JP5678594B2 - セクショナル型のタイヤ成形用金型 - Google Patents
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Description
一方、セクショナル型のタイヤ成形用金型では、トレッド成形部をなすセクターはタイヤ周方向に複数に分割され、それぞれタイヤ周方向に延在しており、多数のベントホールが各セクターの成形面に対してほぼ直交する方向に貫通形成されている。
したがって、セクターの延在方向の中央の領域では、ベントホールの貫通方向とセクターの移動方向とが近似する方向となり、ベントホールの貫通方向とセクターの移動方向とのなす角度が小さい。しかしながら、セクターの延在方向の両端に位置する領域では、ベントホールの貫通方向とセクターの移動方向とのなす角度が大きくなってくる。
ベントホールにスピューが残存すると、それを取り除かなければならず、その取り除きには手間が掛かる。
そのため、セクショナル型のタイヤ成形用金型では、タイヤの加硫成形効率を高め、コストダウンを図るため何らかの改善が望まれていた。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、タイヤの加硫成形効率を高め、コストダウンを図る上で有利なセクショナル型のタイヤ成形用金型を提供することにある。
セクショナル型のタイヤ成形用金型10は、成形機に組み付けられた上型サイドプレート12と、下型サイドプレート14と、セクター16とを含んで構成されている。
上型サイドプレート12と下型サイドプレート14はそれぞれ環状に延在し、上型サイドプレート12と下型サイドプレート14には、サイドウォール部を成形する金型面が形成されている。
セクター16には、トレッド部を成形するためのトレッド部成形用金型面18が形成され、この金型面18によりトレッドパターンが形成される。
この金型面18は、トレッド面を成形するためのトレッド面成形用金型面20、トレッド面成形用金型面20から突出し縦溝や横溝を成形するための成形骨を含んで構成されている。
セクター16は、型締め時および離型時(型開き時)に、タイヤの径方向内側、径方向外側に移動される。このセクター16の移動方向16Aは、加硫機の機種毎に、あるいは、メーカー毎に、あるいは、セクター16毎に異なっているものの、その移動方向16Aは、セクター16の延在方向の中央の領域(例えば、セクター16の延在方向の中央でセクター16の全長の20%の範囲に位置する領域)が、タイヤの径方向に近似した方向(タイヤの径方向を含む)に移動する方向となっている。
ベントホール22の貫通方向22Aは、セクター16の延在方向と直交する方向であるセクター16の幅方向から見た場合に、ベントホール22が開口するトレッド面成形用金型面20の箇所における法線24に対して、セクター16の移動方向16Aに近づくように傾斜している。
この場合、図3(A)に示すように、ベントホール22が開口するトレッド面成形用金型面20の箇所における法線24と、ベントホール22が開口するトレッド面成形用金型面20の箇所を通るセクター16の移動方向16Aとの間に、ベントホール22が位置してもよく、あるいは、図3(B)に示すように、セクター16の移動方向16Aを挟んで法線24と反対の箇所にベントホール22が位置してもよい。
ベントホール22の貫通方向22Aをこのように傾斜させることにより、離型時、ベントホール22に対するスピュー(ベントスピュー)の抵抗を小さくし、これによりベントホール22からスピューを抜け易くし、離型時におけるスピュー切れを防止するようにしている。
ベントホール22は、セクター16が8分割型の場合、セクター16の延在方向に沿って例えば15〜16本設けられ、セクター16の延在方向の中央の領域に位置する何れかのベントホール22の貫通方向22Aと、セクター16の移動方向16Aとがほぼ合致すると考えられる。
したがって、セクター16の延在方向の中央の領域に位置するベントホール22ではその貫通方向22Aと、セクター16の移動方向16A(ベントホール22が開口するトレッド面成形用金型面20の箇所を通るセクター16の移動方向16A)とが近似しており、ベントホール22の貫通方向22Aとセクター16の移動方向16Aとのなす角度θ1(図3参照)が小さく、離型時にスピューがベントホール22内で途切れる割合が低い。
これに対して、セクター16の延在方向の両端の領域に位置するベントホール22ではその貫通方向22Aと、セクター16の移動方向16Aとのなす角度θ1(図3参照)が大きくなっており、離型時にスピューがベントホール22内で途切れる割合が高くなる。
したがって、離型時におけるスピュー切れを防止する観点から、セクター16の延在方向の両端から周方向に沿ってそれぞれ少なくともセクター16の全長の20%の領域に位置するベントホール22について、その貫通方向22Aを、セクター16が移動する方向に近づけるように傾斜させることが好ましい。
したがって、離型時におけるスピュー切れを効果的に防止する観点から、ベントホール22が開口するトレッド面成形用金型面20の箇所における法線24に対して前記ベントホール22の貫通方向22Aが傾斜している角度θ2(図1、図3参照)は、セクター16の延在方向の両端に位置するベントホール22からセクター16の延在方向の中央に位置するベントホール22に近づくにつれて小さくなっていることが好ましい。
しかしながらセクター16の移動方向16Aと、ベントホール22の貫通方向22Aとを一致させなくても、法線24に対してベントホール22の貫通方向22Aが傾斜している角度θ2と、法線24に対して離型時のセクター16の移動方向16Aがなす角度θ3(図3参照)とを、0.7×θ3<θ2<1.3×θ3を満たすようにしても、離型時におけるスピュー切れを防止することが可能で、この角度範囲内にすると加工上も有利となる。
表1において「ベントホール傾斜角」は、セクター16の延在方向の両端に位置するベントホール22についての傾斜角であり、下記の「θ3/θ2」の関係を満たしつつセクター16の延在方向の両端から中央に向けてその傾斜角を変化させている。この傾斜角は、ベントホール22が開口するトレッド面成形用金型面20の箇所における法線24に対してベントホール22の貫通方向22Aがなす角度であり、ベントホール22の貫通方向22Aがセクター16の移動方向16Aに近づくように、法線24に対してこの傾斜角で傾斜している。
また、表1において「ベントホール径」は、ベントホール22の内径である。
また、表1において「θ3/θ2」は、法線24に対して離型時にセクター16の移動方向16Aがなす角度θ3を、法線24に対してベントホール22の貫通方向22Aがなす角度θ2で割った値である。
また、スピュー切れ発生率は、発生率の逆数を指数化して表したもので、数値が高いほど発生率が低く、スピュー切れのないタイヤが得られることを示している。
また、実施例2〜5から、θ3/θ2の値が0.7から1.3の範囲にあると、スピュー切れ発生率を抑制する上でより有利となることが明らかである。
また、実施例3、4からθ3/θ2の値を1にすると、すなわち、セクター16の移動方向16Aとベントホール22の貫通方向22Aを一致させると、スピュー切れの発生を抑制する上で最も有利となり、また、ベントホール径が大きいほどより有利となることが明らかである。
Claims (5)
- タイヤ周方向に複数に分割され、離型時にタイヤの径方向外側に移動され、それぞれトレッド部を成形するためのトレッド部成形用金型面と、前記トレッド部成形用金型面からその反対側に位置する外面に向けて貫通する多数のベントホールとが形成され、タイヤ周方向に延在する複数のセクターを有するセクショナル型のタイヤ成形用金型であって、
前記ベントホールの貫通方向は、前記ベントホールが開口する前記トレッド部成形用金型面の箇所における法線に対して、前記セクターの移動方向に近づくように傾斜している、
ことを特徴とするセクショナル型のタイヤ成形用金型。 - 前記ベントホールの貫通方向が前記セクターの移動方向に近づくように傾斜している前記ベントホールは、前記セクターの延在方向の両端から前記セクターの延在方向に沿って前記セクターの全長の20%の領域に位置するベントホールである、
ことを特徴とする請求項1記載のセクショナル型のタイヤ成形用金型。 - 前記法線に対して前記ベントホールの貫通方向が傾斜している角度は、前記セクターの延在方向の両端に位置するベントホールから前記セクターの延在方向の中央に位置するベントホールに近づくにつれて小さくなっている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のセクショナル型のタイヤ成形用金型。 - 前記法線に対して前記ベントホールの貫通方向が傾斜している角度θ2は、前記法線に対して離型時の前記セクターの移動方向がなす角度をθ3として場合に、0.7×θ3<θ2<1.3×θ3を満たしている、
ことを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載のセクショナル型のタイヤ成形用金型。 - 前記ベントホールの直径が0.5mm以上1.0mm以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載のセクショナル型のタイヤ成形用金型。
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