JP2018125284A - 固体酸化物形燃料電池セル - Google Patents

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Abstract

【課題】発電用の空気に含有する硫黄による燃料電池セルの空気極層の硫黄被毒の課題を解決するために、空気極層の上層に設ける集電層中に硫黄捕集機能が設けられるとともに、集電層本来の導通機能を確保された、耐久性の高い燃料電池セルを提供する。【解決手段】固体酸化物形の電解質層を間に挟んで燃料極層と空気極層とが積層された燃料電池セルにおいて、空気極層の外表面に銀を含有する集電層を有し、集電層は、アルカリ土類金属を第1の濃度で含有する電子伝導層と、アルカリ土類金属を第1の濃度よりも高い第2の濃度で含有する硫黄捕集層とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、原料ガスを改質して得られた燃料ガスと酸化剤ガスとの反応により発電する固体酸化物形燃料電池セルに関する。
固体酸化物形燃料電池装置(Solid Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」とも言う)は、電解質として酸化物イオン導電性固体電解質を用い、その両側に電極を取り付けた燃料電池セルを複数モジュール容器内に配設し、その燃料電池セルの一方の電極(燃料極)に燃料ガスを供給し、他方の電極(空気極)に酸化剤ガス(空気、酸素等)を供給することで発電反応により発電する電力を取り出す装置である。高分子電解質形燃料電池装置等の他の燃料電池装置に対して、例えば600〜1000℃程度の比較的高温で動作する。
ここで一般に、固体酸化物形燃料電池装置に供給する酸化剤ガス中には、SO等の硫黄化合物が含まれている。この硫黄化合物が空気極と反応することにより、空気極の触媒活性が低下してしまうという、いわゆる空気極の硫黄被毒の問題が知られている。酸化剤ガスとして大気中の空気を用いることが一般的であるため、特に硫黄化合物を多量に含有する自動車の排気ガスや硫黄ガスが放出される幹線道路沿いや温泉地等の設置場所においては、空気極の劣化が加速することになる。この対策として、固体酸化物形燃料電池装置内において酸化剤ガスに含まれる硫黄化合物が空気極に到達しないように、硫黄フィルターを取り付けることが考えられる。しかし、装置価格の上昇やメンテナンスの負荷の増大に鑑み、フィルターレスの装置構成で空気極の硫黄被毒の問題を解決することが求められてきた。
特別な硫黄フィルターを設けずに問題を解決するために、特許文献1では空気極層を電極反応層とSO吸着層と集電層との3層構造とすることで、SO吸着層により空気中のSOを選択的に吸着するとともに、触媒活性機能と電子導電性の確保を両立することができることが記載されている。
特開2016−177987号公報
上述した特許文献1に記載のSO吸着層は、La0.5Sr0.5CoOに例示されるアルカリ土類金属(Sr)を含有する酸化物で構成される。SO吸着層はアルカリ土類金属により空気中の硫黄化合物を選択的に吸着させるために別途設けた機能層であるため、硫黄被毒の影響がなければ本来設けることを回避したい層である。すなわち、電極反応層と集電層との間に酸化物でなるSO吸着層を追加挿入することで、電極反応層から集電層への電子の伝導経路に抵抗成分が加わるため、燃料電池セルにおいて電流取出効率が低下してしまう。特に一般的な固体酸化物形燃料電池装置においては、燃料電池セルひとつでは出力可能な電圧は1V程度に限られるため、これらを複数直列的に接続することで必要な出力を確保している。このため、SO吸着層の挿入により生じる抵抗成分が直列回路中で加算されることとなるため、燃料電池セルを複数電気的に接続したセルスタックにおいては、抵抗成分の増加による電流取出効率の低下が顕著となる。
そこで発明者は、空気極の硫黄被毒の問題を解決するために特許文献1に記載のような高抵抗であるSO吸着層を挿入することで電流取出効率を低下させることの無いように、高導電性のSO吸着層を形成することに想到した。すなわち本来機能として必須の集電層に硫黄化合物を捕集する機能を付加させれば良いと考えた。
上述した通り、高温環境下で作動する固体酸化物形燃料電池装置においては、集電層として利用することのできる導電材料は限られるなか、耐高温酸化性など種々の要件を満たす材料として銀又は銀を主成分とする導電材料を用いることが一般的である。しかし、銀又は銀を主成分とする導電材料に硫黄化合物を捕集する機能を十分に付加させるためには、この導電材料中にSr等のアルカリ土類金属を多量に含有させる必要があった。ところが、アルカリ土類金属を多量に含有させてしまうと導電材料の電気抵抗が増大してしまうため、本来の集電機能が十分に確保できなくなってしまう。
そこで本発明は、発電用の空気に含有する硫黄による燃料電池セルの空気極層の硫黄被毒の課題を解決するために、空気極層の上層に設ける集電層中に硫黄捕集機能が設けられるとともに、集電層本来の導電機能を確保された、耐久性の高い燃料電池セルを提供するものである。
そこで発明者は、単層の集電層に硫黄捕集機能を付加して導電性能と捕集性能とを併有させることに代えて、集電層自体を、導電機能を有する部分と硫黄化合物の捕集機能を有する部分とに分離形成することに想到した。
すなわち、本発明にかかる燃料電池セルの一態様は、固体酸化物形の電解質層を間に挟んで燃料極層と空気極層とが積層された燃料電池セルにおいて、空気極層の外表面に銀を含有する集電層を有し、集電層は、アルカリ土類金属を第1の濃度で含有する電子伝導層と、アルカリ土類金属を第1の濃度よりも高い第2の濃度で含有する硫黄捕集層とを有するものである。
本態様によれば、燃料電池セルの電流取出効率を酸化物層等の追加によって低下させることなく集電性能を維持したまま、硫黄化合物の捕集機能を付加することができる。このため、性能の低下なく耐久性の高い燃料電池セルを提供することができる。
なお本明細書において示す燃料電池セルは、燃料極層、電解質層、空気極層及び集電層を含むものであるが、集電層に酸化物でなるSO吸着層を設けることを除いて、その他の構成を除外するものでなく、例えば電解質層と空気極層との間に構成材料間の反応を防止するための反応防止層が設けられていてもよい。
また、本明細書において「燃料極層」とは、供給された水素を含有する燃料ガスから含有されるNi等の金属触媒によって水素イオンを生成する燃料極触媒層の他、燃料極触媒層等の機能層を積層するための支持体も含むものとする。
また本発明の一態様においては、空気極層は、電子伝導層及び硫黄捕集層が含有するアルカリ土類金属と同一のアルカリ土類金属を含むペロブスカイト型酸化物を含有することが好ましい。
本態様によれば、集電層を構成する電子伝導層及び硫黄捕集層と、空気極層とにおいて同一のアルカリ土類金属を用いているため、各層における密着性を向上させることができるため、膜剥がれを抑止して燃料電池セルの耐久性の向上に寄与する。
また本発明の一態様においては、集電層は、硫黄捕集層の外表面上に電子伝導層が積層された積層構造を有することが好ましい。
本態様によれば、集電層を電子伝導層と硫黄捕集層との積層構造体とするに際し、空気極に接触する側である下層として硫黄捕集層を設け、その上部で燃料電池セルとして外表面を構成する上層に電子伝導層を設けているため、アルカリ土類金属の含有濃度が高い層が空気極層と接触することとなる。このため、アルカリ土類金属の含有濃度の比較的低い電子伝導層に対して硫黄捕集層と空気極層との密着性をより高めることができる。一方、硫黄捕集層と電子伝導層とはいずれも銀を主成分とする導電性材料で構成されるため、同様に密着強度が高い構成とすることができる。
さらに、電子伝導層と硫黄捕集層とはそれぞれに含有するアルカリ土類金属の濃度が異なるため、層ごとに別工程で成膜し焼成することが考えられる。この製造工程を経る場合には、集電層のうち下層を電子伝導層とすると、加熱焼成後にさらに上層の硫黄捕集層の加熱焼成工程を受けるため、電子伝導層を構成する銀のシンタリングが進み、膜が緻密化するため、空気極層に酸化剤ガスを供給するための酸素透過能を低下させてしまう。一方本態様によれば、上層の電子伝導層の製造時の熱履歴は自身が受ける焼成のみであるため、焼成による緻密性を制御することが容易であり、下層の硫黄捕集層は比較的多量に含まれるアルカリ土類金属によって複数の焼成加熱を経ても所定の酸素透過能を保持させることができる。
また本発明の一態様においては、第1の濃度は0.01wt%以上7wt%以下であり、前記第2の濃度は1.5wt%以上10wt%以下であることが好ましい。
本態様によれば、アルカリ土類金属が適切な濃度範囲で含まれるため、導電性能と硫黄捕集性能を兼ね備えた長期信頼性の高い集電層を提供することが可能である。第1の濃度がこの範囲であることにより、製造時や運転中の銀シンタリングが過度に進んで膜が緻密化し、酸素透過能を損なうことを防止できる。また、電子伝導層として期待される高導電性を発揮することが可能となる。第2の濃度がこの範囲であることにより、長期間にわたって硫黄捕集能力を発揮しつつ、導電物質である銀のネットワークが形成可能となるため、集電層としての機能を発揮することが可能となる。
また本発明の一態様においては、電子伝導層又は硫黄捕集層中のアルカリ土類金属は、ペロブスカイト型酸化物として含有されていることが好ましい。
本態様によれば、空気極層がペロブスカイト型酸化物を含有する場合、集電層と空気極層との密着強度が高くなるために、良好な発電性能と耐久信頼性を得ることができる。
また本発明の一態様においては、燃料電池セルは、内側に配置された燃料極層の外側に向かって電解質層、空気極層及び集電層が設けられた筒状形状であり、燃料極層は、燃料電池セルの軸方向に燃料ガスを流通させる内部流路を有し、硫黄捕集層は、空気極層の外表面上であって、少なくとも内部流路に燃料ガスが供給される燃料電池セルの一端側近傍に設けられていることが好ましい。
本態様によれば、筒状形状の燃料電池セルを固体酸化物形燃料電池装置に用いた場合、燃料電池セルの形状が一軸方向に延在する形状であるため、供給された燃料ガス中の水素は一端側近傍でより多く発電に消費されることになる。またこの発電反応を実現するために、燃料電池セルの外部から一端側に向けて酸化剤ガスが供給される。このようにして、一端側での発電反応が燃料電池セルの軸方向分布において高くなる。
このように燃料電池セルの一端側近傍では発電反応が活発であるため、空気極層に硫黄成分が吸着した場合には、空気極層中のアルカリ土類金属元素(例えば空気極層を構成するSr)を引き抜いて酸化物を形成してしまう(例えばSrSO)、硫黄被毒が生じる。
本態様においては、筒状形状の燃料電池セルの一端側近傍に少なくとも硫黄捕集層が設けられているため、空気極層の硫黄被毒を防止することができる。
さらに、発電反応により生じた電流は燃料電池セルの集電端子に向かって流れるため、発電反応が活発な一端側で電流集中が発生する。特にこの一端側近傍に集電端子を設置した場合には、より一端側での電流集中が顕著となる。このような電流集中下においては、後述するように燃料電池セルスタックや燃料電池モジュールを構成する金属部材から蒸発するCr(クロム)が空気極層中を拡散し、反応場において析出することで空気極層を劣化させるクロム被毒の問題を発生させる。
本態様において、アルカリ土類金属を含有する硫黄捕集層は、さらにCrについても捕集機能があることがわかった。このため、筒状形状の燃料電池セル構造に起因して生じる電流集中により顕著となるクロム被毒に対しても、抑止効果を発揮することができる。
ここで、本明細書において「筒状形状」とは一軸方向に延在した立体形状を有する燃料電池セルであって、軸方向に貫通した少なくともひとつの通路を有する中空の形状を含むものである。例えば、円筒形、扁平円筒形等の立体形状が含まれる。
また本発明の一態様においては、硫黄捕集層の膜厚は、10μm以上120μm以下であることが好ましい。
本態様によれば、硫黄捕集領域が確保されるため、硫黄被毒耐性の高い燃料電池セルを提供することができる。さらに、コストや製造工程の煩雑化を抑制することができる。
また本発明の一態様においては、電子伝導層の膜厚は、10μm以上80μm以下であることが好ましい。
本態様によれば、必要な膜厚が確保されているため、前記筒状形状の燃料電池セルにおいて、軸方向に電流が流れる際の抵抗を低減することができる。
また本発明の一態様においては、空気極層の膜厚は、10μm以上60μm以下であることが好ましい。
本態様によれば、電極活性領域が確保されるために、高い性能が得られる。また、製造時の焼成収縮に伴う界面剥離を防止できる。
また本発明の一態様においては、電解質層は、LSGM層でなることが好ましい。
固体酸化物形燃料電池装置に用いる燃料電池セルの電解質層としてLSGMを用い場合、LSGMの特徴である600℃〜700℃という比較的低温の作動温度領域において、空気極層と硫黄化合物との反応が特に顕著であることがわかった。本発明の一態様においては、LSGMを用いた場合であっても空気極の硫黄被毒を十分抑制することができるため、固体酸化物形燃料電池装置として総合的に高いエネルギー効率を得ることができる。
発電用の空気に含有する硫黄による燃料電池セルの空気極層の硫黄被毒の課題を解決するために、空気極層の上層に設ける集電層中に硫黄捕集機能が設けられるとともに、集電層本来の導通機能を確保された、耐久性の高い燃料電池セルを提供することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルの断面の一態様を示す模式図である。 固体酸化物形燃料電池システムを示す全体構成図である。 固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池モジュールを示す側面断面図である。 固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池セルスタックを示す斜視図である。 固体酸化物形燃料電池システム燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。 図3のIII−III線に沿う断面図である。 実施例における耐久試験後のセル断面における電子顕微鏡像である。 実施例における耐久試験後のセル断面における硫黄の元素マッピング像である。 円筒形状セルにおける電流密度分布のシミュレーション結果である。
以下では、本明細書に開示する発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。以下の説明から、当業者にとって、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、以下の説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更することができる。
本発明の燃料電池セルの形状は、特定のものに限定されるものではなく、例えば円筒、板状、内部にガス流路を複数形成した中空板状などであってもよい。好ましくは、筒状形状を有する燃料電池セルである。
本発明にかかる燃料電池セルは、固体酸化物形の電解質層を間に挟んで燃料極層と空気極層とが積層された燃料電池セルにおいて、空気極層の外表面に銀を含有する集電層を有し、集電層は、アルカリ土類金属を第1の濃度で含有する電子伝導層と、アルカリ土類金属を第1の濃度よりも高い第2の濃度で含有する硫黄捕集層とを有するものである。
燃料極層
燃料極層は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレートとの混合体、の少なくとも一種から形成される。本実施形態では、燃料極層は、Ni/YSZからなる。
なお、上述のとおり本明細書において燃料極層は、燃料極触媒層や支持体を含むものとする。例えば燃料極層は、導電性支持体とその外表面に形成された燃料極触媒層との積層体であってもよく、絶縁性支持体とその外表面に形成された燃料極触媒層との積層体であってもよい。さらに燃料極層の機能の向上や耐久性の向上のために別途設けられた中間層や濃度傾斜層等を含む積層構造体であってもよい。
同様に、電解質層及び空気極層も、これらの機能の向上や耐久性向上のために別途設けられた中間層や濃度傾斜層等を含む積層構造体であってもよい。
電解質層
電解質層は、燃料極層の外周面に沿って全周にわたって形成されており、下端は燃料極層の下端よりも上方で終端し、上端は燃料極層の上端よりも下方で終端している。電解質層は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
電解質層は、Sr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物であることが好ましく、より好適には一般式La1−aSrGa1−b−cMgCo(但し、0.05≦a≦0.3、0<b<0.3、0≦c≦0.15)で表されるランタンガレート系酸化物(LSGM)である。なお、電解質層は、微量成分として、上記に示した材料以外の成分を含んでいても良い。
空気極層
空気極層は、電解質層の外周面に沿って全周にわたって形成されており、下端は電解質層の下端よりも上方で終端し、上端は電解質層の上端よりも下方で終端している。
空気極層は、電子伝導層及び硫黄捕集層が含有するアルカリ土類金属と同一のアルカリ土類金属を含むペロブスカイト型酸化物を含有することが好ましい。アルカリ土類金属としては、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)およびバリウム(Ba)から選択される一種以上を用いることができる。
空気極層に含まれるアルカリ土類金属は、ペロブスカイト型酸化物として含有されていることが好ましい。ペロブスカイト型酸化物としては、La1−xSrCoO(但し、x=0.1〜0.3)及びLaCo1−xNi(但し、x=0.1〜0.6)などのランタンコバルト系酸化物、(La、Sr)FeO系と(La、Sr)CoO3系の固溶体であるランタンコバルトフェライト系酸化物(La1−mSrCo1−nFe(但し、0.05<m<0.50、0≦n≦1))、サマリウム及びコバルトを含むサマリウムコバルト系酸化物(Sm0.5Sr0.5CoO)などが挙げられる。好ましくは、ランタンストロンチウムコバルタイトフェライト(LSCF)である。
空気極層の膜厚は、10μm以上60μm以下であることが好ましく、10μm以上45μm以下であることが更に好ましい。これにより、下地層との密着性を高くでき、高いセル性能を得ることができる。
燃料極層は、上述する内部流路に燃料ガス流通する(−)極として機能し、空気極は燃料電池セルユニット1100の外部から供給される空気(酸化剤ガス)と接触する(+)極として機能する。
集電層
集電層は、空気極層の外表面に銀を含有する層として形成される。集電層は、アルカリ土類金属を第1の濃度で含有する電子伝導層と、アルカリ土類金属を第1の濃度よりも高い第2の濃度で含有する硫黄捕集層とを有する。
電子伝導層は、主に発電に伴う電子を伝導する役割を果たす。
硫黄捕集層は、主に硫黄化合物を捕集する役割を果たす。酸素含有ガスに含まれるSOなどの硫黄化合物を捕集し、空気極層に供給されないようにすることが可能となる。
電子伝導層と硫黄捕集層は、空気極層の外表面に形成されていれば、積層の順番は問わない。つまり、空気極層の外表面に電子伝導層が形成され、電子伝導層の外表面に硫黄捕集層が形成された積層構造でも良い。もしくは、空気極層の外表面に硫黄捕集層が形成され、硫黄捕集層の外表面に電子伝導層が形成された積層構造でも良い。
電子伝導層および硫黄捕集層は、銀を含む。銀は層として導電性を発現するために含まれるものである。導電性を発揮するために、各層において、銀を30wt%以上含むことが好ましく、60wt%以上含むことがさらに好ましく、85wt%以上含むことがさらにより好ましい。これにより、集電層に必要とされる高導電性を発揮することが可能である。
電子伝導層および硫黄捕集層は、銀の他に、アルカリ土類金属を含む。
電子伝導層および硫黄捕集層に含まれるアルカリ土類金属としては、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)およびバリウム(Ba)から選択される一種以上を用いることができる。
電子伝導層または硫黄捕集層に含まれるアルカリ土類金属は、ペロブスカイト型酸化物として含有されていることが好ましい。ペロブスカイト型酸化物としては、La1−xSrCoO(但し、x=0.1〜0.3)及びLaCo1−xNi(但し、x=0.1〜0.6)などのランタンコバルト系酸化物、(La、Sr)FeO系と(La、Sr)CoO3系の固溶体であるランタンコバルトフェライト系酸化物(La1−mSrCo1−nFe(但し、0.05<m<0.50、0≦n≦1))、サマリウム及びコバルトを含むサマリウムコバルト系酸化物(Sm0.5Sr0.5CoO)などが挙げられる。好ましくは、ランタンストロンチウムコバルタイトフェライト(LSCF)である。
電子伝導層は、アルカリ土類金属を第1の濃度で含む。第1の濃度は0.01wt%以上7wt%以下であることが好ましく、0.01wt%以上3.5wt%以下であることがさらに好ましく、0.01wt%以上0.8wt%以下であることがさらにより好ましい。これにより、導電率の高い集電層とすることが可能である。
硫黄捕集層は、アルカリ土類金属を第2の濃度で含む。第2の濃度は1.5wt%以上10wt%以下であることが好ましく、1.5wt%以上8wt%以下であることがさらに好ましく、1.5wt%以上4wt%以下であることがさらにより好ましい。これにより、硫黄捕集能に優れた集電層とすることが可能である。
本発明において、電子伝導層や硫黄捕集層に含まれるアルカリ土類金属の濃度は、下記の方法にて求めることができる。作製した固体酸化物形燃料電池セルから電子伝導層や硫黄捕集層を削りとる。この削り取った材料を酸で溶解させたのち、ICP−発光分析法により求めることができる。
電子伝導層および硫黄捕集層は、焼結助剤などの添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)などが挙げられる。これにより、銀の焼結性が向上し、かつ空気極層との接合強度を確保することが可能となる。
電子伝導層の膜厚は、10μm以上80μm以下であることが好ましく、10μm以上60μm以下であることがさらに好ましく、10μm以上40μm以下であることがさらにより好ましい。これにより、抵抗が低い層とすることが可能となる。
硫黄捕集層の膜厚は、10μm以上120μm以下であることが好ましく、10μm以上60μm以下であることがさらに好ましく、10μm以上40μm以下であることがさらにより好ましい。これにより、長期にわたり硫黄捕集能を発揮させることが可能である。
本発明において、燃料電池セルが筒状形状の場合、燃料電池セルの一端から燃料ガスを供給し、他端から燃料ガスが排出する。そのために、燃料ガス流路において、長軸方向に燃料ガスの濃度勾配が発生する。つまり、燃料電池セルの一端側において燃料ガスの濃度が高く、燃料電池セルの他端側において燃料ガスの濃度が低くなる。その結果、燃料電池セルの長軸方向に電流分布が生じてしまう。特に、燃料ガスが供給される燃料電池セルの一端側において、発電反応がしやすいため、電流集中が生じてしまう。
このような電流集中下においては、後述するように燃料電池セルスタックや燃料電池モジュールを構成する金属部材から蒸発するクロム(Cr)が空気極層中を拡散し、反応場において析出することで空気極層を劣化させるクロム被毒の問題がある。
本発明においては、このような電流集中を抑制するために、燃料電池セルの一端側近傍に硫黄捕集層を形成することが好ましい。これより、空気極層が硫黄やクロムに被毒されることを防止し、空気極層を保護することができる。
図1は本発明の固体酸化物形燃料電池セルの断面の一態様を示す模式図であり、内側電極を燃料極層としたタイプについて示した。本発明における固体酸化物形燃料電池セル210は、例えば多孔質支持体201と、(第一/第二)燃料極層202、(第一/第二)電解質層203と、(第一/第二)空気極層204と、集電層205から構成される。本発明の固体酸化物形燃料電池セルにおいて、各層の好ましい厚さは、多孔質支持体が0.5〜2mm、燃料極が10〜200μm、燃料極触媒層が0〜30μm、反応抑制層が0〜20μm、電解質層が5〜60μm、空気極が10〜60μmである。ここで、(第一/第二)とは、「単層又は二層であって、二層の場合は第一層と第二層とを有する」ことを意味する。
燃料電池セルの製造方法
本発明の燃料電池セルは、公知の方法に準じて従って、適宜製造することができる。好ましい製造方法を示せば下記のとおりである。
空気極、電解質層および燃料極層は、各原料粉末に、溶媒(水、アルコールなど)、分散剤、バインダー等の成形助剤を添加してスラリーを作製し、それをコーティングし、乾燥した後、焼成(1100℃以上1400℃未満)することによって得ることができる。
集電層は、銀とアルカリ土類金属の粉体を用意し、所望の量となるように秤量する。これを溶剤に混合し、コーティング液とする。このコーティング液を空気極にコーティングし、乾燥後、焼成して集電層を形成する。
空気極層の外表面に電子伝導層を形成し、電子伝導層の外表面に硫黄捕集層を形成する場合は、まず、空気極の外表面に電子伝導層を形成するためのコーティング液をコーティングし、乾燥後、焼成し電子伝導層を形成する。その後、電子伝導層の外表面に硫黄捕集層を形成するためのコーティング液をコーティングし、乾燥後、焼成し硫黄捕集層を形成する。
空気極層の外表面に硫黄捕集層を形成し、硫黄捕集層の外表面に電子伝導層を形成する場合は、まず、空気極の外表面に硫黄捕集層を形成するためのコーティング液をコーティングし、乾燥後、焼成し硫黄捕集層を形成する。その後、電子伝導層の外表面に電子伝導層を形成するためのコーティング液をコーティングし、乾燥後、焼成し電子伝導層を形成する。
コーティングは、スラリー液をコーティングするスラリーコート法、テープキャスティング法、ドクターブレード法、転写法などにより好ましく行うことができる。また印刷手法も利用可能であり、スクリーン印刷法やインクジェット法などを用いることができる。
焼成は、各電極及び電解質層を形成する都度行ってもよいが、複数の層を一度に焼成する「共焼成」を行うことも可能である。また、電解質層がドーパントの拡散等により変性しないように、焼成は酸化雰囲気下で行なうことが好ましい。より好適には、空気と酸素との混合ガスを用い、酸素濃度20質量%以上30質量%以下の雰囲気で焼成を行う。
本発明の好ましい態様によれば、内側電極に燃料極層を、外側電極に空気極層を用いる場合、燃料極と電解質層とを共焼成した後、空気極層を成形し、共焼成よりも低い温度で焼成する。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルを使用した固体酸化物形燃料電池システム1は、特定のものに限定されず、その製造や他の材料等は、公知のものが使用できる。図2は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池システムを示す全体構成図である。この図2に示すように、固体酸化物形燃料電池システム1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して密封空間8が形成されている。なお、断熱材は設けないようにしても良い。この密封空間8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14(図4参照)を備え、この燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16(図5参照)から構成されている。このように、燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール2の密封空間8の上述した発電室10の上方には、燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の酸化剤(空気)とが燃焼し、排気ガスを生成するようになっている。また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、改質器20の熱を受けて空気を加熱し、改質器20の温度低下を抑制するための空気用熱交換器22が配置されている。
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料ガスを遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤である空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図3及び図6により、固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池モジュールの内部構造を説明する。図3は、固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図6は、図3のIII−III線に沿った断面図である。図3及び図6に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内の密封空間8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
改質器20は、その上流端側に純水を導入するための純水導入管60と改質される燃料ガスと改質用空気を導入するための被改質ガス導入管62が取り付けられ、また、改質器20の内部には、上流側から順に、蒸発部20aと改質部20bが形成され、改質部20bには改質触媒が充填されている。この改質器20に導入された水蒸気が混合された燃料ガス及び空気は、改質器20内に充填された改質触媒により改質される。
この改質器20の下流端側には、燃料ガス供給管64が接続され、この燃料ガス供給管64は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内で水平に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、改質された燃料ガスがマニホールド66内に供給される。
このマニホールド66の上方には、上述した燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。
次に、改質器20の上方には、空気用熱交換器22が設けられている。この空気用熱交換器22は、上流側に空気集約室70、下流側に2つの空気分配室72を備え、これらの空気集約室70と空気分配室72は、6個の空気流路管74により接続されている。ここで、図6に示すように、3個の空気流路管74が一組(74a,74b,74c,74d,74e,74f)となっており、空気集約室70内の空気が各組の空気流路管74からそれぞれの空気分配室72へ流入する。
空気用熱交換器22の6個の空気流路管74内を流れる空気は、燃焼室18で燃焼して上昇する排気ガスにより予熱される。空気分配室72のそれぞれには、空気導入管76が接続され、この空気導入管76は、下方に延び、その下端側が、発電室10の下方空間に連通し、発電室10に予熱された空気を導入する。
次に、マニホールド66の下方には、排気ガス室78が形成されている。また、図6に示すように、ハウジング6の長手方向に沿った面である前面6aと後面6bの内側には、上下方向に延びる排気ガス通路80が形成され、この排気ガス通路80の上端側は、空気用熱交換器22が配置された空間と連通し、下端側は、排気ガス室78と連通している。
また、排気ガス室78の下面のほぼ中央には、排気ガス排出管82が接続され、この排気ガス排出管82の下流端は、図2に示す上述した温水製造装置50に接続されている。図3に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
次に図4により燃料電池セルスタック14について説明する。図4は、固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池セルスタックを示す斜視図である。図4に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16の下端側及び上端側が、それぞれ、セラミック製の下支持板68及び上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴68a及び100aがそれぞれ形成されている。
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極92の外周面全体と電気的に接続される空気極用接続部102bとにより一体的に形成されている。空気極用接続部102bは、外側電極92の表面を上下方向に延びる鉛直部102cと、この鉛直部102cから外側電極92の表面に沿って水平方向に延びる多数の水平部102dとから形成されている。また、燃料極用接続部102aは、空気極用接続部102bの鉛直部102cから燃料電池セルユニット16の上下方向に位置する内側電極端子86に向って斜め上方又は斜め下方に向って直線的に延びている。
さらに、燃料電池セルスタック14の端(図4では左端の奥側及び手前側)に位置する2個の燃料電池セルユニット16の上側端及び下側端の内側電極端子86には、それぞれ外部端子104が接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の外部端子104(図示せず)に接続され、上述したように、160本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
次に図5により燃料電池セルユニット16について説明する。図5は、固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。図5に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部にそれぞれ接続された内側電極端子86とを備えている。燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の多孔質支持体91上に内側電極90と、外側電極92と、内側電極90と外側電極92との間にある電解質層94とを備えている。
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極90の上部90aは、電解質層94と外側電極92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。燃料電池セル84として本発明の燃料電池セルを用いる。
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例)
固体酸化物形燃料電池セルの作製
NiO粉末と10YSZ(10mol%Y−90mol%ZrO)粉末とを重量比65:35で混合して、押し出し成形機にてせん断を加え1次粒子化させながら円筒状に成形し、燃焼極支持体を作製した。この燃料極支持体上に、燃料極の反応を促進させる燃料極触媒層を形成した。燃料極触媒層は、NiOとGDC10(10mol%Gd−90mol%CeO)とを、重量比50:50で混合したものをスラリーコート法により燃料極支持体上に製膜し形成した。さらに、燃料極反応触媒層上にLDC40(40mol%La−60mol%CeO)、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2の組成のLSGMをスラリーコート法により順次積層し、電解質層を形成し、成形体を得た。得られた成形体を1300℃にて焼成した。その後、空気極層用スラリーをスラリーコート法にて製膜し、1050℃で焼成することで空気極層を形成した。
次に、空気極層の外表面に集電層を形成した。電子伝導層を形成するためのコーティング液は、銀粉末と、パラジウム粉末と、LSCF粉末と、溶媒と、バインダーとを混合させたものとした。銀とパラジウムとLSCFの重量比は、98:1:1とした。このコーティング液を、空気極層の表面に、インクジェット法により塗布した後、乾燥機中150℃にて乾燥させ、室温にて冷却後、700℃1時間焼成した。これにより、空気極層の外表面に電子伝導層を形成した。硫黄捕集層を形成するためのコーティング液は、銀粉末と、パラジウム粉末と、LSCF粉末と、溶媒と、バインダーとを混合させたものとした。銀とパラジウムとLSCFの重量比は、89:1:10とした。このコーティング液を、電子伝導層の表面に、インクジェット法により塗布した後、乾燥機中150℃にて乾燥させ、室温にて冷却後、700℃1時間焼成した。これにより、電子伝導層の外表面に硫黄捕集層を形成した。
作製した固体酸化物形燃料電池セルは、以下に示される通りであった。燃料極支持体が外径10mm、肉厚1mmであった。燃料極反応触媒層の厚さが20μmであった。LDC層の厚みが5μmであった。LSGM層の厚みが30μmであった。空気極の厚みが20μmであり、かつ、空気極の面積が35cmであった。電子伝導層と硫黄捕集層の膜厚は、それぞれ50μmと30μmであった。また、電子伝導層に含まれるアルカリ土類金属の濃度は0.4wt%であり、硫黄捕集層に含まれるアルカリ土類金属の濃度は3.9wt%であった。
(比較例)
実施例1に対し、硫黄捕集層を設けない点以外は同様の方法にて固体酸化物形燃料電池セルを作製した。
作製した固体酸化物形燃料電池セルは、以下に示される通りであった。燃料極支持体が外径10mm、肉厚1mmであった。燃料極反応触媒層の厚さが20μmであった。LDC層の厚みが5μmであった。LSGM層の厚みが30μmであった。空気極の厚みが20μmであり、かつ、空気極の面積が35cmであった。電子伝導層の膜厚は、50μmであった。電子伝導層に含まれるアルカリ土類金属の濃度は0.4wt%であった。
固体酸化物形燃料電池セルスタックの作製
作製した実施例および比較例の固体酸化物形燃料電池セルを用いて下記の方法にて固体酸化物形燃料電池セルスタックを作製した。
まず、燃料極支持体の両端部に集電体とガスシールを兼ね備えた導電性シール材を取付け、さらに前記燃料極の両端部に導電性シール材を覆うように内側電極端子を設け、固体酸化物形燃料電池セルユニットを作製した。内側電極端子は燃料ガス流路となる燃料極支持体の内径より縮径し、前記セルのそれぞれの端部からセルの外方向に伸びる縮径部を有するものとした。この燃料電池セルユニットを16本一組とし、燃料極と空気極を接続するコネクタで16本を直列につなぎ固体酸化物形燃料電池セルスタックを作製した。
固体酸化物形燃料電池セルスタックにおける耐久試験
作製した固体酸化物形燃料電池セルスタックを用いて耐久試験を行った。燃料ガスとして水素−窒素混合ガスを利用し、燃料利用率は75%に設定した。酸化剤ガスとして、ガスボンベ由来の二酸化硫黄/空気混合ガスをコンプレッサーエアーで希釈することにより、0.5ppmの二酸化硫黄成分を含む空気を供給した。これは、実際の燃料電池システム使用環境の約100倍にあたる硫黄濃度となる。なお、空気利用率は40%に設定した。発電定常温度は700℃、電流値を空気極の面積で除した平均電流密度を0.2Acm-2に設定し、約1000時間にわたり連続運転を行った。その際の電圧劣化率を表1に示す。
固体酸化物形燃料電池モジュールの作製
前記実施例にて作製した固体酸化物形燃料電池セルスタックを10組搭載し160本を直列に接続し、さらに改質器、空気配管、および燃料配管を取付けた後にハウジングで囲み、固体酸化物形燃料電池モジュールを作製した。この固体酸化物形燃料電池モジュールを、固体酸化物形燃料電池システムに組み込んだ。
固体酸化物形燃料電池システムにおける耐久試験
燃料ガスを都市ガス13Aとし、燃料利用率は75%に設定し、スチームカーボン比(S/C)を2.5とした。また、酸化剤ガスは空気とし、空気利用率は40%とした。ここで、空気供給源からセルに空気が到達するまでの間には特別なケミカルフィルター等を設けなかった。発電定常温度は700℃とし、平均電流密度0.2A/cmで約3000時間にわたり連続運転を行った。
耐久試験後セルの元素分析
上記の連続運転を終えた固体酸化物形燃料電池システムより固体酸化物形燃料電池モジュールを取り出し、さらにモジュール内の燃料電池セルを取り出した。試験後のセルについて、以下の手順に沿って元素分析を実施した。
セル下部の集電体近傍断面をセラミック用切断機によりカットし、中空の円筒破片を採取した。前記破片を樹脂に埋め込み、一晩乾燥させることで樹脂を硬化させた。その後、切断機により所定の形状にカットし、イオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ、IM4000)により研磨し、観察断面を得た。これを電子プローブマイクロアナライザ(JEOL、JXA−8230)によって観察した。得られた電子顕微鏡像(SEM像)を図7に示す。得られた電子顕微鏡像について、硫黄元素のマッピング像(EPMA像)を得た。マッピング像を図8に示す。マッピング像において白色で示されている部分が硫黄を示している。硫黄捕集層によって空気極到達前に硫黄が捕捉されており、硫黄被毒耐性を向上させるものと考えられる。
固体酸化物形燃料電池セルにおける電流分布シミュレーション
作製した固体酸化物形燃料電池セルをモデル化し、セルの長軸方向における電解質層/空気極層界面での電流密度分布のシミュレーションを実施した。作動温度は700℃とし、セル内での温度分布はないものと仮定した。燃料利用率は70%、空気利用率は35%とし、平均電流密度は0.2A/cmとした。計算に用いたセルの寸法は以下の通りである。燃料極支持体が外径10mm、肉厚1mmとした。燃料極反応触媒層の厚みを20μmとした。LDC層の厚みを5μmとした。LSGM層の厚みを30μmとした。空気極の厚みを25μm、面積を35cmとした。電子伝導層の厚みを50μm、硫黄捕集層の厚みを30μmとした。シミュレーションはセルを長軸方向に約5〜10mmピッチで分割し、分割した範囲における任意の位置の電荷移動を計算することにより、セルの各位置における局所的な電流密度を算出した。
結果を図9に示す。ここで、縦軸の「セル座標」とは、セルの長軸方向において、空気極の上端を1、下端を0とした際の相対的な軸方向における座標を表す。横軸は、各セル座標における電流密度を示す。セルの長軸方向に大きな電流密度勾配が生じる結果となった。
1 固体酸化物形燃料電池システム
2 燃料電池モジュール
4 補機ユニット
6 ハウジング
7 断熱材
8 密封空間
10 発電室
12 燃料電池セル集合体
14 燃料電池セルスタック
16 燃料電池セルユニット
18 燃焼室
20 改質器
22 空気用熱交換器
24 水供給源
28 水流量調整ユニット
30 燃料供給源
32 ガス遮断弁
36 脱硫器
38 燃料流量調整ユニット
40 空気供給源
42 電磁弁
44 改質用空気流量調整ユニット
45 発電用空気流量調整ユニット
46 第1ヒータ
48 第2ヒータ
50 温水製造装置
52 制御ボックス
54 インバータ
60 純水導入管
62 被改質ガス導入管
64 燃料ガス供給管
66 マニホールド
68 下支持板
70 空気集約室
72 空気分配室
74 空気流路管
76 空気導入管
80 排気ガス通路
82 排気ガス排出管
83 点火装置
84 燃料電池セル
86 内側電極端子
88 燃料ガス流路
90 内側電極
91 多孔質支持体
92 外側電極
94 電解質
100 上支持板
102 集電体

Claims (10)

  1. 固体酸化物形の電解質層を間に挟んで燃料極層と空気極層とが積層された燃料電池セルにおいて、
    前記空気極層の外表面に銀を含有する集電層を有し、
    前記集電層は、アルカリ土類金属を第1の濃度で含有する電子伝導層と、前記アルカリ土類金属を前記第1の濃度よりも高い第2の濃度で含有する硫黄捕集層とを有することを特徴とする燃料電池セル。
  2. 前記空気極層は、前記電子伝導層及び前記硫黄捕集層が含有する前記アルカリ土類金属と同一のアルカリ土類金属を含むペロブスカイト型酸化物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池セル。
  3. 前記集電層は、前記硫黄捕集層の外表面上に前記電子伝導層が積層された積層構造を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の燃料電池セル。
  4. 前記第1の濃度は0.01wt%以上7wt%以下であり、前記第2の濃度は1.5wt%以上10wt%以下であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池セル。
  5. 前記電子伝導層又は前記硫黄捕集層中のアルカリ土類金属は、ペロブスカイト型酸化物として含有されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の燃料電池セル。
  6. 前記燃料電池セルは、内側に配置された前記燃料極層の外側に向かって前記電解質層、前記空気極層及び前記集電層が設けられた筒状形状であり、
    前記燃料極層は、前記燃料電池セルの軸方向に燃料ガスを流通させる内部流路を有し、
    前記硫黄捕集層は、前記空気極層の外表面上であって、少なくとも前記内部流路に前記燃料ガスが供給される前記燃料電池セルの一端側近傍に設けられていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の燃料電池セル。
  7. 前記硫黄捕集層の膜厚は、10μm以上120μm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の燃料電池セル。
  8. 前記電子伝導層の膜厚は、10μm以上80μm以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の燃料電池セル。
  9. 前記空気極層の膜厚は、10μm以上60μm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の燃料電池セル。
  10. 前記電解質層は、LSGM層でなることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の燃料電池セル。
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