JPH08252622A - 熱間圧延機出側の材料温度計算の補正学習方法 - Google Patents

熱間圧延機出側の材料温度計算の補正学習方法

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JPH08252622A
JPH08252622A JP7057242A JP5724295A JPH08252622A JP H08252622 A JPH08252622 A JP H08252622A JP 7057242 A JP7057242 A JP 7057242A JP 5724295 A JP5724295 A JP 5724295A JP H08252622 A JPH08252622 A JP H08252622A
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JP
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rolling mill
temperature
surface temperature
calculation
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JP7057242A
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Tomotaka Marui
智敬 丸井
Takao Hashimoto
高男 橋本
Riyouichi Danki
亮一 段木
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度計算に用いられる物理モデル式の的確な
パラメータ値を迅速に得て、温度計算精度を向上させ
る。 【構成】 圧延機入側の表面温度測定値から、スキッド
マークによる、圧延機入側材料表面温度の材料長手方向
に隣接する極大値Tin_peak(i)と極小値Tin_vall
ey(i)を検知すると共に、圧延機出側の表面温度測定
値から、前記圧延機入側材料表面温度の極大値と極小値
に対応する、圧延機出側材料表面温度の、材料長手方向
に隣接する極大値Tout _peak(i)と極小値Tout _
valley(i)を検知し、前記圧延機入側と出側の材料表
面温度の、対応する極大値と極小値の組合せを用いて、
温度計算の補正学習を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間圧延機出側の材料
温度を計算する際の補正学習方法に係り、特に、鉄鋼の
仕上熱間圧延で、操業中の温度測定値(実測値)と計算
値を比較することにより、温度計算に用いる物理モデル
式のパラメータを補正して計算精度を向上させることが
可能な、オフラインで用いるのに好適な、熱間圧延機出
側の材料温度計算の補正学習方法に関すものである。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼の熱間圧延では、材料温度の制御が
重要である。それは、温度の時間変化が材料内部の結晶
構造に影響を与え、これにより機械特性、即ち材料機能
(品質)が大きく左右されるからである。
【0003】しかしながら、熱間圧延の環境条件は劣悪
であるため、放射温度計等による実測は困難である。そ
のため、伝熱方程式を差分法で解く等の方法により、温
度計が設置できない悪環境位置、例えば圧延機噛み込み
位置での材料温度を計算し、この計算値に頼って制御し
ている。従って、この計算精度が製品品質に直結するの
で、計算精度の向上が望まれている。
【0004】鋼材の温度計算の一般論は、例えば「日本
鉄鋼協会 第95回熱経済部会 鋼材オンライン温度制
御研究小委員会 報告書(1994)第2編基礎編 第
4章伝熱現象の数値解析」(第59〜77頁)にまとめ
られている。
【0005】又、熱間圧延の仕上圧延機出側の温度計算
の結果を温度制御に反映させているものとしては、例え
ば、特開平3−110010や特開平5−50143が
ある。
【0006】このうち特開平3−110010には、圧
延ライン毎に、加熱炉入側における圧延材の温度、加熱
炉に圧延材が存在する時間、スケールブレーカのパス回
数、粗圧延機のパス回数、粗圧延機出側の圧延材の温度
及び粗圧延機出側から仕上圧延機入側までの圧延材の移
送所要時間の少なくとも1つ、並びに仕上圧延機出側の
圧延材の温度を測定し、前に圧延した圧延材に関する測
定結果と、処理中の圧延材に関する測定結果との差に基
づいて、処理中の圧延材の仕上圧延機出側の温度を予測
し、予測した結果に応じて仕上圧延機の作動条件を補正
することが記載されている。
【0007】又、特開平5−50143には、脱スケー
ル後で粗圧延開始前に鋼板の表面温度を計測し、該表面
温度に基づいて鋼板の抽出温度もしくは計測時点におけ
る鋼板の板厚方向圧延温度分布を推定し、該推定結果を
初期値として温度計測時点以降の圧延温度予測を行う一
方で、粗圧延以降に厚鋼板の表面温度を計測し、該表面
温度と前記圧延温度予測に基づく推定表面温度との差に
基づいて、前記圧延温度予測による推定抽出温度及び推
定圧延温度分布を修正し、粗圧延以降の圧延温度予測を
行うことが記載されている。
【0008】前記の温度計算には、各種の物理現象をモ
デル化した計算式(物理モデル式と称する)が用いられ
る。この温度計算で重要であるのは、鋼板表面での表面
熱伝達現象をどのようにモデル化するかという点、及
び、鋼板内部の発熱、吸熱をどのようにモデル化するか
という点の2つのモデル化である。
【0009】図1は、例えば入側温度Tin、板速度、圧
下荷重、板厚等から、熱間圧延機の出側温度Tout _ca
lcを計算する方法を模式的に示したものである。図1の
ように、温度計算には、物理現象を数式化したモデル式
(例えば熱拡散方程式の差分式)と、該モデル式に用い
られる典型的な物理定数(パラメータ)が必要である。
【0010】例えば、次式(1)に示すような表面熱伝
達モデル式f11では、空気と鋼板表面の熱伝達係数、冷
却水と鋼板表面の熱伝達係数、圧延ロールと鋼板表面の
接触熱伝達係数等のパラメータa1・・・ajが必要で
ある。
【0011】 f11=f(a1,・・・,aj) …(1) a1・・・aj…パラメータ
【0012】又、次式(2)に示すような摩擦発熱モデ
ル式f12では、圧延ロールと鋼板表面の摩擦係数、摩擦
エネルギが熱エネルギに変換する変換効率、摩擦エネル
ギが鋼板表面に分配される係数等のパラメータb1・・
・bkが必要である。
【0013】 f12=f(b1,・・・,bk) …(2) b1・・・bk…パラメータ
【0014】又、次式(3)に示すような加工発熱モデ
ル式f21では、変形抵抗、加工変形が鋼板内熱エネルギ
に変換する変換効率、鋼板内の熱エネルギの分布を示す
定数等のパラメータc1・・・cmが必要である。
【0015】 f21=f(c1,・・・,cm) …(3) c1・・・cm…パラメータ
【0016】又、次式(4)に示すような材質変化モデ
ル式f22では、変態発熱等、温度で鋼材内部の結晶状態
が変化し、それに伴う鋼材内部の熱エネルギ変化を記述
する係数等のパラメータd1・・・dnが必要である。
【0017】 f22=f(d1,・・・,dn) …(4) d1・・・dn…パラメータ
【0018】高精度の温度予測計算を行うには、これら
のモデル式として、実際の物理現象を的確に表現するも
のを採用し、且つ、そのモデル式のパラメータに、オン
ライン状態での値に合致しているものを代入しなければ
ならない。
【0019】パラメータ値は、通常、理論値ないしは圧
延状態を再現したオフライン実験値で仮決定されるが、
理論やオフライン実験は、オンラインでの現象を必ずし
も的確に表現するものではないため、温度計算に誤差が
生じる。そのため、更にオンラインでパラメータ値の補
正学習を行って、より適正な値へと修正されるのが一般
的である。
【0020】特に、±5℃誤差程度の高精度温度計算を
行うには、このオンラインパラメータ学習の他にも、計
算時間が多少長めではあるが、オフラインパラメータ学
習も必要である。このオフラインパラメータ学習に供す
る実プロセスのデータ(例えばコイル番号、入側温度計
出力Pin、板速度計やロール回転速度計出力、圧下荷重
計出力、板厚計出力、出側温度計出力Pout )は、図2
に示す如く、データロギング装置10で、圧延実績デー
タベースとして記録保存される。
【0021】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、この
学習は実際には容易ではない。即ち、圧延中の材料温度
の変化は、前述の多くのパラメータが絡み合った、複雑
な物理現象であるため、これらを分離して的確なパラメ
ータ補正を行うことが簡単ではない。特にロール直下で
は、ロール接触による抜熱(接触熱伝達)、加工発熱
(変形抵抗等)、摩擦発熱(摩擦係数等)、変態発熱
等、多くのパラメータが絡んでいる。
【0022】オンラインパラメータの学習は、例えば測
定可能な圧延機入側と出側の放射温度計により、圧延機
入側温度実測値に基づいて計算された出側温度計算値と
実測値の突合せで誤差を求め、これを小さくするための
パラメータ修正が行われる。このような修正は、温度計
算でのパラメータ値を目的値として、前記計算誤差を最
少とする評価値とした非線形の最適化を行うことであ
る。
【0023】非線形の最適化方法は、山登り法(最急降
下法)が一般的である。これは、多くの計算パラメータ
の1つを除外した他の全てを固定し、その1つを僅かに
変化させたときの評価値の変化により、その僅かな変化
が有効であるか否かを判定し、これに基づいて、次の僅
かなパラメータ変化の方向を決める。このパラメータ変
化操作の繰り返しによって、パラメータの適正な値を発
見するものである。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際の
オンラインデータでは、パラメータの1つを除外した他
の全てを固定するという理想的な条件でのデータが得ら
れないという問題点を有していた。
【0025】即ち、圧延される製品毎の板厚(圧下荷
重)、材料成分の違いから、製品毎(コイル間と称す
る)で温度変化の条件は大きく変わる。従って、コイル
間で、1つを除外した他の全てを固定するという理想的
な条件がなかなか成り立たない。更に、同一製品(コイ
ル内と称する)の圧延中でも、先端から後端にかけて、
徐々に温度が下がっていくサーマルランダウン現象によ
って温度条件が変化している。従って、例えばロール直
下では、ロール接触による抜熱(接触熱伝達)、加工発
熱(変形抵抗等)、摩擦発熱(摩擦係数等)、変態発熱
等、複数のパラメータが、温度で変化してしまう。よっ
て、コイル内のサンプリングが不適切であると、1つを
除外した他の全てを固定するという理想的な条件が、な
かなか成り立たない。
【0026】そのため、前記山登り法(最急降下法)等
の最適化のアルゴリズムが複雑になり、実用上問題であ
った。
【0027】更に、データ採取について、別の問題もあ
る。即ち、温度計算は、圧延機入側温度実測値に基づい
て計算された出側温度の計算値と、これに対応する実測
値の突合せで誤差を求めている。入側のある位置が、圧
延で引き伸ばされて出側に現われるので、位置を追跡し
て、出側温度計位置に達する時刻の温度測定値を読め
ば、この対応関係にあるデータが得られる筈である。
【0028】しかしながら、その位置を追跡するトラッ
キングに誤差が生じる。それは、圧延機の回転速度に対
して、圧延材は、少し速い先進率を有する速度になり、
この先進率の推定計算の誤差、ないしは圧延中の幅変化
や、先端部分の不定形状のため、通常行われるマスフロ
ー一定則からの近似的速度計算(材料厚みと速度の積が
一定であることから圧延機の出側速度を計算)に誤差が
出るためである。
【0029】このようなトラッキング誤差のため、出側
温度の測定位置にずれを生じ、温度測定に誤差が出て、
オンラインのパラメータ補正が不適切なものになってし
まう。
【0030】本発明は、前記従来の問題点を解消するべ
くなされたもので、温度計算に用いる物理モデル式のパ
ラメータを、精度良く補正学習することが可能な、実用
的な補正学習方法を提供することを目的とする。
【0031】
【問題点を解決するための手段】本発明は、熱間圧延機
出側の材料温度を計算する際に、圧延機入側の表面温度
測定値から、圧延機入側材料表面温度の、材料長手方向
に隣接する極大値と極小値を検知すると共に、圧延機出
側の表面温度測定値から、前記圧延機入側材料表面温度
の極大値と極小値に対応する、圧延機出側材料表面温度
の、材料長手方向に隣接する極大値と極小値を検知し、
前記圧延機入側と出側の材料表面温度の、対応する極大
値と極小値の組合せを用いて、温度計算の補正学習を行
うようにすることにより、前記目的を達成したものであ
る。
【0032】又、物理モデル式を用いて、前記圧延機入
側材料表面温度測定値の極大値と極小値から計算される
圧延機出側材料表面温度計算値の極大値と極小値の差
が、前記圧延機出側材料表面温度測定値の極大値と極小
値の差に近づくように、前記物理モデル式のパラメータ
を変更するようにしたものである。
【0033】又、温度計算に用いられる物理モデル式の
パラメータの変更を、該物理モデル式を用いて、前記圧
延機入側材料表面温度測定値の極大値と極小値から計算
される圧延機出側材料表面温度計算値の極大値と極小値
の差と、前記圧延機出側材料表面温度測定値の極大値と
極小値の差の違いの大きいパラメータから行うようにし
たものである。
【0034】
【作用】本発明は、熱間圧延機で圧延される前の材料
(例えば粗圧延前のスラブや仕上圧延前のシートバー)
にできる、スキッドマークと呼ばれる材料長手方向の温
度極値を利用して、物理モデル式のパラメータを補正学
習するものである。即ち、仕上圧延機や粗圧延機の前段
で、加熱炉により加熱される圧延材(例えばスラブ1
0)は、図3に示す如く、加熱炉中で、スキッド22と
呼ばれる加熱炉内ビーム20の突起支持部で支持されて
いるため、その支持部分で加熱が不十分となり、該支持
部分が、その他の部分よりも低温となる。これにより、
圧延材には、スキッド支持部分が温度の極小値となった
スキッドマークが発生する。
【0035】加熱炉を出たスラブは、粗圧延機で圧延さ
れるが、この間に、大気への放射冷却、大気との対流伝
熱、圧延ロールや搬送ロールとの接触伝熱で、表面から
温度が下がっていく。この温度低下は時間と共に進行
し、サーマルランダウンと呼ばれる。
【0036】従って、スラブないしは粗圧延後のシート
バーの移動中に、位置が固定された温度計で定点観測す
ると、サーマルランダウンとスキッドマークとが重なっ
た、図4に示すような温度変化パターンとなる。ここ
で、入側表面温度極値の極大と極小の差は10°〜50
℃である。
【0037】この温度変化パターンは、仕上圧延後の出
側表面温度でも解消されず、図5に示す如く残留する。
図6は、仕上圧延前後の、入側温度計30、出側温度計
32、仕上圧延機34、シートバー12の関係と、前記
温度計30、32による温度測定値Pin、Pout の変化
状態を模式的に示す線図である。
【0038】本発明では、上記の温度極値、即ち、図7
のように、入側極大値Tin_peak(i)と出側極大値T
out _peak(i)、及び、入側極小値Tin_valley
(i)と出側極小値Tout _valley(i)の対応関係を
利用する。即ち、入側の温度極値の位置が、圧延中の表
面、内部の温度変化を被って、出側に出てきた温度が、
出側の温度極値と考え、入側で10〜50℃の温度極値
の差を与えたときの温度変化データが出側で観測される
と考える。
【0039】従って、コイル内の隣接する極大、極小の
ペアを見れば、表面温度だけが変化して、その他の条件
を固定したという、1つを除外した他の全てを固定する
という条件に合致するデータが得られ易い。従って、各
温度計算パラメータの温度依存性を判定することが可能
となる。
【0040】即ち、例えば、ある圧延中のコイルの材
料、圧延条件において、入側極大値Tin_peak(i)と
出側極大値Tout _peak(i)の温度差ΔTpeak(i)
と、隣接する入側極小値Tin_valley(i)と出側極小
値Tout _valley(i)の温度差ΔTvalley(i)を取
り、これらの差を見れば、入側温度が極大から極小へ変
化した際の出側温度への影響が分かる。その際、同一材
料であるので、材料条件は同一である。但し、極大から
極小変化間での時間間隔で、速度や圧下率等の圧延条件
が変更されていないことを確認する必要がある。この確
認は、オンラインでは制御系との情報伝達で、オフライ
ンでは圧延実績を解析すれば、共に容易である。
【0041】極値のペアは、同一コイル内にスキッドマ
ークの数だけ存在するので、一部条件変更等により使え
ないペアがあっても、実際上問題はない。
【0042】実際の物理モデル式のパラメータの変更
は、例えば、物理モデル式を用いて、前記圧延機入側材
料表面温度測定値の極大値と極小値から計算される圧延
機出側材料表面温度計算値の極大値と極小値の差が、前
記圧延機出側材料表面温度測定値の極大値と極小値の差
に近づくように変更して、容易に行うことができる。
【0043】又、温度計算に用いられる物理モデル式の
パラメータの変更を、該物理モデル式を用いて前記圧延
機入側材料表面温度測定値の極大値と極小値から計算さ
れる圧延機出側材料表面温度計算値の極大値と極小値の
差と、前記圧延機出側材料表面温度測定値の極大値と極
小値の差の違いの大きいパラメータから行うようにし
て、少ない変更回数で、迅速に適切なパラメータ値に収
束させることができる。
【0044】
【実施例】以下図面を参照して、本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0045】図8は、本発明の実施例における、相対誤
差を評価関数としたパラメータ最適化サブルーチンの処
理手順を示す流れ図である。この実施例では、まずステ
ップ100で、図2に示したような圧延実績データベー
スから、あるコイルの圧延データ(例えば入側温度、板
速度、圧下荷重、板厚)を取り込み、入側極大値Tin_
peak(i)と入側極小値Tin_valley(i)とを別々に
温度計算して、求められたTin_peak(i)による出側
温度計算値とTin_valley(i)による出側温度計算値
との差、即ち計算出側温度差ΔTout _calc(i)を求
める。
【0046】次いでステップ110に進み、圧延実績デ
ータベースの出側温度から、前記計算出側温度差ΔTou
t _calc(i)に対応する実績出側温度差ΔTout
(i)を求める。
【0047】次いで、両者が一致するようにパラメータ
変更を行う。即ち、ステップ120及び130で、計算
出側温度差ΔTout _calc(i)と実績出側温度差ΔT
out(i)の温度差という相対誤差を評価関数としたパ
ラメータの最適化を行う。この考え方は、多くのパラメ
ータが関与するので、1つのパラメータ変更では絶対誤
差(上記の差を取る前の2つの計算出側温度と2つの実
績出側温度Tout _peak(i)、Tout _valley(i)
とのそれぞれ個別の差)は小さくなり難いという事実に
よる。それに対して本実施例における相対誤差とは、上
記のようなスキッドマークの山谷の温度差を意味する。
このように、本実施例では、絶対値の誤差をとりあえず
無視して、山谷の温度差をまず合せる。このような相対
誤差の最小化でも、山登り法(最急降下法)等で公知の
パラメータ変更ルールが利用できる。
【0048】このようにしてパラメータ変更を繰り返し
て、所望の相対温度誤差、例えば3〜5℃程度の相対誤
差が得られるまで、繰り返し変更操作を行い、十分小さ
な相対誤差となった段階で、ステップ140に進み、パ
ラメータ変更値並びに相対誤差評価関数の改善量を出力
する。
【0049】このような相対誤差最小化操作で、絶対誤
差が小さくなる最適パラメータ値に収束する保証はない
が、更に次のような手法で、収束し易くすることができ
る。
【0050】図9は、図8に示す相対誤差を評価関数と
した最適化サブルーチンのメインルーチンを示す流れ図
である。このメインルーチンでは、まずステップ200
で、計算モデルのパラメータa1・・・aj、b1・・
・bk、c1・・・cm、d1・・・dnを1つずつ選
び、図8のアルゴリズム(最適化サブルーチン)を繰り
返して実施する。
【0051】次いでステップ210に進み、図8のステ
ップ104で得られた、計算モデルのパラメータ毎の相
対誤差評価関数の改善量が最大のものを選定する。次い
で、ステップ220に進み、このように選定された、相
対誤差評価関数の改善量が最大のパラメータのみを変更
する。次いでステップ230に進み、出側温度計算値と
実績値の差が十分に小さいか、公知の評価関数で評価す
る(絶対誤差評価)。次いでステップ240に進み、上
記絶対誤差の評価関数値が十分に小さいか否か判定し、
十分に小さくなるまで、ステップ200ないし230を
繰り返す。
【0052】図8の最適化サブルーチンの最終ステップ
140に記載されているように、図8のサブルーチンで
は、各パラメータの最適化を行う毎に、相対誤差の改善
量が出力されるので、図9のメインルーチンでは、これ
を逐次記憶しておき、これら改善量が最大のものをステ
ップ210で選定し、ステップ220で、そのパラメー
タを変更している。
【0053】ここで、図8のサブルーチンでは、パラメ
ータは、1つのパラメータ最適化ルーチン終了時に元に
戻されるため、パラメータ変更自体は実施されず、図9
のメインルーチンで、最も相対誤差の改善に寄与するパ
ラメータから実際に変更されていく。
【0054】このような繰り返しによって、温度誤差に
寄与する度合が大きい、即ち最適値から最も外れている
計算パラメータから最適化が進行していく。このように
して、従来より温度計算パラメータの修正学習が、より
的確に実行されるので、学習時間も短くてすむ。
【0055】なお、本発明は、オフラインパラメータ学
習に好適な方法であるが、計算が高速化されれば、オン
ラインパラメータ学習にも適用可能である。
【0056】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
温度計算に用いられる物理モデル式のパラメータが的確
に補正学習されるので、温度計算の精度が向上し、温度
計算誤差の減小により、材料温度の制御精度、引いては
製品品質が向上する。例えば、圧延スタンド噛み込み直
前温度の高精度推定が可能になるので、スタンド圧下制
御がより的確となり、寸法精度が向上する。又、仕上出
側温度並びに巻取での温度予測がより正確になり、冷却
ノズルの制御が適正に行われる。
【0057】更に、温度の極値を判定しているため、必
ずしもトラッキングする必要がなく、トラッキングの誤
差による温度測定値のずれが問題にならない等の優れた
効果を有する。
【0058】即ち、本発明によれば、パラメータが適切
になるため、図10に示す如く、圧延機出側の表面温度
計算値が実測値に近づく。これに対して従来法による計
算値では、適切なパラメータが得られないため、実測値
に近い計算値を得ることはできない。
【0059】コイル数45を対象として、従来の学習法
と本発明法によりパラメータの補正を実施した。本発明
法による計算繰り返しを10回、20回として、それに
要する計算時間と同じ時間分だけ、従来法による計算を
行った。計算結果を図11に示す。図11から明らかな
如く、従来法では、パラメータの修正量、誤差の改善量
共に僅かであるが、本発明法によれば、20回の繰り返
しで標準偏差σ=3℃という極めて良好な値が得られて
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の熱間仕上圧延機出側の材料温度計算方法
を説明するための線図
【図2】従来の圧延実績データベースの概念的な構成を
示すブロック線図
【図3】本発明で利用したスキッドマークを説明するた
めの線図
【図4】圧延機の入側温度計の温度測定値の例を示す線
【図5】圧延機の出側温度計の温度測定値の例を示す線
【図6】温度計と仕上圧延機及び圧延機入側及び出側の
温度測定値の例を示す線図
【図7】本発明の原理を説明するための、表面温度の入
側極大値と出側極大値及び入側極小値と出側極小値の関
係を示す線図
【図8】本発明の実施例における、相対誤差を評価関数
としたパラメータ最適化サブルーチンを示す流れ図
【図9】同じくパラメータ最適化メインルーチンを示す
流れ図
【図10】本発明の効果を示すための、従来法による計
算値と本発明法による計算値の違いを説明するための線
【図11】本発明法及び従来法による繰り返し計算結果
を示す図表
【符号の説明】
10…スラブ 12…シートバー 20…炉内ビーム 22…スキッド 30…入側温度計 32…出側温度計 34…仕上圧延機 Tin_peak(i)…入側極大値 Tout _peak(i)…出側極大値 Tin_valley(i)…入側極小値 Tout _valley(i)…出側極小値 ΔTpeak(i)、ΔTvalley(i)…温度差 ΔTout _calc(i)…計算出側温度差 ΔTout (i)…実績出側温度差

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱間圧延機出側の材料温度を計算する際
    に、 圧延機入側の表面温度測定値から、圧延機入側材料表面
    温度の、材料長手方向に隣接する極大値と極小値を検知
    すると共に、 圧延機出側の表面温度測定値から、前記圧延機入側材料
    表面温度の極大値と極小値に対応する、圧延機出側材料
    表面温度の、材料長手方向に隣接する極大値と極小値を
    検知し、 前記圧延機入側と出側の材料表面温度の、対応する極大
    値と極小値の組合せを用いて、温度計算の補正学習を行
    うことを特徴とする熱間圧延機出側の材料温度計算の補
    正学習方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、物理モデル式を用い
    て、前記圧延機入側材料表面温度測定値の極大値と極小
    値から計算される圧延機出側材料表面温度計算値の極大
    値と極小値の差が、前記圧延機出側材料表面温度測定値
    の極大値と極小値の差に近づくように、前記物理モデル
    式のパラメータを変更することを特徴とする熱間圧延機
    出側の材料温度計算の補正学習方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、温度計算に用い
    られる物理モデル式のパラメータの変更を、該物理モデ
    ル式を用いて、前記圧延機入側材料表面温度測定値の極
    大値と極小値から計算される圧延機出側材料表面温度計
    算値の極大値と極小値の差と、前記圧延機出側材料表面
    温度測定値の極大値と極小値の差の違いの大きいパラメ
    ータから行うことを特徴とする熱間圧延機出側の材料温
    度計算の補正学習方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2021178349A (ja) * 2020-05-14 2021-11-18 Jfeスチール株式会社 圧延材の冷却制御方法及び冷却制御装置

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