JP2013146657A - 膜パターンの製造方法、電気−機械変換膜、電気−機械変換素子、液体吐出ヘッドおよび画像形成装置 - Google Patents

膜パターンの製造方法、電気−機械変換膜、電気−機械変換素子、液体吐出ヘッドおよび画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】機能性膜の膜パターンを均一な膜厚および膜形状で効率良く製造することができる膜パターンの製造方法を提供する。
【解決手段】本実施例では、従来のPZT前駆体溶液の塗布パターンである所定パターン領域80(従来の溶液塗布パターン部分)全体のパターンを覆う大きなパターンである拡大パターン領域8を形成している。本実施例のパターン化PZT前駆体塗膜の成膜領域は、従来の溶液塗布パターン部分である所定パターン領域80を全て含む1つの拡大パターン領域8となるようにPZT前駆体溶液を塗布する(本発明での溶液塗布パターン部分)ことで形成される。
【選択図】図5

Description

本発明は、膜パターンの製造方法、電気−機械変換膜、電気−機械変換素子、液体吐出ヘッドおよびこの液体吐出ヘッドを備えた画像形成装置に関し、画像形成装置として使用されるインクジェット記録装置、或いはプリンタ、ファクシミリ、複写機、プロッタ等またはそれら複数の機能を備えた複合機等の画像形成装置に備えられる液体吐出ヘッドの圧電素子となる電気−機械変換素子、この素子を構成する電気−機械変換膜、およびその膜パターンの製造方法に関する。
基板上に機能膜(以下、「機能性膜」ともいう)や配線等の膜パターンを製造する方法には、膜形成材料を加熱により蒸発させて基板上に成膜する手法や、スピンコート法を用いて基板上に成膜する手法が一般的に知られている。また、この他にも、スクリーン印刷やオフセット印刷の印刷方法を用いる手法や、インクジェット技術を用いた成膜方法が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、重ね塗りによる機能膜等の膜パターン形成においては、液滴同士が凝集してしまい、均一な膜を得られないという課題を解決するため、膜形成材料を含有する液滴を基板に付与して複数の膜前駆体を形成し、乾燥させた後に、乾燥させた複数の膜前駆体を吸湿膨潤させることで再度液体状態で合体させ、その後、合体させた膜前駆体を再乾燥させることによって、重ね塗りによる膜厚形状のばらつきや膜厚むらのない均一な膜を形成する膜パターンの製造方法が開示されている。
なお、電気−機械変換素子を構成する圧電体層の形成の基礎となるゾルゲル法に関しても、幾つかの技術例が知られている(非特許文献1〜3参照)。この詳細については後述の実施形態で説明する。
しかしながら、上記特許文献1のパターニング・成膜方法では、吸湿膨潤という手法をとっているため、乾燥しての再液化が困難な前駆体には活用できない。すなわち、PZTのような複合酸化物に対して吸湿膨潤という手法を採ると、加水分解の助長や表面乾燥でのPZT粉体化などの問題が発生してしまう。
上述したように、上記特許文献1を含め、今までのインクジェット・液滴吐出技術を利用したパターニング・成膜方法では、後から基板上に着弾した液滴が既に基板上にある液滴と合体して液だまりを生じたり、表面張力や近傍の液滴の乾燥により、雰囲気の温度、湿度の影響を受けたりすることで、その結果先に着弾した部分の膜厚が厚くなるため乾燥後の機能性膜の断面形状、周縁部の形状にばらつきを生じるという問題があった。
換言すれば、今までの方法では所望のパターンに撥水制御等を行うことで塗布した液滴をパターン内に留める方法を取っており、重ね塗りや厚膜化に際して膜厚および膜形状の均一性を確保することが困難であった。
このような機能性膜の微視的な形状のばらつきによって、機能性膜の機能のばらつきを生じさせるなど、種々の問題を引き起こすことがあり、生産効率の点でも問題があった。
そこで、本発明は、上述の事情・課題に鑑みてなされたものであり、機能性膜の膜パターンを均一な膜厚および膜形状で効率良く製造することができる膜パターンの製造方法を提供することを主な目的とする。
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、本発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
すなわち、本発明は、基板上に形成された第1の電極上に撥液膜を形成しパターニングした後、第1の電極上に機能性溶液を塗布する塗布工程と、ゾルゲル法にて第1の電極上に塗布された機能性溶液を加熱・結晶化する加熱・結晶化工程と、前記塗布工程および前記加熱・結晶化工程を繰返し行い、複数の所定パターン領域の機能性膜を得る膜パターンの製造方法において、前記機能性膜の成膜領域が、前記複数の所定パターン領域を全て含む1つの拡大パターン領域となるように前記機能性溶液を塗布することを特徴とする。
本発明によれば、前記課題を解決して前記目的を達成できる新規な膜パターンの製造方法を実現し提供することができる。
すなわち、本発明によれば、前記構成により、機能性膜の膜パターンを均一な膜厚および膜形状で効率良く製造することができる。
(a)〜(c)は、それぞれ異なる方法によってSAM膜をパターニングする際の工程を示す模式的な断面図である。 インクジェット法によってPZT前駆体溶液を繰返し塗布し、パターン化PZT前駆体塗膜、PZT膜を形成する工程を示す模式的な断面図である。 (a)はSAM膜形成部位における、(b)はSAM膜除去部位における、それぞれ水の接触角測定状態を示す写真である。 (a)、(b)、(c)は、疎水部(SAM膜)と親水部とのコントラストのばらつきがある場合に、所望とするPZT膜の断面形状と異なる形状となるまでの工程を示す模式的な断面図である。 (a)は、実施例1における所定パターン領域と拡大パターン領域との関係を示す平面図、(b)、(c)は、実施例1におけるPZT膜端部の状態を示す断面図である。 実施例2における所定パターン領域と拡大パターン領域との関係を示す平面図である。 図6とは別の実施例における所定パターン領域と拡大パターン領域との関係を示す平面図である。 液滴塗布装置の斜視図である。 実施例3で得られたPZT膜のP−Eヒステリシス曲線を示すグラフである。 実施例5における液体吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドの構成を示す断面図である。 実施例5におけるインクジェットヘッドを複数個配置した構成例を示す断面図である。 実施例6のインクジエット記録装置の機構部の概略的な一部断面正面図である。 図12の同記録装置を透視して示す斜視図である。
以下、図を参照して本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)および実施例を詳細に説明する。実施形態や各実施例等に亘り、同一の機能もしくは形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すに留め、重複説明を避ける。なお、実施形態や実施例に記載した内容は、一形態・一実施例に過ぎず、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
本発明は、液体吐出ヘッドおよびそれを使用した画像形成装置をも対象としている。前記画像形成装置は、一般的にはインクジェット記録装置と呼ばれているもので、以下、画像形成装置はインクジェット記録装置と称する。このインクジェット記録装置には、騒音が極めて小さく、かつ、高速印字が可能であり、更にはインクの自由度があり安価な記録媒体である普通紙を使用できるなど多くの利点があるため、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、上述したように複数の画像形成機能を備えた複合機等の画像記録装置或いは画像形成装置として広く展開されている。
インクジェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドとも呼ばれる液体吐出ヘッドは、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する液室(吐出室、加圧液室、圧力室、インク流路等とも称される)と、液室内のインクを吐出するための圧力発生手段とで構成されている。
上記圧力発生手段としては、圧電素子などの電気−機械変換素子を用いて液室の壁面を形成している振動板を変形変位させることでインク滴を吐出させるピエゾ型のもの、液室内に配設(配置して設けることを意味する)した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてインクの膜沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させるバブル型(サーマル型)のものなどがある。
電気−機械変換素子は、電気的入力を機械的な変形に変換するもので、構成は電気的入力を実行する上部・下部の電極対と、その間に圧電体などの膜(圧電体層)が挟まれた積層構造をもつ。圧電体にはジルコン酸チタン酸鉛(以下、「PZT」と略称する)セラミックスなどが用いられ、これらは複数の金属酸化物を主成分としているので一般に金属複合酸化物と称される。
更にピエゾ型のものにはd33方向の変形を利用した縦振動型、d31方向の変形を利用した横振動(ベンドモード)型、更には剪断変形を利用したシェアモード型等があるが、最近では半導体プロセスやマイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(以下、「MEMS」と略記する)の進歩により、Si基板に直接、液室およびピエゾ素子を作り込んだ薄膜アクチュエータが考案されている。
本発明に係る圧力発生手段として機能する電気−機械変換素子は、d31方向の変形を利用した横振動(ベンドモード)型である。
ここで、本発明に係る電気−機械変換素子を構成する圧電体層の形成の基礎となるゾルゲル法に関して、上記非特許文献1〜3を紹介しておく。
非特許文献1には、ゾルゲル法による金属複合酸化物の薄膜形成に関する技術が開示されている。非特許文献2には、Au膜上にアルカンチオールが自己組織化単分子膜(SAM:Self Assembled Monolayer)として形成でき、この現象を用いたマイクロコンタクトプリント法でSAMパターンを転写し、その後のエッチングなどのプロセスに利用することが開示されている。
また、非特許文献3には、Au基板上にアルカンチオールやデカンチオール、MHDAなどを塗布してSAM膜を形成し、半導体レーザを用いてスキャンさせることにより、SAM膜の除去を実現している技術が開示されている。
(ゾルゲル法による圧電体層の形成)
以下、ゾルゲル法による圧電体層の形成について述べる。
圧電体層がPZTの場合(上記非特許文献1参照)、出発材料に酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒としてメトキシエタノールに溶解させ均一溶液を得る。この均一溶液を、PZT前駆体溶液またはゾルゲル液とも呼ぶ。
PZTとは、ジルコン酸鉛(PbZrO)とチタン酸鉛(PbTiO)の固溶体で、その比率により特性が異なる。一般的に優れた圧電特性を示す組成はPbZrOとPbTiOの比率が53:47の割合のときであり、化学式で示すと、
Pb(Zr0.53,Ti0.47)O、一般にPZT(53/47)と表わされる。酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物の出発材料は、この化学式に従って秤量される。
金属アルコキシド化合物は、大気中の水分により容易に加水分解してしまうので、PZT前駆体溶液に安定剤としてアセチルアセトン、酢酸、ジエタノールアミンなどの安定化剤を適量、添加しても良い。
PZT以外の金属複合酸化物としてはチタン酸バリウムなどが挙げられ、この場合はバリウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒に溶解させることでチタン酸バリウム前駆体溶液を作製することも可能である。
下地基板全面にPZT膜を得る場合、スピンコート法などの溶液塗布法により塗膜を形成し、溶媒乾燥、熱分解(これら合わせて「加熱」ともいう)、結晶化の各々の熱処理を施すことで得られる。塗膜から結晶化膜への変態には体積収縮が伴うので、クラックフリーな膜を得るには一度の工程で100nm以下の膜厚が得られるように前駆体濃度の調整が必要になる。
液体吐出ヘッドの圧電素子として用いる場合、このPZT膜の膜厚は1〜2μmが要求される。前述の方法でこの膜厚を得るには十数回、前述の工程を繰り返す。
(ゾルゲル法によるパターン化した電気−機械変換膜(圧電体層)の形成)
ゾルゲル法によるパターン化した圧電体層の形成について述べる。
(1)先ず、下地基板の濡れ性を制御したPZT前駆体溶液の塗り分けをする。これは、上記非特許文献2に示されているアルカンチオールの特定金属上に自己配列する現象である。
(2)白金族金属にチオールで、撥液膜としての自己組織化単分子膜(Self−assembled Monolayer:以下、「SAM膜」と記す)を形成する。
(3)第1の電極としての下部電極にPt(白金)を用い、その全面にSAM処理を行う。SAM膜上はアルキル基が配置しているので疎水性(撥水性)になる。
(4)周知のフォトリソグラフィ・エッチングにより、前記SAM膜をパターニングする。
(5)レジスト剥離後も、パターン化SAM膜は残っているので、この部位は疎水性になる。一方、SAM膜を除去した部位は白金表面なので親水性になる。
なお、上記(1)〜(5)までの処理工程は、第1の電極としての下部電極に部分的に表面改質を行う表面改質工程ともいう。
(6)前記表面エネルギーのコントラストを利用してPZT前駆体溶液の塗り分けをする。表面エネルギーのコントラストにより、塗布領域は親水性の領域のみとなる。
コントラストの程度にもよるが、PZT前駆体溶液はスピンコート法で全面塗布してもパターン状に塗り分けられる場合もある。ドクターブレード塗工でも良いし、またディップコート塗工でも良い。PZT前駆体溶液の消費量を低減したい場合はインクジェット法による塗工でも良い。同様に凸版印刷でも可である。
図1を参照して、3種類の方法でアルカンチオールを用いてSAM膜をパターニング形成する工程を説明する。図1(a)、図1(b)、図1(c)は、それぞれ異なる方法によって、アルカンチオールを用いてSAM膜をパターニングする際の工程を示す模式的な断面図である。図1(a)、図1(b)、図1(c)の左横縦に示すA〜D、A1〜D1、A2〜D2は上記各図に示す工程の進行順序を示している。
図1(a)、図1(b)、図1(c)に示すように、基板1の最表面はいうまでもなく、基板1がチオールとの反応性に優れた白金であるものとして説明する(A、A1、A2工程に共通)。アルカンチオールは分子鎖長により反応性や疎水(撥水)性が異なるものの、CからC18の分子を一般的な有機溶媒(アルコール、アセトン、トルエンなど)に溶解させる(濃度数モル/リットル)。この溶液中に基板1を浸漬させ、所定時間後に取り出した後、余剰な分子を溶媒で置換洗浄し乾燥することで、SAM膜2を基板1の白金表面上に形成できる(図1(a)のB工程、図1(c)のB2工程参照)。以下、SAM膜2を基板1の白金表面上に形成することを、「SAM処理」ともいう。
図1(a)のC工程では、PZT前駆体を形成する部分のSAM膜2を除去するために、また必要部分のSAM膜2を保護するために、フォトリソグラフィによりフォトレジスト層3をパターニング形成し、その後、ドライエッチングによりSAM膜2を除去し、加工に用いたレジストを除去してSAM膜2のパターニングを終える(同図のD工程参照)。
一方、図1(b)のB1工程では、先に、PZT前駆体を形成する部分にフォトレジスト層3のパターンを形成し、その後、SAM膜2のパターニング処理を行う。SAM処理後の状態は、フォトレジスト層3上にはSAM膜2は形成せず(同図のC1工程参照)、フォトレジスト層3を除去すればSAM膜2のパターニングを終える。
図1(c)のB2工程では、先述の図1(a)のB工程と同じ工程を経て、SAM膜2を基板1の白金表面上に形成し、フォトマスク4を介して紫外線を照射(UV光露光)することにより、未露光部のSAM膜2が残り、露光部のSAM膜2が消失する。
上述した工程の具体例を説明する。図1(a)のB工程、図1(c)のB2工程において、アルカンチオールにCH(CH−SHを用い、濃度0.01モル/リットル(溶媒:イソプロピルアルコール)溶液に浸漬させ、SAM処理を行った。その後、イソプロピルアルコールで洗浄・乾燥後、SAM膜2のパターニングの工程に移る。
SAM処理後の疎水性の確認評価として接触角測定を行い、図3(a)の水の接触角測定写真に示すように、SAM膜2形成部位上での水の接触角は92.2°であった。一方、図3(b)の水の接触角測定写真に示すように、SAM処理前(SAM膜2の除去部位でもある)の白金スパッタ膜のそれは5°以下(完全濡れ状態)であり、SAM膜処理がなされたことが分かった。
図1(a)のC工程において、東京応化社製フォトレジスト(TSMR8800)を用い、スピンコート法でフォトレジスト層3を成膜し、通常のフォトリソグラフィでレジストパターンを形成した後、酸素プラズマ処理を行い露出部のSAM膜2を除去した(図1(a)のD工程参照)。処理後の残渣レジストはアセトンにて溶解除去し、上記したと同様の接触角評価を行ったところ、除去部では5°以下の値(完全濡れ状態)の親水部(親水領域)5が形成され、フォトレジスト層3でカバーされていたSAM膜2形成部位のそれは92.4°の値を示し、疎水部(疎水領域)が形成され、SAM膜2のパターン化がなされたことを確認した。
図1(b)に示したSAM膜パターニング方式では、上記と同様のレジストワークにより予めレジストパターンを形成し、同様のSAM処理を実施後、アセトンにてフォトレジスト層3を除去し(B1〜D1工程)、接触角を測定した。フォトレジスト層3でカバーされていた白金膜上の接触角は5°以下の値(完全濡れ状態)で親水部5が形成され、他の部位(SAM膜2のパターン部位)のそれは92.0°の値の疎水部が形成され、SAM膜2のパターン化がなされたことを確認した。
図1(c)に示したSAM膜パターニング方式では、フォトマスク4を用いて紫外線照射を行った。用いた紫外線はエキシマランプによる波長176nmの真空紫外光を10分間照射した。照射部の接触角は5°以下の値(完全濡れ状態)で親水部5が形成され、未照射部(SAM膜2のパターン部位)のそれは92.2°の値の疎水部が形成され、SAM膜2のパターン化がなされたことを確認した。
PZT前駆体溶液のパターン化された親水部5への塗布方法は、上述したようにスピンコート塗工、ドクターブレード塗工、ディップコート塗工、インクジェット塗工、凸版印刷による塗工等の中から選択することができる。
上述した図1(a)のD工程、図1(b)のD1工程、図1(c)のD2工程の後に、図2のE工程に示すように、上述したPZT前駆体溶液をSAM膜2のパターン化がなされた親水部5に塗布する工程を行う。図2のE工程に示すように、選択したインクジェット法によってPZT前駆体溶液をパターン化された親水部5へ塗布し、第1のパターン化PZT前駆体塗膜6(以下、「パターン化PZT前駆体塗膜6」ともいう)を形成する。
その後、通常のゾルゲルプロセスに従って熱処理を行う。パターン化PZT前駆体塗膜6の熱処理温度は有機物の燃焼温度:500℃、PZT結晶化温度:700℃などの高温処理によりSAM膜2は消失し、基板1の白金表面上にPZT膜7のみが成膜される(図2のF工程参照)。
2回目以降の工程は以下の理由から簡便化できる(図2のD’、E’、F’工程参照)。
・SAM膜は酸化物薄膜上には形成されない。このため、フォトリソグラフィ工程や露光の工程を必要としない第1の処理によりPZT膜の無い(露出している)白金膜上のみにSAM膜2が形成される(図2のD’工程参照)。
従来のSAM膜のパターン化とこれを利用した機能性色材(カラーフィルタ、ポリマー有機EL、ナノメタル配線)のパターニングは1回のSAM処理と引き続き行われる機能性色材の配置で完了していたが、ゾルゲル法では一度に成膜できる膜厚が少ないので、複数回繰り返す必要がある。毎回、フォトリソグラフィ・エッチングによるパターン化SAM膜形成は工程が煩雑になる。本発明は電気−機械変換素子として特にSAM膜が形成できない酸化物薄膜と、下部電極が構成要素であり、その下部電極にSAM膜が形成可能な組合せで初めて実現できるものである。
・第1のパターン形成した試料にSAM処理を行った後、PZT前駆体溶液の塗り分け塗工(パターン化PZT前駆体塗膜6の形成)を行い、熱処理を施す。以上の図2のD’、E’、F’工程を所望の膜厚になるまで繰り返す。この方法によるパターン化はセラミックス膜厚が5μmの厚さまで形成できる。
なお、塗布工程後のこれまでの工程は、塗布工程により部分的に塗布されたゾルゲル液(PZT前駆体溶液)を乾燥・熱分解(以下、「加熱」ともいう)・結晶化する乾燥・熱分解・結晶化工程(以下、「加熱・結晶化工程」ともいう)に相当する。
下部電極として用いられる材料は、耐熱性かつアルカンチオールとの反応によりSAM膜を形成する金属が選ばれる。銅や銀はSAM膜を形成するが、大気下中、500℃以上の熱処理により変質してしまうので用いることはできない。
さらに、金は両条件を満たすものの、積層するPZT膜の結晶化に不利に働くので使えない。白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、の単金属や白金−ロジウムなどの白金を主成分とした他の白金族元素との合金材料も有効である。
シリコン基板上に配置する振動板は、厚さ数ミクロンでシリコン酸化膜や窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、およびこれら各膜を積層した膜でも良い。また熱膨張差を考慮した酸化アルミニウム膜、ジルコニア膜などのセラミック膜でも良い。これら材料は絶縁体である。
下部電極は、圧電素子に信号入力する際の共通電極として電気的接続をするので、その下にある振動板は絶縁体か、もしくは導体であれば絶縁処理を施して用いることになる。
シリコン系絶縁膜は熱酸化膜、CVD堆積膜を用い、金属酸化膜はスパッタリング法で成膜することができる。
これら振動板上に白金族下部電極を配置する場合、膜密着力を強めるための密着層が必要となる(後述する図10参照)。密着層として可能な材料はチタン、タンタル、酸化チタン、酸化タンタル、窒化チタン、窒化タンタルやこれら積層膜が有効である。
(従来例のSAM膜のパターン形状)
まず、図4を参照して、従来例のSAM膜のパターン形状について説明する。
従来のSAM膜のパターン形状では、図4に示すように、疎水(撥水)部であるSAM膜2と親水部5とのコントラストのばらつきから同図のようないくつかの滴によって形成された機能性溶液の一例としてのパターン化PZT前駆体塗膜6、機能性膜の一例としてのPZT膜7のパターン形状が形成される。図4(a)、図4(b)、図4(c)は、疎水部(SAM膜2)と親水部5とのコントラストのばらつきによって、所望とするPZT膜7の断面形状と異なる形状となるまでの工程を示す模式的な断面図である。図4(a)、図4(b)、図4(c)の左横縦に示すD〜F、D1〜F1、D2〜F2は上記各図に示す工程の進行順序を示している。
例えば、疎水部(SAM膜2)と親水部5とのパターンピッチが狭い場合、表面エネルギーの制御がより困難になり、図4(c)のような所望パターン幅からのはみ出しまでも起きてしまう。すなわち、図4(c)のD2〜F2工程に示すように、撥液膜であるSAM膜2が基板1上の左右および中央部に形成されているのにも拘わらず、撥液しきれずに左右隣のパターン化PZT前駆体塗膜6とくっついて、滴がもれてしまうことで合体したPZT膜7が形成されてしまったり、そこまではいかなくても所望パターン幅より溢れて広がってしまっている。
また、この滴によって形成された形状のばらつきやはみ出しに関して塗布・焼成を繰り返すプロセスでは撥液膜であるSAM膜2のパターニングも焼成後には消失してしまうため繰返し形成する必要があり、これらの問題の根本的な解決が困難である。
以下、上述した実施形態および従来例を踏まえて本発明の実施例1〜6について詳細に説明する。
(実施例1)
図5を参照して、実施例1について説明する。この実施例1は、請求項1に対応する内容を含んでおり、本発明に係る膜パターンの製造方法に関するものである。
上記実施形態および従来例においては、SAM膜のパターンは目的とする機能性膜としての機能性薄膜のパターン形状そのものであったが、本発明に係る実施例1では、上記した機能性薄膜のパターン形状に代えて、より均一性を確保できるSAM膜のパターンを示す。図5(a)は、実施例1における所定パターン領域と拡大パターン領域との関係を示す平面図、図5(b)、(c)は、PZT膜端部の状態を示す断面図である。
上述した従来例に対して、本発明の実施例1に係るパターン化PZT前駆体塗膜のパターン形状では、図5(a)に示すように、従来のPZT前駆体溶液の塗布パターンの領域である所定パターン領域80(図5および後述する図6、図7を含め「従来の溶液塗布パターン部分」と記載している)全体のパターンを覆うような大きなパターンである拡大パターン領域8を形成している。すなわち、本実施例のパターン化PZT前駆体塗膜の成膜領域は、従来の溶液塗布パターン部分である所定パターン領域80を全て含む領域である1つの拡大パターン領域8となるようにPZT前駆体溶液を塗布する(図5および後述する図6、図7を含め「本発明での溶液塗布パターン部分」と記載している)ようになっている。
ここで、従来のパターン化PZT前駆体塗膜となる複数の所定パターン領域80である従来の溶液塗布パターン部分は、同図において上下に長い破線パターンで示されている。このとき、本実施例の大きな1つの拡大パターン領域8となる本発明での溶液塗布パターン部分は所望の機能性薄膜パターン(パターン化PZT前駆体塗膜)を繋げたものと略同一でもよいが、さらに外周に1〜2μm大きなパターンであることが好ましい。1〜2μm外周を広げることで、撥液膜であるSAM膜のムラでできるコーヒーステインの影響(図4(a)に示すE〜F工程のように、パターンの端部にPZT前駆体溶液が溜まった結果、局所的にPZT膜7の膜厚が厚くなってしまう現象を指す)を無視でき、図5(b)、図5(c)のように異なる膜厚端部のPZT膜7状態が形成されても必要とするパターンには影響せず、目的とする拡大パターン領域8内の部分8aの膜厚は均一に保たれる。
目的とする拡大パターン領域8内の部分8aから外側へ向かって形成された膜厚の不均一部分である拡大パターン領域8外の除去される部分8bは、例えば酸素プラズマ等によるドライエッチングの付与によって除去される。
また、膜厚管理はエリプソメータなどの干渉計を用いれば、外縁部の撥液膜(SAM膜)の状態によって生じる塗布ごとに発生する膜厚のズレの影響を受けずに成膜することができる。
上述したSAM膜パターンを形成しながら繰返し、機能性溶液であるパターン化PZT前駆体塗膜を加熱・結晶化(焼成)し積層していくことで、均一な1〜5μmの機能性薄膜であるPZT膜を得ることができ、これをエッチングもしくは個別電極をパターニングすることで最終的な所望のパターンの構造を得ることができる。
本実施例によれば、上述したとおり、機能性膜としてのPZT膜を得るためパターン化PZT前駆体塗膜の膜パターンを均一な膜厚および膜形状で効率良く製造することができる。
(実施例2)
この実施例2は、請求項2、3に対応する内容を含んでおり、本発明に係る膜パターンの製造方法に関するものである。
実施例1ではSAM膜のパターン形状の一例を紹介したが、他にも、溶液の凝集性やより高い均一性を得るための撥液膜を含むパターン形状が考えられる。
図6に示す実施例2では、実施例1の拡大パターン領域8に代えて、拡大パターン領域8Aを用いる点が主に相違する。すなわち、図6の拡大パターン領域8Aでは、図5の拡大パターン領域8と比較して、拡大パターン領域8A内で、元の隣る所定パターン領域80(従来の溶液塗布パターン部分)同士の間の一部に撥液膜としてのSAM膜2(図6、図7では「撥液部分」と記載している)を残すようにしている点が相違する。
図6に示す実施例2によれば、撥液膜としてのSAM膜2を含む拡大パターン領域8Aを形成することにより、機能性溶液としてのPZT前駆体溶液の凝集を抑えてフラット化させ、均一な機能性膜としてのPZT膜を形成することができる。
図7に示す図6とは別の実施例では、実施例1の拡大パターン領域8に代えて、拡大パターン領域8Bを用いる点が主に相違する。すなわち、図7の拡大パターン領域8Bでは、図5の拡大パターン領域8と比較して、拡大パターン領域8B内で、元の隣る所定パターン領域80(従来の溶液塗布パターン部分)同士の間の一部および元の所定パターン領域80内の一部に渡りマトリックス状のパターンをもって撥液膜としてのSAM膜2(撥液部分)を残すようにしている点が相違する。
図7に示す実施例2によれば、撥液膜としてのSAM膜2を含む拡大パターン領域8Bを形成することにより、より凝集性の高い機能性溶液に対応でき、機能性溶液としてのPZT前駆体溶液の凝集をより確実に抑えてフラット化させ、均一な機能性膜としてのPZT膜を形成することができる。
ただし、機能性溶液の塗布方法として、インクジェット法、ディスペンサ法のような液滴吐出によるパターニング方法を用いた場合には、マトリックスの幅は液滴径よりも狭い方が好ましい。同様に、スクリーン印刷法などを用いた場合には、マトリックスの幅はメッシュの粗さよりも細かくする方が好ましい。
(実施例3)
この実施例3は、請求項4〜7、9に対応する内容を含んでおり、本発明に係る膜パターンの製造方法、電気−機械変換膜、電気−機械変換素子に関するものである。
本実施例3では、シリコンウェハに熱酸化膜(膜厚1μm)を形成し、密着層(図10参照)としてチタン膜(膜厚50nm)をスパッタ成膜した。引き続き下部電極として白金膜(膜厚200nm)スパッタ成膜した。
次いで、実施例1〜2で示したような方法で、SAM膜のパターニングを行い、圧電層としてPZT(53/47)を成膜する。前駆体塗布液(PZT前駆体溶液)の合成は、出発材料に酢酸鉛三水和物、イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムを用いた。酢酸鉛の結晶水はメトキシエタノールに溶解後、脱水した。化学両論組成に対し鉛量を10モル%過剰にしてある。これは熱処理中のいわゆる鉛抜けによる結晶性低下を防ぐためである。
イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムをメトキシエタノールに溶解し、アルコール交換反応、エステル化反応を進め、先記の酢酸鉛を溶解したメトキシエタノール溶液と混合することでPZT前駆体溶液を合成した。このPZT濃度は0.1モル/リットルにした。
一度のゾルゲル成膜で得られる膜厚は100nmが好ましく、PZT前駆体濃度は成膜面積と前駆体塗布量の関係から適正化される(従って0.1モル/リットルに限定されるものではない)。
このPZT前駆体溶液を先のパターン化SAM膜上に、図8に示す液滴塗布装置を用いて塗布(図2のE工程参照)した。図2のE工程において、インクジェット法によりSAM膜2(疎水部)上には液滴を吐出せずに、親水部5にのみ吐出することで接触角のコントラストにより親水部5上にのみパターン化PZT前駆体塗膜6ができた。この塗膜6に対して、レーザ照射装置(図示せず)によりレーザを照射することで、結晶化を行い、図2のF工程に示すPZT膜7を得た。
ここで、図8を参照して、上記実施例3で用いた液滴塗布装置について説明しておく。図8は、PZT前駆体溶液を塗布する液滴塗布装置を説明する斜視図である。
図8に示すように、架台200の上には、Y軸駆動手段201が設置してある。Y軸駆動手段201の上には、基板202を搭載するステージ203がY軸方向に駆動できるように設置されている。なお、ステージ203には、図示を省略している真空、静電気などの吸着手段が設けられており、基板202が固定されている。
同図中において、212は、ヘッド待機位置を、213は、第1の位置合わせ用アライメントカメラを、214は、第2の位置合わせ用アライメントカメラを、それぞれ示す。
また、X軸支持部材204には、X軸駆動手段205が取り付けられている。X軸駆動手段205には、Z軸駆動手段211上に搭載されたヘッドベース206が取り付けられており、ヘッドベース206はX軸方向に移動できるようになっている。ヘッドベース206の上には、PZT前駆体溶液を吐出させる液滴吐出ヘッド208が搭載されている。この液滴吐出ヘッド208には、図示しないPZT前駆体溶液貯蔵用のタンクからPZT前駆体溶液供給用パイプ210からPZT前駆体溶液が供給される。
(繰返し処理の実施例)
上述したインクジェット法により、繰返し同じ場所に液滴を吐出、レーザ照射することで、重ね塗りを行うことができた。
(厚膜化の実施例)
上述の繰返し処理の実施例の工程を15回繰返し500nmの膜を得た。このとき作製されたPZT膜にクラックなどの不良は生じなかった。
さらに15回のPZT前駆体溶液の選択塗布→レーザ照射を行い、結晶化処理をした。PZT膜にクラックなどの不良は生じなかった。膜厚は1000nmに達した。このパターン化したPZT膜に上部電極(白金)を成膜し電気特性、電気−機械変換能(圧電定数)の評価を行った。
膜の比誘電率は1220、誘電損失は0.02、残留分極は19.3μC/cm、抗電界は36.5kV/cmであり、通常のセラミック焼結体と同等の特性を持つ。この際得たP−Eヒステリシス曲線を図9に示す。
電気−機械変換能は電界印加による変形量をレーザドップラー振動計で計測し、シミュレーションによる合わせ込みから算出した。その圧電定数d31は1〜20pm/Vとなり、こちらもセラミック焼結体と同等の値であった。これは液体吐出ヘッドとして十分設計できうる特性値である。
上述したとおり、実施例3によれば、レーザによる加熱・焼成を行うことで、熱による基板へのダメージを最小限に抑えることができる。また、レーザの照射面積(形状)はパターンより広ければ形状は問わないが、略同一形状であることがより好ましい。また、レーザの方が供給するエネルギー量が他の加熱・焼成プロセスよりも大きいのでタクトの改善も同時に実現できる。
(実施例4)
この実施例4は、請求項8に対応する内容を含んでおり、本発明に係る電気−機械変換素子に関するものである。
本実施例の電気−機械変換素子は、第2の電極が、液滴吐出法としてのインクジェット方式で形成される。電極膜として白金やSrRuOやLaNiOなどの酸化物を溶媒に溶かし、インクジェット法で塗布し、レーザ照射することで圧電体層と同様に電極膜も形成することができる。
(実施例5)
この実施例5は、請求項10に対応する内容を含んでおり、液滴吐出ヘッドとも呼ばれる本発明に係る液体吐出ヘッドに関するものである。図10を参照して、実施例5に係る液体吐出ヘッドの一例としてのインクジェットヘッド102について説明する。図10は、1ノズルのインクジェットヘッドの構成を示す断面図である。図11は、インクジェットヘッドを複数個配置した構成例を示す。なお、両図中には図の簡明化のため液体供給手段、流路、流体抵抗についての図示を省略している。
図10に示すインクジェットヘッド102は、上記実施例3の方法で作製した電気−機械変換膜43を含む電気−機械変換素子40を有する。
インクジェットヘッド102は、ノズル板10に形成されていてインク滴を吐出するノズル11と、このノズル11が連通する液室とも呼ばれる圧力室21と、この圧力室21内のインク(図示せず)を吐出するための圧力発生手段となる電気−機械変換素子40とで構成されている。圧力室21は、ノズル板10にSi基板製の圧力室基板20を配置することで空間として形成されている。
電気−機械変換素子40は、ノズル板10と対向側に配置され圧力室21の壁面を構成する振動板30を変形変位させることで圧力室21内のインクをインク滴としてノズル11から吐出させるピエゾ型のものである。電気−機械変換素子40は、Si基板で構成された振動板30上に酸化物電極とも呼ばれる密着層41が形成されていて、密着層41上に第1の電極となる下部電極(白金族電極とも呼ばれる)42が形成されている。この下部電極42上に電気−機械変換膜43が形成され、この電気機械変換膜43上に第2の電極となる上部電極44が形成されている。すなわち、第1の電極となる下部電極42と第2の電極となる上部電極44との間に電気−機械変換膜43が介装(部材間に備え付けることを意味する)されている。
本実施例5によれば、電気−機械変換素子40が簡便な製造工程で、かつ、バルクセラミックスと同等の性能を持つものとして形成でき、その後の圧力室21形成のための裏面からのエッチング除去、ノズル11を有するノズル板10を接合することで液体吐出ヘッドの一例としてのインクジェットヘッド102が構成できる。
(実施例6)
この実施例6は、請求項11に対応する内容を含んでおり、本発明に係る画像形成装置に関するものである。
図12および図13を参照して、本発明に係る画像形成装置の一例としてのインクジエット記録装置100の全体構成を説明する。図12は、本実施例6のインクジエット記録装置の機構部の概略的な一部断面正面図である。図13は、同記録装置を透視して示す斜視図である。
図12および図13に示すインクジェット記録装置100は、実施例5の液体吐出ヘッドの一例であるインクジェットヘッド(以下、単に「記録ヘッド」ともいう)102を搭載している。
図12および図13に示すように、インクジェット記録装置100は、いわゆるシリアル型のインクジェット記録装置であり、記録装置本体100Aの内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ101と、キャリッジ101の下側に搭載された記録ヘッド102と、記録ヘッド102へインクを供給するインクカートリッジ103とを含んで構成される印字機構部104を有している。
記録装置本体100Aの下方部には、図13における左側の前方側から多数枚の用紙105を積載可能な給紙カセット106が、記録装置本体100Aに対して引き出し・押し込み自在に配設(配置して設けることを意味する)されている。給紙カセット106の上方には、用紙を手差しで給紙するための手差しトレイ107を記録装置本体100Aに対して揺動・開閉可能に設けられている。給紙カセット106あるいは手差しトレイ107から給送される用紙105を取り込み、印字機構部104によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ108に排紙する。
印字機構部104は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド109と従ガイドロッド110とでキャリッジ101を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ101にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係る記録ヘッド102を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
キャリッジ101には、記録ヘッド102に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ103を交換可能に装着している。インクカートリッジ103は上方に大気と連通する大気口、下方には記録ヘッド102へインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により記録ヘッド102へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、記録ヘッド102としてここでは各色のヘッドを用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。ここで、キャリッジ101は、後方側(用紙(シート)搬送方向下流側)を主ガイドロッド109に摺動(接触して摺り動くことを意味する)自在に支持され、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド110に摺動自在に載置されている。そして、このキャリッジ101を主走査方向に移動走査するため、タイミングベルト104をキャリッジ101に固定している。タイミングベルト104は、主走査モータ111で回転駆動される駆動プーリ112と従動プーリ113との間に張架(張力を付与する状態で掛け渡され装着されていることを意味する)されている。この主走査モータ111の正逆回転によりキャリッジ101が往復移動される。
一方、給紙カセット106にセットした用紙105を記録ヘッド102の下方側に搬送するために、給紙カセット106から用紙105を分離給装する給紙ローラ115およびフリクションパッド116と、用紙105を案内するガイド部材117と、給紙された用紙105を反転させて搬送する搬送ローラ118と、この搬送ローラ118の周面に押し付けられる搬送コロ119および搬送ローラ118からの用紙105の送り出し角度を規定する先端コロ120とを設けている。
搬送ローラ118は、図示しない副走査モータによってギヤ列を介して回転駆動される。そして、キャリッジ101の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ118から送り出された用紙105を記録ヘッド102の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材122を設けている。この印写受け部材122の用紙搬送方向下流側には、用紙105を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ123、拍車124を設け、さらに用紙105を排紙トレイ108に送り出す排紙ローラ125および拍車126と、排紙経路を形成するガイド部材127、128とを配設している。
記録時には、キャリッジ101を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド102を駆動することにより、停止している用紙105にインクを吐出して1行分を記録し、用紙105を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙105の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙105を排紙する。また、キャリッジ101の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、記録ヘッド102の吐出不良を回復するための回復装置129を配置している。回復装置129は、キャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ101は印字待機中にはこの回復装置129側に移動されてキャッピング手段で記録ヘッド102をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で記録ヘッド102の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、記録装置本体100Aの下部に設置された廃インク溜(図示せず)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
以上説明したとおり、本実施例6によれば、インクジェット記録装置100においては本発明を実施したインクジェットヘッド102を搭載しているので、振動板駆動不良によるインク滴吐出不良がなく、安定したインク滴吐出特性が得られて、画像品質が向上する。
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態および実施例等について説明したが、本発明が開示する技術は、上述した実施形態および実施例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や実施例或いは変形例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
本発明の実施例4の電気−機械変換素子40を用いた液体吐出ヘッドとして、微小インクを吐出するインクジェットヘッド102を例示して説明したが、これに限定されず、本発明の適用範囲は、例えばインクに代えて、その用途に応じて使用する任意の微小液体を吐出する液体吐出ヘッドであってもよく、また液体吐出ヘッドを用いたパターニング装置等にも適用可能なことは言うまでもない。
本発明に係る画像形成装置は、図6および図7に示したインクジェット記録装置100に限らず、本発明のインクジェット方式の画像形成装置を含む画像形成装置、すなわち例えば、プリンタ、プロッタ、ワープロ、ファクシミリ、複写機、またはこれら2つ以上の機能を備えた複合機等においてインクジェット記録装置を含む画像形成装置にも適用可能である。
本発明の適用分野としては、直接的には印刷分野、特にデジタル印刷分野が挙げられ、画像形成装置としては、マルチファンクション・プリンタ(以下、「MFP」という)を使用するデジタル印刷装置、オフィス、パーソナルで使用するプリンタ、MFPなどが挙げられる。また、応用分野としては、インクジェット技術を利用する三次元造型技術などにも適用可能である。
また、記録媒体としては、用紙105に限らず、使用可能な薄紙から厚紙、はがき、封筒、或いはOHPシート等まで、インクジェットヘッドを用いて画像形成可能な全ての記録媒体を含むものである。
1 基板
2 SAM膜(撥液膜)
3 フォトレジスト層
4 フォトマスク
5 親水部
6 パターン化PZT前駆体塗膜
7 PZT膜(機能性膜)
8、8A、8B 拡大パターン領域
10 ノズル板
11 ノズル
20 圧力室基板
21 圧力室
30 振動板
40 電気−機械変換素子
41 密着層
42 下部電極(第1の電極)
43 電気−機械変換膜(機能性膜)
44 上部電極(第2の電極)
80 所定パターン領域
100 インクジェットヘッド記録装置(画像形成装置)
100A 記録装置本体
101 キャリッジ
102 インクジェットヘッド・記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
104 印字機構部
105 用紙(記録媒体)
特開2010−115577号公報
K. D. Budd, S. K. Dey, D. A. Payne, Proc. Brit. Ceram. Soc. 36, 107 (1985). A. Kumar and G. M. Whitesides, Appl.Phys.Lett., 63, 2002 (1993). Daniel Rhinow and Norert A Hampp, IEEE Transactions on nanobioscience 5, No.3 (2006).

Claims (11)

  1. 基板上に形成された第1の電極上に撥液膜を形成しパターニングした後、第1の電極上に機能性溶液を塗布する塗布工程と、ゾルゲル法にて第1の電極上に塗布された機能性溶液を加熱・結晶化する加熱・結晶化工程と、前記塗布工程および前記加熱・結晶化工程を繰返し行い、複数の所定パターン領域の機能性膜を得る膜パターンの製造方法において、
    前記機能性膜の成膜領域が、前記複数の所定パターン領域を全て含む1つの拡大パターン領域となるように前記機能性溶液を塗布することを特徴とする膜パターンの製造方法。
  2. 請求項1記載の膜パターンの製造方法において、
    前記拡大パターン領域内で、元の隣る前記所定パターン領域同士の間の一部に前記撥液膜を残すことを特徴とする膜パターンの製造方法。
  3. 請求項1記載の膜パターンの製造方法において、
    前記拡大パターン領域内で、元の隣る前記所定パターン領域同士の間の一部および元の前記所定パターン領域内の一部に渡りマトリックス状のパターンをもって前記撥液膜を残すことを特徴とする膜パターンの製造方法。
  4. 請求項1ないし3の何れか一つに記載の膜パターンの製造方法において、
    前記撥液膜を除去して該撥液膜のパターニングを行う方法が、レーザ照射であることを特徴とする膜パターンの製造方法。
  5. 請求項1ないし4の何れか一つに記載の膜パターンの製造方法において、
    前記機能性膜の前記加熱・結晶化工程に、レーザ照射装置を用いることを特徴とする膜パターンの製造方法。
  6. 請求項1ないし5の何れか一つに記載の膜パターンの製造方法を使用して作製される電気−機械変換膜であって、
    前記機能性溶液が、前記電気−機械変換膜形成材料を含有した前駆体溶液であり、
    撥液部と親液部のパターンを形成した前記基板上に前記前駆体溶液を塗布する塗布工程と、前記基板上に塗布された前駆体溶液を加熱・結晶化する加熱・結晶化工程とを繰返し行うことによって作製されることを特徴とする電気−機械変換膜。
  7. 第1の電極と第2の電極との間に電気−機械変換膜が挟まれる電気−機械変換素子において、
    前記電気−機械変換膜が、請求項6記載の電気−機械変換膜であることを特徴とする電気−機械変換素子。
  8. 請求項7記載の電気−機械変換素子において、
    第2の電極が、液滴吐出法で形成されたことを特徴とする電気−機械変換素子。
  9. 請求項7または8記載の電気−機械変換素子において、
    前記電気−機械変換膜が、金属の複合酸化物からなり、第1の電極と第2の電極とが白金族元素、およびその酸化物、またはこれら数種の積層膜からなる電極で構成されたことを特徴とする電気−機械変換素子。
  10. 請求項9記載の電気−機械変換素子を用いたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  11. 請求項10記載の液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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