JP5824560B1 - 燃料電池のスタック構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】セル間空間における広範囲に亘って均一に空気を供給できる「空気をスタックへ供給する一態様」を備えた、燃料電池のスタック構造体を提供すること。【解決手段】燃料マニホールド200の上壁の上にz軸方向に沿ってスタック状に整列する複数のセル100に対して、セルの幅方向における第1側(y軸正方向側)には空気マニホールド600が配置され、セルの幅方向における第2側(y軸負方向側)には壁800が配置される。空気マニホールド600に設けられた供給孔610は、上下方向において集電部材400(隣接するセル間を電気的に接続する部材)とはオーバラップせず且つ最下発電素子部ASとはオーバラップする位置に配置され、且つ、セルの幅方向における第2側(y軸負方向側)に向けて開口している。壁800は、複数のセル100のセルの幅方向における第2側の側端面を覆うように上下方向及びz軸方向に沿って延在している。【選択図】図22

Description

本発明は、燃料電池のスタック構造体に関する。
従来より、スタック状に整列した複数の燃料電池セルが燃料マニホールドの上壁に接合・支持された固体酸化物形燃料電池のスタック構造体が知られている(例えば、特許文献1を参照)。各セルは、長手方向を有し且つその内部に前記長手方向に沿う燃料ガス流路が形成された平板状の支持基板と、前記支持基板の平面における前記長手方向に沿う互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられた複数の発電素子部と、を備えている。このセルの構成は「横縞型」とも呼ばれる。燃料マニホールドは、第1内部空間を有する。燃料マニホールドは、各セルが燃料マニホールドの上壁から上方に向けて前記長手方向に沿ってそれぞれ突出するように、且つ、上方から見たとき、前記各セルが第1方向に沿ってそれぞれ延在し且つ前記複数のセルが前記第1方向と直角の第2方向に沿って互いに離れてスタック状に整列するように、且つ、前記第1内部空間と前記複数のセルの前記燃料ガス流路のそれぞれの燃料ガス流入側の一端部とが連通するように、前記各セルの前記支持基板の前記長手方向における燃料ガス流入側の一端部を前記上壁に対して接合・支持している。
このようなスタック構造体では、通常、隣り合うセルの間を電気的に接続する集電部材が、隣り合うセルの間の空間(以下、「セル間空間」と呼ぶ)にそれぞれ設けられる。上記文献に記載されたスタック構造体では、各集電部材が、複数の発電素子部のうち上下方向における最も下側に設けられた発電素子部(最下発電素子部)より下側に配置されている。換言すれば、各集電部材が、燃料マニホールドの上壁から突出する対応するセルの根元側(即ち、燃料ガス流入側)に接続されている。これは、セルの根元側より温度が高いセルの先端側(即ち、燃料ガス排出側)に集電部材を設けると、集電部材とセルとの接合部位にて剥離が発生し易いことに因る。ガス排出口から排出された余剰の燃料ガスが周囲の空気(酸素)と反応(燃焼)することによって、その燃焼による熱を受けてセルの先端側の温度は局所的に高くなる。
特許第5551803号公報
上記のようなスタック構造体では、通常、空気マニホールドが設けられる。空気マニホールドは、前記スタック状に整列する前記複数のセルに対して前記第1方向における第1側に配置され、且つ、第2内部空間を有する。空気マニホールドは、前記第2内部空間と連通する供給孔を備える。この空気マニホールドの供給孔から、それぞれのセル間空間に向けて空気が供給される。
ところで、上記のようなスタック構造体において高出力を得るためには、空気利用率を高める必要がある。空気利用率を高めるためには、空気をセル間空間の広範囲に亘ってできる限り均一に供給する必要がある。このためには、空気をスタックへ供給する態様、具体的には、空気マニホールドの供給孔の位置、及び、セル間空間内における空気の移動経路等、をどのように設定するかが非常に重要である、と考えられる。
この点、上記文献では、空気をスタックへ供給する態様について、「空気は、隣り合うセルの間の隙間に沿って、セルの幅方向(前記第1方向)に流される。」と記載されている。しかしながら、空気マニホールドの供給孔の具体的な位置、及び、セル間空間内における空気の具体的な移動経路等については、何ら記載されていない。
本発明は、セル間空間における広範囲に亘って均一に空気を供給できる「空気をスタックへ供給する一態様」を備えた、燃料電池のスタック構造体を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池のスタック構造体の特徴は、「空気マニホールドの供給孔が、上下方向において前記集電部材とはオーバラップせず且つ前記最下発電素子部とはオーバラップする位置に配置され、且つ、前記第1方向における前記第1側と反対の第2側に向けて開口している」点、並びに、「前記スタック状に整列する前記複数のセルに対して前記第1方向における前記第2側に配置された壁であって、前記複数のセルの前記第1方向における前記第2側の側端面を覆うように前記上下方向及び前記第2方向に沿って延在する壁を備えた」点、にある。
ここにおいて、前記壁は、前記スタック状に整列する前記複数のセルの前記第1方向における第2側の側端面に接触していることが、前記壁と前記第2側の側端面との間の隙間から空気が漏れない点において好ましいが、そうでなくてもよい。前記空気マニホールドは、前記スタック状に整列する前記複数のセルの前記第1方向における第1側の側端面に接触していることが、前記空気マニホールドと前記第1側の側端面との間の隙間から空気が漏れない点において好適であるが、そうでなくてもいい。
また、前記空気マニホールドは、前記燃料マニホールドの上壁に固定されていることが好ましいが、そうでなくてもよい。また、前記壁は、前記燃料マニホールドの上壁に固定されていることが好ましいが、そうでなくてもよい。前記各セルの両側の平面にて前記複数の発電素子部がそれぞれ形成されていることが好適である。なお、前記隣り合うセル同士は接触していない。
上記本発明の特徴によれば、空気マニホールドの供給孔が、上下方向において最下発電素子部とオーバラップする位置に配置される。従って、空気マニホールドの供給孔から流出した空気は、前記第1方向の第1側から第2側に向けて前記第1方向(セルの幅方向)に沿って、セル間空間における最下発電素子部の近傍部分を進行し、その後、前記壁に当たる。これにより、セル間空間におけるセルの根元側の部分の圧力がセルの幅方向の全域に亘って相対的に上昇し得る。この結果、セル間空間における最下発電素子部の近傍部分をセルの幅方向に沿って進行している空気は、セルの幅方向の全域に亘って、進行方向を変えて上方(セルの先端側)に向けて移動し始め得る(後述する図22を参照)。セル間空間を上方に向けて移動していく空気は、セル間空間における最下発電素子部より上方に位置する1つ又は複数の発電素子部の近傍部分を順に通過し、その後、セル間空間におけるセルの先端側から外部に排出される。この結果、セル間空間における広範囲に亘って均一に空気を供給することができる。
加えて、上記本発明の特徴によれば、空気マニホールドの供給孔が、上下方向において集電部材とはオーバラップしない位置に配置される。従って、空気マニホールドの供給孔から流出した空気は、集電部材に向けて進行し難い。一般に、空気は、空気マニホールド内などで予熱された後にスタックに向けて供給される。この予熱では、空気の温度を燃料電池の作動温度(発電温度、例えば、600〜800℃程度)まで高めることは困難である。従って、実際には、予熱された300〜500℃程度の空気が空気マニホールドの供給孔から流出し易い。ここで、空気マニホールドの供給孔から流出した空気が集電部材に向けて進行するように構成される場合、空気が集電部材(典型的には、SUS材料で構成される)に当たることによって集電部材の温度が低下し、集電部材の電気抵抗が増大し得る。この結果、スタック全体での発電出力が低下し得る。加えて、空気が集電部材に当たることによって空気の流れに乱れが生じ、セル間空間における空気のスムーズな流れが阻害され易くなる。これに対し、本発明では、空気マニホールドの供給孔から流出した空気が集電部材に向けて進行し難いので、空気が集電部材に当たり難い。この結果、上述した「集電部材の電気抵抗の増大」の問題、並びに、「空気の流れの乱れの発生」の問題が発生し難い。
上記本発明に係るスタック構造体において、前記供給孔が、前記第2方向において複数のセル間空間に対応する位置にそれぞれ独立して形成されていてもよいが、前記供給孔が、前記スタック状に整列する前記複数のセルのうち前記第2方向における両端に位置する2つのセルの間に亘って、前記第2方向に連続して延在する単一の長穴であることが好適である。これによれば、スタックに対する空気マニホールドの第2方向における相対的な組み付け位置にずれが生じた場合であっても、空気が、それぞれのセル間空間に向けて安定して供給され易くなる。
本発明の実施形態に係る燃料電池のスタック構造体に使用される1つのセルを示す斜視図である。 図1に示すセルの2−2線に対応する断面図である。 図1に示す支持基板の凹部に埋設された燃料極及びインターコネクタの状態を示した平面図である。 図1に示すセルの作動状態を説明するための図である。 図1に示すセルの作動状態における電流の流れを説明するための図である。 図1に示す支持基板を示す斜視図である。 図1に示すセルの製造過程における第1段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第2段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第3段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第4段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第5段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第6段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第7段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第8段階における図2に対応する断面図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池のスタック構造体の全体の斜視図である。 図15に示した燃料マニホールドの全体の斜視図である。 図16に示した支持板に形成された挿入孔の拡大図である。 挿入孔とセルの一端部との接合部の様子を示した横断面図である。 挿入孔とセルの一端部との接合部の様子を示した縦断面図である。 空気マニホールドと、スタックと、壁との位置関係を示した図である。 図20に示した空気マニホールドの正面図である。 セル間空間を空気が移動する経路を説明するための図である。 本発明の実施形態の変形例に係る燃料電池のスタック構造体の図20に対応する図である。 図23に示した変形例における空気マニホールドの正面図である。
(スタック構造体に使用されるセルの構成の一例)
先ず、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体に使用されるセル100について説明する。図1に示すように、このセル100は、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
このセル100の全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さL1が50〜500mmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さL2が10〜100mmの長方形である(L1>L2)。このセル100の全体の厚さL3は、1〜5mmである(L2>L3)。このセル100の全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、図1に加えて、このセル100の図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、このセル100の詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。後述する図6に示すように、支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。本例では、各凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。
支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」と、絶縁性セラミックスとを含んで構成され得る。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。
また、絶縁性セラミックスとしては、MgO(酸化マグネシウム)、又は、「MgAl(マグネシアアルミナスピネル)とMgO(酸化マグネシウム)の混合物」が好適である。また、絶縁性セラミックスとして、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、Y(イットリア)が使用されてもよい。
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。
支持基板10の厚さは、1〜5mmである。以下、この構造体の形状が上下対称となっていることを考慮し、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
図2及び図3に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)に形成された各凹部12には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。各燃料極集電部21の上面(外側面)には、凹部21aが形成されている。各凹部21aは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
各燃料極集電部21の上面(外側面)における凹部21aを除いた部分には、凹部21bが形成されている。各凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21bには、インターコネクタ30が埋設(充填)されている。従って、各インターコネクタ30は直方体状を呈している。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。各インターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
燃料極20(燃料極集電部21及び燃料極活性部22)の上面(外側面)と、インターコネクタ30の上面(外側面)と、支持基板10の主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で、段差が形成されていない。
燃料極活性部22は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極集電部21は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmであり、燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。
このように、燃料極集電部21は、電子伝導性を有する物質を含んで構成される。燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と酸素イオン伝導性を有する物質とを含んで構成される。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸化性イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも大きい。
インターコネクタ30は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
燃料極20及びインターコネクタ30がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタ30が形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
即ち、燃料極20がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。
なお、図2に示すように、本例では、固体電解質膜40が、燃料極20の上面、インターコネクタ30の上面における長手方向の両側端部、及び支持基板10の主面を覆っている。ここで、上述したように、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が、「電気的接続部」に対応する。
なお、インターコネクタ30は、前記「電気的接続部」における「緻密な材料で構成された第1部分」に対応し、気孔率は10%以下である。空気極集電膜70は、前記「電気的接続部」における「多孔質の材料で構成された第2部分」に対応し、気孔率は20〜60%である。
以上、説明した図1に示す「横縞型」のセル100に対して、図4に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O+2e→O2− (於:空気極60) …(1)
+O2−→HO+2e (於:燃料極20) …(2)
発電状態においては、図5に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図4に示すように、このセル100全体から(具体的には、図4において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
(製造方法)
次に、図1に示した「横縞型」のセル100の製造方法の一例について図6〜図14を参照しながら簡単に説明する。図6〜図14において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
先ず、図6に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、CSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図6に示す7−7線に対応する部分断面を表す図7〜図14を参照しながら説明を続ける。
図7に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図8に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各凹部に、燃料極集電部の成形体21gがそれぞれ埋設・形成される。次いで、図9に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各凹部に、燃料極活性部の成形体22gがそれぞれ埋設・形成される。各燃料極集電部の成形体21g、及び各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとYSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
続いて、図10に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各凹部に、インターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成される。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
次に、図11に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)及び複数のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
次に、図12に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したセル100において空気極60及び空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
次に、図13に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
次に、図14に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したセル100が得られる。以上、図1に示したセル100の製造方法の一例について説明した。
なお、この時点では、酸素含有雰囲気での焼成により、燃料極20中のNi成分が、NiOとなっている。従って、これらの導電性を獲得するため、その後、支持基板10側から還元性の燃料ガスが流され、NiOが800〜1000℃で1〜10時間に亘って還元処理される。なお、この還元処理は発電時に行われてもよい。
(スタック構造体の全体構成の一例)
次に、上述したセル100を用いた本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体について説明する。図15に示すように、このスタック構造体は、多数のセル100と、多数のセル100のそれぞれに燃料ガスを供給するための燃料マニホールド200と、を備えている。燃料マニホールド200の全体は、ステンレス鋼等の材料で構成されている。燃料マニホールド200は、内部空間(直方体状の空間、前記第1内部空間に対応)を備えた、長手方向(z軸方向)を有する直方体状の筐体である。
燃料マニホールド200の上壁(天板、換言すれば、ガスタンクの天板(平板))は、多数のセル100を支持するための支持板210を兼ねている。また、燃料マニホールド200には、外部から燃料マニホールド200の内部空間に燃料ガスを導入するための導入通路220が、支持板210上にて、燃料マニホールド200の長手方向(z軸方向)の一方側(z軸正方向側)の端部に設けられている。導入通路220と燃料マニホールド200の内部空間とは連通している。
各セル100が支持板210(=マニホールド200の上壁)から上方(x軸正方向)に向けてそれぞれ突出するように、且つ、上方から見たとき、各セル100がy軸方向(前記第1方向)に沿ってそれぞれ延在し且つ複数のセル100がz軸方向(前記第2方向)に沿って互いに離れてスタック状に整列するように、各セル100の長手方向(x軸方向)における燃料ガス流入側の端部が、支持板210にて接合・支持されている。燃料マニホールド200の内部空間と、複数のセル100の燃料ガス流路11のそれぞれとは連通している。各セル100の長手方向(x軸方向)における燃料ガス排出側の端部は、自由端となっている。従って、このスタック構造は、「片持ちスタック構造」と表現することができる。
図16に示すように、支持板210(=マニホールド200の上壁)の表面には、燃料マニホールド200の内部空間と連通する多数の挿入孔211(貫通孔)が形成されている。各挿入孔211には、対応するセル100の燃料ガス流入側の一端部がそれぞれ挿入される。
図17に示すように、本実施形態では、複数の挿入孔211は同形である。各挿入孔211の形状は、長さL4、幅L5のy軸方向に延在する長円形状(L4>L5)を呈している。また、複数の挿入孔211は、y軸方向において同じ位置に、且つ、z軸方向において同じ間隔をおいて配置されている。
各挿入孔211の長さL4は、セル100の一端部の側面の長さL2(図1を参照)より0.2〜3mm大きい。同様に、各挿入孔211の幅L5は、セル100の一端部の側面の幅L3(図1を参照)より0.2〜3mm大きい。即ち、図18、19に示すように、セル100の一端部が挿入孔211に挿入された状態では、挿入孔211の内壁とセル100の一端部の外壁との間に隙間が形成される。換言すれば、セル100の一端部が挿入孔211に遊嵌される。なお、図18、図19(特に、図18)では、前記隙間が誇張して描かれている。
図18、図19に示すように、挿入孔211とセル100の一端部との接合部のそれぞれにおいて、固化された接合材300が前記隙間に充填されるように設けられている。これにより、各挿入孔211と対応するセル100の一端部とがそれぞれ接合・固定されている。図19に示すように、各セル100のガス流路11の一端部は、燃料マニホールド200の内部空間と連通している。
また、図19に示すように、隣接するセル100、100の間の空間(以下、「セル間空間」とも呼ぶ)には、隣接するセル100、100の間(より詳細には、一方のセル100の燃料極20と他方のセル100の空気極60)を電気的に直列に接続するための集電部材400が介在している。集電部材400は、例えば、金属メッシュ等で構成される。加えて、各セル100について表側と裏側とを電気的に直列に接続するための集電部材500も設けられている。各セル間空間の幅(z軸方向の距離)は同じである。
なお、図19から理解できるように、集電部材400は、複数の発電素子部Aのうち上下方向(x軸方向)における最も下側に設けられた発電素子部A(以下、「最下発電素子部AS」とも呼ぶ)より下側に配置されている。換言すれば、集電部材400は、燃料マニホールド200の上壁から突出するセル100の根元側(即ち、燃料ガス流入側)に接続されている。これは、セル100の根元側より温度が高いセル100の先端側(即ち、燃料ガス排出側)に集電部材400を設けると、集電部材400とセル100との接合部位にて剥離が発生し易いことに因る。ガス排出口から排出された余剰の燃料ガスが周囲の空気(酸素)と反応(燃焼)することによって、その燃焼による熱を受けてセル100の先端側の温度は局所的に高くなる。
接合材300は、MgO−CaO−SiO−B系や、MgO−BaO−SiO−B系等の結晶化ガラスで構成される。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラス(セラミックス)を指す。結晶化ガラスの結晶化度は、具体的には、例えば、「XRD等を用いて結晶相を同定し、SEM及びEDS、或いは、SEM及びEPMA等を用いて結晶化後のガラスの組織や組成分布を観察した結果に基づいて、結晶相領域の体積割合を算出する」ことによって得ることができる。
また、図20〜図22に示すように、このスタック構造体は、それぞれのセル間空間に空気を供給するための空気マニホールド600を備えている。空気マニホールド600は、内部空間(直方体状の空間、前記第2内部空間に対応)を備えた、長手方向(z軸方向)を有する直方体状の筐体である。
特に、図20及び図22に示すように、空気マニホールド600は、燃料マニホールド200の上壁にて、スタック状に整列する複数のセル100に対してy軸方向(セルの幅方向)における第1側(y軸正方向側)にて、複数のセル100から離れて配置されている。空気マニホールド600は、第2内部空間と連通する供給孔610を備える。この供給孔610から、それぞれのセル間空間に向けて空気が供給される。
供給孔610は、空気マニホールド600におけるスタック側(y軸負方向側)の側面に形成されている。従って、供給孔610は、y軸方向(セルの幅方向)における第1側と反対の第2側(y軸負方向側)に向けて開口している。図21に示すように、本実施形態では、複数の円形の供給孔610が、z軸方向に沿うように、z軸方向において複数のセル間空間に対応する位置にそれぞれ独立して形成されている。
図19及び図22に示すように、供給孔610は、上下方向(x軸方向)において「集電部材400とはオーバラップせず、且つ、最下発電素子部ASとはオーバラップする位置」に配置されている。本実施形態では、供給孔610は、上下方向(s軸方向)において「最下発電素子部ASの中央部に対応する位置」に配置されている。
また、図20及び図22に示すように、このスタック構造体は、セル間空間内における空気の移動経路を制御するための壁800が、燃料マニホールド200の上壁にて、スタック状に整列した複数のセル100に対してy軸方向(セルの幅方向)における第2側(y軸負方向側)に配置されている。
壁800は、スタック状に整列した複数のセル100のy軸方向(セルの幅方向)における第2側(y軸負方向側)の側端面を覆うように、x−z平面方向に沿って延在している。本実施形態では、壁800は、平板状を呈しており、スタック状に整列した複数のセル100のセルの幅方向における第2側の側端面に接触している。
なお、図20に示すように、本実施形態では、セル間空間内における空気の移動経路を制御するため、壁800に加えて、一対の壁700も、燃料マニホールド200の上壁にて配置されている。一対の壁700は、スタック状に整列した複数のセル100のうちz軸方向の両端に位置する一対のセル100に対して、平行、且つ、各セル間空間の幅(z軸方向の距離)と同じ距離だけz軸方向に離れて配置されている。換言すれば、本実施形態では、スタック状に整列した複数のセル100は、上方からみたとき、四方のうち、空気マニホールド600と向かい合う方向を除いた三方について、一対の壁700、及び、壁800によって覆われている。
以上、説明した燃料電池の片持ちスタック構造を稼働させる際には、図15、図19、図20、及び、図22に示すように、高温(例えば、600〜800℃)の燃料ガス(水素等)及び「空気」を流通させる。即ち、図15、及び、図19に示すように、導入通路220から導入された燃料ガスは、燃料マニホールド200の内部空間へと移動し、その後、各挿入孔211を介して対応するセル100のガス流路11にそれぞれ導入される。各ガス流路11を通過した燃料ガスは、その後、各ガス流路11の他端(自由端)から外部に排出される。
一方、図19、図20、及び、図22に示すように、図示しない導入通路から空気マニホールド600の内部空間に導入された空気は、それぞれの供給孔610から流出する。ここで、上述のように、空気マニホールド600の供給孔610は、上下方向(x軸方向)において「最下発電素子部ASとはオーバラップする位置」に配置されている。従って、それぞれの供給孔610から流出した空気は、セルの幅方向(y軸方向)に沿って、それぞれのセル間空間における最下発電素子部ASの近傍部分を進行し、その後、壁800に当たる。これにより、それぞれのセル間空間におけるセル100の根元側の部分の圧力がセル100の幅方向(y軸方向)の全域に亘って相対的に上昇し得る。この結果、セル間空間における最下発電素子部ASの近傍部分をセル100の幅方向に沿って進行している空気は、セル100の幅方向の全域に亘って、進行方向を変えて上方(セル100の先端側)に向けて移動し始め得る(特に、図22を参照)。セル間空間を上方に向けて移動していく空気は、セル間空間における最下発電素子部ASより上方に位置する1つ又は複数の発電素子部Aの近傍部分を順に通過し(特に、図19を参照)、その後、セル間空間におけるセル100の先端側から外部に排出される(特に、図22を参照)。この結果、セル間空間における広範囲に亘って均一に空気を供給することができる。即ち、空気利用率を高めることができ、この結果、スタック構造体において高出力を得ることができる。
加えて、上述のように、空気マニホールド600の供給孔610は、上下方向(x軸方向)において「集電部材400とはオーバラップしない位置」に配置されている。従って、供給孔610から流出した空気は、集電部材400に向けて進行し難い。一般に、空気は、空気マニホールド600内などで予熱された後にスタックに向けて供給される。この予熱では、空気の温度を燃料電池の作動温度(発電温度、例えば、600〜800℃程度)まで高めることは困難である。従って、実際には、予熱された300〜500℃程度の空気が供給孔610から流出し易い。ここで、供給孔610から流出した空気が集電部材400に向けて進行するように構成される場合、空気が集電部材400(典型的には、SUS材料で構成される)に当たることによって集電部材400の温度が低下し、集電部材400の電気抵抗が増大し得る。この結果、スタック全体での発電出力が低下し得る。加えて、空気が集電部材400に当たることによって空気の流れに乱れが生じ、セル間空間における空気のスムーズな流れが阻害され易くなる。これに対し、上述したスタック構造では、供給孔610から流出した空気が集電部材400に向けて進行し難いので、空気が集電部材400に当たり難い。この結果、上述した「集電部材の電気抵抗の増大」の問題、並びに、「空気の流れの乱れの発生」の問題が発生し難い。
上述した片持ちスタック構造は、例えば、以下の手順で組み立てられる。先ず、必要な枚数の完成したセル100、完成した燃料マニホールド200、完成した空気マニホールド600、一対の壁700、及び、壁800が準備される。次いで、所定の治具等を用いて、複数のセル100がスタック状に整列・固定される。次に、複数のセル100がスタック状に整列・固定された状態が維持されながら、複数のセル100のそれぞれの一端部が、支持板210の対応する挿入孔211に一度に挿入される。次いで、接合材300用の非晶質材料(非晶質ガラス)のペーストが、挿入孔211とセル100の一端部との接合部のそれぞれの隙間に充填される。その際、図19に示すように、ペーストが支持板210の表面から上方に向けてはみ出す程度まで前記接合部に供給されてもよい。
次に、上記のように充填された非晶質材料ペーストに熱処理(結晶化処理)が加えられる。この熱処理によって非晶質材料の温度がその結晶化温度まで到達すると、結晶化温度下にて、材料の内部で結晶相が生成されて、結晶化が進行していく。この結果、非晶質材料が固化・セラミックス化されて、結晶化ガラスとなる。これにより、結晶化ガラスで構成される接合材300が機能を発揮し、各セルの一端部が対応する挿入孔211にそれぞれ接合・固定される。換言すれば、各セル100の一端部が接合材300を用いて支持板210にそれぞれ接合・支持される。その後、前記所定の治具が複数のセル100から取り外される。その後、燃料マニホールド200の上壁の所定の位置に、空気マニホールド600、一対の壁700、及び、壁800が固設されて、上述した片持ちスタック構造体が完成する。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、図20、及び、図21に示すように、複数の円形の供給孔610が、z軸方向に沿うように、z軸方向において複数のセル間空間に対応する位置にそれぞれ独立して形成されているが、図20、及び、図21にそれぞれ対応する図23、及び、図24に示すように、供給孔610が、スタック状に整列する複数のセル100のうちz軸方向における両端に位置するセル100の間に亘って、z軸方向に連続して延在する単一の長穴であってもよい。これによれば、スタックに対する空気マニホールド600のz軸方向における相対的な組み付け位置にずれが生じた場合であっても、空気が、それぞれのセル間空間に向けて安定して供給され易くなる。
また、上記実施形態では、空気マニホールド600が燃料マニホールド200の上壁に固定されているが、空気マニホールド600がその他の部材に固定されていてもよい。また、壁800が燃料マニホールド200の上壁に固定されているが、壁800がその他の部材に固定されていてもよい。
また、壁800がスタック状に整列する複数のセル100のy軸方向における第2側(y軸負方向側)の側端面に接触しているが、同側端面に接触していなくてもよい。また、空気マニホールド600がスタック状に整列する複数のセル100のy軸方向における第1側(y軸正方向側)の側端面に接触していないが、同側端面に接触していてもよい。壁800、及び、空気マニホールド600の何れに関しても、複数のセル100の側端面に接触している態様の方が、接触していない態様に比べて、前記側端面との間の隙間から空気が漏れない点において好ましい。
また、上記実施形態では、燃料マニホールド200の上壁が複数のセル100を支持するための支持板210を兼ねているが(即ち、支持板210が燃料マニホールド200と一体で構成されているが)、燃料マニホールド200の内部空間と複数のセル100のガス流路11とが連通する限りにおいて、支持板210が燃料マニホールド200とが別体で構成されていてもよい。
10…支持基板、11…燃料ガス流路、20…燃料極、40…固体電解質膜、60…空気極、A…発電素子部、100…セル、200…燃料マニホールド、210…支持板、211…挿入孔、300…接合材、400…集電部材、600…空気マニホールド、610…供給孔、800…壁

Claims (2)

  1. それぞれが、長手方向を有し且つその内部に前記長手方向に沿う燃料ガス流路が形成された平板状の支持基板と、前記支持基板の平面における前記長手方向に沿う互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ且つ少なくとも燃料極、固体電解質膜、及び空気極が積層されてなる複数の発電素子部と、を含む複数の燃料電池セルと、
    第1内部空間を有する燃料マニホールドであって、前記各セルが燃料マニホールドの上壁から上方に向けて前記長手方向に沿ってそれぞれ突出するように、且つ、上方から見たとき、前記各セルが第1方向に沿ってそれぞれ延在し且つ前記複数のセルが前記第1方向と直角の第2方向に沿って互いに離れてスタック状に整列するように、且つ、前記第1内部空間と前記複数のセルの前記燃料ガス流路のそれぞれの燃料ガス流入側の一端部とが連通するように、前記各セルの前記支持基板の前記長手方向における燃料ガス流入側の一端部を前記上壁に対して接合・支持する燃料マニホールドと、
    前記スタック状に整列する前記複数のセルに対して前記第1方向における第1側に配置され且つ第2内部空間を有する空気マニホールドであって、前記隣り合うセルの間のそれぞれの空間に向けて空気を供給するための前記第2内部空間と連通する供給孔を備えた空気マニホールドと、
    隣り合う前記セルの間のそれぞれの空間において、前記複数の発電素子部のうち上下方向における最も下側に設けられた発電素子部である最下発電素子部より下側に配置され、前記隣り合うセルの間を電気的に接続する複数の集電部材と、
    を備えた燃料電池のスタック構造体であって、
    前記供給孔は、上下方向において前記集電部材とはオーバラップせず且つ前記最下発電素子部とはオーバラップする位置に配置され、且つ、前記第1方向における前記第1側と反対の第2側に向けて開口しており、
    前記スタック状に整列する前記複数のセルに対して前記第1方向における前記第2側に配置された壁であって、前記複数のセルの前記第1方向における前記第2側の側端面を覆うように前記上下方向及び前記第2方向に沿って延在する壁を備えた、燃料電池のスタック構造体。
  2. 請求項1に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記供給孔は、前記スタック状に整列する前記複数のセルのうち前記第2方向における両端に位置する2つのセルの間に亘って、前記第2方向に連続して延在する単一の長穴である、燃料電池のスタック構造体。
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