JP6098934B2 - 電気機械変換膜の製造装置及びその製造方法 - Google Patents

電気機械変換膜の製造装置及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気機械変換膜の製造装置及びその製造方法に関するものである。
従来、電気機械変換膜を電極で挟むように構成された電気機械変換素子は、例えばインクジェット記録装置で用いられている。インクジェット記録装置は、騒音が極めて小さく、かつ高速印字が可能であり、更にはインクの自由度があり安価な普通紙を使用できるなど多くの利点があるために、プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置あるいは画像形成装置として広く展開されている。このインクジェット記録装置において使用する液滴吐出装置は、主として、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する吐出室、加圧液室、圧力室、インク流路等を称する液室と、該液室内のインクを吐出するための圧力発生手段とで構成されている。この圧力発生手段として、圧電素子などの電気機械変換素子を用いて吐出室の壁面を形成している振動板を変形変位させることでインク滴を吐出させるピエゾ型の圧力発生手段が知られている。このピエゾ型の圧力発生手段に使用される電気機械変換素子は、下部電極(第1の電極)と、電気機械変換層と、上部電極(第2の電極)とが積層したものからなる。各圧力室にインク吐出の圧力を発生させるのに個別の圧電素子が配置されることになる。電気機械変換層はジルコン酸チタン酸鉛(PZT)セラミックスなどが用いられ、これらは複数の金属酸化物を主成分としているので一般に金属複合酸化物と称される。
ここで、従来における電気機械変換膜の形成方法として、特許文献1に、電気機械変換膜を形成するための原料を含む塗布液の液滴をノズルから吐出させる液滴吐出方式により、電極上の所定部分に前記塗布液を塗布する方法が開示されている。特許文献1では、電極上にゾルゲル液を第1の液滴吐出ヘッドから吐出させて部分的に塗布してパターン化した電気機械変換膜を形成し、電極上にゾルゲル液成分に含まれる溶媒を第2の液滴吐出ヘッドから吐出させて塗布する。これにより、塗布されたゾルゲル液塗膜の速乾性を抑制することにより、電気機械変換膜の膜厚ムラを低減し、熱処理工程におけるクラックの発生を防止し、安定した電気特性を得ることができる。
上記ゾルゲル液などの液体を用いて薄膜を形成する技術に関して、非特許文献1には、ゾルゲル法による金属複合酸化物の薄膜形成に関する技術が開示されている。
また、特許文献2には、電気機械変換素子を用いた液滴吐出方式により液滴をノズルから吐出するための液滴吐出ヘッドの一般的な構成が開示されている。
上記液滴吐出方式で使用される電気機械変換膜の材料である前駆体ゾルゲル液(PZT前駆体溶液)は、例えばPZTではZrおよびTiのカルボキシラートからポリマーのネットワークを形成する。このネットワーク内へPbアルコキシドを取り込むことで、複合アルコキシドの形で構成されている。この前駆体ゾルゲル液の高分子固形分は溶媒中に均一に分散されているが、大気中の水分で部分的に加水分解を受けやすい特徴がある。特に液滴吐出方式(以下、「インクジェット方式」ともいう。)においては、産業用インクジェット装置が持つ液滴吐出ヘッドのノズル開口部付近において、前駆体ゾルゲル液を吐出していない場合、即ちヘッドが待機中の状態の時に顕著である。またノズル開口部から吐出されるゾルゲル液は微量であり、ヘッド待機中は開口部付近でゾルゲル液が持つ溶媒成分が蒸発しやすく、乾燥が速い。これらにより、前駆体ゾルゲル液を吐出するノズルにおいて固形分による詰まりが生じたり、ノズル面にゾルゲル液や固形分が付着したりしてしまう。すると、ゾルゲル液の不吐出や吐出曲がりが発生し、所望の電気機械変換膜パターンの領域外にゾルゲル液が塗布されパターニング精度が低下してしまい、所望の膜厚が得られない等の不具合が生じ、電気機械変換素子としての電気特性が十分に得られなくなってしまう。
上記特許文献1及び2では、液滴吐出ヘッドのノズルが固形分で詰まったり、ノズル面にゾルゲル液や固形分が付着したりすることについては、何ら言及されていない。
一般的なインクジェットプリンタで汎用されている、液滴吐出ヘッドのノズル面清浄機構を使用した場合でも、例えばゴム製ブレードによる清浄では、蒸発乾固した前駆体ゾルゲル液の固形分を除去するのが困難である。また、吸着シート・ロール等を使用した湿式/乾式ワイピングによる清浄では、払拭時に相当量の加圧が必要となり、液滴吐出ヘッドの位置ズレを起因とするゾルゲル液滴の着弾位置ズレが発生するのみならず、産業用インクジェット装置の機構自体もより煩雑な構成となる。
また、インクジェット方式による前駆体ゾルゲル液の塗布では、1個の塗布用液滴吐出ヘッドに対しインクタンクから1種類、ノズル列別としても2種類の異なるゾルゲル液しか塗布することができない。よって塗布回数ごとに前駆体ゾルゲル液の固形分濃度を変更する必要がある場合には、インクタンクにおける前駆体ゾルゲル液の交換のみならず、ヘッドの液室内、あるいはインクタンクからヘッドまでの流路内の洗浄(パージ)が必要となるため、工程が煩雑になる。特に、パージ後のゾルゲル液の付け替え時には、液室内および流路内に空気が流入しやすくなるため、残留ゾルゲル液の溶媒成分が容易に蒸発し、乾固した固形分によって詰まりのリスクが上昇する。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、電気機械変換膜の形成に用いられる液膜を精度よく成膜可能な電気機械変換膜の製造装置及びその製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、電気機械変換膜を形成するための原料の固形分を含む液体を収容する液室と、該液室に連通したノズルとを有し、該ノズルから該液体の液滴を吐出させて基板上に該液体の薄膜を形成する液滴吐出ヘッドを備えた電気機械変換膜の製造装置であって、前記液室に前記液体と該液体の主溶媒成分とをそれぞれ独立に供給可能な供給手段を備えた。
本発明によれば、電気機械変換膜の形成に用いられる液膜を精度よく成膜することができる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット塗布装置に備えられる液滴吐出ヘッド及び液体供給部の概略構成図。 (a)〜(g)は、ゾルゲル法によるパターン化した電気機械変換膜を形成する工程の一例を示す説明図。 (d’)〜(f’)は、2回目以降のPZT前駆体溶液の塗り分け工程を説明する説明図。 産業用のインクジェット塗布装置の概略構成を示す斜視図。 (a)、(b)および(c)はそれぞれ、実施例1、実施例2および比較例1の電気機械変換膜の成膜状態を示す図。 P−Eヒステリシス曲線のグラフ。 液滴吐出ヘッドの構成例を示す断面図。 液滴吐出ヘッドを複数個配置した構成例を示す断面図。 本実施形態に係る液滴吐出ヘッドを用いたインクジェット記録装置の一例を示す概略斜視図。 同インクジェット記録装置の機構部全体の概略構成図。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、圧電定数d31の変形を利用した横振動(ベンドモード)型の電気機械変換膜を有する電気機械変換素子を製造対象の例として説明するが、本発明は、この型の電気機械変換膜に限定されることなく適用可能である。
電気機械変換膜がPZT膜の場合のPZT前駆体溶液は、非特許文献1に記載されている、例えば、酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒としてメトキシエタノールに溶解させ、均一溶液として得るようにしてもよい。
なお、上記PZT前駆体溶液は「ゾルゲル液」や「前駆体ゾルゲル液」とも呼ばれる。
PZTとは、ジルコン酸鉛(PbZrO)とチタン酸鉛(PbTiO)の固溶体で、その比率により特性が異なる。一般的に優れた圧電特性を示す組成はPbZrOとPbTiOの比率が53:47の割合で、化学式で示すとPb(Zr0.53,Ti0.47)O、一般にPZT(53/47)と示される。酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物の出発材料は、この化学式に従って秤量される。金属アルコキシド化合物は大気中の水分により容易に加水分解してしまうので、前駆体溶液に安定剤としてアセチルアセトン、酢酸、ジエタノールアミンなどの安定化剤を適量、添加してもよい。
PZT以外の複合酸化物としてはチタン酸バリウムなどが挙げられ、この場合はバリウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒に溶解させることでチタン酸バリウム前駆体溶液を作製することも可能である。
また、下地となる基板上の第1の電極の表面に電気機械変換膜としてのパターン化したPZT膜を得る場合、上記溶液を塗布液として液滴吐出方式で塗布することにより塗膜を形成し、溶媒乾燥、熱分解、結晶化の各々の熱処理を施すことでパターン化したPZT膜が得られる。塗膜から結晶化膜への変態には体積収縮が伴うので、クラックフリーな膜を得るには一度の工程で100nm以下の膜厚が得られるようにするのが好ましい。そして、前駆体濃度は、電気機械変換膜の成膜面積とPZT前駆体溶液の塗布量との関係から適正化するように調整するのが好ましい。また、液滴吐出装置の電気機械変換素子として用いる場合、このPZT膜の膜厚は1μm〜2μmが要求される。この膜厚を得るには十数回、工程を繰り返すことになる。
更に、ゾルゲル法によるパターン化した電気機械変換層の形成の場合には、下地となる基板の濡れ性を制御したPZT前駆体溶液の塗り分けをする。これは、非特許文献2に示されているアルカンチオールが特定金属上に自己配列する現象を利用したものであり、まず、基板の白金族金属の表面に、チオールのSAM(Self assembled monolayer)膜を形成する。SAM膜上はアルキル基が配置しているので、疎水性になる。このSAM膜は、例えば周知のフォトリソグラフィ・エッチングにより、フォトレジストを用いてパターニングすることができる。レジスト剥離後も、パターン化SAM膜は残っているので、この部位は疎水性になっている。一方、SAM膜が除去された部位は白金表面が露出しているため、親水性になっている。この表面エネルギーのコントラストを利用してPZT前駆体溶液の塗り分けをすることができる。本実施形態では、上記SAM膜を、PZT前駆体溶液を塗布しない領域に選択的に形成した後、以下に示すように、PZT前駆体溶液の消費量を低減することができる液滴吐出方式による塗工(インクジェット塗工)でPZT前駆体溶液を選択的に塗布している。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット塗布装置に備えられる液滴吐出ヘッド及び液体供給部の概略構成図である。
図1において、液滴吐出ヘッド220は、インクジェット方式で液体を吐出する吐出ヘッドである。この液滴吐出ヘッド220は、騒音が極めて小さくかつ高速印字が可能であり、更には吐出対象のインクの自由度があり安価な普通紙を使用できるなど多くの利点がある。このため、プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置又は画像形成装置にも広く用いられている。
液滴吐出ヘッド220は、製造対象の電気機械変換膜の原料の固形分を含むPZT前駆体溶液の液滴221を吐出するノズル223と、このノズル223に連通する液室224と、を備えている。更に、液滴吐出ヘッド220は、液室224内のPZT前駆体溶液の液滴を吐出するために液室224内に圧力を発生させる圧力発生手段としてのアクチュエータ225を備えている。なお、液室224は、吐出室、加圧液室、圧力室、インク流路等とも称される。
アクチュエータ225としては、圧電素子などの電気機械変換素子を用いて液室224の壁面を形成している振動板を変形・変位させることで液滴を吐出させるピエゾ型のアクチュエータを用いることができる。また、アクチュエータ225としては、液室224内に配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液の膜沸騰でバブルを発生させて液滴を吐出させるバブル型(サーマル型)のアクチュエータを用いてもよい。
図2(a)〜(g)は、ゾルゲル法によるパターン化した電気機械変換膜を形成する工程の一例を示す説明図である。この工程は、以下の(1)〜(8)に示す特徴を有し、非特許文献2に示されているアルカンチオールの特定金属上に自己配列する現象を利用して電気機械変換膜を形成する工程であり、基板1の表面改質の工程を含む。
(1)アルカンチオールの特定金属上に自己配列する現象を利用し、白金族金属上にチオールでSAM(Self assembled monolayer)膜6を形成する(図2(d)参照)。
(2)第1の電極(下部電極)には白金族金属である白金(Pt)3を用い、その全面にSAM処理を行う。
(3)SAM膜6上はアルキル基が配置しているので、疎水性になる。
(4)周知のフォトリソグラフィー・エッチングにより、このSAM膜6をパターニングする。
(5)フォトリソグラフィー工程でレジスト皮膜5が残った領域は、レジスト剥離後もパターン化SAM膜6は残っているので、この部位は疎水性である。
(6)一方、フォトリソグラフィー工程でレジスト5が除去された領域は、エッチング工程によりSAM膜6が除去され白金3の表面となっているので、親水性である。
(7)インクジェット方式により、上記親水性の領域に、PZT前駆体溶液の液滴221を部分的に塗布する。すると、表面エネルギーのコントラストにより塗布領域は親水性の領域のみとなる(図2(e)参照)。
(8)ゾルゲル液が液滴吐出ヘッド220で塗布可能なようにゾルゲル液の粘度、表面張力を調整する。
このようにしてパターン化されたPZT前駆体溶液の液膜(塗膜)7をインクジェット方式にて形成した後は、通常のゾルゲル液プロセスに従って熱処理を行う。即ち、ホットプレートやクリーンオーブンによる熱源装置や、赤外線ランプによる急速加熱処理(RTA:Rapid Thermal Annealing)装置等による加熱処理によって乾燥・熱分解・結晶化工程を実施することで、所望のPZT膜8を得る。またレーザー光照射による加熱処理でもよい。なお、前記加熱処理により、図2(g)に示すようにSAM膜6は消滅する。一度の成膜で得られるPZT膜8の膜厚は50〜100[nm]程度が好ましい。また、加熱処理後にPZT膜8となるPZT前駆体溶液の液膜(塗膜)7の膜厚は、液体容器であるタンクに供給するPZT前駆体溶液の固形分濃度により調整することができる。
上記の一連の工程について、2回目以降のPZT前駆体溶液の塗り分け工程を、図3(d’)〜(f’)に示す。工程は1回目と同様に行うが、このときSAM膜6は、酸化物薄膜(PZT膜8)上には形成されない。よって、SAM処理ではPZT膜8のない領域(電気機械変換膜パターン外)の白金(Pt)3上のみにSAM膜6が形成され、SAM膜6の形成工程は簡便化することができる。
以上の工程を、PZT膜8’が所望の膜厚になるまで繰り返すが、この工法によるパターン化はPZT膜(電気機械変換膜)8’が5[μm]の厚さまで形成することができる。
なお、前記工程の概要説明では第1の電極(下部電極)として白金(Pt)3を全面に成膜したものについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、白金(Pt)や金(Au)、銀(Ag)等の貴金属類と、LNO(ニッケル酸ランタン、LaNiO)やSRO(ルテニウム酸ストロンチウム、SrRuO)等の導電性酸化物を順次積層させる。そして、一般的なフォトリソグラフィーおよびエッチング工程により、導電性酸化物を所望の電気機械変換膜パターンと同型にパターニングを行い、所望のパターン領域外は導電性酸化物下面の貴金属層を露出させる。パターニング後の表面全体をSAM処理すると、アルカンチオールは貴金属層からなる所望のパターン領域外のみに選択的に自己配列しSAM膜を形成するので疎水性になる。同時に、導電性酸化物からなる所望の電気機械変換膜パターン領域ではSAM膜が形成されないため親水性が確保されるため、インクジェット方式での同領域へのPZT前駆体溶液の塗り分けは、表面エネルギーのコントラストにより可能となる。
PZT前駆体溶液の塗布で使用するインクジェット塗布装置に具備されている液滴吐出ヘッド220において、PZT前駆体溶液、及びPZT前駆体溶液の主溶媒成分(以下、「主溶媒」ともいう。)がそれぞれ独立に液滴吐出ヘッド220の液室224内に供給される。また、液滴吐出ヘッド220の液室224内において、供給されたPZT前駆体溶液の主溶媒により、PZT前駆体溶液の固形分濃度を調整する。
ここで、上記液滴吐出ヘッド220にPZT前駆体溶液などを供給する液体供給部230について説明する。
図1に示すように、液体供給部230には、PZT前駆体溶液を収容する容器である溶液タンク231と、PZT前駆体溶液を搬送するための溶液ポンプ232と、PZT前駆体溶液の流量を調整するための溶液流量調整バルブ233とが配設されている。また、液体供給部230には、主溶媒を収容する容器である溶媒タンク234と、主溶媒を搬送するための溶媒ポンプ235と、主溶媒の流量を調整するための溶媒流量調整バルブ236と、ソレノイドバルブ237と、コントローラ238とが配設されている。ソレノイドバルブ237は、溶媒流量調整バルブ236をバイパスして液滴吐出ヘッド220の液室224に主溶媒を送り込むためのバルブであって、通常は閉じているノーマルクローズタイプのバルブである。また、コントローラ238は、図示しないメインコントローラの指令に基づいて、溶液ポンプ232、溶媒ポンプ235、ソレノイドバルブ237を電気的に制御する、例えばプログラマブルコントローラである。
上記コントローラ238、溶液ポンプ232、溶媒ポンプ235、ソレノイドバルブ237は、液室224にPZT前駆体溶液と主溶媒とをそれぞれ独立に供給する供給手段としての機能を有している。すなわち、コントローラ238が、溶液ポンプ232をON/OFF制御することで、溶液タンク231内のPZT前駆体溶液が流路239内を搬送される。同様に、コントローラ238が、溶媒ポンプ235をON/OFF制御することで、溶媒タンク234内の主溶媒が流路239内を搬送される。PZT前駆体溶液と主溶媒とは流路239内を搬送されながら混合し、PZT前駆体溶液は所定の固形分濃度となって、液滴吐出ヘッド220の共通液室226に供給される。さらにPZT前駆体溶液は、共通液室226と接続している複数の液室224に供給される。
また、上記コントローラ238、溶液ポンプ232、溶媒ポンプ235、ソレノイドバルブ237は、液室224内のPZT前駆体溶液の固形分濃度を調整する濃度調整手段としての機能も有している。すなわち、コントローラ238は、溶液ポンプ232と溶媒ポンプ235とをそれぞれ独立にON/OFF制御する。これにより、PZT前駆体溶液の量と主溶媒の量とを適宜調整して、PZT前駆体溶液の固形分濃度を所望の濃度に調整することができる。
さらに、上記コントローラ238は、インクジェット塗布装置の待機時において、溶液ポンプ232をOFF、溶媒ポンプ235をON、ソレノイドバルブ237をON(バルブ開)にする制御を行う。これにより、共通液室226にはPZT前駆体溶液は供給されず、主溶媒のみが供給されるため、後述する回復装置117でPZT前駆体溶液を液室224から吐出して、PZT前駆体溶液の最小の固形分濃度を0[%]にすることができる。
上述した液滴吐出ヘッド220及び液体供給部230の構成によれば、塗布されるPZT前駆体溶液の固形分濃度調整をノズル内(液室224)で完結して塗布することができる。このため、固形分濃度が異なるPZT前駆体溶液への交換や、PZT前駆体溶液が供給される液滴吐出ヘッド220内の液室224、及びPZT前駆体溶液の溶液タンク231から液滴吐出ヘッド220までの流路洗浄等の工程を省くことができる。これにより、基板上に所定のパターンで形成される電気機械変換膜(以下、適宜「電気機械変換膜パターン」という。)の膜厚調整を容易に実施することができる。
また、前記液滴吐出ヘッド220の液室224内におけるPZT前駆体溶液の最小の固形分濃度を0[%]にすることができる。前述したように、PZT前駆体溶液は空気中の水分による加水分解反応、および溶媒成分の乾燥が起こりやすく、使用されるインクジェット塗布装置においては液滴吐出ヘッド220のノズル223表面でその影響を受けやすい。前記加水分解反応や乾燥により消費された分量のPZT前駆体溶液の溶媒成分は、前述したようにPZT前駆体溶液の主溶媒成分を供給することで状態を保つことができるが、同時に加水分解反応および溶媒成分の乾燥は継続される。特に、電気機械変換膜パターンの液塗布のインターバルが長い場合、前記主溶媒成分が液滴吐出ヘッド220へ供給され続けることで目減りしていく。このため、溶液タンク231から共通液室226へのPZT前駆体溶液の供給を停止し、液室224内をPZT前駆体溶液に使用されている主溶媒成分にてパージしながら充填し、液滴吐出ヘッド220内のPZT前駆体溶液の固形分を除去する。これにより、電気機械変換膜パターンの塗布のインターバル(待機)中は、液室224全体をPZT前駆体溶液の主溶媒で満たされている清浄な状態を保つことができる。加えて、PZT前駆体溶液の主溶媒成分の使用量を抑制することができる。再度、電気機械変換膜パターンを塗布する場合には、逆にPZT前駆体溶液の主溶媒成分の供給を停止し、PZT前駆体溶液の供給によって主溶媒のパージおよび充填を実施することで、インターバル前と同様の電気機械変換膜パターンの塗布が可能となる。
上記ゾルゲル法によるPZT電気機械変換膜の形成方法の一例について、図2を参照して、さらに詳細に説明する。
図2(a)に示すように、基板1表面には下地層としてTiOを50[nm]の厚さで成膜する。さらに第1の電極として、白金(Pt)3およびルテニウム酸ストロンチウム(SRO)4が順次積層され形成されている。このときのPt3、SRO4の膜厚はそれぞれ、250[nm]、60[nm]とした。さらに、第1の電極にフォトレジスト5を塗布する。
第1の電極は、インクジェット方式にて電気機械変換膜として形成されるパターンに合致するよう、フォトリソグラフィーによりレジストをパターニングする。そして、ドライエッチングにより電気機械変換素子パターン領域外の表面上に存在するSRO層をエッチングする(図2(b)参照)。続いて電気機械変換素子パターン上に残ったフォトレジスト5を剥離する(図2(c)参照)。電気機械変換膜パターンは幅50[μm]、長さ1000[μm]の長尺パターンであり、幅方向に1:1ピッチ(パターン幅=スペース幅=50[μm])で配列させたものである。前記パターニング工程後の電気機械変換素子パターン領域外の表面は、第1の電極下層のPt3が存在する状態とした。
図2(d)は、基板1の表面全体に表面処理を実施し、電気機械変換素子パターン領域外にSAM膜が形成された状態を示している。SAM膜はアルカンチオール希釈液に基板1を浸漬してチオール基を自己配列させることで得られる。ここでアルカンチオールはドデカンチオールCH(CH11−SHを使用し、モル濃度0.1[mmol/l]のエタノール希釈液とした。また基板1のアルカンチオール液への浸漬時間は30秒間とし、浸漬後はエタノール浴中で5分間超音波洗浄を施した。この結果、基板1における、電気機械変換素子パターン領域内/外における対純水接触角は、パターン領域外では90度以上となり十分な疎水性が得られ、パターン領域内では30度以下となり親水性となった。同時に、パターン領域内/外の接触角コントラストを大きく確保することができた。
次に、本実施形態で使用するゾルゲル液であるPZT前駆体溶液の作製について説明する。
出発材料には酢酸鉛三水和物、チタンテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシドを用いた。酢酸鉛の結晶水はメトキシエタノールに溶解後、脱水した。鉛量は化学両論組成に対し15[mol%]過剰とした。これは乾燥・熱分解・結晶化等の熱処理工程における、いわゆる鉛抜けによる結晶性低下を防ぐためである。ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、チタンテトライソプロポキシドをメトキシエタノールに溶解し、アルコール交換反応、エステル化反応を進め、先記の酢酸鉛を溶解したメトキシエタノール溶液と混合することでPZT前駆体溶液を合成した。このとき安定剤として、PZT固形分濃度と同モル濃度分の酢酸を添加すると共に、副溶媒としてメトキシエタノールより高沸点であるジエチレングリコールモノメチルエーテル、および1−ノナノールを添加した。最終的にPZT前駆体溶液の固形分濃度は0.1[mol/l]とした。
作製したPZT前駆体溶液は、図1に示すような液滴吐出ヘッド220に溶液タンク231から供給する。
図4は、上記PZT前駆体溶液の塗布に用いられる産業用のインクジェット塗布装置の概略構成を示す斜視図である。
図4において、インクジェット塗布装置200は、架台208に、直動案内とステッピングモータ等からなるY軸駆動手段201と、X軸支持部材204とが保持される構成となっている。Y軸駆動手段201には、Y方向に往復移動自在なステージ203が支持されている。このステージ203には、基板202が載置される。また、X軸支持部材204には、直動案内とステッピングモータ等からなるX軸駆動手段205が配設されており、液滴吐出ヘッド220がX方向に往復移動自在に支持されている。液滴吐出ヘッド220には、ヘッドベース206と、機能性インク材料供給用パイプ210が設けられている。また、液滴吐出ヘッド220は、直動案内とエアシリンダ等からなるZ軸駆動手段211で支持されており、ヘッドベース206と機能性インク材料供給用パイプ210と一体で、上下方向に移動自在に構成されている。
上記構成のインクジェット塗布装置200において、ステージ203に載置された基板202をY方向に移動させ、液滴吐出ヘッド220をX方向に移動させることにより、基板202の全面にPZT前駆体溶液を塗布することができる。なお、PZT前駆体溶液を基板202に塗布するときは、Z軸駆動手段211を駆動させて液滴吐出ヘッド220を下降させ、ヘッドベース206を基板202に近づけてもよい。
上記構成のインクジェット塗布装置200により、前述の図2(d)に示す工程で形成された基板1上の親水性領域、即ち所望の電気機械変換膜のパターン形成領域にPZT前駆体溶液を塗布した(図2(e)、(f)参照)。前述した通り、電気機械変換膜パターンの形成領域内/外における接触角のコントラストのため、PZT前駆体溶液は親水部のみに広がりパターンが形成された。これを第一の加熱工程、すなわち溶媒を乾燥させる工程において、ホットプレートによる基板下面加熱により、昇温速度30[℃/min]として室温から300[℃]まで温度上昇させて熱処理を行った。本工程でゾルゲル液膜を乾燥させた後は第二の加熱工程、すなわち有機物の熱分解処理を温度500[℃]で実施し、図2(g)に示すような電気機械変換膜パターンのPZT膜を得た。このときの電気機械変換膜厚は80[nm]となり、電気機械変換膜パターンの長手方向の中央部/端部で膜厚差のない良好な電気機械変換膜を得られた。
引き続き、繰返し処理としてイソプロピルアルコール洗浄後、同様にチオール希釈液への浸漬にて基板の表面処理を実施しSAM膜を形成した。2回目以降、SAM膜は酸化膜上、すなわちPZT上には形成されないので、図3(d')に示すようなSAM膜のパターンが容易に得られる。またこのときの対純水接触角は、電気機械変換膜パターン領域外(SAM膜上)は100[度]以上、PZT膜上は25[度]以下であった。
次に、本発明の実施形態に係る製造方法におけるPZT前駆体溶液の固形分濃度の調整のより具体的な実施例について、比較例とともに説明する。
〔実施例1〕
1回目の塗布終了から熱処理、2回目のSAM膜の形成を経て2回目の塗布開始までのインターバルは20分であり、この間、PZT前駆体溶液を塗布するための液滴吐出ヘッド220は、インクジェット塗布装置200の所定の位置で待機させた。待機中、本実施例1ではPZT前駆体溶液の主溶媒成分であるメトキシエタノールを、図1に示す溶媒流量調整バルブ236より、液滴吐出ヘッド220のノズル223開口部から蒸発する分を常時微量ずつ共通液室226へ供給した。これにより、液滴吐出ヘッド220内のPZT前駆体溶液の固形分濃度を常時一定に保つようにした。
〔実施例2〕
本実施例2では1回目の塗布後に、図1に示す溶液タンク231からのPZT前駆体溶液の供給を停止した。そして、液室224に残留しているPZT前駆体溶液を溶媒流量調整バルブ236から供給されるメトキシエタノールでパージしながら、液室224にメトキシエタノールを充填させた。これにより、液滴吐出ヘッド220内のPZT前駆体溶液の固形分濃度が0[%]である状態とした。
〔比較例1〕
上記実施例1及び2に対して、本比較例1では、溶媒流量調整バルブ236から液滴吐出ヘッド220の共通液室226へのメトキシエタノールの供給はせず、塗布用のPZT前駆体溶液が充填されている状態を保持した。
以上の実施例1、2及び比較例それぞれの状態で、1回目に形成した電気機械変換膜パターンに位置合わせを行い、再度インクジェット塗布装置200によりPZT前駆体溶液を塗布した(図3(e')、(f')参照)。なお、実施例2では、塗布するPZT前駆体溶液で液室224中のメトキシエタノールをパージしながら充填した後に塗布を開始した。
図5(a)、(b)および(c)はそれぞれ、実施例1、実施例2および比較例1の電気機械変換膜7の成膜状態を示す図である。実施例1および2では、PZT前駆体溶液を塗布する液滴吐出ヘッド220のノズル223での不吐出、および吐出曲がりは発生せず、PZT前駆体溶液の液滴が電気機械変換膜パターン内のみに着弾された。これに対して、比較例1では、一部のノズル223でPZT前駆体溶液の不吐出が発生し、一部の電気機械変換膜パターンにPZT前駆体溶液が塗布されなかった。また、一部のノズルでは吐出時にゾルゲル液滴の曲がりが発生し、電気機械変換膜パターン領域外のPt上に液滴が着弾し、ドット状のゾルゲル液膜が多数形成された。
上記PZT前駆体溶液の塗布後は、1回目の塗布後と同様に、昇温速度30[℃/min]による室温から300[℃]までの温度上昇による乾燥工程、温度500[℃]による有機物の熱分解処理工程を経た。その後、結晶化処理(温度750[℃])をRTA(急速熱処理)にて行い、重ね塗りされたPZT膜が得られた(図3(g')参照)。このとき膜にクラックなどの不良は生じなかった。
引き続き一連の工程、すなわち表面処理によるSAM膜形成→PZT前駆体溶液の塗布→300[℃]乾燥→500[℃]熱分解→SAM膜形成→PZT前駆体溶液の塗布→300[℃]乾燥→500[℃]熱分解および結晶化処理までの工程を実施した。この工程を、前記同様の条件で12サイクル、即ちPZT前駆体溶液の塗布を24回分実施した。なお、最後の1サイクル、即ちPZT前駆体溶液の2回分(25、26層目)の塗布においては、液滴吐出ヘッド220の液室224に前述のPZT前駆体溶液およびメトキシエタノールを同時供給した。これにより、PZT前駆体溶液の固形分濃度が0.05[mol/l]となるよう調整した。最終的に成膜された電気機械変換膜パターンの膜厚を測定したところ、実施例1、2は共にパターン化PZT膜の厚さは2.0[μm]となり、パターン間での膜厚ムラがほとんどない良好な電気機械変換膜が得られた。一方比較例1では、パターン化PZT膜の厚さは0.3〜2.0[μm]となり、パターン間の塗布抜けの有無で膜厚にバラツキが生じた。また、電気機械変換膜パターン領域外のPt表面上に着弾され、ドット状に形成されたPZT膜は最大3.0[μm]の高さに成長していた。この高さは以降の工程で、作製された電気機械変換膜から素子化し、液滴吐出ヘッドを組み立てる際の接合時に影響が出る高さであった。
次に、実施例1、2より形成された電気機械変換膜の素子化を実施した。パターン化電気機械変換膜を含む基板上に、スパッタ法にてPtを成膜し、フォトリソグラフィー、エッチング工程により所望パターン上に第2の電極(上部電極)を形成し、電気機械変換素子とした。第2の電極を形成する際のエッチング工程において、電気機械変換素子パターン領域外では第1の電極のオーバーエッチングは発生しなかった。
本実施形態の製造方法で形成された電気機械変換膜を有する電気機械変換素子の電気特性、および電気機械変換能(圧電定数)の評価を行った。実施例1および2の電気機械変換膜は、それぞれ比誘電率が2510および2490、誘電損失が8.1[%]および7.8[%]、耐圧が58[V]および59[V]で、優れた電気特性を示した。また、図6のP−Eヒステリシス曲線に示すように、いずれも残留分極は19.3[μC/cm]、抗電界は34.5[kV/cm]であり、通常のセラミック焼結体と同等の特性を持った。
電気機械変換能は電界印加による変形量をレーザードップラー振動計で計測し、シミュレーションによる合わせ込みから算出した。その結果、圧電定数d31はいずれも135[pm/V]以上を示し、こちらもセラミック焼結体と同等の値であった。これは液滴吐出ヘッドとして十分設計できうる特性値であった。
一方で実施例2の一部のパターンでは、第2の電極を配置せずに、更なる厚膜化を試みた。すなわち、PZT前駆体溶液の2回までの塗布、熱分解アニールのたびに結晶化処理を行い、これを都合24回繰り返したところ、4[μm]のパターン化PZT膜がクラックなどの欠陥を伴わずに得られた。
次に、本発明に係る製造方法で形成した電気機械変換素子を備えた液滴吐出ヘッドについて説明する。
図7は、個別の液滴吐出ヘッドの構成例を示す断面図である。また、図8は、個別の液滴吐出ヘッドを複数個配置した構成例の断面図である。なお、図中、液体供給手段、流路、流体抵抗についての記載は省略している。
図7に示すように、個別の液滴吐出ヘッド50は、液滴を吐出するノズル11が形成されたノズル板10と、ノズル11が連通する液室(圧力室)21を形成する液室基板20と、液室21の壁面を形成する振動板30とが積層されている。また、振動板30の液室21と反対側の面に本発明に係る電気機械変換素子40からなる圧電アクチュエータが設けられている。
電気機械変換素子40は、振動板30上に、酸化物電極41、第1の電極(下部電極)としての白金族電極42、電気機械変換膜43、第2の電極(上部電極)44を順次積層形成したものである。
ここで、電気機械変換素子40は、上述したように簡便な製造工程で振動板30上に形成される。しかも、その電気機械変換素子40はバルクセラミックスと同等の性能を持つ。そして、その後の液室21の形成のための裏面からのエッチング除去を行い、ノズル11を有するノズル板10を接合することで、液滴吐出ヘッドを得ることができる。
なお、複数のノズル列を配列した液滴吐出ヘッドの例について図8に示しているが、このヘッド部分の構成は上記図7と同様であるので、説明を省略する。
次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドを搭載した画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一例について図9及び図10を参照して説明する。なお、図9は同インクジェット記録装置の斜視説明図、図10は同インクジェット記録装置の機構部の側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、記録装置本体81の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ93を備えている。また、このキャリッジ93に搭載したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部82等を収納している。また、記録装置本体81の下方部には前方側から多数枚の記録媒体としての用紙83を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)84を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙83を手差しで給紙するための手差しトレイ85を開倒することができる。そして、給紙カセット84或いは手差しトレイ85から給送される用紙83を取り込み、印字機構部82によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ86に排紙する。
印字機構部82は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド91と従ガイドロッド92とでキャリッジ93を主走査方向に摺動自在に保持している。キャリッジ93にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッドからなる記録ヘッド94を備えている。この記録ヘッド94は、複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着される。また、キャリッジ93には記録ヘッド94に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ95を交換可能に装着している。
インクカートリッジ95は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有している。この多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、記録ヘッドとしてここでは各色の記録ヘッド94を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ93は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド91に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド92に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ93を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ97で回転駆動される駆動プーリ98と従動プーリ99との間にタイミングベルト100を張装している。このタイミングベルト100をキャリッジ93に固定しており、主走査モータ97の正逆回転によりキャリッジ93が往復駆動される。
一方、給紙カセット84にセットした用紙83を記録ヘッド94の下方側に搬送するために、給紙カセット84から用紙83を分離給装する給紙ローラ101及びフリクションパッド102と、用紙83を案内するガイド部材103とを設けている。また、給紙された用紙83を反転させて搬送する搬送ローラ104と、この搬送ローラ104の周面に押し付けられる搬送コロ105及び搬送ローラ104からの用紙83の送り出し角度を規定する先端コロ106とを設けている。搬送ローラ104は副走査モータ107によってギヤ列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ93の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ104から送り出された用紙83を記録ヘッド94の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材109を設けている。この印写受け部材109の用紙搬送方向下流側には、用紙83を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ111、拍車112を設けている。さらに用紙83を排紙トレイ86に送り出す排紙ローラ113及び拍車114と、排紙経路を形成するガイド部材115,116とを配設している。
記録時には、キャリッジ93を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド94を駆動することにより、停止している用紙83にインクを吐出して1行分を記録し、用紙83を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙83の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙83を排紙する。
また、キャリッジ93の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、記録ヘッド94の吐出不良を回復するための回復装置117を配置している。回復装置117はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段とを有している。キャリッジ93は印字待機中にはこの回復装置117側に移動されてキャッピング手段で記録ヘッド94をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で記録ヘッド94の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出す。これにより、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、このインクジェット記録装置においては本発明を実施したインクジェットヘッドを搭載しているので、ノズルの詰まりやノズル面に固形分が付着しないので、インク滴吐出不良がなく、安定したインク滴吐出特性が得られて、画像品質が向上する。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
アクチュエータ225などの電気機械変換膜を形成するための原料の固形分を含むPZT前駆体溶液などの液体を収容する液室224と、液室224に連通したノズル223とを有し、ノズル223から液体を吐出させて基板上に液体の薄膜を形成する液滴吐出ヘッド220を備えたインクジェット塗布装置などの電気機械変換膜の製造装置であって、液室224に供給される前記原料の固形分を含むPZT前駆体溶液などの液体を収容する溶液タンク231などの第1のタンクと、液室224に前記液体のメトキシエタノールなどの溶媒を収容する溶媒タンク234などの第2のタンクとを備える。
これよれば、上記実施形態について説明したように、液滴吐出ヘッド220の液室224内に液体とこの液体の溶媒とをそれぞれ独立に供給可能になるので、液体とその溶媒との供給量に応じて液室224内の液体の固形分濃度を容易に変更することができる。これにより、ノズル223から吐出する液体の固形分濃度を変更してパターン精度の高い液膜の成膜が可能となる。さらに、溶媒の蒸発や供給不足などに起因する、液体の固形分濃度が高くなりすぎて固形分が固まってしまうことがなく、ノズル223の詰まりを防ぐことができる。
(態様B)
上記態様Aにおいて、前記第1のタンクに収容される液体と前記第2のタンクに収容される溶媒とを液室に供給する液体供給部230などの供給手段を備える。
これよれば、上記実施形態について説明したように、液滴吐出ヘッド220の液室224内に供給する液体とこの液体の溶媒とをそれぞれ独立に供給できるので、液体と溶媒との供給量に応じて液室224内の液体の固形分濃度を容易に変更することができる。これにより、ノズル223から吐出する液体の固形分濃度を変更してパターン精度の高い液膜の成膜が可能となる。さらに、溶媒の蒸発や供給不足などに起因する、液体の固形分濃度が高くなりすぎて固形分が固まってしまうことがなく、ノズル223の詰まりを防ぐことができる。
(態様C)
上記態様Bにおいて、供給手段は、液室224内に供給される液体及び溶媒の供給量を調整することにより、液室224内の液体の固形分濃度を調整する液体供給部230などの濃度調整手段を有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、液体の固形分濃度を正確に調整することができ、パターン精度の高い液膜をより安定して成膜することができる。
(態様D)
上記態様Cにおいて、濃度調整手段は、液室224内における液体の固形分濃度を0[%]とする。これによれば、上記実施形態について説明したように、液体の固形分濃度が0[%]であれば、溶媒が蒸発しても固形分がノズル223に詰まることがない。
(態様E)
上記態様Dにおいて、濃度調整手段は、液体を吐出する液滴吐出ヘッドの動作が待機中のときに、液室224内における液体の固形分濃度を0[%]とする。これによれば、上記実施形態について説明したように、ノズル223から液体が吐出されない液滴吐出ヘッドの待機中のノズル223の詰まりを有効に防止することができる。
(態様F)
上記態様A乃至Eのいずれかにおいて、液体はゾルゲル液である。これによれば、上記実施形態について説明したように、ゾルゲル液の液滴を吐出して基板上に金属複合酸化物の電気機械変換膜を安定して形成することができる。
1 基板
2 TiO
3 Pt層
4 SRO
5 フォトレジスト
6 SAM膜
10 ノズル板
11 ノズル
20 圧力室基板
21 圧力室(液室)
30 振動板
40 電気機械変換素子
43 電気機械変換膜
50 (個別の)液滴吐出ヘッド
81 記録装置本体
82 印字機構部
93 キャリッジ
94 記録ヘッド
95 インクカートリッジ
117 回復装置
200 インクジェット塗布装置
220 液滴吐出ヘッド
221 PZT前駆体溶の液滴
223 ノズル
224 液室
225 電気機械変換素子(アクチュエータ)
226 共通液室
227 電気機械変換膜
230 液体供給部
231 溶液タンク
232 溶液ポンプ
233 溶液流量調整バルブ
234 溶媒タンク
235 溶媒ポンプ
236 溶媒流量調整バルブ
237 ソレノイドバルブ
238 コントローラ
特開2012−059903号公報 国際公開第2003/098714号
K.D.Budd,S.K.Dey,D.A.Payne,Proc.Brit.Ceram.Soc.36,107(1985). A.Kumar and G.M.Whitesides,Appl.Phys.Lett.,63,2002(1993).

Claims (7)

  1. 電気機械変換膜を形成するための原料の固形分を含む液体を収容する液室と、該液室に連通したノズルとを有し、該ノズルから該液体を吐出させて基板上に該液体の薄膜を形成する液滴吐出ヘッドを備えた電気機械変換膜の製造装置であって、
    前記液室に供給される前記原料の固形分を含む液体を収容する第1のタンクと、
    前記液室に供給される前記液体の溶媒を収容する第2のタンクと、
    を有することを特徴とする電気機械変換膜の製造装置。
  2. 請求項1の電気機械変換膜の製造装置において、
    前記第1のタンクに収容される前記液体と前記第2のタンクに収容される前記溶媒とを前記液室に供給する供給手段を備えたことを特徴とする電気機械変換膜の製造装置。
  3. 請求項2の電気機械変換膜の製造装置において、
    前記供給手段は、前記液室内に供給される前記液体及び前記溶媒の供給量を調整することにより、該液室内の該液体の固形分濃度を調整する濃度調整手段を有することを特徴とする電気機械変換膜の製造装置。
  4. 請求項3の電気機械変換膜の製造装置において、
    前記濃度調整手段は、前記液室内における前記液体の固形分濃度を0[%]とすることを特徴とする電気機械変換膜の製造装置。
  5. 請求項3の電気機械変換膜の製造装置において、
    前記濃度調整手段は、前記液体を吐出する前記液滴吐出ヘッドの動作が待機中のときに、前記液室内における前記液体の固形分濃度を0[%]とすることを特徴とする電気機械変換膜の製造装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかの電気機械変換膜の製造装置において、
    前記液体はゾルゲル液であることを特徴とする電気機械変換膜の製造装置。
  7. 電気機械変換膜を形成するための原料の液体を基板上に設けられ部分的に表面改質されている電極上へ吐出させて塗布するステップと、
    前記基板上に塗布された液体を乾燥するステップと、
    乾燥により形成された液膜を熱分解するステップと、
    熱分解された液膜を結晶化するステップと、を有する電気機械変換膜の製造方法であって、
    請求項1乃至6のいずれかの電気機械変換膜の製造装置を用いて前記液体を前記基板上に吐出させて塗布することを特徴とする電気機械変換膜の製造方法
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