JP2004114374A - 静電吸引型流体ジェット装置 - Google Patents

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樋口 馨
Yasuo Nishi
西 泰男
Kazuhiro Murata
村田 和広
Hiroshi Yokoyama
横山 浩
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Abstract

【課題】高解像度化と安全性の両方を満足させることが可能で、汎用性の高い記録装置を実用化できる静電吸引型流体ジェット装置を提供する。
【解決手段】ノズル4が、従来の流体としてのインク2の静電吸引過程において、形成されるテーラーコーン形状の先端部と同等のメニスカスに相当する形状に形成すると共に、ノズル4のインク吐出孔4bの直径を、上記メニスカス14のインク吐出直前の先端部の直径とほぼ同等、且つφ8μm以下に設定する。上記インク2に含まれる微粒子の粒径は、φ30nm以下である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク等の流体を帯電させて静電吸引することで、対象物上に流体を吐出する静電吸引型流体ジェット装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インク等の流体を対象物(記録媒体)上に吐出する流体ジェット方式には、種々の方式がある。ここでは、流体としてインクを用いたインクジェット方式について説明する。
【0003】
オンデマンドタイプのインクジェット方式としては、圧電現象を利用したピエゾ方式、インクの膜沸騰現象を利用したサーマル方式、静電気現象を利用した静電吸引方式等が開発されており、特に近年、高解像度のインクジェット方式の要求が強くなっている。高解像度のインクジェット記録を実現するには、吐出したインク液滴の微小化が不可欠である。
【0004】
ここで、ノズルから吐出したインク液滴が記録媒体に着弾するまでの挙動は、
ρink・(4/3・π・d)・dv/dt= − Cd・(1/2・ρair・v)・(π・d2/4)・・・・・(1)
で示される運動方程式((1)式)によって表すことができる。
【0005】
上記ρinkはインクの体積密度、Vは液滴体積、vは液滴速度、Cdは抗力係数、ρairは空気の密度、dはインク液滴半径であり、Cdは、
Cd = 24/Re・(1+3/16・Re0.62) ・・・・・・・・・・(2)
で示される(2)式によって表すことができる。
【0006】
上記Reはレイノルズ数であり、ηを空気の粘度として、
Re = 2・d・ρink・ v/η  ・・・・・・・・・・・・・(3)
で示される(3)式によって表すことができる。
【0007】
上記(1)式の左辺のインク液滴の運動エネルギーにかかる液滴半径の影響の方が、空気の粘性抵抗にかかる液滴半径の影響より大きい。このため、同一速度の場合、液滴が小さくなればなるほど液滴速度の減速が早く、所定の距離離れた記録媒体に到達できないか、到達しても着弾精度が悪いことになってしまう。
【0008】
これを防ぐには、液滴の吐出初速度を大きくする、すなわち単位体積当たりの吐出エネルギーを大きくする必要がある。
【0009】
しかしながら、従来のピエゾ方式及びサーマル方式のインクジェットヘッドでは、吐出液滴の微少化すなわち吐出液滴の単位体積当たりの吐出エネルギーを大きくした場合に以下に示す問題点を有し、吐出液滴量1pl以下、すなわち液滴の直径(以下、液滴径と称する)をφ10μm以下にすることが特に難しかった。
【0010】
問題点(A):ピエゾ方式のインクジェットヘッドの吐出エネルギーは、駆動する圧電素子の変位量及び発生圧力と関わっている。この圧電素子の変位量は、インク吐出量、すなわちインク液滴サイズと密接に関わり、液滴サイズを小さくするためには変位量も小さくする必要があり、吐出液滴の単位体積当たりの吐出エネルギーの向上が困難であること。
【0011】
問題点(B):サーマル方式のインクジェットヘッドでは、インクの膜沸騰現象を利用しているため、バブル形成時の圧力は物理的な限界があり加熱素子の面積によりほぼ吐出エネルギーは定まってしまう。この加熱素子の面積は、発生バブルの体積、すなわちインク吐出量とほぼ比例する。このため、インク液滴サイズを小さくすれば、発生バブルの体積が小さくなり、吐出エネルギーは小さくなるので、インクの吐出液滴の単位体積当たりの吐出エネルギーの向上が困難であること。
【0012】
問題点(C):ピエゾ方式及びサーマル方式とも駆動(加熱)素子の駆動量が吐出量に密接に関わるため、特に微少な液滴サイズを吐出する場合、そのバラツキを抑えることが非常に難しいこと。
【0013】
そこで、上記の各問題点を解消するための方式として、静電吸引方式による微小液滴の吐出方法の開発が行われている。
【0014】
静電吸引方式では、ノズルから吐出したインク液滴の運動方程式は、以下の(4)式で示される。
【0015】
ρink・(4/3・π・d)・dv/dt= q・E− Cd・(1/2・ρair・v)・(π・d2/4)・・・・・(4)
ここで、qは液滴の電荷量、Eは周囲の電界強度である。
【0016】
上記(4)式から、静電吸引方式では、吐出された液滴は、吐出エネルギーとは別に、飛翔中にも静電力を受けるため、単位体積当たりの吐出エネルギーを軽減でき、微小液滴の吐出への適用が可能となる。
【0017】
このような静電吸引方式のインクジェット装置(以下、静電吸引型インクジェット装置と称する)として、例えば特開平8−238774号公報(特許文献1)には、ノズルより内部に電圧印加用の電極を設けたインクジェット装置が開示されている。また、特開2000−127410号公報(特許文献2)には、ノズルをスリットとして、ノズルより突出した針電極を設け微粒子を含むインクを吐出するインクジェット装置が開示されている。
【0018】
上記特許文献1に開示されたインクジェット装置について、図17を参照しながら以下に説明する。図17は、インクジェット装置の断面模式図である。
【0019】
図17において、101はインク噴射室、102はインク、103はインク室、104はノズル孔、105はインクタンク、106はインク供給路、107は回転ローラー、108は被記録媒体、110は制御素子部、111はプロセス制御部を示している。
【0020】
さらに、114はインク噴射室101のインク室103側に配設された静電界印加用電極部、115は回転ローラー107に設置された金属ドラムである対向電極部、116は対向電極部115に数千Vの負電圧を印加するバイアス電源部である。117は静電界印加用電極部114に数百Vの高電圧を供給する高圧電源部、118は接地部である。
【0021】
ここで、静電界印加用電極部114と対向電極部115との間において、対向電極部115に印加されている数千Vの負電圧のバイアス電源部116と数百Vの高圧電源部117の高圧電圧とが重畳されて、重畳電界が形成されており、この重畳電界によってインク102のノズル孔104からの吐出が制御されている。
【0022】
また、119は対向電極部115に印加された数千Vのバイアス電圧によってノズル孔104に形成される凸状のメニスカスである。
【0023】
以上のように構成された静電吸引方式のインクジェット装置の動作について、以下に説明する。
【0024】
まず、インク102は、毛細管現象により、インク供給路106を伝わって、インク102を吐出するノズル孔104まで移送される。このとき、ノズル孔104に対向して、被記録媒体108を装着した対向電極部115が配置されている。
【0025】
ノズル孔104まで達したインク102は、対向電極部115に印加された数千Vのバイアス電圧によって凸状のインクメニスカス119が形成される。インク室103内に配設された静電界印加用電極部114に数百Vの高圧電源部117から信号電圧を印加することで対向電極部115に印加されたバイアス電源部116からの電圧とが重畳され、重畳電界によってインク102は被記録媒体108に吐出され、印字画像が形成される。
【0026】
上記特許文献1に開示されたインクジェット装置における液滴の飛翔までのメニスカスの挙動を、図18(a)〜図18(c)を参照しながら以下に説明する。
【0027】
駆動電圧を印加する前は、図18(a)に示すように、インクに加えられているバイアス電圧による静電力とインクの表面張力の釣り合いにより、インク表面に盛り上がったメニスカス119aが形成された状態となっている。
【0028】
上記の状態で駆動電圧を印加すると、図18(b)に示すように、メニスカス119bは、液表面に発生した電荷が液面の盛り上がりの中心に寄り初め、それにより液面の盛り上がりの中心が高くなったメニスカス119bが形成される。
【0029】
その後、駆動電圧を印加し続けると、図18(c)に示すように、液表面に発生した電荷が更に中心に集中することによりテーラーコーンとよばれる半月状のメニスカス119cが形成され、該テーラーコーンの頂部に集中した電荷量による静電力がインクの表面張力を超えた段階で液滴の分離が行われ吐出される。
【0030】
次に、上記特許文献2に開示されたンクジェット装置について、図19を参照しながら以下に説明する。図19は、インクジェット装置の概略構成図である。
【0031】
本インクジェット装置の筐体内部には、図19に示すように、インクジェットヘッドとして低誘電体材料(アクリル樹脂、セラミックス等)で形成されたライン型の記録ヘッド211、該記録ヘッド211のインク吐出口に対向するように配置された金属または高誘電体製の対向電極210、非導電性のインク媒体に帯電顔料粒子を分散させたインクを蓄えておくためのインクタンク212、インクタンク212と記録ヘッド211との間でインクを循環させるインク循環系(ポンプ214a,214b、パイプ215a,215b)、記録画像の1画素を形成するインク液滴を引くためのパルス電圧を各吐出電極211aにそれぞれ印加するパルス電圧発生装置213、画像データに応じてパルス電圧発生装置213を制御する駆動回路(図示せず)、記録ヘッド211と対向電極210との間に設けられた間隙に記録媒体Aを通過させる記録媒体搬送機構(図示せず)、装置全体を制御するコントローラ(図示せず)等が収容されている。
【0032】
上記インク循環系は、記録ヘッド211とインクタンク212との間をつなぐ2本のパイプ215a,215b、コントローラの制御によって駆動される2台のポンプ214a,214bによって構成されている。
【0033】
そして、上記インク循環系は、記録ヘッド211にインクを供給するためのインク供給系と、記録ヘッド211からインクを回収するためのインク回収系とに分けられている。
【0034】
インク供給系では、インクタンク212内からインクがポンプ214aで吸い上げられ、それがパイプ215aを介して記録ヘッド211のインク供給部へと圧送される。一方、インク回収系では、記録ヘッド211のインク回収部からインクがポンプ215bで吸引され、それがパイプ215bを介してインクタンク212へと強制的に回収される。
【0035】
また、上記記録ヘッド211には、図20に示すように、インク供給系のパイプ215aから送り込まれたインクをライン幅に広げるインク供給部220a、インク供給部220aからのインクを山形に導くインク流路221、インク流路221とインク回収系のパイプ215bとをつなぐインク回収部220b、インク流路221の頂上部を対向電極210側に開放する適当な幅(約0.2mm)のスリット状インク吐出口222、所定のピッチ(約0.2mm)でインク吐出口222内に配列された複数の吐出電極211a、各吐出電極211aの両側および上面にそれぞれ配置された低誘電体製(例えば、セラミック製)の仕切り壁223が設けられている。
【0036】
上記各吐出電極211aは、それぞれ、銅、ニッケル等の金属で形成され、その表面には、濡れ性のよい顔料付着防止用低誘電体膜(例えば、ポリイミド膜)が形成されている。また、各吐出電極211aの先端は、三角錐形状に成形されており、それぞれが適当な長さ(70μm〜80μm)だけインク吐出口222から対向電極210側に向かって突出している。
【0037】
上述した図示しない駆動回路が、コントローラの制御に応じて、制御信号を、画像データに含まれている階調データに応じた時間だけパルス電圧発生装置213に与えると、パルス電圧発生装置213は、その制御信号の種類に応じたパルストップのパルスVpをバイアス電圧Vbにのせた高電圧信号をバイアス電圧Vbに重畳して出力するようになっている。
【0038】
そして、コントローラは、画像データが転送されてくると、インク循環系の2台のポンプ214a,214bを駆動する。これにより、インク供給部220aからインクが圧送されると共にインク回収部220bが負圧となり、インク流路221を流れているインクが、各仕切り壁223の隙間を毛細管現象で這い上がり、各吐出電極211aの先端にまで濡れ広がる。このとき各吐出電極211aの先端付近のインク液面には負圧がかかっているため、各吐出電極211aの先端には、それぞれ、インクメニスカスが形成される。
【0039】
さらに、コントローラによって、記録媒体搬送機構が制御されることで、所定の方向に記録媒体Aが送られる共に、駆動回路を制御することによって、吐出電極211aとの間に前述の高電圧信号が印加される。
【0040】
上記特許文献2に開示されたインクジェット装置における液滴の飛翔までのメニスカスの挙動を、図21〜図24を参照しながら以下に説明する。
【0041】
図21に示すように、パルス電圧発生装置213からのパルス電圧が記録ヘッド211内の吐出電極211aに印加されると、吐出電極211a側から対向電極210側に向かう電場が発生する。ここでは、先端の鋭利な吐出電極211aを用いているため、その先端付近に最も強い電場が発生している。
【0042】
このような電場が発生すると、図22に示すように、インク溶媒中の個々の帯電顔料粒子201aは、それぞれ、この電場から及ぼされる力fE(図23)によってインク液面に向かって移動する。これにより、インク液面付近の顔料濃度が濃縮される。
【0043】
このように顔料濃度が濃縮されると、図23に示すように、インク液面付近に複数の帯電顔料粒子201aが、電極の反対側によせられて凝集しはじめる。そして、インク液面付近に顔料凝集体201が球状に成長しはじめると、個々の帯電顔料粒子201aには、それぞれ、この顔料凝集体201からの静電反発力fconが作用しはじめる。すなわち、個々の帯電顔料粒子201aには、それぞれ、顔料凝集体201からの静電反発力fconと、パルス電圧による電場Eからの力fEとの合力ftotalが作用する。
【0044】
したがって、帯電顔料粒子間の静電反発力が互いの凝集力を超えない範囲内においては、顔料凝集体201に向いた合力ftotalが作用する帯電顔料粒子201a(吐出電極211aの先端と顔料凝集体201の中心とを結ぶ直線上にある帯電顔料粒子201a)に電界から及ぼされる力fEが、顔料凝集体201からの静電反発力fconを上回れば(fE≧fcon)、帯電顔料粒子201aは顔料凝集体201に成長する。
【0045】
n個の帯電顔料粒子201aから形成された顔料凝集体201は、パルス電圧による電場Eから静電反発力FEを受ける一方で、インク溶媒から拘束力Fescを受けている。静電反発力FEと拘束力Fescとが釣り合うと、顔料凝集体201は、インク液面からやや突出した状態で安定する。
【0046】
さらに、顔料凝集体201が成長し、静電反発力FEが拘束力Fescを上回ると、図24(a)〜図24(c)に示すように、顔料凝集体201は、インク液面200aから脱出する。
【0047】
【特許文献1】特開平8−238774号公報
【0048】
【特許文献2】特開2000−127410号公報
【0049】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の静電吸引方式の原理では、メニスカスの中心に電荷を集中させてメニスカスの隆起を発生する。この隆起したテーラーコーン先端部の曲率半径は、電荷の集中量により定まり、集中した電荷量と電界強度による静電力がそのときメニスカスの表面張力より勝った時に液滴の分離が始まる。
【0050】
メニスカスの最大電荷量は、インクの物性値とメニスカスの曲率半径により定まるため、最小の液滴のサイズはインクの物性値(特に表面張力)とメニスカス部に形成される電界強度により定まる。
【0051】
一般的に、液体の表面張力は純粋な溶媒よりも溶剤を含んだ方が表面張力は低くなる傾向があり、実際のインクにおいても種々の溶剤を含んでいるため、表面張力を高くすることは難しい。このため、インクの表面張力を一定と考え、電界強度を高くすることにより液滴サイズを小さくする方法がとられていた。
【0052】
したがって、上記の特許文献1、2に開示されたインクジェット装置では、両者とも吐出原理として、吐出液滴の投影面積よりはるかに広い面積のメニスカス領域に強い電界強度のフィールドを形成することにより該メニスカスの中心に電荷を集中させ、該集中した電荷と形成している電界強度からなる静電力により吐出を行うため、2000Vに近い非常に高い電圧を印加する必要があり駆動制御が難しいとともに、インクジェット装置を操作するうえでの安全性の面からも問題があった。
【0053】
特に、広い領域に強い電界強度を形成する場合には、放電破壊強度(例えば平行平板間の空気の放電破壊強度は3×10V/m)以下と設定する必要があり、形成できる微小液滴のサイズにも原理的に限界があった。
【0054】
また、メニスカス部の中心に電荷が移動するため、電荷の移動時間が吐出応答性に影響し、印字速度の向上において問題となっていた。
【0055】
これらの問題を解消する方法として、前述の特許文献1および2においても使用されているが、予め吐出電圧より低いバイアス電圧を印加することにより駆動電圧を低減する手法や、特許文献2のように、電極をノズル部より突出させて電荷の集中を促進させる構成がとられていた。また、特許文献1のように、インクに正圧を印加してメニスカスを予め盛り上がらせておく手法等も提案されている。
【0056】
しかしながら、特許文献1および2に開示されたいずれの手法においても根本的な解決にはなっていなかった。特に、バイアス電圧を印加した場合、駆動電圧は常に正負どちらか一方のみしか印加することができず、被記録媒体が絶縁材の場合、帯電した吐出液滴の付着による表面電位が累積していくため、着弾精度が悪化してしまい、印字中に被記録媒体表面を除電する等の対策が必要であった。
【0057】
また、広い範囲のメニスカス領域に強い電界強度のフィールドを形成するため、対向電極の配置を精度良く行う必要が有ると共に、被記録媒体の誘電率及び厚さが対向電極の配置に影響するため、使用上の自由度が狭かった。特に被記録媒体が厚い場合、対向電極の距離がそれに伴いノズル部の電極より離れてしまい、より高い電圧をかけなければならず、実際の使用が困難な被記録媒体が多数存在した。
【0058】
したがって、従来の静電吸引型インクジェット装置(静電吸引型流体ジェット装置)では、高解像度と安全性の両方を満足させ、汎用性の高い装置を実用化できていないという問題点を有していた。
【0059】
本発明は、上記の各問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、高解像度化と安全性の両方を満足させることが可能で、汎用性の高い記録装置を実用化できる静電吸引型流体ジェット装置を提供することにある。
【0060】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、図16に示すように、従来方法において、静電吸引の過程において形成されるノズル部21のテーラーコーン形状の流体のメニスカス22の液滴吐出直前の先端部曲率24とほぼ同等サイズのノズル径になるように、流体吐出孔側が絞り込まれた形状のノズル23を使用することにより、広範囲に必要であった電場の形成を狭くでき、かつ流体のメニスカス22での電荷の移動量を少なくできることを見出した。
【0061】
そして、上記の原理を利用して、さらに、本願発明者等は、ノズル先端部の流体吐出孔の直径を、吐出直後の流体の液滴径と同等以下に設定することで、電荷の集中領域とメニスカス領域とをほぼ同じにできることを見出した。
【0062】
それゆえ、本発明の静電吸引型流体ジェット装置は、上記の課題を解決するために、微粒子を含み電圧印加により帯電された流体を、絶縁材料からなるノズルの流体吐出孔から静電吸引により液滴の状態で吐出させる静電吸引型流体ジェット装置において、該ノズルの流体吐出孔の直径が、φ8μm以下に設定され、上記流体に含有された微粒子の粒径は、φ30nm以下であることを特徴としている。
【0063】
上記の構成によれば、従来の流体の静電吸引の過程において、従来のノズルの流体吐出孔の直径よりも小さな液滴直径の流体を吐出するために形成されるテーラーコーン形状の電荷が集中した先端部の直径と略同一に本発明ではノズル径を設定することで、広範囲に必要であった電場の形成を狭くすることができる。
【0064】
以上のことから、電荷の移動に必要な電圧、すなわち流体を静電吸引させるのに必要な帯電量を該流体に付与するために必要な電圧を大幅に低減させることが可能となる。これにより、従来のように、2000Vといった高電圧を必要としないので、流体ジェット装置を使用する際の安全性の向上を図ることができる。
【0065】
しかも、ノズルの流体吐出孔の直径が、φ8μm以下に設定されていることで、電界強度分布が該流体吐出孔の吐出面近傍に集中すると共に、対向電極からノズルの流体突出孔までの距離の変動が電界強度分布に影響することがなくなる。
【0066】
これにより、対向電極の位置精度、被記録媒体の材料特性のバラツキや厚さバラツキの影響を受けずに安定した流体の吐出を行うことができる。
【0067】
また、上記のように、電場を狭くできることにより、狭い領域に強い電場を形成することが可能となり、この結果、形成できる液滴を微小なものにすることが可能となる。これにより、液滴をインクとした場合に、印字画像を高解像度にすることが可能となる。
【0068】
さらに、上述のように、電荷の集中領域と流体のメニスカス領域とがほぼ同等のサイズになることから、メニスカス領域内での電荷の移動時間が吐出応答性に影響を与えることがなくなり、液滴の吐出速度(液滴がインクである場合の印字速度)の向上を図ることが可能となる。
【0069】
また、電荷の集中領域と流体のメニスカス領域とがほぼ同等のサイズになることから、広い範囲のメニスカス領域に強い電場を形成する必要がなくなる。これにより、従来のように、広い範囲のメニスカス領域に強い電場を形成するために対向電極の配置を精度良く行う必要がなくなり、且つ、被記録媒体の誘電率及び厚さが対向電極の配置に影響しなくなる。
【0070】
したがって、静電吸引型流体ジェット装置において、対向電極の配置に対する自由度が増大する。つまり、静電吸引型流体ジェット装置の設計の自由度が増大する。この結果、誘電率や厚みに影響されず、従来、使用が困難であった被記録媒体に対して印字することが可能となり、汎用性の高い流体ジェット装置を実現することができる。
【0071】
よって、上記の構成の静電吸引型流体ジェット装置によれば、高解像度と安全性の両方を満足させ、汎用性の高い装置を実現することができる。
【0072】
ここで、上記の流体としては、純粋な水、油等の他に、微粒子として染料や顔料を含んだ有色の液体であるインクや、回路基板を形成する配線材料(銀や銅などの導電性の微粒子)を含む溶液等が使用可能である。
【0073】
例えば、流体としてインクを用いた場合には、高精細な印字ができ、流体として回路基板を形成する配線材料を含んだ溶液を用いた場合には、線幅が非常に狭い配線で超高精細な回路を形成することが可能となり、何れの場合においても、流体を安定して吐出させることができる。
【0074】
しかも、上記流体に含有された微粒子の粒径は、φ30nm以下であるので、微粒子自体の帯電による影響を軽減することができるので、液滴に微粒子が含まれていても、安定して吐出させることができる。
【0075】
また、微粒子自体の帯電の影響が軽減されるので、従来のように、微粒子の帯電を利用して流体を吐出させる場合のように、粒径が小さいときに微粒子の移動が遅くなるようなことはない。したがって、微粒子が含まれた流体、例えばインクであっても、記録速度を低下させることはない。
【0076】
また、上記流体に含有された微粒子の粒径は、φ1nm以上φ10nm以下であることが好ましい。
【0077】
さらに、上記ノズルの流体吐出孔の直径が、φ0.2μm以上φ4μm以下に設定されていてもよい。
【0078】
この場合、ノズルの流体吐出孔の直径が、φ0.2μm以上φ4μm以下に設定されていることで、電界集中が極端に大きくなり最大電界強度を高くすることができる。この結果、直径の小さな微小な液滴を安定して吐出することが可能となる。
【0079】
また、上記構成の静電吸引型流体ジェット装置は、以下の構成によっても実現できる。
【0080】
すなわち、本発明の静電吸引型流体ジェット装置は、微粒子を含み電圧印加により帯電された流体を、絶縁材料からなるノズルの流体吐出孔から静電吸引により液滴の状態で吐出させる静電吸引型流体ジェット装置において、該ノズルの流体吐出孔の直径が、吐出直後の流体の液滴直径と同等以下に設定され、該流体に含有された微粒子の粒径は、φ30nm以下であることを特徴としている。
【0081】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態では、流体としてインクを用いた静電吸引型のインクジェット装置について説明する。
【0082】
図1は、本発明の実施の一形態に係るインクジェット装置の構造を示した図である。
【0083】
上記インクジェット装置は、図1に示すように、インク室1に貯蔵した流体としてのインク2を吐出するためのノズル4を備えている。このノズル4は、インク室1に対してパッキン5を介して連結されている。これにより、インク室1内のインク2が、ノズル4とインク室1との連結部分から外部に漏れないように封止されている。
【0084】
また、上記ノズル4は、インク室1との連結部とは反対側、すなわちインクの吐出側となる先端部4aに向かって内径が小さくなるように絞り込まれた形状となっている。上記ノズル4の先端部4aのインク吐出孔4bの内径(直径)は、吐出直後のインク2の粒径との関係で設定されている。
【0085】
なお、ノズル4から吐出されたインク2と、インク室1に貯蔵されているインク2とを区別するために、以降、ノズル4から吐出されたインク2を液滴3と称して説明する。このインク吐出孔4bの直径と、吐出直後の液滴3の液滴径との関係についての詳細は、後述する。
【0086】
さらに、上記ノズル4の内部には、インク2に対して静電界を印加するための静電界印加用電極9が設けられている。この静電界印加用電極9は、プロセス制御部10に接続され、このプロセス制御部10によって図示しない駆動回路からの印加電圧による電界強度が制御されるようになっている。この電界強度を制御することで、ノズル4から吐出する液滴3の液滴径が調整される。つまり、プロセス制御部10は、静電界印加用電極9を介してインク2に印加する電圧を制御する印加電圧制御手段としの機能を有している。
【0087】
上記ノズル4のインク吐出孔4bの対向面側には、所定の距離離れた位置に対向電極7が配設されている。この対向電極7は、ノズル4と対向電極7との間に搬送される被記録媒体8の表面を、ノズル4のインク吐出孔4bから吐出される液滴3の帯電電位の逆極性の電位に帯電させるものである。これにより、ノズル4のインク吐出孔4bから吐出した液滴3を、被記録媒体8の表面に安定して着弾させている。
【0088】
このように、液滴3は帯電している必要があるので、ノズル4の少なくとも先端部4aのインク吐出面は絶縁部材で形成されていることが望ましく、かつ微細なノズル径(インク吐出孔4bの内径)を形成する必要があるため、本実施の形態では、ノズル4としてガラスのキャピラリーチューブを使用している。
【0089】
したがって、上記ノズル4は、流体であるインク2の静電吸引の過程において、ノズルのインク吐出孔の直径よりも小さな直径の液滴を吐出するために形成されるテーラーコーン形状のインクのメニスカスに相当する形状に形成されると共に、該ノズル4のインク吐出孔4bの直径が、上記メニスカスのインク吐出直前の先端部の直径と略同一に設定され、且つ、吐出直後の液滴3の直径と同等以下に設定されている。
【0090】
上記構成のインクジェット装置においては、吐出するインク2の液滴量が1pl以下となるように、静電界印加用電極9を介してインク2に印加される電圧がプロセス制御部10によって制御されている。
【0091】
また、上記インク室1には、上記ノズル4の他に、インク2を図示しないインクタンクから供給するためのインク供給路6が接続されている。ここでは、インク室1内およびノズル4内にインク2が満たされた状態で保持されているので、インク2には負圧がかかっている。
【0092】
ここで、インク2がノズル4から液滴3として吐出する際に、インク吐出孔4b近傍に形成されるメニスカス部(メニスカス領域)14の挙動について以下に説明する。図2(a)〜図2(c)は、上記インク吐出孔4b近傍のメニスカス部14の挙動を示すモデル図である。
【0093】
まず、インク2の吐出前の状態においては、図2(a)に示すように、インクには負圧がかかっているので、メニスカス部14として、ノズル4の先端部4a内部に凹の形状でメニスカス14aが形成されている。
【0094】
次に、インク2の吐出を行うため、静電界印加用電極9を介してインク2に印加される電圧がプロセス制御部10によって制御され、該インク2に所定の電圧が印加されると、ノズル4内のインク2の表面に電荷が誘導され、インク2は、図2(b)に示すように、メニスカス部14として、該ノズル4の先端部4aのインク吐出孔4b表面すなわち対向電極側(図示せず)に引っ張られたメニスカス14bが形成される。このとき、ノズル4の径が微小であるため、メニスカス14bは当初よりテーラーコーンの形状を形成しながら外側に引っ張られている。
【0095】
続いて、外側に引っ張られたメニスカス14bは、図2(c)に示すように、メニスカス部14として、対向電極側(図示せず)にさらに吐出した形状のメニスカス14cとなり、誘導されたメニスカス14c表面の電荷とノズル4に形成される電場(電界強度)の力がインク2の表面張力に勝ることにより、吐出液滴が形成される。
【0096】
ここで、本実施の形態で使用するノズル4のインク吐出孔4bの内径(以下、ノズル径と称する)は、φ5μmとしている。このように、ノズル4のノズル径が微小である場合、従来の様にメニスカス先端部の曲率半径が表面電荷の集中により除々に小さく変化していくことなくほぼ一定と見なすことができる。
【0097】
したがって、インクの物性値が一定であれば、液滴分離時の表面張力は、電圧印加による吐出状態ではほぼ一定であり、また集中可能な表面電荷の量もインクの表面張力を超える値、すなわちレイリー分裂値以下であることから最大量は一義的に定義される。
【0098】
なお、ノズル径が微小であるため電界強度は、メニスカス部のごく近傍のみ非常に強い値となり、このように極小領域での高い電場での放電破壊強度は非常に高い値となるため、問題とならない。
【0099】
本実施の形態にかかるインクジェット装置において使用されるインクとしては、純水を含め染料系インク及び微粒子を含有したインクを使用することができる。ここで、微粒子を含有したインクとしては、ノズル部が従来から非常に小さいため含有する微粒子の粒径も小さくする必要があり、一般的にノズルの1/20から1/100程度であれば目詰まりが発生しにくい。
【0100】
このため、本実施の形態で使用するノズル4のノズル径を、上述のようにφ5μmとすると、該ノズル径に対応するインクの微粒子径は50nm以下となる。このとき、特許文献2に示された微粒子を含むインクを吐出する原理のように、微粒子の帯電による移動によってメニスカス部の電荷を集中させ、集中した微粒子相互の静電反発力により吐出する方法では、従来使用していた最小微粒子径φ100nmよりもっと小さいためインク中の帯電微粒子の移動速度が低下してしまい吐出の応答速度及び記録速度が遅くなってしまう。
【0101】
これに対して、本発明においては帯電した微粒子相互の静電反発力を用いるのではなく、微粒子を含まないインクの場合と同様にメニスカス表面の電荷により吐出を行う。この場合、インク中の微粒子の電荷の影響がメニスカス表面の電荷に影響することによる吐出不安定を解消するために、インク中の微粒子の電荷量がメニスカス表面の電荷に比べはるかに小さい値となる形状が望ましい。
【0102】
これは、インク中の微粒子の単位質量当たりの電荷量が10μC/g以下であれば、該微粒子同士の静電反発力及び応答速度が小さくなり、またインク微粒子の質量を小さくすること、すなわちインク微粒子の径を小さくすることによりインク中の微粒子の総電荷量を減少できる。
【0103】
以下の表1に、インク中の平均微粒子径をφ3nmからφ50nmとした場合の吐出安定性を示す。
【0104】
【表1】
Figure 2004114374
【0105】
表1中の記号は、各ノズルの吐出安定性を示しており、×:目詰まり等での不吐出あり、△:連続吐出にて吐出不安定、○:安定吐出である。
【0106】
表1から、微粒子径としてはφ30nm以下が好ましいことが分かった。特に微粒子径φ10nm以下になるとインク中の微粒子1個の帯電量はインク吐出における電荷としての影響がほぼ無視できるとともに、電荷による移動速度も非常に遅くなり微粒子のメニスカス中心への集中も発生しない。また、ノズル径がφ3μm以下では、メニスカス部の電界集中により極端に最大電界強度が高くなり、微粒子1個毎の静電力も大きくなるためφ10nm以下の微粒子を含んだインクを用いることが好ましい。但し、微粒子径がφ1nm以下になると、微粒子の凝集及び濃度の不均一の発生が大きくなるため、微粒子径は、φ1nm以上φ10nm以下の範囲が好ましい。
【0107】
本実施の形態においては、平均粒径がφ3nmからφ7nmの間の銀の微粒子を含んだペーストを使用しており、該微粒子には凝集防止のコーティングを施している。
【0108】
ここで、ノズル4のノズル径と電界強度との関係について、図3(a)(b)〜図8(a)(b)を参照しながら以下に説明する。図3(a)(b)から図8(a)(b)に対応して、ノズル径をφ0.2、0.4、1、8、20μm及び参考として従来にて使用されているノズル径φ50μmの場合の電界強度分布を示す。
【0109】
ここで、各図において、ノズル中心位置とは、ノズル4のインク吐出孔4bのインク吐出面の中心位置を示す。また、各々の図の(a)は、ノズルと対向電極との距離が2000μmに設定したときの電界強度分布を示し、(b)は、ノズルと対向電極との距離が100μmに設定されたときの電界強度分布を示す。なお、印加電圧は、各条件とも200Vと一定にした。図中の分布線は、電界強度が1×10V/mから1×10V/mまでの範囲を示している。
【0110】
以下の表2に、各条件下での最大電界強度を示す。
【0111】
【表2】
Figure 2004114374
【0112】
図3(a)(b)〜図8(a)(b)から、ノズル径がφ20μm(図7(a)(b))以上だと電界強度分布は広い面積に広がっていることが分かった。また、表2から、ノズルと対向電極の距離が電界強度に影響していることも分かった。
【0113】
これらのことから、ノズル径がφ8μm(図6(a)(b))以下であると電界強度は集中するとともに、対向電極の距離の変動が電界強度分布にほとんど影響することがなくなる。したがって、ノズル径がφ8μm以下であれば、対向電極の位置精度及び被記録媒体の材料特性のバラツキや厚さバラツキの影響を受けずに安定した吐出が可能となる。ここで、1plの液滴量のインク2を吐出するには、ノズル径をφ10μmにする必要があるので、上記のように、ノズル径が8μm以下であれば、液滴量が1pl以下にすることは可能である。
【0114】
次に、上記ノズル4のノズル径とメニスカス部14の最大電界強度と強電界領域の関係を図9に示す。
【0115】
図9に示すグラフから、ノズル径がφ4μm以下になると、電界集中が極端に大きくなり最大電界強度を高くすることができるのが分かった。これによって、インクの初期吐出速度を大きくすることができるので、インク(液滴)の飛翔安定性が増すとともに、メニスカス部での電荷の移動速度が増すため吐出応答性が向上する。
【0116】
続いて、吐出したインク2の液滴3における帯電可能な最大電荷量について、いかに説明する。液滴3に帯電可能な電荷量は、液滴3のレイリー分裂(レイリー限界)を考慮した以下の(5)式で示される。
【0117】
q=8×π×(ε0×γ×r   (5)
ここで、qはレイリー限界を与える電荷量、ε0は真空の誘電率、γはインクの表面張力、rはインク液滴の半径である。
【0118】
上記(5)式で求められる電荷量qがレイリー限界値に近い程、同じ電界強度でも静電力が強く、吐出の安定性が向上するが、レイリー限界値に近すぎると、逆にノズル4のインク吐出孔4bでインク2の霧散が発生してしまい、吐出安定性に欠けてしまう。
【0119】
ここで、ノズルのノズル径とメニスカス部で吐出する該ノズル径の約2倍の径の初期吐出液滴が飛翔を開始する吐出開始電圧、初期吐出液滴のレイリー限界での電圧値及び吐出開始電圧とレイリー限界電圧値の比との関係を示すグラフを図10に示す。
【0120】
図10に示すグラフから、ノズル径がφ0.2μmからφ4μmの範囲において、吐出開始電圧とレイリー限界電圧値の比が0.6を超え、液滴の帯電効率が良い結果となっており、該範囲において安定した吐出が行えることが分かった。
【0121】
例えば、図11に示すノズル径とメニスカス部の強電界(1×10V/m以上)の領域の関係で表されるグラフでは、ノズル径がφ0.2μm以下になると電界集中の領域が極端に狭くなることが示されている。このことから、吐出する液滴は、加速するためのエネルギーを十分に受ける事ができず飛翔安定性が悪くなることを示す。よって、ノズル径はφ0.2μmより大きいく設定する必要がある。
【0122】
次に、上記構成のインクジェット装置を実際に駆動する場合の印加電圧、すなわち液滴の吐出開始電圧以上の電圧で最適な電圧値を変動した場合の最大電界強度から誘導されるメニスカス部の初期吐出液滴を一定とした場合の該液滴の電荷量と、液滴の表面張力からくるレイリー限界値との関係を図12のグラフに示す。
【0123】
図12に示すグラフにおいて、A点は上記液滴の電荷量と液滴の表面張力からくるレイリー限界値との交点であり、インクへの印加電圧が、A点より高い電圧であれば、初期吐出液滴にはほぼレイリー限界に近い最大電荷量が形成されており、A点より低い電圧であればレイリー限界以下でかつ吐出に必要な電荷量が形成されていることを示している。
【0124】
ここで、吐出液滴の運動方程式にのみ着目すると、強電界かつ最大電荷量の吐出エネルギーとして最適な条件での飛翔が行われるため、印加電圧としてはA点より高い電圧が好ましい。
【0125】
ところで、図13に、環境湿度を50%とした場合のインク(ここでは純水)の初期吐出液滴径と乾燥時間(液滴の溶剤が全て蒸発してしまう時間)との関係を示すグラフを示す。このグラフから、初期吐出液滴径が小さい場合には、蒸発によるインクの液滴径の変化が非常に早く、飛翔中の短い時間においても乾燥が進んでしまうことが分かる。
【0126】
このため、初期吐出時に最大電荷量が液滴に形成されていると乾燥による液滴径の減少すなわち電荷が形成されている液滴の表面積が減少することにより、インクの飛翔中にレイリー分裂が発生し、過分の電荷を放出する際に電荷は液滴の一部を引き連れて放出されるため、蒸発以上の飛翔液滴の減少が発生することなる。
【0127】
従って、着弾時の液滴径のバラツキ及び着弾精度が悪化するとともに、ノズルと被記録媒体中に分裂したミストが浮遊することになり、被記録媒体を汚染することになる。このため、安定した吐出ドットの形成を考慮すると、初期吐出液滴に誘導される電荷量をレイリー限界に相当する電荷量よりもある程度小さくする必要がある。この場合、該電荷量をレイリー限界値に相当する電荷量の95%程度では、着弾ドット径のバラツキの精度が向上できず、結果的として90%以下にすることが好ましい。
【0128】
具体的な数値としては、ノズル孔径を針電極の先端形状と見なした場合のメニスカスの最大電界強度による初期吐出液滴径のレイリー限界を算出し、該算出値以下の範囲とすることにより着弾時の液滴のバラツキを抑えることができた。これは、吐出液滴が分離する直前の表面積が吐出直後の液滴に比べ小さく、かつ電荷の移動時間のタイムラグにより、実際の初期吐出液滴に誘導される電荷量は、上記計算により求められる電荷量より小さくなっているためと考えられる。
【0129】
このような条件であれば、飛翔時のレイリー分裂を防げると共にメニスカス部での吐出液滴の分離時に電荷量が多いことによるミスト化等の安定吐出を軽減する事ができる。
【0130】
なお、帯電した液滴は、蒸気圧が減少して蒸発しにくくなる。これは、以下の(6)式から分かる。
【0131】
RTρ/M×log(P/P0)=2γ/d−q/(8πd)  (6)
ここで、Rは気体定数、Mは気体の分子量、Tは気体の温度、ρは気体の密度、Pは微小液滴での蒸気圧、P0は平面での蒸気圧、γはインクの表面張力、dはインク液滴の半径である。
【0132】
上記の(6)式に示されるように、帯電した液滴は、該液滴の帯電量により蒸気圧が減少するもので、帯電量が少なすぎると蒸発の緩和に影響が少ないため、レイリー限界に相当する電界強度及び電圧値の60%以上が好ましい結果となった。この結果は、上記と同様にノズル孔径を針電極の先端形状と見なした場合のメニスカスの最大電界強度による初期吐出液滴径のレイリー限界を算出し、該算出値の0.8倍以上の範囲を示すことと同じである。
【0133】
特に、図13に示すように、初期吐出液滴径がφ5μm以下になると乾燥時間は極端に短くなり蒸発の影響を受けやすくなるため、初期吐出液滴の電荷量を低く抑えることは蒸発を抑える観点からより効果があることが分かる。なお、図13に示す乾燥時間と初期吐出液滴径との関係を求める場合の周囲湿度は50%とした。
【0134】
また、吐出液滴の乾燥を考慮すると、被記録媒体までの液体の吐出時間を短くする必要がある。
【0135】
ここで、吐出液滴がメニスカス部より分離してノズルより被記録媒体に着弾するまでの平均飛翔速度を5m/s、10m/s、20m/s、30m/s、40m/s、50m/sとして、吐出の安定性と着弾ドットの位置精度を比較し、以下の表3に示す。
【0136】
【表3】
Figure 2004114374
【0137】
表3中の吐出安定性の記号においては、×:ほとんど吐出せず、△:連続吐出にて不吐出あり、○:不吐出なしを示しており、着弾精度の記号においては、×:着弾ズレ>着弾ドット径、△:着弾ズレ>着弾ドット径×0.5、○:着弾ズレ<着弾ドット径×0.5、◎:着弾ズレ<着弾ドット径×0.2を示している。
【0138】
上記の表3から分かるように、平均飛翔速度5m/sでは、着弾精度が悪く、吐出安定性も悪くなる。特に、ノズル径がφ1μm以下では、吐出速度が遅いと液滴にかかる空気抵抗の要因が大きくかつ蒸発によるドット径の更なる微少化により、着弾できない場合があった。逆に、平均飛翔速度50m/sでは、印加電圧を高くする必要があるため、メニスカス部での電界強度が非常に強くなり、吐出液滴のミスト化が頻繁に発生してしまい、安定した吐出が難しいことが分かった。
【0139】
以上のことから、吐出液滴がメニスカス部より分離して被記録媒体に着弾するまでの平均飛翔速度は10m/sから40m/sの間が好ましいことが分かった。
【0140】
ところで、図13では、周囲湿度として50%とした場合の、初期吐出液滴径と乾燥時間との関係を示したが、図14では、初期吐出液滴径がφ0.5μmでノズルと被記録媒体の距離を0.2mmとした場合の周囲湿度と乾燥時間の関係を示す。
【0141】
図14に示すグラフから、周囲湿度が60%以下では該乾燥速度の数値は大きく変動しないことが分かった。しかしながら、周囲湿度が70%を超えるとインクの蒸発を極端に抑える事が可能であり、周囲湿度を70%以上とする場合には、上記条件等の影響は低いものとなり、特に周囲湿度を95%以上に設定すると乾燥の影響をほぼ無視する事ができ、本発明のインクジェット装置の設計条件の自由度を広くかつ適用範囲を広げる事が可能であることが分かった。
【0142】
ここで、ノズル径をφ1及びφ3μmとして、初期吐出液滴径を変動した場合の吐出安定性及び吐出ドット径バラツキ(着弾バラツキ)を以下の表4に示す。なお、ノズルによる初期吐出径は、印加電圧値を変動することにより制御可能であり、又印加する電圧パルスのパルス幅を調整する事によっても制御可能であり、ここでは、同一ノズル径での電界強度の影響を排除するため、前記パルス幅を変動させて初期吐出径を調整している。
【0143】
【表4】
Figure 2004114374
【0144】
表4中の吐出安定性の記号において、×:ほとんど吐出せず、△:10分間連続吐出にて不吐出あり、○:10分間連続吐出にて不吐出なし、◎:30分間連続吐出にて不吐出なしを示しており、バラツキの記号においては、△:着弾ドットのバラツキ>着弾ドット径×0.2、○:着弾ドットのバラツキ≦着弾ドット径×0.2、◎:着弾ドットのバラツキ≦着弾ドット径×0.1を示している。
【0145】
表4から、ノズル径に対し1.5倍〜3倍程度において吐出の安定性が良く、特に1.5倍〜2倍において着弾ドット径のバラツキが極端に抑えられることが分かった。これは、メニスカス部から引き出されるインク形状を液柱と見なした場合、該液柱の表面積が該液柱の体積分の球の表面積より大きくなる条件での液滴分離が最も安定するためと考えられる。
【0146】
上記の構成によれば、インクの吐出直後の液滴量が1pl以下の微少なインク液滴を吐出する静電吸引型インクジェット装置において、ノズル4のインク吐出孔4bの直径を、インクの吐出直後の液滴直径と同等以下とすることによりノズル4のメニスカス部14に吐出のための電界を集中させることができるので、インクを吐出するのに必要な印加電圧を大幅に下げることができ、個々に分離、吐出する液滴の径のバラツキを小さく安定した吐出を実現可能とした。
【0147】
また、従来必要とされていたバイアス電圧の印加が不要となり、駆動電圧を正負交互に印加する事が可能となり、被記録媒体の表面電位の増加による着弾精度への影響を軽減する事ができた。
【0148】
また、ノズルの孔の直径をφ8μm以下の範囲とすることによりノズルのメニスカス部に電界を集中させることができると共に、対向電極の位置精度及び被記録媒体の材料特性のバラツキや厚さバラツキの影響を受けずに安定した吐出が可能となった。
【0149】
特に、ノズル4のインク吐出孔4bの直径をφ0.2μm以上φ4μm以下の範囲とすることにより、電界集中が極端に大きくなる。このように、最大電界強度を高くすることが、インクの初期吐出速度を大きくすることになるので、飛翔安定性が増すとともに、メニスカス部での電荷の移動速度が増すため吐出応答性が向上すると共に、レイリー分裂の影響による着弾ドット径のバラツキを抑える事ができる。
【0150】
更に、ノズル4からのインクの吐出直後の液滴直径を、ノズル4のインク吐出孔4bの直径の1.5倍から3倍以下の範囲とすることにより、吐出の安定性が向上でき、特にインクの吐出直後の液滴直径を該ノズル径の1.5倍から2倍以下の範囲とすることにより吐出ドット径のバラツキを極端に抑えることができる。
【0151】
本実施の形態では、上述のように、インク室1内のインクに負圧が印加された例について説明したが、インクに正圧が印加された場合でも構わない。インク室1内のインクに正圧を印加するには、例えば、図15に示すように、インク供給路6の図示しないインクタンク側にポンプ12を設け、該ポンプ12を用いてインク室1内のインクに正圧を印加することが考えられる。この場合、インク室1からのインク吐出のタイミングに合わせて駆動させるようにプロセス制御部13を用いて上記ポンプ12を駆動制御すればよい。このように、インク室1内のインクに正圧を印加するようにすれば、メニスカス部の凸形状を静電力で形成する手間が省け、印加電圧の低減及び応答速度の向上が図ることができる。
【0152】
なお、本実施の形態では、説明の簡単化のため単一ノズルを備えたインクジェット装置について説明を行ったが、これに限定されるものではなく、隣接ノズルでの電界強度の影響を考慮した設計を行えば、複数のノズルを有するマルチヘッドを備えたインクジェット装置にも適用可能である。
【0153】
更に、本実施の形態では、図1および図15に示すように、対向電極7を常に設けたインクジェット装置について説明したが、表2から分かるように、対向電極7とノズル4のインク吐出孔4bとの間の距離(ギャップ)は、被記録媒体とノズル間の電界強度にほとんど影響せず、該被記録媒体とノズル間の距離が近く、被記録媒体の表面電位が安定しているならば対向電極は不要となる。
【0154】
【発明の効果】
本発明の静電吸引型流体ジェット装置は、以上のように、微粒子を含み電圧印加により帯電された流体を、絶縁材料からなるノズルの流体吐出孔から静電吸引により液滴の状態で吐出させる静電吸引型流体ジェット装置において、該ノズルの流体吐出孔の直径が、φ8μm以下に設定され、上記流体に含有された微粒子の粒径は、φ30nm以下である。
【0155】
それゆえ、従来の流体の静電吸引の過程において、従来のノズルの流体吐出孔の直径よりも小さな液滴直径の流体を吐出するために形成されるテーラーコーン形状の電荷が集中した先端部の直径と略同一に本発明ではノズル径を設定することで、広範囲に必要であった電場の形成を狭くすることができる。
【0156】
以上のことから、電荷の移動に必要な電圧、すなわち流体を静電吸引させるのに必要な帯電量を該流体に付与するために必要な電圧を大幅に低減させることが可能となる。これにより、従来のように、2000Vといった高電圧を必要としないので、流体ジェット装置を使用する際の安全性の向上を図ることができる。
【0157】
しかも、ノズルの流体吐出孔の直径が、φ8μm以下に設定されていることで、電界強度分布が該流体吐出孔の吐出面近傍に集中すると共に、対向電極からノズルの流体突出孔までの距離の変動が電界強度分布に影響することがなくなる。
【0158】
これにより、対向電極の位置精度、被記録媒体の材料特性のバラツキや厚さバラツキの影響を受けずに安定した流体の吐出を行うことができる。
【0159】
また、上記のように、電場を狭くできることにより、狭い領域に強い電場を形成することが可能となり、この結果、形成できる液滴を微小なものにすることが可能となる。これにより、液滴をインクとした場合に、印字画像を高解像度にすることが可能となる。
【0160】
さらに、上述のように、電荷の集中領域と流体のメニスカス領域とがほぼ同等のサイズになることから、メニスカス領域内での電荷の移動時間が吐出応答性に影響を与えることがなくなり、液滴の吐出速度(液滴がインクである場合の印字速度)の向上を図ることが可能となる。
【0161】
また、電荷の集中領域と流体のメニスカス領域とがほぼ同等のサイズになることから、広い範囲のメニスカス領域に強い電場を形成する必要がなくなる。これにより、従来のように、広い範囲のメニスカス領域に強い電場を形成するために対向電極の配置を精度良く行う必要がなくなり、且つ、被記録媒体の誘電率及び厚さが対向電極の配置に影響しなくなる。
【0162】
したがって、静電吸引型流体ジェット装置において、対向電極の配置に対する自由度が増大する。つまり、静電吸引型流体ジェット装置の設計の自由度が増大する。この結果、誘電率や厚みに影響されず、従来、使用が困難であった被記録媒体に対して印字することが可能となり、汎用性の高い流体ジェット装置を実現することができる。
【0163】
よって、上記の構成の静電吸引型流体ジェット装置によれば、高解像度と安全性の両方を満足させ、汎用性の高い装置を実現することができる。
【0164】
ここで、上記の流体としては、純粋な水、油等の他に、微粒子として染料や顔料を含んだ有色の液体であるインクや、回路基板を形成する配線材料(銀や銅などの導電性の微粒子)を含む溶液等が使用可能である。
【0165】
例えば、流体としてインクを用いた場合には、高精細な印字ができ、流体として回路基板を形成する配線材料を含んだ溶液を用いた場合には、線幅が非常に狭い配線で超高精細な回路を形成することが可能となり、何れの場合においても、流体を安定して吐出させることができる。
【0166】
しかも、上記流体に含有された微粒子の粒径は、φ30nm以下であるので、微粒子自体の帯電による影響を軽減することができるので、液滴に微粒子が含まれていても、安定して吐出させることができるという効果を奏する。
【0167】
また、微粒子自体の帯電の影響が軽減されるので、従来のように、微粒子の帯電を利用して流体を吐出させる場合のように、粒径が小さいときに微粒子の移動が遅くなるようなことはない。したがって、微粒子が含まれた流体、例えばインクであっても、記録速度を低下させることはない。
【0168】
また、上記流体に含有された微粒子の粒径は、φ1nm以上φ10nm以下であることが好ましい。
【0169】
さらに、上記ノズルの流体吐出孔の直径が、φ0.2μm以上φ4μm以下に設定されていてもよい。
【0170】
この場合、ノズルの流体吐出孔の直径が、φ0.2μm以上φ4μm以下に設定されていることで、電界集中が極端に大きくなり最大電界強度を高くすることができる。この結果、直径の小さな微小な液滴を安定して吐出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるインクジェット装置の概略構成断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、図1に示すインクジェット装置におけるインクのメニスカスの挙動を説明する図である。
【図3】(a)は、ノズルと対向電極との距離が2000μmのときのノズル中心からの距離と対向電極からの距離との関係を示すグラフであり、(b)は、ノズルと対向電極との距離が100μmのときのノズル中心からの距離と対向電極からの距離との関係を示すグラフである。
【図4】(a)は、ノズルと対向電極との距離が2000μmのときのノズル中心からの距離と対向電極からの距離との関係を示すグラフであり、(b)は、ノズルと対向電極との距離が100μmのときのノズル中心からの距離と対向電極からの距離との関係を示すグラフである。
【図5】(a)は、ノズルと対向電極との距離が2000μmのときのノズル中心からの距離と対向電極からの距離との関係を示すグラフであり、(b)は、ノズルと対向電極との距離が100μmのときのノズル中心からの距離と対向電極からの距離との関係を示すグラフである。
【図6】(a)は、ノズルと対向電極との距離が2000μmのときのノズル中心からの距離と対向電極からの距離との関係を示すグラフであり、(b)は、ノズルと対向電極との距離が100μmのときのノズル中心からの距離と対向電極からの距離との関係を示すグラフである。
【図7】(a)は、ノズルと対向電極との距離が2000μmのときのノズル中心からの距離と対向電極からの距離との関係を示すグラフであり、(b)は、ノズルと対向電極との距離が100μmのときのノズル中心からの距離と対向電極からの距離との関係を示すグラフである。
【図8】(a)は、ノズルと対向電極との距離が2000μmのときのノズル中心からの距離と対向電極からの距離との関係を示すグラフであり、(b)は、ノズルと対向電極との距離が100μmのときのノズル中心からの距離と対向電極からの距離との関係を示すグラフである。
【図9】ノズル径と最大電界強度との関係を示すグラフである。
【図10】ノズル径と各種電圧との関係示すグラフである。
【図11】ノズル径と強電界領域との関係を示すグラフである。
【図12】印加電圧と帯電電荷量との関係を示すグラフである。
【図13】初期吐出液滴径と乾燥時間との関係を示すグラフである。
【図14】周囲湿度と乾燥時間との関係を示すグラフである。
【図15】本発明の他の実施の形態にかかるインクジェット装置の概略構成断面図である。
【図16】本発明の原理を説明する図である。
【図17】従来の静電吸引型インクジェット装置の概略構成断面図である。
【図18】(a)〜(c)は、図17に示すインクジェット装置におけるインクのメニスカスの挙動を説明する図である。
【図19】従来の他の静電吸引型インクジェット装置の概略構成図である。
【図20】図19に示すインクジェット装置のノズル部分の概略断面斜視図である。
【図21】図19に示すインクジェット装置のインク吐出原理を説明する図である。
【図22】図19に示すインクジェット装置のノズル部分での電圧印加時における微粒子の状態を説明する図である。
【図23】図19に示すインクジェット装置のノズル部分における微粒子体形成の原理を説明する図である。
【図24】(a)〜(c)は、図19に示すインクジェット装置におけるインクのメニスカスの挙動を説明する図である。
【符号の説明】
1  インク室
2  インク(流体)
3  液滴
4  ノズル
4a 先端部
4b インク吐出孔(流体吐出孔)
5  パッキン
6  インク供給路
7  対向電極
8  被記録媒体
9  静電界印加用電極
10 プロセス制御部(印加電圧制御手段)
12 ポンプ
13 プロセス制御部
14 メニスカス部
14a メニスカス
14b メニスカス
14c メニスカス

Claims (4)

  1. 微粒子を含み電圧印加により帯電された流体を、絶縁材料からなるノズルの流体吐出孔から静電吸引により液滴の状態で吐出させる静電吸引型流体ジェット装置において、
    上記ノズルの流体吐出孔の直径が、φ8μm以下に設定され、
    上記流体に含有された微粒子の粒径は、φ30nm以下であることを特徴とする静電吸引型流体ジェット装置。
  2. 微粒子を含み電圧印加により帯電された流体を、絶縁材料からなるノズルの流体吐出孔から静電吸引により液滴の状態で吐出させる静電吸引型流体ジェット装置において、
    上記ノズルの流体吐出孔の直径が、吐出直後の流体の液滴直径と同等以下に設定され、
    上記流体に含有された微粒子の粒径は、φ30nm以下であることを特徴とする静電吸引型流体ジェット装置。
  3. 上記流体に含有された微粒子の粒径は、φ1nm以上φ10nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電吸引型流体ジェット装置。
  4. 上記ノズルの流体吐出孔の直径が、φ0.2μm以上φ4μm以下に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の静電吸引型流体ジェット装置。
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