JP2014130135A - 複合構造体の界面検査方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】検査精度を向上させることの可能な複合構造体の界面検査方法を提供する。
【解決手段】セメント複合材と金属板とからなる複合構造体に振動を発生させる振動発生手段により振動を加え、複合構造体内を伝搬する振動を受信手段で受信して信号波形を取得する工程(S1)と、取得した信号波形に対して包絡線検波を行い、包絡線を取得する工程(S2)と、取得した包絡線のうち、減衰が開始する時点から減衰が終了するまでの間に含まれる包絡線を減衰曲線とし、減衰曲線における減衰特性を表す減衰係数に基づいて複合構造体の界面の状態を判定する工程(S4-S9)と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、複合構造体の界面検査方法及び装置に係り、詳しくはコンクリートと鋼板とからなる合成床版の界面の健全状態を検査する方法、及び界面の健全状態の検査を行う装置に関する。
コンクリート構造物の健全状態を検査する手法の1つとして、打音法が知られている。打音法とは、コンクリート構造物等の被検体にハンマー等で打撃を加え、被検体内を伝搬する振動を空気振動、即ち音を介して採取して被検体内の状態を把握する手法である。
この打音法を利用して、インパルスハンマーを用いてコンクリート構造物に打撃を加え、打撃音及びマイクロホンで採取した音の振幅比や、採取した音の周波数スペクトルから求めた周波数重心に基づいて、コンクリート構造物の健全性を検査する方法が知られている(特許文献1参照)。
特許第4456723号
しかしながら従来の打音法では、被検体の大きさが被検体の状態判定に影響してしまうため、検査精度が低下してしまう虞がある。また、上記特許文献1では、打音法により取得した周波数スペクトルに打撃音の周波数帯域も含まれてしまうため、周波数スペクトルにおいて打撃音の周波数帯域が支配的となり、コンクリート構造物内の欠陥等による周波数の変化を把握しにくいという問題もある。このため、検査精度の向上が求められていた。
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、検査精度を向上させることの可能な複合構造体の界面検査方法及び装置を提供することにある。
上記の目的を達成するべく、請求項1の複合構造体の界面検査方法は、セメント複合材と金属板とからなる複合構造体に振動を発生させる振動発生手段により振動を加え、前記複合構造体内を伝搬する振動を受信手段で受信して信号波形を取得する工程と、取得した信号波形に対して包絡線検波を行い、包絡線を取得する工程と、取得した包絡線のうち、減衰が開始する時点から減衰が終了するまでの間に含まれる包絡線を減衰曲線とし、前記減衰曲線における減衰特性を表す減衰係数に基づいて前記複合構造体の界面の状態を判定する工程と、を有することを特徴とする。
請求項2の複合構造体の界面検査方法では、請求項1において、前記包絡線を取得する工程は、前記振動発生手段により加えられた振動に相当する信号波形を前記包絡線から除去する工程を含むことを特徴とする。
請求項3の複合構造体の界面検査方法では、請求項2において、前記振動に相当する信号波形を除去する工程では、前記複合構造体内を伝搬する振動を前記受信手段で受信を開始した受信開始時間から、前記包絡線における振幅が最大となる時間までに含まれる信号波形を除去することを特徴とする。
請求項4の複合構造体の界面検査方法では、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記減衰係数は、前記減衰曲線における指数関数の変数に対する係数であることを特徴とする。
請求項5の複合構造体の界面検査方法では、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記減衰係数は、前記減衰曲線の振幅が、前記包絡線での減衰が開始する時間以降における前記減衰曲線の振幅となる第1の振幅から、前記第1の振幅よりも小さい前記減衰曲線における第2の振幅となるまでの時間幅であることを特徴とする。
請求項6の複合構造体の界面検査方法は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、さらに、取得した信号波形に対して周波数解析を行い、周波数に対する振幅特性の信号波形を取得する工程と、周波数解析をして得られた信号波形における、振幅が出現している周波数帯域と、その周波数帯域における振幅の大きさとに基づいて前記複合構造体の界面の状態を判定する工程と、を有することを特徴とする。
請求項7の複合構造体の界面検査装置は、セメント複合材と金属板とからなる複合構造体に振動を発生させる振動発生手段と、前記振動発生手段により前記複合構造体に振動が加えられ、前記複合構造体内を伝搬する振動を受信して信号波形を取得する受信手段と、前記受信手段で取得した信号波形から包絡線を取得する包絡線検波手段と、取得した包絡線のうち、減衰が開始する時点から減衰が終了するまでの間に含まれる包絡線を減衰曲線とし、前記減衰曲線における減衰特性を表す減衰係数に基づいて前記複合構造体の界面の状態を判定する界面状態判定手段と、を備えることを特徴とする。
請求項1の複合構造体の界面検査方法、及び請求項7の複合構造体の界面検査装置によれば、複合構造体に振動を加え、複合構造体内を伝搬する振動を信号波形として取得し、包絡線を減衰曲線として減衰係数を求め、減衰係数に基づいて界面の状態を判定する。
従って、界面状態の判定では複合構造体の大きさによる影響を受けないので、検査精度を向上させることができる。また、減衰係数に基づいて界面の状態を判定することにより、包絡線が減衰するまでの間に存在する振幅の影響を低減できるので、検査精度を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る界面検査装置の概略構成図である。 本発明の第1実施形態に係る界面検査方法のフローチャートである。 (A)は合成床版内を伝搬した振動をマイクロホンで採取した音の測定波形、(B)は(A)で取得した測定波形から取得した包絡線の信号波形、(C)は(B)に示す包絡線から打撃音に相当する信号を除去した包絡線を曲線近似して求めた減衰曲線の図、(D)は(C)を時間軸方向に拡大した図である。 第1実施形態の変形例を示す減衰曲線の図である。 本発明の第2実施形態に係る界面検査方法のフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る界面検査方法のフローチャートである。 ハンマーとマイクロホンとを一体にした界面検査ユニットを示す図である。 実施例1〜3で行う界面検査方法の概略図である。 実施例1〜4で行う界面検査方法において、界面に空洞が存在する場合の概略図である。 (A)は界面に付着切れが形成された合成床版に打撃を加えて採取した信号波形から取り出した包絡線を示す図であり、(B)は(A)の包絡線から打撃音に相当する信号を除去した包絡線及びこの包絡線を曲線近似した減衰曲線を示す図である。 (A)は界面に模擬空洞が形成された合成床版に打撃を加えて採取した信号波形から取り出した包絡線を示す図であり、(B)は(A)の包絡線から打撃音に相当する信号を除去した包絡線及びこの包絡線を曲線近似した減衰曲線を示す図である。 (A)は界面の状態が健全である合成床版における打撃音に相当する信号を除去した包絡線及びこの包絡線を曲線近似した減衰曲線を示す図であり、(B)は界面に付着切れが形成された合成床版における打撃音に相当する信号を除去した包絡線及びこの包絡線を曲線近似した減衰曲線を示す図であり、(C)は界面に模擬空洞が形成された合成床版における打撃音に相当する信号を除去した包絡線及びこの包絡線を曲線近似した減衰曲線を示す図である。 (A)は界面に付着切れが形成された合成床版の周波数解析結果を示す図であり、(B)は界面に1辺が100mmの模擬空洞が形成された合成床版の周波数解析結果を示す図であり、(C)は界面に1辺が200mmの模擬空洞が形成された合成床版の周波数解析結果を示す図である。 界面に模擬空洞が形成された合成床版の周波数解析結果を示す図である。 (A)は8mmの厚さの底鋼板の界面に模擬空洞が形成された合成床版の周波数解析結果を示す図であり、(B)は6mmの厚さの底鋼板の界面に模擬空洞が形成された合成床版の周波数解析結果を示す図である。 (A)は底鋼板とコンクリートとの界面に模擬空洞が形成された合成床版の概略図であり、(B)は(A)のXIV-XIV線に沿う断面図である。 (A)はコンクリートを打設する前の底鋼板における打撃音に相当する信号を除去した包絡線及びこの包絡線を曲線近似した減衰曲線を示す図であり、(B)はフレッシュコンクリートが完全に充填された合成床版における打撃音に相当する信号を除去した包絡線及びこの包絡線を曲線近似した減衰曲線を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る複合構造体の界面検査装置の概略構成図である。界面検査装置10は、例えば橋梁の桁上部に設けられた、底鋼板(金属板)2とコンクリート(セメント複合材)4とからなる合成床版(複合構造体)6の界面8の状態を検査するための装置である。なお、コンクリート4には、硬化したコンクリートに限られず、硬化する前のフレッシュコンクリートをも含んでいる。
界面検査装置10は、ハンマー(振動発生手段)12、マイクロホン(受信手段)14、フード16、演算装置(包絡線検波手段、界面状態判定手段)18、及びモニタ20を備えている。
ハンマー12は、底鋼板2に振動を加えることができればよく、例えば鉄ハンマー、プラスチックハンマー、ゴムハンマー、木ハンマー等が挙げられる。
マイクロホン14は、ハンマー12から離れた位置に配置され、マイクロホン14の位置に伝わった合成床版6内を伝搬する振動を音として採取し、電気信号に変換して演算装置18へ入力する。詳しくは、合成床版6内を伝搬した振動は、ハンマー12の打撃位置から離間した位置に配置されたマイクロホン14に伝わり、マイクロホン14と底鋼板2との間の空気を振動させる。この空気振動を音としてマイクロホン14で採取する。
マイクロホン14はフード16で覆われており、フード16を底鋼板2に接触させることで、外部の音を遮断してノイズを低減することが可能となる。
演算装置18は、中央演算処理装置(以下、CPUという)22、及びROM、RAM等のメモリ24を含んで構成されている。メモリ24には各プログラムが格納されており、CPU22がこれらのプログラムを実行することによって、合成床版6の界面8の状態の検査が行われる。
演算装置18には出力装置としてモニタ20が接続されており、例えばマイクロホン14で採取した信号波形をモニタ20に出力するようにしてもよい。図示しないが、演算装置18は、キーボード等の入力装置を有していてもよく、例えばパーソナルコンピュータであってもよい。
<第1実施形態>
以下、本発明に係る複合構造体の界面検査方法の第1実施形態について説明する。第1実施形態において、コンクリート4は硬化したコンクリートである。
図2は、本発明の第1実施形態に係る界面検査方法のフローチャートを示しており、図3(A)はマイクロホン14で採取した音の測定波形、図3(B)は図3(A)に示した測定波形から取り出した包絡線の信号波形、図3(C)は図3(B)に示す打撃音に相当する信号を除去した包絡線を曲線近似した減衰曲線の図、図3(D)は図3(C)を時間軸方向に拡大した図をそれぞれ示している。以下図2、図3に基づいて説明する。なお、以下に説明するステップS2以降の各処理は、演算装置18で行われる。
ステップS1では、底鋼板2にハンマー12で打撃を加え、合成床版6内を伝搬した振動を音としてマイクロホン14で採取し、採取した振動を電気信号に変換して演算装置18に入力する。マイクロホン14で採取された音は、例えば図3(A)に示すような測定波形として演算装置18に入力される。なお、図3(A)に示す測定波形は、界面8の状態が健全である場合の測定波形を示している。
ステップS2では、上記ステップS1で取得した測定波形に包絡線検波を行い、包絡線を取り出す。取り出された包絡線は、例えば図3(B)に示すような信号波形となる。
ステップS3では、上記ステップS1でハンマー12が底鋼板2に加えた打撃音に相当する信号波形を除去する。打撃音に相当する信号波形は、図3(B)に示すように時間軸方向で見ると、測定を開始してから最初に現れる最大の振幅を有する信号波形として現れる。従って、上記ステップS1で音の採取を開始した測定開始時間、即ち0秒から最大振幅が現れる時点までの時間幅dTに含まれる信号波形を除去する。これにより、打撃音の影響を包絡線から除去できるので、検査精度を向上させることが可能となる。
ステップS4では、上記ステップS3で打撃音に相当する信号波形を除去した包絡線を曲線近似し、減衰パラメータ(減衰係数)を求める。詳しくは図3(C)に示すように、打撃音に相当する信号波形を除去した包絡線において、少なくとも減衰開始から減衰終了までの間に含まれる包絡線を指数関数で曲線近似し、近似した曲線を減衰曲線とする。この減衰曲線は以下の式(1)のように定義される。
y=Ae-(x-x0)/t ・・・(1)
上記式(1)では、Aは指数関数の係数、xは音の採取を開始してからの変化量、tは時間をそれぞれ示している。この時間tは指数関数の変化量xに対する係数であり、時間tは上記式(1)の減衰曲線の減衰特性を表しているので、時間tを減衰パラメータとして用いる。x0は音の採取を開始してから減衰開始位置までの変化量であるのがよいが、x0は上記時間幅dT相当量で代用してもよい。なお、包絡線において減衰開始とは、減衰が終了している時点から包絡線を時間軸方向に溯っていくと包絡線の振幅は略等増幅していくが、この略等増幅していく等増幅線の変曲点となる時点のことである。
ステップS5では、上記ステップS4で求めた減衰開始から減衰終了までの減衰パラメータtが第1の閾値未満か否かを判定する。ここで第1の閾値とは、界面8の状態が不健全、即ち付着切れまたは空洞が存在すると判定される値である。当該判定結果が真(Yes)である場合には、上記ステップS4で求めた減衰パラメータtは第1の閾値未満であるとして、ステップS6へ進む。
ステップS6では、上記ステップS4で求めた減衰パラメータtが第1の閾値未満なので、界面8の状態は健全であると判定して、本フローチャートを終了する。
一方、上記ステップS5の判定結果が偽(No)である場合、上記ステップS4で求めた減衰パラメータtは第1の閾値以上であり、界面8に付着切れまたは空洞が存在するとしてステップS7へ進む。
ステップS7では、上記ステップS4で求めた減衰パラメータtが第2の閾値未満か否かを判定する。ここで第2の閾値とは、上述した第1の閾値より大きく、且つ底鋼板2とコンクリート4との界面8で空洞が存在していると判定される値である。当該判定結果が真(Yes)の場合には、減衰パラメータtは第2の閾値未満としてステップS8へ進む。
ステップS8では、上記ステップS4で求めた減衰パラメータtが第1の閾値以上であり、且つ第2の閾値未満なので、底鋼板2とコンクリート4との界面8で付着切れが生じていると判定して、本フローチャートを終了する。
一方、上記ステップS7の判定結果が偽(No)である場合、上記ステップS4で求めた減衰パラメータtは第2の閾値以上であるとしてステップ9へ進む。
ステップS9では、減衰パラメータtは第2の閾値以上であるので、底鋼板2とコンクリート4との界面8には空洞が存在すると判定して、本フローチャートを終了する。
このように、本実施形態では、底鋼板2にハンマー12で打撃を加え、マイクロホン14で測定した測定波形の包絡線を取り出し、打撃音に相当する信号波形を除去した包絡線を曲線近似して求めた減衰パラメータtに基づいて、界面8の状態を識別する。
従って、界面8の状態の識別は合成床版6の大きさに依存しないので、界面8の検査精度を向上させることができる。また上記式(1)で表される指数関数の変化量xに対する係数となる時間tを減衰パラメータとすることにより、界面8の状態に応じて減衰曲線の減衰パラメータtも変わるので、減衰パラメータtに基づいて界面8の状態を識別することができる。また、空洞が存在していると判定される第2の閾値を用いて判定することにより、界面8の状態の健全/不健全だけでなく、不健全の状態が付着切れなのか、空洞が存在するのか、ということも識別可能となる。
<第1実施形態の変形例>
次に、上記第1実施形態の変形例について以下に説明する。本変形例は、上記第1実施形態に対して減衰パラメータとして減衰時間を用いる点が異なっており、その他の構成については共通しているので説明を省略する。
図4は、打撃音に相当する信号を除去した包絡線を指数関数で曲線近似した減衰曲線を示す図である。この減衰曲線における減衰パラメータは、振幅の大きさが、包絡線における最大振幅Amの1/α1(第1の振幅)から1/α2(第2の振幅、ここでα1、α2は1以上の実数であり、α1<α2である)に減衰するまでに要する減衰時間Tで表される。この減衰時間Tを減衰パラメータとする場合、上記ステップS5で利用する第1の閾値は界面8の状態が不健全であると判定される減衰時間となり、上記ステップS7で利用する第2の閾値は界面8の状態が空洞ありと判定される減衰時間となる。この減衰時間Tを用いて界面8の状態を識別する。
合成床版6に打撃を加えてから、打撃による振動が減衰し始めるまでには若干時間を要する。このため、上記ステップS3で打撃音に相当する信号波形を包絡線から除去しても、減衰が開始するまでの間の信号波形が残ってしまうことがある。そこで包絡線における最大振幅Amの1/α1となる振幅が、合成床版6に加えられた振動の減衰開始以降の時間に対する減衰曲線の振幅となるような値をα1に設定するのが好ましい。これにより、検査精度をより向上させることが可能となる。またα2は、α1の値より大きければよいが、最大振幅Amの1/α2となる振幅が例えば振動の減衰が終了する近傍における振幅となるような値に設定するようにしてもよい。
これにより、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について以下に説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してさらに包絡線を周波数解析する点が異なっており、その他の構成については共通しているので説明を省略する。
図5は、本実施形態に係る界面検査方法のフローチャートである。以下、同フローチャートに基づいて説明する。なお、本フローチャートのステップS11〜S16は、上記第1実施形態のステップS1〜S6と共通しているので、簡単に説明する。
ステップS11では、底鋼板2にハンマー12で打撃を加え、合成床版6内を伝搬した振動を音としてマイクロホン14で採取し、採取した振動を電気信号に変換して演算装置18に入力する。
ステップS12では、上記ステップS11で取得した測定波形に包絡線検波を行い、包絡線を取り出す。
ステップS13では、上記ステップS11でハンマー12が底鋼板2に加えた打撃音に相当する信号波形を除去する。
ステップS14では、上記ステップS13で打撃音に相当する信号波形を除去した包絡線を曲線近似し、減衰パラメータ(減衰係数)を求める。
ステップS15では、上記ステップS14で求めた減衰開始から減衰終了までの減衰パラメータtが第1の閾値未満か否かを判定する。当該判定結果が真(Yes)である場合には、上記ステップS14で求めた減衰パラメータtは第1の閾値未満であるとして、ステップS16へ進む。
ステップS16では、上記ステップS14で求めた減衰パラメータtが第1の閾値未満なので、界面8の状態は健全であると判定して、本フローチャートを終了する。
一方、上記ステップS15の判定結果が偽(No)である場合、上記ステップS14で求めた減衰パラメータtは第1の閾値以上であり、界面8に付着切れまたは空洞が存在するとしてステップS17へ進む。
ステップS17では、上記ステップS13で打撃音に相当する信号波形を除去した信号波形に対して周波数解析を行う。信号波形を周波数解析することによって、周波数に対する振幅特性の信号波形が得られる。また、信号波形における波数に応じた周波数分布を容易に把握することができる。
ステップS18では、上記ステップS17で行った周波数解析結果の周波数分布に基づいて、振幅が現れている周波数帯域が広帯域か狭帯域かのいずれかを判定する。当該判定結果が狭帯域の場合には、特定の周波数帯域に振幅が現れているとして、ステップS16へ進む。なお、本ステップ以降で述べる振幅とは、界面8の状態が健全または不健全と判定される大きさの振幅である。また、本ステップの狭帯域とは、周波数分布において限定された範囲にのみ振幅が現れている状態のことであり、例えばその幅が0.5kHz未満の周波数帯域である。また、本ステップの広帯域とは、周波数分布において広範囲にわたり振幅が現れている状態のことであり、その幅が0.5kHz以上、例えば4〜5kHzにわたる周波数帯域である。
ステップS19では、上記ステップS17で得られた周波数分布における振幅の現れている周波数帯域は狭帯域なので、界面8に空洞が存在すると判定して本フローチャートを終了する。
底鋼板2とコンクリート4との界面8に空洞が存在する場合、上記ステップS12で得られる信号波形の波数は後述する付着切れが存在する場合の波数と比べて多くなるため、特定の周波数帯域に鋭い振幅が現れることになる。
一方、上記ステップS18で広帯域と判定された場合には、上記ステップS17で行った周波数解析結果の周波数分布は広帯域に分布しているとして、ステップS20へ進む。
ステップS20では、周波数分布が広帯域に分布しているので、界面8は付着切れの状態であると判定して本フローチャートを終了する。
底鋼板2とコンクリート4との界面8に付着切れが存在する場合、上記ステップS12で得られる信号波形での波数は、界面8が健全である場合や空洞が存在する場合と比べて少なくなる。また、界面8に付着切れが存在する場合の合成床版6に打撃を加えると、付着切れが存在する界面8では底鋼板2とコンクリート4との接触面で複雑な振動が発生する。このため、周波数解析を行った結果の信号波形は、界面8が健全である場合や空洞が存在する場合と比べて幅広い帯域に目立った振幅が出現することになる。
このように本実施形態では、底鋼板2にハンマー12で打撃を加え、マイクロホン14で測定した測定波形から打撃音に相当する信号波形を除去し、その信号波形に対して周波数解析を行い、周波数に対する振幅特性に基づいて界面8の状態を判定する。
このように、上記第2実施形態では、減衰パラメータを用いて界面8の状態を識別し、さらに周波数解析を行った周波数に対する振幅特性に基づいて界面8の状態を識別し、減衰パラメータと周波数解析を行った結果とを併せて用いて界面8の状態を識別するようにしており、これにより、検査精度をより向上させることが可能となる。なお、減衰パラメータによる判定及び周波数解析による判定の実施順序は、必ずしも図5に示した順序である必要はないことは言うまでもない。即ち、先に周波数解析を行い、周波数分布に基づいて空洞が存在すると判定された場合に測定波形に対して減衰パラメータによる判定を行い、界面8に空洞が存在するのか、複合構造体全体の振動を拾っているだけで界面8は健全な状態であるのかを判定してもよい。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について以下に説明する。本実施形態は、第1及び第2実施形態に対し、硬化する前のフレッシュコンクリートに本発明を適用する点が異なっており、その他の構成については共通しているので説明を省略する。
図6は、本実施形態に係る界面検査方法のフローチャートである。以下、同フローチャートに基づいて説明する。なお、本フローチャートのステップS21〜S24は、上記第1及び第2実施形態のステップS1〜S4或いはステップS11〜S14と共通しているので、説明を省略する。
ステップS25では、ステップS24で求めた減衰開始から減衰終了までの減衰パラメータtが第3の閾値未満か否かを判定する。ここで第3の閾値とは、界面8の状態が不健全、即ちフレッシュコンクリートが充填されておらず未充填と判定される値である。当該判定結果が真(Yes)である場合には、上記ステップS24で求めた減衰パラメータtは第3の閾値未満であるとして、ステップS26へ進む。
ステップS26では、上記ステップS24で求めた減衰パラメータtが第3の閾値未満なので、界面8の状態は健全であり、フレッシュコンクリートが充填されていると判定して、本フローチャートを終了する。
一方、上記ステップS25の判定結果が偽(No)である場合、上記ステップS24で求めた減衰パラメータtは第3の閾値以上であるので、ステップS27へ進み、界面8は不健全であり、フレッシュコンクリートが未充填と判定して、本フローチャートを終了する。
このように、本実施形態では、底鋼板2にハンマー12で打撃を加え、マイクロホン14で測定した測定波形の包絡線を取り出し、打撃音に相当する信号波形を除去した包絡線を曲線近似して求めた減衰パラメータtに基づいて、コンクリートの打設後、硬化する前のフレッシュコンクリートからなる合成床版(複合構造体)6において、フレッシュコンクリートが充填されているか、或いは未充填であるかを識別することが可能である。
なお、第3実施形態の変形例として、上記第1実施形態の変形例と同様に上記第3実施形態に対し減衰パラメータとして減衰時間を用いるようにしてもよい。
ところで、上記各実施形態において、界面検査装置10をハンマー12で自動的に打音を発生させる装置として構成するようにしてもよく、さらにハンマー12とマイクロホン14を一体に備えて構成するようにしてもよい。即ち、例えば、図7に示すような、ハンマー12とマイクロホン14とを一体にしたような界面検査ユニット110を用いるようにしてもよい。
界面検査ユニット110は、自動的に底鋼板2に打撃を加えて打音を発生させるソレノイドハンマーユニット(振動発生手段)112、マイクロホン(受信手段)114、ソレノイドハンマーユニット112の作動を制御する打撃制御ユニット113、マイクロホン114で採取した音を電気信号に変換するA/Dユニット115、バッテリ119、打撃制御ユニット113及びA/Dユニット115と演算装置18との電気信号の入出力を行う通信コネクタ117、打撃を実施するための打撃スイッチ120を備えて構成されている。
ソレノイドハンマーユニット112は、電磁ソレノイド112bに通電することでハンマー本体112aを電磁ソレノイド112b内でハンマー本体112aの軸線方向に振動させて底鋼板2に打撃を加えるよう構成されており、例えば演算装置18から打撃制御ユニット113へ送信する指令信号に応じて打撃力や打撃回数等が可変操作される。
なお、ハンマー本体112aの先端部は対象物に応じて取り替えることが可能で、例えば通常プラスチックハンマーを使用する場合に対して本装置を使用する場合には、樹脂部材112cを取り付ける。
マイクロホン114はフード116で覆われており、フード116についても、底鋼板2に接触させることで、外部の音を遮断してノイズを低減可能である。
また、界面検査ユニット110には、界面検査ユニット110を底鋼板2に押し当てるべくハンドル111が設けられている。
底鋼板2に対向する面には、マグネット122を設けるのがよく、マグネット122で界面検査ユニット110を底鋼板2に固定することで作業性の向上を図ることが可能である。
また、上記各実施形態では、合成床版6を振動させる方法としてハンマーを用いて底鋼板2に打撃を加える打音法について説明したが、これに限られず、音響法や鉄球等により振動を加える手段や超音波等による弾性波法等を用いてもよい。
さらに、上記各実施形態では、底鋼板2とコンクリート4とからなる合成床版6を例として説明しているが、コンクリート4はセメント複合材であれば例えばモルタルでもよく、この場合であっても本発明の界面検査方法及び装置を適用可能である。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
本発明に係る界面検査装置10を用いて、上記第1実施形態で説明した界面検査方法を実施し、合成床版6の界面8の健全状態の検査を行った。
本実施例で行う界面検査方法の概略図を図8、図9に示す。図8は、界面8が健全状態の合成床版6、または付着切れ(図示せず)が生じている状態の合成床版6aに対して界面検査方法を示す概略図である。図9は、界面8に空洞9が存在する合成床版6bに対して界面検査方法を示す概略図である。付着切れとは、底鋼板2とコンクリート4との接触が剥がれてしまい、底鋼板2上にコンクリート4が載っている状態のことである。
図8において、合成床版6の底鋼板2に、ハンマー12の打撃位置から離間する位置にマイクロホン14を配置し、ハンマー12で打撃を加えて界面8の検査を行った。また、合成床版6aには、底鋼板2とコンクリート4との界面8に、一辺の長さが200mmの付着切れ(図示せず)を形成し、ハンマー12の打撃位置から離間した位置にマイクロホン14を配置している。この合成床版6aの付着切れが存在する位置に対してハンマー12で打撃を加え、界面8の検査を行った。なお、マイクロホン14とハンマー12との打撃位置は、界面8の状態を十分に取得できるよう、検出対象の大きさ以内に収まるような位置関係に設定することが望ましい。
また、図9において、合成床版6bには、底鋼板2とコンクリート4との界面8に、1辺の長さWが200mm、高さdが10mmの模擬空洞9を形成し、ハンマー12の打撃位置から離れた位置にマイクロホン14を配置して、模擬空洞9が形成された位置に対してハンマー12で打撃を加え、界面8の検査を行った。合成床版6、6a、6bで用いた底鋼板2の板厚hは8mmのものを使用した。
結果を上記図3(B)、(D)、図10、図11に示す。図3(B)、(D)は、界面8が健全な状態である場合の信号波形をそれぞれ示している。図10(A)は界面8に付着切れが形成された合成床版6aの測定波形から取り出した包絡線を示す図であり、図10(B)はハンマー12により底鋼板2に加えられた打撃に相当する信号を図10(A)の包絡線から除いた包絡線及びこの包絡線を曲線近似した減衰曲線を示す図である。図11(A)は界面8に模擬空洞9が形成された合成床版6bの測定波形から取り出した包絡線を示す図であり、図11(B)はハンマー12により底鋼板2に加えられた打撃に相当する信号を図11(A)の包絡線から除いた包絡線及びこの包絡線を曲線近似した減衰曲線を示す図である。なお、図11(B)の減衰曲線は、測定波形の包絡線とほぼ重なり合っている。
図3(D)、図10(B)、図11(B)にそれぞれ示すように、界面8の状態が健全である図3(D)の減衰曲線は、図10(B)、図11(B)と比べて、合成床版6に加えられた振動が減衰する速度が速いことが判る。そして、界面8に模擬空洞9が形成された場合の図11(B)の減衰曲線は、図3(D)、図10(B)の減衰曲線と比べて減衰する速度が遅いことが判る。また、上記式(1)で表されるそれぞれの減衰曲線の減衰パラメータtは、界面8が健全状態である場合には約1.76ms、界面8が付着切れの場合には約3.37ms、界面8に模擬空洞9が存在する場合には約53.59msとなっている。このように、包絡線を曲線近似した減衰曲線の減衰パラメータtは、界面8の状態が健全である場合に最も小さい値となり、界面8に空洞が存在する場合に最も大きな値となることが判る。
従って、図3(D)、図10(B)、図11(B)は、減衰曲線の減衰パラメータtに基づいて、底鋼板2とコンクリート4との界面8の状態を識別することが可能であることを示している。このように、本発明の第1実施形態に係る界面検査方法を用いて底鋼板2とコンクリート4との界面8の検査を行うことで、界面8の健全状態を容易に識別することが可能であることが判る。
<実施例2>
本発明に係る界面検査装置10を用いて、上記第1実施形態の変形例に係る界面検査方法を実施し、合成床版6、6a、6bにおける界面8の健全状態の検査を行った。なお、本実施例では、検査対象、構成、及び検査条件は上述した実施例1と同様である。
結果を図12(A)〜(C)に示す。図12(A)は界面8の状態が健全である合成床版6から取得した包絡線を曲線近似した結果を示す図であり、図12(B)は界面8に付着切れが形成された合成床版6aから取得した包絡線を曲線近似した結果を示す図であり、図12(C)は界面8に模擬空洞9が形成された合成床版6bから取得した包絡線を曲線近似した結果を示す図である。なお、図12(A)〜(C)では、打撃に相当する信号波形が除去された包絡線を用いている。
図12(A)〜(C)ではα1を3、α2を50として、振幅が、それぞれの最大振幅Amの1/3となる時点から、最大振幅Amの1/50となる時点までの減衰時間Tをそれぞれ求めた。図12(A)では減衰時間T:約4ms、図12(B)では減衰時間T:約15ms、図12(C)では減衰時間T:約150msであった。このように、界面8の状態が健全である場合の減衰時間Tが最も短くなり、界面8に空洞が存在する場合の減衰時間Tが最も長くなることが判る。
従って、図12(A)〜(C)は、減衰曲線における最大振幅Amの1/α1から1/α2となるまでの減衰時間Tに基づいて、底鋼板2とコンクリート4との界面8の状態を識別することが可能であることを示している。
このように、包絡線を曲線近似した減衰曲線において、振幅が最大振幅Amの1/α1から1/α2となるまでの減衰時間Tに基づいて、界面8の健全状態を把握することが可能となることが判る。
<実施例3>
本発明に係る界面検査装置10を用いて、上述した第2実施形態の界面検査方法を実施し、底鋼板2とコンクリート4とからなる合成床版6a、6bの界面8の健全状態の検査を行った。なお、本実施例では、1辺の長さWが200mm、高さdが10mmの模擬空洞9を有する合成床版6b、一辺の長さWが100mm、高さdが10mmの模擬空洞9を有する合成床版6bを準備した点が異なり、他の構成及び検査条件は上述した実施例1と同様である。
結果を図13(A)〜(C)に示す。図13(A)は界面8に付着切れが形成された合成床版6aの周波数解析結果を示している。図13(B)は界面8に1辺の長さが100mmの模擬空洞9が形成された合成床版6bの周波数解析結果を示しており、図13(C)は界面8に1辺の長さが200mmの模擬空洞9が形成された合成床版6bの周波数解析結果を示している。
図13(A)に示すように、界面8に付着切れが形成されている場合には、幅広い周波数帯域に目立った振幅が現れている。また、図13(B)、(C)に示すように、界面8に模擬空洞9が形成されている場合、特定の周波数帯域に顕著な大きさの鋭い振幅が現れている。図13(B)に示すように、模擬空洞9の1辺の長さが100mmの場合には3.5〜4kHzの周波数帯域に鋭い振幅が現れている。また図13(C)に示すように、模擬空洞9の1辺の長さが200mmの場合には1.0〜1.5kHzの周波数帯域に顕著な大きさの鋭い振幅が現れている。
従って、図13(A)〜(C)から、周波数解析した結果の周波数分布において、界面8が健全または不健全でも顕著な大きさの鋭い振幅が現れるので、その振幅が現れる周波数帯域に基づいて界面8の状態を識別することが可能であることが判る。また、図13(B)、(C)から、界面8に空洞が存在する場合には、顕著な大きさの鋭い振幅が現れる特定の周波数帯域は、空洞の大きさ、即ち空洞の辺の長さに依存していることが判る。
<実施例4>
本発明に係る界面検査装置10を用いて、上述した第2実施形態の界面検査方法を実施し、界面8に形成された空洞の大きさと振幅が現れる周波数帯域との関係、及び底鋼板2の厚さと振幅が現れる周波数帯域との関係についてさらに調査した。なお、本実施例は、上記実施例1に対し、1辺の長さWが200mm、高さdが10mmの模擬空洞9を有する合成床版6b、1辺の長さWが200mm、高さdが50mmの模擬空洞9を有する合成床版6b、1辺の長さWが140mm、高さdが0.5mmの模擬空洞9で板厚hが8mmの底鋼板2を有する合成床版6b、及び1辺の長さWが140mm、高さdが0.5mmの模擬空洞9で板厚hが6mmの底鋼板2を有する合成床版6bを準備した点が異なり、他の構成及び検査条件は上述した実施例1と同様である。
結果を上記図13(C)、図14、図15に示す。図14は界面8に1辺の長さが200mmの模擬空洞9が形成された合成床版6bの周波数解析結果を示している。図15(A)は板厚が8mmの底鋼板2の界面8に1辺の長さWが140mm、高さdが0.5mmの模擬空洞9が形成された合成床版6bの周波数解析結果を示す図であり、図15(B)は図15(A)の底鋼板2の板厚hを6mmに変えた合成床版6bの周波数解析結果を示す図である。
上記実施例3で示した図13(C)と、図14の周波数解析結果とを比較してみると、図13(C)と図14とでは模擬空洞9の高さdが異なるだけであり、鋭い振幅が現れる周波数帯域は両方とも1.0〜1.5kHzの周波数帯域である。従って、鋭い振幅が現れる周波数帯域は、空洞の高さdには依存していないことが判る。
次に図15(A)、(B)を比較してみると、底鋼板2の板厚hが8mmの場合には、図15(A)に示すように2.0〜2.5kHzの周波数帯域に顕著な大きさの鋭い振幅が現れているが、底鋼板2の板厚hが6mmの場合には、図15(B)に示すように1.5〜2.0kHzの周波数帯域に顕著な大きさの鋭い振幅が現れている。このことから、鋭い振幅が現れる周波数帯域は、底鋼板2の板厚hに依存していることが判る。
図13(B)、(C)や図15(A)、(B)から判るように、顕著な大きさの鋭い振幅が現れる周波数帯域は、空洞の辺の長さ、及び底鋼板2の厚さに依存している。これは、空洞の辺の長さ及び鋼板の厚さと、それに対する固有振動数の関係があるためである。
図16(A)は界面8に模擬空洞9が形成されている合成床版6bの概略図であり、図16(B)は図16(A)のXIV-XIV線に沿う断面図であり、以下同図に基づいて説明する。
図16(A)に示すように、底鋼板2とコンクリート4との界面8には、辺の長さがそれぞれa、bの模擬空洞9が形成されている。ここで、模擬空洞9が形成されている位置に相当する底鋼板2を、辺の長さがそれぞれa、bの矩形板(図示せず)とした場合、図16(B)に示すように、底鋼板2に加えられた打撃はこの矩形板の部分を振動させる。この矩形板の固有振動数f[kHz]は、以下の式(2)より求められる。
Figure 2014130135
上記式(2)において、a:辺の長さ[m]、h:鋼板の厚さ[m]、ρ:単位体積当りの質量[kg/m3]、D:板の曲げ剛性、λ:境界条件と振動モードによって決まる無次元の定数をそれぞれ示している。板の曲げ剛性Dは以下の式(3)で表される。
D=Eh3/12(1−ν2) ・・・(3)
ここで、E:縦弾性定数[N/m2]、ν:ポアソン比をそれぞれ示している。
4辺単純支持の場合、m、nを正の整数とすると、定数λは以下の式(4)より求められる。
λ=m2+(a/b)22 ・・・(4)
ここで、m=n=1とすると、定数λは以下の式(5)で表される。
λ=1+(a/b)2 ・・・(5)
また、空洞9が正方形の空洞であるとすると、辺の長さa、bはa=bとなり、これを上記式(5)に代入した以下の式(6)により定数λが求められる。
λ=1+(a/a)2=2 ・・・(6)
従って、固有振動数fは、定数λを上記式(2)に代入した以下の式(7)より求められる。
Figure 2014130135
上記式(7)より、固有振動数fが鋼板の厚さh及び空洞の辺の長さaに依存していることが判る。
ここで、上記式(7)を用いて、本実施例で説明した図15(A)、(B)で用いた合成床版6bの固有振動数fを求める。なお、縦弾性定数E=210G[N/mm2]、ポアソン比ν=0.3として計算した。
図15(A)で用いた合成床版6bは、底鋼板2の板厚h=8mm、模擬空洞9の1辺の長さa=140mmであり、これらを上記式(7)に代入して求めた固有振動数fは、f≒2kHzとなる。図15(A)では、約2.25kHzに顕著な大きさの振幅が現れており、上記式(7)から逆算して空洞の1辺の長さaを求めると、a=132mmとなり、空洞の中心から左右のずれは各4mmであった。この場合、1辺の長さaの推定誤差は5.7%となる。
また、図15(B)で用いた合成床版6bは、底鋼板2の板厚h=6mm、模擬空洞9の1辺の長さa=140mmであり、これらを上記式(7)に代入して求めた固有振動数fは、f≒1.5kHzとなる。図15(B)では、約1.75kHzに顕著な大きさの振幅が現れており、上記式(7)から逆算して空洞の1辺の長さaを求めると、a=130mmとなり、空洞の中心から左右のずれは各5mmであった。この場合、1辺の長さaの推定誤差は7.1%となる。
従って、周波数解析を行って得られた顕著な大きさの鋭い振幅が現れる周波数帯域から、空洞の大きさを精度よく推定することが可能であることが判る。
<実施例5>
本発明に係る界面検査装置10を用いて、上記第3実施形態に係る界面検査方法を実施し、底鋼板2とフレッシュコンクリートからなる合成床版6における界面8の健全状態の検査を行った。ここでは、コンクリートを打設する前の底鋼板2とコンクリートを打設した後のフレッシュコンクリートが完全に充填された合成床版6とを比較した。なお、本実施例でも、構成及び検査条件は上述した実施例1と同様である。
結果を図17(A)、(B)に示す。図17(A)はコンクリートを打設する前の底鋼板2から取得した包絡線を曲線近似した結果を示す図であり、図17(B)はフレッシュコンクリートが完全に充填された合成床版6から取得した包絡線を曲線近似した結果を示す図である。なお、図17(A)、(B)においても、打撃に相当する信号波形が除去された包絡線を用いている。
図17(A)に示すように、コンクリートを打設する前の底鋼板2の減衰曲線では、合成床版6に加えられた振動が減衰する速度が非常に遅いことが判る。そして、図17(B)に示すように、フレッシュコンクリートが完全に充填された合成床版6では、振動が減衰する速度が速いことが判る。この場合、上記式(1)で表されるそれぞれの減衰曲線の減衰パラメータtは、コンクリートを打設する前の底鋼板2では約63.43ms、フレッシュコンクリートが完全に充填された合成床版6では約6.08msである。
従って、図17(A)、(B)は、減衰曲線の減衰パラメータtに基づいて、底鋼板2とフレッシュコンクリートからなるコンクリート4との界面8の状態を識別することが可能であることを示している。減衰曲線の減衰パラメータtにおいて第3の閾値を約63.43msよりも小さく約6.08msよりも大きな値に設定することで、この第3の閾値より小さければ、フレッシュコンクリートは充填されていると判定でき、この第3の閾値以上であれば、フレッシュコンクリートは未充填と判定することができる。
2 底鋼板(金属板)
4 コンクリート
6 合成床版(複合構造体)
8 界面
10 界面検査装置
12 ハンマー(振動発生手段)
14 マイクロホン(受信手段)
18 演算装置(包絡線検波手段、界面状態判定手段)
110 界面検査ユニット
112 ソレノイドハンマーユニット(振動発生手段)
114 マイクロホン(受信手段)

Claims (7)

  1. セメント複合材と金属板とからなる複合構造体に振動を発生させる振動発生手段により振動を加え、前記複合構造体内を伝搬する振動を受信手段で受信して信号波形を取得する工程と、
    取得した信号波形に対して包絡線検波を行い、包絡線を取得する工程と、
    取得した包絡線のうち、減衰が開始する時点から減衰が終了するまでの間に含まれる包絡線を減衰曲線とし、前記減衰曲線における減衰特性を表す減衰係数に基づいて前記複合構造体の界面の状態を判定する工程と、
    を有することを特徴とする複合構造体の界面検査方法。
  2. 前記包絡線を取得する工程は、前記振動発生手段により加えられた振動に相当する信号波形を前記包絡線から除去する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合構造体の界面検査方法。
  3. 前記振動に相当する信号波形を除去する工程では、前記複合構造体内を伝搬する振動を前記受信手段で受信を開始した受信開始時間から、前記包絡線における振幅が最大となる時間までに含まれる信号波形を除去することを特徴とする請求項2に記載の複合構造体の界面検査方法。
  4. 前記減衰係数は、前記減衰曲線における指数関数の変数に対する係数であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合構造体の界面検査方法。
  5. 前記減衰係数は、前記減衰曲線の振幅が、前記包絡線での減衰が開始する時間以降における前記減衰曲線の振幅となる第1の振幅から、前記第1の振幅よりも小さい前記減衰曲線における第2の振幅となるまでの時間幅であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合構造体の界面検査方法。
  6. さらに、取得した信号波形に対して周波数解析を行い、周波数に対する振幅特性の信号波形を取得する工程と、
    周波数解析をして得られた信号波形における、振幅が出現している周波数帯域と、その周波数帯域における振幅の大きさとに基づいて前記複合構造体の界面の状態を判定する工程と、
    を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の複合構造体の界面検査方法。
  7. セメント複合材と金属板とからなる複合構造体に振動を発生させる振動発生手段と、
    前記振動発生手段により前記複合構造体に振動が加えられ、前記複合構造体内を伝搬する振動を受信して信号波形を取得する受信手段と、
    前記受信手段で取得した信号波形から包絡線を取得する包絡線検波手段と、
    取得した包絡線のうち、減衰が開始する時点から減衰が終了するまでの間に含まれる包絡線を減衰曲線とし、前記減衰曲線における減衰特性を表す減衰係数に基づいて前記複合構造体の界面の状態を判定する界面状態判定手段と、
    を備えることを特徴とする複合構造体の界面検査装置。
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