JP5674104B2 - 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 - Google Patents
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また、本発明において、前記電気機械変換膜を形成するための原料を含む塗布液は、金属の複合酸化物であるゾルゲル液であってもよい。また、そのゾルゲル液の主成分は化学式ABO3で記述される複合酸化物よりなり、AはPb、Ba、Srの1つ以上を示し、BはTi、Zr、Sn、Ni、Zn、Mg、Nbの1つ以上を示すものであってもよい。
また、請求項3の発明は、請求項2の電気機械変換膜の製造方法において、前記表面改質工程における前記第2の表面改質は、前記第1の電極上にチオール化合物により成された後、フォトリソグラフィ・エッチング、またはマスクを介した紫外線照射により部分的にチオール化合物を除去するように行うことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、電気機械変換素子の製造方法であって、請求項1乃至3のいずれかの電気機械変換膜の製造方法により、前記第1の電極上に所定膜厚の電気機械変換膜を形成した後、その第1の電極上に形成した電気機械変換膜を挟むように第2の電極を配置する第2電極配置工程を有することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の電気機械変換素子の製造方法において、前記第2電極配置工程は、前記第2の電極を形成するための原料を含む電極用塗布液の液滴をノズルから吐出させる液滴吐出方式により、前記電気機械変換膜上の所定部分に前記電極用塗布液を塗布する工程を有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4又は5の電気機械変換素子の製造方法において、前記第1の電極及び前記第2の電極が白金族元素、及びその酸化物、またはこれら数種の積層膜からなることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置であって、前記ノズルから吐出する前記付随液滴を所定極性に帯電させる手段と、前記所定電界を発生させるように前記回収電極に所定電位を与える手段と、を備えたことを特徴とするものである。
また、電気機械変換膜がPZT膜の場合のPZT前駆体溶液は、非特許文献1に記載されている、酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒としてメトキシエタノールに溶解させ、均一溶液として得るようにしてもよい。
なお、上記PZT前駆体溶液は「ゾルゲル液」とも呼ばれる。
また、上記図1の方法では、第1の電極上のPZT前駆体溶液が塗布される所定部分以外の表面をSAM膜12によって疎水面にする表面改質を行っているが、第1の電極の表面が疎水面の場合は、その第1の電極上のPZT前駆体溶液が塗布される所定部分の表面を親水面にする表面改質を行ってもよい。
[実施例1]
本実施例では、SAM膜12を部分的に形成する表面改質工程(図1(b)〜(d))と、上記構成の液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出塗布装置を用いてPZT前駆体溶液Aを選択的に塗布する塗布工程(図1(e))と、塗布したPZT前駆体溶液Aを所定温度(温度120°C)で乾燥させる乾燥工程と、乾燥したPZT前駆体溶液Aを所定温度(温度500°C)で熱分解する熱分解工程とを1回ずつ行うことにより、基板11の白金電極上に所定パターンからなる100nmの膜を得る。この表面改質工程、塗布工程、乾燥工程及び熱分解工程を6回繰り返すことにより600nmの膜を得た後、その膜を熱分解して結晶化させる結晶化熱処理(温度700°C)をRTA(急速熱処理)にて行うことにより、基板11の白金電極上にパターン化した電気機械変換膜としてのPZT膜を形成した。その結果、PZT膜にクラックなどの不良は生じなかった。また、液滴吐出ヘッドにおけるミスト液滴301の回収により、必要なパターン形成部以外にPZT前駆体溶液が塗布されるパターン不良の発生はなかった。
本実施例では、上記白金からなる上部電極(第2に電極)の形成に図5に示す液滴吐出装置を用い、基板の下部電極上に形成したPZT膜上の必要な部分のみに液吐出ヘッドで白金材料を含む液(白金インク)を塗布して乾燥させた。他は実施例1と同様に行った。白金材料を含む液(白金インク)を塗布するときには、PZT前駆体溶液を塗布したときと同様に接触角のコントラストを利用して塗布領域を規定した。上部電極は短絡を防止するためにPZT膜パターンより小さい領域に塗布する必要があるため、PZT膜上にも撥水部(疎水面)を設ける必要がある。そのため、本実施例では、白金からなる上部電極を形成しない部分にレジストをパターニングし、その後、液吐出ヘッドで白金材料を含む液(白金インク)の塗布を行い、120°Cで白金を乾燥処理した後に、レジストを剥離して最終的に250°Cで焼結した。この焼成後の膜厚は0.5μmであり、比抵抗(体積抵抗率)は5×10−6Ω・cmであった。
また、本実施例においても、上記実施例1と同様に、クラックのない所望の膜厚のパターン化した電気機械変換膜としてのPZT膜を形成することができ、また、液滴吐出ヘッドにおけるミスト液滴301の回収により、必要なパターン形成部以外にPZT前駆体溶液が塗布されるパターン不良の発生もなかった。
本実施例では、下部電極(第1の電極)を構成する他の白金族元素の電極膜として、ルテニウム、イリジウム、ロジウムをそれぞれ、チタン密着層を配置した熱酸化膜付きシリコンウェハ上にスパッタリング成膜した。SAM膜12の形成など他の工程は実施例1と同様に行った。また、下部電極(第1の電極)を構成する他の白金族合金の電極膜として、白金−ロジウム(ロジウム濃度は15wt%)もスパッタリング成膜した。更に、イリジウム酸化膜の上にイリジウム金属、または白金膜を配置した試料についても行った。これらの材料で下部電極(第1の電極)を形成したところ、SAM膜12を除去した電極露出面における純水の接触角は、すべての試料において5°以下(完全濡れ)であった(図7(a)参照)。一方、SAM膜12を配置したままの表面における純水の接触角は、すべての試料において90°程度であった(図7(b)参照)
また、本実施例においても、上記実施例1と同様に、クラックのない所望の膜厚のパターン化した電気機械変換膜としてのPZT膜を形成することができ、また、液滴吐出ヘッドにおけるミスト液滴301の回収により、必要なパターン形成部以外にPZT前駆体溶液が塗布されるパターン不良の発生もなかった。
また、本実施形態によれば、前記塗布液(PZT前駆体溶液)202を塗布する塗布工程の前に、第1の電極上の塗布液が塗布される所定部分の表面を親水面にする第1の表面改質及び第1の電極上の塗布液が塗布される所定部分以外の表面を疎水面にする第2の表面改質のいずれか一方の表面改質を行っている。この表面改質により、塗布液(PZT前駆体溶液)202を塗布したときに、疎水面及び親水面の表面エネルギーのコントラストを利用してPZT前駆体溶液の塗り分けをすることができる。
また、本実施形態によれば、ノズル孔201aから吐出する付随液滴(ミスト液滴)301を所定極性に帯電させ、ノズル孔201aから吐出した所定極性の付随液滴301を静電的に回収することにより、ミスト液滴301を簡易に且つ確実に回収できる。
また、本実施形態によれば、ノズル孔201aの近傍に形成した所定電界により、所定極性の付随液滴301を主液滴300の飛翔方向とは異なる回収方向に偏向させて付随液滴301を回収することにより、ノズル孔201aの近傍で付随液滴301を確実に回収できる。
また、本実施形態によれば、第1の電極上にチオール化合物により成された後、フォトリソグラフィ・エッチング、またはマスクを介した紫外線照射により部分的にチオール化合物を除去することにより、第1の電極上の塗布液が塗布される所定部分以外の表面にPAM膜を形成して確実に疎水面にすることができる。
また、本実施形態によれば、ミスト液滴301を付着させることなく、第1の電極上に所定膜厚のパターン化した電気機械変換膜15を形成した後、その第1の電極上に形成した電気機械変換膜15を挟むように第2の電極を配置することにより、高品質の電気機械変換素子を製造できる。しかも、その第2電極配置工程として、第2の電極を形成するための原料を含む電極用塗布液の液滴をノズルから吐出させる液滴吐出方式により、電気機械変換膜15上の所定部分に前記電極用塗布液を塗布することにより、電気機械変換膜15の表面のみにパターン化した第2の電極を簡易に配置できる。
また、本実施形態によれば、前記第1の電極及び前記第2の電極が白金族元素、及びその酸化物、またはこれら数種の積層膜からなることにより、良好な親水面を有する第1の電極を形成できるとともに、第2の電極については液滴吐出方式を用いて簡易に配置できる。
であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
12 SAM膜
13 フォトレジスト、
14 PZT膜
15 電気機械変換膜
50 液滴吐出ヘッド
60 液滴吐出塗布装置
69 液滴吐出ヘッド(製造用)
100 インクジェット記録装置
200 液滴吐出ヘッド(製造用)
201 ノズル板
201a ノズル孔
201b ノズル面
202 塗布液(PZT前駆体溶液)
203 液室
204 振動板
205 圧電素子
206 吐出駆動電源
207 ミスト回収用電極
207a 導電体部材
207b 絶縁層
300 主液滴
301 ミスト液滴
Claims (8)
- 電気機械変換膜を形成するための原料を含む塗布液の液滴を液滴吐出ヘッドのノズルから吐出させる液滴吐出方式により、第1の電極上の所定部分に前記塗布液を選択的に塗布する塗布工程と、前記第1の電極上に塗布した塗布液の膜を乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥させた塗布液の膜を熱分解して結晶化させる結晶化工程とを有する電気機械変換膜の製造方法であって、
前記塗布工程は、前記液滴吐出ヘッドのノズルから吐出した塗布液の主液滴に付随する微小の付随液滴を前記第1の電極に到達する前に回収する回収工程を有し、
前記回収工程は、
前記液滴吐出ヘッドのノズルから吐出する前記付随液滴を所定極性に帯電させる帯電工程と、
前記液滴吐出ヘッドのノズルの近傍に形成した所定電界により、前記所定極性の付随液滴を前記主液滴の飛翔方向とは異なる回収方向に偏向させて前記所定極性の付随液滴を静電的に回収する静電回収工程とを有し、
前記液滴吐出ヘッドとして、前記所定極性の付随液滴を前記主液滴の飛翔方向とは異なる回収方向に偏向させる所定電界を発生させるように、前記塗布液を吐出するノズルの近傍に配置した回収電極を備えた液滴吐出ヘッドを用いることを特徴とする電気機械変換膜の製造方法。 - 請求項1の電気機械変換膜の製造方法において、
前記塗布工程の前に、前記第1の電極上の前記塗布液が塗布される所定部分の表面を親水面にする第1の表面改質及び前記第1の電極上の前記塗布液が塗布される所定部分以外の表面を疎水面にする第2の表面改質のいずれか一方の表面改質を行う表面改質工程を、更に有することを特徴とする電気機械変換膜の製造方法。 - 請求項2の電気機械変換膜の製造方法において、
前記表面改質工程における前記第2の表面改質は、前記第1の電極上にチオール化合物により成された後、フォトリソグラフィ・エッチング、またはマスクを介した紫外線照射により部分的にチオール化合物を除去するように行うことを特徴とする電気機械変換膜の製造方法。 - 電気機械変換素子の製造方法であって、
請求項1乃至3のいずれかの電気機械変換膜の製造方法により、前記第1の電極上に所定膜厚の電気機械変換膜を形成した後、その第1の電極上に形成した電気機械変換膜を挟むように第2の電極を配置する第2電極配置工程を有することを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。 - 請求項4の電気機械変換素子の製造方法において、
前記第2電極配置工程は、前記第2の電極を形成するための原料を含む電極用塗布液の液滴をノズルから吐出させる液滴吐出方式により、前記電気機械変換膜上の所定部分に前記電極用塗布液を塗布する工程を有することを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。 - 請求項4又は5の電気機械変換素子の製造方法において、
前記第1の電極及び前記第2の電極が白金族元素、及びその酸化物、またはこれら数種の積層膜からなることを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。 - 請求項1乃至6のいずれかの製造方法における前記塗布工程で用いられる液滴吐出ヘッド。
- 請求項7の液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置であって、
前記ノズルから吐出する前記付随液滴を所定極性に帯電させる手段と、
前記所定電界を発生させるように前記回収電極に所定電位を与える手段と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
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