JP2003257269A - 誘電体膜の製造方法 - Google Patents

誘電体膜の製造方法

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JP2003257269A
JP2003257269A JP2002054472A JP2002054472A JP2003257269A JP 2003257269 A JP2003257269 A JP 2003257269A JP 2002054472 A JP2002054472 A JP 2002054472A JP 2002054472 A JP2002054472 A JP 2002054472A JP 2003257269 A JP2003257269 A JP 2003257269A
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compound
self
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dielectric film
sol
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JP2002054472A
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English (en)
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Masami Iwayama
正巳 岩山
Tatsuo Fujinami
達雄 藤浪
Hisao Suzuki
久男 鈴木
Masato Tanaka
正人 田中
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Star Micronics Co Ltd
Original Assignee
Star Micronics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高価な装置や添加剤を必要とせず、比較的簡
易な操作で精度良く導電性基材上に焦電薄膜や圧電薄膜
等として有用な誘電体膜を製造することができる方法を
提供すること。 【解決手段】 末端にフッ素置換アルキル基を有するチ
オール化合物、ジスルフィド化合物、スルフィド化合
物、カルボン酸化合物等の自己集合性化合物を導電性基
材の表面に吸着せしめて自己集合単分子膜を形成する化
合物供給工程、前記自己集合単分子膜を形成している自
己集合性化合物の少なくとも一部を前記基材から選択的
に脱離せしめ、該基材の表面に撥液性である非脱離面と
親液性である脱離面とを設ける脱離工程、前記基材の表
面に、脱離面に優先的に付着する金属有機化合物、溶媒
及び触媒を含有するゾルを供給するゾル供給工程、及び
前記基材の脱離面に付着したゾルを加熱して金属酸化物
からなる誘電体膜を得る加熱処理工程、を含むことを特
徴とする誘電体膜の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焦電薄膜や圧電薄
膜として有用な誘電体膜の製造方法に関するものであ
り、さらに詳細には、いわゆるゾルゲル法を用いて導電
性基材上に誘電体の薄膜を形成する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】いわゆるゾルゲル法を用いたセラミック
スのパターニング方法としては、従来、ゲルにスタンパ
ーを押し当てることによって形状を付与するという方法
があった。しかしながら、このような物理的な方法の場
合、誘電体薄膜のようなセラミックス薄膜を得ようとす
るとスタンパーを高圧で押し付ける必要があり、パター
ニングの精度においても十分なものではなかった。
【0003】また、ゲルにレーザー光や紫外光を照射し
て加熱・反応励起させることによってパターニングする
という光学的な方法もあったが、レーザー光を用いてセ
ラミックス薄膜を得るにはレーザー光を平面的に走査す
る高価な設備が必要であり、また、紫外光を用いてセラ
ミックス薄膜を得るには感光性添加剤を含有させる必要
があり、いずれも十分なものではなかった。
【0004】一方、特開2002−26014号公報に
は、絶縁膜上にフルオロアルキルシランを用いて自己組
織化膜を形成した後、その一部を除去した部分に金属微
粒子を溶剤中に分散させた液体を塗布・乾燥せしめて配
線を形成する方法が記載されている。しかしながら、同
公報に記載の方法では、絶縁膜上に配線を形成できるも
のの、導電性基材上に焦電薄膜や圧電薄膜等として有用
な誘電体膜を形成することはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高価な装
置や添加剤を必要とせず、比較的簡易な操作で精度良く
導電性基材上に焦電薄膜や圧電薄膜等として有用な誘電
体膜を製造することができる方法を提供することを目的
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の自己集合性
化合物をレジストとして用いていわゆるゾルゲル法によ
って金属酸化物からなる誘電体膜を形成することによっ
て上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0007】すなわち、本発明の誘電体膜の製造方法
は、末端にフッ素置換アルキル基を有するチオール化合
物、末端にフッ素置換アルキル基を有するジスルフィド
化合物、末端にフッ素置換アルキル基を有するスルフィ
ド化合物、及び末端にフッ素置換アルキル基を有するカ
ルボン酸化合物からなる群から選択される少なくとも一
つの自己集合性化合物を導電性基材の表面に吸着せしめ
て自己集合単分子膜を形成する化合物供給工程、前記自
己集合単分子膜を形成している自己集合性化合物の少な
くとも一部を前記基材から選択的に脱離せしめ、該基材
の表面に撥液性である非脱離面と親液性である脱離面と
を設ける脱離工程、前記基材の表面に、脱離面に優先的
に付着する金属有機化合物、溶媒及び触媒を含有するゾ
ルを供給するゾル供給工程、及び前記基材の脱離面に付
着したゾルを加熱して金属酸化物からなる誘電体膜を得
る加熱処理工程、を含むことを特徴とする方法である。
【0008】上記本発明の誘電体膜の製造方法において
用いられる自己集合性化合物としては、下記一般式
(1)〜(4): HS-(CH2)a-X-(CH2)b-(CF2)c-CF3 (1) F3C-(CF2)f-(CH2)e-Y-(CH2)d-S-S-(CH2)a-X-(CH2)b-(CF2)c-CF3 (2) F3C-(CF2)f-(CH2)e-Y-(CH2)d-S-(CH2)a-X-(CH2)b-(CF2)c-CF3 (3) HOOC-(CH2)a-X-(CH2)b-(CF2)c-CF3 (4) [上記一般式(1)〜(4)中、X,Yはそれぞれエス
テル結合、エーテル結合又は単結合であり、a,dはそ
れぞれ2〜22の整数であり、b,eはそれぞれ0〜1
5の整数であり、c,fはそれぞれ1〜15の整数であ
る]で表わされる化合物からなる群から選択される少な
くとも一つの自己集合性化合物が好ましい。
【0009】また、本発明の誘電体膜の製造方法におい
て用いられる導電性基材としては、白金、金、銀、銅、
アルミニウム及び酸化アルミニウムからなる群から選択
される少なくとも一つの材料からなる親液性の表面を有
するものが好ましい。
【0010】更に、本発明の誘電体膜の製造方法におい
て用いられる金属有機化合物としては、鉛、チタン、ジ
ルコニウム、リチウム、ニオブ、マンガン、カルシウ
ム、ランタン、バリウム、ストロンチウム、ビスマス、
タンタルからなる群から選択される少なくとも一つの金
属のアルコキシド、アセチルアセトナート又は有機酸塩
が好ましい。
【0011】なお、自己集合性化合物とは、所定の基材
表面(固液界面)に自発的にほぼ均一な単分子層の吸着
膜(自己集合単分子膜)を形成することが可能な化合物
であり、基材の表面に吸着可能な吸着官能基とその吸着
官能基に結合している脂肪族化合物残基とを有している
ものが一般的である。そして、自己集合性化合物を特定
の基材表面に吸着(化学吸着)させたときに、その分子
集合性(吸着官能基による吸着作用と、その吸着官能基
に結合している基による分子間相互作用)により、基材
表面に自己集合性化合物がほぼ規則正しく配列する。こ
のような配列により形成された膜を自己集合単分子膜も
しくは自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayers
といい、SAMと略称される)という。また、このように基
材表面に自己集合性化合物を規則正しく配列させること
を、基材表面に自己集合性化合物を修飾させるという。
上記のような現象は、R.G.Nuzzo et al.,J.Am.Chem.So
c.,105(1983),4481-4483等で報告されている。
【0012】また、ここでいう「親液性」とは、ゾル若
しくはゾルに含有されるに溶媒に対して濡れ易い性質を
いう。他方、ここでいう「撥液性」とは、ゾル若しくは
ゾルに含有されるに溶媒に対して濡れ難い性質をいう。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、図面中、
同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0014】先ず、本発明の誘電体膜の製造方法におい
て用いる材料について説明する。本発明に係る自己集合
性化合物は、末端にフッ素置換アルキル基を有するチオ
ール化合物、末端にフッ素置換アルキル基を有するジス
ルフィド化合物、末端にフッ素置換アルキル基を有する
スルフィド化合物、及び末端にフッ素置換アルキル基を
有するカルボン酸化合物からなる群から選択される少な
くとも一つの自己集合性化合物であり、好ましくは以下
のものが挙げられる。
【0015】(I)一般式(1):HS-(CH2)a-X-(CH2)b
-(CF2)c-CF3で表わされるチオール化合物 i)吸着官能基:−SH基(チオール基) ii)基材:白金、金、銀、銅等 iii)Xはエステル結合、エーテル結合又は単結合であ
り、好ましくはエステル結合又はエーテル結合である。 iv)aは2〜22(好ましくは5〜15)であり、bは
0〜15(好ましくは2〜5)であり、cは1〜15
(好ましくは2〜10)であり、a+b+cは10〜2
0であることが好ましい。
【0016】(II)一般式(2):F3C-(CF2)f-(CH2)e-
Y-(CH2)d-S-S-(CH2)a-X-(CH2)b-(CF 2)c-CF3で表わされ
るジスルフィド化合物 i)吸着官能基:−SS−基(ジスルフィド基) ii)基材:白金、金、銀、銅等 iii)X,Yは同一でも異なっていてもよく、それぞれエ
ステル結合、エーテル結合又は単結合であり、好ましく
はエステル結合又はエーテル結合である。 iv)a,dは同一でも異なっていてもよく、それぞれ2〜
22(好ましくは5〜15)であり、b,eは同一でも
異なっていてもよく、それぞれ0〜15(好ましくは2
〜5)であり、c,fは同一でも異なっていてもよく、
それぞれ1〜15(好ましくは2〜10)であり、a+
b+c,d+e+fはそれぞれ10〜20であることが
好ましい。
【0017】(III)一般式(3):F3C-(CF2)f-(CH2)e
-Y-(CH2)d-S-(CH2)a-X-(CH2)b-(CF2)c-CF3で表わされる
スルフィド化合物 i)吸着官能基:−S−基(スルフィド基) ii)基材:白金、金、銀、銅等 iii)X,Yは同一でも異なっていてもよく、それぞれエ
ステル結合、エーテル結合又は単結合であり、好ましく
はエステル結合又はエーテル結合である。 iv)a,dは同一でも異なっていてもよく、それぞれ2〜
22(好ましくは5〜15)であり、b,eは同一でも
異なっていてもよく、それぞれ0〜15(好ましくは2
〜5)であり、c,fは同一でも異なっていてもよく、
それぞれ1〜15(好ましくは2〜10)であり、a+
b+c,d+e+fはそれぞれ10〜20であることが
好ましい。
【0018】(IV)一般式(4):HOOC-(CH2)a-X-(C
H2)b-(CF2)c-CF3で表わされるカルボン酸化合物 i)吸着官能基:−COOH(カルボキシル基) ii)基材:アルミニウム、酸化アルミニウム等 iii)Xはエステル結合、エーテル結合又は単結合であ
り、好ましくはエステル結合又はエーテル結合である。 iv)aは2〜22(好ましくは5〜15)であり、bは
0〜15(好ましくは2〜5)であり、cは1〜15
(好ましくは2〜10)であり、a+b+cは10〜2
0であることが好ましい。
【0019】なお、上記一般式(1)〜(4)中、Xが
エステル結合又はエーテル結合であると、自己集合単分
子膜(SAM)上に付着したゾル(ゾルゲル溶液)の液
ぎれがより良好となる傾向にある。
【0020】また、上記一般式(1)〜(4)中、a,
b,d,eが上記下限未満では基材表面に配列する自己
集合性化合物の密度(凝集密度)が粗になる傾向にあ
り、他方、a,b,d,eが上記上限を超えると溶媒に
分散し難くなる傾向にある。更に、c,fが上記下限未
満では撥液性が不十分となる傾向にあり、他方、c,f
が上記上限を超えると自己集合性化合物の集合性が低下
して撥液性が低下し、同時に溶媒に分散し難くなる傾向
にある。
【0021】更に、上記一般式(1)〜(4)中、a+
b+c,d+e+fが上記下限未満では基材に吸着した
自己集合性化合物の充分な均一性が得られなくなる傾向
にあり、他方、a+b+c,d+e+fが上記上限を超
えると基材と自己集合性化合物との結合の熱的安定性が
高くなり過ぎる傾向にある。
【0022】なお、上記自己集合性化合物によって形成
される自己集合単分子膜においては、フッ素置換アルキ
ル基の末端(吸着官能基に結合していない側の端)がほ
ぼ均一に配列した表面となっており、その単分子膜表面
の濡れ性は基材表面からの影響を受けない。従って、自
己集合単分子膜表面(非脱離面)は撥液性(撥水・撥油
性)を示すのに対して、自己集合性化合物が脱離した面
(脱離面)は親液性(親水・親油性)を示す。
【0023】また、本発明の誘電体膜の製造方法におい
て用いられる導電性基材としては親液性の表面を有する
導電性基材であればよく特に制限されないが、白金、
金、銀、銅、アルミニウム及び酸化アルミニウムからな
る群から選択される少なくとも一つの材料からなるもの
が好ましい。上記自己集合性化合物とこれらの導電性基
材とを組み合わせて用いることにより、より効率良くか
つ均一に自己集合単分子膜を形成し、しかもより精度良
く自己集合単分子膜の一部を脱離せしめることが可能と
なる傾向にある。
【0024】更に、本発明の誘電体膜の製造方法におい
て用いられるゾルは、上記自己集合性化合物からなる自
己集合単分子膜を脱離した親液性の面に優先的に付着可
能であり、かつ後述する加熱処理により金属酸化物から
なり誘電体となるものであり、金属有機化合物、溶媒及
び触媒を含有するゾルである。
【0025】従って、このような金属有機化合物におけ
る金属としては、鉛、チタン、ジルコニウム、リチウ
ム、ニオブ、マンガン、カルシウム、ランタン、バリウ
ム、ストロンチウム、ビスマス、タンタルからなる群か
ら選択される少なくとも一つの金属が好ましく、鉛+ジ
ルコニウム+チタンの組み合わせ(PZT)、鉛+リチ
ウム+チタンの組み合わせ(PLT)、鉛+チタンの組
み合わせ(PT)、バリウム+チタンの組み合わせ(B
aTiO3)等の強誘電体を形成し得るものが特に好ま
しい。また、このような金属の有機化合物としては、上
記金属のアルコキシド、アセチルアセトナート又は有機
酸塩が好ましい。なお、ゾル中における金属有機化合物
の濃度は0.01〜2mol/lが一般的である。
【0026】また、本発明に係るゾルに使用される溶媒
としては、加水分解に必要な水に加え、アルコール類、
メトキシエタノール、ジオール、有機酸等が使用可能で
あり、水とアルコール類(好ましくはエタノール等の極
性溶媒)との混合溶媒が好ましい。
【0027】更に、本発明に係るゾルに使用される触媒
としては、塩酸、硝酸、酢酸等の酸や、アンモニア等の
塩基、有機アルミナート等が挙げられ、用いる金属有機
化合物等にしたがって適宜選択される。
【0028】また、本発明に係るゾルは、上記の金属有
機化合物、溶媒及び触媒に加えて更に他の成分を含有し
てもよく、このような成分としては例えば架橋剤(具体
的にはアセチルアセトン等のβ−ジケトン類、ジエタノ
ールアミン等のアルカノールアミン類等)が挙げられ
る。
【0029】また、本発明に係るゾルは、上記諸成分を
混合して均質溶液としたものでもよいが、用いる材料に
適切な条件で加熱保持して加水分解及び/又は重縮合反
応せしめて金属酸化物微粒子が分散しているゾルとした
ものが好ましい。
【0030】次に、図1を参照しつつ本発明の誘電体膜
の製造方法について詳細に説明する。図1(a)〜
(d)は本発明の誘電体膜の製造方法の好適な一実施形
態の諸工程における基材表面の状態をそれぞれ示す断面
模式図である。
【0031】本実施形態においては、先ず、導電性基材
1の表面を自己集合性化合物2の溶液3に浸漬して基材
1の表面に自己集合性化合物2を供給する。このように
すると、図1(a)に示すように、基材1の表面(固液
界面)に自己集合性化合物2が自発的に配列・吸着し、
自己集合性化合物2が高密度で均一に配列した単分子層
の吸着膜(自己集合単分子膜)が形成される。なお、本
実施形態にかかる自己集合性化合物2は、吸着官能基と
それに結合しているフッ素置換アルキル基を有してお
り、吸着官能基を2aで示し、それ以外のフッ素置換ア
ルキル基等を2bで示している。図1(b)に示すよう
に、自己集合性化合物2の吸着官能基2aが基材1の表
面に吸着し、フッ素置換アルキル基2bの末端が自己集
合単分子膜の表面(露出している側の面)に露出してい
る。
【0032】このような自己集合単分子膜の形成速度を
左右する因子としては、温度、溶媒の種類、溶液濃度等
があり、用いる自己集合性化合物と基材との組合わせに
応じて製膜速度が速くなるように適宜選択される。な
お、単分子膜の形成は室温でも可能である。溶媒は特に
制限されないが、単分子層内への侵入性が低いことが好
ましく、自己集合性化合物の溶解性の観点から有機溶媒
が好ましい。中でも、エタノール(プロトン性極性溶
媒)、酢酸エチル(非プロトン性極性溶媒)、ヘキサン
(無極性溶媒)等が好適に使用される。また、溶液3中
の自己集合性化合物2の濃度としては、単分子膜を確実
に得るためには0.0001mM以上が好ましく、0.
01mM以上10mM以下が特に好ましい。溶液濃度が
上記下限未満では、単分子膜の形成に要する時間が長く
なる傾向にあり、他方、溶液濃度が上記上限を超える
と、自己集合性化合物自体が自己集合を妨害したり、過
剰な自己集合性化合物が表面に析出したりする可能性が
生じる傾向にあるからである。
【0033】なお、本発明において自己集合性化合物2
を供給する方法は特に制限されず、ディップコーティン
グ法等が適宜採用されるが、その際の導電性基材1と自
己集合性化合物2との接触時間は0.5〜48時間程度
が好ましい。また、基材表面への自己集合単分子膜の形
成は、必ずしも単分子膜が完全に形成されるまで(化合
物密度が飽和状態となるまで)行う必要はなく、基材表
面に自己集合性化合物がほぼ均一に吸着して単分子膜表
面の濡れ性が基材表面の濡れ性に対して相違するまでで
よい。
【0034】次に、導電性基材1上に形成された自己集
合単分子膜2を溶媒で洗浄して膜形成に関与していない
自己集合性化合物を除去し、更に乾燥して溶媒を除去す
る。なお、かかる洗浄工程は必ずしも必須ではなく、乾
燥工程だけであってもよい。
【0035】そして、図1(b)に示すように、自己集
合単分子膜を形成している自己集合性化合物2に対し
て、薄膜形成部分に対応した開口部を有するマスク5を
被せた後、紫外線6を照射して自己集合性化合物2を選
択的に脱離せしめる。それによって、表面に互いに濡れ
性が相違する脱離面(親水性)7と非脱離面(撥水性)
8とが形成される。
【0036】このように自己集合性化合物2を選択的に
脱離せしめる際の紫外線強度及び時間は、用いる自己集
合性化合物の結合エネルギー(単分子膜の熱安定性)に
応じて適宜選択されるが、通常、100〜300W程度
の強度の紫外線を1〜30分程度照射することが好まし
い。
【0037】なお、自己集合性化合物2を選択的に脱離
せしめる方法は紫外線照射に限定されず、例えばサーマ
ルヘッドによる加熱やレーザー光の照射であってもよ
い。加熱により自己集合性化合物2を脱離せしめる際の
温度としては100〜300℃の範囲が好ましく、その
際の時間は1〜30分程度が好ましい。また、上記脱離
工程の後に基材1の表面を洗浄して脱離された自己集合
性化合物2を除去し、更に乾燥して洗浄液を除去する工
程を更に含んでもよい。
【0038】次いで、上記導電性基材1の表面に前記ゾ
ル10が供給される。図1(c)において脱離面7が親
水性でかつ非脱離面8が撥水性であるため、ゾル10は
脱離面7にのみ優先的に付着される。なお、本発明にお
いてゾル10を供給する方法は特に制限されず、図1
(c)においてはコーター9を用いて塗布する方法を示
しているが、ディップコーティング法、スピンコーティ
ング法等であってもよい。ディップコーティング法を採
用する場合、基材1の引き上げ速度は1cm/min〜
20cm/minが好ましく、5cm/min〜15c
m/minがより好ましい。
【0039】その後、導電性基材1の脱離面7に付着し
たゾル10を加熱し、図1(d)に示すように金属酸化
物からなる誘電体膜11を得る。これによって、本発明
の誘電体膜の製造方法が完了する。なお、ゾル10を加
熱して金属酸化物からなる誘電体膜11とする際の条件
は特に制限されないが、250〜450℃程度に1〜6
0分程度保持して乾燥せしめた後、500〜700℃程
度に1〜60分程度保持して金属酸化物からなる誘電体
膜11を得ることが好ましい。また、加熱処理する際の
雰囲気は、大気、酸素含有雰囲気等が好ましい。更に、
前者の乾燥工程を経ることなく後者の加熱工程を実施し
てもよい。また、上記の加熱工程において基材1上に残
存している自己集合性化合物は脱離する傾向にあるが、
自己集合性化合物の全てが脱離する必要は必ずしもな
く、一部に自己集合性化合物が残存していてもよい。
【0040】更に、本発明の誘電体膜の製造方法におい
ては、上記の化合物供給工程、脱離工程、ゾル供給工
程、及び加熱処理工程を繰り返してもよく、それによっ
て複数層が積層された誘電体膜を得ることが可能であ
る。
【0041】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
より具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定
されるものではない。
【0042】実施例1 導電性基材として白金電極付シリコン基板(Pt/Ti
/SiO2/Si)(20mm×20mm×0.5mm)を用い、上記
基材の白金表面を溶媒洗浄し、更に乾燥窒素で乾燥せし
めた。次いで、自己集合化合物であるHS-(CH2)10-COO-
(CH2)2-(CF2)5-CF3が0.4mmol/lとなるように
溶解させたエタノール溶液中に前記基材を浸漬し、この
状態で24時間放置した。その結果、上記チオール化合
物が白金表面に均一に吸着して自己集合単分子膜が形成
された。なお、上記浸漬の後にも基材の表面を溶媒洗浄
し、更に乾燥窒素で乾燥せしめた。
【0043】次に、上記のように自己集合単分子膜が形
成された導電性基材の表面をメタルマスク(開口部の線
幅1.1mm)で覆い、240Wの強度の紫外線を10
分間照射したところ、マスクスルー部分の自己集合化合
物が脱離し、導電性基材の表面には撥液性である非脱離
面と親液性である脱離面とが形成された。なお、上記紫
外線照射の後にも基材の表面を溶媒洗浄し、更に乾燥窒
素で乾燥せしめた。
【0044】次いで、以下の組成を有するPZTゾル: Pb:Zr:Ti=120:53:47(モル比) Pb,Zr,Ti合計含量(アルコキシドとして混
合):0.3mol/l 水含量:6.7容量% エタノール含量:60容量% 触媒:酢酸 架橋剤:アセチルアセトン を、上記自己集合単分子膜がパターニングされた導電性
基材にディップコーターを用いて塗布した。すなわち、
大気雰囲気下において上記ゾルを入れたビーカー中に上
記基材を浸漬し、その直後に10cm/minの引き上
げ速度で引き上げた。その結果、自己集合単分子膜が脱
離した面にのみゾルが付着した導電性基材が得られた。
【0045】そして、このように脱離面にのみゾルが付
着した導電性基材を350℃に10分保持して乾燥せし
めた後、600℃に10分保持したところ、鉛、ジルコ
ニア及びチタンの酸化物からなりかつパターニングされ
た誘電体薄膜(線幅1.1mm,膜厚約60nm)が表
面に形成された導電性基材が得られた。
【0046】比較例1 自己集合性化合物としてHS-(CH2)15-CH3の1mmol/
lエタノール溶液を用いた以外は実施例1と同様にして
導電性基材上に自己集合単分子膜を形成し、紫外線照射
によりその一部を脱離せしめてパターニングした後、P
ZTゾルを塗布したところ、PZTゾルは基板全面(脱
離面及び非脱離面)に付着してしまった。従って、この
ように基板全面にゾルが付着した導電性基材を実施例1
と同様にして加熱処理しても、パターニングされた誘電
体薄膜を得ることはできなかった。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の誘電体膜
の製造方法によれば、高価な装置や添加剤を必要とせ
ず、比較的簡易な操作で精度良く導電性基材上に焦電薄
膜や圧電薄膜等として有用な誘電体膜を製造することが
可能となる。従って、本発明の誘電体膜の製造方法によ
って、焦電薄膜や圧電薄膜等として有用な誘電体薄膜を
効率良くかつ安価に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)はそれぞれ、本発明の誘電体膜
の製造方法の好適な一実施形態の諸工程における基材表
面の状態をそれぞれ示す断面模式図である。
【符号の説明】
1…導電性基材、2…自己集合性化合物(自己集合単分
子膜)、3…溶液、5…マスク、6…紫外線、7…脱離
面、8…非脱離面、9…コーター、10…ゾル、11…
誘電体薄膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 久男 静岡県浜松市城北3丁目5番1号 静岡大 学内 (72)発明者 田中 正人 静岡県静岡市中吉田20番10号 スター精密 株式会社内 Fターム(参考) 4G030 AA02 AA08 AA09 AA10 AA13 AA16 AA17 AA20 AA21 AA25 AA40 AA43 BA09 CA08 GA07 GA10 5G333 AA01 AB12 BA01 CB17 FA00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 末端にフッ素置換アルキル基を有するチ
    オール化合物、末端にフッ素置換アルキル基を有するジ
    スルフィド化合物、末端にフッ素置換アルキル基を有す
    るスルフィド化合物、及び末端にフッ素置換アルキル基
    を有するカルボン酸化合物からなる群から選択される少
    なくとも一つの自己集合性化合物を導電性基材の表面に
    吸着せしめて自己集合単分子膜を形成する化合物供給工
    程、 前記自己集合単分子膜を形成している自己集合性化合物
    の少なくとも一部を前記基材から選択的に脱離せしめ、
    該基材の表面に撥液性である非脱離面と親液性である脱
    離面とを設ける脱離工程、 前記基材の表面に、脱離面に優先的に付着する金属有機
    化合物、溶媒及び触媒を含有するゾルを供給するゾル供
    給工程、及び前記基材の脱離面に付着したゾルを加熱し
    て金属酸化物からなる誘電体膜を得る加熱処理工程、を
    含むことを特徴とする誘電体膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記自己集合性化合物が、下記一般式
    (1)〜(4): HS-(CH2)a-X-(CH2)b-(CF2)c-CF3 (1) F3C-(CF2)f-(CH2)e-Y-(CH2)d-S-S-(CH2)a-X-(CH2)b-(CF2)c-CF3 (2) F3C-(CF2)f-(CH2)e-Y-(CH2)d-S-(CH2)a-X-(CH2)b-(CF2)c-CF3 (3) HOOC-(CH2)a-X-(CH2)b-(CF2)c-CF3 (4) [上記一般式(1)〜(4)中、X,Yはそれぞれエス
    テル結合、エーテル結合又は単結合であり、a,dはそ
    れぞれ2〜22の整数であり、b,eはそれぞれ0〜1
    5の整数であり、c,fはそれぞれ1〜15の整数であ
    る]で表わされる化合物からなる群から選択される少な
    くとも一つの自己集合性化合物であることを特徴とす
    る、請求項1に記載の誘電体膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記導電性基材が、白金、金、銀、銅、
    アルミニウム及び酸化アルミニウムからなる群から選択
    される少なくとも一つの材料からなる親液性の表面を有
    するものであることを特徴とする、請求項1又は2に記
    載の誘電体膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記金属有機化合物が、鉛、チタン、ジ
    ルコニウム、リチウム、ニオブ、マンガン、カルシウ
    ム、ランタン、バリウム、ストロンチウム、ビスマス、
    タンタルからなる群から選択される少なくとも一つの金
    属のアルコキシド、アセチルアセトナート又は有機酸塩
    であることを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれ
    か一項に記載の誘電体膜の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008504672A (ja) * 2004-06-17 2008-02-14 コミツサリア タ レネルジー アトミーク 圧電性材料を作成する工程
JP2012064750A (ja) * 2010-09-16 2012-03-29 Ricoh Co Ltd 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、該製造方法により製造した電気機械変換素子、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
EP2436052A4 (en) * 2009-05-28 2013-10-09 Ricoh Co Ltd METHOD FOR PRODUCING AN ELECTROMECHANICAL CONVERTER, ELECTROMECHANICAL CONVERTERS MANUFACTURED IN THIS PROCESS, LIQUID STROKE SPRAY HEAD, AND LIQUID SPRAYING APPARATUS

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