JP5674104B2 - 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 - Google Patents

電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5674104B2
JP5674104B2 JP2010207747A JP2010207747A JP5674104B2 JP 5674104 B2 JP5674104 B2 JP 5674104B2 JP 2010207747 A JP2010207747 A JP 2010207747A JP 2010207747 A JP2010207747 A JP 2010207747A JP 5674104 B2 JP5674104 B2 JP 5674104B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
droplet
film
electromechanical conversion
droplet discharge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010207747A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012064750A (ja
Inventor
町田 治
治 町田
秋山 善一
善一 秋山
上田 恵司
恵司 上田
光 下福
光 下福
康弘 渡邉
康弘 渡邉
亮 田代
亮 田代
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2010207747A priority Critical patent/JP5674104B2/ja
Publication of JP2012064750A publication Critical patent/JP2012064750A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5674104B2 publication Critical patent/JP5674104B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、並びに、該製造方法に用いる液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置に関するものである。
従来、電気機械変換膜を電極で挟むように構成された電気機械変換素子は、例えばインクジェット記録装置で用いられている。インクジェット記録装置は、騒音が極めて小さく、かつ高速印字が可能であり、更にはインクの自由度があり安価な普通紙を使用できるなど多くの利点があるために、プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置あるいは画像形成装置として広く展開されている。このインクジェット記録装置において使用する液滴吐出装置は、主として、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する吐出室、加圧液室、圧力室、インク流路等を称する液室と、該液室内のインクを吐出するための圧力発生手段とで構成されている。この圧力発生手段として、圧電素子などの電気機械変換素子を用いて吐出室の壁面を形成している振動板を変形変位させることでインク滴を吐出させるピエゾ型の圧力発生手段が知られている。このピエゾ型の圧力発生手段に使用される電気機械変換素子は、下部電極(第1の電極)と、電気機械変換層と、上部電極(第2の電極)とが積層したものからなる。各圧力室にインク吐出の圧力を発生させるのに個別の圧電素子が配置されることになる。電気機械変換層はジルコン酸チタン酸鉛(PZT)セラミックスなどが用いられ、これらは複数の金属酸化物を主成分としているので一般に金属複合酸化物と称される。
ここで、従来における電気機械変換膜の形成方法として、電気機械変換膜を形成するための原料を含む塗布液の液滴をノズルから吐出させる液滴吐出方式により、電極上の所定部分に前記塗布液を塗布する方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
ところが、電気機械変換膜を形成するための原料を含む塗布液は、通常のインクジェット記録装置で用いられるインク液に比して粘性が低いため、上記塗布液の主液滴がノズル吐出するときに、その主液滴よりもサイズが小さい(例えば、主液滴の1000分の1程度の体積を有する)微小の付随液滴が発生しやすくなる。この付随液滴は、空気の抵抗を受けながら例えばミスト状になって電極に向かって飛翔し、不要な液滴として電極上の所定部分以外に付着してしまうという問題がある。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、電気機械変換膜を形成するための原料を含む塗布液をノズルから吐出させて電極上に塗布するときに不要な液滴を電極に付着させることなく、所望パターンの電気機械変換膜を形成することができる電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、並びに、該製造方法に用いる液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、電気機械変換膜を形成するための原料を含む塗布液の液滴を液滴吐出ヘッドのノズルから吐出させる液滴吐出方式により、第1の電極上の所定部分に前記塗布液を選択的に塗布する塗布工程と、前記第1の電極上に塗布した塗布液の膜を乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥させた塗布液の膜を熱分解して結晶化させる結晶化工程とを有する電気機械変換膜の製造方法であって、前記塗布工程は、前記液滴吐出ヘッドのノズルから吐出した塗布液の主液滴に付随する微小の付随液滴を前記第1の電極に到達する前に回収する回収工程を有し、前記回収工程は、前記液滴吐出ヘッドのノズルから吐出する前記付随液滴を所定極性に帯電させる帯電工程と、前記液滴吐出ヘッドのノズルの近傍に形成した所定電界により、前記所定極性の付随液滴を前記主液滴の飛翔方向とは異なる回収方向に偏向させて前記所定極性の付随液滴を静電的に回収する静電回収工程とを有し、前記液滴吐出ヘッドとして、前記所定極性の付随液滴を前記主液滴の飛翔方向とは異なる回収方向に偏向させる所定電界を発生させるように、前記塗布液を吐出するノズルの近傍に配置した回収電極を備えた液滴吐出ヘッドを用いることを特徴とするものである。
なお、本発明において、前記塗布工程、前記乾燥工程及び前記結晶化工程は、その順番で1回ずつ行ってもよいし、その順番で2回以上繰り返し行ってもよい。また、本発明において、前記塗布工程と、前記乾燥工程と、前記結晶化工程中の熱分解処理とは、その順番で1回ずつ行ってもよいし、その順番で2回以上繰り返し行ってもよい。この場合、前記結晶化工程における結晶化処理は、前記塗布工程から熱分解処理までがすべて終了した後に1回だけ行ってもよいし、前記塗布工程から熱分解処理までが所定回数終了するたびに行ってもよい。
また、本発明において、前記電気機械変換膜を形成するための原料を含む塗布液は、金属の複合酸化物であるゾルゲル液であってもよい。また、そのゾルゲル液の主成分は化学式ABOで記述される複合酸化物よりなり、AはPb、Ba、Srの1つ以上を示し、BはTi、Zr、Sn、Ni、Zn、Mg、Nbの1つ以上を示すものであってもよい。
また、請求項2の発明は、請求項1の電気機械変換膜の製造方法において、前記塗布工程の前に、前記第1の電極上の前記塗布液が塗布される所定部分の表面を親水面にする第1の表面改質及び前記第1の電極上の前記塗布液が塗布される所定部分以外の表面を疎水面にする第2の表面改質のいずれか一方の表面改質を行う表面改質工程を、更に有することを特徴とするものである
た、請求項の発明は、請求項2の電気機械変換膜の製造方法において、前記表面改質工程における前記第2の表面改質は、前記第1の電極上にチオール化合物により成された後、フォトリソグラフィ・エッチング、またはマスクを介した紫外線照射により部分的にチオール化合物を除去するように行うことを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、電気機械変換素子の製造方法であって、請求項1乃至のいずれかの電気機械変換膜の製造方法により、前記第1の電極上に所定膜厚の電気機械変換膜を形成した後、その第1の電極上に形成した電気機械変換膜を挟むように第2の電極を配置する第2電極配置工程を有することを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項の電気機械変換素子の製造方法において、前記第2電極配置工程は、前記第2の電極を形成するための原料を含む電極用塗布液の液滴をノズルから吐出させる液滴吐出方式により、前記電気機械変換膜上の所定部分に前記電極用塗布液を塗布する工程を有することを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項又はの電気機械変換素子の製造方法において、前記第1の電極及び前記第2の電極が白金族元素、及びその酸化物、またはこれら数種の積層膜からなることを特徴とするものである。
た、請求項の発明は、請求項1乃至6のいずれかの製造方法における前記塗布工程で用いられる液滴吐出ヘッドである。
また、請求項の発明は、請求項の液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置であって、前記ノズルから吐出する前記付随液滴を所定極性に帯電させる手段と、前記所定電界を発生させるように前記回収電極に所定電位を与える手段と、を備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、電気機械変換膜を形成するための原料を含む塗布液の液滴をノズルから吐出させて第1の電極上の所定部分に選択的に塗布するときに、そのノズルから吐出した塗布液の主液滴に付随する微小の付随液滴を第1の電極に到達する前に回収する。これにより、ノズルから吐出した塗布液の主液滴については、第1の電極上における所望パターンの所定部分に塗布できるとともに、その主液滴に付随する不要な付随液滴については、第1の電極に付着しなくなる。よって、電気機械変換膜を形成するための原料を含む塗布液をノズルから吐出させて電極上に塗布するときに不要な液滴を電極に付着させることなく、所望パターンの電気機械変換膜を形成することができるという効果を奏する。
(a)〜(f)は本発明の一実施形態に係る電気機械変換膜の形成を伴う電気機械変換素子の製造方法を示す説明図。 PZT前駆体溶液を塗布するときに用いることができる液滴吐出ヘッドの一構成例を示す断面図。 同液滴吐出ヘッドから基板に向けてPZT前駆体溶液を塗布しているときの様子を示す説明図。 同液滴吐出ヘッドのノズル孔の近傍の電界強度を詳細に解析した結果を示す説明図。 同液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出塗布装置の一構成例を示す斜視図。 実施例で作製したPZT膜のP−Eヒステリシス曲線の一例を示すグラフ。 (a)はSAM膜を除去した電極露出面における純水の接触角の様子を示す説明図。(b)は、SAM膜を配置したままの表面における純水の接触角の様子を示す説明図。 本実施形態の製造方法で製造した電気機械変換素子(PZT素子)を用いて構成した液吐出ヘッドの一構成例を示す概略構成図。 図8の液吐出ヘッドを複数並べた構成例を示す概略構成図。 本実施形態の製造方法で製造した電気機械変換素子を用いることができる液滴吐出装置の一構成例を示す概略構成図。 同液滴吐出装置の概略透視斜視図。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、圧電定数d31の変形を利用した横振動(ベンドモード)型の電気機械変換膜を有する電気機械変換素子を例として説明するが、本発明は、この型の電気機械変換膜に限定されることなく適用可能である。
電気機械変換膜がPZT膜の場合、酢酸鉛三水和物、イソプロポキシドチタン、ノルマルブトキシドジルコニウムを出発材料として合成したPZT前駆体溶液を用いることができる。酢酸鉛の結晶水はメトキシエタノールに溶解した後、脱水する。化学量論的組成に対し鉛量を10モル%過剰にしてある。これは熱処理中のいわゆる鉛抜けによる結晶性低下を防ぐためである。イソプロポキシドチタン、ノルマルブトキシドジルコニウムをメトキシエタノールに溶解し、アルコール交換反応、エステル化反応を進め、上記酢酸鉛を溶解したメトキシエタノール溶液と均一に混合することによりPZT前駆体溶液を合成することができる。このPZT前駆体溶液のPZT濃度は例えば0.1モル/リットルにする。後述の実施例1〜3では、以上の方法で合成したPZT前駆体溶液(実施例では、「PZT前駆体溶液A」として参照する。)を用いた。
また、電気機械変換膜がPZT膜の場合のPZT前駆体溶液は、非特許文献1に記載されている、酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒としてメトキシエタノールに溶解させ、均一溶液として得るようにしてもよい。
なお、上記PZT前駆体溶液は「ゾルゲル液」とも呼ばれる。
PZTとは、ジルコン酸鉛(PbZrO)とチタン酸鉛(PbTiO)の固溶体で、その比率により特性が異なる。一般的に優れた圧電特性を示す組成はPbZrOとPbTiOの比率が53:47の割合で、化学式で示すとPb(Zr0.53,Ti0.47)O、一般にPZT(53/47)と示される。酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物の出発材料は、この化学式に従って秤量される。金属アルコキシド化合物は大気中の水分により容易に加水分解してしまうので、前駆体溶液に安定剤としてアセチルアセトン、酢酸、ジエタノールアミンなどの安定化剤を適量、添加してもよい。
PZT以外の複合酸化物としてはチタン酸バリウムなどが挙げられ、この場合はバリウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒に溶解させることでチタン酸バリウム前駆体溶液を作製することも可能である。
また、下地となる基板上の第1の電極の表面に電気機械変換膜としてのパターン化したPZT膜を得る場合、上記溶液を塗布液として液滴吐出方式で塗布することにより塗膜を形成し、溶媒乾燥、熱分解、結晶化の各々の熱処理を施すことでパターン化したPZT膜が得られる。塗膜から結晶化膜への変態には体積収縮が伴うので、クラックフリーな膜を得るには一度の工程で100nm以下の膜厚が得られるようにするのが好ましい。そして、前駆体濃度は、電気機械変換膜の成膜面積とPZT前駆体溶液の塗布量との関係から適正化するように調整するのが好ましい。また、液滴吐出装置の電気機械変換素子として用いる場合、このPZT膜の膜厚は1μm〜2μmが要求される。この膜厚を得るには十数回、工程を繰り返すことになる。
更に、ゾルゲル法によるパターン化した電気機械変換層の形成の場合には、下地となる基板の濡れ性を制御したPZT前駆体溶液の塗り分けをする。これは、非特許文献2に示されているアルカンチオールが特定金属上に自己配列する現象を利用したものであり、まず、基板の白金族金属の表面に、チオールのSAM(Self assembled monolayer)膜を形成する。SAM膜上はアルキル基が配置しているので、疎水性になる。このSAM膜は、例えば周知のフォトリソグラフィ・エッチングにより、フォトレジストを用いてパターニングすることができる。レジスト剥離後も、パターン化SAM膜は残っているので、この部位は疎水性になっている。一方、SAM膜が除去された部位は白金表面が露出しているため、親水性になっている。この表面エネルギーのコントラストを利用してPZT前駆体溶液の塗り分けをすることができる。本実施形態では、上記SAM膜を、PZT前駆体溶液を塗布しない領域に選択的に形成した後、以下に示すように、PZT前駆体溶液の消費量を低減することができる液滴吐出方式による塗工(インクジェット塗工)でPZT前駆体溶液を選択的に塗布している。
図1は、本発明の一実施形態に係る電気機械変換膜の形成を伴う電気機械変換素子の製造方法を示す説明図である。同図(a)に示す基板11の表面(上面)には、チオールとの反応性に優れた第1の電極としての図示しない白金族金属からなる白金電極が、例えばスパッタ法により形成されている。この基板11の白金電極の表面に、同図(b)に示すようにSAM膜12が形成される。SAM膜12は、アルカンチオール液に基板11をディップして自己配列させることで得られる。本例では、CH(CH)−SHのアルカンチオールの分子を一般的な有機溶媒(アルコール、アセトン、トルエンなど)に所定濃度(例えば、数mol/l)で溶解させたアルカンチオール液を用いた。このアルカンチオール液に基板11を浸漬させ、所定時間後に取り出した後、余剰な分子を溶媒で置換洗浄し乾燥することにより、白金電極の表面にSAM膜12を形成することができる。次に、同図(c)に示すように、フォトリソグラフィーによりフォトレジスト13をパターン形成し、同図(d)に示すようにドライエッチング(例えば、酸素プラズマの照射又はUV光の照射)によりSAM膜12を除去し、加工に用いたフォトレジスト13を除去してSAM膜12のパターニングを終了する。このように形成されたSAM膜12は、純水に対する接触角が例えば92度であり、疎水性を示す。一方、SAM12が除去されて露出した基板11の白金電極の表面は、純水に対する接触角が例えば54度であり、親水性を示す。
次に、同図(e)に示すように、PZT前駆体溶液の液滴をノズルから吐出させる液滴吐出方式によりPZT前駆体溶液が塗布される。このPZT前駆体溶液の塗布は、疎水部であるSAM膜12上にはPZT膜14が形成されず、SAM膜12を除去された親水部のみにPZT膜14が形成されるように行われる。その後、同図(f)に示すように、溶媒乾燥、熱分解、結晶化の各々の熱処理を施すことで電気機械変換膜15が得られる。
なお、上記図1の方法では、上記図1(b)〜(f)を1回ずつ実行して所定膜厚の電気機械変換膜15を得る場合について示したが、上記図1(b)〜(f)の工程を所定回数(2回以上)繰り返して実行して薄めに設定した電気機械変換膜を多層に重ねて形成し、所定膜厚の電気機械変換膜15を得るようにしてもよい。この場合、電気機械変換膜15のクラックの発生をより確実に防止できる。
また、上記図1の方法では、第1の電極上のPZT前駆体溶液が塗布される所定部分以外の表面をSAM膜12によって疎水面にする表面改質を行っているが、第1の電極の表面が疎水面の場合は、その第1の電極上のPZT前駆体溶液が塗布される所定部分の表面を親水面にする表面改質を行ってもよい。
図2は、上記図1(e)の塗布工程においてPZT前駆体溶液を塗布するときに用いることができる液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)の一構成例を示す断面図である。図示の液滴吐出ヘッド200は、ノズル孔201aが形成され少なくとも表面が導電性のノズル板201と、塗布液(PZT前駆体溶液)202を有する液室203を形成するようにノズル板201に対向させて配設した振動板204と、ノズル孔201aに対向するように振動板204の液室203側とは反対側の表面に貼り付けられた圧電素子(例えば、PZT)205とを備えている。更に、液滴吐出ヘッド200は、所定の制御プログラム及び制御データに基づいて、パルス状の電圧からなる吐出駆動信号を圧電素子205に印加する電圧印加手段としての吐出駆動電源206を備えている。吐出駆動電源206から圧電素子205に吐出駆動信号が印加されると、圧電素子205が変形し、それに伴って振動板204が液室203側に変形する。これにより、液室203内が加圧され、塗布液(PZT前駆体溶液)202の所定量の液滴がノズル孔201から吐出する。
また、液滴吐出ヘッド200は、ノズル板201のノズル孔201a近傍のノズル面(液室203側とは反対側の外面)201bには、そのノズル面201bよりも少し凸形状となる回収電極としてのミスト回収用電極207が設けられている。ミスト回収用電極207は、中央部の導電体部材207aと、その外周面に設けられた電気的な絶縁材料からなる絶縁層207bとを備えている。本例では、ノズル板201及びミスト回収用電極207の導電体部材207aはいずれも接地されている。すなわち、所定電界を発生させるようにミスト回収用電極207に所定電位を与える手段は、導電体部材207aを接地する回路で構成される。また、ミスト回収用電極207のノズル面201bからの高さは、通常のインクジェット記録装置における印刷時のノズル面と印刷対象物(本実施形態における塗布対象物である基板11に相当)との間隔が0.5〜1mmであるので、0.3mm以下が望ましい。
ここで、本実施形態の製造方法で用いる塗布液としてのPZT前駆体溶液202は、PZT前駆体を溶解する溶媒が限られているため、液滴吐出ヘッド200から安定吐出させるには、圧電素子205に印加する吐出駆動信号の波形の工夫などが必要となる。しかしながら、吐出駆動信号の波形の最適化による安定吐出には限界があり、図示のように、PZT前駆体溶液202の吐出時にメインの液滴(以下、「主液滴」という。)300の後に、主液滴300よりも体積が小さく(例えば、主液滴300の1000分の1程度)速度が遅い付随液滴301が発生する。以下、この付随液滴301は、ミスト状に発生するため、「ミスト液滴」という。
上記ミスト液滴301は主液滴300と比べると速度が遅いため、本来PZT前駆体溶液を塗布すべき領域以外に着地し、パターン不良の原因となる。そこで、本実施形態では、ミスト液滴301を帯電させるとともに、上記ミスト回収用電極207を用いてノズル孔201a近傍に所定の電界を形成し、ミスト液滴301を基板に着地させることなく、ノズル面201b側に回収して必要以外の領域にミスト液滴301を着地させないようにするものである。
図3は、液滴吐出ヘッド200から基板11に向けてPZT前駆体溶液202を塗布しているときの様子を示す説明図である。塗布対象の基板11の背面には荷電偏向電極210が取り付けられている。そして、PZT前駆体溶液202を塗布する際に、電源211により荷電偏向電極210に所定極性の荷電偏向電圧が印加される。すると、ノズル板201のノズル面201bと基板11の背面11a(荷電偏向電極210の表面210a)との間に電界が発生し、ノズル孔201aから吐出した液滴(主液滴300、ミスト液滴301)は所定極性に帯電する。図示の例では、荷電偏向電極210に正極性の電圧が印加されているので、液滴(主液滴300、ミスト液滴301)は、その反対極性である負極性に帯電する。ノズル孔201aから吐出するミスト液滴301を所定極性に帯電させる手段は、荷電偏向電極210、電源211、ノズル板201を接地する回路等で構成される。
図4は、液滴吐出ヘッド200のノズル孔201aの近傍の電界強度を詳細に解析した結果を示す説明図である。図中のノズル板201の表面201b及びミスト回収用電極207の電極面207cと、基板11の背面11a(荷電偏向電極210の表面210a)との間に描かれた曲線は、等電位面Pを示している。図示のように、ノズル孔201aの近傍ではミスト回収用電極207の段差により電界にひずみが生じ傾斜電界Eが発生する。例えば、図中のノズル孔201aの近傍のα点における電界Eαは、ミスト回収用電極207に向かうように傾斜した電界になる。この傾斜電界Eにより、帯電した液滴のうちミスト液滴301の飛翔方向のみを曲げることができる。ここで、ノズル孔201aから吐出した主液滴300の直径は30μm程度であるのに対し、ミスト液滴301の直径は数μm程度である。また、液滴の飛翔速度は、主液滴300が6〜8m/sであるのに対し、ミスト液滴301の液滴速度が4m/s以下である。そのため、適正な荷電偏向電圧を荷電偏向電極210に印加することにより、主液滴300は基板11に向かって直進し、体積が小さくまた運動エネルギーが少ないミスト液滴301は傾斜電界Eに曲げられてミスト回収用電極に着地する。
より具体的な実施例では、荷電偏向用電極210に+70V以上+400V以下の電圧を印加したところ、主液滴300は基板11に向かって直進し、ミスト液滴301のみをミスト回収用電極207に回収できた。また、荷電偏向用電極210に+400Vよりも大きな電圧を印加したところ、主液滴300の軌道も5μm以上曲げられた。これらの結果から、荷電偏向用電極210には、絶対値で70V〜400Vの範囲からミスト液滴301のサイズや速度により最適な電圧を決定すると良いことがわかった。
図5は、上記構成の液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出塗布装置の一構成例を示す斜視図である。図2及び図3で示した液滴吐出ヘッドを搭載した図5に示す液滴吐出塗布装置60によれば、架台61の上に、Y軸駆動手段62が設置してあり、その上に基板63(上記図1〜3における基板11に相当)を搭載するステージ64がY軸方向に駆動できるように設置されている。なお、ステージ64には図示されていない真空、静電気などの吸着手段が付随して設けられており、基板63が固定されている。また、X軸支持部材65にはX軸駆動手段66が取り付けられており、これにZ軸駆動手段67上に搭載されたヘッドベース68が取り付けられており、X軸方向に移動できるようになっている。ヘッドベース68の上には液体を吐出させる液滴吐出ヘッド69が搭載されている。この液滴吐出ヘッド69には図示されていない液体タンクから供給用パイプ70を介して液体(PZT前駆体溶液)が供給される。
次に、上記構成の液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出塗布装置によってPZT前駆体溶液を塗布する工程を含むPZT膜の製造方法のより具体的な実施例について説明する。
[実施例1]
本実施例では、SAM膜12を部分的に形成する表面改質工程(図1(b)〜(d))と、上記構成の液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出塗布装置を用いてPZT前駆体溶液Aを選択的に塗布する塗布工程(図1(e))と、塗布したPZT前駆体溶液Aを所定温度(温度120°C)で乾燥させる乾燥工程と、乾燥したPZT前駆体溶液Aを所定温度(温度500°C)で熱分解する熱分解工程とを1回ずつ行うことにより、基板11の白金電極上に所定パターンからなる100nmの膜を得る。この表面改質工程、塗布工程、乾燥工程及び熱分解工程を6回繰り返すことにより600nmの膜を得た後、その膜を熱分解して結晶化させる結晶化熱処理(温度700°C)をRTA(急速熱処理)にて行うことにより、基板11の白金電極上にパターン化した電気機械変換膜としてのPZT膜を形成した。その結果、PZT膜にクラックなどの不良は生じなかった。また、液滴吐出ヘッドにおけるミスト液滴301の回収により、必要なパターン形成部以外にPZT前駆体溶液が塗布されるパターン不良の発生はなかった。
更にその後、表面改質工程、塗布工程、乾燥工程(温度120°C)及び熱分解工程(温度500°C)を6回繰り返した後、結晶化処理を行った。その結果、クラックなどの不良が生じることなく、PZT膜の膜厚は1000nmに達した。このパターン化したPZT膜に白金からなる上部電極(第2に電極)をスパッタリング成膜し、電気特性、電気−機械変換能(圧電定数)の評価を行った。その結果、図6のP(分極)−E(電界強度)のヒステリシス曲線が得られ、PZT膜の比誘電率は1220、誘電損失は0.02、残留分極は19.3μC/cm、抗電界は36.5kV/cmであり、通常のセラミック焼結体と同等の特性を持っていることがわかった。また、電気−機械変換能は電界印加による変形量をレーザードップラー振動計で計測し、シミュレーションによる合わせ込みから算出した。その圧電定数d31は120pm/Vとなり、こちらもセラミック焼結体と同等の値であった。この値は液体吐出ヘッドに用いる圧電素子として十分設計できうる特性値である。
一方、上記白金からなる上部電極(第2に電極)を配置せずに、PZT膜の更なる厚膜化を試みた。すなわち、表面改質工程、塗布工程、乾燥工程(温度120°C)及び熱分解工程(温度500°C)の6回繰り返しとその後の結晶化処理とを、10回繰り返した。その結果、合計膜厚が5μmのパターン化したPZT膜を、クラックなどの欠陥を伴わずに得ることができた。
[実施例2]
本実施例では、上記白金からなる上部電極(第2に電極)の形成に図5に示す液滴吐出装置を用い、基板の下部電極上に形成したPZT膜上の必要な部分のみに液吐出ヘッドで白金材料を含む液(白金インク)を塗布して乾燥させた。他は実施例1と同様に行った。白金材料を含む液(白金インク)を塗布するときには、PZT前駆体溶液を塗布したときと同様に接触角のコントラストを利用して塗布領域を規定した。上部電極は短絡を防止するためにPZT膜パターンより小さい領域に塗布する必要があるため、PZT膜上にも撥水部(疎水面)を設ける必要がある。そのため、本実施例では、白金からなる上部電極を形成しない部分にレジストをパターニングし、その後、液吐出ヘッドで白金材料を含む液(白金インク)の塗布を行い、120°Cで白金を乾燥処理した後に、レジストを剥離して最終的に250°Cで焼結した。この焼成後の膜厚は0.5μmであり、比抵抗(体積抵抗率)は5×10−6Ω・cmであった。
また、本実施例においても、上記実施例1と同様に、クラックのない所望の膜厚のパターン化した電気機械変換膜としてのPZT膜を形成することができ、また、液滴吐出ヘッドにおけるミスト液滴301の回収により、必要なパターン形成部以外にPZT前駆体溶液が塗布されるパターン不良の発生もなかった。
[実施例3]
本実施例では、下部電極(第1の電極)を構成する他の白金族元素の電極膜として、ルテニウム、イリジウム、ロジウムをそれぞれ、チタン密着層を配置した熱酸化膜付きシリコンウェハ上にスパッタリング成膜した。SAM膜12の形成など他の工程は実施例1と同様に行った。また、下部電極(第1の電極)を構成する他の白金族合金の電極膜として、白金−ロジウム(ロジウム濃度は15wt%)もスパッタリング成膜した。更に、イリジウム酸化膜の上にイリジウム金属、または白金膜を配置した試料についても行った。これらの材料で下部電極(第1の電極)を形成したところ、SAM膜12を除去した電極露出面における純水の接触角は、すべての試料において5°以下(完全濡れ)であった(図7(a)参照)。一方、SAM膜12を配置したままの表面における純水の接触角は、すべての試料において90°程度であった(図7(b)参照)
また、本実施例においても、上記実施例1と同様に、クラックのない所望の膜厚のパターン化した電気機械変換膜としてのPZT膜を形成することができ、また、液滴吐出ヘッドにおけるミスト液滴301の回収により、必要なパターン形成部以外にPZT前駆体溶液が塗布されるパターン不良の発生もなかった。
図8は、上記製造方法で製造した電気機械変換素子(PZT素子)40を用いて構成した液吐出ヘッド50の一構成例を示す概略構成図である。図示の例では、液室(圧力室)20aが形成される液室基板となるシリコン基板20上に、振動板30、密着層41及び下部電極(第1の電極)42を積層し、その下部電極(第1の電極)42上の所定部分に、上記簡便な製造方法により、バルクセラミックスと同等の性能を持つ電気機械変換素子(PZT素子)43及び上部電極44をパターン化して形成することができる。その後、シリコン基板20の裏面(図中の下面)からエッチング除去工程により液室21を形成し、ノズル孔21を有するノズル板22を接合することにより、液体吐出ヘッド50を作製することができる。なお、図中には液体供給手段、流路、流体抵抗についての記述は省略した。また、図8の液吐出ヘッド50は、図9に示すように複数個並べるように構成することもできる。
図10は上記製造方法で製造した電気機械変換素子を用いることができる液滴吐出装置の一構成例を示す概略構成図である。また、図11は、同液滴吐出装置の概略透視斜視図である。なお、同図に示す本発明の液滴吐出装置は、上述した本発明の電気機械変換素子の製造方法によって製造された電気機械変換素子を具備する液滴吐出ヘッドを搭載している。同図に示す本発明の液滴吐出装置の一例であるインクジェット記録装置100は、主に、記録装置本体の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ101と、キャリッジ101に搭載した本発明を実施して製造した液滴吐出ヘッドの一例であるインクジェットヘッドからなる記録ヘッド102と、記録ヘッド102へインクを供給するインクカートリッジ103とを含んで構成される印字機構部104を有している。また、装置本体の下方部には前方側から多数枚の用紙105を積載可能な給紙カセット106を抜き差し自在に装着することができ、また用紙105を手差しで給紙するための手差しトレイ107を開倒することができ、給紙カセット106或いは手差しトレイ107から給送される用紙105を取り込み、印字機構部104によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ108に排紙する。印字機構部104は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド109と従ガイドロッド110とでキャリッジ101を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ101にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドの一例であるインクジェットヘッドからなる記録ヘッド102を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。また、キャリッジ101には記録ヘッド102に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ103を交換可能に装着している。インクカートリッジ103は上方に大気と連通する大気口、下方には記録ヘッド102へインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により記録ヘッド102へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、記録ヘッド102としてここでは各色のヘッドを用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。ここで、キャリッジ101は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド109に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド110に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ101を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ111で回転駆動される駆動プーリ112と従動プーリ113との間にタイミングベルト114を張装し、このタイミングベルト104をキャリッジ101に固定しており、主走査モータ111の正逆回転によりキャリッジ101が往復駆動される。
一方、給紙カセット106にセットした用紙105を記録ヘッド102の下方側に搬送するために、給紙カセット106から用紙105を分離給装する給紙ローラ115及びフリクションパッド116と、用紙105を案内するガイド部材117と、給紙された用紙105を反転させて搬送する搬送ローラ118と、この搬送ローラ118の周面に押し付けられる搬送コロ119及び搬送ローラ118からの用紙105の送り出し角度を規定する先端コロ120とを設けている。搬送ローラ118は副走査モータ121によってギヤ列を介して回転駆動される。そして、キャリッジ101の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ118から送り出された用紙105を記録ヘッド102の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材122を設けている。この印写受け部材122の用紙搬送方向下流側には、用紙105を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ123、拍車124を設け、さらに用紙105を排紙トレイ108に送り出す排紙ローラ125及び拍車126と、排紙経路を形成するガイド部材127,128とを配設している。記録時には、キャリッジ101を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド102を駆動することにより、停止している用紙105にインクを吐出して1行分を記録し、用紙105を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙105の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙105を排紙する。また、キャリッジ101の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、記録ヘッド102の吐出不良を回復するための回復装置129を配置している。回復装置129はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ101は印字待機中にはこの回復装置129側に移動されてキャッピング手段で記録ヘッド102をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
以上、本実施形態によれば、電気機械変換膜(PZT膜)15を形成するための原料を含む塗布液(PZT前駆体溶液)202の液滴をノズル孔201aから吐出させて基板11の第1の電極上の所定部分に選択的に塗布するときに、そのノズルから吐出した塗布液の主液滴300に付随する微小の付随液滴(ミスト液滴)301を第1の電極に到達する前に回収する。これにより、ノズル孔201aから吐出した塗布液の主液滴300については、第1の電極上における所望パターンの所定部分に塗布できるとともに、その主液滴300に付随する不要な付随液滴301については、第1の電極に付着しなくなる。よって、電気機械変換膜15を形成するための原料を含む塗布液202をノズルから吐出させて電極上に塗布するときに不要な液滴を電極に付着させることなく、所望パターンの電気機械変換膜15を形成することができる。
また、本実施形態によれば、前記塗布液(PZT前駆体溶液)202を塗布する塗布工程の前に、第1の電極上の塗布液が塗布される所定部分の表面を親水面にする第1の表面改質及び第1の電極上の塗布液が塗布される所定部分以外の表面を疎水面にする第2の表面改質のいずれか一方の表面改質を行っている。この表面改質により、塗布液(PZT前駆体溶液)202を塗布したときに、疎水面及び親水面の表面エネルギーのコントラストを利用してPZT前駆体溶液の塗り分けをすることができる。
また、本実施形態によれば、ノズル孔201aから吐出する付随液滴(ミスト液滴)301を所定極性に帯電させ、ノズル孔201aから吐出した所定極性の付随液滴301を静電的に回収することにより、ミスト液滴301を簡易に且つ確実に回収できる。
また、本実施形態によれば、ノズル孔201aの近傍に形成した所定電界により、所定極性の付随液滴301を主液滴300の飛翔方向とは異なる回収方向に偏向させて付随液滴301を回収することにより、ノズル孔201aの近傍で付随液滴301を確実に回収できる。
また、本実施形態によれば、第1の電極上にチオール化合物により成された後、フォトリソグラフィ・エッチング、またはマスクを介した紫外線照射により部分的にチオール化合物を除去することにより、第1の電極上の塗布液が塗布される所定部分以外の表面にPAM膜を形成して確実に疎水面にすることができる。
また、本実施形態によれば、ミスト液滴301を付着させることなく、第1の電極上に所定膜厚のパターン化した電気機械変換膜15を形成した後、その第1の電極上に形成した電気機械変換膜15を挟むように第2の電極を配置することにより、高品質の電気機械変換素子を製造できる。しかも、その第2電極配置工程として、第2の電極を形成するための原料を含む電極用塗布液の液滴をノズルから吐出させる液滴吐出方式により、電気機械変換膜15上の所定部分に前記電極用塗布液を塗布することにより、電気機械変換膜15の表面のみにパターン化した第2の電極を簡易に配置できる。
また、本実施形態によれば、前記第1の電極及び前記第2の電極が白金族元素、及びその酸化物、またはこれら数種の積層膜からなることにより、良好な親水面を有する第1の電極を形成できるとともに、第2の電極については液滴吐出方式を用いて簡易に配置できる。
なお、本発明は上記実施形態や実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載
であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
11 基板
12 SAM膜
13 フォトレジスト、
14 PZT膜
15 電気機械変換膜
50 液滴吐出ヘッド
60 液滴吐出塗布装置
69 液滴吐出ヘッド(製造用)
100 インクジェット記録装置
200 液滴吐出ヘッド(製造用)
201 ノズル板
201a ノズル孔
201b ノズル面
202 塗布液(PZT前駆体溶液)
203 液室
204 振動板
205 圧電素子
206 吐出駆動電源
207 ミスト回収用電極
207a 導電体部材
207b 絶縁層
300 主液滴
301 ミスト液滴
特開2003−297825号公報 特開2006−176385号公報
K.D.Budd, S.K.Dey and D.A.Payne,Proc.Brit.Ceram.Soc.36,107(1985) A.Kumar and G.M.Whitesides, Appl.Phys.Lett.,63,2002(1993)

Claims (8)

  1. 電気機械変換膜を形成するための原料を含む塗布液の液滴を液滴吐出ヘッドのノズルから吐出させる液滴吐出方式により、第1の電極上の所定部分に前記塗布液を選択的に塗布する塗布工程と、前記第1の電極上に塗布した塗布液の膜を乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥させた塗布液の膜を熱分解して結晶化させる結晶化工程とを有する電気機械変換膜の製造方法であって、
    前記塗布工程は、前記液滴吐出ヘッドのノズルから吐出した塗布液の主液滴に付随する微小の付随液滴を前記第1の電極に到達する前に回収する回収工程を有し、
    前記回収工程は、
    前記液滴吐出ヘッドのノズルから吐出する前記付随液滴を所定極性に帯電させる帯電工程と、
    前記液滴吐出ヘッドのノズルの近傍に形成した所定電界により、前記所定極性の付随液滴を前記主液滴の飛翔方向とは異なる回収方向に偏向させて前記所定極性の付随液滴を静電的に回収する静電回収工程とを有し、
    前記液滴吐出ヘッドとして、前記所定極性の付随液滴を前記主液滴の飛翔方向とは異なる回収方向に偏向させる所定電界を発生させるように、前記塗布液を吐出するノズルの近傍に配置した回収電極を備えた液滴吐出ヘッドを用いることを特徴とする電気機械変換膜の製造方法。
  2. 請求項1の電気機械変換膜の製造方法において、
    前記塗布工程の前に、前記第1の電極上の前記塗布液が塗布される所定部分の表面を親水面にする第1の表面改質及び前記第1の電極上の前記塗布液が塗布される所定部分以外の表面を疎水面にする第2の表面改質のいずれか一方の表面改質を行う表面改質工程を、更に有することを特徴とする電気機械変換膜の製造方法。
  3. 請求項2の電気機械変換膜の製造方法において、
    前記表面改質工程における前記第2の表面改質は、前記第1の電極上にチオール化合物により成された後、フォトリソグラフィ・エッチング、またはマスクを介した紫外線照射により部分的にチオール化合物を除去するように行うことを特徴とする電気機械変換膜の製造方法。
  4. 電気機械変換素子の製造方法であって、
    請求項1乃至のいずれかの電気機械変換膜の製造方法により、前記第1の電極上に所定膜厚の電気機械変換膜を形成した後、その第1の電極上に形成した電気機械変換膜を挟むように第2の電極を配置する第2電極配置工程を有することを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。
  5. 請求項の電気機械変換素子の製造方法において、
    前記第2電極配置工程は、前記第2の電極を形成するための原料を含む電極用塗布液の液滴をノズルから吐出させる液滴吐出方式により、前記電気機械変換膜上の所定部分に前記電極用塗布液を塗布する工程を有することを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。
  6. 請求項又はの電気機械変換素子の製造方法において、
    前記第1の電極及び前記第2の電極が白金族元素、及びその酸化物、またはこれら数種の積層膜からなることを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかの製造方法における前記塗布工程で用いられる液滴吐出ヘッド。
  8. 請求項の液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置であって、
    前記ノズルから吐出する前記付随液滴を所定極性に帯電させる手段と、
    前記所定電界を発生させるように前記回収電極に所定電位を与える手段と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
JP2010207747A 2010-09-16 2010-09-16 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 Expired - Fee Related JP5674104B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010207747A JP5674104B2 (ja) 2010-09-16 2010-09-16 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010207747A JP5674104B2 (ja) 2010-09-16 2010-09-16 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012064750A JP2012064750A (ja) 2012-03-29
JP5674104B2 true JP5674104B2 (ja) 2015-02-25

Family

ID=46060157

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010207747A Expired - Fee Related JP5674104B2 (ja) 2010-09-16 2010-09-16 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5674104B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102474000B1 (ko) * 2022-03-07 2022-12-05 주식회사피에스디이 나노 임프린팅을 위한 디스펜서 및 그 제조 방법

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003257269A (ja) * 2002-02-28 2003-09-12 Star Micronics Co Ltd 誘電体膜の製造方法
JP2004006645A (ja) * 2002-04-19 2004-01-08 Seiko Epson Corp 圧電体素子の製造方法、圧電体素子並びに液滴吐出式記録ヘッド
JP4044012B2 (ja) * 2003-08-29 2008-02-06 シャープ株式会社 静電吸引型流体吐出装置
JP2007021840A (ja) * 2005-07-14 2007-02-01 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012064750A (ja) 2012-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5423414B2 (ja) 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換膜、電気機械変換膜群、電気機械変換素子の製造方法、電気機械変換素子、電気機械変換素子群、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、画像形成装置
JP6182968B2 (ja) 電気機械変換素子、液滴吐出ヘッド、画像形成装置及び電気機械変換素子の製造方法
JP5772039B2 (ja) 電気機械変換膜の製造方法および電気機械変換素子の製造方法
JP2013065832A (ja) 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、該製造方法により製造した電気機械変換素子、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
US9056454B2 (en) Actuator, method of manufacturing the actuator, and liquid droplet ejecting head, liquid droplet ejecting apparatus, and image forming apparatus having the actuator
JP2013225671A (ja) 薄膜製造装置、電気−機械変換素子、液体吐出ヘッド、画像形成装置および薄膜製造方法
JP5720879B2 (ja) 電気−機械変換膜とその作製方法、電気−機械変換素子、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
JP5884272B2 (ja) 薄膜製造方法
JP2013065633A (ja) 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、該製造方法により製造した電気機械変換素子、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP6060582B2 (ja) 電気機械変換膜の形成方法、電気機械変換素子の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び画像形成装置の製造方法
JP5674104B2 (ja) 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP5716326B2 (ja) 電気機械変換部材、液体吐出ヘッド及び画像形成装置
JP5736829B2 (ja) 電気機械変換素子の製造方法、この製造方法により製造された電気機械変換素子、及びこれを用いたインクジェットヘッド並びにインクジェット記録装置
JP5736819B2 (ja) 電気機械変換膜の作製方法及び電気機械変換素子の作製方法
JP5853355B2 (ja) 電機−機械変換膜の製造方法
JP5664957B2 (ja) 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP5831798B2 (ja) 電気機械変換膜の製造方法
JP5741102B2 (ja) 電気機械変換素子の製造方法、電気機械変換素子、液滴吐出ヘッド、及び液滴吐出装置
JP6146655B2 (ja) 膜の形成方法、電気機械変換素子の製造方法、及び液滴吐出装置
JP6102099B2 (ja) 電気機械変換素子及びその製造方法、並びに液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP5857548B2 (ja) 薄膜製造方法、電気機械変換素子の製造方法及び液体吐出ヘッドの製造方法
JP5858331B2 (ja) 薄膜製造装置、電気機械変換膜素子、液滴吐出ヘッド、及び、液滴吐出装置
JP5854316B2 (ja) 電気機械変換膜の製造方法及び電気機械変換素子の製造方法
JP6098934B2 (ja) 電気機械変換膜の製造装置及びその製造方法
JP6171372B2 (ja) 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130813

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140829

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141022

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141218

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5674104

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees