以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
[第一実施形態]
[構成の説明]
第一実施形態のパチンコ機は、内部に封入された所定数の遊技球が循環して遊技に使用される封入式のパチンコ機である。したがって、このパチンコ機で遊技を行う遊技者は、遊技球を直接手にすることはなく、パチンコ機にてデータとして保持される持球(遊技に用いることができる遊技球)の数に基づいて遊技を行う。
このパチンコ機は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠にて各構成を保持する構造を有している。外枠の左側上下にはヒンジが設けられており、ヒンジにより、板ガラスが嵌め込まれた前枠(ガラス枠)及び後述の内枠が、外枠に対し開閉可能に保持される。また、前枠の板ガラスの奥には、内枠に保持された遊技盤が設けられている。
また、パチンコ機にはカードユニットが併設されていると共に、前枠の下側には、カードユニットに挿入されたICカード(遊技カード)に記憶されているカード情報(例えば、残金等)を表示するための残高表示装置や、遊技者の持球数を表示するための持球数表示装置が設けられている。
遊技カードをカードユニットに挿入すると、遊技カードに記憶されているカード情報が読出される。読み出されたカード情報は、パチンコ店に設置されたホールコンピュータに送信されると共に、該情報の照合結果がホールコンピュータから返信され、照合内容が一致すれば、カード情報が残高表示装置に表示される。
そして、残高表示装置に設けられている貸出ボタンが操作されると、球貸しが行われ、予め設定されている引落額が遊技カードの残金から減額されると共に、減額後の残金等が残高表示装置に表示される。また、引落額と引き換えに遊技者に貸された持球数等がパチンコ機に出力され、これを受信したパチンコ機は、持球数を更新し、最新の持球数を持球数表示装置に表示する。
なお、これ以外にも、遊技者が遊技により獲得した遊技球の数(後述する計数球数)が遊技カードに保存されている場合には、遊技者からの指示に応じて、該計数球数のうちの所定数を持球としてパチンコ機に提供しても良い。また、遊技者がパチンコ店に預けている貯玉の数をカード情報として遊技カードに保存し、遊技者からの指示に応じて、該貯球を持球としてパチンコ機に提供しても良い。
また、残高表示装置に設けられている返却ボタンが操作されると、挿入されている遊技カードが排出される。
また、パチンコ機の遊技盤には、略円形の遊技領域が形成されていると共に、遊技盤に向かって左上には、遊技球を発射する発射ユニットが設けられている。また、遊技領域には多数の遊技釘が植設されており、最下部にはアウト口が設けられている。
遊技領域の中央部には、センターケースが装着され、センターケースに向かって左横には、普通図柄作動ゲートが設置されている。普通図柄作動ゲートを遊技球が通過すると、普通図柄の当否抽選用の複数種類の乱数が抽出され、抽出された乱数に基づく当否判定(普通図柄抽選)が行なわれる。
センターケースの直下には、遊技球の入球に起因して、特別図柄(特図とも記載)の変動表示を伴う大当り抽選が行われる第1始動口及び第2始動口が、上下に並んで配設されている。本パチンコ機は、第1始動口への入球と、第2始動口への入球により変動する1つの特別図柄を備える。また、第1始動口は、常時遊技球が入球可能に構成されているが、第2始動口は、普通図柄抽選での当選により開放される普通電動役物として構成されており、開放時のみ入球可能となっている。
第1始動口,第2始動口に遊技球が入球すると、特図に対応する複数種類の乱数が抽出され、保留記憶として記憶される。そして、保留記憶された乱数により大当り抽選が行われると共に、大当り抽選で当ると大当り遊技が行われ、大量の賞球を獲得可能となる。
第2始動口の下方には、大当り遊技の際に開放される特別電動役物からなる大入賞口が配設されている。また、遊技領域における向かって右下,左下の領域には、右入賞口,左入賞口が設けられている。
遊技盤における向かって右下の領域には、7セグメントの特図表示装置と、4個のLEDからなる特図保留数表示装置と、2個のLEDからなる普通図柄表示装置と、4個のLEDからなる普図保留数表示装置が設置されている。
遊技盤のセンターケースには、中央に演出図柄表示装置のLCDパネルが配設され、LCDパネルの画面上では、演出図柄の変動表示等を行うことで、特図に対応する大当り抽選の結果を報知する図柄演出が行われる。また、センターケースには、周知のものと同様にワープ入口,ワープ樋,ステージ等が設けられている。
また、内枠には、遊技球を循環させる循環経路が形成されていると共に、パチンコ機の各部位に電力を供給する電源基板等が設けられている。また、遊技盤には、主制御装置,演出図柄制御装置,サブ統合制御装置等が設けられている。
次に、第一実施形態のパチンコ機の電気的構成について、図1に記載のブロック図を用いて説明する。図1に記載されているように、パチンコ機1は、主制御装置10を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、電源基板等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置10,払出制御装置50,演出図柄制御装置35,サブ統合制御装置30等にはCPU,ROM,RAM,入力ポート,出力ポート等が設けられているが、電源基板等にはCPU,ROM,RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、電源基板等にCPU,ROM,RAM等を設けてもよい。
主制御装置10には、第1始動口に入球した遊技球を検出する第1始動口SW12や、第2始動口に入球した遊技球を検出する第2始動口SW13や、普通図柄作動ゲートに進入した遊技球を検出する普通図柄作動SW14や、左入賞口に入球した遊技球を検出する左入賞口SW15や、右入賞口に入球した遊技球を検出する右入賞口SW16や、大当り遊技の際に開放される大入賞口に入球した遊技球を計数するためのカウントSW17や、異常な磁力を検出する磁石センサ18や、異常な電波を検出する電波センサ19等の検出信号が、遊技盤中継端子板11を介して入力される。
主制御装置10は、搭載しているプログラムに従って動作して遊技の進行を制御し、上述の検出信号等に基づいて各入賞口への入賞等を検出すると共に、遊技の進行に応じて、サブ統合制御装置30に対し演出内容を制御するコマンドを送信する。また、入賞に応じて遊技者に付与される賞球数をカウントし、賞球数表示装置22に賞球数を表示すると共に、賞球数を払出制御装置50に通知する(特許請求の範囲における通知手段に相当)。
また、主制御装置10は、図柄表示装置中継端子板40を介して接続されている特図表示装置41,普通図柄表示装置43の表示や、特図保留数表示装置42,普図保留数表示装置44の点灯を制御する。
また、主制御装置10は、大入賞口ソレノイド20を制御することで大入賞口の開閉を制御し、普電役物ソレノイド21を制御することで第2始動口の開閉を制御する。
また、主制御装置10は、ガラス枠開放SW23からの検出信号により前枠(ガラス枠)の開放を検出すると共に、内枠開放SW24からの検出信号により内枠の開放を検出する。
なお、言うまでも無く、主制御装置10における処理は、主制御装置10に設けられたRAM(主側RAMとも記載)を用いて行われ、主側RAMには、遊技に関する情報である遊技情報等が保存されている。
また、主制御装置10には、パチンコ機1の電源投入時に、主制御装置10や払出制御装置50等に搭載されたRAMのクリアを指示するRAMクリアスイッチ25が接続されている。なお、主制御装置10に限らず、払出制御装置50や電源基板等にRAMクリアスイッチ25が接続されていても良い。
また、サブ統合制御装置30は、所謂サブ制御装置に該当し、主制御装置10からコマンドやデータを受信すると共に、それらを演出表示制御用,音制御用,ランプ制御用に振り分け、該コマンド等に基づき各種演出等を行う。
そして、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置35に送信する。また、音制御用のコマンド等に基づいて音LSIを作動させることにより、スピーカ31からの音声出力を制御すると共に、ランプ制御用のコマンド等に基づいてランプドライバを作動させることにより、各種LED,ランプ32を制御する。また、サブ統合制御装置30には、演出ボタン34,ジョグダイヤル33が接続されており、これらの操作を反映した演出を行う。
また、サブ統合制御装置30と演出図柄制御装置35とは、双方向通信が可能となっている。
演出図柄制御装置35は、サブ統合制御装置30から受信したデータ及びコマンド(主制御装置10から送信されてきたものと、サブ統合制御装置30で生成されたものがある)に基づいて演出図柄表示装置36を制御して、演出図柄等の演出画像を表示させる。
なお、サブ統合制御装置30から主制御装置10へのデータ送信は行われない。
次に、払出制御装置50について説明する。払出制御装置50は、持球数を管理するよう構成されており、カードユニット端子板51を介して、当該パチンコ機1に併設されたカードユニット2と、カードユニット2に挿入された遊技カードに保存されているカード情報を表示する残高表示装置52が接続されている。また、操作部中継端子板60,発射操作部中継端子板61を介して、計数ボタンの操作を検出する計数SW60aと、持球数表示装置60bが接続されている。
払出制御装置50,カードユニット2,残高表示装置52は、互いに双方向通信が可能となっている。また、残高表示装置52には、返却ボタンの操作を検出する返却SW52aや、貸出ボタンの操作を検出する貸出SW52bが設けられており、返却ボタン,貸出ボタンの操作情報は、カードユニット2と払出制御装置50に出力される。
そして、カードユニット2に遊技カードが挿入されると、カードユニット2からの指示により、該遊技カードに保存されているカード情報が残高表示装置52に表示される。
また、貸出ボタンの操作情報がカードユニット2に出力されると、カードユニット2は球貸しを行い、挿入されている遊技カードの残金から所定額を減額すると共に、払出制御装置50に対し、貸出を行う遊技球数(貸球数)を通知する。貸球数を受け取った払出制御装置50は、貸球数を持球に加算する(特許請求の範囲における更新手段に相当)と共に、加算後の持球数を持球数表示装置60bに表示する。
また、このとき、残高表示装置52には、カードユニット2からの指示に応じて、貸球数や、球貸しのために支払った金額や、球貸し後の残金等が表示される。
一方、返却ボタンの操作情報がカードユニット2に出力されると、カードユニット2は、挿入されている遊技カードを排出すると共に、残高表示装置52にその旨を表示させる。
なお、持球数をカード情報として遊技カードに保存し、該遊技カードがカードユニット2に挿入されるとカードユニット2に持球数が表示される構成としても良い。そして、カードユニット2に設けられた払出ボタン若しくは貸出ボタン(図示無し)の操作によってカード情報として保存されている持球数の中から所定個数を払出制御装置50に通知し、該所定個数を受け取った払出制御装置50は、該所定個数を持球数に加算すると共に、加算後の持球数を持球数表示装置60bに表示しても良い。
そして、遊技中に主制御装置10から賞球数を受信すると、払出制御装置50は、持球数に受信した賞球数を加算し(特許請求の範囲における更新手段に相当)、加算後の持球数を持球数表示装置60bに表示する。また、後述する球送りセンサ62aからの検出信号により遊技球の発射を1球ずつ検出すると、これに応じて持球数を1減算し(特許請求の範囲における更新手段に相当)、減算後の持球数を持球数表示装置60bに表示する。
また、計数SW60aにより計数ボタンの操作が検出された場合には、払出制御装置50は、持球数から予め定められた計数球数を減算し、減算後の持球数を持球数表示装置60bに表示すると共に、計数球数をカードユニット2に出力し、該計数球数を遊技カードに保存すること指示する(特許請求の範囲における保存手段に相当)。一方、カードユニット2は、受け取った計数球数を遊技カードに保存する。
なお、言うまでも無く、払出制御装置50における処理は、払出制御装置50に設けられたRAM(払出側RAMとも記載)を用いて行われ、該払出側RAMには、少なくとも持球数を示す持球情報等が保存されている。
また、払出制御装置50は、パチンコ機1に封入された遊技球を循環させるための処理を行うと共に、遊技球の発射を制御するよう構成されている。
すなわち、払出制御装置50には、発射操作部中継端子板61を介して、ハンドボリューム61aと、タッチSW61bと、発射停止SW61cが接続されている。また、発射装置中継端子板62を介して、球送りセンサ62aと、発射入口センサ62bと、発射モータ62cと、球送りソレノイド62dが接続されている。また、揚上中継端子板64を介して、揚上モータ64aと、揚上入口センサ64bと、揚上モータ監視センサ64cが接続されている。また、内枠中継端子板53を介して、入賞球センサ53dと、アウト球センサ53eと、適正量センサ53aと、満タンセンサ53bと、夜間監視スイッチ53cが接続されている。
パチンコ機1では、遊技球を発射させる発射ユニットが、遊技盤に向かって左上に配されていると共に、遊技球を発射ユニットに導く揚上経路が設けられている。
そして、遊技盤に設けられた入賞口或いはアウト口に入球した遊技球は、遊技盤の下方に集められた後、発射ユニットに向かう揚上経路に誘導される。また、この揚上経路には、揚上経路の入口に到達した遊技球を検出する揚上入口センサ64bと、揚上経路を通過した遊技球を検出する発射入口センサ62bが設けられている。
揚上入口センサ64bから払出制御装置50に検出信号が出力されると、払出制御装置50は揚上モータ64aを動作させ、該遊技球を揚上経路に沿って揚上させることで発射ユニットに導く。
なお、発射入口センサ62bから払出制御装置50に検出信号が出力された際に揚上経路を通過中の遊技球が存在しない場合には、払出制御装置50は揚上モータ64aを停止させる。また、払出制御装置50は、揚上モータ監視センサ64cからの信号に基づき、揚上モータ64aが正常に動作しているかを監視する。
また、払出制御装置50は、タッチSW61bからの検出信号により、遊技者がハンドボリューム61aにタッチしているか否かを判定すると共に、発射停止SW61cからの検出信号により、発射停止ボタンが押されているかどうかを判定する。そして、発射停止ボタンが押されておらず、且つ、遊技者がハンドボリューム61aにタッチしている状態で、ハンドボリューム61aが操作されると、ハンドボリューム61aの操作量に応じて遊技球を発射させる。
具体的には、払出制御装置50は、上記状態でハンドボリューム61aが操作されると、球送りソレノイド62dにより、揚上経路を通過した1つの遊技球を発射位置に送り出す。そして、球送りセンサ62aからの検出信号により遊技球が発射位置に送り出されたことが検出されると、払出制御装置50は、発射モータ62cを制御して上記操作量に応じた速度で該遊技球を発射させると共に、持球数を1減算する。
また、払出制御装置50は、入賞球センサ53dからの検出信号により各入賞口に入球した遊技球の数をカウントすると共に、アウト球センサ53eからの検出信号によりアウト口に入球した遊技球の数をカウントし、これらの遊技球の総和をアウト球として算出する。さらに、球送りセンサ62aからの検出信号により発射された遊技球の数をカウントし、アウト球の数と発射された遊技球の数とに基づき、遊技球の循環を監視する。
また、払出制御装置50は、適正量センサ53a,満タンセンサ53bからの検出信号により、循環に必要な遊技球数を管理し、必要な遊技球の過不足が生じた場合にはこれを報知するよう構成されている。
また、払出制御装置50は、夜間監視スイッチ53cからの検出信号により、夜間(パチンコ機1に電力が供給されていない間)に内枠が開放されたことを検出する。
また、払出制御装置50は、カセットに内蔵されている研磨布を用いて、パチンコ機1に封入された遊技球の循環する遊技球の球磨きを行うよう構成されている。すなわち、払出制御装置50には、研磨装置中継端子板63を介して、カセットスイッチ63aと、研磨モータセンサ63bと、カセットモータ63cと、研磨モータ63dが接続されている。
カセットには、カセットモータ63cにより回転される2つの回転体が設けられている。また、カセットに内蔵された研磨布は帯状に形成されており、両端が各回転体に接続され、一方或いは双方のローラに巻きついた状態となっていると共に、研磨布の一部のみがカセットの外部に露出した状態となっている。
また、カセットは交換可能に構成されており、払出制御装置50は、カセットスイッチ63aからの検出信号によりカセットが搭載されているか否かを判定し、カセットが搭載されている場合には球磨きのための処理を行う。
具体的には、研磨モータ63dを動作させ、パチンコ機1内部の循環経路上におけるいずれかのポイントを通過する遊技球をカセットから露出した研磨布に押し付けた状態で動かすことで、該遊技球の球磨きを行う。このとき、研磨モータセンサ63bにより研磨モータ63dの動作状態を検出し、該動作状態に応じて研磨モータ63dの回転速度等を調整する。
また、一定期間が経過する度に、カセットモータ63cによりカセットの回転体を回転させて所定の長さ分研磨布を巻き取り、研磨布における球磨きに使用する部分を変更する。
[動作の説明]
次に、第一実施形態のパチンコ機1にて行われる電源投入時の処理について、図2,3に記載のフローチャートを用いて説明する。パチンコ機1では、電源投入時にRAMクリアスイッチ25がONとなっていると、カードユニット2と払出制御装置50との接続状態に応じて、主制御装置10に設けられている主側RAMや、払出制御装置50に設けられている払出側RAMのクリアを行う(なお、既に述べたように、主側RAMには遊技情報が保存されていると共に、払出側RAMには持球情報が保存されている)。
すなわち、パチンコ機1の電源が投入されると、主制御装置10は、電源投入時の初期処理(S100)を行った後、RAMクリアスイッチ25からの検出信号に基づき、RAMクリアスイッチ25がONか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S102:Yes)、S122に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S102:No)、S104に処理を移行する。
S104では、主制御装置10は、主制御装置10における電源断時の発生情報が正常か否かを判定する。また、払出制御装置50に対し、払出制御装置50における電源断時の発生情報が正常か否かを問合せ、払出制御装置50からの応答により、払出制御装置50における電源断時の発生情報が正常か否かを判定する。
そして、双方の判定で肯定判定が得られた場合には(S104:Yes)、主制御装置10及び払出制御装置50における電源断時の発生情報は共に正常とみなし、S106に処理を移行すると共に、少なくとも一方の判定で否定判定が得られた場合には(S104:No)、S114に処理を移行する。
S106では、主制御装置10は、主側RAMの判定値(チェックサム)を算出すると共に、払出制御装置50に対し払出側RAMの判定値の算出を指示し、算出された判定値を払出制御装置50から取得する。
また、電源断時に主制御装置10により算出され、不揮発性の記憶手段(図示なし)に保存された主側RAMの判定値と、同じく電源断時に払出制御装置50により算出され、該記憶手段に保存された払出側RAMの判定値を読み出し、S108に処理を移行する。
S108では、主制御装置10は、新たに算出した主側RAMの判定値と、読み出した主側RAMの判定値が一致するか否かを判定すると共に、新たに算出された払出側RAMの判定値と、読み出した払出側RAMの判定値が一致するか否かを判定する。そして、双方の判定で肯定判定が得られた場合には(S108:Yes)、主側RAM,払出側RAMの判定値は共に正常とみなし、S110に処理を移行すると共に、少なくとも一方の判定で否定判定が得られた場合には(S108:No)、S114に処理を移行する。
S110では、主制御装置10は、電源復帰時の処理(例えば、電源断時の発生情報のクリアや、サブ統合制御装置30を電源断時の状態に復帰させるためのコマンドの送信等)を行い、S112に処理を移行する。
S112では、主制御装置10は、各種割込みの設定を行い、メインルーチンに移行する。
一方、主制御装置10或いは払出制御装置50における電源断時の発生情報が異常である場合や、主側RAM或いは払出側RAMの判定値が一致しなかった場合に移行するS114では、主制御装置10は、主側RAMの全領域をクリアすると共に、払出制御装置50に対し、払出側RAMの全領域のクリアを指示し(全クリア指示)、S116に処理を移行する(払出制御装置50は、該指示に応じて払出側RAMをクリアする)。
なお、主側RAMの特定の領域や、払出側RAMの特定の領域については、クリアの対象から除外しても良い。また、このとき、主制御装置10は、サブ統合制御装置30等、払出制御装置50以外の他の装置に対し、該装置に搭載されているRAMのクリアを指示しても良い。
S116では、主制御装置10は、遊技における各種抽選に用いられる初期値乱数を設定する初期値乱数設定処理を行い、S118に処理を移行する。
S118では、主制御装置10は、主側RAMの初期設定を行うと共に、払出制御装置50に対し、払出側RAMの初期設定を指示し、S120に処理を移行する。
S120では、主制御装置10は、各種割込みの設定を行い、メインルーチンに移行する。
また、RAMクリアスイッチ25がONである場合に移行するS122では、主制御装置10は、RAMクリアスイッチ25がOFFになるまで待つ。すなわち、RAMクリアスイッチ25がOFFか否かを判定し、OFFである場合には(S122:Yes)、S124(図3)に処理を移行すると共に、OFFで無い場合には(S122:No)、再度、S122に処理を移行する。
S124では、主制御装置10は、払出制御装置50にカードユニット2が接続されているか否かを判定する。具体的には、主制御装置10は、例えば、払出制御装置50とカードユニット2とを結ぶ通信ラインの状態を監視し、該状態に基づき、カードユニット2の接続の有無を判定しても良い。また、これ以外にも、払出制御装置50にてカードユニット2との接続の有無を判定し、電源投入時や、主制御装置10からの問合せに応じて、払出制御装置50が該判定結果を主制御装置10に通知する構成としても良い。
そして、カードユニット2が接続されている場合には(S124:Yes)、S126に処理を移行し、接続されていない場合には(S124:No)、S114(図2)に処理を移行する。
S126では、主制御装置10は、主側RAMの全領域をクリアする(主側RAMの特定の領域についてはクリアの対象から除外しても良い)。
なお、このとき、主制御装置10は、払出制御装置50に対し、払出側RAMにおける持球情報が保存される領域以外の他の領域(非保存領域)のクリアを指示すると共に(一部クリア指示)、払出制御装置50は、一部クリア指示に応じて、該非保存領域をクリアしても良い。
また、サブ統合制御装置30等、払出制御装置50以外の他の装置に対し、該装置に搭載されているRAMのクリアを指示しても良い。
その後、主制御装置10は、初期値乱数設定処理(S128)、主側RAMの初期設定(S130)を行い、S132に処理を移行する。
S132では、主制御装置10は、払出制御装置50に対し、払出制御装置50における電源断時の発生情報が正常か否かを問合せ、応答を得る。そして、該発生情報が正常である旨の応答が得られた場合には(S132:Yes)、S134に処理を移行すると共に、該応答が得られなかった場合には(S132:No)、S142に処理を移行する。
S134では、主制御装置10は、払出制御装置50に対し払出側RAMの判定値の算出を指示し、算出された判定値を払出制御装置50から取得する。また、電源断時に払出制御装置50により算出され、不揮発性の記憶手段に保存された払出側RAMの判定値を読み出し、S136に処理を移行する。
S136では、主制御装置10は、新たに算出された払出側RAMの判定値と、読み出した払出側RAMの判定値が一致するか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S136:Yes)、S138に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S136:No)、S142に処理を移行する。
S138では、主制御装置10は、電源復帰時の処理を行うと共に、各種割込みの設定を行い(S140)、メインルーチンに移行する。
一方、払出制御装置50における電源断時の発生情報が異常である場合や、払出側RAMの判定値が一致しなかった場合に移行するS142では、主制御装置10は、払出制御装置50に対し全クリア指示を行うと共に、払出制御装置50は、全クリア指示に応じて、払出側RAMをクリアする。なお、払出側RAMの特定の領域については、クリアの対象から除外しても良い。
そして、主制御装置10は、初期値乱数設定処理と(S144)、払出制御装置50に対する払出側RAMの初期設定の指示と(S146)、各種割込みの設定(S148)を行い、メインルーチンに移行する。
[効果]
第一実施形態のパチンコ機1によれば、カードユニット2に接続されていない場合には、起動時にRAMクリアスイッチ25が操作されると主側RAMと払出側RAMがクリアされる。このため、パチンコ機1の出荷時等におけるRAMクリアを滞り無く行うことができる。
一方、パチンコ機1がカードユニット2に接続されている場合(パチンコ店等に設置されている場合)には、RAMクリアスイッチ25を介したRAMクリア指示が行われると、主側RAMはクリアされるが払出側RAMはクリアされない。
このため、払出制御装置50のRAMに保存されている持球情報を保持したまま、主制御装置10のRAMのクリアにより遊技情報を消去して遊技のみを初期化することができ、遊技者に損失を与えること無く封入式の弾球遊技機を初期化することができる。
[変形例について]
第一実施形態では、主制御装置10にRAMクリアスイッチ25が設けられているが、これに替えて、例えば、払出制御装置50にRAMクリアスイッチ25を設ける構成としても良い。
このような場合であれば、主制御装置10は、払出制御装置50と通信を行うことでRAMクリアスイッチ25の操作状態を判別し、同様にして電源投入時の処理を行っても良い。
また、これ以外にも、払出制御装置50にて電源投入時にRAMクリアスイッチ25がONか否かを判定し、ONである場合には、主制御装置10に対し、主側RAMのクリアを指示しても良い。そして、払出制御装置50にてカードユニット2との接続の有無を判定し、接続されている場合には、払出側RAMをクリアすると共に、接続されていない場合には、払出側RAMにおける非保存領域をクリアしても良いし、或いは、払出側RAMをクリアしない構成としても良い。
このような構成を有する場合であっても、払出側RAMに保存されている持球情報を保持したままRAMのクリアを行うことができ、遊技者に損失を与えること無く初期化を行うことができる。
また、電源基板等にRAMクリアスイッチ25を設ける構成としても良い。このような場合であれば、RAMクリアスイッチ25の検出信号を電源基板等から主制御装置10或いは払出制御装置50に出力することで、主制御装置10でRAMクリアスイッチ25の状態を判別可能とし、同様にして電源投入時の処理を行っても良い。
なお、RAMクリアスイッチ25の検出信号を主制御装置10のみに出力すると共に、主制御装置10がRAMクリアスイッチ25の操作状態を判別し、カードユニット2の接続の有無等に応じて、主側RAM或いは払出側RAMのクリアを行う構成としても良い。
また、RAMクリアスイッチ25の検出信号を払出制御装置50のみに出力すると共に、払出制御装置50がRAMクリアスイッチ25の操作状態を判別し、カードユニット2の接続の有無等に応じて、主側RAM或いは払出側RAMのクリアを行う構成としても良い。
このようにすれば、RAMクリアスイッチ25が主制御装置10,払出制御装置50,電源基板(或いは他の部位)のいずれに設けられても同様の効果を発揮することができる。
[第二実施形態]
次に、第二実施形態のパチンコ機1について説明する。第二実施形態のパチンコ機1は、第一実施形態と同様に構成されているが、電源投入時におけるRAMクリアの処理が相違している。
具体的には、電源投入時にRAMクリアスイッチ25がONであると、カードユニット2が接続されていない場合には、主側RAM,払出側RAMの双方がクリアされる。一方、カードユニット2が接続されている場合には、主側RAMがクリアされると共に、払出側RAMに保存されている持球情報をカードユニット2に退避させた後に、払出側RAMがクリアされる。
以下では、第二実施形態のパチンコ機1にて行われる電源投入時の処理について、図4,5に記載のフローチャートを用いて説明する。
S200〜S222(図4)の処理は、第一実施形態におけるS100〜S122(図2)と同様であるため、説明を省略する。
S222にてRAMクリアスイッチ25がONからOFFに変化したと判定された場合に移行するS224(図5)では、主制御装置10は、第一実施形態と同様の方法により、払出制御装置50にカードユニット2が接続されているか否かを判定する。そして、カードユニット2が接続されている場合には(S224:Yes)、S226に処理を移行し、接続されていない場合には(S224:No)、S214(図4)に処理を移行する。
S226では、主制御装置10は、払出制御装置50に対し、払出制御装置50における電源断時の発生情報が正常か否かを問合せる。そして、該発生情報が正常である旨の応答が得られた場合には(S226:Yes)、S228に処理を移行すると共に、該応答が得られなかった場合には(S226:No)、S214に処理を移行する。
S228では、主制御装置10は、払出制御装置50に対し払出側RAMの判定値の算出を指示し、算出された判定値を払出制御装置50から取得する。また、電源断時に払出制御装置50により算出され、不揮発性の記憶手段に保存された払出側RAMの判定値を読み出し、S230に処理を移行する。
S230では、主制御装置10は、新たに算出された払出側RAMの判定値と、読み出した払出側RAMの判定値が一致するか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S230:Yes)、S232に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S230:No)、S214に処理を移行する。
S232では、主制御装置10は、払出制御装置50に対し、払出側RAMに、遊技カードへの保存のためのカードユニット2への出力がなされていない持球情報(未保存持球情報とも記載)が保存された状態か否かを問合せ、応答を得る。そして、未保存持球情報が保存されている場合には(S232:Yes)、S234に処理を移行し、未保存持球情報が保存されていない場合には(S232:No)、S214に処理を移行する。
S234では、主制御装置10は、払出制御装置50に対し、払出側RAMに保存されている持球情報を、カードユニット2に退避させることを指示する。払出制御装置50は、該指示に応じて持球情報をカードユニット2に送信して該持球情報をカードユニット2のRAMに保存させる。そして、持球情報の退避が完了すると、主制御装置10は、S214に処理を移行する。
なお、払出制御装置50は、払出側RAMのクリアの終了後、カードユニット2に設けられた図示しない払出ボタン(パチンコ機1に設けることも考えられる)の操作に応じてカードユニット2から持球情報を取得すると共に、取得した持球情報を払出側RAMに保存する。また、カードユニットに退避させた持球情報を、カードユニットに挿入されている遊技カードに保存する構成としても良い。
[効果]
第二実施形態のパチンコ機1によれば、カードユニット2に接続されていない場合には、起動時にRAMクリアスイッチ25が操作されると主側RAMと払出側RAMがクリアされる。このため、パチンコ機1の出荷時等におけるRAMクリアを滞り無く行うことができる。
一方、パチンコ機1がカードユニット2に接続されている場合(パチンコ店等に設置されている場合)には、RAMクリアスイッチ25を介したRAMクリア指示が行われると、主側RAMがクリアされると共に、持球情報をカードユニット2に退避させた後に払出側RAMがクリアされる。
このため、払出制御装置50のRAMに保存されている持球情報を消滅させること無く、主制御装置10と払出制御装置50のRAMをクリアすることができ、遊技者に損失を与えること無く初期化を行うことができる。
[変形例について]
第二実施形態では、主制御装置10にRAMクリアスイッチ25が設けられているが、これに替えて、払出制御装置50にRAMクリアスイッチ25を設ける構成としても良い。
このような場合であれば、主制御装置10は、払出制御装置50と通信を行うことでRAMクリアスイッチ25の操作状態を判別し、同様にして電源投入時の処理を行っても良い。
また、これ以外にも、払出制御装置50にて電源投入時にRAMクリアスイッチ25がONか否かを判定し、ONである場合には、主制御装置10に対し、主側RAMのクリアを指示しても良い。また、払出制御装置50にカードユニット2が接続されているか否かを判定し、接続されている場合には、カードユニット2に持球情報を退避させた後に払出側RAMをクリアすると共に、クリアの終了後にカードユニット2から持球情報を取得し、払出側RAMに保存しても良い。無論、カードユニット2が接続されていない場合は、払出側RAMをクリアすれば良い。
このような構成を有する場合であっても、払出側RAMに保存されている持球情報を消滅させること無くRAMのクリアを行うことができ、遊技者に損失を与えること無く初期化を行うことができる。
また、電源基板等にRAMクリアスイッチ25を設ける構成としても良い。このような場合であれば、RAMクリアスイッチ25の検出信号を電源基板等から主制御装置10或いは払出制御装置50に出力することで、主制御装置10でRAMクリアスイッチ25の状態を判別可能とし、同様にして電源投入時の処理を行っても良い。
なお、RAMクリアスイッチ25の検出信号を主制御装置10のみに出力すると共に、主制御装置10がRAMクリアスイッチ25の操作状態を判別し、払出側RAMにおける未保存持玉情報の有無等に応じて、主側RAM或いは払出側RAMのクリアを行う構成としても良い。
また、RAMクリアスイッチ25の検出信号を払出制御装置50のみに出力すると共に、払出制御装置50がRAMクリアスイッチ25の操作状態を判別し、払出側RAMにおける未保存持玉情報の有無等に応じて、主側RAM或いは払出側RAMのクリアを行う構成としても良い。
このようにすれば、RAMクリアスイッチ25が主制御装置10,払出制御装置50,電源基板(或いは他の部位)のいずれに設けられても同様の効果を発揮することができる。
[第三実施形態]
次に、第三実施形態のパチンコ機1について説明する。第三実施形態のパチンコ機1は、電源投入時におけるRAMクリアの処理が第一,第二実施形態と相違している。
具体的には、電源投入時にRAMクリアスイッチ25がONであると、カードユニット2が接続されていない場合には、主側RAM,払出側RAMの双方がクリアされる。一方、カードユニット2が接続されている場合には、演出図柄表示装置36を介して持球情報をクリアするか否かの問合せがなされ、RAMクリアスイッチ25等を介して受け付けた該問合せに対する応答により、払出側RAMをクリアするか否かが決定される。
なお、図6には、一例として、該問合せの際に演出図柄表示装置36に表示される問合せ画面250が記載されている。問合せ画面250では、動物キャラクタである熊の達吉が表示され、上記問合せが行われると共に、RAMクリアスイッチ25の操作により、持球情報のクリアを許可するか否かが選択される。また、RAMクリアスイッチ25に限らず、主制御装置10に設けられた専用の操作部等を介して、問合せに対する応答を受け付けても良い。
以下では、第三実施形態のパチンコ機1にて行われる電源投入時の処理について、図7,8に記載のフローチャートを用いて説明する。
S300〜S322(図7)の処理は、第一実施形態におけるS100〜S122(図2)と同様であるため、説明を省略する。
S322にてRAMクリアスイッチ25がONからOFFに変化したと判定された場合に移行するS324(図8)では、主制御装置10は、第一実施形態と同様の方法により、払出制御装置50にカードユニット2が接続されているか否かを判定する。そして、カードユニット2が接続されている場合には(S324:Yes)、S326に処理を移行し、接続されていない場合には(S324:No)、S314(図7)に処理を移行する。
S326では、主制御装置10は、払出制御装置50に対し、払出制御装置50における電源断時の発生情報が正常か否かを問合せる。そして、該発生情報が正常である旨の応答が得られた場合には(S326:Yes)、S328に処理を移行すると共に、該応答が得られなかった場合には(S326:No)、S314に処理を移行する。
S328では、主制御装置10は、払出制御装置50に対し払出側RAMの判定値の算出を指示し、算出された判定値を払出制御装置50から取得する。また、電源断時に払出制御装置50により算出され、不揮発性の記憶手段に保存された払出側RAMの判定値を読み出し、S330に処理を移行する。
S330では、主制御装置10は、新たに算出された払出側RAMの判定値と、読み出した払出側RAMの判定値が一致するか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S330:Yes)、S332に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S330:No)、S314に処理を移行する。
S332では、主制御装置10は、払出制御装置50に対し、払出側RAMに未保存持球情報が保存された状態か否かを問合せ、応答を得る。そして、未保存持球情報が保存されている場合には(S332:Yes)、S334に処理を移行し、未保存持球情報が保存されていない場合には(S332:No)、S314に処理を移行する。
S334では、主制御装置10は、サブ統合制御装置30にコマンドを送信し、演出図柄表示装置36に、持球情報のクリア(払出側RAMのクリア)を行うか否かの問合せ画面250を表示させ、S336に処理を移行する。
無論、サブ統合制御装置30や演出図柄表示装置36を介した問合せに限らず、例えば、主制御装置10に接続された表示装置や、主制御装置10に接続されたスピーカ等を介して、同様の問合せを行っても良い。
S336では、主制御装置10は、RAMクリアスイッチ25を介して、持球情報のクリアを許可する旨の操作がなされたか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S336:Yes)、S314に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S336:No)、S338に処理を移行する。
S338では、主制御装置10は、問合せ画面の表示開始後、所定時間が経過したか否かを判定すると共に、RAMクリアスイッチ25を介して、持球情報のクリアを許可しない旨の操作がなされたか否かを判定する。そして、いずれか一方の判定で肯定判定が得られた場合には(S338:Yes)、S304に処理を移行すると共に、双方の判定で否定判定が得られた場合には(S338:No)、S336に処理を移行する。
[効果]
第三実施形態のパチンコ機1によれば、カードユニット2に接続されていない場合には、起動時にRAMクリアスイッチ25が操作されると主側RAMと払出側RAMがクリアされる。このため、パチンコ機1の出荷時等におけるRAMクリアを滞り無く行うことができる。
一方、パチンコ機1がカードユニット2に接続されている場合(パチンコ店等に設置されている場合)には、RAMクリアスイッチ25を介したRAMクリア指示が行われると、持球情報をクリアするか否かの問合せが行われる。そして、持球情報をクリアする旨の応答が得られた場合には、主側RAMと払出側RAMがクリアされると共に、該応答が得られなかった場合には、主側RAMがクリアされる。
このため、遊技者の意思に反して持球情報が消滅してしまうことを防ぐことができ、遊技者に損失を与えること無く初期化を行うことができる。
[変形例について]
なお、電源投入時の処理において、持球情報のクリア(払出側RAMのクリア)を行うか否かの問合せに対し、RAMクリアスイッチ25を介して、持球情報のクリアを許可しない旨の操作がなされた場合、主制御装置10は、主側RAMをクリアしても良い。
さらに、このとき、主制御装置10は、払出制御装置50以外の他の装置に対し、該装置に搭載されているRAMのクリアを指示しても良いし、払出制御装置50に対し、上述した一部クリア指示を行っても良い。こうすることにより、持球情報の消滅を防ぎつつ、RAMをクリアすることができる。
また、第三実施形態では、主制御装置10にRAMクリアスイッチ25が設けられているが、これに替えて、例えば、払出制御装置50にRAMクリアスイッチ25を設ける構成としても良い。そして、主制御装置10は、払出制御装置50や電源基板等と通信を行うことでRAMクリアスイッチ25の状態を判定し、判定結果に基づき同様の処理を行っても良い。こうすることにより、同様の効果を得ることができる。
また、電源基板等にRAMクリアスイッチ25を設けると共に、RAMクリアスイッチ25の検出信号を主制御装置10に出力し、主制御装置10にてRAMクリアスイッチ25の状態を判別可能な構成としても良い。このような場合であっても、主制御装置10は、同様にして電源投入時の処理を行うことができ、同様の効果を得ることができる。
[第四実施形態]
次に、第四実施形態のパチンコ機1について説明する。第四実施形態のパチンコ機1は、主制御装置10に主側RAMクリアスイッチ26が接続されていると共に、払出制御装置50に払出側RAMクリアスイッチ54が接続されているという点で、第一〜第三実施形態と相違している(図9参照)。
そして、電源投入時に主側RAMクリアスイッチ26がONとなっている場合と、払出側RAMクリアスイッチ54がONとなっている場合とで、クリアの対象となるRAMが変化する。
具体的には、電源投入時に主側RAMクリアスイッチ26がONとなっている場合には、カードユニット2が接続されていれば主側RAMがクリアされ、カードユニット2が接続されていなければ、主側RAMと払出側RAMがクリアされる。また、電源投入に払出側RAMクリアスイッチ54がONとなっている場合には、カードユニット2の接続の有無に関らず、主側RAMと払出側RAMがクリアされる。
以下では、第四実施形態のパチンコ機1にて行われる電源投入時の処理について、図10,11に記載のフローチャートを用いて説明する。
パチンコ機1の電源が投入されると、主制御装置10は、電源投入時の初期処理(S400)を行った後、主側RAMクリアスイッチ26からの信号に基づき、主側RAMクリアスイッチ26がONか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S402:Yes)、S404に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S402:No)、S406に処理を移行する。
S404では、主制御装置10は、主側RAMクリアスイッチ26がOFFか否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S404:Yes)、S428(図11)に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S404:No)、再度、S404に処理を移行する(すなわち、主側RAMクリアスイッチ26がOFFになるまで待つ)。
S406では、主制御装置10は、払出制御装置50に対し、払出側RAMクリアスイッチ54のON/OFF状態を問合せ、該問合せに対する応答により、払出側RAMクリアスイッチ54がONか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S406:Yes)、S408に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S406:No)、S410に処理を移行する。
S408では、主制御装置10は、払出制御装置50に対し、払出側RAMクリアスイッチ54がOFFか否かを問合せ、OFFであるとの応答が得られた場合には(S408:Yes)、S420に処理を移行すると共に、ONであるとの応答が得られた場合には(S408:No)、再度、S408に処理を移行する(すなわち、払出側RAMクリアスイッチ54がOFFになるまで待つ)。
なお、払出側RAMクリアスイッチ54からの検出信号を主制御装置10にも入力する構成とし、主制御装置10にて該検出信号に基づき払出側RAMクリアスイッチ54の操作状態を判別しても良い。
なお、これに続くS410〜S426は、第一実施形態におけるS104〜S120(図2)と同様であり、S428〜S452(図11)は、第一実施形態におけるS124〜S148(図3)と同様であるため、説明を省略する。
[効果]
第四実施形態のパチンコ機1によれば、カードユニット2に接続されていない場合には、起動時に主側RAMクリアスイッチ26或いは払出側RAMクリアスイッチ54が操作されると、主側RAMと払出側RAMがクリアされる。このため、パチンコ機1の出荷時等におけるRAMクリアを滞り無く行うことができる。
一方、パチンコ機1がカードユニット2に接続されている場合(パチンコ店等に設置されている場合)には、起動時に主側RAMクリアスイッチ26が操作されると、主側RAMがクリアされ、払出側RAMクリアスイッチ54が操作されると、主側RAMと払出側RAMがクリアされる。このため、遊技中か否かに応じて、持球情報のクリアを伴うRAMのクリアを行うか否かを選択することができる。
したがって、遊技中、遊技者の意思に反してRAMクリアにより持球情報が消滅してしまうことを防ぐことができ、遊技者に損失を与えること無く初期化を行うことができる。
[変形例について]
第四実施形態では、主制御装置10に主側RAMクリアスイッチ26が設けられていると共に、払出制御装置50に払出側RAMクリアスイッチ54が設けられている。しかしながら、これに替えて、例えば、主制御装置10に主側RAMクリアスイッチ26と払出側RAMクリアスイッチを設ける構成としても良い。このような場合であっても、同様にして電源投入時の処理を行うことができる。
また、例えば、払出制御装置50に、主側RAMクリアスイッチと払出側RAMクリアスイッチ54を設ける構成としても良い。
このような場合であれば、払出制御装置50にて電源投入時に主側RAMクリアスイッチがONか否かを判定し、ONである場合には、主制御装置10に対し、主側RAMのクリアを指示しても良い。
また、このとき、払出制御装置50は、自装置にカードユニット2が接続されているか否かを判定し、肯定判定の場合には、払出側RAMにおける非保存領域をクリアし(或いは、払出側RAMをクリアしなくても良い)、否定判定の場合には、払出側RAMの全領域をクリアしても良い。
また、払出制御装置50にて電源投入時に払出側RAMクリアスイッチ54がONか否かを判定し、ONである場合には、主制御装置10に対し、主側RAMのクリアを指示すると共に、払出側RAMをクリアしても良い。
このような構成を有する場合であっても、遊技者の意思に反してRAMクリアにより持球情報が消滅してしまうことを防ぐことができ、遊技者に損失を与えること無く初期化を行うことができる。
また、電源基板等に主側RAMクリアスイッチ26と払出側RAMクリアスイッチ54を設けると共に、これらのスイッチの検出信号を、主制御装置10或いは払出制御装置50に出力する構成としても良い。このような場合であっても、主制御装置10や払出制御装置50は、主側RAMクリアスイッチ26や払出側RAMクリアスイッチ54の状態を判別することができるため、同様にして電源投入時の処理を行うことができ、同様の効果を得ることができる。
[第五実施形態]
次に、第五実施形態のパチンコ機1について説明する。第五実施形態のパチンコ機1は、主制御装置10に操作部27が接続されている点や、電源投入時におけるRAMクリアの処理が第一〜第四実施形態と相違している(図12参照)。
具体的には、電源投入時にRAMクリアスイッチ25がONであると、カードユニット2が接続されていない場合には、主側RAM,払出側RAMの双方がクリアされる。一方、カードユニット2が接続されている場合には、持球情報のクリアを伴うRAMクリアを行うかを問合せる(換言すれば、クリア対象となるRAMを選択する)ための初期化モードに移行する。
初期化モード中は、演出図柄表示装置36に、動物キャラクタである熊の達吉が描かれた初期化メニュー画面260(図13参照)が表示される。初期化メニュー画面260には、主側RAMのクリア(遊技情報のみ初期化)を選択する左ボタン261と、主側RAM及び払出側RAMのクリア(持球情報を含む全ての情報の初期化)を選択する中ボタン262と、RAMクリアのキャンセル(初期化をキャンセル)を選択する右ボタン263が設けられており、操作部27を介していずれかのボタンを選択することができる。
そして、主側RAM、或いは、主側RAM及び払出側RAMのクリアが選択されると、演出図柄表示装置36に初期化画面270が表示され、選択結果に応じてRAMのクリアが行われる。
なお、操作部27に替えて、RAMクリアスイッチ25を介して上記選択を受け付けても良い。また、例えば、払出制御装置50や電源基板等に設けられているスイッチからの検出信号が主制御装置10に入力されるよう構成し、該スイッチを介して上記選択を受け付けても良い。
以下では、第五実施形態のパチンコ機1にて行われる電源投入時の処理について、図14,15に記載のフローチャートを用いて説明する。
S500〜S522(図14)の処理は、第一実施形態におけるS100〜S122(図2)と同様であるため、説明を省略する。
S522にてRAMクリアスイッチ25がONからOFFに変化したと判定された場合に移行するS524(図15)では、主制御装置10は、第一実施形態と同様の方法により、払出制御装置50にカードユニット2が接続されているか否かを判定する。そして、カードユニット2が接続されている場合には(S524:Yes)、S526に処理を移行し、接続されていない場合には(S526:No)、S514(図14)に処理を移行する。
S526では、主制御装置10は、払出制御装置50に対し、払出制御装置50における電源断時の発生情報が正常か否かを問合せる。そして、該発生情報が正常である旨の応答が得られた場合には(S526:Yes)、S528に処理を移行すると共に、該応答が得られなかった場合には(S526:No)、S514に処理を移行する。
S528では、主制御装置10は、主側RAMの判定値を算出すると共に、払出制御装置50に対し払出側RAMの判定値の算出を指示し、算出された判定値を払出制御装置50から取得する。また、電源断時に主制御装置10により算出され、不揮発性の記憶手段に保存された主側RAMの判定値と、同じく電源断時に払出制御装置50により算出され、該記憶手段に保存された払出側RAMの判定値を読み出し、S530に処理を移行する。
S530では、主制御装置10は、新たに算出された主側RAMの判定値と、読み出した主側RAMの判定値が一致するか否かを判定すると共に、新たに算出された払出側RAMの判定値と、読み出した払出側RAMの判定値が一致するか否かを判定する。そして、双方の判定で肯定判定が得られた場合には(S530:Yes)、S532に処理を移行すると共に、少なくとも一方の判定で否定判定が得られた場合には(S530:No)、S514に処理を移行する。
S532では、主制御装置10は、初期化モードに移行する。すなわち、サブ統合制御装置30にコマンドを送信し、演出図柄表示装置36に初期化画面260を表示させると共に、操作部27を介してクリアの対象となるRAMの選択等の受け付けを開始する。
なお、初期化画面260を演出図柄表示装置36に表示せず、主制御装置10、または払出制御装置50が直接制御する専用の表示装置に表示する構成も考えられる。これにより、そうすればサブ統合制御装置30にコマンドを送信せずとも主側RAMや払出側RAMのクリアを行うことが可能となる。
また、初期化画面260を表示して初期化モードにおける問合せを行う場合、該問合せに対する応答を円滑に行うためには、初期化画面260を表示する表示装置と、該応答を受け付けるための操作部27を、同時に視認できるように配置するのが望ましい。
これに対し、初期化画面260を用いること無く、音声により初期化モードにける問合せを行うことも考えられる。このような場合には、初期化画面260を用いる場合に比べて操作部27を自由に配置することが可能となる。
続くS534では、主制御装置10は、主側RAM及び払出側RAMのクリアが選択された(初期化画面260中の中ボタン262が選択された)か否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S534:Yes)、S514に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S534:No)、S536に処理を移行する。
S536では、主制御装置10は、主側RAMのクリアが選択された(初期化画面260中の左ボタン261が選択された)か否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S536:Yes)、S542に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S536:No)、S538に処理を移行する。
S538では、主制御装置10は、RAMクリアのキャンセルが選択された(初期化画面260中の右ボタン263が選択された)か否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S538:Yes)、S510に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S538:No)、S540に処理を移行する。
S540では、主制御装置10は、初期化モードの開始後、予め定められた時間が経過したか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S540:Yes)、S510に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S540:No)、S534に処理を移行する。
S542では、主制御装置10は、主側RAMの全領域をクリアする。なお、このとき、主制御装置10は、払出制御装置50に対し一部クリア指示を行うと共に、払出制御装置50は、一部クリア指示に応じて非保存領域をクリアしても良い。また、サブ統合制御装置30等、払出制御装置50以外の他の装置に対し、該装置に搭載されているRAMのクリアを指示しても良い。
その後、主制御装置10は、初期値乱数設定処理(S544)、主側RAMの初期設定(S546)を行い、S510に処理を移行する。
[効果]
第五実施形態のパチンコ機1によれば、カードユニット2に接続されていない場合には、起動時にRAMクリアスイッチ25が操作されると主側RAMと払出側RAMがクリアされる。このため、パチンコ機1の出荷時等におけるRAMクリアを滞り無く行うことができる。
一方、パチンコ機1がカードユニット2に接続されている場合(パチンコ店等に設置されている場合)には、RAMクリアスイッチ25を介したRAMクリア指示が行われると、持球情報のクリアを伴うRAMクリアを行うかを問合せる(換言すれば、クリア対象となるRAMを選択する)初期化モードに移行する。そして、初期化モード中に受け付けた操作に応じて、主側RAMと払出側RAMがクリアされるか、或いは、主側RAMがクリアされるかが決定される。
このため、遊技者の意思に反して持球情報が消滅してしまうことを防ぐことができ、遊技者に損失を与えること無く初期化を行うことができる。
[変形例1について]
第五実施形態では、電源投入時にRAMクリアスイッチ25がONとなっていた場合、カードユニット2が接続されている場合には初期化モードに移行するが、カードユニット2が接続されており、且つ、払出側RAMに未保存持球情報が保存されている場合に、初期化モードに移行する構成としても良い。
すなわち、図16に記載のフローチャートが示すように、第五実施形態のパチンコ機1にて行われる電源投入時の処理におけるS530で、主側RAM,払出側RAMの双方についての判定で肯定判定が得られた場合に、主制御装置10はS531に移行する。
S531では、主制御装置10は、払出制御装置50に対し、払出側RAMに未保存持球情報が保存された状態か否かを問合せ、応答を得る。そして、未保存持球情報が保存されている場合には(S531:Yes)、S532に処理を移行し、未保存持球情報が保存されていない場合には(S531:No)、S514に処理を移行する。
なお、電源投入時にRAMクリアスイッチ25がONとなっていた場合、カードユニット2の接続の有無を判定せず、払出側RAMに未保存持球情報が保存されているか否かを判定しても良い。そして、未保存持球情報が保存されている場合には、初期化モードに移行すると共に、未保存持球情報が保存されていない場合には、主側RAM及び払出側RAMをクリアする構成としても良い。
これにより、払出側RAMに未保存持球情報が保存されておらず、払出側RAMがクリアされても支障をきたさないという場合には、初期化モードに移行しなくなる。このため、このような場合にクリア対象となるRAMを選択する必要が無くなり、不要な手間を省くことができる。
[変形例2について]
第五実施形態では、主制御装置10にRAMクリアスイッチ25が設けられているが、これに替えて、例えば、払出制御装置50にRAMクリアスイッチ25を設ける構成としても良い。そして、主制御装置10は、払出制御装置50と通信を行うことで払出側RAMクリアスイッチの状態を判別し、同様の処理を行っても良い。
このような場合であっても、遊技者の意思に反して持球情報が消滅してしまうことを防ぐことができ、遊技者に損失を与えること無く初期化を行うことができる。
また、電源基板等にRAMクリアスイッチ25を設けると共に、RAMクリアスイッチ25の検出信号を主制御装置10に出力し、主制御装置10にてRAMクリアスイッチ25の状態を判別可能な構成としても良い。このような場合であっても、主制御装置10は、同様にして電源投入時の処理を行うことができ、同様の効果を得ることができる。
[他の実施形態]
(1)第一〜第五実施形態のパチンコ機1は、一例として、第1,第2始動口を有し、これらの始動口への入球に起因して大当り抽選を行う所謂デジパチタイプのパチンコ機として構成されている。しかしながら、これに限定されること無く、本発明は、封入式として構成されたパチンコ機1に適用することができる。
また、第一〜第五実施形態のパチンコ機1では、一例として、遊技盤の左上に発射ユニットが設けられているが、これに限定されることは無く、例えば、従来のもとの同様に、遊技盤の下方に発射ユニットが設けられていても良い。このような場合であっても、同様の効果を得ることができる。
(2)第一,第四実施形態のパチンコ機1においても、起動時にRAMクリアスイッチ25が操作された場合に、払出側RAMに未保存持球情報が保存されていない場合には、主側RAM及び払出側RAMをクリアしても良い。このような場合であっても、遊技者に損失を与えること無くRAMクリアを行うことができる。
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
パチンコ機1が弾球遊技機に相当し、サブ統合制御装置30が報知装置に相当する。
また、第一実施形態における電源投入時の処理のS114,S126が、主側クリア手段,払出側クリア手段に相当する。
また、第二実施形態における電源投入時の処理のS214が主側クリア手段に、S214,S234が払出側クリア手段に相当する。