JP2016039049A - 燃料電池のスタック構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池セルの支持基板の構成材料に含まれる「遷移金属酸化物又は遷移金属」の割合を少なくしつつ、燃料ガスが燃料極に供給される段階までに燃料ガスに含まれる改質前の残存ガス成分を十分に改質し、燃料ガスの圧力損失が大きくなり難くすること。
【解決手段】燃料ガス流路11が内部に形成された多孔質の支持基板10を備えた燃料電池セル100が、マニホールド200上でスタック状に複数配置される。マニホールド200の内部空間に、触媒部材230が配置される。触媒部材230は、「遷移金属酸化物又は前記遷移金属の材料からなるメッシュ構造」、又は、「支持基板10より気孔率が大きい多孔質の担体」と「担体の内部に固定された遷移金属酸化物又は遷移金属の多数の粉末」とを含む構造、で構成され得る。典型的には、担体の材料として気孔率が60〜90%の多孔質のジルコニアが使用され、「遷移金属」としてNiが使用される。
【選択図】図17

Description

本発明は、燃料電池のスタック構造体に関する。
従来より、「燃料ガス流路が内部に形成された支持基板」と「前記支持基板の表面に設けられ且つ少なくとも燃料極、固体電解質、及び空気極がこの順で積層された発電素子部」とを備えた焼成体である燃料電池セルが、マニホールド上でスタック状に複数配置された燃料電池のスタック構造体が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このスタック構造体では、燃料ガスは、マニホールドのガス導入部、及び、マニホールドの内部空間を経て、それぞれの燃料電池セルの燃料ガス流路へと導かれる。
係る焼成体である燃料電池セルでは、燃料極等の導電性を獲得するため、燃料電池を作動させる前に、燃料電池セルに対して高温下(例えば、800℃程度)にて還元ガスを供給する熱処理(以下、「還元処理」と呼ぶ。)が行われて、燃料電池が非還元体から還元体に移行される。
特許第5162724号公報 特許第5551803号公報
ところで、支持基板内の燃料ガス流路に導入される燃料ガス(発電反応に使用されるガス)としては、通常、改質器を用いて炭化水素系のガス(例えば、都市ガス)を改質して得られた改質後のガス(例えば、水素ガス)が使用される。しかしながら、改質器を通過したガス(即ち、支持基板の燃料ガス流路に導入されるガス)内には、改質器で改質され得なかった改質前のガス成分(例えば、都市ガス)が不可避的に残存し得る。
燃料ガス流路に流入したガスは、燃料ガス流路の内壁から多孔質の支持基板の内部の多数の気孔を介して燃料極に供給され、発電反応に供される。燃料電池の発電効率を高めるためには、できるだけ多くの改質後のガスを燃料極に供給することが好ましい。このためには、燃料ガスが燃料極に供給される段階までに燃料ガスに含まれる改質前の残存ガス成分を改質することが要求される。
この要求を達成するため、支持基板を構成する多孔質材料に燃料ガスの改質反応を促す触媒を含めることが考えられる。ここで、遷移金属(例えば、Ni、Fe)は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。従って、支持基板を構成する多孔質材料に「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含めることが考えられる。これにより、燃料ガス流路に流入した燃料ガス(改質前の残存ガス成分を含む)が支持基板の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路から燃料極に供給される過程において、上記触媒の作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。
しかしながら、上記のように、Niを含む多孔質材料で構成された支持基板を有する燃料電池セル(焼成体)に対して上述した「還元処理」が行われると、支持基板内のNiOがNiに還元されることに起因して支持基板が膨張又は収縮する(還元寸法変化)。このように支持基板が還元寸法変化することは、支持基板と、「支持基板と接合されている各種部材」との接合面における剥離の発生等に繋がるので好ましくない。係る観点からは、支持基板を構成する多孔質材料に含まれる「遷移金属酸化物又は遷移金属」の割合を少なくすることが望まれる。
係る知見に基づき、特許文献2に記載の燃料電池のスタック構造体では、各燃料電池セルの支持基板の燃料ガス流路内における燃料ガス流入側の部分、又は、マニホールドの導入部に、「遷移金属酸化物又は遷移金属を含む部材」が配置されている。これらにより、燃料ガス(改質前の残存ガス成分を含む)が支持基板内部の燃料ガス流路に導入される前の段階で、「遷移金属酸化物又は遷移金属」の触媒作用によって燃料ガス中の改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。この結果、支持基板を構成する多孔質材料に含まれる「遷移金属酸化物又は遷移金属」の割合を少なくしつつ、燃料ガスが燃料極に供給される段階までに燃料ガス中に含まれる改質前の残存ガス成分を十分に改質することができる。
しかしながら、特許文献2に記載に記載の構成では、新たな問題が発生した。即ち、一般に、燃料電池セルの支持基板の燃料ガス流路、及び、マニホールドの導入部では、燃料ガスの流路面積(流路の延在方向に垂直な断面における流路の面積)が比較的小さい。従って、支持基板の燃料ガス流路、又は、マニホールドの導入部に「遷移金属酸化物又は遷移金属を含む部材」が配置されると、流路内にて燃料ガスが実際に通過し得る面積が極めて小さくなり、支持基板の燃料ガス流路、又は、マニホールドの導入部における燃料ガスの圧力損失が大きくなり易い。この結果、燃料ガスをマニホールドの導入部に供給する装置の負荷が大きくなり、エネルギー効率が低くなる、という問題が発生した。
本発明は、燃料電池セルの支持基板を構成する多孔質材料に含まれる「遷移金属酸化物又は遷移金属」の割合を少なくしつつ、燃料ガスが燃料極に供給される段階までに燃料ガスに含まれる改質前の残存ガス成分を十分に改質するとともに、燃料ガスの圧力損失が大きくなり難い、燃料電池のスタック構造体を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池のスタック構造体の特徴は、前記マニホールドの内部空間に「遷移金属酸化物又は遷移金属を含む部材」が(マニホールドの内部空間を流れる燃料ガスが遷移金属酸化物又は遷移金属と接触し得るように)配置されたことにある。一般に、燃料電池セルの支持基板の燃料ガス流路、及び、マニホールドの導入部と比べて、マニホールドの内部空間では、燃料ガスの流路面積が十分に大きい。従って、マニホールドの内部空間に「遷移金属酸化物又は遷移金属を含む部材」が配置されても、流路内にて燃料ガスが実際に通過し得る面積が極めて小さくなることはない。この結果、マニホールドの内部空間における燃料ガスの圧力損失が大きくなり難い。即ち、上記構成によれば、特許文献2に記載の構成と比べて、燃料ガスの圧力損失が小さくなるので、燃料ガスをマニホールドの導入部に供給する装置の負荷が小さくなり、エネルギー効率が高くなる。
本発明においては、「遷移金属酸化物又は遷移金属を含む部材」は、前記遷移金属酸化物又は前記遷移金属の材料からなるメッシュ構造を有し得る。或いは、「遷移金属酸化物又は遷移金属を含む部材」は、前記支持基板より気孔率が大きい多孔質の担体と、前記担体の内部に固定された前記遷移金属酸化物又は前記遷移金属の多数の粉末と、を含んで構成され得る。これらの場合、「遷移金属酸化物又は遷移金属を含む部材」は、マニホールドの内部空間の全域に亘って配置され得る。
また、マニホールドの導入部が、第1方向に沿ってスタック状に整列した複数のセルのうち前記第1方向の一方側の端部に位置するセル(端部セル)から前記第1方向の前記一方側に離れた位置にて、マニホールドの内部空間と連通している場合、「遷移金属酸化物又は遷移金属を含む部材」は、マニホールドの内部空間における「端部セルに対して前記第1方向の一方側の領域」においてのみ配置されることが好適である。これによれば、「遷移金属酸化物又は遷移金属を含む部材」がマニホールドの内部空間の全域に亘って配置される場合と比べて、マニホールドの内部空間における燃料ガスの圧力損失をより一層小さくすることができる。
また、本発明においては、「遷移金属酸化物又は遷移金属を含む部材」は、前記遷移金属酸化物又は前記遷移金属の材料からなるバルク体で構成され得る。この場合、「遷移金属酸化物又は遷移金属を含む部材」は、マニホールドの内部空間における上下方向の途中の位置より下側の領域においてのみ配置されることが好適である。これによれば、燃料ガスが「マニホールドの導入部」→「マニホールドの内部空間」→「それぞれの燃料電池セルの燃料ガス流路」へと順に流れる通路を確実に確保できる。従って、「遷移金属酸化物又は遷移金属を含む部材」を配置したことに起因する、マニホールドの内部空間における燃料ガスの圧力損失の増大を抑制できる。
以下、前記担体について付言する。前記担体を構成する材料としては、耐熱性に優れたジルコニア(ZrO)を含む材料が好適である。また、前記担体の気孔率が60〜90%であることが好適である。これによれば、担体の気孔率が十分に大きいので、外力による担体の弾性変形が容易となる(担体全体を弾性体と考えた場合の担体の弾性係数が小さくなる。)。従って、前記部材が挿入・配置される空間(マニホールドの内部空間)に対して前記部材(前記担体)を大きめに作製した場合において、前記部材(前記担体)を前記空間に挿入・配置する作業がし易くなる。加えて、担体の気孔率が十分に大きいことによって、担体を通過するガスの圧力損失を小さくできる。
前記担体は、「2以上の腕部が延びる基部が3次元的(立体的)に多数配置され、異なる前記基部から延びる前記腕部同士が3次元的(立体的)に互いに接続し合うことで多数の前記基部が前記腕部を介して3次元的(立体的)に(ネットワーク状に)互いに連結された構造」(以下、「三次元網目構造」と呼ぶ)を備え得る。三次元網目構造内において基部及び腕部を除いた領域には3次元的(立体的)に(ネットワーク状に)連続する空隙(気孔)が形成されている。前記腕部の太さは、0.5〜10μmである。
本発明の実施形態に係る燃料電池のスタック構造体に使用される1つの燃料電池セルを示す斜視図である。 図1に示すセルの2−2線に対応する断面図である。 図1に示す支持基板の凹部に埋設された燃料極及びインターコネクタの状態を示した平面図である。 図1に示すセルの作動状態を説明するための図である。 図1に示すセルの作動状態における電流の流れを説明するための図である。 図1に示す支持基板を示す斜視図である。 図1に示すセルの製造過程における第1段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第2段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第3段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第4段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第5段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第6段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第7段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第8段階における図2に対応する断面図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池のスタック構造体の全体の斜視図である。 図15に示した燃料ガスマニホールドの全体の斜視図である。 マニホールドの内部空間に触媒部材が設けられている様子を説明するための図である。 図16に示した支持板に形成された挿入孔の拡大図である。 挿入孔とセルの一端部との接合部の様子、並びに、マニホールドの内部空間に触媒部材が設けられている様子を示した縦断面図である。 挿入孔とセルの一端部との接合部の様子を示した横断面図である。 図15に示したスタック構造体に対して燃料ガス及び空気が供給・排出される様子を示した図である。 本発明の実施形態の変形例に係る燃料電池のスタック構造体における図17に対応する図である。 本発明の実施形態の他の変形例に係る燃料電池のスタック構造体における図17に対応する図である。
(スタック構造体に使用されるセルの構成の一例)
先ず、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体に使用される燃料電池セル100について図1〜図14を参照しながら説明する。
(構成)
このセル100は、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
図1に示すように、このセル100の全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さが5〜50cmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さが1〜10cmの長方形である。このセル100の全体の厚さは、1〜5mmである。このセル100の全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、図1に加えて、このセル100の図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、このセル100の詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。後述する図6に示すように、支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。本例では、各凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。
支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」と、絶縁性セラミックスとを含んで構成され得る。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。支持基板10の気孔率は、20〜60%である。なお、支持基板10を構成する材料に含まれる遷移金属酸化物又は遷移金属の割合は、10mol%以下(ゼロを含む)である。遷移金属酸化物又は遷移金属が含まれていなくてもよい。
本明細書において「気孔率」とは、「気孔部分を除いた全体積に対する気孔部分が占める体積の総和の割合」を指し、「mol%」とは、「気孔部分を除いた全体に対するその物質のmol比率」を指す。ここで、「mol比率」は、元素単位ではなく、化合物単位で計算される。例えば、Yのmol比率は、Y(イットリウム)単位ではなく、Y(イットリア)単位で計算される。
また、絶縁性セラミックスとしては、MgO(酸化マグネシウム)、又は、「MgAl(マグネシアアルミナスピネル)とMgO(酸化マグネシウム)の混合物」が好適である。また、絶縁性セラミックスとして、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、Y(イットリア)が使用されてもよい。
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。
支持基板10の厚さは、1〜5mmである。以下、この構造体の形状が上下対称となっていることを考慮し、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
図2及び図3に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)に形成された各凹部12には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。各燃料極集電部21の上面(外側面)には、凹部21aが形成されている。各凹部21aは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
各燃料極集電部21の上面(外側面)における凹部21aを除いた部分には、凹部21bが形成されている。各凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21bには、インターコネクタ30が埋設(充填)されている。従って、各インターコネクタ30は直方体状を呈している。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。各インターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
燃料極20(燃料極集電部21及び燃料極活性部22)の上面(外側面)と、インターコネクタ30の上面(外側面)と、支持基板10の主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で、段差が形成されていない。
燃料極活性部22は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極集電部21は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmであり、燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。
このように、燃料極集電部21は、電子伝導性を有する物質を含んで構成される。燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と酸素イオン伝導性を有する物質とを含んで構成される。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも大きい。
インターコネクタ30は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
燃料極20及びインターコネクタ30がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタ30が形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
即ち、燃料極20がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。
なお、図2に示すように、本例では、固体電解質膜40が、燃料極20の上面、インターコネクタ30の上面における長手方向の両側端部、及び支持基板10の主面を覆っている。ここで、上述したように、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が、前記「電気的接続部」に対応する。
なお、インターコネクタ30は、前記「電気的接続部」における前記「緻密な材料で構成された第1部分」に対応し、気孔率は10%以下である。空気極集電膜70は、前記「電気的接続部」における前記「多孔質の材料で構成された第2部分」に対応し、気孔率は20〜60%である。
以上、説明した図1に示す「横縞型」のセル100に対して、図4に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O+2e→O2− (於:空気極60) …(1)
+O2−→HO+2e (於:燃料極20) …(2)
発電状態においては、図5に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図4に示すように、このセル100全体から(具体的には、図4において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
(製造方法)
次に、図1に示した「横縞型」のセル100の製造方法の一例について図6〜図14を参照しながら簡単に説明する。図6〜図14において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
先ず、図6に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、CSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図6に示す7−7線に対応する部分断面を表す図7〜図14を参照しながら説明を続ける。
図7に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図8に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各凹部に、燃料極集電部の成形体21gがそれぞれ埋設・形成される。次いで、図9に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各凹部に、燃料極活性部の成形体22gがそれぞれ埋設・形成される。各燃料極集電部の成形体21g、及び各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとYSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
続いて、図10に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各凹部に、インターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成される。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
次に、図11に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)及び複数のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
次に、図12に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したセル100において空気極60及び空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
次に、図13に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
次に、図14に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したセル100が得られる。なお、この時点では、酸素含有雰囲気での焼成により、燃料極20中のNi成分が、NiOとなっている。従って、燃料極20の導電性を獲得するため、その後、支持基板10側から還元性の燃料ガスが流され、NiOが800〜1000℃で1〜10時間に亘って還元される(上述した還元処理)。なお、この還元処理は発電時に行われてもよい。以上、図1に示したセル100の製造方法の一例について説明した。
(スタック構造体の全体構成の一例)
次に、上述したセル100を用いた本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体について説明する。図15に示すように、このスタック構造体は、多数のセル100と、多数のセル100のそれぞれに燃料ガスを供給するための燃料ガスのマニホールド200と、を備えている。マニホールド200の全体は、ステンレス鋼等の材料で構成されている。マニホールド200は、内部空間(直方体状の空間)を備えた、長手方向(z軸方向)を有する直方体状の筐体である。
マニホールド200の上壁(天板、換言すれば、ガスタンクの天板(平板))は、多数のセル100を支持するための支持板210を兼ねている。また、マニホールド200には、外部からマニホールド200の内部空間に燃料ガスを導入するための導入通路220(前記「導入部」に対応)が、支持板210上にて、マニホールド200の長手方向(z軸方向)の一方側(z軸正方向側)の端部に設けられている。導入通路220とマニホールド200の内部空間とは連通している。
各セル100が支持板210(=マニホールド200の上壁)から上方(x軸正方向)に向けてそれぞれ突出するように、且つ、複数のセル100がマニホールド200の長手方向(z軸方向)に沿ってスタック状に整列するように、各セル100の長手方向(x軸方向)における燃料ガス流入側の端部が、支持板210にて接合・支持されている。マニホールド200の内部空間と、複数のセル100の燃料ガス流路11のそれぞれとは連通している。各セル100の長手方向(x軸方向)における燃料ガス排出側の端部は、自由端となっている。従って、このスタック構造は、「片持ちスタック構造」と表現することができる。
図16に示すように、支持板210(=マニホールド200の上壁)の表面には、マニホールド200の内部空間と連通する多数の挿入孔211(貫通孔)が形成されている。各挿入孔211には、対応するセル100の燃料ガス流入側の端部がそれぞれ挿入される。
図17に示すように、マニホールド200の内部空間には、触媒部材230が配置されている。この例では、触媒部材230が、マニホールド200の内部空間の全域に亘って配置されている。触媒部材230は、「遷移金属酸化物又は遷移金属の材料からなるメッシュ構造」を有し得る。或いは、触媒部材230は、「支持基板10より気孔率が大きい多孔質の担体」と、「担体の内部に担持された遷移金属酸化物又は遷移金属の多数の粉末」と、で構成され得る。担体を構成する材料としては、耐熱性に優れたジルコニア(ZrO)を含む材料が好適である。「遷移金属」としては、Ni、Fe、Cu等が挙げられる。
担体の気孔率は、60〜90%である。このように、担体の気孔率が十分に大きいので、外力による担体の弾性変形が容易となる。換言すれば、担体全体を弾性体と考えた場合の担体の弾性係数が小さくなる。従って、触媒部材230が挿入・配置される空間(本例では、マニホールド200の内部空間)に対して担体を大きめに作製した場合において、担体(従って、触媒部材230)を前記空間に挿入・配置する作業がし易くなる。加えて、担体の気孔率が十分に大きいことによって、担体を通過するガスの圧力損失を小さくできる。この担体は、上述した三次元網目構造を有し得る。
図18に示すように、各挿入孔211の形状は、長さL4、幅L5の長円形状(L4>L5)を呈し、線対称に関する対称軸の方向(第3長手方向、y軸方向)を有する。
挿入孔211の長さL4は、セル100の長手方向の端面の長さL2(図1を参照)より0.2〜3mm大きい。同様に、挿入孔211の幅L5は、セル100の長手方向の端面の幅L3(図1を参照)より0.2〜3mm大きい。即ち、図19、20に示すように、セル100の長手方向の端面の長さ方向が挿入孔211の対称軸の方向(挿入孔211の長さ方向)に沿うように、セル100の燃料ガス流入側端部が挿入孔211に挿入された状態では、挿入孔211の内壁とセル100の同端部の外壁との間に隙間が形成される。換言すれば、セル100の燃料ガス流入側端部が挿入孔211に遊嵌される。なお、図19、図20(特に、図20)では、前記隙間が誇張して描かれている。
図19、図20に示すように、挿入孔211とセル100の燃料ガス流入側端部との接合部のそれぞれにおいて、固化された接合材300が前記隙間に充填されるように設けられている。これにより、各挿入孔211と対応するセル100の同端部とがそれぞれ接合・固定されている。図19に示すように、各セル100の燃料ガス流路11の燃料ガス流入側の端部は、マニホールド200の内部空間と連通している。
また、図19に示すように、隣接するセル100、100の間には、隣接するセル100、100の間(より詳細には、一方のセル100の燃料極20と他方のセル100の空気極60)を電気的に直列に接続するための集電部材400が介在している。集電部材400は、例えば、金属メッシュ等で構成される。また、各セル100について表側と裏側とを電気的に直列に接続するための集電部材500も設けられている。集電部材500は、例えば、金属板等で構成される。
接合材300は、結晶化ガラスで構成される。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−BO3系、SiO−CaO系、MgO−BO3系が採用され得るが、SiO−MgO系のものが最も好ましい。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」(結晶化度)の割合が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラス(セラミックス)を指す。
以上、説明した燃料電池の片持ちスタック構造を稼働させる際には、図21に示すように、高温(例えば、600〜800℃)の燃料ガス(改質後のガス。水素等)及び「酸素を含むガス(空気等)」を流通させる。導入通路220から導入された燃料ガスは、マニホールド200の内部空間へと移動し、その後、各挿入孔211を介して対応するセル100の燃料ガス流路11にそれぞれ導入される。各ガス流路11を通過した燃料ガスは、その後、各ガス流路11の他端(自由端)から外部に排出される。空気は、スタック構造の内部における隣接するセル100間の隙間に沿って、セル100の幅方向(y軸方向)に流される。
上述した片持ちスタック構造は、例えば、以下の手順で組み立てられる。先ず、必要な枚数の完成したセル100、完成したマニホールド200、及び、完成した触媒部材230が準備される。この段階で、マニホールド200の内部空間の内部に触媒部材230が挿入・配置される。
次いで、所定の治具等を用いて、複数のセル100がスタック状に整列・固定される。次に、複数のセル100がスタック状に整列・固定された状態が維持されながら、複数のセル100のそれぞれの燃料ガス流入側の端部が、支持板210の対応する挿入孔211に一度に挿入される。次いで、接合材300用の非晶質材料(非晶質ガラス)のペーストが、挿入孔211とセル100の同端部との接合部のそれぞれの隙間に充填される。その際、図19に示すように、ペーストが支持板210の表面から上方に向けてはみ出す程度まで前記接合部に供給されてもよい。
次に、上記のように充填された非晶質材料ペーストに熱処理(結晶化処理)が加えられる。この熱処理によって非晶質材料の温度がその結晶化温度まで到達すると、結晶化温度下にて、材料の内部で結晶相が生成されて、結晶化が進行していく。この結果、非晶質材料が固化・セラミックス化されて、結晶化ガラスとなる。これにより、結晶化ガラスで構成される接合材300が機能を発揮し、各セル100の燃料ガス流入側の端部が対応する挿入孔211にそれぞれ接合・固定される。換言すれば、各セル100の同端部が接合材300を用いて支持板210にそれぞれ接合・支持される。その後、前記所定の治具が複数のセル100から取り外されて、上述した片持ちスタック構造体が完成する。
(作用・効果)
以上、上記実施形態に係るスタック構造体によれば、マニホールド200の内部空間に触媒部材230が挿入・配置されている(図17、図19を参照)。触媒部材230は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含む。換言すれば、マニホールド200の内部空間を通過する燃料ガスは、触媒部材230の「遷移金属酸化物又は遷移金属」と接触する。従って、燃料ガス(改質前の残存ガス成分を含む)がマニホールド200の内部空間を通過する際(従って、支持基板10の燃料ガス流路11に導入される前の段階で)、触媒部材230の「遷移金属酸化物又は遷移金属」による触媒作用によって、燃料ガス中の改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。この結果、燃料ガス中の改質前の残存ガス成分の改質を促すために支持基板10を構成する多孔質材料に含めるべき「遷移金属酸化物又は遷移金属」の割合を少なくすることができる。例えば、上記実施形態では、支持基板10を構成する多孔質材料に含まれる「遷移金属酸化物又は遷移金属」の割合を10mol%以下とすることができる。
また、一般に、セル100の支持基板10の燃料ガス流路11、及び、マニホールド200の導入通路220と比べて、マニホールド200の内部空間では、燃料ガスの流路面積が十分に大きい。従って、マニホールド200の内部空間に触媒部材230が配置されても、流路内にて燃料ガスが実際に通過し得る面積が極めて小さくなることはない。この結果、マニホールド200の内部空間における燃料ガスの圧力損失が大きくなり難い。即ち、上記実施形態によれば、触媒部材が「導入通路220の内部」又は「各セル200の支持基板10の燃料ガス流路11における燃料ガス流入側の端部」に配置される態様と比べて、燃料ガスの圧力損失が小さくなる。この結果、燃料ガスをマニホールド200の導入通路220に供給する装置の負荷が小さくなり、エネルギー効率が高くなる。
以上、本発明の実施形態によれば、支持基板を構成する多孔質材料に含まれる「遷移金属酸化物又は遷移金属」の割合を少なくしつつ、燃料ガスが燃料極に供給される段階までに燃料ガス中に含まれる改質前の残存ガス成分を十分に改質するとともに、燃料ガスの圧力損失が大きくなり難くなる。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、触媒部材230が、マニホールド200の内部空間の全域に亘って配置されている(図17を参照)が、図22に示すように、マニホールド200の内部空間における「複数のセル100のうち最も導入通路220に近い端部セルに対してz軸正方向側の領域」においてのみ配置されてもよい。これによれば、触媒部材230がマニホールド200の内部空間の全域に亘って配置される場合(図17を参照)と比べて、マニホールド200の内部空間における燃料ガスの圧力損失をより一層小さくすることができる。
また、図23に示すように、触媒部材230が、マニホールド200の内部空間における上下方向(x軸方向)の途中の位置(例えば、上下方向の中央位置)より下側の領域においてのみ配置されることが好適である。これによれば、燃料ガスが「マニホールド200の導入通路220」→「マニホールド200の内部空間」→「それぞれの燃料電池セル100の燃料ガス流路11」へと順に流れる通路を確実に確保できる。従って、「触媒部材230を配置したことに起因する、マニホールド200の内部空間における燃料ガスの圧力損失の増大」を抑制できる。加えて、図23に示す態様では、触媒部材230を「遷移金属酸化物又は遷移金属の材料からなるバルク体」で構成することも可能となる。
また、上記実施形態では、支持基板10の表裏両面のそれぞれに「燃料極、固体電解質、及び空気極がこの順に積層されてなる発電素子部」が複数設けられ且つ隣り合う発電素子部の間が電気的に接続された所謂「横縞型」のセルが採用されているが、支持基板10の表面に発電素子部が1つのみ設けられたセルが複数枚積層された所謂「縦縞型」の構成が採用されてもよい。
また、上記実施形態では、支持基板10の表裏の一方の面のみに1つ又は複数の発電素子部が設けられていてもよい。また、上記実施形態では、セル(支持基板)が平板状を呈しているが、セル(支持基板)が円筒状を呈していてもよい。
また、上記実施形態のセルでは、支持板210に形成された1つの挿入孔211に1つのセル100の端部が挿入されているが、支持板に形成された1つの挿入孔に2つ以上のセル100の端部が挿入されていてもよい。更には、支持板210に形成された1つの(唯一の)挿入孔に複数のセル100の端部の全てが挿入されていてもよい。
また、上記実施形態では、マニホールド200の上壁(天板)が多数のセル100を支持するための支持板210を兼ねているが(即ち、支持板210がマニホールド200と一体で構成されているが)、マニホールド200の内部空間と複数のセル100のガス流路11とが連通する限りにおいて、支持板210がマニホールド200とは別体で構成されていてもよい。
10…支持基板、11…燃料ガス流路、20…燃料極、40…固体電解質、60…空気極、100…セル、200…マニホールド、210…支持板、211…挿入孔、230…触媒部材、300…接合材、A…発電素子部

Claims (11)

  1. それぞれが、長手方向を有し且つその内部に前記長手方向に沿う燃料ガス流路が形成された支持基板と、前記支持基板の表面に設けられ且つ少なくとも燃料極、固体電解質、及び空気極がこの順で積層された発電素子部と、を含む複数の燃料電池セルと、
    内部空間を有し且つ前記内部空間に燃料ガスを導入するための導入部を備えたマニホールドであって、前記各セルがマニホールドの上壁から上方に向けてそれぞれ突出するように、且つ、前記複数のセルが第1方向に沿ってスタック状に整列するように、且つ、前記内部空間と前記複数のセルの前記燃料ガス流路のそれぞれの燃料ガス流入側の一端部とが連通するように、前記各セルの前記支持基板の前記長手方向における燃料ガス流入側の一端部を前記上壁にて接合・支持するマニホールドと、
    を備えた燃料電池のスタック構造体であって、
    前記マニホールドの前記内部空間に、遷移金属酸化物又は遷移金属を含む部材が配置された、燃料電池のスタック構造体。
  2. 請求項1に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記部材は、前記遷移金属酸化物又は前記遷移金属の材料からなるメッシュ構造を有する、燃料電池のスタック構造体。
  3. 請求項1に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記部材は、前記支持基板より気孔率が大きい多孔質の担体と、前記担体の内部に固定された前記遷移金属酸化物又は前記遷移金属の多数の粉末と、を含む、燃料電池のスタック構造体。
  4. 請求項3に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記担体の気孔率が60〜90%である、燃料電池のスタック構造体。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記担体は、腕部が延びる基部が3次元的に多数配置され、異なる前記基部から延びる前記腕部同士が互いに接続し合うことで多数の前記基部がネットワーク状に互いに連結された三次元網目構造を有する、燃料電池のスタック構造体。
  6. 請求項2乃至請求項5に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記部材は、前記内部空間の全域に亘って配置された、燃料電池のスタック構造体。
  7. 請求項2乃至請求項5に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記導入部が、前記スタック状に整列した前記複数のセルのうち前記第1方向の一方側の端部に位置するセルである端部セルから前記第1方向の前記一方側に離れた位置にて、前記内部空間と連通しており、
    前記部材は、前記内部空間における、前記端部セルに対して前記第1方向の前記一方側の領域においてのみ配置された、燃料電池のスタック構造体。
  8. 請求項1に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記部材は、前記遷移金属酸化物又は前記遷移金属の材料からなるバルク体である、燃料電池のスタック構造体。
  9. 請求項8に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記導入部が、前記内部空間における上下方向の途中の位置より上側の位置にて、前記内部空間と連通しており、
    前記部材は、前記内部空間における前記上下方向の途中の位置より下側の領域においてのみ配置された、燃料電池のスタック構造体。
  10. 請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記支持基板を構成する材料に含まれる前記遷移金属酸化物又は前記遷移金属の割合は、10mol%以下である、燃料電池のスタック構造体。
  11. 請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記支持基板を構成する材料には前記遷移金属酸化物又は前記遷移金属が含まれない、燃料電池のスタック構造体。
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