JP5891782B2 - 薄膜製造装置、薄膜製造方法、液滴吐出ヘッド、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

薄膜製造装置、薄膜製造方法、液滴吐出ヘッド、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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本発明は、薄膜製造装置及び薄膜製造方法、並びに液滴吐出ヘッド及び前記液滴吐出ヘッドを備えたインクジェット記録装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置或いは画像形成装置として使用されるインクジェット記録装置及び液体吐出ヘッドに関して、インク滴を吐出するノズルと、ノズルが連通する圧力室と、圧力室内のインクを加圧する圧電素子等の電気機械変換素子とを有するものが知られている。
電気機械変換素子は、例えば、下部電極上に電気機械変換膜及び上部電極を積層した構造を有する。薄膜である電気機械変換膜は、例えば、スパッタリング法、MOCVD法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、ゾルゲル法、エアロゾルデポジション法等により製造できる。
ここで、一例としてゾルゲル法を用いた電気機械変換膜の製造方法について説明する。まず、下部電極上に疎水性膜のパターンを形成する(工程1)。下部電極上の疎水性膜のパターンが形成されていない部分は親水性である。次に、下部電極上の親水性部分(疎水性膜のパターンが形成されていない部分)のみに電気機械変換膜の前駆体塗膜を形成し熱処理を行う(工程2)。この熱処理により、疎水性膜のパターンは消失する。
電気機械変換膜の前駆体塗膜は薄いため、1回の処理では所定の膜厚に形成することはできない。そこで、工程1及び工程2を必要回数繰り返すことにより、電気機械変換膜の前駆体塗膜を積層し、所定の膜厚の電気機械変換膜を製造する。
しかしながら、上記電気機械変換膜の製造方法では、工程2の熱処理により工程1で形成した疎水性膜のパターンが消失するため、工程1を繰り返し実行する必要があり、電気機械変換膜の製造工程が煩雑化する問題があった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、簡易な工程により電気機械変換膜等の薄膜を製造可能な薄膜製造装置及び薄膜製造方法を提供することを課題とする。
本薄膜製造装置は、成膜対象物上に液体を吐出し、塗膜を形成する液体吐出手段と、前記塗膜にレーザ光を連続的に照射し、前記塗膜の溶媒を蒸発させる第1のレーザ照射手段と、溶媒を蒸発させた前記塗膜にレーザ光をパルス照射し、溶媒を蒸発させた前記塗膜を結晶化する第2のレーザ照射手段と、を有することを要件とする。
本薄膜製造方法は、成膜対象物の表面に撥液性領域と親液性領域を形成する工程と、前記親液性領域に液体を吐出し、塗膜を形成する塗膜工程と、前記塗膜にレーザ光を連続的に照射し、前記塗膜の溶媒を蒸発させる蒸発工程と、溶媒を蒸発させた前記塗膜にレーザ光をパルス照射し、前記溶媒を蒸発させた前記塗膜を結晶化する結晶化工程と、を有し、前記塗膜工程、前記蒸発工程、及び前記結晶化工程を繰り返して所望の膜厚の薄膜を作製し、前記蒸発工程においては前記レーザ光を、前記撥液性領域が消失しない条件下にて照射し、前記結晶化工程においては前記レーザ光を、前記溶媒を蒸発させた前記塗膜に照射し、前記撥液性領域には照射しないことを要件とする。
本発明によれば、簡易な工程により電気機械変換膜等の薄膜を製造可能な薄膜製造装置及び薄膜製造方法を提供できる。
電気機械変換素子を用いた液体吐出ヘッドを例示する断面図(その1)である。 電気機械変換素子を用いた液体吐出ヘッドを例示する断面図(その2)である。 第1の実施の形態に係る薄膜製造装置を例示する斜視図である。 本実施の形態に係る薄膜製造工程を例示する図(その1)である。 本実施の形態に係る薄膜製造工程を例示する図(その2)である。 本実施の形態に係る薄膜製造工程を例示する図(その3)である。 本実施の形態に係る薄膜製造工程を例示する図(その4)である。 インクジェット記録装置を例示する斜視図である。 インクジェット記録装置の機構部を例示する側面図である。 SAM膜形成部位において水の接触角を測定した写真である。 SAM膜除去部位において水の接触角を測定した写真である。 本実施例で作製した電気機械変換素子のP−Eヒステリシス曲線を示すグラフである。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
[薄膜]
まず、第1の実施の形態に係る薄膜製造装置及び薄膜製造方法で製造される薄膜の一例として、電気機械変換素子を構成する電気機械変換膜について説明する。なお、第1の実施の形態に係る薄膜製造装置及び薄膜製造方法で製造可能な薄膜が電気機械変換膜に限定されないことは言うまでもない。
電気機械変換素子は、例えば、インクジェット記録装置において使用する液体吐出ヘッドの構成部品として用いられる。図1は、電気機械変換素子を用いた液体吐出ヘッドを例示する断面図である。
図1を参照するに、液滴吐出ヘッド1は、ノズル板10と、圧力室基板20と、振動板30と、電気機械変換素子40とを有する。ノズル板10には、インク滴を吐出するノズル11が形成されている。ノズル板10、圧力室基板20、及び振動板30により、ノズル11に連通する圧力室21(インク流路、加圧液室、加圧室、吐出室、液室等と称される場合もある)が形成されている。振動板30は、インク流路の壁面の一部を形成している。
電気機械変換素子40は、密着層41と、下部電極42と、電気機械変換膜43と、上部電極44とを含んで構成され、圧力室21内のインクを加圧する機能を有する。密着層41は、例えばTi、TiO、TiN、Ta、Ta、Ta等からなる層であり、下部電極42と振動板30との密着性を向上する機能を有する。但し、密着層41は、電気機械変換素子40の必須の構成要素ではない。
電気機械変換素子40において、下部電極42と上部電極44との間に電圧が印加されると、電気機械変換膜43が機械的に変位する。電気機械変換膜43の機械的変位にともなって、振動板30が例えば横方向(d31方向)に変形変位し、圧力室21内のインクを加圧する。これにより、ノズル11からインク滴を吐出させることができる。
なお、図2に示すように、液滴吐出ヘッド1を複数個並設し、液滴吐出ヘッド2を構成することもできる。
電気機械変換膜43の材料としては、例えば、PZTを用いることができる。PZTとはジルコン酸鉛(PbZrO)とチタン酸鉛(PbTiO)の固溶体である。例えば、PbZrOとPbTiOの比率が53:47の割合で、化学式で示すとPb(Zr0.53、Ti0.47)O、一般にはPZT(53/47)と示されるPZT等を使用することができる。PbZrOとPbTiOの比率によって、PZTの特性が異なる。
電気機械変換膜43としてPZTを使用する場合、出発材料に酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキシド化合物を使用し、共通溶媒としてメトキシエタノールに溶解させ、PZT前駆体溶液を作製する。酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキシド化合物の混合量は、所望のPZTの組成(PbZrOとPbTiOの比率)に応じて、当業者が適宜選択できるものである。
なお、金属アルコキシド化合物は、大気中の水分により容易に分解する。そのため、PZT前駆体溶液に、安定剤としてアセチルアセトン、酢酸、ジエタノールアミン等を添加してもよい。
電気機械変換膜43の材料として、例えば、チタン酸バリウム等を用いても構わない。この場合は、バリウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒に溶解させることでチタン酸バリウム前駆体溶液を作製することが可能である。
これら材料は一般式ABOで記述され、A=Pb、Ba、Sr B=Ti、Zr、Sn、Ni、Zn、Mg、Nbを主成分とする複合酸化物が該当する。その具体的な記述として(Pb1−x、Ba)(Zr、Ti)O、(Pb1−x、Sr)(Zr、Ti)O、と表され、これはAサイトのPbを一部BaやSrで置換した場合である。このような置換は2価の元素であれば可能であり、その効果は熱処理中の鉛の蒸発による特性劣化を低減させる作用を示す。
下部電極42の材料としては、高い耐熱性を有し、下記に示すアルカンチオールとの反応により、SAM膜を形成する金属等を用いることができる。具体的には、低い反応性を有するルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、プラチナ(Pt)等の白金族金属や、これら白金族金属を含む合金材料等を用いることができる。
又、これらの金属層を作製した後に、導電性酸化物層を積層して使用することも可能である。導電性酸化物としては、具体的には、化学式ABOで記述され、A=Sr、Ba、Ca、La、 B=Ru、Co、Ni、を主成分とする複合酸化物があり、SrRuOやCaRuO、これらの固溶体である(Sr1−x Ca)Oのほか、LaNiOやSrCoO、更にはこれらの固溶体である(La, Sr)(Ni1−y Co)O (y=1でも良い)が挙げられる。それ以外の酸化物材料として、IrO、RuOも挙げられる。
下部電極42は、例えば、スパッタ法や真空蒸着等の真空成膜法等の方法により作製することができる。下部電極42は、電気機械変換素子40に信号入力する際の共通電極として電気的接続をするので、その下部にある振動板30は絶縁体又は表面が絶縁処理された導体を用いることができる。
振動板30の具体的な材料としては、例えば、シリコンを用いることができる。又、振動板30の表面を絶縁処理する具体的な材料としては、例えば、厚さ約数百nm〜数μm程度のシリコン酸化膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜又はこれらの膜を積層した膜等を用いることができる。又、熱膨張差を考慮し、酸化アルミニウム膜、ジルコニア膜等のセラミック膜を用いてもよい。振動板30の表面を絶縁処理するシリコン系絶縁膜は、CVD法やシリコンの熱酸化処理等により形成できる。又、振動板30の表面を絶縁処理する酸化アルミニウム膜等の金属酸化膜は、スパッタリング法等により形成できる。
[薄膜製造装置]
次に、第1の実施の形態に係る薄膜製造装置の構造について説明する。図3は、第1の実施の形態に係る薄膜製造装置を例示する斜視図である。図3を参照するに、薄膜製造装置3において、架台60上にはY軸駆動手段61が設置されている。Y軸駆動手段61上には、基板5を搭載するステージ62が、Y軸方向に駆動可能なように設置されている。
なお、ステージ62には通常、真空又は静電気等を利用した図示しない吸着手段が付随されており、これにより基板5を固定することができる。又、ステージ62にZ軸を中心に回転する図示しない駆動手段を搭載し、後述するインクジェットヘッド67、連続照射レーザ装置71、及びパルス照射レーザ装置72と、基板5との相対的な傾きを補正できる構成としても良い。
又、架台60上には、X軸駆動手段63を支持するためのX軸支持部材64が設置されている。X軸駆動手段63には、Z軸駆動手段65が設置され、Z軸駆動手段65上にはヘッドベース66が取り付けられ、X軸及びZ軸方向に移動できるようにされている。
Z軸駆動手段65は、後述するインクジェットヘッド67と基板5との距離を制御することができる。ヘッドベース66の上には、機能性インク(例えば、PZT前駆体溶液)を吐出させるインクジェットヘッド67が搭載されている。インクジェットヘッド67には、各インクタンク68から図示しないインク供給用パイプを介して機能性インクが供給される。
X軸駆動手段63には、他のZ軸駆動手段69が取り付けられ、Z軸駆動手段69にはレーザ支持部材70が取り付けられている。レーザ支持部材70には、連続照射レーザ装置71及びパルス照射レーザ装置72が取り付けられている。Z軸駆動手段69は、連続照射レーザ装置71及びパルス照射レーザ装置72と、基板5との距離を制御することができる。
なお、図3は、ステージ62がY方向の1軸の自由度を有し、インクジェットヘッド67、連続照射レーザ装置71、及びパルス照射レーザ装置72がX方向の1軸の自由度を有する構成を示しているが、この形態には限定されない。例えば、ステージ62がX及びY方向の2軸の自由度を有し、インクジェットヘッド67、連続照射レーザ装置71、及びパルス照射レーザ装置72を固定する構成であっても良い。又、ステージ62がY方向の1軸の自由度を有し、インクジェットヘッド67、連続照射レーザ装置71、及びパルス照射レーザ装置72をY軸方向に一列に並べる構成であっても良い。
又、基板5を固定し、インクジェットヘッド67、連続照射レーザ装置71、及びパルス照射レーザ装置72がX及びY方向の2軸の自由度を有する構成であっても良い。又、X軸及びY軸は、X軸及びY軸ベクトルにより、1平面を表現できれば直交する必要はなく、例えば、X軸ベクトルとY軸ベクトルは30度、45度、60度の角度を有しても良い。
薄膜製造装置3は、図示しない装置制御部を有し、インクジェットヘッド67の機能性インクの吐出条件及び連続照射レーザ装置71及びパルス照射レーザ装置72のレーザ照射条件を制御することができる。又、装置制御部は図示しない記録部を有し、機能性インクの結晶状態やレーザの最適な照射条件等を記録部に記録することができる。
[薄膜製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る薄膜製造方法について説明する。ここでは、薄膜として図1に示す電気機械変換膜43を製造する例を示す。
〔SAM膜のパターニング〕
まず、図4に示すように、下部電極42の表面に所定パターンのSAM(Self Assembled Monolayer)膜50を形成する。具体的には、図4(a)に示す工程では、例えば、下部電極42となる基板を準備する。下部電極42としては、例えば、白金(Pt)を用いることができる。
次に、図4(b)に示す工程では、下部電極42をアルカンチオール等からなるSAM材料で浸漬処理する。これにより、下部電極42の表面には、SAM材料が反応しSAM膜50が付着し、下部電極42表面を撥水化することができる。アルカンチオールは、分子鎖長により反応性や疎水(撥水)性が異なるが、通常、炭素数6〜18の分子を、アルコール、アセトン又はトルエン等の有機溶媒に溶解させて作製する。通常、アルカンチオールの濃度は数モル/リットル程度である。所定時間後に下部電極42を取り出し、余剰な分子を溶媒で置換洗浄し、乾燥する。
次に、図4(c)に示す工程では、公知のフォトリソグラフィ法により、下部電極42の表面に形成されたSAM膜50上に、開口部51xを有するフォトレジスト51を形成する。次に、図4(d)に示す工程では、ドライエッチング等により開口部51x内に露出するSAM膜50を除去し、更にフォトレジスト51を除去する。これにより、下部電極42の表面に所定パターンのSAM膜50が形成される。
下部電極42の表面のSAM膜50が形成されている領域は、疎水性となる。一方、SAM膜50が除去されて下部電極42の表面が露出している領域は、親水性となる。この表面エネルギーのコントラストを利用して、下記で詳述するPZT前駆体溶液の塗り分けが可能となる。
なお、図4(a)に示す工程の後、図5(a)に示す工程のように下部電極42の表面にフォトレジスト53を形成し、図5(b)に示す工程のようにSAM処理を行い、図5(c)に示す工程のようにフォトレジスト53を除去してもよい。これにより、図4(d)に示す工程と同様に、下部電極42の表面に所定パターンのSAM膜50が形成される。
又、図4(b)に示す工程の後、図6(a)に示す工程のように開口部54xを有するフォトマスク54を介して紫外線や酸素プラズマ等を下部電極42表面に照射し、図6(b)に示す工程のように露光部(開口部54x内)のSAM膜50を除去してもよい。これにより、図4(d)に示す工程と同様に、下部電極42の表面に所定パターンのSAM膜50が形成される。
〔電気機械変換膜の形成〕
次に、図7に示すように、下部電極42の表面に電気機械変換膜43を形成する。具体的には、図7(a)に示す工程では、薄膜製造装置3のステージ62上に、表面に所定パターンのSAM膜50が形成された下部電極42(図3の基板5に相当)を載置する。そして、周知のアライメント装置(CCDカメラやCMOSカメラ等)等を用いて、下部電極42の位置や傾き等をアライメントする。
そして、インクジェットヘッド67をX軸に駆動させ、下部電極42が載置されたステージ62をY軸に駆動させて、ステージ62上にインクジェットヘッド67を配置する。そして、インクジェットヘッド67から下部電極42の表面のSAM膜50が存在しない領域(親水性の領域)に機能性インク43aを吐出させる。この際、表面エネルギーのコントラストにより、機能性インク43aはSAM膜50が存在しない領域(親水性の領域)のみに濡れ広がる。
このように、表面エネルギーのコントラストを利用して機能性インク43aをSAM膜50が存在しない領域(親水性の領域)のみに形成することにより、塗布する溶液の使用量をスピンコート法等のプロセスよりも減らすことができると共に、工程を簡略化することが可能となる。なお、機能性インク43aとしては、例えば、PZT前駆体溶液を用いることができる。
次に、図7(b)に示す工程では、連続照射レーザ装置71をX軸に駆動させ、必要な場合には下部電極42が載置されたステージ62をY軸に駆動させて、ステージ62上に連続照射レーザ装置71を配置する。そして、連続照射レーザ装置71にて、図7(a)に示す工程で濡れ広がった機能性インク43aにレーザ光71xを照射して加熱する。レーザ光71xが照射された機能性インク43aは、溶媒が蒸発し、熱分解され、熱分解された機能性インク43bとなる。連続照射レーザ装置71としては、例えば、半導体レーザ装置やYAGレーザ装置等を用いることができる。
レーザ光71xの波長は、下部電極42を含めた基板の光吸収率が比較的高い領域である400nm以上(例えば400nm〜10000nm程度)とすると好適である。より詳しく説明すると、機能性インク43aは波長400nm以上のレーザ光71xをほとんど透過し、ほとんど吸収しない。そのため、機能性インク43aは直接加熱されず、機能性インク43aを搭載している下部電極42(白金等)を含む基板が加熱され、それにともなって間接的に機能性インク43aが加熱される。従って、レーザ光71xの波長を下部電極42の光吸収率が比較的高い領域である400nm以上とすると好適である。
なお、直接加熱の手法を用いると、レーザ光のビームプロファイルのムラにより照射部に温度ムラが生じるおそれがあるが、間接加熱の手法を採用することにより、照射面内において均一に機能性インク43aを加熱することが可能となる。
又、上記説明では、下部電極42上に機能性インク43aを形成しているが、シリコンからなる振動板30上にチタン等からなる密着層41及び白金等からなる下部電極42が積層され、積層された下部電極42上に機能性インク43aを形成する場合がある。このような場合でも、レーザ光71xの波長を、シリコン、チタン、及び白金の光吸収率が比較的高い領域である400nm以上とすると好適である。
なお、シリコンは、厚さ、結晶特性、熱特性の面内ムラが低いため信頼性が高く、本実施の形態で使用する基板(振動板30)として好適である。
下部電極42の移動速度は10mm/s〜1000mm/s程度、レーザ光71xのパワーは数W〜数十W程度とすることができる。又、レーザ光71xのビーム径は数10μm〜数100μm程度、ビームプロファイルは一般的なガウシアンプロファイルとすることができる。
なお、レーザ光71xはSAM膜50にも照射され、SAM膜50も加熱される。SAM膜50は、500℃以上の温度になると消失する虞があるが、レーザ光71xを上記設定条件とした場合には、下部電極42の温度が500℃以下にとどまるので、SAM膜50は消失しない。
次に、図7(c)に示す工程では、パルス照射レーザ装置72をX軸に駆動させ、必要な場合には下部電極42が載置されたステージ62をY軸に駆動させて、ステージ62上にパルス照射レーザ装置72を配置する。そして、パルス照射レーザ装置72にて、図7(b)に示す工程で熱分解された機能性インク43bのみにレーザ光72xを照射して加熱する。つまり、SAM膜50にレーザ光72xを照射すると、下部電極42の温度が500℃以上となってSAM膜50が消失する虞があるため、SAM膜50にはレーザ光72xを照射しない。
レーザ光72xを照射された機能性インク43bは、結晶化して機能性インク43c(例えば、PZT薄膜)となり、SAM膜50は消失せずに残存する。パルス照射レーザ装置72としては、例えば、半導体ファイバーカプリングレーザ装置や半導体レーザスタック装置等を用いることができる。
レーザ光72xのパワーは数W〜数10W程度、レーザ光72xの照射時間は数μ秒〜数100μ秒程度とすることができる。レーザ光72xの発光周波数は機能性インク43bのパターンとステージ62の移動速度により調整することが好ましく、例えば、パターン間隔が100μmで、ステージ62の移動速度が100mm/sの場合、レーザ光72xの発光周波数は1kHzとすることができる。
なお、レーザ光72xが発光中にステージ62が移動する場合には、レーザ光72xを照射する範囲が広がる。例えば、照射時間が100μ秒でステージ62の移動速度が100mm/sの場合、レーザ光72xが発光中にステージ62が移動することにより、レーザ光72xを照射する範囲が10um程度広がる。
そのため、レーザ光72xを機能性インク43bのみに照射し、SAM膜50に照射しないためには、レーザ光72xの照射範囲を考慮して機能性インク43bのパターン形状に合った照射タイミングでレーザ光72xを発光させる必要がある。
図7(c)に示す工程で結晶化した機能性インク43c(例えば、PZT薄膜)の膜厚は、数10nm程度である。この膜厚では不十分であるため、図7(c)に示す工程の後、更に図7(a)〜図7(c)に示す工程を必要数繰り返す。これにより、機能性インク43cが積層され、下部電極42上に任意のパターンと厚さ(例えば、数μm程度)の結晶化した機能性インク膜、すなわち電気機械変換膜43が作製される。
このように、第1の実施の形態では、SAM膜50が消失しない程度の温度で、連続照射レーザ装置71にて機能性インク43aにレーザ光71xを照射して加熱し、機能性インク43aの溶媒を蒸発させ熱分解し、機能性インク43bを作製する。そして、機能性インク43bにレーザ光72x(パルス)を照射して加熱し、結晶化させて機能性インク43cを作製する。この際、パルス照射レーザ装置72では、SAM膜50にレーザ光72xを照射しないため、SAM膜50が消失せずに残存する。
これにより、図4〜図6の工程を繰り返す必要はなく、図7(a)〜図7(c)に示す工程のみを必要数繰り返すことにより、機能性インク43cを積層することができる。つまり、簡易な工程により電気機械変換膜等の薄膜を製造可能となる。
〈第2の実施の形態〉
第1の実施形態では、連続照射レーザ装置71とパルス照射レーザ装置72を別々の装置として使用した。第2の実施形態では、連続照射レーザ装置71とパルス照射レーザ装置72とを1台のレーザ装置とする例を示す。具体的には、例えば、半導体ファイバーカプリングレーザ装置又は半導体レーザスタック装置等のパルス照射レーザ装置を使用して、1台のレーザ装置にパルスレーザ装置と連続照射レーザ装置の両方の機能を持たせることができる。
これにより、1台のレーザ装置で機能性インクの溶媒蒸発、熱分解、結晶化までのプロセスと行うことができる。又、例えば、ステージ62がY方向の1軸の自由度を有し、インクジェットヘッド67、連続照射レーザ装置71、及びパルス照射レーザ装置72をY軸方向に一列に並べる構成の場合には、連続照射レーザ装置71とパルス照射レーザ装置72とを1台のレーザ装置とすることにより、ステージ駆動手段のY軸方向の長さを短くすることができる。そのため、Y軸方向の移動精度が向上するだけでなく、装置がコンパクトとなるため、装置の低コスト化が可能となる。
〈第3の実施の形態〉
通常、レーザ加熱によるレーザ照射エリアの形状は円形であり、ビームプロファイルはGaussianである。そのため、円形のレーザ照射エリアで機能性インクを照射する場合、円中央領域と円端部分では実照射時間が異なる。すなわち、円中央の方が長い時間照射され、円端の方は短い時間照射される。そこで、レーザ照射エリアを機能性インクのパターンと同じ形状にすると好適である。これにより、所定の形状にパターニングされた機能性インクを、均一に加熱することができる。
更に、例えば、連続照射レーザ装置71及びパルス照射レーザ装置72によるレーザ照射のビームプロファイルを、照射エリア内でフラット形状又はトップハット形状にすることで、機能性インクをより均一に加熱することが可能となる。なお、照射エリアの形状とビームプロファイルの調整は、連続照射レーザ装置71及びパルス照射レーザ装置72の何れの装置にも搭載することが可能である。
例えば、機能性インクの平面形状が長方形である場合、連続照射レーザ装置71及びパルス照射レーザ装置72の何れの場合でも、ステージ62が同時に移動できる方向が1方向である場合、照射エリアは長方形であることが好ましい。そして、長方形の傾きとステージ62の移動方向の傾きがそろっていることが好ましい。つまり、平面形状が長方形の機能性インクの長辺又は短辺がステージ62の移動方向に平行であることが好ましい。
このような構成にすることで、ステージ62の移動方向の照射時間が、ステージ62の移動方向と直角の方向で同一となる。すなわち、均一なレーザ加熱が可能となり、信頼性の高い機能性インク膜を形成することができる。
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態では、機能性インクを結晶化のためにレーザ加熱する前に、エキシマレーザを用いてレーザ照射を行う。金属成分を含む有機化合物は、含まれる金属成分によって金属有機化合物が異なる温度で分解されるため、材料によって結晶粒の形成方法が異なる。そのため、エキシマレーザを用いてレーザ照射することで、それぞれの金属有機化合物の化学結合を切断し、結晶粒の形成方法を統一させる。
それにより、機能性インクから圧電素子を作製する場合には、緻密で粒径が揃った結晶膜を形成することができ、得られた結晶膜の圧電素子特性が向上する。エキシマレーザによって切断された化学結合については、赤外吸収スペクトル等を用いて確認することができる。具体的には、連続照射レーザ装置71にて溶媒を蒸発させた後,例えば波長が300nm以下のエキシマレーザ等を照射する。
より具体的には、例えば、連続照射型KrFエキシマレーザ装置を用いて、波長230〜280nm、100mJ/cm以上の照射条件でエキシマレーザを照射することで、得られる機能性インク膜の特性を向上させることができる。なお、連続照射型KrFエキシマレーザ装置に代えて、UVランプを用いて紫外線を照射しても同様の効果を奏する。
〈第5の実施の形態〉
第5の実施の形態では、薄膜製造装置3で製造した液体吐出ヘッド2(図2参照)を搭載したインクジェット記録装置の例を示す。図8は、インクジェット記録装置を例示する斜視図である。図9は、インクジェット記録装置の機構部を例示する側面図である。
図8及び図9を参照するに、インクジェット記録装置4は、記録装置本体81の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ93、キャリッジ93に搭載した液体吐出ヘッド2の一実施形態であるインクジェット記録ヘッド94、インクジェット記録ヘッド94へインクを供給するインクカートリッジ95等で構成される印字機構部82等を収納する。
記録装置本体81の下方部には、多数枚の用紙83を積載可能な給紙カセット84(或いは給紙トレイでもよい)を抜き差し自在に装着することができる。又、用紙83を手差しで給紙するための手差しトレイ85を開倒することができる。給紙カセット84或いは手差しトレイ85から給送される用紙83を取り込み、印字機構部82によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ86に排紙する。
印字機構部82は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド91と従ガイドロッド92とでキャリッジ93を主走査方向に摺動自在に保持する。キャリッジ93にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド94を、複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。又、キャリッジ93は、インクジェット記録ヘッド94に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ95を交換可能に装着している。
インクカートリッジ95は、上方に大気と連通する図示しない大気口、下方にはインクジェット記録ヘッド94へインクを供給する図示しない供給口を、内部にはインクが充填された図示しない多孔質体を有している。多孔質体の毛管力によりインクジェット記録ヘッド94へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。又、インクジェット記録ヘッド94としてここでは各色のヘッドを用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドを用いてもよい。
キャリッジ93は、用紙搬送方向下流側を主ガイドロッド91に摺動自在に嵌装し、用紙搬送方向上流側を従ガイドロッド92に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ93を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ97で回転駆動される駆動プーリ98と従動プーリ99との間にタイミングベルト100を張装し、主走査モータ97の正逆回転によりキャリッジ93が往復駆動される。タイミングベルト100は、キャリッジ93に固定されている。
又、インクジェット記録装置4は、給紙カセット84から用紙83を分離給装する給紙ローラ101、フリクションパッド102、用紙83を案内するガイド部材103、給紙された用紙83を反転させて搬送する搬送ローラ104、この搬送ローラ104の周面に押し付けられる搬送コロ105、搬送ローラ104からの用紙83の送り出し角度を規定する先端コロ106、を設けている。これにより、給紙カセット84にセットした用紙83を、インクジェット記録ヘッド94の下方側に搬送される。搬送ローラ104は副走査モータ107によってギヤ列を介して回転駆動される。
用紙ガイド部材である印写受け部材109は、キャリッジ93の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ104から送り出された用紙83をインクジェット記録ヘッド94の下方側で案内する。この印写受け部材109の用紙搬送方向下流側には、用紙83を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ111、拍車112を設けている。更に、用紙83を排紙トレイ86に送り出す排紙ローラ113及び拍車114と、排紙経路を形成するガイド部材115、116とを配設している。
画像記録時には、キャリッジ93を移動させながら画像信号に応じてインクジェット記録ヘッド94を駆動することにより、停止している用紙83にインクを吐出して1行分を記録し、用紙83を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙83の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙83を排紙する。
キャリッジ93の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、インクジェット記録ヘッド94の吐出不良を回復するための回復装置117を有する。回復装置117はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有する。キャリッジ93は、印字待機中に回復装置117側に移動されてキャッピング手段でインクジェット記録ヘッド94をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。又、記録途中等に、記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でインクジェット記録ヘッド94の吐出口を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出す。又、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。更に、吸引されたインクは、本体下部に設置された図示しない廃インク溜に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、インクジェット記録装置4においては、薄膜製造装置3で製造した液体吐出ヘッド2の一実施形態であるインクジェット記録ヘッド94を搭載しているので、振動板駆動不良によるインク滴吐出不良がなく、安定したインク滴吐出特性が得られるため、画像品質を向上できる。
[実施例]
次に、薄膜製造装置3を用いて薄膜を形成する例を説明する。この実施例では、シリコンウェハに熱酸化膜(膜厚1μm)を形成し、密着層としてチタン膜(膜厚50nm)をスパッタ成膜した。引続き下部電極として白金膜(膜厚200nm)をスパッタ成膜した。
次いで、アルカンチオールにCH(CH−SHを用い、濃度0.01モル/l(溶媒:イソプロピルアルコール)溶液に浸漬させ、SAM処理を行った。その後、イソプロピルアルコールで洗浄・乾燥後、パターニングの工程に移る。
SAM膜処理後、SAM膜形成部位(SAM膜上)において水の接触角を測定したところ、SAM膜上での水の接触角は92.2°であった(図10参照)。一方、SAM処理前の白金スパッタ膜上において水の接触角を測定したところ、白金スパッタ膜上での水の接触角は5°以下(完全濡れ)であった。この結果から、SAM膜処理が適切になされたことがわかる。
次に、東京応化社製フォトレジスト(TSMR8800)をスピンコート法で成膜し、通常のフォトリソグラフィ法でレジストパターンを形成した後、酸素プラズマ処理を行い露出部のSAM膜を除去した。処理後の残渣レジストはアセトンにて溶解除去し、同様の接触角評価を行ったところ、SAM膜除去部位において水の接触角は5°以下(完全濡れ)であり(図11参照)、レジストでカバーされていた部位のそれは92.4°の値を示した。この結果から、SAM膜のパターン化が適切になされたことが確認できる。
他方式のパターニングとして、同様のレジストワークによりあらかじめレジストパターンを形成し、同様のSAM膜処理を実施後、アセトンにてレジストを除去し、接触角を測定した。レジストカバーされた白金膜上の接触角は5°以下(完全濡れ)、他の部位のそれは92.0°となり、SAM膜のパターン化が適切になされたことを確認した。
もう1つの他方式として、シャドウマスクを用いた紫外線照射を行った。具体的には、エキシマランプによる波長176nmの真空紫外光を用いて10分間照射した。照射部の接触角は5°以下(完全濡れ)、未照射部のそれは92.2°でありSAM膜のパターン化が適切になされたことを確認した。
次に、電気機械変換膜としてPZT(53/47)を成膜した。前駆体塗布液の合成は、出発材料に酢酸鉛三水和物、イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムを用いた。酢酸鉛の結晶水はメトキシエタノールに溶解後、脱水した。化学両論組成に対し鉛量を10モル%過剰にしてある。これは熱処理中の所謂鉛抜けによる結晶性低下を防ぐためである。
イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムをメトキシエタノールに溶解し、アルコール交換反応、エステル化反応を進め、先記の酢酸鉛を溶解したメトキシエタノール溶液と混合することでPZT前駆体溶液を合成した。このPZT濃度は0.1モル/lにした。
一度のゾルゲル成膜で得られる膜厚は100nmが好ましく、前駆体濃度は成膜面積と前駆体塗布量の関係から適正化される(従って0.1モル/lに限定されるものではない)。
この前駆体溶液を先のパターン化SAM膜上にインクジェット法で塗布した(図7(a)参照)。インクジェット法によりSAM膜上には液滴を吐出せず親水部のみ吐出することで接触角のコントラストにより親水部上にのみ塗膜ができた。
この塗膜に連続照射レーザ装置71にてレーザ光を照射して加熱し、溶媒を蒸発させ、熱分解された塗膜を得た(図7(b)参照)。続いて、パルス照射レーザ装置72にて、熱分解された塗膜のみにレーザ光を照射して加熱し、熱分解された塗膜結晶化した(図7(c)参照)。
インクジェット法により同じ場所に液滴を吐出し、連続照射レーザ装置71及びパルス照射レーザ装置72によりレーザ光の照射を行う工程を15回繰り返して重ね塗りをし、500nmの電気機械変換膜を得た。このとき作製された電気機械変換膜にはクラック等の不良は生じなかった。
インクジェット法により同じ場所に液滴を吐出し、連続照射レーザ装置71及びパルス照射レーザ装置72によりレーザ光の照射を行う工程を更に15回繰り返したが(計30回)、電気機械変換膜にクラック等の不良は生じなかった。電気機械変換膜の膜厚は1000nmに達した。
このパターン化された電気機械変換膜に上部電極(白金)を成膜して電気機械変換素子を作製し、電気特性、電気−機械変換能(圧電定数)の評価を行った。図12は、本実施例で作製した電気機械変換素子のP−Eヒステリシス曲線を示すグラフである。電気機械変換膜の比誘電率は1220、誘電損失は0.02、残留分極は19.3uC/cm、抗電界は36.5kV/cmであり、通常のセラミック焼結体と同等の特性を持つことがわかった。
電気機械変換素子の電気−機械変換能は、電界印加による変形量をレーザドップラー振動計で計測し、シミュレーションによる合わせ込みから算出した。その圧電定数d31は、−120pm/Vとなり、こちらもセラミック焼結体と同等の値であった。これは液滴吐出ヘッドとして十分設計できうる特性値である。
なお、白金やSrRuOやLaNiOな等の酸化物を溶媒に溶かし、インクジェット法で塗布、レーザ照射することで電気機械変換膜と同様に電極膜も形成することができる。
以上、好ましい実施の形態及び実施例について詳説したが、上述した実施の形態及び実施例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
1、2 液滴吐出ヘッド
3 薄膜製造装置
4 インクジェット記録装置
5 基板
10 ノズル板
11 ノズル
20 圧力室基板
21 圧力室
30 振動板
40 電気機械変換素子
41 密着層
42 下部電極
43 電気機械変換膜
43a、43b、43c 機能性インク
44 上部電極
50 SAM膜
51、53 フォトレジスト
51x、54x 開口部
54 フォトマスク
60 架台
61 Y軸駆動手段
62 ステージ
63 X軸駆動手段
64 X軸支持部材
65、69 Z軸駆動手段
66 ヘッドベース
67 インクジェットヘッド
68 インクタンク
70 レーザ支持部材
71 連続照射レーザ装置
71x、72x レーザ光
72 パルス照射レーザ装置
81 記録装置本体
82 印字機構部
83 用紙
84 給紙カセット(或いは給紙トレイ)
85 手差しトレイ
86 排紙トレイ
91 主ガイドロッド
92 従ガイドロッド
93 キャリッジ
94 インクジェット記録ヘッド
95 インクカートリッジ
97 主走査モータ
98 駆動プーリ
99 従動プーリ
100 タイミングベルト
101 給紙ローラ
102 フリクションパッド
103 ガイド部材
104 搬送ローラ
105 搬送コロ
106 先端コロ
107 副走査モータ
109 印写受け部材
111 搬送コロ
112 拍車
113 排紙ローラ
114 拍車
115、116 ガイド部材
117 回復装置
特表2002−543429号公報

Claims (14)

  1. 成膜対象物の表面に撥液性領域と親液性領域を形成する工程と、
    前記親液性領域に液体を吐出し、塗膜を形成する塗膜工程と、
    前記塗膜にレーザ光を連続的に照射し、前記塗膜の溶媒を蒸発させる蒸発工程と、
    溶媒を蒸発させた前記塗膜にレーザ光をパルス照射し、前記溶媒を蒸発させた前記塗膜を結晶化する結晶化工程と、を有し、
    前記塗膜工程、前記蒸発工程、及び前記結晶化工程を繰り返して所望の膜厚の薄膜を作製し、
    前記蒸発工程においては前記レーザ光を、前記撥液性領域が消失しない条件下にて照射し、
    前記結晶化工程においては前記レーザ光を、前記溶媒を蒸発させた前記塗膜に照射し、前記撥液性領域には照射しないことを特徴とする薄膜製造方法。
  2. 前記蒸発工程で照射される前記レーザ光は第1のレーザ照射手段によって照射され、
    前記結晶化工程で照射される前記レーザ光は第2のレーザ照射手段によって照射され、
    前記第1のレーザ照射手段及び前記第2のレーザ照射手段のそれぞれが照射するレーザ光の波長が何れも400nm以上である請求項1記載の薄膜製造方法
  3. 前記第1のレーザ照射手段及び前記第2のレーザ照射手段は、1台のレーザ装置により構成されている請求項記載の薄膜製造方法
  4. 前記第2のレーザ照射手段の前記成膜対象物上のレーザ光照射領域の形状は、前記溶媒を蒸発させた前記塗膜の形状と同一である請求項2又は3記載の薄膜製造方法
  5. 前記塗膜の形状は長方形であり、前記第2のレーザ照射手段の前記成膜対象物上のレーザ光照射領域の形状は長方形である請求項4記載の薄膜製造方法
  6. 前記第2のレーザ照射手段の照射するレーザ光の光強度分布がトップハット形状である請求項乃至5の何れか一項記載の薄膜製造方法
  7. 前記第1のレーザ照射手段の前記成膜対象物上のレーザ光照射領域の前記成膜対象物の移動方向と垂直な方向の長さは、前記塗膜の前記成膜対象物の移動方向と垂直な方向の長さと同一である請求項乃至6の何れか一項記載の薄膜製造方法
  8. 前記塗膜の形状は長方形であり、前記第1のレーザ照射手段の前記成膜対象物上のレーザ光照射領域の形状は長方形である請求項7記載の薄膜製造方法
  9. 前記第1のレーザ照射手段の照射するレーザ光の光強度分布がトップハット形状である請求項乃至8の何れか一項記載の薄膜製造方法
  10. 溶媒を蒸発させた前記塗膜に紫外光を照射し、前記塗膜に含有された金属有機化合物の化学結合を切断する紫外光照射手段を更に有する請求項1乃至9の何れか一項記載の薄膜製造方法
  11. 前記紫外光の波長は300nm以下である請求項10記載の薄膜製造方法
  12. 前記紫外光照射手段は、前記紫外光を連続照射する請求項10又は11記載の薄膜製造方法
  13. 請求項1乃至12の何れか一項記載の薄膜製造方法により製造された薄膜を用いて圧電素子を製造することを特徴とする圧電素子の製造方法。
  14. 請求項13記載の圧電素子の製造方法により製造された圧電素子を用いて液体吐出ヘッドを製造することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
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