JP2005263582A - ペロブスカイト型化合物薄膜およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大がかり・特殊で高額な装置を用いることなく、ペロブスカイト型化合物材料を薄膜化・パターン化し、クラックの無いペロブスカイト型化合物薄膜パターンを製造する方法を提供する。
【解決手段】 支持基板11上に表面の10質量%〜15質量%が有機物で被覆された粒径50nm以下のペロブスカイト型化合物粒子を含有する溶液を塗布し、ペロブスカイト型化合物薄膜12を形成する。次にペロブスカイト型化合物薄膜12上にフォトリソグラフィー法を用いてレジストパターン13を形成し、レジストパターン13をマスクとしてペロブスカイト型化合物薄膜12をpH5以下の酸によりエッチングし、最後にレジストパターンを除去するものである。以上の方法を用いることによりウエットエッチング法によるペロブスカイト型化合物薄膜のパターン形成が可能となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、種々の電気的特性に優れていることで知られるペロブスカイト型結晶構造を有する化合物の薄膜を低コストで加工・パターニング・集積化する方法に関するものであり、特にペロブスカイト型化合物パターンの製造に有利なペロブスカイト型化合物薄膜およびその製造方法に関するものである。
ペロブスカイト型化合物材料を薄膜化・パターン化する方法としては、例えばバルク材を機械加工する方法、グリーンシート法、スクリーン印刷法、エアロゾルデポジション法等がある。
エアロゾルデポジション法は粒子衝突現象を用いた方法であり、特許文献1、特許文献2に開示されるものが知られている。この手法では、材料微粒子を含むエアロゾルをノズルから高速で基板に向けて噴射し、基板に微粒子を衝突させその機械的衝撃力を利用して多結晶構造物を基板上にダイレクトに形成させる方法である。しかし、大がかり・特殊で高額な装置を用いなければならないといった本質的な問題があった。
バルク材に機械的研磨を行えば、20μm程度までの厚みに加工することは可能だが、加工中やハンドリング中の破損の問題などがあり、実質的に100μm以下の微細加工は困難である。固相法でペロブスカイト型化合物粉体を合成し、機械的粉砕等を行って微粒化し、分散剤と共に溶媒中に加えた溶液を塗布して作製した薄膜では、薄膜の平滑性や基板と膜の密着性の点で不十分である。また、高温焼成が必要といった問題や、高温焼成の際に基板との反応が起こるといった問題もある。グリーンシート法やスクリーン印刷法の場合、ハンドリングの問題は無いが、900℃以上の焼成が必要であり、ペロブスカイト型化合物層の収縮や基板との反応が問題となる。
そこで、薄膜作製技術として良く知られているスパッタリング、レーザーアブレーション等の乾式成膜法や、ゾルゲル法、水熱合成法等の湿式成膜法で、基板上にペロブスカイト型化合物薄膜を一旦形成し、その後ドライエッチング法やウエットエッチング法等を用いて不要部分を除去しパターン化する方法も検討されている。
成膜法に関しては、スパッタリングやレーザーアブレーション等の乾式成膜法では、一般的に高額で特殊な装置を用いなければならないという問題があるため、ゾルゲル法、水熱合成法等の湿式成膜法を用いるのが有利である。
また、エッチング方法に関しては、ドライエッチング法では、高額で特殊な装置を用いなければならない。更にこの方法では物理的な機構を利用しているため、図4に示すように、ペロブスカイト型化合物薄膜12だけを削るといった選択性に欠けており、正確に制御しても支持基板11にダメージを与えてしまうといった問題があった。
そこで、エッチング法としてはペロブスカイト型化合物薄膜のみを選択的にエッチングすることができるウエットエッチング法を用いるのが有利である。
上述の様に、湿式成膜法を用いてペロブスカイト型化合物薄膜を形成させ、その後ウエットエッチング法を用いて不要部分を除去しパターン化する方法としては、特許文献3に開示されるものが知られている。しかしながらこの手法では、図5に示すように、固形分中に有機物が多く含まれる塗布溶液を基板11上に塗布し、450℃以下の熱処理で有機物を燃焼させて多孔質な非晶質薄膜12を一旦形成させ、その薄膜上にレジストパターン13を形成し、そのレジストパターン13をマスクとして前記薄膜をウエットエッチングし、レジストパターン13を除去した後に600℃以上の熱処理を施してペロブスカイト型化合物薄膜を結晶化させている。この方法や、一般的なゾルゲル法の様に固形分中に有機物が多く含まれる塗布溶液を用いる方法では、熱処理時の体積収縮が空隙やクラックを多数生ぜしめ、多孔質の薄膜が形成され、薄膜の電気的な特性等が悪化するという問題があった。
他方、湿式成膜法を用いて緻密なペロブスカイト型化合物薄膜を形成させる方法としては、特許文献4に開示されるものが知られている。この方法では、有機物が少ない結晶性粒子を固形分とする塗布溶液を用いることで、塗膜を熱処理する際に体積収縮が少なく、空隙やクラックの無い緻密な薄膜を作製可能としている。また、この結晶性粒子は表面が比較的活性な50nm以下を主体とするサイズの粒子であるため、作製した薄膜は基板との密着性や平滑性に優れている。
この方法を用いてペロブスカイト型化合物薄膜を作製し、特許文献3に開示される方法でウエットエッチング加工を行えば、ペロブスカイト化合物薄膜パターンは作製可能である。しかしながらこの方法では、酸性溶液等に侵されにくい結晶粒子であるペロブスカイト化合物をコーティング溶液中に用いているため、このコーティング溶液を塗布して作製した薄膜は耐酸性が大きすぎ、強酸を用いてもエッチング加工しにくいといった問題があった。
特開平11−21677号公報 特開2000−212766号公報 特開平5−152276号公報 特開2002−275390号公報
本発明の目的は、上記の問題点の解決を図るために、大がかり・特殊で高額な装置を用いることなく、ペロブスカイト型化合物材料を薄膜化・パターン化し、クラックの無いペロブスカイト型化合物薄膜パターンを効率良く製造する方法を提供することである。
本発明のペロブスカイト型化合物薄膜は、硬度がJIS K 5400に定められる鉛筆引っかき値において2B〜HBの範囲であることを特徴とする。
また、本発明のペロブスカイト型化合物薄膜の製造方法は、1種類以上の金属アルコキシドを0.5mol/L以上の濃度で溶媒中に溶解させた前駆体溶液を低温で加水分解し、エージング処理して生成させた、粒径が50nm以下のペロブスカイト型化合物粒子を用いたペロブスカイト型化合物薄膜の製造方法において、前記ペロブスカイト型化合物粒子表面の10質量%〜15質量%を有機物で被覆し、該粒子を溶媒中に分散させてコーティング溶液を作製し、該コーティング溶液を支持基板上に塗布し、150℃〜750℃で熱処理して作製することを特徴とする。
本発明ではペロブスカイト型化合物薄膜形成用コーティング溶液の分散粒子中の有機物量を15質量%以下としているため、熱処理しても薄膜の体積収縮が小さく、クラックの無いペロブスカイト型化合物薄膜を提供できる。更に、ペロブスカイト型化合物薄膜の硬度をJIS K 5400に定められる鉛筆引っかき値において2B〜HBの範囲とすることで、ウエットエッチング法によりパターン加工を可能としている。なお、ペロブスカイト型化合物薄膜作製時の熱処理温度を150℃〜750℃、ペロブスカイト型化合物薄膜形成用コーティング溶液の分散粒子中の有機物量を10質量%〜15質量%とすることで、ペロブスカイト型化合物薄膜の硬度をJIS K 5400に定められる鉛筆引っかき値において2B〜HBの範囲とすることができる。
図1は本発明におけるペロブスカイト型化合物薄膜パターン製造工程の断面模式図である。図1において、支持基板11上に表面の10質量%〜15質量%が有機物で被覆された粒径50nm以下のペロブスカイト型化合物粒子を含有する溶液を塗布し、ペロブスカイト型化合物薄膜12を形成する。次にペロブスカイト型化合物薄膜12上にフォトリソグラフィー法を用いてレジストパターン13を形成し、レジストパターン13をマスクとしてペロブスカイト型化合物薄膜12をpH5の酸によりエッチングし、最後にレジストパターンを除去する。
以下に本発明を詳しく説明する。
[コーティング溶液]
本発明において用いられるペロブスカイト型化合物薄膜形成用コーティング溶液は、1種類以上の金属アルコキシドを0.5mol/L以上の濃度で溶媒中に溶解させた前駆体溶液を低温で加水分解し、所定温度で所定時間エージング処理して、表面の10質量%〜15質量%が有機物で被覆された粒径が50nm以下のペロブスカイト型化合物粒子を合成し、該粒子を溶媒中に分散させて作製する。
本発明において、固形分粒子中のペロブスカイト型化合物とは金属アルコキシドが加水分解・重縮合して生成したペロブスカイト型構造の無機物のことを指し、固形分粒子中の有機物とは金属アルコキシドの有機配位子のことを指す。
本発明におけるペロブスカイト型化合物としては、公知のものが使用可能である。A及びBを金属元素としOを酸素元素として、ペロブスカイト型化合物を一般式ABOで表した時に、A金属元素は元素周期律表の第1B族、第2A族、第2B族、第3A族、第4B族、第5B族、及び第8族から選ばれる少なくとも1種以上であり、B金属元素は元素周期律表の第4A族、第4B族、第5A族、第5B族、および第6A族から選ばれる少なくとも1種以上とすることができる。
ここでA金属元素としては、例えばCu、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Pb、Bi、Fe、Co、Ni等である。また、B金属元素としては、Ti、Zr、Hf、Sn、Sb等である。
更に、ペロブスカイト型化合物において、A金属元素又はB金属元素の一部をそれぞれ置換可能な他の金属元素と入れ換えることも可能で、例えばBaTiOの場合では、Baの一部を1種以上のA金属元素、例えばSr、Y、Laで置き換えて(Ba1−xSr)TiO、(Ba1−x−y−zSrLa)TiOとすることが可能である。
本発明において、ペロブスカイト型化合物薄膜形成用コーティング溶液の固形分粒子である、表面の10質量%〜15質量%が有機物で被覆された粒径が50nm以下のペロブスカイト型化合物粒子は、アルコキシド法(ゾルゲル法)で合成される。
アルコキシド法(ゾルゲル法)では、金属アルコキシドを溶解させた前駆体溶液を加水分解・重縮合させてペロブスカイト型化合物を合成する。ここで、金属アルコキシドとしては、単一の金属アルコキシドをペロブスカイト型化合物の組成となるように複数種類組み合わせて使用しても、A金属元素とB金属元素からなる複合アルコキシドを使用しても良い。単一の金属アルコキシドとしては、例えば、バリウムメトキシド、バリウムエトキシド、バリウムプロポキシド、バリウムブトキシド、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンブトキシド、トリエトキシイットリウム、トリイソプロポキシイットリウム、トリエトキシランタン、トリイソプロポキシランタン、ジエトキシストロンチウム、ジイソプロポキシストロンチウム等が使用できる。また、複合アルコキシドとしては、例えば、バリウムチタンメトキシド、バリウムチタンエトキシド、バリウムチタンプロポキシド、バリウムチタンブトキシド、ストロンチウムチタンメトキシド、ストロンチウムチタンエトキシド、ストロンチウムチタンプロポキシド、ストロンチウムチタンブトキシド、等が使用できる。
前駆体溶液を形成する溶媒としては、金属アルコキシドを溶解しうる溶媒であれば特に制限は無く、アルコール系(例えば、メタノール、エタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等)、ケトン系(メチルエチルケトン、アセトン等)等の有機溶媒を単独で使用しても、相溶性のある溶媒同士を組み合わせて混合溶媒としたものを使用しても良い。
前駆体溶液の濃度には特に制限は無いが、作業効率上0.5mol/L以上である方が好ましい。0.5mol/L未満であるとペロブスカイト型化合物の生成に時間がかかり、作業効率上不利となる。
アルコキシド法(ゾルゲル法)では、前駆体溶液に加水分解剤を添加すると加水分解・重縮合反応が進行する。
また、前駆体溶液は、大気中の水分等、微量の水分等によっても加水分解・重縮合反応が起こるため、溶液の安定性の観点等から、公知のキレート剤を添加しても良いし、予めキレートが配位している金属アルコキシドを用いても良い。キレートとしては、例えば、アセチルアセトネート(ペンタンジオネート)、エチルアセトネート(ヘキサンジオネート)、プロピルアセトアセトネート(ヘプタンジオネート)、テトラメチルヘプタンジオネート、ベンゾインアセトネート等が挙げられる。
本発明において加水分解剤としては、例えば、無機酸、有機酸、水酸化物、有機アミン類等の酸またはアルカリの水溶液、更には水等が使用できるが、加水分解・重縮合反応の制御のし易さから、水を用いるのが好ましい。加水分解剤の添加方法に特に制限は無く、前駆体溶液に加水分解剤が添加される方法であればいかなる方法でも良い。加水分解剤の添加量は、前駆体溶液中の金属アルコキシドのモル数に対して1〜5倍であることが好ましい。添加量が前駆体溶液中の金属アルコキシドのモル数に対して1倍未満であると加水分解・重縮合反応が進行しにくく、目的とするペロブスカイト型化合物の量が得られず、有機物の量が15質量%を超えてしまい、5倍を超えると加水分解・重縮合反応が進行し過ぎ、有機物の量が10質量%以下になってしまう。
加水分解剤添加時の液温は、10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることが更に好ましい。10℃を越えると加水分解剤を添加した瞬間に加水分解剤近傍でのみ反応が進行しやすく、液の均一性の点で不利となり、生成粒子の粒径のバラツキが大きくなってしまう。
前記条件で前駆体溶液に水を添加すると50nm以下の粒子が形成されるが、加水分解剤添加直後はペロブスカイト型化合物の生成量は少なく有機物の量が多い。その後エージング処理を行うと縮合反応の更なる進行に伴いペロブスカイト型化合物の生成量が増大し、それに伴い有機物の量が減少する。
詳細な反応メカニズムは不明であるが、重縮合反応は粒子の内部の方が進行しやいため、粒子の内部ではペロブスカイト型化合物が形成されやすく、粒子の表面には有機配位子が残りやすいと推察される。その結果、表面が有機物で被覆された粒径が50nm以下のペロブスカイト型化合物粒子が合成される。
エージング処理は、例えば15℃〜45℃の温度で1時間以上、好ましくは20℃〜45℃の温度で30分以上保持することにより行う。エージング温度が15℃未満ではペロブスカイト型化合物の生成速度が遅く、作業効率上不利となる。エージング時間が30分未満では目的とするペロブスカイト型化合物の量が得られず、有機物の量が15質量%を超えてしまう。また、エージング温度が45℃を超えると加水分解・重縮合反応の速度が速く、有機物の量を10質量%〜15質量%に制御できなくなる。
本発明において用いられるペロブスカイト型化合物薄膜形成用コーティング溶液は、固形分である表面の10質量%〜15質量%が有機物で被覆された粒径が50nm以下のペロブスカイト型化合物粒子を溶媒中に投入し、分散させて調整する。固形分粒子が分散しにくい場合には、機械的粉砕や超音波を使用した粉砕を行いながら溶媒中に分散させることができる。コーティング溶液を調製する際に使用する溶媒は、使用する固形分粒子に応じて適宜選択して用いるのが良いが、アルコール系(例えば、メタノール、エタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、イソプロパノール等)、ケトン系(メチルエチルケトン、アセトン等)等の有機溶媒や水を使用することができる。
また、微粉砕した固形分粒子の分散を容易にするために、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール等の高分子系や、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の低分子系の分散剤を使用することもできる。なお、分散剤の種類は固形分粒子の種類と、コーティング溶液の溶媒の種類により適宜選定して使用する必要があり、分散剤の添加量は固形分粒子中の有機物と併せて15質量%以下にしなければならない。
本発明ではペロブスカイト型化合物薄膜形成用コーティング溶液の固形分粒子中において、有機物の量を15質量%以下とすることで、クラックの無いペロブスカイト型化合物薄膜を提供できる。
本発明において用いられるコーティング溶液の固形分粒子中の有機物量は、例えば、表面が有機物で被覆された粒径が50nm以下のペロブスカイト型化合物粒子である固形分粒子を約900℃まで加熱し、加熱前後の質量によって求めることができる。即ち、加熱に伴い有機物は燃焼してしまうので、加熱での質量減が固形分中の有機物の量に相当する。
[ペロブスカイト型化合物薄膜]
本発明において用いられるペロブスカイト型化合物薄膜は、本発明において用いられるペロブスカイト型化合物薄膜形成用コーティング溶液を公知のコーティング方法(例えば、スピンコーティング法、ディップコーティング法、電気泳動電着法、スプレー法等)によって支持基板上に塗布することにより作製することができる。また、ペロブスカイト型化合物薄膜を作製する際は、これらのコーティング方法を単独で使用しても、組み合わせて使用しても良い。更に、材質の異なるペロブスカイト型化合物薄膜を支持基板上に多層に作製することも可能である。
ペロブスカイト型化合物薄膜の膜厚は特に制限されないが、0.1μm〜15μmであることが好ましい。0.1μm未満だと支持基板が厳密に平滑でないとペロブスカイト型化合物薄膜に凹凸が生じてしまい、15μmを超えると後述するペロブスカイト型化合物薄膜パターンの製造の際、酸性溶液でのエッチングに要する時間が長くなってしまう。
支持基板上に作製したペロブスカイト型化合物薄膜は、例えば酸素ガス気流中や空気中で150℃〜750℃で10分〜5日間熱処理することにより、支持基板上にペロブスカイト型化合物薄膜を形成することができる。熱処理温度が150℃未満の場合、後述するペロブスカイト型化合物パターンの製造の際、レジストパターンで保護していた薄膜部分も一部剥がれてしまう。また、熱処理温度が750℃を超える場合は薄膜の硬化が進行し過ぎ、後述するペロブスカイト型化合物パターンの作製の際エッチングされにくい。
また、本発明ではコーティング溶液の固形分中の有機物量を15質量%以下としているため、熱処理しても薄膜の体積収縮が小さく、クラックの無いペロブスカイト型化合物薄膜を提供できる。塗布した薄膜を熱処理する際、熱処理に伴い膜は硬化し薄膜硬度が上がる。
薄膜の強度は、JIS K 5400に基づく鉛筆引っかき試験によって評価することができる。後述するペロブスカイト型化合物薄膜パターンの製造では、ウエットエッチング法により薄膜の不要部分を除去するが、本発明では、薄膜硬度をJIS K 5400に定められる鉛筆引っかき値において2B〜HBの適切な範囲にすることで薄膜のウエットエッチングが可能となる。薄膜硬度がJIS K 5400に定められる鉛筆引っかき値において2Bより柔らかい場合には、後述する薄膜パターンの製造の際に、レジストパターンで保護している薄膜部分まで酸性溶液によってエッチングされてしまう。また、薄膜硬度がJIS K 5400に定められる鉛筆引っかき値においてHBより硬い場合には、後述する薄膜パターンの製造の際に酸性溶液で薄膜が除去されにくく、エッチング加工性が不良となる。
なお、本発明では、ペロブスカイト型化合物薄膜作製時の熱処理温度を150℃〜750℃、ペロブスカイト型化合物薄膜形成用コーティング溶液の固形分中の有機物量を10質量%〜15質量%とすることで、ペロブスカイト型化合物薄膜の硬度をJIS K 5400に定められる鉛筆引っかき値において2B〜HBの範囲とすることができる。
本発明では、ペロブスカイト型化合物薄膜作製時の熱処理温度は150℃〜750℃であるが、薄膜に耐傷性や膜の強度、高誘電率・低誘電損失が求められる場合には、熱処理温度が300℃以上750℃以下である方がより好ましく、550℃以上750℃以下である方が更に好ましい。300℃以上では、誘電率が低い有機物が燃焼してしまうため、高誘電率の点でより有利となる。更に熱処理温度が550℃以上では、誘電損失増加の原因となる残存水酸基が減少するため低誘電損失の点で更に有利となり、更にペロブスカイト型化合物粒子が粒成長するため高誘電率の点でも有利となる。また、熱処理に伴い粒子同士が焼結して膜は硬化し薄膜硬度が上がるため、耐傷性の点で有利となる。
本発明において、ペロブスカイト型化合物薄膜形成用コーティング溶液の固形分粒子中の有機物量、ペロブスカイト型化合物薄膜の硬度とウエットエッチング加工性に関する、詳細なメカニズムや相関関係については不明な点も多い。しかし、おそらく粒子表面の有機物近傍のペロブスカイト型化合物は、粒子中心付近のものに比べて、耐酸性がやや劣りエッチングされやすいと思われる。300℃〜750℃の熱処理で作製したペロブスカイト型化合物薄膜では、熱処理に伴い粒子表面近傍のペロブスカイト型化合物は耐酸性がやや上昇するものの、まだエッチング可能な状態にあると推察される。なおこの際、硬度の小さい有機物の燃焼に伴い膜硬度はやや上昇する。750℃を超える熱処理で作製したペロブスカイト型化合物薄膜では、粒子表面近傍のペロブスカイト型化合物の耐酸性が更に上昇し、粒子同士の焼結も進行する為、エッチング加工性が不良になると考えられる。なおこの際、粒子同士の焼結も進行する為、膜全体としての硬度は更に上昇する。この様に、膜の硬度とエッチング加工性の間に相関関係が有るため、膜の硬度を評価することにより、エッチング加工性を予測することが出来ると推察される。
[ペロブスカイト型化合物薄膜パターンの製造]
前述の様にして作製されたペロブスカイト型化合物薄膜表面に、公知のフォトレジストが塗布される。フォトレジストの種類には特に制限は無くポジ型でもネガ型でも良い。塗布方法には特に制限は無く、例えばスピンコーティング法が用いられる。フォトレジストを塗布した後、必要であればフォトレジストの種類に応じプリベーク等の熱処理を行い、フォトレジスト膜を硬化させる。その後所望のパターンのフォトマスクを介して露光される。露光工程で用いられる光源には、使用したフォトレジストに対応した物を用いる。
露光後は、使用したフォトレジストの種類に応じた現像液で処理して現像し、フォトレジストパターンを作製する。また、必要であればフォトレジストの種類に応じポストベーク等の熱処理を行い、フォトレジスト膜を更に硬化させる。
上記の様に、支持基板/ペロブスカイト型化合物薄膜/フォトレジストパターンを形成させたものを、酸性溶液で処理して、フォトレジストパターンで保護されていない部分のペロブスカイト型化合物薄膜は除去される。
非保護部のペロブスカイト型化合物薄膜を除去する際の酸性溶液としては、例えば硝酸、硫酸、塩酸、過酸化水素、フッ酸、酢酸、クエン酸、蓚酸、蟻酸等の水溶液が用いられ、これらを単独で用いても、数種類を混合して用いても良い。酸性溶液のpHとしては5以下であり、4以下である方が好ましく、3以下である方が更に好ましい。pHが5より大きい場合には、ペロブスカイト型化合物薄膜が完全に除去されない。
酸性溶液で処理する際には、数秒〜数時間浸漬する方法や、必要に応じて酸性溶液を染みこませた不織布、脱脂綿、布、スポンジ、ブラシ等で摩擦処理する方法が用いられる。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[実施例1]
<有機物で表面が被覆されたペロブスカイト型化合物粒子を含む固形分の合成>
メタノールにBa(OCとTi(O−iCを等モル溶解させ、1.0mol/Lの前駆体溶液を作製した。この前駆体溶液に、金属アルコキシドのモル数に対して3倍モル量の水を導入し、次いで30℃で2日間保持してエージングし、表面が有機物で被覆されたチタン酸バリウム粒子を含む沈殿物を合成した。この沈殿物を分取し乾燥させた固形物について、KBr錠剤法で赤外吸収スペクトル測定(ニコレー(株)製 MAGNA−IR 560)を行ったところ、2800cm−1〜3000cm−1に有機物のCH基由来の吸収ピークが見られた(図2)。また、同様に乾燥させた固形物について、熱分析システムSSC5200の熱質量−示差熱分析装置(セイコー電子工業株式会社製 TG/DTA320)を用いて昇温速度10℃/分で室温から900℃まで測定すると、900℃までの加熱で質量が12%減少していたことから、固形分中の有機物量は12質量%であった。また、同様に乾燥させた固形物について、X線回折測定装置((株)マックサイエンス製 MXP18A)を用いてX線回折パターンを測定したところ、典型的なチタン酸バリウムの回折パターンが見られた。得られた回折パターンを図3に示す。
<コーティング溶液の調製>
前記の手順で合成した、表面が有機物で被覆されたペロブスカイト型化合物粒子を含む固形分を分取し、2−メトキシエタノール中に投入し、超音波を用いて微粉砕しながら均一に分散させて、コーティング溶液を作製した。
このコーティング溶液を希釈し、銅メッシュ上に滴下して乾燥させ、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、比較的大きさの揃った粒径約10nmの粒子が見られた。なおこの粒子を更に拡大して見ると、中心付近は格子縞が見られ、周辺部分には格子縞がみられずぼんやりした像が見られた。
これらのことから、表面が有機物で被覆されたチタン酸バリウム粒子が分散した溶液が作製できたことが判る。
<薄膜作製>
多数回のスピンコーティングによって上記のコーティング溶液をシリコンウエハ基板上に塗布し、0.5μm厚みの膜を形成させ、150℃で1時間熱処理した。作製した薄膜について、JIS K 5400に基づく鉛筆引っかき試験(手かき法)によって評価したところ、2Bであった。
<薄膜パターンの作製>
作製した薄膜の表面にOFPR−800(東京応化工業(株)製;ポジ型感光性レジスト)をスピンコートし、80℃で30分間熱処理してプリベークを行った。サンプル上にマスクパターンを真空密着させ、両面アライナー(ユニオン光学(株)製)を用いてUV露光を行った。
UV露光済みのサンプルを、NMD−W(東京応化工業(株)製;ポジ型感光性レジスト用現像液)で3分間処理して現像を行い、レジストパターンを形成させ、その後100℃で30分間ポストベークを行った。
このサンプルを、pH約3の塩酸水溶液に5分間浸漬させるとレジストに保護されていない薄膜部分が除去され、その後アセトンに1分間浸漬させてレジストパターンを除去すると、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。薄膜パターンの薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において熱処理温度を300℃とした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製した。実施例1と同様な方法で鉛筆引っかき値を評価したところ、Bであった。実施例1においてpH約2の塩酸水溶液でエッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において熱処理温度を450℃とした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製した。実施例1と同様な方法で鉛筆引っかき値を評価したところ、Bであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液でエッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において熱処理温度を600℃とした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製した。実施例1と同様な方法で鉛筆引っかき値を評価したところ、HBであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で10分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において熱処理温度を750℃とした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製した。実施例1と同様な方法で鉛筆引っかき値を評価したところ、HBであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で10分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において熱処理温度を800℃とした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製した。実施例1と同様な方法で鉛筆引っかき値を評価したところ、Hであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で30分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、塩酸接触部の薄膜が残っていた(エッチング加工性不良)。これは、熱処理温度を800℃としたことで薄膜の焼結が進行して強度が上がり、鉛筆引っかき値がHとなったことで、耐酸性が増加しすぎたことを意味する。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において薄膜作製時に風乾させて作製した以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製した。実施例1と同様な方法で鉛筆引っかき値を評価したところ、3Bであった。実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、レジストパターンで保護されていた薄膜部分も一部エッチングされていた(エッチング加工性不良)。これは、薄膜を風乾させて作製したことで薄膜の硬度が小さく、鉛筆引っかき値が3Bとなったことで、酸に対する溶解性が大きくなり過ぎたことを意味する。また、エッチングされずに残った薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1において熱処理温度を600℃とし、膜厚を0.1μmとした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製した。実施例1と同様な方法で鉛筆引っかき値を評価したところ、HBであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で10分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例1において熱処理温度を600℃とし、膜厚を1μmとした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製した。実施例1と同様な方法で鉛筆引っかき値を評価したところ、HBであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で10分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例1において熱処理温度を600℃とし、膜厚を5μmとした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製した。実施例1と同様な方法で鉛筆引っかき値を評価したところ、HBであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で10分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[実施例9]
実施例1において熱処理温度を600℃とし、膜厚を10μmとした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製した。実施例1と同様な方法で鉛筆引っかき値を評価したところ、HBであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で15分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[実施例10]
実施例1においてペロブスカイト型化合物と有機物を含む固形分を合成する際に、30℃で3日間保持した以外は実施例1と同様な方法で、ペロブスカイト型化合物と有機物を含む固形分を合成した。実施例1と同様な方法で固形分中の有機物量を測定したところ、10質量%であった。実施例1において熱処理温度を600℃とした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製し、実施例1と同様な方法で作製した薄膜の鉛筆引っかき値を評価したところ、HBであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で10分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[実施例11]
実施例1においてペロブスカイト型化合物と有機物を含む固形分を合成する際に、30℃で1日間保持した以外は実施例1と同様な方法で、ペロブスカイト型化合物と有機物を含む固形分を合成した。実施例1と同様な方法で固形分中の有機物量を測定したところ、15質量%であった。実施例1において熱処理温度を600℃とした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製し、実施例1と同様な方法で作製した薄膜の鉛筆引っかき値を評価したところ、HBであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で10分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において1.0mol/Lの前駆体溶液をそのままコーティング溶液として用い、熱処理温度を600℃とした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製した。この前駆体溶液を乾燥させ、得られた固形分について実施例1と同様な方法で固形分中の有機物量を測定すると60質量%であった。実施例1と同様な方法で作製した薄膜の鉛筆引っかき値を評価したところ、HBであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で10分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。しかし、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックが多数見られた。これは、コーティング溶液の固形分中に有機物が多いため、熱処理時に有機物が燃焼して大きく収縮しクラックが生じたことを意味する。結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1において有機物で表面が被覆されたペロブスカイト型化合物粒子を含む固形分を合成する際に、金属アルコキシドのモル数に対して0.8倍モル量の水を使用し、10℃で12時間保持した以外は実施例1と同様な方法で、有機物で表面が被覆されたペロブスカイト型化合物粒子を含む固形分を合成した。実施例1と同様な方法で固形分中の有機物量を測定したところ、20質量%であった。実施例1において熱処理温度を600℃とした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製し、実施例1と同様な方法で作製した薄膜の鉛筆引っかき値を評価したところ、HBであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で10分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。しかし、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックが多数見られた。これは、コーティング溶液の固形分中に有機物が多いため、熱処理時に有機物が燃焼して大きく収縮しクラックが生じたことを意味する。結果を表1に示す。
[比較例5]
実施例1において有機物で表面が被覆されたペロブスカイト型化合物粒子を含む固形分を合成する際に、50℃で5日間保持した以外は実施例1と同様な方法で、ペロブスカイト型化合物と有機物を含む固形分を合成した。実施例1と同様な方法で固形分中の有機物量を測定したところ、5質量%であった。実施例1において熱処理温度を650℃とした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製し、実施例1と同様な方法で作製した薄膜の鉛筆引っかき値を評価したところ、Hであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で30分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、塩酸接触部の薄膜が一部残っていた(エッチング加工性不良)。これは、固形分中の有機物量を5%としたことで薄膜強度が上がり、鉛筆引っかき値がHとなったことで、耐酸性が増加しすぎたことを意味する。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[実施例12]
実施例1においてペロブスカイト型化合物と有機物を含む固形分を合成する際に、Ba(OCの代わりにSr(OCを用いた以外は実施例1と同様な方法で、ペロブスカイト型化合物と有機物を含む固形分を合成した。実施例1と同様な方法で固形分中の有機物量を測定したところ、12質量%であった。実施例1において熱処理温度を600℃とした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製し、実施例1と同様な方法で作製した薄膜の鉛筆引っかき値を評価したところ、HBであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で10分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[実施例13]
実施例1においてペロブスカイト型化合物と有機物を含む固形分を合成する際に、Ba(OC0.2mol/L、Sr(OC0.8mol/L、Ti(O−iC1.0mol/Lの混合溶液を前駆体溶液として用いた以外は実施例1と同様な方法で、ペロブスカイト型化合物と有機物を含む固形分を合成した。実施例1と同様な方法で固形分中の有機物量を測定したところ、12質量%であった。実施例1において熱処理温度を600℃とした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製し、実施例1と同様な方法で作製した薄膜の鉛筆引っかき値を評価したところ、HBであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で10分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[実施例14]
実施例1においてペロブスカイト型化合物と有機物を含む固形分を合成する際に、Ba(OC0.5mol/L、Sr(OC0.5mol/L、Ti(O−iC1.0mol/Lの混合溶液を前駆体溶液として用いた以外は実施例1と同様な方法で、ペロブスカイト型化合物と有機物を含む固形分を合成した。実施例1と同様な方法で固形分中の有機物量を測定したところ、12質量%であった。実施例1において熱処理温度を600℃とした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製し、実施例1と同様な方法で作製した薄膜の鉛筆引っかき値を評価したところ、HBであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で10分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
[実施例15]
実施例1においてペロブスカイト型化合物と有機物を含む固形分を合成する際に、Ba(OC0.8mol/L、Sr(OC0.2mol/L、Ti(O−iC1.0mol/Lの混合溶液を前駆体溶液として用いた以外は実施例1と同様な方法で、ペロブスカイト型化合物と有機物を含む固形分を合成した。実施例1と同様な方法で固形分中の有機物量を測定したところ、12質量%であった。実施例1において熱処理温度を600℃とした以外は実施例1と同様な条件で薄膜を作製し、実施例1と同様な方法で作製した薄膜の鉛筆引っかき値を評価したところ、HBであった。実施例1においてpH約1の塩酸水溶液で10分間エッチングした以外は実施例1と同様な条件でエッチング加工を行ったところ、マスクパターンを忠実に再現した薄膜パターンが得られた(エッチング加工性良好)。また、この薄膜部分を走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で表面観察をしたところ、クラックは見られなかった。結果を表1に示す。
Figure 2005263582
本発明は、種種の電気的特性に優れていることで知られるペロブスカイト型結晶構造を有する化合物の薄膜を低コストで加工・パターニング・集積化する方法に関するものであり、導波路、コンデンサー、半導体製造装置、フォトニック結晶等の製造の際に利用される技術である。
本発明におけるペロブスカイト型化合物薄膜パターン製造工程の断面模式図 本発明において合成した表面が有機物で被覆されたペロブスカイト型化合物(チタン酸バリウム)粒子の赤外吸収スペクトル(2750cm−1〜3050cm−1 本発明において合成した表面が有機物で被覆されたペロブスカイト型化合物(チタン酸バリウム)粒子のX線回折パターン 従来のペロブスカイト型化合物薄膜パターン製造工程(ドライエッチング)の断面模式図 従来のペロブスカイト型化合物薄膜パターン製造工程(クラックを有する多孔質薄膜形成後、ウエットエッチング)の断面模式図
符号の説明
11:支持基板
12:ペロブスカイト型化合物薄膜
13:レジストパターン

Claims (2)

  1. 硬度がJIS K 5400に定められる鉛筆引っかき値において2B〜HBの範囲であることを特徴とするペロブスカイト型化合物薄膜。
  2. 1種類以上の金属アルコキシドを0.5mol/L以上の濃度で溶媒中に溶解させた前駆体溶液を低温で加水分解し、エージング処理して生成させた、粒径が50nm以下のペロブスカイト型化合物粒子を用いたペロブスカイト型化合物薄膜の製造方法において、
    前記ペロブスカイト型化合物粒子表面の10質量%〜15質量%を有機物で被覆し、該粒子を溶媒中に分散させてコーティング溶液を作製し、該コーティング溶液を支持基板上に塗布し、150℃〜750℃で熱処理して薄膜を作製することを特徴とするペロブスカイト型化合物薄膜の製造方法。
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