JP5666334B2 - コンクリート系構造物の品質診断方法 - Google Patents
コンクリート系構造物の品質診断方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5666334B2 JP5666334B2 JP2011029377A JP2011029377A JP5666334B2 JP 5666334 B2 JP5666334 B2 JP 5666334B2 JP 2011029377 A JP2011029377 A JP 2011029377A JP 2011029377 A JP2011029377 A JP 2011029377A JP 5666334 B2 JP5666334 B2 JP 5666334B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sound pressure
- pressure response
- excitation force
- sound
- measured
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Description
1.被測定対象であるコンクリート系構造物に、インパクトハンマーの如き任意の打撃手段により打撃を与え、該打撃手段から得られる加振力と、打撃箇所に近接した位置に設置された受音系システムの受音手段により得られる音圧応答とを計測することによって、コンクリート系構造物の品質を診断する方法において、
前記加振力の時間特性波形と、前記音圧応答の時間特性波形とを比較することにより診断する方法であって、
加振力の正符号を、前記打撃手段の打撃接触面に圧縮力が働く方向とし、音圧応答の正符号を、静止圧より高い圧力の方向とした場合に、
(A−1)被測定対象に加振力が働いている間又はこれの後続過程において、音圧応答の絶対値が、受音系システムに暗騒音以上の音圧を感知したか否かを区別する閾値である規定値を初めて超えたとき、その符号の正負を観察し、該音圧応答の符号が正であること、
(A−2)被測定対象に加振力が働いている間において、加振周波数以上の高周波数成分が、音圧応答に表れること、
のうち、上記(A−1)、(A−2)の少なくとも1つの現象が観察された場合に、前記被測定対象に異常があると診断することを特徴とするコンクリート系構造物の品質診断方法。
3.(B−1)加振力の時間特性波形が、正弦半波形状をし、音圧応答の時間特性波形が
、前記加振力の時間特性を示す波形の符号を反転したような正弦半波形状をしていること、
(B−2)音圧応答の時間特性波形における負の最大値が生じる時刻が、加振力の時間特性波形における最大値が生じる時刻よりも遅れて生じること、
(B−3)音圧応答の時間特性波形の最初の立ち上がりが、加振力の時間特性波形の最初の立ち上がりよりも遅れて生じること、
のうち、上記(B−1)〜(B−3)の少なくとも1つの現象が観察された場合に、被測定対象が健全であると診断することを特徴とする前記1又は2に記載のコンクリート系構造物の品質診断方法。
(C−1)コンクリート系構造物の一部が剥離した状態、
(C−2)コンクリート系構造物の内部に空洞が存在する状態、
(C−3)コンクリート系構造物の内部あるいは内部から外部につながるひび割れが存在する状態、
(C−4)コンクリートの打設時の型枠への充填不足による空洞が存在する状態、
(C−5)コンクリート系構造物の母材に対して他の比較的薄い材料が、(1)規定の接着状態ではなく、剥離的特性を有している状態、及び/又は(2)ひび割れや空洞などを有する状態、
のうち、上記(C−1)〜(C−5)の少なくとも1つの状態であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のコンクリート系構造物の品質診断方法。
また、従来の診断方法とは異なる独立の情報に基づく方法であり、従来の診断方法と併用して使用することができ、それにより品質診断の精度を高めることができる。更に、独立の情報に基づく方法であることから、従来の診断方法では検出できなかった現象の判別も可能となり得る。
本発明にかかるコンクリート系構造物の品質診断方法に用いられる測定手段構成の一例を示す概略構成図を、図1に示す。測定に際して必要な構成は、打撃手段1、加振力検出器・アンプ2、受音手段3、音圧検出器・アンプ4、AD変換器5、コンピュータ6である。
ここに言うインパクトハンマーとは、打撃入力値の時間変化が既知となるように、圧電素子などを用いたセンサー(フォースセンサー)を内蔵したハンマーを指す。即ち、図1に示す打撃手段1と加振力検出器・アンプ2の機能を併せ持つハンマーである。
本発明に係るコンクリート系構造物の品質診断方法は、上記のようにして得られた加振力と音圧応答の時間特性波形とを比較することによって、被測定対象であるコンクリート系構造物の品質を診断する方法である。
また、加振力と音圧応答の時間特性波形を、加振力の最大値と、加振力が働いている間における音圧応答の負の最大値で規準化することが好ましい。即ち、加振力については、得られた加振力を加振力の最大値で除することにより得られる値を、音圧応答については、得られた音圧応答を被測定対象に加振力が働いている間における音圧応答の負の最大値で除することにより得られる値を、それぞれ縦軸として表示した時間特性波形とすることが好ましい。
Z=F/V
先に説明した測定手段により、加振力と音圧応答とを測定し、これらの測定値から、加振力波形と音圧応答波形を得たが、加振力波形と音圧応答波形とを比較した観察において、以下に掲げる特徴のうち、いずれかの特徴がある場合に、被測定対象であるコンクリート系構造物は、健全であると判断することができる。
(B−2)音圧応答の時間特性波形における負の最大値が生じる時刻が、加振力の時間特性波形における最大値が生じる時刻よりも遅れて生じること。
(B−3)音圧応答の時間特性波形の最初の立ち上がりが、加振力の時間特性波形の最初の立ち上がりよりも遅れて生じること。
(C−1)構造物の一部が剥離した状態(表面付近の材料が中心部付近の部材との間に隙間が生じた状態)。
(C−2)コンクリート系構造物の内部に空洞が存在する状態。
(C−3)コンクリート系構造物の内部あるいは内部から外部につながるひび割れが存在する状態。
(C−4)コンクリートの打設時の型枠への充填不足による空洞が存在する状態。
(C−5)コンクリート系構造物の母材に対して他の比較的薄い材料が、(1)規定の接着状態ではなく、剥離的特性を有している状態、及び/又は(2)ひび割れや空洞などを有する状態。
被測定対象に加振力が働いている間又はこれの後続過程において、音圧応答の絶対値が、受音系システムに暗騒音以上の音圧を感知したか否かを区別する閾値である規定値を初めて超えたとき、その符号の正負を観察し、該音圧応答の符号が正である場合は、被測定対象に異常があると診断することができる。
尚、健全部においては、被測定対象に剥離やひび割れといった異常部がないことから、密実で均質な広い部材であるため、図2に示すように、加振方向と反対方向の変位は生じないものと考えられる。
成分の存在。
被測定対象に加振力が働いている間において、加振周波数以上の高周波数成分が、音圧応答に表れる場合は、被測定対象に異常があると診断することができる。
健全部では、被測定対象に加振力が働いている間(加振過程)に、音圧応答の正負符号の反転、あるいは、音圧応答の微分(微分波)の頻繁な符号反転は生じない。従って、被測定対象に異常部が存在するか否かの判断は、加振過程における音圧の周波数分析から、高周波数成分を検出する、加振過程における音圧の正負の発生があるか否かの判別、微分波の符号反転が規定値以上に頻繁に生じているかといった判別により可能である。
加振力と音圧応答を得る手段としては、前記のとおり、被測定対象であるコンクリート系構造物に対して、インパクトハンマーにより打撃を与え、その加振力を測定し、打撃箇所に近接した位置に設置された受音手段(マイクロホンとフード部材の組み合わせ)により、音圧応答を測定する方法を使用した。被測定対象は、コンクリート製の建築物である。
性波形として表示したものを図5〜7に示す。図5〜7における縦軸は、加振力又は音圧応答を規準化した値、横軸は、時間(msec.)を示す。
尚、波形グラフは、前記の方法により規準化してある。
尚また、先に、本発明者らは、特開2010−060286(以下、「先提案」という。)で、音圧応答が、振動面の振動速度に比例するから、音圧応答を測定することが振動面の振動速度を測定することと等価・近似であることに言及しており、この先提案も、振動速度でなく、振動加速度を用いた場合にも使え、加速度で測定した場合にも同様に使えることを示した。そして、本発明においても、振動速度に相当する値を音圧で計測しているのは同じなので、フード付きマイクロホンを用いた測定と、被診断面に振動センサーをつけて行った測定とは等価であると考えてよく、従って、フード付きマイクだけでなく被診断面にピックアップをつけて行った振動測定でも、同じ結果を得ることができる。
(B−1)加振力の時間特性波形が、正弦半波形状をし、音圧応答の時間特性波形が、前記加振力の時間特性を示す波形の符号を反転したような正弦半波形状をしていること。
(B−2)音圧応答の時間特性波形における負の最大値が生じる時刻が、加振力の時間特性波形における最大値が生じる時刻よりも遅れて生じること。
(B−3)音圧応答の時間特性波形の最初の立ち上がりが、加振力の時間特性波形の最初の立ち上がりよりも遅れて生じること。
の全ての特徴が現れていることが分かる。
波形図中に、丸で囲まれた箇所に、上記(A−1)の特徴である「初期音圧応答における正の微小ピークの存在」が現れていることが分かる。
上記(A−2)の特徴である「加振周波数以上の高周波数成分の卓越あるいは2次発生振動に基づく高周波数成分の存在」が現れていることが分かる。
2 加振力検出器・アンプ
3 受音手段
31 マイクロホン
32 フード部材
4 音圧検出器・アンプ
5 AD変換器
6 コンピュータ
7 被測定対象
71 コンクリート部分
72 鋼材等のコンクリート以外の部分
Claims (2)
- 被測定対象であるコンクリート系構造物に、インパクトハンマーの如き任意の打撃手段により打撃を与え、該打撃手段から得られる加振力と、打撃箇所に近接した位置に設置された受音系システムの受音手段により得られる音圧応答とを計測することによって、コンクリート系構造物の品質を診断する方法において、
前記加振力の時間特性波形と、前記音圧応答の時間特性波形とを比較することにより診断する方法であって、
加振力の正符号を、前記打撃手段の打撃接触面に圧縮力が働く方向とし、音圧応答の正符号を、静止圧より高い圧力の方向とした場合に、
(A−1)被測定対象に加振力が働いている間又はこれの後続過程において、音圧応答の絶対値が、受音系システムに暗騒音以上の音圧を感知したか否かを区別する閾値である規定値を初めて超えたとき、その符号の正負を観察し、該音圧応答の符号が正であること、
(A−2)被測定対象に加振力が働いている間において、加振周波数以上の高周波数成分が、音圧応答に表れること、
のうち、上記(A−1)、(A−2)の少なくとも1つの現象が観察された場合に、前記被測定対象に異常があると診断することを特徴とするコンクリート系構造物の品質診断方法。 - 加振力と音圧応答の時間特性波形が、加振力の最大値と、加振力が働いている間における音圧応答の負の最大値で規準化されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート系構造物の品質診断方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011029377A JP5666334B2 (ja) | 2011-02-15 | 2011-02-15 | コンクリート系構造物の品質診断方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011029377A JP5666334B2 (ja) | 2011-02-15 | 2011-02-15 | コンクリート系構造物の品質診断方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012168022A JP2012168022A (ja) | 2012-09-06 |
JP5666334B2 true JP5666334B2 (ja) | 2015-02-12 |
Family
ID=46972331
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011029377A Active JP5666334B2 (ja) | 2011-02-15 | 2011-02-15 | コンクリート系構造物の品質診断方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5666334B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015145914A1 (ja) * | 2014-03-28 | 2015-10-01 | 日本電気株式会社 | アンカーボルトの診断システム、その方法およびプログラム |
JP6685086B2 (ja) * | 2015-04-17 | 2020-04-22 | 株式会社フジタ | 検査対象物の状態評価装置 |
JP6655244B2 (ja) * | 2015-11-02 | 2020-02-26 | 学校法人日本大学 | 道路劣化判定システムおよび道路劣化判定プログラム |
JP7144021B2 (ja) * | 2017-04-19 | 2022-09-29 | 株式会社NejiLaw | 建造物モニタリングシステム、建造物モニタリング方法 |
DE102018221016A1 (de) * | 2018-12-05 | 2020-06-10 | Robert Bosch Gmbh | Verfahren zur Prüfung eines Faserverbundbauteils, Vorrichtung, Computerprogramm und maschinenlesbares Speichermedium |
JP6773878B1 (ja) * | 2019-12-19 | 2020-10-21 | 中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社 | コンクリート構造物内部状況点検方法及びその方法に使用するシステム |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4901575A (en) * | 1988-11-30 | 1990-02-20 | Gp Taurio, Inc. | Methods and apparatus for monitoring structural members subject to transient loads |
JP2915704B2 (ja) * | 1992-06-17 | 1999-07-05 | 株式会社熊谷組 | 建築物壁仕上げ部の剥離検出方法 |
JP4456723B2 (ja) * | 2000-04-28 | 2010-04-28 | 佐藤工業株式会社 | コンクリート健全度判定方法及び装置 |
US6880403B1 (en) * | 2000-08-28 | 2005-04-19 | Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha | Structure inspection device |
JP2004069301A (ja) * | 2002-08-01 | 2004-03-04 | Kazuya Mori | 音響式検査方法および音響式検査装置 |
JP2005227196A (ja) * | 2004-02-16 | 2005-08-25 | Akebono Brake Ind Co Ltd | 剥離検査方法及び剥離検査装置 |
JP4311680B2 (ja) * | 2006-04-27 | 2009-08-12 | 三菱電機株式会社 | 構造物検査装置 |
JP4598809B2 (ja) * | 2007-08-07 | 2010-12-15 | アプライドリサーチ株式会社 | 打音解析による健全性診断方法 |
JP5208625B2 (ja) * | 2008-09-01 | 2013-06-12 | 佐藤工業株式会社 | 構造物の品質種別の判別方法 |
-
2011
- 2011-02-15 JP JP2011029377A patent/JP5666334B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012168022A (ja) | 2012-09-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5666334B2 (ja) | コンクリート系構造物の品質診断方法 | |
WO2010130144A1 (zh) | 一种结构损伤检测系统、设备以及结构损伤检测方法 | |
JP3340702B2 (ja) | コンクリート構造物の劣化測定方法、および、その測定装置。 | |
JP5208625B2 (ja) | 構造物の品質種別の判別方法 | |
JP2010271116A (ja) | 健全性診断用打撃ハンマ及びこれを用いたコンクリート構造物の健全性診断方法 | |
JP3456965B2 (ja) | 構造物検査方法および装置 | |
JP6130778B2 (ja) | 複合構造体の界面検査方法及び装置 | |
JP2014130135A (ja) | 複合構造体の界面検査方法及び装置 | |
JP4553458B2 (ja) | トンネル診断装置及び方法 | |
JP5714930B2 (ja) | コンクリート系構造物の品質診断方法 | |
JP3523806B2 (ja) | コンクリート構造物中の欠陥検査方法 | |
KR101027069B1 (ko) | 숏크리트 접착상태 평가 방법 | |
JP2001311724A (ja) | コンクリート健全度判定方法及び装置 | |
JP6061767B2 (ja) | コンクリート内部の剥離探査方法およびその装置 | |
JP5450177B2 (ja) | グラウト充填度の非破壊検査方法及び非破壊検査装置 | |
JP3922459B2 (ja) | 打音法による剥離および空洞検出方法および装置 | |
JP3510835B2 (ja) | コンクリート構造物の劣化測定装置。 | |
JP6128432B2 (ja) | アンカーの健全性検査装置およびアンカーの健全性検査方法 | |
JPH08219751A (ja) | 弾性波による耐火物の厚み測定方法 | |
JPH0980033A (ja) | 建物の壁タイルの剥離の判定方法 | |
JP2002148244A (ja) | コンクリート構造物の調査・診断方法 | |
JP2019174131A (ja) | コンクリート浮き検知装置及び検知方法 | |
JP4596147B2 (ja) | 既存杭の非破壊検査方法 | |
JP2003014709A (ja) | エネルギーの減衰に基づいた打撃によるコンクリートの欠陥探査方法 | |
JP2004144586A (ja) | コンクリート系構造物の健全性診断方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20131003 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140311 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140930 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20141110 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20141209 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20141210 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Ref document number: 5666334 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |