JP5857548B2 - 薄膜製造方法、電気機械変換素子の製造方法及び液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

薄膜製造方法、電気機械変換素子の製造方法及び液体吐出ヘッドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はプリンタ、ファクシミリ、複写装置、MFP(マルチファンクションプリンタ)等の画像形成装置として使用されるインクジェット記録装置及び液体吐出ヘッド、並びにこれらに用いられる電気機械変換素子、該電気機械変換素子などの薄膜を製造するための薄膜製造方法に関する。
また本発明は、前述の如く直接的には印刷分野、特にデジタル印刷分野に用いられる液滴吐出装置を具備したインクジェット記録装置に利用できると共に、インクジェット技術を利用する三次元造型技術などに応用可能である。
液体吐出ヘッドの構成は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する加圧室、(インク流路、加圧液室、圧力室、吐出室、液室等とも称される。)と、加圧室内のインクを加圧する圧電素子などの電気機械変換素子、或いはヒータなどの電気熱変換素子、若しくはインク流路の壁面を形成する振動板とこれに対向する電極からなるエネルギー発生手段とを備える。液体吐出ヘッドは、加圧室内インクを加圧することによってノズルからインク滴を吐出させる。
ここで、圧電素子は、基板上に配置した下部電極(第1の電極)、圧電体層、上部電極(第2の電極)が積層されたものからなる。(図1参照。)
各圧力室には、インク吐出の圧力を発生させるための個別の圧電素子が配置されてなる。
圧電素子は電気的入力を機械的な変形に変換するもので、構成は電気的入力を実行する上部、下部の電極対とその間に圧電体などの薄膜が挟まれた積層構造をもつ。薄膜構造である圧電体はジルコン酸チタン酸鉛(PZT)セラミックスなどが用いられ、これらは複数の金属酸化物を主成分としているため一般に金属複合酸化物と称される。
これまで、インクジェット方式を用いた薄膜形成技術において、基板などにドライエッチングを行うことで親液性にしたり、SAM(自己組織化単分子膜)を基板上などに形成させることによって撥液性にしたりするなど、基板の濡れ制御が行われていた。また、SAMを選択的に除去することにより、インクを所望の位置にのみパターニングする技術開発が行われているが、そのSAMの除去方法として、レーザ照射などによる手法が研究されている。さらに、液に対する接触角が大きいほどコーヒーステイン(コーヒーリングと言うこともある)は生じにくいことが九州大学・深井教授らの研究によって既に知られている。
しかしながら、今までの基板処理では、接触角制御の自由度や精度の低さから、使用する液体に対する接触角が高すぎるために狙いの領域に均一に濡れ広がらなかったり、逆に接触角が低すぎて乾燥時に液体中の固形成分が縁にたまり、コーヒーステインが生じたりするという問題があった。
ここで特許文献1(特開2005−327920号公報)には、任意の平面形状を有する強誘電体層や圧電体層を有するデバイスを、より精度よく、低コスト、短タクトタイムで形成できるようにした製造方法と、これによって得られる強誘電体素子や圧電体素子等のデバイスに関する技術が開示されている。特許文献1についてより詳しくは、下部電極上に高い親和性を有する領域と低い親和性を有する領域を形成するために、表面修飾膜として自己組織化単分子膜を採用し、その除去や特性改質のために電子線、ビーム、光を用いる手法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に自己組織化単分子膜を完全に除去することでコーヒーステインが生じるという問題については何ら着目しておらず、この問題は依然解消できていない。
本発明は以上の問題点を鑑みてなされたものであり、液体に対する接触角を制御することで、コーヒーステインを防ぎつつ基板上に均一に濡れ広がるようにして薄膜を形成することができる薄膜製造方法、並びに該薄膜製造方法により製造された薄膜を備える電気機械変換素子、該電気機械変換素子を備えた液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る薄膜製造方法は、基板上に、機能性インクが結晶化されてなる薄膜を形成する薄膜製造方法であって、前記基板上に撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、レーザ光源、ランプ及びプラズマから選ばれるいずれか1により前記撥液膜の一部を除去して準親水部となる所望の形状の撥液膜除去部位を形成する撥液膜除去工程と、前記基板上における前記撥液膜除去部位にゾルゲル法により前記機能性インクを付与する機能性インク付与工程と、を備え、前記準親水部は、前記撥液膜の厚さ方向の一部のみが除去された領域、または、前記撥液膜の密度が平面的に減少している領域であることを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明に係る電気機械変換素子の製造方法は、第1の電極と、該第1の電極に対向してなる第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極に挟持されてなる電気機械変換膜と、を備える電気機械変換素子の製造方法であって、前記電気機械変換膜は、上記の薄膜製造方法により製造されてなり、前記第1の電極は、上記の基板であることを特徴とする。
さらに、上記課題を解決するための本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、電気機械変換素子、圧力室及びノズル板を備える液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記電気機械変換素子は、上記の電気機械変換素子の製造方法により製造されたことを特徴とする。
本発明によれば、液体に対する接触角を制御することで、コーヒーステインを防ぎつつ基板上に均一に濡れ広がるようにして薄膜を形成することができる薄膜製造方法、並びに該薄膜製造方法により製造された薄膜を備える電気機械変換素子、該電気機械変換素子を備えた液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置を提供することができる。
液体吐出ヘッドの構造を示す模式図である。 SAM膜のパターニング工程を示す模式図である。 インクジェット法で酸化物電極溶液(LaNiO等)を繰り返し塗布する工程を示す模式図である。 白金上の接触角を表す図である。 インクジェット塗布装置を示す概要図である。 レーザパワーと純水に対する接触角との関係を示すグラフである。 親水部が形成された場合に機能性インクを付与したときの工程を示す模式図である。 準親水部が形成された場合に機能性インクを付与したときの工程を示す模式図である。 酸素プラズマ処理時間と純水に対する接触角との関係を示すグラフである。 本発明で得られたPZT膜のヒステリシス曲線を表す図である。 複数の電気機械変換素子を有する液体吐出ヘッドの構造を示す模式図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドを搭載したインクジェット記録装置の構成を示す斜視図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドを搭載したインクジェット記録装置の構成を示す側面図である。
本発明に係る撥液膜形成工程は、基板上に、機能性インクが結晶化されてなる薄膜を形成する薄膜製造方法であって、前記基板上に撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、レーザ光源、ランプ及びプラズマから選ばれるいずれか1により前記撥液膜の一部を除去して準親水部となる所望の形状の撥液膜除去部位を形成する撥液膜除去工程と、前記基板上における前記撥液膜除去部位にゾルゲル法により前記機能性インクを付与する機能性インク付与工程と、を備えることを特徴とする。
次に、本発明に係る薄膜製造方法、並びに電気機械変換素子、該電気機械変換素子を備えた液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置についてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は本発明にかかる液体吐出ヘッドの一実施の形態における構成を示す概略図である。
本発明は液体吐出ヘッド及びそれを使用した画像形成装置をも対象としている。上記の画像形成装置は一般的にはインクジェット記録装置と呼ばれているもので、以下にインクジェット記録装置について説明する。
インクジェット記録装置には、騒音が極めて小さくかつ高速印字が可能であり、更にはインクの自由度があり安価な普通紙を使用できるなど多くの利点があるために、プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置或いは画像形成装置として広く展開されている。
インクジェット記録装置において使用する液滴吐出装置は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する液室(吐出室、加圧液室、圧力室、インク流路等とも称される。)と、液室内のインクを吐出するための圧力発生手段で構成されている。
上記のような圧力発生手段としては、圧電素子などの電気機械変換素子を用いて吐出室の壁面を形成している振動板を変形変位させることでインク滴を吐出させるピエゾ型のもの、吐出室内に配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてインクの膜沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させるバブル型(サーマル型)のものなどがある。更にピエゾ型のものにはd33方向の変形を利用した縦振動型、d31方向の変形を利用した横振動(ベンドモード)型、更には剪断変形を利用したシェアモード型等があるが、最近では半導体プロセスやMEMSの進歩により、Si基板に直接液室及びピエゾ素子を作り込んだ薄膜アクチュエータが考案されている。
本発明はd31方向の変形を利用した横振動(ベンドモード)型の電気変換素子に関する。
電気機械変換素子40は、一対の下部電極42及び上部電極44が対向して設けられてなり、この一対の下部電極42及び上部電極44に圧電体層(電気機械変換膜)43が挟持された積層構造を有してなる。そしてこの電気機械変換素子40は、電極42,44に印加される電気的なエネルギーを機械的なエネルギー(変形)に変換するものである。
<圧電体層(電気機械変換膜)43>
圧電体層43は、金属の複合酸化物からなる。
先ず、圧電体層43のゾルゲル法による圧電体層の形成について説明する。
圧電体層がPZTの場合(非特許文献1に示されている、ゾルゲル法による金属複合酸化物の薄膜形成に関する技術を参照:K.D.Budd,S.K.Dey,D.A.Payne,Proc.Brit.Ceram.Soc.36,107(1985))、酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒としてメトキシエタノールに溶解させ均一溶液を得る。この均一溶液をPZT前駆体溶液(機能性インク、強誘電体の前駆体インク)と呼ぶ。
PZT(lead zirconate titanate:ジルコン酸チタン酸鉛)とはジルコン酸鉛(PbTiO)とチタン酸鉛(PbTiO)の固溶体で、その比率により特性が異なる。一般的に優れた圧電特性を示す組成はPbZrOとPbTiOの比率が53:47の割合で、化学式で示すと、Pb(Zr0.53,Ti0.47)O、一般にPZT(53/47)と示される。
酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物の出発材料は、この化学式に従って秤量される。
金属アルコキシド化合物は大気中の水分により容易に加水分解してしまうので、前駆体溶液に安定剤としてアセチルアセトン、酢酸、ジエタノールアミンなどの安定化剤を適量、添加しても良い。
PZT以外の複合酸化物としてはチタン酸バリウムなどが挙げられ、この場合はバリウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒に溶解させることでチタン酸バリウム前駆体溶液を作製することも可能である。
下地基板全面にPZT膜を得る場合、スピンコートなどの溶液塗布法により塗膜を形成し、溶媒乾燥、熱分解、結晶化の各々の熱処理を施すことで得られる。塗膜から結晶化膜への変態には体積収縮が伴うので、クラックフリーな膜を得るには一度の工程で100nm以下の膜厚が得られるように前駆体濃度の調整が必要になる。
液体噴射装置の圧電素子として用いる場合、このPZT膜の膜厚は1μm〜2μmが要求される。したがって、前述の方法でこの膜厚を得るには十数回、工程を繰り返す。
ゾルゲル法によるパターン化した圧電体層の形成の場合には、下地基板の濡れ性を制御したPZT前駆体液の塗り分けをする。
(非特許文献2に示されている、Au膜上にアルカンチオールが自己組織化単分子膜(SAM:Self Assembled Mon-layer)として形成できる現象、そしてこの現象を用いたマイクロコンタクトプリント法でSAMパターンを転写し、その後のエッチングなどのプロセスに利用している技術を参照:A.Kumar and G.M.Whitesides,Appl.Phys.Lett.,63,2002(1993)。また、非特許文献3に示されている、Au基板上にアルカンチオールやデカンチオール、MHDAなどを塗布してSAM膜を形成し、半導体レーザを用いてスキャンさせることにより、SAM膜の除去する技術を参照:Daniel Rhinow and Norert A Hampp, IEEE Transactions on nanobioscience 5,No.3(2006)。)
なお、本発明では公知のフォトリソグラフィー・エッチングに代えてレーザ光源、ランプ及びプラズマのいずれか1によりSAM膜を除去することに特徴を有するが、以下においては公知のフォトリソグラフィー・エッチングによる例(従来例)を説明する。レーザ光源、ランプ及びプラズマのいずれか1によりSAM膜を除去する本発明の特徴の詳細については実施例において後述する。
また、本発明では通常のゾルゲルプロセスに従ってPZT前駆体の熱処理を行うことに代えてレーザ照射またはランプにてPZT前駆体の熱処理を行うことが好ましいが、以下においては通常のゾルゲルプロセスに従ってPZT前駆体の熱処理を行う例(従来例)を説明する。レーザ照射またはランプにてPZT前駆体の熱処理を行う詳細については実施例において後述する。
白金族金属にチオールはSAM膜(撥液膜;疎水性)形成する。そこで先ず、下部電極にPtを用い、該下部電極全面にSAM処理を行う。このSAM膜上はアルキル基が配置しているので、疎水性になる。
次いで、公知のフォトリソグラフィー・エッチングにより、このSAM膜をパターニングする。このとき、レジスト剥離後も、パターン化SAM膜は残っているので、この部位は疎水性であり、SAMを除去した部位は白金表面なので親水性である。
そして、この表面エネルギーのコントラストを利用してPZT前駆体液の塗り分けをする。このとき、コントラストの程度にもよるが、PZT前駆体はスピンコート法で全面塗布してもパターン状に塗り分けられる場合もある。また、ドクターブレード塗工でも良く、ディップコートでも良く、PZT前駆体溶液の消費量を低減したい場合はインクジェット塗工でも良い。さらに同様に凸版印刷でも良い。
図2に3種の方法でアルカンチオールのSAM膜パターニングの方法を示す。
基板1の最表面はいうまでもなく、チオールとの反応性に優れた白金として説明する。
アルカンチオールは分子鎖長により反応性や疎水(撥水)性が異なるものの、炭素数C6からC18の分子を一般的な有機溶媒(アルコール、アセトン、トルエンなど)に溶解させる。このとき、アルカンチオールの濃度数は有機溶媒により2〜3モル/l程度に希釈して用いることが好ましいが、所望の膜厚、特性等に応じて適宜濃度を変更することを妨げるものではない。
この溶液中に基板1を浸漬させ、所定時間後に取り出した後、余剰な分子を溶媒で置換洗浄し乾燥することで白金表面にSAM膜2形成できる(図2中のB、B’’)。
図2中のCは、フォトリソグラフィーによりフォトレジスト3をパターン形成し、ドライエッチングによりSAM膜2を除去し、加工に用いたレジストを除去してSAM膜2のパターニングを終える(図2中のD)。
B’は先にフォトレジスト3のパターンを形成し、SAM処理を行う。処理後の状態は、フォトレジスト3上にはSAM膜2は形成されず(図2中のC’)、レジストを除去すればSAM膜2のパターニングを終える。
B’’は先述のBと同じ工程を経て形成し、フォトマスク3を介して紫外線を照射することで未露光部にはSAM膜2が残り、露光部にはSAM膜2が消失する。
以上の結果、基板1上の所望の位置にSAM膜2が形成される(図2及び図3中のD)。
これらの具体例を説明する。アルカンチオールにCH(CH−SHを用い、濃度0.01モル/l(溶媒:イソプロピルアルコール)溶液に浸漬させ、SAM処理を行った。その後、イソプロピルアルコールで洗浄・乾燥後、パターニングの工程に移る。
SAM処理後の疎水性は接触角測定を行い、SAM膜上での水の接触角は92.2°であった。一方、SAM処理前の白金スパッタ膜の水の接触角は5°以下(完全濡れ)であり、SAM膜処理がなされたことがわかる。
東京応化社製フォトレジスト(TSMR8800)をスピンコート法で成膜し、通常のフォトリソグラフィーでレジストパターンを形成した後、酸素プラズマ処理を行い露出部のSAM膜を除去した。処理後の残渣レジストはアセトンにて溶解除去し、同様の接触角評価を行ったところ、除去部では5°以下(完全濡れ)、レジストでカバーされていた部位のそれは92.4°の値を示し、SAM膜のパターン化がなされたことを確認した。
他方式のパターニングとして、同様のレジストワークによりあらかじめレジストパターンを形成し、同様のSAM膜処理を実施後、アセトンにてレジストを除去し、接触角を測定した。レジストカバーされた白金膜上の接触角は5°以下(完全濡れ)、他の部位のそれは92.0°となり、SAM膜のパターン化がなされたことを確認した。(図4参照)
もうひとつの他方式として、シャドウマスクを用いた紫外線照射を行った。用いた紫外線はエキシマランプによる波長176nmの真空紫外光を10分間照射した。照射部の接触角は5°以下(完全濡れ)、未照射部のそれは92.2°でありSAM膜のパターン化がなされたことを確認した。
この後に第1のパターン化PZT前駆体塗膜を形成し(図3中のE)、通常のゾルゲルプロセスに従って熱処理を行う。前駆体熱処理温度は有機物の燃焼温度:500℃、PZT結晶化温度:700℃などの高温処理によりSAM膜2は消失する(図3中のF)。
2回目以降の工程は以下の理由から簡便化できる(図3中のD’〜F’参照)。
SAM膜は酸化物薄膜上には形成されないため、第1の処理によりPZT膜の無い(露出している)白金膜上のみにSAM膜が形成される。
従って、第1のパターン形成した試料にSAM処理を行い所望の位置にSAM膜2が形成された後(図3中のD’)、PZT前駆体液の塗り分け塗工を行い(図3中のE’)、熱処理を施す(図3中のF’)。
この操作を所望の膜厚になるまで繰り返すことで、所望の位置に所望の膜厚のPZTを形成することができる。なお、この方法によるパターン化はセラミックス膜厚が5μmの厚さまで好適に形成することができる。
この自己組織化現象を使うことが従来の技術とは異なる点である。
従来のSAM膜のパターン化とこれを利用した機能性色材(カラーフィルター、ポリマー有機EL、ナノメタル配線)のパターニングは1回のSAM処理と引き続き行われる機能性色材の配置で完了していたが、ゾルゲル法では一度に成膜出来る膜厚が少ないので、複数回繰り返す必要がある。ところが、毎回、フォトリソグラフィー・エッチングによるパターン化SAM膜の形成は工程が煩雑になる。
そこで、本発明では特にSAM膜が形成されない酸化物薄膜と、SAM膜が形成可能な(電気機械変換素子の構成要素である)下部電極と、を組み合せることで、煩雑な工程無しに厚膜化を初めて実現できたものである。
<下部電極42(基板1、第1の電極)>
下部電極42として用いられる材料は耐熱性かつアルカンチオールとの反応によりSAM膜を形成する金属が選ばれる。しかしながら、銅や銀はSAM膜を形成するが大気下中、500℃以上の熱処理により変質してしまうので用いることは出来ない。さらに、金は両条件を満たすものの、積層するPZT膜の結晶化に不利に働くので使えない。
そこで、下部電極に用いられる材料としては、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、の単金属や白金−ロジウムなどの白金を主成分とした他の白金族元素との合金材料もしくは白金族元素の酸化物、またはこれら数種の積層膜も有効である。
<上部電極44(第2の電極)>
上部電極44は、厚さが例えば0.1μm程度の白金等によって形成されたものである。圧電体層と上部電極とは、下部電極と異なり、圧電体素子毎に独立して島状に形成されている。このような構成のもとに圧電体素子は、それぞれ独立して駆動するようになっている。
<振動板30>
シリコン基板上に配置する振動板30は厚さ数ミクロンで、シリコン酸化膜や窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、およびこれら各膜を積層した膜でも良い。また熱膨張差を考慮した酸化アルミニウム膜、ジルコニア膜などのセラミック膜でも良い。
これら材料は絶縁体である。下部電極42は圧電素子に信号入力する際の共通電極として電気的接続をするので、その下にある振動板30は絶縁体か、もしくは導体であれば絶縁処理を施して用いることになる。
シリコン系絶縁膜は熱酸化膜、CVD堆積膜を用い、金属酸化膜はスパッタリング法で成膜することが出来る。
<密着層41>
これら振動板30上に白金族下部電極42を配置する場合、膜密着力を強めるための密着層41が必要となる。密着層41として可能な材料はチタン、タンタル、酸化チタン、酸化タンタル、窒化チタン、窒化タンタルやこれら積層膜が有効である。
<圧力室21、圧力室基板(Si基板)20>
圧力室21は、ノズル11が連通してなり、圧力室基板20(側面を構成)、ノズル板10(下面を構成)、振動板30(上面を構成)で区画されてなる。そして、振動板30を介して圧力室21内の液体を加圧するための積層型圧電体層43が設けられる。
圧力室基板20はシリコンウェハなどで構成され、従来技術であるエッチングなどの工法で形成される。
<ノズル板10、ノズル11>
ノズル11はノズル板10に直線状に2列に並べて形成されている。このノズル板10は例えばNi電鋳などで形成したものを用いているが、これに限るものではない。
<インクジェット塗布装置>
図5はインクジェット塗布装置を説明するための斜視図である。図5において架台200の上に、Y軸駆動手段201が設置してありその上に基板202を搭載するステージ203がY軸方向に駆動できるように設置されている。なおステージ203には図示されていない真空、静電気などの吸着手段が付随しており基板202が固定されている。
またX軸支持部材204にはX軸駆動手段205が取り付けられており、これにZ軸駆動手段211上に搭載されたヘッドベース206が取り付けられており、X軸方向に移動できるようになっている。ヘッドベース206の上にはインクを吐出させるインクジェットヘッド208が搭載されている。このインクジェットヘッドには図示されていない各インクタンクから各々着色樹脂インク供給用パイプ210からインクが供給される。
そして、インクジェットヘッド208から吐出されたインクを、レーザヘッド212を用いて加熱、結晶化できる。さらに、このレーザヘッド212はSAM膜の除去工程においても使用される。このとき、電極材料または前駆体インクの液滴の吐出量を調整することで所望の機能性薄膜の形状と膜厚とを得ることができる。
以下、本発明について実施例を挙げてさらに詳細に説明する。
(実施例1)
上記において、SAM膜のパターニングは公知のフォトリソ・エッチング法を紹介したが、本実施例ではこれに代わりレーザ照射にてSAM膜を除去することを特徴とする。
照射領域のSAM膜を均一に除去するために、レーザ光源のビームプロファイルはトップハットであることが好ましい。また、Ptの光吸収率やSAM膜の炭素の結合を切るために、光源の波長が紫外であることが好ましい。
図6は、SAM膜を形成したPt基板上に、波長1064nmのYAGレーザを照射した場合のレーザパワーと純水に対する接触角の関係を示している。0%から徐々にパワーを上げていったとき、20%付近から接触角が減少し始め、Pt基板が損傷するまでほぼ線形的に接触角が低下していることが分かる。
このうち、パワー40%と30%で直線に照射した領域に対して、PZTの前駆体溶液をインクジェット法にて塗布し乾燥を行ったところ、パワー40%と30%で照射した基板上のPZTの断面図はそれぞれ図7、図8のようになった。図7に示すパワー40%の場合では照射領域のすべてSAM膜が除去されたことにより接触角が小さくなり、コーヒーステインが生じている。図8に示すパワー30%の場合では部分的にSAM膜が残っており、接触角は比較的大きかったため、結果としてPZT膜厚はほぼ均一に形成されている。
以上の結果から分かるように、基板とインクの組み合わせによって、コーヒーステインが生じない最適値が存在する場合、レーザ照射によって部分的にSAM膜を除去することにより、所望の接触角にすることでコーヒーステインがなく機能膜を形成することができる。
ここで本発明では所望の接触角となるように、SAM膜の厚さ方向の一部のみが除去された領域、または、SAM膜の密度が平面的に減少している領域を、準親水部と称する。(他方、SAM膜の厚さ方向において完全にSAM膜が除去された領域、及びSAM膜の密度がゼロの領域は親水部と称し、準親水部とは異なるものである。)この準親水部を所望の形状で形成し、撥液膜除去部位とすることで、機能性インクを所望の位置に塗布することができ、所望のパターンの薄膜を形成することができる。
(実施例2)
実施例1ではレーザを用いてSAM膜の部分的除去を紹介したが、他にもマスクやフォトレジストなどを用いてプラズマや、紫外線やランプ(エキシマランプ、低圧水銀ランプなど)によるSAM膜の部分的除去(準親水部形成)が考えられる。ここでは、酸素プラズマを用いた例を示す。
SAM膜を形成したPt基板上にフォトレジストをパターニングする工程は既に記した。酸素プラズマの処理効果は、主に(1)処理時間、(2)RF POWER、(3)電極間距離、(4)酸素流量の制御因子によって変化する。ここでは、制御因子として一番取り扱いやすい処理時間の条件を変えて、その効果を調べた。
処理時間の条件は、1min、3min、5minとした。各条件で酸素プラズマ処理を実施した基板に対して、酸素プラズマ処理後の、露出しているSAM膜上の純水接触角測定を実施した。これを図9に示す。これより、酸素プラズマの処理時間に比例して、SAM膜上の純水接触角がほぼ線形的に減少していることが分かる。これを基に、実施例1で示した場合と同様に、最適な接触角を得るように酸素プラズマの処理時間を調整することで、準親水部を形成することができ、コーヒーステインを生じることなく、機能性膜を形成することができる。
(実施例3)
シリコンウェハに熱酸化膜(膜厚1ミクロン)を形成し、密着層としてチタン膜(膜厚50nm)をスパッタ成膜した。引き続き下部電極として白金膜(膜厚200nm)スパッタ成膜した。
次いで、実施例1、2で示したような方法で、SAM膜のパターニングを行い、圧電層としてPZT(53/47)を成膜する。前駆体塗布液の合成は、出発材料に酢酸鉛三水和物、イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムを用いた。酢酸鉛の結晶水はメトキシエタノールに溶解後、脱水した。化学両論組成に対し鉛量を10モル%過剰にしてある。これは熱処理中のいわゆる鉛抜けによる結晶性低下を防ぐためである。
イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムをメトキシエタノールに溶解し、アルコール交換反応、エステル化反応を進め、先記の酢酸鉛を溶解したメトキシエタノール溶液と混合することでPZT前駆体溶液を合成した。このPZT濃度は0.1モル/lにした。
一度のゾルゲル成膜で得られる膜厚は100nmが好ましく、前駆体濃度は成膜面積と前駆体塗布量の関係から適正化される(従って0.1モル/lに限定されるものではない)。
この前駆体溶液を先のパターン化SAM膜上に図5のインクジェット装置を用いてインクジェット法で塗布(図3中のE)した。インクジェット法によりSAM膜上には液滴を吐出せず親水部のみ吐出することで接触角のコントラストにより親水部上にのみ塗膜ができた。この塗膜に対してレーザを照射することで、結晶化を行い、図3中のFに示すものを得た。
(繰り返し処理の実施例)
図5のインクジェット装置を用いてインクジェット法により、繰り返し同じ場所に液滴を吐出、レーザ照射することで重ね塗りを行うことができた。
(厚膜化の実施例)
先記工程を15回繰り返し500nmの膜を得た。このとき作製された膜にクラックなどの不良は生じなかった。
さらに15回のPZT前駆体の選択塗布及びしかる後のレーザ照射を行い、結晶化処理をした。膜にクラックなどの不良は生じなかった。膜厚は1000nmに達した。
このパターン化膜に上部電極(白金)を成膜し電気特性、電気機械変換能(圧電定数)の評価を行った。
膜の比誘電率は1220、誘電損失は0.02、残留分極は19.3μC/cm、抗電界は36.5kV/cmであり、通常のセラミック焼結体と同等の特性を持つ(P−Eヒステリシス曲線は図10に示す。)。
電気機械変換能は電界印加による変形量をレーザドップラー振動計で計測し、シミュレーションによる合わせ込みから算出した。その圧電定数d31は−120pm/Vとなり、こちらもセラミック焼結体と同等の値であった。これは液体吐出ヘッドとして十分設計できうる特性値である。
(実施例4)
電極膜として白金やSrRuOやLaNiOなどの酸化物を溶媒に溶かし、図5のインクジェット装置を用いてインクジェット法で塗布、レーザ照射することで圧電体層と同様に電極膜も形成することができる。しかし、SAM膜の形成材料として、上記ではアルカンチオールを用いていたが、SiOなどの酸化物上にSAM膜を形成させる場合には、シランカップリング剤を用いなければならない。
ここからは圧電体の場合と同様に、フォトリソ・エッチングやレーザなどを用いてSAM膜をパターニングし、親液部に図5のインクジェット装置を用いてインクジェット法にて電極を塗布し、加熱して結晶化を繰り返すことで電極膜(下部電極及び上部電極)を形成した。
さらに、図5に示すインクジェット塗布装置を用いて、PZT膜上の必要な部分のみに白金を塗布し上部電極の形成を行った。塗布するときにはPZT前駆体を塗布したときと同様に接触角のコントラストを利用して塗布領域を規定した。上部電極は短絡を防止するためにPZT膜パターンより小さい領域に塗布する必要があるためにPZT膜上にも撥水部を設ける必要がある。そのため本実施例では白金を形成しない部分にレジストをパターニングして塗布を行い、120℃で白金を乾燥処理した後にレジストを剥離して最終的に250℃で焼結した。焼成後の膜厚は0.5ミクロンであり、比抵抗は5×10-6オームセンチであった。
(実施例5)
図1に1ノズルの液体吐出ヘッド構成を示す。また図11にこれらを複数個配置したものを示す。本発明によれば、図1及び図11中に示す電気機械変換素子40が簡便な製造工程で(かつバルクセラミックスと同等の性能を持つように)形成でき、その後の圧力室形成のための裏面からのエッチング除去、ノズル孔を有するノズル板を接合することで液体吐出ヘッドができる。
なお、図1及び図11中には液体供給手段、流路、流体抵抗についての記述は略した。
(実施例6)
次に、本発明に係るインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)を搭載したインクジェット記録装置の一例について図12及び図13を参照して説明する。なお、図12はインクジェット記録装置の斜視説明図、図13はインクジェット記録装置の機構部の側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、記録装置本体81の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載した本発明を実施したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド94、記録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ95等で構成される印字機構部82等を収納し、装置本体81の下方部には前方側から多数枚の用紙83を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)84を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙83を手差しで給紙するための手差しトレイ85を開倒することができ、給紙カセット84或いは手差しトレイ85から給送される用紙83を取り込み、印字機構部82によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ86に排紙する。
印字機構部82は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド91と従ガイドロッド92とでキャリッジ93を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ93にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係るインクジェットヘッドからなるヘッド94を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ93にはヘッド94に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ95を交換可能に装着している。
インクカートリッジ95は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド94を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ93は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド91に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド92に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ93を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ97で回転駆動される駆動プーリ98と従動プーリ99との間にタイミングベルト100を張装し、このタイミングベルト100をキャリッジ93に固定しており、主走査モータ97の正逆回転によりキャリッジ93が往復駆動される。
一方、給紙カセット84にセットした用紙83をヘッド94の下方側に搬送するために、給紙カセット84から用紙83を分離給装する給紙ローラ101及びフリクションパッド102と、用紙83を案内するガイド部材103と、給紙された用紙83を反転させて搬送する搬送ローラ104と、この搬送ローラ104の周面に押し付けられる搬送コロ105及び搬送ローラ104からの用紙83の送り出し角度を規定する先端コロ106とを設けている。搬送ローラ104は副走査モータ107によってギヤ列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ93の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ104から送り出された用紙83を記録ヘッド94の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材109を設けている。この印写受け部材109の用紙搬送方向下流側には、用紙83を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ111、拍車112を設け、さらに用紙83を排紙トレイ86に送り出す排紙ローラ113及び拍車114と、排紙経路を形成するガイド部材115,116とを配設している。
記録時には、キャリッジ93を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド94を駆動することにより、停止している用紙83にインクを吐出して1行分を記録し、用紙83を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙83の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙83を排紙する。
また、キャリッジ93の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド94の吐出不良を回復するための回復装置117を配置している。回復装置117はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ93は印字待機中にはこの回復装置117側に移動されてキャッピング手段でヘッド94をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド94の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、このインクジェット記録装置においては本発明を実施したインクジェットヘッドを搭載しているので、振動板駆動不良によるインク滴吐出不良がなく、安定したインク滴吐出特性が得られて、画像品質が向上する。
以上のように、本発明によれば、液体に対する接触角を制御することで、コーヒーステインを防ぎつつ基板上に均一に濡れ広がるようにして薄膜を形成することができる薄膜製造方法、並びに該薄膜製造方法により製造された薄膜を備える電気機械変換素子、該電気機械変換素子を備えた液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置を提供することができることがわかった。
1:基板
2:SAM膜
3:フォトレジスト
4:疎水部
5:親水部
10:ノズル板
11:ノズル
20:圧力室基板
21:圧力室
30振動板
40:電気機械変換素子
41:密着層
42:下部電極
43:電気機械変換膜
44:上部電極
81:装置本体
82:印字機構部82
83:用紙
84:給紙カセット
85:手差しトレイ
86:排紙トレイ
91:主ガイドロッド
92:従ガイドロッド
93:キャリッジ
94:ヘッド
95:インクカートリッジ
97:主走査モータ
98:駆動プーリ
99:従動プーリ
100:タイミングベルト
101:給紙ローラ
102:フリクションパッド
103:ガイド部材
104:搬送ローラ
105:搬送コロ
106:先端コロ
107:副走査モータ
109:印写受け部材
111:搬送コロ
112:拍車
113:排紙ローラ
114:拍車
115,116:ガイド部材
117:回復装置
200:架台
201:Y軸駆動手段
202:基板
203:ステージ
204:X軸支持部材
205:X軸駆動手段
206:ヘッドベース
208:インクジェットヘッド
210:供給用パイプ
212:レーザヘッド
特開2005−327920号公報
K.D.Budd,S.K.Dey,D.A.Payne,Proc.Brit.Ceram.Soc.36,107(1985). A.Kumar and G.M.Whitesides,Appl.Phys.Lett.,63,2002(1993). Daniel Rhinow and Norert A Hampp, IEEE Transactions on nanobioscience 5,No.3(2006).

Claims (11)

  1. 基板上に、機能性インクが結晶化されてなる薄膜を形成する薄膜製造方法であって、
    前記基板上に撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、
    レーザ光源、ランプ及びプラズマから選ばれるいずれか1により前記撥液膜の一部を除去して準親水部となる所望の形状の撥液膜除去部位を形成する撥液膜除去工程と、
    前記基板上における前記撥液膜除去部位にゾルゲル法により前記機能性インクを付与する機能性インク付与工程と、を備え、
    前記準親水部は、前記撥液膜の厚さ方向の一部のみが除去された領域、または、前記撥液膜の密度が平面的に減少している領域であることを特徴とする薄膜製造方法。
  2. 前記レーザ光源が発するレーザ光は、ビームプロファイルがトップハットであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜製造方法。
  3. 前記レーザ光源及びランプの波長は、紫外であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜製造方法。
  4. 前記機能性インク付与工程は、前記基板上に前記機能性インクをインクジェット法により吐出して当該基板上に付与することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の薄膜製造方法。
  5. 前記機能性インクは、電極材料であり、
    前記機能性インク付与工程は、液滴の吐出量を調整することで所望の機能性薄膜の形状と膜厚とを得ることを特徴とする請求項4に記載の薄膜製造方法。
  6. 前記機能性インクは、強誘電体の前駆体インクであり、
    前記機能性インク付与工程は、液滴の吐出量を調整することで所望の機能性薄膜の形状と膜厚とを得ることを特徴とする請求項4に記載の薄膜製造方法。
  7. 前記機能性インクをレーザ光源またはランプにより加熱して結晶化させて所望の形状の機能性薄膜を形成する機能性インク加熱・結晶化工程を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の薄膜製造方法。
  8. 第1の電極と、該第1の電極に対向してなる第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極に挟持されてなる電気機械変換膜と、を備える電気機械変換素子の製造方法であって、
    前記電気機械変換膜は、請求項1乃至7のいずれかに記載の薄膜製造方法により製造されてなり、
    前記第1の電極は、請求項1乃至7のいずれかに記載の基板であることを特徴とする電気機械変換素子の製造方法
  9. 前記第2の電極は、インクジェット方式で形成されてなることを特徴とする請求項8に記載の電気機械変換素子の製造方法
  10. 前記電気機械変換膜は、金属の複合酸化物からなり、
    前記第1の電極及び第2の電極はそれぞれ、白金族元素若しくは白金族元素の酸化物、またはこれら数種の積層膜からなる電極から構成されてなることを特徴とする請求項8または9に記載の電気機械変換素子の製造方法
  11. 電気機械変換素子、圧力室及びノズル板を備える液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記電気機械変換素子は、請求項8乃至10のいずれかに記載の電気機械変換素子の製造方法により製造されたことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法
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