JP4044012B2 - 静電吸引型流体吐出装置 - Google Patents

静電吸引型流体吐出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4044012B2
JP4044012B2 JP2003209829A JP2003209829A JP4044012B2 JP 4044012 B2 JP4044012 B2 JP 4044012B2 JP 2003209829 A JP2003209829 A JP 2003209829A JP 2003209829 A JP2003209829 A JP 2003209829A JP 4044012 B2 JP4044012 B2 JP 4044012B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nozzle
ink
collecting
discharge
electric field
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003209829A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005074634A (ja
Inventor
英嗣 河合
茂 西尾
治彦 出口
成光 垣脇
和広 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Sharp Corp
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST, Sharp Corp filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2003209829A priority Critical patent/JP4044012B2/ja
Priority to PCT/JP2004/012027 priority patent/WO2005021273A1/ja
Priority to US10/569,045 priority patent/US7922295B2/en
Priority to TW093125373A priority patent/TWI245709B/zh
Publication of JP2005074634A publication Critical patent/JP2005074634A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4044012B2 publication Critical patent/JP4044012B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/07Ink jet characterised by jet control
    • B41J2/075Ink jet characterised by jet control for many-valued deflection
    • B41J2/095Ink jet characterised by jet control for many-valued deflection electric field-control type
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/015Ink jet characterised by the jet generation process
    • B41J2/04Ink jet characterised by the jet generation process generating single droplets or particles on demand
    • B41J2/06Ink jet characterised by the jet generation process generating single droplets or particles on demand by electric or magnetic field
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/165Prevention or detection of nozzle clogging, e.g. cleaning, capping or moistening for nozzles
    • B41J2/16505Caps, spittoons or covers for cleaning or preventing drying out
    • B41J2/16508Caps, spittoons or covers for cleaning or preventing drying out connected with the printer frame
    • B41J2/16511Constructions for cap positioning
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/17Ink jet characterised by ink handling
    • B41J2/18Ink recirculation systems
    • B41J2/185Ink-collectors; Ink-catchers

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノズル内に供給されたインク等の流体を帯電させて静電吸引することで、対象物上に吐出する静電吸引型流体吐出方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インク等の流体を対象物(記録媒体)上に吐出する流体ジェット方式には種々の方式がある。ここでは、流体としてインクを用いたインクジェット方式について説明する。
【0003】
オンデマンドタイプのインクジェット方式としては、圧電現象を利用したピエゾ方式、インクの膜沸騰現象を利用したサーマル方式、および静電気現象を利用した静電吸引方式等が開発されている。特に近年では、インクジェット方式の高解像度化の要求が強くなっている。高解像度のインクジェット記録を実現するには、吐出したインク液滴の微小化が不可欠である。
【0004】
ここで、ノズルから吐出したインク液滴が記録媒体に着弾するまでの挙動は、
ρink・(4/3・π・d3)・dv/dt
= - Cd・(1/2・ρair・v2)・(π・d2/4)・・・・・(1)
で示される運動方程式によって表すことができる。
【0005】
上記ρinkはインクの体積密度、Vは液滴体積、vは液滴速度、Cdは抗力係数、ρairは空気の密度、dはインク液滴半径であり、Cdは、
Cd = 24/Re・(1+3/16・Re0.62) ・・・・・・・・・(2)
によって表すことができる。
【0006】
上記(2)式に記載のReはレイノルズ数であり、ηを空気の粘度として、
Re = 2・d・ρink・ v/η ・・・・・・・・・・・(3)
によって表すことができる。
【0007】
上記(1)式において、液滴半径の影響は、左辺のインク液滴の運動エネルギーに対する影響の方が、右辺の空気の粘性抵抗に対する影響よりも大きい。このため、同一速度の場合、液滴が小さくなればなるほど液滴速度の減速が早く、所定の距離離れた記録媒体に到達できないか、あるいは到達しても着弾精度が悪くなってしまう。
【0008】
このような事態を防ぐには、液滴の吐出初速度を大きくすること、すなわち単位体積当たりの吐出エネルギーを大きくすることが必要である。
【0009】
しかしながら、従来のピエゾ方式およびサーマル方式のインクジェットヘッドでは、吐出液滴を微少化した場合、すなわち吐出液滴の単位体積当たりの吐出エネルギーを大きくした場合に、以下に示す(A)〜(C)の問題点を有する。このため、吐出液滴量を1pl以下とすること、すなわち液滴の直径(以下、液滴径と称する)をφ10μm以下にすることが特に難しかった。
【0010】
問題点(A):ピエゾ方式のインクジェットヘッドの吐出エネルギーは、駆動する圧電素子の変位量および発生圧力と関わっている。一方、圧電素子の変位量は、インク吐出量すなわちインク液滴サイズと密接に関わっており、液滴サイズを小さくするには、圧電素子の変位量を小さくする必要がある。このため、吐出液滴の単位体積当たりの吐出エネルギーの向上が困難である。
【0011】
問題点(B):サーマル方式のインクジェットヘッドでは、インクの膜沸騰現象を利用しているので、バブル形成時の圧力には物理的な限界があり、インクの吐出エネルギーは加熱素子の面積によりほぼ定まってしまう。この加熱素子の面積は、発生バブルの体積、すなわちインク吐出量にほぼ比例する。このため、インク液滴サイズを小さくすれば、発生バブルの体積が小さくなり、これに比例して吐出エネルギーが小さくなる。したがって、吐出液滴の単位体積当たりの吐出エネルギーの向上が困難である。
【0012】
問題点(C):ピエゾ方式およびサーマル方式とも駆動(加熱)素子の駆動量が吐出量に密接に関わるため、特に微少な液滴サイズを吐出する場合、そのバラツキを抑えることが非常に難しい。
【0013】
そこで、上記の各問題点を解消するための方式として、静電吸引方式による微小液滴の吐出方法の開発が行われている。
【0014】
静電吸引方式では、ノズルから吐出したインク液滴の運動方程式は、
ρink・(4/3・π・d3)・dv/dt
= q・E- Cd・(1/2・ρair・v2)・(π・d2/4)・・・・・(4)
で示される。なお、qは液滴の電荷量、Eは周囲の電界強度である。
【0015】
上記(4)式から、静電吸引方式では、吐出された液滴は吐出エネルギーとは別に飛翔中にも静電力を受ける。このため、単位体積当たりの吐出エネルギーを軽減でき、微小液滴の吐出への適用が可能となる。
【0016】
このような静電吸引方式のインクジェット装置(以下、静電吸引型インクジェット装置と称する)として、例えば特開平8−238774号公報(特許文献1)には、ノズルより内部に電圧印加用の電極を設けたインクジェット装置が開示されている。また、特開2000−127410号公報(特許文献2)には、ノズルをスリットとして、ノズルより突出した針電極を設け微粒子を含むインクを吐出するインクジェット装置が開示されている。
【0017】
上記特許文献1に開示されたインクジェット装置について、図21を参照しながら以下に説明する。図21はインクジェット装置を模式的に示す断面である。
【0018】
図21において、101はインク噴射室、102はインク、103はインク室、104はノズル孔、105はインクタンク、106はインク供給路、107は回転ローラ、108は記録媒体、110は制御素子部、111はプロセス制御部を示している。
【0019】
さらに、114はインク噴射室101のインク室103内に配設された静電界印加用電極部、115は回転ローラ107に設置された金属ドラムからなる対向電極部、116は対向電極部115に数千Vの負電圧を印加するバイアス電源部である。117は静電界印加用電極部114に数百Vの高電圧を供給する高圧電源部、118は接地部である。
【0020】
ここで、静電界印加用電極部114と対向電極部115との間において、対向電極部115に印加されている数千Vの負電圧のバイアス電源部116と数百Vの高圧電源部117の高圧電圧とが重畳されて、重畳電界が形成されており、この重畳電界によってノズル孔104からのインク102の吐出が制御されている。また、119は対向電極部115に印加された数千Vのバイアス電圧によってノズル孔104に形成される凸状のメニスカスである。
【0021】
以上のように構成された静電吸引方式のインクジェット装置の動作について、以下に説明する。
【0022】
まず、インクタンク105内のインク102は、毛細管現象により、インク供給路106を伝わってインク噴射室101のノズル孔104まで移送される。このとき、ノズル孔104に対向配置された電極部115におけるノズル孔104との対向面には記録媒体108が配置されている。
【0023】
ノズル孔104まで達したインク102は、対向電極部115に印加された数千Vのバイアス電圧によって凸状のインクメニスカス119に形成される。また、インク室103内に配設された静電界印加用電極部114に数百Vの高圧電源部117から信号電圧を印加すると、この電圧と対向電極部115に印加されたバイアス電源部116からの電圧とが重畳され、重畳電界によってインク102は記録媒体108に吐出され、印字画像が形成される。
【0024】
次に、上記特許文献1に開示されたインクジェット装置における液滴の飛翔までのメニスカスの挙動を、図22(a)〜図22(c)を参照しながら以下に説明する。
【0025】
駆動電圧を印加する前は、図22(a)に示すように、インクに加えられているバイアス電圧による静電力とインクの表面張力の釣り合いにより、ノズル孔104におけるインク表面に盛り上がったメニスカス119aが形成された状態となっている。
【0026】
上記の状態で駆動電圧を印加すると、図22(b)に示すように、メニスカス119bは、液表面に発生した電荷が液面の盛り上がりの中心に寄り初め、それにより液面の盛り上がりの中心が高くなる。
【0027】
その後、駆動電圧を印加し続けると、図22(c)に示すように、液表面に発生した電荷が更に中心に集中することによりテーラーコーンとよばれる半月状のメニスカス119cが形成され、該テーラーコーンの頂部に集中した電荷量による静電力がインクの表面張力を超えた段階で液滴の分離が行われ吐出される。
【0028】
次に、上記特許文献2に開示されたインクジェット装置について、図23を参照しながら以下に説明する。図23は、インクジェット装置の概略構成図である。
【0029】
インクジェット装置の保持部材内部には、図23に示すように、インクジェットヘッドとして低誘電体材料(アクリル樹脂、セラミックス等)で形成されたライン型の記録ヘッド211、該記録ヘッド211のインク吐出口に対向するように配置された金属または高誘電体製の対向電極210、非導電性のインク媒体に帯電顔料粒子を分散させたインクを蓄えておくためのインクタンク212、インクタンク212と記録ヘッド211との間でインクを循環させるインク循環系(ポンプ214a,214b、パイプ215a,215b)、記録画像の1画素を形成するインク液滴を引くためのパルス電圧を各吐出電極211aにそれぞれ印加するパルス電圧発生装置213、画像データに応じてパルス電圧発生装置213を制御する駆動回路(図示せず)、記録ヘッド211と対向電極210との間に設けられた間隙に記録媒体Aを通過させる記録媒体搬送機構(図示せず)、装置全体を制御するコントローラ(図示せず)等が収容されている。
【0030】
上記インク循環系は、記録ヘッド211とインクタンク212との間をつなぐ2本のパイプ215a,215b、コントローラの制御によって駆動される2台のポンプ214a,214bによって構成されている。
【0031】
そして、上記インク循環系は、記録ヘッド211にインクを供給するためのインク供給系と、記録ヘッド211からインクを捕集するためのインク捕集系とに分けられている。
【0032】
インク供給系では、インクタンク212内からインクがポンプ214aで吸い上げられ、それがパイプ215aを介して記録ヘッド211のインク供給部へと圧送される。一方、インク捕集系では、記録ヘッド211のインク捕集部からインクがポンプ214bで吸引され、それがパイプ215bを介してインクタンク212へと強制的に捕集される。
【0033】
また、上記記録ヘッド211には、図24に示すように、インク供給系のパイプ215aから送り込まれたインクをライン幅に広げるインク供給部220a、インク供給部220aからのインクを山形に導くインク流路221、インク流路221とインク回収系の前記パイプ215bとをつなぐインク回収部220b、インク流路221の頂上部を前記対向電極210側に開放する適当な幅(約0.2mm)のスリット状インク吐出口222、所定のピッチ(約0.2mm)でインク吐出口222内に配列された複数の吐出電極211a、各吐出電極211aの両側および上面にそれぞれ配置された低誘電体製(例えば、セラミック製)の仕切り壁223が設けられている。
【0034】
上記各吐出電極211aは、それぞれ、銅、ニッケル等の金属で形成され、その表面には、濡れ性のよい顔料付着防止用低誘電体膜(例えば、ポリイミド膜)が形成されている。また、各吐出電極211aの先端は、三角錐形状に成形されており、それぞれが適当な長さ(70μm〜80μm)だけインク吐出口222から対向電極210側に向かって突出している。
【0035】
上記の構成において、上述した図示しない駆動回路は、コントローラの制御に応じて、画像データに含まれている階調データに応じた時間だけ制御信号をパルス電圧発生装置213に与える。これにより、パルス電圧発生装置213は、その制御信号の種類に応じたパルストップのパルスVpをバイアス電圧Vbにのせた高電圧信号をバイアス電圧Vbに重畳して出力する。
【0036】
そして、コントローラは、画像データが転送されてくると、インク循環系の2台のポンプ214a,214bを駆動する。これにより、インク供給部220aからインクが圧送されるとともにインク回収部220bが負圧となり、インク流路221を流れているインクが、各仕切り壁223の隙間を毛細管現象で這い上がり、各吐出電極211aの先端にまで濡れ広がる。このとき各吐出電極211aの先端付近のインク液面には負圧がかかっているため、各吐出電極211aの先端には、それぞれ、インクメニスカスが形成される。
【0037】
さらに、コントローラによって、記録媒体搬送機構が制御されることで、所定の方向に記録媒体Aが送られるとともに、駆動回路を制御することによって、吐出電極211aとの間に前述の高電圧信号が印加される。
【0038】
次に、上記特許文献2に開示されたインクジェット装置における液滴の飛翔までのメニスカスの挙動を、図25〜図28を参照しながら以下に説明する。
【0039】
図25に示すように、パルス電圧発生装置213からのパルス電圧が記録ヘッド211内の吐出電極211aに印加されると、吐出電極211a側から対向電極210側に向かう電場が発生する。ここでは、先端の鋭利な吐出電極211aを用いているため、その先端付近に最も強い電場が発生している。
【0040】
このような電場が発生すると、図26に示すように、インク溶媒中の個々の帯電顔料粒子201aは、それぞれ、この電場から及ぼされる力fE(図25)によってインク液面に向かって移動する。これにより、インク液面付近の顔料濃度が濃縮される。
【0041】
このように顔料濃度が濃縮されると、図27に示すように、インク液面付近に複数の帯電顔料粒子201aが、電極の反対側によせられて凝集しはじめる。そして、インク液面付近に顔料凝集体201が球状に成長しはじめると、個々の帯電顔料粒子201aには、それぞれ、この顔料凝集体201からの静電反発力fconが作用し始める。すなわち、個々の帯電顔料粒子201aには、それぞれ、顔料凝集体201からの静電反発力fconと、パルス電圧による電場Eからの力fEとの合力ftotalが作用する。
【0042】
したがって、帯電顔料粒子間の静電反発力が互いの凝集力を超えない範囲内においては、顔料凝集体201に向いた合力ftotalが作用する帯電顔料粒子201a(吐出電極211aの先端と顔料凝集体201の中心とを結ぶ直線上にある帯電顔料粒子201a)に電界から及ぼされる力fEが、顔料凝集体201からの静電反発力fconを上回れば(fE≧fcon)、帯電顔料粒子201aは顔料凝集体201に成長する。
【0043】
n個の帯電顔料粒子201aから形成された顔料凝集体201は、パルス電圧による電場Eから静電反発力FEを受ける一方で、インク溶媒から拘束力Fescを受けている。静電反発力FEと拘束力Fescとが釣り合うと、顔料凝集体201は、インク液面からやや突出した状態で安定する。
【0044】
さらに、顔料凝集体201が成長し、静電反発力FEが拘束力Fescを上回ると、図28(a)〜図28(c)に示すように、顔料凝集体201は、インク液面200aから脱出する。
【0045】
ところで、従来の静電吸引方式の原理では、メニスカスの中心に電荷を集中させてメニスカスの隆起を発生する。この隆起したテーラーコーン先端部の曲率半径は、電荷の集中量により定まり、集中した電荷量と電界強度による静電力がそのときメニスカスの表面張力より勝った時に液滴の分離が始まる。
【0046】
メニスカスの最大電荷量は、インクの物性値とメニスカスの曲率半径により定まるため、最小の液滴のサイズはインクの物性値(特に表面張力)とメニスカス部に形成される電界強度により定まる。
【0047】
一般的に、液体の表面張力は純粋な溶媒よりも溶剤を含んだ方が表面張力は低くなる傾向があり、実際のインクにおいても種々の溶剤を含んでいるため、表面張力を高くすることは難しい。このため、インクの表面張力を一定と考え、電界強度を高くすることにより液滴サイズを小さくする方法がとられていた。
【0048】
したがって、上記の特許文献1、2に開示されたインクジェット装置では、両者とも吐出原理として、吐出液滴の投影面積よりはるかに広い面積のメニスカス領域に強い電界強度のフィールドを形成することにより該メニスカスの中心に電荷を集中させ、該集中した電荷と形成している電界強度からなる静電力により吐出を行うため、2000Vに近い非常に高い電圧を印加する必要があり、駆動制御が難しいとともに、インクジェット装置を操作する上での安全性の面からも問題があった。
【0049】
【特許文献1】
特開平8−238774号公報(公開日平成8年9月17日)
【0050】
【特許文献2】
特開2000−127410号公報(公開日平成12年5月9日)
【0051】
【特許文献3】
特開昭58−31757号公報(公開日 昭和58年2月24日)
【0052】
【特許文献4】
特開平4−189548号公報(公開日 平成4年7月8日)
【0053】
【特許文献5】
特開平11−268304号公報(公開日 平成11年10月5日)
【0054】
【発明が解決しようとする課題】
高電圧を印加することなく電界強度を高めるためには、インク滴が吐出される部分(吐出開始部)の幅あるいは径を小さくする必要がある。このことにより、広範囲に必要であった電場の形成を狭くすることができ、電荷の移動に必要な電圧、すなわち流体を静電吸引させるのに必要な帯電量を該流体に付与するために必要な電圧を大幅に低減させることが可能となる。また、ノズルの流体吐出孔の直径がφ8μm以下の場合、電界強度分布が該流体吐出孔の吐出面近傍に集中すると共に、対向電極からノズルの流体突出孔までの距離の変動が電界強度分布に影響することがなくなり、従来のように、2000Vといった高電圧を必要としなくなる。そのため、流体ジェット装置を使用する際の安全性の向上を図ることができる。
【0055】
また、上記のように、電場を狭くできることにより、狭い領域に強い電場を形成することが可能となり、この結果、形成できる液滴を微小なものにすることが可能となる。これにより、液滴をインクとした場合に、印字画像を高解像度にすることが可能となる。
【0056】
さらに、上述のように、電荷の集中領域と流体のメニスカス領域とがほぼ同等のサイズになることから、メニスカス領域内での電荷の移動時間が吐出応答性に影響を与えることがなくなり、液滴の吐出速度(液滴がインクである場合の印字速度)の向上を図ることが可能となる。
【0057】
しかしながら、吐出開始部(ノズル孔)を小さくすれば、インクの流路が狭くなり、インクを保持した状態のまま放置されれば、インクの乾燥・固化あるいは溶液内に存在する粒子の凝集によりノズル孔の目詰まりが発生することとなる。また、凝集体は固着し易いために、インク流路内面に固着し、流路断面積が小さくなることによる吐出開始部に対する供給不安定が生じ、吐出が不安定になる。このような目詰まりや吐出不安定は、形成されるドットの寸法を変動させ、欠損を生じ、画像の質を損なう主要な要因となる。
【0058】
そこで、目詰まり防止あるいは解消する方法が必要である。目詰まり防止法としては溶媒蒸気を供給する方式(例えば特開昭58-31757)や洗浄する方式(例えば特開平4―189548)が挙げられるが、前者の場合、例えばマルチチャネルタイプの吐出ヘッドを使用し、特定のノズルのみ長時間吐出しなかった場合において目詰まりが生じたときに対処できず、後者の場合、使用するヘッドの吐出径が小さいため洗浄が難しいといった問題点がある。
【0059】
一方、目詰まり解消法としては、メンテナンス部において高電圧を印加することで、詰まったインクを吐出させる方式(特開平11−268304)がある。この方式について図29を参照しながら以下に説明する。図29はインクジェット記録装置の概略構成図である。
【0060】
このインクジェット記録装置は、支持軸306に支持された記録ヘッド305、記録ヘッド305に対向し記録紙302を保持する円筒形の対向電極301に加え、対向電極301に隣接する位置に配置されたパージングヘッド307と、記録ヘッド305を描画位置とパージングヘッド307に対向する位置に移動させる移動手段を備えている。同装置において、付着物が記録ヘッド305のインク吐出部に付着して、記録ヘッド305に目詰まりが発生した際、以下のように記録ヘッド305のパージングを行うことができる。
【0061】
すなわち、記録ヘッド305を対向電極301の前面から支持軸306に沿って移動させてパージングヘッド307に対向させ、この状態で、記録ヘッド305とパージングヘッド307との間に、記録ドットの形成の際よりも強い電界を発生させる。これによって、より強い静電気力でインク滴をパージングヘッド307に向けて吐出させ、記録ヘッド305のインク吐出部に付着した前記付着物を取り除く。
【0062】
しかしながら、この特許文献5に開示された手法においては、目詰まり解消後に記録ヘッド305を描画場所に移動させる必要があり、この際の移動時間が長ければ例えば描画を開始する前に再び目詰まりが発生することになる。このため、移動時間が短時間となる円筒状の記録媒体302にしか描画できず、移動時間が長時間を要する平面媒体への描画は困難である。さらに、記録ヘッド305の移動中に乾燥してしまうような、乾燥速度の速い物質からなるインクについては吐出ができない。また、吐出物質(インク)の増粘等の原因により、吐出初期に起こる吐出量変動を抑えることができないといった問題がある。
【0063】
本発明は、上記の各問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、静電気力を利用して流体を吐出させる構成において、吐出ヘッドの目詰まりを任意の位置で迅速に取り除くことができ、さらには初期吐出変動が少なく吐出信頼性の高い静電吸引型流体吐出方法およびその装置を提供することにある。
【0064】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の静電吸引型流体吐出装置は、ノズル内に供給された流体を帯電させ、前記ノズルから吐出先部材に達する第1の電界により、前記流体をノズル孔から吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出装置において、前記ノズルの近傍位置に配置され、導電部を有し、前記ノズルから吐出された吐出物を捕集するための捕集手段と、前記流体または前記流体の粘度が変化したものからなる吐出物を前記ノズルから吐出させ、かつこの吐出物を前記導電部により吸引する第2の電界を生じさせる電圧を、前記ノズルと前記捕集手段の導電部との間に印加する電圧印加手段とを備えていることを特徴としている。
【0065】
また、本発明の静電吸引型流体吐出方法は、正規吐出動作として、ノズル内に供給された流体を帯電させ、前記ノズルから吐出先部材に達する第1の電界により、前記流体をノズル孔から吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出方法において、予備吐出動作またはメンテナンス動作として、導電部を有し、前記ノズルから吐出された吐出物を捕集するための捕集手段を前記ノズルの近傍位置に配置し、前記流体または前記流体の粘度が変化したものからなる吐出物を前記ノズルから吐出させ、かつこの吐出物を前記導電部により吸引する第2の電界を生じさせる電圧を、前記ノズルと前記捕集手段の導電部との間に印加することを特徴としている。
【0066】
上記の構成によれば、ノズルから吐出先部材に達する第1の電界により、ノズル内の流体をノズルから吐出先部材に吐出させて、流体による吐出先部材への微細パターンの形成すなわち描画が行われる。
【0067】
また、ノズルにおいて、ノズル内の流体の乾燥による粘度増加あるいは固化等の粘度変化によりノズルの目詰まりが発生した場合には、電圧印加手段から第2の電界を生じさせる電圧をノズルと捕集手段の導電部との間に印加することにより、ノズルの目詰まりの原因となっていた、流体または流体の粘度が変化したものからなる吐出物をノズルから吐出させ、かつこの吐出物を捕集手段の導電部により吸引することができる。
【0068】
上記の動作は、ノズルの例えば初期動作において、ノズルからの流体の吐出量安定化のために、予備吐出動作を行う場合にも同様であり、電圧印加手段から第2の電界を生じさせる電圧をノズルと捕集手段の導電部との間に印加することにより、流体からなる吐出物をノズルから吐出させ、かつこの吐出物を捕集手段の導電部により吸引することができる。
【0069】
これにより、ノズルの目詰まりを容易に解消すること、およびノズルからの流体の予備吐出を容易に行うことができ、またノズルからの上記吐出物を捕集手段の導電部により適切に捕集することができる。
【0070】
また、捕集手段はノズルの近傍位置に配置されているので、ノズルによる描画動作中においても、目詰まり解消のためのメンテナンス動作、およびノズルからの吐出量調整等のための予備吐出動作をノズルの任意の位置において、随時にかつ迅速に行うことができる。これにより、静電吸引型流体吐出装置の信頼性を高めることができる。
【0071】
また、ノズルの目詰まりを解消するためのメンテナンス動作時において、別途設定したメンテナンス位置へノズルを移動させるといった動作が不要となり、従来の静電吸引型流体吐出装置では不可能であった、平面状に配置した記録媒体への描画や乾燥速度の速い流体を使用しての描画が可能となる。
【0072】
上記の静電吸引型流体吐出装置において、前記捕集手段は、前記ノズルの先端部に対向する側の面が開口された容器状をなしかつ前記導電部を有する捕集部を備え、前記捕集部は、前記ノズルからの吐出物を捕集する捕集位置において、前記捕集部の底面の中心点の法線方向が前記ノズルの先端部を通るように配置される構成である。
【0073】
上記の構成によれば、捕集手段の捕集部は、ノズルからの吐出物を捕集する捕集位置において、捕集部の底面の中心点の法線方向がノズルの先端部を通るように配置されるので、メンテナンス動作時および予備吐出時において、ノズルからの吐出物を確実に捕集することができる。これにより、ノズルからの吐出物により、他の構成要素が汚損する事態を防止することができる。
【0074】
上記の静電吸引型流体吐出装置において、前記捕集手段は、前記ノズルの先端部に対向する側の面が開口された容器状をなしかつ前記導電部を有する捕集部を備え、前記導電部は前記捕集部の底壁部に設けられている構成である。なお、捕集部における電極部以外の部分は低誘電材料にて形成されていることが好ましい。この場合、例えば比誘電率ksが10以下のものとすることができる。
【0075】
上記の構成によれば、導電部は容器状をなす捕集部の底壁部に設けられているので、流体または流体の粘度が変化したものからなるノズルからの吐出物を、捕集部の底壁部付近に適切に集積させることができる。これにより、上記吐出物が捕集部の外壁面に付着し、その付着物がノズルやその他、静電吸引型流体吐出装置を含む例えば描画システムの構成要素と干渉して、静電吸引型流体吐出装置による描画動作が不安定になる事態を防止することができる。
【0076】
さらに、ノズルからの吐出物を捕集部の内部に確実に捕集することができるので、上記吐出物が捕集部の外壁面に付着した後、その位置から剥離して記録媒体上等に落下する事態を確実に防止でき、記録媒体や描画システムの構成要素が上記吐出物により汚損されることがない。
【0077】
上記の静電吸引型流体吐出装置において、前記捕集部の内部における前記導電部の上には、前記流体についての吸収性を有する吸収性部材が設けられている構成である。
【0078】
上記の構成によれば、メンテナンス動作時および予備吐出動作時におけるノズルからの吐出物が捕集部や導電部に衝突することによりこれら部材が損傷する事態や汚損する事態を防止することができ、さらには上記吐出物の飛沫が捕集部の外部へ飛散する事態を抑制することができる。
【0079】
なお、上記吸収性部材の材料は、低誘電体であっても十分に機能を得ることができるものの、導電性材料を用いることがさらに好ましい。この場合には、ノズルからの電気力線が吸収性部材におけるノズルとの対向面に到達するため、これに伴って、吐出物が吸収部材の側面に付着することを低減でき、吸収部材の吸収安定性をさらに向上することができる。
【0080】
上記の静電吸引型流体吐出装置において、前記捕集手段は、前記ノズルの先端部に対向する側の面が開口された容器状をなしかつ前記導電部を有する捕集部を備え、前記導電部は前記捕集部の底壁部における一部の領域から前記開口部分に向かって突出状に設けられている構成である。なお、捕集部における電極部以外の部分は低誘電材料にて形成されていることが好ましい。この場合、例えば比誘電率ksが10以下のものとすることができる。
【0081】
上記の構成によれば、導電部は捕集部の底壁部における一部の領域から前記開口部分に向かって突出状に設けられているので、流体または流体の粘度が変化したものからなるノズルからの吐出物を、捕集部の底壁部における一部の領域から突出した部分(導電部の部分)に適切に集積させることができる。これにより、上記吐出物が捕集部の外壁面に付着し、その付着物がノズルやその他、静電吸引型流体吐出装置を含む例えば描画システムの構成要素と干渉して、静電吸引型流体吐出装置による描画動作が不安定になる事態を防止することができる。
【0082】
さらに、ノズルからの吐出物を捕集部の内部に確実に捕集することができるので、上記吐出物が捕集部の外壁面に付着した後、その位置から剥離して記録媒体上等に落下する事態を確実に防止でき、記録媒体や描画システムの構成要素が上記吐出物により汚損されることがない。
【0083】
上記の静電吸引型流体吐出装置において、前記捕集手段は、前記導電部を有する捕集部と、この捕集部を移動可能に支持する支持部と、前記捕集部を、前記ノズルからの吐出物を捕集する捕集位置、およびこの捕集位置から前記ノズルに対して離れた方向の位置である退避位置に移動移動させる移動部とを備えている構成である。
【0084】
上記の構成によれば、メンテナンス動作時および予備吐出動作時には、捕集部をノズルからの吐出物を適切に捕集可能な捕集位置に配置することができる。また、描画動作時には、捕集部をノズルから離れた退避位置に移動させることができるので、捕集部の存在が描画動作における電界に影響する事態を防止して、高精度の描画動作を行うことができる。
【0085】
また、捕集部を移動可能であることから、記録媒体の材料形状に対する自由度が増大する。つまり、静電吸引型流体吐出装置の用途の自由度が増大する。この結果、材料形状や厚みに影響されず、従来、使用が困難であった記録媒体に対して印字することが可能となる。さらに、吐出物質の材料に対する自由度が増大する。つまり、静電吸引型流体吐出装置の用途の自由度が増大する。この結果、溶媒蒸発速度やインク増粘速度に影響されず、従来、使用が困難であった速乾性の吐出物質を用いて印字することが可能となり、汎用性の高い静電吸引型流体吐出装置を実現することができる。
【0086】
上記の静電吸引型流体吐出装置において、前記捕集手段は、前記ノズルの先端部に対向する側の面が開口された容器状をなしかつ前記導電部を有する捕集部を備え、前記捕集部には、一端部が捕集部の外面に開口し、他端部が捕集部の内面に開口する溶媒通路、および捕集部内の溶媒を排出する排出口が形成され、前記溶媒通路の前記一端部には、捕集部に捕集された前記吐出物を溶解させるための溶媒を供給する溶媒供給手段が接続されている構成である。
【0087】
上記の構成によれば、捕集部内を溶媒にて洗浄し、メンテナンス動作時および予備吐出動作時において捕集したノズルからの吐出物を捕集部から排出することができる。これにより、捕集部による吐出物の捕集能力や捕集部の耐久性を高めることができる。
【0088】
上記の静電吸引型流体吐出装置において、溶媒供給手段は前記捕集部内への溶媒の供給量の管理機能を有し、前記排出口に前記溶媒供給手段からの指示に基づき、前記捕集部内の溶媒を回収する回収手段が接続されている構成である。
【0089】
上記の構成によれば、捕集部に供給された溶媒が捕集部から溢れ出す事態を防止して、溶媒による捕集部の洗浄動作、および捕集部からの溶媒の回収動作を適切に行うことができる。
【0090】
上記の静電吸引型流体吐出装置において、前記捕集手段は、前記導電部を有する捕集部と、この捕集部を移動可能に支持する支持部と、前記捕集部を、前記ノズルからの吐出物を捕集する捕集位置、およびこの捕集位置から前記ノズルに対して離れた方向の位置であって、捕集部の底面が捕集部内に供給された溶媒の液面とほぼ平行なる退避位置に移動させる移動部とを備えている構成である。
【0091】
上記の構成によれば、捕集部から溶媒が溢れ出す事態をさらに確実に防止でき、かつ捕集部の洗浄をさらに良好に行うことができる。
【0092】
上記の静電吸引型流体吐出装置において、前記電圧印加手段は、電界の強さが第1の電界よりも第2の電界が強くなるような電圧印加動作を行う構成である。
【0093】
上記の構成によれば、ノズルの目詰まりを解消するメンテナンス動作を確実の行うことができる。
【0094】
上記の静電吸引型流体吐出装置は、前記吐出先部材の背面に位置する対向電極を備え、前記電圧印加手段は、前記ノズルと対向電極との間に第1の電界を生じさせるための電圧を印加するものであり、前記ノズルと捕集手段の導電部との間に第2の電界を生じさせる場合には、前記対向電極に印加する電圧をノズルに印加する電圧と同極性とする構成である。
【0095】
上記の構成によれば、メンテナンス動作時および予備吐出動作時において、ノズルと捕集手段の導電部との間に、ノズルからの吐出物を前記導電部が吸引するための第2の電界を生じさせる場合には、対向電極にノズルと同極性の電圧が印加される。したがって、ノズルからの上記吐出物が対向電極により捕集される事態を確実の防止することができる。
【0096】
また、本発明の静電吸引型流体ジェット装置を使用することにより、従来の静電吸引型流体ジェット装置ではできなかった記録媒体近傍での予備吐出が可能となり、これによって吐出物質の増粘によって生じる吐出初期の吐出量変動を軽減することができる。したがって、描画の際の吐出安定性を向上することができる。よって、上記の構成の静電吸引型流体ジェット装置によれば、吐出安定性を満足させ、汎用性の高い装置を実現することができる。
【0097】
本発明の静電吸引型流体吐出方法は、正規吐出動作として、ノズル内に供給された流体を帯電させ、前記ノズルから吐出先部材に達する第1の電界により、前記流体をノズル孔から吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出方法において、前記正規吐出動作を行う前に、予備吐出動作として、導電部を有し、前記ノズルから吐出された吐出物を捕集するための捕集手段を前記ノズルの近傍位置に配置し、前記流体からなる吐出物を前記ノズルから吐出させ、かつこの吐出物を前記導電部により吸引する第2の電界を生じさせる電圧を、前記ノズルと前記捕集手段の導電部との間に印加することを特徴としている。
【0098】
上記の構成によれば、正規吐出動作すなわち描画動作を行う前には、ノズルから流体を吐出させ、その流体を捕集手段の導電部により捕集する予備吐出動作が行われる。このように、正規吐出動作の前に例えば所定時間、予備吐出動作を行うことにより、流体の粘度上昇等に起因した、ノズルからの吐出初期に起こる吐出量変動を抑え、吐出安定性を向上させることができる。なお、予備動作を行う時間は、静電吸引型流体吐出装置の特性等に応じて適宜変更してもよい。
【0099】
上記の静電吸引型流体吐出方法は、前記予備吐出動作を行う前に、メンテナンス動作として、導電部を有し、前記ノズルから吐出された吐出物を捕集するための捕集手段を前記ノズルの近傍位置に配置し、前記流体の粘度が変化したものからなる吐出物を前記ノズルから吐出させ、かつこの吐出物を前記導電部により吸引する第2の電界を生じさせる電圧を、前記ノズルと前記捕集手段の導電部との間に印加する構成である。
【0100】
上記の構成によれば、予備吐出動作の前に、流体の粘度が変化したものからなる吐出物をノズルから吐出させ、その吐出物を捕集手段の導電部により捕集するメンテナンス動作が行われる。これにより、正規吐出動作の前にはノズルからの吐出が不安定となる要因を適切に排除することができ、良好な正規吐出動作をさらに確実に行うことができる。
【0101】
【発明の実施の形態】
〔前提技術〕
先ず、本発明の前提技術について、図面を参照して以下に説明する。
本発明の前提技術に係る静電吸引型流体吐出装置は、そのノズル径を0.01μm〜25μmとしており、かつ、1000V以下の駆動電圧にて吐出流体の吐出制御を可能としている。
【0102】
ここで、従来のインク吐出モデルにおいては、ノズル径の減少は駆動電圧の上昇に繋がるため、50〜70μm以下のノズル径では、吐出インクに背圧を与えるなどの他の工夫を行わない限り、1000V以下の駆動電圧でのインク吐出は不可能と考えられていた。しかしながら、本願発明者らは鋭意検討の結果、あるノズル径以下では、従来のインク吐出モデルとは異なる吐出モデルでの吐出現象が起こることを突き止めた。本前提技術は、このインク吐出モデルにおける新たな知見に基づいている。
【0103】
先ずは、本願の前提技術において究明されたインク吐出モデルについて説明する。
【0104】
直径d(以下の説明においては、特に断らない限りノズル孔の内径を指す)のノズルに導電性インクを注入し、無限平板導体からhの高さに垂直に位置させたと仮定する。この様子を図15に示す。このとき、ノズル先端(ノズル孔:流体吐出孔)に誘起される電荷Qは、ノズル先端の吐出流体によって形成される半球部に集中すると仮定し、以下の式で近似的に表される。
【0105】
【数1】
Figure 0004044012
【0106】
ここで、Q:ノズル先端に誘起される電荷(C)、ε0:真空の誘電率(F/m)、d:ノズル径(直径)(m)、V0:ノズルに印加する総電圧である。また、αは、ノズル形状などに依存する比例定数であり、1〜1.5程度の値を取るが、特にd<<h(h:ノズル(ノズル孔)−基板間距離(m))の時はほぼ1となる。
【0107】
また、基板として導電基板を用いた場合、ノズルと対向して基板内の対称位置に、上記電荷Qと反対の極性を持つ鏡像電荷Q’が誘導されると考えられる。基板が絶縁体の場合は、誘電率によって定まる対称位置に同様に電荷Qと逆極性の映像電荷Q’が誘導される。
【0108】
ノズル先端部における集中電界強度Elocは、先端部の曲率半径をRと仮定すると、
【0109】
【数2】
Figure 0004044012
【0110】
で与えられる。ここで、kは、ノズル形状などに依存する比例定数であり、1.5〜8.5程度の値を取るが、多くの場合5程度と考えられる(P.J. Birdseye and D.A. Smith, Surface Science, 23(1970), p.198-210)。また、ここでは、インク吐出モデルを簡単にするため、R=d/2と仮定する。これは、ノズル先端部において表面張力によって導電性インクがノズル径dと同じ曲率径を持つ半球形状に盛り上がっている状態に相当する。
【0111】
次に、ノズル先端の吐出流体に働く圧力のバランスを考える。まず、静電的な圧力Peは、ノズル先端部の液面積、すなわちノズル先端孔の開口面積をSとすると、
【0112】
【数3】
Figure 0004044012
【0113】
となる。(1)〜(3)式より、圧力Peは、α=1とおいて、
【0114】
【数4】
Figure 0004044012
【0115】
と表される。
【0116】
一方、ノズル先端部における吐出流体の表面張力による圧力Psとすると、
【0117】
【数5】
Figure 0004044012
【0118】
となる。ここで、γ:表面張力である。静電的な力により吐出が起こる条件は、静電的な力が表面張力を上回ることなので、静電的な圧力Peと表面張力による圧力Psとの関係は、
【0119】
【数6】
Figure 0004044012
【0120】
となる。
【0121】
図16に、ある直径dのノズルを与えた時の、表面張力による圧力Psと静電的な圧力Peとの関係を示す。吐出流体の表面張力としては、吐出流体が水(γ=72mN/m)の場合を仮定している。ノズルに印加する電圧を700Vとした場合、ノズル直径dが25μmにおいて静電的な圧力Peが表面張力による圧力Psを上回ることが示唆される。このことより、V0とdとの関係を求めると、
【0122】
【数7】
Figure 0004044012
【0123】
が吐出の最低電圧を与える。
【0124】
また、その時の吐出圧力ΔPは、
【0125】
【数8】
Figure 0004044012
【0126】
より、
【0127】
【数9】
Figure 0004044012
【0128】
となる。
【0129】
ある直径dのノズルに対し、局所的な電界強度によって吐出条件を満たす場合の吐出圧力ΔPの依存性を図17に、吐出臨界電圧(すなわち吐出の生じる最低電圧)Vcの依存性を図18に示す。
【0130】
図17から、局所的な電界強度によって吐出条件を満たす場合(V0=700V,γ=72mN/mと仮定した場合)のノズル径の上限が25μmであることが分かる。
【0131】
図18の計算では、吐出流体として水(γ=72mN/m)および有機溶剤(γ=20mN/m)を想定し、k=5の条件を仮定した。この図より、微細ノズルによる電界の集中効果を考慮すると、吐出臨界電圧Vcはノズル径の減少に伴い低下することが明らかであり、吐出流体が水の場合においてノズル径が25μmの場合、吐出臨界電圧Vcは700V程度であることが分かる。
【0132】
従来の吐出モデルにおける電界の考え方、すなわちノズルに印加する電圧V0とノズル−対向電極間距離hとによって定義される電界のみを考慮した場合では、ノズル径が微小になるに従い、吐出に必要な駆動電圧は増加する。
【0133】
これに対し、本前提技術において提案する新たな吐出モデルのように、局所電界強度に注目すれば、微細ノズル化により吐出における駆動電圧の低下が可能となる。このような駆動電圧の低下は、装置の小型化およびノズルの高密度化において極めて有利となる。もちろん、駆動電圧を低下させることで、コストメリットの高い低電圧駆動ドライバの使用をも可能にする。
【0134】
さらに、上記吐出モデルでは、吐出に必要な電界強度は、局所的な集中電界強度に依存することになるため、対向電極の存在が必須とならない。すなわち、従来の吐出モデルでは、ノズル−基板間に電界を印加するため、絶縁体の基板に対してはノズルと反対側に対向電極を配置するか、あるいは基板を導電性とする必要があった。そして、対向電極を配置する場合、すなわち基板が絶縁体の場合では、使用できる基板の厚さに限界があった。
【0135】
これに対し、本前提技術の吐出モデルでは、対向電極を要さずに絶縁性基板などに対しても印字を行うことが可能となり、装置構成の自由度が増す。また、厚い絶縁体に対しても印字を行うことが可能となる。なお、ノズルから吐出される液体は帯電しているので、この液体と基板との間には鏡像力が働く。この鏡像力の大きさと基板からのノズルの距離hとの相関を図19に示す。
【0136】
次に、上記吐出流量の精密制御について考えて見る。円筒状の流路における流量Qは、粘性流の場合、以下のハーゲン・ポアズイユの式によって表される。いま、円筒形のノズルを仮定し、このノズルを流れる流体の流量Qは、次式で表される。
【0137】
【数10】
Figure 0004044012
【0138】
ここで、η:流体の粘性係数(Pa・s)、L:流路すなわちノズルの長さ(m)、d:流路すなわちノズルの径(m)、△P:圧力差(Pa)である。上式より、流量Qは、流路の半径の4乗に比例するため、流量を制限するためには、微細なノズルの採用が効果的である。この(10)式に、(9)式で求めた吐出圧力△Pを代入し、次式を得る。
【0139】
【数11】
Figure 0004044012
【0140】
この式は、直径d、長さLのノズルに電圧Vを引加した際に、ノズルから流出する流体の流出量を表している。この様子を、図20に示す。計算にはL=10mm、η=1(mPa・s)、γ=72(mN/m)の値を用いた。いま、ノズル径を先行技術の最小値50μmと仮定する。電圧Vを徐々に印加していくと、電圧V=1000Vで吐出が開始する。この電圧は、図18でも述べた吐出開始電圧に相当する。そのときのノズルからの流量がY軸に示されている。吐出開始電圧Vc直上で流量は急速に立ち上がっている。このモデル計算上では、電圧をVcより少し上で精密に制御することで微小流量が得られそうに思えるが、片対数で示される図からも予想されるように実際上それは不可能で、特に10-103/s以下、微小量の実現は困難である。また、ある径のノズルを採用した場合には、(7)式で与えられたように、最小駆動電圧が決まってしまう。このため、先行技術のように、直径50μm以上のノズルを用いる限り、10-103/s以下の微小吐出量や、1000V以下の駆動電圧にすることは困難である。
【0141】
図から分かるように、直径25μmのノズルの場合700V以下の駆動電圧で充分であり、直径10μmのノズルの場合500V以下でも制御可能である。また、直径1μmのノズルの場合300V以下でも良いことが分かる。
【0142】
以上の考察は、連続流を考えた場合であるが、ドットを形成するためには、スイッチングの必要性がある。次にそれに関して述べる。
【0143】
静電吸引による吐出は、ノズル端部における流体の帯電が基本である。帯電の速度は誘電緩和によって決まる時定数程度と考えられる。
【0144】
【数12】
Figure 0004044012
【0145】
ここで、ε:流体の比誘電率、σ:流体の導電率(S・m-1)である。流体の比誘電率を10、導電率を10-6S/mを仮定すると、τ=1.854×10-5secとなる。あるいは、臨界周波数をfcとすると、
【0146】
【数13】
Figure 0004044012
【0147】
となる。このfcよりも早い周波数の電界の変化に対しては、応答できず吐出は不可能になると考えられる。上記の例について見積もると、周波数としては10kHz程度となる。
【0148】
次に、ノズル内における表面張力の低下について考える。電極の上に絶縁体を配置し、その上に滴下した液体と電極の間に電圧を印加すると液体と絶縁体の接触面積が増す、すなわちぬれ性がよくなることが見いだされ、エレクトロウェッティング(Electrowetting)現象と呼ばれている。この効果は、円筒形のキャピラリー形状においても成り立ち、エレクトロキャピラリー(Electrocpapillary)と呼ばれることもある。エレクトロウェッティング効果による圧力と、印加電圧、キャピラリーの形状、溶液の物性値との間に以下の関係がある。
【0149】
【数14】
Figure 0004044012
【0150】
ここで、ε0:真空の誘電率、εr:絶縁体の誘電率、t:絶縁体の厚さ、d:キャピラリーの内径である。流体として、水を考えてこの値を計算してみると、上述の特許文献1の実施例の場合を計算してみると、高々30000Pa(0.3気圧)にすぎないが、本前提技術の場合、ノズルの外側に電極を設けることにより30気圧相当の効果が得られることがわかった。これにより、微細ノズルを用いた場合でもノズル先端部への流体の供給は、この効果により速やかに行われる。この効果は、絶縁体の誘電率が高いほど、またその厚さが薄いほど顕著になる。エレクトロキャピラリー効果を得るためには、厳密には絶縁体を介して電極を設置する必要があるが、十分な絶縁体に十分な電場がかかる場合、同様の効果が得られる。
【0151】
以上の議論において、注意すべき点は、これらの近似理論は従来のように電界強度として、ノズルに印加する電圧V0と、ノズルと対向電極間の距離hとで決まる電界ではなく、ノズル先端における局所的な集中電界強度に基づいている。また、本前提技術において重要なのは、局所的な強電界と、流体を供給する流路が非常に小さなコンダクタンスを持つことである。そして、流体自身が微小面積において十分に帯電することである。帯電した微小流体は、基板などの誘電体、または導体を近づけると、鏡像力が働き基板に対し直角に飛翔する。このために、実施例ではノズルは作成の容易さからガラスキャピラリーを使っているが、これに限定されるものではない。
【0152】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施の形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態では、流体としてインクを用いた静電吸引型流体吐出装置としての静電吸引型のインクジェット装置について説明する。
【0153】
図1は、本発明の実施の一形態に係るインクジェット装置の概略構成図である。このインクジェット装置は、図1に示すように、インク室1に貯蔵した流体としてのインク2を吐出するためのノズル4を備えている。このノズル4は、インク室1に対してパッキン5を介して連結されている。これにより、インク室1内のインク2が、ノズル4とインク室1との連結部分から外部に漏れないように封止されている。
【0154】
また、上記ノズル4は、インク室1との連結部とは反対側、すなわちインクの吐出側となる先端部4aに向かって内径が小さくなるように絞り込まれた形状となっている。上記ノズル4の先端部4aのインク吐出孔4bの内径(直径)は、例えば、ノズル4から曳き糸状に吐出されたインク2の曳き糸径を考慮して設定される。
【0155】
なお、ノズル4から吐出されたインク2と、インク室1に貯蔵されているインク2とを区別するために、以降、ノズル4から吐出されたインク2を吐出インク3と称する。
【0156】
さらに、上記ノズル4の内部には、インク2に対して静電界を印加するための静電界印加用電極9が設けられている。この静電界印加用電極9は、プロセス制御部10に接続され、このプロセス制御部10によって、図示しない駆動回路からの印加電圧による電界強度が制御されるようになっている。プロセス制御部10がこの電界強度を制御することで、ノズル4からの吐出インク3の吐出量が調整される。すなわち、プロセス制御部10は、静電界印加用電極9を介してインク2に印加する電圧を制御する印加電圧制御手段としての機能を有している。
【0157】
上記ノズル4のインク吐出孔4bの対向面側には、所定の距離離れた位置に対向電極7が配設されている。この対向電極7は、ノズル4と対向電極7との間に搬送される記録媒体8の表面を、ノズル4のインク吐出孔4bからの吐出インク3の帯電電位の逆極性の電位に帯電させるものである。これにより、ノズル4のインク吐出孔4bからの吐出インク3を、記録媒体8の表面に安定して着弾させている。対向電極7にはプロセス制御部11から上記電位が供給されている。
【0158】
このように、吐出インク3は帯電している必要があるので、ノズル4の少なくとも先端部4aのインク吐出面は絶縁部材で形成されていることが望ましく、かつインク吐出孔4bの内径(以下、ノズル径と称する)を微細に形成する必要があるため、本実施の形態では、ノズル4としてガラスのキャピラリーチューブを使用している。
【0159】
したがって、上記ノズル4は、流体であるインク2の静電吸引の過程において、ノズル4のインク吐出孔4bに形成されるテーラーコーン形状のインク2のメニスカス部12に相当する形状に形成されると共に、該ノズル4のノズル径が、上記メニスカス部12のインク吐出直前の先端部の直径と略同一に設定されている。
【0160】
また、上記インク室1には、上記ノズル4の他に、インク2を図示しないインクタンクから供給するためのインク供給路6が接続されている。ここでは、インク室1内およびノズル4内にインク2が満たされた状態で保持されているので、インク2には負圧がかかっている。
【0161】
ノズル4は、超微細液体を吐出可能とするために、低コンダクタンスの流路がノズル4の近傍に設けられているか、もしくはノズル4自身が低コンダクタンスのものとなっている。このために、ノズル4は、上記のようにガラス製キャピラリーが好適であるが、導電性物質に絶縁材でコーティングしたものでも可能である。
【0162】
ノズル4をガラス製とする理由は、容易に数μm程度のノズル孔を形成できること、ノズル孔の閉塞時にはノズル端を破砕することにより新しいノズル端を再生できること、ガラスノズルの場合、テーパー角がついているために、不要な溶液が表面張力によって上方(ノズル孔が下端に位置するようにノズル4を配置した場合におけるノズル孔側とは反対側)へと移動し、ノズル端に滞留せず、ノズル詰まりの原因にならないこと、およびノズル4が適度な柔軟性を持つため、可動ノズルの形成が容易であること等による。
【0163】
具体的には、芯入りガラス管(商品名:株式会社ナリシゲ製GD−1)を用い、キャピラリープラーにより作成することができる。芯入りガラス管を用いた場合には次のような利点がある。
【0164】
(1)芯側ガラスがインク2に対し濡れやすいために、インク2の充填が容易になる。(2)芯側ガラスが親水性で、外側ガラスが疎水的であるためにノズル端部において、インク2の存在領域が芯側のガラスの内径程度に限られ、電界の集中効果がより顕著となる。(3)微細ノズル化が可能となる。(4)十分な機械的強度が得られる。
【0165】
ノズル径の下限値は、制作上の都合から0.01μmが好ましく、また、ノズル径の上限値は、図16に示した静電的な力が表面張力を上回る時のノズル径の上限が25μmであること、および図17に示した局所的な電界強度によって吐出条件を満たす場合のノズル径の上限が25μmであることから25μmが好ましく、15μmがより好ましい。特に、局所的な電界集中効果をより効果的に利用するには、ノズル径は0.01〜8μmの範囲が望ましい。
【0166】
また、ノズル4は、キャピラリーチューブに限らず、微細加工により形成される2次元パターンノズルでもかまわない。ノズル4を成形性の良いガラスとした場合、ノズル4を電極として利用することはできないから、ノズル4内には、金属線(例えばタングステン線)を静電界印加用電極9として挿入する。なお、ノズル4内にメッキにて静電界印加用電極9を形成しても良い。また、ノズル4自体を導電性物質で形成した場合には、その上に絶縁材をコーティングする。
【0167】
ここで、本実施の形態で使用するノズル4のノズル径は、φ5μmとしている。このように、ノズル4のノズル径が微小である場合、従来の様にメニスカス先端部の曲率半径が表面電荷の集中により除々に小さく変化していくことなくほぼ一定と見なすことができる。
【0168】
したがって、インクの物性値が一定であれば、吐出インク3の分離時の表面張力は、電圧印加による吐出状態ではほぼ一定であり、また集中可能な表面電荷の量もインク2の表面張力を超える値、すなわちレイリー分裂値以下であることから最大量は一義的に定義される。
【0169】
なお、ノズル径が微小であるため電界強度は、メニスカス部12のごく近傍のみ非常に強い値となり、このように極小領域での高い電場での放電破壊強度は非常に高い値となるため、問題とならない。
【0170】
本実施の形態にかかるインクジェット装置において使用されるインク2としては、純水を含め染料系インクおよび微粒子を含有したインクを使用することができる。ここで、微粒子を含有したインクとしては、ノズル径が従来と比較して非常に小さいため含有する微粒子の粒径も小さくする必要があり、一般的にノズル径の1/20から1/100程度であれば目詰まりが発生しにくい。
【0171】
本実施の形態のインクジェット装置は、上記ノズル4の近傍にインク捕集装置13を備えている。このインク捕集装置13は、ノズル4のインク吐出孔4bがインク2の乾燥による固化あるいは粘度上昇により詰まった場合に、その固化物等のインク変性物を捕集するためのもの、あるいは記録媒体8への描画開始前に予備吐出させたインク2を捕集するためのものである。
【0172】
すなわち、ノズル4は微細な描画パターンを形成可能とするため、従来のものと比較してノズル径がφ5μmと非常に小さくなっている。このため、インク吐出孔4bの目詰まりを生じ易くなっている。そこで、本インクジェット装置では、ノズル4に描画時よりも強い静電力を作用させて、インク吐出孔4bに詰まったインク2の塊を吐出させ、これをインク捕集装置13にて捕集するようにしている。
【0173】
インク捕集装置13は、インク捕集部14、このインク捕集部14をノズル4の近傍位置に支持する支持部15およびプロセス制御部16等を備えている。
【0174】
インク捕集部14にはプロセス制御部16が接続され、このプロセス制御部16によって図示しない駆動回路からの印加電圧による電界強度が制御されるようになっている。プロセス制御部16がこの電界強度を制御することで、ノズル4からの吐出インク3、乾燥により固化あるいは粘度が増したインク塊であるインク変性物をインク捕集部14が電気的に吸引して捕集可能となっている。すなわち、プロセス制御部16は、上記インク捕集部14に印加する電圧を制御する印加電圧制御手段としての機能を有している。
【0175】
支持部15は、例えば複数の支持部材17が可動部18を介して連結された構造である。したがって、支持部15により支持されたインク捕集部14は、例えば可動部18を中心とした支持部材17の回転動作により、図1に示す、ノズル4からの吐出インク3を捕集可能な捕集位置と、この捕集位置から退避した退避位置との間を移動可能となっている。このインク捕集部14の移動は、インク捕集部14を移動させる移動装置19により行われる。すなわち、移動装置19は、インク捕集部14を移動させ、かつノズル4に対してのインク捕集部14の相対位置を制御する。
【0176】
なお、支持部15は、ノズル4とインク捕集部14とを支持し、対向電極7に対して移動可能な構成としてもよい。この場合、支持部15が図示しない支持部移動手段に駆動されて移動することにより、対向電極7に固定された記録媒体8に対して、ノズル4から吐出されたインク2にて描画を行うことができる。
【0177】
本実施の形態において、インク捕集部14は、例えばCu,AlあるいはSUSなどの導電性の金属材料からなり、ノズル4側の面が開放された容器状に形成されている。具体的には、例えば、外径500μm、内径400μm、厚さ150μmの円筒容器形状である。
【0178】
上記の捕集位置(図1に示す位置)において、上記円筒容器状のインク捕集部14は、図2に示すように、円筒形状の中心を通る法線Hが、ノズル4のインク吐出孔4bを通過するように配置されている。具体的には、ノズル4のインク吐出口4bとインク捕集部14との距離L1を300μm、インク吐出口4bと記録媒体8との距離L2を500μm、インク捕集部14の中心を通る法線Hとインク吐出孔4bの中心軸Jとのなす角を45°としている。
【0179】
また、図2において、インク捕集部14は、ノズル4のインク吐出孔4bと記録媒体8との距離をL2としたとき、インク捕集部14の形状においてインク吐出孔4bからもっとも離れた部位とインク吐出孔4bとの距離Lが、L<L2の関係を満足する位置に配置することが好ましい。
【0180】
このように設定することにより、インク捕集部14によるインク吸引効率が高く、ノズル4のインク吐出孔4bより除去されたインク変性物を記録媒体8方向に飛翔させることなく、全てインク捕集部14にて捕集することができる。
【0181】
なお、図2の例では、インク捕集部14の中心を通る法線Hとインク吐出孔4bの中心軸Jとのなす角を45°としているが、上記L<L2の関係を満たす範囲にインク捕集部14の前記捕集位置を設定すれば、インク捕集部14がノズル4、記録媒体8あるいは支持部15などのヘッドユニット構成部材と機械的に干渉することを防止可能である。また、インク捕集部14の前記捕集位置は、記録媒体8への描画の際に、その動作を妨げない位置であることは勿論である。
【0182】
次に、本インクジェット装置におけるノズル4のメンテナンス動作、描画動作および予備吐出動作について説明する。
【0183】
本インクジェット装置では、ノズル4において、インク2の乾燥あるいは増粘によってノズル4の先端部(例えばインク吐出孔4b)あるいはノズル4内にインク変性物が生じた場合、ノズル4からの良好な吐出動作を維持するため、これを除去する。図3には、このメンテナンス動作時におけるインクジェット装置の概略構成図を示す。この場合のノズル4とインク捕集部14との位置関係は、図1により前述したとおりであり、インク捕集部14は捕集位置に配される。
【0184】
メンテナンス動作においては、描画動作の場合と同様、電界による吸引力を利用する。すなわち、描画動作の場合には、ノズル4と対向電極7との間にインク2を対向電極7方向に吸引する電界を生じさせていたのに対し、メンテナンス動作では、ノズル4とインク捕集部14との間に、前記インク変性物20(図3参照)をインク捕集部14方向に吸引する電界を生じさせる。また、この電界の強さは、メンテナンス動作がノズル4から上記のインク変性物20を離脱させてインク捕集部14に捕集するものであるため、描画動作の場合よりも強力なものが要求される。
【0185】
このメンテナンス動作時における各部の電位関係(各部への印加電圧)の例を図4に示す。なお、同図には、描画動作時および予備吐出動作時における各部の電位関係も示している。
【0186】
図4において一例を説明すると、ノズル4の静電界印加用電極9には静電界印加用電圧としてプロセス制御部10から1000Vが印加され、インク捕集部14にはプロセス制御部16から−500Vが印加される。これにより、ノズル4とインク捕集部14との間に、ノズル4からインク変性物20を離脱させ、かつこのインク変性物20をインク捕集部14が吸引して捕集するための電界が生じる。すなわち、ノズル4の先端部から生じる電気力線のほとんどがインク捕集部14に到達し、ノズル4内に凝集した目詰まりの原因であるインク変性物20が上記両電圧の電位差によってノズル4から吐出され、電気力線に沿って加速されながら、インク捕集部14に到達する。
【0187】
インク捕集部14に到達したインク変性物20は、直接にあるいはインク捕集部14の内壁面を伝いながら、インク捕集部14の底面に達し、そこに蓄積される。この場合、インク変性物20は、未固化状態のものであれば、そこで固化される。
【0188】
また、このメンテナンス動作においては、インク捕集部14がインク変性物20を容易に捕集できるようにするため、対向電極7への印加電圧をノズル4の静電界印加用電極9と同極性の電圧(例えば500V)とすること、あるいは0Vとすること、さらには0〜500Vの範囲のいずれかとすることが好ましい。
【0189】
対向電極7に静電界印加用電極9と同極性の電圧を印加した場合には、ノズル4の先端から出る電気力線が記録媒体8と交わることがない。これにより、インク変性物20は、対向電極7方向に吸引されることがないので記録媒体8に付着せず、確実にインク捕集部14に捕集される。
【0190】
メンテナンス動作時における静電界印加用電極9、対向電極7およびインク捕集部14への印加電圧の組み合わせにおける他の例は、図4に示した通りである。
【0191】
次に、本インクジェット装置における予備吐出動作について説明する。
本インクジェット装置では、描画開始前、メンテナンス動作の終了後の描画開始前、あるいはノズル4からのインク2の吐出量調整後の描画開始前において、ノズル4からのインク2の予備吐出動作を行う。この予備吐出動作は、描画動作時のインク2の吐出初期において、インク2の吐出が不安定となる状態を防止するためのものである。
【0192】
この予備吐出動作においては、インク捕集部14がノズル4に対して図1および図3に示した捕集位置に配され、ノズル4とインク捕集部14との間に、ノズル4からインク2を吐出させかつ吐出インク3をインク捕集部14に吸引する電界を生じさせる。この場合の電界の方向はメンテナンス動作の場合と同様であるものの、電界の強さはメンテナンス動作の場合よりも弱いものでよい。
【0193】
図4において一例を説明すると、ノズル4の静電界印加用電極9には静電界印加用電圧としてプロセス制御部10から250Vが印加され、インク捕集部14にはプロセス制御部16から−50Vが印加される。これにより、ノズル4とインク捕集部14との間に、ノズル4からインク2を吐出させ、かつこの吐出インク3をインク捕集部14が吸引して捕集するための電界が生じる。
【0194】
上記電界により、ノズル4からインク2が図1に示した場合と同様、曳き糸状となって吐出し、インク捕集部14に吸引される。インク捕集部14に到達したインク2は、直接にあるいはインク捕集部14の内壁面を伝いながら、インク捕集部14の底面に達し、そこに蓄積され、固化する。
【0195】
また、この予備吐出動作においては、インク捕集部14がノズル4からの吐出インク3を容易に捕集できるようにするため、対向電極7への印加電圧をノズル4の静電界印加用電極9と同極性の電圧(例えば50V)とすること、あるいは0Vとすること、さらには0〜50Vの範囲のいずれかとすることが好ましい。
【0196】
対向電極7に静電界印加用電極9と同極性の電圧を印加した場合には、ノズル4の先端から出る電気力線が記録媒体8と交わることがない。これにより、吐出インク3は、対向電極7方向に吸引されることがないので記録媒体8に付着せず、確実にインク捕集部14に捕集される。
【0197】
予備吐出動作時における静電界印加用電極9、対向電極7およびインク捕集部14への印加電圧の組み合わせにおける他の例は、図4に示した通りである。
【0198】
上記のように、描画動作前に予備吐出動作を行うことにより、描画動作時の吐出初期における吐出不安定な状態を解消することができ、解像度を向上させることができる。本実施の形態において、予備吐出動作は所定時間行うものとし、その時間を例えば1秒とした。この予備吐出時間は描画システムの特性に応じて適宜変更することができる。
【0199】
次に、本インクジェット装置における記録媒体8への描画動作について説明する。描画動作においては、インク捕集部14がノズル4に対して図1に示した捕集位置に配され、ノズル4と対向電極7との間に、ノズル4からインク2を吐出させかつ吐出インク3を対向電極7方向に吸引する電界を生じさせる。
【0200】
図4において一例を説明すると、ノズル4の静電界印加用電極9には静電界印加用電圧としてプロセス制御部10から150Vが印加され、対向電極7にはプロセス制御部11に−50Vが印加される。これにより、ノズル4のインク吐出孔4bからインク2は、曳き糸状となって記録媒体8に達し、記録媒体8において吐出インク3による描画が行われる。
【0201】
また、この描画動作においては、ノズル4とインク捕集部14との間にノズル4からの吐出インク3を吸引する電界が生じないようにするため、インク捕集部14への印加電圧をノズル4の静電界印加用電極9と同極性の電圧(例えば50V)とすること、あるいは0Vとすること、さらには0〜50Vの範囲のいずれかとすることが好ましい。
【0202】
インク捕集部14に静電界印加用電極9と同極性の電圧を印加した場合には、ノズル4からの吐出インク3はインク捕集部14方向へ吸引されることなく、確実に対向電極7前面の記録媒体8に到達する。描画動作時における静電界印加用電極9、対向電極7およびインク捕集部14への印加電圧の組み合わせにおける他の例は、図4に示した通りである。
【0203】
なお、予備吐出動作から描画動作への各電極への印加電圧の切り替えは、同時に行うことが好ましい。
【0204】
また、図4は、メンテナンス動作時、描画動作時および予備吐出動作時における各電極の電位の大小関係および極性関係を示すものであって、各電圧値は一例であり、これに限定されるものではない。さらに、各電圧は例えば目安の電圧としてもよく、各動作が良好に行われるように適宜調整するようにしてもよい。
【0205】
次に、メンテナンス動作、予備吐出動作および描画動作を含むインクジェット装置の一連の動作を図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0206】
描画動作を行う場合には、ノズル4を対向電極7上に配された記録媒体8上の描画位置に移動させる(S11)。
【0207】
次に、ノズル4からの吐出が可能であるか吐出が不可(不吐出)であるかを判定し(S12)、吐出が不可(不吐出)であればメンテナンス動作を行い(S13)、吐出が可能であれば予備吐出動作(予備吐出B)を行う(S16)。
【0208】
なお、上記の吐出、不吐出の判定は、インク捕集部14へ実際に予備吐出を行い、レーザーを用いた光学的検知システムにより、インク捕集部14へのインク2の吐出の有無を確認して行ってもよい。この場合には、レーザーをノズル4の先端部付近に照射し、ノズル4からの吐出物からの反射光の有無を例えば光電変換器にて検出することにより、吐出、不吐出を検出する。これは通常のインクジェット装置に使用されているものである。
【0209】
S13でのメンテナンス動作は前述のようにして行う。この場合、インク捕集部14は捕集位置に配される。
【0210】
メンテナンス動作が終了すると、インクジェット装置では、例えば一定時間だけ、前述のようにして予備吐出動作(予備吐出A)を行う(S14)。この予備吐出動作においては、各部への印加電圧を図4に示した値から適宜調整してもよい。
【0211】
この予備吐出動作が終了すると、各部への印加電圧を図4に示した描画動作時のものに切り替え、描画動作を行う(S15)。その後、描画動作が終了すれば、インクジェット装置は動作を終了する。
【0212】
一方、S16での予備吐出動作(予備吐出B)は、前述のようにして行う。ただし、ここでの予備吐出動作では(予備吐出B)、予備吐出動作(予備吐出A)の場合と異なり、インク捕集部14が捕集位置に配されていない場合、インク捕集部14を捕集位置に配する動作が必要となる。他の動作は予備吐出Aの場合と同一である。S16での予備吐出が終了すると、S15へ移行し、描画動作を行う。
【0213】
なお、上記の実施の形態において、インク捕集部14の形状は、円筒容器状(円柱容器状)に限定されるものではなく、任意の形態をなす容器状であってもよい。さらには、容器状であることは必須ではなく、例えば平板状のものでも可能である。
【0214】
また、本実施の形態において、インク捕集部14は、支持部15の動作によりノズル4に対して捕集位置とその位置から退いた退避位置とに移動可能な構成としているが、ノズル4に対して一定の捕集位置に固定されている構成であってもよい。
【0215】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の他の形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、前記の実施の形態と同一構成部分については、その説明を省略する。
【0216】
本実施の形態のインクジェット装置は、前記インク捕集部14に代えて図6(a)(b)に示すインク捕集部31を備えている。図6(a)はインク捕集部31の平面図、図6(b)はインク捕集部31の縦断面図である。
【0217】
上記のインク捕集部31は、外形や大きさが例えば前記インク捕集部14とほぼ同一となっている。このインク捕集部31は、例えば円筒容器形状の容器部32と吸引電極部33とを備えている。吸引電極部33には前記プロセス制御部16が接続されている。
【0218】
容器部32は、有機樹脂、ガラスあるいは石英などの低誘電体からなる。吸引電極部33は、導電性材料からなり、容器部32の底壁部に設けられている。
【0219】
上記構成のインク捕集部31は、容器部32が低誘電体で構成されているため、メンテナンス動作の際にノズル4の先端から生じる電気力線は、容器部32ではなく導電性材料からなる吸引電極部33に到達する。したがって、メンテナンス動作時におけるノズル4から飛来するインク変性物20、あるいは予備吐出動作時におけるノズル4からの吐出インク3は、容器部32に付着せず、容器部32内における吸引電極部33の上面に付着する。
【0220】
これにより、インク変性物20や吐出インク3がインク捕集部31の外周部に付着し、その付着物がノズル4やその他、インクジェット装置を含む描画システムの構成要素と干渉して、インクジェット装置による描画動作が不安定になる事態を防止することができる。
【0221】
さらに、インク変性物20や吐出インク3をインク捕集部31における容器部32の内部に確実に捕集することができるので、インク変性物20や吐出インク3が容器部32に付着した後、容器部32から剥離して記録媒体8上等に落下する事態を確実に防止でき、記録媒体8や描画システムの構成要素がインク変性物20や吐出インク3の付着により汚損することがない。
【0222】
〔実施の形態3〕
本発明の実施のさらに他の形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、前記の実施の形態と同一構成部分については、その説明を省略する。
【0223】
本実施の形態のインクジェット装置は、前記インク捕集部14に代えて図7(a)(b)に示すインク捕集部35を備えている。図7(a)はインク捕集部35の平面図、図7(b)はインク捕集部35の縦断面図である。図8はインク捕集部35の他の構造例を示す縦断面である。
【0224】
インク捕集部35は、前記インク捕集部31と同一構成からなる容器部32および吸引電極部33を備えるとともに、容器部32の内部に絶縁材料からなる吸収体36が設けられている。なお、吸引電極部33には前記プロセス制御部16が接続されている。
【0225】
上記の吸収体36は、例えば、容器部32の内部空間と同サイズに形成され、インク捕集部35による捕集物に対する吸収性を備えている。なお、吸収体36の形状は、図8に示すように、容器形状に形成されていてもよい。
【0226】
本実施の形態において、吸収体36は、低誘電材料からなる直径400μm、厚さ100μmの円柱形状(図8の場合は円筒容器形状)の多孔質体を使用し、吸引電極部33として直径400μm、厚さ50μmの円板形状の導電性材料を使用した。
【0227】
また、吸収体36は多孔質体に限定されることなく、例えば繊維状の物質でも同様の機能を得ることができる。
【0228】
また、吸収体36にはスチールウール等の導電性材料を使用してもよい。この場合には、インク捕集部35における導電性部分(吸収体36)とノズル4の先端部との良好な対向状態が得られ、ノズル4からの電気力線がインク捕集部35におけるノズル4との対向面(吸収体36におけるノズル4との対向面)に到達することになる。これにより、ノズル4から吐出された上記捕集物が上記対向面に到達することになり、すなわち上記捕集物がインク捕集部35の側面に付着することを低減できるため、吸収体36による上記捕集物の吸収安定性をさらに向上することができる。
【0229】
上記のように、吸収体36を備えたインク捕集部35では、メンテナンス動作および予備吐出動作においてノズル4から吐出されたインク変性物20や吐出インク3等の捕集物が容器部32や吸引電極部33に衝突することによるこれら容器部32や吸引電極部33の損傷や汚損を防止し、さらには上記捕集物の飛沫がインク捕集部35の外部へ飛散する事態を抑制することができる。
【0230】
また、インク捕集部35により捕集された捕集物は、吸収体36により速やかに吸収されるので、容器部32に付着した上記捕集物が容器部32から剥離して記録媒体8上等に落下する事態の防止機能をさらに高めることができる。
【0231】
また、インク捕集部35は、吸収体36がインク捕集部35の内壁の一部を覆うような構成であってもよく、この場合にも、吸収体36による上記の各機能を得ることができる。
【0232】
〔実施の形態4〕
本発明の実施のさらに他の形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、前記の実施の形態と同一構成部分については、その説明を省略する。
【0233】
本実施の形態のインクジェット装置は、前記インク捕集部14に代えて図9(a)(b)に示すインク捕集部40を備えている。図9(a)はインク捕集部40の平面図、図9(b)はインク捕集部40の縦断面図である。
【0234】
インク捕集部40は、有機樹脂、ガラスあるいは石英などの低誘電体からなる例えば円筒容器状の容器部41、およびこの容器部41の内部の例えば中心位置において、容器部41の底面から垂直方向に立ち上がった棒状をなす導電性の吸引電極部42を備えている。上記容器部41には前記プロセス制御部16が接続されている。
【0235】
本実施の形態において、容器部41は、外径500μm、内径400μm、厚さ150μmの円筒形容器形状をなし、吸引電極部42は、直径50μm、長さ100μmの円柱棒状をなしている。
【0236】
本インクジェット装置において、インク捕集部40は容器部41が低誘電体で構成されているため、メンテナンス動作および予備吐出動作の際に、ノズル4の先端から生じる電気力線は導電性材料からなる吸引電極部42の先端部に到達する。これにより、ノズル4から吐出されたインク変性物20や吐出インク3等のインク捕集部40による捕集物は、吸引電極部42に付着する。
【0237】
したがって、このようなインク捕集部40を備えた構成においても、上記捕集物がインク捕集部40の外周部に付着し、その付着物がノズル4やその他、インクジェット装置を含む描画システムの構成要素と干渉して、インクジェット装置による描画動作が不安定になる事態を防止することができる。
【0238】
さらに、上記捕集物をインク捕集部40における容器部41の内部に確実に捕集することができるので、上記捕集物が容器部41に付着した後、容器部41から剥離して記録媒体8上等に落下する事態を確実に防止でき、記録媒体8や描画システムの構成要素がインク変性物20や吐出インク3の付着により汚損することがない。
【0239】
また、インク捕集部40にて捕集された捕集物は吸引電極部42に付着するので、上記捕集物が容器部41の内壁に衝突することによる、容器部41の内壁の損傷や汚損を防止することができる。
【0240】
本実施の形態においては、インク捕集部40の容器部41および吸引電極部42の寸法を一例として上記のように挙げたが、インク捕集部40の内部に上記捕集物を蓄積する空間があり、インク捕集部40がその他の装置構成要素と機械的に干渉しない構造であれば、各部の形状、サイズおよび配置、並びに吸引電極部42の本数によらず、上述の各機能を得ることができる。
【0241】
また、本実施の形態において、インク捕集部40の棒状をなす吸引電極部42の先端部を先鋭化することにより、吸引電極部42の先端部における電界集中を強めることができ、上記捕集物を吸引電極部42の先端部に付着させる機能をさらに高めることができる。
【0242】
さらには、吸引電極部42を交換可能とした構成が好ましい。このような構成では、上記捕集物と吸引電極部42との衝突による、吸引電極部42の損傷、変形等により吸引電極部42の吸引能力が減少した場合、吸引電極部42を交換することでその吸引能力を回復させることができる。
【0243】
〔実施の形態5〕
本発明の実施のさらに他の形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、前記の実施の形態と同一構成部分については、その説明を省略する。
【0244】
本実施の形態のインクジェット装置は、例えば前記インク捕集部14を備えており、描画動作時とメンテナンス動作時および予備吐出動作時とに応じて、インク捕集部14を移動装置19により退避位置と前記捕集位置とに移動させる構成となっている。
【0245】
図10(a)はインクジェット装置における描画動作時の状態を示す構成図であり、図10(b)はメンテナンス動作時および予備吐出動作時の状態を示す構成図である。
【0246】
すなわち、インク捕集部14は、描画動作時には使用されないので、図10(a)に示すように、ノズル4から離れた退避位置に配される。これにより、ノズル4からの吐出インク3は、インク捕集部14による静電的影響を受けることなく、またインク捕集部14と干渉する恐れがなく、適切に記録媒体8上に到達する。
【0247】
一方、インク捕集部14は、メンテナンス動作時および予備吐出動作時には使用されるので、図10(b)に示すように、ノズル4と近接した所定の捕集位置に配される。これにより、メンテナンス動作および予備吐出動作において、ノズル4から吐出されるインク変性物20や吐出インク3を適切に捕集することができる。
【0248】
〔実施の形態6〕
本発明の実施のさらに他の形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、前記の実施の形態と同一構成部分については、その説明を省略する。
【0249】
本実施の形態のインクジェット装置は、前記インク捕集部14に代えて図11(a)〜図11(d)に示すインク捕集部50を備えている。図11(a)はインク捕集部50の平面図、図11(b)はインク捕集部50の底面図、図11(c)はインク捕集部50の縦断面図、図11(d)はインク捕集部50の側面図である。
【0250】
インク捕集部50は、例えば円筒状の容器部51およびこの容器部51の底壁部を構成する吸引電極部52を有している。容器部51は前記容器部32と同様の低誘電体からなり、吸引電極部52は前記吸引電極部33と同様の導電性材料からなる。
【0251】
容器部51の側壁内部には流路53が形成されている。この流路53は、容器部51の筒形状の軸方向に延びるとともに、一端部が側壁の下面に開口し、他端部が側壁部の例えば上部位置から容器部51の内面に開口している。
【0252】
流路53の上記一端部には溶液供給装置55が接続され、この溶液供給装置55から流路53を通じてインク捕集部50内に溶液(溶媒)54を注入できるようになっている。上記溶液54は、インク捕集部50に捕集され、固化したインク変性物20を溶解することができるものである。
【0253】
また、インク捕集部50の底壁部には図11(c)に示すように、排出口56が形成されており、この排出口56には開閉部57が設けられている。この開閉部57による排出口56の開閉動作は、開閉駆動装置58により行われる。
【0254】
流路53の一端部から注入された溶液54は、流路53の他端部からインク捕集部50の内部に吐出される。この溶液54は、インク捕集部50の側壁内面を伝ってインク捕集部50の底面に達し、そこに貯留される。この溶液54により、インク捕集部50内に捕集された前記捕集物が溶解する。
【0255】
インク捕集部50内への溶液54の注入量は溶液供給装置55にて管理されており、溶液54の注入量が所定量に達すると、溶液供給装置55にて制御される開閉駆動装置58により開閉部57が開放され、溶液54が排出口56から排出される。排出された溶液54は、排出口56に接続された溶液回収装置59により回収される。これにより、インク捕集部50内が溶液54により適切に洗浄され、また、インク捕集部50内の捕集物を適宜排出することが可能となる。
【0256】
なお、上記溶液54は、インク2に含有されている溶媒成分を有することが望ましい。
【0257】
以下に上記インク捕集部50の作成方法について説明する。
まず、図12(a)(b)に示すように、アルミナからなるセラミックス材料(絶縁材料)を研削加工して、円筒状の容器内側部材61を作成する。なお、図12(a)は容器内側部材61の平面図、図12(b)は容器内側部材61の縦断面図である。
【0258】
次に、図12(c)に示すように、容器内側部材61に容器内部に流路53からの溶液を流し込むための注入孔62を形成する。この注入孔62は、例えば、容器内側部材61内に遮蔽部材63を挿入し、容器内側部材61の外面にエキシマレーザーを照射することにより行う。これにより、例えばφ10μmの注入孔62を形成することができる。なお、図12(c)は、注入孔62の形成動作を示す斜視図である。
【0259】
次に、図12(d)(e)に示すように、容器内側部材61と同じ材料にて、容器外側部材64を作成する。作成方法は容器内側部材61の場合と同様である。この容器外側部材64の内径は容器内側部材61の外形よりも大きいなっている。なお、図12(d)は容器外側部材64の平面図、図12(e)は容器外側部材64の縦断面図である。
【0260】
上記のようにして作成した容器内側部材61と容器外側部材64は、図12(f)に示すように、重ねて配置される。これら両者間の空間は流路53となる。なお、図12(f)は、容器内側部材61と容器外側部材64とを重ねた状態を示す平面図である。
【0261】
次に、図13(a)に示す上蓋部材65と図13(b)に示す下蓋部材66とを作成する。上蓋部材65は、ドーナツ形をなし、容器内部を露出できるように、中央部に開口部67を有する。すなわち、上蓋部材65は流路53の上面を塞ぐものである。下蓋部材66は、流路53への液体の流入孔68と容器からの液体の排出口56を有する。これら、流入孔68および排出口56は、レーザー加工により形成することができる。なお、図13(a)は上蓋部材65の平面図、図13(b)は下蓋部材66の平面図である。
【0262】
次に、図13(c)に示すように、図12(f)に示した容器内側部材61および容器外側部材64に対して、これら両者間に流路53を形成した状態で、上蓋部材65および下蓋部材66を貼着する。この貼着には、例えば絶縁性のエポキシ系接着剤を使用する。なお、接着剤は、上蓋部材65および下蓋部材66における接着側の面の全面に塗布されてもよく、この場合には接着剤に上蓋部材65および下蓋部材66を漬けることでの塗布も可能である。なお、図13(c)は容器内側部材61および容器外側部材64への上蓋部材65および下蓋部材66の接着動作を示す斜視図である。
【0263】
次に、図13(d)に示すように、上記の組み立て物における容器内側部材61内の下蓋部材66上に、吸引電極部52を配置する。なお、図13(d)はインク捕集部50の平面図である。
【0264】
最後、排出口56に流量制御用の開閉部57(開閉蓋)を設け、インク捕集部50の作成を終了する。なお、開閉部57は、排出口56に設けた構成に限定されず、例えば図11(d)に示した排出口56と溶液回収装置59との間の排出流路内に設けた構成(弁からなるもの)としてもよい。
【0265】
なお、上述のような方法によるインク捕集部50の作成は、現存の精密機械を使用することにより、容易に作成可能である。また、容器の部材を金属製とする場合には、容器内側部材61および容器外側部材64に対する上蓋部材65および下蓋部材66の接合を接着剤の代わりにレーザー光照射による局所融解(溶接)にて行うこともできる。また、上記のような容器構造の作成は、その他、光造形技術を使用して行うことも可能である。
【0266】
また、インク捕集部50内の洗浄機能を有する本実施の形態のインクジェット装置においては、インク捕集部50の洗浄工程を設けることが好ましい。
【0267】
洗浄工程においては、図14(a)に示すように、例えば描画動作時に捕集位置に配されているインク捕集部50を、図14(b)に示すように、インク捕集部50の内面底部とインク捕集部50内に貯留された溶液54の液面とが平行となるように、前記移動装置19によりインク捕集部50を移動、回転させる。これにより、溶液54によりインク捕集部50の内面、とくに底部を適切に洗浄することができる。
【0268】
このような洗浄工程を設けることにより、インク捕集部50からの溶液54の漏れによるノズル4を含むヘッド構成要素の汚染を防ぐとともに、インク捕集部50の洗浄効果を向上させることができる。
【0269】
以上のように、本実施の形態では、説明の簡単化のため円筒形状のインク捕集部を備えたインクジェット装置について説明を行った。しかしながら、インク捕集部は、これに限定されるものではなく、ノズル4とインク捕集部との間の電界を考慮した設計を行えば、例えば球状や多角体形状のものであっても適用可能である。
【0270】
また、本実施の形態では、説明の簡単化のために、単一のノズル4を備えたインクジェット装置について説明を行ったが、これに限定されるものではなく、隣接ノズルでの電界強度の影響を考慮した設計を行えば、複数のノズル4を備えたマルチヘッドのインクジェット装置にも適用可能である。
【0271】
また、本実施の形態では、図1に示したように、対向電極7を備えたインクジェット装置について説明したが、対向電極7とノズル4のインク吐出孔4bとの間の距離(ギャップ)は、記録媒体8とノズル4との間の電界強度にほとんど影響しないため、記録媒体8とノズル4との間の距離が近く、記録媒体8の表面電位が安定しているならば、対向電極7は不要となる。
【0272】
また、本実施の形態では、ノズル4と記録媒体8との間の電界を形成するために、プロセス制御部10とプロセス制御部11とを備えた構成としているが、上記電界は、ノズル4と記録媒体8との間の電位差によって形成することができるので、プロセス制御部11を省いた構成とすることも可能である。
【0273】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0274】
【発明の効果】
以上のように、本発明の静電吸引型流体吐出装置は、ノズル内に供給された流体を帯電させ、前記ノズルから吐出先部材に達する第1の電界により、前記流体をノズル孔から吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出装置において、前記ノズルの近傍位置に配置され、導電部を有し、前記ノズルから吐出された吐出物を捕集するための捕集手段と、前記流体または前記流体の粘度が変化したものからなる吐出物を前記ノズルから吐出させ、かつこの吐出物を前記導電部により吸引する第2の電界を生じさせる電圧を、前記ノズルと前記捕集手段の導電部との間に印加する電圧印加手段とを備えている構成である。
【0275】
また、本発明の静電吸引型流体吐出方法は、正規吐出動作として、ノズル内に供給された流体を帯電させ、前記ノズルから吐出先部材に達する第1の電界により、前記流体をノズル孔から吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出方法において、予備吐出動作またはメンテナンス動作として、導電部を有し、前記ノズルから吐出された吐出物を捕集するための捕集手段を前記ノズルの近傍位置に配置し、前記流体または前記流体の粘度が変化したものからなる吐出物を前記ノズルから吐出させ、かつこの吐出物を前記導電部により吸引する第2の電界を生じさせる電圧を、前記ノズルと前記捕集手段の導電部との間に印加する構成である。
【0276】
上記の構成によれば、ノズルにおいて、ノズル内の流体の乾燥による粘度増加あるいは固化等の粘度変化によりノズルの目詰まりが発生した場合には、電圧印加手段から第2の電界を生じさせる電圧をノズルと捕集手段の導電部との間に印加することにより、ノズルの目詰まりの原因となっていた、流体または流体の粘度が変化したものからなる吐出物をノズルから吐出させ、かつこの吐出物を捕集手段の導電部により吸引することができる。
【0277】
上記の動作は、描画の例えば初期動作において、ノズルからの流体の吐出量安定化のために、予備吐出動作を行う場合にも同様であり、電圧印加手段から第2の電界を生じさせる電圧をノズルと捕集手段の導電部との間に印加することにより、流体からなる吐出物をノズルから吐出させ、かつこの吐出物を捕集手段の導電部により吸引することができる。
【0278】
これにより、ノズルの目詰まりを容易に解消すること、およびノズルからの流体の予備吐出を容易に行うことができ、またノズルからの上記吐出物を捕集手段の導電部により適切に捕集することができる。
【0279】
また、捕集手段はノズルの近傍位置に配置されているので、ノズルによる描画動作中においても、目詰まり解消のためのメンテナンス動作、およびノズルからの吐出量調整等のための予備吐出動作をノズルの任意の位置において、随時にかつ迅速に行うことができる。これにより、静電吸引型流体吐出装置の信頼性を高めることができる。
【0280】
また、ノズルの目詰まりを解消するためのメンテナンス動作時において、別途設定したメンテナンス位置へノズルを移動させるといった動作が不要となり、従来の静電吸引型流体吐出装置では不可能であった、平面状に配置した記録媒体への描画や乾燥速度の速い流体を使用しての描画か可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態におけるインクジェット装置の概略構成図である。
【図2】図1に示したインク捕集部の捕集位置の説明図である。
【図3】図1に示したインクジェット装置におけるノズルのメンテナンス動作の状態を示す概略構成図である。
【図4】図1に示したインクジェット装置のメンテナンス動作時、予備吐出動作時および描画動作時における各部の電位関係の例を示す説明図である。
【図5】図1に示したインクジェット装置における描画動作に至るまでの一連の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】図6(a)は図1に示したインク捕集部の他の例を示す平面図、図6(b)は同縦断面図である。
【図7】図7(a)は図1に示したインク捕集部のさらに他の例を示す平面図、図7(b)は同縦断面図である。
【図8】図7(b)に示したインク捕集部の他の例を示す縦断面図である。
【図9】図9(a)は図1に示したインク捕集部のさらに他の例を示す平面図、図9(b)は同縦断面図である。
【図10】図10(a)は、図1に示したインクジェット装置における描画動作時であって、インク捕集部を退避位置に配した状態を示す説明図、図10(b)は、同インクジェット装置におけるメンテナンス動作時および予備吐出動作時であって、同インク捕集部を捕集位置に配した状態を示す説明図である。
【図11】図11(a)は図1に示したインク捕集部のさらに他の例を示す平面図、図11(b)は同底面図、図11(c)は同縦断面図、図11(d)は同側面図である。
【図12】図12(a)は、図11に示したインク捕集部の製造に使用する容器内側部材の平面図、図12(b)は同容器内側部材の縦断面図、図12(c)は、前記インク捕集部の製造工程における注入孔の形成動作を示す斜視図、図12(d)は上記インク捕集部の製造に使用する容器外側部材の平面図、図12(e)は同容器外側部材の縦断面図、図12(f)は前記容器内側部材と容器外側部材とを重ねた状態を示す平面図である。
【図13】図13(a)は、図11に示したインク捕集部の製造に使用する上蓋部材の平面図、図13(b)は同下蓋部材の平面図、図13(c)は前記インク捕集部の製造工程における容器内側部材および容器外側部材への上蓋部材および下蓋部材の接着動作を示す斜視図、図13(d)はインク捕集部の平面図、図13(e)は、レーザー光照射による前記容器内側部材および容器外側部材への上蓋部材および下蓋部材の溶接工程を示す斜視図である。
【図14】図14(a)は図11に示したインク捕集部を備えるインクジェット装置における描画動作の状態を示す説明図、図14(b)は同インクジェット装置におけるインク捕集部の洗浄動作時の状態を示す説明図である。
【図15】本発明の前提技術におけるノズルの電界強度の説明図である。
【図16】本発明の前提技術における、表面張力圧力と静電的圧力のノズル径依存性のモデル計算結果を示したグラフである。
【図17】本発明の前提技術における、吐出圧力のノズル径依存性のモデル計算結果を示したグラフである。
【図18】本発明の前提技術における、吐出限界電圧のノズル径依存性のモデル計算結果を示したグラフである。
【図19】本発明の前提技術における、荷電液滴と基板との間に働く鏡像力とノズル−基板間距離との相関を示したグラフである。
【図20】本発明の前提技術における、ノズルから流出する流量と印加電圧との相関関係のモデル計算結果を示したグラフである。
【図21】従来の静電吸引型インクジェット装置の概略構成断面図である。
【図22】図22(a)〜図22(c)は、図21に示すインクジェット装置におけるインクのメニスカスの挙動を説明する図である。
【図23】従来の他の静電吸引型インクジェット装置の概略構成図である。
【図24】図23に示すインクジェット装置のノズル部分の概略断面斜視図である。
【図25】図23に示すインクジェット装置のインク吐出原理を説明する図である。
【図26】図23に示すインクジェット装置のノズル部分での電圧印加時における微粒子の状態を説明する図である。
【図27】図23に示すインクジェット装置のノズル部分における微粒子体形成の原理を説明する図である。
【図28】図28(a)〜図28(c)は、図23に示すインクジェット装置におけるインクのメニスカスの挙動を説明する図である。
【図29】従来の他の静電吸引型インクジェット装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 インク室
2 インク(流体)
3 吐出インク
4 ノズル
4a 先端部
4b インク吐出孔(流体吐出孔)
7 対向電極
8 記録媒体
9 静電界印加用電極
10 プロセス制御部(静電界印加用電極印加電圧制御手段)
11 プロセス制御部(対向電極印加電圧制御手段)
12 メニスカス部
13 インク捕集装置
12,31,35,40,50 インク捕集部
15 支持部
16 プロセス制御部(吸引部印加電圧制御手段)
17 支持部材
18 可動部
19 移動装置
20 インク変性物
32,41,51 容器部
33,42,55 吸引電極部
36 吸収体
53 流路
54 溶液
55 溶液供給装置
56 排出口
57 開閉部
58 開閉駆動装置

Claims (12)

  1. ノズル内に供給された流体を帯電させ、前記ノズルから吐出先部材に達する第1の電界により、前記流体をノズル孔から吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出装置において、
    前記ノズルの近傍位置に配置され、導電部を有し、前記ノズルから吐出された吐出物を捕集するための捕集手段と、
    前記流体または前記流体の粘度が変化したものからなる吐出物を前記ノズルから吐出させ、かつこの吐出物を前記導電部により吸引する第2の電界を生じさせる電圧を、前記ノズルと前記捕集手段の導電部との間に印加する電圧印加手段とを備え
    前記捕集手段は、前記ノズルの先端部に対向する側の面が開口された容器状をなしかつ前記導電部を有する捕集部を備え、前記導電部は前記捕集部の底壁部における一部の領域から前記開口部分に向かって突出状に設けられていることを特徴とする静電吸引型流体吐出装置。
  2. ノズル内に供給された流体を帯電させ、前記ノズルから吐出先部材に達する第1の電界により、前記流体をノズル孔から吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出装置において、
    前記ノズルの近傍位置に配置され、導電部を有し、前記ノズルから吐出された吐出物を捕集するための捕集手段と、
    前記流体または前記流体の粘度が変化したものからなる吐出物を前記ノズルから吐出させ、かつこの吐出物を前記導電部により吸引する第2の電界を生じさせる電圧を、前記ノズルと前記捕集手段の導電部との間に印加する電圧印加手段とを備え、
    前記捕集手段は、前記ノズルの先端部に対向する側の面が開口された容器状をなしかつ前記導電部を有する捕集部を備え、
    前記捕集部には、一端部が捕集部の外面に開口し、他端部が捕集部の内面に開口する溶媒通路、および捕集部内の溶媒を排出する排出口が形成され、
    前記溶媒通路の前記一端部には、捕集部に捕集された前記吐出物を溶解させるための溶媒を供給する溶媒供給手段が接続されていることを特徴とする静電吸引型流体吐出装置。
  3. ノズル内に供給された流体を帯電させ、前記ノズルから吐出先部材に達する第1の電界により、前記流体をノズル孔から吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出装置において、
    前記ノズルの近傍位置に配置され、導電部を有し、前記ノズルから吐出された吐出物を捕集するための捕集手段と、
    前記流体または前記流体の粘度が変化したものからなる吐出物を前記ノズルから吐出させ、かつこの吐出物を前記導電部により吸引する第2の電界を生じさせる電圧を、前記ノズルと前記捕集手段の導電部との間に印加する電圧印加手段と
    前記吐出先部材の背面に位置する対向電極とを備え、
    前記電圧印加手段は、前記ノズルと対向電極との間に第1の電界を生じさせるための電圧を印加するものであり、前記ノズルと捕集手段の導電部との間に第2の電界を生じさせる場合には、前記対向電極に印加する電圧をノズルに印加する電圧と同極性とすることを特徴とする静電吸引型流体吐出装置。
  4. 前記捕集部は、前記ノズルからの吐出物を捕集する捕集位置において、前記捕集部の底面の中心点の法線方向が前記ノズルの先端部を通るように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の静電吸引型流体吐出装置。
  5. 前記捕集手段は、前記ノズルの先端部に対向する側の面が開口された容器状をなしかつ前記導電部を有する捕集部を備え、
    前記捕集部は、前記ノズルからの吐出物を捕集する捕集位置において、前記捕集部の底面の中心点の法線方向が前記ノズルの先端部を通るように配置されることを特徴とする請求項に記載の静電吸引型流体吐出装置。
  6. 前記捕集手段の前記導電部は前記捕集部の底壁部に設けられていることを特徴とする請求項に記載の静電吸引型流体吐出装置。
  7. 前記捕集手段は、前記ノズルの先端部に対向する側の面が開口された容器状をなしかつ前記導電部を有する捕集部を備え、前記導電部は前記捕集部の底壁部に設けられていることを特徴とする請求項に記載の静電吸引型流体吐出装置。
  8. 前記捕集部の内部における前記導電部の上には、前記流体についての吸収性を有する吸収性部材が設けられていることを特徴とする請求項6または7に記載の静電吸引型流体吐出装置。
  9. 前記捕集手段は、前記捕集部を移動可能に支持する支持部と、前記捕集部を、前記ノズルからの吐出物を捕集する捕集位置、およびこの捕集位置から前記ノズルに対して離れた方向の位置である退避位置に移動させる移動部とを備えていることを特徴とする請求項1、2または5のいずれか1項に記載の静電吸引型流体吐出装置。
  10. 溶媒供給手段は前記捕集部内への溶媒の供給量の管理機能を有し、
    前記排出口に前記溶媒供給手段からの指示に基づき、前記捕集部内の溶媒を回収する回収手段が接続されていることを特徴とする請求項に記載の静電吸引型流体吐出装置。
  11. 前記捕集手段は、前記捕集部を移動可能に支持する支持部と、前記捕集部を、前記ノズルからの吐出物を捕集する捕集位置、およびこの捕集位置から前記ノズルに対して離れた方向の位置であって、捕集部の底面が捕集部内に供給された溶媒の液面とほぼ平行なる退避位置に移動させる移動部とを備えていることを特徴とする請求項10に記載の静電吸引型流体吐出装置。
  12. 前記電圧印加手段は、電界の強さが第1の電界よりも第2の電界が強くなるような電圧印加動作を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の静電吸引型流体吐出装置。
JP2003209829A 2003-08-29 2003-08-29 静電吸引型流体吐出装置 Expired - Lifetime JP4044012B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003209829A JP4044012B2 (ja) 2003-08-29 2003-08-29 静電吸引型流体吐出装置
PCT/JP2004/012027 WO2005021273A1 (ja) 2003-08-29 2004-08-20 静電吸引型流体吐出方法およびその装置
US10/569,045 US7922295B2 (en) 2003-08-29 2004-08-20 Electrostatic attraction fluid ejecting method and apparatus
TW093125373A TWI245709B (en) 2003-08-29 2004-08-23 Electrostatic attraction fluid ejecting method and electrostatic attraction fluid ejecting device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003209829A JP4044012B2 (ja) 2003-08-29 2003-08-29 静電吸引型流体吐出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005074634A JP2005074634A (ja) 2005-03-24
JP4044012B2 true JP4044012B2 (ja) 2008-02-06

Family

ID=34263976

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003209829A Expired - Lifetime JP4044012B2 (ja) 2003-08-29 2003-08-29 静電吸引型流体吐出装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US7922295B2 (ja)
JP (1) JP4044012B2 (ja)
TW (1) TWI245709B (ja)
WO (1) WO2005021273A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012024715A (ja) * 2010-07-26 2012-02-09 Sijtechnology Inc 液体吐出装置及び液体吐出方法

Families Citing this family (46)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4816289B2 (ja) * 2005-06-29 2011-11-16 ブラザー工業株式会社 気泡捕捉装置、液体移送装置及びインクジェット記録装置
US8038266B2 (en) 2005-06-29 2011-10-18 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Air bubble trapping apparatus, liquid transporting apparatus, and ink-jet recording apparatus
JP2007050565A (ja) * 2005-08-16 2007-03-01 Fujifilm Corp インク供給装置、インクジェット記録装置及びインクカートリッジ
US8373732B2 (en) * 2007-08-22 2013-02-12 Ricoh Company, Ltd. Liquid droplet flight device and image forming apparatus with electrowetting drive electrode
JP5009089B2 (ja) * 2007-08-22 2012-08-22 株式会社リコー 液滴飛翔装置及び画像形成装置
US20100077792A1 (en) * 2008-09-28 2010-04-01 Rexorce Thermionics, Inc. Electrostatic lubricant and methods of use
KR101131161B1 (ko) * 2009-01-22 2012-03-28 포항공과대학교 산학협력단 전기장 내의 액적 운동 제어장치 및 그 방법
US8616323B1 (en) 2009-03-11 2013-12-31 Echogen Power Systems Hybrid power systems
JP2010214652A (ja) * 2009-03-13 2010-09-30 Fujifilm Corp 画像形成装置及びミスト回収方法
US9014791B2 (en) 2009-04-17 2015-04-21 Echogen Power Systems, Llc System and method for managing thermal issues in gas turbine engines
WO2010151560A1 (en) 2009-06-22 2010-12-29 Echogen Power Systems Inc. System and method for managing thermal issues in one or more industrial processes
US9316404B2 (en) 2009-08-04 2016-04-19 Echogen Power Systems, Llc Heat pump with integral solar collector
US8813497B2 (en) 2009-09-17 2014-08-26 Echogen Power Systems, Llc Automated mass management control
US8869531B2 (en) 2009-09-17 2014-10-28 Echogen Power Systems, Llc Heat engines with cascade cycles
US8613195B2 (en) 2009-09-17 2013-12-24 Echogen Power Systems, Llc Heat engine and heat to electricity systems and methods with working fluid mass management control
US8096128B2 (en) 2009-09-17 2012-01-17 Echogen Power Systems Heat engine and heat to electricity systems and methods
JP2011062659A (ja) * 2009-09-18 2011-03-31 Ulvac Japan Ltd 静電型吐出装置
JP5674104B2 (ja) * 2010-09-16 2015-02-25 株式会社リコー 電気機械変換膜の製造方法、電気機械変換素子の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
US8857186B2 (en) 2010-11-29 2014-10-14 Echogen Power Systems, L.L.C. Heat engine cycles for high ambient conditions
US8616001B2 (en) 2010-11-29 2013-12-31 Echogen Power Systems, Llc Driven starter pump and start sequence
US8783034B2 (en) 2011-11-07 2014-07-22 Echogen Power Systems, Llc Hot day cycle
KR101243113B1 (ko) 2011-01-31 2013-03-12 제주대학교 산학협력단 정전기력 잉크젯 헤드
JP5760700B2 (ja) * 2011-05-30 2015-08-12 セイコーエプソン株式会社 液体噴射装置
US20130084404A1 (en) * 2011-09-30 2013-04-04 Semes Co., Ltd. Apparatuses and methods for treating substrate
WO2013055391A1 (en) 2011-10-03 2013-04-18 Echogen Power Systems, Llc Carbon dioxide refrigeration cycle
EP2893162B1 (en) 2012-08-20 2017-11-08 Echogen Power Systems LLC Supercritical working fluid circuit with a turbo pump and a start pump in series configuration
US9118226B2 (en) 2012-10-12 2015-08-25 Echogen Power Systems, Llc Heat engine system with a supercritical working fluid and processes thereof
US9341084B2 (en) 2012-10-12 2016-05-17 Echogen Power Systems, Llc Supercritical carbon dioxide power cycle for waste heat recovery
EP2948649B8 (en) 2013-01-28 2021-02-24 Echogen Power Systems (Delaware), Inc Process for controlling a power turbine throttle valve during a supercritical carbon dioxide rankine cycle
WO2014117068A1 (en) 2013-01-28 2014-07-31 Echogen Power Systems, L.L.C. Methods for reducing wear on components of a heat engine system at startup
US10934895B2 (en) 2013-03-04 2021-03-02 Echogen Power Systems, Llc Heat engine systems with high net power supercritical carbon dioxide circuits
KR101625714B1 (ko) * 2013-08-27 2016-05-30 엔젯 주식회사 정전기력을 이용하는 분무식 패터닝 장치
GB2521126A (en) * 2013-12-05 2015-06-17 Tonejet Ltd Apparatus for controlling ink pressure
CN105291585B (zh) * 2014-07-18 2017-07-25 深圳市比欧特光电有限公司 电子笔、印刷设备和印刷方法
WO2016073252A1 (en) 2014-11-03 2016-05-12 Echogen Power Systems, L.L.C. Active thrust management of a turbopump within a supercritical working fluid circuit in a heat engine system
JP6676890B2 (ja) * 2015-06-26 2020-04-08 セイコーエプソン株式会社 液体噴射装置
JP6978842B2 (ja) * 2017-03-03 2021-12-08 住友化学株式会社 マーキング装置、欠陥検査システム及びフィルム製造方法
US11187112B2 (en) 2018-06-27 2021-11-30 Echogen Power Systems Llc Systems and methods for generating electricity via a pumped thermal energy storage system
KR20200077889A (ko) * 2018-12-21 2020-07-01 세메스 주식회사 인쇄 장치 및 인쇄 방법
US11541658B2 (en) 2019-01-31 2023-01-03 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Fluidic die with nozzle layer electrode for fluid control
CN109808310B (zh) * 2019-03-07 2020-11-06 浙江鸣春纺织股份有限公司 一种喷码机连续喷墨打印装置
CN110816055B (zh) * 2019-11-28 2020-10-16 华中科技大学 一种基于等离子体射流引导的喷墨打印装置及喷印方法
JP2021162761A (ja) * 2020-04-01 2021-10-11 ブラザー工業株式会社 画像形成装置
US11435120B2 (en) 2020-05-05 2022-09-06 Echogen Power Systems (Delaware), Inc. Split expansion heat pump cycle
IL303493A (en) 2020-12-09 2023-08-01 Supercritical Storage Company Inc A system with three reservoirs for storing thermal electrical energy
CN117283990B (zh) * 2023-10-30 2024-06-04 武汉国创科光电装备有限公司 一种用于喷墨打印的阵列化电流体喷头及喷印设备

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SE378212B (ja) * 1973-07-02 1975-08-25 Hertz Carl H
US4160982A (en) * 1978-03-24 1979-07-10 A. B. Dick Company Anti-dispersion accumulator for ink jet printing system
US4326204A (en) * 1980-08-25 1982-04-20 The Mead Corporation Density control system for jet drop applicator
JPS5831757A (ja) 1981-08-19 1983-02-24 Fujitsu Ltd インクジエツトプリンタ
US4413265A (en) * 1982-03-08 1983-11-01 The Mead Corporation Ink jet printer
US4510503A (en) * 1982-06-25 1985-04-09 The Mead Corporation Ink jet printer control circuit and method
GB8403304D0 (en) * 1984-02-08 1984-03-14 Willett Int Ltd Fluid application
US4544930A (en) * 1984-05-21 1985-10-01 The Mead Corporation Ink jet printer with secondary, cyclically varying deflection field
JPH0416357A (ja) * 1990-05-10 1992-01-21 Canon Inc ライン式インクジェット記録装置
JP2824146B2 (ja) 1990-11-26 1998-11-11 キヤノン株式会社 インクジェットヘッド及びその洗浄処理方法
US5475410A (en) * 1992-03-19 1995-12-12 Scitex Digital Printing, Inc. Seal for ink jet printhead
JPH08238774A (ja) 1995-03-03 1996-09-17 Matsushita Electric Ind Co Ltd 静電吸引方式インクジェット装置及びその駆動方法
JPH1071608A (ja) * 1996-08-29 1998-03-17 Tesac Corp 木材の表層部を改質する方法および改質された表層部を有する木材
US6509917B1 (en) * 1997-10-17 2003-01-21 Eastman Kodak Company Continuous ink jet printer with binary electrostatic deflection
JPH11268304A (ja) * 1998-03-20 1999-10-05 Toshiba Corp インクジェット記録装置
JP2000127410A (ja) 1998-10-27 2000-05-09 Hitachi Ltd プリンター装置
US6796632B2 (en) * 2001-04-06 2004-09-28 Hitachi Printing Solutions, Ltd. Refresh ink ejection device and inkjet recording device including the refresh ink ejection device

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012024715A (ja) * 2010-07-26 2012-02-09 Sijtechnology Inc 液体吐出装置及び液体吐出方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005074634A (ja) 2005-03-24
TW200520979A (en) 2005-07-01
US20070195152A1 (en) 2007-08-23
TWI245709B (en) 2005-12-21
US7922295B2 (en) 2011-04-12
WO2005021273A1 (ja) 2005-03-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4044012B2 (ja) 静電吸引型流体吐出装置
WO2004028815A1 (ja) 静電吸引型液体吐出ヘッドの製造方法、ノズルプレートの製造方法、静電吸引型液体吐出ヘッドの駆動方法、静電吸引型液体吐出装置及び液体吐出装置
JP2017001275A (ja) インクジェット記録装置
JP2008198736A (ja) 液体吐出方法及び液体吐出装置
JP4397642B2 (ja) 静電吸引型流体吐出方法およびその装置
WO2005014179A1 (ja) 静電吸引型流体吐出装置、静電吸引型流体吐出方法、およびそれを用いた描画パターン形成方法
JPH0483645A (ja) インクジェット記録装置
JP4213010B2 (ja) 静電吸引型流体吐出装置
JP3956223B2 (ja) 液体吐出装置
JP2004114370A (ja) 静電吸引型流体ジェット装置
KR100784590B1 (ko) 정전 흡인형 유체 제트 장치
JP2011092841A (ja) ノズルクリーニング方法及び液滴製造方法
JP2018103151A (ja) 液体吐出装置
JP4397643B2 (ja) 静電吸引型流体吐出装置および静電吸引型流体吐出方法
JP4397641B2 (ja) 静電吸引型流体吐出装置、およびそれを用いた描画パターン形成方法
JP2010143016A (ja) インクジェット記録装置
JP3745435B2 (ja) 画像形成装置および画像形成方法
JP2024500362A (ja) 流体抽出器を持つ電気流体力学的プリンタ
JPH10100411A (ja) インクジェット記録装置
JP2004114373A (ja) 静電吸引型流体ジェット装置
JP2009233907A (ja) 静電吸引型インクジェットヘッド
JP2004114374A (ja) 静電吸引型流体ジェット装置
JPH11348254A (ja) 印字装置
JP2004114372A (ja) 静電吸引型流体ジェット装置
JP2019077107A (ja) 流路構造体、液体吐出装置および液体吐出方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070821

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071022

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071114

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4044012

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101122

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111122

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111122

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121122

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121122

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131122

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term