以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
(射出成形機)
図1は、一実施形態による操作側から見た射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。図2は、一実施形態による操作側から見た射出成形機の型締時の状態を示す図である。図3は、一実施形態による反操作側から見た射出成形機の型締時の状態を示す図である。図1~図3において、X方向、Y方向およびZ方向は互いに垂直な方向である。X方向およびY方向は水平方向を表し、Z方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X方向は型開閉方向であり、Y方向は射出成形機10の幅方向である。Y方向負側が操作側であり、Y方向正側が反操作側である。図1~図3に示すように、射出成形機10は、型締装置100と、エジェクタ装置200と、射出装置300と、移動装置400と、成形品受取部500と、制御装置700と、型締装置フレーム900と、射出装置フレーム910とを有する。図1~図3は、型締装置フレーム900および射出装置フレーム910の外観を示す。型締装置フレーム900と射出装置フレーム910とは、一体に形成されてもよいし、別々に形成されボルトで連結されたり、溶接されたりしてもよい。尚、型締装置フレーム900と射出装置フレーム910とは、離間して設けられてもよい。射出装置フレーム910の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
(型締装置フレーム)
型締装置フレーム900は、例えば、水平に設置される板状のフレームベース部901と、フレームベース部901に立設される複数本のフレーム柱部902と、複数本のフレーム柱部902で水平に支持される板状のフレーム天井部903とを有する。フレームベース部901、複数本のフレーム柱部902およびフレーム天井部903は、溶接などによって一体化され、フレーム本体904を構成する。
フレームベース部901は、工場の床2などに複数のレベリングアジャスタ920を介して設置される。各レベリングアジャスタ920は、床2に対するフレームベース部901の高さを調整する。各レベリングアジャスタ920は、振動を吸収する防振ゴムなどを有する。
複数本のフレーム柱部902は、フレームベース部901とフレーム天井部903とを鉛直方向に間隔をおいて連結する。複数本のフレーム柱部902は、フレームベース部901およびフレーム天井部903のそれぞれの外周部に間隔をおいて設けられる。
フレーム天井部903は、型締装置100を支持する。例えば、フレーム天井部903には、型締装置100の可動プラテン120を案内するガイド101、および型締装置100の固定プラテン110が固定される。
フレーム本体904の側面(例えばX方向端面およびY方向端面)には複数の開口部が形成される。各開口部は、フレームベース部901、X方向またはY方向に隣り合う2本のフレーム柱部902およびフレーム天井部903で四方を囲まれる。
型締装置フレーム900は、フレーム本体904の側面に形成された開口部を覆うフレームカバー部905をさらに有する。フレームカバー部905は、フレーム本体904の側面に、ボルトなどで取外し可能に取付けられる。尚、フレームカバー部905は、フレーム本体904の側面に溶接されてもよい。
型締装置フレーム900の内部空間には、金型装置800を構成する固定金型810と可動金型820との間から落下した成形品を受け取る成形品受取部500が配置される。成形品受取部500は、金型装置800の型閉、型締および型開を行う型締装置100の鉛直下方に配置される。成形品受取部500は、例えばベルトコンベアで構成され、型締装置フレーム900の内部空間において成形品を受け取り、受け取った成形品を図9に白抜き矢印で示すように型締装置フレーム900の外部空間に搬送する。
型締装置フレーム900の側面(例えばY方向端面)には、成形品受取部500で受け取った成形品が取り出される成形品取出口908が形成される。尚、成形品取出口908は、図9に示すようにY方向一端面に形成されるが、Y方向両端面のそれぞれに形成されてもよい。成形品は良品と不良品とに分別され、良品と不良品とは異なる成形品取出口908から取り出されてもよい。
尚、成形品取出口908は、本実施形態では型締装置フレーム900のY方向端面に形成されるが、型締装置フレーム900のX方向端面(より詳細にはX負方向端面)に形成されてもよい。また、成形品受取部500は、受け取った成形品を斜め下に落下させるシューターで構成されてもよい。また、成形品受取部500は、成形品を収容する箱で構成されてもよい。
(射出装置フレーム)
射出装置フレーム910は、型締装置フレーム900と同様に、例えば、水平に設置される板状のフレームベース部911と、フレームベース部911に立設される複数本のフレーム柱部912と、複数本のフレーム柱部912で水平に支持される板状のフレーム天井部913とを有する。フレームベース部911、複数本のフレーム柱部912およびフレーム天井部913は、溶接などによって一体化され、フレーム本体914を構成する。
フレームベース部911は、工場の床2などに複数のレベリングアジャスタ920を介して設置される。各レベリングアジャスタ920は、床2に対するフレームベース部911の高さを調整する。各レベリングアジャスタ920は、振動を吸収する防振ゴムなどを有する。
複数本のフレーム柱部912は、フレームベース部911とフレーム天井部913とを鉛直方向に間隔をおいて連結する。複数本のフレーム柱部912は、フレームベース部911およびフレーム天井部913のそれぞれの外周部に間隔をおいて設けられる。
フレーム天井部913は、射出装置300を支持する。例えば、フレーム天井部913には、射出装置300のスライドベース301を案内するガイドが固定される。
フレーム本体914の側面(例えばX方向端面およびY方向端面)には複数の開口部が形成される。各開口部は、フレームベース部911、X方向またはY方向に隣り合う2本のフレーム柱部912およびフレーム天井部913で四方を囲まれる。
射出装置フレーム910は、フレーム本体914の側面に形成された開口部を覆うフレームカバー部915をさらに有する。フレームカバー部915は、フレーム本体914の側面に、ボルトなどで取外し可能に取付けられる。尚、フレームカバー部915は、フレーム本体914の側面に溶接されてもよい。
射出装置フレーム910は、箱状に形成される。射出装置フレーム910の外部空間から射出装置フレーム910の内部空間への粉塵の侵入を抑制できる。射出装置フレーム910の内部空間には、詳しくは後述するが、制御装置700等の電装品が配置される。
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX負方向)を後方として説明する。
型締装置100は、金型装置800の型閉、型締、型開を行う。型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、および型厚調整機構180を有する。
固定プラテン110は、型締装置フレーム900に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。
可動プラテン120は、型締装置フレーム900に対し型開閉方向に移動自在とされる。型締装置フレーム900上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型820が取付けられる。
固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、型閉、型締、型開が行われる。固定金型810と可動金型820とで金型装置800が構成される。
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて連結され、型締装置フレーム900上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、型締装置フレーム900上に敷設されるガイドに沿って移動自在とされてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
尚、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム900に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム900に対し型開閉方向に移動自在とされるが、トグルサポート130が型締装置フレーム900に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム900に対し型開閉方向に移動自在とされてもよい。
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。各タイバー140は、型開閉方向に平行とされ、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配設され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群などで構成される。各リンク群は、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152および第2リンク153を有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられ、第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152および第2リンク153が屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
尚、トグル機構150の構成は、図1~図3に示す構成に限定されない。例えば図1~図3では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152および第2リンク153を屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸171と、ねじ軸171に螺合するねじナット172とを含む。ねじ軸171と、ねじナット172との間には、ボールまたはローラが介在してよい。
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、型締工程、型開工程などを行う。
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の速度を検出するクロスヘッド速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の速度を検出する可動プラテン速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
型締工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。型締時に可動金型820と固定金型810との間にキャビティ空間801(図2~図3参照)が形成され、射出装置300がキャビティ空間801に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。キャビティ空間801の数は複数でもよく、その場合、複数の成形品が同時に得られる。
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型820から成形品を突き出す。
型閉工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および型締工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、型開工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型開開始位置、速度切替位置、および型開完了位置を含む)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、速度切替位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型締位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
尚、クロスヘッド151の速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
型締装置100は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転は、回転伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。尚、回転伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
回転伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。尚、回転伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させることで、ねじナット182を回転自在に保持するトグルサポート130の固定プラテン110に対する位置を調整し、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
尚、本実施形態では、ねじナット182がトグルサポート130に対し回転自在に保持され、ねじ軸181が形成されるタイバー140が固定プラテン110に対し固定されるが、本発明はこれに限定されない。
例えば、ねじナット182が固定プラテン110に対し回転自在に保持され、タイバー140がトグルサポート130に対し固定されてもよい。この場合、ねじナット182を回転させることで、間隔Lを調整できる。
また、ねじナット182がトグルサポート130に対し固定され、タイバー140が固定プラテン110に対し回転自在に保持されてもよい。この場合、タイバー140を回転させることで、間隔Lを調整できる。
さらにまた、ねじナット182が固定プラテン110に対し固定され、タイバー140がトグルサポート130に対し回転自在に保持されてもよい。この場合、タイバー140を回転させることで間隔Lを調整できる。
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
型厚調整機構180は、互いに螺合するねじ軸181とねじナット182の一方を回転させることで、間隔Lを調整する。複数の型厚調整機構180が用いられてもよく、複数の型厚調整モータ183が用いられてもよい。
尚、本実施形態の型厚調整機構180は、間隔Lを調整するため、タイバー140に形成されるねじ軸181とねじ軸181に螺合されるねじナット182とを有するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、型厚調整機構180は、タイバー140の温度を調節するタイバー温調器を有してもよい。タイバー温調器は、各タイバー140に取付けられ、複数本のタイバー140の温度を連携して調整する。タイバー140の温度が高いほど、タイバー140は熱膨張によって長くなり、間隔Lが大きくなる。複数本のタイバー140の温度は独立に調整することも可能である。
タイバー温調器は、例えばヒータなどの加熱器を含み、加熱によってタイバー140の温度を調節する。タイバー温調器は、水冷ジャケットなどの冷却器を含み、冷却によってタイバー140の温度を調節してもよい。タイバー温調器は、加熱器と冷却器の両方を含んでもよい。
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。竪型の型締装置は、下プラテン、上プラテン、トグルサポート、タイバー、トグル機構、および型締モータなどを有する。下プラテンと上プラテンのうち、いずれか一方が固定プラテン、残りの一方が可動プラテンとして用いられる。下プラテンには下金型が取付けられ、上プラテンには上金型が取付けられる。下金型と上金型とで金型装置が構成される。下金型は、ロータリーテーブルを介して下プラテンに取付けられてもよい。トグルサポートは、下プラテンの下方に配設され、タイバーを介して上プラテンと連結される。タイバーは、上プラテンとトグルサポートとを型開閉方向に間隔をおいて連結する。トグル機構は、トグルサポートと下プラテンとの間に配設され、可動プラテンを昇降させる。型締モータは、トグル機構を作動させる。型締装置が竪型である場合、タイバーの本数は通常3本である。尚、タイバーの本数は特に限定されない。
尚、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX負方向)を後方として説明する。
エジェクタ装置200は、金型装置800から成形品を突き出す。エジェクタ装置200は、エジェクタモータ210、運動変換機構220、およびエジェクタロッド230などを有する。
エジェクタモータ210は、可動プラテン120に取付けられる。エジェクタモータ210は、運動変換機構220に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構220に連結されてもよい。
運動変換機構220は、エジェクタモータ210の回転運動をエジェクタロッド230の直線運動に変換する。運動変換機構220は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
エジェクタロッド230は、可動プラテン120の貫通穴において進退自在とされる。エジェクタロッド230の前端部は、可動金型820の内部に進退自在に配設される可動部材830と接触する。エジェクタロッド230の前端部は、可動部材830と連結されていても、連結されていなくてもよい。
エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。
突き出し工程では、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材830を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で後退させ、可動部材830を元の待機位置まで後退させる。エジェクタロッド230の位置や速度は、例えばエジェクタモータエンコーダ211を用いて検出する。エジェクタモータエンコーダ211は、エジェクタモータ210の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、エジェクタロッド230の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド230の速度を検出するエジェクタロッド速度検出器は、エジェクタモータエンコーダ211に限定されず、一般的なものを使用できる。
(射出装置)
射出装置300の説明では、型締装置100の説明やエジェクタ装置200の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX正方向)を後方として説明する。
射出装置300は、射出装置フレーム910に対し進退自在なスライドベース301に設置され、金型装置800に対し進退自在とされる。射出装置300は、金型装置800にタッチし、金型装置800内のキャビティ空間801に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、シリンダ310、ノズル320、スクリュ330、計量モータ340、射出モータ350、圧力検出器360などを有する。
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばX方向)に複数のゾーンに区分される。各ゾーンに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ゾーン毎に、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
スクリュ330は、シリンダ310内において回転自在に且つ進退自在に配設される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される圧力を検出する。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する圧力を検出する。
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転数で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転数は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、スクリュ330の回転数を検出するスクリュ回転数検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内のキャビティ空間801に充填させる。スクリュ330の位置や速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切替(所謂、V/P切替)が行われる。V/P切替が行われる位置をV/P切替位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
尚、充填工程においてスクリュ330の位置が設定位置に達した後、その設定位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切替が行われてもよい。V/P切替の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の速度を検出するスクリュ速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。
保圧工程では金型装置800内のキャビティ空間801の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間801の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間801からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間801内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮のため、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
尚、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内にはスクリュが回転自在にまたは回転自在に且つ進退自在に配設され、射出シリンダ内にはプランジャが進退自在に配設される。
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
(移動装置)
移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX正方向)を後方として説明する。
移動装置400は、金型装置800に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置800に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切り替えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型810に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型810から離間される。
尚、本実施形態では移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、図1~図3に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
制御装置700は、型閉工程や型締工程、型開工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。また、制御装置700は、型締工程の間に、計量工程や充填工程、保圧工程などを行う。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」とも呼ぶ。
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、型開工程、および突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の開始から型締工程の終了までの間に行われる。型締工程の終了は型開工程の開始と一致する。尚、成形サイクル時間の短縮のため、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないためである。
制御装置700は、操作装置750や表示装置760と接続されている。操作装置750は、ユーザによる入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。表示装置760は、制御装置700による制御下で、操作装置750における入力操作に応じた操作画面を表示する。
操作画面は、射出成形機10の設定などに用いられる。操作画面は、複数用意され、切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。ユーザは、表示装置760で表示される操作画面を見ながら、操作装置750を操作することにより射出成形機10の設定(設定値の入力を含む)などを行う。
操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネルで構成され、一体化されてよい。尚、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、一体化されているが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。操作装置750および表示装置760は、型締装置100のY方向負側に配置される。Y方向負側を操作側と呼び、Y方向正側を反操作側と呼ぶ。
(電力供給回路)
図4は、一実施形態による各種モータに電力を供給する回路を示す図である。図4に示すように、射出成形機10は、第1交流電源ライン705、モータスイッチ706、第2交流電源ライン707、第1コンバータ711、第1直流電源ライン712および複数(例えば4つ)のインバータ713~716等を介して、射出成形機10に搭載される複数(例えば4つ)のモータに交流電力を供給する。尚、図4では4つのインバータが図示されているが、インバータの数は4つには限定されず3つ以下でもよいし5つ以上でもよい。また、図4では4つのモータが図示されているが、モータの数は4つには限定されず3つ以下でもよいし5つ以上でもよい。
第1交流電源ライン705は、工場などに備えられる交流電源3とモータスイッチ706とを電気的に接続する。モータスイッチ706は、射出成形機10のユーザに手動で操作されることにより、交流電源3とモータ(例えば型締モータ160等)とを電気的に接続する状態と、交流電源3とモータとを電気的に遮断する状態とに切り替えられる。第2交流電源ライン707は、モータスイッチ706と第1コンバータ711とを電気的に接続する。第1コンバータ711は、交流電源3から供給される交流電力を直流電力に変換する。第1直流電源ライン712は、第1コンバータ711と複数のインバータ713~716のそれぞれとを電気的に接続する。第1直流電源ライン712の途中には、第1コンバータ711から供給される直流電力を平滑化するコンデンサ(不図示)などが設けられる。
複数のインバータ713~716のそれぞれは、制御装置700による制御下で作動し、第1直流電源ライン712から供給される直流電力を交流電力に変換して、電気的に接続されるモータに交流電力を供給する。例えば、図4に示すように、インバータ713は型締モータ160に交流電力を供給し、インバータ714はエジェクタモータ210に交流電力を供給し、インバータ715は計量モータ340に交流電力を供給し、インバータ716は射出モータ350に交流電力を供給する。尚、図4では1つのインバータが1つのモータに交流電力を供給するが、1つのインバータが複数のモータに交流電力を供給してもよい。
複数のインバータ713~716のそれぞれは、例えば2つのスイッチング素子で構成されるレグを3つ有する。スイッチング素子の具体例としては、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Filed-Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタなどが挙げられる。各スイッチング素子に対して逆並列にダイオードが接続される。ダイオードは、各スイッチング素子に内蔵されてもよい。尚、レグの数は特に限定されない。
制御装置700は、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御を行うためのPWM信号を生成し、複数のインバータ713~716のそれぞれに出力する。複数のインバータ713~716のそれぞれに備えられる各スイッチング素子は、制御装置700からのPWM信号に従ってスイッチングし、電気的に接続されるモータに交流電力を供給する。
図4に示すように、射出成形機10は、第1交流電源ライン705、第2コンバータ717および第2直流電源ライン718を介して、制御装置700に直流電力を供給する。制御装置700は、モータスイッチ706を介さずに交流電源3と電気的に接続される。第2コンバータ717は、第1交流電源ライン705を介して交流電源3と接続され、交流電源3から供給される交流電力を直流電力に変換する。第2直流電源ライン718は、第2コンバータ717と制御装置700とを電気的に接続する。第2直流電源ライン718の途中には、第2コンバータ717から供給される直流電力を平滑化するコンデンサ(不図示)などが設けられる。
図4に示すように、射出成形機10は、第1交流電源ライン705、モータスイッチ706、第2交流電源ライン707を介して、排気ファン740および給気ファン770に交流電力を供給する。排気ファン740は、詳しくは後述するが、射出装置フレーム910の内部空間に配置される複数のインバータ713~716の冷却に用いられ、射出装置フレーム910の内部空間から射出装置フレーム910の外部空間に空気を排出する。給気ファン770は、詳しくは後述するが、射出装置フレーム910の内部空間の気圧を、射出装置フレーム910の外部空間の気圧以上に保つのに用いられ、射出装置フレーム910の外部空間から射出装置フレーム910の内部空間に空気を供給する。
モータスイッチ706が交流電源3とモータ(例えば型締モータ160等)とを電気的に接続する状態になると、排気ファン740および給気ファン770に自動的に交流電力が供給され、排気ファン740および給気ファン770が作動する。従って、複数のインバータ713~716のいずれかが作動するときには、排気ファン740も作動しており、複数のインバータ713~716を冷却することができる。また、排気ファン740が作動するときには、給気ファン770も作動する。つまり、排気ファン740が射出装置フレーム910の内部空間から射出装置フレーム910の外部空間に空気を排出するときには、給気ファン770が射出装置フレーム910の外部空間から射出装置フレーム910の内部空間に給気を供給する。そのため、射出装置フレーム910の内部空間の気圧を、射出装置フレーム910の外部空間の気圧以上に保つことができる。
(射出装置フレームの内部構造)
図5は、一実施形態による射出装置フレームの内部構造を示す斜視図であって、図6のV-V線に沿った断面図である。図6は、一実施形態による射出装置フレームの内部構造を示す断面図である。図6において、矢印は射出装置フレーム910の外部空間940と射出装置フレーム910の内部空間950との間での風の流れを示す。図5および図6におけるX方向、Y方向およびZ方向は、図1および図2におけるX方向、Y方向およびZ方向と同じ意味である。
射出装置フレーム910は、箱状に形成される。射出装置フレーム910の外部空間940から射出装置フレーム910の内部空間950への粉塵の侵入を抑制できる。射出装置フレーム910の内部空間950には、制御装置700およびインバータ713~716等の電装品が配置される。電装品に電力を供給するため、一のフレームカバー部915(例えばX方向正側のフレームカバー部915)には交流電源ライン挿通口916が形成される(図5参照)。交流電源ライン挿通口916は、図4に示す第1交流電源ライン705が挿通されるものである。交流電源ライン挿通口916は、射出装置フレーム910の外部空間940から射出装置フレーム910の内部空間950への粉塵の侵入を抑制するため、第1交流電源ライン705の太さよりも僅かに大きく形成される。
射出装置フレーム910の内部空間950には、各種の電装品等が配置される。電装品とは、電気で作動する機器のことである。電装品としては、例えば制御装置700や複数のインバータ713~716が挙げられる。
また、射出装置フレーム910の内部空間950には、複数のインバータ713~716を冷却する複数の冷却機構719(図5参照)が設けられる。複数の冷却機構719のそれぞれは、例えば、ヒートシンク720と、ヒートシンク720を覆い内部に通風路を形成するヒートシンクカバー730と、ヒートシンクカバー730の開口部から通風路に空気を送る排気ファン740とを有する。
1つの冷却機構719は、例えば複数のインバータ(例えば2つのインバータ713、714または2つのインバータ715、716)を冷却する。尚、1つの冷却機構719によって冷却される複数のインバータの組合わせは特に限定されない。その組合わせは、インバータの発熱量に基づき決められる。また、1つの冷却機構719が、1つのインバータを冷却してもよいし、3つ以上のインバータを冷却してもよい。
インバータ713は、ヒートシンク720を基準として、操作側(Y方向負側)に配置されてよい。射出装置フレーム910の操作側には操作装置750をユーザが操作するためのスペースが設けられるため、インバータ713の修理や交換が容易である。
図7は、図6に示すヒートシンクカバー、排気ファンおよびフレームベース部を示す斜視図である。図7(a)は、一実施形態によるヒートシンクカバー、排気ファンおよびフレームベース部を分解した状態を示す斜視図である。図7(b)は、一実施形態によるヒートシンクカバー、排気ファンおよびフレームベース部を組み立てた状態を示す斜視図である。図7におけるX方向、Y方向およびZ方向は、図1および図2におけるX方向、Y方向およびZ方向と同じ意味である。
ヒートシンク720は、複数のインバータ(例えば2つのインバータ713、714または2つのインバータ715、716)が取り付けられる板状のインバータ取付部721と、インバータ取付部721を基準として複数のインバータとは反対側に設けられる複数の放熱フィン722とを備える。インバータ取付部721は、複数のインバータの作動時に生じる熱を吸収し、複数の放熱フィン722に伝達する。複数の放熱フィン722は、インバータ取付部721から伝達される熱を、複数の放熱フィン722の間に形成される通風路を通る空気に放出する。尚、1つのヒートシンク720によって冷却される複数のインバータの組合わせは特に限定されない。その組合わせは、インバータの発熱量に基づき決められる。また、1つのヒートシンク720が、1つのインバータを冷却してもよいし、3つ以上のインバータを冷却してもよい。
複数の放熱フィン722は例えばX方向に間隔をおいて設けられ、各放熱フィン722は鉛直に設けられる。複数の放熱フィン722の間に形成される通風路は、Z方向に延びており、フレームベース部911に形成された排気口918(図7(a)参照)と連通する。尚、排気口918の数は、図7(a)では1つであるが、複数であってもよい。
ヒートシンクカバー730は、インバータ取付部721と対向する対向部731と、複数の放熱フィン722に対し平行な一対の平行部732と、一対の平行部732に対し垂直な垂直部733とを有する。一対の平行部732と垂直部733は、インバータ取付部721と対向部731との間に形成される通風路を三方から取り囲むように、U字状に形成される。
対向部731には、排気ファン740が取り付けられ、排気ファン740によって送られる空気を通風路に導入する開口部734(図7(a)参照)が形成される。開口部734は、排気ファン740毎に設けられてよい。排気ファン740の数は、図7では2つであるが、3つ以上でもよいし、1つでもよい。
放熱フィン722に十分な風を当てられるのであれば、対向部731はなくてもよい。但し、対向部731を設けると、複数の放熱フィン722の間に形成される通風路に効率的に風を流すことができる。複数の放熱フィン722の間隔は狭いので、通風路に風が入りにくい。対向部731を設けると、対向部731に沿って排気口918まで風が通風路内を流れやすく、冷却効率が良い。
排気口918は放熱フィン722の下方に配置されるので、放熱フィン722に沿って上側から下方に風が流れるように、排気ファン740は放熱フィン722の上部に配置される。排気ファン740は、インバータに対応する位置(例えばインバータと同じ高さ)に設けられてよい。排気ファン740は、垂直部733に設けられてもよく、排気口918に対向配置されてもよい。
排気ファン740は、射出装置フレーム910の内部空間950に配置され、排気口918を介して、射出装置フレーム910の内部空間950から射出装置フレーム910の外部空間940に空気を排出する。排気ファン740は、例えば複数枚の翼、複数枚の翼が取り付けられるハブ、およびハブを回転させるファンモータ等で構成される。
排気ファン740は、インバータ取付部721と対向して配置され、ヒートシンクカバー730の開口部734から通風路に空気を送る。通風路を通る空気は、放熱フィン722との間で熱交換を行い、フレームベース部911に形成された排気口918から排出される。排気口918から排出された空気は、図6に示すように床2に沿って放射状に広がり、床2とフレームベース部911との間を流れる。排気口918から排出される空気が分散されるため、風が弱まる。
尚、排気口918は、本実施形態ではフレームベース部911に形成されるが、フレームカバー部915に形成されてもよい。フレームカバー部915に排気口918が形成される場合、排気口918をその排出方向に延長した領域から操作装置750が外れる位置に排気口918が配置されてよい。操作装置750を操作するユーザに風が当たるのを抑制できる。
射出成形機10は、給気口917を介して射出装置フレーム910の外部空間940から射出装置フレーム910の内部空間950に空気を供給する給気ファン770を備える。給気ファン770は、内部空間950の気圧を外部空間940の気圧以上にするために設けた。給気ファン770は、内部空間950の気圧を外部空間940の気圧以上に保つように、外部空間940から内部空間950に空気を供給する。また、射出成形機10は、内部空間950を清浄に保つため、給気口917を通る空気中の粉塵を捕集するフィルター771を備える。
給気口917は、例えば図3に示すように、格子目状に複数形成される。給気口917が形成されたフレームカバー部915は、射出装置フレーム910のフレーム本体914の反操作側(Y方向正側)に配置されてよい。操作装置750を操作するユーザに風が当たるのを抑制できる。
給気ファン770は、例えば複数枚の翼、複数枚の翼が取り付けられるハブ、およびハブを回転させるファンモータ等で構成される。給気ファン770は、給気口917が形成されたフレームカバー部915に取り付けられ、給気口917を介して外部空間940から内部空間950に空気を供給する。給気ファン770は、フレームカバー部915の外側に配置されてもよいが、粉塵で汚れないようにフレームカバー部915の内側に配置されてよい。
フィルター771は、例えば複数の繊維が絡まり合う不織布で構成される。フィルター771は、不織布に限られず、フォーム材で構成されてもよい。フィルター771は、通気性を有する多孔質シートであればよい。フィルター771は、フレームカバー部915の外側に配置されてもよいが、粉塵で汚れないようにフレームカバー部915の内側に配置されてよい。
フィルター771は、フレームカバー部915と給気ファン770との間に配置されてよい。給気口917を通る空気は、フィルター771および給気ファン770をこの順で通過する。そのため、給気ファン770への粉塵の付着を抑制できる。
本実施形態によれば、給気ファン770が給気口917を介して射出装置フレーム910の外部空間940から射出装置フレーム910の内部空間950に空気を供給する。また、フィルター771が給気口917を通る空気中の粉塵を捕集する。そのため、射出装置フレーム910の内部空間950を清浄に保つと共に、射出装置フレーム910の内部空間950の気圧を射出装置フレーム910の外部空間940の気圧以上に維持できる。その結果、射出装置フレーム910を構成する部材同士の隙間(例えばフレームカバー部915とフレーム本体914との隙間、フレームカバー部915に形成された交流電源ライン挿通口916等)を介して外部空間940から内部空間950に粉塵が侵入するのを制限できる。内部空間950を清浄に保つことができ、内部空間950に配置される制御装置700やインバータ713~716等の電装品の故障を抑制できる。
また、本実施形態によれば、給気ファン770が給気口917を介して射出装置フレーム910の外部空間940から射出装置フレーム910の内部空間950に空気を供給するため、射出装置フレーム910の内部空間950の気圧を射出装置フレーム910の外部空間940の気圧よりも高く維持することも可能である。図6に矢印qoutで示すように、気圧差によって従来とは逆向きの隙間風が生じる。この隙間風によって、射出装置フレーム910の外部空間940から射出装置フレーム910の内部空間950に粉塵が侵入するのをより制限できる。
射出成形機10は、射出装置フレーム910の内部空間950の気圧P1(以下、単に「内気圧P1」とも呼ぶ。)を検出する内気圧検出器790を有してよい。内気圧検出器790としては、一般的な気圧計が用いられる。内気圧検出器790は、風圧による誤差を低減するため、給気口917から排気口918に向かう空気の通路から外れた位置に配置されてよく、カバーなどで覆われてもよい。内気圧検出器790は、検出結果を示す信号を制御装置700に送信する。
制御装置700は、内気圧検出器790の検出結果を記憶媒体702に記憶する。給気ファン770が正常に作動している時に(例えば給気ファン770のファンモータが設定回転数で回転している時)に内気圧P1が予め定められた閾値P1T以上とならない場合、フィルター771が目詰まりしている可能性がある。そこで、この場合、制御装置700は、表示装置760等の報知装置を制御することにより、フィルター771の交換を促す通知を報知してよい。報知は、画像、音声、ブザーなどの形態で行われる。閾値P1Tは、給気ファン770のファンモータの容量、給気口917の大きさ、排気口918の大きさ等に基づいて予め設定される。
また、射出成形機10は、射出装置フレーム910の外部空間940の気圧P2(以下、単に「外気圧P2」とも呼ぶ。)を検出する外気圧検出器791をさらに有してよい。外気圧検出器791を内気圧検出器790と組合わせて用いることで、内気圧P1と外気圧P2との差圧ΔP(ΔP=P1-P2)を検出できる。外気圧P2は天候によって変動するため、差圧ΔPを用いることで、フィルター771の目詰まりを精度良く検出できる。外気圧検出器791としては、一般的な気圧計が用いられる。外気圧検出器791は、検出結果を示す信号を制御装置700に送信する。
制御装置700は、外気圧検出器791の検出結果を記憶媒体702に記憶する。制御装置700は、外気圧検出器791の検出結果と内気圧検出器790の検出結果とに基づいて差圧ΔPを算出し、算出した差圧ΔPを記憶媒体702に記憶する。給気ファン770が正常に作動している時に差圧ΔPが予め定められた閾値ΔPT以上とならない場合、フィルター771が目詰まりしている可能性がある。そこで、この場合、制御装置700は、表示装置760等の報知装置を制御することにより、フィルター771の交換を促す通知を報知してよい。報知は、画像、音声、ブザーなどの形態で行われる。閾値ΔPTは、給気ファン770のファンモータの容量、給気口917の大きさ、排気口918の大きさ等に基づいて予め設定される。
本実施形態の射出成形機10は、給気口917を介して射出装置フレーム910の外部空間940から射出装置フレーム910の内部空間950に供給される空気の合計流量Qinが排気口918を介して内部空間950から外部空間940に排出される空気の合計流量Qout以上とされる。QinがQout以上であれば、射出装置フレーム910の内部空間950の空気の量が減らないため、内気圧P1を外気圧P2以上に保つことができる。また、QinがQoutよりも大きければ、内部空間950の空気の量が増えるため、内気圧P1を外気圧P2よりも高く保つことも可能である。尚、QinがQoutよりも大きい場合、定常状態では、QinとQoutの差分の流量の隙間風(図6に矢印qoutで示す隙間風)が、内部空間950から外部空間940に向けて生じる。
本実施形態の射出成形機10は、射出装置フレーム910の内部空間950に配置され、排気口918を介して射出装置フレーム910の内部空間950から射出装置フレーム910の外部空間940に空気を排出する排気ファン740を有する。排気ファン740が内部空間950から外部空間940に空気を排出する場合に、内気圧P1が低下しないように、給気ファン770が外部空間940から内部空間950に空気を送り込む。そのため、内気圧P1を外気圧P2以上に保つことができる。
本実施形態の射出成形機10は、給気ファン770の合計送風量が排気ファン740の合計送風量以上とされる。給気ファン770の合計送風量は、給気口917を介して外部空間940から内部空間950に供給される空気の合計流量Qinと同じである。また、排気ファン740の合計送風量は、排気口918を介して内部空間950から外部空間940に排出される空気の合計流量Qoutと同じである。QinがQout以上であれば、内部空間950の空気の量が減らないため、内気圧P1を外気圧P2以上に保つことができる。また、QinがQoutよりも大きければ、内部空間950の空気の量が増えるため、内気圧P1を外気圧P2よりも高く保つことも可能である。尚、QinがQoutよりも大きい場合、定常状態では、QinとQoutの差分の流量の隙間風(図6に矢印qoutで示す隙間風)が、内部空間950から外部空間940に向けて生じる。
給気ファン770および排気ファン740は、QinがQout以上となるように選定され、空気がフィルター771を通過するときに生じる圧力損失も考慮して選定される。射出成形機10の製造コストや管理コストなどを低減するため、給気ファン770および排気ファン740としては同じ規格のものが用いられてよい。例えば、給気ファン770と排気ファン740とは、寸法、形状および枚数が同じ翼、寸法および形状が同じハブ、ならびに容量が同じファンモータを有する。この場合、QinがQout以上となるように、給気ファン770の数は排気ファン740の数以上とされる。また、QinがQoutよりも大きくなるように、給気ファン770の数は排気ファン740の数よりも多くてもよい。
本実施形態の射出成形機10は、図6および図7に示すように排気ファン740によって排気口918に向けて送られる空気と熱交換することによりインバータ713を冷却するヒートシンク720を備える。インバータ713の熱を内部空間950から外部空間940に排出される空気に放出でき、インバータ713の過熱を抑制できる。また、内部空間950の温度上昇を抑制でき、内部空間950に配置される制御装置700の過熱をも抑制できる。
本実施形態の射出成形機10は、図6に示すようにヒートシンク720が排気ファン740と排気口918との間に配置される。ヒートシンク720は、排気ファン740から排気口918に向う空気の流れの途中に配置される。そのため、排気ファン740が形成する空気の流れをヒートシンク720に集中させることができる。例えば、図6に示すようにヒートシンク720のインバータ取付部721と排気ファン740とを対向配置でき、排気ファン740が形成する空気の流れをヒートシンク720に集中させることができる。その結果、ヒートシンク720の熱を空気に効率的に放出できる。
尚、上記実施形態のヒートシンク720は排気ファン740と排気口918との間に配置されるが、図8に示すようにヒートシンク720Aは給気ファン770と排気ファン740との間に配置されてもよい。以下、図8を参照して、上記実施形態と第1変形例との相違点について主に説明する。図8は、第1変形例による射出装置フレームの内部構造を示す断面図である。図8において、矢印は射出装置フレーム910の外部空間940と射出装置フレーム910の内部空間950との間での風の流れを示す。図8におけるX方向、Y方向およびZ方向は、図1および図2におけるX方向、Y方向およびZ方向と同じ意味である。
ヒートシンク720Aは、上記実施形態のヒートシンク720と同様に、インバータ取付部721Aと、複数の放熱フィン722Aとを備える。複数の放熱フィン722Aは例えばX方向に間隔をおいて設けられ、各放熱フィン722Aは鉛直に設けられる。複数の放熱フィン722Aの間に形成される通風路は、Y方向に延びている。複数の放熱フィン722Aは、後述のダクト780A(より詳細には第1筒状部781A)の内部空間785Aに配置されてよい。
ヒートシンク720Aは、給気ファン770から排気ファン740に向う空気の流れの途中に配置される。排気ファン740は、ヒートシンク720Aと熱交換することにより加熱された空気を排気口918に向けて送る。そのため、本変形例によれば、上記実施形態と同様に、インバータ713~716の熱を射出装置フレーム910の内部空間950から射出装置フレーム910の外部空間940に排出される空気に放出でき、インバータ713~716の過熱を抑制できる。また、内部空間950の温度上昇を抑制でき、内部空間950に配置される制御装置700の過熱をも抑制できる。
ダクト780Aは、例えば筒状に形成され、給気口917から排気口918に向けて空気を導く。そのため、ダクト780Aの途中に配置されるヒートシンク720Aの通風路に十分な量の空気を供給できる。また、ヒートシンク720Aと熱交換することにより加熱された空気を確実に排気口918に導くことができる。
ダクト780Aは、給気ファン770から排気ファン740に向けて空気を導く第1筒状部781Aと、排気ファン740から排気口918に向けて空気を導く第2筒状部782Aとを備える。第2筒状部782Aは、排気ファン740を支持する支持部を兼ねる。
図8に示すように、複数の給気ファン770のうち、一部の給気ファン770はダクト780Aの内部空間785Aに空気を供給し、残りの給気ファン770はダクト780Aの外部空間786Aに空気を供給してよい。ダクト780Aの内部空間785Aにおいて給気口917から排気口918に向けて空気を流すことができ、且つ、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Aの外部空間786Aの気圧を射出装置フレーム910の外部空間940の気圧よりも高く保つことができる。射出装置フレーム910を構成する部材同士の隙間を介して外部空間940から内部空間950に粉塵が侵入するのを制限でき、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Aの外部空間786Aに配置される電装品の故障を抑制できる。
尚、本変形例では複数の給気ファン770のうち一部の給気ファン770がダクト780Aの内部空間785Aに空気を供給するが、全ての給気ファン770がダクト780Aの内部空間785Aに空気を供給してもよい。この場合も、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Aの外部空間786Aの気圧を、射出装置フレーム910の外部空間940の気圧と同程度に保つことができる。射出装置フレーム910を構成する部材同士の隙間を介して外部空間940から内部空間950に粉塵が侵入するのを制限でき、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Aの外部空間786Aに配置される電装品の故障を抑制できる。
ダクト780Aは、給気口917から排気口918に向けて空気を導く途中で、空気をダクト780Aの内部空間785Aからダクト780Aの外部空間786Aに漏出させる隙間784Aを形成してもよい。隙間784Aが形成される場合、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Aの外部空間786Aの気圧を、射出装置フレーム910の外部空間940の気圧よりも高く保つことができる。射出装置フレーム910を構成する部材同士の隙間を介して外部空間940から内部空間950に粉塵が侵入するのを制限でき、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Aの外部空間786Aに配置される電装品の故障を抑制できる。
尚、本変形例ではダクト780Aに隙間784Aが形成されるが、ダクト780Aに隙間784Aが形成されていなくてもよい。つまり、ダクト780Aは、射出装置フレーム910の内部空間950において、給気口917から排気口918まで連続的に延びていてもよい。この場合、ダクト780Aの内部空間785Aの気圧は、射出装置フレーム910の外部空間940の気圧よりも高くてもよいし、低くてもよいし、同じでもよい。いずれにしろ、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Aの外部空間786Aの気圧が、射出装置フレーム910の外部空間940の気圧よりも高ければよい。制御装置700およびインバータ713~716等の電装品は、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Aの外部空間786Aに配置されるためである。
尚、ダクト780Aが射出装置フレーム910の内部空間950に配置される場合、給気ファン770および排気ファン740のうちいずれか一方が無くてもよい。給気ファン770および排気ファン740のいずれか一方だけでも、ダクト780Aの内部空間785Aに空気の流れを形成でき、ヒートシンク720Aの通風路に十分な空気を供給できるためである。ダクト780Aの内部空間785Aに空気の流れを形成する送風ファンが有ればよい。
本変形例のダクト780Aは、上記実施形態の射出装置フレーム910の内部空間950に配置されてもよい。この場合、図8に示す第2筒状部782Aの代わりに図6等に示すヒートシンクカバー730が用いられてよい。つまり、図6等に示すヒートシンクカバー730と図8に示す第1筒状部781Aとでダクトが構成されてもよい。この場合、ダクトによってヒートシンク720の通風路に十分な空気を供給できるため、排気ファン740および給気ファン770のいずれか一方は無くてもよい。排気ファン740および給気ファン770のいずれか一方だけでも、ダクトの内部空間に空気の流れを形成できる。ダクトの内部空間に空気の流れを形成する送風ファンが有ればよい。
尚、上記実施形態および上記第1変形例の排気口918はフレームベース部911に形成されるが、図9に示すように排気口918Bはフレームカバー部915に形成されてもよい。以下、図9を参照して、上記実施形態等と第2変形例との相違点について主に説明する。図9は、第2変形例による射出装置フレームの内部構造を示す断面図である。図9において、矢印は射出装置フレーム910の外部空間940と射出装置フレーム910の内部空間950との間での風の流れを示す。図9におけるX方向、Y方向およびZ方向は、図1および図2におけるX方向、Y方向およびZ方向と同じ意味である。
排気口918Bは、X方向一端側(図9においてX方向正側)のフレームカバー部915に形成される。一方、給気口917Bは、X方向反対側(図9においてX方向負側)のフレームカバー部915に形成される。排気口918Bと給気口917Bとは対向配置され、給気口917Bから排気口918Bに向う空気の通路が直線状に形成される。給気口917Bから排気口918Bに向かう空気の通路が折れ線状に形成される場合に比べて、圧力損失を低減できる。
尚、排気口918Bと給気口917Bの配置は逆でもよい。つまり、本実施形態では排気口918BがX方向正側に形成されると共に給気口917BがX方向負側に形成されるが、排気口918BがX方向負側に形成されると共に給気口917BがX方向正側に形成されてもよい。いずれの場合も、給気口917Bから排気口918Bに向かう空気の通路が折れ線状に形成される場合に比べて、圧力損失を低減できる。
給気口917B(または排気口918B)が射出装置フレーム910のX方向負側のフレームカバー部915に形成される場合、給気口917B(または排気口918B)を通る空気の流れを遮り、その流れの向きを変更する防風壁510が設置されてもよい。防風壁510は、射出装置フレーム910と成形品受取部500との間に設置される。防風壁510は、給気口917B(または排気口918B)を通る空気の流れが金型装置800から成形品受取部500に向う成形品の落下の経路から外れるように、空気の流れの向きを途中で変える。従って、金型装置800から成形品受取部500に成形品を真っ直ぐ落下させることができる。
ヒートシンク720Bは、上記実施形態のヒートシンク720と同様に、インバータ取付部721Bと、複数の放熱フィン722Bとを備える。複数の放熱フィン722Bは例えばZ方向に間隔をおいて設けられ、各放熱フィン722Bは水平に設けられる。複数の放熱フィン722Bの間に形成される通風路は、X方向に延びている。複数の放熱フィン722Bは、後述のダクト780Bの内部に配置されてよい。
ヒートシンク720Bは、給気ファン770から排気ファン740に向う空気の流れの途中に配置される。排気ファン740は、ヒートシンク720Bと熱交換することにより加熱された空気を排気口918Bに向けて送る。そのため、本変形例によれば、上記実施形態と同様に、インバータ713~716の熱を内部空間950から外部空間940に排出される空気に放出でき、インバータ713の過熱を抑制できる。また、内部空間950の温度上昇を抑制でき、内部空間950に配置される制御装置700の過熱をも抑制できる。
ダクト780Bは、例えば筒状に形成され、給気口917Bから排気口918Bに向けて空気を導く。そのため、ダクト780Bの途中に配置されるヒートシンク720Bの通風路に十分な量の空気を供給できる。また、ヒートシンク720Bと熱交換することにより加熱された空気を確実に排気口918Bに導くことができる。
図9に示すように、複数の給気ファン770のうち、一部の給気ファン770はダクト780Bの内部空間785Bに空気を供給し、残りの給気ファン770はダクト780Bの外部空間786Bに空気を供給してよい。ダクト780Bの内部空間785Bにおいて給気口917Bから排気口918Bに向けて空気を流すことができ、且つ、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Bの外部空間786Bの気圧を射出装置フレーム910の外部空間940の気圧よりも高く保つことができる。射出装置フレーム910を構成する部材同士の隙間を介して外部空間940から内部空間950に粉塵が侵入するのを制限でき、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Bの外部空間786Bに配置される電装品の故障を抑制できる。
尚、本変形例では複数の給気ファン770のうち一部の給気ファン770がダクト780Bの内部空間785Bに空気を供給するが、全ての給気ファン770がダクト780Bの内部空間785Bに空気を供給してもよい。この場合も、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Bの外部空間786Bの気圧を、射出装置フレーム910の外部空間940の気圧と同程度に保つことができる。射出装置フレーム910を構成する部材同士の隙間を介して外部空間940から内部空間950に粉塵が侵入するのを制限でき、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Bの外部空間786Bに配置される電装品の故障を抑制できる。
ダクト780Bは、給気口917Bから排気口918Bに向けて空気を導く途中で、空気をダクト780Bの内部空間785Bからダクト780Bの外部空間786Bに漏出させる隙間784Bを形成してもよい。隙間784Bが形成される場合、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Bの外部空間786Bの気圧を、射出装置フレーム910の外部空間940の気圧よりも高く保つことができる。射出装置フレーム910を構成する部材同士の隙間を介して外部空間940から内部空間950に粉塵が侵入するのを制限でき、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Bの外部空間786Bに配置される電装品の故障を抑制できる。
尚、本変形例ではダクト780Bに隙間784Bが形成されるが、ダクト780Bに隙間784Bが形成されていなくてもよい。つまり、ダクト780Bは、射出装置フレーム910の内部空間950において、給気口917Bから排気口918Bまで連続的に延びていてもよい。この場合、ダクト780Bの内部空間785Bの気圧は、射出装置フレーム910の外部空間940の気圧よりも高くてもよいし、低くてもよいし、同じでもよい。いずれにしろ、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Bの外部空間786Bの気圧が、射出装置フレーム910の外部空間940の気圧よりも高ければよい。制御装置700およびインバータ713~716等の電装品は、射出装置フレーム910の内部空間950のうちダクト780Bの外部空間786Bに配置されるためである。
尚、ダクト780Bが射出装置フレーム910の内部空間950に配置される場合、給気ファン770および排気ファン740のうちいずれか一方が無くてもよい。給気ファン770および排気ファン740のいずれか一方だけでも、ダクト780Bの内部空間785Bに空気の流れを形成でき、ヒートシンク720Bの通風路に十分な空気を供給できるためである。ダクト780Bの内部空間785Bに空気の流れを形成する送風ファンが有ればよい。
尚、給気口917Bから排気口918Bに向う空気の通路が直線状である場合、ダクト780Bおよび排気ファン740が無くても、給気口917Bと排気口918Bとの距離が短ければ、給気ファン770によってヒートシンク720Bの通風路に十分な空気を供給できる。
以上、射出成形機の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
例えば、上記実施形態、上記第1変形例および上記第2変形例では射出装置フレーム910が特許請求の範囲に記載のフレームであるが、フレームは内部に電装品を収容するものであればよい。例えば型締装置フレーム900が内部に電装品を収容してもよい。