JP2001041940A - 構造物表層部の内部欠陥診断方法 - Google Patents

構造物表層部の内部欠陥診断方法

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JP2001041940A
JP2001041940A JP11216572A JP21657299A JP2001041940A JP 2001041940 A JP2001041940 A JP 2001041940A JP 11216572 A JP11216572 A JP 11216572A JP 21657299 A JP21657299 A JP 21657299A JP 2001041940 A JP2001041940 A JP 2001041940A
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Hisashi Oi
尚志 大井
Yoshio Sawada
凱夫 澤田
Takaharu Yoshida
隆治 吉田
Akiyoshi Chichibu
顕美 秩父
Shigeki Wataya
重規 綿谷
Yoshiro Hattori
芳朗 服部
Yusuke Suzuki
祐介 鈴木
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SHOWA DENKI KENKYUSHO KK
Fujita Corp
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SHOWA DENKI KENKYUSHO KK
Fujita Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造物表層部における内部欠陥の有無、その
深さ、大きさを的確に診断し、下地浮きやコンクリート
躯体内部のような深い位置の内部欠陥診断精度を向上さ
せる。 【解決手段】 構造物表面を打撃することによって得ら
れた打撃音信号Sのうち、剥離や空隙等の内部欠陥が
存在することによる影響は第2周期以降の波に現れ、打
撃時点tより1周期分の波は、打撃の瞬間に主に構造
物表面におけるタイル材等から発生した高い音であっ
て、内部欠陥診断の阻害となる成分であるため、打撃時
点tより1周期分の波がマスクされる。打撃時点t
より1周期分の波を除去された打撃音信号Sは、フー
リエ変換により周波数解析され、そのパワースペクトル
から、スペクトルの尖り度及びピーク周波数Fp等を求
め、前記尖り度と、健全な構造物表面の打撃音スペクト
ルの尖り度との比から内部欠陥の有無及び深さを検出
し、ピーク周波数Fpから内部欠陥の大きさを求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物の表面を叩
打した時に発生する打撃音の分析から、構造物表層部の
内部欠陥、外装タイルやその下地等の剥離・浮き等内部
欠陥の有無、これら内部欠陥の深さ、大きさ等を診断す
るための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】建築物のコンクリート躯体からの例えば
壁面タイル、下地モルタル等の剥離・浮き、モルタル等
の吹き付け面における風化による剥離、前記下地モルタ
ル等の内部に存在する空洞、空隙、クラック等(以下、
これらを総称して内部欠陥という)の有無を診断する方
法としては、ハンマー等で表面を軽く叩いた時の打撃音
から、作業員の聴覚によって判断する方法が広く採用さ
れて来た。しかし、このような聴覚に依存した打診方法
では、作業員の経験や資質に個人差があり、しかも長時
間の作業で一定の判断基準を保つことが困難であるた
め、内部欠陥の有無や深さ、大きさ等を正確に判定する
ことが困難であった。
【0003】そこで近年は、建築物における診断対象壁
面を打撃手段で打撃し、これによって前記壁面から発生
する打撃音を打撃音信号に変換し、その信号を解析する
ことによって壁面タイル等の剥離の有無を判定する構造
物表層部の内部欠陥診断方法が種々開発されており、そ
の典型的な従来技術が、例えば特開平6−235719
号公報、特公平6−68486号公報、特公平2−54
903号公報等に開示されている。しかしこれらの従来
技術においては、それぞれ次のような問題が指摘され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】まず、特開平6−23
5719号公報に記載された剥離診断装置は、壁面の打
撃によって得られる打撃音信号をスペクトル分析し、そ
のピーク値から剥離の有無や深さを識別するものであ
る。しかしながら、例えば下地浮きのように、剥離が深
い位置に存在する場合は、その打撃音信号のスペクトル
が健全な壁面の打撃音のスペクトルと近似し、しかも、
剥離の存在によるスペクトルピークが、打撃の瞬間のス
ペクトルより小さくなるため、剥離の深さや大きさ等の
特徴を的確に捉えることが困難である。
【0005】また、特公平6−68486号公報に記載
された内部欠陥診断方法は、上述のような剥離判定の阻
害となる打撃の瞬間の打音信号を、打撃の時点から微小
時間経過時点まで除去することによって、剥離があるも
のとないものの振幅が明確に異なる信号のみを抽出し、
その最高レベル値や、時系列信号の積分値を基準値と比
較することによって剥離の有無を判定するものである。
しかし、この方法では、例えば躯体コンクリートから下
地モルタルが剥離した下地浮きのように、剥離が表面か
ら深い位置に存在する場合は、その大きさや、打撃面の
状況によって信号のレベルが大きく変化するため、実際
には、剥離判定のための基準値自体の設定が困難であ
る。
【0006】また、特公平2−54903号公報に記載
された剥離検知装置は、剥離の有無あるいは深さ等を判
定するための基準データは、剥離のない健全な壁面の打
撃音のデータや、あるいは剥離の深さや大きさ等が異な
る場合の打撃音のデータを、予め実験で求めてコンピュ
ータに記憶させる必要がある。しかし、実験に用いる壁
面では、実際の現場壁面を忠実に再現することが困難で
あるため、判定誤差を生じやすく、しかも予め剥離部の
形状、深さ、大きさ等の違いによるスペクトルパターン
を全て登録して剥離の判定に用いることは困難である。
【0007】本発明は上述のような問題に鑑みてなされ
たもので、その主な技術的課題とするところは、構造物
表層部における内部欠陥の有無、その深さ、大きさ等を
的確に診断することが可能で、下地浮きやコンクリート
躯体内部の空洞、空隙のような深い位置の内部欠陥診断
精度を向上させることの可能な構造物表層部の内部欠陥
診断方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した技術的課題は、
本発明によって有効に解決することができる。すなわ
ち、本発明に係る構造物表層部の内部欠陥診断方法は、
構造物の表面を打撃することにより得られた打撃音を打
撃音信号に変換し、前記打撃音信号を打撃時点から任意
の一定周期までマスクして周波数解析し、構造物表層部
内の剥離、空洞、空隙等内部欠陥の有無及び深さを判定
するものである。この場合、周波数解析されたスペクト
ルのピーク周波数とスペクトルピーク値及び尖り度か
ら、内部欠陥の有無、大きさ及び深さを判定することが
できる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施において適
用される壁面内部欠陥診断装置の一例を示す概略的なブ
ロック図である。すなわち、この壁面内部欠陥診断装置
は、診断対象壁面Wを周期的に打撃する打撃部1と、前
記打撃によって壁面Wから発生した打撃音を捕捉してそ
の音圧レベル及び周波数に対応したアナログ打撃音信号
に変換する打撃音センサ2と、微弱な前記打撃音信号を
増幅する増幅回路3と、前記打撃音信号を所定のサンプ
リング周期において振幅が量子化されたディジタル打撃
音信号に変換するA−D変換回路4と、このA−D変換
回路4からのディジタル信号のFFT(高速フーリエ変
換)による周波数分析を行う周波数解析装置5と、メモ
リ6と、打撃部1のカムを回転させるモータを(図示省
略)の負荷電流を検出する負荷電流検出手段7と、この
負荷電流検出手段7で検出された負荷電流値iの減少開
始時点で前記周波数解析装置5にスタート信号Stを送
るスタート信号発生部8とを備える。
【0010】打撃音センサ2としては、広い周波数域に
対してフラットな特性を持つコンデンサマイクロフォン
あるいは加速度センサ等が用いられる。また、周波数解
析装置5としては、例えばマイクロプロセッサ、又はD
SP(ディジタル信号処理装置)が用いられる。
【0011】また、周波数解析装置5による処理結果は
出力表示回路9に出力表示されると共に、内部欠陥が検
出された箇所には、周波数解析装置5からの指令により
マーカー駆動回路10を介して動作される例えば塗料ス
プレー装置等からなるマーカー11によって、マーキン
グが行われるようになっている。
【0012】打撃部1は、例えば先端にハンマが設けら
れた打撃ロッドが、モータで回転されるカムによる後退
・蓄勢行程とバネの反発力による打撃行程が一定の周期
で反復され、診断対象壁面(例えばタイル張りの壁面)
Wを打撃するものである。好ましくは、図2に示される
ように、後端にローラ1aが設けられたロッド1bと、
前記ローラ1aに係合し矢印R方向への回転によってロ
ッド1bをそのストローク後端位置まで後退させてから
前記係合を解除する行程を周期的に繰り返すカム1c
と、ロッド1bの後退動作に伴って圧縮されることによ
りこのロッド1bを前進方向に付勢する打撃用コイルス
プリング1dと、ロッド1bの前進方向端部にこのロッ
ド1bに対して移動自在に配置されたハンマ1eと、こ
のハンマ1eを診断対象壁面Wとの接触位置から引き戻
す復帰用コイルスプリング1fとを備える。
【0013】ところで、壁面打撃の際には、打撃された
壁面Wからだけでなく、ハンマ1e自体からも音が発生
するため、その共振周波数が、診断対象壁面Wからの打
撃音の周波数帯域(一般に10〜20kHz)に存在す
ると、特に下地浮きのように剥離等の内部欠陥104が
深い位置に存在する場合の内部欠陥診断が困難になる。
したがって、この実施形態では、この点を考慮し、ハン
マ1e自体から発生する音が、20kHz以上までほぼ
白色ノイズ状の連続スペクトルを示すように、しかも打
撃時にハンマ1eが診断対象壁面Wと接触している時間
を75μsec.以内となるように、ハンマ1eの質量、材
質、形状、大きさ及び衝突速度が設定され、これによっ
て、鋼球落下による壁面打撃に近い状態が実現されるよ
うに構成されている。
【0014】上記構成の装置を用いた内部欠陥診断方法
においては、モータの駆動によって打撃部1のカム1c
が回転されると、まず、図2(A)に示された状態か
ら、ロッド1bのローラ1aが、カム1cのインボリュ
ート面状の外周面に乗り上がってこの外周面上を回転し
ながらカム1cの回転と共に図の上方へ向けて押し上げ
られるため、ロッド1bは打撃用コイルスプリング1d
を圧縮しながら上方へ後退移動される。また、収縮状態
にある復帰用コイルスプリング1fを介して、ハンマ1
eもロッド1bと共に後退移動される。
【0015】そして、図2(B)に示されるように、カ
ム1cの最大径部までローラ1aが乗り上がることによ
って、ロッド1bがそのストローク後端位置に達した
後、更にカム1cの回転が継続されると、ローラ1bが
前記最大径部との係合状態を解除されるので、図2
(C)に示されるように、圧縮されていた打撃用コイル
スプリング1dの伸長によってロッド1bが高速で前進
移動し、これに伴ってハンマ1eもロッド1bと共に前
進移動される。ロッド1bはローラ1aがカム1cの最
小径部と接触することによって、所定の前進位置まで移
動した時点で制止されるが、ハンマ1eはロッド1bの
停止後も慣性によって前進移動を継続し、診断対象壁面
Wを打撃する。
【0016】ロッド1bの停止後のハンマ1eの慣性に
よる前進移動は復帰用コイルスプリング1fの伸長を伴
うので、図2(D)に示されるように、ハンマ1eは診
断対象壁面Wを打撃した後、直ちに前記復帰用コイルス
プリング1fの引張付勢力によって診断対象壁面Wとの
接触位置から後退される。このため、ハンマ1eが打撃
時に診断対象壁面Wと接触した状態で一定時間止まるこ
とがなく、診断対象壁面Wの状態(内部欠陥の有無)に
忠実な打撃音が得られる。そしてその後カム1cの回転
が更に継続されることによって、ローラ1aが再びカム
1cの外周面上を転動して図2(A)の状態になる。し
たがって、カム1cが1回転する度に上述の動作が繰り
返され、一定の周期で診断対象壁面Wに対する打撃が行
われる。
【0017】上記打撃部1の打撃動作において、ロッド
1bの後退動作は打撃用コイルスプリング1dの付勢力
に抗して行われるので、カム1cに作用するトルクが増
大する。したがって図3(A)に示されるように、モー
タの駆動回路における負荷電流値iは、ロッド1bがス
トローク後端位置に達するまでは増大し、ローラ1aが
カム1cの最大径部との係合状態を解除されることによ
って打撃動作に移行するのと同時に減少するので、打撃
周期に対応して変化する。そして、スタート信号発生回
路8は、図3(B)に示されるように、前記負荷電流値
iの減少開始時点tでスタート信号Stを周波数解析
装置5へ送るものである。
【0018】打撃部1の打撃動作によって診断対象壁面
Wから発生した打撃音は、打撃音センサ2によって、音
圧レベル及び周波数に対応したアナログ打撃音信号S
に変換され、増幅回路3によって増幅され、A−D変換
回路4でディジタル打撃音信号に変換されて、周波数解
析装置5へ送られる。周波数解析装置5は、スタート信
号Stを受けた後、A−D変換回路4から入力される図
3(C)に示されるような打撃音信号Sをモニタし、
一定振幅値(例えば500mV)以上、一定幅δt(例
えば200μs)未満の波を打撃の瞬間の波形として検
出した後、必要な長さの波形(例えば50kサンプル/
sのA−D変換器の場合は、サンプリング点数が512
点、10.24ms)をメモリ6に記憶する。記憶した
信号波形は、図3(D)に示されるように、打撃時点t
より1周期分の波をマスクして0とする。
【0019】ここで、打撃時点tより1周期分の波を
カットするのは、壁面内部に内部欠陥104が存在する
ことによる影響は第2周期以降の波に現れ、打撃時点t
より1周期分の波は、打撃の瞬間に主に診断対象壁面
Wにおける例えばタイル103等から発生した比較的高
い音であって、内部欠陥診断の阻害となる成分であるか
らである。また、この方法によれば、打撃面の状況によ
って、カットされる波数が変化するようなことがない。
【0020】なお、負荷電流値iの減少開始時点t
打撃音信号Sの立上り時点(打撃時点)tとの時差
Δtは、図2において、ローラ1aがカム1cの最大径
部との係合状態を解除されることによって、ロッド1b
が前進移動を開始してから、その先端のハンマ1eが診
断対象壁面Wに衝突するまでに要する時間に相当するも
のである。
【0021】打撃時点tより1周期分の波を除去され
た打撃音信号Sは、FFT(フーリエ変換)により周
波数解析する。図3(E)はこれによって得られるパワ
ースペクトルを概略的に示すもので、内部に剥離等の内
部欠陥が存在する壁面を打撃した場合の信号のパワース
ペクトルには、顕著なピークPが存在する。そこで、こ
のパワースペクトルから、スペクトルの平均値Pav、
スペクトルのピーク値Ps、スペクトルの尖り度Ks
(=Ps/Pav)及びピーク周波数Fp等のパラメー
タを求める。
【0022】次の処理においては、予めメモリ6に登録
しておいた、内部欠陥のない健全な壁面での尖り度デー
タと、打撃音信号Sを周波数解析したスペクトルピー
クの尖り度データとの比Knを求める。そして、Knが
一定の倍率以上であれば、診断対象壁面Wの内部に内部
欠陥が存在するものと診断する。例えばKn≧2とすれ
ば、深さ70mm以内、大きさ150mm角以上の内部
欠陥を検出することができる。
【0023】発明者の実験により、ピーク値の比Pnと
内部欠陥の深さTcとの間には、図4に示されるよう
に、次の関係式(1)が成り立つことがわかっている。 Tc=−K1・ln(Pn)+K2 ・・・・・・・・・・(1) ここで、図1及び図5に示されるように、壁面Wが躯体
コンクリート101に下地モルタル102を介して小口
タイル103を張ったものである場合は、上記式(1)
におけるK1,K2は、それぞれ次のとおりであった。 K1=1.2623 K2=8.3431
【0024】また、図5における内部欠陥104の形状
が、一辺がAの正方形であって、その表層側の厚さTc
の浮き部分105は、周囲を固定した板状の独立した振
動体をなし、その共振周波数Fpは次式(2)で求めら
れる。
【数1】
【0025】上記式(2)に、α=10.4、ν=0.
2、V=4×10cm/secを代入し、変形する
と、次式(3)が得られ、これによって内部欠陥104
の一辺の大きさAを求めることができる。
【数2】
【0026】また、内部欠陥104が直径Dの円形であ
る場合は、上記式(2)における振動モード定数αを1
1.79とし、同様に計算すると次式(4)が得られ、
これによって内部欠陥104の直径Dを求めることがで
きる。
【数3】
【0027】なお、内部欠陥104が正方形状である場
合の一辺Aに対して、円形である場合の直径Dは6%程
度の大きさの違いしかなく、したがって、実用上は細か
な形状の違いは無視することができる。
【0028】ところで、内部欠陥104の真上の壁面を
打撃した場合、内部欠陥104の深さTcが深いほど、
その表層側の浮き部分105の剛性が大きくなるので、
この部分105の共振周波数Fpは高くなり、すなわち
図3(E)に示された打撃音のパワースペクトルデータ
におけるピークPが高周波側へずれる。しかし発明者の
実験によれば、内部欠陥104の大きさAよりも深さT
cが大きくなると、共振周波数Fpは、上記式(2)に
より求められた値よりも低くなる傾向があり、それによ
る見かけ上の大きさが大きくなり、その倍率Mは、内部
欠陥104の形状係数T/Aに対して次式(5)のよう
な良い相関があることがわかった。
【数4】
【0029】内部欠陥104の表層側の浮き部分105
の共振周波数Fpは、その大きさAの2乗に逆比例する
ため、式(2)による計算値に対する周波数のずれは、
見かけ上の大きさの相違によるものとして、次式(6)
によりAを補正して補正値Acを求めることができる。
【数5】
【0030】下地浮きのように内部欠陥104が深い位
置に存在する場合は、その打撃音信号のスペクトルが内
部欠陥の存在しない健全な壁面における打撃音信号のス
ペクトルと近似するため、従来方法では、的確な内部欠
陥診断が困難であったが、上記実施形態の内部欠陥診断
方法によれば、表装タイル材等から発生した最初の1周
期分の波をカットした信号のスペクトルデータから、尖
り度の比Knによって内部欠陥104の深さTcや大き
さAを的確に診断することができる。
【0031】[実施例]次に、本発明の具体的な実施例
について説明する。まず下の表1は、大きさA及び深さ
Tcの異なる剥離を意図的に形成した壁面サンプル#1
〜#9、及び剥離のない健全な壁面サンプル#10の打
撃音スペクトルから得られたスペクトルピークの周波数
Fp、スペクトルのピーク値Ps、スペクトル平均値P
av、スペクトルの尖り度Ks(=Ps/Pav)、健
全な壁面サンプル#10の尖り度に対する尖り度の比K
n、及び健全な壁面サンプル#10のピークとの比Pn
のデータを示すものであり、表2は、表1のデータから
式(1)により求めた剥離深さ換算値、式(3)により
求めた剥離大きさ換算値、及びこれを式(6)により補
正した剥離大きさ補正値等を示すものである。
【表1】
【表2】
【0032】上記表1及び表2から明らかなように、式
(1)に打撃音スペクトルデータを代入して求めた剥離
深さ換算値は、実際の剥離深さ(設計値)に対して若干
の乖離はあるものの、比較的良い近似が得られた。ま
た、式(3)に打撃音スペクトルデータを代入して求め
た剥離大きさ換算値は、全てのサンプルについて、実際
の剥離大きさ(設計値)より大きくなっているが、式
(6)により補正した剥離大きさ補正値は極めて良い近
似が得られた。
【0033】上述の実施形態は、本発明の方法をコンク
リート躯体に下地モルタルを介してタイルを貼った壁面
の内部欠陥診断に適用した場合について説明したが、そ
のほかにも、例えばコンクリート躯体に吹き付けたモル
タル等の風化に伴う剥離や浮き、コンクリート構造物内
部の空洞、空隙等の診断にも適用可能である。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、打撃音信号を打撃時点
から一定周期までマスクして周波数解析することによっ
て、深層の内部欠陥判定の阻害となる信号を除去するた
め、内部欠陥の有無を的確に診断することができる。ま
た、周波数解析されたスペクトルのピーク周波数とスペ
クトルピーク値及び尖り度から、内部欠陥の大きさ及び
深さを高精度で把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る構造物表層部の内部欠陥診断方法
の実施において使用される装置の一例を示す概略構成説
明図である。
【図2】上記装置の打撃部の動作を示す説明図である。
【図3】信号の処理を示す説明図である。
【図4】打撃音信号におけるスペクトルピークのピーク
値の比Pnと内部欠陥の深さTcとの関係を示す説明図
である。
【図5】内部に剥離を有するタイル張り壁面の一例を示
すもので、(A)は部分的な正面図、(B)は部分的な
断面図である。
【符号の説明】
1 打撃部 2 打撃音センサ 4 A−D変換回路 5 周波数解析装置 W 診断対象壁面
フロントページの続き (72)発明者 大井 尚志 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目6番15号 株 式会社フジタ内 (72)発明者 澤田 凱夫 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目6番15号 株 式会社フジタ内 (72)発明者 吉田 隆治 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目6番15号 株 式会社フジタ内 (72)発明者 秩父 顕美 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目6番15号 株 式会社フジタ内 (72)発明者 綿谷 重規 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目6番15号 株 式会社フジタ内 (72)発明者 服部 芳朗 名古屋市千種区鹿子殿19−7 (72)発明者 鈴木 祐介 福岡県福岡市西区愛宕1丁目14−35 株式 会社昭和電気研究所内 Fターム(参考) 2G047 AA09 AA10 AD11 BC04 BC07 BC10 CA03 EA10 GG01 GG09 GG19 GG24

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の表面を打撃することにより得ら
    れた打撃音を打撃音信号に変換し、 前記打撃音信号を打撃時点から任意の一定周期までマス
    クして周波数解析し、構造物表層部内の剥離、空洞、空
    隙等の内部欠陥の有無及び深さを判定することを特徴と
    する構造物表層部の内部欠陥診断方法。
  2. 【請求項2】 周波数解析されたスペクトルのピーク周
    波数とスペクトルピーク値及び尖り度から、内部欠陥の
    有無、大きさ及び深さを判定することを特徴とする請求
    項1に記載の構造物表層部の内部欠陥診断方法。
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