JP2004522275A - 金属支持された電気化学的電池及び該電気化学的電池を備えたマルチセルリアクタ - Google Patents
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Abstract
本発明は、金属支持された固体電解質型電気化学的電池、この種の電池を複数備えたマルチセルリアクタアセンブリ、及び電気化学的電池を形成するプロセスを提供する。ある1つの実施形態では、電気化学的電池は中央電解質膜、この中央電解質膜の主表面の各々に密着した第1及び第2の穿孔された金属層、ならびに、これら金属層の上に形成された第1及び第2の非多孔質電解質層を有する。別の実施形態では、第1及び第2の多孔質内側電解質層が、中央膜の両面に接して第1及び第2の金属層の間にサンドイッチされている。全体として、電気化学的電池は、丈夫な非多孔質金属層上に支持された薄い層としてセラミック材料から形成されており、あたかも金属製であるかのように振る舞うように設計されている。有利には、電気化学的電池はメタラジカルボンディングされた電気接続部及び/又はガスシールを備えている。
Description
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本明細書は全体として、酸素イオンもしくは陽子もしくは他のイオン種、又はこれらの組合せを伝導するイオン伝導体であるような固体電解質を用いた電気化学的電池に関する。これらの固体電解質はイオン伝導性のみ、又はイオン伝導性と電子伝導性の組合せを示す。この種の電気化学的電池の重要な使用形態は、固体酸化物型燃料電池、酸素濃淡型電池、部分酸化型電池、及び複数の電池を備えたリアクタシステムである。
【0002】
発明の背景
固体電解質型電気化学的電池の既知の使用形態のうちで最も重要なものは、酸素イオン伝導性のセラミック電解質に基づいている。なお、この電解質は固体酸化物電解質とも呼ばれる。これらの使用形態は固体酸化物型燃料電池、酸素濃淡型電池であり、これらは酸素ポンプ、及び部分酸化型電池としても知られている。固体酸化物型燃料電池の例は、アメリカ合衆国特許第4,490,445号、アメリカ合衆国特許第5,741,406号、及びアメリカ合衆国特許第6,106,967号に記載されている。アメリカ合衆国特許第4,877,506号には酸素ポンプが記載されている。アメリカ合衆国特許第5,681,373号には、酸素濃淡型リアクタ又は部分酸化型リアクタとして適当な固体酸化物電池が記載されている。アメリカ合衆国特許第5,770,326号には、上記3つの使用形態のすべてに適した固体酸化物電解質を用いたモノリシック質量エネルギー転移電池が記載されている。
【0003】
本明細書における種々の固体電解質型電気化学的電池の設計の利点に関する議論は、固体酸化物電池に焦点を絞る。しかし、当業者は、すべてのタイプの固体電解質型電気化学的電池の設計において同じ又は類似の課題が生じることを容易に理解するだろう。最近、陽子交換膜型(PEM)、溶融炭酸塩型(MCFC)、リン酸型(PAFC)、アルカリ型(AFC)及び固体酸化物型(SOFC)を含むすべてのタイプの燃料電池が多くの開発努力の焦点となっているのは、これの燃料電池が、従来の燃焼プロセスに基づいたエネルギー変換システムに代わる電気的及び機械的エネルギーに対する世界的需要の増大に見合うより環境的に持続可能な代替エネルギーを約束するからである。競合する燃料電池技術に対して、固体酸化物型燃料電池は主に高い動作温度に関連した幾つかの利点を提供する。固体酸化物型燃料電池の主な利点は、エネルギー変換効率が高いこと、副産物である熱の品質が高いこと、改質された炭化水素燃料を使用した場合に燃料処理システムがより簡素化されること、ならびに、低温動作燃料電池において必要とされる高価な貴金属触媒を使用しなくてもよいことである。
【0004】
酸素イオン伝導性を有するすべての固体酸化物型電気化学的電池の基本的な動作は類似している。ガス不透過性の固体酸化物電解質膜の負極側の酸素ガスが、それぞれ電子を2個余分に持つイオンに化学的に還元される。つぎに、これらの酸素イオンはイオン伝導性を有する電解質膜を通って電池の正極側に移動し、正極側で再び酸素ガスを形成するよう再結合するか、又は、例えば水素と反応して水を形成する場合のように、他の種類のガスと反応する。固体酸化物電解質材料の場合、イオン伝導性と温度の間には強い直接的関係が存在する。したがって、有効な電流密度を達成するために、電池は一般に600°C〜1100°Cの範囲の温度で動作する。正極における酸化反応が進むためには、酸素イオンによって運ばれる余剰電子は固体酸化物膜の負極側に戻らなければならない。膜の正極側の電子が負極側に戻る際の経路は、電解質膜の内部もしくは電解質膜の外部にあるか、又は両方であってもよい。電解質膜がイオン伝導性と適度な電子伝導性の両方を有する場合には、正極と負極を電気的に結合するために外部回路を必要としない。その他の場合には、そのような外部電気回路が必要とされる。固体酸化物型燃料電池の場合、電気化学的反応の推進力は、電池の負極と正極の間に電圧差を発生させる負極側と正極側の間の酸素分圧の差により与えられる。逆に、酸素ポンプの場合には、外部から与えられる電気的バイアスが、電池の正極側の酸素分圧を負極側の分圧よりも高くするために使用される。部分酸化型電池として使用する場合には、電池の正極側に酸素を送る推進力は、酸素分圧の差もしくは外部からの電気的バイアスであるか、又はこれらの両方であってもよい。
【0005】
固体酸化物型燃料電池を含めたすべての固体電解質型電気化学的電池は、同じ基本的機能要素から構成されている。主要要素はガス不透過性の固体電解質膜である。用途に応じて、電解質は専らイオン伝導体として設計されるか、又は、混合イオン伝導性と電子伝導性を有する伝導体として設計される。固体酸化物型燃料電池の場合、発生する外部電圧を最大にすることが目的なので、電解質膜はできるだけイオン伝導性のみを有することが必要である。電解質膜のどちら側でも、複数の機能を有する電極層が電解質膜に密接している。電極は以下のものを提供しなければならない。すなわち、電気化学的反応のための高密度の反応場、反応場と電解質膜の間でイオンを伝導するイオン伝導性の経路、電子を反応場へ及び反応場から外部集電器へ伝導する電子伝導性の経路、ならびに反応場への及び反応場からの制限されることのないガス流を提供しなければならない。電池を完成させるためには、電極は電気的に相互接続されねばならず、適切な電極表面へ及び電極表面から異なる反応ガス流を導くために、ガス貯蔵・輸送手段が各電極に近接して設けられる。商業的に実用的なシステムを生産するために、複数の素電池が一般には直列に相互接続され、管状電池構造向けの束又は平面電池構造向けのスタックへとまとめられる。
【0006】
Minh,Ceramic Fuel Cells,Journal of the American Ceramics Society,76[3] 563−88(1993)には、固体酸化物型燃料電池とマルチセルシステムの設計に関する技術的課題、ならびにこれらの課題に見合うよう提案されたアプローチの便利な概要が載せられている。基本的に、商業的に成り立つ固体酸化物型燃料電池を作る難しさは、有効な電流密度を達成するのに必要な高温と、少なくとも電解質膜が機械的に許されないセラミック材料から作られているという事実とに関係している。ほとんどのデザインでは、電解質膜だけでなく1つ又は複数の負極、正極、及び個々の複数のセルを電気的に接続する電気相互接続部材も、機械的に許されないセラミック又はサーメット(セラミック−金属複合)材料からできている。これらのセラミック材料は、直接的な引張荷重に耐える能力が限られているうえに、熱に起因する応力に耐える能力も非常に限られている。このことは、セル内部の熱勾配、ならびに、セルの製作に使用される種々の材料とセルに接続しなければならない電気相互接続部及びガス多岐管との間の熱膨張の不釣り合いを最小化するために多大な注意が払われなければならないことを意味する。最後に、多孔質セラミックセルの電極に確実な電気接続を行うこと、ならびに、燃料及び酸化ガス流が混じり合わないように確実に気密シールを行うことは難しい。
【0007】
初期の固体酸化物型燃料電池のデザインでは、セルの構造用支持材は、一般には平板又は円筒形チューブの形をした比較的厚い高密度のセラミック電解質膜により提供され、この電解質膜に比較的薄い正極と負極がボンディングされていた。これは比較的シンプルな構造をもたらすが、1000°C又はそれより高い動作温度を必要とする長いイオン伝導路が必要となる。より最近では、電解質膜の厚さを10μm又はそれ未満の範囲に減らすセル構造により、600°C〜800°Cの範囲の動作温度で有効な電流密度を提供されることが示されている。薄い電解質膜を構成するためには、正極又は負極はセルの構造用支持材を提供しなければならず、したがって比較的厚く作られなければならない。しかし、厚い支持電極は、イオン伝導路を所望の短さに保つために、反応ガスが電解質膜の近くまで制限されずに達することができるようにしなければならない。その結果、支持電極は厚いと同時に高度に多孔質に作られねばならない。このことがまたガス不透過性の電解質膜の実現を複雑化してしまう。というのも、多孔質基板へのデポジション又は積層によって薄いガス不透過性セラミック層を形成することは困難だからである。
【0008】
薄い電解質膜を有し、800°C未満の温度で動作する、正極又は負極支持された固体酸化物型燃料電池は、厚い電解質膜を有する先行種よりも材料選択の要求条件は緩いが、これらのセルデザインは商業的可能性を著しく制限する複数の欠陥を示し続けている。少なくともセルを構造的に支持する電極が比較的厚くなければならないという事実は、電解質膜と電極との間の境界面へのガス輸送及び境界面からのガス輸送がこの多孔質電極を通して制限されることを意味する。極端な場合には、この質量輸送の制限が電池の電気化学的反応の速度制限要因となり、電極の過電圧損の増大をもたらし兼ねない。電極の過電圧損の増大は、出力電圧の低下と電池の効率の低下を引き起こす。
【0009】
固体酸化物型燃料電池に確実なガスシールを設ける手段はまだ見つかっていない。従来技術は、柔軟な高温シールガスケットを用いた圧縮シールと、電球において金属シーリングに使用されるようなガラスシールの2つの基本的アプローチを教える。どちらのアプローチも急速な熱サイクル又は大きな差圧に耐えうるシールをもたらさない。
【0010】
従来技術からは、電池電極への低抵抗の電気接続をどのようにして長持ちさせるかの示唆も得られない。従来のアプローチは表面対表面の圧縮接触であり、接触境界面は、電池の動作温度において時間経過に伴い生じる電気的性能の著しい変化及び悪化を被りやすい。個々のセルはそれぞれこのような接続を2つ必要とするため、直列に接続されたセルスタックの抵抗性電圧損失は、スタック内のセルの数が増えるにつれて増大する。したがって、燃料電池スタックの出力電圧は、個々の構成セルからの出力電圧の和よりも著しく低い。
【0011】
アメリカ合衆国特許第3,464,861号及びアメリカ合衆国特許第5,328,779号では、多孔質金属製及び/又は金属間化合物製の電極の上に支持された固体酸化物型燃料電池が示されている。この固体酸化物型燃料電池では、これらの電極は、活性表面全面に亘る表面対表面の接触ではなく電極の外周における電気相互接続を可能にするのに十分な丈夫さを有する導電体とすることができる。これらの電池は溶射法により製造されるが、溶射法は、有効な電流密度を達成するために800°Cを超える電池動作温度を要する比較的厚い中央電解質膜の製造に限定される。これらの高動作温度は多孔質金属支持電極の使用を実行不可能にしてしまう。というのも、多孔質金属の連続した焼結のため、電極の活性の損失、金属表面上の導電性酸化物スケールからの酸化クロムの揮発、金属表面において電気抵抗のある酸化物スケールの成長が生じ、これらが、活性部位を電気化学的に損ない、高い内部セル抵抗、又はこれらの作用の2つ又はそれ以上の組合せを生じさせるからである。
【0012】
動作温度を下げても、従来技術の固体酸化物型燃料電池は、特に周囲温度からスタートさせる場合には、ゆっくりとスタートさせなければならない。これは、電池の構造的特性が、組み込まれているセラミック材料の熱衝撃の挙動に支配されていることから生じる。この緩慢なスタートアップ動作が、輸送手段用途に固体酸化物型燃料電池を採用する際の主な障害である。固体酸化物型燃料電池内の熱勾配を制限しなくてはならないことの別の重要な結果は、流入空気と流出空気の温度差をほぼ100°Cに制限する必要があることである。一般に空気は負極のための酸素源と、電気化学的反応により発生する余剰熱を除去する手段の両方として使用される。電池内を通る空気の許容される温度増加をほぼ100°Cに制限することにより、必要な酸素量を供給するのに要求される空気量の3〜5倍の空気が使用されなければならない。その結果、空気調整システムが必要以上に大きくなり、システムの資本経費の増加及びシステム効率の低下がもたらされる。
【0013】
実際、熱管理は固体電解質型電気化学的電池リアクタの実用化において非常に重要な問題である。というのも、電気化学反応は一般に大量の余剰熱を発生させるからである。既に述べたように、固体酸化物型燃料電池における熱管理に対する従来のアプローチは、余剰空気がスタックを吹き抜けるようにすることである。この空気は負極の表面に接触し負極の表面から熱を取り除くことができる。並列させた熱交換器により、熱された排気は流入燃料ガス及び/又は流入空気を予熱するために使用される。燃料電池スタックが流入空気と流出空気の比較的大きな温度差を許容できる場合でも、大量の冷却空気を循環させなければならない。なぜならば、空気はよい伝熱流体ではないからである。また、サイズ及びコストの最小化には、固体酸化物型燃料電池スタックの体積特異的な電流密度が増大さすことは望ましいが、この電流密度の増大に伴って、循環する伝熱流体の体積特異的な質量も増大してしまう。したがって、固体酸化物型燃料電池スタックは液体の伝熱流体の使用と両立することが望ましい。というのも、これにより熱管理システムのサイズを大幅に減少させることが可能となるからである。しかしながら、従来の固体酸化物型燃料電池スタックにおいて液体の伝熱流体を使用すると、許容できない熱勾配が生じ、個々の素電池及び/又はガスシールの機械的障害がもたらされる。
【0014】
熱に起因する個々の素電池内の応力の最小化は、電池が大きな熱勾配に耐えることができる場合でさえ電池を長持ちさせるためには望ましいが、この熱に起因する個々の素電池内の応力を最小化するという文脈で熱管理を考えた場合、従来技術の固体電解質型電気化学的電池は、電池表面の異なるエリアにおける反応ガスの濃度及び/又は温度の差を補償する手段を提供していない。電池に供給される反応ガスの濃度及び/又は温度におけるこのような差は、電池の全エリアにわたって、平均的な電気化学的作用に比べて電気化学的作用が増大又は低下したエリアを生じさせかねない。電気化学的作用のこのような差がこんどは既に存在する温度差を拡大する、又はガス濃度差を温度差に変え、このようにして熱勾配に寄与するないし熱勾配を発生させる可能性がある。
【0015】
一般に使用されているニッケル及び酸化イットリウム安定化ジルコニアの複合材料のようなサーメット正極材料を使用した従来技術の固体酸化物型燃料電池では、電池性能は燃料ガス内の極微量の硫黄不純物によってさえ深刻な低下を被る。露出した金属表面は急速に硫黄により腐食し、触媒作用が破壊されてしまう。従来のサーメット正極材料は、燃料ガスの中断及びその結果である電池動作温度における酸化雰囲気への暴露のいずれにも耐えることができない。この場合、ニッケル地金は急速に酸化し、正極の導電性に重大な損失がもたらされる。同様に、従来のサーメット正極では、電池が炭化水素燃料で動作する場合に生じうる残留炭素分の蓄積を焼き払うのに役立つ、正極動作から負極動作への順次切り替えを行うことができない。
【0016】
炭化水素燃料を固体酸化物型燃料電池の正極で直接改質することは可能であり、また発熱性の電気化学的反応と吸熱性の改質反応との間の最も近い熱的統合をもたらすので望ましくもあるが、実際に実現するのは難しい。既に述べた炭素の蓄積の問題及び改質反応を容易にするための不適切な触媒作用のゆえに、ガソリンのような比較的重い炭化水素燃料の場合は特に実現が難しい。したがって、正極の表面内又は表面上に、燃料に応じた特殊な改質触媒を組み込むと有利である。しかしながら、これは多孔質の正極では実現するのが難しい。多孔質の正極では、相互連結した穿孔が開いていることも維持されなければならないからである。
【0017】
発明の要約
したがって、発明者は以下のものを提供する改善された固体電解質型電気化学的電池とマルチセルリアクタとに対するニーズを認識している。
・セルのイオン抵抗の低減及び800°C未満、有利には650°C未満の動作温度での有効電流密度を可能にする、有利には10μm未満の厚さの薄いが丈夫な電解質膜;
・多孔質電極に関連した質量輸送制限を最小化し、したがってセルの過電圧損を減少させ、特殊触媒の電極表面内又は電極表面上への組み込みを容易にする非多孔質の開放電極構造;
・確実なガスシール及び電気相互接続;
・大きな熱勾配に耐える、したがって迅速なスタートアップ及びシャットダウンを可能にする能力;
・負極又は正極として交代可能に動作することができ、したがって動作不具合に対する耐性を有し、正極が炭化水素で動作する場合に正極に蓄積し正極の動作を妨害する可能性のある炭素のような汚染物質を焼き払うことのできる電極;
・セルの表面にわたって異なるエリア間に電気化学的作用の差を故意に生じさせることにより、これらの異なるエリアにおける反応ガスの濃度及び/又は温度の差を補償し、それによりセルの全エリアにわたって熱勾配を制限する能力;
・マルチセルリアクタの熱管理を容易にするため液体の伝熱流体を使用する能力。
【0018】
おおざっぱに言って、本発明は、
a)イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有する非多孔質の中央電解質膜と、
b)第1の非多孔質金属層と、
c)第2の非多孔質金属層と、
d)イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有する非多孔質の第1の外側電解質層と、
e)第1のイオン伝導性境界面と、
f)第1の電子伝導性境界面と、
g)イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有する非多孔質の第2の外側電解質層と、
h)第2のイオン伝導性境界面と、
i)第2の電子伝導性境界面とを有するフレキシブルな金属支持された固体電解質型電気化学的電池を提供する。ただし、前記非多孔質中央電解質膜は10μm未満の厚さであり、中央電解質膜の各面にそれぞれ1つずつ2つの主表面を定めており、
前記第1の非多孔質金属層は、中央電解質膜の一方の主表面に密着しており、該主表面を通って延びる第1の穿孔パターンを形成する複数の穿孔を有し、
前記第2の非多孔質金属層は、中央電解質膜の他方の主表面に密着しており、該主表面を通って延びる第2の穿孔パターンを形成する複数の穿孔を有し、
前記第1の外側電解質層は、
第1の金属層に密着しており、第1の穿孔パターンを通して中央電解質膜と密に連絡し、かつ、
該外側電解質層の全容積にわたってイオン伝導性を有し、また下にある第1の金属層から外側表面におけるいずれかの反応ガスまでの厚さにわたって電子伝導性を有し、
前記第1のイオン伝導性境界面は、第1の外側電解質層と中央電解質膜との間の接触面に形成されており、
前記第1の電子伝導性境界面は、第1の金属層と第1の外側電解質層との間の接触面に形成されており、
前記第2の外側電解質層は、
第2の金属層に密着しており、第2の穿孔パターンを通して中央電解質膜と密に連絡し、かつ,
該外側電解質層の全容積にわたってイオン伝導性を有し、また下にある第2の金属層から外側表面におけるいずれかの反応ガスまでの厚さにわたって電子伝導性を有し、
前記第2のイオン伝導性境界面は、第2の外側電解質層と中央電解質膜との間の接触面に形成されており、
前記第2の電子伝導性境界面は、第2の金属層と第2の外側電解質層との間の接触面に形成されている。
【0019】
本発明はまた実質的には上記と同様であるが、第1及び第2の多孔質外側電解質層の代わりに、金属層と中央電解質膜との間に形成された第1及び第2の多孔質内側電解質層を有するフレキシブルな金属支持された固体電解質型電気化学的電池にも及ぶ。
【0020】
本発明はまたおおざっぱに言って、電気的に直列に接続された複数のフレキシブルな金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたリアクタアセンブリと、フレキシブルな金属支持された固体電解質型電気化学的電池を製造する方法とを提供する。
【0021】
図面の簡単な説明
図1aは本発明の典型的な金属支持された固体電解質型電気化学的電池の断片の平面図を示してる;
図1bは図1aのラインA−Aに沿った断面図を示している;
図2aは典型的な金属支持された固体電解質型電気化学的電池の拡大された断面図を示すものであり、イオン伝導性と電子伝導性を有する境界面の詳細と固体酸化物型燃料電池として動作するこの種の電池の代表的な反応とが示されている;
図3aは、複数の金属支持された固体電解質型電気化学的電池と金属製相互接続部材とを備えたマルチセルリアクタの平面図を示している;
図3bは図3aのラインA−Aに沿った断面図を示している;
図4aは、図3aのラインb−bに沿った断面図であり、複数の金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたマルチセルリアクタを示しており、セルの表面に隣接したガス流路がどのようにガス供給及び排出多岐管に接続されているかを図式的に図解するものである;
図4bは図3bの円C内の詳細の拡大された断面図であり、メタラジカルボンディングされた相互接続部材とガスシールを示している;
図5aは、金属層内の代表的な穿孔パターンの平面図を示しており、この穿孔パターンはオーバーラップしているので、中央電解質膜のエリアは露出し、どちらの金属層によっても支持されていない;
図5bは図5aの円A内の詳細の拡大された断面図を示している;
図6aは、金属支持された固体電解質型電気化学的電池の図式的なレイアウトを示しており、ガス供給及び排出多岐管の凡例は図6aのラインX−Xに沿ってとられている;
図6bは図6aのラインA−Aに沿った断面図である;
図6cは図6aのラインB−Bに沿った断面図である;
図7aはディンプルつき金属製相互接続部材の図式的レイアウトを示しており、∩で上側(隆起した)ディンプルを、∪で下側(くぼんだ)ディンプルを表している;
図7bは図7aのラインA−Aに沿った断面図である;
図8は、金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたリアクタアセンブリを形成する代表的な製造プロセスを要約したフローチャートを示している;
図9は本発明の第2の実施形態の拡大された断面図であり、固体酸化物型燃料電池として動作する、多孔質内側電解質層を有する典型的な金属支持された固体電解質型電気化学的電池を示しており、このような電池のガス流路が図解されている;
図10は、第2の実施形態の多孔質内側電解質層を有する金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたリアクタアセンブリを形成する代表的な製造プロセスを要約したフローチャートを示している。
【0022】
有利な実施形態の説明
金属支持された固体電解質型電気化学的電池及び該電池を備えたマルチセルリアクタアセンブリ
a)概要
本発明は金属支持された固体電解質型電気化学的電池、及びこのような電池を備えたマルチセルリアクタ(又はリアクタアセンブリ)に及ぶ。有利な実施形態では、メタラジカルボンディングされた電気相互接続部及び/又はガスシールを備えた金属支持された固体電解質型電気化学的電池が提供される。構造的な観点からは、この金属支持された固体電解質型電池は、すべてのセラミック材料を非多孔質の丈夫な金属層の上に支持された薄い層として組み込むことにより、あたかも金属製であるかのように機能するよう設計されている。したがって、脆いセラミック構造から生じる機械的問題は消滅又は著しく少なくすることができる。特に、本明細書に記載された固体電解質型電気化学的電池は大きな熱勾配に耐えることができる。さらに、両電極内の導電体は主に金属なので、電池内の電子抵抗損が最小化されており、動作温度の低下に関連した電子抵抗損による不利は著しく少ない。これらの損失は電子伝導性セラミックのみから成る電極にとっては重大である。この文脈では、金属層は、個別の金属及び/又は合金及び/又は1つもしくは複数の異なる金属から成る積層化複合材料及び/又は1つもしくは複数の異なる合金から成っていてもよいことが理解されなければならない。金属層はまた、機械的性質及び導電性という点で、金属層の多分に金属的な性質が保存されるかぎり、その全容積に分散して及び/又はその表面に、1つ又は複数の不連続なセラミック相を含んでいてもよい。
【0023】
金属支持された固体電解質型電池の金属層及び/又はセラミック層を記述するために本明細書で使用されているように、「非多孔質」及び「稠密」という用語は、これらの層がまったく孔を有していないことを意味するのではなく、これらの層が孔を介して相互に連結しておらず、したがってガス不透過性であることを意味する。このような金属支持された固体電解質型電池の基本的な前提条件は、使用される金属又は合金が、電池動作温度において十分な機械的強度と安定性、例えば耐酸化性を提供すること、又はこの要求が満たされるように電池の動作温度を低くすることである。電池動作温度は、高いイオン伝導性を示す電解質材料を使用すること及び/又は電池の正極側の電気化学的活性点と電池の負極側の電気化学的活性点との間のイオン伝導路の平均的長さを短くすることによって低下させることができる。
【0024】
b)第1の実施形態の説明
第1の実施形態では、金属支持された固体電解質型電池は、2つの主表面を定める中央電解質膜を有しており、電解質膜の各側面に1つの主表面がある。中央電解質膜の一方の主表面には、第1の穿孔パターンで形成された第1の金属層が密着している。中央電解質膜の他方の主表面には第2の金属層が密着しており、第2の金属層は第2の穿孔パターンを形成している。第1の金属層の、中央電解質膜に密着していない方の表面である外側表面には、第1の外側電解質層が密着しており、第1の外側中央電解質層は第1の穿孔パターンにより露出された中央電解質膜部分と密に連絡している。第1の外側電解質層と中央電解質膜との間の境界面は第1のイオン伝導性境界面を定めている。第1の金属層と第1の外側電解質層との間の境界面は第1の導電性境界面を定めている。第2の金属層の、中央電解質膜に密着していない方の表面である外側表面には、第2の外側電解質層が密着しており、第2の外側電解質層は第2の穿孔パターンにより露出された中央電解質膜部分と密に連絡している。第2の外側電解質層と中央電解質膜との間の境界面は第2のイオン伝導性境界面を定めている。第2の金属層と第2の外側電解質層との間の境界面は第2の導電性境界面を定めている。
【0025】
電池は、ガスシールと電気相互接続部を含めた金属製相互接続部材を設けることにより、反応ガスが金属支持された固体電解質型電池の各側面へ及び各側面から導かれるようにし、外部電気回路を介して第1の金属層を第2の金属層に電気的に接続することにより完成される。
【0026】
中央電解質膜、第1の外側電解質層及び第2の外側電解質層は、専らイオン伝導体であるか、又は混合イオン伝導性及び電子伝導性を有する導体であってもよい。中央電解質膜、第1の外側電解質層及び第2の外側電解質層はそれぞれ、単一の電解質材料、異なる電解質材料の混合、異なる電解質材料の積層化複合材料、又は前記すべての組合せから成っていてよい。第1の外側電解質層と第2の外側電解質層の各々は、全体にわたって連続的なイオン伝導性の相を有しており、さらにその厚さにわたって、下にある隣接する導電性境界面から外側表面の反応ガスまでの電子伝導性経路を提供する。第1の外側電解質層及び/又は第2の外側電解質層は主にイオン伝導性相から形成される場合には、層は電子が層の厚さを越えて移動できるように十分薄く作られる。有利には、第1及び第2の外側電解質層は、イオン伝導性と電子伝導性の両方を有する1つ又は複数の電解質相を有するか、又は主にイオン伝導性の1つ又は複数の相と主に電子伝導性の1つ又は複数の相との多相混合を有するか、又は上記の組合せを有する。
【0027】
この第1の実施形態は一般的な形で図1〜図8に図解されており、以下ではこれをより詳細に説明する。
【0028】
図1a及び図1bは、典型的な金属支持された固体電解質型電気化学的電池の一部の図式的な平面図と、この種の電池の図式的な断面図とを示している。第1の穿孔パターン1は図示のように第1の金属層3を貫通しており、第2の穿孔パターン2は図示のように第2の金属層5を貫通している。図1a,1bに図解されているように、穿孔は円錐状の形としてよく、また第1の穿孔パターン1は、中央電解質膜7がいたるところで第1の金属層3か又は第2の金属層5によって支持されるように、第2の穿孔パターン2からずらして配置してよい(つまり、穿孔が整列しない)。図5a,5bでは、第1及び第2の穿孔1,2は図示のように重なり、部分的に整列した配置構成となっており、これにより、整列したエリアでは中央電解質膜7のエリアが露出している。しかし、穿孔は任意の形状であってよく、いたるところで中央電解質膜に構造用支持材が提供されている限り、多くの異なるパターンで配置してもよい。第1の外側電解質層4は、図示のように、第1の金属層3の中央電解質膜7と接触していない方の表面を完全に覆い、また中央電解質膜7の一部で第1の穿孔パターン1により露出された部分を覆っている。これは望ましくはあるが、外側電解質層が膜の一部で第1及び第2の穿孔パターンにより露出された部分を覆うことは不可欠のことではない。
【0029】
図3a及び3bには、金属支持された固体電解質型電気化学的電池と金属製相互接続部材を備えたマルチセルリアクタの図式的な平面図と図式的な断面図が示されている。相互接続部材12,13及び14は、積み重ねられたセルの間の直列の電気相互接続と、関連するガスを電極へ及び電極から輸送するガス流路の両方を提供する。図4a及び4bには、この同じリアクタの種々異なる断面図が示されている。注意すべきは、明瞭性を保証するために、第1及び第2の穿孔パターンならびに第1及び第2の外側電解質層はこれらの図では図示さていないが、これらは存在するものと理解されなければならないということである。周辺ガスシール、電気相互接続部13、及び/又は内部相互接続部14は、いくつかの技術を単独で又は互いに組合せて作製してもよい。第1に、これらは第1の金属層3及び/又は第2の金属層5と金属製相互接続部材12との間の直接の圧縮接触により作製されうる。また代替的に、第1の金属層3及び/又は第2の金属層5と金属製相互接続部材12との間に挿入された柔軟な金属製ガスケットへの圧縮接触によって作製してもよい。また代替的に、第1の金属層3及び/又は第2の金属層5を金属製相互接続部材12にメタラジカルボンディングすることにより作製することもできる。以下で詳細に説明する有利なアプローチは、第1の金属層3と第2の金属層5の両方を金属製相互接続部材12にメタラジカルボンディングすることにより、少なくとも周辺ガスシールと電気相互接続部13を作製するものである。
【0030】
図3a,3b,4a及び4bにはまた、金属支持されたセルの周縁部及び/又は金属支持された電池の開口部の縁部において第1の金属層3と第2の金属層5との間の電気的絶縁を維持するための重要な詳細が示されている。このような電気的絶縁が所望される場合には、中央電解質膜7は電子伝導性をほとんど有さない又はまったく有さないように選択されており、それゆえ電気的絶縁体と見なすことができる。金属支持されたセルの外周及び/又は金属支持されたセルの開口部の縁部における電気的絶縁は、中央電解質膜7を第1の金属層3又は第2の金属層5の少なくとも一方の終端部を越えて意図的に延長することにより提供される。図3a,3b,4a及び4bに示されているように、中央電解質膜7は第1の金属層3の終端部を越えて延びている。
【0031】
図3a,3b,4a及び4bに示されているように、金属支持された固体電解質型電気化学的電池及び付属の金属製相互接続部材は、平板状で長方形の形状をしている。「平板状」とは、各セルが1つの平面を占め、リアクタ内のすべてのセル及び金属製相互接続部材が平行な平面の列として配置されていることを意味する。しかし、個々のセルと金属製相互接続部材は両方とも薄くフレキシブルなため、それらは実際には複雑な曲面として存在する。個々の金属支持されたセル及び付属の金属製相互接続部材の外周の平面投影は、例えば、円、正方形、長方形及び六角形を含む任意の形状であってよい。セルは、この外周の内側に、セルの表面と交差するガス供給排出多岐管を収容するための開口部又は孔を有してもよいし又は有さなくともよい。金属支持されたセルの形状を選ぶ際の主要な考慮は、正極から負極への電子伝導路の長さの最小化、ガス供給排出多岐管との統合の容易さ、製造時の材料利用の容易さと最大化、及びより大きなサイズへのセルのスケールアップである。両方の長辺に沿って外周にガス供給排出多岐管が配置された長方形のセルは上記の課題に対して十分であり、したがって金属支持された固体電解質型電気化学的電池にとって有利な形状及びガス多岐管構成である。
【0032】
図3a及び3bでは、図示された金属製相互接続部材12のリブ構造が内部相互接続14を達成するための手段と、ガス供給排出多岐管16に接続及び連通したガス流路15を開いた状態に維持するための手段との両方を提供している。なお、内部相互接続14は、セルの電気抵抗を低減する、もしくはセルにさらなる機械的支持を与える、又はこれら両方を可能にする。金属製相互接続部材12には、隆起した又は窪んだ稜線及び/又はディンプルの任意のパターンが組み込まれていてもよい。ただし、それは、これら任意のパターンが、電極表面から及び電極表面への無制限のガス流を維持するという目的を果たし、かつ効率的にガス供給排出多岐管と連通する限りにおいてである。稜線及びディンプルの有利なパターンとは、薄い金属板からのスタンピングによる形成のように、金属製相互接続部材12の最も経済的な形成を容易に可能にし、ガス供給排出多岐管との相互接続及び連通を容易にするパターンである。これらの理由から、ディンプル付きの突起のパターンが有利である。この場合、金属製相互接続部材12の各側面は隆起した突起のパターンを有しており、金属製相互接続部材12の一方の側のディンプルパターンは金属製相互接続部材12の他方の側のディンプルパターンからずれて散在している。このようなディンプル付き金属製相互接続部材12は図7a,7bに図示されている。ここで、寸法S1及びS2は主に寸法Tに依存しており、一般にはおよそ1mm〜およそ20mmの範囲である。より有利には、寸法S1及びS2はおよそ2mm〜およそ10mmの範囲である。
【0033】
また、ガス供給排出多岐管16は、図3a,3b,4a及び4bに示されているように、金属製相互接続部材12の機能がより明解に示されるように、図式的な簡潔さのみに配慮して配置されている。ガス供給排出多岐管16の有利な配置構成は、ガス供給排出多岐管16をリアクタの周りであってしかもリアクタの外周内に軸方向管路として組み込むことである。マニホルディング配置構成は従来から内部マニホルディングとして知られており、図7a,7bに示されているディンプル付き金属製相互接続部材12のデザインに示されている。
【0034】
本発明の金属支持された固体電解質型電気化学的電池の動作は、基本的には従来の固体電解質型電気化学的電池と同じである。しかしながら、イオン伝導体路の詳細と、特に負極から正極への電子伝導体路の詳細が異なる。説明のために、本発明の電池が固体酸化物型燃料電池として動作する例を考える。この固体酸化物型燃料電池では、中央電解質層は専らイオン伝導体であり、外側電解質層は混合イオン伝導性及び電子伝導性を有する導体である。さらに、第1の外側電解質層は酸素濃厚ガスと接し、第2の外側電解質層は水素のような燃料ガスと接すると仮定する。その結果、第1の外側電解質層は第1の導電性境界面及び第1の金属層と共同して負極として動作し、第2の外側電解質層は第2の導電性境界面及び第2の金属層と共同して正極として動作する。第1の外側電解質層は混合伝導体なので、電子、酸素イオン、及び吸着した酸素ガスは第1の外側電解質層の表面のすべての点において密に連絡することができる。同様に、第2の外側電解質層は混合伝導体なので、電子、酸素イオン、及び吸着した酸素ガスは第2の外側電解質層の表面のすべての点において密に連絡することができる。負極側では、電子が下にある第1の金属層から第1の電子伝導性境界面を通って移動し、さらに第1の外側電解質層の厚さを越えて第1の外側電解質層の表面へと移動し、そこで吸着したイオン化酸素と結合する。酸素イオンはそれから第1のイオン伝導性境界面を通過するまで第1の外側電解質層に沿って中央電解質膜の中へと移動する。なお、第1のイオン伝導性境界面では、中央電解質膜が第1の金属層内の第1の穿孔パターンにおいて第1の外側電解質層と接している。酸素イオンはそれから中央電解質層を通って移動し、第2のイオン伝導性境界面を通って第2の外側電解質層に入る。なお、第2のイオン伝導性境界面では、第2の外側電解質層が第2の金属層内の第2の穿孔パターンにおいて中央電解質膜に接している。酸素イオンはそれから第2の外側電解質層の表面へと移動し、そこで吸着した水素燃料ガスと接し、反応することで2つの電子を放出する。これらの電子は第2の外側電解質層の厚さを越えて移動し、さらに第2の電子伝導性境界面を通って第2の金属層へと移動する。第2の金属層に着くや、これらの電子は外部電気回路(図示せず)を通って第1の金属層へと戻っていく。
【0035】
図2には、金属支持された固体電解質型電気化学的電池の図式的な拡大断面図と反応の実例、ならびに固体酸化物型燃料電池として動作するこの種の電池の導体路が示されている。図示のように、第1の金属層3は、第1の外側電解質層4及び第1の導電性境界面9と共同して負極として動作する。第2の金属層5は、第2の外側電解質層6及び第2の導電性境界面11と共同して正極として動作する。
【0036】
酸素イオンは第1の外側電解質層4の表面に生じ、第1の外側電解質層4を通って移動し、第1のイオン伝導性境界面8を通って中央電解質膜7の中へと進み、中央電解質膜7の中を移動し、第2のイオン伝導性境界面10を通って第2の外側電解質層6の中へと進み、第2の電解質層の表面に移動し、そこで燃料ガスと反応して余剰電子を放出する。第2の外側電解質層6の表面で放出された電子は、第2の導電性境界面11を通って第2の金属層5の中へ移動し、第2の金属層5を第1の金属層3に接続する外部電気回路(図示せず)を介して移動し、第1の伝導性境界面9を通って第1の外側電解質層4の中へと進み、第1の外側電解質層4の表面へと移動し、そこで吸着した酸素と結合して酸素イオンを生じる。外側電解質層は有利には混合イオン伝導性と電子伝導性を有する導体である。しかし、外側電解質層が薄いため、電子が導電性境界面を通り抜けることができる場合には、外電解質がイオン伝導性のみを有するようにしてもよい。セルを通り抜ける安定した丈夫なイオン伝導性経路を実現するためには、第1及び第2の外側電解質層は稠密で亀裂のないようにしなければならない。これらのことは金属支持電池を製造する際の主要課題である。同様に、第1及び第2の導電性境界面の結着性も、セルの電気抵抗を低下させるには重要であり、第1及び第2の金属層の材料を選択する際の非常に重要な考慮事項である。
【0037】
c)第2の実施形態の説明
本発明の第2の実施形態では、金属支持された固体電解質型電気化学的電池は、2つの主表面を定める中央電解質膜を有する。これらの主表面は電解質膜の各側面に1つずつ定められる。中央電解質膜の一方の主表面には、第1の多孔質内側電解質層が密着している。第1の多孔質内側電解質層の中央電解質膜に密着していない方の表面には、第1の穿孔パターンを備えた第1の金属層が密着している。中央電解質膜と第1の多孔質内側電解質層との間の境界面は、第1の内側イオン伝導性境界面を画定する。第1の多孔質内側電解質層と第1の金属層との間の境界面は、第1の内側導電性境界面を画定する。中央電解質膜の他方の主表面には、第2の多孔質内側電解質層が密着している。第2の多孔質内側電解質層の中央電解質膜に密着していない方の表面には、第2の金属層が密着している。なお、前記第2の金属層には第2の穿孔パターンが組み込まれている。中央電解質膜と第2の多孔質内側電解質層との間の境界面は、第2の内側イオン伝導性境界面を画定する。第2の多孔質内側電解質層と第2の金属層との間の境界面は、第2の内側導電性境界面を画定する。第1の金属層の、第1の多孔質内側電解質層に密着していない表面である外側表面には、第1の穿孔パターンにより露出された第1の多孔質内側電解質層部分と密に連絡する第1の外側電解質層が密着していても又は密着していなくてもよい。第1の外側電解質層と第1の多孔質内側電解質層との間の境界面は、第1の多孔質イオン伝導性境界面を画定する。第1の金属層と第1の外側電解質層との間の境界面は、第1の導電性境界面を画定する。第2の金属層の、第2の多孔質内側電解質層に密着していない表面である外側表面には、第2の穿孔パターンにより露出された第2の多孔質内側電解質層部分と密に連絡する第2の外側電解質層が密着していても又は密着していなくてもよい。第2の外側電解質層と第2の多孔質内側電解質層との間の境界面は、第2の多孔質導電性境界面を画定する。第2の金属層と第2の外側電解質層との間の境界面は、第2の導電性境界面を画定する。
【0038】
電池は、金属支持された固体電解質膜の各面へ及び各面から反応ガスを導き、外部電気回路を介して第1の金属層を第2の金属層に電気的に接続する、ガスシールと電気相互接続部とを含めた金属製相互接続部材を設けることにより完成する。中央電解質膜、第1の多孔質内側電解質層、第2の多孔質内側電解質層、第1の外側電解質層、及び第2の外側電解質層は、専らイオン伝導体から成っていても、又は混合イオン伝導性と電子伝導性とを有する伝導体から成っていてもよい。中央電解質膜、第1の多孔質内側電解質層、第2の多孔質内側電解質層、第1の外側電解質層、及び第2の外側電解質層は、それぞれ単一の電解質材料、異なる電解質材料の混合、異なる電解質材料の積層化複合材料、又は前記すべての組合せから形成されてもよい。有利には、第1及び第2の多孔質内側電解質層ならびに第1及び第2の外側電解質層はそれぞれ、イオン伝導性と電子伝導性の両方を有する1つもしくは複数の電解質相から形成されるか、又は主にイオン伝導性を有する1つもしくは複数の相と主に電子伝導性を有する1つもしくは複数の相との多相混合から形成されるか、又は上記の組合せから形成される。第1及び第2の多孔質内側電解質層ならびに第1及び第2の多孔質イオン伝導性境界面は、反応ガスが多孔質内側電解質層の中へ、多孔質内側電解質層を通って、また多孔質内側電解質層から容易に輸送されるようにガス透過性を有するように設計されている。
【0039】
本発明のこの第2の実施形態によれば、金属支持された固体電解質型電気化学的電池の基本的動作は、従来の固体電解質型電気化学的電池の動作と類似している。しかし、電極構造の詳細は異なっている。
【0040】
具体的な説明のために、本発明の電池が固体酸化物型燃料電池として動作する例を考える。この固体酸化物型燃料電池では、中央電解質層は専らイオン伝導体であり、多孔質内側電解質層は混合イオン伝導性及び電子伝導性を有する導体である。簡明性に配慮して、電池が外側電化質層を有していないと仮定する。さらに、第1の金属層と第1の多孔質内側電解質相が酸素濃厚ガスと接し、第2の金属層と第1の多孔質内側電解質層が水素のような燃料ガスと接すると仮定する。その結果、第1の多孔質内側電解質相は、第1の金属層とその第1の穿孔パターン、第1の内側イオン伝導性境界面、ならびに第1の内側導電性境界面と共同して、負極として動作する。第2の多孔質内側電解質層は、第2の金属層とその第2の穿孔パターン、第2の内側イオン伝導性境界面、ならびに第2の内側導電性境界面と共同して、正極として動作する。酸素ガスは第1の穿孔パターンを通って第1の多孔質内側電解質層に出入りする。第1の多孔質内側電解質層は混合伝導体なので、電子、酸素イオン、及び吸着した酸素ガスは、第1の多孔質内側電解質層の全体積中の多くの点において、また第1の内側イオン伝導性境界面と第1の内側導電性境界面の両方において密に連絡することができる。同様に、水素燃料ガスと水蒸気は、第2の穿孔パターンを通って第2の多孔質内側電解質層に出入りする。第2の多孔質内側電解質層は混合伝導体なので、電子、酸素イオン、及び吸着した水素燃料ガスは、第2の多孔質内側電解質層の全体積中の多くの点において、また第2の内側イオン伝導性境界面と第2の内側導電性境界面の両方において密に連絡することができる。中央電解質膜と各多孔質内側電解質層の厚さが、それぞれおよそ5μm未満と短く保たれている場合、本発明の電極構造は、イオン伝導性と電子伝導性の両方を有する短い導体路と共同して高密度の電気化学的反応場を提供し、エリアに応じた高い電流密度と低い内部抵抗損失をもたらす。高密度の電気化学的反応場を提供することに加えて、多孔質内側電解質層は、セラミック電解質層に使用される材料と金属層に使用される材料との間の熱膨張係数の不釣り合いを調停する手段を提供する。
【0041】
本発明の第2の実施形態は一般的な形で図9に示されており、以下でより詳細に説明される。なお、図1〜図7の第1の実施形態からの同じ特徴を参照する場合には同じ参照番号を使用する。
【0042】
図9には、固体酸化物型燃料電池として動作する金属支持された固体電解質型電気化学的電池が示されている。この固体電解質型電気化学的電池は、第1及び第2の多孔質内側電解質層の両方と第1の外側電解質層とを有しているが、第2の外側電解質層は有していない。図示されているように、第1の多孔質内側電解質層31は、第1の金属層3及びその第1の穿孔パターン、第1の外側電解質層4、第1の内側イオン伝導性境界面32、第1の内側導電性境界面33、第1の多孔質イオン伝導性境界面34、ならびに第1の導電性境界面9と共同して、負極として動作する。第2の多孔質内側電解質層41は、第2の金属層5及びその第2の穿孔パターン2、第2の内側イオン伝導性境界面42、ならびに第2の内側導電性境界面43と共同して、正極として動作する。負極側では、酸素ガスが外側電解質層4の表面に吸着し、また第1の穿孔パターン1と第1の多孔質イオン伝導性境界面34を通って第1の多孔質内側電解質層31の中へ及び第1の多孔質内側電解質層31から外へ拡散する。図示されているように、水素燃料ガスと水蒸気は、第2の穿孔パターン2を通って第2の多孔質電解質層41の中へ及び第2の多孔質電解質層41から外へ拡散する。中央電解質膜7はガス不透過に設計されており、また図示されているのは固体酸化物型燃料電池なので、十分な酸素イオン伝導性を有するが、理想的には電子伝導性はまったく有さないように設計されている。セルを通り抜ける安定した丈夫なイオン伝導性経路を実現するためには、第1及び第2の内側イオン伝導性境界面は、多孔質内側電解質層と中央電解質膜との間に連続的で密な密着を提供しなければならない。同様に、第1及び第2の内側導電性境界面の結着性も、セルの電気抵抗を低下させるには重要であり、第1及び第2の金属層の材料を選択する際の非常に重要な考慮事項である。
【0043】
注意すべきは、図1a〜7bに示されている詳細及びそれに関する記述は、多孔質内側電解質層を備えていない金属支持された固体電解質型電気化学的電池のみを説明しているが、これらの詳細は多孔質内側電解質層を有する金属支持された固体電解質型電気化学的電池にも適用されるということである。
【0044】
本明細書に記載された金属支持された固体電解質型電気化学的電池を構成しうるセラミック電解質材料と金属材料の範囲は、当該技術分野では既知である。しかし、本明細書に記載されている電池及びマルチセルリアクタは、新たな改良された電解質材料及び金属材料を難なく取り入れることができるということが理解されるだろう。
【0045】
電解質材料
電解質材料を選ぶ際の主要な考慮事項は、電解質材料が電池動作条件の下で安定していること、及び電解質材料が最低動作温度においてできるだけ高いイオン伝導性を有することである。本明細書で使用されているように、電解質又は金属材料に関して、「安定性」とは、電池の製造及び動作中に化学的に及び/又は微細構造的に不変である材料の性質を指している。この性質のうちには、連続した相互拡散と、他の材料にボンディング及び/又は接触したときの他の材料との反応とに対する耐性、ならびに気体雰囲気との不所望な化学反応に対する耐性が含まれる。本明細書に記載されている電池の場合、動作温度はおよそ800°C未満であるよう意図されており、650°C以下の動作温度は、この比較的低い温度範囲が電池内の金属層それ自体と金属製ガス多岐管及び金属製相互接続部材の両方に使用される候補材料の寿命を延ばすという理由から、選好される。有利には、安定性を損なうことなくイオン伝導性の純増を達成するために、1つより多くの電解質材料の積層化複合材料を使用してもよい。この積層化複合材料は、例えば、イオン伝導性はより高いが安定性のより低い材料を、安定性はより高いがイオン伝導性のより低い材料の2つの層の間にはさむことにより可能である。例えば、この種の積層化複合材料はアメリカ合衆国特許台5,725,965号に記載されている。本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池の製造に使用される場合、電解質材料は薄膜及び/又はコーティングの形態をとる。最も有利には、これらの薄膜及び/又はコーティングは稠密で亀裂のないものである。
【0046】
基本的には、本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池内の電解質材料として、任意のイオン伝導性固体を使用することができる。電解質材料は1つ又は複数のイオン種を伝導することができ、このようなイオン種の各々は正電荷又は負電荷のいずれかを運ぶことができる。このようなイオン種の例としては、酸素イオン(O−)、水素イオン(H+)及びナトリウムイオン(Na+)が挙げられる。本明細書に記載された電気化学的電池に有利な電解質材料は、酸素イオン伝導体、又は混合イオン伝導性と電子伝導性とを有する伝導体である。Minh and Takahashi,Science and Technology of Ceramic Fuel Cells,Elsevier,1995,chapters 3,4 and 5からは、適切な酸素イオン伝導性電解質材料の便利な例を知ることができる。酸素イオン伝導性、又は混合酸素イオン伝導性と電子伝導性とを有する代表的な電解質材料としては、完全に安定化したジルコニア、部分的に安定化したジルコニア、ドープされたセリア、ドープされた酸化ビスマス、La0.8Sr0.2Ga0.85Mg0.15O2.825のような酸化ペロフスカイト、Gd2(Zr0.6Ti0.4)2O7のような酸化パイロクロールなどが挙げられる。これらは、第1の多孔質内側電解質層、及び/又は第2の多孔質内側電解質層、及び/又は第1の外側電解質層、及び/又は第2の外側電解質層は主に電子伝導性相を含んでいるのに対して、混合金属酸化物又は単一の金属酸化物のような電子伝導性セラミック、金属、又は電子伝導性セラミックと金属の組合せを含んでいてよい。代表的な電子伝導性材料としては、La0.9Sr0.1MnO3及びLa0.9Sr0.1CrO3のような酸化ペロフスカイト、銀の酸化物、ならびに、白金、パラジウム及び銀のような金属が挙げられる。
【0047】
第1及び第2の金属層の材料
第1及び第2の金属層の材料を選ぶための幾つかの重要な基準がある。第1に、金属材料の熱膨張係数は、セルの離層の原因となりうる応力が最小化されるように、選ばれた電解質材料の熱膨張係数とできるだけ近く合わせなくてはならない。金属材料はその全体積にわたって、また、特に金属層が固有に表面酸化物層を含んでいる場合には、とりわけその表面において又はその表面を通して適度な導電性を有していなければならない。金属材料は意図した電池動作温度において適度な強度を有していなければならない。金属材料は、長い動作寿命が得られるように、電池動作条件の下で安定しているべきである。理想的には、金属材料は、商品コストと製造コストの両方の観点から低コストであるべきである。第1及び第2の金属層に関して、安定性とは第一義的には電池の所望動作温度においての耐酸化性を指している。第1の金属層用として選択された材料が第2の金属層用として選択された材料と同じである必要はないが、電池内の異なる材料の間の境界面の設計を単純化するには同じであることが望ましい。
【0048】
第1及び第2の金属層用の代表的材料としては、ニッケル、金、銀、白金、クロム、クロム鉄合金、フェライトステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、及びニッケルをベースとした超合金、チタン、及びチタン合金が挙げられる。有利な金属材料としては、クロム鉄合金、フェライトステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、及びニッケルをベースとした超合金が挙げられる。安定化ジルコニア及び/又はドープされたセリアが電解質材料として使用される場合には、最も有利な金属材料として、クロム鉄合金とフェライトステンレス鋼が挙げられる。より一般的にコストの観点から決めるならば、最も有利な材料として、クロム鉄合金とフェライトステンレス鋼が挙げられる。
【0049】
本明細書に記載された第1及び/又は第2の金属層を製造するために使用する場合には、金属材料は精錬された箔、薄膜、コーティング及び/又は上記の組合せの形をとってよい。薄膜又はコーティングの形の金属層は、スパッタリング、化学蒸着、無電解メッキ、電気メッキ、スクリーン印刷+焼結、スラリーコーティング+焼結、テープ積層+焼結を含む種々のコーティング法により作ることができる。有利には、精錬された箔は第1の金属層又は第2の金属層の少なくとも一方の大部分を含んでいる。最も有利には、精錬された箔は第1及び第2の金属層の両方の大部分を含んでいる。
【0050】
金属製相互接続部材の材料
金属製相互接続部材の材料を選ぶ際の基準は、既に説明した第1の及び第2の金属層の材料を選ぶ際の基準と似ている。しかし、金属製相互接続部材12の場合、熱膨張係数を使用される電解質の熱膨張係数にできだけ近く合わせるという要求は緩和される。また、金属製相互接続部材の材料は、第1及び第2の金属層の材料と接合される際に使用されるメタラジカルボンディング技術の観点から、第1及び第2の金属層の材料との適合性がなければならない。金属製相互接続部材向けの代表的な材料としては、ニッケル、金、銀、白金、クロム、クロム鉄合金、フェライトステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、及びニッケルをベースとした超合金、チタン、及びチタン合金が挙げられる。有利な材料としては、フェライトステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、及びニッケルをベースとした超合金が挙げられる。
【0051】
本明細書に記載された金属製相互接続部材12を製造するために使用する場合には、金属材料は精錬された箔、精錬された薄板、精錬された薄いストリップ、コーティング、及び/又は上記の組合せの形をとってよい。有利な形態は精錬された箔及び/又は精錬された薄板である。
【0052】
厚さの考慮
中央電解質膜は有利には、中央電解質膜の熱膨張係数と第1及び/又は第2の金属層の熱膨張係数との間の不釣り合いの結果としてセルの離層を引き起こす傾向のある応力を低減するため、できるだけ薄く作られる。また、第1及び第2の穿孔パターンの或る構成では、中央電解質膜をできるだけ薄くして、膜の一方の側から他方の側へできるだけ短いイオン伝導路が実現されるようにすることが望ましい。その一方で、中央電解質膜の厚さがおよそ0.5μm未満である場合には、第1及び第2の金属層の間の確実な電気的絶縁を行うことは比較的難しい。これは特に、中央電解質膜に密着する第1及び/又は第2の金属層の表面粗さが中央電解質膜の厚さと同じ程度である場合に当てはまる。中央電解質膜の厚さは、中央電解質膜の製造過程の特性にも依存する。例えば、中央電解質膜が、電解質材料のフィルムを金属層のうちの1つにスパッタリングすることにより形成される場合、フィルムの厚さがおよそ1μmを越えて増大するにつれて、この電解質フィルム内の残留応力を管理することがより難しくなる。上記の要因を考慮すると、中央電解質膜の厚さは有利にはおよそ0.5μm〜およそ10μmの範囲、最も有利にはおよそ0.8μm〜およそ5μmの範囲である。
【0053】
第1及び第2の多孔質内側電解質層は、有利には、セルを通り抜けるできるだけ短いイオン伝導性経路が実現されるように、できるだけ薄い。同時に、これらの多孔質層は、反応ガスが制限されずに流れるように、層の全体積にわたって適度な大きさのガス流路を設けるのに十分なほどの厚さを有しているべきである。これらの要因を考慮すると、第1及び/又は第2の多孔質内側電解層の厚さはおよそ0.5μm〜およそ10μmの範囲、より有利にはおよそ1μm〜およそ5μmの範囲である。
【0054】
第1の金属層と第2の金属層の少なくとも一方はセルに機械的支持を提供する。つまり、これらの層の一方は支持金属層でなければならず、完成したセル構造があたかも全体的に金属でできているかのようであるように、一般に少なくとも2倍、有利には少なくとも4倍、中央電解質膜よりも厚い。機械的により丈夫な電池を実現するという要望も、堅い金属製相互接続部材により多くのボンディングポイントを設けることにより実現するのでないかぎり、第1又は第2の金属層の少なくとも一方の厚さの増大を要求する。第1及び第2の金属層の厚さがおよそ10μmを超えている場合には、第1又は第2の金属層と金属製相互接続部材との間に十分なメタラジカルボンディングを施す方が簡単である。電池内の電子抵抗を低減するという要望は、固体酸化物型燃料電池の使用において重要であるが、同様に比較的薄い金属層を要求する。しかし、このケースでは金属層は両方とも比較的薄い。金属層内の電子抵抗は、金属製相互接続部材への電気接続の間隔ならびに第1及び第2の内側導電性境界面及び/又は第1及び第2の導電性境界面の厚さと電子伝導性によって決定される。電池内の電気抵抗の観点からは、導電性境界面はできるだけ薄いことが望ましい。その一方で、第1及び第2の金属層をできるだけ薄く保つことができる場合には、高密度の穿孔を施す方が格段に簡単である。高密度の穿孔は、電極ガス流のパフォーマンスの改善及び/又は平均イオン伝導路長の短縮、ならびに電池の電流密度の増大をもたらす。以上の要因を考慮すると、第1の金属層及び第2の金属層の厚さは有利にはおよそ5μm〜およそ75μmの範囲、最も有利にはおよそ10μm〜およそ30μmの範囲である。
【0055】
多孔質内側電解質層を持たない電池のイオン抵抗を最小化するためには、第1及び第2の両方の外側電解質層の厚さを増大させることが望ましい。というのも、これによりイオン伝導体の断面積が増えるからである。これは、第1及び第2の金属層がおよそ30μmよりも薄い場合に起こり得るように、第1及び第2の金属層を貫通する穿孔パターンの密度が低い場合に特に重要である。また、下にある金属層を電池内の動作雰囲気による腐食から保護するために、外側電解質層を比較的厚くすることが望ましい。その一方で、外側電解質層の剥離を生じさせる可能性のある離層応力を最小化するためには、外側電解質層をできるだけ薄く保つことが望ましい。以上の要因を考慮すると、第1及び第2の外側電解質層の厚さはおよそ0.1μm〜およそ4μmの範囲、最も有利にはよそ0.2μm〜およそ2μmの範囲である。
【0056】
図7を参照すると、金属製相互接続部材の全体的な厚さは、部材上面の突起又はリブの高さの和、寸法H1、部材底面の突起又はリブの高さ、寸法H2、及び部材を形成する金属板の厚さである寸法Tから成っていることが分かる。寸法H1及びH2は、セル電極表面への計画されたガス流及びセル電極表面からの計画されたガス流を管理するのに必要なガス流路のサイズとの関係によって、ならびに、電気化学的電池に補助的な支持を提供するために堅い多孔質支持材がガス流路に挿入されているか否かによって決定される。ただし、前記セル電極表面はセルのアクティブエリアの幅である寸法Hに直接比例している。H1及びH2は同じである必要はない。しかし、単純さのためにはそうであることが望ましい。典型的には、H1及びH2はおよそ0.2mm〜およそ3mmの範囲、有利にはおよそ0.2mm〜およそ1mmの範囲である。典型的には、Tはおよそ0.1mm〜およそ2mmの範囲、有利にはおよそ0.1mm〜およそ1mmの範囲である。したがって、金属製相互接続部材の全体的な厚さは典型的にはおよそ0.5mm〜およそ8mmの範囲、有利にはおよそ0.5mm〜およそ3mmの範囲である。
【0057】
穿孔パターン
第1及び第2の穿孔パターンの機能は、多孔質内側電解質層がガスに触れるようにすること、又は外側電解質層が中央電解質膜と密に連絡するように中央電解質膜を露出させ、セルを通り抜ける(すなわち、中央電解質膜の一方の側から他方の側への)イオン伝導体路を完成させることである。個々の穿孔は、第1及び/又は第2の金属層により適度な構造的支持が中央電解質膜に提供される限り、また穿孔を有する金属層が電池に低い電気抵抗をもたらすのに十分な長さの金属導体路を有している限り、任意のサイズ及び形状であってよい。
【0058】
セル表面の単位面積あたりの穿孔密度を含めたパターンの構成は、第1及び/又は第2の金属層の表面にわたってエリアごとに変化しうる。第1の穿孔パターンは第2の穿孔パターンと同じでもよいし、又は異なっていてもよい。電極ガス流のパフォーマンスを最大化するため、及び/又はイオン伝導路を最小化し、セルを流れるイオン電流を最大化するために、個々の穿孔のサイズは小さくし、セル表面の単位面積あたりの穿孔密度は、第1及び第2の金属層の両方において、できるだけ高くすべきである。個々の穿孔の側壁は、必須ではないが有利には、電解質膜の表面に対してほぼ垂直である。なぜならば、これにより表面の単位面積あたりの穿孔密度がより高くなり、所与の穿孔形状及び穿孔密度に対してより大きなより低抵抗の電子伝導路が実現されるからである。
【0059】
代表的な製造プロセス
図8は、本発明の第1の実施形態の複数の金属支持された固体電化質型電気化学的電池を備えたリアクタを製造する代表的な製造プロセスのフローチャートである。なお、上記電池は多孔質内側電解質層を有していない。ページ左側に示されたプロセス動作は、第2の金属層、第2の穿孔パターン、第2の外側電解質層及び第2のイオン伝導性境界面の製造に適用される。中央電解質膜を製造するプロセス動作は同様にページ左側に示されている。ページ右側に示されているプロセス動作は、第1の金属層、第1の穿孔パターン、第1の外側電解質層及び第1のイオン伝導性境界面の製造に適用される。ページ垂直中央に寄せて示されているプロセス動作は、電池全体又はリアクタアセンブリ全体に適用される。Z−Zにおける水平破線より上に示されているプロセス動作は個々の電池の製造に適用され、線Z−Zより下に示されている動作はマルチセルリアクタの製造に適用される。図8からは、個々の電池の製造が、穿孔パターン形成のために金属材料を取り除くプロセス動作を交えた、5層積層化構造を形成する逐次的積層、コーティング又はフィルム形成の複数のプロセス動作を含んでいることが明らかである。この製造プロセス全体は、電子工業において両面プリント回路基板、とりわけ両面フレキシブルプリント回路基板の製造に使用される製造プロセス全体と類似している。
【0060】
金属層は、図8に示されているように、精錬された箔として設けることができ、これは金属材料の組成及び機械的性質を容易に操作できるようにするので有利である。しかし、両方の金属層が精錬された箔から形成されている場合には、金属層のうちの少なくとも一方を中央電解質膜に積層するためのプロセスが設けられなければならない。また、穿孔パターンの形成のために箔から材料を取り除くためのプロセスも設けられなければならない。穿孔パターンを形成する代表的なプロセスには、プリント回路基板の製造に使用されるような、又はより具体的に、ステンレス鋼材料から小形コンポーネントを製造するために光化学加工産業において使用されるようなフォトリソグラフィエッチングプロセス及び化学エッチングプロセスが含まれる。これらの同じパターン成形又は光化学加工のプロセスは、金属製相互接続部材の製造にも使用することができる。第1及び第2の金属層の両方を精錬された箔として形成する有利なプロセスは図8にまとめられている。このプロセスでは、まず一方の箔に適切な穿孔パターンが形成され、他方の箔は中央電解質膜を形成する電解質材料の予備焼成させた「添加ゾルゲル」(loaded sol−gel)コーティングによりコーティングされる。2つの箔はつぎに、連続した箔と穿孔された箔が予備焼成させた「添加ゾルゲル」電解質コーティングを挟み込むようにプレスされる。焼成すると「添加ゾルゲル」コーティングは密度が高くなり、連続した箔と穿孔された箔の両方に接着する。穿孔された箔の穿孔は、「添加ゾルゲル」コーティングの焼成中に発生する揮発性有機物を逃がす手段を提供する。適切な「添加ゾルゲル」コーティングプロセスはアメリカ合衆国特許第5,585,136号に記載されている。代替的に、「添加ゾルゲル」法と(従来の)ゾルゲル法の多層的組合せを使用してもよい。代表的なゾルゲル法アメリカ合衆国特許第5,494,700号に記載されている。
【0061】
代替的に、第1及び/又は第2の金属層は、単一のコーティング及び/又はメッキプロセス、又は、複数のコーティング及び/又はメッキプロセスのどちらによっても製造することができる。このアプローチの主な欠点は、金属層の組成及び機械的性質を操作できる程度が低くなることである。このアプローチの利点は、穿孔パターンを金属層自体の製造時に形成することができ、したがって別個のパターン成形プロセスの必要がないこと、金属層が10μmよりも厚い場合にも高密度の穿孔パターンを実現することができること、ならびに、個々の穿孔の側壁を中央電解質膜の表面に対してほぼ垂直にすることができることである。代表的なプロセスとしては、金属及び合金の無電解メッキ、電気メッキ、金属及び合金のDCマグネトロンスパッタリング、ならびにこれらの組合せが挙げられる。急勾配の壁を有するバイアホール又は穿孔を厚い金属層に稠密に詰め込むための代表的なプロセスは、Leith and Schwartz,High−Rated Though−Mold Electrodeposition of Thick(>200mm) NiFe MEMS Components with Uniform Composition, Journal of Microelectromechanical Systems,Vol.8,No.4,December 1999に記載されている。第1及び/又は第2の金属層は、金属又は合金を典型的には高分子結合剤の中に含有された粉末として使用し、続いてこの粉末を焼結して稠密なモノリシック金属層を形成することを含むプロセスによっても形成してもよい。予備焼結した金属層を形成するための代表的なプロセスは、スクリーン印刷、スラーリーコーティング、及びテープキャスティング/積層法である。
【0062】
本明細書ですでに言及したゾルゲル及び「添加ゾルゲル」コーティングプロセスに加えて、中央電解質膜及び外側電解質層は申し分のないセラミックコーティングを行ういずれのプロセスによっても形成することができる。代表的なコーティングプロセスとしては、反応DCマグネトロンスパッタリング、RFマグネトロンスパッタリング、及び化学蒸着が挙げられる。例えば、固体酸化物型燃料電池にとって有利な電解質材料である酸化イットリウム安定化ジルコニアの層を蒸着させる代表的なDC及びRFマグネトロンスパッタリングプロセスは、アメリカ合衆国特許第5,753,385号に記載されている。中央電解質膜を形成する有利なプロセスは、既に言及した「添加ゾルゲル」プロセスにより単層又は多層コーティングを施すことによるもの、又は「添加ゾルゲル」コーティングとゾルゲルコーティングを組み合わせた多層コーティングを施すことによるものである。外側電解質層を形成する有利なコーティングプロセスとしては、「添加ゾルゲル」、ゾルゲル、分極電気化学蒸着(PEVD)、及びこれらの組合せが挙げられる。外側電解質層を形成する最も有利なプロセスは、まず単層又は多層ゾルゲルコーティングを適用し、続いてPEVDコーティングを適用することである。PEVDプロセスは、Tang et al,A New Vapor Deposition Method to Form Composite Anodes for Solid Oxide Fuel Cells,Journal of the American Ceramics Society,83[7] 1626−32(2000)に記載されている。PEVDプロセスの利点は、中央電解質膜と外側電解質層との間に丈夫なイオン伝導性境界面を形成すること、また外側電解質層の亀裂を埋めることにより、セルを通り抜ける丈夫なイオン伝導体路を形成することである。
【0063】
図10は、本発明の第2の実施形態の複数の金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたリアクタを製造するための代表的な製造プロセスのフローチャートである。前記固体電解質型電気化学的電池は多孔質内側電解質層と第1の外側電解質層を有しているが、第2の外側電解質層は有していない。第1の外側電解質層は有しているが、第2の外側電解質層は有していないのは、単にこれらの層の一方又は両方は容易に追加することも、又は製造プロセス全体から削除することもできることを示すために過ぎないことに注意されたい。ページ左側に示されているプロセス動作は、第2の金属層、第2の穿孔パターン、第2の多孔質内側電解質層、及び第2の内側イオン伝導性境界面の形成に適用される。ページ右側に示されているプロセス動作は、第1の金属層、第1の穿孔パターン、第1の多孔質内側電解質層、第1の外側電解質層、及び第1の内側イオン伝導性境界面の形成に適用される。ページ垂直中央に寄せて示されているプロセス動作は、個々のセルの中央電解質膜及びリアクタアセンブリ全体の形成に適用される。Z−Zにおける水平破線より上に示されているプロセス動作は個々の電池の製造に適用され、線Z−Zよりも下に示されている動作はマルチセルリアクタの製造に適用される。PEVDコーティング動作は、内側イオン伝導性境界面を強化することを主な目的としているが、図示されているように、必要であれば製造プロセス全体の一部として含まれる。しかし、コスト最小化の目的では、PEVDプロセス動作が必要とされないことが望ましい、また特に多孔質内側電解質層を有する金属支持された固体電解質型電気化学的電池の場合には、PEVDプロセス動作が必要とされないことが予想される。
【0064】
明らかに、図10に示されている製造プロセス全体及び個々のプロセス動作は、多孔質電解質層の形成に必要とされる特定のプロセス動作を除けば、図8に示されているものと同じである。多孔質内側電解質層は、適切な多孔質セラミックコーティングを施す任意のプロセスによって形成することができる。代表的なプロセスとしては、適切に適応させたテープキャスティング及び積層法、スクリーン印刷、反応DC及びRFスパッタリング、ゾルゲル及び「充填ゾルゲル」(filled sol−gel)法が挙げられる。コーティングの孔空け及び/又は多孔率の引き上げに使用される代表的かつ広く適用可能な適合化は、一般にコーティングが形成された後に焼却又は浸出操作により除去される揮発性の予備成形溶加材を混入することを含む。上記「充填ゾルゲル」プロセスは多孔質多相セラミック電解質コーティングの形成に非常に適しており、本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池の多孔質内側電解質層を製造するための有利な方法である。
【0065】
導電性境界面の改善
本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池の別の実施形態では、第1の内側導電性境界面、及び/又は第2の内側導電性境界面、及び/又は第1の導電性境界面、及び/又は第2の導電性境界面は、導電性境界面の導電性を高める及び/又は電池動作温度での導電性をより安定させる特定の金属酸化物組成が形成されるように、特定の金属層を加えることにより改善される。第1及び第2の内側導電性境界面、及び/又は第1及び第2の導電性境界面の導電性を高めるために使用しうる代表的な材料は、第1及び第2の金属層溶に選択される特定の材料に依存する。金属層が酸化クロムスケールを形成するクロム高含有合金から成る場合は、マンガン、マグネシウム及び亜鉛のような代表的金属を添合することで、改善された酸化皮膜スケールが導電性と安定性の増大を示すようにすることができる。マンガンはクロム高含有合金と共に使用するのに有利な材料である。
【0066】
アメリカ合衆国特許第6,054,231号には、固体酸化物型燃料電池内の金属製バイポーラ相互接続部材の正極側側面で使用されるクロム高含有合金上のこのような改善された導電性表層に適した材料、及びこのような改善された導電性表層を形成するプロセスが記載されている。この種のクロム高含有合金はまた、本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池の第1及び第2の金属層にとって有利な材料でもある。所望の酸化皮膜は、第1及び/又は第2の金属層を形成する合金の配合に所望の酸化皮膜を改善する金属を十分な濃度で加えることによっても得ることができる。例えば、重量にして5%以上のマンガンをフェライトステンレス鋼に加えてもよい。しかし、合金の配合のこのような変更は、合金がもはや選択された電解質材料の熱膨張係数とよく釣り合わなくなるほど熱膨張係数を顕著に変化させてしまう可能性がある。
【0067】
メタラジカルボンディングされたガスシール及び/又は電気接続部
別の有利な実施形態では、金属支持された固体電解質型電気化学的電池の第1の金属層と第2の金属層は、それぞれ1つ又は複数の金属製相互接続部材にメタラジカルボンディングされている。本明細書で使用されている「メタラジカルボンディングする」又は「メタラジカルボンディングされる」という用語は、溶接又は鑞付けプロセスによる接合を意味しており、「メタラジカルボンド」という用語はメタラジカルボンディングにより形成された接合部を意味する。第1及び第2の金属層の金属製相互接続部材へのメタラジカルボンディングは、セルの周縁部においてのみ行われる。択一的に、より大きな機械的強度及び/又はより低い電気抵抗を電池にもたらすために、第1及び第2の金属層をこれら金属層の表面の多くのポイントにおいて金属製相互接続部材にメタラジカルボンディングしてもよい。金属層の表面において、これらのボンディングポイントは、電極表面への及び電極表面からのガス流に対する制限を最小化するよう配置されている。
【0068】
図3a,3bには、金属支持された固体電解質型電気化学的電池と金属製相互接続部材とを備えたマルチセルリアクタの代表的な構成図の平面図及び断面図が示されている。なお、相互接続部材は、積み重ねられたセルの間の直列の電気相互接続と、関連するガスを電極表面へ及び電極表面から輸送するためのガス流路の両方を提供する。周辺ガスシールと、第1の金属層3及び/又は第2の金属層5と金属製相互接続部材12との間の電気相互接続部13及び/又は内部相互接続部14は、第1の金属層3及び/又は第2の金属層5を金属製相互接続部材12にメタラジカルボンディングすることにより形成することができる。図4a,4bには、周辺ガスシールと相互接続部13が鑞付け技術によりメタラジカルボンディングされ、鑞付け溶加材17が組み込まれた場合の詳細な断面図が示されている。中央電解質膜17は、このようなメタラジカルボンディングされた相互接続部を形成する際に第1の金属層3と第2の金属層5との間の電気的絶縁を維持する。これは溶接技術によるよりも鑞付けによる方が簡単に実現されるので、鑞付けは有利なメタラジカルボンディングプロセスである。第1の穿孔パターン1及び/又は第2の穿孔パターン2は鑞付け溶加材の下に延在させてよい。というのも、鑞付け接合部が多くの穿孔にまたがり、それにより確実なガスシール及び/又は電気相互接続が得られるからである。図4a,4bに示されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池は多孔質内側電解質層を有していないが、図4a,4bで図解されているメタラジカルボンディングの詳細は、このような多孔質内側電解質層を有する金属支持された固体電解質型電気化学的電池にも当てはまる。
【0069】
第1及び/又は第2の金属層と金属製相互接続部材との間に十分なメタラジカルボンドを形成するメタラジカルボンディングプロセスであれば、どのメタラジカルボンディングプロセスを使用してもよい。ボンディングプロセスの選択は、第1及び第2の金属層と金属製相互接続部材の材料の選択に依存する。一般に、適切なメタラジカルボンディングプロセスとして、種々の鑞付け及び溶接の技術、ならびにこれらの組合せが挙げられる。金属支持された固体電解質型電気化学的電池の作製に使用されうる金属材料の候補の多くに対して、適切なメタラジカルボンディングプロセスは既に広く実施されている。例えば、ステンレス鋼、ニッケル合金、チタン合金及びクロム鉄合金を接合する数種の溶接及び鑞付けプロセスが広く商業的に使用されており、これらの同じプロセスは本明細書に記載されている金属支持された電池の製造にも使用することができる。有利なメタラジカルボンディングプロセスは真空鑞付け、不活性雰囲気鑞付け、抵抗溶接、及びこれらの組合せである。最も有利なメタラジカルボンディングプロセスは真空鑞付け及び/又は不活性雰囲気鑞付けである。なぜならば、これらのプロセスは電池の中央電解質膜に最小のダメージしか与えず、セルと金属製相互接続部材とが、まだメタラジカルボンディングされてはいないが、マルチセルリアクタへと組み立てられた後に、内部接着面にメタラジカルボンドを形成するための手段を備えているからである。マルチセルリアクタアセンブリの場合、鑞付け溶加材は、有利には、予め成形されたテープ、ワイヤガスケット、フォイルガスケット、ペースト、又はこれらの組合せの形で、メタラジカルボンディングすべき領域に与えられる。
【0070】
メタラジカルボンド上の外側電解質
本明細書に記載されている固体電解質型電気化学的電池の別の実施形態では、第1の外側電解質層及び/又は第2の外側電解質層は、第1及び/又は第2の金属層と隣接する金属製相互接続部材との間にメタラジカルボンディングが行われる領域の上に延在する。外側電解質層は金属製相互接続部材の表面全体又は一部の上に延在していてもよい。外側電解質層は、それ自体は安定したセラミックであるが、他の場合には電池動作温度に直接曝されうる下にあるすべての金属表面を保護する。例えば、外側電解質層は下にある金属材料を酸化、炭化、及び/又は硫化水素ガスのような硫黄化合物による腐食から保護する。外側電解質層をメタラジカルボンディング領域上に延在させるための有利な方法は、本明細書で既に言及したPEVDプロセスによるものである。というのも、これは化学蒸着/コーティングプロセスを改良したものであり、セルがマルチセルリアクタアセンブリへと組み立てられた後に実行することができるからである。ボンディング面及び外側電解質層でコーティングされる他のどの金属表面も導電性であるので、PEVDプロセスはこの目的にとって有効である。外側電解質層を金属製相互接続部材の表面上に延在させるための有利なプロセスは、まず、電池の第1及び/又は第2の金属層にボンディングされるべき表面を除く金属製相互接続部材の全表面に外側電解質層のコーティングを施し、つぎに相互接続部材を第1及び/又は第2の金属層にメタラジカルボンディングし、最後に既に述べたPEVDプロセスにより外側電解質層を完成させるものである。金属製相互接続部材に電解質コーティングを施すための有利な方法は、既に述べたゾルゲル又は添加ゾルゲル技術によるものであるが、稠密な金属表面にセラミックコーティングを施す他の任意の方法を使用してもよい。このコーティングは亀裂を有している可能性があるが、これと同様の小さな不連続は続いて行われるPEVDコーティングプロセスにより埋めることができる。
【0071】
図3bの詳細Cである図4bには、金属支持電池の周縁部のメタラジカルボンディングされたガスシールと相互接続部が示されている。第1の外側電解質層4と第2の外側電解質層6が、メタラジカルボンド17とメタラジカルボンド17に直に隣接する金属製相互接続部材12のエリアの上に延在しているのが見て取れる。
【0072】
丈夫なガス不透過膜を形成する穿孔パターン
本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池の別の実施形態では、第1の穿孔パターン及び第2の穿孔パターンは、中央電解質膜、又は第1の多孔質内側電解質層、中央電解質膜及び第2の多孔質内側電解質層を含む積層構造がいたるところ第1の金属層及び/又は第2の金属層によって直接支持され、丈夫なガス不透過膜が形成されるように配置される。なお、上記積層構造を以下では内側電解質サンドイッチと呼ぶ。図1a,1bには、第1及び第2の穿孔パターンのこのような配置構成が示されており、これらの配置構成において、中央電解質膜7がいたるところ第1の金属層3又は第2の金属層5と接し、支持されていることが見て取れる。金属層が比較的厚い、有利にはおよそ20μmよりも厚い場合、及び/又は、第1及び/又は第2の金属層が頻繁な間隔で、有利にはおよそ1.5cm以下の間隔で丈夫な金属製相互接続部材にメタラジカルボンディングされている場合には、電池は一方の側と他方の側との間の著しい圧力差に耐えることができる。択一的に、少なくとも膜の低圧側において、穿孔された又は多孔質の又はメッシュ状の堅いガス透過性の金属、セラミック又は金属/セラミック複合部材の全表面にセルを接触させることにより、セルを機械的に支持してもよい。丈夫なガス不透過電解質膜を備えたこのような金属支持セルは、特に電気駆動式酸素濃淡型リアクタ及び圧力駆動式部分酸化型リアクタにおいて有用である。
【0073】
短いイオン経路を形成する穿孔パターン
本明細書に記載されている多孔質内側電解質層を備えていない金属支持された固体電解質型電気化学的電池の別の実施形態では、第1の穿孔パターンと第2の穿孔パターンは、中央電解質膜が第1の金属層によっても第2の金属層によっても直接支持されていない領域を形成するように配置されており、これによりこれらの領域にセルの各側面の間にイオン伝導路が設けられる。このイオン伝導路は中央電解質膜の厚さによってのみ規定される。このアプローチによれば、より低い動作温度、電流密度の増大、及びこれら両方を可能にする僅か数μmのイオン伝導路長を実現することが可能である。図5a,5bには、第1及び第2の穿孔パターンのこのような配置構成の例が示されており、これらの配置構成において、第1の金属層3と第2の金属層5の両方の穿孔は、例えば長さが幅よりもおよそ5倍に延ばされた形をしており、同時に第1の穿孔パターン1と第2の穿孔パターン2は非平行に配置されており、これにより、パターンが重なる領域において中央電解質膜が支持されていない領域が形成されている。また、このような配置構成は、製造の観点から非常に有利である第1の穿孔パターンを第2の穿孔パターンと揃える作業を大いに単純化する。
【0074】
個々のセル内の熱勾配を低下させる穿孔パターン
本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池の別の実施形態では、第1の穿孔パターン及び/又は第2の穿孔パターンは、セルの表面にわたってある領域から他の領域へと、例えば中心から端へと穿孔密度を変化させることによって、電気化学的電流密度が電極表面の領域に応じて変化するように配置されている。これにより、電極表面の領域に応じた反応ガスの濃度及び/又は温度の変化に関連したセル内の熱勾配を低下させることが可能である。このようにして、個々のセルの設計を適合させることで、特定のリアクタの設計に関連したガス流パターンに合わせる/ガス流パターンを補正することが可能である。
【0075】
電極上の特殊触媒
本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池の別の実施形態では、第1の多孔質内側電解質層及び/又は第2の多孔質内側電解質層及び/又は第1の外側電解質層及び/又は第2の外側電解質層の上に又は中に特殊触媒が組み込まれる。例えば、この種の触媒は、固体酸化物型燃料電池内のある有利な燃料ガス改質、又は部分酸化型リアクタ内の特定の酸化反応が強化されるように選択される。触媒は、多孔質内側電解質層及び/又は外側電解質層の表面のうちで、反応ガスと接する表面に存在しなければならず、また所望の触媒作用が得られるが、セルの電気化学的反応を圧迫ないし害することのない濃度で存在しなければならない。これらの触媒は、RFもしくはDCマグネトロンスパッタリング又は化学蒸着のようなプロセスにより、外側電解質層上に非常に薄い不連続な金属及び/又は金属酸化物として付けられる。有利なアプローチは、本明細書で既に触れたゾルゲル及び/又は添加ゾルゲル技術によって多孔質内側電解質層及び/又は外側電解質層自体を形成する際に、同時に、触媒を微細分散粒子としてこれらの層の中に入れるものである。適切な触媒材料は当該技術分野では周知であり、国際純粋応用化学連合による元素周期表のII族、V族、VI族、VII族、VIII族、IX族、X族、XI族、XV族及びFブロックのランタニドから選択された金属ならびに金属酸化物が含まれる。特に適した材料としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、金、銀、ビスマス、セリウム、バリウム、バナジウム、ニッケル、コバルト、マンガン、モリブデン及びプラセオジムの金属、及び/又はこれらの金属の酸化物が挙げられる。
【0076】
有利なリアクタデザイン
別の実施形態では、複数の金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたマルチセルリアクタの有利なデザインが与えられている。この種リアクタは、固体酸化物型燃料電池スタック、酸素濃淡型リアクタ又は部分酸化型リアクタとして使用することができる。この種のリアクタの図式的なレイアウトが図6a,6b及び6cに示されており、断面図A−A(図6b)及びB−Bにおいて、それぞれ第1の外側電解質層、第1の穿孔パターン、第1の導電性境界面、第1の金属層、第1のイオン電導性境界面、中央電解質膜、第2のイオン伝導性境界面、第2の金属層、第2の穿孔パターン、第2の導電性境界面及び第2の外側電解質層を備えた個々のセル18は、金属製相互接続部材12により電気的に直列接続されている。択一的には、個々の金属支持セル18は、それぞれ第1の金属層、第1の穿孔パターン、第1の内側導電性境界面、第1の多孔質内側電解質層、第1の内側イオン伝導性境界面、中央電解質膜、第2の内側イオン電導性境界面、第2の多孔質内側電解質層、第2の内側電導性境界面、第2オン多孔質内側電解質層、第2の内側導電性境界面、第2の金属層及び第2の穿孔パターンから構成されていてもよく、第1の多孔質イオン電導性境界面と第1の外側電解質層、及び/又は、第2の多孔質イオン伝導性境界面と第2の外側電解質層を有していても有していなくてもよい。金属支持セル18、金属製相互接続部材12、ならびに周辺ガスシール及び相互接続部13の配置構成は既に説明した通りである。有利には、少なくとも周辺ガスシール及び相互接続部13、択一的にはいずれかの内部相互接続部もメタラジカルボンディングされる。
【0077】
このリアクタデザインの主な目的と特徴は容易に比率を変えられることであり、これにより、個々のセルのアクティブエリア及び/又はリアクタ内のセルの個数を、セルの電気化学的性能を左右する個々のセルのアクティブエリアの寸法又は材料を変えずに増大させることができる。これは、図6aに示されている長方形セルにおいては、セルのアクティブエリアの幅である寸法Hを設定し一定に保つことにより実現される。寸法Hを設定し一定に保つことにより、第1及び第2の金属層の厚さ、第1及び第2の穿孔パターンのデザイン、個々の穿孔のサイズ及び形状、中央電解質膜の厚さ、金属製相互接続部材の全体的な高さ、相互接続部材のディンプル又はリブ付きパターンのレイアウト、及び多岐管とガス流路との間のガス流の連通のようなパラメータをいったん決定し、その後それらを一定に保つことが可能となる。スタック内のセルの個数が増した場合、ガス多岐管16を拡大するためには、寸法B及びDのみを増大させるだけでよく、他のすべての寸法は変更しない。同様に、個々のセルのアクティブエリアが寸法Lの拡大により拡大された場合には、他のすべての寸法は変化しない。寸法Lの拡大は、本明細書に記載されている金属支持セルの金属に似た機械的特性により容易に可能であり、寸法Lのこのような拡大は従来の固体電解質型電気化学的電池デザインを使用しては実現が非常に困難である。というのも、従来の固体電解質型電気化学的電池はセラミックに似た機械的特性を示すからである。商業的観点からは、スケーラビリティは非常に重要な属性である。というのも、それにより同じ基本的セルデザインは、大幅にサイズの異なるリアクタを必要とする広範囲の異なる製品において使用可能となり、したがってまたリアクタの低コスト大量生産へのより急速な進歩が可能となり、同時に基本的セルデザインの継続的な技術的最適化がもたらされるからである。
【0078】
有利には、寸法Hはおよそ10mm〜およそ500mmの範囲、最も有利にはおよそ20mm〜およそ300mmの範囲である。有利には、寸法Lはおよそ50mm〜およそ1,000mmの範囲、最も有利には、およそ100mm〜およそ700mmの範囲である。有利には、リアクタ内の個々のセルの個数はおよそ10〜およそ500、最も有利にはおよそ20〜およそ200の範囲である。
【0079】
図6a−6cに示されている向流ガス多岐管の配置構成は、ガス供給多岐管の間にガス排出多岐管を交えることができ、したがって流入ガスのより効率的な予備加熱が可能となるため選好されるが、並流ガス多岐管の配置構成向けにデザインを形成してもよい。
【0080】
オプションとして、ガス多岐管16に隣接して配置された、垂直にリアクタを通り抜けて走る液体伝熱流体路19をリアクタに設けてもよい。液体伝熱流体はリアクタのヘッダブロック24から供給され、リアクタを垂直下方に流れ、液体伝熱流体リターンヘッダ20によりリアクタから出る。スタック内の個々のセルの第1の金属層と第2の金属層との間の電気的絶縁を維持するために、液体伝熱流体は電気導体でなければならない。
【0081】
リアクタはまたボトムエンドプレート21、上部アダプタ22、及びリアクタヘッダブロック24も備えている。リアクタヘッダブロック24は、垂直ガス多岐管16と垂直液体伝熱流体路19を、リアクタの外部にある供給及び/又はリターンヘッダに相互接続する。このようなすべての外部供給及びリターンヘッダには、下電気端子23と上電気端子25とによりリアクタへの電気接続のみを保証する電気的絶縁体が設けられている。
【0082】
実施例
実施例1
イリノイ州エルジンのElgiloy Speciality Metals社から入手できる厚さ50μm(0.002インチ)のヘインズ合金230 2B軟箔のシートを、オンタリオ州ミルトンのDatec Coating Corporation社の「添加」ゾルゲルコーティング技術によるおよそ5μm厚のイットリア安定化ジルコニアコーティングによりコーティングする。仕上がった「添加」ゾルゲルコーティングは、イットリア安定化ジルコニアコーティングの連続的基質に包まれたおよそ1μmのサイズのイットリア安定化ジルコニア粒子から構成される。5μm厚コーティングは、それぞれおよそ2.5μm厚の2つの層に施される。これらの層は湿式溶射され、およそ10分間600°C未満で熱処理され、ジルコニアゾルが結晶化される。このコーティングされたニッケルベースの超合金構造に、炉の中の気中で650°Cまでの加熱と炉からの迅速な取り出しによる室温までの急冷とにより熱サイクルを加える。積層は炉から取り出して5秒以内に触れることができるまでに冷える。この構造は離層の形跡なしに5つのサイクルに耐える。
【0083】
実施例2
ペンシルバニア州ランカスターのHamilton Precision Metals Inc社から入手可能な厚さ25μm、面積およそ5cm×9cmの精錬された冷間圧延430ステンレス鋼を、30分間550°Cの気中で熱処理することにより準備する。厚さおよそ5μmの「添加」ゾルゲルコーティングを実施例1の場合と同じようにステンレス鋼箔の片面に施す。この構造は、透明テープを付け、90°の角度で引くことによりテープを取り去ることから成るテープ粘着テストにより試験したところ、優れた粘着力を示した。サンプルに実施例1で説明したように熱サイクルを加えると、10サイクルにわたって離層の形跡が見られなかった。サンプルは炉から取りだして3秒以内に触れることができるまでに冷えた。これにより、サンプルの低い熱質量が、固体酸化物電解質をベースとした電気化学的電池の目標動作温度に素速く達することが可能になることが確認された。テープ粘着テストが熱サイクルテストの後に繰り返され、さらに「充填」ゾルゲルコーティングの優れた粘着力が観察された。SEM画像は、このコーティングがミクロンのサイズの相互連結した孔を有していることを示している。
【0084】
実施例3
厚さ25μm、およそ3cm×3cmの精錬された430ステンレス鋼の箔を、フォトリソグラフィを使用して、長さおよそ150μm、幅15μmの細長い穿孔によりおよそ200μmの間隔でパターン成形する。使用するエッチング剤は塩化第二鉄である。精錬された430ステンレス鋼の箔の穿孔されていない断片を、実施例1と同様に、厚さ5μmのイットリア安定化ジルコニアの「添加」ゾルゲルコーティングによりコーティングする。つぎに、イットリアジルコニアゾルを「充填」ゾルゲルコーティングの上に噴霧し、穿孔された箔を未乾燥ゾルコーティングに押しつけ保持する。つぎに、このサンドイッチ構造を加熱し、ゾルコーティングを結晶化させるとともに同時に積層構造をボンディングする。この実施例は、低温ゾルゲルに基づいたプロセスを用いて、金属箔及び/又は両方の電池電極の一部を支持基板として有する完成した電気化学的電池の構造を形成することの実現可能性を示している。
【0085】
実施例4
およそ5cm×3cmの面積を有する、実施例2と同様の精錬された430ステンレス鋼の断片を30分間550°Cの気中熱処理により用意する。厚さ5μmの「添加」ゾルゲルコーティングを、実施例1と同様に、ステンレス鋼箔の一方の面に施す。「添加」ゾルゲルコーティングの上には、カリフォルニア州ブエルトンのThin Film Technology,Inc.社によるDCマグネトロンスパッタリングにより、およそ7μmの厚さの320ステンレス鋼が溶着される。このサンプルには実施例1と同様に熱サイクルを加えられたが、5サイクルの後にも離層はまったく見られなかった。
【0086】
実施例5
実施例2と同様に、厚さ25μmの精錬された430ステンレス鋼の箔から成る第1の金属層を有する多層構造を用意する。実施例1と同様に、およそ6μmの厚さのイットリア安定化ジルコニアの多孔質「添加」ゾルゲルコーティングをステンレス鋼の箔の一方の面に施す。この層5の上には、イットリアを含んだジルコニアゾルの塗膜が塗布され、熱処理されることにより、「添加」ゾルゲルコーティングの上部およそ3μmの部分を含浸及びシールする。この層の上には、実施例1と同様に、さらにおよそ3μmの厚さの多孔質「添加」ゾルゲルコーティングが施される。0.5μmの金の層はDCスパッタリングにより塗布され、一番上の金属層が形成される。レジスト層は金の表面に塗布される。ステンレス箔はパターン成形され、フォトリソグラフィと塩化第二鉄のエッチング剤を使用して穿孔が形成される。パターン成形されたステンレス箔はレジストと金の層とにより保護され、標準的な金エッチ(ヨー素及びヨー化ナトリウム)を用いて穿孔を備えた状態でエッチングされる。このようにして、穿孔された金属層を有する、固体酸化物型燃料電池としての使用に適した構造が得られる。この積層構造のおよそ1.5cm×1.5cmの面積の断片は、実施例1と同様に、5つの熱サイクルの後にも、まったく離層が見られなかった。
【0087】
実施例6
実施例2に概説されているように、厚さ25μmの精錬された430ステンレス鋼の箔から成る第1の金属層を有する多層構造を用意する。実施例1と同様に、およそ3μmの厚さの多孔質「添加」ゾルゲルコーティングをステンレス鋼の箔の一方の面に施す。この層の上には、電子ビーム蒸着を使用して、厚さ5μmの稠密なイットリア安定化ジルコニアの層がさらに溶着される。1μmの金の層がアルバータ州エドモントンのMicralyne Inc.社のDCスパッタリングにより塗布され、一番上の金属層が形成される。レジスト層は金の表面に塗布される。ステンレス箔はパターン成形され、フォトリソグラフィと塩化第二鉄のエッチング剤を使用して穿孔が形成される。パターン成形されたステンレス箔はレジストと金の層とにより保護され、標準的な金エッチを用いて穿孔を備えた状態でエッチングされる。このようにして、固体酸化物型燃料電池としての使用に適した構造が得られる。
【0088】
実施例7
実施例2に概説されているように、厚さ25μmの430ステンレス鋼の箔から成る第1の金属層を有する多層構造を用意する。実施例1と同様に、およそ3μmの厚さの多孔質「添加」ゾルゲルコーティングをステンレス鋼の箔の一方の面に施す。この層の上には、電子ビーム蒸着を使用して、厚さ5μmの稠密なイットリア安定化ジルコニアの層がさらに溶着される。ステンレス箔はパターン成形され、フォトリソグラフィと塩化第二鉄のエッチング剤を使用して穿孔が形成される。白金ペーストの薄膜の層がスクリーン印刷により塗布され、一番上の金属層が形成される。このようにして、固体酸化物型燃料電池としての使用に適した構造が得られる。
【0089】
実施例8
実施例2に概説されているように、厚さ25μmの精錬された430ステンレス鋼の箔から成る第1の金属層を有する多層構造を用意する。およそ4μmの厚さの多相多孔質「添加」ゾルゲルコーティングが、実施例1の技法を用いてステンレス鋼箔の一方の面に施される。しかし、この実施例では、仕上がった「添加」ゾルゲルコーティングは、イットリア安定化ジルコニアゾルゲルコーティングの連続的基質に包まれたストロンチウムがドープされたランタンクロムとガンドリニアがドープされたセリアの粒子から構成されている。なお、これらの粒子は2μmの公称寸法を有しており、重量的にほぼ等しい比で含まれている。実施例1と同様に、およそ3μmの厚さの安定化ジルコニア多孔質「添加」ゾルゲルコーティングが、多相多孔質「添加」ゾルゲルコーティングの上側に塗布される。この層の上には、イットリアを含んだジルコニアゾルの複数の塗膜が塗布され、熱処理されることにより、安定化ジルコニア多孔質「添加」ゾルゲルコーティングを含浸及びシールする。この「シール」された安定化ジルコニア層の上には、第1のものに似た第2の多相多孔質「添加」ゾルゲルコーティングが施される。この構造は、「添加」ゾルゲル法をゾルゲル含浸と組み合わせて使用することにより、イオン電導性、電子電導性及び混合イオン電導性を有する複数の電解質相を含んだ多孔質電極と非多孔質中央電解質膜とを有する固体電解質型電気化学的電池を形成することの実現可能性を示している。
【0090】
本明細書において引用されたすべての刊行物は、本発明の属する分野の当業者のレベルを示すものである。すべての刊行物は、個々の刊行物がそれぞれ参考として特定的ならびに個別に取り込まれているのと同じ程度に参考として本明細書に取り込まれている。
【0091】
本明細書における用語及び表現は、本明細書において別に規定していない限りは、記述のための用語として使用されているのであって、限定のために使用されているのではない。このような用語及び表現を使用するに際して、図解及び説明された特徴と等価な特徴を排除する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1a】本発明の典型的な金属支持された固体電解質型電気化学的電池の断片の平面図を示す。
【図1b】図1aのラインA−Aに沿った断面図を示す。
【図2】典型的な金属支持された固体電解質型電気化学的電池の拡大された断面図を示す。
【図3a】複数の金属支持された固体電解質型電気化学的電池と金属製相互接続部材とを備えたマルチセルリアクタの平面図を示す。
【図3b】図3aのラインA−Aに沿った断面図を示す。
【図4a】図3aのラインb−bに沿った断面図を示す。
【図4b】図3bの円C内の詳細の拡大された断面図を示す。
【図5a】金属層内の代表的な穿孔パターンの平面図を示す。
【図5b】図5aの円A内の詳細の拡大された断面図を示す。
【図6a】金属支持された固体電解質型電気化学的電池の図式的なレイアウトを示す。
【図6b】図6aのラインA−Aに沿った断面図を示す。
【図6c】図6aのラインB−Bに沿った断面図を示す。
【図7a】ディンプルつき金属製相互接続部材の図式的レイアウトを示す。
【図7b】図7aのラインA−Aに沿った断面図を示す。
【図8】金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたリアクタアセンブリを形成する代表的な製造プロセスを要約したフローチャートを示す。
【図9】本発明の第2の実施形態の拡大された断面図を示す。
【図10】第2の実施形態の多孔質内側電解質層を有する金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたリアクタアセンブリを形成する代表的な製造プロセスを要約したフローチャートを示す。
【0001】
発明の分野
本明細書は全体として、酸素イオンもしくは陽子もしくは他のイオン種、又はこれらの組合せを伝導するイオン伝導体であるような固体電解質を用いた電気化学的電池に関する。これらの固体電解質はイオン伝導性のみ、又はイオン伝導性と電子伝導性の組合せを示す。この種の電気化学的電池の重要な使用形態は、固体酸化物型燃料電池、酸素濃淡型電池、部分酸化型電池、及び複数の電池を備えたリアクタシステムである。
【0002】
発明の背景
固体電解質型電気化学的電池の既知の使用形態のうちで最も重要なものは、酸素イオン伝導性のセラミック電解質に基づいている。なお、この電解質は固体酸化物電解質とも呼ばれる。これらの使用形態は固体酸化物型燃料電池、酸素濃淡型電池であり、これらは酸素ポンプ、及び部分酸化型電池としても知られている。固体酸化物型燃料電池の例は、アメリカ合衆国特許第4,490,445号、アメリカ合衆国特許第5,741,406号、及びアメリカ合衆国特許第6,106,967号に記載されている。アメリカ合衆国特許第4,877,506号には酸素ポンプが記載されている。アメリカ合衆国特許第5,681,373号には、酸素濃淡型リアクタ又は部分酸化型リアクタとして適当な固体酸化物電池が記載されている。アメリカ合衆国特許第5,770,326号には、上記3つの使用形態のすべてに適した固体酸化物電解質を用いたモノリシック質量エネルギー転移電池が記載されている。
【0003】
本明細書における種々の固体電解質型電気化学的電池の設計の利点に関する議論は、固体酸化物電池に焦点を絞る。しかし、当業者は、すべてのタイプの固体電解質型電気化学的電池の設計において同じ又は類似の課題が生じることを容易に理解するだろう。最近、陽子交換膜型(PEM)、溶融炭酸塩型(MCFC)、リン酸型(PAFC)、アルカリ型(AFC)及び固体酸化物型(SOFC)を含むすべてのタイプの燃料電池が多くの開発努力の焦点となっているのは、これの燃料電池が、従来の燃焼プロセスに基づいたエネルギー変換システムに代わる電気的及び機械的エネルギーに対する世界的需要の増大に見合うより環境的に持続可能な代替エネルギーを約束するからである。競合する燃料電池技術に対して、固体酸化物型燃料電池は主に高い動作温度に関連した幾つかの利点を提供する。固体酸化物型燃料電池の主な利点は、エネルギー変換効率が高いこと、副産物である熱の品質が高いこと、改質された炭化水素燃料を使用した場合に燃料処理システムがより簡素化されること、ならびに、低温動作燃料電池において必要とされる高価な貴金属触媒を使用しなくてもよいことである。
【0004】
酸素イオン伝導性を有するすべての固体酸化物型電気化学的電池の基本的な動作は類似している。ガス不透過性の固体酸化物電解質膜の負極側の酸素ガスが、それぞれ電子を2個余分に持つイオンに化学的に還元される。つぎに、これらの酸素イオンはイオン伝導性を有する電解質膜を通って電池の正極側に移動し、正極側で再び酸素ガスを形成するよう再結合するか、又は、例えば水素と反応して水を形成する場合のように、他の種類のガスと反応する。固体酸化物電解質材料の場合、イオン伝導性と温度の間には強い直接的関係が存在する。したがって、有効な電流密度を達成するために、電池は一般に600°C〜1100°Cの範囲の温度で動作する。正極における酸化反応が進むためには、酸素イオンによって運ばれる余剰電子は固体酸化物膜の負極側に戻らなければならない。膜の正極側の電子が負極側に戻る際の経路は、電解質膜の内部もしくは電解質膜の外部にあるか、又は両方であってもよい。電解質膜がイオン伝導性と適度な電子伝導性の両方を有する場合には、正極と負極を電気的に結合するために外部回路を必要としない。その他の場合には、そのような外部電気回路が必要とされる。固体酸化物型燃料電池の場合、電気化学的反応の推進力は、電池の負極と正極の間に電圧差を発生させる負極側と正極側の間の酸素分圧の差により与えられる。逆に、酸素ポンプの場合には、外部から与えられる電気的バイアスが、電池の正極側の酸素分圧を負極側の分圧よりも高くするために使用される。部分酸化型電池として使用する場合には、電池の正極側に酸素を送る推進力は、酸素分圧の差もしくは外部からの電気的バイアスであるか、又はこれらの両方であってもよい。
【0005】
固体酸化物型燃料電池を含めたすべての固体電解質型電気化学的電池は、同じ基本的機能要素から構成されている。主要要素はガス不透過性の固体電解質膜である。用途に応じて、電解質は専らイオン伝導体として設計されるか、又は、混合イオン伝導性と電子伝導性を有する伝導体として設計される。固体酸化物型燃料電池の場合、発生する外部電圧を最大にすることが目的なので、電解質膜はできるだけイオン伝導性のみを有することが必要である。電解質膜のどちら側でも、複数の機能を有する電極層が電解質膜に密接している。電極は以下のものを提供しなければならない。すなわち、電気化学的反応のための高密度の反応場、反応場と電解質膜の間でイオンを伝導するイオン伝導性の経路、電子を反応場へ及び反応場から外部集電器へ伝導する電子伝導性の経路、ならびに反応場への及び反応場からの制限されることのないガス流を提供しなければならない。電池を完成させるためには、電極は電気的に相互接続されねばならず、適切な電極表面へ及び電極表面から異なる反応ガス流を導くために、ガス貯蔵・輸送手段が各電極に近接して設けられる。商業的に実用的なシステムを生産するために、複数の素電池が一般には直列に相互接続され、管状電池構造向けの束又は平面電池構造向けのスタックへとまとめられる。
【0006】
Minh,Ceramic Fuel Cells,Journal of the American Ceramics Society,76[3] 563−88(1993)には、固体酸化物型燃料電池とマルチセルシステムの設計に関する技術的課題、ならびにこれらの課題に見合うよう提案されたアプローチの便利な概要が載せられている。基本的に、商業的に成り立つ固体酸化物型燃料電池を作る難しさは、有効な電流密度を達成するのに必要な高温と、少なくとも電解質膜が機械的に許されないセラミック材料から作られているという事実とに関係している。ほとんどのデザインでは、電解質膜だけでなく1つ又は複数の負極、正極、及び個々の複数のセルを電気的に接続する電気相互接続部材も、機械的に許されないセラミック又はサーメット(セラミック−金属複合)材料からできている。これらのセラミック材料は、直接的な引張荷重に耐える能力が限られているうえに、熱に起因する応力に耐える能力も非常に限られている。このことは、セル内部の熱勾配、ならびに、セルの製作に使用される種々の材料とセルに接続しなければならない電気相互接続部及びガス多岐管との間の熱膨張の不釣り合いを最小化するために多大な注意が払われなければならないことを意味する。最後に、多孔質セラミックセルの電極に確実な電気接続を行うこと、ならびに、燃料及び酸化ガス流が混じり合わないように確実に気密シールを行うことは難しい。
【0007】
初期の固体酸化物型燃料電池のデザインでは、セルの構造用支持材は、一般には平板又は円筒形チューブの形をした比較的厚い高密度のセラミック電解質膜により提供され、この電解質膜に比較的薄い正極と負極がボンディングされていた。これは比較的シンプルな構造をもたらすが、1000°C又はそれより高い動作温度を必要とする長いイオン伝導路が必要となる。より最近では、電解質膜の厚さを10μm又はそれ未満の範囲に減らすセル構造により、600°C〜800°Cの範囲の動作温度で有効な電流密度を提供されることが示されている。薄い電解質膜を構成するためには、正極又は負極はセルの構造用支持材を提供しなければならず、したがって比較的厚く作られなければならない。しかし、厚い支持電極は、イオン伝導路を所望の短さに保つために、反応ガスが電解質膜の近くまで制限されずに達することができるようにしなければならない。その結果、支持電極は厚いと同時に高度に多孔質に作られねばならない。このことがまたガス不透過性の電解質膜の実現を複雑化してしまう。というのも、多孔質基板へのデポジション又は積層によって薄いガス不透過性セラミック層を形成することは困難だからである。
【0008】
薄い電解質膜を有し、800°C未満の温度で動作する、正極又は負極支持された固体酸化物型燃料電池は、厚い電解質膜を有する先行種よりも材料選択の要求条件は緩いが、これらのセルデザインは商業的可能性を著しく制限する複数の欠陥を示し続けている。少なくともセルを構造的に支持する電極が比較的厚くなければならないという事実は、電解質膜と電極との間の境界面へのガス輸送及び境界面からのガス輸送がこの多孔質電極を通して制限されることを意味する。極端な場合には、この質量輸送の制限が電池の電気化学的反応の速度制限要因となり、電極の過電圧損の増大をもたらし兼ねない。電極の過電圧損の増大は、出力電圧の低下と電池の効率の低下を引き起こす。
【0009】
固体酸化物型燃料電池に確実なガスシールを設ける手段はまだ見つかっていない。従来技術は、柔軟な高温シールガスケットを用いた圧縮シールと、電球において金属シーリングに使用されるようなガラスシールの2つの基本的アプローチを教える。どちらのアプローチも急速な熱サイクル又は大きな差圧に耐えうるシールをもたらさない。
【0010】
従来技術からは、電池電極への低抵抗の電気接続をどのようにして長持ちさせるかの示唆も得られない。従来のアプローチは表面対表面の圧縮接触であり、接触境界面は、電池の動作温度において時間経過に伴い生じる電気的性能の著しい変化及び悪化を被りやすい。個々のセルはそれぞれこのような接続を2つ必要とするため、直列に接続されたセルスタックの抵抗性電圧損失は、スタック内のセルの数が増えるにつれて増大する。したがって、燃料電池スタックの出力電圧は、個々の構成セルからの出力電圧の和よりも著しく低い。
【0011】
アメリカ合衆国特許第3,464,861号及びアメリカ合衆国特許第5,328,779号では、多孔質金属製及び/又は金属間化合物製の電極の上に支持された固体酸化物型燃料電池が示されている。この固体酸化物型燃料電池では、これらの電極は、活性表面全面に亘る表面対表面の接触ではなく電極の外周における電気相互接続を可能にするのに十分な丈夫さを有する導電体とすることができる。これらの電池は溶射法により製造されるが、溶射法は、有効な電流密度を達成するために800°Cを超える電池動作温度を要する比較的厚い中央電解質膜の製造に限定される。これらの高動作温度は多孔質金属支持電極の使用を実行不可能にしてしまう。というのも、多孔質金属の連続した焼結のため、電極の活性の損失、金属表面上の導電性酸化物スケールからの酸化クロムの揮発、金属表面において電気抵抗のある酸化物スケールの成長が生じ、これらが、活性部位を電気化学的に損ない、高い内部セル抵抗、又はこれらの作用の2つ又はそれ以上の組合せを生じさせるからである。
【0012】
動作温度を下げても、従来技術の固体酸化物型燃料電池は、特に周囲温度からスタートさせる場合には、ゆっくりとスタートさせなければならない。これは、電池の構造的特性が、組み込まれているセラミック材料の熱衝撃の挙動に支配されていることから生じる。この緩慢なスタートアップ動作が、輸送手段用途に固体酸化物型燃料電池を採用する際の主な障害である。固体酸化物型燃料電池内の熱勾配を制限しなくてはならないことの別の重要な結果は、流入空気と流出空気の温度差をほぼ100°Cに制限する必要があることである。一般に空気は負極のための酸素源と、電気化学的反応により発生する余剰熱を除去する手段の両方として使用される。電池内を通る空気の許容される温度増加をほぼ100°Cに制限することにより、必要な酸素量を供給するのに要求される空気量の3〜5倍の空気が使用されなければならない。その結果、空気調整システムが必要以上に大きくなり、システムの資本経費の増加及びシステム効率の低下がもたらされる。
【0013】
実際、熱管理は固体電解質型電気化学的電池リアクタの実用化において非常に重要な問題である。というのも、電気化学反応は一般に大量の余剰熱を発生させるからである。既に述べたように、固体酸化物型燃料電池における熱管理に対する従来のアプローチは、余剰空気がスタックを吹き抜けるようにすることである。この空気は負極の表面に接触し負極の表面から熱を取り除くことができる。並列させた熱交換器により、熱された排気は流入燃料ガス及び/又は流入空気を予熱するために使用される。燃料電池スタックが流入空気と流出空気の比較的大きな温度差を許容できる場合でも、大量の冷却空気を循環させなければならない。なぜならば、空気はよい伝熱流体ではないからである。また、サイズ及びコストの最小化には、固体酸化物型燃料電池スタックの体積特異的な電流密度が増大さすことは望ましいが、この電流密度の増大に伴って、循環する伝熱流体の体積特異的な質量も増大してしまう。したがって、固体酸化物型燃料電池スタックは液体の伝熱流体の使用と両立することが望ましい。というのも、これにより熱管理システムのサイズを大幅に減少させることが可能となるからである。しかしながら、従来の固体酸化物型燃料電池スタックにおいて液体の伝熱流体を使用すると、許容できない熱勾配が生じ、個々の素電池及び/又はガスシールの機械的障害がもたらされる。
【0014】
熱に起因する個々の素電池内の応力の最小化は、電池が大きな熱勾配に耐えることができる場合でさえ電池を長持ちさせるためには望ましいが、この熱に起因する個々の素電池内の応力を最小化するという文脈で熱管理を考えた場合、従来技術の固体電解質型電気化学的電池は、電池表面の異なるエリアにおける反応ガスの濃度及び/又は温度の差を補償する手段を提供していない。電池に供給される反応ガスの濃度及び/又は温度におけるこのような差は、電池の全エリアにわたって、平均的な電気化学的作用に比べて電気化学的作用が増大又は低下したエリアを生じさせかねない。電気化学的作用のこのような差がこんどは既に存在する温度差を拡大する、又はガス濃度差を温度差に変え、このようにして熱勾配に寄与するないし熱勾配を発生させる可能性がある。
【0015】
一般に使用されているニッケル及び酸化イットリウム安定化ジルコニアの複合材料のようなサーメット正極材料を使用した従来技術の固体酸化物型燃料電池では、電池性能は燃料ガス内の極微量の硫黄不純物によってさえ深刻な低下を被る。露出した金属表面は急速に硫黄により腐食し、触媒作用が破壊されてしまう。従来のサーメット正極材料は、燃料ガスの中断及びその結果である電池動作温度における酸化雰囲気への暴露のいずれにも耐えることができない。この場合、ニッケル地金は急速に酸化し、正極の導電性に重大な損失がもたらされる。同様に、従来のサーメット正極では、電池が炭化水素燃料で動作する場合に生じうる残留炭素分の蓄積を焼き払うのに役立つ、正極動作から負極動作への順次切り替えを行うことができない。
【0016】
炭化水素燃料を固体酸化物型燃料電池の正極で直接改質することは可能であり、また発熱性の電気化学的反応と吸熱性の改質反応との間の最も近い熱的統合をもたらすので望ましくもあるが、実際に実現するのは難しい。既に述べた炭素の蓄積の問題及び改質反応を容易にするための不適切な触媒作用のゆえに、ガソリンのような比較的重い炭化水素燃料の場合は特に実現が難しい。したがって、正極の表面内又は表面上に、燃料に応じた特殊な改質触媒を組み込むと有利である。しかしながら、これは多孔質の正極では実現するのが難しい。多孔質の正極では、相互連結した穿孔が開いていることも維持されなければならないからである。
【0017】
発明の要約
したがって、発明者は以下のものを提供する改善された固体電解質型電気化学的電池とマルチセルリアクタとに対するニーズを認識している。
・セルのイオン抵抗の低減及び800°C未満、有利には650°C未満の動作温度での有効電流密度を可能にする、有利には10μm未満の厚さの薄いが丈夫な電解質膜;
・多孔質電極に関連した質量輸送制限を最小化し、したがってセルの過電圧損を減少させ、特殊触媒の電極表面内又は電極表面上への組み込みを容易にする非多孔質の開放電極構造;
・確実なガスシール及び電気相互接続;
・大きな熱勾配に耐える、したがって迅速なスタートアップ及びシャットダウンを可能にする能力;
・負極又は正極として交代可能に動作することができ、したがって動作不具合に対する耐性を有し、正極が炭化水素で動作する場合に正極に蓄積し正極の動作を妨害する可能性のある炭素のような汚染物質を焼き払うことのできる電極;
・セルの表面にわたって異なるエリア間に電気化学的作用の差を故意に生じさせることにより、これらの異なるエリアにおける反応ガスの濃度及び/又は温度の差を補償し、それによりセルの全エリアにわたって熱勾配を制限する能力;
・マルチセルリアクタの熱管理を容易にするため液体の伝熱流体を使用する能力。
【0018】
おおざっぱに言って、本発明は、
a)イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有する非多孔質の中央電解質膜と、
b)第1の非多孔質金属層と、
c)第2の非多孔質金属層と、
d)イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有する非多孔質の第1の外側電解質層と、
e)第1のイオン伝導性境界面と、
f)第1の電子伝導性境界面と、
g)イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有する非多孔質の第2の外側電解質層と、
h)第2のイオン伝導性境界面と、
i)第2の電子伝導性境界面とを有するフレキシブルな金属支持された固体電解質型電気化学的電池を提供する。ただし、前記非多孔質中央電解質膜は10μm未満の厚さであり、中央電解質膜の各面にそれぞれ1つずつ2つの主表面を定めており、
前記第1の非多孔質金属層は、中央電解質膜の一方の主表面に密着しており、該主表面を通って延びる第1の穿孔パターンを形成する複数の穿孔を有し、
前記第2の非多孔質金属層は、中央電解質膜の他方の主表面に密着しており、該主表面を通って延びる第2の穿孔パターンを形成する複数の穿孔を有し、
前記第1の外側電解質層は、
第1の金属層に密着しており、第1の穿孔パターンを通して中央電解質膜と密に連絡し、かつ、
該外側電解質層の全容積にわたってイオン伝導性を有し、また下にある第1の金属層から外側表面におけるいずれかの反応ガスまでの厚さにわたって電子伝導性を有し、
前記第1のイオン伝導性境界面は、第1の外側電解質層と中央電解質膜との間の接触面に形成されており、
前記第1の電子伝導性境界面は、第1の金属層と第1の外側電解質層との間の接触面に形成されており、
前記第2の外側電解質層は、
第2の金属層に密着しており、第2の穿孔パターンを通して中央電解質膜と密に連絡し、かつ,
該外側電解質層の全容積にわたってイオン伝導性を有し、また下にある第2の金属層から外側表面におけるいずれかの反応ガスまでの厚さにわたって電子伝導性を有し、
前記第2のイオン伝導性境界面は、第2の外側電解質層と中央電解質膜との間の接触面に形成されており、
前記第2の電子伝導性境界面は、第2の金属層と第2の外側電解質層との間の接触面に形成されている。
【0019】
本発明はまた実質的には上記と同様であるが、第1及び第2の多孔質外側電解質層の代わりに、金属層と中央電解質膜との間に形成された第1及び第2の多孔質内側電解質層を有するフレキシブルな金属支持された固体電解質型電気化学的電池にも及ぶ。
【0020】
本発明はまたおおざっぱに言って、電気的に直列に接続された複数のフレキシブルな金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたリアクタアセンブリと、フレキシブルな金属支持された固体電解質型電気化学的電池を製造する方法とを提供する。
【0021】
図面の簡単な説明
図1aは本発明の典型的な金属支持された固体電解質型電気化学的電池の断片の平面図を示してる;
図1bは図1aのラインA−Aに沿った断面図を示している;
図2aは典型的な金属支持された固体電解質型電気化学的電池の拡大された断面図を示すものであり、イオン伝導性と電子伝導性を有する境界面の詳細と固体酸化物型燃料電池として動作するこの種の電池の代表的な反応とが示されている;
図3aは、複数の金属支持された固体電解質型電気化学的電池と金属製相互接続部材とを備えたマルチセルリアクタの平面図を示している;
図3bは図3aのラインA−Aに沿った断面図を示している;
図4aは、図3aのラインb−bに沿った断面図であり、複数の金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたマルチセルリアクタを示しており、セルの表面に隣接したガス流路がどのようにガス供給及び排出多岐管に接続されているかを図式的に図解するものである;
図4bは図3bの円C内の詳細の拡大された断面図であり、メタラジカルボンディングされた相互接続部材とガスシールを示している;
図5aは、金属層内の代表的な穿孔パターンの平面図を示しており、この穿孔パターンはオーバーラップしているので、中央電解質膜のエリアは露出し、どちらの金属層によっても支持されていない;
図5bは図5aの円A内の詳細の拡大された断面図を示している;
図6aは、金属支持された固体電解質型電気化学的電池の図式的なレイアウトを示しており、ガス供給及び排出多岐管の凡例は図6aのラインX−Xに沿ってとられている;
図6bは図6aのラインA−Aに沿った断面図である;
図6cは図6aのラインB−Bに沿った断面図である;
図7aはディンプルつき金属製相互接続部材の図式的レイアウトを示しており、∩で上側(隆起した)ディンプルを、∪で下側(くぼんだ)ディンプルを表している;
図7bは図7aのラインA−Aに沿った断面図である;
図8は、金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたリアクタアセンブリを形成する代表的な製造プロセスを要約したフローチャートを示している;
図9は本発明の第2の実施形態の拡大された断面図であり、固体酸化物型燃料電池として動作する、多孔質内側電解質層を有する典型的な金属支持された固体電解質型電気化学的電池を示しており、このような電池のガス流路が図解されている;
図10は、第2の実施形態の多孔質内側電解質層を有する金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたリアクタアセンブリを形成する代表的な製造プロセスを要約したフローチャートを示している。
【0022】
有利な実施形態の説明
金属支持された固体電解質型電気化学的電池及び該電池を備えたマルチセルリアクタアセンブリ
a)概要
本発明は金属支持された固体電解質型電気化学的電池、及びこのような電池を備えたマルチセルリアクタ(又はリアクタアセンブリ)に及ぶ。有利な実施形態では、メタラジカルボンディングされた電気相互接続部及び/又はガスシールを備えた金属支持された固体電解質型電気化学的電池が提供される。構造的な観点からは、この金属支持された固体電解質型電池は、すべてのセラミック材料を非多孔質の丈夫な金属層の上に支持された薄い層として組み込むことにより、あたかも金属製であるかのように機能するよう設計されている。したがって、脆いセラミック構造から生じる機械的問題は消滅又は著しく少なくすることができる。特に、本明細書に記載された固体電解質型電気化学的電池は大きな熱勾配に耐えることができる。さらに、両電極内の導電体は主に金属なので、電池内の電子抵抗損が最小化されており、動作温度の低下に関連した電子抵抗損による不利は著しく少ない。これらの損失は電子伝導性セラミックのみから成る電極にとっては重大である。この文脈では、金属層は、個別の金属及び/又は合金及び/又は1つもしくは複数の異なる金属から成る積層化複合材料及び/又は1つもしくは複数の異なる合金から成っていてもよいことが理解されなければならない。金属層はまた、機械的性質及び導電性という点で、金属層の多分に金属的な性質が保存されるかぎり、その全容積に分散して及び/又はその表面に、1つ又は複数の不連続なセラミック相を含んでいてもよい。
【0023】
金属支持された固体電解質型電池の金属層及び/又はセラミック層を記述するために本明細書で使用されているように、「非多孔質」及び「稠密」という用語は、これらの層がまったく孔を有していないことを意味するのではなく、これらの層が孔を介して相互に連結しておらず、したがってガス不透過性であることを意味する。このような金属支持された固体電解質型電池の基本的な前提条件は、使用される金属又は合金が、電池動作温度において十分な機械的強度と安定性、例えば耐酸化性を提供すること、又はこの要求が満たされるように電池の動作温度を低くすることである。電池動作温度は、高いイオン伝導性を示す電解質材料を使用すること及び/又は電池の正極側の電気化学的活性点と電池の負極側の電気化学的活性点との間のイオン伝導路の平均的長さを短くすることによって低下させることができる。
【0024】
b)第1の実施形態の説明
第1の実施形態では、金属支持された固体電解質型電池は、2つの主表面を定める中央電解質膜を有しており、電解質膜の各側面に1つの主表面がある。中央電解質膜の一方の主表面には、第1の穿孔パターンで形成された第1の金属層が密着している。中央電解質膜の他方の主表面には第2の金属層が密着しており、第2の金属層は第2の穿孔パターンを形成している。第1の金属層の、中央電解質膜に密着していない方の表面である外側表面には、第1の外側電解質層が密着しており、第1の外側中央電解質層は第1の穿孔パターンにより露出された中央電解質膜部分と密に連絡している。第1の外側電解質層と中央電解質膜との間の境界面は第1のイオン伝導性境界面を定めている。第1の金属層と第1の外側電解質層との間の境界面は第1の導電性境界面を定めている。第2の金属層の、中央電解質膜に密着していない方の表面である外側表面には、第2の外側電解質層が密着しており、第2の外側電解質層は第2の穿孔パターンにより露出された中央電解質膜部分と密に連絡している。第2の外側電解質層と中央電解質膜との間の境界面は第2のイオン伝導性境界面を定めている。第2の金属層と第2の外側電解質層との間の境界面は第2の導電性境界面を定めている。
【0025】
電池は、ガスシールと電気相互接続部を含めた金属製相互接続部材を設けることにより、反応ガスが金属支持された固体電解質型電池の各側面へ及び各側面から導かれるようにし、外部電気回路を介して第1の金属層を第2の金属層に電気的に接続することにより完成される。
【0026】
中央電解質膜、第1の外側電解質層及び第2の外側電解質層は、専らイオン伝導体であるか、又は混合イオン伝導性及び電子伝導性を有する導体であってもよい。中央電解質膜、第1の外側電解質層及び第2の外側電解質層はそれぞれ、単一の電解質材料、異なる電解質材料の混合、異なる電解質材料の積層化複合材料、又は前記すべての組合せから成っていてよい。第1の外側電解質層と第2の外側電解質層の各々は、全体にわたって連続的なイオン伝導性の相を有しており、さらにその厚さにわたって、下にある隣接する導電性境界面から外側表面の反応ガスまでの電子伝導性経路を提供する。第1の外側電解質層及び/又は第2の外側電解質層は主にイオン伝導性相から形成される場合には、層は電子が層の厚さを越えて移動できるように十分薄く作られる。有利には、第1及び第2の外側電解質層は、イオン伝導性と電子伝導性の両方を有する1つ又は複数の電解質相を有するか、又は主にイオン伝導性の1つ又は複数の相と主に電子伝導性の1つ又は複数の相との多相混合を有するか、又は上記の組合せを有する。
【0027】
この第1の実施形態は一般的な形で図1〜図8に図解されており、以下ではこれをより詳細に説明する。
【0028】
図1a及び図1bは、典型的な金属支持された固体電解質型電気化学的電池の一部の図式的な平面図と、この種の電池の図式的な断面図とを示している。第1の穿孔パターン1は図示のように第1の金属層3を貫通しており、第2の穿孔パターン2は図示のように第2の金属層5を貫通している。図1a,1bに図解されているように、穿孔は円錐状の形としてよく、また第1の穿孔パターン1は、中央電解質膜7がいたるところで第1の金属層3か又は第2の金属層5によって支持されるように、第2の穿孔パターン2からずらして配置してよい(つまり、穿孔が整列しない)。図5a,5bでは、第1及び第2の穿孔1,2は図示のように重なり、部分的に整列した配置構成となっており、これにより、整列したエリアでは中央電解質膜7のエリアが露出している。しかし、穿孔は任意の形状であってよく、いたるところで中央電解質膜に構造用支持材が提供されている限り、多くの異なるパターンで配置してもよい。第1の外側電解質層4は、図示のように、第1の金属層3の中央電解質膜7と接触していない方の表面を完全に覆い、また中央電解質膜7の一部で第1の穿孔パターン1により露出された部分を覆っている。これは望ましくはあるが、外側電解質層が膜の一部で第1及び第2の穿孔パターンにより露出された部分を覆うことは不可欠のことではない。
【0029】
図3a及び3bには、金属支持された固体電解質型電気化学的電池と金属製相互接続部材を備えたマルチセルリアクタの図式的な平面図と図式的な断面図が示されている。相互接続部材12,13及び14は、積み重ねられたセルの間の直列の電気相互接続と、関連するガスを電極へ及び電極から輸送するガス流路の両方を提供する。図4a及び4bには、この同じリアクタの種々異なる断面図が示されている。注意すべきは、明瞭性を保証するために、第1及び第2の穿孔パターンならびに第1及び第2の外側電解質層はこれらの図では図示さていないが、これらは存在するものと理解されなければならないということである。周辺ガスシール、電気相互接続部13、及び/又は内部相互接続部14は、いくつかの技術を単独で又は互いに組合せて作製してもよい。第1に、これらは第1の金属層3及び/又は第2の金属層5と金属製相互接続部材12との間の直接の圧縮接触により作製されうる。また代替的に、第1の金属層3及び/又は第2の金属層5と金属製相互接続部材12との間に挿入された柔軟な金属製ガスケットへの圧縮接触によって作製してもよい。また代替的に、第1の金属層3及び/又は第2の金属層5を金属製相互接続部材12にメタラジカルボンディングすることにより作製することもできる。以下で詳細に説明する有利なアプローチは、第1の金属層3と第2の金属層5の両方を金属製相互接続部材12にメタラジカルボンディングすることにより、少なくとも周辺ガスシールと電気相互接続部13を作製するものである。
【0030】
図3a,3b,4a及び4bにはまた、金属支持されたセルの周縁部及び/又は金属支持された電池の開口部の縁部において第1の金属層3と第2の金属層5との間の電気的絶縁を維持するための重要な詳細が示されている。このような電気的絶縁が所望される場合には、中央電解質膜7は電子伝導性をほとんど有さない又はまったく有さないように選択されており、それゆえ電気的絶縁体と見なすことができる。金属支持されたセルの外周及び/又は金属支持されたセルの開口部の縁部における電気的絶縁は、中央電解質膜7を第1の金属層3又は第2の金属層5の少なくとも一方の終端部を越えて意図的に延長することにより提供される。図3a,3b,4a及び4bに示されているように、中央電解質膜7は第1の金属層3の終端部を越えて延びている。
【0031】
図3a,3b,4a及び4bに示されているように、金属支持された固体電解質型電気化学的電池及び付属の金属製相互接続部材は、平板状で長方形の形状をしている。「平板状」とは、各セルが1つの平面を占め、リアクタ内のすべてのセル及び金属製相互接続部材が平行な平面の列として配置されていることを意味する。しかし、個々のセルと金属製相互接続部材は両方とも薄くフレキシブルなため、それらは実際には複雑な曲面として存在する。個々の金属支持されたセル及び付属の金属製相互接続部材の外周の平面投影は、例えば、円、正方形、長方形及び六角形を含む任意の形状であってよい。セルは、この外周の内側に、セルの表面と交差するガス供給排出多岐管を収容するための開口部又は孔を有してもよいし又は有さなくともよい。金属支持されたセルの形状を選ぶ際の主要な考慮は、正極から負極への電子伝導路の長さの最小化、ガス供給排出多岐管との統合の容易さ、製造時の材料利用の容易さと最大化、及びより大きなサイズへのセルのスケールアップである。両方の長辺に沿って外周にガス供給排出多岐管が配置された長方形のセルは上記の課題に対して十分であり、したがって金属支持された固体電解質型電気化学的電池にとって有利な形状及びガス多岐管構成である。
【0032】
図3a及び3bでは、図示された金属製相互接続部材12のリブ構造が内部相互接続14を達成するための手段と、ガス供給排出多岐管16に接続及び連通したガス流路15を開いた状態に維持するための手段との両方を提供している。なお、内部相互接続14は、セルの電気抵抗を低減する、もしくはセルにさらなる機械的支持を与える、又はこれら両方を可能にする。金属製相互接続部材12には、隆起した又は窪んだ稜線及び/又はディンプルの任意のパターンが組み込まれていてもよい。ただし、それは、これら任意のパターンが、電極表面から及び電極表面への無制限のガス流を維持するという目的を果たし、かつ効率的にガス供給排出多岐管と連通する限りにおいてである。稜線及びディンプルの有利なパターンとは、薄い金属板からのスタンピングによる形成のように、金属製相互接続部材12の最も経済的な形成を容易に可能にし、ガス供給排出多岐管との相互接続及び連通を容易にするパターンである。これらの理由から、ディンプル付きの突起のパターンが有利である。この場合、金属製相互接続部材12の各側面は隆起した突起のパターンを有しており、金属製相互接続部材12の一方の側のディンプルパターンは金属製相互接続部材12の他方の側のディンプルパターンからずれて散在している。このようなディンプル付き金属製相互接続部材12は図7a,7bに図示されている。ここで、寸法S1及びS2は主に寸法Tに依存しており、一般にはおよそ1mm〜およそ20mmの範囲である。より有利には、寸法S1及びS2はおよそ2mm〜およそ10mmの範囲である。
【0033】
また、ガス供給排出多岐管16は、図3a,3b,4a及び4bに示されているように、金属製相互接続部材12の機能がより明解に示されるように、図式的な簡潔さのみに配慮して配置されている。ガス供給排出多岐管16の有利な配置構成は、ガス供給排出多岐管16をリアクタの周りであってしかもリアクタの外周内に軸方向管路として組み込むことである。マニホルディング配置構成は従来から内部マニホルディングとして知られており、図7a,7bに示されているディンプル付き金属製相互接続部材12のデザインに示されている。
【0034】
本発明の金属支持された固体電解質型電気化学的電池の動作は、基本的には従来の固体電解質型電気化学的電池と同じである。しかしながら、イオン伝導体路の詳細と、特に負極から正極への電子伝導体路の詳細が異なる。説明のために、本発明の電池が固体酸化物型燃料電池として動作する例を考える。この固体酸化物型燃料電池では、中央電解質層は専らイオン伝導体であり、外側電解質層は混合イオン伝導性及び電子伝導性を有する導体である。さらに、第1の外側電解質層は酸素濃厚ガスと接し、第2の外側電解質層は水素のような燃料ガスと接すると仮定する。その結果、第1の外側電解質層は第1の導電性境界面及び第1の金属層と共同して負極として動作し、第2の外側電解質層は第2の導電性境界面及び第2の金属層と共同して正極として動作する。第1の外側電解質層は混合伝導体なので、電子、酸素イオン、及び吸着した酸素ガスは第1の外側電解質層の表面のすべての点において密に連絡することができる。同様に、第2の外側電解質層は混合伝導体なので、電子、酸素イオン、及び吸着した酸素ガスは第2の外側電解質層の表面のすべての点において密に連絡することができる。負極側では、電子が下にある第1の金属層から第1の電子伝導性境界面を通って移動し、さらに第1の外側電解質層の厚さを越えて第1の外側電解質層の表面へと移動し、そこで吸着したイオン化酸素と結合する。酸素イオンはそれから第1のイオン伝導性境界面を通過するまで第1の外側電解質層に沿って中央電解質膜の中へと移動する。なお、第1のイオン伝導性境界面では、中央電解質膜が第1の金属層内の第1の穿孔パターンにおいて第1の外側電解質層と接している。酸素イオンはそれから中央電解質層を通って移動し、第2のイオン伝導性境界面を通って第2の外側電解質層に入る。なお、第2のイオン伝導性境界面では、第2の外側電解質層が第2の金属層内の第2の穿孔パターンにおいて中央電解質膜に接している。酸素イオンはそれから第2の外側電解質層の表面へと移動し、そこで吸着した水素燃料ガスと接し、反応することで2つの電子を放出する。これらの電子は第2の外側電解質層の厚さを越えて移動し、さらに第2の電子伝導性境界面を通って第2の金属層へと移動する。第2の金属層に着くや、これらの電子は外部電気回路(図示せず)を通って第1の金属層へと戻っていく。
【0035】
図2には、金属支持された固体電解質型電気化学的電池の図式的な拡大断面図と反応の実例、ならびに固体酸化物型燃料電池として動作するこの種の電池の導体路が示されている。図示のように、第1の金属層3は、第1の外側電解質層4及び第1の導電性境界面9と共同して負極として動作する。第2の金属層5は、第2の外側電解質層6及び第2の導電性境界面11と共同して正極として動作する。
【0036】
酸素イオンは第1の外側電解質層4の表面に生じ、第1の外側電解質層4を通って移動し、第1のイオン伝導性境界面8を通って中央電解質膜7の中へと進み、中央電解質膜7の中を移動し、第2のイオン伝導性境界面10を通って第2の外側電解質層6の中へと進み、第2の電解質層の表面に移動し、そこで燃料ガスと反応して余剰電子を放出する。第2の外側電解質層6の表面で放出された電子は、第2の導電性境界面11を通って第2の金属層5の中へ移動し、第2の金属層5を第1の金属層3に接続する外部電気回路(図示せず)を介して移動し、第1の伝導性境界面9を通って第1の外側電解質層4の中へと進み、第1の外側電解質層4の表面へと移動し、そこで吸着した酸素と結合して酸素イオンを生じる。外側電解質層は有利には混合イオン伝導性と電子伝導性を有する導体である。しかし、外側電解質層が薄いため、電子が導電性境界面を通り抜けることができる場合には、外電解質がイオン伝導性のみを有するようにしてもよい。セルを通り抜ける安定した丈夫なイオン伝導性経路を実現するためには、第1及び第2の外側電解質層は稠密で亀裂のないようにしなければならない。これらのことは金属支持電池を製造する際の主要課題である。同様に、第1及び第2の導電性境界面の結着性も、セルの電気抵抗を低下させるには重要であり、第1及び第2の金属層の材料を選択する際の非常に重要な考慮事項である。
【0037】
c)第2の実施形態の説明
本発明の第2の実施形態では、金属支持された固体電解質型電気化学的電池は、2つの主表面を定める中央電解質膜を有する。これらの主表面は電解質膜の各側面に1つずつ定められる。中央電解質膜の一方の主表面には、第1の多孔質内側電解質層が密着している。第1の多孔質内側電解質層の中央電解質膜に密着していない方の表面には、第1の穿孔パターンを備えた第1の金属層が密着している。中央電解質膜と第1の多孔質内側電解質層との間の境界面は、第1の内側イオン伝導性境界面を画定する。第1の多孔質内側電解質層と第1の金属層との間の境界面は、第1の内側導電性境界面を画定する。中央電解質膜の他方の主表面には、第2の多孔質内側電解質層が密着している。第2の多孔質内側電解質層の中央電解質膜に密着していない方の表面には、第2の金属層が密着している。なお、前記第2の金属層には第2の穿孔パターンが組み込まれている。中央電解質膜と第2の多孔質内側電解質層との間の境界面は、第2の内側イオン伝導性境界面を画定する。第2の多孔質内側電解質層と第2の金属層との間の境界面は、第2の内側導電性境界面を画定する。第1の金属層の、第1の多孔質内側電解質層に密着していない表面である外側表面には、第1の穿孔パターンにより露出された第1の多孔質内側電解質層部分と密に連絡する第1の外側電解質層が密着していても又は密着していなくてもよい。第1の外側電解質層と第1の多孔質内側電解質層との間の境界面は、第1の多孔質イオン伝導性境界面を画定する。第1の金属層と第1の外側電解質層との間の境界面は、第1の導電性境界面を画定する。第2の金属層の、第2の多孔質内側電解質層に密着していない表面である外側表面には、第2の穿孔パターンにより露出された第2の多孔質内側電解質層部分と密に連絡する第2の外側電解質層が密着していても又は密着していなくてもよい。第2の外側電解質層と第2の多孔質内側電解質層との間の境界面は、第2の多孔質導電性境界面を画定する。第2の金属層と第2の外側電解質層との間の境界面は、第2の導電性境界面を画定する。
【0038】
電池は、金属支持された固体電解質膜の各面へ及び各面から反応ガスを導き、外部電気回路を介して第1の金属層を第2の金属層に電気的に接続する、ガスシールと電気相互接続部とを含めた金属製相互接続部材を設けることにより完成する。中央電解質膜、第1の多孔質内側電解質層、第2の多孔質内側電解質層、第1の外側電解質層、及び第2の外側電解質層は、専らイオン伝導体から成っていても、又は混合イオン伝導性と電子伝導性とを有する伝導体から成っていてもよい。中央電解質膜、第1の多孔質内側電解質層、第2の多孔質内側電解質層、第1の外側電解質層、及び第2の外側電解質層は、それぞれ単一の電解質材料、異なる電解質材料の混合、異なる電解質材料の積層化複合材料、又は前記すべての組合せから形成されてもよい。有利には、第1及び第2の多孔質内側電解質層ならびに第1及び第2の外側電解質層はそれぞれ、イオン伝導性と電子伝導性の両方を有する1つもしくは複数の電解質相から形成されるか、又は主にイオン伝導性を有する1つもしくは複数の相と主に電子伝導性を有する1つもしくは複数の相との多相混合から形成されるか、又は上記の組合せから形成される。第1及び第2の多孔質内側電解質層ならびに第1及び第2の多孔質イオン伝導性境界面は、反応ガスが多孔質内側電解質層の中へ、多孔質内側電解質層を通って、また多孔質内側電解質層から容易に輸送されるようにガス透過性を有するように設計されている。
【0039】
本発明のこの第2の実施形態によれば、金属支持された固体電解質型電気化学的電池の基本的動作は、従来の固体電解質型電気化学的電池の動作と類似している。しかし、電極構造の詳細は異なっている。
【0040】
具体的な説明のために、本発明の電池が固体酸化物型燃料電池として動作する例を考える。この固体酸化物型燃料電池では、中央電解質層は専らイオン伝導体であり、多孔質内側電解質層は混合イオン伝導性及び電子伝導性を有する導体である。簡明性に配慮して、電池が外側電化質層を有していないと仮定する。さらに、第1の金属層と第1の多孔質内側電解質相が酸素濃厚ガスと接し、第2の金属層と第1の多孔質内側電解質層が水素のような燃料ガスと接すると仮定する。その結果、第1の多孔質内側電解質相は、第1の金属層とその第1の穿孔パターン、第1の内側イオン伝導性境界面、ならびに第1の内側導電性境界面と共同して、負極として動作する。第2の多孔質内側電解質層は、第2の金属層とその第2の穿孔パターン、第2の内側イオン伝導性境界面、ならびに第2の内側導電性境界面と共同して、正極として動作する。酸素ガスは第1の穿孔パターンを通って第1の多孔質内側電解質層に出入りする。第1の多孔質内側電解質層は混合伝導体なので、電子、酸素イオン、及び吸着した酸素ガスは、第1の多孔質内側電解質層の全体積中の多くの点において、また第1の内側イオン伝導性境界面と第1の内側導電性境界面の両方において密に連絡することができる。同様に、水素燃料ガスと水蒸気は、第2の穿孔パターンを通って第2の多孔質内側電解質層に出入りする。第2の多孔質内側電解質層は混合伝導体なので、電子、酸素イオン、及び吸着した水素燃料ガスは、第2の多孔質内側電解質層の全体積中の多くの点において、また第2の内側イオン伝導性境界面と第2の内側導電性境界面の両方において密に連絡することができる。中央電解質膜と各多孔質内側電解質層の厚さが、それぞれおよそ5μm未満と短く保たれている場合、本発明の電極構造は、イオン伝導性と電子伝導性の両方を有する短い導体路と共同して高密度の電気化学的反応場を提供し、エリアに応じた高い電流密度と低い内部抵抗損失をもたらす。高密度の電気化学的反応場を提供することに加えて、多孔質内側電解質層は、セラミック電解質層に使用される材料と金属層に使用される材料との間の熱膨張係数の不釣り合いを調停する手段を提供する。
【0041】
本発明の第2の実施形態は一般的な形で図9に示されており、以下でより詳細に説明される。なお、図1〜図7の第1の実施形態からの同じ特徴を参照する場合には同じ参照番号を使用する。
【0042】
図9には、固体酸化物型燃料電池として動作する金属支持された固体電解質型電気化学的電池が示されている。この固体電解質型電気化学的電池は、第1及び第2の多孔質内側電解質層の両方と第1の外側電解質層とを有しているが、第2の外側電解質層は有していない。図示されているように、第1の多孔質内側電解質層31は、第1の金属層3及びその第1の穿孔パターン、第1の外側電解質層4、第1の内側イオン伝導性境界面32、第1の内側導電性境界面33、第1の多孔質イオン伝導性境界面34、ならびに第1の導電性境界面9と共同して、負極として動作する。第2の多孔質内側電解質層41は、第2の金属層5及びその第2の穿孔パターン2、第2の内側イオン伝導性境界面42、ならびに第2の内側導電性境界面43と共同して、正極として動作する。負極側では、酸素ガスが外側電解質層4の表面に吸着し、また第1の穿孔パターン1と第1の多孔質イオン伝導性境界面34を通って第1の多孔質内側電解質層31の中へ及び第1の多孔質内側電解質層31から外へ拡散する。図示されているように、水素燃料ガスと水蒸気は、第2の穿孔パターン2を通って第2の多孔質電解質層41の中へ及び第2の多孔質電解質層41から外へ拡散する。中央電解質膜7はガス不透過に設計されており、また図示されているのは固体酸化物型燃料電池なので、十分な酸素イオン伝導性を有するが、理想的には電子伝導性はまったく有さないように設計されている。セルを通り抜ける安定した丈夫なイオン伝導性経路を実現するためには、第1及び第2の内側イオン伝導性境界面は、多孔質内側電解質層と中央電解質膜との間に連続的で密な密着を提供しなければならない。同様に、第1及び第2の内側導電性境界面の結着性も、セルの電気抵抗を低下させるには重要であり、第1及び第2の金属層の材料を選択する際の非常に重要な考慮事項である。
【0043】
注意すべきは、図1a〜7bに示されている詳細及びそれに関する記述は、多孔質内側電解質層を備えていない金属支持された固体電解質型電気化学的電池のみを説明しているが、これらの詳細は多孔質内側電解質層を有する金属支持された固体電解質型電気化学的電池にも適用されるということである。
【0044】
本明細書に記載された金属支持された固体電解質型電気化学的電池を構成しうるセラミック電解質材料と金属材料の範囲は、当該技術分野では既知である。しかし、本明細書に記載されている電池及びマルチセルリアクタは、新たな改良された電解質材料及び金属材料を難なく取り入れることができるということが理解されるだろう。
【0045】
電解質材料
電解質材料を選ぶ際の主要な考慮事項は、電解質材料が電池動作条件の下で安定していること、及び電解質材料が最低動作温度においてできるだけ高いイオン伝導性を有することである。本明細書で使用されているように、電解質又は金属材料に関して、「安定性」とは、電池の製造及び動作中に化学的に及び/又は微細構造的に不変である材料の性質を指している。この性質のうちには、連続した相互拡散と、他の材料にボンディング及び/又は接触したときの他の材料との反応とに対する耐性、ならびに気体雰囲気との不所望な化学反応に対する耐性が含まれる。本明細書に記載されている電池の場合、動作温度はおよそ800°C未満であるよう意図されており、650°C以下の動作温度は、この比較的低い温度範囲が電池内の金属層それ自体と金属製ガス多岐管及び金属製相互接続部材の両方に使用される候補材料の寿命を延ばすという理由から、選好される。有利には、安定性を損なうことなくイオン伝導性の純増を達成するために、1つより多くの電解質材料の積層化複合材料を使用してもよい。この積層化複合材料は、例えば、イオン伝導性はより高いが安定性のより低い材料を、安定性はより高いがイオン伝導性のより低い材料の2つの層の間にはさむことにより可能である。例えば、この種の積層化複合材料はアメリカ合衆国特許台5,725,965号に記載されている。本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池の製造に使用される場合、電解質材料は薄膜及び/又はコーティングの形態をとる。最も有利には、これらの薄膜及び/又はコーティングは稠密で亀裂のないものである。
【0046】
基本的には、本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池内の電解質材料として、任意のイオン伝導性固体を使用することができる。電解質材料は1つ又は複数のイオン種を伝導することができ、このようなイオン種の各々は正電荷又は負電荷のいずれかを運ぶことができる。このようなイオン種の例としては、酸素イオン(O−)、水素イオン(H+)及びナトリウムイオン(Na+)が挙げられる。本明細書に記載された電気化学的電池に有利な電解質材料は、酸素イオン伝導体、又は混合イオン伝導性と電子伝導性とを有する伝導体である。Minh and Takahashi,Science and Technology of Ceramic Fuel Cells,Elsevier,1995,chapters 3,4 and 5からは、適切な酸素イオン伝導性電解質材料の便利な例を知ることができる。酸素イオン伝導性、又は混合酸素イオン伝導性と電子伝導性とを有する代表的な電解質材料としては、完全に安定化したジルコニア、部分的に安定化したジルコニア、ドープされたセリア、ドープされた酸化ビスマス、La0.8Sr0.2Ga0.85Mg0.15O2.825のような酸化ペロフスカイト、Gd2(Zr0.6Ti0.4)2O7のような酸化パイロクロールなどが挙げられる。これらは、第1の多孔質内側電解質層、及び/又は第2の多孔質内側電解質層、及び/又は第1の外側電解質層、及び/又は第2の外側電解質層は主に電子伝導性相を含んでいるのに対して、混合金属酸化物又は単一の金属酸化物のような電子伝導性セラミック、金属、又は電子伝導性セラミックと金属の組合せを含んでいてよい。代表的な電子伝導性材料としては、La0.9Sr0.1MnO3及びLa0.9Sr0.1CrO3のような酸化ペロフスカイト、銀の酸化物、ならびに、白金、パラジウム及び銀のような金属が挙げられる。
【0047】
第1及び第2の金属層の材料
第1及び第2の金属層の材料を選ぶための幾つかの重要な基準がある。第1に、金属材料の熱膨張係数は、セルの離層の原因となりうる応力が最小化されるように、選ばれた電解質材料の熱膨張係数とできるだけ近く合わせなくてはならない。金属材料はその全体積にわたって、また、特に金属層が固有に表面酸化物層を含んでいる場合には、とりわけその表面において又はその表面を通して適度な導電性を有していなければならない。金属材料は意図した電池動作温度において適度な強度を有していなければならない。金属材料は、長い動作寿命が得られるように、電池動作条件の下で安定しているべきである。理想的には、金属材料は、商品コストと製造コストの両方の観点から低コストであるべきである。第1及び第2の金属層に関して、安定性とは第一義的には電池の所望動作温度においての耐酸化性を指している。第1の金属層用として選択された材料が第2の金属層用として選択された材料と同じである必要はないが、電池内の異なる材料の間の境界面の設計を単純化するには同じであることが望ましい。
【0048】
第1及び第2の金属層用の代表的材料としては、ニッケル、金、銀、白金、クロム、クロム鉄合金、フェライトステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、及びニッケルをベースとした超合金、チタン、及びチタン合金が挙げられる。有利な金属材料としては、クロム鉄合金、フェライトステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、及びニッケルをベースとした超合金が挙げられる。安定化ジルコニア及び/又はドープされたセリアが電解質材料として使用される場合には、最も有利な金属材料として、クロム鉄合金とフェライトステンレス鋼が挙げられる。より一般的にコストの観点から決めるならば、最も有利な材料として、クロム鉄合金とフェライトステンレス鋼が挙げられる。
【0049】
本明細書に記載された第1及び/又は第2の金属層を製造するために使用する場合には、金属材料は精錬された箔、薄膜、コーティング及び/又は上記の組合せの形をとってよい。薄膜又はコーティングの形の金属層は、スパッタリング、化学蒸着、無電解メッキ、電気メッキ、スクリーン印刷+焼結、スラリーコーティング+焼結、テープ積層+焼結を含む種々のコーティング法により作ることができる。有利には、精錬された箔は第1の金属層又は第2の金属層の少なくとも一方の大部分を含んでいる。最も有利には、精錬された箔は第1及び第2の金属層の両方の大部分を含んでいる。
【0050】
金属製相互接続部材の材料
金属製相互接続部材の材料を選ぶ際の基準は、既に説明した第1の及び第2の金属層の材料を選ぶ際の基準と似ている。しかし、金属製相互接続部材12の場合、熱膨張係数を使用される電解質の熱膨張係数にできだけ近く合わせるという要求は緩和される。また、金属製相互接続部材の材料は、第1及び第2の金属層の材料と接合される際に使用されるメタラジカルボンディング技術の観点から、第1及び第2の金属層の材料との適合性がなければならない。金属製相互接続部材向けの代表的な材料としては、ニッケル、金、銀、白金、クロム、クロム鉄合金、フェライトステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、及びニッケルをベースとした超合金、チタン、及びチタン合金が挙げられる。有利な材料としては、フェライトステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、及びニッケルをベースとした超合金が挙げられる。
【0051】
本明細書に記載された金属製相互接続部材12を製造するために使用する場合には、金属材料は精錬された箔、精錬された薄板、精錬された薄いストリップ、コーティング、及び/又は上記の組合せの形をとってよい。有利な形態は精錬された箔及び/又は精錬された薄板である。
【0052】
厚さの考慮
中央電解質膜は有利には、中央電解質膜の熱膨張係数と第1及び/又は第2の金属層の熱膨張係数との間の不釣り合いの結果としてセルの離層を引き起こす傾向のある応力を低減するため、できるだけ薄く作られる。また、第1及び第2の穿孔パターンの或る構成では、中央電解質膜をできるだけ薄くして、膜の一方の側から他方の側へできるだけ短いイオン伝導路が実現されるようにすることが望ましい。その一方で、中央電解質膜の厚さがおよそ0.5μm未満である場合には、第1及び第2の金属層の間の確実な電気的絶縁を行うことは比較的難しい。これは特に、中央電解質膜に密着する第1及び/又は第2の金属層の表面粗さが中央電解質膜の厚さと同じ程度である場合に当てはまる。中央電解質膜の厚さは、中央電解質膜の製造過程の特性にも依存する。例えば、中央電解質膜が、電解質材料のフィルムを金属層のうちの1つにスパッタリングすることにより形成される場合、フィルムの厚さがおよそ1μmを越えて増大するにつれて、この電解質フィルム内の残留応力を管理することがより難しくなる。上記の要因を考慮すると、中央電解質膜の厚さは有利にはおよそ0.5μm〜およそ10μmの範囲、最も有利にはおよそ0.8μm〜およそ5μmの範囲である。
【0053】
第1及び第2の多孔質内側電解質層は、有利には、セルを通り抜けるできるだけ短いイオン伝導性経路が実現されるように、できるだけ薄い。同時に、これらの多孔質層は、反応ガスが制限されずに流れるように、層の全体積にわたって適度な大きさのガス流路を設けるのに十分なほどの厚さを有しているべきである。これらの要因を考慮すると、第1及び/又は第2の多孔質内側電解層の厚さはおよそ0.5μm〜およそ10μmの範囲、より有利にはおよそ1μm〜およそ5μmの範囲である。
【0054】
第1の金属層と第2の金属層の少なくとも一方はセルに機械的支持を提供する。つまり、これらの層の一方は支持金属層でなければならず、完成したセル構造があたかも全体的に金属でできているかのようであるように、一般に少なくとも2倍、有利には少なくとも4倍、中央電解質膜よりも厚い。機械的により丈夫な電池を実現するという要望も、堅い金属製相互接続部材により多くのボンディングポイントを設けることにより実現するのでないかぎり、第1又は第2の金属層の少なくとも一方の厚さの増大を要求する。第1及び第2の金属層の厚さがおよそ10μmを超えている場合には、第1又は第2の金属層と金属製相互接続部材との間に十分なメタラジカルボンディングを施す方が簡単である。電池内の電子抵抗を低減するという要望は、固体酸化物型燃料電池の使用において重要であるが、同様に比較的薄い金属層を要求する。しかし、このケースでは金属層は両方とも比較的薄い。金属層内の電子抵抗は、金属製相互接続部材への電気接続の間隔ならびに第1及び第2の内側導電性境界面及び/又は第1及び第2の導電性境界面の厚さと電子伝導性によって決定される。電池内の電気抵抗の観点からは、導電性境界面はできるだけ薄いことが望ましい。その一方で、第1及び第2の金属層をできるだけ薄く保つことができる場合には、高密度の穿孔を施す方が格段に簡単である。高密度の穿孔は、電極ガス流のパフォーマンスの改善及び/又は平均イオン伝導路長の短縮、ならびに電池の電流密度の増大をもたらす。以上の要因を考慮すると、第1の金属層及び第2の金属層の厚さは有利にはおよそ5μm〜およそ75μmの範囲、最も有利にはおよそ10μm〜およそ30μmの範囲である。
【0055】
多孔質内側電解質層を持たない電池のイオン抵抗を最小化するためには、第1及び第2の両方の外側電解質層の厚さを増大させることが望ましい。というのも、これによりイオン伝導体の断面積が増えるからである。これは、第1及び第2の金属層がおよそ30μmよりも薄い場合に起こり得るように、第1及び第2の金属層を貫通する穿孔パターンの密度が低い場合に特に重要である。また、下にある金属層を電池内の動作雰囲気による腐食から保護するために、外側電解質層を比較的厚くすることが望ましい。その一方で、外側電解質層の剥離を生じさせる可能性のある離層応力を最小化するためには、外側電解質層をできるだけ薄く保つことが望ましい。以上の要因を考慮すると、第1及び第2の外側電解質層の厚さはおよそ0.1μm〜およそ4μmの範囲、最も有利にはよそ0.2μm〜およそ2μmの範囲である。
【0056】
図7を参照すると、金属製相互接続部材の全体的な厚さは、部材上面の突起又はリブの高さの和、寸法H1、部材底面の突起又はリブの高さ、寸法H2、及び部材を形成する金属板の厚さである寸法Tから成っていることが分かる。寸法H1及びH2は、セル電極表面への計画されたガス流及びセル電極表面からの計画されたガス流を管理するのに必要なガス流路のサイズとの関係によって、ならびに、電気化学的電池に補助的な支持を提供するために堅い多孔質支持材がガス流路に挿入されているか否かによって決定される。ただし、前記セル電極表面はセルのアクティブエリアの幅である寸法Hに直接比例している。H1及びH2は同じである必要はない。しかし、単純さのためにはそうであることが望ましい。典型的には、H1及びH2はおよそ0.2mm〜およそ3mmの範囲、有利にはおよそ0.2mm〜およそ1mmの範囲である。典型的には、Tはおよそ0.1mm〜およそ2mmの範囲、有利にはおよそ0.1mm〜およそ1mmの範囲である。したがって、金属製相互接続部材の全体的な厚さは典型的にはおよそ0.5mm〜およそ8mmの範囲、有利にはおよそ0.5mm〜およそ3mmの範囲である。
【0057】
穿孔パターン
第1及び第2の穿孔パターンの機能は、多孔質内側電解質層がガスに触れるようにすること、又は外側電解質層が中央電解質膜と密に連絡するように中央電解質膜を露出させ、セルを通り抜ける(すなわち、中央電解質膜の一方の側から他方の側への)イオン伝導体路を完成させることである。個々の穿孔は、第1及び/又は第2の金属層により適度な構造的支持が中央電解質膜に提供される限り、また穿孔を有する金属層が電池に低い電気抵抗をもたらすのに十分な長さの金属導体路を有している限り、任意のサイズ及び形状であってよい。
【0058】
セル表面の単位面積あたりの穿孔密度を含めたパターンの構成は、第1及び/又は第2の金属層の表面にわたってエリアごとに変化しうる。第1の穿孔パターンは第2の穿孔パターンと同じでもよいし、又は異なっていてもよい。電極ガス流のパフォーマンスを最大化するため、及び/又はイオン伝導路を最小化し、セルを流れるイオン電流を最大化するために、個々の穿孔のサイズは小さくし、セル表面の単位面積あたりの穿孔密度は、第1及び第2の金属層の両方において、できるだけ高くすべきである。個々の穿孔の側壁は、必須ではないが有利には、電解質膜の表面に対してほぼ垂直である。なぜならば、これにより表面の単位面積あたりの穿孔密度がより高くなり、所与の穿孔形状及び穿孔密度に対してより大きなより低抵抗の電子伝導路が実現されるからである。
【0059】
代表的な製造プロセス
図8は、本発明の第1の実施形態の複数の金属支持された固体電化質型電気化学的電池を備えたリアクタを製造する代表的な製造プロセスのフローチャートである。なお、上記電池は多孔質内側電解質層を有していない。ページ左側に示されたプロセス動作は、第2の金属層、第2の穿孔パターン、第2の外側電解質層及び第2のイオン伝導性境界面の製造に適用される。中央電解質膜を製造するプロセス動作は同様にページ左側に示されている。ページ右側に示されているプロセス動作は、第1の金属層、第1の穿孔パターン、第1の外側電解質層及び第1のイオン伝導性境界面の製造に適用される。ページ垂直中央に寄せて示されているプロセス動作は、電池全体又はリアクタアセンブリ全体に適用される。Z−Zにおける水平破線より上に示されているプロセス動作は個々の電池の製造に適用され、線Z−Zより下に示されている動作はマルチセルリアクタの製造に適用される。図8からは、個々の電池の製造が、穿孔パターン形成のために金属材料を取り除くプロセス動作を交えた、5層積層化構造を形成する逐次的積層、コーティング又はフィルム形成の複数のプロセス動作を含んでいることが明らかである。この製造プロセス全体は、電子工業において両面プリント回路基板、とりわけ両面フレキシブルプリント回路基板の製造に使用される製造プロセス全体と類似している。
【0060】
金属層は、図8に示されているように、精錬された箔として設けることができ、これは金属材料の組成及び機械的性質を容易に操作できるようにするので有利である。しかし、両方の金属層が精錬された箔から形成されている場合には、金属層のうちの少なくとも一方を中央電解質膜に積層するためのプロセスが設けられなければならない。また、穿孔パターンの形成のために箔から材料を取り除くためのプロセスも設けられなければならない。穿孔パターンを形成する代表的なプロセスには、プリント回路基板の製造に使用されるような、又はより具体的に、ステンレス鋼材料から小形コンポーネントを製造するために光化学加工産業において使用されるようなフォトリソグラフィエッチングプロセス及び化学エッチングプロセスが含まれる。これらの同じパターン成形又は光化学加工のプロセスは、金属製相互接続部材の製造にも使用することができる。第1及び第2の金属層の両方を精錬された箔として形成する有利なプロセスは図8にまとめられている。このプロセスでは、まず一方の箔に適切な穿孔パターンが形成され、他方の箔は中央電解質膜を形成する電解質材料の予備焼成させた「添加ゾルゲル」(loaded sol−gel)コーティングによりコーティングされる。2つの箔はつぎに、連続した箔と穿孔された箔が予備焼成させた「添加ゾルゲル」電解質コーティングを挟み込むようにプレスされる。焼成すると「添加ゾルゲル」コーティングは密度が高くなり、連続した箔と穿孔された箔の両方に接着する。穿孔された箔の穿孔は、「添加ゾルゲル」コーティングの焼成中に発生する揮発性有機物を逃がす手段を提供する。適切な「添加ゾルゲル」コーティングプロセスはアメリカ合衆国特許第5,585,136号に記載されている。代替的に、「添加ゾルゲル」法と(従来の)ゾルゲル法の多層的組合せを使用してもよい。代表的なゾルゲル法アメリカ合衆国特許第5,494,700号に記載されている。
【0061】
代替的に、第1及び/又は第2の金属層は、単一のコーティング及び/又はメッキプロセス、又は、複数のコーティング及び/又はメッキプロセスのどちらによっても製造することができる。このアプローチの主な欠点は、金属層の組成及び機械的性質を操作できる程度が低くなることである。このアプローチの利点は、穿孔パターンを金属層自体の製造時に形成することができ、したがって別個のパターン成形プロセスの必要がないこと、金属層が10μmよりも厚い場合にも高密度の穿孔パターンを実現することができること、ならびに、個々の穿孔の側壁を中央電解質膜の表面に対してほぼ垂直にすることができることである。代表的なプロセスとしては、金属及び合金の無電解メッキ、電気メッキ、金属及び合金のDCマグネトロンスパッタリング、ならびにこれらの組合せが挙げられる。急勾配の壁を有するバイアホール又は穿孔を厚い金属層に稠密に詰め込むための代表的なプロセスは、Leith and Schwartz,High−Rated Though−Mold Electrodeposition of Thick(>200mm) NiFe MEMS Components with Uniform Composition, Journal of Microelectromechanical Systems,Vol.8,No.4,December 1999に記載されている。第1及び/又は第2の金属層は、金属又は合金を典型的には高分子結合剤の中に含有された粉末として使用し、続いてこの粉末を焼結して稠密なモノリシック金属層を形成することを含むプロセスによっても形成してもよい。予備焼結した金属層を形成するための代表的なプロセスは、スクリーン印刷、スラーリーコーティング、及びテープキャスティング/積層法である。
【0062】
本明細書ですでに言及したゾルゲル及び「添加ゾルゲル」コーティングプロセスに加えて、中央電解質膜及び外側電解質層は申し分のないセラミックコーティングを行ういずれのプロセスによっても形成することができる。代表的なコーティングプロセスとしては、反応DCマグネトロンスパッタリング、RFマグネトロンスパッタリング、及び化学蒸着が挙げられる。例えば、固体酸化物型燃料電池にとって有利な電解質材料である酸化イットリウム安定化ジルコニアの層を蒸着させる代表的なDC及びRFマグネトロンスパッタリングプロセスは、アメリカ合衆国特許第5,753,385号に記載されている。中央電解質膜を形成する有利なプロセスは、既に言及した「添加ゾルゲル」プロセスにより単層又は多層コーティングを施すことによるもの、又は「添加ゾルゲル」コーティングとゾルゲルコーティングを組み合わせた多層コーティングを施すことによるものである。外側電解質層を形成する有利なコーティングプロセスとしては、「添加ゾルゲル」、ゾルゲル、分極電気化学蒸着(PEVD)、及びこれらの組合せが挙げられる。外側電解質層を形成する最も有利なプロセスは、まず単層又は多層ゾルゲルコーティングを適用し、続いてPEVDコーティングを適用することである。PEVDプロセスは、Tang et al,A New Vapor Deposition Method to Form Composite Anodes for Solid Oxide Fuel Cells,Journal of the American Ceramics Society,83[7] 1626−32(2000)に記載されている。PEVDプロセスの利点は、中央電解質膜と外側電解質層との間に丈夫なイオン伝導性境界面を形成すること、また外側電解質層の亀裂を埋めることにより、セルを通り抜ける丈夫なイオン伝導体路を形成することである。
【0063】
図10は、本発明の第2の実施形態の複数の金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたリアクタを製造するための代表的な製造プロセスのフローチャートである。前記固体電解質型電気化学的電池は多孔質内側電解質層と第1の外側電解質層を有しているが、第2の外側電解質層は有していない。第1の外側電解質層は有しているが、第2の外側電解質層は有していないのは、単にこれらの層の一方又は両方は容易に追加することも、又は製造プロセス全体から削除することもできることを示すために過ぎないことに注意されたい。ページ左側に示されているプロセス動作は、第2の金属層、第2の穿孔パターン、第2の多孔質内側電解質層、及び第2の内側イオン伝導性境界面の形成に適用される。ページ右側に示されているプロセス動作は、第1の金属層、第1の穿孔パターン、第1の多孔質内側電解質層、第1の外側電解質層、及び第1の内側イオン伝導性境界面の形成に適用される。ページ垂直中央に寄せて示されているプロセス動作は、個々のセルの中央電解質膜及びリアクタアセンブリ全体の形成に適用される。Z−Zにおける水平破線より上に示されているプロセス動作は個々の電池の製造に適用され、線Z−Zよりも下に示されている動作はマルチセルリアクタの製造に適用される。PEVDコーティング動作は、内側イオン伝導性境界面を強化することを主な目的としているが、図示されているように、必要であれば製造プロセス全体の一部として含まれる。しかし、コスト最小化の目的では、PEVDプロセス動作が必要とされないことが望ましい、また特に多孔質内側電解質層を有する金属支持された固体電解質型電気化学的電池の場合には、PEVDプロセス動作が必要とされないことが予想される。
【0064】
明らかに、図10に示されている製造プロセス全体及び個々のプロセス動作は、多孔質電解質層の形成に必要とされる特定のプロセス動作を除けば、図8に示されているものと同じである。多孔質内側電解質層は、適切な多孔質セラミックコーティングを施す任意のプロセスによって形成することができる。代表的なプロセスとしては、適切に適応させたテープキャスティング及び積層法、スクリーン印刷、反応DC及びRFスパッタリング、ゾルゲル及び「充填ゾルゲル」(filled sol−gel)法が挙げられる。コーティングの孔空け及び/又は多孔率の引き上げに使用される代表的かつ広く適用可能な適合化は、一般にコーティングが形成された後に焼却又は浸出操作により除去される揮発性の予備成形溶加材を混入することを含む。上記「充填ゾルゲル」プロセスは多孔質多相セラミック電解質コーティングの形成に非常に適しており、本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池の多孔質内側電解質層を製造するための有利な方法である。
【0065】
導電性境界面の改善
本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池の別の実施形態では、第1の内側導電性境界面、及び/又は第2の内側導電性境界面、及び/又は第1の導電性境界面、及び/又は第2の導電性境界面は、導電性境界面の導電性を高める及び/又は電池動作温度での導電性をより安定させる特定の金属酸化物組成が形成されるように、特定の金属層を加えることにより改善される。第1及び第2の内側導電性境界面、及び/又は第1及び第2の導電性境界面の導電性を高めるために使用しうる代表的な材料は、第1及び第2の金属層溶に選択される特定の材料に依存する。金属層が酸化クロムスケールを形成するクロム高含有合金から成る場合は、マンガン、マグネシウム及び亜鉛のような代表的金属を添合することで、改善された酸化皮膜スケールが導電性と安定性の増大を示すようにすることができる。マンガンはクロム高含有合金と共に使用するのに有利な材料である。
【0066】
アメリカ合衆国特許第6,054,231号には、固体酸化物型燃料電池内の金属製バイポーラ相互接続部材の正極側側面で使用されるクロム高含有合金上のこのような改善された導電性表層に適した材料、及びこのような改善された導電性表層を形成するプロセスが記載されている。この種のクロム高含有合金はまた、本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池の第1及び第2の金属層にとって有利な材料でもある。所望の酸化皮膜は、第1及び/又は第2の金属層を形成する合金の配合に所望の酸化皮膜を改善する金属を十分な濃度で加えることによっても得ることができる。例えば、重量にして5%以上のマンガンをフェライトステンレス鋼に加えてもよい。しかし、合金の配合のこのような変更は、合金がもはや選択された電解質材料の熱膨張係数とよく釣り合わなくなるほど熱膨張係数を顕著に変化させてしまう可能性がある。
【0067】
メタラジカルボンディングされたガスシール及び/又は電気接続部
別の有利な実施形態では、金属支持された固体電解質型電気化学的電池の第1の金属層と第2の金属層は、それぞれ1つ又は複数の金属製相互接続部材にメタラジカルボンディングされている。本明細書で使用されている「メタラジカルボンディングする」又は「メタラジカルボンディングされる」という用語は、溶接又は鑞付けプロセスによる接合を意味しており、「メタラジカルボンド」という用語はメタラジカルボンディングにより形成された接合部を意味する。第1及び第2の金属層の金属製相互接続部材へのメタラジカルボンディングは、セルの周縁部においてのみ行われる。択一的に、より大きな機械的強度及び/又はより低い電気抵抗を電池にもたらすために、第1及び第2の金属層をこれら金属層の表面の多くのポイントにおいて金属製相互接続部材にメタラジカルボンディングしてもよい。金属層の表面において、これらのボンディングポイントは、電極表面への及び電極表面からのガス流に対する制限を最小化するよう配置されている。
【0068】
図3a,3bには、金属支持された固体電解質型電気化学的電池と金属製相互接続部材とを備えたマルチセルリアクタの代表的な構成図の平面図及び断面図が示されている。なお、相互接続部材は、積み重ねられたセルの間の直列の電気相互接続と、関連するガスを電極表面へ及び電極表面から輸送するためのガス流路の両方を提供する。周辺ガスシールと、第1の金属層3及び/又は第2の金属層5と金属製相互接続部材12との間の電気相互接続部13及び/又は内部相互接続部14は、第1の金属層3及び/又は第2の金属層5を金属製相互接続部材12にメタラジカルボンディングすることにより形成することができる。図4a,4bには、周辺ガスシールと相互接続部13が鑞付け技術によりメタラジカルボンディングされ、鑞付け溶加材17が組み込まれた場合の詳細な断面図が示されている。中央電解質膜17は、このようなメタラジカルボンディングされた相互接続部を形成する際に第1の金属層3と第2の金属層5との間の電気的絶縁を維持する。これは溶接技術によるよりも鑞付けによる方が簡単に実現されるので、鑞付けは有利なメタラジカルボンディングプロセスである。第1の穿孔パターン1及び/又は第2の穿孔パターン2は鑞付け溶加材の下に延在させてよい。というのも、鑞付け接合部が多くの穿孔にまたがり、それにより確実なガスシール及び/又は電気相互接続が得られるからである。図4a,4bに示されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池は多孔質内側電解質層を有していないが、図4a,4bで図解されているメタラジカルボンディングの詳細は、このような多孔質内側電解質層を有する金属支持された固体電解質型電気化学的電池にも当てはまる。
【0069】
第1及び/又は第2の金属層と金属製相互接続部材との間に十分なメタラジカルボンドを形成するメタラジカルボンディングプロセスであれば、どのメタラジカルボンディングプロセスを使用してもよい。ボンディングプロセスの選択は、第1及び第2の金属層と金属製相互接続部材の材料の選択に依存する。一般に、適切なメタラジカルボンディングプロセスとして、種々の鑞付け及び溶接の技術、ならびにこれらの組合せが挙げられる。金属支持された固体電解質型電気化学的電池の作製に使用されうる金属材料の候補の多くに対して、適切なメタラジカルボンディングプロセスは既に広く実施されている。例えば、ステンレス鋼、ニッケル合金、チタン合金及びクロム鉄合金を接合する数種の溶接及び鑞付けプロセスが広く商業的に使用されており、これらの同じプロセスは本明細書に記載されている金属支持された電池の製造にも使用することができる。有利なメタラジカルボンディングプロセスは真空鑞付け、不活性雰囲気鑞付け、抵抗溶接、及びこれらの組合せである。最も有利なメタラジカルボンディングプロセスは真空鑞付け及び/又は不活性雰囲気鑞付けである。なぜならば、これらのプロセスは電池の中央電解質膜に最小のダメージしか与えず、セルと金属製相互接続部材とが、まだメタラジカルボンディングされてはいないが、マルチセルリアクタへと組み立てられた後に、内部接着面にメタラジカルボンドを形成するための手段を備えているからである。マルチセルリアクタアセンブリの場合、鑞付け溶加材は、有利には、予め成形されたテープ、ワイヤガスケット、フォイルガスケット、ペースト、又はこれらの組合せの形で、メタラジカルボンディングすべき領域に与えられる。
【0070】
メタラジカルボンド上の外側電解質
本明細書に記載されている固体電解質型電気化学的電池の別の実施形態では、第1の外側電解質層及び/又は第2の外側電解質層は、第1及び/又は第2の金属層と隣接する金属製相互接続部材との間にメタラジカルボンディングが行われる領域の上に延在する。外側電解質層は金属製相互接続部材の表面全体又は一部の上に延在していてもよい。外側電解質層は、それ自体は安定したセラミックであるが、他の場合には電池動作温度に直接曝されうる下にあるすべての金属表面を保護する。例えば、外側電解質層は下にある金属材料を酸化、炭化、及び/又は硫化水素ガスのような硫黄化合物による腐食から保護する。外側電解質層をメタラジカルボンディング領域上に延在させるための有利な方法は、本明細書で既に言及したPEVDプロセスによるものである。というのも、これは化学蒸着/コーティングプロセスを改良したものであり、セルがマルチセルリアクタアセンブリへと組み立てられた後に実行することができるからである。ボンディング面及び外側電解質層でコーティングされる他のどの金属表面も導電性であるので、PEVDプロセスはこの目的にとって有効である。外側電解質層を金属製相互接続部材の表面上に延在させるための有利なプロセスは、まず、電池の第1及び/又は第2の金属層にボンディングされるべき表面を除く金属製相互接続部材の全表面に外側電解質層のコーティングを施し、つぎに相互接続部材を第1及び/又は第2の金属層にメタラジカルボンディングし、最後に既に述べたPEVDプロセスにより外側電解質層を完成させるものである。金属製相互接続部材に電解質コーティングを施すための有利な方法は、既に述べたゾルゲル又は添加ゾルゲル技術によるものであるが、稠密な金属表面にセラミックコーティングを施す他の任意の方法を使用してもよい。このコーティングは亀裂を有している可能性があるが、これと同様の小さな不連続は続いて行われるPEVDコーティングプロセスにより埋めることができる。
【0071】
図3bの詳細Cである図4bには、金属支持電池の周縁部のメタラジカルボンディングされたガスシールと相互接続部が示されている。第1の外側電解質層4と第2の外側電解質層6が、メタラジカルボンド17とメタラジカルボンド17に直に隣接する金属製相互接続部材12のエリアの上に延在しているのが見て取れる。
【0072】
丈夫なガス不透過膜を形成する穿孔パターン
本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池の別の実施形態では、第1の穿孔パターン及び第2の穿孔パターンは、中央電解質膜、又は第1の多孔質内側電解質層、中央電解質膜及び第2の多孔質内側電解質層を含む積層構造がいたるところ第1の金属層及び/又は第2の金属層によって直接支持され、丈夫なガス不透過膜が形成されるように配置される。なお、上記積層構造を以下では内側電解質サンドイッチと呼ぶ。図1a,1bには、第1及び第2の穿孔パターンのこのような配置構成が示されており、これらの配置構成において、中央電解質膜7がいたるところ第1の金属層3又は第2の金属層5と接し、支持されていることが見て取れる。金属層が比較的厚い、有利にはおよそ20μmよりも厚い場合、及び/又は、第1及び/又は第2の金属層が頻繁な間隔で、有利にはおよそ1.5cm以下の間隔で丈夫な金属製相互接続部材にメタラジカルボンディングされている場合には、電池は一方の側と他方の側との間の著しい圧力差に耐えることができる。択一的に、少なくとも膜の低圧側において、穿孔された又は多孔質の又はメッシュ状の堅いガス透過性の金属、セラミック又は金属/セラミック複合部材の全表面にセルを接触させることにより、セルを機械的に支持してもよい。丈夫なガス不透過電解質膜を備えたこのような金属支持セルは、特に電気駆動式酸素濃淡型リアクタ及び圧力駆動式部分酸化型リアクタにおいて有用である。
【0073】
短いイオン経路を形成する穿孔パターン
本明細書に記載されている多孔質内側電解質層を備えていない金属支持された固体電解質型電気化学的電池の別の実施形態では、第1の穿孔パターンと第2の穿孔パターンは、中央電解質膜が第1の金属層によっても第2の金属層によっても直接支持されていない領域を形成するように配置されており、これによりこれらの領域にセルの各側面の間にイオン伝導路が設けられる。このイオン伝導路は中央電解質膜の厚さによってのみ規定される。このアプローチによれば、より低い動作温度、電流密度の増大、及びこれら両方を可能にする僅か数μmのイオン伝導路長を実現することが可能である。図5a,5bには、第1及び第2の穿孔パターンのこのような配置構成の例が示されており、これらの配置構成において、第1の金属層3と第2の金属層5の両方の穿孔は、例えば長さが幅よりもおよそ5倍に延ばされた形をしており、同時に第1の穿孔パターン1と第2の穿孔パターン2は非平行に配置されており、これにより、パターンが重なる領域において中央電解質膜が支持されていない領域が形成されている。また、このような配置構成は、製造の観点から非常に有利である第1の穿孔パターンを第2の穿孔パターンと揃える作業を大いに単純化する。
【0074】
個々のセル内の熱勾配を低下させる穿孔パターン
本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池の別の実施形態では、第1の穿孔パターン及び/又は第2の穿孔パターンは、セルの表面にわたってある領域から他の領域へと、例えば中心から端へと穿孔密度を変化させることによって、電気化学的電流密度が電極表面の領域に応じて変化するように配置されている。これにより、電極表面の領域に応じた反応ガスの濃度及び/又は温度の変化に関連したセル内の熱勾配を低下させることが可能である。このようにして、個々のセルの設計を適合させることで、特定のリアクタの設計に関連したガス流パターンに合わせる/ガス流パターンを補正することが可能である。
【0075】
電極上の特殊触媒
本明細書に記載されている金属支持された固体電解質型電気化学的電池の別の実施形態では、第1の多孔質内側電解質層及び/又は第2の多孔質内側電解質層及び/又は第1の外側電解質層及び/又は第2の外側電解質層の上に又は中に特殊触媒が組み込まれる。例えば、この種の触媒は、固体酸化物型燃料電池内のある有利な燃料ガス改質、又は部分酸化型リアクタ内の特定の酸化反応が強化されるように選択される。触媒は、多孔質内側電解質層及び/又は外側電解質層の表面のうちで、反応ガスと接する表面に存在しなければならず、また所望の触媒作用が得られるが、セルの電気化学的反応を圧迫ないし害することのない濃度で存在しなければならない。これらの触媒は、RFもしくはDCマグネトロンスパッタリング又は化学蒸着のようなプロセスにより、外側電解質層上に非常に薄い不連続な金属及び/又は金属酸化物として付けられる。有利なアプローチは、本明細書で既に触れたゾルゲル及び/又は添加ゾルゲル技術によって多孔質内側電解質層及び/又は外側電解質層自体を形成する際に、同時に、触媒を微細分散粒子としてこれらの層の中に入れるものである。適切な触媒材料は当該技術分野では周知であり、国際純粋応用化学連合による元素周期表のII族、V族、VI族、VII族、VIII族、IX族、X族、XI族、XV族及びFブロックのランタニドから選択された金属ならびに金属酸化物が含まれる。特に適した材料としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、金、銀、ビスマス、セリウム、バリウム、バナジウム、ニッケル、コバルト、マンガン、モリブデン及びプラセオジムの金属、及び/又はこれらの金属の酸化物が挙げられる。
【0076】
有利なリアクタデザイン
別の実施形態では、複数の金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたマルチセルリアクタの有利なデザインが与えられている。この種リアクタは、固体酸化物型燃料電池スタック、酸素濃淡型リアクタ又は部分酸化型リアクタとして使用することができる。この種のリアクタの図式的なレイアウトが図6a,6b及び6cに示されており、断面図A−A(図6b)及びB−Bにおいて、それぞれ第1の外側電解質層、第1の穿孔パターン、第1の導電性境界面、第1の金属層、第1のイオン電導性境界面、中央電解質膜、第2のイオン伝導性境界面、第2の金属層、第2の穿孔パターン、第2の導電性境界面及び第2の外側電解質層を備えた個々のセル18は、金属製相互接続部材12により電気的に直列接続されている。択一的には、個々の金属支持セル18は、それぞれ第1の金属層、第1の穿孔パターン、第1の内側導電性境界面、第1の多孔質内側電解質層、第1の内側イオン伝導性境界面、中央電解質膜、第2の内側イオン電導性境界面、第2の多孔質内側電解質層、第2の内側電導性境界面、第2オン多孔質内側電解質層、第2の内側導電性境界面、第2の金属層及び第2の穿孔パターンから構成されていてもよく、第1の多孔質イオン電導性境界面と第1の外側電解質層、及び/又は、第2の多孔質イオン伝導性境界面と第2の外側電解質層を有していても有していなくてもよい。金属支持セル18、金属製相互接続部材12、ならびに周辺ガスシール及び相互接続部13の配置構成は既に説明した通りである。有利には、少なくとも周辺ガスシール及び相互接続部13、択一的にはいずれかの内部相互接続部もメタラジカルボンディングされる。
【0077】
このリアクタデザインの主な目的と特徴は容易に比率を変えられることであり、これにより、個々のセルのアクティブエリア及び/又はリアクタ内のセルの個数を、セルの電気化学的性能を左右する個々のセルのアクティブエリアの寸法又は材料を変えずに増大させることができる。これは、図6aに示されている長方形セルにおいては、セルのアクティブエリアの幅である寸法Hを設定し一定に保つことにより実現される。寸法Hを設定し一定に保つことにより、第1及び第2の金属層の厚さ、第1及び第2の穿孔パターンのデザイン、個々の穿孔のサイズ及び形状、中央電解質膜の厚さ、金属製相互接続部材の全体的な高さ、相互接続部材のディンプル又はリブ付きパターンのレイアウト、及び多岐管とガス流路との間のガス流の連通のようなパラメータをいったん決定し、その後それらを一定に保つことが可能となる。スタック内のセルの個数が増した場合、ガス多岐管16を拡大するためには、寸法B及びDのみを増大させるだけでよく、他のすべての寸法は変更しない。同様に、個々のセルのアクティブエリアが寸法Lの拡大により拡大された場合には、他のすべての寸法は変化しない。寸法Lの拡大は、本明細書に記載されている金属支持セルの金属に似た機械的特性により容易に可能であり、寸法Lのこのような拡大は従来の固体電解質型電気化学的電池デザインを使用しては実現が非常に困難である。というのも、従来の固体電解質型電気化学的電池はセラミックに似た機械的特性を示すからである。商業的観点からは、スケーラビリティは非常に重要な属性である。というのも、それにより同じ基本的セルデザインは、大幅にサイズの異なるリアクタを必要とする広範囲の異なる製品において使用可能となり、したがってまたリアクタの低コスト大量生産へのより急速な進歩が可能となり、同時に基本的セルデザインの継続的な技術的最適化がもたらされるからである。
【0078】
有利には、寸法Hはおよそ10mm〜およそ500mmの範囲、最も有利にはおよそ20mm〜およそ300mmの範囲である。有利には、寸法Lはおよそ50mm〜およそ1,000mmの範囲、最も有利には、およそ100mm〜およそ700mmの範囲である。有利には、リアクタ内の個々のセルの個数はおよそ10〜およそ500、最も有利にはおよそ20〜およそ200の範囲である。
【0079】
図6a−6cに示されている向流ガス多岐管の配置構成は、ガス供給多岐管の間にガス排出多岐管を交えることができ、したがって流入ガスのより効率的な予備加熱が可能となるため選好されるが、並流ガス多岐管の配置構成向けにデザインを形成してもよい。
【0080】
オプションとして、ガス多岐管16に隣接して配置された、垂直にリアクタを通り抜けて走る液体伝熱流体路19をリアクタに設けてもよい。液体伝熱流体はリアクタのヘッダブロック24から供給され、リアクタを垂直下方に流れ、液体伝熱流体リターンヘッダ20によりリアクタから出る。スタック内の個々のセルの第1の金属層と第2の金属層との間の電気的絶縁を維持するために、液体伝熱流体は電気導体でなければならない。
【0081】
リアクタはまたボトムエンドプレート21、上部アダプタ22、及びリアクタヘッダブロック24も備えている。リアクタヘッダブロック24は、垂直ガス多岐管16と垂直液体伝熱流体路19を、リアクタの外部にある供給及び/又はリターンヘッダに相互接続する。このようなすべての外部供給及びリターンヘッダには、下電気端子23と上電気端子25とによりリアクタへの電気接続のみを保証する電気的絶縁体が設けられている。
【0082】
実施例
実施例1
イリノイ州エルジンのElgiloy Speciality Metals社から入手できる厚さ50μm(0.002インチ)のヘインズ合金230 2B軟箔のシートを、オンタリオ州ミルトンのDatec Coating Corporation社の「添加」ゾルゲルコーティング技術によるおよそ5μm厚のイットリア安定化ジルコニアコーティングによりコーティングする。仕上がった「添加」ゾルゲルコーティングは、イットリア安定化ジルコニアコーティングの連続的基質に包まれたおよそ1μmのサイズのイットリア安定化ジルコニア粒子から構成される。5μm厚コーティングは、それぞれおよそ2.5μm厚の2つの層に施される。これらの層は湿式溶射され、およそ10分間600°C未満で熱処理され、ジルコニアゾルが結晶化される。このコーティングされたニッケルベースの超合金構造に、炉の中の気中で650°Cまでの加熱と炉からの迅速な取り出しによる室温までの急冷とにより熱サイクルを加える。積層は炉から取り出して5秒以内に触れることができるまでに冷える。この構造は離層の形跡なしに5つのサイクルに耐える。
【0083】
実施例2
ペンシルバニア州ランカスターのHamilton Precision Metals Inc社から入手可能な厚さ25μm、面積およそ5cm×9cmの精錬された冷間圧延430ステンレス鋼を、30分間550°Cの気中で熱処理することにより準備する。厚さおよそ5μmの「添加」ゾルゲルコーティングを実施例1の場合と同じようにステンレス鋼箔の片面に施す。この構造は、透明テープを付け、90°の角度で引くことによりテープを取り去ることから成るテープ粘着テストにより試験したところ、優れた粘着力を示した。サンプルに実施例1で説明したように熱サイクルを加えると、10サイクルにわたって離層の形跡が見られなかった。サンプルは炉から取りだして3秒以内に触れることができるまでに冷えた。これにより、サンプルの低い熱質量が、固体酸化物電解質をベースとした電気化学的電池の目標動作温度に素速く達することが可能になることが確認された。テープ粘着テストが熱サイクルテストの後に繰り返され、さらに「充填」ゾルゲルコーティングの優れた粘着力が観察された。SEM画像は、このコーティングがミクロンのサイズの相互連結した孔を有していることを示している。
【0084】
実施例3
厚さ25μm、およそ3cm×3cmの精錬された430ステンレス鋼の箔を、フォトリソグラフィを使用して、長さおよそ150μm、幅15μmの細長い穿孔によりおよそ200μmの間隔でパターン成形する。使用するエッチング剤は塩化第二鉄である。精錬された430ステンレス鋼の箔の穿孔されていない断片を、実施例1と同様に、厚さ5μmのイットリア安定化ジルコニアの「添加」ゾルゲルコーティングによりコーティングする。つぎに、イットリアジルコニアゾルを「充填」ゾルゲルコーティングの上に噴霧し、穿孔された箔を未乾燥ゾルコーティングに押しつけ保持する。つぎに、このサンドイッチ構造を加熱し、ゾルコーティングを結晶化させるとともに同時に積層構造をボンディングする。この実施例は、低温ゾルゲルに基づいたプロセスを用いて、金属箔及び/又は両方の電池電極の一部を支持基板として有する完成した電気化学的電池の構造を形成することの実現可能性を示している。
【0085】
実施例4
およそ5cm×3cmの面積を有する、実施例2と同様の精錬された430ステンレス鋼の断片を30分間550°Cの気中熱処理により用意する。厚さ5μmの「添加」ゾルゲルコーティングを、実施例1と同様に、ステンレス鋼箔の一方の面に施す。「添加」ゾルゲルコーティングの上には、カリフォルニア州ブエルトンのThin Film Technology,Inc.社によるDCマグネトロンスパッタリングにより、およそ7μmの厚さの320ステンレス鋼が溶着される。このサンプルには実施例1と同様に熱サイクルを加えられたが、5サイクルの後にも離層はまったく見られなかった。
【0086】
実施例5
実施例2と同様に、厚さ25μmの精錬された430ステンレス鋼の箔から成る第1の金属層を有する多層構造を用意する。実施例1と同様に、およそ6μmの厚さのイットリア安定化ジルコニアの多孔質「添加」ゾルゲルコーティングをステンレス鋼の箔の一方の面に施す。この層5の上には、イットリアを含んだジルコニアゾルの塗膜が塗布され、熱処理されることにより、「添加」ゾルゲルコーティングの上部およそ3μmの部分を含浸及びシールする。この層の上には、実施例1と同様に、さらにおよそ3μmの厚さの多孔質「添加」ゾルゲルコーティングが施される。0.5μmの金の層はDCスパッタリングにより塗布され、一番上の金属層が形成される。レジスト層は金の表面に塗布される。ステンレス箔はパターン成形され、フォトリソグラフィと塩化第二鉄のエッチング剤を使用して穿孔が形成される。パターン成形されたステンレス箔はレジストと金の層とにより保護され、標準的な金エッチ(ヨー素及びヨー化ナトリウム)を用いて穿孔を備えた状態でエッチングされる。このようにして、穿孔された金属層を有する、固体酸化物型燃料電池としての使用に適した構造が得られる。この積層構造のおよそ1.5cm×1.5cmの面積の断片は、実施例1と同様に、5つの熱サイクルの後にも、まったく離層が見られなかった。
【0087】
実施例6
実施例2に概説されているように、厚さ25μmの精錬された430ステンレス鋼の箔から成る第1の金属層を有する多層構造を用意する。実施例1と同様に、およそ3μmの厚さの多孔質「添加」ゾルゲルコーティングをステンレス鋼の箔の一方の面に施す。この層の上には、電子ビーム蒸着を使用して、厚さ5μmの稠密なイットリア安定化ジルコニアの層がさらに溶着される。1μmの金の層がアルバータ州エドモントンのMicralyne Inc.社のDCスパッタリングにより塗布され、一番上の金属層が形成される。レジスト層は金の表面に塗布される。ステンレス箔はパターン成形され、フォトリソグラフィと塩化第二鉄のエッチング剤を使用して穿孔が形成される。パターン成形されたステンレス箔はレジストと金の層とにより保護され、標準的な金エッチを用いて穿孔を備えた状態でエッチングされる。このようにして、固体酸化物型燃料電池としての使用に適した構造が得られる。
【0088】
実施例7
実施例2に概説されているように、厚さ25μmの430ステンレス鋼の箔から成る第1の金属層を有する多層構造を用意する。実施例1と同様に、およそ3μmの厚さの多孔質「添加」ゾルゲルコーティングをステンレス鋼の箔の一方の面に施す。この層の上には、電子ビーム蒸着を使用して、厚さ5μmの稠密なイットリア安定化ジルコニアの層がさらに溶着される。ステンレス箔はパターン成形され、フォトリソグラフィと塩化第二鉄のエッチング剤を使用して穿孔が形成される。白金ペーストの薄膜の層がスクリーン印刷により塗布され、一番上の金属層が形成される。このようにして、固体酸化物型燃料電池としての使用に適した構造が得られる。
【0089】
実施例8
実施例2に概説されているように、厚さ25μmの精錬された430ステンレス鋼の箔から成る第1の金属層を有する多層構造を用意する。およそ4μmの厚さの多相多孔質「添加」ゾルゲルコーティングが、実施例1の技法を用いてステンレス鋼箔の一方の面に施される。しかし、この実施例では、仕上がった「添加」ゾルゲルコーティングは、イットリア安定化ジルコニアゾルゲルコーティングの連続的基質に包まれたストロンチウムがドープされたランタンクロムとガンドリニアがドープされたセリアの粒子から構成されている。なお、これらの粒子は2μmの公称寸法を有しており、重量的にほぼ等しい比で含まれている。実施例1と同様に、およそ3μmの厚さの安定化ジルコニア多孔質「添加」ゾルゲルコーティングが、多相多孔質「添加」ゾルゲルコーティングの上側に塗布される。この層の上には、イットリアを含んだジルコニアゾルの複数の塗膜が塗布され、熱処理されることにより、安定化ジルコニア多孔質「添加」ゾルゲルコーティングを含浸及びシールする。この「シール」された安定化ジルコニア層の上には、第1のものに似た第2の多相多孔質「添加」ゾルゲルコーティングが施される。この構造は、「添加」ゾルゲル法をゾルゲル含浸と組み合わせて使用することにより、イオン電導性、電子電導性及び混合イオン電導性を有する複数の電解質相を含んだ多孔質電極と非多孔質中央電解質膜とを有する固体電解質型電気化学的電池を形成することの実現可能性を示している。
【0090】
本明細書において引用されたすべての刊行物は、本発明の属する分野の当業者のレベルを示すものである。すべての刊行物は、個々の刊行物がそれぞれ参考として特定的ならびに個別に取り込まれているのと同じ程度に参考として本明細書に取り込まれている。
【0091】
本明細書における用語及び表現は、本明細書において別に規定していない限りは、記述のための用語として使用されているのであって、限定のために使用されているのではない。このような用語及び表現を使用するに際して、図解及び説明された特徴と等価な特徴を排除する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1a】本発明の典型的な金属支持された固体電解質型電気化学的電池の断片の平面図を示す。
【図1b】図1aのラインA−Aに沿った断面図を示す。
【図2】典型的な金属支持された固体電解質型電気化学的電池の拡大された断面図を示す。
【図3a】複数の金属支持された固体電解質型電気化学的電池と金属製相互接続部材とを備えたマルチセルリアクタの平面図を示す。
【図3b】図3aのラインA−Aに沿った断面図を示す。
【図4a】図3aのラインb−bに沿った断面図を示す。
【図4b】図3bの円C内の詳細の拡大された断面図を示す。
【図5a】金属層内の代表的な穿孔パターンの平面図を示す。
【図5b】図5aの円A内の詳細の拡大された断面図を示す。
【図6a】金属支持された固体電解質型電気化学的電池の図式的なレイアウトを示す。
【図6b】図6aのラインA−Aに沿った断面図を示す。
【図6c】図6aのラインB−Bに沿った断面図を示す。
【図7a】ディンプルつき金属製相互接続部材の図式的レイアウトを示す。
【図7b】図7aのラインA−Aに沿った断面図を示す。
【図8】金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたリアクタアセンブリを形成する代表的な製造プロセスを要約したフローチャートを示す。
【図9】本発明の第2の実施形態の拡大された断面図を示す。
【図10】第2の実施形態の多孔質内側電解質層を有する金属支持された固体電解質型電気化学的電池を備えたリアクタアセンブリを形成する代表的な製造プロセスを要約したフローチャートを示す。
Claims (47)
- 金属支持されたフレキシブルな固体電解質型電気化学的電池において、
a)イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有する非多孔質の中央電解質膜と、
b)第1の非多孔質金属層と、
c)第2の非多孔質金属層と、
d)イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有する非多孔質の第1の外側電解質層と、
e)第1のイオン伝導性境界面と、
f)第1の電子伝導性境界面と、
g)イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有する非多孔質の第2の外側電解質層と、
h)第2のイオン伝導性境界面と、
i)第2の電子伝導性境界面とを有し、
ただし、前記非多孔質中央電解質膜は10μm未満の厚さであり、中央電解質膜の各面にそれぞれ1つずつ2つの主表面を定めており、
前記第1の非多孔質金属層は、中央電解質膜の一方の主表面に密着しており、該主表面を通って延びる第1の穿孔パターンを形成する複数の穿孔を有し、
前記第2の非多孔質金属層は、中央電解質膜の他方の主表面に密着しており、該主表面を通って延びる第2の穿孔パターンを形成する複数の穿孔を有し、
前記第1の外側電解質層は、
第1の金属層に密着しており、第1の穿孔パターンを通して中央電解質膜と密に連絡し、かつ、
該外側電解質層の全容積にわたってイオン伝導性を有し、また下にある第1の金属層から外側表面におけるいずれかの反応ガスまでの厚さにわたって電子伝導性を有し、
前記第1のイオン伝導性境界面は、第1の外側電解質層と中央電解質膜との間の接触面に形成されており、
前記第1の電子伝導性境界面は、第1の金属層と第1の外側電解質層との間の接触面に形成されており、
前記第2の外側電解質層は、
第2の金属層に密着しており、第2の穿孔パターンを通して中央電解質膜と密に連絡し、かつ,
該外側電解質層の全容積にわたってイオン伝導性を有し、また下にある第2の金属層から外側表面におけるいずれかの反応ガスまでの厚さにわたって電子伝導性を有し、
前記第2のイオン伝導性境界面は、第2の外側電解質層と中央電解質膜との間の接触面に形成されており、
前記第2の電子伝導性境界面は、第2の金属層と第2の外側電解質層との間の接触面に形成されている、ことを特徴とする金属支持されたフレキシブルな固体電解質型電気化学的電池。 - 前記第1及び第2の穿孔パターンは、中央電解質膜のいずれの面においても穿孔の位置が合わないように配置されている、請求項1記載の電気化学的電池。
- 前記第1及び第2の穿孔パターンは、複数のエリアにおいて、中央電解質膜のいずれかの面において穿孔の位置が合い、位置の合ったエリアにおいて中央電解質膜が露出するように、構成されている、請求項1記載の電気化学的電池。
- 前記第1及び第2の穿孔パターンのうちの一方又は両方は、第1及び第2の金属層の表面にわたってあるエリアから別のエリアへと穿孔の密度を変化させることにより、電気化学的な電流密度を変化させるように構成されている、請求項1から3のいずれか1項記載の電気化学的電池。
- さらに第1及び第2の金属製相互接続部材を有しており、該金属製相互接続部材は、それぞれ、第1及び第2の外側電解質層にガスを供給する気密ガス供給路を形成するため、ならびに第1及び第2の外側電解質層から排出ガスを除去する気密ガス排出路を形成するために、電気化学的電池から別の電気化学的電池に電気的接触を提供するよう第1及び第2の金属層に気密シールを用いて接続されている、請求項1記載の電気化学的電池。
- 気密シール、第1及び第2の金属製相互接続部材の間の電気的接触、ならびに第1及び第2の金属層はそれぞれメタラジカルボンドによって実現される、請求項5記載の電気化学的電池。
- 第1及び第2の金属製相互接続部材は、該部材の表面一面にわたり隆起した稜線又は窪んだディンプルの任意の組合せを有するように形成されており、前記部材の周囲に形成された肉厚部分はガス供給及びガス排出の路の開口部を提供する、請求項6記載の電気化学的電池。
- メタラジカルボンドは真空鑞付けと不活性雰囲気鑞付けのうちの一方又は両方により形成される、請求項7記載の電気化学的電池。
- 第1及び第2の金属層は、ニッケル、金、銀、白金、クロム、クロム鉄合金、フェライトステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、及びニッケルをベースとした超合金のうちの1つ又は複数から形成されており、
中央電解質膜と第1及び第2の外側電解質層のうちの1つ又は複数は、イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有し、完全に安定化したジルコニア、部分的に安定化したジルコニア、ドープされたセリア、ドープされた酸化ビスマス、及び酸化ペロフスカイトのうちの1つ又は複数から形成されており、
中央電解質膜と第1及び第2の外側電解質層のうちの1つ又は複数は、混合イオン伝導性と電子伝導性を有し、酸化ペロフスカイト、白金、パラジウム及び銀、ならびに銀の酸化物のうちの1つ又は複数から形成されている、請求項1記載の電気化学的電池。 - 第1及び第2の金属層は、フェライトステンレス鋼、及びニッケルをベースとした超合金のうちの1つ又は複数から形成されており、
中央電解質膜と第1及び第2の外側電解質層のうちの1つ又は複数は、イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有し、完全に安定化したジルコニア、部分的に安定化したジルコニア、及びドープされたセリアのうちの1つ又は複数から形成されており、
中央電解質膜と第1及び第2の外側電解質層のうちの1つ又は複数は、混合イオン伝導性と電子伝導性とを有し、酸化ペロフスカイトのうちの1つ又は複数から形成されている、請求項1記載の電気化学的電池。 - 第1及び第2の金属層のうちの一方又は両方は精錬された金属又は合金の箔から形成されている、請求項1、7又は8のいずれか1項記載の電気化学的電池。
- 金属支持されたフレキシブルな固体電解質型電気化学的電池において、
a)イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有する非多孔質の中央電解質膜と、
b)第1の多孔質内側電解質層と、
c)第1の非多孔質金属層と、
d)第1のイオン伝導性内側境界面と、
e)第1の電子伝導性内側境界面と、
f)第2の多孔質内側電解質層と、
g)第2の非多孔質金属層と、
h)第2のイオン伝導性内側境界面と、
i)第2の電子伝導性内側境界面とを有し、
ただし、前記非多孔質の中央電解質膜は10μm未満の厚さであり、中央電解質膜の各面にそれぞれ1つずつ2つの主表面を定めており、
前記第1の多孔質内側電解質層は10μm未満の厚さであり、イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有し、中央電解質膜の一方の主表面に密着しており、
前記第1の非多孔質金属層は、第1の内側電解質層の外側表面に密着しており、該外側表面を通って延びる第1の穿孔パターンを形成する複数の穿孔を有し、
前記第1のイオン伝導性内側境界面は、中央電解質膜と第1の内側電解質層との間の接触面に形成されており、
前記第1の電子伝導性内側境界面は、第1の内側電解質層と第1の金属層との間の接触面に形成されており、
前記第2の多孔質内側電解質層は10μm未満の厚さであり、イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有し、中央電解質膜の他方の主表面に密着しており、
前記第2の非多孔質金属層は、第2の内側電解質層の外側表面に密着しており、該外側表面を通って延びる第2の穿孔パターンを形成する複数の穿孔を有し、
前記第2のイオン伝導性内側境界面は、中央電解質膜と第2の内側電解質層との間の接触面に形成されており、
前記第2の電子伝導性内側境界面は、第2の内側電解質層と第2の金属層との間の接触面に形成されている、ことを特徴とする金属支持されたフレキシブルな固体電解質型電気化学的電池。 - 前記第1及び第2の穿孔パターンは、中央電解質膜のいずれの面においても穿孔の位置が合わないように配置されている、請求項12記載の電気化学的電池。
- 前記第1及び第2の穿孔パターンのうちの一方又は両方は、第1及び第2の金属層の表面にわたってあるエリアから別のエリアへと穿孔の密度を変化させることにより、電気化学的な電流密度を変化させるように構成されている、請求項12又は13記載の電気化学的電池。
- さらに第1及び第2の金属製相互接続部材を有しており、該金属製相互接続部材は、第1及び第2の金属層の外側表面にガスを供給する気密ガス供給路を形成するため、ならびに第1及び第2の金属層から排出ガスを除去する気密ガス排出路を形成するために、それぞれ、電気化学的電池から別の電気化学的電池に電気的接触を提供するよう第1及び第2の金属層に気密シールを用いて接続されている、請求項12記載の電気化学的電池。
- 気密シール、第1及び第2の金属製相互接続部材の間の電気的接触、ならびに第1及び第2の金属層はそれぞれメタラジカルボンドによって実現される、請求項15記載の電気化学的電池。
- 第1及び第2の金属製相互接続部材は、該部材の表面一面にわたり隆起した稜線又は窪んだディンプルの任意の組合せを有するように形成されており、前記部材の周囲に形成された肉厚部分はガス供給及びガス排出の路の開口部を提供する、請求項16記載の電気化学的電池。
- メタラジカルボンドは真空鑞付けと不活性雰囲気鑞付けのうちの一方又は両方により形成される、請求項17記載の電気化学的電池。
- 第1の電子伝導性内側境界面と第2の電子伝導性内側境界面のうちの一方又は両方は、第1及び第2の金属層のうちの一方又は両方の内側表面の金属コーティングにより改善されており、前記金属コーティングは電子伝導性及び境界面の安定性のうちの一方又は両方を高める酸化金属配合物に変換されうる性質を有している、請求項12記載の電気化学的電池。
- 第1及び第2の金属層は、ニッケル、金、銀、白金、クロム、クロム鉄合金、フェライトステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、及びニッケルをベースとした超合金のうちの1つ又は複数から形成されており、
中央電解質膜と第1及び第2の内側電解質層のうちの1つ又は複数は、イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有し、完全に安定化したジルコニア、部分的に安定化したジルコニア、ドープされたセリア、ドープされた酸化ビスマス、酸化ペロフスカイト、及び酸化パイロクロールのうちの1つ又は複数から形成されており、
中央電解質膜と第1及び第2の内側電解質層のうちの1つ又は複数は、混合イオン伝導性と電子伝導性とを有し、酸化ペロフスカイト、白金、パラジウム及び銀、ならびに銀の酸化物のうちの1つ又は複数から形成されている、請求項12記載の電気化学的電池。 - 第1及び第2の金属層は、フェライトステンレス鋼、及びニッケルをベースとした超合金のうちの1つ又は複数から形成されており、
中央電解質膜と第1及び第2の内側電解質層のうちの1つ又は複数は、イオン伝導性もしくは混合イオン伝導性と、電子伝導性とを有し、完全に安定化したジルコニア、部分的に安定化したジルコニア、及びドープされたセリアのうちの1つ又は複数から形成されており、
中央電解質膜と第1及び第2の内側電解質層のうちの1つ又は複数は、混合イオン伝導性と電子伝導性とを有し、酸化ペロフスカイトから形成されている、請求項1記載の電気化学的電池。 - 第1及び第2の金属層のうちの一方又は両方は金属又合金の箔から形成されている、請求項12,20又は21記載の電気化学的電池。
- 第1及び第2の内側電解質層はコーティングの形態をとっており、該コーティングは、イオン伝導性、混合イオン伝導性及び電子伝導性を有する物質の粒子、又は電子伝導性を有する物質の粒子を含んでおり、該粒子は、イオン伝導性、又は、混合イオン伝導性と電子伝導性とを有する酸化物セラミック物質のゾルゲルに包まれ、ボンディングされている、請求項12記載の電気化学的電池。
- 中央電解質膜はコーティングの形態をとっており、該コーティングは、イオン伝導性、混合イオン伝導性及び電子伝導性、又は電子伝導性を有する物質の粒子を含んでおり、該粒子は、イオン伝導性、又は、混合イオン伝導性と電子伝導性を有する酸化物セラミック物質のゾル−ゲルに包まれ、ボンディングされており、さらに相互連結した穿孔を密封するために1つ又は複数のゾルゲルを含浸させてある、請求項12記載の電気化学的電池。
- 1つ又は複数の金属酸化物セラミックから形成され、第1の金属層の外側表面に密着した第1の外側電解質層、及び
1つ又は複数の金属酸化物セラミックから形成され、第2の金属層の外側表面に密着した第2の外側電解質層のうちの一方又は両方をさらに有する、請求項12記載の電気化学的電池。 - 第1及び第2の外側電解質層のうちの一方又は両方は、炭化水素改質触媒又は、元素周期表のII族、V族、VI族、VII族、VIII族、IX族、X族、XI族、XV族及びFブロックのランタニドから選択された選択的酸化触媒を含む、請求項25記載の電気化学的電池。
- 第1の金属層は精錬されたフェライトステンレス鋼の箔から形成されており、
中央電解質膜は安定化ジルコニアで形成されており、
第2の金属層はフェライトステンレス鋼からできたコーティングとして形成されており、
第1及び第2の内側電解質層は、混合イオン伝導性と電子伝導性とを有し、安定化ジルコニア、ドープされたセリア、及びランタン・ストロンチウム・クロマイトのうちの1つ又は複数で形成されている、
固体酸化物型燃料電池として使用される請求項23又は24記載の電気化学的電池。 - 第1の金属層及び第2の金属層は精錬されたフェライトステンレス鋼の箔から形成されており、
中央電解質膜は安定化ジルコニアで形成されており、
第1及び第2の内側電解質層は、混合イオン伝導性と電子伝導性とを有し、安定化ジルコニア、ドープされたセリア、及びランタンス・トロンチウム・クロマイトのうちの1つ又は複数で形成されている、
固体酸化物型燃料電池として使用される請求項23又は24記載の電気化学的電池。 - 複数の金属支持された固体電解質型電気化学的電池から形成された、メタラジカルボンディングされたマルチセル固体電解質電気化学的リアクタアセンブリであって、前記複数の固体電解質型電気化学的電池の各々が、正極と負極の電極を有し、電気的に直列に接続されている形式のマルチセル固体電解質電気化学的リアクタアセンブリにおいて、
a)請求項1,12,22,23又は27のいずれか1項に記載された複数の金属支持されたフレキシブルな固体電解質型電気化学的電池と、
b)金属製相互接続部材と、
c)前記電気化学的電池の周囲に配置された開口部と、
d)一番上の金属製相互接続部材にメタラジカルボンディングされたトップエンドアセンブリと、
e)一番下の金属製相互接続部材にメタラジカルボンディングされたボトムエンドアセンブリと、
f)リアクタアセンブリ及び該リアクタアセンブリの構造用支持材ならびにガス供給及び排出のための任意の外部パイプと、
g)2つの外部電気端子とを有しており、
第1の金属層及び第2の金属層の各々は、第1の金属層が前記電池の正極の一部を形成している場合には、第2の金属層が前記電池の負極の一部を形成し、逆の場合には逆のことが成り立つように、個々に前記電池の正極又は負極のいずれかの構成部分として、及び前記電池の正極又は負極のいずれかのための集電器又は配電器として機能し、
前記金属製相互接続部材の間には、前記電気化学的電池が挟み込まれており、前記金属製相互接続部材の各々は、該部材の表面一面にわたり隆起した稜線又は窪んだディンプルの任意の組合せを有するように形成されており、前記部材の周囲に形成された肉厚部分は前記部材の周囲に形成された管路を有しており、隣接する電気化学的電池の第1又は第2の金属層にメタラジカルボンディングされると、気密シールと電気的接触が隣接電池の第1又は第2の金属層と金属製相互接続部材との間に形成され、隣接電池の外側表面を渡るガス流路ならびに隣接電池間の電気的な相互接続が提供され、
前記開口部は、電池と相互結合部材がメタラジカルボンディングされたとき、該開口部の位置が合い、電池及び金属製相互接続部材の平面を横断するガス供給及び排出のための多岐管が形成され、ガス流が電池の外側表面にあるいずれかのガス流路と連通するように、金属製相互接続部材内の対応する開口部と位置合わせされており、
前記トップエンドアセンブリは、ガス供給及び排出のための多岐管とリアクタアセンブリの外部にあるガス供給及び排出のためのいずれかのパイプとの間でガス流を連通させ、
前記ボトムエンドアセンブリは、ガス供給及び排出のための多岐管を密封し、ガス流を一番下の電気化学的電池へ及び該電池から導き、
前記リアクタアセンブリと該アセンブリの構造用支持材は電気的に絶縁されており、前記リアクタアセンブリと前記ガス供給及び排出のための任意の外部パイプは電気的に絶縁されており、
前記2つの外部電気端子の一方はトップエンドアセンブリに接続されており、他方の端子はボトムエンドアセンブリに接続されている、ことを特徴とするマルチセル固体電解質電気化学的リアクタアセンブリ。 - セル及び金属製相互接続部材の平面射影の形状は長方形であり、ガス供給及び排出のための多岐管は前記長方形の両方の長辺にそって配置されている、請求項29記載のリアクタアセンブリ。
- メタラジカルボンドは真空鑞付け及び不活性雰囲気鑞付けのうちの一方又は両方により形成される、請求項29記載のリアクタアセンブリ。
- 前記金属支持された電気化学的電池は請求項1に記載されているものである、請求項31記載のリアクタアセンブリ。
- 前記金属支持された電気化学的電池は請求項12に記載されているものである、請求項31記載のリアクタアセンブリ。
- 前記金属支持された電気化学的電池は請求項22に記載されているものである、請求項31記載のリアクタアセンブリ。
- 前記金属支持された電気化学的電池は請求項23に記載されているものである、請求項31記載のリアクタアセンブリ。
- 前記金属支持された電気化学的電池は請求項27に記載されているものである、請求項31記載のリアクタアセンブリ。
- 金属支持されたフレキシブルな固体電解質型電気化学的電池を形成する方法において、
a)精錬された金属又は合金の箔を用いて、支持基板として機能する第1の金属層を形成し、
b)イオン伝導性、又は混合イオン伝導性と電子伝導性とを有する厚さ10μm未満の非多孔質の電解質コーティングを第1の金属層の一方の表面に施すことにより、中央電解質膜を形成し、
c)非多孔質金属コーティングを中央電解質膜の上面に施して第2の金属層を形成し、
d)第1の金属層に第1の穿孔パターンを形成し、
e)第2の金属層に第2の穿孔パターンを形成し、
f)混合イオン及び電子伝導性を有する厚さ4μm未満の第1の非多孔質電解質コーティングを第1の金属層の外側表面一面に施して、第1の外側電解質層を設け、
g)混合イオン及び電子伝導性を有する厚さ4μm未満の第2の非多孔質電解質コーティングを第1の金属層の外側表面一面に施して、第2の外側電解質層を設ける、ことを特徴とする金属支持されたフレキシブルな固体電解質型電気化学的電池を形成するための方法。 - 光化学加工処理を使用したエッチングにより第1及び第2の金属層の各々に穿孔を形成する、請求項37記載の方法。
- 第2の金属層をDCスパッタリング、電子ビーム蒸着、及び電気メッキのうちの1つ又は複数により形成し、
中央電解質膜と第1及び第2の外側電解質層を、反応DCスパッタリング、ACスパッタリング、電子ビーム蒸着、分極電気化学蒸着、多層ゾルゲルコーティング、さらにゾルゲルコーティングで含浸した粒子入りコーティングのうちの1つ又は複数により設ける、請求項37又は38記載の方法。 - 金属支持されたフレキシブルな固体電解質型電気化学的電池を形成する方法において、
a)精錬された金属又は合金の箔を用いて、支持基板として機能する第1の金属層を形成し、
b)イオン伝導性、又は、混合イオン伝導性と電子伝導性とを有する厚さ10μm未満の多孔質の電解質コーティングを第1の金属層の1つの表面に施すことにより、第1の多孔質内側電解質層を形成し、
c)イオン伝導性、又は、混合イオン伝導性と電子伝導性とを有する厚さ10μm未満の非多孔質の電解質コーティングを第1の内側電解質層の表面に施すことにより、中央電解質膜を形成し、
d)イオン伝導性、又は、混合イオン伝導性と電子伝導性とを有する厚さ10μm未満の多孔質の電解質コーティングを中央電解質膜の表面に施すことにより、第2の非多孔質内側電解質層を形成し、
e)非多孔質の金属コーティングを第2の内側電解質層の上面に施して第2の金属層を形成し、
f)第1の金属層に第1の穿孔パターンを形成し、
g)第2の金属層に第2の穿孔パターンを形成する、
ことを特徴とする金属支持されたフレキシブルな固体電解質型電気化学的電池を形成する方法。 - 光化学加工処理を使用したエッチングにより第1及び第2の金属層の各々に穿孔を形成する、請求項40記載の方法。
- a)厚さ4μm未満のセラミック電解質コーティングを第1の金属層の外側表面に施して第1の外側電解質層を設けるステップ、及び
b)厚さ4μm未満のセラミック電解質コーティングを第2の金属層の外側表面に施して第2の外側電解質層を設けるステップ
の一方又は両方をさらに含む、請求項40記載の方法。 - 第2の金属層をDCスパッタリング、電子ビーム蒸着、及び電気メッキのうちの1つ又は複数により形成し、
単層又は多層複合コーティングを施すことにより第1及び第2の内側電解質層を設け、ただし、前記コーティングは、イオン伝導性、混合イオン及び電子伝導性を有する物質の粒子、又は電子伝導性を有する物質の粒子を含んでおり、該粒子は、イオン伝導性、又は、混合イオン伝導性と電子伝導性とを有する酸化物セラミック物質のゾルゲルに包まれ、ボンディングされており、
中央電解質膜と第1及び第2の外側電解質層を、反応DCスパッタリング、ACスパッタリング、電子ビーム蒸着、分極電気化学蒸着、多層ゾルゲルコーティング、及びゾルゲルコーティングで含浸した粒子入りコーティングのうちの1つ又は複数により設ける、請求項40記載の方法。 - 金属支持されたフレキシブルな固体電解質型電気化学的電池を形成する方法において、
a)第1の精錬された金属又は合金の箔を用いて、支持基板として機能する第1の金属層を形成し、
b)第2の精錬された金属又は合金の箔の基板を用いて第2の金属層を形成し、
c)第2の金属層に第2の穿孔パターンを形成し、
d)厚さ10μm未満の単層又は多層の多孔質複合電解質コーティングを第1の金属層の一方の表面に施して第1の多孔質内側電解質層を形成し、ただし、前記コーティングは、イオン伝導性、混合イオン及び電子伝導性を有する物質の粒子、又は電子伝導性を有する物質の粒子を含んでおり、該粒子は、イオン伝導性、又は、混合イオン伝導性と電子伝導性を有する酸化物セラミック物質のゾルゲルに包まれ、ボンディングされており、
e)イオン伝導性、又は混合イオン伝導性と電子伝導性とを有する厚さ10μm未満の非多孔質電解質コーティングを第1の内側電解質層の表面に施して中央電解質膜を形成し、
f)厚さ10μm未満の多孔質電解質コーティングを中央電解質膜の表面と第2の金属層の一方の表面とに施し、前記多孔質電解質コーティングをボンディングして、第2の多孔質内側電解質層の形成と該多孔質内側電解質層への第2の金属層の積層を同時に行い、
g)第1の金属層に第1の穿孔パターンを形成する、
ことを特徴とする金属支持されたフレキシブルな固体電解質型電気化学的電池を形成する方法。 - 光化学加工処理を使用したエッチングにより第1及び第2の金属層の各々に穿孔を形成し、その際、第1の穿孔パターンを形成するときには、第2の金属層をエッチング液から保護する、請求項44記載の方法。
- a)厚さ4μm未満のセラミック電解質コーティングを第1の金属層の外側表面に施して、第1の外側電解質層を設け、
b)4μm未満のセラミック電解質コーティングを第2の金属層の外側表面に施して、第2の外側電解質層を設ける、請求項44記載の方法。 - 中央電解質膜を、反応DCスパッタリング、ACスパッタリング、電子ビーム蒸着、分極電気化学蒸着、多層ゾルゲルコーティング、及びゾルゲルコーティングで含浸した粒子入りコーティングのうちの1つ又は複数により設ける、請求項44記載の方法。
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