以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態によるコイル部品100の外観構造を示す略斜視図である。
図1に示すように、本実施形態によるコイル部品100はコモンモードフィルタであって、磁性基板11と、磁性基板11の一方の主面に設けられたコモンモードフィルタ素子を含む薄膜コイル層12と、薄膜コイル層12の主面に設けられた第1〜第4バンプ電極13a〜13dと、バンプ電極13a〜13dの形成位置を除いた薄膜コイル層12の主面に設けられた磁性樹脂層14とを備えている。図示のように、コイル部品100は略直方体状の表面実装型チップ部品であり、上面10a、底面10b、チップ部品の長手方向と直交する側面10c,10d、チップ部品の長手方向と平行な側面10e,10fを有している。なお、図1のコイル部品100は底面10b(実装面)が上向きの状態であり、実装時には上下反転し、バンプ電極13a〜13d側を下向きにして使用される。
磁性基板11は、コイル部品100の機械的強度を確保すると共に、コモンモードフィルタの閉磁路としての役割を果たすものである。磁性基板11の材料としては例えば焼結フェライト等の磁性セラミック材料を用いることができる。特に限定されるものではないが、チップサイズが0.65×0.50×0.30(mm)であるとき、磁性基板11の厚さは0.2mm程度とすることができる。
薄膜コイル層12は、磁性基板11と磁性樹脂層14との間に設けられたコモンモードフィルタ素子を含む層である。詳細は後述するが、薄膜コイル層12は絶縁層と導体パターンとを交互に積層して形成された多層構造を有している。このように、本実施形態によるコイル部品100はいわゆる薄膜タイプであって、磁性コアに導線を巻回した構造を有する巻線タイプとは区別されるものである。
第1〜第4のバンプ電極13a〜13dは、コモンモードフィルタ素子の外部端子電極であり、磁性基板11、薄膜コイル層12及び磁性樹脂層14からなる積層体の底面及び外周面に露出している。特に、第1〜第4のバンプ電極13a〜13dは、直方体状の積層体のコーナー部に設けられており、積層体の底面及び2つの側面を露出面とする3つの電極面を有している。積層体の外周面に露出するバンプ電極の2つの電極面の位置は、各バンプ電極が形成されているコーナー部の位置によって異なる。第1のバンプ電極13aは、積層体の側面10c及び側面10eに露出面を有し、第2のバンプ電極13bは、積層体の側面10c及び側面10fに露出面を有する。また、第3のバンプ電極13cは、積層体の側面10d及び側面10eに露出面を有し、第4のバンプ電極13dは、積層体の側面10d及び側面10fに露出面を有する。
各バンプ電極13a〜13dの電極面が底面及び1つの側面に設けられており、2面の電極面からなる場合(図20参照)、チップサイズを小さくしようとすると隣接するバンプ電極間が非常に近くなるため、バンプ電極間の半田ブリッジによるショートが問題となる。しかし、バンプ電極をコーナー部に設けた場合には、バンプ電極間を遠ざけることができ、半田ブリッジによるショートを防止することができる。また、互いに直交する2つの側面からバンプ電極の電極面が露出しているので、半田実装時において半田フィレット形成領域を広く且つ多面的に確保することができ、プリント基板上へのチップ部品の固着強度を高めることができる。
第1〜第4のバンプ電極13a〜13dは、薄膜コイル層12に形成されたコモンモードフィルタ素子の対応する端子電極24a〜24dと一体的に形成されている。すなわち、薄膜コイル層12内の各端子電極24a〜24dは、実質的には対応するバンプ電極13a〜13dの一部である。各端子電極24a〜24dは、各バンプ電極13a〜13dが有する2つの側面を薄膜コイル層12にまで延ばしてその露出面積を拡大させる役割を果たす。そのため、各端子電極24a〜24dはいずれも2つの露出面を有し、それらは対応するバンプ電極13a〜13dの2つの露出面と同じ側面に設けられている。
本実施形態において、端子電極24aは、側面11cに露出面を有する電極部(第1の電極部)24a1と、側面11cと直交する側面11eに露出面を有する電極部(第2の電極部)24a2との組み合わせからなり、端子電極24bは、側面11cに露出面を有する電極部(第1の電極部)24b1と、側面11cと直交する側面11fに露出面を有する電極部(第2の電極部)24b2との組み合わせからなる。また、端子電極24cは、側面11dに露出面を有する電極部(第1の電極部)24c1と、側面11dと直交する側面11eに露出面を有する電極部(第2の電極部)24c2との組み合わせからなり、端子電極24dは、側面11dに露出面を有する電極部(第1の電極部)24d1と、側面11dと直交する側面11fに露出面を有する電極部(第2の電極部)24d2との組み合わせからなる。このように、各バンプ電極13a〜13dの側面の露出面積を広く確保することにより、表面実装時のフィレットの形成面を十分に確保することができる。
磁性樹脂層14は、コイル部品100の実装面を構成する層であり、磁性基板11と共に薄膜コイル層12を保護すると共に、コイル部品100の閉磁路としての役割を果たすものである。ただし、磁性樹脂層14の機械的強度は磁性基板11よりも小さいため、強度面では補助的な役割を果たす程度である。磁性樹脂層14としては、フェライト粉を含有するエポキシ樹脂(複合フェライト)を用いることができる。特に限定されるものではないが、チップサイズが0.65×0.50×0.30(mm)であるとき、磁性樹脂層14の厚さは0.08〜0.1mm程度とすることができる。
磁性樹脂層14は、バンプ電極13a〜13dの形成領域を除いた薄膜コイル層12の主面に形成されており、主面の中央部に設けられたセンター樹脂部14mと、主面のコーナー部に設けられた4つのコーナー樹脂部14a〜14dを含む。各バンプ電極13a〜13dのコーナー部には切り欠き部(電極非形成部)が設けられており、この切り欠き部内にコーナー樹脂部14a〜14dが設けられている。コーナー樹脂部14a〜14dは、バンプ電極13a〜13dと同様、底面及び2つの側面に露出面を有している。このように、バンプ電極の厳密な形成位置は、積層体のコーナー部というよりむしろコーナー部付近であり、積層体の厳密なコーナー部には磁性樹脂層14の一部が設けられている。
コーナー樹脂部14a〜14dは、本来の磁性樹脂層14の機能に加えて、バンプ電極加工時のバリの発生を防止する機能を有している。後述するように、本実施形態によるコイル部品100は、一枚の磁性基板(ウェハー)上に複数のコモンモードフィルタ素子を形成した後、個々の素子を切断して固片化することにより作製される。このとき、コーナー樹脂部がなく、コーナー部の全体が電極面となっている場合、ダイシングしたときに電極のエッジにバリが発生しやすい。このようなバリは除去しなければならないことから、工数の増加により製造コストが増加するという問題がある。しかし、本実施形態によれば、コーナー樹脂部14a〜14dを設けているので、バンプ電極13a〜13dのバリの発生を防止することができる。
図2は、コイル部品100の層構造を詳細に示す略分解斜視図である。
図2に示すように、薄膜コイル層12は、磁性基板11側から磁性樹脂層14側に向かって順に積層された絶縁層15a〜15dと、絶縁層15b上に形成された第1のスパイラル導体16と、絶縁層15a上に形成された第2のスパイラル導体17と、絶縁層15c上に形成された第1及び第2の引き出し導体20,21とを備えている。
絶縁層15a〜15dは、異なる層に設けられた導体パターン間を絶縁すると共に、導体パターンが形成される平面の平坦性を確保する役割を果たす。特に、絶縁層15aは、磁性基板11の表面の凹凸を吸収し、導体パターンの加工精度を高める役割を果たす。絶縁層15a〜15dの材料としては、電気的及び磁気的な絶縁性に優れ、加工の容易な樹脂を用いることが好ましく、特に限定されるものではないが、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂を用いることができる。
第1のスパイラル導体16の内周端は、絶縁層15cを貫通する第1のコンタクトホール導体18及び第1の引き出し導体20を介して、第1の端子電極24a1に接続されている。また、第1のスパイラル導体16の外周端は、絶縁層15b上において第1のスパイラル導体16と一体的に形成された第3の引き出し導体22を介して第3の端子電極24c1に接続されている。
第2のスパイラル導体17の内周端は、絶縁層15c及び15bを貫通する第2のコンタクトホール導体19及び第2の引き出し導体21を介して、第2の端子電極24b1に接続されている。また、第2のスパイラル導体17の外周端は、絶縁層15a上において第2のスパイラル導体17と一体的に形成された第4の引き出し導体23を介して第4の端子電極24d1に接続されている。
第1及び第2のスパイラル導体16,17は共に同一の平面形状を有しており、しかも平面視で同じ位置に設けられている。第1及び第2のスパイラル導体16,17は完全に重なり合っていることから、両者の間には強い磁気結合が生じている。以上の構成により、薄膜コイル層12内の導体パターンはコモンモードフィルタを構成している。
第1及び第2のスパイラル導体16,17の外形は共に円形スパイラルである。円形スパイラル導体は高周波での減衰が少ないため、高周波用インダクタンスとして好ましく用いることができる。なお、本実施形態においては、第2の引き出し導体21が第1の引き出し導体20と共通の絶縁層15c上に設けられているが、第1の引き出し導体20と異なる絶縁層上に設けられていてもよい。さらに、本発明においては、第1及び第2のスパイラル導体16,17と第1及び第2の引き出し導体20,21の上下関係は特に限定されず、どのような位置関係であってもかまわない。
各絶縁層15a〜15dの中央領域であって第1及び第2のスパイラル導体16,17の内側には、各絶縁層15a〜15dを貫通する開口25mが設けられており、開口25mの内部には、磁路を形成するための磁性コア26が形成されている。磁性コア26の材料としては、磁性樹脂層14と同一の材料である磁性粉含有樹脂(複合フェライト)を用いることが好ましい。磁性コア26の材料として磁性樹脂層14と同一材料を用いた場合、開口25mの内部に磁性樹脂層14の材料の一部が埋め込まれることにより、磁性コア26が磁性樹脂層14と一体的に形成されるが、図2では磁性コア26と磁性樹脂層14とを分離した状態で図示している。
各絶縁層15a〜15dの外周部には、第1のバンプ電極13aに対応する一対の電極部24a1,24a2と、第2のバンプ電極13bに対応する一対の電極部24b1,24b2と、第3のバンプ電極13cに対応する一対の電極部24c1,24c2と、第4のバンプ電極13dに対応する一対の電極部24d1,24d2が設けられている。このうち、絶縁層15aに形成された電極部24a1〜24d1,24a2〜24d2は、スパイラル導体17等と共に当該絶縁層15aの表面に形成されており、絶縁層15aを貫通していない。
一方、絶縁層15b,15c,15dにそれぞれ形成された電極部24a1〜24d1,24a2〜24d2は、当該絶縁層15b,15cを貫通する開口25a1〜25d1,25a2〜25d2の内部に埋め込まれており、各電極部は絶縁層を貫通している。なお、図2では、絶縁層15b,15cの電極部が開口25a1〜25d1,25a2〜25d2の内部に既に埋め込まれた状態が示されており、開口の符号は省略されている。
絶縁層15b,15cの電極部は、開口の内部を導体で埋めることにより形成されるが、特に、コンタクトホール導体18,19を形成する工程と同じ工程によって形成されるものである。なお、各開口はその中空部が側面から露出しており、実質的には切り欠き構造である。
絶縁層15dの電極部24a1〜24d1,24a2〜24d2もまた、開口25a1〜25d1,25a2〜25d2の内部を電極材料で埋めることにより形成されるが、これらの電極部は、バンプ電極13a〜13dの形成時にこれらと一体的に形成される。図2において、絶縁層15dに形成される電極部24a1〜24d1,24a2〜24d2は開口25a1〜25d1,25a2〜25d2に埋め込まれておらず、しかも対応するバンプ電極13a〜13dと分離して記載しているが、実際の電極部24a1〜24d1,24a2〜24d2は、開口の内部に埋め込まれており、対応するバンプ電極13a〜13dと一体化されている。なお、ここでいう一体化とは、少なくとも互いに電気的接続がとれる程度に接触している状態を含むものである。
端子電極24aは、側面10cに露出する電極部24a1と、側面10eに露出する電極部24a2を有しており、一方の電極部24a1は、引き出し導体20及びスルーホール導体18を介してスパイラル導体16に接続されている。すなわち、電極部24a1はスパイラル導体16に直接接続されている。これに対し、他方の電極部24a2は、引き出し導体20に直接接続されておらず、対応するバンプ電極13a及び電極部24a1を介して、引き出し導体20に接続されている。すなわち、電極部24a2はスパイラル導体16に直接接続されていない。
端子電極24bは、側面10cに露出する電極部24b1と、側面10eに露出する電極部24b2を有しており、一方の電極部24b1は、引き出し導体20及びスルーホール導体18を介してスパイラル導体17に接続されている。すなわち、電極部24b1はスパイラル導体17に直接接続されている。これに対し、他方の電極部24b2は、引き出し導体20に直接接続されておらず、対応するバンプ電極13b及び電極部24b1を介して、引き出し導体20に接続されている。すなわち、電極部24b2はスパイラル導体17に直接接続されていない。
端子電極24cは、側面10cに露出する電極部24c1と、側面10eに露出する電極部24c2を有しており、一方の電極部24c1は、引き出し導体20及びスルーホール導体18を介してスパイラル導体16に接続されているが、他方の電極部24c2は、引き出し導体20に直接接続されておらず、対応するバンプ電極13c及び電極部24c1を介して、引き出し導体20に接続されている。
端子電極24dは、側面10cに露出する電極部24d1と、側面10eに露出する電極部24d2を有しており、一方の電極部24d1は、引き出し導体20及びスルーホール導体18を介してスパイラル導体16に接続されているが、他方の電極部24d2は、引き出し導体20に直接接続されておらず、対応するバンプ電極13d及び電極部24d1を介して、引き出し導体20に接続されている。
本実施形態のように、端子電極が薄膜コイル層12の開口の内部に埋め込まれ、隣接する2つの側面から露出していることにより、各バンプ電極13a〜13dの側面の露出面積を広く確保することができ、表面実装時のフィレットの形成面を十分に確保することができる。また特別な工程を経ることなく、コモンモードフィルタ素子の端子電極とバンプ電極とを一体的に形成することができる。
絶縁層15d上には第1〜第4のバンプ電極13a〜13dがそれぞれ設けられている。第1のバンプ電極13aは端子電極24a1を介して第1の引き出し導体20の端部に接続され、第2のバンプ電極13bは端子電極24b1を介して第2の引き出し導体21の端部に接続され、第3のバンプ電極13cは端子電極24c1を介して第3の引き出し導体22の端部に接続され、第4のバンプ電極13dは端子電極24d1を介して第4の引き出し導体23の端部に接続されている。なお、本明細書において「バンプ電極」とは、フリップチップボンダーを用いてCu,Au等の金属ボールを熱圧着することにより形成されるものとは異なり、めっき処理により形成された厚膜めっき電極を意味する。特に限定されるものではないが、バンプ電極の材料としてはCuを用いることが好ましい。バンプ電極の厚さは、磁性樹脂層14の厚さと同等かそれ以上であり、0.08〜0.1mm程度とすることができる。すなわち、バンプ電極13a〜13dの厚さは薄膜コイル層12内の導体パターンよりも厚く、特に、薄膜コイル層12内の導体パターンの5倍以上の厚さを有している。
第1〜第4のバンプ電極13a〜13dが形成された絶縁層15d上には磁性樹脂層14が形成されている。上記のように、磁性樹脂層14はセンター樹脂部14mと4つのコーナー樹脂部14a〜14dからなり、バンプ電極13a〜13dの周囲を埋めるように設けられている。
図3は、薄膜コイル層12内の導体パターンとバンプ電極13a〜13dとの位置関係を示す略平面図である。
図3に示すように、第1及び第2のスパイラル導体16,17は、平面視にて完全に重なり合っているので、両者の間には強い磁気結合が生じている。また、本実施形態においては、第1〜第4のバンプ電極13a〜13dの一部がスパイラル導体16,17と重なっている。プリント基板への半田実装を確実にするためには、バンプ電極13a〜13dの実装面側の面積をある程度確保しなければならないが、バンプ電極13a〜13dがスパイラル導体16,17と重なるように配置した場合には、チップ面積を大きくすることなく電極面積を確保することができる。
また図示のように、バンプ電極13a〜13dの側面のうち磁性樹脂層14のセンター樹脂部14m及びコーナー樹脂部14a〜14dと対面する部分は、エッジのない曲面形状であることが好ましい。詳細は後述するが、磁性樹脂層14は、バンプ電極13を形成した後、複合フェライトのペーストを流し込むことにより形成されるが、このときバンプ電極13a〜13dの側面にエッジの効いたコーナー部があるとバンプ電極の周囲にペーストが完全に充填されず、気泡を含む状態となりやすい。しかし、バンプ電極13a〜13dの側面が湾曲面である場合には、流動性のある樹脂が隅々まで行き渡るので、気泡を含まない緻密な絶縁樹脂層を形成することができる。しかも、磁性樹脂層14とバンプ電極13a〜13dとの密着性が高まるので、バンプ電極13a〜13dに対する補強性を高めることができる。
以上説明したように、本実施形態によるコイル部品100は、薄膜コイル層12の片側にのみ磁性基板11が設けられ、反対側の絶縁基板が省略され、その代わりに磁性樹脂層14が設けられているので、薄型なチップ部品を低コストで提供することができる。また、磁性樹脂層14と同等な肉厚を有するバンプ電極13a〜13dを設けたことにより、チップ部品の側面や上下面に外部電極面を形成する工程を省略することができ、外部電極を容易且つ高精度に形成することができる。さらに、本実施形態によれば、バンプ電極13a〜13dの一部がコイル導体パターンと平面視にて重なるように設けられていることから、チップ部品の小型化を図ることができる。
さらに、本実施形態によるコイル部品100は、バンプ電極がチップ部品のコーナー部付近に設けられ、各バンプ電極は積層体の底面及び2つの側面から露出する3面の電極面を有するので、プリント基板上への半田実装時の固着強度を高めることができると共に、隣接するバンプ電極間の半田ブリッジの問題を回避することができる。また、バンプ電極の電極面をコーナー部の3面の全面に形成した場合にはその加工時にバリが発生しやすいが、バンプ電極のコーナー部に切り欠き部を設け、この切り欠き部にコーナー樹脂部14a〜14dを設けているので、バンプ電極加工時のバリの発生を防止することができる。
次に、コイル部品100の製造方法について詳細に説明する。コイル部品100の製造では、一枚の大きな磁性基板(磁性ウェハー)上に多数のコモンモードフィルタ素子(コイル導体パターン)を形成した後、各素子を個別に切断することにより多数のチップ部品を製造する量産プロセスが実施される。
図4は、コイル部品100の製造方法を示すフローチャートである。また、図5〜図12は、コイル部品100の製造方法を説明するための図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のX−X線に沿った断面図である。
図4及び図5に示すように、コイル部品100の製造では、まず磁性ウェハー11を用意し(ステップS11)、磁性ウェハー11の表面に多数のコモンモードフィルタ素子がレイアウトされた薄膜コイル層12を形成する(ステップS12)。
薄膜コイル層12はいわゆる薄膜工法によって形成される。ここで、薄膜工法とは、感光性樹脂を塗布し、これを露光及び現像して絶縁層を形成した後、絶縁層の表面に導体パターンを形成する工程を繰り返すことにより、絶縁層及び導体層が交互に形成された多層膜を形成する方法である。以下、薄膜コイル層12の形成工程について詳細に説明する。
薄膜コイル層12の形成では、まず絶縁層15aを形成した後、絶縁層15aの表面に第2のスパイラル導体17、引き出し導体23及び端子電極24a〜24dを形成する。次に、絶縁層15a上に絶縁層15bを形成した後、絶縁層15bの表面に第1のスパイラル導体16及び引き出し導体22を形成し、さらに絶縁層15bを貫通するコンタクトホール導体18,19及び端子電極24a〜24dを形成する。次に、絶縁層15b上に絶縁層15cを形成した後、絶縁層15cの表面に引き出し導体20,21及び端子電極24a〜24dを形成し、さらに絶縁層15cを貫通するコンタクトホール導体18,19及び端子電極24a〜24dをそれぞれ形成する。最後に、絶縁層15dを形成し、薄膜コイル層12が完成する。
ここで、各絶縁層15a〜15dは、下地面に感光性樹脂をスピンコートし、これを露光及び現像することにより形成することができる。特に、絶縁層15a〜15dは開口25mを有する絶縁層として形成され、絶縁層15b,15c,15dは端子電極用の開口25f〜25iを有する絶縁層として形成され、絶縁層15b,15cはコンタクトホール導体18,19を有する絶縁層として形成される。絶縁層15b,15cの開口25f〜25iの内部には端子電極材料が埋め込まれている。開口25f〜25i内の電極材料は、コンタクトホール導体18,19の形成時に埋め込まれたものである。また、導体パターンの材料としてはCu等を用いることができ、蒸着法又はスパッタリングにより導体層を形成した後、これをパターニングすることにより形成することができる。
ここで、開口25fは、Y−Y方向に隣接する2つのチップ部品のうち、一方のチップ部品に形成された開口25a1(図2参照)と他方のチップ部品に形成された開口25c1が一体化したものであり、開口25fがX−X線に沿って切断されて2分割されることで開口25a1及び開口25c1がそれぞれ形成される。また、開口25gは、Y−Y方向に隣接する2つのチップ部品のうち、一方のチップ部品に形成された開口25b1と他方のチップ部品に形成された開口25d1が一体化したものであり、開口25gがX−X線に沿って切断されて2分割されることで開口25b1及び開口25d1がそれぞれ形成される。
また、開口25hは、X−X方向に隣接する2つのチップ部品のうち一方のチップ部品の開口25a2と他方のチップ部品の開口25b2が一体化したものであり、開口25fがY−Y線に沿って切断されて2分割されることで開口25a2及び開口25b2がそれぞれ形成される。また、開口25iは、X−X方向に隣接する2つのチップ部品のうち一方のチップ部品の開口25c2と他方のチップ部品の開口25d2が一体化したものであり、開口25gがY−Y線に沿って切断されて2分割されることで開口25c2及び開口25d2がそれぞれ形成される。
次に、絶縁層15d上にバンプ電極13a〜13dの基礎となるバンプ電極部材13を形成する(ステップS13)。バンプ電極部材13の形成方法は、まず図6に示すように、端子電極24a〜24dが露出した絶縁層15dの全面にCu膜31をスパッタリングにより形成し、その後、シートレジスト32を貼り付ける。Cu膜31は無電解めっきや蒸着法で形成してもよい。このとき、絶縁層15dの開口25f〜25i(図5参照)の内部にCu膜31が入り込む。次に、図7に示すように、シートレジスト32を露光及び現像することにより、バンプ電極13a〜13dを形成すべき位置にあるシートレジスト32を選択的に除去し、絶縁層15d上のバンプ電極形成領域を露出させる。
シートレジスト32に形成された開口パターン32aは、周囲に割り当てられた4つのチップ部品に共通のバンプ電極部材の形成領域であり、略円環状(ドーナツ状)を有している。また、シートレジスト32が残された領域(パターン暗部)は磁性樹脂層14の形成領域であり、特に、開口パターン32aの周囲に残されたレジストの領域はセンター樹脂部14mの形成領域であり、開口パターン32a内の中心部に残されたレジストの領域はコーナー樹脂部14a〜14dの集合体の形成領域である。
次に、図8に示すように、この露出領域にバンプ電極材料としてのCuを電気めっきにより形成する。このとき、絶縁層15dの開口25f〜25i(図5参照)の内部でもCu膜31が成長し、バンプ電極材料が埋め込まれる。その後、図9に示すように、シートレジスト32を除去し、全面をエッチングして不要なCu膜31を除去することにより、略柱状のバンプ電極部材13が形成される。このとき、バンプ電極部材13は、4つのチップ部品に共通の電極部材として形成され、特に、ドーナツ状のバンプ電極部材13の中空部は、4つのチップ部品に共通のセンター樹脂部の埋め込み領域である。バンプ電極部材13は後述のダイシングによって4分割され、これにより各素子に対応する個別のバンプ電極13a〜13dが形成される。
次に、図10に示すように、バンプ電極部材13が形成された磁性ウェハー上に複合フェライトのペーストを充填し、硬化させて、磁性樹脂層14を形成する(ステップS14)。このとき、磁性樹脂層14を確実に形成するため多量のペーストが充填され、これによりバンプ電極部材13は樹脂内に埋没された状態となる。そのため、図11に示すように、バンプ電極部材13の上面が露出するまで磁性樹脂層14を研磨して所定の厚さにすると共に表面を平滑化する(ステップS15)。さらに、磁性ウェハー11についても所定の厚さとなるように研磨する(ステップS16)。
次に、磁性ウェハーのダイシングによって各コモンモードフィルタ素子を個片化(チップ化)する(ステップS17)。図11に示すように、チップ部品の長手方向(Y方向)と短手方向(X方向)にそれぞれ延びる切断ラインC1はドーナツ状のバンプ電極部材13の中心を通過し、得られたバンプ電極13a〜13dの切断面は、コイル部品100の互いに直交する2つ側面から露出することになる。さらに、ダイシングによって端子電極部材も分割され、積層体の2つの側面に露出面を有する端子電極24a〜24dが形成される。バンプ電極13a〜13dの2つの側面(端子電極の側面を含む)は実装時に半田フィレットの形成面となるので、半田フィレット形成領域を広く且つ多面的に確保でき、半田実装時の固着強度を高めることができる。
次に、チップ部品のバレル研磨を行ってエッジを除去した後(ステップS18)、電気めっきを行い(ステップS19)、薄膜コイル層12の側面に露出するバンプ電極13a〜13d及び端子電極24a〜24dの表面を平滑化し、これにより図1に示すバンプ電極13a〜13dが完成する。このように、チップ部品の外表面をバレル研磨することによりチップ欠け等の破損が生じにくいコイル部品を製造することができる。また、チップ部品の外周面に露出するバンプ電極13a〜13dの表面をめっき処理するため、バンプ電極13a〜13dの表面を平滑面とすることができる。
以上説明したように、本実施形態によるコイル部品100の製造方法は、従来において使用していた上下の磁性基板の一方を省略し、その代わりに絶縁樹脂層を形成することから、コイル部品を簡易且つ低コストで製造することができる。また、バンプ電極の周囲に樹脂を充填しているので、バンプ電極を補強することができ、バンプ電極の剥離等を防止することができる。また、本実施形態によるコモンモードフィルタの製造方法は、バンプ電極をめっきにより形成しているので、例えばスパッタリングで形成する場合よりも加工精度が高く安定した外部端子電極を提供することができる。
さらに、本実施形態によるコイル部品100の製造方法は、多数のコイル部品を製造する量産プロセスにおいて、切断ラインの交点に形成するフォトレジストの開口パターン32aをドーナツ状とし、この開口パターン32a内にバンプ電極部材13を形成し、さらにドーナツ形のバンプ電極部材13の周囲及び中空部に磁性ペーストを充填してセンター樹脂部14m及びコーナー樹脂部14a〜14dをそれぞれ形成するので、バンプ電極のコーナー部に磁性樹脂層の一部が設けられたコイル部品を容易に製造することができる。
さらに、本実施形態によれば、薄膜コイル層12の絶縁層15b〜15dを貫通する開口25f〜25iを開口25mと共に形成し、スパイラル導体等の導体パターンの形成時に開口25f〜25i内を導体で埋めているので、特別な工程を経ることなく、肉厚な端子電極24a〜24dを形成することができる。したがって、表面実装時のフィレットの形成面が十分に確保されたコイル部品を提供することができる。
図12は、本発明の第2の実施形態によるコイル部品200の構造を示す略斜視図である。
図12に示すように、本実施形態によるコイル部品200は、第1の実施形態によるコイル部品100においてコーナー樹脂部14a〜14dが取り除かれていることを特徴とするものである。そのため、各バンプ電極13a〜13dのコーナー部にはバンプ電極の切り欠き部13rが表出している。その他の構成はコイル部品100と実質的に同一であるため、同一の構成要素に同一の符号を付して詳細な説明を省略する。本実施形態によるコイル部品200は、第1の実施形態によるコイル部品100と同様、半田ブリッジによるバンプ電極間のショートを防止しつつ、半田実装時の固着強度を高めることができる。特に、それまでコーナー樹脂部に覆われていた部分までもが電極面として露出することになるので、半田実装時の固着強度を十分に高めることができる。
本実施形態によるコイル部品200は、第1の実施形態によるコイル部品100を一度完成させた後、コーナー樹脂部14a〜14dを取り除く工程を経ることによって製造することができる。コーナー樹脂部14a〜14dはダイシング後に除去されるので、ダイシング時にバンプ電極のバリの発生を防止するための部材として有効に機能させることができる。
図13は、本発明の第3の実施形態によるコイル部品300の構造を示す略斜視図である。
図13に示すように、本実施形態によるコイル部品300は、第1の実施形態によるコイル部品200と異なり、コーナー樹脂部14a〜14dが存在せず、さらに第2の実施形態によるコイル部品200のようなコーナー樹脂部14a〜14dの形成領域としての切り欠き部13rも存在しない。すなわち、各バンプ電極13a〜13dはコーナー部の先端を含むコーナー部全体に形成されている。またこのようなバンプ電極の形状に伴い、端子電極24a〜24bは2つの側面に露出面を有する1つのL字状の電極形状を有している。
図13に示すように、コーナー部の全体にバンプ電極が形成されている場合には、チップ部品の個片化の際にバンプ電極のバリが発生し易い。しかしながら、以下に示す製造方法によってバンプ電極のバリの発生を防止することが可能である。
図14及び図15は、本発明の第3の実施形態によるコイル部品300の製造方法を説明するための図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のX−X線に沿った断面図である。
コイル部品300の製造では、まず図5及び図6に示した工程を経て、端子電極24a〜24dが露出した絶縁層15dの全面にCu膜31をスパッタリングにより形成し、その後、シートレジスト32を貼り付ける。Cu膜31は無電解めっきや蒸着法で形成してもよい。
次に、図14に示すように、シートレジスト32を露光及び現像することにより、バンプ電極13a〜13dを形成すべき位置にあるシートレジスト32を選択的に除去し、絶縁層15d上のバンプ電極形成領域を露出させる。
シートレジスト32に形成された開口パターン32aは、周囲に割り当てられた4つのチップ部品に共通のバンプ電極部材の形成領域であり、略円環状(ドーナツ状)を有している。また、シートレジスト32が残された領域(パターン暗部)は磁性樹脂層14の形成領域であり、特に、開口パターン32aの周囲に残されたレジストの領域はセンター樹脂部14mの形成領域であり、開口パターン32a内の中心部に残されたレジストの領域はコーナー樹脂部14a〜14dの集合体の形成領域である。
本実施形態において、コーナー樹脂部14a〜14dの集合体の形成領域は略正方形であり、そのコーナーはX方向及びY方向を向いている。詳細は後述するが、正方形の大きさは、その対角の半分の長さが切断刃の幅(切りしろ)とほぼ同一となるように設定されている。
その後、図8〜図11に示した工程を経て、図15に示すように、バンプ電極13及び磁性樹脂層14を形成する。
図16は、絶縁樹脂層14の切断状態を説明するための略平面図である。
図16に示すように、コーナー樹脂部14a〜14dの集合体14uの平面形状は略正方形であり、これをX方向及びY方向に沿って切断すると、集合体14uは切断刃の幅Wの分だけ研削されて消滅し、残骸として残らない。また同時に、端子電極24a〜24dも2つの露出面を有するL字状の電極として形成される。したがって、図13に示すようなコイル部品300を作製することができ、また切断時にはコーナー樹脂部14a〜14dの集合体14uが存在していることから、バンプ電極のバリの発生を防止することができる。
図17は、比較例による絶縁樹脂層14の切断状態を説明するための略平面図である。
図17に示すように、各辺がX方向又はY方向と平行な矩形パターンからなるコーナー樹脂部14a〜14dの集合体14uにおいて、その一辺が切断刃の幅Wよりも広い場合には、図1のように磁性樹脂層14がコーナー樹脂部14a〜14bとして残るか、或いはコーナー樹脂部14a〜14bは除去されたとしても、各バンプ電極13a〜13dのコーナー部にバンプ電極の切り欠き部13rが表出することになる(図12参照)。
図18は、図16に示したコーナー樹脂部の集合体14uの平面パターンの変形例を示す略平面図である。
図18に示すように、このコーナー樹脂部の集合体14uは円形パターンからなり、その直径Rは、切断刃の幅Wの約0.7倍(1/√2)に設定されている。そのため、X方向及びY方向に沿って切断すると、円形のコーナー樹脂部14a〜14dの集合体14uは切断刃の幅Wの分だけ研削されて消滅し、残骸として残らない。したがって、図13に示すようなコイル部品300を作製することができ、その際、切断時にはコーナー樹脂部14a〜14dの集合体14uが存在していることから、バンプ電極のバリの発生を防止することができる。
図19は、本発明の第4の実施形態によるコイル部品400の層構造を詳細に示す略分解斜視図である。
図19に示すように、本実施形態によるコイル部品400の特徴は、コモンモードフィルタ素子を構成する2つのコイルの各々が2層のコイル層の組み合わせによって構成されている点にある。そのため、コイル部品400の薄膜コイル層12は、磁性基板11側から磁性樹脂層14側に向かって順に積層された絶縁層15a〜15eと、絶縁層15b上に形成された第1のスパイラル導体16Aと、絶縁層15a上に形成された第2のスパイラル導体17Aと、絶縁層15d上に形成され、第1のスパイラル導体16Aと直列接続された第3のスパイラル導体16Bと、絶縁層15c上に形成され、第2のスパイラル導体17Aと直列接続された第4のスパイラル導体17Bとを備えている。
第1のスパイラル導体16Aの内周端は、絶縁層15c,15dを貫通する第1のコンタクトホール導体18を介して、第3のスパイラル導体16Bの内周端に接続されており、第3のスパイラル導体16Bは、その内周端から外周端に向かって第1のスパイラル導体16Aと同じ向きで周回し、外周端は引き出し導体20を介して端子電極24aの電極部24a1に接続されている。また、第1のスパイラル導体16Aの外周端は、絶縁層15b上において第1のスパイラル導体16Aと一体的に形成された第3の引き出し導体22を介して端子電極24cの電極部24c1に接続されている。
第2のスパイラル導体17Aの内周端は、絶縁層15b,15cを貫通する第2のコンタクトホール導体19を介して、第4のスパイラル導体17Bの内周端に接続されており、第4のスパイラル導体17Bは、その内周端から外周端に向かって第1〜第3のスパイラル導体16A,16B,17Aと同じ向きで周回し、外周端は引き出し導体21を介して端子電極24cの電極部24c1に接続されている。また、第2のスパイラル導体17Aの外周端は、絶縁層15a上において第2のスパイラル導体17Aと一体的に形成された第4の引き出し導体23を介して第4の端子電極24dの電極部24d1に接続されている。
第1の実施形態によるコイル部品100では、第1及び第2の引き出し導体20,21を形成するためだけに絶縁層15cを設ける必要があり、絶縁層15cの面積を有効に利用することができなかった(図2参照)。しかし、本実施形態においては、引き出し導体のみが形成された絶縁層は無く、絶縁層を一層増やすだけで2つのコイルパターンの形成面積を約2倍に増やすことができる。これにより、全体のターン数を変えることなく一つの層に形成されるコイルのターン数を少なくし、その代わりにパターンの線幅を広くして直流抵抗RDCを低減することができ、コモンモードフィルタの特性を高めることができる。特に、絶縁層の総数を増やしたことにより、端子電極の厚みを大きくすることができ、表面実装時のフィレットの形成をさらに良好にすることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、それらも本発明に包含されるものであることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態においては、薄膜コイル層12の主面に複合フェライトからなる磁性樹脂層14を形成しているが、磁性を有しない単なる絶縁樹脂層を形成してもよい。また、コイル部品として薄膜コモンモードフィルタを例に挙げたが、本発明はコイル導体層の上下を磁性基板で挟み込むタイプの各種コイル部品に適用可能である。
また、上記実施形態においては、磁性コア26を設けているが、本発明において磁性コア26は必須でない。ただし、磁性コア26は磁性樹脂層14と同一材料で形成することができるので、開口25を形成しさえすれば、特別な工程を経由することなく、磁性コア26と磁性樹脂層14とを同時に形成することができる。
また、上記実施形態において、第1及び第2のスパイラル導体16,17は共に円形スパイラルであるが、矩形スパイラルであってもよい。矩形スパイラルであってもコモンモードフィルタを構成することができ、本発明による作用効果を奏することができる。
また、上記実施形態においては、ダイシング後にバレル研磨及びバンプ電極のめっき処理を行っているが、本発明においてこれらの工程は必須ではない。本発明ではドーナツ形のバンプ電極部材13の周囲及び中空部に磁性ペーストを充填してセンター樹脂部及びコーナー樹脂部をそれぞれ形成することが重要であり、これによりバンプ電極のコーナー部に磁性樹脂層の一部が設けられたコイル部品を容易に製造することができる。
また、図19に示すように、第4の実施形態においては、第2のスパイラル導体17A、第1のスパイラル導体16A、第4のスパイラル導体17B、第3のスパイラル導体16Bを下から順に積層しているが、スパイラル導体の積層の順番は特に限定されない。したがって、例えば、第2のスパイラル導体17A、第4のスパイラル導体17B、第1のスパイラル導体16A、第3のスパイラル導体16Bを下から順に積層してもよい。また、第1のスパイラル導体16A、第3のスパイラル導体16B、第2のスパイラル導体17A、第4のスパイラル導体17Bを下から順に積層してもよい。
また、上記実施形態による端子電極24a〜24dはいずれも積層体の2つの側面に露出面を有しているが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、積層体の少なくとも一方の側面に露出面を有していればよい。したがって、例えば、端子電極24a〜24dは、コイルの引き出し導体20〜23と直接接続された電極部24a1〜24d1のみで構成されていてもよい。