JP2018170109A - 燃料電池構造体 - Google Patents
燃料電池構造体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018170109A JP2018170109A JP2017065213A JP2017065213A JP2018170109A JP 2018170109 A JP2018170109 A JP 2018170109A JP 2017065213 A JP2017065213 A JP 2017065213A JP 2017065213 A JP2017065213 A JP 2017065213A JP 2018170109 A JP2018170109 A JP 2018170109A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fuel
- fuel cell
- electrode
- fuel gas
- oxide
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
Landscapes
- Fuel Cell (AREA)
Abstract
【課題】シール材に含まれるバリウムと支持板中のクロムやコーティング膜中のアルミニウムなどによる反応を抑制し、接合剤によるシール機能の低下や燃料極や空気極のクロムによる被毒を防止することで、燃料電池の発電効率を高く維持する。【解決手段】燃料電池構造体は、燃料極と空気極とこの燃料極とこの空気極との間に配置された固体電解質とを有して構成される固体酸化物形の燃料電池セルと、ステンレス鋼により形成されて燃料電池セルの燃料極に燃料ガスを供給する燃料ガス供給部材と、バリウムを含有するガラスにより形成されて燃料ガス供給部材と燃料電池セルとのシールを行なうシール部材と、備え、更に燃料ガス供給部材とシール部材との間にマンガンを含む化合物または酸化物により形成された反応防止層を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、燃料電池構造体に関し、詳しくは固体酸化物形燃料電池の燃料電池構造体に関する。
従来、この種の燃料電池構造体としては、固体酸化物形燃料電池の燃料ガスのマニホールドを形成すると共に燃料電池セルを支持するステンレス鋼製の支持板の表面に絶縁性セラミックスで構成されるコーティング膜が形成されており、コーティング膜を介して支持板と燃料電池セルとをバリウムを含有する接合材により接合するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この燃料電池構造体では、接合材は、燃料電池セルや支持板の熱膨張率と同等となるように、ガラスに添加されるバリウムの量が調整されており、コーティング膜は、結晶化度が60%以上の結晶化ガラス(SiO2−B2O3系、SiO2MgO系)またはAl2O3により形成されている。そして、このコーティング膜を有することにより、固体酸化物形燃料電池の作動温度(例えば、800℃近傍)として燃料電池を稼働させたときに支持板の表面から揮発したクロムにより燃料極や空気極が被毒されるのを防止している。
また、ステンレス鋼製の固体酸化物形燃料電池の燃料ガスのマニホールドに燃料電池セルを接合材を用いて接合すると共に、接合材の露出部分をコーティング膜により覆うものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。この燃料電池構造体では、接合材は、シール機能を高めるために、ステンレス鋼を腐食させる物質(ナトリウムやカリウムなど)を含む結晶化ガラスで形成されており、コーティング膜は、ステンレス鋼を腐食させる物質を含まない結晶化ガラス(SiO2−ZnO−BaO−La2O3系やSiO2−ZnO−BaO系など)により形成されている。そして、このコーティング膜を有することにより、接合材を酸化還元雰囲気に接しないようにし、ステンレス鋼の腐食を防止している。
しかしながら、特許文献1に記載された燃料電池構造体では接合材にバリウムが含まれており、特許文献2に記載された燃料電池構造体ではコーティング膜にバリウムが含まれているため、バリウムが固体酸化物形燃料電池の作動温度(例えば、800℃近傍)で支持板中のクロムやコーティング膜中のアルミニウムと反応し、接合材によるシール機能の低下や燃料極や空気極のクロムによる被毒によって、燃料電池の発電効率を低下させる場合が生じる。
本発明の燃料電池構造体は、シール材に含まれるバリウムによる反応を抑制し、シール機能の低下や燃料極や空気極のクロムによる被毒を防止することで、燃料電池の発電効率を高く維持することを主目的とする。
本発明の燃料電池構造体は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の燃料電池構造体は、
燃料極と、空気極と、前記燃料極と前記空気極との間に配置された固体電解質と、を有して構成される固体酸化物形の燃料電池セルと、
ステンレス鋼により形成され、前記燃料電池セルの前記燃料極に燃料ガスを供給する燃料ガス供給部材と、
バリウムを含有するガラスにより形成され、前記燃料ガス供給部材と前記燃料電池セルとのシールを行なうシール部材と、
を備える燃料電池構造体であって、
前記燃料ガス供給部材と前記シール部材との間にマンガンを含む化合物または酸化物により形成された反応防止層を備える、
ことを特徴とする。
燃料極と、空気極と、前記燃料極と前記空気極との間に配置された固体電解質と、を有して構成される固体酸化物形の燃料電池セルと、
ステンレス鋼により形成され、前記燃料電池セルの前記燃料極に燃料ガスを供給する燃料ガス供給部材と、
バリウムを含有するガラスにより形成され、前記燃料ガス供給部材と前記燃料電池セルとのシールを行なうシール部材と、
を備える燃料電池構造体であって、
前記燃料ガス供給部材と前記シール部材との間にマンガンを含む化合物または酸化物により形成された反応防止層を備える、
ことを特徴とする。
この本発明の燃料電池構造体では、燃料電池セルの燃料極に燃料ガスを供給する燃料ガス供給部材はステンレス鋼により形成されており、燃料ガス供給部材と燃料電池セルとのシールを行なうシール部材はバリウムを含有するガラスにより形成されており、燃料ガス供給部材とシール部材との間にマンガンを含む化合物または酸化物により形成された反応防止層を備える。マンガンを含む化合物または酸化物により形成された反応防止層は、シール材のバリウムと燃料ガス供給部材に含まれるクロムとの反応を阻害するから、シール材に含まれるバリウムによる反応を抑制し、シール機能の低下や燃料極や空気極のクロムによる被毒を防止することで、燃料電池の発電効率を高く維持することができる。
本発明の燃料電池構造体において、反応防止層は、マンガンを含む化合物として、例えば、酸化マンガン、マンガンコバルト酸化物スピネル、マンガン亜鉛酸化物スピネルが挙げられるが、その他の元素を含んだマンガン化合物を用いてもよい。その他の元素としては、Cu(例えば、(Mn,Cu)3O4)、Fe(例えば、(Mn,Fe)3O4)、Al(例えば、(Mn,Al)3O4)などを挙げることができる。また、(Mn,Co,Fe)3O4のように、上記のマンガンを含む化合物にその他の元素(Co,Zn,Cu,Fe,Alなど)が含まれた化合物を用いてもよい。また、反応防止層は厚さが1μm〜30μmであるものとしてもよい。
本発明の燃料電池構造体において、燃料ガス供給部材は、フェライト系ステンレス鋼により形成されており、酸化アルミニウムまたはコバルト酸化物スピネルによる被膜が形成されているものとしてもよい。こうすれば、燃料極や空気極に対するフェライト系ステンレス鋼に含まれるクロムによる被毒を防止することができる。
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての燃料電池構造体を有する発電モジュール10の構成の概略を示す構成図であり、図2は図1の発電モジュール10における二点鎖線の円部分を拡大して示す拡大図である。
図1は、本発明の一実施形態としての燃料電池構造体を有する発電モジュール10の構成の概略を示す構成図であり、図2は図1の発電モジュール10における二点鎖線の円部分を拡大して示す拡大図である。
発電モジュール10は、図1に示すように、水蒸気を生成する気化器22と、天然ガスやLPガスなどの原燃料ガスを水蒸気改質反応により改質して水素を含む燃料ガス(改質ガス)を生成する改質器24と、水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとを反応させて発電する複数の燃料電池セル40がスタッキングされた燃料電池スタック30と、燃料ガス供給管26を介して改質器24と接続され改質器24からの燃料ガスを各燃料電池セル40に分配する燃料ガスマニホールド34と、酸化剤ガスを各燃料電池セル40に分配する酸化剤ガスマニホールド38と、を備え、これらは、モジュールケース11に収容されている。なお、発電モジュール10は、その発電に伴って発生した熱を回収して給湯する図示しない給湯ユニット(貯湯タンク)と組み合わされることにより、燃料電池システムを構成する。
モジュールケース11は、断熱性材料により箱形に形成され、原燃料ガス供給管12と改質水供給管14と空気供給管16とが接続されている。原燃料ガス供給管12は、供給源からの原燃料ガスを気化器22へ供給する配管であり、その配管には開閉弁やポンプ、流量計、圧力計、脱硫器などが設けられている。改質水供給管14は、改質水を気化器22へ供給する配管であり、その配管には改質水タンクやポンプなどが設けられている。空気供給管16は、酸化剤ガスとしてのエアを酸化剤ガスマニホールド38へ供給する配管であり、その配管にはエアブロワや流量計などが設けられている。
また、モジュールケース11には、気化器22による水蒸気の生成や改質器24による水蒸気改質反応などに必要な熱を供給するための燃焼部28が設けられている。燃焼部28は、燃料電池セル40の発電反応に利用されなかった余剰の燃料ガス(アノードオフガス)および酸化剤ガス(カソードオフガス)を点火して燃焼させることにより、燃焼熱を用いて気化器22や改質器24を加熱する。燃焼部28の燃焼により生成される燃焼排ガスは、モジュールケース11の上部に設けられた燃焼排ガス排出管18を介してケース外へ排出される。なお、燃焼排ガス排出管18には図示しない熱交換器が接続され、熱交換器は、循環配管を介して貯湯タンクから供給される貯湯水を燃焼排ガスとの熱交換によって加温する。また、熱交換器を通過した燃焼排ガスは、貯湯水との熱交換によって凝縮され、その水蒸気成分が改質水タンクへ回収される。
燃料電池セル40は、酸素イオン伝導体からなる緻密構造の円筒状の固体電解質と、固体電解質の内側に積層された多孔質構造の燃料極(内側電極層)と、固体電解質の外側に積層された多孔質構造の空気極(外側電極層)と、から構成される円筒形の固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)セルとして構成されており、長手方向における両端部には集電用のキャップ48が取り付けられている。燃料極の内部には燃料ガスが流れる燃料ガス流路44が形成されており、燃料電池セル40は、燃料ガス流路44と燃料ガスマニホールド34とが連通するように燃料ガスマニホールド34の支持板36に立設されている。
固体電解質は、例えば、Y,Sc,Caなどの希土類元素から選ばれる1種または2種以上をドープした安定化ジルコニア、Gd,Y,Smなどの希土類元素から選ばれる1種または2種以上をドープしたセリア、La,Sr,Ga,Mg,Coから選ばれる1種または2種以上をドープしたランタンガレート、などを用いることができる。
燃料極は、例えば、高い水素酸化活性を示すNiやFeなどの触媒金属とY,Sc,Caなどの希土類元素から選ばれる1種または2種以上をドープした安定化ジルコニアとの混合体、NiやFeなどの触媒金属とGd,Y,Smなどの希土類元素から選ばれる1種または2種以上をドープしたセリアとの混合体、NiやFeなどの触媒金属とLa,Sr,Ga,Mg,Coから選ばれる1種または2種以上をドープしたランタンガレートとの混合体、などを用いることができる。
空気極は、例えば、Sr,Caから選ばれる1種または2種をドープしたランタンマンガナイト、Sr,Co,Ni,Cuから選ばれる1種または2種以上をドープしたランタンフェライト、Sr,Fe,Ni,Cuから選ばれる1種または2種以上をドープしたランタンコバルタイト、Sr,Feから選ばれる1種または2種をドープしたバリウムコバルタイト、銀、銀−パラジウム合金、白金、などを用いることができる。
なお、固体電解質と空気極との間には、ガドリニウムをドープしたセリア(GDC)、イットリアをドープしたセリア(YDC)、サマリウムをドープしたセリア(SDC)などの希土類をドープしたセリア混合体を用いた反応防止層を設けることも好適である。
キャップ48は、例えば、フェライト系ステンレスなどの金属材料やランタンクロマイトなどの導電性セラミックス材料により形成された中空の筒状体であり、有底の大径筒状部48aと、大径筒状部48aの底壁から大径筒状部48aの開口とは反対側に突設される小径筒状部48bとを有する。
接続板32は、例えば、フェライト系ステンレスなどの金属材料により形成され、図1に示すように、互いに隣接する2つの燃料電池セル40のうち一方の燃料電池セル40のキャップ48(燃料極)と他方の燃料電池セル40の空気極とを電気的に接続する。複数の燃料電池セル40は、互いに隣接する2つの燃料電池セル40が接続板32を介して連結されることにより、電気的に直列に接続される。
酸化剤ガスマニホールド38は、空気供給管16と接続されており、各燃料電池セル40の空気極に酸化剤ガス(空気)を分配するための複数の供給口38aが形成されている。
燃料ガスマニホールド34は、上部が開口した箱型の部材であり、上部の開口を塞いで密閉空間を形成するよう支持板36が接合されている。支持板36は、複数の貫通孔36aが所定間隔で形成されており、それぞれの貫通孔36aにキャップ48の小径筒状部48bが貫通するよう燃料電池セル40が挿入されることにより、複数の燃料電池セル40を立設した状態で支持する。これにより、燃料ガスマニホールド34は、各燃料電池セル40の燃料ガス流路44と中空のキャップ48を介して連通し、燃料ガス供給管26から供給される燃料ガスを各燃料電池セル40の燃料ガス流路44に供給(分配)する。燃料ガス流路44に供給された燃料ガスは、燃料ガス流路44を通過し、上側のキャップ48から上方へ排出される。支持板36は、例えば、フェライト系ステンレス鋼や、オーステナイト系ステンレス鋼などの金属材料により形成されており、その表面に酸化アルミニウムまたはコバルト酸化物スピネルによるコーティング膜37が形成されている。このコーティング膜37は、支持板36に含まれるクロムによる燃料極や空気極の被毒を防止するが、図3に示すように、こうしたコーティング膜37を備えないものとしても構わない。コーティング膜37は、支持板36としてアルミニウムを含むフェライト系ステンレス鋼(例えば日新製鋼株式会社の製品名NCA−1)を用いる場合、支持板36を700℃〜1100℃に加熱することにより、その表面に酸化アルミニウム(Al2O3)の被膜(0.1μm〜3μm)として形成することができる。また、コーティング膜37は、酸化アルミニウム(Al2O3)または酸化コバルト(Co3O4)の薄膜を支持板36にディップコートやスプレーコート、溶射、メッキなどの手法により形成することもできる。
燃料電池セル40と支持板36との間、すなわちキャップ48の大径筒状部48aの端面(環状端面)と支持板36の上面との間には、シール材50およびシール材反応防止層52によってシール層が形成されている。シール材50は、例えば、アルミナ−シリカ系ガラスなどの耐熱性およびシール性に優れたガラスに、燃料電池セル40や支持板36などの熱膨張係数(11×10-6/k)程度となるようにバリウム(Ba)が添加されたガラスにより形成されている。シール材反応防止層52は、酸化マンガン(Mn2O3等)やマンガンコバルト酸化物スピネル((Mn,Co)3O4等)、マンガン亜鉛酸化物スピネル(ZnMn2O4)等のマンガンを含む化合物または酸化物の薄膜として支持板36にディップコートやスプレーコート、溶射、メッキなどの手法により形成されている。
次に、本実施形態の燃料電池構造体における支持板36とシール材50とシール材反応防止層52について説明する。固体酸化物形燃料電池の作動温度(例えば、800℃近傍)では、シール材50に含まれるバリウム(Ba)は支持板36などのステンレス鋼に含まれるクロム(Cr)や支持板36に施したコーティング膜37を形成する酸化アルミニウム(Al2O3)中のアルミニウム(Al)と反応し、シール材50の機能を低下させたり、また、酸化コバルト(Co3O4)中のCoについてもシール材と反応(熱拡散)し、シール機能やコーティング機能を低下させる。このため、支持板36とシール材50との間にシール材反応防止層52を設ける。シール材反応防止層52は、上述したように、酸化マンガン(Mn2O3等)やマンガンコバルト酸化物スピネル((Mn,Co)3O4等)、マンガン亜鉛酸化物スピネル(ZnMn2O4等)により形成されており、シール材50に含まれるバリウム(Ba)とコーティング膜37のアルミニウム(Al)、コバルト(Co)や支持板36のクロム(Cr)との反応を防止する。
シール材反応防止層52の機能について以下の試験を行なった。以下の実施例1〜4および比較例1〜3の試験に用いるシール材50については、SiO2−ZnO−BaO系のガラスに500〜900℃で熱膨張係数が8〜14×10-6/kの範囲内となるようにバリウム(Ba)の添加量を調整したものを用いた。
(1)実施例1
支持板36として、アルミニウム(Al)を含むフェライト系ステンレス鋼(日新製鋼株式会社の製品名NCA−1)のピースを用い、ピースを大気雰囲気中で1000℃で加熱して厚みが2μmの酸化アルミニウム(Al2O3)のコーティング膜37を形成した。次に、コーティング膜37の上にマンガンを含む化合物または酸化物(Mn2O3等)をディップコートによりコーティングして900℃で焼成し、厚みが10μmのシール材反応防止層52を形成した。そして、シール材反応防止層52の一部の上にシール材50を形成し、750℃で100時間の加熱耐久試験を行なった。
支持板36として、アルミニウム(Al)を含むフェライト系ステンレス鋼(日新製鋼株式会社の製品名NCA−1)のピースを用い、ピースを大気雰囲気中で1000℃で加熱して厚みが2μmの酸化アルミニウム(Al2O3)のコーティング膜37を形成した。次に、コーティング膜37の上にマンガンを含む化合物または酸化物(Mn2O3等)をディップコートによりコーティングして900℃で焼成し、厚みが10μmのシール材反応防止層52を形成した。そして、シール材反応防止層52の一部の上にシール材50を形成し、750℃で100時間の加熱耐久試験を行なった。
(2)実施例2
支持板36としてフェライト系ステンレス鋼のピースを用い、ピースにディップコートによりコバルト酸化物スピネルをコーティングし、更にその上にマンガンを含む化合物または酸化物(Mn2O3等)をディップコートによりコーティングして900℃で焼成し、厚みが10μのコーティング膜37と厚みが10μmのシール材反応防止層52とを形成した。そして、シール材反応防止層52の一部の上にシール材50を形成し、750℃で100時間の加熱耐久試験を行なった。
支持板36としてフェライト系ステンレス鋼のピースを用い、ピースにディップコートによりコバルト酸化物スピネルをコーティングし、更にその上にマンガンを含む化合物または酸化物(Mn2O3等)をディップコートによりコーティングして900℃で焼成し、厚みが10μのコーティング膜37と厚みが10μmのシール材反応防止層52とを形成した。そして、シール材反応防止層52の一部の上にシール材50を形成し、750℃で100時間の加熱耐久試験を行なった。
(3)比較例1
支持板36としてアルミニウム(Al)を含むフェライト系ステンレス鋼(日新製鋼株式会社の製品名NCA−1)のピースを用い、ピースを大気雰囲気中で1000℃で加熱して厚みが2μmの酸化アルミニウム(Al2O3)のコーティング膜37を形成した。そして、コーティング膜37の一部の上にシール材50を形成し、750℃で100時間の加熱耐久試験を行なった。
支持板36としてアルミニウム(Al)を含むフェライト系ステンレス鋼(日新製鋼株式会社の製品名NCA−1)のピースを用い、ピースを大気雰囲気中で1000℃で加熱して厚みが2μmの酸化アルミニウム(Al2O3)のコーティング膜37を形成した。そして、コーティング膜37の一部の上にシール材50を形成し、750℃で100時間の加熱耐久試験を行なった。
(4)比較例2
支持板36としてフェライト系ステンレス鋼のピースを用い、ピースにディップコートによりコバルト酸化物スピネルをコーティングして900℃で焼成し、厚みが10μのコーティング膜37を形成した。そして、コーティング膜37の一部の上にシール材50を形成し、750℃で100時間の加熱耐久試験を行なった。
支持板36としてフェライト系ステンレス鋼のピースを用い、ピースにディップコートによりコバルト酸化物スピネルをコーティングして900℃で焼成し、厚みが10μのコーティング膜37を形成した。そして、コーティング膜37の一部の上にシール材50を形成し、750℃で100時間の加熱耐久試験を行なった。
(5)実施例3
支持板36としてフェライト系ステンレス鋼のピースを用い、ピースにディップコートによりマンガンを含む化合物または酸化物(Mn2O3等)をコーティングして900℃で焼成し、厚みが10μmのシール材反応防止層52を形成した。そして、シール材反応防止層52の一部の上にシール材50を形成し、750℃で100時間の加熱耐久試験を行なった。
支持板36としてフェライト系ステンレス鋼のピースを用い、ピースにディップコートによりマンガンを含む化合物または酸化物(Mn2O3等)をコーティングして900℃で焼成し、厚みが10μmのシール材反応防止層52を形成した。そして、シール材反応防止層52の一部の上にシール材50を形成し、750℃で100時間の加熱耐久試験を行なった。
(6)実施例4
支持板36としてフェライト系ステンレス鋼のピースを用い、ピースにディップコートによりマンガンコバルト酸化物スピネル((Mn,Co)3O4等)をコーティングして900℃で焼成し、厚みが10μmのシール材反応防止層52を形成した。そして、シール材反応防止層52の一部の上にシール材50を形成し、750℃で100時間の加熱耐久試験を行なった。
支持板36としてフェライト系ステンレス鋼のピースを用い、ピースにディップコートによりマンガンコバルト酸化物スピネル((Mn,Co)3O4等)をコーティングして900℃で焼成し、厚みが10μmのシール材反応防止層52を形成した。そして、シール材反応防止層52の一部の上にシール材50を形成し、750℃で100時間の加熱耐久試験を行なった。
(7)比較例3
支持板36としてフェライト系ステンレス鋼を用い、支持板36の一部の上にシール材50を形成し、750℃で100時間の加熱耐久試験を行なった。
支持板36としてフェライト系ステンレス鋼を用い、支持板36の一部の上にシール材50を形成し、750℃で100時間の加熱耐久試験を行なった。
実施例1,2および比較例1,2の試験結果を表1に示し、実施例3,4および比較例3の試験結果を表2に示す。
(1)実施例1,2では、シール材50とコーティング膜37との反応は観察されなかった。比較例1,2では、シール材50とコーティング膜37との反応が観察された。比較例1では、コーティング膜37とシール材50との間に気泡が発生し、比較例2では、シール材50の剥離が生じた。これらのことから、マンガンを含む化合物または酸化物(Mn2O3等)によるシール材反応防止層52を有することにより、バリウム(Ba)を含むガラスによるシール材50と酸化アルミニウム(Al2O3)やコバルト酸化物スピネルによるコーティング膜37との反応を防止することができるのが解る。
(2)実施例3,4では、シール材50と鋼材との反応は観察されなかった。比較例3では、シール材50と鋼材中のクロム(Cr)との反応による変色が観察された。これらのことから、マンガンを含む化合物または酸化物(Mn2O3等)やマンガンコバルト酸化物スピネル((Mn,Co)3O4等)によるシール材反応防止層52を有することにより、バリウム(Ba)を含むガラスによるシール材50とフェライト系ステンレス鋼との反応を防止することができるのが解る。
以上説明した実施形態の燃料電池構造体では、フェライト系ステンレス鋼により形成された燃料ガスマニホールド34を構成すると共に酸化アルミニウム(Al2O3)やコバルト酸化物スピネルによるコーティング膜37がコーティングされた支持板36と、バリウム(Ba)を含むガラスによって形成されて支持板36と燃料電池セル40のキャップ48とをシールするシール材50との間に、マンガンを含む化合物または酸化物(Mn2O3等)やマンガンコバルト酸化物スピネル((Mn,Co)3O4等)によるシール材反応防止層52を有することにより、シール材50とコーティング膜37との反応を防止することができる。また、フェライト系ステンレス鋼により形成された燃料ガスマニホールド34を構成する支持板36と、バリウム(Ba)を含むガラスによって形成されて支持板36と燃料電池セル40のキャップ48とをシールするシール材50との間に、マンガンを含む化合物または酸化物(Mn2O3等)やマンガンコバルト酸化物スピネル((Mn,Co)3O4等)によるシール材反応防止層52を有することにより、シール材50と支持板36との反応を防止することができる。これにより、シール材50に含まれるバリウムによるコーティング膜37のアルミニウム(Al)、コバルト(Co)や支持板36のクロムとの反応を抑制し、シール機能の低下や燃料極や空気極のクロムによる被毒を防止することで、燃料電池の発電効率を高く維持することができる。
実施形態の燃料電池構造体では、燃料電池セル40を円筒形状に構成するものとしたが、燃料電池セルの形状は円筒形状に限定されるものではなく、角柱形状としたり、平板形状としたりしてもよい。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、燃料電池構造体の製造産業などに利用可能である。
10 発電モジュール、11 モジュールケース、12 原燃料ガス供給管、14 改質水供給管、16 空気供給管、18 燃焼排ガス排出管、22 気化器、24 改質器、26 燃料ガス供給管、28 燃焼部、30 燃料電池スタック、32 接続板、34 燃料ガスマニホールド、36 支持板、36a 貫通孔、37 コーティング膜、38 酸化剤ガスマニホールド、40 燃料電池セル、44 燃料ガス流路、48 キャップ、48a 大径筒状部、48b 小径筒状部、50 シール材、52 シール材反応防止層。
Claims (4)
- 燃料極と、空気極と、前記燃料極と前記空気極との間に配置された固体電解質と、を有して構成される固体酸化物形の燃料電池セルと、
ステンレス鋼により形成され、前記燃料電池セルの前記燃料極に燃料ガスを供給する燃料ガス供給部材と、
バリウムを含有するガラスにより形成され、前記燃料ガス供給部材と前記燃料電池セルとのシールを行なうシール部材と、
を備える燃料電池構造体であって、
前記燃料ガス供給部材と前記シール部材との間にマンガンを含む化合物または酸化物により形成された反応防止層を備える、
ことを特徴とする燃料電池構造体。 - 請求項1記載の燃料電池構造体であって、
前記反応防止層は、前記マンガンを含む酸化物として、酸化マンガン、マンガンコバルト酸化物スピネル、マンガン亜鉛酸化物スピネルのいずれかにより形成されている、
燃料電池構造体。 - 請求項1または2記載の燃料電池構造体であって、
前記反応防止層は、厚さが1μm〜30μmである、
燃料電池構造体。 - 請求項1ないし3のうちのいずれか1つの請求項に記載の燃料電池構造体であって、
前記燃料ガス供給部材は、フェライト系ステンレス鋼により形成されており、酸化アルミニウムまたはコバルト酸化物スピネルによる被膜が形成されている、
燃料電池構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017065213A JP2018170109A (ja) | 2017-03-29 | 2017-03-29 | 燃料電池構造体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017065213A JP2018170109A (ja) | 2017-03-29 | 2017-03-29 | 燃料電池構造体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018170109A true JP2018170109A (ja) | 2018-11-01 |
Family
ID=64017865
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017065213A Pending JP2018170109A (ja) | 2017-03-29 | 2017-03-29 | 燃料電池構造体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018170109A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022168760A1 (ja) | 2021-02-04 | 2022-08-11 | 東芝エネルギーシステムズ株式会社 | 電気化学装置、および、その製造方法 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010003623A (ja) * | 2008-06-23 | 2010-01-07 | Nissan Motor Co Ltd | 固体酸化物形燃料電池スタック及び接着用材料 |
JP2011162863A (ja) * | 2010-02-12 | 2011-08-25 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp | 耐酸化性と電気伝導性に優れたAl含有フェライト系ステンレス鋼 |
JP2013220990A (ja) * | 2012-04-17 | 2013-10-28 | Schott Ag | バリウムおよびストロンチウム不含のガラス質もしくはガラスセラミックの接合材料ならびにそれらの使用 |
JP2015022844A (ja) * | 2013-07-17 | 2015-02-02 | 日本特殊陶業株式会社 | 燃料電池 |
JP2016042457A (ja) * | 2014-08-14 | 2016-03-31 | 日本碍子株式会社 | 燃料電池のスタック構造体 |
JP2016048676A (ja) * | 2014-08-25 | 2016-04-07 | 日本碍子株式会社 | 燃料電池 |
JP2016126927A (ja) * | 2015-01-05 | 2016-07-11 | 大阪瓦斯株式会社 | 燃料電池用部材の製造方法 |
JP2017019708A (ja) * | 2015-04-22 | 2017-01-26 | ショット アクチエンゲゼルシャフトSchott AG | ガラス質の又は少なくとも部分的に結晶化した融着材料、接合結合部、遮断層及びこの融着材料を含む層系及びこの部材への組み込み |
-
2017
- 2017-03-29 JP JP2017065213A patent/JP2018170109A/ja active Pending
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010003623A (ja) * | 2008-06-23 | 2010-01-07 | Nissan Motor Co Ltd | 固体酸化物形燃料電池スタック及び接着用材料 |
JP2011162863A (ja) * | 2010-02-12 | 2011-08-25 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp | 耐酸化性と電気伝導性に優れたAl含有フェライト系ステンレス鋼 |
JP2013220990A (ja) * | 2012-04-17 | 2013-10-28 | Schott Ag | バリウムおよびストロンチウム不含のガラス質もしくはガラスセラミックの接合材料ならびにそれらの使用 |
JP2015022844A (ja) * | 2013-07-17 | 2015-02-02 | 日本特殊陶業株式会社 | 燃料電池 |
JP2016042457A (ja) * | 2014-08-14 | 2016-03-31 | 日本碍子株式会社 | 燃料電池のスタック構造体 |
JP2016048676A (ja) * | 2014-08-25 | 2016-04-07 | 日本碍子株式会社 | 燃料電池 |
JP2016126927A (ja) * | 2015-01-05 | 2016-07-11 | 大阪瓦斯株式会社 | 燃料電池用部材の製造方法 |
JP2017019708A (ja) * | 2015-04-22 | 2017-01-26 | ショット アクチエンゲゼルシャフトSchott AG | ガラス質の又は少なくとも部分的に結晶化した融着材料、接合結合部、遮断層及びこの融着材料を含む層系及びこの部材への組み込み |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022168760A1 (ja) | 2021-02-04 | 2022-08-11 | 東芝エネルギーシステムズ株式会社 | 電気化学装置、および、その製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6463203B2 (ja) | 電気化学素子、それを備えた電気化学モジュール、電気化学装置およびエネルギーシステム | |
EP2393148B1 (en) | Heat-resistant alloy, alloy member for fuel cell, fuel cell stack device, fuel cell module, and fuel cell device | |
JP2004512651A (ja) | 燃料電池セル | |
JP2009129852A (ja) | セルスタック及び燃料電池 | |
JP2004522275A (ja) | 金属支持された電気化学的電池及び該電気化学的電池を備えたマルチセルリアクタ | |
JP2022028859A (ja) | 電気化学素子ユニット、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池ユニットおよび固体酸化物形電解セルユニット | |
US7601450B2 (en) | Hybrid interconnect for a solid-oxide fuel cell stack | |
JP2008108647A (ja) | 改質器一体型燃料電池 | |
JP2017183224A (ja) | 電気化学素子、セルユニット、電気化学モジュール、電気化学装置およびエネルギーシステム | |
JP4412986B2 (ja) | セルスタック及び燃料電池 | |
JP2018125284A (ja) | 固体酸化物形燃料電池セル | |
JP6773472B2 (ja) | 電気化学反応単位および電気化学反応セルスタック | |
JP4798947B2 (ja) | 燃料電池セル及びセルスタック並びに燃料電池 | |
JP2018170109A (ja) | 燃料電池構造体 | |
JP5179131B2 (ja) | 横縞型燃料電池セルおよび燃料電池 | |
JP6917182B2 (ja) | 導電性部材、電気化学反応単位、および、電気化学反応セルスタック | |
JP2006107936A (ja) | 平板形固体酸化物燃料電池用インターコネクタ | |
JP5437152B2 (ja) | 横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックおよび燃料電池 | |
JP5179153B2 (ja) | 横縞型燃料電池セルおよびセルスタック並びに燃料電池 | |
JP5198108B2 (ja) | 横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックおよび燃料電池 | |
JP4646511B2 (ja) | 燃料電池セル及びセルスタック並びに燃料電池 | |
JP2015185301A (ja) | 固体酸化物形燃料電池スタック、固体酸化物形燃料電池モジュールおよび固体酸化物形燃料電池システム | |
JPWO2018181923A1 (ja) | 電気化学装置、エネルギーシステム、および固体酸化物形燃料電池 | |
JP2018195496A (ja) | 燃料電池セルの集電構造およびその製造方法 | |
WO2023286749A1 (ja) | 電気化学セル、電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200210 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210122 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210202 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20210803 |