JP5674403B2 - 耐指紋性向上剤、これを用いた活性エネルギー線硬化型ハードコート剤、これらを用いて得られる硬化膜および硬化膜を有する物品 - Google Patents

耐指紋性向上剤、これを用いた活性エネルギー線硬化型ハードコート剤、これらを用いて得られる硬化膜および硬化膜を有する物品 Download PDF

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Description

本発明は、ハードコート剤などのコーティング剤に配合することにより、形成される硬化膜に付着した指紋などの皮脂汚を目立ち難く、拭取りを容易にできる効果を与えることができる耐指紋性向上剤、耐指紋性を有する硬化膜を得ることができる活性エネルギー線硬化型樹脂、これらを用いたハードコート剤、ハードコート剤を用いて得られた硬化膜および硬化膜を有する物品に関する。
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、各種物品の表面に塗工し、紫外線等の活性エネルギー線の照射により容易に硬化し、高硬度で耐擦傷性、透明性などに優れた硬化被膜(ハードコート被膜)を形成させることができることから、プラスチック材料等の表面を保護するハードコート剤等として広く用いられている。
しかし、近年、携帯電話やタッチパネルを用いた電子機器の普及により、ハードコート剤の適用分野が広がり、コーティング材料として従来の傷付き難さを付与するハードコート性に加えて、皮脂等の油汚れから保護する機能も求められている。また、指で操作する表示部材に用いられる場合には、指紋の付着汚れが目立たずに拭取りが容易であることが求められている。
かかる課題に対しては、例えば、ハードコート剤にフッ素系界面活性剤を配合し、得られる硬化膜を撥水化する技術(特許文献1)、ポリフルオロアルキル基を有する重合性モノマーと光硬化性官能基を有する重合性モノマーとの共重合体とするなど光硬化性官能基を有するフッ素系重合体を硬化成分として用いる技術(特許文献2)などフッ素に由来する高い撥水撥油性を利用して、ハードコート剤に指紋汚れ防止性を付与する技術が提案されている。しかし、得られる硬化膜は脂成分である指紋汚れを弾き、一定の汚れ付着低減効果はあるものの、完全に付着が防止できるものではなく、表面に弾かれたまま残存した指紋は光による乱反射を受けて、かえって外観上汚れが目立ちやすくなり、実用上満足できるものではない。
これに対して、基材表面とシロキサン結合を介して脂肪酸エステル基の被膜を形成させたり(特許文献3)、シリコンやフッ素を含まない撥水基を有する(メタ)アクリレートを共重合成分として含む(メタ)アクリル系共重合体、又は、これと無機酸化物微粒子との複合体を用いた水接触角が80度以上でオレイン酸などに対する接触角が10度以下の耐汚染剤を用いたりして(特許文献4)、指紋と馴染みやすくし外観上の汚れを目立たなくする技術も提案されている。しかし、得られる被膜はハードコート性を有しないものであり、また、付着した指紋汚れは堆積しやすく、その拭取りが困難になるという問題がある。
また、指紋が目立ちにくく、拭き取り性も良いフッ素系ポリマーを開発されているが(特許文献5,6)、添加量が10〜20質量部と多く、コスト的に実用上満足できるものではない。
アダマンタンは、シクロヘキサン環が4個、カゴ形に縮合した構造を有し、対称性が高く、安定な化合物であり、その誘導体は、特異な機能を示すことから、医薬品原料や高機能性工業材料の原料などとして有用であることが知られている。アダマンタンは、例えば、光学特性や耐熱性などを有することから、光ディスク基板、光ファイバーあるいはレンズなどに用いることが試みられている(例えば、特許文献7,8,9,10参照)。また、アダマンタンエステル類を、その酸感応性、ドライエッチング耐性、紫外線透過性などを利用して、フォトレジスト用樹脂原料として、使用することが試みられている(例えば、特許文献11参照)。しかしながら、防汚性添加剤としての利用例はない。
特開平10−110118号公報 特開2002−241446号公報 特開2001−353808号公報 特開2004−359834号公報 特開2010− 24283号公報 特開2010− 84033号公報 特開平6−305044号公報 特開平9−302077号公報 WO2007−020901 WO2007−125829 特開平4−39665号公報
本発明は、ハードコート剤など物品表面に被膜を形成させるコーティング剤などに配合することにより、付着した指紋が外観上目立ちにくく(指紋汚れ目立ち防止性が良好)、しかも拭取りも容易(指紋拭取り性が良好)となる特性(耐指紋性)を付与することができる耐指紋性向上剤を提供すること、および耐指紋性が良好なハードコート膜が得られる活性エネルギー線硬化性ハードコート剤を提供することを目的とする。
本発明者は、これらの問題点を解決すべく鋭意検討した結果、含フッ素アダマンタン誘導体、および硬化性樹脂成分と化学的に結合できる反応性官能基(水酸基、末端炭素−炭素二重結合等)を導入することにより塗膜表面への撥水撥油性の持続的な付与が可能となるモノマーを提供することで、塗工材料に容易に溶解でき、かつ、塗工材料を塗布した際の表面平滑性および耐指紋性(指紋の目立ち難さ・拭き取り性)の持続的な付与が可能となることを見出した。これらの知見から、硬化したときに持続性に優れた耐指紋性とレベリング効果を合わせ持ち、膜強度にも影響しないモノマーおよび樹脂組成物を開発するに至った。即ち本発明は、下記項1〜6の耐指紋性向上剤およびそ耐指紋性向上剤を有効成分として含む樹脂組成物に関する。
項1. 下記一般式(I)で表される重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体を含む耐指紋性向上剤。

[式中、Z1は、下記一般式(II)又は(III)

(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示す。n又はmは0以上の整数である。)で表される基を示す。X1は、下記一般式(IV)、下記式(V)又は下記一般式(VI)

(式中、R5は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示し、R6は炭素数1〜5の炭化水素基を示す。)
で表される重合性基を示す。Yは、水素原子、炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン置換炭化水素基、環式炭化水素基、ハロゲン置換環式炭化水素基、水酸基、カルボキシル基、及び同一の炭素原子に結合した2つのYが炭素原子と一緒になって形成されたC=Oから選ばれる基を示す。s及びtは、それぞれ1〜15の整数、uは0〜14の整数であり、かつs+t+u=16である。]
項2. 項1に記載の耐指紋性向上剤、多官能性(メタ)アクリロイル化合物を含有する活性エネルギー線硬化型ハードコート剤。
項3. 項1に記載の耐指紋性向上剤の添加量が有効成分でハードコート液全量に対して0.1〜10質量部であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型ハードコート剤。
項4. 項3記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート剤を硬化して得られる硬化膜。
項5. 項4に記載の硬化膜のヘキサデカンの接触角が10度以下であることを特徴とする硬化膜。
項6. 項4に記載の硬化膜が表面に形成された物品。
項7. 項2又は3のハードコート剤を基材に塗布し、硬化してハードコート層を形成することを特徴とする、基材表面の指紋汚れを目立たなくする方法。
本発明の耐指紋性向上剤は、撥水撥油性を示すパーフルオロ基と、親油性を示すアダマンタン骨格を持ち合わせたモノマーを構成成分とするため、樹脂、フィルム、繊維、ガラス、金属等の表面改質剤として有用であり、各種コーティング剤に配合することにより、得られるコーティング膜に平滑性、指紋の汚れ目立ち防止性および指紋拭取り性を付与することができる。本発明の含フッ素アダマンタン誘導体は、分子内に反応性基を有することもでき、基材表面(樹脂、フィルム等の表面)成分への化学結合を用いた密着性強化による表面改質効果の高い持続性が期待できる。また、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、高硬度で、優れた耐擦傷性などのハードコート性が良好なことに加え、良好な指紋汚れ目立ち防止性および指紋拭取り性を併せ持つ硬化膜(ハードコート膜)と形成させることができる。
以下、本発明の耐指紋性向上剤及び活性エネルギー線硬化型ハードコート剤等について詳述する。
本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
耐指紋性向上剤
本発明の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体は、下記一般式(I)で表される。

式中、Z1は、下記一般式(II)又は(III)で表される基を示す。

式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20、好ましくは1〜15の脂肪族炭化水素基を示す。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族炭化水素基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メチルチオ基、エチルチオ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基及びジエチルアミノ基などが挙げられる。n及びmは0以上の整数である。
上記一般式(I)において、Yは、水素原子、炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン置換炭化水素基、環式炭化水素基、ハロゲン置換環式炭化水素基、水酸基、カルボキシル基、及び同一の炭素原子に結合した2つのYが炭素原子と一緒になって形成されたC=Oから選ばれる基を示す。
Yで示される炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基などが挙げられる。アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基などが挙げられる。ハロゲン置換炭化水素基としては、上記炭化水素基の水素原子が1個以上ハロゲン原子で置換された基、例えばトリフルオロメチル基などが挙げられる。
本明細書において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
本明細書において、ヘテロ原子を含まない炭素数1〜20、好ましくは1〜15の脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アイコシルなどの炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐を有するアルキル基が挙げられ、ヘテロ原子を含む炭素数1〜20、好ましくは1〜15の脂肪族炭化水素基としては、
−O-(炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐を有するアルキル基)、
−S-(炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐を有するアルキル基)、
−CO-(炭素数1〜19、好ましくは炭素数1〜14の直鎖もしくは分岐を有するアルキル基)、
−NH-(炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐を有するアルキル基)、
−N(炭素数1〜19、好ましくは炭素数1〜7の直鎖もしくは分岐を有するアルキル基)
などが挙げられる。
ヘテロ原子を含む炭素数1〜20、好ましくは1〜15の脂肪族炭化水素基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メチルチオ基、エチルチオ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基及びジエチルアミノ基などが挙げられる。
nは0以上の整数、例えば0〜20の整数、好ましくは0〜10の整数、より好ましくは0,1,2,3,4又は5である。
mは0以上の整数、例えば0〜20の整数、好ましくは0〜10の整数、より好ましくは0,1,2,3,4又は5、特に0又は1である。
で表される炭素数1〜5の炭化水素基としては、、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチルなどの炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐を有するアルキル基が挙げられる。
Yで示される環式炭化水素基としては、例えば炭素数5〜10のシクロアルキル基、具体的にはシクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基及びエチルシクロヘキシル基などが挙げられる。また、ハロゲン置換環式炭化水素基としては、上記環式炭化水素基の水素原子が1個以上ハロゲン原子で置換された基、例えばフルオロシクロペンチル基、フルオロシクロヘキシル基、トリフルオロメチルシクロペンチル基及びトリフルオロメチルシクロヘキシル基などが挙げられる。sは1〜15、好ましくは1〜12の整数、tは1〜15、好ましくは4〜15の整数、uは0〜14、好ましくは0〜4の整数であり、かつs+t+u=16である。
1は、下記一般式(IV)、下記式(V)又は下記一般式(VI)で表される重合性基を示す。

上記一般式(IV)において、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。上記一般式(VI)において、Rは炭素数1〜5の炭化水素基を示す。この炭素数1〜5の炭化水素基としては、アルキル基及びアルコキシ基などが挙げられる。アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基などが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基などが挙げられる。
なお、一般式(I)の「F」は、フッ素原子を表す。
使用方法
前記重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体は、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノエーテル類、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのアルキレングリコールジエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の有機溶媒の溶液として、または、塗料などの塗工液(樹脂組成物)に添加した溶液として使用することができる。
前記重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体は、一種単独で使用しても良いし、二種以上を混合して使用しても良い。また、該溶液に使用する前記溶媒も、一種単独で使用しても良いし、二種以上を混合して使用しても良い。
本発明の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体を含む前記溶液を、例えば、樹脂、フィルム、繊維、ガラス、金属等の基材(即ち物品)表面に塗布、コーティング、スプレー等により付着させることにより、基材表面の特性を改質することができる。すなわち、該溶液中の溶媒が蒸発することにより、基材表面に本発明の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体を含む膜が形成される。該膜は、重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体を重合(硬化)させることにより耐指紋性、レベリング性等を有する。溶媒の乾燥(蒸発)条件は、溶液中の溶媒の種類、量等によって変化するが、通常、室温〜200℃で、10秒間〜10分間程度乾燥させればよい。
本発明の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体は、分子内にXの重合性基、例えば反応性アクリレート基またはメタクリレート基を有することから、基材表面への化学結合を用いた密着性強化による表面改質効果の高い持続性が期待できる。すなわち、本発明の共重合体中の反応基であるアクリル基又はメタクリル基は、通常は光によって、基材表面及び/又は含重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体自身と反応する。該光反応はその条件によって異なるため限定はできないが、通常、250nm〜400nm程度の波長の光を100〜500mJ/cm照射することにより達成できる。該光反応は、上記乾燥処理を行った後に行えばよい。該光反応は、場合によっては太陽光も使用することができる。これにより、重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体の膜が基材表面上に密着し、耐指紋性、レベリング性等の高い持続性が達成される。本発明の共重合体中のXの重合性基に含まれる反応基であるシクロプロピル基(V)、シクロブチル基(VI)は、光又は熱により基材表面及び/又は含重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体自身と反応する。
また、該共重合体分子内の反応性基の量、反応条件等を制御することにより、表面改質剤としての膜強度の向上や目的に応じた強度設計を行うことができる。
該溶液中の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体の溶液の濃度は、特に限定されないが、例えば0.1〜90.0質量%程度とすればよい。該溶液中の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体の溶液の濃度が低すぎると、表面上に存在する重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体の量が少なくなり、塗布あるいはスプレーした改質表面が薄くなったり、反応性低下の要因になる。また、改質表面の強度が十分に得られない等の問題も生じ得る。一方、該濃度が高すぎる場合には、塗布むらなどが出る場合がある。該溶液中の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体の溶液の濃度は、溶媒の種類、ポリマーの分子量等による溶解度にも影響される。
重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体を有効成分として含む樹脂組成物
本発明に含まれる硬化性樹脂組成物は、基材に塗布するための塗液として調製される。硬化性樹脂組成物(塗液)には、主に耐指紋性を発揮する成分として重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体、主に樹脂膜として機能するエネルギー線硬化性樹脂モノマー又は樹脂オリゴマー、その他、重合開始剤、溶剤等が配合される。ただし、無溶剤系塗液とする場合には溶剤は配合せず、放射線硬化の場合は重合開始剤を必要としない。また、塗液には必要に応じてその他の成分を加えてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物全体量中(溶剤成分を使用する場合は、溶剤成分の量を除く)の前記重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体の含有量は、通常0.0006〜17質量%程度、好ましくは0.007〜13質量%程度、より好ましくは、0.07〜10質量%程度である。
本発明の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体は、後述のエネルギー線硬化性樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーと重合して得られる硬化膜において、耐指紋性向上剤としての機能を発揮する。
エネルギー線硬化性樹脂モノマー又は樹脂オリゴマー成分
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体に加えて、これと反応して樹脂硬化膜となるエネルギー線硬化性樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマー(以下、樹脂モノマー、樹脂オリゴマーということがある)を含む。
このような樹脂モノマー及び樹脂オリゴマーは、重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体と反応して硬化膜を形成するものであれば、特に限定されず、通常ハードコート膜や反射防止コート膜に用いられるエネルギー線硬化性の樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーを任意に使用することができる。
当該樹脂モノマー及び樹脂オリゴマーとしては、例えば、各種アクリレートやアクリルウレタン等のアクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の反応性化合物が挙げられ、好ましくはアクリル系樹脂が用いられる。特に、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化して膜形態で用いられるため、2官能以上の反応性官能基を有する樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーを用いることが好ましい。
2官能以上の反応性官能基を有する樹脂モノマー、樹脂オリゴマーとしては、例えば、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ビスフェノールF EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチールプロパンPO変性トリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、各種ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業株式会社製 紫光シリーズ、根上工業株式会社製 アートレジンシリーズ等)等が挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。該樹脂モノマー、樹脂オリゴマーは1種類でも使用できるが、2種以上を任意の割合で配合して使用してもよい。
樹脂モノマー、樹脂オリゴマーを硬化させるエネルギー線としては、放射線、電子線、紫外線、可視光線等が挙げられる。放射線、電子線による硬化では電磁波のエネルギーが高いため、重合性二重結合のみで重合が可能である。紫外線、可視光線をエネルギー源とする場合には、後述の重合開始剤成分を配合することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物全体量中(溶剤成分を使用する場合は、溶剤成分の量を除く)の当該樹脂モノマー及び樹脂オリゴマーの含有量は、通常55〜99.9質量%程度、好ましくは60〜99.5質量%程度、より好ましくは、70〜99質量%程度である。
また、当該樹脂モノマー及び樹脂オリゴマーと重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体の使用割合は、樹脂モノマー及び樹脂オリゴマー100質量部に対して、前記重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体を通常0.001〜18質量部程度、好ましくは0.01〜15質量部程度、より好ましくは0.1〜10質量部程度使用すればよい。
重合開始剤成分
本発明の硬化性樹脂組成物には、前重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体、樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーに加えて、必要に応じて、重合開始剤成分を含んでいても良い。
重合開始剤成分は、従来公知のものが使用でき、例えば、光重合開始剤を使用することができる。
光重合開始剤としては、多種多様なものが知られており、適宜選択して使用すればよい。例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリフォリノフェニル)−ブタノン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ベンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,4,5,5−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、O−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、チオキサントン、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、アントラキノン、アントロン、ジベンゾスベロン、4,4−ビス(シ゛メチルアミノ)カルコン、P−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、2−(P−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、3,3−カルボニルービス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−フェニルー5−ベンゾイルチオ−テトラゾール等が挙げられる。
重合開始剤成分を使用する場合、1種類単独での使用も可能であるが、2種以上を任意に配合して使用してもよい。重合開始剤成分の添加量は、重合性樹脂成分(重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体、前記樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーの合計量)100質量部に対して、通常0.1〜50質量部程度、好ましくは0.5〜40質量部程度、より好ましくは1〜30質量部程度とすればよい。
溶剤成分
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤成分を含む必要はないが、必要に応じて溶剤成分を含んでいても良い。溶剤成分としては、従来公知の溶剤成分を使用すればよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル等、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノエーテル類、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのアルキレングリコールジエーテル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンが挙げられる。これらの溶剤成分は1種類でも使用できるが、2種以上を任意の割合で配合して使用してもよい。
溶剤成分を使用する場合、本発明の硬化性樹脂組成物中の溶剤成分の使用量は、重合性樹脂成分(前重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体、前記樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーの合計量)100質量部に対して、通常25〜5000質量部程度、好ましくは40〜2000質量部程度、より好ましくは60〜1000質量部程度とすればよい。
その他の成分
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化膜表面に形状を設けたり、その他の望む機能を付与するために、必要に応じて微粒子、フィラー等を配合してもよい。
硬化膜の作製方法
本発明においては、本発明の硬化性樹脂組成物を塗液とし、該塗液を基材に塗布した後、光照射等を行うことにより硬化膜とすることができる。
本発明の硬化膜を得るための手順としては、重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体、樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマー、さらに、必要に応じて、重合開始剤成分、溶剤成分、微粒子、フィラー等を適当な配合比で混合溶解させて、本発明の硬化性樹脂組成物を塗液として調製する。ついで、基材上に塗液を一定の膜厚となるよう塗布し、温風乾燥、真空乾燥等により溶媒成分を除去した後、放射線、電子線、紫外線、可視光線等のエネルギー線を照射することにより硬化膜を得ることができる。
塗液の塗工方法は特に限定されないが、例えば、ウェットコーティングにより塗布され、その方式として例えばグラビア方式、バーコート方式、ワイヤーバー方式、スピンコート方式、ドクターブレード方式、ディップコート方式、スリットコート方式等が挙げられる。
硬化膜を作製する基材としては、硬化膜の支持が可能であれば特に限定されないが、例えば、光学用途向けハードコートとして利用する場合には透明性を有するシートが望ましい。透明性シートの材質としては、ガラス、プラスチック等が挙げられ、特にプラスチックシートが好ましい。プラスチックとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース、ブチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。これらのシートは必要に応じて、バインダー処理、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の易着処理を行ってもよい。
本発明の硬化膜の厚みは、特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。通常は、100nm〜30μm程度とすることができる。
本発明の内容を以下の実施例により説明するが、本発明の内容は実施例により限定して解釈されるものではない。
実施例1
硬化性樹脂モノマーとしてウレタンアクリレート(日本合成化学工業製、商品名:紫光UV-6300B)20質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガキュア184)を0.8質量部、1−パーフルオロアダマンチルメタクリラート(出光興産製、商品名:アダマンテートX−F−101)を0.2質量部、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)を79.0質量部、混合し、硬化性塗工液を作成した。これをNo.8のバーコーターでポリエステルフィルム(東洋紡績製、商品名:コスモシャインA4100)に塗り広げ、60℃に設定した乾燥機に3分間投入し、溶剤を揮発させた後、UV照射することで硬化膜を得た。その評価結果を表1に示す。
実施例2
アダマンテートX−F−101の代わりにパーフルオロ−1,3−ビス(アクリロキシエトキシ)アダマンタン(出光興産製、商品名:アダマンテートX−F−201)を用いる以外は実施例1と同様にして硬化膜を得た。その評価結果を表1に示す。
実施例3
アダマンテートX−F−101の代わりにパーフルオロ−1,3−アダマンタンジオール ジメタクリラート(出光興産製、商品名:アダマンテートX−F−203)を用いる以外は実施例1と同様にして硬化膜を得た。その評価結果を表1に示す。
比較例1
アダマンテートX−F−101の代わりにパーフルオロポリエーテル2官能ウレタンメタクリレート(ソルベイソレクシス製、商品名:Fluorolink MD700)を用いる以外は実施例1と同様にして硬化膜を得た。その評価結果を表2に示す。
比較例2
硬化性樹脂モノマーとしてウレタンアクリレート(日本合成化学工業製、商品名:紫光UV-6300B)20質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガキュア184)を0.8質量部、パーフルオロポリエーテル4官能ウレタンアクリレート(ソルベイソレクシス製、商品名:Fluorolink AD1700)を0.29質量部、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)を78.91質量部、混合し、硬化性塗工液を作成した。これをNo.8のバーコーターでポリエステルフィルム(東洋紡績製、商品名:コスモシャインA4100)に塗り広げ、60℃に設定した乾燥機に3分間投入し、溶剤を揮発させた後、UV照射することで硬化膜を得た。その評価結果を表2に示す。
比較例3
硬化性樹脂モノマーとしてウレタンアクリレート(日本合成化学工業製、商品名:紫光UV-6300B)20質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガキュア184)を0.8質量部、パーフルオロポリエーテルウレタンアクリレート(ダイキン工業製、商品名:オプツールDAC)を1.0質量部、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)を78.2質量部、混合し、硬化性塗工液を作成した。これをNo.8のバーコーターでポリエステルフィルム(東洋紡績製、商品名:コスモシャインA4100)に塗り広げ、60℃に設定した乾燥機に3分間投入し、溶剤を揮発させた後、UV照射することで硬化膜を得た。その評価結果を表2に示す。
比較例4
含フッ素化合物を添加せず、硬化性樹脂モノマーとしてウレタンアクリレート(日本合成化学工業製、商品名:紫光UV-6300B)20質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガキュア184)を0.8質量部、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)を79.2量部、混合し、硬化性塗工液を作成した。これをNo.8のバーコーターでポリエステルフィルム(東洋紡績製、商品名:コスモシャインA4100)に塗り広げ、60℃に設定した乾燥機に3分間投入し、溶剤を揮発させた後、UV照射することで硬化膜を得た。その評価結果を表2に示す。
評価
(1)表面平滑性
UV照射後の硬化膜表面を目視で観察した。
評価基準 :スジ、ハジキ等がない ○
スジ、ハジキ等がある ×
(2)鉛筆硬度
硬化膜表面をJIS−K−5600の試験方法に則り、評価した。
(3)初期撥水性
作製直後の硬化膜表面に対する水の接触角を接触角測定装置(協和界面化学製 DropMaster600)で測定した。
(4)初期撥油性
作製直後の硬化膜表面に対するヘキサデカンの接触角を接触角測定装置(協和界面化学製 DropMaster600)で測定した。
(5)撥水持続性
硬化膜の表面をエタノールで濡らしたプロワイプ(大王製紙製、商品名:エリエール プロワイプ ソフトマイクロワイパーS220)で往復で100回拭き、乾燥後の硬化膜に対する水の接触角を測定した。
(6)撥油持続性
硬化膜の表面をエタノールで濡らしたプロワイプ(大王製紙製、商品名:エリエール プロワイプ ソフトマイクロワイパーS220)で往復で100回拭き、乾燥後の硬化膜に対するヘキサデカンの接触角を測定した。
(7)耐指紋性
<目立ち難さ>
硬化膜表面に指を押し当てて付着する指紋の目立ち難さを下記の3段階で評価した。
評価基準 :塗膜に付着した指紋がガラス板に付着した指紋よりも目立ち難かった。 ○
塗膜に付着した指紋がガラス板に付着した指紋と同程度の目立ち易さであった。 △
塗膜に付着した指紋がガラス板に付着した指紋よりも、白くハッキリ目視できた。 ×
<拭取り性>
硬化膜表面に指紋を付着させ、指紋が見えなくなるまでプロワイプ(大王製紙製、商品名:エリエール プロワイプ ソフトマイクロワイパーS220)で指紋を拭き取り、その回数(往復で1回とする)を計測した。
評価基準 :拭き取り回数<ブランク = ○
拭き取り回数≧ブランク または 拭き取れない = ×
(8)耐指紋性の持続性
硬化膜の表面をエタノールで濡らしたプロワイプ(大王製紙製、商品名:エリエール プロワイプ ソフトマイクロワイパーS220)で往復で100回拭き、乾燥後の硬化膜に対する耐指紋性を測定した。
表1および表2から分かるように、実施例1〜3の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体を用いた硬化膜は、いずれも良好な耐指紋性(指紋の目立ち難さ及び拭き取り性)、表面平滑性を示し、性能持続性を有することが判った。同様なフッ素化合物であるパーフルオロポリエーテル系を用いた比較例1及び2では、撥水撥油性能は優れているが、耐指紋性、表面平滑性、性能持続性共に充分な性能が得られなかった。また、ダイキン工業からフッ素系UV硬化型防汚添加剤として販売されているオプツールDACを用いた比較例3では、表面平滑性、撥水撥油性能や指紋拭き取り性は優れているものの、指紋の目立ち難さに関しては充分な性能が得られなかった。さらに、添加剤を含まない比較例4では表面平滑性、指紋拭き取り性共に充分な性能が得られなかった。
また、重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体の添加量は活性エネルギー線硬化型ハードコート剤全量に対して有効成分で0.2質量部も添加すれば十分な耐指紋性を示すことも判った。
さらに、ヘキサデカンの接触角が耐指紋性(特に指紋の目立ち難さ)に大きく関係しており、10度以下の場合は指紋が目立ちにくくなっていることが判った。なお、指紋拭き取り性と接触角との間には相関はなかった。
本発明による、重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体は、例えば、ガラス、繊維、金属、樹脂、フィルム、光学材料、塗料等の分野で用いられる防汚性を付与する表面改質剤として有用であり、基材表面に平滑性、耐指紋性を付与させることができる化合物として有用である。加えて添加量が少なくすむため、経済性に優れ、本発明の重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体及びこれを用いた、塗布後に光・熱等による硬化を目的とした塗工液は工業上有用な材料となり得る。また、共重合用モノマーとしての利用できる可能性も挙げられる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で表される重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体を含む耐指紋性向上剤。
    [式中、Z1は、下記一般式(II)又は(III)
    (式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んで
    いてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示す。n又はmは0以上の整数である。
    )で表される基を示す。X1は、下記一般式(IV)、下記式(V)又は下記一般式(V
    I)
    (式中、R5は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示し、R6は炭素数1〜5の炭化水素基を示す。)
    で表される重合性基を示す。Yは、水素原子、炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン置換炭化水素基、環式炭化水素基、ハロゲン置換環式炭化水素基、水酸基、カルボキシル基、及び同一の炭素原子に結合した2つのYが炭素原子と一緒になって形成されたC=Oから選ばれる基を示す。s及びtは、それぞれ1〜15の整数、uは0〜14の整数であり、
    かつs+t+u=16である。]
  2. 請求項1に記載の耐指紋性向上剤と、エネルギー線硬化性樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーとを含有する硬化性樹脂組成物を基材に塗布し、硬化して硬化膜を形成することを特徴とする、基材表面の耐指紋性を向上させる方法。
  3. 前記耐指紋性が、指紋の目立ち難さ及び拭き取り性を含む請求項2に記載の方法。
  4. 請求項1に記載の耐指紋性向上剤と、エネルギー線硬化性樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーとを含有する硬化性樹脂組成物を基材に塗布し、硬化して硬化膜を形成することを特徴とする、基材表面の指紋汚れを目立たなくする方法。
  5. 前記エネルギー線硬化性樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーは2官能以上の反応性官能基を有する樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーである請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記硬化膜のヘキサデカンの接触角が10度以下である請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 硬化性樹脂組成物中のエネルギー線硬化性樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーが55〜99.9質量%であり、前記一般式(I)で表される重合性基含有含フッ素アダマンタン誘導体が0.0006〜17質量%である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の方法。

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