JP2001121711A - 圧電体薄膜素子の製造方法及びインクジェット記録ヘッド - Google Patents

圧電体薄膜素子の製造方法及びインクジェット記録ヘッド

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JP2001121711A
JP2001121711A JP30296999A JP30296999A JP2001121711A JP 2001121711 A JP2001121711 A JP 2001121711A JP 30296999 A JP30296999 A JP 30296999A JP 30296999 A JP30296999 A JP 30296999A JP 2001121711 A JP2001121711 A JP 2001121711A
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Japan
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thin film
piezoelectric thin
ferroelectric
film element
manufacturing
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JP30296999A
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English (en)
Inventor
Makoto Hanabatake
誠 花畑
Junko Katayama
淳子 片山
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Kansai Research Institute KRI Inc
Original Assignee
Kansai Research Institute KRI Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 上面と下面とが実質的に平行である圧電体薄
膜を有する圧電体薄膜素子を製造する方法を提供する。
前記方法により得られた圧電体薄膜素子をアクチュエー
タとして具備するインクジェット記録ヘッドを提供す
る。 【解決手段】 強誘電体を形成可能な組成物を下部電極
上に塗布するための、レジストを含む鋳型7を形成し
(a)、鋳型7中に、強誘電体を形成可能な組成物を塗
布し、強誘電体形成性組成物層3aを形成し(b)、そ
の後、焼成する(c)。上面と下面とが実質的に平行で
ある圧電体薄膜3が下部電極2上に形成される。薄膜3
上に上部電極を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、上面と下面とが実
質的に平行である圧電体薄膜を有する圧電体薄膜素子を
製造する方法に関する。また、本発明は、前記方法によ
り得られた圧電体薄膜素子をアクチュエータとして具備
するインクジェット記録ヘッドにも関する。
【0002】
【従来の技術】圧電体薄膜と電極とを有する圧電体薄膜
素子は、例えばインクジェット記録ヘッドのアクチュエ
ータとして非常に重要である。この用途に用いられる圧
電体薄膜は、十分な機械特性(変位の圧力)を得るため
に1μm〜25μm程度の薄膜化と、変位のばらつきが
できるだけ小さくなるように均一形状を有することが要
求される。また、高解像度(例えば10μm程度の解像
度)が得られるほど高精細化が可能となり、記録ヘッド
の性能上好ましい。
【0003】従来、圧電体薄膜は、例えば特開平7−6
0960号公報に記載のスクリーン印刷法により、強誘
電体酸化物原料を含むペーストなどを基板上に塗布し、
加熱焼成することにより形成されている。しかしなが
ら、スクリーン印刷法では、膜厚の制御が困難であり、
図1に示すように、薄膜(13)の断面形状は円弧状であ
る。従って、薄膜(13)上に上部電極(14)を水平に形成す
ることができず、上部電極(14)と下部電極(12)との間隔
は部位によって異なる。その上、均一形状の薄膜を形成
することも困難である。また、解像度も70μm程度で
ある。そのため、スクリーン印刷法により製造された圧
電体薄膜をインクジェット記録ヘッドのアクチュエータ
として用いた場合、変位のばらつきが大きいこと、十分
な変位が得られない(変換効率が悪い)こと、正確なイ
ンク吐出が困難であること、ノズル配列やドットの微細
化ができないこと等の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、上記従来技術の欠点を解決し、上面と下面とが実質
的に平行である圧電体薄膜を有する圧電体薄膜素子を製
造する方法を提供することにある。また、本発明の目的
は、前記方法により得られた圧電体薄膜素子をアクチュ
エータとして具備するインクジェット記録ヘッドを提供
することにもある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、フォトレジストを含む鋳型を予め形成してお
き、この鋳型に圧電体材料を埋め込みパターニングする
手法により、上面と下面とが実質的に平行である圧電体
薄膜を形成できること、及びその結果、安定した変位が
得られるインクジェット記録ヘッドが得られることを見
出し、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、下部電極と、下部電
極上に形成された圧電体薄膜と、前記圧電体薄膜上に形
成された上部電極とを有する圧電体薄膜素子を製造する
方法であって、強誘電体を形成可能な組成物を下部電極
上に塗布するための、レジストを含む鋳型を形成し、前
記鋳型中に、強誘電体を形成可能な組成物を塗布し、強
誘電体形成性組成物層を形成し、その後、焼成すること
により、前記鋳型を消失させると共に、上面と下面とが
実質的に平行である圧電体薄膜のパターンを形成するこ
とを含む、圧電体薄膜素子の製造方法である。
【0007】ここで、実質的に平行とは、薄膜の垂直断
面形状において、ある程度の凹凸を許容するものであ
る。凹凸の大きさとしては、圧電体薄膜の厚さに対して
10%未満、好ましくは6%未満、より好ましくは3%
未満のものである。具体的には、2.5μm未満、好ま
しくは1.5μm未満、より好ましくは0.75μm未
満の凹凸があってもその部分は実質的に平行である。
【0008】本発明において、インクジェット記録ヘッ
ド用としては、前記圧電体薄膜の膜厚が、0.1μm〜
25μmであることが好ましい。また、強誘電体を形成
可能な組成物は、焼成により、チタン酸ジルコン酸鉛を
主成分とする強誘電体に変換されるものであることが好
ましい。
【0009】本発明の製造方法において、前記強誘電体
を形成可能な組成物は、特に限定されることないが、例
えば次の2つのタイプの組成物が挙げられる。
【0010】まず、第1は、有機ポリマー(A)と、強
誘電体微粒子(B)とを少なくとも含む組成物(タイプ
I)である。この場合に、チタン酸ジルコン酸鉛を主成
分とする強誘電体微粒子(B)を用いることが好まし
い。
【0011】次に、第2は、構成金属元素として少なく
ともチタン、ジルコニウム及び鉛を含む強誘電体酸化物
前駆体ゾル(S)と、有機ポリマー(A)とを少なくと
も含む組成物(タイプII)である。この場合に、さら
に、強誘電体酸化物微粒子(B)を含む組成物を用いる
こともできる。チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする強
誘電体微粒子(B)を用いることが好ましい。
【0012】本発明において、鋳型の形成は、特に限定
されないが、フォトレジストを用いて公知の方法により
行うことができる。レジストとして、前記焼成工程にお
ける最高焼成温度よりも100℃低い温度以下の温度で
消失するレジスト材料を用いることが好ましい。レジス
ト材料としては、ネガ型、ポジ型のいずれをも用いるこ
とができる。
【0013】本発明において、前記鋳型の形状を制御す
ることにより、制御された形状の圧電体薄膜のパターン
を得ることができる。
【0014】例えば、圧電体薄膜のパターンが、その垂
直横断面形状及び/又は垂直縦断面形状が、上辺及び下
辺と両側辺とを有する略四辺形状であり、上辺は下辺と
実質的に平行な部分を少なくとも一部有し、上辺の長さ
Luと下辺の長さLbはLu<Lbの関係にあり、かつ
下辺と各側辺とがそれぞれ成す角度はいずれも90°未
満であるように、制御することができる。
【0015】また、例えば、圧電体薄膜のパターンが、
その垂直横断面形状及び/又は垂直縦断面形状が、相対
する互いに実質的に平行な上辺及び下辺と両側辺とを有
する四辺形であって、下辺と各側辺とがそれぞれ成す角
度θl、θrは、90°<θl<150°及び/又は9
0°<θr<150°であるように、制御することがで
きる。
【0016】本発明において、下部電極上に圧電体薄膜
を形成した後、常法により、圧電体薄膜上に上部電極を
形成し、圧電体薄膜素子を得る。
【0017】上記の製造方法によると、圧電体薄膜は、
その上面と下面とが実質的に平行であり、上部電極は下
部電極と実質的に平行に形成される。従って、本発明の
製造方法により得られた圧電体薄膜素子は、電圧印可に
より安定した変位が得られ、インクジェット記録ヘッド
のアクチュエータとして好適である。
【0018】スクリーン印刷法で形成された従来の圧電
体薄膜は、図1に示すように、薄膜(13)の上面は下部電
極(12)と平行な部分は実質的に存在せず、従って、薄膜
(13)上に上部電極(14)を水平に形成することができなか
った。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明を図面を参照して説明す
る。図2は、本発明の圧電体薄膜素子の製造方法の工程
例の概略を示す図である。図3は、本発明の製造方法で
用いる鋳型の垂直断面形状の一例を示す図である。図4
は、本発明の製造方法により得られた特定断面形状の圧
電体薄膜素子の一例の概略を示す斜視図である。図5
は、図4の圧電体薄膜素子の垂直断面図である。図6
は、図5の変形例を示す圧電体薄膜素子の垂直断面図で
ある。図7は、本発明の製造方法で用いる鋳型の垂直断
面形状の一例を示す図である。図8は、本発明の製造方
法により得られた他の特定断面形状の圧電体薄膜素子の
一例の概略を示す斜視図である。図9は、図8の圧電体
薄膜素子の垂直断面図である。
【0020】図2〜9において、本発明の方法により得
られた圧電体薄膜素子(1) は、下部電極(2) と、下部電
極(2) 上に形成された圧電体薄膜(3) と、圧電体薄膜
(3) 上に形成された上部電極(4) とを有する。
【0021】下部電極(2) は、通常、ジルコニア等の基
板(5) 上に形成された振動板(6) 上に形成される。下部
電極(2) は、パターニングされたものであっても良い
し、そうでなくても良い。
【0022】下部電極(2) 材料は、特に制限されること
なく、通常圧電体薄膜素子として用いられているもので
あればよい。例えば、Pt、Au等が挙げられる。ま
た、上部電極(4) 材料も、特に制限されることなく、通
常圧電体薄膜素子として用いられているものであればよ
い。例えば、Au、Pt等が挙げられる。これらの電極
(2) (4) の厚さも、特に制限されることなく、例えば、
0.05〜2μm程度である。また、下部電極(2) と圧
電体薄膜(3) との間、圧電体薄膜(3) と上部電極(4)と
の間に、例えばTiからなる密着層が設けられてもよ
い。
【0023】強誘電体を形成可能な組成物を下部電極
(2) 上に塗布するための、レジストを含む鋳型を形成す
る〔(a)工程〕。鋳型の形成はフォトレジストを用い
て公知の方法、すなわちフォトレジストの塗布、露光、
現像により行うことができる。
【0024】フォトレジスト材料としては、特に限定さ
れることなく、公知のネガ型、ポジ型のいずれをも用い
ることができる。例えば、代表的なものを例示すれば、
ネガ型としては、ポリケイ皮酸ビニル、環化ゴム−ビス
アジド系レジスト、ポリビニルフェノール/メラミンな
どの架橋剤/酸発生剤からなる架橋タイプの化学増幅系
レジストなどが挙げられる。ポジ型としては、キノンジ
アジド−ノボラック樹脂系レジスト、アセタール化ポリ
ビニルフェノール/酸発生剤などの保護基脱離あるいは
溶解抑止タイプの化学増幅レジストなどが挙げられる。
【0025】本発明において、レジストとして、後述す
る焼成工程(c)における最高焼成温度よりも100℃
低い温度以下の温度で消失するレジスト材料を用いるこ
とが好ましい。より好ましくは前記最高焼成温度よりも
130℃低い温度以下の温度で、更に好ましくは前記最
高焼成温度よりも150℃低い温度以下の温度で、消失
するレジスト材料を用いる。このように強誘電体を形成
すべき焼成温度と、レジスト材料の消失温度に差がある
ことにより、レジスト材料(すなわち鋳型)のより完全
な消失除去が達成される。
【0026】強誘電体材料として、後述するようなゾル
−ゲル法による強誘電体酸化物前駆体ゾルを用いた場合
には、例えば650℃程度の低温で焼成することも可能
となる。そのように低温焼成する場合には、レジスト鋳
型には、消失温度の低いレジスト材料を用いることが望
ましい。
【0027】まず、フォトレジストを下部電極(2) 上に
塗布し、レジスト層(7a)を形成する。下部電極(2) は、
パターニングされたものであっても良いし、そうでなく
ても良い。図2は、下部電極(2) がパターニングされて
いる場合を示す。フォトレジストの塗布方法は、特に限
定されるものではなく、慣用のコーティング方法、例え
ば、スピンコーティング法、ディッピング法、キャスト
法、スプレー塗布法、ダイコーティング法、スクリーン
印刷法、ドクターブレード法などにより行うことができ
る。塗布の後、必要により乾燥することにより、レジス
ト層(7a)を得る。レジスト層(7a)の厚さは、目的とする
圧電体薄膜の膜厚を考慮して決定すると良い。インクジ
ェット記録ヘッド用の場合、通常、0.2〜30μm程
度である。
【0028】前記レジスト層(7a)に所定のマスク(8) を
介して光線を照射又は露光して、パターン露光を行い、
現像する。図2は、ポジ型フォトレジストを用いた場合
を示す。この場合には、現像により、未露光部のレジス
トが残存する。光線としては、ハロゲンランプ、高圧水
銀灯、UVランプ、エキシマレーザー、電子線、X線な
どの放射光などを利用する。波長100〜500nm程
度の光線、特に紫外線が有効である。露光時間は任意で
あるが、フォトレジストの感光特性や、光線の種類にも
より、通常、0.1秒〜20分程度の範囲から選択する
とよい。
【0029】現像は公知の方法で行うと良い。現像に
は、フォトレジストの種類に応じて、水、アルカリ水溶
液、有機溶剤、あるいはこれらの混合液等の種々の現像
液を使用することができる。また、現像法も特に制限さ
れず、例えば、パドル(メニスカス)法、ディップ法、
スプレー法などを採用すればよい。現像後、適宜乾燥す
ることにより、レジストを主体とする鋳型(7) が形成さ
れる。
【0030】次に、前記鋳型(7) 中に、強誘電体を形成
可能な組成物を塗布し、下部電極(2) 上に強誘電体形成
性組成物層(3a)を形成する〔(b)工程〕。強誘電体を
形成可能な組成物は、特に限定されることなく、焼成に
より、強誘電体好ましくはチタン酸ジルコン酸鉛を主成
分とする強誘電体に変換されるものであればよい。
【0031】例えば、次のものが、組成物の構成成分と
なり得る。 ・有機ポリマー(A) ・強誘電体微粒子(B) ・強誘電体酸化物の前駆体ゾル(S) ・溶剤 これらの成分を組み合わせて、強誘電体を形成可能な組
成物として用いることができる。
【0032】例えば、構成成分の組み合わせにより、非
限定的に、次の2つのタイプの組成物が挙げられる。 ・有機ポリマー(A)と、強誘電体微粒子(B)とを少
なくとも含む組成物(タイプI)。 ・構成金属元素として少なくともチタン、ジルコニウム
及び鉛を含む強誘電体酸化物前駆体ゾル(S)と、有機
ポリマー(A)とを少なくとも含む組成物(タイプI
I)。
【0033】以下、各構成成分について説明する。ま
ず、強誘電体微粒子(B)について説明する。強誘電体
微粒子は公知のいずれの強誘電体からなる粒子でもよ
く、強誘電体としては例えば、ペロブスカイト構造のチ
タン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム(B
aTiO3 )、チタン酸鉛(PbTiO3 )、PbZr
3 とPbTiO3 の固溶体にLaを添加したPLZT
等が代表例として挙げられる。また、その他として、L
iNbO 3 、LiTaO3 、SbSI等が挙げられる。
インクジェット記録ヘッドのアクチュエータ用として
は、強誘電体微粒子がチタン酸ジルコン酸鉛からなるも
のが好ましい。これらの強誘電体微粒子は、金属アルコ
キシドや金属塩を出発原料とするゾル−ゲル法、共沈
法、水熱法、噴霧熱分解法などの公知の方法により製造
することができる。
【0034】本発明において、強誘電体微粒子の平均粒
子径(BET法)は、特に限定されるものではないが、
圧電体薄膜を製造するという観点から、5nm〜10μ
mであることが好ましく、10nm〜5μmであること
がより好ましい。
【0035】次に、有機ポリマー(A)について説明す
る。適切な有機ポリマーとしては、特に限定されない
が、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロース(HPC)等のセルロース類、ポリ
ビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール
(PVB)、ポリアクリル酸エステル(PMA)、ポリ
メタクリル酸エステル(PMMA)等のビニル系高分
子、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレン
オキサイド(PEO)、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、PET、ナイロン系樹脂等が挙げられる。
【0036】次に、強誘電体酸化物の前駆体ゾル(S)
について説明する。強誘電体酸化物の「前駆体」とは、
ゾル−ゲル法によって原料の金属種含有化合物(例えば
金属アルコキシド)を重合させて得られるものであり、
実質的に完全な金属酸化物形態に移行させるための前駆
体を指す。
【0037】強誘電体酸化物前駆体ゾル(S)は、構成
金属元素として、チタン、ジルコニウム及び鉛を含む前
駆体であることが好ましい。この前駆体ゾルは、公知の
方法により合成することができる。すなわち、チタン酸
ジルコン酸鉛(PZT)の前駆体ゾルは、例えば、チタ
ンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、及び鉛ア
ルコキシドあるいは酢酸鉛を加水分解・重合させて得る
ことができる。
【0038】チタンアルコキシドとしては、例えば、テ
トラノルマルプロポキシチタン、テトライソプロポキシ
チタン、テトラノルマルブトキシチタン、テトライソブ
トキシチタン等が挙げられる。ジルコニウムアルコキシ
ドとしては、例えば、テトラノルマルプロポキシジルコ
ニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラノ
ルマルブトキシジルコニウム、テトライソブトキシジル
コニウム等が挙げられる。鉛アルコキシドとしては、ジ
ノルマルプロポキ鉛、ジイソプロポキシ鉛、鉛2-アミノ
エトキシ−アセテート〔Pb(NH2 CH2 CH2 O)
(CH3 COO)〕等が挙げられる。
【0039】加水分解・重合反応の溶媒としては、アル
コキシド等の原料及び加水分解に供する水がそれぞれ可
溶であって、水を添加する温度において凝固しないもの
であれば、特に制限なく用いることができる。例えば、
極性溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノー
ル等のアルコールが好ましく用いることができる。ま
た、トルエン等の非極性溶媒を適当な割合で混合しても
よい。
【0040】加水分解・重合反応は、適当な酸触媒存在
下、アルコキシド等の原料にもよるが、通常、−100
〜200℃で行うことができる。このようにして、強誘
電体酸化物の前駆体ゾルを得ることができる。
【0041】前記組成物(タイプI)において、有機ポ
リマー(A)と強誘電体微粒子(B)との配合割合は、
圧電体素子の要求される性能や製造適性などから決定す
れば良いが、焼成後のパターン形状、基体(下部電極)
との密着性を良好にする観点から、固形分重量比で、 0.5<(B)/〔(A)+(B)〕<0.99 であることが好ましく、 0.8<(B)/〔(A)+(B)〕<0.95 であることがより好ましい。上記配合比が、0.5以下
となると、焼成性や基体との密着性が低下する傾向があ
り、一方、0.99以上となると、
傾向がある。また、前記組成物(タイプ
I)において、補助的な量の強誘電体酸化物の前駆体ゾ
ル(S)を含ませることもできる。強誘電体酸化物微粒
子(B)が多い場合には、薄膜製造工程でより高い焼成
温度を必要とするが、より厚膜化された薄膜を得やすく
なる。
【0042】前記組成物(タイプII)において、強誘電
体酸化物前駆体ゾル(Sp)と有機ポリマー(A)との
配合割合は、圧電体素子の要求される性能や製造適性な
どから決定すれば良いが、焼成後のパターン形状、基体
(下部電極)との密着性を良好にする観点から、固形分
重量で、強誘電体酸化物前駆体ゾル(S)100重量部
に対して、有機ポリマー(A)1〜100重量部を含む
ことが好ましく、10〜50重量部を含むことがより好
ましい。
【0043】また、前記組成物(タイプII)において、
必要に応じてさらに強誘電体酸化物微粒子(B)を含む
場合には、特に限定されないが、固形分重量で、強誘電
体酸化物前駆体ゾル(S)100重量部に対して、有機
ポリマー(A)1〜100重量部、及び強誘電体酸化物
微粒子(B)1〜50重量部、1〜10重量部程度の少
ない量でよい。強誘電体酸化物微粒子(B)の量が少な
い場合には、薄膜製造工程での低温焼成(例えば、50
0〜700℃程度)も可能となる。
【0044】本発明においては、前記組成物には、必要
によりさらに、重合促進剤、溶解促進剤、酸化防止剤、
染料、顔料などの公知の各種添加剤を適宜配合すること
もできる。
【0045】前記組成物には、塗布性などの作業性を良
好にするため、通常、溶剤が含まれている。溶剤は、公
知の各種溶剤の中から適宜選択される。通常、適当な溶
剤として、メタノール、エタノール、プロパノール、2
−エトキシエタノール等のアルコール類、カルビトー
ル、ブトキシエトキシカルビトール等のエーテル類など
の親水性溶剤を用いる。
【0046】強誘電体を形成可能な組成物は、慣用の方
法、例えば、組成物を構成する各成分を、通常適当な溶
剤(アルコール類などの親水性溶剤など)と共に、混合
することにより調製することができる。各構成成分を同
時に混合してもよく、適当な順序で混合してもよい。
【0047】このようにして得られた組成物を、前記鋳
型(7) 中に、埋め込むように塗布し、下部電極(2) 上に
強誘電体形成性組成物層(3a)を形成する〔(b)工
程〕。下部電極は、通常、ジルコニア等の基板(5) 上に
スクリーン印刷法等によりパターニングされている。基
板は、予め適当な表面処理が成されていてもよい。例え
ば、シランカップリング剤などにより表面処理が成され
ていてもよい。
【0048】塗布方法は、特に限定されるものではな
く、慣用のコーティング方法、例えば、スピンコーティ
ング法、ディッピング法、キャスト法、スプレー塗布
法、ダイコーティング法、スクリーン印刷法、ドクター
ブレード法などにより行うことができる。塗布の際に
は、組成物層(3a)の上面は、その高さが鋳型(7) の高さ
と同一となり、水平性が保たれることが肝要である。こ
の観点から、上記方法のうち、好ましい方法は、スピン
コーティング法、キャスト法、スプレー塗布法、ダイコ
ーティング法、ドクターブレード法である。塗布の後、
必要により乾燥して溶剤を除去することにより、強誘電
体形成性組成物層(3a)を得る。
【0049】(b)工程後、焼成を行い、レジストを消
失させると共に、強誘電体形成性組成物層(3a)を圧電体
薄膜(3) とする〔(c)工程〕。焼成は、強誘電体微粒
子や強誘電体前駆体ゾルの種類や配合量、圧電体素子の
用途などにもよるが、適当な温度、例えば、300〜1
400℃程度、好ましくは600〜1200℃程度の温
度で行うことができる。また、焼成は、酸素含有雰囲気
(空気など)下で行うことが好ましく、常圧又は減圧下
で行うことができる。通常は、空気下で、室温から30
0〜1400℃程度まで、2〜24時間かけて焼成する
とよい。また、段階的な昇温を行ってもよい。このよう
な焼成により、有機成分がほぼ消失して、緻密な圧電体
薄膜が得られる。
【0050】(b)工程後、焼成工程(c)の前に、レ
ジストを適切な溶剤を用いて、例えば溶剤中に浸漬する
ことによって、除去しても良い。適切な溶剤としては、
用いたレジストを溶解するものであり、例えば、アセト
ン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等が用
いられるであろう。レジストの除去を完全に行うことは
難しいが、部分的な除去を行うことは可能である。
【0051】この圧電体薄膜(3) 上に、常法により、例
えば、スパッタ法や蒸着法により上部電極を形成して、
圧電体薄膜素子(1) とする。圧電体薄膜(3) は、その上
面と下面とが実質的に平行であり、上部電極(4) は下部
電極(2) と実質的に平行に形成される。
【0052】本方法では、前記鋳型の形状を制御するこ
とにより、制御された形状の圧電体薄膜のパターンを得
ることができる。具体的には、レジストを直接鋳型とし
て使用する場合は、レジストの種類(ポジ型あるいはネ
ガ型)やレジスト層の厚み、露光条件、現像条件を選
択、最適化することにより、鋳型の形状を制御すること
が可能である。
【0053】例えば、図3に示すような垂直断面形状の
鋳型を用いると、”台形状”の垂直横断面形状を有する
圧電体薄膜パターンを得ることができる。すなわち、例
えば、図4及び図5に示すように、薄膜(3) の垂直断面
形状は、上辺及び下辺と両側辺とを有する略四辺形状で
あり、上辺は下辺と実質的に平行な部分を少なくとも一
部(下辺の長さを基準として20〜98%の長さ)有
し、上辺の長さLuと下辺の長さLbはLu<Lbの関
係にあり、かつ下辺と各側辺とがそれぞれ成す角度θl
及びθrはいずれも90°未満である。
【0054】上辺と下辺の実質的に平行な部分は、下辺
の長さを基準として20〜98%、好ましくは40〜9
5%で、より好ましくは60〜90%の平行な部分を有
することが好ましい。圧電体薄膜(3) の上面及び下面の
平行性が上記範囲にある場合、上部電極及び下部電極の
平行性が保たれ、より的確な変位が得られインク吐出精
度が高くなる。そして、下辺と図5における左側辺とが
成す角度θl、及び下辺と図5における右側辺とが成す
角度θrは、いずれも90°未満であり、例えば、30
°〜80°程度である。
【0055】また、例えば、図6の変形例に示すよう
に、左右の側辺が凸弧状となっていても良い。上辺が下
辺に対して実質的に平行な一部分を有することにより、
的確な変位が得られインク吐出精度が高くなるという本
発明の効果に変わりはない。
【0056】例えば、図7に示すような垂直断面形状の
鋳型を用いると、”逆台形状”の垂直横断面形状圧電体
薄膜のパターンを得ることができる。すなわち、例え
ば、図8及び図9に示すように、薄膜(3) の垂直断面形
状は、相対する互いに実質的に平行な上辺及び下辺と両
側辺とを有する四辺形であって、上辺の長さLuと下辺
の長さLbは、Lu>Lbの関係にある。そして、下辺
と図9における左側辺とが成す角度θlは、90°<θ
l<150°、好ましくは90°<θl<120°であ
り、及び/又は、下辺と図9における右側辺とが成す角
度θrは、90°<θr<150°、好ましくは90°
<θr<120°である。
【0057】圧電体薄膜(3) の上面と下面とが平行であ
るので、上部電極及び下部電極の平行性が保たれ、より
的確な変位が得られインク吐出精度が高くなる。
【0058】圧電体薄膜(3) の膜厚は、インクジェット
記録ヘッドのアクチュエータとして用いるために、0.
1μm〜25μmであることが好ましい。この膜厚は、
上面と下面の実質的に平行な部分における膜厚である。
より好ましい膜厚は0.5μm〜20μmであり、更に
好ましい膜厚は2μm〜15μmである。圧電体薄膜
(3) は、インクジェット記録ヘッドのアクチュエータと
しての十分な変位を得るために、チタン酸ジルコン酸鉛
を主成分とすることが好ましい。
【0059】本発明の製造方法によれば、上面及び下面
の平行性が非常に高い圧電体薄膜を形成することができ
る。さらに、微細パターンの圧電体薄膜を形成すること
ができる。これらのことは、従来のスクリーン印刷法に
よるパターニングでは不可能なことであり、本発明の大
きな利点である。
【0060】本発明により得られた圧電体薄膜素子は、
緻密性、電気的及び機械的特性に優れ、例えば解像度5
0μmのファインパターンのものであり、インクジェッ
ト記録ヘッドのアクチュエータとして好適である。すな
わち、この圧電体薄膜素子をインクジェット記録ヘッド
のアクチュエータとして用いた場合、変位のばらつきが
小さく、その変位を効率良く振動に変換でき、正確なイ
ンク吐出を行うことができる。さらに、ノズル配列やド
ットの微細化も可能となる。
【0061】本発明は、前記方法により得られた圧電体
薄膜素子をアクチュエータとして具備するインクジェッ
ト記録ヘッドにも関する。インクジェット記録ヘッドに
は、千鳥配置されたヘッドや、マルチノズルのヘッドも
含まれる。
【0062】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 [実施例1] 1.レジスト鋳型の作成 10mm×10mmのジルコニア基板上に、白金ペース
トを厚さ5μmにスクリーン印刷法で塗布し、パターン
ニングされた下部電極を形成した。この上に、ネガ型レ
ジストRD2000N(ノボラック系:日立化成製)を
スピンコート法により、乾燥後の厚さが10μmになる
ように塗布した。これを90℃のクリーンオーブンで3
0分間乾燥し、レジスト層を形成した。
【0063】レジスト層を、250Wの超高圧水銀灯を
有するミカサ(株)製マスクアライナーM−2L型露光
装置でテストマスク(線幅50μm)を介して10秒間
露光した。露光後のレジスト層を、1.25重量%の水
酸化カリウム水溶液中で60秒間Dip現像した。この
ようにして、図3に示すような形状のレジスト鋳型を作
成した。
【0064】2.有機成分/強誘電体微粒子混合物(タ
イプI)の調製 ヒドロキシプロピルセルロース0.4g、溶媒としてエ
チルセロソルブ0.6gを混ぜ、攪拌し、均一透明液を
得た。これに、強誘電体微粒子として、堺化学製チタン
酸鉛ジルコニア Pb(Zr,Ti)O3 (商品名、P
ZT−HQ、BET法による平均粒子径0.5μm)9
gを、室温で加え、ペーストを調製した。
【0065】3.ペーストの塗布 レジスト鋳型中に、上記ペーストをドクターブレード法
で塗布し、これを90℃のクリーンオーブンで20分間
乾燥し、ペースト層を形成した。
【0066】4.パターンニング膜の加熱焼成による圧
電体薄膜の形成 鋳型中に充填された強誘電体微粒子含有層を、空気中で
室温から400℃まで6時間、さらに1000℃まで1
時間かけて昇温することにより焼成し、レジストを消失
させると共に、極めて緻密性の良い圧電体薄膜を得た。
焼成後の膜の赤外線吸収スペクトルを観察したところ、
有機成分に由来する吸収がほとんど観察されず、ほぼ完
全に無機化(セラミックス化)していることが確認され
た。また、焼成後の膜厚を電子顕微鏡で観察したところ
約7μmであった。
【0067】この薄膜の線幅50μmの部分の断面形状
を電子顕微鏡で観察したところ、図5を参照して、上辺
の長さLu=45μm、下辺の長さLb=50μmであ
った。また、上辺と下辺の実質的に平行な部分は約45
μmであった。
【0068】この形状は、鋳型形状の変更により、本発
明の範囲内において種々変形可能である。また、解像度
については、露光時におけるテストマスクの線幅を変
え、鋳型サイズを変更することにより、種々変化させる
ことが可能である。
【0069】5.圧電体素子の性能 得られた圧電体薄膜上に、上部電極をPt(白金)とし
てスパッタ法で形成した。厚さ0.5μmであった。こ
れを圧電体素子として用いて、インクを吐出させたとこ
ろ、十分な吐出力が得られた。
【0070】[実施例2]実施例1とは異なる形状のレ
ジスト鋳型を作成した。10mm×10mmのジルコニ
ア基板上に、白金ペーストを厚さ5μmにスクリーン印
刷法で塗布し、パターンニングされた下部電極を形成し
た。この上に、ポジ型レジストOFPR−800(東京
応化工業(株)製)をスピンコート法により、乾燥後の
厚さが7μmになるように塗布した。これを90℃のク
リーンオーブンで30分間乾燥し、レジスト層を形成し
た。
【0071】レジスト層を、250Wの超高圧水銀灯を
有するミカサ(株)製マスクアライナーM−2L型露光
装置でテストマスク(線幅50μm)を介して10秒間
露光した。露光後のレジスト層を、1.5重量%の水酸
化カリウム水溶液中で60秒間Dip現像した。このよ
うにして、図7に示すような形状のレジスト鋳型を作成
した。
【0072】実施例1と同一のペーストを用いて、レジ
スト鋳型中にペーストをドクターブレード法で塗布し、
これを90℃のクリーンオーブンで20分間乾燥し、ペ
ースト層を形成した。
【0073】鋳型中に充填された強誘電体微粒子含有層
を、空気中で室温から400℃まで6時間、さらに10
00℃まで1時間かけて昇温することにより焼成し、レ
ジストを消失させると共に、極めて緻密性の良い圧電体
薄膜を得た。焼成後の膜の赤外線吸収スペクトルを観察
したところ、有機成分に由来する吸収がほとんど観察さ
れず、ほぼ完全に無機化(セラミックス化)しているこ
とが確認された。また、焼成後の膜厚を電子顕微鏡で観
察したところ約5μmであった。
【0074】この薄膜の線幅50μmの部分の断面形状
を電子顕微鏡で観察したところ、図9を参照して、上辺
の長さLu=50μm、下辺の長さLb=45μmであ
った。また、上辺と下辺の実質的に平行な部分は約45
μmであった。
【0075】得られた圧電体薄膜上に、上部電極をPt
(白金)としてスパッタ法で形成した。厚さ0.5μm
であった。これを圧電体素子として用いて、インクを吐
出させたところ、十分な吐出力が得られた。
【0076】[実施例3](強誘電体微粒子を用いない
薄膜の製造例) 実施例1とは異なるペースト(タイプII)を次のように
して調製した。 (強誘電体酸化物の前駆体ゾルの調製)テトラn−ブト
キシジルコニウムのイソプロパノール溶液(85.7重
量%)23.3gとアセチルアセトン2.6gとを混合
し、2時間還流した(溶液a)。別途、テトライソプロ
ポキシチタン13.64g、アセチルアセトン9.61
g、及びトリメチレングリコール3.65gを混合し、
これを前記溶液aに加え、2時間還流した(溶液b)。
別途、酢酸鉛3水和物41.73gとトリメチレングリ
コール38.2gを混合し、2時間還流した後、これを
前記溶液bに加え、さらに5時間還流した。得られた溶
液をエバポレーターを用いて、80〜85℃で濃縮し、
濃度35重量%の前駆体ゾル溶液を得た。 (ペーストの調製)上記の前駆体ゾル液25gに、共重
合ナイロン(東レ(株)製、CM8000)1.8gを
メタノール7gに35℃で溶解させ室温まで冷却したも
のを室温にて混合し、ペーストを調製した。
【0077】実施例1と同様のレジスト鋳型(RD20
00N製)中に、上記ペーストをドクターブレード法で
塗布し、これを90℃のクリーンオーブンで20分間乾
燥し、ペースト層を形成した。
【0078】鋳型中に充填されたペースト層を、空気中
で室温から400℃まで6時間、さらに650℃まで1
時間かけて昇温することにより焼成し、圧電体薄膜を得
た。焼成後の膜の赤外線吸収スペクトルを観察したとこ
ろ、有機成分に由来する吸収がほとんど観察されず、ほ
ぼ完全に無機化(セラミックス化)していることが確認
された。また、焼成後の膜厚を電子顕微鏡で観察したと
ころ約6μmであった。レジスト鋳型も完全に消失して
いた。この薄膜の線幅50μmの部分の断面形状を電子
顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様であった。
【0079】得られた圧電体薄膜上に、上部電極をPt
(白金)としてスパッタ法で形成した。厚さ0.5μm
であった。これを圧電体素子として用いて、インクを吐
出させたところ、十分な吐出力が得られた。
【0080】[実施例4] (レジスト鋳型の作成)実施例1において、ネガ型レジ
ストRD2000Nに代えて、ネガ型レジストPL−1
100(ポリイミド系:日立化成製)を用いた以外は、
実施例1と同様にして、レジスト鋳型を形成した。
【0081】このレジスト鋳型中に、実施例3と同じペ
ーストを実施例3と同様に塗布、乾燥し、ペースト層を
形成した。
【0082】鋳型中に充填されたペースト層を、実施例
3と同様に、空気中で室温から400℃まで6時間、さ
らに650℃まで1時間かけて昇温することにより焼成
し、圧電体薄膜を得た。焼成後の膜の赤外線吸収スペク
トルを観察したところ、有機成分に由来する吸収がほと
んど観察されず、ほぼ完全に無機化(セラミックス化)
していることが確認された。また、焼成後の膜厚を電子
顕微鏡で観察したところ約6μmであった。
【0083】ほんの僅かではあるが、レジスト鋳型の消
失しなかった痕跡(カーボン)が観察された。レジスト
PL−1100は、レジストRD2000Nに比べ、よ
り高い消失温度を必要とする。これは、PL−1100
のみを熱分析装置(TG/DTA)で分析した場合、完全に重
量消失する温度が約520℃であることからも理解でき
る。一方、RD2000Nを同様に分析すると、消失温
度は約490℃であった。従って、ゾル−ゲル法によっ
て得られた塗布ペーストを低温焼成する場合には、レジ
スト鋳型には、消失温度の低いレジスト材料を用いるこ
とが望ましい。
【0084】得られた圧電体薄膜上に、上部電極をPt
(白金)としてスパッタ法で形成した。厚さ0.5μm
であった。これを圧電体素子として用いて、インクを吐
出させたところ、十分な速度ではないが、吐出は確認で
きた。
【0085】
【発明の効果】本発明によれば、上面と下面とが実質的
に平行である圧電体薄膜を有する圧電体薄膜素子が得ら
れる。この圧電体薄膜素子は、電圧印可により安定した
変位が得られ、特にインクジェット記録ヘッドのアクチ
ュエータとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のスクリーン印刷法により作製された圧
電体薄膜素子の垂直断面図である。
【図2】 本発明の圧電体薄膜素子の製造方法の工程例
の概略を示す図である。
【図3】 本発明の製造方法で用いる鋳型の垂直断面形
状の一例を示す図である。
【図4】 本発明の製造方法により得られた特定断面形
状の圧電体薄膜素子の一例の概略を示す斜視図である。
【図5】 図4の圧電体薄膜素子の垂直断面図である。
【図6】 図5の変形例を示す圧電体薄膜素子の垂直断
面図である。
【図7】 本発明の製造方法で用いる鋳型の垂直断面形
状の一例を示す図である。
【図8】 本発明の製造方法により得られた他の特定断
面形状の圧電体薄膜素子の一例の概略を示す斜視図であ
る。
【図9】 図8の圧電体薄膜素子の垂直断面図である。
【符号の説明】
(1) :圧電体薄膜素子 (2) :下部電極 (3a):強誘電体形成性組成物層 (3) :圧電体薄膜 (4) :上部電極 (5) :基板 (6) :振動板 (7a):レジスト層 (7) :レジスト鋳型 (8) :フォトマスク (Lu):垂直断面形状における上辺の長さ (Lb):垂直断面形状における下辺の長さ (θl)(θr):垂直断面形状における下辺と各側辺
とが成す角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/22

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部電極と、下部電極上に形成された圧
    電体薄膜と、前記圧電体薄膜上に形成された上部電極と
    を有する圧電体薄膜素子を製造する方法であって、 強誘電体を形成可能な組成物を下部電極上に塗布するた
    めの、レジストを含む鋳型を形成し、 前記鋳型中に、強誘電体を形成可能な組成物を塗布し、
    強誘電体形成性組成物層を形成し、 その後、焼成することにより、前記鋳型を消失させると
    共に、上面と下面とが実質的に平行である圧電体薄膜の
    パターンを形成することを含む、圧電体薄膜素子の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 レジストとして、前記焼成工程における
    最高焼成温度よりも100℃低い温度以下の温度で消失
    するレジスト材料を用いる、請求項1に記載の圧電体薄
    膜素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記圧電体薄膜の膜厚が、0.1μm〜
    25μmである、請求項1又は2に記載の圧電体薄膜素
    子の製造方法。
  4. 【請求項4】 強誘電体を形成可能な組成物は、焼成に
    より、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする強誘電体に
    変換されるものである、請求項1〜3項のうちのいずれ
    か1項に記載の圧電体薄膜素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 強誘電体を形成可能な組成物が、有機ポ
    リマー(A)と、強誘電体微粒子(B)とを少なくとも
    含む、請求項1〜4項のうちのいずれか1項に記載の圧
    電体薄膜素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記強誘電体微粒子(B)が、チタン酸
    ジルコン酸鉛を主成分とする、請求項5に記載の圧電体
    薄膜素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 強誘電体を形成可能な組成物が、構成金
    属元素として少なくともチタン、ジルコニウム及び鉛を
    含む強誘電体酸化物前駆体ゾル(S)と、有機ポリマー
    (A)とを少なくとも含む、請求項1〜4項のうちのい
    ずれか1項に記載の圧電体薄膜素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 強誘電体を形成可能な組成物が、さら
    に、強誘電体酸化物微粒子(B)を含む、請求項7に記
    載の圧電体薄膜素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 強誘電体酸化物微粒子(B)が、チタン
    酸ジルコン酸鉛を主成分とする、請求項8に記載の記載
    の圧電体薄膜素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記鋳型中への、強誘電体を形成可能
    な組成物の塗布を、スピンコーティング法、キャスト
    法、スプレー塗布法、ドクターブレード法又はダイコー
    ティング法により行う、請求項1〜9項のうちのいずれ
    か1項に記載の圧電体薄膜素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記鋳型の形状を制御することによ
    り、制御された形状の圧電体薄膜のパターンを得る、請
    求項1〜10項のうちのいずれか1項に記載の圧電体薄
    膜素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 圧電体薄膜のパターンは、その垂直横
    断面形状及び/又は垂直縦断面形状が、上辺及び下辺と
    両側辺とを有する略四辺形状であり、上辺は下辺と実質
    的に平行な部分を少なくとも一部有し、上辺の長さLu
    と下辺の長さLbはLu<Lbの関係にあり、かつ下辺
    と各側辺とがそれぞれ成す角度はいずれも90°未満で
    ある、請求項11に記載の圧電体薄膜素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 上辺は、下辺の長さを基準として20
    〜98%の長さにわたって下辺と実質的に平行である、
    請求項12に記載の圧電体薄膜素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 圧電体薄膜のパターンは、その垂直横
    断面形状及び/又は垂直縦断面形状が、相対する互いに
    実質的に平行な上辺及び下辺と両側辺とを有する四辺形
    であって、下辺と各側辺とがそれぞれ成す角度θl、θ
    rは、 90°<θl<150°及び/又は 90°<θr<150° である、請求項11に記載の圧電体薄膜素子の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 上辺の長さLuと下辺の長さLbが、
    Lu>Lbの関係にある、請求項14に記載の圧電体薄
    膜素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15項のうちのいずれか1
    項に記載の製造方法により得られた圧電体薄膜素子を、
    アクチュエータとして具備する、インクジェット記録ヘ
    ッド。
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