JP5678297B2 - リチウムイオン電池の製法及びリチウム電池の製法 - Google Patents
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Description
そこで、電解液の漏洩を避け、例えば120℃の高温での可燃性を抑えることができるポリマー電解質が導入された。
ポリマー電解質は漏洩が少なく難燃性が改良されている反面、例えば200℃の高温での可燃性を抑えるに至らず、且つリチウムイオンの伝導性が劣るという問題がある。
その結果、一般に固体電解質膜はイオン伝導性が低いのに対して、リチウムイオンを選択的に通過させることができ、そのイオン伝導性が高い、リチウムイオン高伝導性ガラスセラミック(LISICON(Lithium−Super−Ion−CONductor)と呼ばれる一群の固体電解質膜が開発された。
LIPONは電気化学的に安定でリチウム陽極と反応せず、リチウムイオン伝導性が高い、とされているが、耐湿性が低く、大気中の僅かな水分でも急速に劣化するという問題がある。
しかしながら、これらのLISICONにおいてもイオン伝導性の向上には限界があり、その理由として細粒をなす固体電解質同士、及び固体電解質と電極活物質の接触が、細粒の稜での点接触に過ぎないことが挙げられる。
例えば、特許文献3、4には、LiBF4を添加したポリエチレンオキサイドを、Li−Al−Ti−Si−P−O系のLISICONと混合、焼結して安定で非常に低抵抗の固体電解質を得た例が開示されている。
しかしながら、この方法では、イオン伝導性ポリマーという有機バインダを用いているので、耐熱性がなく概ね200℃以上の高温に耐えず、電池の製造条件が制限されるだけではなく、可燃性の問題が再発する恐れがある。
例えば特許文献2、5には、非晶質シリカの原材料としてテトラ・アルコキシ(メトキシ)・シラン(Si(OCH3)4)を使い、電極活物質を混合し、シランを重合させながら電極活物質と化学結合させたものを集電極板に塗布し焼結することにより、電極活物質粒子の周囲に堅固でイオン伝導性のあるシリカ膜を形成し(「ゾルゲル法」と呼ばれる)、その上にLISICON系の固体電解質層を形成する技術が開示されている。
電極活物質の細粒はシリカ構造の中に埋め込まれて面接触しているので、イオン伝導性は高い。また焼結によりシランの有機材部分は除去(蒸発)されているので、耐熱性も高い。
この方法により、固体電解質と電極活物質の界面におけるイオン伝導性は向上できるが、このような「ゾルゲル法」の問題点としては、膜厚が0.1μm程度以上になると非晶質シリカの有機材部分が十分除去されず、イオン伝導性が低下して良好なシリカ膜が形成できないことがある。
LISICON(Lithium−Super−Ion−Conductor)を粉砕し1μm以下のサイズに細粒化するステップ1と、
正極活物質含有金属ポリマー溶液(Metal Polymer Solution:以下、MPSという)を正極活物質原材として用意するステップ2と、
前記細粒化したLISICONと、バインダとして前記正極活物質含有MPSとを混合しスラリ化して正極用電解質原材を用意するステップ3と、
負極活物質含有MPSを負極活物質原材として用意するステップ4と、
前記細粒化したLISICONと、バインダとして前記負極活物質含有MPSとを混合しスラリ化して負極用電解質原材を用意するステップ5と、
正極用集電極板を用意するステップ6と、
前記正極用集電極板の一面上に、前記正極活物質原材を塗布、焼成して、正極活物質層を形成するステップ7と、
その上に、前記正極用電解質原材を塗布、焼成して、LISICON細粒を包蔵する正極活物質からなる正極用固体電解質層を形成するステップ8と、
その上に、前記ステップ7及び8を複数回繰り返すステップ9と、
その上に、前記負極用電解質原材を塗布、焼成して、LISICON細粒を包蔵する負極活物質からなる負極用固体電解質層を形成するステップ10と、
その上に、前記負極活物質原材を塗布、焼成して、負極活物質層を形成するステップ11と、
その上に、前記ステップ10及び11を複数回繰り返すステップ12と、
その上に、負極用集電極板を付着するステップ13と、を含むことを特徴とする。
前記ステップ9とステップ10の間に、前記固体電解質原材を塗布、焼成して、LISICON細粒を包蔵するシリカからなる固体電解質層を形成するステップ95を、さらに含むことを特徴とする。
LISICON(Lithium−Super−Ion−Conductor)を粉砕し細粒化するステップ1と、
正極活物質の粉末と、バインダとして正極活物質含有MPSとを混合しスラリ化して正極活物質原材を用意するステップ2と、
前記細粒化したLISICONと、バインダとしてシリコーン化合物の溶液とを混合しスラリ化して固体電解質原材を用意するステップ3と、
負極活物質の粉末と、バインダとして負極活物質含有MPSとを混合しスラリ化して負極活物質原材を用意するステップ4と、
正極用集電極板を用意するステップ5と、
前記正極用集電極板の一面上に、前記正極活物質原材を塗布、焼成して、正極活物質層を形成するステップ6と、
その上に、前記固体電解質原材を塗布、焼成して、LISICON細粒を包蔵するシリカ膜からなる固体電解質層を形成するステップ7と、
その上に、前記負極活物質原材を塗布、焼成して、負極活物質層を形成するステップ8と、
その上に、負極用集電極板を付着するステップ9と、を含むことを特徴とする。
LISICON(Lithium−Super−Ion−Conductor)を粉砕し細粒化するステップ1と、
正極活物質の粉末と、バインダとして正極活物質含有MPSとを混合しスラリ化して正極活物質原材を用意するステップ2と、
前記細粒化したLISICONと、バインダとしてシリコーン化合物の溶液とを混合しスラリ化して固体電解質原材を用意するステップ3と、
負極活物質含有MPSを負極活物質原材として用意するステップ4と、
別途に、負極用集電極板を用意し、前記負極用集電極板の両面上に金属リチウムを真空中で付着し、窒素ガス雰囲気中でアルミニウムパウチ内に封止して負極板とするステップ5と、
正極用集電極板を用意するステップ6と、
前記正極用集電極板の一面上に、前記正極活物質原材を塗布、焼成して、第1の正極活物質層を形成するステップ7と、
前記固体電解質原材を前記第1の正極活物質層の上に塗布、焼成して、LISICON細粒を包蔵するシリカからなる第1の固体電解質層を形成するステップ8と、
前記第1の固体電解質層の上に、前記負極活物質原材を塗布、焼成して、第1の負極活物質層を形成するステップ9と、
前記正極用集電極板の他面上に、前記正極活物質原材を塗布、焼成して、第2の正極活物質層を形成するステップ10と、
前記固体電解質原材を前記第2の正極活物質層の上に塗布、焼成して、LISICON細粒を包蔵するシリカからなる第2の固体電解質層を形成するステップ11と、
前記第2の固体電解質層の上に、前記負極活物質原材を塗布、焼成して、第2の負極活物質層を形成するステップ12と、
前記ステップ5を完了した負極用集電極板を真空中で開封し、前記負極用集電極板の一面と前記ステップ7乃至12を完了した正極用集電極板の一面とをラミネート加工により接着し、次に巻回しながら、前記負極用集電極板の他面と前記正極用集電極板の他面とをラミネート加工により接着するステップ13と、を含むことを特徴とする。
LISICON(Lithium−Super−Ion−Conductor)を粉砕し細粒化するステップ1と、
正極活物質の粉末と、バインダとして正極活物質含有MPSとを混合しスラリ化して正極活物質原材を用意するステップ2と、
前記細粒化したLISICONと、バインダとしてシリコーン化合物の溶液とを混合しスラリ化して固体電解質原材を用意するステップ3と、
別途に、負極用集電極板を用意し、前記負極用集電極板の両面上に金属リチウムを真空中で付着し、窒素ガス雰囲気中でアルミニウムパウチ内に封止するステップ4と、
前記ステップ4を完了した負極用集電極板を、負極活物質の真空蒸着器中で開封した後、前記負極用集電極板の両面上の前記金属リチウムを覆うように負極活物質を蒸着又はスパッタするステップ5と、
正極用集電極板を用意するステップ6と、
前記正極用集電極板の一面上に、前記正極活物質原材を塗布、焼成して、第1の正極活物質層を形成するステップ7と、
前記固体電解質原材を第1の正極活物質層の上に塗布、焼成して、LISICON細粒を包蔵するシリカからなる第1の固体電解質層を形成するステップ8と、
前記正極用集電極板の他面上に、前記正極活物質原材を塗布、焼成して、第2の正極活物質層を形成するステップ9と、
前記固体電解質原材を前記第2の正極活物質層の上に塗布、焼成して、LISICON細粒を包蔵するシリカからなる第2の固体電解質層を形成するステップ10と、
前記ステップ5を完了した負極用集電極板の一面と前記ステップ7乃至10を完了した正極用集電極板の一面とを、イオン液体(常温溶融塩)を介在させながらラミネート加工により接着し、次に巻回しながら、前記負極用集電極板の他面と前記正極用集電極板の他面とをイオン液体を介在させながらラミネート加工により接着するステップ11と、を含むことを特徴とする。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン電池の製法を示す積層成膜図であり、図2は、その製法を具現化する製造装置の模式図である。
図2を参照すると、被加工基板10はリール91とリール92の間に懸架され、製造スタート前にはリール91に巻回されている。
被加工基板10は、リール91とリール92の間に設けられた、正極活物質原材コーター(coater)20、負極用電解質原材コーター50と、乾燥ゾーン42、焼成ゾーン44、乾燥ゾーン46からなる焼結室40と、負極活物質原材コーター30、正極用電解質原材コーター60とを順次通過している。
これら、及び後述のコーターとしては、塗布膜厚、塗布速度の可変範囲が広く、基板の厚み(塗布位置)の変動許容範囲が広いものが望ましく、スロットダイコーター、ロールコーター、ドクターナイフコーター、グラビアコーター等が使用可能である。
乾燥ゾーン42、焼成ゾーン44、乾燥ゾーン46は、断熱壁43、45により隔離されており、各々温度150℃、350〜400℃、150℃に調節されている。
ここで、正極活物質は具体的には例えば、LiCoO2、LiFePO4、LiMn2O4のいずれか1つ、又は2つ以上の混合物であり、負極活物質は具体的には例えば、ZnO、V2O5、TiO2、Li4Ti5O12のいずれか1つ、又は2つ以上の混合物である。
細粒化LISICONのサイズは、0.3〜0.4μmが最適である。
サイズが0.3μm以下であると、表面積/体積比が大きくなって凝集し易くなる結果、等価サイズがかえって急増する場合があり、サイズが0.4μm以上であると、塗布した際に塗布ムラができ焼成後の成膜が均一にならない場合がある。
また、負、正極用電解質原材コーター50、60には予め、上記細粒化したLISICONと、バインダとして各々、上記負、正極活物質含有MPSとを混合しスラリ化したものが負、正極用電解質原材として蓄えられている。
製造がスタートすると、被加工基板10がリール91からリール92に向かって移動すると共に、正極活物質原材コーター20が稼動し、(負極用電解質原材コーター50、負極活物質原材コーター30、正極用電解質原材コーター60は停止)、例えば、適量のスラリの滴下により厚さ50μmの正極活物質原材が塗布され、乾燥ゾーン42で30分間乾燥されて正極原材の溶媒分が揮発し、焼成ゾーン44で30分間焼成されて、乾燥ゾーン46で再び30分間乾燥された後、厚さ1μmの正極活物質層25(図1を参照)が形成され、リール92に巻回される。
以上の手順を複数回、例えば、計10往復、繰り返すと、リチウムイオン電池の正極側が厚さ20μmだけ積層形成される。
単一の金属膜形成は、比較的安価に連続かつ高速(真空)蒸着が可能である。
また、本実施形態によるリチウムイオン電池の製法は、湿式で塗布し大気中で乾燥・焼成して連続成膜を行うので、蒸着・スパッタなどの高価な設備を要さず、経済的なリチウムイオン電池の製法として好適である。
ここで、本発明の以下の実施の諸形態に用いる固体電解質原材とそれから得られる固定電解質層の詳細について説明する。
より具体的には、シリコーンポリマーとしては、メトキシ基を含有する低分子量のメチル系シリコーン、又はシラノールを含有する低分子量のメチルフェニル系シリコーン(ポリシロキサン)などがある。
有機ポリマーはMPSにある程度の粘度を確保してMPSを塗布した際の流出による型崩れを防ぐためのものであり、溶剤に溶けるものであればよいが例えば、イソフタル酸/トリメチロールエタン共重合ポリエステルとポリ酢酸ビニル、又はそれらの混合物がある。
溶剤は、シリコーンポリマー及び有機ポリマーを溶解するものであればよく、例えばエトキシエチルアセテートを主成分とする。
このシリコーンポリマーを含む溶液は単独の場合、例えば、スピンナーで1500rpm、5秒スピン塗布し、120℃で5分乾燥して膜厚1.5μmを得た後、例えば焼成温度400℃で30分大気中で焼成することで、0.5μmの膜厚のシリカ膜を得ることができた。
このLISICON電解質原材を塗布により成膜し、焼成して、LISICON細粒を包蔵するシリカ膜からなる固体電解質層を得る。これを、LISICON電解質層と称する。
この値は、例えば引用文献4の実施例1に示される、厚さ40μmで1.3×10−4S・cm−1のイオン伝導度と比べて、イオン伝導度は同等であるが、膜厚が薄い。
従って、同一体積で同一電荷容量を維持しながら積層数を増やすことができるので、電極活物質層と電解質層の接触面積は積層数倍になり、電池の内部抵抗を格段に減らすことができる。
また、針先などの外部からの物理的衝撃に対しても、強い機械的強度を呈する。
これらの特徴は、本電解質層を用いたリチウムイオン電池の使用時の、物理的衝撃による短絡とそれによる発熱、発火の危険性を抑制する。
また、本電解質層も吸湿性が無いので、グローブボックス等での取扱いが不要であり、大気中で保存しても特性の劣化がない。また電解質膜の機械的強度も十分ある。
図3は、本実施形態に係るリチウムイオン電池の製法を示す積層成膜図であり、図4は、その製法を具現化する製造装置の模式図である。
上記[薄膜積層]の場合とは、正電極用積層(25、65の組)と負電極用積層(55、35の組)との間に、上記LISICON電解質層、即ち、LISICON細粒を包蔵するシリカからなる固体電解質層75を成層し(図3)、また、その形成を行うため、上記LISICON細粒に対して、バインダとして上記シリコーン化合物の溶液、即ち上記シリコーンポリマーの溶液を例えば焼成後重量比が5%になる量だけ加えて攪拌し、さらにLISICON細粒の凝集抑止剤を適量添加して、スラリ化して得られる固体電解質原材、即ち上記LISICON電解質原材のコーター70を備える(図4)点が異なる。
市販のリチウムイオン電池において、正極活物質として導電性を賦与するためケッチンブラック(カーボン)が用いられ、バインダとしてポリフッ化ビニリデンやテフロン(登録商標)が用いられている。これに対して本実施形態では、正極活物質としてLiCoO2、LiFePO4、LiMn2O4のいずれか1つ、又は2つ以上の混合物を用い、バインダとしてこれらの正極活物質を含有するMPSを用いる。
このような市販のリチウムイオン電池の場合、カーボンが2酸化炭素となって逃げないようにするため、大気中で焼成することができない。
これに対して本実施形態では、大気中での焼成が可能になる。
図6を参照すると、被加工基板10はリール91とリール92の間に懸架され、製造スタート前にはリール91に巻回されている。
被加工基板10は、リール91とリール92の間に設けられた、正極活物質原材コーター20、負極活物質原材コーター30と、乾燥ゾーン42、焼成ゾーン44、乾燥ゾーン46からなる焼結室40と、固体電解質原材コーター70とを順次通過している。
乾燥ゾーン42、焼成ゾーン44、乾燥ゾーン46は、断熱壁43、45により隔離されており、各々、例えば温度150℃、350〜400℃、150℃に調節されている。
製造がスタートすると、被加工基板10がリール91からリール92に向かって移動すると共に、正極活物質原材コーター20が稼動し、(負極活物質原材コーター30、固体電解質原材コーター70は停止)、適量のスラリの滴下により正極活物質原材が塗布され、乾燥ゾーン42で90分間乾燥されて、正極原材の溶媒分が揮発し、焼成ゾーン44で90分間焼成されて、乾燥ゾーン46で再び90分間乾燥された後、厚さ10μmの正極活物質層27(図5を参照)が形成され、リール92に巻回される。
最後に、負極用集電極板12が別途、例えば適当な金属蒸着により形成される。
単一の金属膜形成は、比較的安価に連続かつ高速(真空)蒸着が可能である。
図7は、本実施形態に係るリチウム電池の製法を示す積層成膜図であり、図8、図9は、その製法を具現化する第1、第2の製造装置の模式図である。
本実施形態に係る「リチウム電池」は、上記[薄膜積層]、[薄膜積層変形例]、[厚膜積層]などと異なり、金属リチウムを負極材とするので、慣例によりこのように「リチウムイオン電池」ではなく「リチウム電池」と呼ばれる。
図8は第1の製造装置の模式図であって、被加工基板10は最初はリール91とリール92の間に懸架され、製造スタート前にはリール91に巻回されている。
被加工基板10は、リール91とリール92の間に設けられた、正極活物質原材コーター20、負極活物質原材コーター30と、乾燥ゾーン42、焼成ゾーン44、乾燥ゾーン46からなる焼結室40と、固体電解質原材コーター70とを順次通過している。
一方、負極活物質原材コーター30には、上記[薄膜積層]におけると同様の負極活物質含有MPSが負極活物質原材として蓄えられている。
製造がスタートすると、被加工基板10がリール91からリール92に向かって移動すると共に、正極活物質原材コーター20が稼動し、(負極活物質原材コーター30、固体電解質原材コーター70は停止)、適量のスラリの滴下により、正極活物質原材が塗布され、乾燥ゾーン42で90分間乾燥されて、正極原材の溶媒分が揮発し、焼成ゾーン44で90分間焼成されて、乾燥ゾーン46で再び90分間乾燥された後、厚さ10μmの正極活物質層27(図7を参照)が形成され、リール92に巻回される。
上記と同様の工程を経て、被加工基板15の、正極活物質層27、固体電解質層77、及び負極活物質層35が形成されているのと反対側に、正極活物質層28、固体電解質層78、及び負極活物質層36(いずれも、図7を参照)が塗布により成膜、焼成されて、リール92に巻回される。
一方、上記の負極板16のロールも真空加熱室48中で開封した後、リール96に懸架される。
リチウムの融点温度を超えると溶融による金属リチウムの型崩れの恐れがあり、あまり低温であるとラミネートによる接着品質が低下する。
このようにして、ステンレススチールを負極用集電極板とし、金属リチウムを負極板に有する渦巻き状のリチウム電池が製造できる。
図10は、本実施形態に係るリチウム電池の製法を示す積層成膜図であり、図11、図12は、その製法を具現化する第1、第2の製造装置の模式図である。
本実施形態に係る「リチウム電池」も、上記[厚膜積層]と同様に金属リチウムを負極材とするので、このように呼ばれる。
本実施形態では、リチウム電池における負極活物質層が、上記[厚膜積層]におけるように1μmの厚さを必ずしも要せず、0.2〜0.3μmあれば十分であることに着目する。
さらに、これで金属リチウム層が完全に負極活物質層により覆われているので、これ以降の負極板16の取扱いが簡単になる。
一方、上記の負極板16のロールも真空加熱室48中で開封した後、リール96に懸架される。
上記[厚膜積層]と異なり負極板16の金属リチウムが露出していないので、真空加熱室48の真空性は必ずしも要しない。
「イオン液体」は「常温溶融塩」、即ち、エチルメチルイミダゾリウム塩などに代表される常温溶融性(例えば−30〜+300℃で液相)の有機塩であって、最近、その難燃性、高イオン伝導性、電圧印加時の化学的安定性(金属リチウム、固体電解質、固体負極活物質と反応しない)の故にリチウムイオン電池の電解質用などに注目されている。
しかしながら、「イオン液体」は微量でも、このミクロの凹凸を電導性、特にリチウムイオン伝導性に富む液体で充填するので、理想的な面接合が得られる。
このようにして、ステンレススチールを負極用集電極板とし、金属リチウムを負極板に有する渦巻き状のリチウム電池が製造できる。
11:正極用集電極板
12:負極用集電極板
16:負極板
17、18:金属リチウム層
20:正極活物質原材コーター
25、27、28:正極活物質層
30:負極活物質原材コーター
35、36、37、38、39:負極活物質層
40:焼結室
42、46:乾燥ゾーン
43、45:断熱壁
44:焼成ゾーン
48:真空加熱室
50:負極用電解質原材コーター
55:負極用電解質層
60:正極用電解質原材コーター
65:正極用電解質層
70:固体電解質原材コーター
75、77、78:固体電解質層
80、81:第1、第2のイオン液体原材コーター
85、86:第1、第2のイオン液体層
91、92、93、95、96、97:リール
Claims (13)
- LISICON(Lithium−Super−Ion−Conductor)を粉砕し1μm以下のサイズに細粒化するステップ1と、
正極活物質含有金属ポリマー溶液(MPS:Metal Polymer Solution)を正極活物質原材として用意するステップ2と、
前記細粒化したLISICONと、バインダとして前記正極活物質含有金属ポリマー溶液(MPS)とを混合しスラリ化して正極用電解質原材を用意するステップ3と、
負極活物質含有金属ポリマー溶液(MPS)を負極活物質原材として用意するステップ4と、
前記細粒化したLISICONと、バインダとして前記負極活物質含有金属ポリマー溶液(MPS)とを混合しスラリ化して負極用電解質原材を用意するステップ5と、
正極用集電極板を用意するステップ6と、
前記正極用集電極板の一面上に、前記正極活物質原材を塗布、焼成して、正極活物質層を形成するステップ7と、
その上に、前記正極用電解質原材を塗布、焼成して、LISICON細粒を包蔵する正極活物質からなる正極用固体電解質層を形成するステップ8と、
その上に、前記ステップ7及び8を複数回繰り返すステップ9と、
その上に、前記負極用電解質原材を塗布、焼成して、前記LISICON細粒を包蔵する負極活物質からなる負極用固体電解質層を形成するステップ10と、その上に、前記負極活物質原材を塗布、焼成して、負極活物質層を形成するステップ11と、
その上に、前記ステップ10及び11を複数回繰り返すステップ12と、
その上に、負極用集電極板を付着するステップ13と、を含むことを特徴とするリチウムイオン電池の製法。 - 少なくとも、第1リールと、正極活物質原材用のコーター(coater)と、負極用電解質原材用のコーターと、焼結室と、負極活物質原材用のコーターと、正極用電解質原材用のコーターと、第2リールとを備えた製造装置を用いて、
前記ステップ6で、前記正極用集電極板を巻回して第1リールに装着し、前記正極用集電極板の開放端を、正極活物質原材コーターと、負極用電解物質原材コーターと、前記焼結室と、負極活物質原材コーターと、正極用電解質原材コーターとを順次経て第2リールに固定し、前記焼結室を稼動し、
前記ステップ7で、前記正極用集電極板を前記第1リールから前記第2リールに向かい巻回移動しながら、前記正極活物質原材コーターを稼動し、
前記ステップ8で、前記正極用集電極板を前記第2リールから前記第1リールに向かい巻回移動しながら、前記正極用電解質原材コーターを稼動し、
前記ステップ10で、前記正極用集電極板を前記第1リールから前記第2リールに向かい巻回移動しながら、前記負極用電解質原材コーターを稼動し、
前記ステップ11で、前記正極用集電極板を前記第2リールから前記第1リールに向かい巻回移動しながら、前記負極活物質原材コーターを稼動する、ことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池の製法。 - 前記ステップ5とステップ6の間に、前記細粒化したLISICONと、バインダとしてシリコーン化合物を含む溶液とを混合しスラリ化した固体電解質原材を用意するステップ55と、
前記ステップ9とステップ10の間に、前記固体電解質原材を塗布、焼成して、前記LISICON細粒を包蔵するシリカからなる固体電解質層を形成するステップ95を、さらに含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池の製法。 - 少なくとも、第1リールと、正極活物質原材用のコーターと、負極用電解質原材用のコーターと、固体電解質原材用のコーターと、焼結室と、負極活物質原材用のコーターと、正極用電解質原材用のコーターと、第2リールとを備えた製造装置を用いて、
前記ステップ6で、前記正極用集電極板を巻回して前記第1リールに装着し、前記正極用集電極板の開放端を、正極活物質原材コーターと、負極用電解質原材コーターと、固体電解質原材コーターと、前記焼結室と、前記負極活物質原材コーターと、前記正極用電解質原材コーターとを順次経て第2リールに固定し、前記焼結室を稼動し、前記ステップ95で、前記正極用集電極板を前記第1リールから前記第2リールに向かい巻回移動しながら、前記固体電解質原材コーターを稼動し、前記の全コーターを停止して前記正極用集電極板を前記第2リールから前記第1リールに向かい巻回移動することを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン電池の製法。 - 前記正極活物質は、LiCoO2、LiFePO4、LiMn2O4のいずれか1つ、又は2つ以上の混合物であり、前記シリコーン化合物は、シリコーンポリマーであり、前記負極活物質は、ZnO、V2O5、TiO2、Li4Ti5O12のいずれか1つ、又は2つ以上の混合物であることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン電池の製法。
- LISICON(Lithium−Super−Ion−Conductor)を粉砕し細粒化するステップ1と、
正極活物質の粉末と、バインダとして正極活物質含有金属ポリマー溶液(MPS)とを混合しスラリ化して正極活物質原材を用意するステップ2と、
前記細粒化したLISICONと、バインダとしてシリコーン化合物の溶液とを混合しスラリ化して固体電解質原材を用意するステップ3と、
負極活物質の粉末と、バインダとして負極活物質含有金属ポリマー溶液(MPS)とを混合しスラリ化して負極活物質原材を用意するステップ4と、
正極用集電極板を用意するステップ5と、
前記正極用集電極板の一面上に、前記正極活物質原材を塗布、焼成して、正極活物質層を形成するステップ6と、
その上に、前記固体電解質原材を塗布、焼成して、LISICON細粒を包蔵するシリカ膜からなる固体電解質層を形成するステップ7と、
その上に、前記負極活物質原材を塗布、焼成して、負極活物質層を形成するステップ8と、
その上に、負極用集電極板を付着するステップ9と、を含むことを特徴とするリチウムイオン電池の製法。 - 少なくとも、第1リールと、正極活物質原材用のコーターと、負極活物質原材用のコーターと、焼結室と、固体電解質原材用のコーターと、第2リールとを備えた製造装置を用いて、
前記ステップ5で、前記正極用集電極板を巻回して前記第1リールに装着し、前記正極用集電極板の開放端を、正極活物質原材コーターと、負極活物質原材コーターと、前記焼結室と、固体電解質原材コーターとを順次経て前記第2リールに固定し、前記焼結室を稼動し、
前記ステップ6で、前記正極用集電極板を前記第1リールから前記第2リールに向かい巻回移動しながら、前記正極活物質原材コーターを稼動し、
前記ステップ7で、前記正極用集電極板を前記第2リールから前記第1リールに向かい巻回移動しながら、前記固体電解質原材コーターを稼動し、
前記ステップ8で、前記正極用集電極板を前記第1リールから前記第2リールに向かい巻回移動しながら、前記負極活物質原材コーターを稼動することを特徴とする請求項6に記載のリチウムイオン電池の製法。 - 前記正極活物質は、LiCoO2、LiFePO4、LiMn2O4のいずれか1つ、又は2つ以上の混合物であり、前記シリコーン化合物は、シリコーンポリマーであり、前記負極活物質は、ZnO、V2O5、TiO2、Li4Ti5O12のいずれか1つ、又は2つ以上の混合物であることを特徴とする請求項6に記載のリチウムイオン電池の製法。
- LISICON(Lithium−Super−Ion−Conductor)を粉砕し細粒化するステップ1と、
正極活物質の粉末と、バインダとして正極活物質含有金属ポリマー溶液(MPS)とを混合しスラリ化して正極活物質原材を用意するステップ2と、
前記細粒化したLISICONと、バインダとしてシリコーン化合物の溶液とを混合しスラリ化して固体電解質原材を用意するステップ3と、
負極活物質含有金属ポリマー溶液(MPS)を負極活物質原材として用意するステップ4と、
別途に、負極用集電極板を用意し、前記負極用集電極板の両面上に金属リチウムを真空中で付着し、窒素ガス雰囲気中でアルミニウムパウチ内に封止して負極板とするステップ5と、
正極用集電極板を用意するステップ6と、
前記正極用集電極板の一面上に、前記正極活物質原材を塗布、焼成して、第1の正極活物質層を形成するステップ7と、
前記固体電解質原材を前記第1の正極活物質層の上に塗布、焼成して、LISICON細粒を包蔵するシリカからなる第1の固体電解質層を形成するステップ8と、
前記第1の固体電解質層の上に、前記負極活物質原材を塗布、焼成して、第1の負極活物質層を形成するステップ9と、
前記正極用集電極板の他面上に、前記正極活物質原材を塗布、焼成して、第2の正極活物質層を形成するステップ10と、
前記固体電解質原材を前記第2の正極活物質層の上に塗布、焼成して、前記LISICON細粒を包蔵するシリカからなる第2の固体電解質層を形成するステップ11と、
前記第2の固体電解質層の上に、前記負極活物質原材を塗布、焼成して、第2の負極活物質層を形成するステップ12と、
前記ステップ5を完了した負極用集電極板を真空中で開封し、前記負極用集電極板の一面と前記ステップ7乃至12を完了した正極用集電極板の一面とをラミネート加工により接着し、次に巻回しながら、前記負極用集電極板の他面と前記正極用集電極板の他面とをラミネート加工により接着するステップ13と、を含むことを特徴とするリチウム電池の製法。 - 少なくとも、第1リールと、正極活物質原材用のコーターと、負極活物質原材用のコーターと、焼結室と、固体電解質原材用のコーターと、第2リールとを備えた製造装置を用いて、
前記ステップ6で、前記正極用集電極板を巻回して前記第1リールに回転可能に装着し、前記正極用集電極板の開放端を、前記正極活物質原材用のコーターと、前記負極活物質原材用のコーターと、前記焼結室と、前記固体電解質原材用のコーターとを順次経て前記第2リールに固定し、前記焼結室を稼動し、
前記ステップ7で、前記正極用集電極板を前記第1リールから前記第2リールに向かい巻回移動しながら、正極活物質原材コーターを稼動し、
前記ステップ8で、前記正極用集電極板を前記第2リールから前記第1リールに向かい巻回移動しながら、固体電解質原材コーターを稼動し、
前記ステップ9で、前記正極用集電極板を前記第1リールから前記第2リールに向かい巻回移動しながら、負極活物質原材コーターを稼動し、
前記ステップ10で、前記第2リールに巻回された前記正極用集電極板を、前記第1リールと逆向きに懸架可能な第3リールに装着し、前記正極用集電極板の開放端を、前記正極活物質原材コーターと、前記負極活物質原材用のコーターと、前記焼結室と、前記固体電解質原材コーターとを順次経て前記第2リールに固定した後、前記正極用集電極板を前記第3リールから前記第2リールに向かい巻回移動しながら、前記正極活物質原材コーターを稼動し、
前記ステップ11で、前記正極用集電極板を前記第2リールから前記第3リールに向かい巻回移動しながら、前記固体電解質原材コーターを稼動し、
前記ステップ12で、前記正極用集電極板を前記第3リールから前記第2リールに向かい巻回移動しながら、前記負極活物質原材コーターを稼動し、
前記ステップ13で、前記正極用集電極板と前記負極用集電極板とのラミネート加工において、接着箇所がリチウムの融点と、リチウムの融点温度より10℃低い温度の間の温度になるように加熱される、ことを特徴とする請求項9に記載のリチウム電池の製法。 - LISICON(Lithium−Super−Ion−Conductor)を粉砕し細粒化するステップ1と、
正極活物質の粉末と、バインダとして正極活物質含有金属ポリマー溶液(MPS)とを混合しスラリ化して正極活物質原材を用意するステップ2と、
前記細粒化したLISICONと、バインダとしてシリコーン化合物の溶液とを混合しスラリ化して固体電解質原材を用意するステップ3と、
別途に、負極用集電極板を用意し、前記負極用集電極板の両面上に金属リチウムを真空中で付着し、窒素ガス雰囲気中でアルミニウムパウチ内に封止するステップ4と、前記ステップ4を完了した負極用集電極板を、負極活物質の真空蒸着器中で開封した後、前記負極用集電極板の両面上の前記金属リチウムを覆うように前記負極活物質を蒸着又はスパッタするステップ5と、
正極用集電極板を用意するステップ6と、
前記正極用集電極板の一面上に、前記正極活物質原材を塗布、焼成して、第1の正極活物質層を形成するステップ7と、
前記固体電解質原材を第1の正極活物質層の上に塗布、焼成して、LISICON細粒を包蔵するシリカからなる第1の固体電解質層を形成するステップ8と、
前記正極用集電極板の他面上に、前記正極活物質原材を塗布、焼成して、第2の正極活物質層を形成するステップ9と、
前記固体電解質原材を前記第2の正極活物質層の上に塗布、焼成して、前記LISICON細粒を包蔵するシリカからなる第2の固体電解質層を形成するステップ10と、
前記ステップ5を完了した負極用集電極板の一面と前記ステップ7乃至10を完了した正極用集電極板の一面とを、イオン液体(常温溶融塩)を介在させながらラミネート加工により接着し、次に巻回しながら、前記負極用集電極板の他面と前記正極用集電極板の他面とをイオン液体を介在させながらラミネート加工により接着するステップ11と、を含むことを特徴とするリチウム電池の製法。 - 少なくとも、第1リールと、正極活物質原材用のコーターと、焼結室と、固体電解質原材用のコーターと、第2リールとを備えた第1の製造装置を用いて、
前記ステップ6で、前記正極用集電極板を巻回して前記第1リールに第1の回転方向に回転可能に装着し、前記正極用集電極板の開放端を、前記正極活物質原材用のコーターと、前記焼結室と、前記固体電解質原材用のコーターとを順次経て第2リールに固定し、前記焼結室を稼動し、
前記ステップ7で、前記正極用集電極板を前記第1リールから前記第2リールに向かい巻回移動しながら、正極活物質原材コーターを稼動し、
前記ステップ8で、前記正極用集電極板を前記第2リールから前記第1リールに向かい巻回移動しながら、固体電解質原材コーターを稼動し、
前記ステップ9で、前記第1リールに巻回された前記正極用集電極板を、前記第1リールと逆向きに懸架可能な第3リールに装着し、前記正極用集電極板の開放端を、前記正極活物質原材コーターと、前記焼結室と、前記固体電解質原材コーターとを順次経て前記第2リールに固定した後、前記正極用集電極板を前記第3リールから前記第2リールに向かい巻回移動しながら、前記正極活物質原材コーターを稼動し、
前記ステップ10で、前記正極用集電極板を前記第2リールから前記第3リールに向かい巻回移動しながら、前記固体電解質原材コーターを稼動し、
少なくとも、第1及び第2のイオン液体用コーターを備えた第2の製造装置を用いて、前記ステップ11で、前記第1のイオン液体用コーターを稼動して、少なくとも前記正極用集電極板の一面と前記負極用集電極板の一面の少なくとも一方に第1のイオン液体層を成膜し、前記第2のイオン液体用コーターを稼動して、前記正極用集電極板の他面と前記負極用集電極板の他面の少なくとも一方に第2のイオン液体層を成膜し、前記正極用集電極板と前記負極用集電極板とのラミネート加工において、接着箇所がリチウムの融点と、リチウムの融点温度より10℃低い温度の間の温度になるように加熱されることを特徴とする請求項11に記載のリチウム電池の製法。 - 前記正極活物質は、LiCoO2、LiFePO4、LiMn2O4のいずれか1つ、又は2つ以上の混合物であり、前記シリコーン化合物は、シリコーンポリマーであり、前記負極活物質は、ZnO、V2O5、TiO2、Li4Ti5O12のいずれか1つ、又は2つ以上の混合物であることを特徴とする請求項9又は11に記載のリチウム電池の製法。
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