JP4865846B2 - レーザ定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、用紙上に転写されたトナー像にレーザ光を照射することによって当該トナー像を用紙に熱定着させる定着装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置(例えばプリンタ)には、用紙上に形成されたトナー像を熱溶融することによって用紙上に定着させる定着装置が備えられている。この定着装置の一例として、定着ローラと加圧ローラとから構成されるローラ対方式の定着装置が知られている(特許文献1を参照)。
定着ローラは、アルミなどの金属製中空芯金の表面に弾性層が形成されたローラ部材であり、この芯金の内部に熱源としてハロゲンランプが配置された構成である。そして、温度制御装置が、定着ローラ表面に設けられた温度センサから出力される信号に基づいてハロゲンランプをオン/オフ制御することによって、定着ローラ表面の温度を制御する。
加圧ローラは、芯金上に被覆層としてシリコンゴムなどの耐熱性弾性層を設けたローラ部材である。この加圧ローラは、定着ローラ周面に対して圧接され、加圧ローラの上記弾性層の弾性変形によって、定着ローラと加圧ローラとの間にニップ領域が形成される。
上記の構成において、定着装置では、未定着のトナー像が形成された用紙を定着ローラと加圧ローラとの間のニップ領域に挟み込み、これら両ローラを回転させることによって上記用紙を搬送するとともに、定着ローラ周面の熱により用紙上のトナー像を溶融させて用紙に定着させる。
しかし、従来のローラ対方式では、電源投入直後において定着ローラ及び加圧ローラの温度が室温であるため、所定温度にまで上昇させるために、ウォームアップ時間を要する。また、コピー動作が行われていない待機状態では、ローラ表面を所定温度に保持する必要があるため、コピー動作が行われていない時も常に加熱していなければならない。そのため、無駄なエネルギーを消費する。
そこで、無駄なエネルギーを消費せず効率よくトナーのみを定着させる方法として、レーザー光のパワーを利用してトナーを定着させる定着装置が提案されている(特許文献2を参照)。
特許文献2によれば、低出力の半導体レーザーを複数有する光源を用いて、当該光源から発光された各々のレーザー光を同一領域のトナー像に焦点を重ねることで、パワー不足を補いトナーを溶かし定着を行うことが記載されている。
これにより、低出力で安価な半導体レーザーを使うことが可能なため、装置全体も簡単なものにできると記載されている。
また、特許文献3では、フルカラートナー(Y,M,C)及び黒(B)トナーの各々のトナーの光吸収波長に対応した波長のレーザー光を照射して定着可能な画像形成装置を提供することが提案されている。この技術では、各トナーの吸収波長毎に最適な波長のレーザーを使用し、対応するトナーにのみ照射制御される。そのため、単純に4種類の波長のレーザーを用意する方法ではコストアップになり、大型化の課題がある(特許文献3を参照)。
特開平11−038802号公報 特開2005−55516号公報 特開2008−107576号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載の技術では、カラートナーを定着させる場合に問題がある。弱い半導体レーザーを複数個使用してパワー不足を補ったとしても、カラートナーのような、特定の吸収波長しか吸収しないトナーの場合、レーザー光が照射する波長と、トナーの吸収波長が異なるために、全く加熱されず、効率よく定着させることができないからである。カラートナー(通常は、C,M,Y)の各々は、別々の吸収波長を有しているため、半導体レーザーのような特定の波長でトナーを加熱することが困難である。また、一つのレーザー光の波長に対応したカラートナーの吸収波長を作るには、トナーに光吸収材を添加する必要があり、これは、トナーのにごりや、コストアップにつながるといった問題がある。
また、特許文献3に記載の技術では、4種類のトナーの各々について、対応するトナーのみを照射するための4種類の波長のレーザーを用意する必要がある。この場合、一つのトナーだけで形成されている画像については、一つのレーザのみが使用されることとなり、当該レーザだけでトナーを定着させるために、当該レーザの最大出力を高く設定する必要がある。そのため、コストアップになるとともに、大型化の課題がある。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、装置の大型化をなるべく避けるとともに、カラートナーを定着させることができるレーザ方式の定着装置を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明は、複数の色のトナーを用いて用紙に画像を形成する、電子写真方式の画像形成装置に設置されるものであり、用紙上に付着されたトナーにレーザ光を照射することで、当該トナーを加熱溶融して上記用紙に定着させるレーザ定着装置であって、異なる波長のレーザ光を出力する複数のレーザ照射部を備え、上記複数の色のトナーの各々は、上記複数のレーザ照射部のうちのいずれか一つのレーザ照射部と対応しており、上記複数のレーザ照射部の各々は、対応するトナーに対して吸光度が80%以上の波長のレーザ光を出力し、さらに、上記複数の色のトナーのうちの少なくとも一つのトナーに対して、当該トナーを加熱溶融させるために、当該トナーに対応するレーザ照射部からのレーザ光と当該トナーに対応しない少なくとも一つのレーザ照射部からのレーザ光とを照射させるように上記複数のレーザ照射部を制御する照射制御を行う制御部を備えることを特徴とする。
なお、制御部は、常に上記の照射制御を行う必要はなく、ある特定の条件を満たすときにのみ(例えば、高速モノクロ印字を行う場合など)、上記の照射制御を行うものであればよい。
上記の構成によれば、複数のレーザ照射部の各々は、対応するトナーに対する吸光度が80%以上となる波長のレーザー光を出力して、各トナーに対してエネルギーを供給することができる。そして、トナーは、照射された光のエネルギーを吸収することで、温度が上昇して溶融する。
トナーは、対応するレーザ照射部からのレーザ光の波長以外にも吸収する波長域を有していて、対応する単一のレーザ光だけによらず、複数のレーザ光に対しても、少なからず吸光度を有している。
そこで、上記の構成では、複数の色のトナーのうちの少なくとも一つのトナーに対して、当該トナーを加熱溶融させるために、当該トナーに対応するレーザ照射部からのレーザ光と当該トナーに対応しない少なくとも一つのレーザ照射部からのレーザ光とを照射させるように上記複数のレーザ照射部を制御する照射制御を行う。すなわち、対応するレーザ照射部だけでなく、他のレーザ照射部からも補助的にレーザ光の照射を行い、複数のレーザ光によりトナーにエネルギーを与えることとなる。
その結果、対応するレーザ照射部だけの場合に比べて、レーザ照射部を駆動する電力を分散することができ、レーザ照射部の発熱量を分散させ冷却手段を小型にすることができる。また、トナーの溶融に対するエネルギーの供給を複数のレーザ照射部が分担するため、高い定格出力を有するレーザ照射部を設ける必要もなく、コストアップおよび大型化を避けることができるとともに、高効率なレーザ照射を実現できる、また、レーザ照射部の熱による劣化も低減でき、寿命を延ばすことができる。このように、本発明によれば、装置の大型化をなるべく避けるとともに、カラートナーを定着させることができるレーザ方式の定着装置を提供することができる。
さらに、本発明において、上記制御部は、上記複数の色のトナーのうちの何れか一つのトナーのみの単色画像を形成する場合に、当該トナーを加熱溶融させるために、上記照射制御を行うことが好ましい。
ここで、単色画像とは例えばブラックトナーのみのモノクロ画像である。このような単色画像に対して、対応するレーザ照射部からのレーザ光のみを照射する場合、当該レーザ照射部の定格出力を高める必要があり、レーザ照射部が大型化する。しかしながら、上記の構成によれば、単色画像を形成する場合に、単色画像を形成しているトナーを加熱溶融させるために、上記照射制御を行う。
これにより、対応するレーザ照射部だけの場合に比べて、レーザ照射部を駆動する電力を分散することができ、レーザ照射部の発熱量を分散させ冷却手段を小型にすることができる。また、トナーの溶融に対するエネルギーの供給を複数のレーザ照射部が分担するため、高い定格出力を有するレーザ照射部を設ける必要もなく、コストアップおよび大型化を避けることができるとともに、高効率なレーザ照射を実現できる。
さらに、本発明において、上記複数のレーザ照射部のうち、対応するトナー以外のトナーに対しても所定値以上の吸光度を有するレーザ光を出力するレーザ照射部を特定レーザ照射部とするとき、上記制御部は、上記照射制御として、上記特定レーザ照射部に対応するトナーである特定トナー以外のトナーである非特定トナーに対して、当該非特定トナーに対応するレーザ照射部からのレーザ光と上記特定レーザ照射部からのレーザ光とを照射させるように制御することが好ましい。
トナーは、対応する単一のレーザ光だけによらず、様々な波長の複数のレーザ光に対しても、少なからず吸光度を有しているものがあり、一つのレーザ光だけでなく、複数のレーザ光を照射すれば、十分な溶融が望める。
そこで、上記の構成によれば、制御部は、特定レーザ照射部に対応するトナーである特定トナー以外のトナーである非特定トナーに対して、当該非特定トナーに対応するレーザ照射部からのレーザ光と上記特定レーザ照射部からのレーザ光とを照射させるように制御する。これにより、非特定トナーに対して、複数のレーザ照射部によるレーザ光の照射し、当該非特定トナーを溶融させることができる。その結果、非特定トナーに対応するレーザ照射部の定格出力を低く設定でき、当該レーザ照射部に要する電力を低く抑えることができる。これにより、発熱の抑制や寿命を延ばすことができる。
さらに、本発明において、上記制御部は、照射対象となるトナーを加熱溶融させるために必要な単位時間あたりのエネルギー量が所定閾値よりも高い場合に、上記照射制御を行うことが好ましい。
用紙の搬送速度を可変な画像形成装置である場合、用紙の搬送速度に応じて、照射対象となるトナーを加熱溶融させるために必要な単位時間あたりのエネルギー量が異なることとなる。すなわち、高速印字の場合には、当該単位時間あたりのエネルギー量が大きくなる。また、トナーの付着量が多い場合にも、当該単位時間あたりのエネルギー量が大きくなる。
例えば、カラー印字の場合には低速とし、モノクロ印字の場合には高速にする技術が知られている。このような場合、高速のモノクロ印字に対応するためには、ブラックトナーに対応するレーザ照射部の定格出力を大きなものにする必要がある。
しかしながら、上記の構成によれば、このような高速のモノクロ印字の場合には、ブラックトナーを加熱溶融させるために、ブラックトナーに対応するレーザ照射部からのレーザ光と他の色に対応するレーザ照射部からのレーザ光とを照射させるように制御する。すなわち、他の色に対応するレーザ照射部が補助的にレーザ光を照射する。
これにより、ブラックトナーに対応するレーザ照射部の定格出力を大きくする必要がなく、コストアップや大型化を避けることができる。
さらに、本発明において、上記制御部は、上記照射制御を行う場合、照射対象となるトナーに吸収されるレーザ光のエネルギー量の総量が当該トナーを加熱溶融するために必要なエネルギー量以上になるように、当該トナーに照射される、複数のレーザ照射部からのレーザ光の各々の光強度を設定することが好ましい。
上記の構成によれば、単一のレーザ照射部だけでは不足するエネルギーを、他のレーザ照射部が、それぞれの供給できる範囲内で補う。そして、トナーを溶融させることができる。これにより、定格出力の高いレーザ照射部を用いなくてもよく、コストを抑えることができる。また、副次的効果として、発熱源を分散させることができ、熱の影響による劣化・破損、出力低下などの弊害を低減することが可能である。
なお、上記照射対象となるトナーは、例えばブラックトナーである。
さらに、本発明において、上記レーザ照射部は、用紙の搬送方向に直交する方向に半導体レーザ素子を複数個並べたレーザアレイであることが好ましい。
半導体レーザ素子は、、従来の大・中出力で用いられるガスレーザーなどよりも、小型であり、低発熱量である点でメリットがある。また、自動化による生産性向上も望め、量産性も比較的良好である。
さらに、半導体レーザ素子を複数個並べたレーザアレイとして構成することにより、用紙の幅方向に対して同時にレーザ光を照射することができ、高速印字にも容易に対応することができる。また、冷却手段もアレイ全体で最適設計が可能で、出力を大きくしつつ、小型化も可能である。
さらに、本発明において、上記レーザ照射部は、対応する波長のレーザ光を発するレーザ光源を備え、上記レーザ光源からのレーザ光を、用紙の搬送方向に直交する方向に走査する走査光学部材とを備えることが好ましい。
上記の構成によれば、発熱源となるレーザ光源の個数を少なくすることができるので、冷却手段の数を少なくすることができ、部品点数を減らすことができる。
さらに、本発明において、上記レーザ照射部に取り付けられ、当該レーザ照射部で発せられた熱を放熱するための蛇行細管型ヒートパイプを備えることが好ましい。
従来のヒートシンクの場合、サイズが比較的大きく、画像形成装置の小型化への対応が困難であった。
しかしながら、上記の構成によれば、蛇行細管型ヒートパイプを用いている。この蛇行細管型ヒートパイプによれば、発熱源であるレーザ照射部から発生した熱を、屈曲させながら、他の場所まで輸送し、自然空冷や強制空冷などの冷却効果で、安定したレーザ照射を行える。特に、上下左右方向を問わずに熱輸送が可能である。その結果、取り付け位置の制約を大幅に緩和することができる。そして、画像形成装置内の各構成部材の配置に高い自由度を与えることができる。
さらに、本発明において、上記複数のレーザ照射部の各々から出力されたレーザ光が照射する用紙上の領域が、互いに重なり合っていることが好ましい。
上記の構成によれば、複数のレーザ照射部からのレーザ光を時間的に遅滞なく行わせることにより、トナーの溶融を促進させることができ、例えば多層のトナーに対する若干の焦点ズレがあっても、レーザー照射による加熱を行える。これにより、定着装置全体での加熱効率を向上でき、高速印字にも対応することが可能になる。
さらに、本発明において、上記複数のレーザ照射部から出力されたレーザ光の各々が、用紙の法線方向に対して傾いていることが好ましい。
カラー印字の場合、複数のトナーが多層状に重なっている。そのため、用紙の法線方向に沿ってレーザ光を照射する場合、下層のトナーまでレーザ光が届かず、十分に加熱できない。この場合、出力を高めることで下層のトナーを加熱する必要がある。
しかしながら、上記の構成によれば、各レーザ照射部は、入射角を有して用紙上を照射する。これにより、多層状に複数のトナーが重なっていたとしても、下層のトナーに対してレーザ光を照射することができる。その結果、レーザ照射部の出力を高くする必要がない。その結果、低出力であっても効率的にトナーを加熱することができる。さらに、出力を上げる必要がないため、レーザ照射部の寿命を延ばすことも可能である。
さらに、本発明において、上記複数の色のトナーのいずれかには赤外線吸収剤が添加されており、上記赤外線吸収剤が添加されたトナーに対応しない一つのレーザ照射部は、赤外領域の波長のレーザ光を出力する赤外レーザ照射部であり、上記制御部は、上記照射制御として、上記赤外線吸収剤が添加されたトナーに対して、当該トナーに対応するレーザ照射からのレーザ光と上記赤外レーザ照射部からのレーザ光とを照射させるように上記複数のレーザ照射部を制御することが好ましい。
赤外線吸収剤をトナーに添加すれば、その赤外線吸収剤が、レーザー光に含まれる赤外線を吸収し、より多くの照射エネルギーを得ることになり、トナーの溶融が促進される。しかし、通常添加量を多くしすぎると、カラートナーの場合では、色材の発色を阻害し、にごりを与えてしまう。
しかしながら、上記の構成によれば、トナーに対応するレーザ照射からのレーザ光と上記赤外レーザ照射部からのレーザ光とを照射させる。すなわち、赤外レーザ照射部からのレーザ光(赤外線のレーザ光)だけでなく、トナーの色に対応する波長のレーザ光も照射する。そのため、赤外レーザ照射部からのレーザ光(赤外線のレーザ光)のみでトナーを溶融させる場合に比べて、赤外線吸収剤の添加量を抑えることができる。その結果、色のにごりを抑えることができる。
また、本発明の画像形成装置は、上記のレーザ定着装置を備える。これにより、レーザ照射によるトナーの溶融定着が可能で、用紙への余分な熱を与える必要もない省エネルギー性能に優れた画像形成装置が構成できる。
本発明によれば、装置の大型化をなるべく避けるとともに、カラートナーを定着させることができるレーザ方式の定着装置を提供できるという効果を奏する。
本実施形態の定着装置を有する画像形成装置の全体の構成を模式的に示した図である。 本実施形態の定着装置の構成を示す説明図である。 図2の定着装置の上面図である。 本実施形態の定着装置が備えるハードウェアを示すブロック図である。 シアントナーの光吸収スペクトルを示す図である。 マゼンタトナーの光吸収スペクトルを示す図である。 イエロートナーの光吸収スペクトルを示す図である。 ブラックトナーの光吸収スペクトルを示す図である。 レーザ照射部を模式的に示す側面図である。 レーザ照射部を模式的に示す正面図である。 マゼンタトナーの吸収スペクトルと、各レーザ照射部15a〜15dのレーザ光の波長との関係の一例を示す図である。 レーザ照射部の配置の変形例を示す図である。 レーザ照射部の配置の更なる変形例を示す図である。 走査光学系のレーザ照射部を示す図である。 蛇行細管型ヒートシンクを定着装置に適用した場合の例を示す図である。 蛇行細管型ヒートシンクの作動液の動作を示す図である。
[画像形成装置の構成]
以下、本発明の実施の形態について、図に基づいて説明する。図1は、本実施形態の定着装置を有する画像形成装置の全体の構成を模式的に示した図である。
画像形成装置100は、乾式電子写真方式のプリンタであり、ネットワーク上の端末装置から送信される画像データ等に基づいて、所定の用紙(記録紙)に対して多色または単色の画像を形成する。なお、画像形成装置100は複合機または複写機に設けられるプリンタであってもよい。
画像形成装置100は、図1に示すように、光学系ユニットE、可視像形成ユニットpa,pb,pc,pd、中間転写ベルト11、2次転写ユニット14、定着装置(定着ユニット)15、内部給紙ユニット16および手差し給紙ユニット17を備えている。
図1に示すように、可視像形成ユニットpaは感光体ドラム101aを有し、可視像形成ユニットpbは感光体ドラム101bを有し、可視像形成ユニットpcは感光体ドラム101cを有し、可視像形成ユニットpbは感光体ドラム101dを有するものである。
光学系ユニットEは、レーザ光源から射出される光が4組の可視像形成ユニットpa,pb,pc,pdの感光体ドラムを露光するように設計されている。詳しくは、光学系ユニットEは、メモリから読出した画像データ、または外部の装置から転送されてきた画像データに応じてレーザ光を出射するレーザ光源、レーザ光を偏向するポリゴンミラー、偏向されたレーザ光を補正するf−θレンズなどから構成されている。そして、入力画像データに応じて、帯電された感光体ドラム101a,101b,101c,101dを露光することにより、その表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
可視像形成ユニットpaは、感光体ドラム101aの他、感光体ドラム101aの周囲に配置される現像ユニット102a、帯電ユニット103a、クリーニングユニット104aおよび1次転写ユニット13aを有する。現像ユニット102aにはブラック(B)のトナーが収容されている。
帯電ユニット103aは、感光体ドラム101aの表面を帯電するものである。帯電ユニット103aとしては、感光体ドラム101aの表面を一様に、またオゾンを極力発生させることなく帯電するために、ローラ方式のものが採用される。現像ユニット(現像装置)102aは、光学系ユニットEからの照射光によって感光体ドラム101の表面に形成された静電潜像に対しトナーを供給してトナー像を形成するためのものである。1次転写ユニット13aは、中間転写ベルト11を介して感光体ドラム101aを押圧するように配置されており、感光体ドラム101aの表面のトナー像を中間転写ベルト11に転写するための転写装置である。クリーニングユニット104aは、トナー像を転写した後の感光体ドラム101aの表面に残存しているトナーを除去するためのものである。
他の3組の可視像形成ユニットpb,pc,pdは、可視像形成ユニットpaと同様の構成であるため、以下では可視像形成ユニットpb,pc,pdの各構成部材の説明を省略する。但し、各可視像形成ユニットの現像ユニット102b,102c,102dには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナーが収容されている。
中間転写ベルト11は、用紙搬送方向に沿って並設された可視像形成ユニットpa,pb,pc,pdに沿って、テンションローラ11a,11bにより撓むことなく配置されている。中間転写ベルト11において、テンションローラ11b側には廃トナーボックス12が当接配置され、テンションローラ11a側には2次転写ユニット14が当接配置されている。そして、1次転写ユニット13aにより、中間転写ベルト11上には、トナー像が形成される。このとき、カラー画像である場合、画像の色に応じて、複数種類のトナーが重なったトナー像が形成される領域が生じることとなる。
2次転写ユニット14は、中間転写ベルト11に一時的に転写されたトナー像を用紙に転写するためのものである。
定着装置15は、用紙上の未定着トナー画像にレーザ光を照射して該未定着トナー画像を溶融して用紙上に定着させるレーザアレイ15aと、用紙を搬送する用紙搬送装置15eとを備え、レーザ光によりトナー像を用紙に定着するものである。この定着装置15は、2次転写ユニット14の用紙搬送方向下流側に配置されている。
光学系ユニットEの下方には、内部給紙ユニット16が設けられ、装置本体の外側の側面には手差し給紙ユニット17が設けられている。画像形成装置100の上部には排紙トレイ18が設けられている。この排紙トレイ18は、印刷済みの用紙をフェイスダウンで載置するためのものである。
また、画像形成装置100には、内部給紙ユニット16の用紙および手差し給紙ユニット17の用紙を2次転写ユニット14や定着装置15を経由させて排紙トレイ18に案内するための用紙搬送路Sが設けられている。
用紙搬送路Sには、給紙ローラ16a・17a、レジストローラ19、2次転写ユニット14、定着装置15、搬送ローラr等が配置されている。
搬送ローラrは、用紙の搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。給紙ローラ16aは、内部給紙ユニット16の端部に備えられ、内部給紙ユニット16から用紙を1枚ずつ用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。給紙ローラ17aは、手差し給紙ユニット17の近傍に備えられ、手差し給紙ユニット17から用紙を1枚ずつ用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
レジストローラ19は、用紙搬送路Sにて搬送されている用紙を一旦保持し、中間転写ベルト11上のトナー像の先端と用紙の先端とを合わせるタイミングで用紙を2次転写ユニット14の転写部に搬送するものである。
つぎに、用紙搬送について説明する。画像形成装置100には、図1に示すように、上述したように予め用紙を収納する内部給紙ユニット16および少数枚の印字を行う場合等に使用される手差し給紙ユニット17が配置されている。これら両ユニットには各々給紙ローラ16a,17aが配置され、これら給紙ローラ16a,17aによって用紙を1枚ずつ用紙搬送路Sに供給するようになっている。
片面印字の場合、内部給紙ユニット16から搬送される用紙は、用紙搬送路S中の搬送ローラrによってレジストローラ19まで搬送され、レジストローラ19により用紙の先端と中間転写ベルト11上の積層されたトナー像の先端とが整合するタイミングで2次転写ユニット14の転写部に搬送される。転写部では中間転写ベルト11に形成されたトナー像が用紙上に転写され、このトナー像は定着装置15にて用紙上に定着される。その後、用紙は排紙ローラ18aから排紙トレイ18上に排出される。
また、手差し給紙ユニット17から搬送される用紙は、複数の搬送ローラrによってレジストローラ19まで搬送される。それ以降の用紙搬送動作は、上述した内部給紙ユニット16から供給される用紙と同様の経過を経て排紙トレイ18に排出される。
一方、両面印字の場合、上記のようにして片面印字が終了して定着装置15を通過した用紙が排紙ローラ18aに搬送され、用紙の後端が排紙ローラ18aにてチャックされる。その後、用紙は、排紙ローラ18aが逆回転することによって反転搬送路S´に導かれ、再びレジストローラ19を経て裏面印字が行われた後に、排紙トレイ18に排出される。
つぎに、画像形成装置100における画像形成処理について説明する。可視像形成ユニットpaでは、感光体ドラム101aの表面が帯電ユニット103aにより一様に帯電された後、光学系ユニットEにより感光体ドラム101a表面に静電潜像が形成される。その後、現像ユニット102aによって感光体ドラム101a上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。感光体ドラム101a上で顕像化されたトナー像は、トナーとは逆極性のバイアス電圧が印加された1次転写ユニット13aにより中間転写ベルト11上に転写される。なお、他の3組の可視像形成ユニットpb,pc,pdにおいても、可視像形成ユニットpaと同様に画像形成が行われ、トナー画像が順次中間転写ベルト11上で重ねられるようになっている。
そして、中間転写ベルト11上に形成されたトナー画像は、トナー画像とは逆極性のバイアス電圧が印加された2次転写ユニット14によって用紙に転写される。トナー画像が転写された用紙は、定着装置15に搬送され、定着装置15においてレーザ照射により未定着トナー像が加熱されて用紙上に融着された後、排紙ローラ18aにより外部の排紙トレイ18上に排出される。
なお、本画像形成装置100は、例えばA4サイズ横送りで、10〜70枚/分の送り速度に対応しており、低速印字から高速印字、モノクロ印字を始めカラー印字にも対応している。例えば、画像形成装置100は、画像データを解析することにより、モノクロ印字の場合には70枚/分の高速印字を行い、カラー印字の場合には10枚/分の低速印字を行う。このような印字速度の変更の制御は、公知の技術であるため、ここでは説明を省略する。
[定着装置の構成]
つぎに、本実施形態の定着装置(レーザ定着装置)15の構成について図面を参照して詳細に説明する。図2は、本実施形態の定着装置の構成を示す説明図であり、図3は、図2の定着装置が備える複数のレーザ照射部を模式的に示す上面図である。また、図4は、本実施形態の定着装置が備えるハードウェアを示すブロック図である。
定着装置15は、図2に示すように、4つのレーザ照射部15a・15b・15c・15dと、用紙搬送装置15eとを備えている。また、定着装置15は、図4に示すように、レーザ照射部15a〜15dおよび用紙搬送装置15eに接続されている制御装置(制御部)15fを有している。制御装置15fは、レーザ照射部15a〜15dの動作および用紙搬送装置15eの動作を制御するものである。
定着装置15においては、図2に示すように、用紙搬送装置15eが用紙Pを搬送し、レーザ照射部15a〜15dが、搬送されている用紙Pに向けてレーザ光を照射するようになっている。そして、用紙Pの表面の、レーザ照射部15a〜15dからのレーザ光が照射される領域(以下、照射スポットという)において、トナーが熱溶融し、これによりトナーが用紙Pに定着する。
本実施形態では、図2および図3に示されるように、レーザ照射部15a〜15dの各々は、用紙Pの搬送方向に沿って順に配置されている。ただし、レーザ照射部15a〜15dの配置順序はこれに限定されるものではなく、順序を変更してもよい。また、図3に示されるように、レーザ照射部15a〜15dで発生する熱を逃がすために、ヒートシンク9が設けられている。
レーザ照射部15a〜15dは、用紙Pの表面の略同じ領域(図中X点で示す)にレーザ光を照射するように、各々のレーザ光の照射方向が設定されている。具体的には、レーザ照射部15a〜15dの各々のレーザ光の光路は、用紙Pの表面の法線方向に平行ではなく、当該垂直方向に対して傾いている。すなわち、レーザ照射部15a〜15dの各々は、用紙Pに対して入射角を有するようにレーザ光を照射する。さらに、各レーザ照射部15a〜15dは、X点に存在するトナーに焦点を合わせて、レーザ光を照射する。これにより、レーザ照射部15a〜15dの各々から照射されたレーザ光は、入射角を有して、X点に集まることとなる。
このように、レーザ照射部15a〜15dから照射されるレーザ光の光路を、用紙Pの表面の法線方向から傾けている理由は以下のとおりである。
カラー画像を用紙Pに形成する場合、図2に示されるように、用紙Pの表面上に複数種類のトナーが重なっている領域が存在する。このように複数種類のトナーが重なっている領域(多層領域)がある場合、用紙Pの表面の法線方向からレーザ光を照射すると(つまり、正反射するようにレーザ光を照射すると)、最上層に位置するトナーのみにレーザ光が照射され、最下層のトナーにまでレーザ光が到達しない可能性がある。そのため、トナーの熱溶着不良が生じる場合があり、この問題を解決するために、レーザ光の強度を上げるなどの対応が必要となる。しかしながら、本実施形態では、全てのレーザ照射部15a〜15dは、用紙Pの表面の垂直方向から傾いた方向からレーザ光を照射するため(つまり、正反射しない方向からレーザ光を照射するため)、最上層に位置するトナーから最下層に位置するトナーまで全てのトナーに対してレーザ光を照射することができ、レーザ光の強度を必要以上に上げる必要がない。
また、トナーへのレーザ光の照射により、トナーは、加熱され溶融変形して、用紙Pのパルプ繊維に対して浸透して、冷却固化することで定着が完了する。この時、複数のレーザ照射部15a〜15dからのレーザ光の照射が、比較的長い時間をおいて行われた場合、レーザ照射によるトナー溶融の加熱効率が悪化することが考えられる。これは、トナーの溶融特性にもよるが、溶融は開始するが、完全に溶融しないままで、一つのレーザ照射が終わり、固化が始まって、それから次のレーザ照射を行うことになるからである。
そこで、図2に示すようなレーザ照射部15a〜15dの配置にすることで、各レーザ照射部15a〜15dからのレーザ光を、時間的にほぼ同時にトナーに照射させることができ、より早くトナーを溶融させることが可能になる。これにより、短時間で溶融したトナーは、記録紙上に確実に定着される。なお、各レーザ照射部15a〜15dからのレーザ光の照射スポットは、完全に一致していることが好ましいが、若干ずれて、一部が重複するように照射してもよい。これは、取り付け精度や、光学系の収差などの影響で、完全に一致させることがコストアップになるためである。なお、各レーザー照射部15a〜15dの加熱効率を考慮して、照射スポットを完全に一致させることが好ましい場合には、光路を調整する公知の調整機構を設ければよい。
レーザ照射部15a〜15dは、一つの基板上に配置されてもよいし、図2に示されるように、それぞれ独立して配置されてもよい。ただし、一つの基板上に配置する場合には、各レーザ照射部からのレーザ光がX点で集光させるためには、半導体レーザやレンズ等の光学部材を含む各レーザ照射部の配置を緻密に行う必要があり、大幅なコストアップとなる。そのため、図2に示されるように、4つのレーザ照射部を別々に組み付けることが好ましい。
レーザ照射部15a〜15dは、後述するように、半導体レーザ素子を用紙の幅方向(すなわち、用紙の搬送方向に垂直な方向)に複数並べたレーザアレイを有している。半導体レーザ素子は、炭酸ガスレーザー等の他のレーザーに比べ、安価で、小型である。また、半導体レーザ素子として構成する過程で基板材料上に形成する構造や材料配合や、材料の組成で、広範囲なので、400nm〜800nmの領域で任意の波長のレーザー光を発振させて、トナーにレーザー照射させることができる。
本実施形態では、レーザ照射部15a〜15dの各々は、異なる波長のレーザ光を照射する。具体的には、レーザ照射部15aは、ブラックトナーが吸収し易い波長のレーザ光を照射し、レーザ照射部15bは、イエロートナーが吸収し易い波長のレーザ光を照射し、レーザ照射部15cは、マゼンタトナーが吸収し易い波長のレーザ光を照射し、レーザ照射部15dは、シアントナーが吸収し易い波長のレーザ光を照射する。
レーザ光は、波長のそろったコヒーレント光であって、特定の狭い波長域の光である。このレーザー光の波長と、対象となるトナーの吸収波長とが一致すれば、レーザー光の照射エネルギーが当該トナーに吸収されて、熱となってトナーを溶融させることができる。
ここで、トナーが吸収し易い波長としては、以下のようにして測定される吸光度(吸収率)が80%以上の波長が設定される。ここで、吸光度とは、物質が光を吸収する度合いを示すものであり、透過率の逆数の常用対数で表した数値で示される。吸光度が80%より小さくなると、トナーがレーザー光の照射エネルギーを十分吸収しきれず、十分な定着性が得られないためである。
吸光度の測定方法について具体的に説明する。まず、対象となる各色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナーをTHF(テトラヒドロフラン)溶媒に溶解させ、濃度を0.018%に調整する。一方、測定器として、分光光度計U−3300(株式会社日立製作所製)を用い、調整した溶液を1cm角(つまり分光光度計の光路の進行方向に対する溶液が光路を通過する長さが1cm)の石英セルに入れ、上記分光光度計で800−300nmの範囲において、透過率を測定する。透過率を測定したとき、最も透過率が低いピーク位置を吸光度100%とし、透過率が100%の部分を吸光度0%とする。これらの値を基に、透過率の逆数の常用対数を求めることで、各波長での吸光度を算出する。なお、濃度0.018%で、濃度が濃すぎて広い波長領域において透過率が0%で推移している場合、濃度が濃いので濃度を薄めピーク波長が検出できるようにすればよい。
例えば、シャープ株式会社製の複合機(製品名:MX−7001N)に搭載している各色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナーについて、上記の方法で測定した吸光度の測定結果を図5から図8に示す。図5は、シアントナーの光吸収スペクトルを示す図である。図6は、マゼンタトナーの光吸収スペクトルを示す図である。図7は、イエロートナーの光吸収スペクトルを示す図である。図8は、ブラックトナーの光吸収スペクトルを示す図である。
図5に示されるように、シアントナーは、505〜590nmの波長の光に対して吸光度80%以上となる。そのため、シアントナーに対応するレーザ照射部15dは、505〜590nmの波長域内から選択された波長(例えば550nm)のレーザ光を照射すればよい。また、図6に示されるように、マゼンタトナーは、555〜750nmの波長の光に対して吸光度80%以上となる。そのため、マゼンタトナーに対応するレーザ照射部15cは、555〜750nmの波長域内から選択された波長(例えば650nm)のレーザ光を照射すればよい。さらに、図7に示されるように、イエロートナーは、380〜500nmの波長の光に対して吸光度80%以上となる。そのため、イエロートナーに対応するレーザ照射部15bは、380〜500nmの波長域内から選択された波長(例えば450nm)のレーザ光を照射すればよい。このように、シアン、マゼンタ、イエローのトナーに対応するレーザ照射部の各々は、対応するトナーの光吸収ピーク領域において80%以上の吸光度が得られる波長のレーザー光を発振するものである。
一方、図8に示されるように、ブラックトナーは、全波長領域で高い光吸収特性を有する。そのため、ブラックトナーに対応するレーザ照射部15aは、400〜850nmの波長域内から選択された波長(例えば750nm)のレーザ光を照射すればよい。
なお、トナー画像は、たとえば、非磁性トナーを含む非磁性1成分現像剤、非磁性トナーおよびキャリアを含む非磁性2成分現像剤、磁性トナーを含む磁性現像剤などの現像剤に含まれるトナーで形成される。そして、上述のようにカラートナー(イエロー、マゼンタ、シアン)は、ブラックトナーに比べてレーザ光の吸光度が低い。そのため、赤外線吸収剤を添加(例えば、カラートナーのメンバインダーレジン100重量部に対して、赤外線吸収剤であるフタロシアニンを1重量部から5重量部を内添する。また、フタロシアニン以外にポリメチン、シアニン、オニウム、ニッケル錯体等を用いることもできるし、併用することもできる)することでブラックトナーと略同等の吸光度を確保してもよい。
つぎに、用紙搬送装置15eについて説明する。用紙搬送装置15eは、図2に示すように、搬送ベルト15e1、駆動ローラ15e2、従動ローラ15e3、駆動モータ(図示省略)を備えている。
搬送ベルト15e1は、ベルト厚75(μm)、体積抵抗率1.0×1016(Ω・cm)のポリイミド樹脂からなる、耐熱性を有する無端状のベルト部材であり、駆動ローラ15e2および従動ローラ15e3に張架されている。
駆動ローラ15e2は、制御装置15fが駆動モータを駆動することで、所定の回転速度で回転するようになっている。すなわち、搬送ベルト15b1は、駆動ローラ15e2の回転により図中の矢印の方向に所定の用紙搬送速度Vp(mm/sec)で搬送される。なお、制御装置15fは、画像データの内容に応じて、用紙搬送速度Vpを変更することができる。具体的には、モノクロ印字の場合にはVpを相対的に高く設定し、カラー印字の場合にはVpを相対的に低く設定する。
このように構成された用紙搬送装置15eにおいて、2次転写ユニット14から搬送されてきた用紙Pは、搬送ベルト15e1の表面に送り込まれる。
従動ローラ15e3は導電性材料で構成されて接地されている。搬送ベルト15e1の表面のうち、従動ローラ15e3に対向する位置において、図示しない吸着チャージャーによって用紙に電荷を与えることにより、用紙Pと搬送ベルト15e1とが誘電分極を起こす。これにより、用紙Pは搬送ベルト15e1の表面に静電吸着される。
駆動ローラ15e2の駆動によって搬送ベルト15e1は、図中の矢印の方向に動いており、これにより、搬送ベルト15b1の表面に吸着される用紙Pはレーザ光が照射されている領域に搬送されるようになっている。
[レーザ照射部の構成]
つぎに、レーザ照射部の詳細な構成について説明する。図9はレーザ照射部を模式的に示す側面図であり、図10はレーザ照射部を模式的に示す正面図である。なお、図9および図10では、一つのレーザ照射部15aを示しているが、残りのレーザ照射部15b〜15dについても同様の構成である。また、図9では、用紙Pに対して法線方向からレーザ光を照射するように描かれているが、実際には、図2に示されるように、法線方向に対して傾いた方向からレーザ光を照射している。
図9および図10に示されるように、レーザ照射部15aでは、入力された信号によりレーザー光出力を可変にしたり、受光素子であるモニター用フォトダイオード2からの信号によりレーザ出力(レーザ光の光強度)を一定に保つための制御回路(図示せず)とフォトダイオード2とがモノシリックに形成されたシリコン基板3に、半導体レーザ素子(チップ)1をマウントし、半導体レーザ素子1とシリコン基板3との間がワイヤーボンド線4で電気的接続されている。
そして、この半導体レーザ素子1がマウントされたシリコン基板3をセラミック基板6上に複数個1列状に取り付け、ワイヤーボンディング等によりセラミック基板6の表面電極5とシリコン基板3上の電極との間の電気的接続が行われている。また、この複数個の半導体レーザ素子1が並んだセラミック基板6に、ヒートシンク(放熱板)9と、複数個の集光光学系としての複数の凸レンズ8とが保持されたレンズホルダー7を取り付ける構成である。このようにしてレーザ照射部15aが構成される。
半導体レーザ素子1は、ビーム広がり角が大きいため、上記のような集光光学系で集光し、焦点を合わせることで、加熱効率が向上する。なお、集光光学系として別のレンズや鏡などを設けてもよい。
このレーザ照射部15aにおける複数の凸レンズ8とレンズホルダー7とは、各凸レンズ8を樹脂ホルダー等に組み込んだものよりも、樹脂によるレンズーレンズホルダー一体成形品や、平板ガラスをレンズ状にイオン交換して製造される平板マイクロレンズなどのレンズアレイである方が、価格や工程、組立精度に関して有利である。
なお、集光光学系を無くし、平行光の状態でトナー画像にレーザーを照射することも可能である。
更にセラミック基板6には、温度を測定するためのサーミスタ10が取り付けられている。サーミスタ10は、定着装置15の長手方向(つまり、用紙Pの搬送方向に垂直であり、用紙Pの表面に平行な方向)の中央部に配置している。そして、サーミスタにより検出された温度データに基づいて、制御装置15fが半導体レーザ素子1に印加する電圧を制御して、半導体レーザ素子1の出力を制御する。
以上のように、レーザ照射部15aは、複数の半導体レーザー素子1が定着装置の長手方向(つまり、用紙Pの搬送方向に垂直であり、用紙Pの表面に平行な方向)に一列状に配列した半導体レーザーアレイと、ヒートシンク及びサーミスタを備えている。これにより、レーザ照射部15aは、用紙Pの幅方向に沿った複数個のスポット(以下、照射サブスポット)を照射することができる。
例えば、ブラックトナー用のレーザ照射部15aにおける半導体レーザーアレイは、波長750nmのレーザ光を発する半導体レーザ素子が配列されたものであり、1個の定格出力が150mWの半導体レーザ素子1を1,000個配列したものを用いる。この場合、各半導体レーザ素子の配列ピッチpは0.3mmでレーザースポット径dも0.3mmとなる。そして、レーザ照射部15aは、用紙Pの幅方向に沿って、1000個の照射サブスポットにレーザ光を照射することができる。
またヒートシンクとしては、アルミニウム合金製でベースサイズが30mm×30mm、高さ20mm、熱抵抗1.6℃/Wのヒートシンク((株)アルファ社製 UB30−20B)を計10個一列に並べたもの(トータルの熱抵抗0.16℃/W)を用いることができる。
なお、その他の色のトナーに対応するレーザー照射部15b〜15dも基本的な構成は同じであるが、半導体レーザ素子の1個の定格出力、配置する個数、配列ピッチは適宜変更することができ、全体の出力と、効率の違いから、ヒートシンクの大きさも適宜変更すればよい。なお、全てのレーザ照射部15a〜15dを、発光するレーザ光の波長のみを異ならせ(つまり、半導体レーザ素子1のみ異ならせ)、その他の部材、例えばヒートシンク、基板などを同じものを用いれば、コストメリットがある。
[制御装置の制御内容]
つぎに、本実施形態の特徴的な制御装置15fの制御内容について説明する。本実施形態では、制御装置15fは、1種類のトナー(例えばブラックトナー)によるトナー像が形成されている箇所に、当該トナーに対応するレーザ照射部からのレーザ光のみを照射させるのではなく、当該トナーに対応するレーザ照射部からのレーザ光に加えて、別のレーザ照射部からのレーザ光も照射させる。すなわち、1種類のトナーだけが形成されている箇所(単色画像が形成されている箇所)について、複数のレーザ照射部からのレーザ光を照射させる。
従来のように1つのレーザ照射部からのレーザ光のみを照射させる場合、当該レーザ照射部のみでトナーを溶融させるために、当該レーザ照射部の定格出力を高くする必要がある。そのため、各トナーに対応するレーザ照射部として、定格出力の比較的大きなものを用いる必要がある。そのため、各レーザ照射部のコストおよびサイズが大きくなってしまう。
しかしながら、本実施形態のように、複数のレーザ照射部15a〜15dからのレーザ光を照射させる場合、各レーザ照射部の定格出力を低く抑えることができる。その結果、各レーザ照射部15a〜15dのコストおよびサイズを低く抑えることができる。
制御装置は、例えば、以下の(制御例1)〜(制御例3)のような制御を行う。
(制御例1)図8に示されるように、ブラックトナーは、広い波長領域の光を吸収することができ、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー用のレーザ照射部15b〜15dからのレーザ光も高い吸光度で吸収することができる。そこで、制御装置15fは、ブラックトナーのトナー像が形成されている箇所に対して、ブラックトナー用のレーザ照射部15aだけでなく、他のレーザ照射部15b〜15dもレーザ光を照射するように制御する。これにより、ブラックトナーを、全てのレーザ照射部15a〜15dからのレーザ光で溶融させることができる。
(制御例2)上述したように、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーに対して、赤外線吸収剤が添加されている場合には、当該赤外線吸収剤による吸収されるレーザ光を照射しても、当該レーザ光を高い吸光度(例えば、所定閾値70%以上)で吸収でき、トナーを熱せられることとなる。そこで、ブラックトナー用のレーザ照射部15aを、赤外線吸収剤が吸収可能な波長の光(例えば、波長750nmの光)を照射するように設定しておくことで、次のように制御することができる。すなわち、制御装置15fは、イエロートナーに対して、イエロートナー用のレーザ照射部15bおよびブラックトナー用のレーザ照射部15aからのレーザ光を照射させ、マゼンタトナーに対して、マゼンタトナー用のレーザ照射部15cおよびブラックトナー用のレーザ照射部15aからのレーザ光を照射させ、シアントナーに対して、シアントナー用のレーザ照射部15dおよびブラックトナー用のレーザ照射部15aからのレーザ光を照射させるように制御する。これにより、カラー(イエロー、マゼンタ、シアン)トナーを、2つのレーザ照射部からのレーザ光で溶融させることができる。
なお、ブラックトナー用のレーザ照射部15aを、他の色トナーに対して、補助的にレーザ照射を行うように制御するとき、このレーザ照射部の定格出力を通常必要な出力よりも大きく設定しておき、定常状態では、出力を絞り、他の色トナーへの補助照射が必要な時に、画像データに合わせて、出力を増減すれば、補助照射された色トナーの溶融が促進され、定着性能が向上する。
また、赤外線吸収剤が、レーザー光に含まれる赤外線を吸収し、より多くの照射エネルギーを得ることになり、トナーの溶融が促進される。しかし、通常添加量を多くしすぎると、カラートナーの場合では、色材の発色を阻害し、にごりを与えてしまう。
そこで、複数のレーザ照射部から、複数のレーザ光が照射されるので、それぞれのトナーの分光特性に応じて、例えばそれぞれを重ね合わせた分光特性から得られる赤外領域の分光強度に応じて、赤外線吸収剤の添加量を、それぞれの色のトナー毎に異なる値として、色のにごりが生じない赤外線の最大吸収になるようにしておけばよい。
これにより、少ないレーザパワーでも、トナーの溶融が促進され、用紙に定着させることができ、レーザ照射部15a〜15dの電力を小さくできたり、発熱量を下げることができ、小型にすることも可能である。
なお、制御例2の場合、マゼンタトナー(またはシアントナーまたはイエロートナー)とブラックトナーの2色印字や、3色印字であっても、複数のレーザ照射部によりトナーへのレーザ光を照射することができる。その結果、高出力化、大型化することなく、高効率なレーザー光による定着装置を構成することができる。
(制御例3)図5および図6に示すように、シアントナーとマゼンタトナーとは、いずれも555〜590nmの波長の光を吸光度80%以上で吸収することができる。
図11は、マゼンタトナーの吸収スペクトルと、各レーザ照射部15a〜15dのレーザ光の波長との関係の一例を示す図である。図11において、符号Aは、ブラックトナー用のレーザ照射部15aからのレーザ光の波長750nmを示しており、符号Bは、イエロートナー用のレーザ照射部15bからのレーザ光の波長450nmを示しており、符号Cは、マゼンタトナー用のレーザ照射部15cからのレーザ光の波長650nmを示しており、符号Dは、シアントナー用のレーザ照射部15dからのレーザ光の波長550nmを示している。図11に示されるように、マゼンタトナーに対して、マゼンタトナー用のレーザ照射部15cだけでなく、シアントナー用のレーザ照射部15dも吸光度80%以上となる。そのため、図11に示す例では、制御装置15fは、マゼンタトナーに対して、マゼンタトナー用のレーザ照射部15cおよびシアントナー用のレーザ照射部15dからのレーザ光を照射させるように制御する。
なお、図11に示すレーザ光の波長は一例に過ぎず、適宜選択可能である。例えば、シアントナー用のレーザ照射部15dの照射するレーザ光の波長を555nm、マゼンタトナー用のレーザ照射部15cの照射するレーザ光の波長を590nmとなるように、各レーザ照射部15c・15dの半導体レーザ素子1を設定すれば、以下のような制御を行うことができる。すなわち、制御装置15fは、シアントナーに対して、シアントナー用のレーザ照射部15dおよびマゼンタトナー用のレーザ照射部15cからのレーザ光を照射させ、マゼンタトナーに対して、マゼンタトナー用のレーザ照射部15cおよびシアントナー用のレーザ照射部15dからのレーザ光を照射させるように制御する。これにより、シアントナーおよびマゼンタトナーを、2つのレーザ照射部15c・15dからのレーザ光で溶融させることができる。なお、この制御を行う場合には、赤外線吸収剤をシアントナーおよびマゼンタトナーに添加してもよいし、添加しなくてもよい。
なお、本発明は、制御装置15fが上記(制御例1)〜(制御例3)の全ての制御を行う形態に限定されるものではなく、上記(制御例1)〜(制御例3)の少なくとも一つの制御を行う形態であってもよい。
例えば、制御装置15fは、上記(制御例1)のみを制御を行ってもよい。また、制御装置15fは、トナー画像の中にブラックトナーで形成された領域がある場合、常に上記(制御例1)の制御を行ってもよいし、高速印字モノクロモードのときにのみ上記(制御例1)の制御を行ってもよい。
高速印字モノクロモード(例えば、60枚/分〜120枚/分の高速モノクロ印字)では、用紙Pの搬送速度を高速化するために、単位時間当たりのトナーに必要な照射エネルギーが大きくなる。照射エネルギーが不足すると、トナーの溶融軟化が不十分で、用紙への定着が悪化し、定着不良を発生させてしまうからである。このようなモードでは、ブラックトナーを短時間で溶融させる必要がある。ただし、ブラックトナー用のレーザ照射部15aのみでトナーを溶融させるためには、ブラックトナー用のレーザ照射部15aの出力可能な照射エネルギー(定格出力)を大きくする必要があり、レーザ照射部15aが大型化してしまう。そこで、本実施形態では、ブラックトナー用のレーザ照射部15aでは不足する照射エネルギーを、他の色トナーのレーザー照射部15b〜15dで補うように制御する。これにより、ブラックトナー用のレーザ照射部15aの定格出力をいたずらに高くする必要はなく、各レーザ照射部15a〜15dを安価に構成することができ、かつ照射エネルギーの不足するような高速印字においても、定着性能の低下を抑えることができる。
(レーザ照射部の出力の制御)
上記のように、本実施形態では、ある1種類のトナーに対して、当該トナーに対応するレーザ照射部だけでなく、他の色のトナーに対応するレーザ照射部からのレーザ光を照射するように制御する。ただし、トナーに対して過度のレーザ光を照射してしまうと、トナー内部に気泡を生じさせてしまうブリスターによる画像欠陥が生じることになる。そこで、本実施形態では、各レーザ照射部15a〜15dから出力されるレーザ光の光強度(光出力)を、トナー付着量、赤外線吸収剤の添加量、色材の種類や量、メイン樹脂の種類や内添材及び外添材の量や種類等によって調整し、過度な照射エネルギーとならないようにする。以下、レーザ照射部15a〜15dの光強度の制御の一例について説明する。
図4に示すように、レーザ照射部15a〜15dを制御する制御装置15fは、画像処理部70に接続されている。この画像処理部70は、外部から入力した画像データに対して画像処理を施し、画像処理の施された画像データに基づいて露光系ユニットEを制御し、前記画像データに応じた潜像を感光体ドラムに形成するものである。つまり、前記画像データは、用紙P上のトナー像の形成されている箇所を示したデータであるともいえる。
制御装置15fは、画像処理部70から前記画像データを受け取り、用紙Pのトナー像の形成されている箇所に選択的にレーザ光を照射するようにレーザ照射部15a〜15dの各光源(半導体レーザ素子1)のオン/オフの切替を制御する。さらに、制御装置15fは、画像データに基づいてレーザ照射部15a〜15dの各半導体レーザ素子1から照射されるレーザ光の光強度を制御する。
具体的には、制御装置15fは、画像処理部70からの画像データに基づいて、照射サブスポットごとに、用紙P上のトナーを溶融するために必要なエネルギー量である必要エネルギー量Enを求める。
ここで、必要エネルギー量Enは、対象となる照射サブスポットに付着している対象色のトナーを溶融させ、用紙P上に定着させるために必要な最低のエネルギー量である。図10に示されるように、各半導体レーザ素子1から照射されるレーザ光は、用紙上においてレーザスポット径dを有する照射サブスポット内を照射する。すなわち、当該レーザスポット径dの照射サブスポット内に付着しているトナー量に応じて、必要エネルギー量Enは変化する。
例えば、制御装置15fは、以下のようにして必要エネルギー量Enを求めればよい。すなわち、制御装置15fは、各色のトナーごとに、トナー付着量を示す特徴量と、当該トナー付着量のトナーを溶融するために最小限必要なエネルギー量との対応関係を示すテーブル、もしくは、当該対応関係を示す関係式を予め記憶しておく。そして、制御装置15fは、画像データに基づいて、各半導体レーザ素子1について、当該半導体レーザ素子1で照射される照射サブスポット内のトナー付着量に対応する特徴量を求める。次に、制御装置15fは、求めた特徴量に対応するエネルギー量を上記テーブルもしくは関係式により決定し、決定したエネルギー量を必要エネルギー量Enとすればよい。ここで、特徴量としては、照射サブスポットに含まれる複数の画素における、対象色の濃度値の総和などを用いることができる。
次に、制御装置15fは、各照射サブスポットについて、複数のレーザ照射部15a〜15dのレーザ光からトナーに与えられる照射エネルギー量の総和が必要エネルギー量Enになるように、各レーザ照射部15a〜15dからのレーザ光の光強度を設定する。なお、制御装置15fは、各色のトナーごとに、各レーザ照射部15a〜15dの光強度を決定する。
制御装置15fは、各レーザ照射部15a〜15dから出力されるレーザ光の光強度を決定するために、各レーザ照射部15a〜15dの半導体レーザ素子1の定格出力を記憶している。そして、制御装置15fは、各レーザ照射部15a〜15dの半導体レーザ素子1の光強度が当該定格出力以下になるとともに、レーザ照射部15a〜15dのレーザ光からトナーに与えられる照射エネルギー量の総和が必要エネルギー量Enになるように制御する。
ここで、各レーザ照射部15a〜15dの光強度が同じであっても、各レーザ照射部15a〜15dからのレーザ光が対象トナーに与えるエネルギー量は異なる。これは、各レーザ照射部からのレーザ光の対象トナーに対する吸光度等が異なるためである。そこで、ーザ照射部15a〜15dのレーザ光からトナーに与えられる照射エネルギー量を求めるための換算処理が必要となる。
以下に、上記の換算処理を含む、各レーザ照射部15a〜15dの光強度を求める方法について具体的に説明する。なお、以下では、上記の(制御例1)の制御を行う場合を例にとり説明するが、他の(制御例2)(制御例3)の場合も同様の処理を行うものとする。
まず、制御装置15fは、以下のパラメータを予め記憶しておく。なお、以下のパラメータは、各トナーの素材や各レーザ照射部からのレーザ光の特性(吸光度の測定結果を含む)に基づいて、予め設定されている。
・ブラックトナーにおける、ブラックトナー用のレーザ照射部15aからのレーザ光の吸光度:η4
・イエロートナー用のレーザ照射部15bからのレーザ光のブラックトナーに対する吸光度を求めるための換算係数:K1
・マゼンタトナー用のレーザ照射部15cからのレーザ光のブラックトナーに対する吸光度を求めるための換算係数:K2
・シアントナー用のレーザ照射部15aからのレーザ光のブラックトナーに対する吸光度を求めるための換算係数:K3
そして、制御装置15fは、上記のパラメータを用いて、イエロートナー用のレーザ照射部15bからのレーザ光のブラックトナーに対する吸光度Aky、マゼンタトナー用のレーザ照射部15cからのレーザ光のブラックトナーに対する吸光度Akm、シアントナー用のレーザ照射部15dからのレーザ光のブラックトナーに対する吸光度Akcを以下の式に従って求める。
Aky=K1×η4
Akm=K2×η4
Akc=K3×η4
ここで、上記の式で求めた吸光度Aky、Akm、Akcのレーザ光のエネルギーの全てが、トナーの溶融のために用いられるとは限らない。例えば、トナーによって散乱され、外部に再度放射される光などが存在するからである。
そこで、制御装置15fは、吸収されたレーザ光のエネルギーのうち、トナーの溶融のために用いられる割合を示す係数α1〜α4を予め記憶しておき、上記Aky、Akm、Akcに当該係数を乗算することで、溶融エネルギー使用率Cky、Ckm、Ckc、Ckkを以下の式に従って求める。
Cky=Ac×α1
Ckm=Am×α2
Ckc=Ay×α3
Ckk=η4×α4
係数α1は、イエロートナー用のレーザ照射部15bからのレーザ光をブラックトナーに照射したときに、透過してこない光のうちトナーの溶融に使用された光の割合を示すものである。同様に、係数α2は、マゼンタトナー用のレーザ照射部15cからのレーザ光をブラックトナーに照射したときに、透過してこない光のうちトナーの溶融に使用された光の割合を示すものである。係数α3は、シアントナー用のレーザ照射部15dからのレーザ光をブラックトナーに照射したときに、透過してこない光のうちトナーの溶融に使用された光の割合を示すものである。係数α4は、ブラックトナー用のレーザ照射部15aからのレーザ光をブラックトナーに照射したときに、透過してこない光のうちトナーの溶融に使用された光の割合を示すものである。
係数α1は、例えば、イエロートナー用のレーザ照射部15bからのレーザ光をブラックトナーに照射したときのブラックトナーの温度変化を測定することにより予め求めることができる。すなわち、レーザ照射部15bから照射したレーザ光の総エネルギー量Psを、光強度および照射時間に基づいて求め、ブラックトナーを溶融するために供給された総エネルギー量Puを、ブラックトナーの温度変化およびブラックトナー量に基づいて求める。そして、Puを、Ps×Akyで割ることにより、係数α1を求めればよい。なお、係数α2、α3、α4についても同様に予め求めておけばよい。
さらに、レーザ照射部から出力されたレーザ光の全てが必ずしも所望の照射サブスポットに照射されるわけではない。そこで、制御装置15fは、このようなロスを考慮した係数β1〜β4を予め記憶しておき、上記Cky、Ckm、Ckc、Ckkに当該係数を乗算することで、照射エネルギー利用率Dky、Dkm、Dkc、Dkkを以下の式に従って求める。
Dky=Cky×β1
Dkm=Ckm×β2
Dkc=Ckc×β3
Dkk=Ckk×β4
係数β1は、イエロートナー用のレーザ照射部15bの半導体レーザ素子1から出力されたレーザ光のうち、対応する照射サブスポットに入射した光の割合を示すものである。同様に、係数β2は、マゼンタトナー用のレーザ照射部15cの半導体レーザ素子1から出力されたレーザ光のうち、対応する照射サブスポットに入射した光の割合を示すものである。係数β3は、シアントナー用のレーザ照射部15dの半導体レーザ素子1から出力されたレーザ光のうち、対応する照射サブスポットに入射した光の割合を示すものである。係数β4は、ブラックトナー用のレーザ照射部15aの半導体レーザ素子1から出力されたレーザ光のうち、対応する照射サブスポットに入射した光の割合を示すものである。
係数β1〜β4は、レーザ照射部の中の一つの半導体レーザ素子から照射されたレーザ光の強度と、照射サブスポットに入射されたレーザ光の強度とを測定することにより予め求めることができる。
そして、制御装置15fは、照射サブスポットごとに、各レーザ照射部15a〜15dから照射する光の強度である光強度Pa〜Pdを、下記の式(a)を満足するように決定すればよい。
Pa×Dkk×t+Pb×Dky×t+Pc×Dkm×t+Pd×Dkc×t=En 式(a)
ここで、tは、照射時間である。このtは、用紙Pの搬送速度から決定されるものである。
例えば、制御装置15fは、ブラックトナー用のレーザ照射部15aの光強度が定格出力以下の範囲において、Pa×Dkk×t=En を満足する場合、ブラックトナー用のレーザ照射部15aの光強度を当該Paとし、残りのレーザ照射部15b〜15dからレーザ光を照射しないものとする。
一方、制御装置15fは、ブラックトナー用のレーザ照射部15aの光強度を定格出力Pamaxに設定しても、Pamax×Dkk×t<En である場合、ブラックトナー用のレーザ照射部15aの光強度を定格出力であるPamaxとし、上記式(a)を満たし、かつ、残り3つのレーザ照射部15b〜15dからの照射エネルギーが同じ値になるように、当該3つのレーザ照射部の光強度Pb、Pc、Pdを決定すればよい。例えば、必要エネルギー量が100である場合において、制御装置15fは、ブラックトナー用のレーザー照射部15aの光強度を定格出力として、55%の照射エネルギーをまかない、他の3つのレーザー照射部15b〜15dの各々が15%ずつの照射エネルギーをまかなうように駆動することで、必要エネルギー量を供給することができる。
ここで、Pamax×Dkk×t<En の両辺をtで割ると、Pamax×Dkk<En/t となる。右辺は、単位時間あたりのエネルギー量を示している。そのため、Pamax×Dkk×t<En である場合とは、照射対象となるトナーを加熱溶融させるために必要な単位時間あたりのエネルギー量が所定閾値(ここでは、Pamax×Dkk)よりも高い場合であるといえる。
Pamax×Dkk×t<En となる場合とは、高速印字を行う場合や、トナー付着量が高い印字を行う場合である。このような場合には、本来のブラック用のレーザ光A(図11参照)の照射エネルギーだけでは、必要なエネルギーが不足するので、各色のトナー用のレーザー光B,C,Dについても、ブラックトナーに対して照射すると、これらのレーザー光B,C,Dそれぞれに対する吸収によりブラックトナーの溶融が促進される。こうすることで、本来大電力のブラックトナー用のレーザ照射部が必要な条件でも、残りのレーザー照射部の照射を付加して、トナーの溶融を促進させることができ、高出力なレーザ照射部を用いることなく、低コストで、かつ、発熱量の抑制及び分散ができ、小型化にも寄与することができる。
なお、上記式(a)の代わりに、下記の式(a’)を用いても良い。
En+C≧Pa×Dkk×t+Pb×Dky×t+Pc×Dkm×t+Pd×Dkc×t≧En 式(a’)
ここで、Cは、トナー内部に気泡を生じさせてしまうブリスターが発生しない範囲で予め設定される。
そして、上記式(a’)を満たす範囲で、光強度Pa、Pb、Pc、Pdを求めればよい。この式を用いることで、光強度が離散的な値のみを取るようなレーザ照射部15a〜15dであっても適切に制御することができる。
上記のように式(a)には、照射時間tが含まれる。そのため、カラー印刷のような低速印字を行う場合には、ブラックトナーだけの画像が含まれていたとしても、ブラックトナー用のレーザ照射部15aだけで式(a)を満足させることができるが、モノクロ印刷のような高速印字を行う場合には、ブラックトナー用のレーザ照射部15aだけで式(a)を満足させることができないことが考えられる。そこで、高速印字の場合にのみ、(制御例1)を行い、ブラックトナーに対して、4つのレーザ照射部15a〜15dのレーザ光を照射させてもよい。
すなわち、単色印字(例えばモノクロ印字、ここでは、70枚/分の高速・単色印字)を行うときには、カラー印字の場合に比べて、単位時間あたりのトナーへの必要な照射エネルギーが高くなるため、一つのレーザ照射部15aだけでは、トナーの溶融に必要な熱が少なくて、十分な定着強度を得ることができない。そこで、本実施形態では、必要な照射エネルギーを与えるために、レーザ照射部15aの定格出力を高めるのではなく、他のレーザ照射部15b〜15dを補助として駆動させ、必要な照射エネルギーを確保する。これにより、各レーザ照射部15a〜15dの定格出力を上げる必要がないので、当該レーザ照射部15a〜15dの大型化を避けることができ、かつ、トナーを十分に溶融させることができる。
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものでなく、様々な変更が可能である。以下、変形例について説明する。
上記の説明では、レーザ照射部15a〜15dからの照射されるレーザ光の光路が用紙Pの法線方向に対して傾斜するように、レーザ照射部15a〜15dを配置するようにした。これは、各レーザ照射部15a〜15dから照射されるレーザ光が用紙P上の照射スポットにおいて重複させるためである。これにより、複数のレーザ照射部15a〜15dからのレーザ光を同時に照射させることができる。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図12に示されるように、各レーザ照射部15a〜15dの間隔をできるだけ狭く配置し、各レーザ照射部15a〜15dからのレーザ光を用紙Pの法線方向に沿って照射してもよい。この場合、各レーザ照射部15a〜15dからのレーザ光を所定の時間間隔で照射することになるため、各レーザ照射部15a〜15dの出力を上述した形態よりも高くする必要があるが、レーザ照射部の配置を容易にすることができる。
もしくは、図13に示されるように、各レーザ照射部15a〜15dからレーザ光を用紙Pの法線方向に沿って照射し、かつ、各レーザ照射部15a〜15dからのレーザ光の少なくとも一部が他のレーザ照射部15a〜15dからのレーザ光を重複するように、ミラー等の光学部材により光路を調整してもよい。これにより、各レーザ照射部15a〜15dからレーザ光を同時に照射することでトナーを溶融させることができ、各レーザ照射部の出力を低く抑えることができる。
また、上記の説明では、複数の半導体レーザ素子1が用紙Pの幅方向に沿って配列されたアレイ状のレーザ照射部15a〜15dを用いるものとした。しかしながら、走査光学系を有するレーザ照射部を用いててもよい。走査光学系を有するレーザ照射部である場合、半導体レーザ素子を多数個ならべたレーザアレイのレーザ照射部15a〜15dに比べて、回転機構が必要で、一つの半導体レーザ素子の定格出力は大きくなるが、総数を減らすことができ、制御しやすくなる。
図14は、走査光学系を用いたレーザ照射部の構成を示す図である。図14に示されるように、レーザ照射部は、ブラックトナー用のレーザ光を出力するレーザ光源15a’と、イエロートナー用のレーザ光を出力するレーザ光源15b’と、マゼンタトナー用のレーザ光を出力するレーザ光源15c’と、シアントナー用のレーザ光を出力するレーザ光源15d’と、レーザ光源15a’〜15d’から出力されたレーザ光の進行方向を変えて、用紙Pの幅方向にレーザ光を照射する多面鏡(ポリゴンミラー)30と、レーザ光の偏向により生じる収差を補正し、用紙P上にレーザ光を集光する補正レンズ(走査光学部材)(例えば、fθレンズや集光レンズ)31とを備えている。この構成によれば、ポリゴンミラー30を回転させることで、用紙Pの幅方向にレーザ光を走査させることができる。さらに、用紙Pを幅方向と垂直な方向に搬送することにより、レーザ光を用紙Pの全面に照射させることが可能となる。
なお、図14に示すポリゴンミラー(走査光学部材)30の代わりに、1枚のミラーを、回転軸を中心に遥動(例えば、左右に所定の角度を振る)させるガルバノミラーを用いてもよい。
図14に示すようなレーザ照射部であっても、制御装置15fの動作は、上述した形態とほぼ同じである。
例えば、制御装置15fは、モノクロ印刷を行う場合には、ブラックトナーを溶融させるために必要なエネルギー量である必要エネルギー量Enのうち、ブラックトナー用のレーザ光源15a’により50%をまかない、補助照射を行うシアントナー用のレーザ光源15d’は15%、マゼンダトナー用のレーザ光源15c’は25%、イエロートナー用のレーザ光源15b’は10%をまかなうように、各レーザ光源15a’〜15d’の光強度を制御すればよい。
そして、レーザ照射による定着では、トナーの選択加熱が可能であるので、入力された画像データの、各色ごとに画像情報を分析して、各レーザ光源15a’〜15d’の各照射サブスポット毎の出力を決定し、照射サブスポット毎に1つから4つのレーザ光を適宜照射する。これにより、長時間の連続駆動による発熱を抑えると共に、不必要な照射を抑制することによる省エネルギー化にも寄与することとなる。
図14に示すようなレーザ照射部を用いる場合、各レーザ光源15a’〜15d’の定格出力が比較的大きいため、発熱量も大きくなる。そのため、大型化することなく、より高い冷却性能を有する冷却装置が望まれる。また、図2に示すような上述したレーザ照射部15a〜15dであっても、画像形成装置100のさらなる小型化の要求が増えることが予想される。
そこで、冷却装置を大型化することなく、安定した冷却性能を付与する為に、レーザー照射部から発生する熱を、一旦別の場所(冷却部)まで輸送し、その輸送先の冷却部で、空冷式などで冷却すると、レーザー照射部の配置に自由度が増して、効率良い照射位置や、小型にできる配置を取ることができる。
ただし、レーザ照射部から実際の冷却部との間には、画像形成部や、電源回路など他の構成部材がある。また、冷却効果や機外排出しやすいダクト構成を考慮すると、レーザ照射部と冷却部との間には他の構成部材も存在させなければならない可能性が高い。通常、このような配置では、機外排出が若干犠牲になって、機内温度が高くなってしまう構成や、冷却効果は低下するが薄くて吐出量の小さい空冷ファンを用いたりする。このようにすると、冷却効果が低下したり、機内温度上昇で、温度の影響を受けやすい画像形成部に大きな影響を与えてしまう。
そこで、発熱源であるレーザー照射部(レーザ光源)で発生した熱を、蛇行細管型ヒートパイプを用いて、他の場所へ移動させ、そこで空冷によって、大気中へ放熱させて、冷却を行ってもよい。なお、ここでは空冷式を用いたが、水冷式やペルチェ素子など電子冷却式を用いても良い。
蛇行細管型ヒートパイプとは、例えば、http://www.tsheatronics.co.jp/technology/index.html で紹介されている公知の技術であり、図16に示されるように、従来のヒートパイプよりも小径の細管を蛇行させながらループ状(エンドレス)とし、当該細管内に作動液を循環させ、冷却を促進させる熱輸送デバイスである。蛇行細管のコンテナとして、板状の金属(例えば、アルミ、銅、ステンレス鋼、チタンなど)を用いることができる。また、作動液としては、水や他の溶媒を用いることができる。そして、蛇行細管型ヒートパイプを用いる場合、自由に屈曲できるため、設計の自由度が高い。また、蛇行細管型ヒートパイプは、従来のヒートパイプと比べて、熱輸送量が大きく、熱輸送が困難な向きでも安定した動作が行える。特に、従来は困難であった上から下への熱の移動も行える。そのため、レーザ照射部(レーザ光源)で発生した熱を、その他の構成部材を避けながら冷却部へ輸送することに好適である。
図15は、蛇行細管型ヒートパイプを用いた実施形態の一例を示す図である。図15に示されるように、冷却装置20は、レーザ照射部15a〜15d(または、レーザ光源15a’〜15d’)に取り付けられた、熱伝導性の高い金属板21と、画像形成装置の放熱箇所に配置された放熱器22と、金属板21と放熱器22との両方に接触する、蛇行細管型ヒートパイプ24を備えた熱輸送部材23とを含む。これにより、蛇行細管型ヒートパイプ24は、レーザ照射部15a〜15d(または、15a’〜15d’)で発生した熱を金属板21を介して吸収し、吸収した熱を放熱器22まで輸送し、放熱器22において放熱する。
これにより、レーザ照射部15a〜15d(または、レーザ光源15a’〜15d’)で発生した熱を冷却効果の高い場所に配置された放熱器まで効率的に輸送することができ、放熱させることができる。また、画像形成装置の内部構造や配置に影響されずに、レーザ照射部15a〜15d(または、レーザ光源15a’〜15d’)の冷却が行え、冷却装置の取り付け位置の制約が大幅に緩和される。
また、上記の説明では、4つのレーザ照射部15a〜15d(または、レーザ光源15a’〜15d’)を用いるものとしたが、レーザ照射部の数はこれに限定されない。例えば、一つのレーザ照射部をマゼンタトナー用とシアントナー用とに共用してもよい。この場合、3つのレーザ照射部を用いることとなる。
以上のように、本実施形態に係る定着装置(レーザ定着装置)15は、複数の色(K,Y,M,C)のトナーを用いて用紙Pに画像を形成する、電子写真方式の画像形成装置100に設置されるものであり、用紙P上に付着されたトナーにレーザ光を照射することで、当該トナーを加熱溶融して用紙Pに定着させるものである。
そして、定着装置15は、異なる波長のレーザ光を出力する複数のレーザ照射部15a〜15dを備える。複数の色(K,Y,M,C)のトナーの各々は、レーザ照射部15a〜15dのうちのいずれか一つと対応している。ここでは、レーザ照射部15a〜15dは、それぞれK,Y,M,Cのトナーに対して吸光度が80%以上の波長のレーザ光を出力する。さらに、定着装置15は、少なくとも一つのトナー(例えば、ブラックトナー)に対して、当該トナーを加熱溶融させるために、当該トナーに対応するレーザ照射部15aからのレーザ光と当該トナーに対応しない少なくとも一つのレーザ照射部15b〜15dからのレーザ光とを照射させるように制御する制御装置15fを備える。
これにより、対応するレーザ照射部15a〜15dだけでレーザ光を照射する場合に比べて、レーザ照射部15a〜15dを駆動する電力を分散することができ、レーザ照射部15a〜15dの発熱量を分散させ、ヒートシンク9を小型にすることができる。また、トナーの溶融に対するエネルギーの供給を複数のレーザ照射部15a〜15dが分担するため、高い定格出力を有するレーザ照射部15a〜15dを設ける必要もなく、コストアップおよび大型化を避けることができるとともに、高効率なレーザ照射を実現できる、また、レーザ照射部15a〜15dの熱による劣化も低減でき、寿命を延ばすことができる。
例えば、(制御例1)の場合、制御装置15fは、ブラックトナーによるモノクロ画像(単色画像)を形成する場合に、ブラックトナーを加熱溶融させるために、レーザ照射部15a〜15dからのレーザ光をブラックトナーに照射するようにする。
また、レーザ照射部15aが、対応するブラックトナー以外のトナー(Y、M,C)に対しても所定値(例えば70%)以上の吸光度を有するレーザ光を出力する特定レーザ照射部となるとき、(制御例2)の制御が可能である。この場合、制御装置15fは、レーザ照射部(特定レーザ照射部)15aに対応するブラックトナー以外の非特定トナー(Y,M,C)に対して、当該非特定トナーに対応するレーザ照射部15b〜15dからのレーザ光とレーザ照射部15aからのレーザ光とを照射させるように制御する。
なお、(制御例2)は、以下のように言い換えることもできる。すなわち、赤外線吸収剤が添加されたトナー(Y,M,C)に対応しないレーザ照射部15aは、赤外領域の波長のレーザ光を出力する赤外レーザ照射部である。そして、制御装置15fは、赤外線吸収剤が添加されたトナー(Y,M,C)に対して、当該トナー(Y,M,C)に対応するレーザ照射15b〜15dからのレーザ光とレーザ照射部15aからのレーザ光とを照射させるように制御する。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は電子写真方式の画像形成装置に利用することができる。電子写真方式の画像形成装置としては、プリンタ専用機、複写機、複合機、ファクシミリ装置が挙げられる。
1 半導体レーザ素子
9 ヒートシンク
15 定着装置(レーザ定着装置)
15a〜15d レーザ照射部
15a’〜15d’ レーザ光源
15f 制御装置(制御部)
20 冷却装置
23 熱輸送部材
24 蛇行細管型ヒートパイプ
30 ポリゴンミラー(走査光学部材)
31 補正レンズ(走査光学部材)
100 画像形成装置
P 用紙

Claims (12)

  1. 複数の色のトナーを用いて用紙に画像を形成する、電子写真方式の画像形成装置に設置されるものであり、用紙上に付着されたトナーにレーザ光を照射することで、当該トナーを加熱溶融して上記用紙に定着させるレーザ定着装置であって、
    異なる波長のレーザ光を出力する複数のレーザ照射部を備え、
    上記複数の色のトナーの各々は、上記複数のレーザ照射部のうちのいずれか一つのレーザ照射部と対応しており、
    上記複数のレーザ照射部の各々は、対応するトナーに対して吸光度が80%以上の波長のレーザ光を出力し、
    さらに、上記複数の色のトナーのうちの少なくとも一つのトナーに対して、当該トナーを加熱溶融させるために、当該トナーに対応するレーザ照射部からのレーザ光と当該トナーに対応しない少なくとも一つのレーザ照射部からのレーザ光とを照射させるように上記複数のレーザ照射部を制御する照射制御を行う制御部を備え
    上記制御部は、照射対象となるトナーを加熱溶融させるために必要な単位時間あたりのエネルギー量が所定閾値よりも高い場合に、上記照射制御を行うことを特徴とするレーザ定着装置。
  2. 複数の色のトナーを用いて用紙に画像を形成する、電子写真方式の画像形成装置に設置されるものであり、用紙上に付着されたトナーにレーザ光を照射することで、当該トナーを加熱溶融して上記用紙に定着させるレーザ定着装置であって、
    異なる波長のレーザ光を出力する複数のレーザ照射部を備え、
    上記複数の色のトナーの各々は、上記複数のレーザ照射部のうちのいずれか一つのレーザ照射部と対応しており、
    上記複数のレーザ照射部の各々は、対応するトナーに対して吸光度が80%以上の波長のレーザ光を出力し、
    さらに、上記複数の色のトナーのうちの少なくとも一つのトナーに対して、当該トナーを加熱溶融させるために、当該トナーに対応するレーザ照射部からのレーザ光と当該トナーに対応しない少なくとも一つのレーザ照射部からのレーザ光とを照射させるように上記複数のレーザ照射部を制御する照射制御を行う制御部を備え
    上記制御部は、上記照射制御を行う場合、照射対象となるトナーに吸収されるレーザ光のエネルギー量の総量が当該トナーを加熱溶融するために必要なエネルギー量以上になるように、当該トナーに照射される、複数のレーザ照射部からのレーザ光の各々の光強度を設定することを特徴とするレーザ定着装置。
  3. 上記制御部は、上記複数の色のトナーのうちの何れか一つのトナーのみの単色画像を形成する場合に、当該トナーを加熱溶融させるために、上記照射制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ定着装置。
  4. 上記複数のレーザ照射部のうち、対応するトナー以外のトナーに対しても所定値以上の吸光度を有するレーザ光を出力するレーザ照射部を特定レーザ照射部とするとき、
    上記制御部は、上記照射制御として、上記特定レーザ照射部に対応するトナーである特定トナー以外のトナーである非特定トナーに対して、当該非特定トナーに対応するレーザ照射部からのレーザ光と上記特定レーザ照射部からのレーザ光とを照射させるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ定着装置。
  5. 上記照射対象となるトナーは、ブラックトナーであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のレーザ定着装置。
  6. 上記レーザ照射部は、用紙の搬送方向に直交する方向に半導体レーザ素子を複数個並べたレーザアレイであることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のレーザ定着装置。
  7. 上記レーザ照射部は、対応する波長のレーザ光を発するレーザ光源を備え、
    上記レーザ光源からのレーザ光を、用紙の搬送方向に直交する方向に走査する走査光学部材とを備えることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のレーザ定着装置。
  8. 上記レーザ照射部に取り付けられ、当該レーザ照射部で発せられた熱を放熱するための蛇行細管型ヒートパイプを備えることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のレーザ定着装置。
  9. 上記複数のレーザ照射部の各々から出力されたレーザ光が照射する用紙上の領域が、互いに重なり合っていることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のレーザ定着装置。
  10. 上記複数のレーザ照射部から出力されたレーザ光の各々が、用紙の法線方向に対して傾いていることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載のレーザ定着装置。
  11. 上記複数の色のトナーのいずれかには赤外線吸収剤が添加されており、
    上記赤外線吸収剤が添加されたトナーに対応しない一つのレーザ照射部は、赤外領域の波長のレーザ光を出力する赤外レーザ照射部であり、
    上記制御部は、上記照射制御として、上記赤外線吸収剤が添加されたトナーに対して、当該トナーに対応するレーザ照射からのレーザ光と上記赤外レーザ照射部からのレーザ光とを照射させるように上記複数のレーザ照射部を制御することを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載のレーザ定着装置。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載のレーザ定着装置を備えた電子写真方式の画像形成装置。
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