した過去の実績データにおける過去の予測値の誤差又は過去の熱伝達係数補正量(Z)の平均値、あるいは重み付き平均値へと置き換えるとよい。
本発明の第1の態様及び第2の態様に係る抽出工程において、抽出した過去の実績データが、該過去の実績データにおける製造条件と当該厚鋼板の製造条件との類似度が所定値以上のもののみからなる場合、過去の実績データにおける過去の予測値の誤差又は過去の熱伝達係数補正量(Z)の平均値、あるいは重み付き平均値を、推定工程における、当該予測値の誤差又は当該熱伝達係数補正量(Z)とすることが好ましい。その理由は、極めて類似した実績データを用いる場合、実績データに差がなく(実績データの予測誤差因子に幅がなく)、結果として実績データが線形傾向になっていない場合があり、線形回帰モデル式を立てるとむしろ正確に予測値の誤差や熱伝達係数補正量(Z)を推定出来ない場合がある。このような場合には、実績データをそのまま用い、平均値をとるとよい。
ここで、「類似度が所定値以上のもののみからなる場合」とは、例えば、類似度を、過去の実績データの予測誤差因子と当該厚鋼板の予測誤差因子とに基づく、距離関数を用いた距離(例えば、Euclid距離やマハラノビス距離等)として表した場合、「当該距離が所定値以下」である場合に、「類似度が所定値以上」と判断すればよい。すなわち、当該距離が小さいものばかりの場合、線形回帰モデル式を立てることなく、実績データの平均値をとって予測値の誤差や熱伝達係数補正量(Z)を推定するとよい。
本発明の第3の態様は、厚鋼板の冷却工程における厚鋼板の冷却制御方法であって、冷却工程に供する当該厚鋼板について、厚鋼板の温度予測モデルを用いて、冷却工程における当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値を算出する、予測値算出工程、スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出するにあたり、類似度を求める製造条件を複数グループ設定しておき、該グループ毎に製造条件が類似する実績データ群を抽出する、抽出工程、抽出工程にて抽出した実績データ群毎に当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差を推定する第1の推定工程と、第1の推定工程において推定した実績データ群毎の予測値の誤差について、重み付き平均することにより、一の冷却停止温度の予測値の誤差を推定する第2の推定工程とからなる、推定工程、予測値算出工程において算出した当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値と、第2の推定工程において推定した一の冷却停止温度の予測値の誤差とから、冷却停止温度の修正値を算出する、修正値算出工程、並びに、冷却停止温度の修正値が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する、決定工程、を備え、決定工程において決定した冷却水量及び/又は鋼板搬送速度にて、厚鋼板の冷却工程を行う、厚鋼板の冷却制御方法である。
本発明の第3の態様及び以下に示す本発明の第4の態様において、「類似度を求める製造条件を複数グループ設定」とは、類似度を求める際に用いる説明変数を、厚鋼板のスペック、圧延実績、冷却条件等の製造条件の中から複数グループ選定することを意味する。例えば、一のグループについて、製造条件として「板厚、板幅、板長、冷却停止温度指示、及びカーボン当量」の5つの変数を設定し、他のグループについて、製造条件として「板厚、板幅、板長、冷却停止温度指示、カーボン当量、圧延ロール摩耗量、及び、圧延デスケ回数」の7つの変数を設定する等、各グループにて設定した製造条件(説明変数)に一部重複があってもよい。また、グループの設定数については2以上であれば特に限定されるものではない。
本発明の第4の態様は、厚鋼板の冷却工程における厚鋼板の冷却制御方法であって、冷却工程に供する当該厚鋼板について、スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出するにあたり、類似度を求める製造条件を複数グループ設定しておき、グループ毎に製造条件が類似する実績データ群を抽出する、抽出工程、抽出工程にて抽出した実績データ群毎に温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z’)を推定する第1の推定工程と、第1の推定工程において推定した実績データ群毎の熱伝達係数補正量(Z’)について、重み付き平均することにより、一の熱伝達係数補正量(Z)を推定する、第2の推定工程とからなる、推定工程、第2の推定工程において推定した一の熱伝達係数補正量(Z)を用いて厚鋼板の温度予測計算を行い、冷却停止温度の修正値を算出する、修正値算出工程、並びに、冷却停止温度の修正値が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する、決定工程、を備え、決定工程において決定した冷却水量及び/又は鋼板搬送速度にて、厚鋼板の冷却工程を行う、厚鋼板の冷却制御方法である。
本発明の第3の態様及び第4の態様において、さらに、予測値の誤差又は熱伝達係数補正量(Z)の推定に必要となる予測誤差因子を前記データベースに蓄積する、予測誤差因子蓄積工程を備えることが好ましい。
本発明の第3の態様及び第4の態様に係る第1の推定工程において、抽出工程により抽出した複数の実績データ群に基づいて、該実績データ群毎に複数の線形回帰モデル式をたて、当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差又は温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z’)を推定することが好ましい。
本発明の第3の態様及び第4の態様において、抽出工程により抽出した複数の実績データ群における過去の予測値の誤差又は過去の熱伝達係数補正量(Z)と、第1の推定工程において推定した当該予測値の誤差又は当該熱伝達係数補正量(Z’)と、を比較し、比較の結果に基づいて、 抽出した実績データ群における過去の予測値の誤差又は過去の熱伝達係数補正量(Z)の平均値、あるいは重み付き平均値を、第1の推定工程における、当該予測値の誤差又は当該熱伝達補正量(Z’)とすることが好ましい。
本発明の第5の態様は、本発明の第1〜第4の態様に係る厚鋼板の冷却制御方法を用いた冷却工程を備える、厚鋼板の製造方法である。
本発明の第6の態様は、厚鋼板の冷却工程における該厚鋼板の冷却制御装置であって、本発明の第1〜第4のいずれかの態様に係る厚鋼板の冷却制御方法における、予測値算出工程、抽出工程、推定工程、修正値算出工程、及び決定工程を実行する、演算手段と、演算手段により得られた冷却水量及び/又は鋼板搬送速度にて、厚鋼板の冷却を行うように、厚鋼板の冷却装置及び/又は厚鋼板の搬送装置に信号を発する、制御手段と、を備える、厚鋼板の冷却制御装置である。
本発明においては、厚鋼板の冷却停止時における温度制御の精度を向上させるため、過去の操業実績をデータベースに保存しておき、次回以降の冷却制御を行う前に、当該厚鋼板と圧延実績や冷却条件等の製造条件が類似した実績データを抽出し、抽出した過去データから、当該厚鋼板の冷却停止温度予測モデルに係る誤差や熱伝達係数補正量を推定し、この誤差や熱伝達係数補正量と温度予測モデルとを組み合わせて、冷却ゾーンの水冷装置の水量や鋼板搬送速度の決定を行っている。これにより、厚鋼板の冷却工程において、冷却停止時の温度制御を高精度にて行うことが可能な、厚鋼板の冷却制御方法や装置を提供することができるとともに、当該冷却制御方法を用いて品質が向上された厚鋼板を製造可能な、厚鋼板の製造方法を提供することができる。
事例ベースモデリングの概念図である。 事例ベースモデリング手法の考え方を示す概念図である。 本発明の第1の態様に係る厚鋼板の冷却制御方法の流れを示す図である。 本発明の第2の態様に係る厚鋼板の冷却制御方法の流れを示す図である。 本発明の第3の態様に係る厚鋼板の冷却制御方法の流れを示す図である。 本発明の第3の態様に係る抽出工程、推定工程の流れを示す図である。 本発明の第4の態様に係る厚鋼板の冷却制御方法の流れを示す図である。 材質インデックスの並べ替え結果を示す図である。 冷却停止温度予測モデル誤差の事例ベースモデリング学習効果を示す図である。 層別テーブル方式を用いた場合と、事例ベースモデリング学習を用いた場合とにおいて、類似した冷却条件の少ない場合の学習効果をそれぞれ示す図である。 水冷熱伝達係数補正量の逆算結果を示す図であり、冷却停止温度と熱伝達係数補正量との関係を示す図である。 水冷熱伝達係数モデル補正量の事例ベースモデリング学習の効果を示す図である。 材質インデックスの並べ替え結果を示す図である。
1.事例ベースモデリング手法の詳細
図1に示すように、事例ベースモデリングでは、過去の蓄積データの中から、予測対象の製造条件に近いデータを検索し、その場で製造条件を決定するものであり、その手順は以下の通りである。
(1)予測対象の特性を良く表す情報ベクトル(予測誤差因子(=説明変数))を決定する。
(2)要求点(例えば、予測対象の製造条件など)に対応する近傍を選択する。
(3)選択した近傍の中にある各サンプルと要求点との類似の度合いを求める。
(4)選んだ各サンプルの出力を補間して要求点の出力を計算する。
(1)情報ベクトル(予測誤差因子)の決定
物理モデルの予測誤差を推定するモデリングを行う場合、予測誤差の要因となる因子(予測誤差因子:例えば、製造条件など)を情報ベクトルとして与える。より具体的には、統計解析等を実施して、予測誤差への影響因子を抽出する。また、いわゆるブラックボックスモデリングの場合にも、推定した出力値がどのような製造条件の影響を受けるのかを統計的に解析することにより、予測誤差因子を特定・決定することができる。
(2)要求点の近傍の選択
要求点の近傍を選択することの目的は、推定したい出力値の予測精度を高めるために、事前に蓄積したデータ集合からできるだけ要求点に類似したデータを選択することであり、ここで選択したデータ(データの部分集合)と、要求点との類似度によって、最終的な予測精度が決まる。要求点の近傍を選ぶにあたっては、例えば以下の処理が考えられる。
まず、二つの情報ベクトル間の距離関数を定義して、データベースに蓄積された過去の実績データと、要求点との間の距離をそれぞれ計算する。次に、計算した距離に基づいて当該距離が一番近いk個のサンプルを類似データとして抽出する。このような処理は、いわゆるk−NN(k Nearest Neighbors)法によって実行することができる。
一例として、各データと要求点との間の距離dを、下記式(1)のような重み付きEuclid距離として定義する。当該重み付きEuclid距離が一番近い所定数のサンプルを要求点の類似データとして抽出する。
(3)近傍と要求点との類似度
一般に、事例ベースモデリングでは、要求点と選ばれたデータとの間の類似度は、両者の間の距離によって決められる重みとして表現される。重みの大きさは、両者の距離が遠ければ0に近づき、逆に近ければ1に近づくものとすればよい。重み関数としては、例えば、下記式(2)のようなGaussian関数や、下記式(3)のようなTricube関数を用いることができる。
(4)要求点の出力計算
事例ベースモデリングの一つの特徴は、局所での簡単なモデル(例えば線形モデル)を用いて、大域的に複雑なモデル(例えば非線形モデル)を適切に近似できることにある。代表的な局所モデル同定方法は、例えば、「重み付き局所回帰法(LWR)」や「重み付き線形平均法(LWA)」であり、それぞれ下記式(4)、(5)のように表される。
本発明では、図2に示すように、過去の事例から予測対象の製造条件に近いデータ(類似データ)を検索して、推定値を得る。その手順は以下に示す通りである。各説明変数(予測誤差因子)の距離は、下記式(6)のような重み付きEuclid距離で定義することができる。
この重み付きEuclid距離の値の小さい複数のデータ(例えば、100のデータ)を類似データとして抽出する。この抽出した類似データを用いて、下記式(7)で示されるような線形回帰モデルのパラメータベクトルθを、下記式(8)のようなデータの不適合さを最小にする最適化問題に帰着させて同定する。このようにして得られた下記式(9)のように示される局所的な回帰モデル式を用いて、予測対象の推定値(下記式(9)の左辺Y^)を導出する。
なお、過去事例の中からモデルパラメータの同定に用いる類似データとして、予測対象の製造条件に近いデータを抽出した場合、予測誤差因子(説明変数)がすべて同一となる場合がある。このような場合には、当該予測誤差因子に対するモデルパラメータの同定が不可能となるため、これを除外した予測誤差因子にて、局所回帰モデルパラメータを同定する。具体例として、k番目の予測誤差因子がすべて同値となった場合、a=0の制約条件の下で、最適化問題に係る式(上記式(8))を解けばよい。
また、過去事例の中からモデルパラメータ同定に用いる類似データとして、予測対象の製造条件に近いデータを抽出した場合、予測誤差因子(説明変数)が極めて類似する場合がある。このような場合には、線形回帰モデルではむしろ正確な予測が難しくなるので、抽出したデータから平均値を求めて予測対象の推定値として導出すればよい。
以上のような事例ベースモデリング手法を用いた方法によって、厚鋼板の冷却停止温度に係る予測値の誤差や、温度予測モデルにおける熱伝達係数補正量(Z)を推定することが可能となる。本発明では、温度予測モデルにおいて冷却水量や鋼板搬送速度等を適宜設定することにより算出した鋼板冷却停止温度の予測値に含まれる誤差あるいは温度予測モデルそのものに含まれる誤差を解消すべく、過去実績データを用いて予測値の誤差や熱伝達係数補正量を推定し、推定した誤差や熱伝達係数補正量(Z)を用いて当初算出した予測値を修正して修正値とし、当該修正値と対応するように冷却水量や鋼板搬送速度を再度設定し、当該再設定した冷却水量や鋼板搬送速度にしたがって、実際の冷却工程を行うことで、厚鋼板の冷却停止温度の実測値と目標値との乖離を抑制し、温度制御を高精度なものとすることができる。
2.本発明の第1の態様
本発明の第1の態様は、上記事例ベースモデリング手法を応用してなる、厚鋼板の冷却制御方法である。具体的には、例えば、図3に示すような方法S10を挙げることができる。すなわち、厚鋼板の冷却制御方法S10は、冷却工程に供する当該厚鋼板について、厚鋼板の温度予測モデルを用いて、冷却工程における当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値を算出する、予測値算出工程S1、スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出する、抽出工程S2、前記抽出工程S2において抽出した前記過去の実績データから、当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差を推定する、推定工程S3、前記予測値算出工程S1において算出した当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値と、前記推定工程S3において推定した当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差とから、前記冷却停止温度の修正値を算出する、修正値算出工程S4、及び冷却停止温度の修正値が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する、決定工程S5を備えている。また、任意に、予測値の誤差の推定に必要となる予測誤差因子をデータベースに蓄積する、予測誤差因子蓄積工程S6を備えていてもよい。
2.1.予測値算出工程S1
工程S1は、冷却工程に供する当該厚鋼板について、厚鋼板の温度予測モデルを用いて、冷却工程における当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値を算出する工程である。工程S1においては、冷却工程における従来の鋼板温度予測モデルを適用することができる。工程S1では、冷却水量や鋼板搬送速度の初期値を設定し、当該鋼板温度予測モデルを用いて、冷却停止温度を計算し、予測値を算出すればよい。
2.2.抽出工程S2
工程S2は、スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出する工程である。実績データの抽出に際しては、上述したように、例えば製造条件に係る予測誤差因子(説明変数)を用いて重み付きEuclid距離やマハラノビス距離等の距離関数を設定し、当該距離が小さいもの(近傍にあるもの)を所定数選択し、当該厚鋼板と製造条件が類似する実績データとして抽出する等、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出することができるものであればいずれであってもよい。抽出工程S2で用いる実績データに係るデータベースは、例えば、下記表2のようなものとなる。表2に示すように、予測誤差因子(説明変数)としては、冷却停止温度の予測値の誤差に影響の大きいものが挙げられ、例えば、板厚や板幅、板長、カーボン当量、鋼板摩耗量、デスケ回数、冷却停止温度の実測値等の各種製造条件とすればよい。
上記表2において、例えば、上記式(6)に係るEuclid距離を用いて近傍を選択する場合において、例えばデータNo.1のものについては、
d1(X1)=√{1/50*(20-25)^2+…(中略)…+1/3*(15-10)^2+…(中略)…+1/3*(3-3)^2}
のようにEuclid距離を計算することができる。工程S2では、当該計算値の小さい、所定数のデータを抽出すればよい。
2.3.推定工程S3
工程S3は、工程S2において抽出した過去の実績データから、当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差を推定する工程である。すなわち、重み付き線形平均法(上記式(5)等)を採用して、工程S2において抽出した当該厚鋼板と製造条件の近い過去の実績データを用い、出力推定値y(q)を求めれば、厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差を得ることができる。なお、式(5)における重みwは、Gaussian関数やTricube関数(上記式(2)、(3))とすればよい。また、重み付き局所回帰法(上記式(4))を採用した場合には、データの不適合さを最小にする最適化問題に係る式(8)に帰着させて、式(7)で示されるモデルパラメータθを同定する。そして、得られた局所的な回帰モデルに係る式(9)を用いて、出力推定値を計算して、厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差を得ることができる。特に、工程S3では、工程S2により抽出した過去の実績データに基づいて線形回帰モデル式をたて、当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差を推定するとよい。線形回帰モデルのような簡便なモデルを取り扱うことで、計算速度の短縮が可能となり、事例ベースモデリング手法を用いる本発明の効果がより適切に奏される。
2.4.修正値算出工程S4
工程S4は、工程S1において算出した当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値と、工程S3において推定した当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差とから、冷却停止温度の修正値を算出する工程である。工程S4においては、例えば、工程S1において算出した冷却停止温度の予測値から工程S3において推定した予測値の誤差分を足し合わせることにより、冷却停止温度の修正値を算出することができる。あるいは 誤差を予測温度と実測温度の比として求め、予測温度に誤差を乗じることにより、冷却停止温度の修正値を算出してもよい。
2.5.決定工程S5
工程S5は、工程S4で算出した修正値が冷却停止温度の目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する工程である。冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定に際しては、例えば、鋼板温度予測モデルを用いて、冷却水量や鋼板搬送速度の初期値を設定し、冷却停止温度を計算する。そして得られた修正値が上記冷却停止温度の目標値と一定以上乖離している場合には、さらに、仮の冷却水量、仮の鋼板搬送速度を仮定して、繰り返し計算を行い、冷却停止温度の修正値が目標値とほぼ同等となるように、冷却水量や鋼板搬送速度を収束させるように計算し、決定すればよい。そして、工程S5において決定した冷却水量及び/又は鋼板搬送速度にて、厚鋼板の冷却工程を行うことで、厚鋼板の冷却が適切に制御された状態にて厚鋼板の冷却を行うことができる。
2.6.予測誤差因子蓄積工程S6
工程S6は、予測値の誤差の推定に必要となる予測誤差因子をデータベースに蓄積する工程である。例えば、上記工程S1〜S5を経て、厚鋼板の冷却制御を行い、当該厚鋼板の実績データを得る。そして、得られたデータのうち、特に、予測誤差因子に係るデータをデータベースに蓄積し、後の冷却制御時に用いることにより、当該厚鋼板よりも後に冷却工程に供される厚鋼板について、冷却制御精度を一層向上させることができる。
本発明に係る厚鋼板の冷却制御方法S10は、上記工程S1〜S5を備えることにより、厚鋼板の冷却工程において、冷却停止時の温度制御を高精度にて行うことができる。
なお、厚鋼板の冷却制御方法S10においては、抽出工程S2により抽出した過去の実績データにおける過去の予測値の誤差と、推定工程S3において推定した当該予測値の誤差とを比較し、比較の結果に基づいて、抽出した過去の実績データにおける過去の予測値の誤差の平均値を、推定工程S3における、当該予測値の誤差とすることが好ましい場合もある。例えば、推定工程S3において推定した当該予測値の誤差が、抽出工程S2により抽出した過去の実績データにおける過去の予測値の誤差の平均値±2σ(ここで、抽出工程により抽出した過去の実績データにおける過去の予測値の誤差の標準偏差をσとする)の範囲外となった場合、推定工程S3における当該予測値の誤差を、抽出した過去の実績データにおける過去の予測値の誤差の平均値、あるいは重み付き平均値へと置き換えるとよい。
また、抽出工程S2において抽出した過去の実績データが、該過去の実績データにおける製造条件と当該厚鋼板の製造条件との類似度が所定値以上のもののみからなる場合は、過去の実績データにおける過去の予測値の誤差の平均値を、推定工程S2における、当該予測値の誤差とすることが好ましい。この場合において、上記にて説明したように、データの類似度は、過去の実績データの予測誤差因子と、厚鋼板の製造条件における予測誤差因子とに基づいて、Euclid距離として表すことができるので、当該Euclid距離が所定値以下である場合に、「類似度が所定値以上」と判断することができる。
3.本発明の第2の態様
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様と同様、上記事例ベースモデリング手法を応用してなる厚鋼板の冷却制御方法であるが、上記本発明の第1の態様が、温度予測モデルを用いて得られる冷却停止温度の予測値の誤差を修正するものであるのに対し、本発明の第2の態様は、温度予測モデルにおける熱伝達係数の誤差を修正しようとするものである。すなわち、過去の実績データから熱伝達係数補正量(Z)を推定することにより、冷却停止温度の修正値を得ている。
具体的には、例えば、図4に示すような方法S20を挙げることができる。すなわち、厚鋼板の冷却制御方法S20は、冷却工程に供する当該厚鋼板について、スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出する、抽出工程S12、抽出工程S12において抽出した過去の実績データから温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z)を推定する、推定工程S13、推定工程S13において推定した熱伝達係数補正量(Z)を用いて温度予測計算を行い、冷却停止温度の修正値を算出する、修正値算出工程S14、及び冷却停止温度の修正値が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する、決定工程S15を備えている。また、任意に、熱伝達係数補正量(Z)の推定に必要となる予測誤差因子をデータベースに蓄積する、予測誤差因子蓄積工程S16を備えていてもよい。
ここで、工程S12及び工程S15は、上記工程S2及び工程S5と同様とすることができる。以下、工程S13及び工程S14について説明する。
3.1.推定工程S13
工程S13は、工程S12において抽出した過去の実績データから温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z)を推定する工程である。温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z)の意味するところは、温度予測モデルに用いられる熱伝達係数そのものを補正することにより、温度予測モデルそのものの誤差を補償するところにある。工程S13では、上記工程S3と同様、事例ベースモデリング手法において用いられる種々の数式モデルを応用することにより、熱伝達係数補正量(Z)を推定する。すなわち、重み付き線形平均法(上記式(4))を採用して、工程S12において抽出した当該厚鋼板と製造条件の近い過去の実績データを用い、出力推定値y(q)を求めれば、温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z)を得ることができる。ここで、式(5)における重みwは、Gaussian関数やTricube関数(上記式(2)、(3))とすればよい。また、重み付き局所回帰法(上記式(4))を採用した場合には、データの不適合さを最小にする最適化問題に係る式(8)に帰着させて、式(7)で示されるモデルパラメータθを同定する。そして、得られた局所的な回帰モデルに係る式(9)を用いて、出力推定値を計算して、温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z)を得ることができる。工程S13においても、工程S3と同様、工程S12により抽出した過去の実績データに基づいて線形回帰モデル式をたて、熱伝達係数補正量(Z)を推定するとよい。
3.2.修正値算出工程S14
工程S14は、工程S13において推定した熱伝達係数補正量(Z)を用いて温度予測計算を行い、冷却停止温度の修正値を算出する工程である。工程S14においては、例えば、温度予測計算に用いられる熱伝達係数に、工程S13において推定した熱伝達係数補正量(Z)を乗じることで、温度予測モデルを修正し、当該修正した温度予測モデルを用いて冷却停止温度を計算することで、当該計算値を冷却停止温度の修正値として算出することができる。あるいは温度予測計算に用いられる熱伝達係数に、熱伝達係数補正量(Z)を足し合わせることで、温度予測モデルを修正してもよい。
本発明に係る厚鋼板の冷却制御方法S20であっても、上記工程S12〜S15を備えることにより、厚鋼板の冷却工程において、冷却停止時の温度制御を高精度にて行うことができ、誤差をも考慮した冷却停止温度となるように厚鋼板の冷却制御が可能となる。
なお、厚鋼板の冷却制御方法S20においては、抽出工程S12により抽出した過去の実績データにおける過去の熱伝達係数補正量(Z)と、推定工程S13において推定した当該熱伝達係数補正量(Z)と、を比較し、比較の結果に基づいて、抽出した過去の実績データにおける過去の熱伝達係数補正量(Z)の平均値を、推定工程S13における、当該熱伝達係数補正量(Z)とすることが好ましい場合もある。例えば、推定工程S13において推定した当該熱伝達係数補正量(Z)が、抽出工程S12により抽出した過去の実績データにおける過去の熱伝達係数補正量(Z)の平均値±2σ(ここで、抽出工程により抽出した過去の実績データにおける過去の熱伝達係数補正量(Z)の標準偏差をσとする)の範囲外となった場合、推定工程S13における当該熱伝達係数補正量(Z)を、抽出した過去の実績データにおける熱伝達係数補正量(Z)の平均値、あるいは重み付き平均値へと置き換えるとよい。
また、抽出工程S12において抽出した過去の実績データが、該過去の実績データにおける製造条件と当該厚鋼板の製造条件との類似度が所定値以上のもののみからなる場合は、過去の実績データにおける過去の熱伝達係数補正量(Z)の平均値を、推定工程S13における、当該熱伝達係数補正量(Z)とすることが好ましい。この場合において、上記にて説明したように、データの類似度は、過去の実績データの予測誤差因子と、厚鋼板の製造条件における予測誤差因子とに基づいて、Euclid距離として表すことができるので、当該Euclid距離が所定値以下である場合に、「類似度が所定値以上」と判断することができる。
4.本発明の第3の態様
本発明の第3の態様は、温度予測モデルを用いて得られる冷却停止温度の予測値の誤差を修正するものである点で上記本発明の第1の態様と共通する。
温度予測誤差の推定にあたって、予め1つの説明変数のグループを選定しておき、この説明変数のグループを用いて事例データベースモデリングを行うよりも、説明変数のグループを複数選定しておき、事例データベースモデリングにより複数の局所回帰モデルを求め、その決定係数や、精度の良い方法を確率的に表現し、これに基づく重み付き平均値を誤差推定値として用いることで、より高精度な温度予測が可能となる。図5に、本発明の第3の態様に係る厚鋼板の冷却制御方法S30を示す。図5に示すように、冷却制御方法S30は、冷却工程に供する当該厚鋼板について、厚鋼板の温度予測モデルを用いて、冷却工程における当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値を算出する、予測値算出工程S21、スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出するにあたり、類似度を求める製造条件を複数グループ設定しておき、該グループ毎に製造条件が類似する実績データ群を抽出する、抽出工程S22、抽出工程S22にて抽出した実績データ群毎に当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差を推定する第1の推定工程S23aと、第1の推定工程S23aにおいて推定した実績データ群毎の予測値の誤差について、重み付き平均することにより、一の冷却停止温度の予測値の誤差を推定する第2の推定工程S23bとからなる、推定工程S23、予測値算出工程S21において算出した当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値と、第2の推定工程S23bにおいて推定した一の冷却停止温度の予測値の誤差とから、冷却停止温度の修正値を算出する、修正値算出工程S24、並びに、冷却停止温度の修正値が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する、決定工程S25、を備えている。また、任意に、予測値の誤差の推定に必要となる予測誤差因子をデータベースに蓄積する、予測誤差因子蓄積工程S26を備えていてもよい。
4.1.予測値算出工程S21
予測値算出工程S21は、上記予測値算出工程S1と同様の工程である。ここでは説明を省略する。
4.2.抽出工程S22
抽出工程S22は、スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出するにあたり、類似度を求める製造条件を複数グループ設定しておき、該グループ毎に製造条件が類似する実績データ群を抽出する工程である。
工程S22は、上記工程S2において、類似度を求める製造条件を複数グループ設定し、グループ毎に製造条件が類似する過去の実績データを抽出することに特徴を有する。すなわち、厚鋼板のスペック、圧延実績、冷却条件等の厚鋼板に適用する製造条件は、グループによって異なる。ただし、例えば、一のグループについては、製造条件として「板厚、板幅、板長、冷却停止温度指示、及びカーボン当量」の5つからなる説明変数を設定し、他のグループについては、製造条件として「板厚、板幅、板長、冷却停止温度指示、カーボン当量、圧延ロール摩耗量、及び、圧延デスケ回数」の7つからなる説明変数を設定する等、各グループにて設定した製造条件(説明変数群)に一部重複があってもよい。そして、一のグループにて設定した製造条件、及び、他のグループにて設定した製造条件のそれぞれについて、予測対象となる当該厚鋼板と製造条件が類似する過去の実績データを抽出する。すなわち、工程S22では、グループにおいて設定した製造条件に応じ、グループの数だけ、製造条件が類似する過去の実績データ群が抽出されることとなる。
グループの設定数については2以上であれば特に限定されるものではない。演算手段の負荷を考慮しつつ実用的なグループ数に設定すればよい。グループの設定については、特に限定されるものではないが、過去の厚鋼板冷却において、どの製造条件(説明変数のグループ)を用いた場合に、実績の冷却停止温度と冷却停止温度の修正値との差異が小さかったか、すなわち予測精度が良好であったかについて予め指標を求めておき、当該指標に基づいて、各グループに含ませる製造条件(説明変数のグループ)を決定することが好ましい。また説明変数は同一として、抽出工程での類似度の計算に用いる重み(表2の重みw)を変更したものを異なるグループとして設定しても良い。
グループ毎に抽出される過去の実績データ群については、上記工程S2と同様の方法により抽出することが可能である。
4.3.推定工程S23
推定工程S23は、抽出工程S22にて抽出した実績データ群毎に当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差を推定する第1の推定工程S23aと、第1の推定工程S23aにおいて推定した実績データ群毎の予測値の誤差について、重み付き平均することにより、一の冷却停止温度の予測値の誤差を推定する第2の推定工程S23bとからなる。
すなわち、第1の推定工程S23aにおいて、上記推定工程S3と同様の方法により、抽出した実績データ群それぞれについて、厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差を推定することにより、抽出した実績データ群の数(すなわち、設定したグループの数)だけ、予測値の誤差の推定値を得ることができる。そして、第2の推定工程S23bにおいて、推定した複数の予測値の誤差について重み付き平均することにより、一の冷却停止温度の予測値の誤差を推定することができる。重み付き平均については、例えば、局所回帰モデルのパラメータを求めたときの決定係数(重相関係数の2乗)を求め、これに基づいて、重み付き平均値を求めることができる。或いは、上述したように、過去の厚鋼板冷却において、どの製造条件(説明変数のグループ)を用いた場合に予測精度が良好であったかについて予め指標を求めておき、当該指標に基づいて、実績データ群の重み付けを決定することもできる。さらには、回帰の結果、異常なパラメータを導出する可能性があるため、予測値の誤差の推定値の内、最大値と最小値を除外して重み付き平均値を求め、回帰パラメータ異常の影響を除外することもできる。重み付き平均値の算出についてのより具体的な形態については、実施例にて詳述することとする。
このように第1の推定工程S23aと第2の推定工程S23bとを経ることにより、より高精度にて冷却停止温度の予測値の誤差を推定することができる。なお、第1の推定工程S23aにおいて冷却停止温度の予測値の誤差を複数推定する際は、上記工程S3と同様の方法により実績データ群毎に推定値を得ることが可能である。
図6に、4つのグループの製造条件(説明変数)を用いた場合の、抽出工程S22及び推定工程S23の流れを示す。図6に示すように、各グループ毎に過去の実績データ群を抽出し、局所回帰モデルを作成し、各グループ毎に第1の推定工程により予測値の誤差を推定し、最終的に第2の推定工程により、重み付き平均値としての予測値の誤差が推定され、以下の修正値算出工程S24にて使用されることとなる。
4.4.修正値算出工程S24及び決定工程S25
修正値算出工程S24は、冷却停止温度の修正値を算出する工程であり、修正値算出の際、上記第2の推定工程S23bにて推定した冷却停止温度の予測値の誤差の推定値を用いる以外は、上記修正値算出工程S4と同様の工程といえる。決定工程S25は、冷却停止温度の修正値が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する工程であり、修正値として修正値算出工程S24で算出した修正値を用いる以外は、上記決定工程S5と同様の工程といえる。
本発明の第3の態様において、第2の推定工程S23bにて得られる当該推定値は、上記本発明の第1の態様において推定工程S3にて得られる推定値よりも精度が高いといえる。精度良く推定された当該推定値を用いて、修正値算出工程S24及び決定工程S25を行うことにより、厚鋼板の冷却制御をより高精度に行うことができる。
5.本発明の第4の態様
本発明の第4の態様は、温度予測モデルにおける熱伝達係数の誤差を修正するものである点で上記本発明の第2の態様と共通する。
本発明の第3の態様でも述べたように、温度予測誤差の推定にあたって、予め1つの説明変数のグループを選定しておき、この説明変数を用いて事例データベースモデリングを行うよりも、説明変数のグループを複数選定しておき、事例データベースモデリングにより複数の局所回帰モデルを求め、その決定係数や、精度の良い方法を確率的に表現し、これに基づく重み付き平均値を誤差推定値として用いることで、より高精度な温度予測が可能となる。図7に、本発明の第4の態様に係る厚鋼板の冷却制御方法S40を示す。図7に示すように、冷却制御方法S40は、スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出するにあたり、類似度を求める製造条件を複数グループ設定しておき、該グループ毎に製造条件が類似する実績データ群を抽出する、抽出工程S32、抽出工程S32にて抽出した実績データ群毎に温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z’)を推定する第1の推定工程S33aと、第1の推定工程S33aにおいて推定した実績データ群毎の熱伝達係数補正量(Z’)について、重み付き平均することにより、一の熱伝達係数補正量(Z)を推定する、第2の推定工程S33bとからなる、推定工程S33、第2の推定工程S33bにおいて推定した一の熱伝達係数補正量(Z)を用いて厚鋼板の温度予測計算を行い、冷却停止温度の修正値を算出する、修正値算出工程S34、並びに、冷却停止温度の修正値が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する、決定工程S35、を備えている。また、任意に、予測値の誤差の推定に必要となる予測誤差因子をデータベースに蓄積する、予測誤差因子蓄積工程S36を備えていてもよい。
5.1.抽出工程S32
抽出工程S32は、スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出するにあたり、類似度を求める製造条件を複数グループ設定しておき、該グループ毎に製造条件が類似する実績データ群を複数抽出する工程である。当該抽出工程S32は、上記の抽出工程S22と同様であるため、ここでは説明を省略する。
5.2.推定工程S33
推定工程S33は、抽出工程S32にて抽出した実績データ群毎に温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z’)を推定する第1の推定工程S33aと、第1の推定工程S33aにおいて推定した実績データ群毎の熱伝達係数補正量(Z’)について、重み付き平均することにより、一の熱伝達係数補正量(Z)を推定する、第2の推定工程S33bとからなる。
すなわち、第1の推定工程S33aにおいて、上記本発明の第2の態様に係る推定工程S13と同様の方法により、抽出した実績データ群それぞれについて、熱伝達係数補正量(Z’)を推定することにより、抽出した実績データ群の数(すなわち、設定したグループの数)だけ、熱伝達係数補正量(Z’)の推定値を得ることができる。そして、第2の推定工程S33bにおいて、推定した複数の熱伝達係数補正量(Z’)について重み付き平均することにより、一の熱伝達係数補正量(Z)を推定することができる。重み付き平均については、例えば、局所回帰モデルのパラメータを求めたときの決定係数(重相関係数の2乗)を求め、これに基づいて、重み付き平均値を求めることができる。或いは、上述したように、過去の厚鋼板冷却において、どの製造条件(説明変数のグループ)を用いた場合に予測精度が良好であったかについて予め指標を求めておき、当該指標に基づいて、実績データ群の重み付けを決定することもできる。さらには、回帰の結果、異常なパラメータを導出する可能性があるため、予測値の誤差の推定値の内、最大値と最小値を除外して重み付き平均値を求め、回帰パラメータ異常の影響を除外することもできる。重み付き平均値の算出についてのより具体的な形態については、実施例にて詳述することとする。
このように第1の推定工程S33aと第2の推定工程S33bとを経ることにより、より高精度にて熱伝達係数補正量(Z)を推定することができる。なお、第1の推定工程S33aにおいて熱伝達係数補正量(Z’)を推定する際は、上記工程S13における熱伝達係数補正量(Z)の推定と同様の方法により実績データ群毎に推定値を得ることが可能である。
5.3.修正値算出工程S34及び決定工程S35
修正値算出工程S34は、冷却停止温度の修正値を算出する工程であり、修正値算出の際、上記第2の推定工程S33bにて推定した熱伝達係数補正量(Z)を用いる以外は、上記修正値算出工程S14と同様の工程といえる。決定工程S35は、冷却停止温度の修正値が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する工程であり、修正値として修正値算出工程S34で算出した修正値を用いる以外は、上記決定工程S15と同様の工程といえる。
本発明の第4の態様において、第2の推定工程S33bにて得られる熱伝達係数補正量(Z)は、上記本発明の第2の態様において推定工程S13にて得られる熱伝達係数補正量(Z)よりも精度が高いといえる。精度良く推定された当該補正量を用いて、修正値算出工程S34及び決定工程S35を行うことにより、厚鋼板の冷却制御をより高精度に行うことができる。
なお、上記本発明の第3の態様及び第4の態様においては、本発明の第1の態様及び第2の態様と同様の趣旨から、第1の推定工程S23a、S33aにおいて、抽出工程S22、S32により抽出した複数の実績データ群に基づいて、該実績データ群毎に複数の線形回帰モデル式をたて、当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差又は温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z’)を推定することが好ましい。また、抽出工程S22、S33により抽出した複数の実績データ群における過去の予測値の誤差又は過去の熱伝達係数補正量(Z)と、第1の推定工程S23a、S33aにおいて推定した当該予測値の誤差又は当該熱伝達係数補正量(Z’)と、を比較し、比較の結果に基づいて、抽出した実績データ群における過去の予測値の誤差又は過去の熱伝達係数補正量(Z)の平均値、あるいは重み付き平均値を、第1の推定工程における、当該予測値の誤差又は当該熱伝達補正量(Z’)とすることが好ましい場合もある。
6.本発明の第5の態様
本発明の第5の態様は、第1〜第4の態様に係る本発明の厚鋼板の冷却制御方法のいずれかを用いて、厚鋼板の冷却工程の冷却停止時における温度制御を精度よく行いながら、厚鋼板を製造する、厚鋼板の製造方法である。すなわち、本発明の第5の態様においては、製造工程の一つとして備えられた冷却工程において、上記厚鋼板の冷却制御方法を用いることに特徴を有し、それ以外の構成(圧延工程や搬送工程等)については、従来と同様の構成を採用すればよい。
厚鋼板の製造において、冷却工程は厚鋼板の特性を決定するのに重要な工程であり、冷却工程の制御を高精度にて行うことで、高品質な厚鋼板を製造できる。この点、本発明の第5の態様に係る厚鋼板の製造方法においては、上記本発明の第1〜第4の態様に係る厚鋼板の冷却制御方法のいずれかが採用されることにより、冷却工程の冷却停止時の温度制御を高精度にて行うものとしている。すなわち、本発明に係る厚鋼板の製造方法によれば、高品質な厚鋼板を製造することができる。
7.本発明の第6の態様
本発明の第6の態様は、厚鋼板の冷却工程における該厚鋼板の冷却制御装置であって、本発明の第1〜第4の態様の厚鋼板の冷却制御方法のいずれかにおける、予測値算出工程(S1、S21)、抽出工程(S2、S12、S22、S32)、推定工程(S3、S13、S23、S33)、修正値算出工程(S4、S14、S24、S34)、及び決定工程(S5、S15、S25、S35)を実行する、演算手段と、演算手段により得られた冷却水量及び/又は鋼板搬送速度にて、厚鋼板の冷却を行うように、厚鋼板の冷却装置及び/又は厚鋼板の搬送装置に信号を発する、制御手段と、を備える、厚鋼板の冷却制御装置である。
本発明の第6の態様にて用いられる演算手段としては、上記本発明の第1〜第4の態様に係る方法を実行可能な手段であれば特に限定されるものではなく、従来公知の演算手段を用いることができる。また、制御手段についても、演算手段における演算結果に基づいて、冷却制御装置の各装置部分に制御信号を発することが可能な手段であれば特に限定されるものではなく、従来公知の制御手段を用いることができる。
本発明の第6の態様に係る厚鋼板の冷却制御装置によれば、本発明の第1〜第4の態様に係る厚鋼板の冷却制御方法が適切に実行される結果、厚鋼板の冷却工程の制御を高精度にて行うことができる。このような冷却制御装置を厚鋼板の製造ラインに組み込むことで、高品質な厚鋼板を製造することが可能となる。
以下、実施例により、本発明に係る厚鋼板の冷却制御方法について、より詳しく説明する。
(実施例1)
冷却停止温度誤差ΔTを事例ベースモデリング手法にて推定する学習シミュレーションを実施した。局所モデリングに用いる説明変数(予測誤差因子)は、表3に示す4条件で試算した。
鋼板の冷却では、鋼板表面の性状によって熱伝達率が変化するため、表面性状の影響で温度計算誤差が生じると考えられる。このため、Case(2)〜(4)では、圧延でのロール摩耗状態やデスケ状況を説明変数(予測誤差因子)として導入した。また、説明変数(予測誤差因子)の材質インデックスNoに関しては、材質記号毎に冷却停止温度予測誤差の平均値を算出し、この平均値が単調増加となるように並べ替えたときの指標である(図8)。鋼種等、順序が不同で類似条件を見いだすのが困難な離散変数を局所モデリングに利用する手段としては有効であるので、Case(3)、(4)で採用した。
なお、本学習シミュレーションでは、過去事例データとして、4688枚のスラブのデータを用い、新たに得られたデータは逐次過去事例データとして追加した。また、事例ベースモデリングによる推定値が異常と判定(局所回帰における推定値が、抽出工程により抽出した過去の実績データの平均値±2σの範囲外となった場合)したデータについては、推定値を類似データ出力の平均で置き換えた(以降の試算結果もすべて異常判定・平均値への置き換えを実施した。)。
事例ベースモデリング手法を用いた学習による予測精度向上効果の一例(表3のCase(3))を図9に示す。精度が悪化する材は無く、予測精度が良好であることが確認できる。また、各Caseの事例ベースモデリング手法を用いた学習の結果を下記表4に示す。なお、合わせて事例ベースモデリング手法を用いた学習を行わなかったときの予測精度、及び、従来手法である層別テーブル方式による学習を実施した場合の予測精度も示した。ここで、層別テーブル方式では、製造条件毎に層別区分する必要があるが、層別数が100区分程度となり、かつ層別テーブル学習の結果、冷却停止温度の予測精度が最も良好となる、板厚3区分(境界26、40mm)、板幅2区分(境界3000mm)、板長2区分(境界16m)、冷却停止指示温度2区分(境界520℃)、カーボン当量2区分(境界0.36%)、成分1含有量2区分(境界0.18%)に区分した計96層別テーブルを作成し、比較として用いた。
各Caseでは事例ベースモデリング手法を用いた学習を行わなかったときに比べ標準偏差が小さく精度のよい誤差予測ができ、バラツキの減少が確認できる。特に材質インデックスNoを説明変数(予測誤差因子)にしたCase(3)、(4)では、誤差予測精度の向上効果が大きい。よって、この結果を基に冷却水の水量および/または鋼板搬送速度を決定すれば、的確に冷却停止温度を制御することができる。
さらに、Case(1)〜(4)のそれぞれの説明変数に対して、類似度の高いデータを抽出し、重回帰モデルのパラメータを求めたときの決定係数(重相関係数の2乗)を求め、これに基づいて、重み付き平均値を求めた。重み付き平均値は、下記式(10)にて計算し、これを誤差推定値ΔTestとして、予測精度を評価した。
冷却停止温度の予測精度を下記表5に示すが、それぞれの説明変数を用いたときに、決定係数が高い重回帰モデルの計算結果は、信頼性が高いため、それぞれの重回帰モデル計算値の重み付き平均を用いることで、精度が向上する。
本実施例では、決定係数を用いて、それぞれの説明変数に対する重回帰モデル計算値の重みを決めたが、重みは、決定係数に限らず、回帰モデルの信頼性の高さを表す値であればよく、例えば、重相関係数を用いてもよい。また、説明変数のグループは、4グループに限定されるものではなく、計算機のCPU負荷を鑑みた上で、実用的なグループ数に設定すればよい。さらに、本実施例では、説明変数のグループを4グループとして行ったが、説明変数は、同一として、各変数に対する重み(表3の重み)を各種変更したものを、それぞれCase(1)、(2)、(3)、(4)のようにして、データ群毎の推定値を重み付き平均して、予測値の誤差を求めても良い。
(実施例2)
前述のように、層別テーブル学習方式では製造機会の少ない厚鋼板のデータの蓄積がされにくいことから、誤差予測が困難になり厚鋼板の品質確保には一定の限界がある。そこで、過去事例データとして7202枚のデータを用いて層別テーブル学習方式の予測精度と事例ベースモデリング学習方式の予測精度を比較した。なお、層別テーブル学習方式では、製造条件毎に層別区分する必要があるが、層別数が100区分程度となり、かつ層別テーブル学習の結果、冷却停止温度の予測精度が最も良好となる、板厚3区分(境界26、40mm)、板幅2区分(境界3000mm)、板長2区分(境界16m)、冷却停止指示温度2区分(境界520℃)、カーボン当量2区分(境界0.36%)、成分1含有量2区分(境界0.18%)に区分した計96層別テーブルを作成し、比較検討に用いた。ここでは、製造機会の少ない製造条件での厚鋼板の冷却停止温度予測精度を評価するため、層別テーブル区分のN数が20枚以下の計77枚のデータを用いて予測精度を比較した。また、事例ベースモデリング学習方式では前出の表3のCase(3)の説明変数(予測誤差因子)を採用した。
図10に結果を示す。層別テーブル学習適用時には、当該層別区分での学習が進んでいないため、実績冷却停止温度が400℃〜450℃と低い材では、計算温度>実績温度となる傾向が残存している(図10(a))。これに対して、事例ベースモデリング学習適用時には、実績冷却停止温度が低い材でも計算温度と実績温度がほぼ一致している(図10(b))。また、誤差の標準偏差も、層別テーブル学習適用時には29.0℃なのに対し、事例ベースモデリング学習適用時には25.6℃であった。これにより、N数の少ない製造条件であっても、事例ベースモデリング学習を用いれば精度の良い予測が可能なことが分かる。よって、この結果を基に冷却水の水量および/または鋼板搬送速度を決定すれば、的確に冷却停止温度を制御することができる。
(実施例3)
本実施例では、冷却停止温度誤差ΔTを推定するに当たり、2種類の説明変数群を用いて、2つの局所回帰モデルを作成し、直近の予測精度が良い方の局所回帰モデルの重みを大きくして、重み付き平均を求めた。
説明変数は、下記表6に示す通り、表3のCase(4)と、カーボン当量の代わりに主要7成分の含有量を用いたもの(Case(5))の2種類とした。Case(5)の場合、製造条件が類似したデータを抽出すると、ある成分含有量と別の成分含有量の相関が強く、いわゆる多重共線性の問題が生じる。このため、Case(5)の局所回帰モデルは、重回帰ではなく、PLS(Partial Least Square)回帰により求めた。重み付き平均値は、下記式(11)にて計算し、これを誤差推定値ΔTestとして、予測精度を評価した。
例えば、直近10枚の冷却にて、Case(4)を用いた方が予測精度の良好なものが3枚、Case(5)を用いた方が予測精度の良好なものが7枚あった場合、w=0.3として重み付き平均を求める。
冷却停止温度の予測精度を評価した結果を下記表7に示すが、その時々の状況に応じて、局所モデルの信頼性が高い方の重みを大きくして、ΔTestを求めるため、精度が向上する。
(実施例4)
モデルパラメータの誤差推定に事例ベースモデリング手法を応用する例として、水冷時の熱伝達係数の誤差を推定した場合の冷却停止温度の予測精度向上効果を評価した。冷却停止温度の予測では、予め冷却ヘッダ毎の熱伝達係数モデルを用いて、伝熱計算を実施した。ここでは、冷却停止温度の予測誤差が水冷熱伝達係数モデルの誤差のみに起因すると仮定して、温度予測モデルの冷却停止温度の計算値と実測値が一致するように、熱伝達係数補正量Zを逆算した。なお、鋼板表面の温度は、冷却開始前と冷却終了後の2ヶ所しか測定できないため、ヘッダ個別の熱伝達係数逆算が困難である。このため、カウンタースプレーとサイドスプレーを含む各ヘッダの熱伝達係数モデル計算値に対して、下記式(12)に示すように、各ヘッダに共通の補正値としてZを導出した。
導出された補正量Z は0.3〜1.7程度の大きなバラツキがあった(図11)。
このようにして、導出されたオンライン水冷熱伝達係数モデル補正量Zを出力とし、表3に示す説明変数(予測誤差因子)を用いて、事例ベースモデリング手法にて、モデルパラメータである熱伝達係数の誤差を局所モデリング推定するシミュレーションを実施した。熱伝達係数補正量の推定に事例ベースモデリング学習を適用した場合の冷却停止温度予測精度(図12)は、良好であることが確認できた。なお、本検討で用いた材質インデックスNoは、材質記号毎に水冷熱伝達係数補正量Zの平均値を求め、平均値が単調増加となるように並べ替えた(図13)。また、表3に示す各条件(4条件)とした場合の、冷却停止温度予測精度を下記表8に示す。表8から分かるように、各Caseとも予測精度は良好であることが確認できた。
さらに、実施例1と同様に、Case(1)〜(4)のそれぞれの説明変数群に対して、類似度の高いデータを抽出し、重回帰モデルのパラメータを求めたときの決定係数(重相関係数の2乗)を求め、これに基づいて、重み付き平均値を求めた。
重み付き平均値は、下記式(13)にて計算し、これを補正値の推定値ZH,estとして、予測精度を評価した。
冷却停止温度の予測精度を表9に示すが、それぞれの説明変数を用いたときに、決定係数が高い重回帰モデルの計算結果は、信頼性が高いため、それぞれの重回帰モデル計算値の重み付き平均を用いることで、精度が向上する。
このように、本発明によれば、過去のスラブ毎の実績データに基づいて、これから冷却する厚鋼板の温度予測モデルの予測値誤差あるいは熱伝達係数補正量を高精度に推定することが可能となり、その結果、冷却装置の水量・鋼板搬送速度を調整することができるので、厚鋼板の品質向上が期待できる。
本発明は、厚鋼板の冷却工程(水冷工程)において好適に用いることができる。また、これにより、高品質な厚鋼板を製造することができる。

Claims (22)

  1. 厚鋼板の冷却工程における該厚鋼板の冷却制御方法であって、
    冷却工程に供する当該厚鋼板について、冷却工程における厚鋼板の温度変化挙動を予測するための厚鋼板の温度予測モデルを用いて、冷却工程における当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値を算出する、予測値算出工程、
    スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出する、抽出工程、
    前記抽出工程において抽出した前記過去の実績データから、当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差を推定する、推定工程、
    前記予測値算出工程において算出した当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値と、前記推定工程において推定した当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差とから、前記冷却停止温度の修正値を算出する、修正値算出工程、並びに、
    冷却停止温度の修正値が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する、決定工程、
    を備え、
    前記決定工程において決定した冷却水量及び/又は鋼板搬送速度にて、厚鋼板の冷却工程を行う、厚鋼板の冷却制御方法。
  2. 厚鋼板の冷却工程における該厚鋼板の冷却制御方法であって、
    冷却工程に供する当該厚鋼板について、
    スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出する、抽出工程、
    前記抽出工程において抽出した前記過去の実績データから冷却工程における厚鋼板の温度変化挙動を予測するための温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z)を推定する、推定工程、
    前記推定工程において推定した前記熱伝達係数補正量(Z)を用いて厚鋼板の温度予測計算を行い、前記冷却停止温度の修正値を算出する、修正値算出工程、並びに、
    冷却停止温度の修正値が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する、決定工程、
    を備え、
    前記決定工程において決定した冷却水量及び/又は鋼板搬送速度にて、厚鋼板の冷却工程を行う、厚鋼板の冷却制御方法。
  3. さらに、前記予測値の誤差の推定に必要となる予測誤差因子を前記データベースに蓄積する、予測誤差因子蓄積工程を備える、請求項1に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  4. さらに、前記熱伝達係数補正量(Z)の推定に必要となる予測誤差因子を前記データベースに蓄積する、予測誤差因子蓄積工程を備える、請求項2に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  5. 前記推定工程において、前記抽出工程により抽出した前記過去の実績データに基づいて線形回帰モデル式をたて、当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差を推定する、請求項1又は3に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  6. 前記推定工程において、前記抽出工程により抽出した前記過去の実績データに基づいて線形回帰モデル式をたて、記温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z)を推定する、請求項2又は4に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  7. 前記抽出工程により抽出した前記過去の実績データにおける過去の予測値の誤差と、前記推定工程において推定した当該予測値の誤差と、を比較し、
    比較の結果に基づいて、抽出した前記過去の実績データにおける前記過去の予測値の誤差の平均値、あるいは重み付き平均値を、前記推定工程における、当該予測値の誤差とする、請求項に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  8. 前記抽出工程により抽出した前記過去の実績データにおける過去の熱伝達係数補正量(Z)と、前記推定工程において推定した当該熱伝達係数補正量(Z)と、を比較し、
    比較の結果に基づいて、抽出した前記過去の実績データにおける前記過去の熱伝達係数補正量(Z)の平均値、あるいは重み付き平均値を、前記推定工程における、当該熱伝達係数補正量(Z)とする、請求項に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  9. 前記抽出工程において抽出した前記過去の実績データが、該過去の実績データにおける製造条件と当該厚鋼板の製造条件との類似度が所定値以上のもののみからなる場合において、
    前記過去の実績データにおける過去の予測値の誤差の平均値、あるいは重み付き平均値を、前記推定工程における、当該予測値の誤差とする、請求項1、3、5、7のいずれかに記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  10. 前記抽出工程において抽出した前記過去の実績データが、該過去の実績データにおける製造条件と当該厚鋼板の製造条件との類似度が所定値以上のもののみからなる場合において、
    前記過去の実績データにおける過去の熱伝達係数補正量(Z)の平均値、あるいは重み付き平均値を、前記推定工程における、当該熱伝達係数補正量(Z)とする、請求項2、4、6、8のいずれかに記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  11. 前記類似度が、前記過去の実績データの予測誤差因子と、当該厚鋼板の製造条件における予測誤差因子とに基づく、距離関数を用いた距離として表され、該距離が所定値以下である場合に、前記類似度が所定値以上と判断される、請求項に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  12. 前記類似度が、前記過去の実績データの予測誤差因子と、当該厚鋼板の製造条件における予測誤差因子とに基づく、距離関数を用いた距離として表され、該距離が所定値以下である場合に、前記類似度が所定値以上と判断される、請求項10に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  13. 厚鋼板の冷却工程における該厚鋼板の冷却制御方法であって、
    冷却工程に供する当該厚鋼板について、冷却工程における厚鋼板の温度変化挙動を予測するための厚鋼板の温度予測モデルを用いて、冷却工程における当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値を算出する、予測値算出工程、
    スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出するにあたり、類似度を求める製造条件を複数グループ設定しておき、該グループ毎に製造条件が類似する実績データ群を抽出する、抽出工程、
    前記抽出工程にて抽出した前記実績データ群毎に当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差を推定する第1の推定工程と、前記第1の推定工程において推定した実績データ群毎の前記予測値の誤差について、重み付き平均することにより、一の冷却停止温度の予測値の誤差を推定する第2の推定工程とからなる、推定工程、
    前記予測値算出工程において算出した当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値と、前記第2の推定工程において推定した前記一の冷却停止温度の予測値の誤差とから、前記冷却停止温度の修正値を算出する、修正値算出工程、並びに、
    冷却停止温度の修正値が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する、決定工程、
    を備え、
    前記決定工程において決定した冷却水量及び/又は鋼板搬送速度にて、厚鋼板の冷却工程を行う、厚鋼板の冷却制御方法。
  14. 厚鋼板の冷却工程における該厚鋼板の冷却制御方法であって、
    冷却工程に供する当該厚鋼板について、
    スラブ毎に過去の実績データを蓄積したデータベースから、当該厚鋼板と製造条件が類似する厚鋼板の過去の実績データを抽出するにあたり、類似度を求める製造条件を複数グループ設定しておき、該グループ毎に製造条件が類似する実績データ群を抽出する、抽出工程、
    前記抽出工程にて抽出した前記実績データ群毎に冷却工程における厚鋼板の温度変化挙動を予測するための温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z’)を推定する第1の推定工程と、前記第1の推定工程において推定した実績データ群毎の前記熱伝達係数補正量(Z’)について、重み付き平均することにより、一の熱伝達係数補正量(Z)を推定する、第2の推定工程とからなる、推定工程、
    前記第2の推定工程において推定した前記一の熱伝達係数補正量(Z)を用いて厚鋼板の温度予測計算を行い、前記冷却停止温度の修正値を算出する、修正値算出工程、並びに、
    冷却停止温度の修正値が目標値となるように、冷却水量及び/又は鋼板搬送速度を決定する、決定工程、
    を備え、
    前記決定工程において決定した冷却水量及び/又は鋼板搬送速度にて、厚鋼板の冷却工程を行う、厚鋼板の冷却制御方法。
  15. さらに、前記予測値の誤差の推定に必要となる予測誤差因子を前記データベースに蓄積する、予測誤差因子蓄積工程を備える、請求項13に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  16. さらに、前記熱伝達係数補正量(Z)の推定に必要となる予測誤差因子を前記データベースに蓄積する、予測誤差因子蓄積工程を備える、請求項14に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  17. 前記第1の推定工程において、前記抽出工程により抽出した複数の前記実績データ群に基づいて、該実績データ群毎に複数の線形回帰モデル式をたて、当該厚鋼板の冷却停止温度の予測値の誤差を推定する、請求項13又は15に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  18. 前記第1の推定工程において、前記抽出工程により抽出した複数の前記実績データ群に基づいて、該実績データ群毎に複数の線形回帰モデル式をたて、前記温度予測モデルの熱伝達係数補正量(Z’)を推定する、請求項14又は16に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  19. 前記抽出工程により抽出した複数の前記実績データ群における過去の予測値の誤差と、前記第1の推定工程において推定した当該予測値の誤差と、を比較し、
    比較の結果に基づいて、抽出した前記実績データ群における前記過去の予測値の誤差の平均値、あるいは重み付き平均値を、前記第1の推定工程における、当該予測値の誤差とする、請求項17に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  20. 前記抽出工程により抽出した複数の前記実績データ群における過去の熱伝達係数補正量(Z)と、前記第1の推定工程において推定した当該熱伝達係数補正量(Z’)と、を比較し、
    比較の結果に基づいて、抽出した前記実績データ群における前記過去の熱伝達係数補正量(Z)の平均値、あるいは重み付き平均値を、前記第1の推定工程における、当該熱伝達補正量(Z’)とする、請求項18に記載の厚鋼板の冷却制御方法。
  21. 請求項1〜20のいずれかに記載の厚鋼板の冷却制御方法を用いた冷却工程を備える、厚鋼板の製造方法。
  22. 厚鋼板の冷却工程における該厚鋼板の冷却制御装置であって、
    請求項1〜20のいずれかに記載の厚鋼板の冷却制御方法における、前記予測値算出工程、前記抽出工程、前記推定工程、前記修正値算出工程、及び前記決定工程を実行する、演算手段と、
    前記演算手段により得られた前記冷却水量及び/又は鋼板搬送速度にて、厚鋼板の冷却を行うように、厚鋼板の冷却装置及び/又は厚鋼板の搬送装置に信号を発する、制御手段と、
    を備える、厚鋼板の冷却制御装置。
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