JP6405106B2 - コンクリート構造物の検査方法および検査システム - Google Patents

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Description

本発明は、鉄筋とコンクリートが一体となったコンクリート構造物の検査方法および検査システムに関し、特に、鉄筋とコンクリートとの付着性状を検査するコンクリート構造物の検査方法および検査システムに関する。
鉄筋とコンクリートが一体となったコンクリート構造物の補修工事においては、脆弱化した変状箇所や、塩化物イオン等の劣化因子を含む部分を、健全な部分に悪影響を与えることなく除去する「はつり処理」が施される。
このはつり処理の工法として、水圧によってコンクリートを破壊して除去するウォータージェット工法(以降、「WJ工法」という)や、ブレーカやチッパ等の打撃による工法(以降、「打撃工法」という)がある(例えば、特許文献1参照)。
これらの工法のうちWJ工法は、鉄筋に損傷を与えずコンクリートだけを破壊して除去することが可能とされている。これに対し、打撃工法は、打撃・振動によって鉄筋が損傷したり鉄筋とコンクリートの付着が破壊され、コンクリート構造物に緩みが生じる、すなわち鉄筋とコンクリートとの付着性状が劣化することが多いとされている。
しかし、コンクリート構造物に緩みが生じると、補修後の耐久性に大きく影響するため、打撃工法を採用した場合、はつり処理を施した箇所における緩みの程度を検査し、結果によっては、はつり処理の内容を変える必要がある。
特開2013−256835号公報
現状、鉄筋の腐食やコンクリートの劣化状態を、超音波を用いて評価する試みが行われているが、はつり処理後における鉄筋とコンクリートとの付着性状を検査する方法は、未だ確立されていない。
本発明は上述の状況に鑑みてなされたもので、鉄筋とコンクリートとの付着性状を、簡便かつ定量的に把握できるコンクリート構造物の検査方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明にかかる構造物の検査方法は、鉄筋とコンクリートが一体となったコンクリート構造物における鉄筋とコンクリートの付着性状を検査するコンクリート構造物の検査方法であって、
第1の圧電トランスデューサを用いて前記コンクリート構造物に、音声周波数帯のパルス状の弾性波を入射する第1の工程と、
前記コンクリート構造物内を伝播してきた弾性波を、第2の圧電トランスデューサを用いて電気信号に変換する第2の工程と、
当該電気信号に基づいて、前記コンクリート構造物のうちはつり処理が施された箇所と施されていない箇所を伝播した弾性波の波形を比較する第3の工程と、を含むことを特徴とする。
前記第3の工程において、前記弾性波の波形から伝播時間に関する情報を抽出し、その情報に基づいて、前記はつり処理が施された箇所における鉄筋とコンクリートの付着性状の劣化の程度を判定することが好ましい。
また前記第1の圧電トランスデューサは、弾性波を発生させる第1の圧電振動子と、当該第1の圧電振動子が一方の面に貼り付けられ、前記第1の圧電振動子と共に振動する第1の振動板と、当該第1の振動板の他方の面に取り付けられ、発生した弾性波を前記コンクリート構造物に伝達する第1の伝達部とで構成され、
前記第1の伝達部は前記コンクリート構造物と点接触することが好ましい。
同様に前記第2の圧電トランスデューサは、受信した弾性波を電気信号に変換する第2の圧電振動子と、当該第2の圧電振動子が一方の面に貼り付けられ、前記第2の圧電振動子と共に振動する第2の振動板と、当該第2の振動板の他方の面に取り付けられ、前記コンクリート構造物内を伝播してきた弾性波を前記第2の振動板に伝達する第2の伝達部とで構成され、
前記第2の伝達部は前記コンクリート構造物と点接触することが好ましい。
なお、前記第1の圧電トランスデューサおよび前記第2の圧電トランスデューサとして、同一構造の圧電トランスデューサを用いてもよい。
また本発明にかかるコンクリート構造物の検査システムは、
鉄筋とコンクリートが一体となったコンクリート構造物に、音声周波数帯のパルス状の弾性波を入射する第1の圧電トランスデューサと、
前記コンクリート構造物内を伝播してきた弾性波を受信して電気信号に変換する第2の圧電トランスデューサと、
前記第2の圧電トランスデューサから出力された電気信号に基いて、弾性波の波形を表示すると共に、当該波形のデータを記憶する波形観測装置と、
前記波形観測装置に記憶された弾性波の波形のデータを解析し、前記コンクリート構造物のうちはつり処理が施された箇所と施されていない箇所を伝播した弾性波の波形を比較する波形解析装置と、を備え、
前記コンクリート構造物における鉄筋とコンクリートの付着性状を検査することを特徴とする。
本発明にかかるコンクリート構造物の検査方法によれば、はつり処理によって内部に緩みが生じた鉄筋とコンクリートとの付着性状を、簡便かつ定量的に把握できる。
本発明の実施の形態にかかるコンクリート構造物の検査システムの基本構成を示す図である。 図1の圧電トランスデューサ2aおよび2bの断面図である。 本発明にかかるコンクリート構造物の検査方法の原理を説明する図である。 本実施の形態におけるコンクリート構造物の検査の手順を説明する図である。 図4(a)の手順に従って測定した弾性波の波形を示すグラフである。 図4(b)の手順に従って測定した弾性波の波形を示すグラフである。 弾性波の伝播時間の測定結果を示すグラフである(その1)。 弾性波の伝播時間の測定結果を示すグラフである(その2)。
以下、本発明の実施の形態にかかるコンクリート構造物の検査方法および検査システムについて、図面を参照して説明する。
<コンクリート構造物の検査システムの構成>
図1に、本実施の形態にかかるコンクリート構造物の検査システムの基本構成を示す。検査システム1は、圧電トランスデューサ2aおよび2b(以降、総称して「圧電トランスデューサ2」とも云う)、発振器3、増幅器4、波形観測装置5および波形解析装置6で構成されている。
本実施の形態では、コンクリート構造体10として、コンクリート11内に、一定の深さおよび一定の間隔で棒状の異形鉄筋12を埋設したものを用いた。このコンクリート構造体10は、道路橋の床版として使用されるコンクリート構造体を模したものである。
圧電トランスデューサ2aおよび2bは同一の構造を有するもので、圧電トランスデューサ2aは、弾性波をコンクリート構造物10に入射するために用いられ、圧電トランスデューサ2bは、コンクリート構造物10内を伝播した弾性波を受信して電気信号に変換するために用いられる。
発振器3で生成された音声周波数帯の発振信号が圧電トランスデューサ2aに入力されると、先端から弾性波が出力され、その弾性波をコンクリート構造体10から一部が突き出た鉄筋12に入射する。鉄筋12を介してコンクリート構造体10に入射された弾性波はコンクリート11内を伝播して、コンクリート11の表面に当接した圧電トランスデューサ2bに到達する。
圧電トランスデューサ2bに到達した弾性波は、圧電トランスデューサ2bで電気信号に変換され、更に増幅器4で増幅された後、波形観測装置5に入力される。波形観測装置5は、通常、デジタルオシロスコープで構成され、コンクリート11内を伝播してきた弾性波の波形をディスプレイに表示すると共に、内蔵のメモリに記憶する。
波形観測装置5のメモリに記憶された弾性波の信号波形のデータは、メモリから読み出されて波形解析装置6に入力される。波形解析装置6は、通常、パーソナルコンピュータで構成され、圧電トランスデューサ2bで受信した弾性波の波形の解析を行う。
<圧電トランスデューサの構造と機能>
次に、弾性波の発生と受信に用いる圧電トランスデューサ2について説明する。図に、圧電トランスデューサ2の断面構造を示す。圧電トランスデューサ2は、発振器3で生成された発振信号に基づいて弾性波を発生させるもので、有底円筒型の金属製のケーシング20の開放端側に振動板21が取り付けられ、その振動板21の内側に薄板状の円形の圧電振動子22が貼り付けられている。
図示しないが、薄板状の圧電振動子22の両面には電極が形成されており、ケーブル23および一対のコード24を介して発振器3から入力された発振信号が圧電振動子22の電極間に印加されると、圧電振動子22および振動板21が振動して音声周波数帯の弾性波が発生する。なお、ケーシング20の底部の中央には、ケーブル23と一対のコード24とを着脱自在に接続するコネクタ25が取り付けられている。
振動板22の前部には圧電振動子22で発生した弾性波をコンクリート構造物10の異形鉄筋12に伝達する伝達部26が取り付けられている。伝達部26は、円筒型の金属製小ケース27と、その中に収容されたスチール製のボール28および29で構成されている。
小ケース27の中には、サイズの大きなスチール製ボール28と、サイズの小さい4つのスチール製ボール29が収容されている。これらのボール28、29は、振動板21から出力された弾性波を異形鉄筋12に伝達するために用いられる。なお、小ケース27の先端には、ボール28、29が脱落しないようにリング状の鍔部が形成されている。
異形鉄筋12の表面は凸凹しているため、振動板21の前部にボール28、29を配置しない場合、凸凹の状態によって振動板22と異形鉄筋12との接触面積が変わり、コンクリート構造物10内に伝達される弾性波の強度が変動する。
これに対し、圧電トランスデューサ2の先端にボール28、29を配置すると、ボール28が異形鉄筋12の表面と点接触し、振動板22から出力された弾性波が、振動板21、ボール28および29の点接触している箇所を介して異形鉄筋12内に入力される。従って、異形鉄筋12の表面に形成された凹凸の状態に影響されず、一定強度の弾性波をコンクリート構造物10に入射できる。
圧電トランスデューサ2は弾性波センサとしても機能し、コンクリート11内を伝播してきた弾性波は、伝達部26を介して振動板21に伝達され、圧電振動子22によって電気信号に変換される。伝達部26のボール28、29は、表面に凸凹のあるコンクリート11で弾性波を受信する場合において、弾性波を送信する場合と同様の機能を発揮する。
本実施の形態では、圧電振動子22として、直径20mm、厚み0.25mmの薄板状の圧電セラミックを用いた。また振動板21として、直径27mm、厚み0.25mmの黄銅製の薄板を用いた。そして圧電振動子22に、発振器3から周波数6.5kHzの発振信号を入力したところ、圧電振動子22から周波数10kHzの弾性波が出力された。
なお、本実施の形態では、主として経済性の観点より、弾性波入射用の圧電トランスデューサ2aと弾性波受信用の圧電トランスデューサ2bに同一の圧電トランスデューサを用いたが、入射用および受信用としてそれぞれ設計された圧電トランスデューサを用いてもよい。
<鉄筋とコンクリートとの付着性状検査の原理>
図1の検査システム1の動作を説明する前に、図3を参照して、本発明にかかる鉄筋とコンクリートとの付着性状を検査する方法の原理を説明する。
コンクリート構造物の内部の状態を検査する方法として、コンクリートに超音波を入射すると共に、コンクリート内を伝播する透過波や反射波をセンサで受信し、その波形を解析する方法(以降「超音波法」という)が知られている。発明者等は、当初、超音波法を用いてはつり処理した箇所の緩みを検査しようとしたが、緩みが生じた箇所で超音波が急激に減衰し、センサで弾性波の波形を検出することができなかった。
これに対して、コンクリートに入射する音波の周波数を下げたところ、10kHz前後の音声周波数帯の音波であれば、緩みが生じた箇所で緩やかに減衰し、センサを用いて音波の波形を検出できることがわかった。以降、「弾性波」は、コンクリートの表面を伝播する10kHz前後の音波のことを指す。
発明者等が実験を重ねた結果、コンクリート内を伝播する弾性波の速度は、内部における緩み(すなわち鉄筋とコンクリートとの間の付着性状の劣化)の程度と相関性があることがわかった。具体的には、はつり処理によって内部に緩みが生じた箇所を伝播した弾性波の速度は、緩みのない健全な箇所を伝播した弾性波の速度に比較して遅いことがわかった。本発明にかかるコンクリート構造物の検査方法は、この現象を利用して、コンクリート構造物内部の緩みの程度を測定するものである。
図3(a)〜(c)に、波形観察装置5のディスプレイに表示された弾性波の波形を示す。これらの波形は、圧電トランスデューサ2aによって発生した弾性波がコンクリート構造物10内を伝播した後、圧電トランスデューサ2bで電気信号に変換されたものである。なお、図に示した波形は実測した波形ではなく、検査方法の原理を説明するために単純化したもので、時間の経過と共に減衰している。
図3(a)は、はつり処理が施されていない健全なコンクリート構造物内を伝播してきた弾性波の波形、図3(b)は、はつり処理が施され、内部に若干の緩みが生じたコンクリート構造物内を伝播してきた弾性波の波形、図3(c)は、はつり処理が施され、内部の緩みが更に進んだコンクリート構造物内を伝播してきた弾性波の波形である。
図中、t0は発振器3からの信号によって圧電トランスデューサ2aからパルス状の弾性波が出力された時刻、t1、t2、t3は、圧電トランスデューサ2bが弾性波を受信した時刻である。なお、圧電トランスデューサ2a・2b間の距離は全て等しいものとする。
図3(a)に示すような、はつり処理が施されていない健全なコンクリート構造物に対して、図3(b)、図3(c)に示すような、緩みが進んで鉄筋とコンクリートとの間の付着性状が劣化したコンクリート構造物は、伝播時間が増大(t1→t2→t3)すると共に、受信波形が次第に減衰していく。従って、伝播時間の変化や受信波形の減衰の程度を測定すれば、緩みの有無や程度を判定できる。
なお、圧電トランスデューサ2aで発生させる弾性波の周波数を更に低下させることも考えられるが、受信した波形から伝播時間を正確に計測することが難しくなるため、実用的には、10kHz前後の周波数の弾性波を採用することが好ましい。
<付着性状の検査とその結果>
次に、図4〜図8を参照して、図1に示した検査システム1を用いて鉄筋とコンクリートの付着性状を検査した結果について説明する。
検査に先立ち、試験体として、複数本の異形鉄筋が一定間隔を隔てて埋設された、図1に示す構造のコンクリート構造物を作成し、その一部にはつり処理を施した。
最初に、図4に基づいて検査の手順を説明する。図4(a)は、はつり処理を施していない健全なコンクリート構造物の検査の手順を示したものである。位置P0にある送信用の圧電トランスデューサ2aの先端を、コンクリート構造物10から突き出た異形鉄筋12に接触させて、弾性波をコンクリート構造物10内に入射する。一方、受信用の圧電トランスデューサ2bの先端をコンクリートに接触させ、鉄筋12に沿って、圧電トランスデューサ2aに近い位置から遠ざけながら(位置P1→P2→P3)、コンクリート11内を伝播する弾性波を受信する。
図4(b)は、はつり処理を施したコンクリート構造物の検査の手順を示したものである。はつり処理によって鉄筋12が露出したコンクリート構造物10のうち、未処理部分との境界付近P4の鉄筋12に送信用の圧電トランスデューサ2aの先端を接触させて、弾性波をコンクリート構造物10内に入射する。一方、受信用の圧電トランスデューサ2bの先端をコンクリート11に接触させ、鉄筋12に沿って、圧電トランスデューサ2aに近い位置から遠ざけながら(位置P5→P6)、コンクリート11内を伝播する弾性波を受信する。
図5に、図4(a)の手順に従って測定した、健全なコンクリート構造物の弾性波の波形を示す。図5(a)は、圧電トランスデューサ2a・2b間の距離が5cm、図5(b)は10cmのときの波形である。
一方、図6に、図4(b)の手順に従って検査した、打撃工法によるはつり処理を行った後のコンクリート構造物の弾性波の波形を示す。図6(a)は、圧電トランスデューサ2a・2b間の距離が5cm、図6(b)は10cmのときの波形である。
図5と図6の波形を比較することにより、打撃工法によるはつり処理を行ったコンクリート構造物10は、弾性波の到達時間が未処理のものに比べて遅れ、また波形の振幅も小さいことがわかる。このことから、はつり処理によって未処理部分との境界近辺の鉄筋・コンクリート間の付着性状が劣化して緩みが生じたことがわかる。
また図7に、図4の手順に従って弾性波の波形データを取得し、その波形データに基づいて伝播時間を計測した結果を示す。伝播時間は、波形解析装置6において、波形観測装置5のメモリに記憶された波形データの情報から、圧電トランスデューサ2aから出力された弾性波が圧電トランスデューサ2bに到達するまでの時間を計測することにより求めた。
図7(a)は、図4(a)に示す手順によってはつり処理を行っていない健全なコンクリート構造物における弾性波の伝播時間を計測した結果を示すグラフ、図7(b)は、図4(b)に示す手順によって、はつり処理を行った後のコンクリート構造物における弾性波の伝播時間を計測した結果を示すグラフである。
図7(a)、(b)において、横軸は圧電トランスデューサ2a・2b間の距離を示す。また縦軸は、圧電トランスデューサ2aから送信された弾性波を圧電トランスデューサ2bで受信するまでの時間(図3のt0とt1、t2またはt3間の時間)を示す。
図7(a)は、はつり処理を行っていない健全なコンクリート構造物における弾性波の伝播時間を計測したものである。図中、○および□は、平行に配置された2本の異形鉄筋(測線1、2)に沿って計測した伝播時間を示し、◆はそれらの平均値を示す。図から明らかなように、健全なコンクリート構造物では、測定距離と伝播時間が比例関係にある。
図7(b)は、打撃工法によるはつり処理を行ったコンクリート構造物における弾性波の伝播時間を計測したものである。図中、○、□、▲および×は、平行に配置された4本の鉄筋(測線3〜6)に沿って計測した伝播時間を示す。なお、◆は、比較のために図7(a)の平均値を転記したグラフである。
図7(b)から明らかなように、打撃工法によるはつり処理を行ったコンクリート構造物では、健全なコンクリート構造物に比較して伝播時間が長くなっており、内部に緩みが生じていることがわかる。従って、同一のコンクリート構造物において、はつり処理が施された場所と施されていない場所の伝播時間を比較することにより、コンクリート構造物内に生じた緩みの程度を判定できる。
参考として、図8に、WJ工法によるはつり処理を行った場合の弾性波の伝播時間の計測結果を示す。図8(a)は、図4(a)に示す手順によってはつり処理を行っていないコンクリート構造物における弾性波の伝播時間を計測した結果を示すグラフ、図8(b)は、図4(b)に示す手順によって、はつり処理を行った後のコンクリート構造物における弾性波の伝播時間を計測した結果を示すグラフである。縦軸と横軸の内容は図7と同様である。
図8(a)は、はつり処理を行っていない健全なコンクリート構造物の伝播時間を計測したものである。図中、○、□および△は、並行に配置された3本の鉄筋(測線1、2、3)に沿って計測した伝播時間を示し、◆はそれらの平均値を示す。図7と同様に、健全なコンクリート構造物では、測定距離と伝播時間がほぼ比例関係にある。
図8(b)は、WJ工法によるはつり処理を行ったコンクリート構造物の伝播時間を計測したものである。図中、○、□および▲は、並行に配置された3本の鉄筋(測線4、5、6)に沿って計測した伝播時間を示し、◆はそれらの平均値を示す。
図8(a)(b)から明らかなように、WJ工法によるはつり処理を行ったコンクリート構造物では、伝播時間が健全なコンクリート構造物とほとんど変わらず、また測線によるばらつきも少ない。この結果より、WJ工法によるはつり処理は、打撃工法によるはつり処理に比較して、鉄筋・コンクリート間の付着破壊が少なく、コンクリート構造物の内部に緩みがほとんど生じていないことがわかる。
以上説明したように、本発明にかかるコンクリート構造物の検査方法によれば、はつり処理によって内部に緩みが生じたコンクリート構造物の鉄筋とコンクリートとの間の付着性状を、簡便かつ定量的に計測できる。
なお、本実施の形態では、弾性波の伝播時間の違いによってコンクリート構造物内に生じた緩みの程度を判定したが、これに弾性波の減衰の程度を加えることによって、緩み判定の精度を更に高めることができる。
また、本実施の形態では、コンクリート内に一定間隔で棒状の異形鉄筋を埋設したコンクリート構造体を対象として検査を行ったが、対象となるコンクリート構造体はこれに限定されない。本発明の検査方法は、はつり処理が施される全てのコンクリート構造体に対して適用できるものである。
1 コンクリート構造物の検査システム
2、2a、2b 圧電トランスデューサ
3 発振器
4 増幅器
5 波形観測装置
6 波形解析装置
10 コンクリート構造物
11 コンクリート
12 鉄筋
20 ケーシング
21 振動板
22 圧電振動子
23 ケーブル
24 コード
25 コネクタ
26 伝達部
27 小ケース
28、29 スチール製ボール

Claims (6)

  1. 鉄筋とコンクリートが一体となったコンクリート構造物における鉄筋とコンクリートの付着性状を検査するコンクリート構造物の検査方法であって、
    第1の圧電トランスデューサを用いて前記コンクリート構造物に、音声周波数帯のパルス状の弾性波を入射する第1の工程と、
    前記コンクリート構造物内を伝播してきた弾性波を、第2の圧電トランスデューサを用いて電気信号に変換する第2の工程と、
    当該電気信号に基づいて、前記コンクリート構造物のうちはつり処理が施された箇所と施されていない箇所を伝播した弾性波の波形を比較する第3の工程と、を含むことを特徴とするコンクリート構造物の検査方法。
  2. 前記第3の工程において、前記弾性波の波形から伝播時間に関する情報を抽出し、その情報に基づいて、前記はつり処理が施された箇所における鉄筋とコンクリートの付着性状の劣化の程度を判定する、請求項1に記載のコンクリート構造物の検査方法。
  3. 前記第1の圧電トランスデューサは、
    弾性波を発生させる第1の圧電振動子と、
    当該第1の圧電振動子が一方の面に貼り付けられ、前記第1の圧電振動子と共に振動する第1の振動板と、
    当該第1の振動板の他方の面に取り付けられ、発生した弾性波を前記コンクリート構造物に伝達する第1の伝達部とで構成され、
    前記第1の伝達部は前記コンクリート構造物と点接触する、請求項1または2に記載のコンクリート構造物の検査方法。
  4. 前記第2の圧電トランスデューサは、
    受信した弾性波を電気信号に変換する第2の圧電振動子と、
    当該第2の圧電振動子が一方の面に貼り付けられ、前記第2の圧電振動子と共に振動する第2の振動板と、
    当該第2の振動板の他方の面に取り付けられ、前記コンクリート構造物内を伝播してきた弾性波を前記第2の振動板に伝達する第2の伝達部とで構成され、
    前記第2の伝達部は前記コンクリート構造物と点接触する、請求項1ないし3のいずれかに記載のコンクリート構造物の検査方法。
  5. 前記第1の圧電トランスデューサおよび前記第2の圧電トランスデューサとして、同一構造の圧電トランスデューサを用いる、請求項1ないし4のいずれかに記載のコンクリート構造物の検査方法。
  6. 鉄筋とコンクリートが一体となったコンクリート構造物に、音声周波数帯のパルス状の弾性波を入射する第1の圧電トランスデューサと、
    前記コンクリート構造物内を伝播してきた弾性波を受信して電気信号に変換する第2の圧電トランスデューサと、
    前記第2の圧電トランスデューサから出力された電気信号に基いて、弾性波の波形を表示すると共に、当該波形のデータを記憶する波形観測装置と、
    前記波形観測装置に記憶された弾性波の波形のデータを解析し、前記コンクリート構造物のうちはつり処理が施された箇所と施されていない箇所を伝播した弾性波の波形を比較する波形解析装置と、を備え、
    前記コンクリート構造物における鉄筋とコンクリートの付着性状を検査することを特徴とするコンクリート構造物の検査システム。
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