JP2001113710A - 圧電体薄膜素子の製造方法及びインクジェット記録ヘッド - Google Patents

圧電体薄膜素子の製造方法及びインクジェット記録ヘッド

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JP2001113710A
JP2001113710A JP29914299A JP29914299A JP2001113710A JP 2001113710 A JP2001113710 A JP 2001113710A JP 29914299 A JP29914299 A JP 29914299A JP 29914299 A JP29914299 A JP 29914299A JP 2001113710 A JP2001113710 A JP 2001113710A
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Japan
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thin film
piezoelectric thin
ferroelectric
film element
manufacturing
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JP29914299A
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English (en)
Inventor
Makoto Hanabatake
誠 花畑
Junko Katayama
淳子 片山
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Kansai Research Institute KRI Inc
Original Assignee
Kansai Research Institute KRI Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 上面と下面とが実質的に平行である圧電体薄
膜を有する圧電体薄膜素子を製造する方法を提供する。
前記方法により得られた圧電体薄膜素子をアクチュエー
タとして具備するインクジェット記録ヘッドを提供す
る。 【解決手段】 強誘電体を形成可能な組成物を下部電極
2上に塗布し、強誘電体形成性組成物層3aを形成し
(a)、層3a上にフォトレジスト層7を形成する
(b)。フォトマスク8を介してパターン露光を行い、
現像する(c)。エッチング処理を行い、必要に応じて
レジスト層を除去し(d)、その後、焼成する(e)。
上面と下面とが実質的に平行である圧電体薄膜3が形成
される。薄膜3上に上部電極を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、上面と下面とが実
質的に平行である圧電体薄膜を有する圧電体薄膜素子を
製造する方法に関する。また、本発明は、前記方法によ
り得られた圧電体薄膜素子をアクチュエータとして具備
するインクジェット記録ヘッドにも関する。
【0002】
【従来の技術】圧電体薄膜と電極とを有する圧電体薄膜
素子は、例えばインクジェット記録ヘッドのアクチュエ
ータとして非常に重要である。この用途に用いられる圧
電体薄膜は、十分な機械特性(変位の圧力)を得るため
に1μm〜25μm程度の薄膜化と、変位のばらつきが
できるだけ小さくなるように均一形状を有することが要
求される。また、高解像度(例えば10μm程度の解像
度)が得られるほど高精細化が可能となり、記録ヘッド
の性能上好ましい。
【0003】従来、圧電体薄膜は、例えば特開平7−6
0960号公報に記載のスクリーン印刷法により、強誘
電体酸化物原料を含むペーストなどを基板上に塗布し、
加熱焼成することにより形成されている。しかしなが
ら、スクリーン印刷法では、膜厚の制御が困難であり、
図1に示すように、薄膜(13)の断面形状は円弧状であ
る。従って、薄膜(13)上に上部電極(14)を水平に形成す
ることができず、上部電極(14)と下部電極(12)との間隔
は部位によって異なる。その上、均一形状の薄膜を形成
することも困難である。また、解像度も70μm程度で
ある。そのため、スクリーン印刷法により製造された圧
電体薄膜をインクジェット記録ヘッドのアクチュエータ
として用いた場合、変位のばらつきが大きいこと、十分
な変位が得られない(変換効率が悪い)こと、正確なイ
ンク吐出が困難であること、ノズル配列やドットの微細
化ができないこと等の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、上記従来技術の欠点を解決し、上面と下面とが実質
的に平行である圧電体薄膜を有する圧電体薄膜素子を製
造する方法を提供することにある。また、本発明の目的
は、前記方法により得られた圧電体薄膜素子をアクチュ
エータとして具備するインクジェット記録ヘッドを提供
することにもある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、フォトレジストを用いてパターニングする手法
により、上面と下面とが実質的に平行である圧電体薄膜
を形成できること、及びその結果、安定した変位が得ら
れるインクジェット記録ヘッドが得られることを見出
し、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、下部電極と、下部電
極上に形成された圧電体薄膜と、前記圧電体薄膜上に形
成された上部電極とを有する圧電体薄膜素子を製造する
方法であって、強誘電体を形成可能な組成物を下部電極
上に塗布し、強誘電体形成性組成物層を形成し、前記強
誘電体形成性組成物層上に、フォトレジストを塗布し、
レジスト層を形成し、前記レジスト層に所定のパターン
の露光を行い、現像し、エッチング処理を行い、必要に
応じてレジスト層を除去し、その後、焼成することによ
り、上面と下面とが実質的に平行である圧電体薄膜のパ
ターンを形成することを含む、圧電体薄膜素子の製造方
法である。
【0007】ここで、実質的に平行とは、薄膜の垂直断
面形状において、ある程度の凹凸を許容するものであ
る。凹凸の大きさとしては、圧電体薄膜の厚さに対して
10%未満、好ましくは6%未満、より好ましくは3%
未満のものである。具体的には、2.5μm未満、好ま
しくは1.5μm未満、より好ましくは0.75μm未
満の凹凸があってもその部分は実質的に平行である。
【0008】本発明において、インクジェット記録ヘッ
ド用としては、前記圧電体薄膜の膜厚が、0.1μm〜
25μmであることが好ましい。また、強誘電体を形成
可能な組成物は、焼成により、チタン酸ジルコン酸鉛を
主成分とする強誘電体に変換されるものであることが好
ましい。
【0009】本発明の製造方法において、前記強誘電体
を形成可能な組成物は、特に限定されることないが、例
えば次の2つのタイプの組成物が挙げられる。
【0010】まず、第1は、有機ポリマー(A)と、強
誘電体微粒子(B)とを少なくとも含む組成物(タイプ
I)である。この場合に、チタン酸ジルコン酸鉛を主成
分とする強誘電体微粒子(B)を用いることが好まし
い。
【0011】次に、第2は、構成金属元素として少なく
ともチタン、ジルコニウム及び鉛を含む強誘電体酸化物
前駆体ゾル(S)と、有機ポリマー(A)とを少なくと
も含む組成物(タイプII)である。この場合(に、さら
に、強誘電体酸化物微粒子(B)を含む組成物を用いる
こともできる。チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする強
誘電体微粒子(B)を用いることが好ましい。
【0012】本発明において、フォトレジストとして
は、ネガ型、ポジ型のいずれをも用いることができる。
【0013】本発明において、エッチング処理は、ウェ
ットエッチング又はドライエッチングにより行うことが
できる。エッチング処理によって、圧電体薄膜のパター
ンを制御することもできる。
【0014】エッチング処理をウェットエッチングによ
り行う場合には、圧電体薄膜のパターンは、その垂直横
断面形状及び/又は垂直縦断面形状が、上辺及び下辺と
両側辺とを有する略四辺形状であり、上辺は下辺と実質
的に平行な部分を少なくとも一部有し、上辺の長さLu
と下辺の長さLbはLu<Lbの関係にあり、かつ下辺
と各側辺とがそれぞれ成す角度はいずれも90°未満で
あるように、制御することが容易である。Lu<Lbの
圧電体薄膜を形成する場合には、ウェットエッチングを
行うことが好ましい。
【0015】エッチング処理をドライエッチングにより
行う場合には、エッチングに用いるガスの種類や圧力、
時間などのエッチング条件を調整することにより、圧電
体薄膜のパターンを種々の形状に制御することができ
る。
【0016】例えば、ドライエッチングを行う場合に
は、圧電体薄膜のパターンは、その垂直横断面形状及び
/又は垂直縦断面形状が、相対する互いに実質的に平行
な上辺及び下辺と両側辺とを有する四辺形であって、下
辺と各側辺とがそれぞれ成す角度θl、θrは、90°
<θl<150°及び/又は90°<θr<150°で
あるように、制御することが容易である。Lu>Lb又
は90°<θl<150°及び/又は90°<θr<1
50°の圧電体薄膜を形成する場合には、ドライエッチ
ングを行うことが好ましい。
【0017】本発明において、下部電極上に圧電体薄膜
を形成した後、常法により、圧電体薄膜上に上部電極を
形成し、圧電体薄膜素子を得る。
【0018】上記の製造方法によると、圧電体薄膜は、
その上面と下面とが実質的に平行であり、上部電極は下
部電極と実質的に平行に形成される。従って、本発明の
製造方法により得られた圧電体薄膜素子は、電圧印可に
より安定した変位が得られ、インクジェット記録ヘッド
のアクチュエータとして好適である。
【0019】スクリーン印刷法で形成された従来の圧電
体薄膜は、図1に示すように、薄膜(13)の上面は下部電
極(12)と平行な部分は実質的に存在せず、従って、薄膜
(13)上に上部電極(14)を水平に形成することができなか
った。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明を図面を参照して説明す
る。図2は、本発明の圧電体薄膜素子の製造方法の工程
例の概略を示す図である。図3は、本発明の製造方法に
より得られた特定断面形状の圧電体薄膜素子の一例の概
略を示す斜視図である。図4は、図3の圧電体薄膜素子
の垂直断面図である。図5は、図4の変形例を示す圧電
体薄膜素子の垂直断面図である。図6は、本発明の製造
方法により得られた他の特定断面形状の圧電体薄膜素子
の一例の概略を示す斜視図である。図7は、図6の圧電
体薄膜素子の垂直横断面図である。図8は、図6の圧電
体薄膜素子の垂直縦断面図である。
【0021】図2〜8において、本発明の方法により得
られた圧電体薄膜素子(1) は、下部電極(2) と、下部電
極(2) 上に形成された圧電体薄膜(3) と、圧電体薄膜
(3) 上に形成された上部電極(4) とを有する。
【0022】下部電極(2) は、通常、ジルコニア等の基
板(5) 上に形成された振動板(6) 上に形成される。下部
電極(2) は、パターニングされたものであっても良い
し、そうでなくても良い。
【0023】下部電極(2) 材料は、特に制限されること
なく、通常圧電体薄膜素子として用いられているもので
あればよい。例えば、Pt、Au等が挙げられる。ま
た、上部電極(4) 材料も、特に制限されることなく、通
常圧電体薄膜素子として用いられているものであればよ
い。例えば、Au、Pt等が挙げられる。これらの電極
(2) (4) の厚さも、特に制限されることなく、例えば、
0.05〜2μm程度である。また、下部電極(2) と圧
電体薄膜(3) との間、圧電体薄膜(3) と上部電極(4)と
の間に、例えばTiからなる密着層が設けられてもよ
い。
【0024】まず、強誘電体を形成可能な組成物を下部
電極(2) 上に塗布し、強誘電体形成性組成物層(3a)を形
成する〔(a)工程〕。強誘電体を形成可能な組成物
は、特に限定されることなく、焼成により、強誘電体好
ましくはチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする強誘電体
に変換されるものであればよい。
【0025】例えば、次のものが、組成物の構成成分と
なり得る。 ・有機ポリマー(A) ・強誘電体微粒子(B) ・強誘電体酸化物の前駆体ゾル(S) ・溶剤 これらの成分を組み合わせて、強誘電体を形成可能な組
成物として用いることができる。
【0026】例えば、構成成分の組み合わせにより、非
限定的に、次の2つのタイプの組成物が挙げられる。 ・有機ポリマー(A)と、強誘電体微粒子(B)とを少
なくとも含む組成物(タイプI)。 ・構成金属元素として少なくともチタン、ジルコニウム
及び鉛を含む強誘電体酸化物前駆体ゾル(S)と、有機
ポリマー(A)とを少なくとも含む組成物(タイプI
I)。
【0027】以下、各構成成分について説明する。ま
ず、強誘電体微粒子(B)について説明する。強誘電体
微粒子は公知のいずれの強誘電体からなる粒子でもよ
く、強誘電体としては例えば、ペロブスカイト構造のチ
タン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム(B
aTiO3 )、チタン酸鉛(PbTiO3 )、PbZr
3 とPbTiO3 の固溶体にLaを添加したPLZT
等が代表例として挙げられる。また、その他として、L
iNbO 3 、LiTaO3 、SbSI等が挙げられる。
インクジェット記録ヘッドのアクチュエータ用として
は、強誘電体微粒子がチタン酸ジルコン酸鉛からなるも
のが好ましい。これらの強誘電体微粒子は、金属アルコ
キシドや金属塩を出発原料とするゾル−ゲル法、共沈
法、水熱法、噴霧熱分解法などの公知の方法により製造
することができる。
【0028】本発明において、強誘電体微粒子の平均粒
子径(BET法)は、特に限定されるものではないが、
圧電体薄膜を製造するという観点から、5nm〜10μ
mであることが好ましく、10nm〜5μmであること
がより好ましい。
【0029】次に、有機ポリマー(A)について説明す
る。適切な有機ポリマーとしては、特に限定されない
が、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロース(HPC)等のセルロース類、ポリ
ビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール
(PVB)、ポリアクリル酸エステル(PMA)、ポリ
メタクリル酸エステル(PMMA)等のビニル系高分
子、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレン
オキサイド(PEO)、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、PET、ナイロン系樹脂等が挙げられる。
【0030】次に、強誘電体酸化物の前駆体ゾル(S)
について説明する。強誘電体酸化物の「前駆体」とは、
ゾル−ゲル法によって原料の金属種含有化合物(例えば
金属アルコキシド)を重合させて得られるものであり、
実質的に完全な金属酸化物形態に移行させるための前駆
体を指す。
【0031】強誘電体酸化物前駆体ゾル(S)は、構成
金属元素として、チタン、ジルコニウム及び鉛を含む前
駆体であることが好ましい。この前駆体ゾルは、公知の
方法により合成することができる。すなわち、チタン酸
ジルコン酸鉛(PZT)の前駆体ゾルは、例えば、チタ
ンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、及び鉛ア
ルコキシドあるいは酢酸鉛を加水分解・重合させて得る
ことができる。
【0032】チタンアルコキシドとしては、例えば、テ
トラノルマルプロポキシチタン、テトライソプロポキシ
チタン、テトラノルマルブトキシチタン、テトライソブ
トキシチタン等が挙げられる。ジルコニウムアルコキシ
ドとしては、例えば、テトラノルマルプロポキシジルコ
ニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラノ
ルマルブトキシジルコニウム、テトライソブトキシジル
コニウム等が挙げられる。鉛アルコキシドとしては、ジ
ノルマルプロポキ鉛、ジイソプロポキシ鉛、鉛2-アミノ
エトキシ−アセテート〔Pb(NH2 CH2 CH2 O)
(CH3 COO)〕等が挙げられる。
【0033】加水分解・重合反応の溶媒としては、アル
コキシド等の原料及び加水分解に供する水がそれぞれ可
溶であって、水を添加する温度において凝固しないもの
であれば、特に制限なく用いることができる。例えば、
極性溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノー
ル等のアルコールが好ましく用いることができる。ま
た、トルエン等の非極性溶媒を適当な割合で混合しても
よい。
【0034】加水分解・重合反応は、適当な酸触媒存在
下、アルコキシド等の原料にもよるが、通常、−100
〜200℃で行うことができる。このようにして、強誘
電体酸化物の前駆体ゾルを得ることができる。
【0035】前記組成物(タイプI)において、有機ポ
リマー(A)と強誘電体微粒子(B)との配合割合は、
圧電体素子の要求される性能や製造適性などから決定す
れば良いが、焼成後のパターン形状、基体(下部電極)
との密着性を良好にする観点から、固形分重量比で、 0.5<(B)/〔(A)+(B)〕<0.99 であることが好ましく、 0.8<(B)/〔(A)+(B)〕<0.95 であることがより好ましい。上記配合比が、0.5以下
となると、焼成性や基体との密着性が低下する傾向があ
り、一方、0.99以上となると、塗布性が劣り好まし
くない。また、前記組成物(タイプI)において、補助
的な量の強誘電体酸化物の前駆体ゾル(S)を含ませる
こともできる。強誘電体酸化物微粒子(B)が多い場合
には、薄膜製造工程でより高い焼成温度を必要とする
が、より厚膜化された薄膜を得やすくなる。
【0036】前記組成物(タイプII)において、強誘電
体酸化物前駆体ゾル(Sp)と有機ポリマー(A)との
配合割合は、圧電体素子の要求される性能や製造適性な
どから決定すれば良いが、焼成後のパターン形状、基体
(下部電極)との密着性を良好にする観点から、固形分
重量で、強誘電体酸化物前駆体ゾル(S)100重量部
に対して、有機ポリマー(A)1〜100重量部を含む
ことが好ましく、10〜50重量部を含むことがより好
ましい。
【0037】また、前記組成物(タイプII)において、
必要に応じてさらに強誘電体酸化物微粒子(B)を含む
場合には、特に限定されないが、固形分重量で、強誘電
体酸化物前駆体ゾル(S)100重量部に対して、有機
ポリマー(A)1〜100重量部、及び強誘電体酸化物
微粒子(B)1〜50重量部、1〜10重量部程度の少
ない量でよい。強誘電体酸化物微粒子(B)の量が少な
い場合には、薄膜製造工程での低温焼成(例えば、50
0〜700℃程度)も可能となる。
【0038】本発明においては、前記組成物には、必要
によりさらに、重合促進剤、溶解促進剤、酸化防止剤、
染料、顔料などの公知の各種添加剤を適宜配合すること
もできる。
【0039】前記組成物には、塗布性などの作業性を良
好にするため、通常、溶剤が含まれている。溶剤は、公
知の各種溶剤の中から適宜選択される。通常、適当な溶
剤として、メタノール、エタノール、プロパノール、2
−エトキシエタノール等のアルコール類、カルビトー
ル、ブトキシエトキシカルビトール等のエーテル類など
の親水性溶剤を用いる。
【0040】強誘電体を形成可能な組成物は、慣用の方
法、例えば、組成物を構成する各成分を、通常適当な溶
剤(アルコール類などの親水性溶剤など)と共に、混合
することにより調製することができる。各構成成分を同
時に混合してもよく、適当な順序で混合してもよい。
【0041】このようにして得られた組成物を下部電極
(2) 上に塗布し、強誘電体形成性組成物層(3a)を形成す
る。下部電極は、通常、ジルコニア等の基板(5) 上にス
クリーン印刷法等によりパターニングされている。基板
は、予め適当な表面処理が成されていてもよい。例え
ば、シランカップリング剤などにより表面処理が成され
ていてもよい。
【0042】塗布方法は、特に限定されるものではな
く、慣用のコーティング方法、例えば、スピンコーティ
ング法、ディッピング法、キャスト法、スプレー塗布
法、ダイコーティング法、スクリーン印刷法、ドクター
ブレード法などにより行うことができる。これらの方法
のうち、好ましい方法は、スピンコーティング法、キャ
スト法、スプレー塗布法、ダイコーティング法、ドクタ
ーブレード法である。塗布の後、必要により乾燥して溶
剤を除去することにより、強誘電体形成性組成物層(3a)
を得る。強誘電体形成性組成物層(3a)の厚さは、所望の
焼成後の膜厚によるが、例えば、1〜30μm程度であ
る。
【0043】次に、前記強誘電体形成性組成物層(3a)上
に、フォトレジストを塗布し、レジスト層(7) を形成す
る〔(b)工程〕。フォトレジスト材料としては、特に
限定されることなく、公知のネガ型、ポジ型のいずれを
も用いることができる。例えば、代表的なものを例示す
れば、ネガ型としては、ポリケイ皮酸ビニル、環化ゴム
−ビスアジド系レジスト、ポリビニルフェノール/メラ
ミンなどの架橋剤/酸発生剤からなる架橋タイプの化学
増幅系レジストなどが挙げられる。ポジ型としては、キ
ノンジアジド−ノボラック樹脂系レジスト、アセタール
化ポリビニルフェノール/酸発生剤などの保護基脱離あ
るいは溶解抑止タイプの化学増幅系レジストなどが挙げ
られる。
【0044】フォトレジストの塗布方法も、特に限定さ
れるものではなく、慣用のコーティング方法、例えば、
スピンコーティング法、ディッピング法、キャスト法、
スプレー塗布法、ダイコーティング法、スクリーン印刷
法、ドクターブレード法などにより行うことができる。
塗布の後、必要により乾燥することにより、レジスト層
(7) を得る。レジスト層(7) の厚さは、通常、0.5〜
10μm程度である。
【0045】前記レジスト層(7) に所定のマスク(8) を
介して光線を照射又は露光して、パターン露光を行い、
現像する〔(c)工程〕。図2は、ポジ型フォトレジス
トを用いた場合を示す。この場合には、現像により、未
露光部のレジストが残存する。光線としては、ハロゲン
ランプ、高圧水銀灯、UVランプ、エキシマレーザー、
電子線、X線などの放射光などを利用する。波長100
〜500nm程度の光線、特に紫外線が有効である。露
光時間は任意であるが、フォトレジストの感光特性や、
光線の種類にもより、通常、0.1秒〜20分程度の範
囲から選択するとよい。
【0046】現像は公知の方法で行うと良い。現像に
は、フォトレジストの種類に応じて、水、アルカリ水溶
液、有機溶剤、あるいはこれらの混合液等の種々の現像
液を使用することができる。また、現像法も特に制限さ
れず、例えば、パドル(メニスカス)法、ディップ法、
スプレー法などを採用すればよい。
【0047】次に、エッチング処理を行い、必要に応じ
てレジスト層を除去する〔(d)工程〕。エッチング処
理は、強酸水溶液を用いたウェットエッチング、プラズ
マ処理を行うドライエッチングのいずれでも良い。これ
らのエッチング条件によって、圧電体薄膜のパターンを
制御することもできる。
【0048】エッチング処理後、レジスト層を適切な溶
剤を用いて、例えば溶剤中に浸漬することによって、除
去することが好ましい。適切な溶剤としては、用いたレ
ジストを溶解するものであり、例えば、アセトン、テト
ラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等が用いられる
であろう。レジスト層をこの段階では除去せずに、焼成
工程(e)において消失させても良い。
【0049】(d)工程後、焼成を行い、強誘電体形成
性組成物層(3a)を圧電体薄膜(3) とする〔(e)工
程〕。焼成は、強誘電体微粒子や強誘電体前駆体ゾルの
種類や配合量、圧電体素子の用途などにもよるが、適当
な温度、例えば、300〜1400℃程度、好ましくは
600〜1200℃程度の温度で行うことができる。ま
た、焼成は、不活性ガス雰囲気、または酸素含有雰囲気
(空気など)など任意の雰囲気下で行えばよく、常圧又
は減圧下で行うことができる。通常は、空気下で、室温
から300〜1400℃程度まで、2〜24時間かけて
焼成するとよい。また、段階的な昇温を行ってもよい。
このような焼成により、有機成分がほぼ消失して、緻密
な圧電体薄膜が得られる。
【0050】この圧電体薄膜(3) 上に、常法により、例
えば、スパッタ法や蒸着法により上部電極を形成して、
圧電体薄膜素子(1) とする。圧電体薄膜(3) は、その上
面と下面とが実質的に平行であり、上部電極(4) は下部
電極(2) と実質的に平行に形成される。
【0051】本方法ではエッチング条件によって、圧電
体薄膜のパターン形状を制御することもできる。
【0052】例えば、ウェットエッチングを行う場合に
は、”台形状”の垂直横断面形状を有する圧電体薄膜パ
ターンを得ることができる。すなわち、例えば、図3及
び図4に示すように、薄膜(3) の垂直断面形状は、上辺
及び下辺と両側辺とを有する略四辺形状であり、上辺は
下辺と実質的に平行な部分を少なくとも一部(下辺の長
さを基準として20〜98%の長さ)有し、上辺の長さ
Luと下辺の長さLbはLu<Lbの関係にあり、かつ
下辺と各側辺とがそれぞれ成す角度θl及びθrはいず
れも90°未満である。
【0053】上辺と下辺の実質的に平行な部分は、下辺
の長さを基準として20〜98%、好ましくは40〜9
5%で、より好ましくは60〜90%の平行な部分を有
することが好ましい。圧電体薄膜(3) の上面及び下面の
平行性が上記範囲にある場合、上部電極及び下部電極の
平行性が保たれ、より的確な変位が得られインク吐出精
度が高くなる。そして、下辺と図4における左側辺とが
成す角度θl、及び下辺と図4における右側辺とが成す
角度θrは、いずれも90°未満であり、例えば、30
°〜80°程度である。
【0054】また、例えば、図5の変形例に示すよう
に、左右の側辺が凸弧状となっていても良い。上辺が下
辺に対して実質的に平行な一部分を有することにより、
的確な変位が得られインク吐出精度が高くなるという本
発明の効果に変わりはない。
【0055】ドライエッチングを行う場合には、エッチ
ング条件を調整することにより、種々の形状の圧電体薄
膜のパターンを得ることができる。例えば、”逆台形
状”の垂直横断面形状圧電体薄膜のパターンを得ること
ができる。すなわち、例えば、図6及び図7に示すよう
に、薄膜(3) の垂直横断面形状は、相対する互いに実質
的に平行な上辺及び下辺と両側辺とを有する四辺形であ
って、上辺の長さLu1 と下辺の長さLb1 は、Lu1
>Lb1 の関係にある。そして、下辺と図7における左
側辺とが成す角度θl1 は、90°<θl1 <150
°、好ましくは90°<θl1 <120°であり、及び
/又は、下辺と図7における右側辺とが成す角度θr1
は、90°<θr1 <150°、好ましくは90°<θ
1 <120°である。
【0056】また、例えば、図8に示すように、垂直縦
断面形状は、相対する互いに実質的に平行な上辺及び下
辺と両側辺とを有する四辺形であって、上辺の長さLu
2 と下辺の長さLb2 は、Lu2 >Lb2 の関係にあ
る。そして、下辺と図8における左側辺とが成す角度θ
2 は、90°<θl2 <150°、好ましくは90°
<θl2 <120°であり、及び/又は、下辺と図8に
おける右側辺とが成す角度θr2 は、90°<θr2
150°、好ましくは90°<θr2 <120°であ
る。
【0057】圧電体薄膜(3) の上面と下面とが平行であ
るので、上部電極及び下部電極の平行性が保たれ、より
的確な変位が得られインク吐出精度が高くなる。
【0058】圧電体薄膜(3) の膜厚は、インクジェット
記録ヘッドのアクチュエータとして用いるために、0.
1μm〜25μmであることが好ましい。この膜厚は、
上面と下面の実質的に平行な部分における膜厚である。
より好ましい膜厚は0.5μm〜20μmであり、更に
好ましい膜厚は2μm〜15μmである。圧電体薄膜
(3) は、インクジェット記録ヘッドのアクチュエータと
しての十分な変位を得るために、チタン酸ジルコン酸鉛
を主成分とすることが好ましい。
【0059】本発明の製造方法によれば、上面及び下面
の平行性が非常に高い圧電体薄膜を形成することができ
る。さらに、微細パターンの圧電体薄膜を形成すること
ができる。これらのことは、従来のスクリーン印刷法に
よるパターニングでは不可能なことであり、本発明の大
きな利点である。
【0060】本発明により得られた圧電体薄膜素子は、
緻密性、電気的及び機械的特性に優れ、例えば解像度5
0μmのファインパターンのものであり、インクジェッ
ト記録ヘッドのアクチュエータとして好適である。すな
わち、この圧電体薄膜素子をインクジェット記録ヘッド
のアクチュエータとして用いた場合、変位のばらつきが
小さく、その変位を効率良く振動に変換でき、正確なイ
ンク吐出を行うことができる。さらに、ノズル配列やド
ットの微細化も可能となる。
【0061】本発明は、前記方法により得られた圧電体
薄膜素子をアクチュエータとして具備するインクジェッ
ト記録ヘッドにも関する。インクジェット記録ヘッドに
は、千鳥配置されたヘッドや、マルチノズルのヘッドも
含まれる。
【0062】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 [実施例1] 1.有機成分/強誘電体微粒子混合物(タイプI)の調
製 ヒドロキシプロピルセルロース0.4g、溶媒としてエ
チルセロソルブ0.6gを混ぜ、攪拌し、均一透明液を
得た。これに、強誘電体微粒子として、堺化学製チタン
酸鉛ジルコニア Pb(Zr,Ti)O3 (商品名、P
ZT−HQ、BET法による平均粒子径0.5μm)9
gを、室温で加え、ペーストを調製した。
【0063】2.ペーストのパターンニング (1)ペーストの塗布 10mm×10mmのジルコニア基板上に、白金ペース
トを厚さ5μmにスクリーン印刷法で塗布し、パターン
ニングされた下部電極を形成した。この上に、上記1.
で調製したペーストをドクターブレード法により塗布し
た。これを90℃のクリーンオーブンで20分乾燥した
ところ、厚さは15μmであった。
【0064】(2)レジストの塗布 (1)で作成した強誘電体微粒子含有ペースト膜の上
に、ポジ型レジストOFPR−800(東京応化工業
(株)製)をスピンコート法により塗布した。これを9
0℃のクリーンオーブンで20分乾燥したところ、厚さ
は2.5μmであった。
【0065】(3)露光、現像 (2)で作成したレジスト膜を、250Wの超高圧水銀
灯を有するミカサ(株)製マスクアライナーM−2L型
露光装置でテストマスク(線幅50μm)を介して5秒
間露光した。露光後のレジスト膜を、1.25重量%の
水酸化カリウム水溶液中で60秒間Dip現像した。
【0066】(4)エッチング 次に、50重量%のフッ化水素酸水溶液20g、濃硝酸
2g及び水20gからなるエッチング液に10秒間浸漬
した。水洗後、100℃のクリーンオーブンで20分乾
燥した。これを、アセトン中に30秒間浸漬して、レジ
ストを剥離した。
【0067】3.パターンニング膜の加熱焼成による圧
電体薄膜の形成 エッチング後の強誘電体微粒子含有薄膜を、空気中で室
温から400℃まで6時間、さらに1000℃まで1時
間かけて昇温することにより焼成し、極めて緻密性の良
い圧電体薄膜を得た。焼成後の膜の赤外線吸収スペクト
ルを観察したところ、有機成分に由来する吸収がほとん
ど観察されず、ほぼ完全に無機化(セラミックス化)し
ていることが確認された。また、焼成後の膜厚を電子顕
微鏡で観察したところ約9μmであった。
【0068】この薄膜の線幅50μmの部分の断面形状
を電子顕微鏡で観察したところ、図4を参照して、上辺
の長さLu=35μm、下辺の長さLb=50μmであ
った。上辺と下辺の実質的に平行な部分は約35μmで
あった。
【0069】この形状は、ペースト組成やエッチング条
件の変化により、本発明の範囲内において種々変形可能
である。また、解像度については、露光時におけるテス
トマスクの線幅を変えることにより、種々変化させるこ
とが可能である。線幅10μmのテストマスクを介して
露光し、現像、加熱焼成を行ったところ、上記と同様な
断面形状の解像度10μmのPZT薄膜が得られた。
【0070】4.圧電体素子の性能 得られた圧電体薄膜上に、上部電極をPt(白金)とし
てスパッタ法で形成した。厚さ0.5μmであった。こ
れを圧電体素子として用いて、インクを吐出させたとこ
ろ、十分な吐出力が得られた。
【0071】[実施例2]ペーストの塗布、レジストの
塗布、露光、現像までの工程を実施例1と同様に行っ
た。エッチングガスとして、アルゴンガスにCF4 、S
6 、HBrガスを混合したものを用いてエッチングを
行った。
【0072】エッチング後の強誘電体微粒子含有薄膜
を、空気中で室温から400℃まで6時間、さらに10
00℃まで1時間かけて昇温することにより焼成し、極
めて緻密性の良い圧電体薄膜を得た。焼成後の膜の赤外
線吸収スペクトルを観察したところ、有機成分に由来す
る吸収がほとんど観察されず、ほぼ完全に無機化(セラ
ミックス化)していることが確認された。また、焼成後
の膜厚を電子顕微鏡で観察したところ約9μmであっ
た。
【0073】この薄膜の線幅50μmの部分の断面形状
を電子顕微鏡で観察したところ、図7を参照して、上辺
の長さLu1 =50μm、下辺の長さLb1 =45μm
であった。上辺と下辺の実質的に平行な部分は約45μ
mであった。
【0074】得られた圧電体薄膜上に、上部電極をPt
(白金)としてスパッタ法で形成した。厚さ0.5μm
であった。これを圧電体素子として用いて、インクを吐
出させたところ、十分な吐出力が得られた。
【0075】[実施例3](強誘電体微粒子を用いない
薄膜の製造例) 1.有機成分/強誘電体酸化物前駆体ゾル混合物(ペー
スト:タイプII)の調製(強誘電体酸化物の前駆体ゾル
の調製) テトラn−ブトキシジルコニウムのイソプロパノール溶
液(85.7重量%)23.3gとアセチルアセトン
2.6gとを混合し、2時間還流した(溶液a)。別
途、テトライソプロポキシチタン13.64g、アセチ
ルアセトン9.61g、及びトリメチレングリコール
3.65gを混合し、これを前記溶液aに加え、2時間
還流した(溶液b)。別途、酢酸鉛3水和物41.73
gとトリメチレングリコール38.2gを混合し、2時
間還流した後、これを前記溶液bに加え、さらに5時間
還流した。得られた溶液をエバポレーターを用いて、8
0〜85℃で濃縮し、濃度35重量%の前駆体ゾル溶液
を得た。 (ペーストの調製)上記の前駆体ゾル液25gに、共重
合ナイロン(東レ(株)製、CM8000)1.8gを
メタノール7gに35℃で溶解させ室温まで冷却したも
のを、室温にて混合し、ペーストを調製した。
【0076】2.ペーストのパターンニング (1)ペーストの塗布 10mm×10mmのジルコニア基板上に、白金ペース
トを厚さ5μmにスクリーン印刷法で塗布し、パターン
ニングされた下部電極を形成した。この上に、上記1.
で調製したペーストをドクターブレード法により塗布し
た。これを90℃のクリーンオーブンで20分乾燥した
ところ、厚さは10μmであった。
【0077】(2)レジストの塗布 (1)で作成した強誘電体微粒子含有ペースト膜の上
に、ポジ型レジストOFPR−800(東京応化工業
(株)製)をスピンコート法により塗布した。これを9
0℃のクリーンオーブンで20分乾燥したところ、厚さ
は2.5μmであった。
【0078】(3)露光、現像 (2)で作成したレジスト膜を、250Wの超高圧水銀
灯を有するミカサ(株)製マスクアライナーM−2L型
露光装置でテストマスク(線幅50μm)を介して5秒
間露光した。露光後のレジスト膜を、1.25重量%の
水酸化カリウム水溶液中で60秒間Dip現像した。
【0079】(4)エッチング 次に、50重量%のフッ化水素酸水溶液20g、濃硝酸
2g及び水20gからなるエッチング液に10秒間浸漬
した。水洗後、100℃のクリーンオーブンで20分乾
燥した。これを、アセトン中に30秒間浸漬して、レジ
ストを剥離した。
【0080】3.パターンニング膜の加熱焼成による圧
電体薄膜の形成 エッチング後の強誘電体微粒子含有薄膜を、空気中で室
温から400℃まで6時間、さらに1000℃まで1時
間かけて昇温することにより焼成し、極めて緻密性の良
い圧電体薄膜を得た。焼成後の膜の赤外線吸収スペクト
ルを観察したところ、有機成分に由来する吸収がほとん
ど観察されず、ほぼ完全に無機化(セラミックス化)し
ていることが確認された。また、焼成後の膜厚を電子顕
微鏡で観察したところ約4μmであった。
【0081】この薄膜の線幅50μmの部分の断面形状
を電子顕微鏡で観察したところ、図4を参照して、上辺
の長さLu=30μm、下辺の長さLb=50μmであ
った。上辺と下辺の実質的に平行な部分は約30μmで
あった。
【0082】4.圧電体素子の性能 得られた圧電体薄膜上に、上部電極をPt(白金)とし
てスパッタ法で形成した。厚さ0.5μmであった。こ
れを圧電体素子として用いて、インクを吐出させたとこ
ろ、十分な吐出力が得られた。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、上面と下面とが実質的
に平行である圧電体薄膜を有する圧電体薄膜素子が得ら
れる。この圧電体薄膜素子は、電圧印可により安定した
変位が得られ、特にインクジェット記録ヘッドのアクチ
ュエータとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のスクリーン印刷法により作製された圧
電体薄膜素子の垂直断面図である。
【図2】 本発明の圧電体薄膜素子の製造方法の工程例
の概略を示す図である。
【図3】 本発明の製造方法により得られた特定断面形
状の圧電体薄膜素子の一例の概略を示す斜視図である。
【図4】 図3の圧電体薄膜素子の垂直断面図である。
【図5】 図4の変形例を示す圧電体薄膜素子の垂直断
面図である。
【図6】 本発明の製造方法により得られた他の特定断
面形状の圧電体薄膜素子の一例の概略を示す斜視図であ
る。
【図7】 図6の圧電体薄膜素子の垂直横断面図であ
る。
【図8】 図6の圧電体薄膜素子の垂直縦断面図であ
る。
【符号の説明】
(1) :圧電体薄膜素子 (2) :下部電極 (3a):強誘電体形成性組成物層 (3) :圧電体薄膜 (4) :上部電極 (5) :基板 (6) :振動板 (7) :レジスト層 (8) :フォトマスク (Lu):垂直断面形状における上辺の長さ (Lb):垂直断面形状における下辺の長さ (θl)(θr):垂直断面形状における下辺と各側辺
とが成す角度

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部電極と、下部電極上に形成された圧
    電体薄膜と、前記圧電体薄膜上に形成された上部電極と
    を有する圧電体薄膜素子を製造する方法であって、 強誘電体を形成可能な組成物を下部電極上に塗布し、強
    誘電体形成性組成物層を形成し、 前記強誘電体形成性組成物層上に、フォトレジストを塗
    布し、レジスト層を形成し、 前記レジスト層に所定のパターンの露光を行い、現像
    し、 エッチング処理を行い、必要に応じてレジスト層を除去
    し、 その後、焼成することにより、上面と下面とが実質的に
    平行である圧電体薄膜のパターンを形成することを含
    む、圧電体薄膜素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記圧電体薄膜の膜厚が、0.1μm〜
    25μmである、請求項1に記載の圧電体薄膜素子の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 強誘電体を形成可能な組成物は、焼成に
    より、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする強誘電体に
    変換されるものである、請求項1又は2に記載の圧電体
    薄膜素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 強誘電体を形成可能な組成物が、有機ポ
    リマー(A)と、強誘電体微粒子(B)とを少なくとも
    含む、請求項1〜3項のうちのいずれか1項に記載の圧
    電体薄膜素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記強誘電体微粒子(B)が、チタン酸
    ジルコン酸鉛を主成分とする、請求項4に記載の圧電体
    薄膜素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 強誘電体を形成可能な組成物が、構成金
    属元素として少なくともチタン、ジルコニウム及び鉛を
    含む強誘電体酸化物前駆体ゾル(S)と、有機ポリマー
    (A)とを少なくとも含む、請求項1〜3項のうちのい
    ずれか1項に記載の圧電体薄膜素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 強誘電体を形成可能な組成物が、さら
    に、強誘電体酸化物微粒子(B)を含む、請求項6に記
    載の圧電体薄膜素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 強誘電体酸化物微粒子(B)が、チタン
    酸ジルコン酸鉛を主成分とする、請求項7に記載の記載
    の圧電体薄膜素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 強誘電体を形成可能な組成物の下部電極
    上への塗布を、スピンコーティング法、キャスト法、ス
    プレー塗布法、ドクターブレード法又はダイコーティン
    グ法により行う、請求項1〜8項のうちのいずれか1項
    に記載の圧電体薄膜素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 エッチング処理をウェットエッチング
    により行う、請求項1〜9項のうちのいずれか1項に記
    載の圧電体薄膜素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 圧電体薄膜のパターンは、その垂直横
    断面形状及び/又は垂直縦断面形状が、上辺及び下辺と
    両側辺とを有する略四辺形状であり、上辺は下辺と実質
    的に平行な部分を少なくとも一部有し、上辺の長さLu
    と下辺の長さLbはLu<Lbの関係にあり、かつ下辺
    と各側辺とがそれぞれ成す角度はいずれも90°未満で
    ある、請求項1〜10項のうちのいずれか1項に記載の
    圧電体薄膜素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 上辺は、下辺の長さを基準として20
    〜98%の長さにわたって下辺と実質的に平行である、
    請求項11に記載の圧電体薄膜素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 エッチング処理をドライエッチングに
    より行う、請求項1〜9項のうちのいずれか1項に記載
    の圧電体薄膜素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 圧電体薄膜のパターンは、その垂直横
    断面形状及び/又は垂直縦断面形状が、相対する互いに
    実質的に平行な上辺及び下辺と両側辺とを有する四辺形
    であって、 下辺と各側辺とがそれぞれ成す角度θl、θrは、 90°<θl<150°及び/又は90°<θr<15
    0° である、請求項1〜9、13のうちのいずれか1項に記
    載の圧電体薄膜素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 上辺の長さLuと下辺の長さLbが、
    Lu>Lbの関係にある、請求項14に記載の圧電体薄
    膜素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15項のうちのいずれか1
    項に記載の製造方法により得られた圧電体薄膜素子を、
    アクチュエータとして具備する、インクジェット記録ヘ
    ッド。
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