JP2011062659A - 静電型吐出装置 - Google Patents

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貴裕 宮田
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Abstract

【課題】静電吐出されたインクの吐出時間及び吐出速度を測定できる撮影装置を有し、かつ測定のためにインクを所定の方向に吐出できる静電型吐出装置を提供する。
【解決手段】
インクが蓄液されたノズル容器22内のノズル電極23と、ノズル容器22と対向して配置された着弾電極27との間に試験電圧を印加して、ノズル容器22の開口24からインクを吐出させる吐出装置10において、撮影装置40は試験電圧の印加開始を撮影開始信号として、吐出されるインクを複数回撮影し、撮影結果から吐出時間等を計算可能に構成されている。また着弾電極27の上を向いた面には突起27aが設けられ、吐出されたインクは突起27aに着弾する。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電型吐出装置に関し、特に吐出確認のための撮影装置を有する吐出装置に関する。
インクジェット印刷方法は、印刷していないときも常にインクを噴出するコンティニュアス方式と、必要なときだけインクを吐出し着弾させるドロップオンデマンド方式に分類でき、ドロップオンデマンド方式においては、インクに圧力を加える方法の違いにより、サーマル型と圧電型と静電型とが知られている。
サーマル型では、ノズル内に設けられた発熱素子に通電し、膜沸騰現象により発生した気泡によってインクを押し出し、吐出する。圧電型では、ノズル内の圧電素子に電圧を印加して変形させ、変位からなる圧力波によって吐出する。静電型では、ノズル内の電極に高電圧を印加してインクを帯電させ、吐出対象物との間の電位差によりインクを引き出して、吐出する。
このうち、サーマル型と圧電型では電圧印加によって、吐出口径により定まる一定量のインク滴が吐出されるため、インク吐出確認方法としては、所定の周期で電圧を印加し、液滴を吐出させながら、電圧印加のタイミングに同期してストロボを発光させ、直接カメラで写真に撮って確認する方法がある(特許文献1参照)。
一方、静電型では電圧の印加時間に応じてインクが連続的に吐出される。静電型ではサーマル型と圧電型よりも少量のインクを塗布できるというメリットがあるが、液滴としては飛翔しないので、吐出状態を連続して何枚も写真に撮る必要があり、従来のサーマル型や圧電型と同じ吐出確認方法では、インクの吐出速度や吐出体積が確認できないという問題があった。
また、静電型ではノズルと対象物との電位差でインクが対象物に引き寄せられるため、平面的な対象物に対しては必ずしも一定の方向に吐出されるとは限らず、吐出確認に不都合があった。
特開平11−227172号公報
本発明は静電型吐出装置の上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、静電吐出されたインクの吐出時間及び吐出速度を測定でき、かつ測定のためにインクを所定の方向に吐出できる静電型吐出装置を提供することである。
上記課題を解決するために本発明は吐出装置であって、吐出液が蓄液されたノズル容器内にノズル電極が前記吐出液に浸漬して配置され、前記ノズル容器と対向して配置された着弾電極と前記ノズル電極との間に吐出電源から試験電圧が印加されると、前記ノズル容器の開口から、前記吐出液が吐出されるインクヘッドと、前記試験電圧の印加開始を撮影開始信号として前記インクヘッドから吐出された前記吐出液を複数回撮像する撮影装置と、を有する吐出装置である。
本発明は吐出装置であって、前記撮影装置の撮影結果を記憶する記憶装置を有する吐出装置である。
本発明は吐出装置であって、前記撮影装置の撮影結果から、前記試験電圧の印加開始から前記吐出液の吐出開始までの間の遅れ時間を算出する計算機を有する吐出装置である。
本発明は吐出装置であって、前記ノズル電極との間で前記吐出電源によって吐出電圧が印加される配置台電極を有し、前記インクヘッドは、前記配置台電極上に位置しながら、前記配置台電極上に位置する前記吐出対象物と相対的に移動可能に構成され、前記吐出電圧の印加によって、前記配置台電極上の前記吐出対象物表面に前記吐出液を吐出する吐出装置である。
本発明は吐出装置であって、前記着弾電極の上を向いた面には突形状の突起が設けられた吐出装置である。
本発明は吐出装置であって、前記着弾電極の前記突起の下にはインク受け皿が設けられた吐出装置である。
着弾電極とノズル容器とを対向させた状態で、着弾電極とノズル容器内のノズル電極との間に所定の電圧を印加し、インクを吐出させると、着弾電極の突起近傍には周囲の平坦領域近傍よりも急な勾配の電場が発生するため、帯電したインクは突起に着弾する。
静電吐出されたインクの飛翔状態を複数回連続して撮像できるので、吐出速度及び吐出時間を測定することが可能となる。
静電吐出されるインクの吐出方向が安定するため、吐出確認のための撮像が容易となる。
本発明である静電型吐出装置の一例の側面図 本発明である静電型吐出装置の一例の平面図 ノズル容器先端と突起先端との間の距離と吐出に必要な印加電圧との関係を示すグラフ 印加電圧と吐出遅延時間との関係を示すグラフ 吐出前のインク形状を撮像した写真 吐出直前のインク形状を撮像した写真 吐出開始時のインク形状を撮像した写真 吐出中のインク形状を撮像した写真 吐出終了直前のインク形状を撮像した写真 吐出終了後のインク形状を撮像した写真
本発明である静電型吐出装置の構造の一例を説明する。
図1は吐出装置10の模式的な側面図を示し、図2は模式的な平面図を示している。
吐出装置10は、台座61と着弾電極27と配置台電極25とインクヘッド部60とを有している。
着弾電極27と配置台電極25とは互いに離間して台座61上に配置されている。
台座61上の着弾電極27と配置台電極25との側方には、着弾電極27と配置台電極25の両方を間に挟むようにして、互いに平行な2本の直線状の主レール67a、67bが配置されている。以後、主レール67a、67bの水平な長手方向をY方向、それと垂直で水平な方向をX方向と呼ぶ。
インクヘッド部60は各主レール67a、67b上にそれぞれ設けられた不図示の支柱脚に支えられて、着弾電極27と配置台電極25の両方より高い位置に配置されている。
不図示の支柱脚の各主レール67a、67bと接する部分にはそれぞれY方向移動機構66a、66bが設けられている。Y方向移動機構66a、66bにはモーターが備えられ、不図示の制御装置から制御信号を受けると、インクヘッド部60を主レール67a、67bに沿ってY方向に往復移動可能に構成されている。
インクヘッド部60は、インクヘッド20とブリッジ69とを有している。
ブリッジ69は不図示の支柱脚の上端部に固定されて、2本の主レール67a、67bに跨るように配置されている。
ブリッジ69の下を向いた面には、直線状の副レール65が、長手方向がX方向と平行な向きで設けられている。
インクヘッド20はブリッジ69の下方に配置されている。
インクヘッド20の上を向いた面の、副レール65と向かい合う部分にはX方向移動機構68が設けられている。X方向移動機構68にはモーターが備えられ、不図示の制御装置から制御信号を受けると、インクヘッド20を副レール65に沿ってX方向に往復移動可能に構成されている。
つまり、X方向移動機構68とY方向移動機構66a、66bにより、インクヘッド20は着弾電極27と配置台電極25の上方をX、Y方向に所定の距離移動し、静止できるようにされている。
インクヘッド20は複数のノズル容器22と、複数のノズル電極23とを有している。
複数のノズル容器22は、各ノズル容器22の下端に設けられた開口24がここではX方向に平行な2本の直線上で等間隔の千鳥配列に並ぶように、配置されている。
各ノズル容器22の内部はインクヘッド20の外部に配置されたインクタンク64に接続されている。インクタンク64は各ノズル容器22内にインク(吐出液)を供給可能に構成されている。
各ノズル容器22内にはノズル電極23が配置されている。各ノズル電極23には、吐出電源30が電気的に接続されている。
ノズル容器22内にインクが蓄液された状態で、インクに浸漬したノズル電極23に吐出電源30から所定の直流電圧を印加することにより、ノズル容器22内のインクを帯電可能にされている。
吐出電源30は、ここではパルス回路32と、バイアス回路31とを有している。
バイアス回路31は2端子間に直流電圧を発生する回路であって、一方の端子はパルス回路32を介して各ノズル電極23と電気的に接続され、他方の端子は着弾電極27と配置台電極25の両方に電気的に接続されている。バイアス回路31は不図示の制御装置から制御信号を受けると、各ノズル電極23と着弾電極27及び配置台電極25との間に所定の大きさの直流電圧を印加可能に構成されている。
パルス回路32は所定の大きさで所定の周波数のパルス状電圧を発生する回路であって、不図示の制御装置から制御信号を受けると、制御信号により選択されたノズル電極23に対して、パルス状電圧を、バイアス回路31の出力電圧に重ね合わせて印加可能に構成されている。
ノズル容器22内からインクを引き出すために必要な最小の電位差を最小吐出電圧と呼ぶと、最小吐出電圧以下の直流電圧をバイアス回路31から印加した状態で、最小吐出電圧と印加した直流電圧との電位差以上の大きさのパルス状電圧をパルス回路32から発生させると、ノズル容器22内のインクが開口24から引き出され、吐出される。
本発明の吐出電源30はパルス状電圧(吐出電圧)の印加によって吐出可能であれば上記の構成に限定されず、例えばバイアス回路31を設けずに、最小吐出電圧以上のパルス状電圧を発生可能なパルス回路32を用いて構成してもよい。
配置台電極25の上を向いた面には基板保持面26が設けられている。基板保持面26には不図示の吸着機構が設けられ、真空吸着等により基板(吐出対象物)を保持可能に構成されている。
着弾電極27は突起27aとインク受け皿27bとを有している。
突起27aは突形状の導体からなり、インク受け皿27b上に配置されている。
インク受け皿27bの下方には昇降機構27cが設けられている。昇降機構27cにはモーターが備えられ、不図示の制御装置から制御信号を受けることにより、突起27aの先端を所定の高さに変更可能に構成されている。
インクヘッド20を移動させ、一のノズル容器22が着弾電極27と向かいあうようにして静止させた状態で、そのノズル容器22内のノズル電極23と着弾電極27との間に所定の電圧を印加してインクを吐出させると、インクは突起27aに着弾する。
インク受け皿27bは、突起27aに着弾したインクを内側に溜めることにより、昇降機構27c及び台座61上へのインクの付着を防止している。
吐出装置10は撮影装置40を有している。
撮影装置40は制御部42と受光部41と記憶部(記憶装置)43と発光部46とを有している。
発光部46と受光部41はどちらも台座61上の着弾電極27の側方で、着弾電極27を間に挟むようにして、それぞれ発光面と受光面を着弾電極27側に向けて配置されている。
受光部41と発光部46はそれぞれ制御部42に接続され、記憶部43は受光部41に接続されている。
受光部41はCCD等が設けられた受光面を有し、ここでは10μ秒以下の時間分解能を備え、受光面に入射した光を予め設定された時間間隔で複数回連続して撮像可能に構成されている。記憶部43は所定の容量のメモリを有している。
受光部41と発光部46は制御部42から撮影開始信号を受けると、受光部41は設定された時間間隔で複数回撮影し、発光部46はそれに同期して複数回発光して、撮影結果は記憶部43のメモリに順次記憶され、制御部42から撮影終了信号を受けると、撮影を終了するように構成されている。
制御部42は吐出電源30のパルス回路32に電気的に接続され、パルス状電圧の立ち上がり(試験電圧の印加開始)を撮影開始信号として発光部46と受光部41に伝送し、連続撮影を開始させ、またパルス状電圧の立ち下がりを撮影終了信号として発光部46と受光部41に伝送し、撮影を終了させるように構成されている。
従って、受光部41の連続撮影の時間間隔を最小値に設定した状態で、着弾電極27の上方にノズル容器22を移動し静止させて、ノズル電極23と着弾電極27との間に、最小吐出電圧以上の大きさのパルス状電圧を印加すると、発光部46は吐出口24から引き出されたインクに照射光を複数回照射し、受光部41は照射光と、インクの陰とを複数回撮像する。
本発明の撮影装置40は、パルス状電圧の立ち下がりに同期して撮影を終了させる構造に限定されず、メモリの空きが無くなるまで受光部41に連続撮影を続けさせ、メモリのフル信号を受光部41に検知させて撮影を終了させてもよい。
本発明の制御部42は、パルス状電圧の立ち上がりと同時に撮影開始信号を発光部46と受光部41に伝送してもよいし、立ち上がりから所定の時間遅れさせて撮影開始信号を伝送し、撮影の開始を所定の時間遅れさせてもよい。
記憶部43には計算機49が接続されている。計算機49はパルス状電圧の立ち上がりから吐出が開始されるまでの遅れ時間を、記憶部43に記憶された複数枚の撮影結果から計算可能にプログラムされている。
<実施例1>
上記構成の吐出装置10において、撮影装置40に時間分解能が1μ秒のカメラを使用して、以下の測定を行った。
まずインクヘッド20を移動させ、一のノズル容器22が着弾電極27の真上に位置するようにして静止させた。突起27aの先端の高さを制御し、ノズル容器22の先端と突起27aの先端との間の距離を105μmにした。また撮影装置40の撮影時間間隔は1μ秒に設定した。
次いで、ノズル電極23と着弾電極27との間に印加する電圧(以下、印加電圧と呼ぶ)を変更しながら、撮影装置40で撮影し、インクが吐出されるかどうかを調べた。
撮影結果から、印加電圧が400V以下ではインクが吐出されず、400V以上で吐出できることがわかった。つまり、ここでは最小吐出電圧が400Vであるとわかった。
図5〜10は、撮影装置40で撮像した電圧印加中のインク形状を示している。図5〜10は時系列に並べられている。即ち、図5は電圧印加開始直後のインク形状を示し、図10は電圧印加終了直前のインク形状を示している。
図5〜10より、電圧印加開始と同時にインクが吐出されるのではなく、電圧印加開始から遅れてインクが吐出されることがわかる。
以後、図7のように、ドーム形状に円錐状の角(テイラーコーン)が形成された瞬間を吐出開始時とし、電圧印加開始時から吐出開始時までの間の遅れ時間を吐出遅延時間と呼ぶことにする。
印加電圧を変更しながら、吐出遅延時間を調べると、印加電圧が600V以下では吐出遅延時間が1m秒以上であり、600V以上では1m秒以下であることがわかった。
上記のような最小吐出電圧と、吐出遅延時間が1m秒となる印加電圧とを、ノズル22の先端と突起27aの先端との間の距離を変更しながら測定して、図3のグラフを得た。
最小吐出電圧と、吐出遅延時間が1m秒となる印加電圧とはどちらも、ノズル容器22先端と突起27a先端との間の距離を広げるほど、大きな印加電圧が必要であることがわかる。
<実施例2>
実施例1と同じ装置を用い、ノズル容器22先端と突起27a先端との間の距離を105μmにした状態で、印加電圧を600V以上で変更しながら、吐出遅延時間を測定して、図4のグラフを得た。
図4より1000Vを印加しても、26μ秒の吐出遅延時間があることがわかる。このことから、吐出開始時から撮像するためには、吐出電圧を印加してから、ある一定時間は撮像開始を遅らせる必要があることがわかる。
また、例えば、5kHzの周波数でインクヘッド20を移動させながら吐出を行うには、吐出遅延時間は100μ秒以下である必要があるのだが、そのためには図4より750V以上の吐出電圧を印加する必要があることがわかる。
また、印加電圧を950Vに設定して、吐出開始からインクが突起27aに着弾するまでの時間を測定すると7μ秒であった。このことから、吐出速度は15m/秒であるとわかる。つまり、サーマル型や圧電型のインクジェットの数倍の速度であることが判明し、静電型の吐出状態を撮像するためには、ノズル容器22先端と突起27a先端との間の距離が105μmのときは、2μ秒程度の分解能を持つ撮影装置40が必要であることがわかった。
10……吐出装置
20……インクヘッド
22……ノズル容器
23……ノズル電極
24……開口
25……配置台電極
27……着弾電極
30……吐出電源
40……撮影装置
43……記憶装置
49……計算機

Claims (6)

  1. 吐出液が蓄液されたノズル容器内にノズル電極が前記吐出液に浸漬して配置され、前記ノズル容器と対向して配置された着弾電極と前記ノズル電極との間に吐出電源から試験電圧が印加されると、前記ノズル容器の開口から、前記吐出液が吐出されるインクヘッドと、
    前記試験電圧の印加開始を撮影開始信号として前記インクヘッドから吐出された前記吐出液を複数回撮像する撮影装置と、
    を有する吐出装置。
  2. 前記撮影装置の撮影結果を記憶する記憶装置を有する請求項1記載の吐出装置。
  3. 前記撮影装置の撮影結果から、前記試験電圧の印加開始から前記吐出液の吐出開始までの間の遅れ時間を算出する計算機を有する請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の吐出装置。
  4. 前記ノズル電極との間で前記吐出電源によって吐出電圧が印加される配置台電極を有し、
    前記インクヘッドは、前記配置台電極上に位置しながら、前記配置台電極上に位置する前記吐出対象物と相対的に移動可能に構成され、
    前記吐出電圧の印加によって、前記配置台電極上の前記吐出対象物表面に前記吐出液を吐出する請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の吐出装置。
  5. 前記着弾電極の上を向いた面には突形状の突起が設けられた請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の吐出装置。
  6. 前記着弾電極の前記突起の下にはインク受け皿が設けられた請求項5記載の吐出装置。
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