JP5839756B1 - 燃料電池のスタック構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】マニホールド(特に、支持板)の表面から揮発したクロム(Cr)によってセルの発電素子部が被毒され難い燃料電池のスタック構造体を提供すること。【解決手段】ステンレス鋼で構成されたマニホールド200の上壁210に対して、複数のセル100が上壁210から上方に向けてそれぞれ突出し且つスタック状に整列するように、各セル100の燃料ガス流入側の一端部が、接合材を用いて接合・支持される。マニホールド200の表面の全域に亘って、(Mn、Co)3O4で構成されたコーティング膜400が形成されている。このコーティング膜400は、クロム(Cr)の捕獲剤(所謂、ゲッター)として機能し得るMgO粒子を含有している。コーティング膜400は、気孔率が10〜40%の多孔質膜であり、且つ、コーティング膜400におけるMgOの含有率は、3〜30体積%であることが好適である。【選択図】図15

Description

本発明は、燃料電池のスタック構造体に関する。
従来より、複数の燃料電池セルと、各燃料電池セルを支持するマニホールドとを備えた固体酸化物形燃料電池(以下、「SOFC」と呼ぶ)のスタック構造体が知られている(例えば、特許文献1を参照)。その他にも、複数の燃料電池セルと、各燃料電池セルを支持するセパレータとを備えたSOFCのスタック構造体が知られている。
特開2005−100687号公報
上記マニホールド又はセパレータは、通常、ステンレス鋼(鉄とクロムを含む金属材料、SUS)で構成される。また、SOFCのスタック構造体は、マニホールド又はセパレータ以外にも、ステンレス鋼で構成される金属部材を有することがある。このようにステンレス鋼で構成される金属部材を有するSOFCのスタック構造体を作動温度(例えば、800℃近傍)にて稼働させると、マニホールドなどの金属部材からクロム(Cr)が揮発し、その揮発したクロムによって、セルの発電素子部(特に、空気極)が被毒され得る。この結果、電極の性能(特性)が劣化し、SOFCの耐久性が低下する恐れがあった。
この問題に対処するため、本発明者は、マニホールドなどの金属部材の表面にコーティング膜を形成することを検討している。このコーティング膜の存在によって、SOFCの作動温度にて、マニホールドなどの金属部材の表面から揮発したクロムが膜の外部に流出し難くなり、セルの発電素子部に到達し難くなる。この結果、前記揮発したクロムによってセルの発電素子部が被毒される可能性が低減され得る。
ところで、マニホールドなどの金属部材の表面から揮発したクロムの発電素子部への到達を、コーティング膜の形成によって確実に抑制するためには、コーティング膜を緻密化することが有効である。これは、コーティング膜が多孔質であると、前記揮発したクロムが膜内部の気孔を介して膜の外部へ容易に流出し得ることに基づく。しかしながら、一般に、緻密質の膜を形成する場合、多孔質の膜を形成する場合と比べて、製造コストが高くなるという問題がある。
以上より、本発明は、鉄及びクロムを含む金属材料で構成された金属部材の表面に、コーティング膜が形成された燃料電池のスタック構造体であって、コーティング膜が多孔質であっても、前記金属部材の表面から揮発したクロムがセルの発電素子部へ到達することを確実に抑制できるものを提供することを目的とする。
本発明の第1側面に係る燃料電池のスタック構造体の特徴は、鉄とクロムとを含む金属材料で構成された金属部材の表面に、セラミックス材料を主成分としMgOを含む多孔質のコーティング膜が形成されたことにある。なお、ここで前記の多孔質とは、気孔率が10%以上のことを言う。前記コーティング膜は、気孔率が10〜40%であることが好適である。また、前記金属部材はステンレス鋼で構成されることが好適である。前記支持基板は、平板状であることが好適である。
上記構成によれば、MgOは、クロム(Cr)を捕獲する捕獲剤(所謂、ゲッター)として機能するため、コーティング膜が多孔質であっても、前記金属部材(典型的には、マニホールド)の表面から揮発したクロムが膜内部の気孔を通過する途中で膜内部に存在するMgOに捕獲され得る。従って、前記揮発したクロムが膜の外部に流出し難くなる。この結果、前記揮発したクロムがセルの発電素子部に到達することが確実に抑制され得る。
前記コーティング膜におけるMgOの含有率は、3〜30体積%であることが好適である。前記コーティング膜の厚さは、5〜100μmであることが好適である。また、前記コーティング膜の内部に存在する気孔の径の平均値は、0.1〜10μmであることが好ましい。これらの点については、後述する。
コーティング膜は、導電性セラミックスで構成されることが好適である。特に、コーティング膜を(Mn、Co)で構成することによって、コーティング膜に大きな熱応力が作用し難くなり、熱応力に起因する剥離がコーティング膜に発生する可能性が低くなる。これは、金属部材の材料(ステンレス鋼)と(Mn、Co)との熱膨張係数が略等しいことに因る。なお、コーティング膜は、Co、ZnO,又はLSCFなどによって構成することもできる。
本発明の第2側面に係る燃料電池のスタック構造体は、複数の燃料電池セルと、マニホールドとを備える。各燃料電池セルは、長手方向を有し且つその内部に前記長手方向に沿う燃料ガス流路が形成された支持基板と、前記支持基板の表面に設けられ且つ少なくとも燃料極、固体電解質、及び空気極がこの順で積層された発電素子部と、を含む。マニホールドは、内部空間を有し且つ前記内部空間に燃料ガスを導入するための導入部を備える。マニホールドは、前記各セルがマニホールドの上壁から上方に向けてそれぞれ突出するように、且つ、前記複数のセルがスタック状に整列するように、且つ、前記内部空間と前記複数のセルの前記燃料ガス流路のそれぞれの燃料ガス流入側の一端部とが連通するように、前記各セルの前記支持基板の前記長手方向における燃料ガス流入側の一端部を前記上壁に対して接合材を用いて接合・支持する。前記スタック構造体を構成する部材のうち鉄とクロムとを含む金属材料で構成された金属部材の表面に、(Mn、Co)で構成され且つMgOを含むコーティング膜が形成されている。
本発明の実施形態に係る燃料電池のスタック構造体に使用される1つのセルを示す斜視図である。 図1に示すセルの2−2線に対応する断面図である。 図1に示す支持基板の凹部に埋設された燃料極及びインターコネクタの状態を示した平面図である。 図1に示すセルの作動状態を説明するための図である。 図1に示すセルの作動状態における電流の流れを説明するための図である。 図1に示す支持基板を示す斜視図である。 図1に示すセルの製造過程における第1段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第2段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第3段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第4段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第5段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第6段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第7段階における図2に対応する断面図である。 図1に示すセルの製造過程における第8段階における図2に対応する断面図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池のスタック構造体の全体の斜視図である。 図15に示した燃料ガスマニホールドの全体の斜視図である。 図16に示した支持板に形成された挿入孔の拡大図である。 挿入孔とセルの一端部との接合部の様子、並びに、支持板にコーティング膜が形成された様子を示した縦断面図である。 挿入孔とセルの一端部との接合部の様子、並びに、支持板にコーティング膜が形成された様子を示した横断面図である。 コーティング膜の内部にMgO粒子が含まれている様子を示した縦断面図である。 図15に示したスタック構造体に対して燃料ガス及び空気が供給・排出される様子を示した図である。 1つの挿入孔に複数のセルの一端部が挿入される場合における図19に対応する図である。 支持板の孔にセルの一端部が進入しないようにセルが支持板に対して配置される場合における図18に対応する図である。 変形例に係る燃料電池のスタック構造を示す断面図である。
(スタック構造体に使用されるセルの構成の一例)
先ず、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体に使用されるセル100について説明する。
(構成)
図1に示すように、セル100は、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
このセル100の全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向(x軸方向)の辺の長さL1が50〜500mmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さL2が10〜100mmの長方形である(L1>L2)。このセル100の全体の厚さL3は、1〜5mmである(L2>L3)。このセル100の全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、図1に加えて、このセ
ル100の図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、このセル100の詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。後述する図6に示すように、支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。本例では、各凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。
支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」と、絶縁性セラミックスとを含んで構成され得る。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。
また、絶縁性セラミックスとしては、MgO(酸化マグネシウム)、又は、「MgAl(マグネシアアルミナスピネル)とMgO(酸化マグネシウム)の混合物」が好適である。また、絶縁性セラミックスとして、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、Y(イットリア)が使用されてもよい。
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。
支持基板10の厚さは、1〜5mmである。以下、この構造体の形状が上下対称となっていることを考慮し、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
図2及び図3に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)に形成された各凹部12には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。各燃料極集電部21の上面(外側面)には、凹部21aが形成されている。各凹部21aは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
各燃料極集電部21の上面(外側面)における凹部21aを除いた部分には、凹部21bが形成されている。各凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21bには、インターコネクタ30が埋設(充填)されている。従って、各インターコネクタ30は直方体状を呈している。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。各インターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
燃料極20(燃料極集電部21及び燃料極活性部22)の上面(外側面)と、インターコネクタ30の上面(外側面)と、支持基板10の主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で、段差が形成されていない。
燃料極活性部22は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極集電部21は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmであり、燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。
このように、燃料極集電部21は、電子伝導性を有する物質を含んで構成される。燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と酸素イオン伝導性を有する物質とを含んで構成される。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも大きい。
インターコネクタ30は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
燃料極20及びインターコネクタ30がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタ30が形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
即ち、燃料極20がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。
なお、図2に示すように、本例では、固体電解質膜40が、燃料極20の上面、インターコネクタ30の上面における長手方向の両側端部、及び支持基板10の主面を覆っている。ここで、上述したように、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が、「電気的接続部」に対応する。
なお、インターコネクタ30は、前記「電気的接続部」における前記「緻密な材料で構成された第1部分」に対応し、気孔率は10%未満である。空気極集電膜70は、前記「電気的接続部」における前記「多孔質の材料で構成された第2部分」に対応し、気孔率は20〜60%である。
以上、説明した図1に示す「横縞型」のセル100に対して、図4に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O+2e→O (於:空気極60) …(1)
+O →HO+2e (於:燃料極20) …(2)
発電状態においては、図5に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図4に示すように、このセル100全体から(具体的には、図4において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
(製造方法)
次に、図1に示した「横縞型」のセル100の製造方法の一例について図6〜図14を参照しながら簡単に説明する。図6〜図14において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
先ず、図6に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、CSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図6に示す7−7線に対応する部分断面を表す図7〜図14を参照しながら説明を続ける。
図7に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図8に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各凹部に、燃料極集電部の成形体21gがそれぞれ埋設・形成される。次いで、図9に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各凹部に、燃料極活性部の成形体22gがそれぞれ埋設・形成される。各燃料極集電部の成形体21g、及び各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとYSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
続いて、図10に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各凹部に、インターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成される。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO3)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
次に、図11に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)及び複数のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
次に、図12に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したセル100において空気極60及び空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
次に、図13に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
次に、図14に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したセル100が得られる。なお、この時点では、酸素含有雰囲気での焼成により、燃料極20(集電部21+活性部22)中のNi成分が、NiOとなっている。従って、燃料極20(集電部21+活性部22)の電子伝導性を獲得するため、その後、支持基板10側から還元性の燃料ガスが流され、NiOが800〜1000℃で1〜10時間に亘って還元処理される。なお、この還元処理は発電時に行われてもよい。以上、図1に示したセル100の製造方法の一例について説明した。
(スタック構造体の全体構成の一例)
次に、上述したセル100を用いた本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)のスタック構造体について説明する。図15に示すように、このスタック構造体は、複数のセル100と、複数のセル100のそれぞれに燃料ガスを供給するための燃料ガスのマニホールド(金属部材の一例)200と、を備えている。マニホールド200は、長手方向(z軸方向)を有する直方体状の筐体である。マニホールド200の全体は、ステンレス鋼等の鉄及びクロムを含む材料(ステンレス鋼等)で構成されている。
マニホールド200の上壁(換言すれば、ガスタンクの天板(平板))は、多数のセル100を支持するための平板状の支持板210を兼ねている。従って、支持板210も、ステンレス鋼等で構成されている。また、マニホールド200には、外部からマニホールド200の内部空間に燃料ガスを導入するための導入通路220が設けられている。各セル100が、支持板210に支持されている。詳細には、各セル100における支持基板10の長手方向(x軸方向)の燃料ガス流入側の端部(一端部)が、支持板210に対して接合材を用いて接合・支持されている(接合構造の詳細は後述する)。各セル100は、支持板210から上方(x軸正方向)に向けてそれぞれ突出している。また、各セル100は、複数のセル100がマニホールド200の長手方向(z軸方向)に沿ってスタック状に整列している。各セル100における支持基板10の長手方向(x軸方向)の燃料ガス排出側の端部(他端部)は、自由端となっている。従って、このスタック構造は、「片持ちスタック構造」と表現することができる。
図16に示すように、支持板210(マニホールド200の上壁)の表面(上面)には、マニホールド200の内部空間と連通する多数の挿入孔211が形成されている。各挿入孔211には、対応するセル100の前記一端部がそれぞれ挿入される。従って、マニホールド200の内部空間と複数のセル100のガス流路11のそれぞれの燃料ガス流入側の一端部とが連通している。
図17に示すように、各挿入孔211の形状は、長さL4、幅L5の長円形状(L4>L5)を呈し、線対称に関する対称軸の方向(第2長手方向、y軸方向)を有する。挿入孔211の長さL4は、セル100の一端部の側面の長さL2(図1を参照)より0.2〜3mm大きい。同様に、挿入孔211の幅L5は、セル100の一端部の側面の幅L3(図1を参照)より0.2〜3mm大きい。即ち、図18、図19に示すように、セル100の前記一端部が挿入孔211に挿入された状態では、挿入孔211の内壁とセル100の前記一端部の外壁との間に隙間が形成される。換言すれば、セル100の前記一端部が挿入孔211に遊嵌される。なお、図18、図19(特に、図19)では、前記隙間が誇張して描かれている。
図18、図19に示すように、挿入孔211とセル100の前記一端部との接合部のそれぞれにおいて、固化された接合材300が前記隙間に充填されるように設けられている。これにより、各挿入孔211と対応するセル100の前記一端部とがそれぞれ接合・固定されている。図18に示すように、各セル100のガス流路11の前記一端部は、マニホールド200の内部空間と連通している。
また、図18(及び、図15)に示すように、この例では、「マニホールド200の外壁面の全域(支持板210の表面(上面)の全域、並びに、マニホールド200の外壁の側面及び底面の全域)」、「各挿入孔211の内壁面の全域」、及び、「マニホールド200の内部空間を区画する内壁面の全域」に亘って、連続してコーティング膜400が形成されている。その結果、接合材300は、コーティング膜400の表面における「各挿入孔211の周縁部の全周に対応する部分」を覆うように、且つ、各セル100の前記一端部の側面の全周と接触するように、設けられている。なお、このコーティング膜400は、マニホールド200における「支持板210の表面(上面)の全域以外の表面」には形成されていなくてもよい。例えば、コーティング膜400は、マニホールド200の上面及び下面のみに形成されており、各挿入孔211の内壁面に形成されていなくてもよい。
接合材300は、結晶化ガラスで構成される。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、MgO−B系が採用され得るが、SiO−MgO系のものが最も好ましい。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラス(セラミックス)を指す。結晶化ガラスの結晶化度は、具体的には、例えば、「XRD等を用いて結晶相を同定し、SEM及びEDS、或いは、SEM及びEPMA等を用いて結晶化後のガラスの組織や組成分布を観察した結果に基づいて、結晶相領域の体積割合を算出する」ことによって得ることができる。接合材300の気孔率は、10%未満である。換言すれば、接合材300は、緻密質である。
コーティング膜400は、導電性セラミックス材料で構成されている。好ましくは、コーティング膜400は、(Mn、Co)で構成されている。(Mn、Co)の熱膨張係数は、マニホールド200の材料(ステンレス鋼)の熱膨張係数と略等しい。従って、マニホールド200との間で、コーティング膜400に大きな熱応力が作用し難くなる。この結果、熱応力に起因する剥離がコーティング膜400に発生する可能性が低くなる。コーティング膜400の気孔率は10〜40%であることが好ましい。これにより、コーティング膜400が緻密質である場合と比較して、コーティング膜400の製造コストが低くなる。
図20に示すように、コーティング膜400の内部には、MgO粒子が含まれている。MgO粒子は、コーティング膜400の内部に亘って略均一に点在(散在)している。このようにMgO粒子が含まれることによる作用・効果、コーティング膜400におけるMgOの含有率、コーティング膜400の厚さ、並びに、コーティング膜400の内部に存在する気孔の径の平均値、については、後述する。なお、図20に示すように、マニホールド200とコーティング膜400との間にはクロミア(Cr)膜が介在している。このクロミア膜は、コーティング膜400に対して施される後述する熱処理の際に不可避的に生成される。クロミア膜の厚さは、2〜15μmである。
また、図18に示すように、隣接するセル100、100の間には、隣接するセル100、100の間(より詳細には、一方のセル100の燃料極20と他方のセル100の空気極60)を電気的に直列に接続するための集電部材500が介在している。集電部材500は、例えば、金属メッシュ等で構成される。加えて、各セル100について表側と裏側とを電気的に直列に接続するための集電部材600も設けられている。
以上、説明した燃料電池の片持ちスタック構造を稼働させる際には、図21に示すように、高温(例えば、600〜800℃)の燃料ガス(水素等)及び「酸素を含むガス(空気等)」を流通させる。導入通路220から導入された燃料ガスは、マニホールド200の内部空間へと移動し、その後、各挿入孔211を介して対応するセル100のガス流路11にそれぞれ導入される。各ガス流路11を通過した燃料ガスは、その後、各ガス流路11の他端(自由端)から外部に排出される。空気は、スタック構造の内部における隣接するセル100間の隙間に沿って、セル100の幅方向(y軸方向)に流される。
上述した片持ちスタック構造は、例えば、以下の手順で組み立てられる。先ず、必要な枚数の完成したセル100、並びに、完成したマニホールド200が準備される。次いで、「マニホールド200の外壁の表面の全域」、「各挿入孔211の内壁面の全域」、及び、「マニホールド200の内部空間を区画する内壁面の全域」に亘って、コーティング膜400用の(Mn、Co)のペースト膜が連続して形成される。このペーストには、(Mn、Co)の粉末に加えて、MgOの粒子が含まれている。(Mn、Co)の粉末の粒径は2〜30μmであり、MgO粒子の粒径は0.5〜5μmである。
このペースト膜は、例えば、塗布、ディッピング法等によって形成される。なお、このように、マニホールド200の内外壁面、及び、各挿入孔211の内壁面の全域に亘ってペースト膜が形成される場合、マスキングが不要となるので、コーティングに要する工数、及びコストが削減され得る。
次いで、所定の治具等を用いて、複数のセル100がスタック状に整列・固定される。次に、複数のセル100がスタック状に整列・固定された状態が維持されながら、複数のセル100のそれぞれの一端部が、(上記ペースト膜が形成された)支持板210の対応する挿入孔211に一度に挿入される。次いで、接合材300用の非晶質材料(非晶質ガラス)のペーストが、挿入孔211とセル100の一端部との接合部のそれぞれの隙間に充填される。その際、図18に示すように、ペーストが支持板210の表面から上方に向けてはみ出す程度まで前記接合部に供給されてもよい。即ち、接合材300用のペーストが、コーティング膜400用のペースト膜の表面における「各挿入孔211の周縁部の全周に対応する部分」を覆うように、且つ、各セル100の前記一端部の側面の全周と接触するように、設けられ得る。
次に、上記のように充填された接合材300用の非晶質材料ペースト、及び、上記のように形成されたコーティング膜400用の(Mn、Co)のペースト膜に熱処理(結晶化処理)が加えられる。この熱処理によって前記非晶質材料の温度がその結晶化温度まで到達すると、結晶化温度下にて、材料の内部で結晶相が生成されて、結晶化が進行していく。この結果、非晶質材料が固化・セラミックス化されて、結晶化ガラスとなる。これにより、結晶化ガラスで構成される接合材300が機能を発揮し、各セルの一端部が対応する挿入孔211にそれぞれ接合・固定される。換言すれば、各セル100の一端部が接合材300を用いて支持板210にそれぞれ接合・支持される。また、コーティング膜400が、後述するコーティング機能を発揮し得るようになる。その後、前記所定の治具が複数のセル100から取り外されて、上述した片持ちスタック構造体が完成する。
以下、上述した「接合材300用の非晶質材料(非晶質ガラス)のペースト」について付言する。
SOFCセルを劣化させる被毒元素の一つとしてホウ素Bが挙げられる。或る濃度以上のBが燃料極に供給されると、燃料極を構成するNi粒子が肥大化し、その結果、燃料極の反応抵抗が増大してSOFCセルが劣化する。加えて、ホウ素Bが固体電解質膜と固溶することによって固体電解質膜の強度が低下し、その結果、ホウ素Bが空気極側へ飛散する可能性もある。燃料極及び空気極へのBの供給源の一つとして、ガラスが疑われている。係る観点から、接合材300内におけるBの含有量を小さくすることが望まれてきている。以上の知見に基づき、上記ペースト内(従って、結晶化ガラスとしての接合材300内)(特に、接合材300における表面から30μm以下の表層領域内)におけるホウ素Bの含有量は、10モル%以下であることが好ましい。
同様に、SOFCセルを劣化させる被毒元素として、アルカリ金属、リンP、硫黄S、塩素Cl等の不純物が知られている。上記のBと同様、SOFCセルの被毒劣化抑制の観点から、接合材300内における上述した不純物の含有量を小さくすることが望まれてきている。以上の観点に基づき、上記ペースト内(従って、結晶化ガラスとしての接合材300内)における、アルカリ金属、P、S、Clのそれぞれの含有量は、0.5モル%以下であることが好ましい。
SOFCセルを他の部材に接合する場合に使用される接合材は、高い熱膨張係数(50〜850℃において10×10−6/K以上)を有することが要求される。一般に、熱処理により上記ペーストが結晶化された後に高い熱膨張係数を有する結晶相が析出するように、上記ペースト中のガラス組成が調整される。ここで、Bの含有量が少ない結晶化ガラスであって50〜850℃において11.0×10−6/K以上の高い熱膨張係数を有するものを得るためには、上記ペースト中のガラスにバリウムBaを添加することが重要であることが分かってきている。以上の観点に基づき、上記接合材300用のペースト中のガラス内におけるBaの含有量は、BaOとして、5〜40モル%であることが好ましい。
ところで、熱処理により上記ペーストが結晶化されて得られる結晶化ガラス(結晶化度が60%以上)は、複数種類の結晶相を含む。これは以下の理由に基づく。即ち、一般に、熱処理中において、熱処理に使用される炉内の空間では場所によって温度上昇のパターンが異なる。従って、熱処理中では、上記ペーストの温度上昇のパターンも、上記ペーストの部分によって異なる。この結果、上記ペーストの部分によって、析出する結晶相が異なり得る。以上のことから、上記ペーストが結晶化されて得られる結晶化ガラスは、複数種類の結晶相を含み得る。
(コーティング膜400にMgOが含まれることによる作用・効果)
上述のように、(Mn、Co)で構成されたコーティング膜400には、MgO粒子が含まれる。ここで、MgOは、クロム(Cr)を捕獲する捕獲剤(所謂、ゲッター)として機能するため、コーティング膜400が多孔質であっても、ステンレス鋼で構成されたマニホールド200の表面から揮発したクロムがコーティング膜内部の気孔を通過する途中で、膜内部に存在するMgOに捕獲され得る。従って、前記揮発したクロムがコーティング膜400の外部に流出し難くなる。この結果、前記揮発したクロムがセル100の発電素子部に到達して発電素子部(特に、空気極60)が被毒すること、が確実に抑制され得る。
以下、多孔質のコーティング膜400にMgOが含まれることによる上述した作用・効果を確認するために行った試験Aについて説明する。
(試験A)
試験Aでは、図15に示したSOFCのスタック構造体について、(Mn、Co)で構成されたコーティング膜400に含まれるMgO粒子の含有率(体積%)が異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表1に示すように、7種類の水準が準備された。各水準に対して1個のサンプル(スタック構造体)が作製された。水準2〜7では、MgO粒子が含まれているが(MgOの含有率>0%)、水準1のみ、MgO粒子が含まれていない(MgOの含有率=0%)。MgOの含有率の調整は、コーティング膜400用のペースト内に含められるMgO粒子の量を調整することによってなされた。このペーストに含まれる(Mn、Co)の粉末の粒径は2〜30μmであり、MgO粒子の粒径は0.5〜5μmであった。
前記熱処理後の各サンプル(スタック構造体)について、スタック数(セル100の枚数)は5枚であった。セル100は、長さ(x軸方向)が50〜500mm、幅(y軸方向)が10〜100mm、厚さ(z軸方向)が1〜5mmの薄板状を呈していた。マニホールド200は、長さ(z軸方向)が20〜40mm、幅(y軸方向)が50〜150mm、高さ(x軸方向)が10〜50mmの直方体状を呈していた。マニホールド200の全体は、ステンレス鋼で構成されていた。
前記熱処理後の各サンプルについて、コーティング膜400の厚さは、20〜50μmとされた。コーティング膜400の気孔率は、10〜40%とされた。即ち、コーティング膜400は多孔質膜とされた。コーティング膜400の内部に存在する気孔の径の平均値は、0.1〜10μmとされた。コーティング膜400は、上記実施形態と同様(図18を参照)、マニホールド200の表面に全域に亘って形成されていた。コーティング膜についての前記熱処理は、800〜1050℃にて1〜10時間に亘って行われた。コーティング膜400の気孔率、及び、気孔径の調整は、ペースト内の粉末の粒径、造孔材の添加量等を調整することによってなされた。コーティング膜400の厚さの調整は、ペースト膜の厚さを調整することによってなされた。
コーティング膜400の「厚さ」として、コーティング膜400における所定の10か所での厚さの平均値が使用された。なお、コーティング膜400の外縁部(支持板210の外縁部に対応する領域)では、コーティング膜400の厚さが安定し難いことに鑑みて、コーティング膜400の外縁部以外の部分(中央部、平坦部)から、前記「所定の10か所」が選択・採用された。
コーティング膜400の「気孔率」、「気孔径の平均値」、及び、「MgO粒子の含有率」は、以下のように算出された。先ず、コーティング膜の気孔内に樹脂が進入するようにその膜に対して所謂「樹脂埋め」処理がなされた。その「樹脂埋め」処理されたコーティング膜の表面に対して機械研磨がなされた。機械研磨された表面の微構造を走査型電子顕微鏡を用いて観察して得られた画像に対して画像処理を行うことによって、それぞれの気孔の部分(樹脂が進入している部分)の面積が算出された。それぞれの気孔部分の面積から、それぞれの気孔の等価直径が算出された。それぞれの等価直径の平均値が、コーティング膜の「気孔の径の平均値」(μm)とされた。また、「前記機械研磨された表面の全面積」に対する「気孔部分の面積の総和」の割合が、コーティング膜400の「気孔率」(体積%)とされた。加えて、前記画像処理によって、MgO粒子が占める部分の面積の総和が算出された。「前記機械研磨された表面の全面積」に対する「MgO粒子が占める部分の面積の総和」の割合が、MgO粒子の含有率(体積%)とされた。なお、コーティング膜400の「気孔率」、「気孔径の平均値」、及び、「MgO粒子の含有率」の値として、それぞれ、機械研磨された複数個所(例えば、10箇所)の表面からそれぞれ得られる値の平均値を採用することが好ましい。
そして、この試験Aでは、上記熱処理後の各サンプルについて、800℃の高温雰囲気下、電流を一定に維持した状態で、スタック構造体の出力電圧の安定性に関する耐久試験が実施された。具体的には、1000hrが経過した時点での出力電圧の低下率(劣化率)が算出された。この評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、コーティング膜400にMgO粒子が含まれると(水準2〜7を参照)、MgO粒子が含まれない場合(水準1を参照)と比べて、出力電圧の劣化率が小さい。これは、以下の理由に基づくと考えられる。即ち、コーティング膜400の内部にMgOが含有していないと、前記耐久試験中に亘って、ステンレス鋼で構成されたマニホールド200の表面から揮発したクロムが、多孔質のコーティング膜400内部の気孔を通過してコーティング膜400の外部に流出し続ける。従って、前記流出したクロムがセル100の発電素子部に到達し続けることによって、発電素子部(特に、燃料極20及び空気極60)の被毒が進行し、電極の性能(特性)の劣化が進行する。この結果、前記耐久試験後において、出力電圧の劣化率が大きくなる。
これに対し、コーティング膜400にMgO粒子が含まれていると、マニホールド200の表面から揮発したクロムが、多孔質のコーティング膜400内部の気孔を通過する途中で、膜内部に存在するMgOに捕獲され得る。従って、前記揮発したクロムがコーティング膜400の外部に流出し難くなる。この結果、前記揮発したクロムによって発電素子部(特に、空気極60)が被毒し難くなるので、前記耐久試験後において、出力電圧の劣化率が小さくなる。
加えて、MgOの含有率が30体積%を超えると(水準7を参照)、コーティング膜400に剥離が生じた。これは、以下の理由に基づくと考えられる。即ち、MgOの熱膨張係数は、(Mn、Co)の熱膨張係数より大きい。従って、コーティング膜400におけるMgOの含有率が大き過ぎると、コーティング膜400の熱膨張係数が大きくなり過ぎて、コーティング膜400の熱膨張係数とマニホールド200の材料(ステンレス鋼)の熱膨張係数との差が大きくなる。この結果、マニホールド200との間で、コーティング膜400に大きな熱応力が作用し、この熱応力に起因してコーティング膜400に剥離が生じ易くなる。また、MgOの含有率が3体積%未満の場合については試験が行われなかった。以上より、MgOの含有率が3〜30体積%であると(水準2〜6を参照)、前記耐久試験後において、出力電圧の劣化率が小さくなることに加えて、コーティング膜400に剥離が発生し難くなる、といえる。
(コーティング膜にクラックが発生する事態を抑制するための膜厚の範囲)
図15に示したSOFCのスタック構造体では、通常の環境下で稼働される場合には、コーティング膜400にクラック(又は、剥離)が発生しない。しかしながら、SOFCのスタック構造体が熱応力的に過酷な環境下で稼働されると、コーティング膜400にクラックが発生する場合があった。本発明者は、係るクラックの発生が、コーティング膜400の厚さと強い相関があることを見出した。以下、このことを確認した試験Bについて説明する。
(試験B)
試験Bでは、図15に示したSOFCのスタック構造体について、(Mn、Co)で構成されたコーティング膜400の厚さが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表2に示すように、10種類の水準が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。各サンプルについて、上記試験Aと同様、コーティング膜400の「厚さ」は、コーティング膜400における前記所定の10か所での厚さの平均値とされた。表2に記載された厚さの値は、上記熱処理後の値(N=10の平均値)である。
各サンプル(図15に示すSOFCのスタック構造体)の基本的な形態(サイズ、スタック数、材料等)、熱処理条件等は、上記試験Aと同じとされた。各サンプルにおいて、熱処理後にて、コーティング膜400の気孔率は、10〜40%とされ、コーティング膜400におけるMgO粒子の含有率は3〜30体積%とされ、コーティング膜400の内部に存在する気孔の径の平均値は、0.1〜10μmとされた。コーティング膜400の「厚さ」、「気孔率」、「気孔径の平均値」、及び、「MgO粒子の含有率」の算出方法については、上記試験Aと同様である(後述する試験Cについても同じ)。
そして、上記熱処理後の各サンプルについて、「燃料極20に還元性の燃料ガスを流通させながら、雰囲気温度を常温から750℃まで2時間で上げた後に750℃から常温まで4時間で下げるパターン」を100回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、各サンプルについて、コーティング膜400の表面におけるクラック(又は、剥離)の発生の有無が確認された。この確認は、目視、並びに、顕微鏡を使用した観察によってなされた。この結果は表2に示すとおりである。
表2から理解できるように、熱応力的に過酷な上記熱サイクル試験を行った後では、コーティング膜400の厚さが100μmより大きいと、コーティング膜400の表面にクラックが発生し易い。これは、コーティング膜400の厚さが100μm以上では、ペーストを塗布したものを乾燥する段階で軽微なクラックが認められることがあり、この微小なクラックを起点にクラック発生に至ったものと考える。また、試験の都合等により、厚さが5μm未満のコーティング膜400を有するサンプルは作製されなかった。以上より、コーティング膜400の厚さが5〜100μmの範囲内であると、前記クラックが発生し難い、ということができる。
なお、本発明者は、通常の条件・環境下(例えば、常温から750℃まで4時間で上げた後に750℃から常温まで12時間で下げるパターン)にて上記実施形態が使用される場合、コーティング膜400の厚さが5〜100μmの範囲外であっても、コーティング膜400の表面にクラックが発生しないことを別途確認している。
(コーティング膜にクラックが発生する事態を抑制するための膜内の気孔径の範囲)
本発明者は、図15に示したSOFCのスタック構造体が熱応力的に過酷な環境下で稼働される場合に発生する上記クラックの発生が、「コーティング膜400内の気孔の径の平均値」とも強い相関があることを見出した。以下、このことを確認した試験Cについて説明する。
(試験C)
試験Cでは、図15に示したSOFCのスタック構造体について、(Mn、Co)で構成されたコーティング膜400内の気孔の径の平均値が異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表3に示すように、10種類の水準が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。表3に記載された気孔径の平均値は、上記熱処理(結晶化処理)後の値(N=10の平均値)である。
各サンプル(図15に示すSOFCのスタック構造体)の基本的な形態(サイズ、スタック数、材料等)、熱処理条件等は、上記試験Aと同じとされた。各サンプルにおいて、熱処理後にて、コーティング膜400の気孔率は、10〜40%とされ、コーティング膜400におけるMgO粒子の含有率は3〜30体積%とされ、コーティング膜400の厚さは20〜50μmとされた。
そして、上記熱処理後(結晶化処理後)の各サンプルについて、「燃料極20に還元性の燃料ガスを流通させながら、雰囲気温度を常温から750℃まで2時間で上げた後に750℃から常温まで4時間で下げるパターン」を100回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、各サンプルについて、コーティング膜400の表面におけるクラック(又は、剥離)の発生の有無が確認された。この確認は、目視、並びに、顕微鏡を使用した観察によってなされた。この結果は表3に示すとおりである。
表3から理解できるように、熱応力的に過酷な上記熱サイクル試験を行った後では、コーティング膜400内の気孔の径の平均値が10μmより大きいと、コーティング膜400の表面にクラックが発生し易い。これは、気孔の径の平均値が10μmよりも大きいと、気孔の内壁面に応力集中が発生し、これがクラックの発生に起因するものと考えられる。また、試験の都合等により、気孔の径の平均値が0.1μm未満のコーティング膜400を有するサンプルは作製されなかった。以上より、コーティング膜400内の気孔の径の平均値が0.1〜10μmの範囲内であると、前記クラックが発生し難い、ということができる。
なお、本発明者は、通常の条件・環境下(例えば、常温から750℃まで4時間で上げた後に750℃から常温まで12時間で下げるパターン)にて上記実施形態が使用される場合、コーティング膜400内の気孔の径の平均値が0.1〜10μmの範囲外であっても、コーティング膜400の表面にクラックが発生しないことを別途確認している。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、隣り合う発電素子部の間が電気的に接続された所謂「横縞型」のセルが採用されているが、支持基板の表面に発電素子部が1つのみ設けられたセルが採用されてもよい。
また、上記実施形態では、支持板に形成された1つの挿入孔に1つのセルの前記一端部が挿入されているが、図22に示すように、支持板に形成された1つの挿入孔211に2つ以上のセル100の前記一端部が挿入されていてもよい。なお、図22では、隣接するセル100、100の間隔が誇張して描かれている。更には、支持板に形成された1つの(唯一の)挿入孔に複数のセルの前記一端部の全てが挿入されていてもよい。
また、上記実施形態では、挿入孔211にセル100の前記一端部が挿入されている(即ち、挿入孔211の内部空間にセル100の前記一端部が進入している)が(図18等を参照)、図23に示すように、孔211にセル100の前記一端部が挿入されていなくてもよい(即ち、孔211の内部空間にセル100の前記一端部が進入していなくてもよい)。この場合、接合材300が、各孔211と対応するセル100の前記一端部との接合部のそれぞれにおいて孔211とセル100の前記一端部との間に存在する空間に充填されるように設けられる。
更には、上記実施形態では、マニホールド200の天板が多数のセル100を支持するための支持板210を兼ねているが(即ち、支持板210がマニホールド200と一体で構成されているが)、マニホールドの内部空間と複数のセルのガス流路とが連通する限りにおいて、支持板がマニホールドとは別体で構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられているが、支持基板10の片側面のみに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられていてもよい。また、上記実施形態では、支持基板10が平板状を呈しているが、支持基板が円筒状を呈していても良い。この場合、円筒状の支持基板の内側空間がガス流路として機能する。
また、上記実施形態では、マニホールド200の表面にのみコーティング膜400が形成されているが、集電部材500及び/又は集電部材600(図18、図23を参照)が鉄とクロムとを含む金属材料(ステンレス鋼等)で構成される場合、集電部材500及び/又は集電部材600の表面にも、コーティング膜400((Mn、Co)で構成され且つMgOを含む膜)が形成されることが好適である。これにより、マニホールド200のみならず、集電部材500及び/又は集電部材600の表面から揮発したクロムがセル100の発電素子部に到達することも抑制され得る。
また、上記実施形態では、マニホールド200が本発明の金属部材に相当するものとして説明したが、マニホールドではない金属部材が本発明の金属部材に相当し、その金属部材の表面に、MgOを含むコーティング膜400が形成されていてもよい。例えば、上記実施形態では、マニホールド200が各セル100を支持するスタック構造体(いわゆる円筒平板型スタック構造体であるが、図24に示すように、セパレータが各セル100を支持するスタック構造体(いわゆる平板型スタック構造体)であってもよい。この場合、セパレータが本発明の金属部材に相当する。
詳細には、燃料電池のスタック構造体は、セル100と、複数のセパレータ201とを備えている。各セパレータ201は、メッシュ301を介して、セル100と電気的に接続されている。メッシュ301は、例えばニッケルである。また、各セパレータ201は、シールガラス401を介してセル100に接着されている。
セル100は、燃料極101、固体電解質102、及び空気極103を備える。電解質102の一方面に燃料極101が配置され、電解質102の他方面に空気極103が配置されている。各セパレータ201は、セル100に空気または燃料ガスを供給するように構成されている。各セパレータ201は、例えば、貫通孔THを介して燃料ガス又は空気を燃料極101または空気極103に供給する。
各セパレータ201の表面には、MgOを含むコーティング膜400が形成されている。コーティング膜400は、貫通孔THの内壁面にも形成されている。なお、コーティング膜400は、上記実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。コーティング膜400は、各セパレータ201の空気極側の面のみに形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、コーティング膜400は、(Mn、Co)で構成されているが、コーティング膜400の母材は特にこれに限定されない。例えば、コーティング膜400の母材は、Co、ZnO、(La、Sr)(Co,Fe)O、(La、Sr)FeO、La(Ni、Fe、Cu)O、又は(Sm、Sr)CoOなどであってもよい。このコーティング膜400を、メッシュ301に適用してもよい。
10…支持基板、11…燃料ガス流路、20…燃料極、40…固体電解質膜、60…空気極、100…セル、200…マニホールド、210…支持板、211…挿入孔、300…接合材、400…コーティング膜、A…発電素子部

Claims (11)

  1. 燃料極、固体電解質、及び空気極を有する複数の燃料電池セルと、
    鉄及びクロムを含む金属材料で構成された金属部材と、
    前記金属部材の表面に形成され、セラミックス材料を主成分としMgO粒子を含む多孔質のコーティング膜と、を備え
    前記コーティング膜におけるMgO粒子の含有率は、3〜30体積%である、
    燃料電池のスタック構造体。
  2. 請求項1に記載の燃料電池のスタック構造であって、
    前記コーティング膜は、導電性セラミックス材料で構成される、燃料電池のスタック構造体。
  3. 請求項2に記載の燃料電池のスタック構造体であって、
    前記導電性セラミックス材料は、(Mn,Co)である、燃料電池のスタック構造体。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記コーティング膜の気孔率は、10〜40%である、燃料電池のスタック構造体。
  5. 請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記コーティング膜の厚さは、5〜100μmである、燃料電池のスタック構造体。
  6. 請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記コーティング膜の内部に存在する気孔の径の平均値が、0.1〜10μmである、燃料電池のスタック構造体。
  7. 請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記金属部材は、前記各燃料電池セルを支持するマニホールドであり、
    前記燃料電池セルは、前記燃料極、前記固体電解質、及び前記空気極を有する発電素子部と、前記発電素子部を支持する支持基板と、を有し、
    前記支持基板は、長手方向を有し、且つ、前記長手方向に沿う燃料ガス流路が内部に形成される、燃料電池のスタック構造
  8. 請求項に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記マニホールドは、前記鉄及びクロムを含む金属材料で構成される上壁を有し、
    前記コーティング膜は、前記マニホールドの上壁の表面の全域に亘って、形成された、燃料電池のスタック構造体。
  9. 請求項に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記マニホールドの全体が前記鉄とクロムとを含む金属材料で構成され、
    前記マニホールドの上壁には、前記マニホールドの内部空間と前記複数の燃料電池セルの燃料ガス流入側の一端部とを連通するための1つ又は複数の貫通する孔が形成され、
    前記各燃料電池セルの前記一端部が対応する前記孔に対応して位置付けられ、
    前記マニホールドの内部空間内のガスが前記各孔と対応する前記燃料電池セルの前記一端部との間の隙間を介して外部に漏れ出ないように、前記各燃料電池セルの前記一端部の側面の全周が接合材を介して前記マニホールドの上壁に対して接合・固定され、
    前記コーティング膜は、前記マニホールドの上壁の表面の全域に加えて、前記各孔の内壁面、及び、前記マニホールドの表面の全域にも連続して形成された、燃料電池のスタック構造体。
  10. 請求項に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記接合材は、前記コーティング膜の表面における前記各孔の周縁部の全周に対応する部分を覆うように、且つ、前記各燃料電池セルの前記一端部の側面の全周と接触するように、設けられた、燃料電池のスタック構造体。
  11. 請求項1乃至の何れか一項に記載の燃料電池のスタック構造体において、
    前記金属部材は、前記各燃料電池セルの間に配置されるセパレータである、
    燃料電池のスタック構造体。
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