JP5675661B2 - 固体電解質型燃料電池セルチューブの製造方法 - Google Patents
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Description
本実施形態に係る固体電解質型燃料電池用セルチューブの製造方法は、接合部材及び接着スラリーを用いて、複数のセルチューブユニットを接合し、吊下げ焼成することを特徴とする。本実施形態では、2つのセルチューブユニットを接合する方法を例に挙げて説明する。
(スラリーの印刷)
まず、基体管11を押出成形法により管状に成形し、乾燥させる(S1)。基体管11の外径は、直径12mm〜37mmとすると良い。2つのセルチューブユニットを接合する場合には、一方のセルチューブユニットの基体管長さが、他方の基体管よりも短くなるよう成形すると良い。例えば、全長2mのセルチューブを製造する場合、一方の基体管長さを0.5m、他方の基体管の長さを1.5mなどとする。
接合部材14を押出成形法により管状(筒状)に成形し、乾燥させる(S5)。接合部材14は、基体管11と同質材料からなり、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)またはCSZと酸化ニッケル(NiO)との混合物(CSZ+NiO)などを主とする多孔質材料から形成される。接合部材14の外径は、基体管14の内径よりも小さく、基体管内に挿入可能な大きさとされる。接合部材14の外径は、基体管11の内径より5%程度小さくすると良い。接合部材14の厚さは、接合される基体管11の径及び長さなどに応じて適宜設定されるが、好ましくは基体管11の厚さ以下とする。そうすることで、基体管内部に供給されるガスの流路を広くできるとともに、ガスの透過距離を短くすることができる。接合部材14の長さは、基体管11を接合した際に、接合部材14に塗布した接着スラリーの剪断力によって下側に位置する基体管の自重(燃料極用スラリーなどの重さも含む)を支えられ得るだけの接合面積を確保できるよう設定すると良い。接合部材14の長さは、予め必要な剪断力を測定した後に設定することが好ましい。
接合部材14の外周面上に接着スラリー15を塗布する(S6)。接着スラリー15は、基体管と同質材料とされ、基体管と同じ固体粒子を有する。接着スラリー15は、CSZ粉末またはCSZ+NiO混合粉末にスキージオイルなどのビヒクルを添加し、3本ローラをより混合して調製する。接着スラリー15の塗布は、スプレー塗布、ディスペンサ、またははけ塗りなどによって行われる。接着スラリー15は、基体管11に接合部材14を挿入した際に、基体管11と接合部材14との隙間を埋めるに十分な厚さで塗布する。
密着させた基体管11同士の接合部分、すなわち、露出した基体管11の上に、該露出した基体管を完全に覆うよう燃料極接合用スラリー16を塗布する(S8)。燃料極接合用スラリー16は、燃料極用スラリー12と同質材料であり、同じ固体粒子を有する。燃料極接合用スラリー16は、NiOとYSZとの混合粉末にスキージオイルなどのビヒクルを添加し、3本ローラにより混合して調製する。燃料極接合用スラリー16の塗布は、はけ塗りまたはディスペンサ等により行う。塗布した燃料極接合用スラリー16は、燃料極用スラリー12の印刷に用いられたスクリーン膜と同程度の厚さとされる。燃料極接合用スラリー16は、焼成後、燃料極接合膜となる。
密着させた接合部材14及び各スラリーが印刷された基体管11を一体焼成する(S10)。焼成は、密着させた接合部材及び各スラリーが印刷された基体管11を吊下げた状態で行う。吊下げる際、長さが短い方の基体管11を重力方向下側に配置させる。焼成は、例えば電気炉を用いて1400℃で5時間の条件で行われる。
上記で焼成した焼結体の所定領域に、スクリーン印刷法により空気極用スラリー(図示せず)を印刷する(S11)。空気極用スラリーは、例えばLaSrMnO3粉末にスキージオイルなどのビヒクルを添加し、3本ローラにより混合して調製する。
空気極用スラリーを印刷した焼結体を、吊下げ焼成する(S12)。焼成は、例えば電気炉を用いて1400℃で5時間の条件で行われる。
本実施形態は、接合部材及び接着スラリーを焼成させるタイミングが第1実施形態と異なる。
図7に、本実施形態に係るセルチューブの製造方法の工程図を示す。図8に、S30の後のセルシューブの接合部分の断面図を示す。
(スラリーの印刷)
まず、基体管を押出成形法により管状に成形し、乾燥させる(S21)。基体管21の外径は、直径が12〜37mmとされる。2つのセルチューブユニットを接合する場合には、一方のセルチューブユニットの基体管長さが、他方の基体管よりも短くなるよう成形すると良い。例えば、一方の基体管長さを0.5m、他方の基体管の長さを1.5mなどとする。
燃料極用スラリー、固体電解質用スラリー、及びインターコネクタ用スラリーを印刷した基体管を一体焼成する(S25)。焼成は、基体管を吊下げた状態で電気炉に入れ、1400℃で5時間の条件などで行われる。これにより、基体管21上に燃料極22、固体電解質23、及びインターコネクタ24が形成される。
接合部材25を押出成形法により管状(筒状)に成形し、乾燥させる(S26)。接合部材25は、基体管21と熱膨張係数が同程度の材料からなる。接合部材25は、基体管21と同質材料、すなわち、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)またはCSZと酸化ニッケル(NiO)との混合物(CSZ+NiO)などを主とする多孔質材料から形成されることが好ましい。接合部材25の外径は、基体管21の内径よりも小さく、基体管内に挿入可能な大きさとされる。接合部材25の外径は、基体管21の内径より5%程度小さくすると良い。接合部材25の厚さは、接合される基体管21の径及び長さなどに応じて適宜設定される。接合部材25の厚さは、接合部分が所望の強度を得られる程度に厚く、且つ、基体管内部に供給されるガスの流動を大きく妨げない程度に薄いことが好ましい。接合部材25の長さは、基体管21に接合させた際に、接合部材25に塗布した接着スラリーの剪断力によって下側に位置する基体管21の自重(燃料極などの重さも含む)を支えられ得るだけの接合面積を確保できるよう設定すると良い。接合部材25の長さは、予め必要な剪断力を測定した後に設定することが好ましい。
接合部材25の外周面上に接着スラリーを塗布する(S27)。接着スラリーは、固体電解質用スラリー23と同質であり、且つ、空気極用スラリーと一体焼成可能な材料からなる。YSZ粉末にスキージオイルなどのビヒクルを添加し、3本ローラにより混合して調製する。接着スラリーの塗布は、スプレー塗布、ディスペンサまたははけ塗りなどによって行われる。接着スラリーは、基体管21に接合部材25を挿入した際に、基体管21と接合部材25との隙間を埋めるに十分な厚さで塗布する。
シール層26及びインターコネクタ24の上に空気極用スラリー27を塗布する(S30)。また、上記S25で焼成した焼結体の所定領域に、発電セルを構成するための空気極用スラリー27を塗布する。空気極用スラリー27は、例えばLaSrMnO3粉末にスキージオイルなどのビヒクルを添加し、3本ローラにより混合して調製する。
空気極生スラリー27まで塗布した後、吊下げ焼成する(S31)。焼成は、例えば電気炉を用いて1150℃で5時間の条件で行われる。
2,9 発電セル
3 発電部
4 非発電部
5,21 基体管
6,22 燃料極
7,23 固体電解質
8 空気極
10 インターコネクタ
11 基体管(焼成前)
12 燃料極用スラリー
13 固体電解質用スラリー
14,25 接合部材
15 接着スラリー
16 燃料極接合用スラリー
17 固体電解質接合用スラリー
24 インターコネクタ
26 シール層
27 空気極用スラリー
32 中子軸
33 ローラ
34 スクリーン膜
35 スキージ
40 カートリッジ
41 リード膜
42 管板
43 断熱材
44 接合部
45 最高温度部分
46 ガス流
Claims (5)
- 燃料極と固体電解質と空気極が積層された発電セルを備えた固体電解質型燃料電池用のセルチューブを製造する方法であって、
多孔質材料からなる基体管上に、燃料極用スラリーまたは燃料極用スラリー及びリード膜用スラリー、固体電解質用スラリー、及びインターコネクタ用スラリーをスクリーン印刷法により順に印刷する印刷工程と、
前記基体管と同じ材質からなり、基体管の内径よりも小さな外径を有する筒状の接合部材の外周面に、前記基体管と同質材料の固体粒子を有する接着スラリーを塗布し、前記接合部材の一端を、前記印刷工程を経た第1の基体管に同軸に挿入し、前記接合部材の他端を前記印刷工程を経た第2の基体管に同軸に挿入して、前記接合部材と前記第1の基体管とを前記接着スラリーを介して密着させ、前記接合部材と前記第2の基体管とを前記接着スラリーを介して密着させ、かつ前記第1の基体管の端面と前記第2の基体管の端面とを密着させる接合工程と、
相互に密着させた前記接合部材、前記第1の基体管及び前記第2の基体管を、焼成する焼成工程と、
を備える固体電解質型燃料電池セルチューブの製造方法。 - 前記印刷工程において、
少なくとも基体管の一端部側で、前記基体管の端部が露出し、且つ、燃料極またはリード膜の一端部、及び固体電解質の一端部が順次内側にずれて配置されるよう、前記基体管上に、燃料極用スラリーまたはリード膜用スラリー、及び固体電解質用スラリーを塗布し、
前記接合工程において、
前記接合部材の一端を、前記印刷工程を経た第1の基体管の一端部側に同軸に挿入し、且つ、前記接合部材の他端を、前記印刷工程を経た第2の基体管の一端部側に同軸に挿入し、
前記接合工程の後、
前記第1の基体管上に印刷された燃料極用スラリーと前記第2の基体管上に印刷された燃料極用スラリーとの間で露出した基体管を覆うよう、前記燃料極用スラリーまたは前記リード膜用スラリーと同質材料の固体粒子を有する燃料極接合用スラリーまたはリード膜接合用スラリーを塗布し、
前記燃料極接合用スラリーまたは前記リード膜接合用スラリーを覆い、且つ、前記第1の基体管上に印刷された固体電解質用スラリーと前記第2の基体管上に印刷された固体電解質用スラリーとの間を埋めるよう、前記固体電解質用スラリーと同質材料の固体粒子を有する固体電解質接合用スラリーを塗布する接合用スラリー塗布工程を更に備え、
前記接合用スラリー塗布工程の後、前記焼成工程を行う請求項1に記載の固体電解質型燃料電池セルチューブの製造方法。 - 前記焼成工程において、相互に密着させた前記接合部材、前記第1の基体管及び前記第2の基体管を吊り下げ焼成する際に、重力方向下側に位置する基体管を、重力方向上側に位置する基体管よりも短くする請求項1または請求項2に記載の固体電解質型燃料電池セルチューブの製造方法。
- 基体管の内径よりも小さな外径を有する筒状の接合部材の外周面に、固体電解質用スラリーと同質材料の固体粒子を有する接着スラリーを塗布した後、前記接合部材の一端及び他端を、外周面上に燃料極が形成され、該燃料極の端部側上面にインターコネクタが形成され、且つ、前記燃料極上に前記インターコネクタと隣接するよう固体電解質が形成された多孔質材料からなる第1の基体管及び第2の基体管の前記インターコネクタ側からそれぞれ同軸に挿入し、前記第1の基体管と前記第2の基体管とが間隔をあけた状態で前記接合部材に前記第1の基体管及び前記第2の基体管を密着させる接合工程と、
前記第1の基体管及び前記第2の基体管の向い合う端部を覆うよう、前記第1の基体管と前記第2の基体管との間を前記接着スラリーで埋めてシール層を形成するシール工程と、
発電セルを構成するための空気極用スラリーを前記固体電解質上に塗布する一方で、前記シール層を覆い、且つ、前記第1の基体管及び前記第2の基体管の端部に形成されたインターコネクタに接触するよう接合部分を構成するための空気極用スラリーを塗布する空気極用スラリー塗布工程と、
前記空気極用スラリーまで塗布した前記第1の基体管、前記第2の基体管及び前記接合部材を、吊り下げ焼成する焼成工程と、
を備える固体電解質型燃料電池セルチューブの製造方法。 - 前記接合部材に密着させた前記第1の基体管及び前記第2の基体管を吊り下げた際に、重力方向下側に位置する基体管を、重力方向上側に位置する基体管よりも短くする請求項4に記載の固体電解質型燃料電池セルチューブの製造方法。
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