JP5671908B2 - 定着装置及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
特許文献2には、記録紙の搬送によって記録紙全域にレーザビームが照射できるように配置された複数のレーザ装置に対し、セルフォックレンズ等の集光光学系を複数配置し、レーザ装置から出射されたレーザビームを記録紙上に集光させて未定着トナーを定着させるようにしたレーザ定着方式が開示されている。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る定着装置において、前記反射部材は記録材に対向する反射面が円筒曲面を有するものであることを特徴とする定着装置である。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る定着装置において、前記レーザ光源は、前記照射領域における記録材面に直交する方向より前記反射部材の前記円筒曲面に沿って傾いた位置から前記照射領域に向かってレーザ光が照射される位置に配置されていることを特徴とする定着装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る定着装置において、レーザ光を透過すると共に、記録材の前記画像から蒸発する蒸発物が前記反射部材の前記反射面へ付着することを防ぐ防護部材を備えることを特徴とする定着装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに係る定着装置において、記録材の搬送方向における予め決められた画像長さの画像情報から、前記照射領域の延びる方向に沿った画像密度が予め定めた基準値を超えるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段の判別結果に基づいて前記画像密度が前記基準値を超える場合は、記録材の幅方向に対し傾斜する方向で且つ前記照射領域の延びる方向とは異なる方向での画像密度が前記基準値を超えない新たな照射領域の延びる方向を求め、前記照射領域が当該新たな照射領域になるように照射領域を変更する照射領域変更手段と、を備えることを特徴とする定着装置である。
請求項8に係る発明は、請求項7に係る画像形成装置において、搬送方向に沿って連続した記録材を用いることを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、定着時のレーザ光の利用効率が高められる。
請求項3に係る発明によれば、簡易な構造を採用しながら反射光を照射領域に対して効果的に再照射することができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、定着時のレーザ光の利用効率が更に高められる。
請求項5に係る発明によれば、反射部材での反射性能が長期に亘って維持される。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、安定した定着性能が消費電力を上げることなく維持される。
請求項7に係る発明によれば、記録材上の画像に対しレーザ光を用いて加熱溶融して定着するに際し、記録材での反射光をより有効に利用しながら、太線画像であっても低消費電力下での定着を実現できる画像形成装置を提供できる。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、低消費電力による安定した定着性が容易に維持される。
先ず、本発明が適用された定着装置の実施の形態モデルの概要について説明する。
図1(a)及び(b)は本発明を具現化する実施の形態モデルに係る定着装置を示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のB方向から見た図である。
定着装置は、画像が加熱定着可能な定着領域を横切るように予め決められた搬送方向に向かって画像が形成された記録材1を搬送する搬送手段2と、記録材1の搬送方向に交差する記録材1の幅方向に沿う予め決められた画像配列基準方向に対し傾斜して延びる定着領域としての照射領域IRを有し、この照射領域IRに向かってレーザ光Liを照射するレーザ光源3と、照射領域IRの幅狭方向を囲むように設けられ且つレーザ光源3から照射されたレーザ光Liによる当該照射領域IRの記録材1面からの反射光Lrが照射領域IRに向かって再照射されるように反射光Lrを反射する反射面4aを有する反射部材4と、を備えている。
また、使用する記録材1としては、代表的には連続紙(ロール紙)や枚葉紙(カット紙)が挙げられるが、紙媒体以外のフィルム媒体であってもよい。
また、レーザ光源3の代表的態様としては、レーザ光Liの発光部位が照射領域IRの延びる方向に沿って一列に複数設けられたアレイレーザタイプのものが挙げられる。
また、照射領域IRは、記録材1を横切る方向に沿って一直線状に設けられることが好ましいが、複数に分かれた直線状や山型形状であってもよい。更にまた、照射領域IRからの反射光Lrは散乱光も含むものを意味する。
図2は、画像として記録材1の搬送方向に交差する記録材1の幅方向に沿って直線状に形成された画像IMG(画像密度100%の画像を想定)と、照射領域IRとの関係を示したものであり、一般的な照射領域である照射領域IR’とを比較したものである。この場合、本例の照射領域IRは記録材1の幅方向から傾斜角θだけ傾斜しているのに対し、比較例の照射領域IR’は記録材1の幅方向に沿って設けられている。また、画像IMGの幅(記録材1の搬送方向に沿った長さ)は、照射領域IR,IR’の幅より大きいものを想定している。
同図において、本例では、照射領域IRが画像IMGに対し傾斜しているため、照射領域IRを通過中の画像IMGの周囲には画像IMGのない部分があり、そこからの反射光Lrが画像IMG側に再照射されることで、画像IMGの定着が促進される。
また、このような画像形成装置では、使用する記録材1としては、搬送方向に沿って連続した記録材1を用いる方が好適である。
◎実施の形態1
図4は、前述の実施の形態モデルの定着装置が適用された実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
ここで、ロール部材16は画像形成部20へ記録材Pを導く際に位置調整を行う位置調整ロール、ロール部材17は記録材Pを定着装置40に向かって導く張架ロール、ロール部材18,19は定着後の記録材Pを収容装置10Cに向かって搬送するに際し、適宜張力を付与する張力付与ロールである。
尚、画像形成部20のトナー色の配列はこれに限らず、他の配列を用いるようにしてもよいことは言うまでもない。
同図において、本実施の形態の定着装置40は、記録材P上の直線状に延びる照射領域IRに向かってレーザ光Liを照射するレーザ光源としてのアレイレーザ41と、照射領域IRを囲むように設けられ且つアレイレーザ41から照射されたレーザ光Liによる照射領域IRからの反射光が照射領域IRに向かって再照射されるように反射光を反射する反射面を有する半円筒型の反射部材42と、この反射部材42とは記録材Pを挟んで設けられ、アレイレーザ41から照射されて記録材Pを透過した透過光が記録材Pの裏面側部位に向かって再照射されるように透過光を反射する半円筒型の裏面側反射部材43と、を備えている。
同図において、アレイレーザ41から照射されたレーザ光Liは、反射部材42の開口42aから記録材P上の照射領域IRに向かって進む。照射領域IRに照射されたレーザ光Liの照射領域IRからの反射光Lrは、反射部材42の反射面42bで反射され、照射領域IRに向かって再照射される。
一方、レーザ光Liのうち記録材Pを透過した透過光Ltは、裏面側反射部材43の反射面43bによって、記録材Pの裏面側で照射領域IRに対応する部位に再照射される。
したがって、記録材Pの幅方向に沿って照射領域を設ける場合に比べ、同じ線画像を定着する際にもレーザ出力が低減され、低消費電力での定着がなされる。
防護部材44,45は、レーザ光Liが透過可能な素材で構成され、レーザ光Li、反射光Lr、透過光Ltに対する減衰は小さく、これらの光を有効に利用できると共に、定着時の耐熱性も兼ね備えたものである。
ここでは、防護部材44,45を反射部材42や裏面側反射部材43に直接設ける態様を示したが、反射部材42や裏面側反射部材43とは別に設けるようにしても差し支えない。
この例では、反射部材42の開口42aが、反射面42bに沿って記録材Pの搬送方向における下流側に偏倚した位置に設けられている。
このような配置を採用することで、アレイレーザ41からのレーザ光Liによる照射領域IRからの反射光Lrは、反射部材42の開口42aより記録材Pの搬送方向における上流側に向かって多く反射されるようになるが、この部位には広い反射面42bが存在するため、反射光Lrを照射領域IRに向かって再照射させやすくなる。そのため、定着効率の向上が図られる。
尚、透過光Ltについては、反射光Lrほど上流側に透過光Ltが多くなることがないため、それ程差は生じない。
そして、このことは、裏面側反射部材43についても同様である。
そして、本実施の形態では、記録材Pとして連続紙状の態様を用いる構成を示したが、枚葉状のものを用いるようにしても差し支えなく、この場合、例えば定着装置40に向かって記録材Pを案内する案内機構や、記録材Pを搬送させるための搬送機構を別途設けるようにすればよい。
図9は、本実施の形態の第三の変形例を示すもので、一つの反射部材42に記録材Pの搬送方向に沿って二つの開口42aを設け、これらの開口42aから二つのアレイレーザ41(41A,41B)からのレーザ光Liを照射することで、二箇所の照射領域IR(IRA,IRB)が形成されている。
反射部材42は、二つの円筒曲面を並べた構成のものであり、裏面側反射部材43も同様の構成となっている。
このように照射されると、記録材P上の画像密度の高い部分(例えばベタ画像部分)では上流側の照射領域IRAでトナーと記録材Pとの界面温度が少し上昇する。その後、照射がない部分では前記界面温度が徐々に下降するものの、画像密度が高い分表面積が小さく、放熱量が少なく、温度低下は少しの量で抑えられる。
次に、下流側の照射領域IRBでもう一度加熱されることで、界面温度も十分上昇し、十分な密着性が確保されるようになる。
したがって、記録材P上の画像密度によらず、いずれも十分な密着性の確保がなされるようになる。
上流側の照射領域IRAでのレーザ出力を下流側の照射領域IRBでのレーザ出力より小さくし、その分、記録材Pの搬送方向に沿った照射域長さを長くすることで、下流側の照射領域IRBでの照射時間が長くなる。このとき画像密度の高い部分に合わせて、上流側の照射領域IRAにて画像が十分加熱溶融できる照射強度や照射域長さになっていることは言うまでもない。
尚、この変形例においても、照射領域IRが記録材Pの幅方向に対して傾斜していることは言うまでもない。
また、ここでは、二つの照射領域IRA,IRBが平行に配置される態様を示したが、少し平行からずれる構成であっても、記録材Pの幅方向に照射領域を設ける態様に比べてレーザ出力を小さくできる。
図10は、実施の形態2の定着装置40の概要を示す説明図である。
本実施の形態の定着装置40は、実施の形態1の定着装置40(例えば図5参照)と異なり、裏面側反射部材を有さない構成のものである。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
また、対向部材46を用いることで、レーザ光Liが照射領域IRに照射され、記録材Pを透過した透過光は対向部材46の表面によって反射されるため、裏面側反射部材がない態様であっても、照射領域IRの近くに透過光からの反射光が再照射され、定着効率の向上がなされる。
更に、本実施の形態では、レーザ光Liを照射領域IRに対して略直交する方向から照射する方式を示したが、例えば図8に示したように、レーザ光Liを斜めから照射するようにしてもよい。
図11は、実施の形態3の定着装置40が適用された画像形成装置の概要を示す。本実施の形態の画像形成装置は、実施の形態1の画像形成装置(図4参照)と異なり、記録材として枚葉状の記録材を用いた構成のものとなっている。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここでは詳細な説明は省略する。
また、張架ロール35をバックアップロールとして二次転写装置66が配置され、張架ロール31と中間転写体30を挟んで対向する位置に中間転写体30上の残留トナーを清掃するベルト清掃装置37が設けられている。
吸着搬送装置47は、二つのロール部材47b,47cと、これら二つのロール部材47b,47cに掛け渡されて循環回転するベルト部材47aと、このベルト部材47aに対して帯電を付与する帯電部材47dとで構成されている。
本実施の形態は、実施の形態1〜3と異なり、定着装置40での記録材の幅方向に対する照射領域IRの傾斜角を可変調整するように構成したものとなっている。尚、使用する記録材としては、連続状、枚葉状のいずれであってもよいため、ここでは、記録材の態様を特に限定しないで説明する。
同図において、本実施の形態の定着装置40は、アレイレーザ41や反射部材42等を支持する支持機構50を有しており、アレイレーザ41や反射部材42は記録材Pの幅方向に沿った両端部位に設けられたサブフレーム54によって支持されている。本実施の形態では、サブフレーム54の一方側には記録材面に略直交する方向に延びる揺動軸55が固定して設けられ、もう一方のサブフレーム54には、記録材面に沿った方向に延びる支持棒56が取り付けられている。
本実施の形態の移動機構70は、モータ71と、このモータ71の回転軸71aによって回転されるピニオン72と、このピニオン72に噛み合うラック73と、このラック73に設けられた二つのガイドピン74にて構成され、このガイドピン74間にサブフレーム54側の支持棒56が挟まれる。
そのため、モータ71の回転によって、ラック73が移動することで、揺動軸55を揺動中心としてアレイレーザ41等の傾斜角θが変更される。そして、本実施の形態では、傾斜角θの変更制御を制御装置100で行うようになっている。
同図において、先ず、初期設定された傾斜角θ0でのエリアカバレッジが算出される(S01)。この算出された値が基準値を超えないか否かの判別がなされ(S02)、超えない場合は初期設定の傾斜角θ0をそのまま維持して定着がなされる(S03)。
また、基準値を超える場合には、傾斜角θを更に2.5°増やし(S07)て、ステップS04に戻る。
また、ステップS11で基準値を超えると判別されると、傾斜角θを更に2.5°減らして(S12)、ステップS09に戻る。
更に、ステップS10にて傾斜角θが最小値を下回ると判別されると、傾斜角θの設定が不適であると判断し、取り扱い者に警告を報知する(S14)。
また、このように定着装置40での記録材Pの搬送方向を変更することは、画像形成に影響する要素が殆どないため、特に支障を生じることもない。
本実施例は、エリアカバレッジと定着性との関係を確認するために、実験を行ったもので、アレイレーザと反射部材を使用し、照射領域を傾斜させることなく、記録材の幅方向に沿って照射領域を設けるようにしたものである。
図16は、実験時の評価画像の様子を示すもので、エリアカバレッジとしては、100%のベタ画像、60%及び20%のハーフトーン画像を用いた。
本実施例でのクリース値としては、定着後の画像を一度折り曲げ、開いて折れた画像部分を綿で軽く拭き、画像が抜けた部分の画像幅を数値で評価したもので、本例では、クリース値が60以下であれば実質的に問題のない定着であるとした。
本実施例は、アレイレーザ及び反射部材(裏面側反射部材は除く)を有する構成で、記録材の幅方向に延びる線画像に対し、照射領域の傾斜角を変化させたときのエリアカバレッジを算出したものである。
本実施例では、ビーム幅を1.5mm、記録材幅を500mmとし、線画像のライン幅(記録材の移動方向に沿った長さ)を1〜50mmの範囲から、7水準を選択して算出した。
本実施例では、ライン幅が50mmの場合に、傾斜角を10°とすれば、エリアカバレッジは60%以下となる。
更に、例えばライン幅が5mmのときには、傾斜角を3°とすると、エリアカバレッジが約20%となるため、レーザ出力は約0.55J/cm2であればよいことも理解される。
以上のように、照射領域での傾斜角がレーザ出力の大きさ、ひいては低消費電力化に大きく寄与するものであることが理解された。
Claims (8)
- 画像が加熱定着可能な定着領域を横切るように予め決められた搬送方向に向かって画像が形成された記録材を搬送する搬送手段と、
前記記録材の搬送方向に交差する記録材の幅方向に沿う予め決められた画像配列基準方向に対し傾斜して延びる定着領域としての照射領域を有し、この照射領域に向かってレーザ光を照射するレーザ光源と、
前記照射領域を囲むように設けられ且つ前記レーザ光源から照射されたレーザ光による当該照射領域の記録材面からの反射光が前記照射領域に向かって再照射されるように前記反射光を反射する反射面を有する反射部材と、
を備えることを特徴とする定着装置。 - 請求項1記載の定着装置において、
前記反射部材とは記録材を挟んで対向する部位に設けられ、前記レーザ光源から照射されて記録材を透過した透過光が前記照射領域に対応する記録材の裏面側部位に向かって再照射されるように前記透過光を反射する裏面側反射部材を更に備えることを特徴とする定着装置。 - 請求項1又は2に記載の定着装置において、
前記反射部材は記録材に対向する反射面が円筒曲面を有するものであることを特徴とする定着装置。 - 請求項3記載の定着装置において、
前記レーザ光源は、前記照射領域における記録材面に直交する方向より前記反射部材の前記円筒曲面に沿って傾いた位置から前記照射領域に向かってレーザ光が照射される位置に配置されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の定着装置において、
レーザ光を透過すると共に、記録材の前記画像から蒸発する蒸発物が前記反射部材の前記反射面へ付着することを防ぐ防護部材を備えることを特徴とする定着装置。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の定着装置において、
記録材の搬送方向における予め決められた画像長さの画像情報から、前記照射領域の延びる方向に沿った画像密度が予め定めた基準値を超えるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づいて前記画像密度が前記基準値を超える場合は、記録材の幅方向に対し傾斜する方向で且つ前記照射領域の延びる方向とは異なる方向での画像密度が前記基準値を超えない新たな照射領域の延びる方向を求め、前記照射領域が当該新たな照射領域になるように照射領域を変更する照射領域変更手段と、
を備えることを特徴とする定着装置。 - 記録材上に画像を形成する画像形成部と、
この画像形成部にて記録材上に形成された画像を定着する請求項1乃至6のいずれかに記載の定着装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7記載の画像形成装置において、
搬送方向に沿って連続した記録材を用いることを特徴とする画像形成装置。
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