JP2010210649A - 定着装置、及びそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

定着装置、及びそれを備えた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】定着用レーザー光源部の熱を利用することにより、未定着トナー画像を定着させるのに必要な光エネルギーを少なくすると同時に、通紙される記録紙をレーザー光源部の冷却手段とすることにより、冷却に必要な電力を削減する低消費電力を実現する定着装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置40aは、レーザー光源104、レーザー照射部105、レーザー光源104とレーザー照射部105との間を結ぶ光ファイバー106、及び記録紙Pを搬送する記録紙搬送装置107で構成されている。レーザー光源104は、記録紙搬送ベルト103の内周面側に設置され、レーザー光源104全体が柱状の高熱伝導材108aで覆われている。高熱伝導材108aの上下2面は、記録紙搬送ベルト103と当接している。
【選択図】図2

Description

本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に係り、より詳細には、記録紙上に形成された未定着画像を、レーザー光照射手段により定着する定着装置、及びそれを備えた画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置(例えばプリンタ)には、記録部材(記録紙または、用紙)上に形成されたトナー像を熱溶融することによって用紙上に定着させる定着装置が備えられている。この定着装置の一例として、特許文献1に示されるように、定着ローラと加圧ローラとから構成されるローラ対方式の定着装置が知られている。
定着ローラは、アルミなどの金属製中空芯金の表面に弾性層が形成されたローラ部材であり、この芯金の内部に熱源としてハロゲンランプが配置された構成である。そして、温度制御装置が、定着ローラ表面に設けられた温度センサから出力される信号に基づいてハロゲンランプをオン/オフ制御することによって、定着ローラ表面の温度を制御する。
加圧ローラは、芯金上に被覆層としてシリコンゴムなどの耐熱性弾性層を設けたローラ部材である。この加圧ローラは、定着ローラ周面に対して圧接され、加圧ローラの上記弾性層の弾性変形によって、定着ローラと加圧ローラとの間にニップ領域が形成される。
上記の構成において、定着装置では、未定着のトナー像が形成された用紙を定着ローラと加圧ローラとの間のニップ領域に挟み込み、これら両ローラを回転させることによって上記用紙を搬送するとともに、定着ローラ周面の熱により用紙上のトナー像を溶融させて用紙に定着させる。
しかし、従来のローラ対方式は、朝一電源投入直後は、定着ローラ及び加圧ローラは、室温状態にあるため、電源ON後、所定温度にまで上昇させる必要があるため、ウォームアップ時間を要する。また、コピー動作が行われていない待機状態では、ローラ表面を所定温度に保持する必要があるため、コピー動作が行われていない時も常に加熱していなければならない。これらコピー動作以外に、無駄なエネルギーを消費する。
そこで、無駄なエネルギーを消費せず効率よくトナーのみを定着させる方法として、特許文献2にあるようなレーザーパワーを利用してトナーを定着させる定着装置が提案されている。特許文献2によれば、複数のレーザーを用いてトナーを加熱することで、一つの弱いレーザーだけでは不十分な定着性を複数個のレーザーを用いることで定着性を向上させている。これにより、低出力で安価なレーザーを使うことが可能なため、装置全体も簡単なものにできると記載されている。
特開平11−38802号公報 特開平7−191560号公報
しかし、特許文献2の定着装置では、複数のレーザーを用いたとしても、レーザー素子の光エネルギー変換効率(レーザー素子に投入される電力に対して、レーザー光として光出力できる電力の割合)が低く、通常用いられるレーザー素子は、光変換効率が50%以下である。つまり、投入電力に対して50%以上が変換ロスであり、変換ロスがレーザー光源から発生する熱となり、その発熱を冷却する手段が必要になる。また冷却するために別途電力が必要になるためトータルとしてのエネルギー変換効率(レーザー素子に投入する電力、冷却に必要な投入電力等を含めたレーザーを動作させるのに必要な全投入電力に対する光照射できる電力の割合)が悪くなる。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、定着用レーザー光源部の熱を利用することにより、未定着トナー画像を定着させるのに必要な光エネルギーを少なくすると同時に、通紙される記録紙をレーザー光源部の冷却手段とすることにより、冷却に必要な電力を削減する低消費電力を実現する定着装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することにある。
本発明は、レーザー光を照射して未定着のトナー画像を定着する定着装置において、
レーザー光源とレーザー照射部とを分離して光ファイバーで接続し、前記レーザー光源で発生した熱により記録紙搬送ベルトや記録紙を加温して、前記記録紙搬送ベルトで搬送する未定着トナー画像を記録した前記記録紙を予熱し、予熱した前記記録紙に前記レーザー光を照射して未定着トナー画像を定着させることを特徴とするものである。
これにより、レーザー光源で発熱する排熱を再利用できると伴に、未定着トナー画像を記録した記録紙を予備加熱できる為、記録紙の定着に必要なレーザー光の光エネルギーを削減でき、消費電力を抑制しつつ定着することができる。また、記録紙がレーザー光源を冷却するので、レーザー光源の冷却装置を設ける必要がなく、冷却に必要な電力が不要となる。
ここで、本発明の前記レーザー光源は、前記記録紙搬送ベルトの内周面側に設けられたことを特徴とする。
これにより、レーザー光源を記録紙搬送ベルトの内周面側配置することで、無駄なスペースが不要となる。また、記録紙搬送ベルトの内周面側に配置すると、外側に配置するよりもレーザー光源の少なくとも上下に記録紙搬送ベルトが存在して熱が伝わり易いため、効率よく記録紙搬送ベルトを加温でき、延いては記録紙を効率良く予備加熱することができる。
また、本発明の前記レーザー光源は、前記記録紙搬送ベルトに当接していることを特徴とする。この場合、前記レーザー光源は、高熱伝導材を介して前記記録紙搬送ベルトに当接し、前記レーザー光源の発生熱により加温してもよい。
これにより、レーザー光源が記録紙搬送ベルトに当接していることにより、直接に記録紙搬送ベルトに熱を供給でき、効率良く予備加熱することができる。さらに、高熱伝導材を介して前記記録紙搬送ベルトに当接させると、記録紙搬送ベルトに当接する接触面積を拡大することも可能となり、より効率良く予備加熱することができる。
また、本発明の前記レーザー光源は、前記記録紙搬送ベルトの外側であって、レーザー照射前の搬送記録紙近傍の位置に配置されることを特徴とする。この場合、前記レーザー光源は、高熱伝導材を介してレーザー照射前の搬送記録紙近傍の位置に配置されてもよい。
これにより、レーザー光源が記録紙搬送ベルトの外側であって、レーザー照射前の搬送記録紙近傍の位置に配置されることにより、記録紙自体に熱を供給でき、効率良く予備加熱することができる。さらに、高熱伝導材を介すると、記録紙に対向する面積を拡大することが可能となり、より効率良く予備加熱することができる。
本発明の定着処置は、さらに前記記録紙搬送ベルトの温度を検知する温度センサを備え、前記温度センサが検出した検出結果に基づいて、前記レーザー光源の照射量を制御するレーザー照射制御手段を有することを特徴とする。
これにより、記録紙搬送ベルトによる記録紙を予備加熱する為、記録紙搬送ベルトの温度によって、記録紙の温度が左右される。従って、記録紙搬送ベルトの温度によってレーザー光源が出力する光エネルギー(消費電力)を制御することにより、無駄な光エネルギーを記録紙に照射することなく、効率の良いレーザー光の光エネルギーを制御することができ、低消費電力の定着装置が得られる。
本発明の前記レーザー照射制御手段は、前記記録紙への印字位置情報に基づいて、前記レーザー光源の光照射のタイミングを制御することを特徴とする。
これにより、画像形成装置に入力された画像情報から記録紙への印字位置情報(印刷ジョブに対して、1ページ毎のどの位置に印字するかといった信号を指す)に基づいて、未定着トナー画像を定着するのに必要なタイミングにのみレーザー光を照射するので、無駄なレーザー光の照射を無くし、低消費電力を達成することができる。また、記録紙搬送ベルトを直接レーザー照射しないので、記録紙搬送ベルトの熱劣化を抑制することができる。
本発明の定着装置は、前記記録紙搬送ベルトにバイアス電圧を印加することを特徴とする。また、本発明の定着装置は、前記記録紙搬送ベルトを導電性材料で構成することを特徴とする。
これにより、記録紙搬送ベルトにバイアス電圧を印加することで、記録紙を記録紙搬送ベルトに静電吸着させ、記録紙搬送ベルトと記録紙との密着性を向上し、記録紙搬送ベルトからの記録紙の浮きを抑制して、記録紙全体を均一に予備加熱することができる。また、レーザー光の光エネルギーを未定着トナー画像に均一に照射することができるので、効率良く定着することができる。
本発明の前記レーザー照射部は、前記記録紙搬送ベルトの搬送方向に対して垂直方向に複数並べられていることを特徴とする。
これにより、例えば一つのレーザー光照射手段で、紙全面を光照射する場合、紙の搬送方向以外に、紙搬送方向と垂直方向にレーザー光をスキャンさせる必要がある為、定着に時間がかかる。従って、高速機等の記録紙搬送速度が早くなると、定着が不十分になる。
また、レーザーをスキャンさせるには、装置の複雑化、コストアップになる。
よって、レーザー照射部を紙搬送方向と垂直方向(幅方向)に並べることで、レーザー光をスキャンさせる必要がなく、高速機にも対応したレーザー光源が得られる。また、スキャンさせる部品も不要なことからスキャンさせる部品のスペースが不要となり、コンパクトなレーザー定着装置が得られる。
また、本発明は、表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、感光体ドラム表面を帯電させる帯電装置と、感光体ドラム表面に静電潜像を形成する露光装置と、感光体ドラム表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置と、感光体ドラム表面のトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記転写されたトナー像を記録媒体に定着させる定着装置とを備え、電子写真方式によりトナーを用いて画像を形成する画像形成装置において、前記定着装置として、前述の本発明の定着装置を備えたことを特徴とする。
これにより、画像形成装置のウォームアップ時間が短縮でき、待機時の消費電力も必要がない為、低消費電力の画像形成装置を得ることができる。
本発明によれば、レーザー光源で発熱する排熱を再利用できると伴に、未定着トナー画像を記録した記録紙を予備加熱できる為、記録紙の定着に必要なレーザー光の光エネルギーを削減でき、消費電力を抑制しつつ定着することができる。また、記録紙がレーザー光源を冷却するので、レーザー光源の冷却装置を設ける必要がなく、冷却に必要な電力が不要となる。
本発明に係るレーザー定着装置を備えた画像形成装置の概略図である。 本発明に係るレーザー定着装置の一実施形態を示す概略図である。 本発明に係るレーザー定着装置の他の実施形態を示す概略図である。 本発明に係るレーザー定着装置の他の実施形態を示す概略図である。 本発明に係るレーザー定着装置の他の実施形態を示す概略図である。 レーザー光照射装置の紙搬送方向に対して垂直方向に見たときの図である。 レーザー定着における記録紙と記録紙搬送ベルトの構成と初期条件を示す図である。 記録紙搬送ベルトの初期温度が30℃の場合における温度と予備加熱時間の関係を示す図である。 記録紙搬送ベルトの初期温度が40℃の場合における温度と予備加熱時間の関係を示す図である。 予備加熱温度に対してレーザー素子の出力を変化させた場合の定着良否判定の結果を示す図である。 本発明に係る画像形成装置の制御ブロック図である。 本発明に係る画像形成装置のコピー操作手順を示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すると以下の通りである。
図1は、乾式電子写真方式のカラー画像形成装置の内部構造を示している。画像形成装置は、例えばネットワーク上の各端末装置から送信される画像データ等に基づいて、所定の記録紙に対して多色又は単色の画像を形成する。
上記画像形成装置は、可視像形成ユニット50(50Y・50M・50C・50B)、記録紙搬送手段30、定着装置40、供給トレイ20を備えている。
上記画像形成装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色に対応して、4つの可視像形成ユニット50Y・50M・50C・50Bが並設されている。つまり、可視像形成ユニット50Yは、イエロー(Y)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット50Mは、マゼンダ(M)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット50Cは、シアン(C)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット50Bは、ブラック(B)のトナーを用いて画像形成を行う。具体的な配置としては、記録紙Pの供給トレイ20と定着装置40とを繋ぐ記録紙の搬送路に沿って4組の可視像形成ユニット50を配設した、所謂タンデム式である。
可視像形成ユニット50は、それぞれ実質的に同一の構成を有し、すなわち、それぞれに、感光体ドラム51、帯電器52、レーザ光照射手段53(ここでは、感光体ドラムへ潜像を書き込むためのレーザー光照射手段のこと)、現像器54、転写ローラ55、クリーナユニット56、が設けられており、搬送される記録紙Pに各色トナーを多重転写する。
ここで、上記感光体ドラム51は、形成される画像を担持するものである。上記帯電器52は、感光体ドラム51表面を所定の電位に均一に帯電させるものである。レーザ光照射手段53は、画像形成装置に入力された画像データに応じて、帯電器5によって帯電した感光体ドラム51表面を露光して、該感光体ドラム51表面に静電潜像を形成する。上記現像器54は、感光体ドラム51表面に形成された静電潜像を、各色のトナーによって顕像化する。転写ローラ55は、トナーとは逆極性のバイアスが印加されており、後述する記録紙搬送手段30により搬送された記録紙Pに、形成されたトナー像を転写させている。ドラムクリーナユニット56は、現像器54での現像処理、及び、感光体ドラム51に形成された画像の転写後に、感光体ドラム51表面に残留したトナーを、除去・回収する。以上のような、記録紙Pに対するトナー像の転写は、4色について4回繰り返される。
上記記録紙搬送手段30は、駆動ローラ31、アイドリングローラ32、搬送ベルト33からなり、記録紙Pに可視像形成ユニット50にてトナー像が形成されるように、記録紙Pを搬送するものである。駆動ローラ31およびアイドリングローラ32は、無端状の搬送ベルト33を架張するものであり、駆動ローラ31が所定の周速度に制御されて回転することで、無端状の搬送ベルト33を回転させている。搬送ベルト33は、外側表面に静電気を発生させており、記録紙Pを静電吸着させながら、上記記録紙Pを搬送している。
上記記録紙Pは、このようにして、搬送ベルト33に搬送されながらトナー像を転写されたあと、駆動ローラ31の曲率により搬送ベルト33から剥離され、定着装置40に搬送される。定着装置40は、記録紙Pに適度な熱を与えて、トナーを溶解して記録紙に固定することで、堅牢な画像を形成する。
ここで、上記定着装置について、図2を用いて詳細に説明する。
定着装置40aは、レーザー光源104、レーザー照射部105、レーザー光源104とレーザー照射部105との間を結ぶ光ファイバー106、及び記録紙Pを搬送する記録紙搬送装置107で構成されている。
記録紙搬送装置107は、2本のテンションローラ101、及び102と、耐熱性の無端ベルトを有する記録紙搬送ベルト103から構成されている。テンションローラ101とテンションローラ102は、記録紙搬送ベルト103を架張している。テンションローラ101には図示しない駆動手段が接続されており、駆動手段により回転を行う。未定着トナー画像(トナー110)を有する記録紙Pは、記録紙搬送ベルト103上で搬送される。
レーザー光源104は、半導体レーザーである。半導体レーザーは、炭酸ガスレーザー等の他のレーザーに比べ、安価で小型化できるメリットがある。また、半導体素子の配合や材料の組成で400nm〜1000nmの領域で、任意で広範囲の波長のレーザー光を発生させることができる。レーザー光源104は、記録紙搬送ベルト103の内周面側に設置され、レーザー光源104全体が柱状の高熱伝導材108aで覆われている。高熱伝導材108aの上下2面は、記録紙搬送ベルト103と当接している。
高熱伝導材108aは、アルミ、銀、銅等、熱伝導率の大きい材料を用いる。また、高熱伝導材108aの表面は、図示しない非導電材料から構成している。非導電材料としては、PFAで薄く(10μm程度)コーティングされており、記録紙搬送ベルト103との接触面での摩擦抵抗を極力減らすようにしている。また、記録紙搬送ベルト103との接触面での絶縁性を維持する役割もある。上記PFA以外でもPTFE、FEP等の材料を使用してもよい。つまり絶縁性を有し摩擦抵抗が低いコーティング材料であれば、これに限らない。
レーザー光源104で発生した熱は高熱伝導材108aを介して記録紙搬送ベルト103に伝熱する。図2では、高熱伝導材108aは記録紙搬送ベルト103に上下2面で接しているが、レーザー光源104で発生した熱を記録紙搬送ベルト103に効率よく(熱損失を少なく)伝熱できる。また、レーザー光源104から発生する熱を高熱伝導材108aを通じて記録紙搬送ベルト103に伝熱させたが、レーザー光源104を直接記録紙搬送ベルト103に当接して伝熱させてもよい。ただしレーザー光源104が小型の場合は、記録紙搬送ベルト103との接触面積が十分確保できないため、レーザー光源104の放熱が不十分になる場合もある。従って、高熱伝導材108a等で記録紙搬送ベルト103との接触面積を大きくすることが好ましい。
また記録紙搬送ベルト103は、2本のテンションローラ101及び102を用いているが、これに限定されるわけではない。例えば、図3に示す定着装置40bでは、テンションローラ102に代わって記録紙搬送ベルト103を架張できるように、柱状の高熱伝導材108bの片側側面部を円柱状とする。こうして、高熱伝導材108bは、架張している記録紙搬送ベルト103を摺動させることにより、上下面に加え側面の円柱部分も記録紙搬送ベルト103に当接させることができ、高熱伝導材108aに比較して広い面積を当接でき、伝熱性を高めることができる。
また、図4の定着装置40cに示すように、レーザー光源104を記録紙搬送ベルト103の表面(外周面)側に配置し、レーザー光源104を柱状の高熱伝導材108cで覆い、高熱伝導材108cを介してレーザー光源104が記録紙搬送ベルト103の表面に当接する構成でもよい。高熱伝導材108cは、レーザー光源104の記録紙搬送ベルト103側の面と、接触面積を拡大するために記録紙搬送ベルト103に沿って延ばした方向の側面を覆う。なお、高熱伝導材108cは、後述する図5のような、レーザー光源104の記録紙搬送ベルト103側の面と当接する板状のものでもよい。
高熱伝導材について、その形状、レーザー光源の覆い方、記録紙搬送ベルトとの接触面積は、予備加熱の状態とレーザー光源の冷却状態を加味して決定する。
また、図5の定着装置108dに示すように、高熱伝導材がレーザー光源を覆うものではなく、柱状の高熱伝導材108cの上面にレーザー光源104の下面を当接させてもよい。この場合は、高熱伝導材108cの面(レーザー光源104が当接していない下面)を、レーザー照射部105に搬送される手前の位置に記録紙の近傍(非接触)に配置する。こうして未定着トナー画像を有する記録紙表面に非接触で近接させ、記録紙Pへ伝熱させる。当然、高熱伝導材108を介さずに直接レーザー照射部105を記録紙表面近傍に配置してもよい。また、レーザー照射部105の回りを高熱伝導材108で覆ってもよい。
このような非接触タイプは、接触タイプに比較して加温性が高くないため、記録紙自体を予熱しているが、記録紙搬送ベルトの予熱に用いても構わない。また、高熱伝導材について、その形状、レーザー光源の覆い方、記録紙搬送ベルトとの接触面積は、予備加熱の状態とレーザー光源の冷却状態を加味して決定する。
図2〜図5は、本実施形態の一例であり、これ以外にもレーザー光源104から発生した熱で記録紙Pを予備加熱できる位置に配置するものであれば良い。
上記のような構成にすることで、レーザー光源104は、エネルギー変換ロスによって自己発熱するものの、記録紙搬送ベルト103を介して記録紙に放熱(記録紙で冷却)するので、レーザー光源104の温度上昇を抑制できる。
レーザー光源104で出力したレーザー光は、光ファイバー106によってレーザー照射部105で発光する。レーザー照射部105は、未定着トナー画像を有する記録紙の表面をレーザー照射する。
図2に示すように、記録紙搬送ベルト103は、ポリカーボネート、フッ化ビニリデン、ポリアミドイミド、ポリイミド(PI)などの樹脂にカーボンなどの導電性部材を分散させた素材から構成されており、記録紙搬送ベルト103の内面に接続された電源111によってバイアス電圧を印加することで、記録紙搬送ベルト103の表面(外周面)は、記録紙Pを静電吸着させる構成となっている。記録紙Pを記録紙搬送ベルト103に静電吸着させることによって、記録紙搬送ベルト103と記録紙Pが密着し、記録紙搬送ベルト上の熱を効率よく記録紙Pに伝熱することができる。
図6は、図2におけるレーザー光照射装置の紙搬送方向に対して垂直方向から見たときの図を示す。
図6は、レーザー光源104及びレーザー照射部105を紙搬送方向に対して垂直方向(記録紙搬送ベルト103の幅方向)に複数並べている。例えば、一つのレーザー照射部で、記録紙全面を光照射する場合、記録紙Pの搬送方向以外に記録紙搬送方向と垂直方向(記録紙搬送ベルト103の幅方向)にレーザー光をスキャンさせる必要があり、定着プロセスに時間がかかるため、高速機等の定着速度が速い場合には定着不良が発生する場合がある。また、レーザー光をスキャンさせるには、定着装置の複雑化、コストアップになる。これに対し、本実施形態では、紙搬送方向と垂直方向(記録紙搬送ベルト103の幅方向)にレーザー照射部105をライン状に並べることで、紙搬送方向と垂直方向にレーザーをスキャンさせる必要がなく、必要最低限のスペースで定着装置を構成することができ、更に、高速で定着させることが可能になる。
図2に示すように、記録紙搬送ベルト103の内周面側には、記録紙搬送ベルト103の温度を検知するための温度検知手段(温度センサ)としてサーミスタ109を設置している。サーミスタ109による検知温度に基づいて、レーザー照射部105は、光照射量を制御(後述する図11の定着制御部602において制御)される。サーミスタ109は、記録紙搬送ベルト103の温度もしくは、記録紙Pの温度が適正に温度検知する位置であればこの位置に限定されない。また、サーミスタ109以外の温度検知手段を使用してもよい。
レーザー光源104から発熱する熱により、未定着トナー画像有する記録紙Pが予備加熱されると、レーザー照射部105でレーザー光を照射する前に記録紙P、及びトナー110が加温される。したがって、レーザー照射部105が照射するレーザー光で、トナー110を加熱定着する際には、レーザー照射部105のレーザー照射量を抑えることができる。
例えば、室温(20℃)において、従来のレーザー定着装置がウォームアップ直後に定着動作を行った場合、レーザー光源104による発熱がほとんどないため、記録紙Pの裏面は加熱されない。従って、記録紙Pの表面に存在するトナー110も、ほぼ室温であり、このトナー110を定着させるのに必要なエネルギーは、理論値0.000795J/mm2である。具体的には、例えば、一般的なポリエステルトナーを用いた場合を説明する。トナー110の比熱1.42J/g・℃、比重0.000817g/mm3、トナーの厚み0.016mm、トナー110の充填率0.476(単位体積あたりにトナーの存在する体積)、室温(20℃)のトナー110を110℃(トナーが溶融するのに必要なトナー温度)で溶融する場合、定着に必要な光照射エネルギーは、0.000795J/mm2(=比熱×比重×充填率×(110℃−20℃)である。
一方、図2に示す本実施形態のレーザー定着装置においては、記録紙Pを連続通紙し、レーザー光源104でエネルギー変換ロスで生じた熱が高熱伝導材108を通じて記録紙搬送ベルト103に伝熱され、サーミスタ検知温度が40℃(このとき未定着トナー画像が40℃)まで予熱された時、トナー110を溶融するのに必要な光照射エネルギーは、0.000618J/mm2(=比熱×比重×充填率×(110℃−40℃)であり、室温に対して78%(=0.000593/0.000795)の光照射量でよいことになる。
ところで、サーミスタ検知温度と未定着トナー画像の温度(ここでは、トナー最下層と紙の界面温度とする。)の関係は、例えば、図7に示す構成(図7(a))と初期条件(図7(b))で1次元熱解析を行い、その結果(図8及び図9)から事前にサーミスタ検知温度とトナー温度の関係を予測することができる。例えば、図8及び図9では、サーミスタの検知温度(つまり記録紙搬送ベルトの初期温度が30℃または40℃)と、トナー温度との関係は、予備加熱時間0.2秒(予備加熱時間とは、未定着画像を載せた記録紙が、記録紙搬送ベルトに接触してからレーザー照射部に到達するまでの時間)でほぼ同じになるので、サーミスタ検知温度がトナー温度とみなしてよい。一方、高熱伝導材108と記録紙搬送ベルト103との接触時間が小さい場合、高熱伝導材108の熱が十分に記録紙搬送ベルト103に伝熱しないこともあるので、サーミスタ109が検知する温度とトナー110の温度とが異なる場合もある。その場合は、上記(図8及び図9)の計算結果から温度差を考慮した適正な温度変換テーブルを作成すればよい。
上記、理論値を基に、サーミスタ109の検知温度に対するレーザー照射部105の光照射量の関係を計算した温度変換テーブルを作成し、このテーブルを用いてサーミスタ109の検知温度に基づいて、上記温度変換テーブルを読み出し、光照射量を決定すれば、必要最低限の光照射量で定着させることができる。尚、上記温度変換テーブルは、後述する図11の記憶部609に記憶されている。
上記、計算で求めた温度変換テーブルは、ほんの一例であるので、別の方法で、温度変換テーブルを作成してもよい。例えば、あらかじめ実験によりサーミスタ109の検知温度と光照射量とを変化させて最適な定着条件を決めた温度変換テーブルを用いても良い。具体的には、以下の実験条件にてサーミスタの検知温度に対するレーザー光照射によるトナー定着実験を行い、トナーを定着させるのに必要なエネルギーを計算した。実験による必要なエネルギーの算出方法は、画像パターンに対し、十分な定着強度を得るために必要なレーザー出力から単位面積当たりのエネルギー密度を算出したものである。
例えば、用紙搬送速度がV(mm/s)、画像領域幅がL(mm)、必要なレーザー出力がP(W)としたとき、必要エネルギー密度E(J/mm2)は、E=P/(V・L)となる。実験条件としては、サーミスタの検知温度20℃、30℃、40℃、用紙搬送速度200mm/s、半導体レーザー780nm、一つのレーザー素子におけるレーザースポット直径0.3mm、レーザー素子を0.3mm間隔で1000個配置とする(つまり画像領域幅300mm)。一つのレーザー素子の出力を0.16W〜0.26Wまで0.02Wずつ変化させ、定着するのに必要なレーザー素子への投入する最低出力を測定した。その結果を図10に示す。
図10の結果から、素子一つ当たりの出力として、検知温度が20℃では、0.24W以上の出力で定着することが可能であることを確認した。上記実験により室温のトナーを定着させるのに必要なエネルギーを計算したところ、0.004J/mm2であった。(上記実験による計算値と上記の理論値0.000795J/mm2との差は、理論値はトナーのみが加熱された場合を計算しており、実際は、トナーが加熱されている間に周辺の空気、紙等に熱が逃げたり、トナー自身がレーザー光を100%吸収せず、反射等によるエネルギー吸収ロスが発生するため実験では、上記理論値より大きい値になる。)同様に検知温度が30℃のとき、0.22W、40℃のとき、0.20Wで定着可能であるので、これらの値を元に、各サーミスタ検知温度に対するレーザー出力を制御ずるテーブルを作成してもよい。
ところで、上記例は、ほんの一例であり、使用する部材、厚み等の構成が異なることにより値は、異なるので、最適な実験条件は、適宜計算してもよい。
図11は、本実施例に係る画像形成装置の制御ブロック図である。
画像形成装置1は、たとえば、スキャナとプリンタと周辺機器とを備えた複合機であり、原稿画像を読み取る読取部605、読み取った原稿画像を適正な電気信号に変換して画像データを生成する画像処理部606、生成された画像データを印刷出力する画像形成部607、図示しない定着部のレーザー光照射を制御する定着制御部(レーザー照射制御手段)602、プロセス速度と紙搬送開始信号を検出するアクチュエータの信号を元に印字開始信号を受信してから記録部材が定着装置内のレーザー照射部までの到達時間を記憶している記憶部609、後処理装置であるフィニッシャーやソーターなどの周辺機器を制御する周辺機器制御部608、画像形成装置1の操作部である入力部603と表示部604を備えている。
制御部601は、画像処理部606から受信した画像情報の印字位置情報(印刷ジョブに対して、1ページ毎のどの位置に印字するかといった信号を指す)をもとに記憶部609に予め記憶されたデータの照合を行い、印字位置情報と、サーミスタ検知温度情報とを元に温度変換テーブルにて算出したレーザー光出力値を定着制御部602へ送信し、定着制御部602は、受信した印字位置情報と算出したレーザー光の出力値に基づいて、記録紙搬送ベルト103を駆動してレーザー光を照射する制御を行う。
また、定着制御部602は、記録紙Pの搬送を検出する図示しないアクチュエータの信号を監視し、この信号に基づいて記録紙搬送ベルト103に対してバイアス電圧を印加する制御を行う。
図12は、本発明に係る画像形成装置のコピー操作に係るフローチャートを示す。
尚、画像形成装置1の図示しないプリンタドライバの画面からユーザーが印刷指示を行った場合でも、ユーザーの印刷指示信号に基づいて本フローチャートに基づいた制御を適応できることはいうまでもない。
制御部601は、入力部603の図示しないコピーボタンをユーザーが押下した場合、(ユーザーがコピーしたい原稿は、スキャナに載置済み、若しくは原稿台に載置済みとする)ユーザーが押下した信号(印刷指示信号のこと)を受信した際、例えば、スキャナの読取部605で原稿画像を読み取り、読み取った信号を画像処理部606が画像処理し、前述の印字位置情報を受信する。
また、制御部601は、画像処理部から受信した印字位置情報に基づいて、まず印字位置情報が含まれているか否かを判断し(ステップS1)、印字位置情報が含まれているなら(ステップS1;Yes)、制御部601は、記憶部609とデータを照合し印字開始時間がどのタイミングで出力したらよいかを決定する(ステップS2)。また制御部601はサーミスタ109の検知温度を受信する(ステップS3)。次に受信したサーミスタ109からの検知温度をあらかじめ上記のように作成した温度変換テーブルと照合する(ステップS4)。次に温度変換テーブルにて検知温度データに対応するレーザー照射量の出力値を決定する(ステップS5)。次に定着制御部602へレーザー光源104のレーザー出力信号及び出力値を送信する(ステップS6)。
定着制御部602は、記録紙搬送ベルト103へ電源111からバイアス電圧を印加する制御を行い(ステップS7)、レーザー光源104の制御によりレーザー照射部105による照射を行う(ステップS8)。印刷ジョブが完了(印字位置情報が完了)すると(ステップS9)、定着制御部602は、レーザー照射部105へレーザー光の出力を停止し(ステップS10)、次に、記録紙搬送ベルト103へのバイアス電圧の印加をも停止する(ステップS11)。
尚、定着制御部602は、図示しない記録紙Pの搬送を検出するアクチュエータの信号を監視して、この信号に基づいて紙が搬送されてきたことを認識した時、レーザー照射部105やバイアス電圧の制御を行っても良い。例えば、記録紙Pが供給トレイ20から図示しない給紙ローラから給紙された時間から記録紙Pの移動時間を計測してレーザー光源104までの到達時間を算出して、レーザー照射部105や記録紙搬送ベルト103、バイアス電圧印加及び停止を制御しても良い。
以上のように、記録紙搬送ベルト103(図2)により搬送されてきた未定着トナー画像を有する記録紙Pは、記録紙搬送ベルト103と密着し、かつ、印字位置情報に基づいてレーザー光を照射することや、通紙動作中に画像情報から得られた印字位置情報に基づいてレーザー光を照射するので、画像形成装置の通紙動作以外では、すなわち定着装置、及び画像形成装置のウォームアップ時、及び待機時は、電力を必要とせず、低消費電力の定着装置、及び画像形成装置が実現できる。
尚、図12のフローチャートでは、レーザー光源104の照射を停止する為の制御を定着制御部602が制御するものとしたが、特に定着制御部602が制御しなくとも、制御部601からのレーザー光源104を照射する指示信号のみに基づいて、レーザー光源104の照射を制御しても良い。
1 画像形成装置
5 帯電器
20 供給トレイ
30 記録紙搬送手段
31 駆動ローラ
32 アイドリングローラ
33 搬送ベルト
40(40a,40b,40c,40d) 定着装置
50(50B,50C,50M,50Y) 可視像形成ユニット
51 感光体ドラム
52 帯電器
53 レーザ光照射手段
54 現像器
55 転写ローラ
56 クリーナユニット
101 テンションローラ
102 テンションローラ
103 記録紙搬送ベルト
104 レーザー光源
105 レーザー照射部
106 光ファイバー
107 記録紙搬送装置
108(108a,108b,108c,108d) 高熱伝導材
109 サーミスタ
110 トナー
111 電源
601 制御部
602 定着制御部
603 入力部
604 表示部
605 読取部
606 画像処理部
607 画像形成部
608 周辺機器制御部
609 記憶部

Claims (12)

  1. レーザー光を照射して未定着のトナー画像を定着する定着装置において、
    レーザー光源とレーザー照射部とを分離して光ファイバーで接続し、前記レーザー光源で発生した熱により記録紙搬送ベルトや記録紙を加温して、前記記録紙搬送ベルトで搬送する未定着トナー画像を記録した前記記録紙を予熱し、予熱した前記記録紙に前記レーザー光を照射して未定着トナー画像を定着させることを特徴とする定着装置。
  2. 前記レーザー光源は、前記記録紙搬送ベルトの内周面側に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記レーザー光源は、前記記録紙搬送ベルトに当接していることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  4. 前記レーザー光源は、高熱伝導材を介して前記記録紙搬送ベルトに当接し、前記レーザー光源の発生熱により加温することを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記レーザー光源は、前記記録紙搬送ベルトの外側であって、レーザー照射前の搬送記録紙近傍の位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  6. 前記レーザー光源は、高熱伝導材を介してレーザー照射前の搬送記録紙近傍の位置に配置されることを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  7. 前記記録紙搬送ベルトの温度を検知する温度センサを備え、前記温度センサが検出した検出結果に基づいて、前記レーザー光源の照射量を制御するレーザー照射制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の定着装置。
  8. 前記レーザー照射制御手段は、前記記録紙への印字位置情報に基づいて、前記レーザー光源の光照射のタイミングを制御することを特徴とする請求項7に記載の定着装置。
  9. 前記記録紙搬送ベルトにバイアス電圧を印加することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の定着装置。
  10. 前記記録紙搬送ベルトを導電性材料で構成することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の定着装置。
  11. 前記レーザー照射部は、前記記録紙搬送ベルトの搬送方向に対して垂直方向に複数並べられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の定着装置。
  12. 表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、感光体ドラム表面を帯電させる帯電装置と、感光体ドラム表面に静電潜像を形成する露光装置と、感光体ドラム表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置と、感光体ドラム表面のトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記転写されたトナー像を記録媒体に定着させる定着装置とを備え、電子写真方式によりトナーを用いて画像を形成する画像形成装置において、
    前記定着装置として、請求項1乃至11のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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