JP3198840U - 支柱路面境界部調査システム - Google Patents
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Abstract
【課題】探触子の設置状態を評価することにより、支柱等において、地中に埋設された部分に発生した欠陥を精度よく検出することが可能な支柱路面境界部調査システムを提供する。【解決手段】本考案の支柱路面境界部調査システムは、下部が地中に埋設された金属管13の外周面13aに対して、互いに近接した状態で設置される垂直探触子50及び斜角探触子61と、これらの探触子が接続される超音波ユニット1と、この超音波ユニット1に接続されるパーソナルコンピュータ2を備えており、垂直探触子50によって縦波(P波)を発生し、2種類の斜角探触子61によってSV波とSH波の2種類の横波をそれぞれ個別に発生する構造となっている。【選択図】図1
Description
本考案は、支柱等において地中に埋設された部分に発生した欠陥を超音波によって検出する装置に係り、特に、支柱の深さ方向と厚さ方向に関する情報が得られるとともに、支柱表面に対する探触子の密着度を評価することが可能な支柱路面境界部調査システムに関する。
支柱等において土中やアスファルト舗装、あるいはコンクリート中に埋設された部分(以下、路面境界部という。)では、経年劣化によって腐食が進行し易い。そのため、ガードレールや道路標識等の支柱については、路面境界部に対して定期的に検査を行うことが求められている。しかしながら、目視で検査をしようとすると、その都度、支柱を引き抜いたり、埋設された箇所を掘り起こしたりしなければならず、作業コストが嵩んでしまう。そのため、近年では、「超音波探傷法」と呼ばれる方法によって、それらの検査が行われる場合が多い。
「超音波探傷法」とは、20KHz以上の高い周波数の音波を試験体の表面(探傷面)に接触させた探触子から試験体の内部に伝搬させ、欠陥等で反射されて戻ってくるまでの時間や反射波の大きさ(エコー高さ)から欠陥等の位置や大きさを推定する方法である。超音波は弾性波であり、粒子が進行方向に平行な方向へ振動する縦波(P波)と、粒子が進行方向に垂直な方向へ振動する横波(S波)に大別される。
圧延材や鍛造材などの介在物を探傷する場合、縦波(P波)を探傷面に対して垂直に伝搬させる垂直探傷法が用いられることが多い。一方、薄板や管材等のように垂直探傷を用いることができない場合には、横波を探傷面に対して斜めに伝搬させる斜角探傷法が用いられる。
圧延材や鍛造材などの介在物を探傷する場合、縦波(P波)を探傷面に対して垂直に伝搬させる垂直探傷法が用いられることが多い。一方、薄板や管材等のように垂直探傷を用いることができない場合には、横波を探傷面に対して斜めに伝搬させる斜角探傷法が用いられる。
図6(a)は垂直探触子50の構造を模式的に示した断面図であり、図6(b)は垂直探触子50の動作を説明するための模式図である。なお、図6(a)ではケース52以外の構成要素について、断面であることを示すハッチングの図示を省略し、図6(b)ではコネクタ51、吸音材54及び保護板55の図示を省略している。
図6(a)に示すように、垂直探触子50では、コネクタ51が取り付けられたケース52の中に、圧電素子等からなる振動子53が吸音材54と保護板55を貼り付けられた状態で収納されている。図6(b)に示すように、この垂直探触子50を試験体56の探傷面56aに接触させた状態で、振動子53にパルス信号を印加すると、振動子53から試験体56の内部に超音波(P波)が入射される。そして、この超音波は欠陥57の表面で反射される。
なお、振動子53には、電気信号を超音波に変換するとともに、超音波を電気信号に変換する機能を有しているものもある。この場合、欠陥57の表面で反射された超音波(反射波)は、振動子53によって受信された後、電気信号に変換される。
図6(a)に示すように、垂直探触子50では、コネクタ51が取り付けられたケース52の中に、圧電素子等からなる振動子53が吸音材54と保護板55を貼り付けられた状態で収納されている。図6(b)に示すように、この垂直探触子50を試験体56の探傷面56aに接触させた状態で、振動子53にパルス信号を印加すると、振動子53から試験体56の内部に超音波(P波)が入射される。そして、この超音波は欠陥57の表面で反射される。
なお、振動子53には、電気信号を超音波に変換するとともに、超音波を電気信号に変換する機能を有しているものもある。この場合、欠陥57の表面で反射された超音波(反射波)は、振動子53によって受信された後、電気信号に変換される。
図6(c)及び図6(d)は垂直探触子50によって受信された超音波が時間の経過とともに変化する様子を模式的に表したグラフであり、横軸は時間を示し、縦軸は超音波の振幅の大きさを示している。
試験体56の底面56bで反射された超音波は、図6(c)に示すように、振動子53からの送信波58に対応する第1のピークからやや遅れて、第2のピークとして現れる。また、欠陥57の表面で反射された超音波(反射波60)は、試験体56の底面56bからの反射波59よりも早く振動子53に達するため、図6(d)に示すように、送信波58に対応する第1のピークの後であって、かつ、反射波59に対応する第2のピークの前に、第3のピークとして現れる。なお、試験体56に入射された超音波のほとんどが試験体56の底面56bに達する前に欠陥57で反射されてしまう場合には、試験体56の底面56bからの反射波59に対応する第2のピークは現れない。
試験体56の底面56bで反射された超音波は、図6(c)に示すように、振動子53からの送信波58に対応する第1のピークからやや遅れて、第2のピークとして現れる。また、欠陥57の表面で反射された超音波(反射波60)は、試験体56の底面56bからの反射波59よりも早く振動子53に達するため、図6(d)に示すように、送信波58に対応する第1のピークの後であって、かつ、反射波59に対応する第2のピークの前に、第3のピークとして現れる。なお、試験体56に入射された超音波のほとんどが試験体56の底面56bに達する前に欠陥57で反射されてしまう場合には、試験体56の底面56bからの反射波59に対応する第2のピークは現れない。
試験体56に入射された送信波58が底面56bで反射した後、反射波59として振動子53によって受信されるまでに要する時間は、振動子53から試験体56の底面56bまでの距離を超音波の伝搬速度で割った値の2倍に相当し、これは図6(c)における第1のピークと第2のピークの間隔から求めることができる。また、試験体56に入射された送信波58が欠陥57の表面で反射した後、反射波60として振動子53によって受信されるまでに要する時間は、振動子53から欠陥57までの距離を超音波の伝搬速度で割った値の2倍に相当し、これは図6(d)における第1のピークと第3のピークの間隔から求めることができる。すなわち、振動子53から試験体56の底面56b及び欠陥57の表面までの距離は、図6(c)において第1のピークが現れてから第2のピークが現れるまでに経過した時間、あるいは図6(d)において第1のピークが現れてから第3のピークが現れるまでに経過した時間、と超音波の伝搬速度から容易に算出することができる。
図7(a)は斜角探触子61の構造を模式的に示した断面図であり、図7(b)は斜角探触子61の動作を説明するための模式図である。なお、図7(a)ではケース52以外の構成要素について、断面であることを示すハッチングの図示を省略し、図7(b)ではコネクタ51、吸音材54及びクサビ62の図示を省略している。
図7(a)に示すように、斜角探触子61では、図6(a)を用いて説明した垂直探触子50において振動子53に保護板55が貼り付けられる代わりに、アクリルなどからなるクサビ62の背面に振動子53が接着された構造となっている。図7(b)に示すように、この斜角探触子61を試験体56の探傷面56aに接触させた状態で、振動子53にパルス信号を印加すると、振動子53から試験体56の内部に超音波が入射される。この超音波は探傷面56aで屈折した後、欠陥57の表面で反射される。
図7(a)に示すように、斜角探触子61では、図6(a)を用いて説明した垂直探触子50において振動子53に保護板55が貼り付けられる代わりに、アクリルなどからなるクサビ62の背面に振動子53が接着された構造となっている。図7(b)に示すように、この斜角探触子61を試験体56の探傷面56aに接触させた状態で、振動子53にパルス信号を印加すると、振動子53から試験体56の内部に超音波が入射される。この超音波は探傷面56aで屈折した後、欠陥57の表面で反射される。
図7(c)は斜角探触子61によって受信された超音波が時間の経過とともに変化する様子を模式的に表したグラフであり、横軸は時間を示し、縦軸は超音波の振幅の大きさを示している。また、図7(d)は斜角探触子61の動作を説明するための模式図である。ただし、コネクタ51、吸音材54及びクサビ62については図示を省略している。
図7(c)に示すように、欠陥57の表面で反射された超音波(反射波60)は、送信波58に対応する第1のピークの後に現れる第2のピークとして認識される。そして、試験体56に入射された送信波58が欠陥57の表面で反射した後、反射波60として振動子53によって受信されるまでに要する時間は、第1のピークが現れてから第2のピークが現れるまでに経過した時間、と超音波の伝搬速度から算出される。
図7(c)に示すように、欠陥57の表面で反射された超音波(反射波60)は、送信波58に対応する第1のピークの後に現れる第2のピークとして認識される。そして、試験体56に入射された送信波58が欠陥57の表面で反射した後、反射波60として振動子53によって受信されるまでに要する時間は、第1のピークが現れてから第2のピークが現れるまでに経過した時間、と超音波の伝搬速度から算出される。
ただし、このようにして求められた距離は、試験体56の探傷面56aと平行な方向と垂直な方向のいずれの方向に対するものでもない。すなわち、当該距離は、クサビ62と試験体56の内部における超音波の伝搬方向と平行な方向に対するものであって、図7(b)に示したように、「クサビ62の内部を伝搬した距離(クサビ距離63)」に「試験体56の内部を伝搬した距離(ビーム路程64)」を加えたものに相当する。したがって、図7(c)に示される第1のピークと第2のピークの間隔と、試験体56及びクサビ62の内部を超音波が伝搬する速度に基づいて、試験体56の内部における欠陥57の位置を求める場合には、探傷面56aにおける超音波の屈折角度を考慮することが必要である。
また、図7(d)に示すように、試験体56の厚さ方向の全域について欠陥57の有無を検査する場合には、超音波が欠陥57に直接到達する箇所(破線で示した箇所)から、超音波が試験体56の底面56bで一度反射して欠陥57に到達する箇所(実線で示した箇所)の間で、斜角探触子61を探傷面56aに沿って走査させる必要がある。
また、図7(d)に示すように、試験体56の厚さ方向の全域について欠陥57の有無を検査する場合には、超音波が欠陥57に直接到達する箇所(破線で示した箇所)から、超音波が試験体56の底面56bで一度反射して欠陥57に到達する箇所(実線で示した箇所)の間で、斜角探触子61を探傷面56aに沿って走査させる必要がある。
斜角探触子61には、垂直探触子50と同様に振動子53を縦方向に振動させてSV波(Secondary Vertical Wave)と呼ばれる縦波を発生させるタイプと、振動子53を横方向に振動させてSH波(Secondary Horizontal Wave)と呼ばれる横波を発生させるタイプがある。斜角探触子61から発信された縦波は、試験体56の探傷面56aに対して斜めに入射する際に屈折し、縦波の他に横波が発生するスネルの法則に基づいて入射角度を適切に調整することによって、横波だけが屈折して試験体56の内部に伝搬することになる。このようにモード変換から生じた横波は、伝搬方向と探傷面56aのいずれに対しても直交する方向へ振動するため、板厚方向に制動力が働く場合、試験体56の表面を伝搬し難いという性質を有している。
一方、SH波は、伝搬方向に対しては直交する方向へ、かつ、探傷面56aに対しては平行な方向へ振動する。すなわち、SH波はSV波の横波に対し、振動面が直交しており、反射の際にモード変換が起こらずに伝搬するという性質を有している。なお、SV波の横波が試験体56の探傷面56aに沿って伝搬する場合、表面波(Rayleigh波)の波動に近い挙動を示すため、疑似表面波と呼ばれることがある。
一方、SH波は、伝搬方向に対しては直交する方向へ、かつ、探傷面56aに対しては平行な方向へ振動する。すなわち、SH波はSV波の横波に対し、振動面が直交しており、反射の際にモード変換が起こらずに伝搬するという性質を有している。なお、SV波の横波が試験体56の探傷面56aに沿って伝搬する場合、表面波(Rayleigh波)の波動に近い挙動を示すため、疑似表面波と呼ばれることがある。
このような超音波探傷法は、既に土中構造物の検査等に適用されており、それに関して幾つかの発明や考案も開示されている。
例えば、特許文献1には「土中構造物の欠陥評価装置およびその方法」という名称で、金属柱のような土中構造物の劣化評価を行う装置とその方法に関する発明が記載されている。
境界部エコーが出現しない場合やエコー高さが低い場合、原則として、境界面での断面欠損量は少ないと推定できる。しかし、このような方法では、埋設範囲内に錆びや端部の劣化が原因で、本来検出されるべき端部エコーが検出されない場合に、実態よりも厳しい評価がなされることになる。また、境界部エコーがある程度のエコー高さを有していても端部エコーが検出された場合には、実態よりも緩い評価がなされることになる。
例えば、特許文献1には「土中構造物の欠陥評価装置およびその方法」という名称で、金属柱のような土中構造物の劣化評価を行う装置とその方法に関する発明が記載されている。
境界部エコーが出現しない場合やエコー高さが低い場合、原則として、境界面での断面欠損量は少ないと推定できる。しかし、このような方法では、埋設範囲内に錆びや端部の劣化が原因で、本来検出されるべき端部エコーが検出されない場合に、実態よりも厳しい評価がなされることになる。また、境界部エコーがある程度のエコー高さを有していても端部エコーが検出された場合には、実態よりも緩い評価がなされることになる。
そこで、この発明に係る「欠陥評価方法」では、第1次評価として境界部エコー高さの評価点と、境界部エコーの角度係数による評価点とから境界部に生じた断面欠損量を推定した後、第2次評価として、この第1次評価の結果と端部エコーの評価結果に基づいて全体の評価を行うこととしている。なお、明細書中の記載によれば、本発明では、測定時にSH波を用いることが好ましいとされている。
このような方法によれば、端部データが検出されない場合でも評価ができないといった問題は生じない。そのため、金属柱のような土中構造物の劣化評価を従来の方法よりも正確に行うことができる。
このような方法によれば、端部データが検出されない場合でも評価ができないといった問題は生じない。そのため、金属柱のような土中構造物の劣化評価を従来の方法よりも正確に行うことができる。
次に、特許文献2には、「土中構造物の欠陥評価装置、土中構造物の欠陥評価方法、および土中構造物の欠陥評価プログラム」という名称で、端部からの波形データがノイズに埋もれ難く、腐食による欠陥の程度を高精度に評価することができる装置とその方法及びそれに用いるプログラムに関する発明が記載されている。
周波数が高い超音波は波長が短いため、腐食などを捉え易い反面、散乱や減衰が起こり易い。一方、周波数が低い超音波は波長が長いため、腐食などを捉え難いものの、散乱や減衰が起こり難い。そこで、この発明に係る「欠陥評価方法」では、端部反射エコーにおいては、探触子から端部までの距離が長いため、その距離に応じた低い周波数で受信し、地際の腐食部反射エコーにおいては、探触子から地際の腐食部までの距離が短いため、その距離に応じた高い周波数で受信することとしている。なお、明細書中の記載によれば、本発明では、測定時にSH波を用いることが好ましいとされている。
このように、金属柱の土中側の端部からの反射波である第1の周波数を有する端部反射波と、金属柱の土中側の腐食部からの反射波である第1の周波数より高い第2の周波数を有する腐食部反射波とを個別に受信することによれば、腐食による欠陥の程度を従来の方法よりも高い精度で評価することが可能である。
周波数が高い超音波は波長が短いため、腐食などを捉え易い反面、散乱や減衰が起こり易い。一方、周波数が低い超音波は波長が長いため、腐食などを捉え難いものの、散乱や減衰が起こり難い。そこで、この発明に係る「欠陥評価方法」では、端部反射エコーにおいては、探触子から端部までの距離が長いため、その距離に応じた低い周波数で受信し、地際の腐食部反射エコーにおいては、探触子から地際の腐食部までの距離が短いため、その距離に応じた高い周波数で受信することとしている。なお、明細書中の記載によれば、本発明では、測定時にSH波を用いることが好ましいとされている。
このように、金属柱の土中側の端部からの反射波である第1の周波数を有する端部反射波と、金属柱の土中側の腐食部からの反射波である第1の周波数より高い第2の周波数を有する腐食部反射波とを個別に受信することによれば、腐食による欠陥の程度を従来の方法よりも高い精度で評価することが可能である。
さらに、特許文献3には、「アンカーボルト腐食診断方法及びその装置」という名称で、コンクリート等の基礎に植設されたアンカーボルトについて腐食の発生の有無を診断する方法とそれに用いる装置に関する発明が記載されている。
この発明に係る「アンカーボルト腐食診断方法」は、アンカーボルトの頂部上面に超音波垂直探触子を設置し、ネジ溝が形成された基礎表面部付近で反射するようにアンカーボルトの軸心に対して斜めに入射した超音波の反射波を探触子で受け、この反射波に基づいてアンカーボルトの腐食状態を診断することを特徴としている。
このような方法によれば、この種のアンカーボルトの腐食初期の診断を、探触子で検出した基礎表面部分の反射波の波形に基づいて短時間に容易かつ安全に行うことができる。
この発明に係る「アンカーボルト腐食診断方法」は、アンカーボルトの頂部上面に超音波垂直探触子を設置し、ネジ溝が形成された基礎表面部付近で反射するようにアンカーボルトの軸心に対して斜めに入射した超音波の反射波を探触子で受け、この反射波に基づいてアンカーボルトの腐食状態を診断することを特徴としている。
このような方法によれば、この種のアンカーボルトの腐食初期の診断を、探触子で検出した基礎表面部分の反射波の波形に基づいて短時間に容易かつ安全に行うことができる。
塗装メッキの老化等により測定対象物の表面に肌荒れが生じている場合や、塗膜が厚い場合、あるいは探触子を設置する際に測定対象物の表面に対する押し付け力が不足している場合、測定対象物に入射される超音波の強度が弱くなるため、その反射波として得られる端部エコーや境界部エコーも弱いものとなる。しかし、実際の作業現場において、測定対象物に対して探触子が適切な状態で設置されているか否かという判断をすることは容易ではない。
これに対し、特許文献1や特許文献2に開示された発明は、検出されたデータに所定の修正を加えるものであるため、探触子の設置状態が良好でない場合には、その状態で得られたデータに対して、たとえどのような修正を加えたとしても測定精度を高めることはできない。
これに対し、特許文献1や特許文献2に開示された発明は、検出されたデータに所定の修正を加えるものであるため、探触子の設置状態が良好でない場合には、その状態で得られたデータに対して、たとえどのような修正を加えたとしても測定精度を高めることはできない。
なお、特許文献1及び特許文献2に開示された発明では、測定時にSH波を用いることが好ましいとされているが、この場合、探傷面にきわめて粘性の高い物質を接触媒質として塗布する必要がある。しかし、粘性の高い接触媒質を用いると、探触子の走査性やエコー高さの安定性が著しく悪化する。したがって、特許文献1及び特許文献2に開示された発明では、土中構造物の欠陥を精度よく評価できない場合もある。
本考案は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、探触子の設置状態を評価することにより、支柱等において、地中に埋設された部分に発生した欠陥を精度よく検出することが可能な支柱路面境界部調査システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の考案である支柱路面境界部調査システムは、支柱の表面に設置される一対の探触子と、この一対の探触子に接続される送信側アンプ及び受信側アンプと、送信側アンプを介してパルス信号を送信し一対の探触子に超音波を発生させる信号発生器と、受信側アンプに接続されるA/D変換器と、送信側アンプと受信側アンプと信号発生器の動作を制御する送受信制御部と、A/D変換器に接続されて一対の探触子によって受信された超音波の反射波に関するデータの処理を行う信号処理部と、この信号処理部によって生成される画像データに基づいて反射波の時間波形の画像を表示する表示部と、この表示部と信号処理部の動作を制御する制御部と、を備え、一対の探触子は、支柱の内部にP波を入射する垂直探触子と、この垂直探触子に近接配置されるとともに支柱の内部にSH波を入射する第1の斜角探触子と、からなることを特徴とするものである。
通常、支柱の内部に入射された超音波は、外周面と内周面の間で反射を繰り返しながら減衰していくが、塗装メッキの老化による肌荒れや表面腐食等が支柱の外周面に生じている場合や、探触子が支柱の外周面に対して十分な力で押し付けられた状態で設置されていない場合には、伝搬損失が生じるため、支柱の内部に入射された超音波は上述の反射をほとんど繰り返すことなく、短時間で減衰してしまう。すなわち、支柱の外周面に対して探触子が適切に設置されていないと、測定精度が著しく低下する。しかし、一般に、探触子の設置状態を良好であるか否かを実際の作業現場において判断することは容易でない。
これに対し、上記構造の支柱路面境界部調査システムにおいては、上述の反射波の繰り返しの程度が、垂直探触子によって検出される反射波の時間波形に現れるピークの回数として認識されるという作用を有する。すなわち、反射波の時間波形においてピークの回数が多い場合には、垂直探触子の設置状態が良好であり、ピークの回数が少ない場合には、垂直探触子の設置状態が良好でないと判断することができる。そして、第1の斜角探触子は垂直探触子に近接配置されていることから、その設置状態についても、この垂直探触子に対する判断が同様に適用される。
また、請求項2記載の考案は、請求項1記載の支柱路面境界部調査システムにおいて、第1の斜角探触子に代えて支柱の内部にSV波を入射可能に構成される第2の斜角探触子を備えたことを特徴とするものである。
測定時にSH波を用いる際には、探傷面にきわめて粘性の高い物質を接触媒質として塗布する必要があるが、この場合、探触子の走査性やエコー高さの安定性が著しく悪化するおそれがある。しかしながら、上記構造の支柱路面境界部調査システムにおいては、請求項1に記載の考案の作用に加えて、接触媒質に粘性の高い物質を用いる必要がないことから、探触子の走査性が悪化するおそれがなく、また、エコー高さが安定するという作用を有する。
測定時にSH波を用いる際には、探傷面にきわめて粘性の高い物質を接触媒質として塗布する必要があるが、この場合、探触子の走査性やエコー高さの安定性が著しく悪化するおそれがある。しかしながら、上記構造の支柱路面境界部調査システムにおいては、請求項1に記載の考案の作用に加えて、接触媒質に粘性の高い物質を用いる必要がないことから、探触子の走査性が悪化するおそれがなく、また、エコー高さが安定するという作用を有する。
請求項3記載の考案は、請求項1に記載の支柱路面境界部調査システムにおいて、送信側アンプ及び受信側アンプには、第1の斜角探触子とともに、SV波を支柱の内部へ入射可能に構成される第2の斜角探触子が複数のチャンネルを介して接続され、送受信制御部の指示を受けた送信側アンプ及び受信側アンプによってチャンネルが切り換えられることで、第1の斜角探触子及び第2の斜角探触子のいずれか一方が超音波の送受信を行う探触子として選択されることを特徴とするものである。
このような支柱路面境界部調査システムにおいては、請求項1に記載の考案の作用に加えて、SH波を用いた調査とSV波を用いた調査を並行して実施するための機構が安価に実現されるという作用を有する。
このような支柱路面境界部調査システムにおいては、請求項1に記載の考案の作用に加えて、SH波を用いた調査とSV波を用いた調査を並行して実施するための機構が安価に実現されるという作用を有する。
請求項4記載の考案は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の支柱路面境界部調査システムにおいて、制御部に送られた情報を記憶する記憶部を備えたことを特徴とするものである。
このような構造の支柱路面境界部調査システムにおいては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の考案の作用に加えて、記憶部に記憶された測定結果同士を比較することで、測定誤差の検証や測定ミス等の発見が容易になるという作用を有する。
このような構造の支柱路面境界部調査システムにおいては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の考案の作用に加えて、記憶部に記憶された測定結果同士を比較することで、測定誤差の検証や測定ミス等の発見が容易になるという作用を有する。
以上説明したように、本考案の請求項1記載の支柱路面境界部調査システムによれば、垂直探触子によって検出される反射波の時間波形に現れるピークの回数をカウントすることにより、支柱の外周面に対する垂直探触子と、この垂直探触子に近接配置される第1の斜角探触子の設置状態を容易に推定できる。したがって、支柱等において、地中に埋設された部分に発生した欠陥を精度よく検出することが可能である。
本考案の請求項2記載の支柱路面境界部調査システムによれば、支柱等の地中埋設部に発生した欠陥を精度よく検出できるという請求項1に記載の考案の効果がより一層発揮される。
本考案の請求項3記載の支柱路面境界部調査システムによれば、請求項1に記載の考案の効果に加えて、SH波を用いた調査とSV波を用いた調査を組み合わせることで、支柱等の地中埋設部に発生した欠陥を効率良く、かつ、正確に検出できるという効果を奏する。
本考案の請求項4記載の支柱路面境界部調査システムによれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の考案の場合よりもさらに一層、支柱等の地中埋設部に発生した欠陥を効率良く、かつ、正確に検出できるという効果が発揮される。
本実施例では、パーソナルコンピュータ上で所定のアプリケーションを起動させることによって支柱路面境界部調査システムの機能が発揮される構成としてしているが、これに限定されるものではない。すなわち、本考案では、以下に説明する制御部や表示部等に相当する各装置を備えた専用機であって、本体の電源を投入すると、組支柱路面境界部調査システムとしての機能が直ちに発揮されるような構成であれば良く、パーソナルコンピュータ自体は必須の構成要素ではない。
本考案の支柱路面境界部調査システムについて図1乃至図5を参照しながら具体的に説明する。なお、図1(a)は本考案の支柱路面境界部調査システムの一例の概略を示した模式図であり、図1(b)は探触子が外周面に設置された状態を示す金属管の水平断面の概略図である。また、図2(a)及び図2(b)は垂直探触子によって受信された超音波が時間の経過とともに変化する様子を模式的に表したグラフであり、横軸は時間を示し、縦軸は超音波の振幅の大きさを示している。さらに、図3は本考案の支柱路面境界部調査システムの構成の一例を示したブロック図である。
なお、図6及び図7に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
なお、図6及び図7に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図1(a)に示すように、本考案の支柱路面境界部調査システムは、下部が地中に埋設された金属管13の外周面13aに対して互いに近接した状態で設置される垂直探触子50及び斜角探触子61と、これらの探触子が接続される超音波ユニット1と、この超音波ユニット1に接続されるパーソナルコンピュータ2を備えている。そして、垂直探触子50及び斜角探触子61は、送信用と受信用の2種類の振動子53をそれぞれ備えており、1つの探触子で超音波を送受信できるように構成されている。
なお、垂直探触子50や斜角探触子61の設置箇所は図1(b)に示した場合に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
なお、垂直探触子50や斜角探触子61の設置箇所は図1(b)に示した場合に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
図1(b)に示すように、垂直探触子50及び斜角探触子61は金属管13の円周方向に対し8等分した箇所に設置される。この状態で、垂直探触子50から金属管13の内部に超音波(P波)を入射すると、金属管13の外周面13a及び内周面13bがそれぞれ図6(b)を用いて既に説明した試験体56の探傷面56aと底面56bになるため、金属管13の内部を伝搬した超音波は内周面13bで反射される。
なお、金属管13の内部に入射された超音波は、内周面13bだけでなく、外周面13aでも反射され、図2(a)に示すように、外周面13aと内周面13bの間で反射を繰り返しながら減衰していく。ただし、金属管13の外周面13aに塗装メッキの老化による肌荒れや表面腐食等が生じている場合や、外周面13aに対して垂直探触子50が十分な力で押し付けられていない場合には、金属管13の内部に入射される超音波の強度が弱くなるため、図2(b)に示すように、超音波は外周面13aと内周面13bの間であまり反射を繰り返すことなく、短時間で減衰してしまう。
このように、外周面13aと内周面13bの間で繰り返される超音波の反射の回数は、金属管13の外周面13aに対する垂直探触子50の設置状態と密接に関連しているため、例えば、図2(a)又は図2(b)に示すような反射波の時間波形が得られれば、ピークの回数をカウントすることにより、垂直探触子50の設置状態の把握が可能となるのである。そして、垂直探触子50に対して近接配置される斜角探触子61は、試験体56の探傷面56a(本実施例の場合では金属管13の外周面13a)に対して垂直探触子50と同様の状態で設置されている。したがって、本考案の支柱路面境界部調査システムにおいては、垂直探触子50の反射波の時間波形におけるピークの回数に基づいて、金属管13の外周面13aに対する斜角探触子61の設置状態が把握されるという作用を有している。
図3に示すように、超音波ユニット1は、垂直探触子50及び斜角探触子61がそれぞれ接続される送信側アンプ3,3及び受信側アンプ4,4と、送信側アンプ3,3に接続される信号発生器5,5と、受信側アンプ4,4に接続されるA/D変換器6と、送信側アンプ3,3と受信側アンプ4,4と信号発生器5,5の動作を制御する送受信制御部7を備えている。
送受信制御部7からの指令に従って信号発生器5,5が発生させたパルス信号は送信側アンプ3,3によって増幅された後、垂直探触子50と斜角探触子61にそれぞれ送られる。そして、垂直探触子50と斜角探触子61によって受信された反射波59,60は電気信号(アナログ信号)に変換されて受信側アンプ3,3に送られ、増幅された後、A/D変換器6によって処理される。
なお、A/D変換器6は複数の入力チャンネルと出力チャンネルを有しており、複数の入力チャンネルから個別に入力されたアナログ信号をそれぞれデジタル信号に変換した後、各出力チャンネルから出力する構造となっている。
送受信制御部7からの指令に従って信号発生器5,5が発生させたパルス信号は送信側アンプ3,3によって増幅された後、垂直探触子50と斜角探触子61にそれぞれ送られる。そして、垂直探触子50と斜角探触子61によって受信された反射波59,60は電気信号(アナログ信号)に変換されて受信側アンプ3,3に送られ、増幅された後、A/D変換器6によって処理される。
なお、A/D変換器6は複数の入力チャンネルと出力チャンネルを有しており、複数の入力チャンネルから個別に入力されたアナログ信号をそれぞれデジタル信号に変換した後、各出力チャンネルから出力する構造となっている。
また、図1(a)や図3には、1つの斜角探触子61のみが示されているが、送信側アンプ3と受信側アンプ4は斜角探触子61を接続するための複数のチャンネルを有しており、実際には、複数の斜角探触子61が送信側アンプ3と受信側アンプ4の各チャンネルにそれぞれ接続されている。
すなわち、本考案の支柱路面境界部調査システムでは、送信側アンプ3と受信側アンプ4の複数のチャンネルに対し、金属管13の内部へSV波とSH波の2種類の横波を入射する2種類の斜角探触子61がそれぞれ接続されており、送信側アンプ3と受信側アンプ4は、制御部9からの指示に従って所望の斜角探触子61が接続されたチャンネルを選択して上述の処理を行うように構成されている。
すなわち、本考案の支柱路面境界部調査システムでは、送信側アンプ3と受信側アンプ4の複数のチャンネルに対し、金属管13の内部へSV波とSH波の2種類の横波を入射する2種類の斜角探触子61がそれぞれ接続されており、送信側アンプ3と受信側アンプ4は、制御部9からの指示に従って所望の斜角探触子61が接続されたチャンネルを選択して上述の処理を行うように構成されている。
パーソナルコンピュータ2は、A/D変換器6に接続され、垂直探触子50及び斜角探触子61によって受信された超音波の反射波に関するデータの処理を行う信号処理部8と、この信号処理部8の動作を制御する制御部9と、信号処理部8によって生成された画像データに基づいて上記反射波の時間波形の画像を表示する表示部10と、パーソナルコンピュータ2に対して各種の情報や指示を入力するための入力部11と、この入力部11から入力された情報や信号処理部8によって処理された結果を記憶する記憶部12を備えている。なお、表示部10と入力部11と記憶部12は、いずれも制御部9によって、その動作を制御されている。
このような構造の支柱路面境界部調査システムにおいては、記憶部12に記憶された測定結果同士の比較が可能であり、そうすることにより、測定誤差の検証や測定ミス等の発見が容易となる。したがって、本考案の支柱路面境界部調査システムを用いることによれば、支柱等の地中埋設部に発生した欠陥を効率良く、かつ、正確に検出することができる。
このような構造の支柱路面境界部調査システムにおいては、記憶部12に記憶された測定結果同士の比較が可能であり、そうすることにより、測定誤差の検証や測定ミス等の発見が容易となる。したがって、本考案の支柱路面境界部調査システムを用いることによれば、支柱等の地中埋設部に発生した欠陥を効率良く、かつ、正確に検出することができる。
次に、本考案の支柱路面境界部調査システムを用いて支柱の路面境界部を調査する方法について図4を参照しながら説明する。なお、図4は本考案の支柱路面境界部調査システムを用いて支柱路面境界部を調査する手順の一例を示したフローチャートである。
図4に示すように、まず、ステップS1において、調査対象となる支柱の設置状況を調査し、調査を行う順序や周囲の環境への対応等の計画を立てる。測定部に汚れや傷があると、超音波の伝搬損失が生じ、測定誤差の原因となるため、ステップS2では、垂直探触子50や斜角探触子61を設置する箇所を清掃したり、表面の荒れを除去したりするなどの前処理を行う。
ステップS3では、垂直探触子50及び斜角探触子61に接触媒質を適量塗布した後、支柱に接触させ、超音波を入射させる。そして、検出されたデータを記憶部12に保存した後、垂直探触子50及び斜角探触子61を周方向に移動させ、周方向の4〜8箇所について同様の測定を行う。なお、垂直探触子50や斜角探触子61を支柱に接触させる箇所は超音波の種類によって異なるが、例えば、SH波を使用する場合には、地面から300〜500mm程度の高さとし、SV波を使用する場合には、地面から20〜100mm程度の高さとする。
図4に示すように、まず、ステップS1において、調査対象となる支柱の設置状況を調査し、調査を行う順序や周囲の環境への対応等の計画を立てる。測定部に汚れや傷があると、超音波の伝搬損失が生じ、測定誤差の原因となるため、ステップS2では、垂直探触子50や斜角探触子61を設置する箇所を清掃したり、表面の荒れを除去したりするなどの前処理を行う。
ステップS3では、垂直探触子50及び斜角探触子61に接触媒質を適量塗布した後、支柱に接触させ、超音波を入射させる。そして、検出されたデータを記憶部12に保存した後、垂直探触子50及び斜角探触子61を周方向に移動させ、周方向の4〜8箇所について同様の測定を行う。なお、垂直探触子50や斜角探触子61を支柱に接触させる箇所は超音波の種類によって異なるが、例えば、SH波を使用する場合には、地面から300〜500mm程度の高さとし、SV波を使用する場合には、地面から20〜100mm程度の高さとする。
ステップS4では、ステップS3で得られた反射波に関するデータに対して、予め用意した評価曲線を適用し、支柱の腐食等の度合いを評価する。なお、評価は、例えば、表1に示すような3段階に分けて行う。なお、この評価の結果、判定区分がB2及びCとなった場合には、支柱の路面境界部を掘り起こして、目視や打音による調査及び超音波厚さ計による板厚調査を行うことが必要である。
図5(a)及び図5(c)は斜角探触子61から支柱にそれぞれ入射されたSH波及びSV波に対応する反射波の時間波形を示したグラフであり、図5(b)及び図5(d)は振幅の大きな反射波が検出された位置を示したグラフである。
ただし、図5(a)及び図5(c)において、縦軸は反射波の振幅の大きさを示し、横軸は測定を開始してから経過した時間を示している。一方、図5(b)及び図5(d)の縦軸は周方向に8等分した位置を示しており、最上段が0°、最下段が315°の位置にそれぞれ対応し、その間は45°間隔で等分された位置に対応している。また、図5(b)及び図5(d)の横軸は路面境界部からの深さ(支柱の長手方向に沿って測定された埋設部の位置)を示している。そして、図5(a)及び図5(c)は図5(b)及び図5(d)において、周方向の位置が135°の場合の測定結果にそれぞれ対応している。
なお、図5(b)及び図5(d)には図示していないが、本考案の支柱路面境界部調査システムでは、反射波の振幅の大きさに応じて色分けされたバーが該当する位置に示された図5(b)や図5(d)に相当するグラフが表示部10に表示される構成となっている。
ただし、図5(a)及び図5(c)において、縦軸は反射波の振幅の大きさを示し、横軸は測定を開始してから経過した時間を示している。一方、図5(b)及び図5(d)の縦軸は周方向に8等分した位置を示しており、最上段が0°、最下段が315°の位置にそれぞれ対応し、その間は45°間隔で等分された位置に対応している。また、図5(b)及び図5(d)の横軸は路面境界部からの深さ(支柱の長手方向に沿って測定された埋設部の位置)を示している。そして、図5(a)及び図5(c)は図5(b)及び図5(d)において、周方向の位置が135°の場合の測定結果にそれぞれ対応している。
なお、図5(b)及び図5(d)には図示していないが、本考案の支柱路面境界部調査システムでは、反射波の振幅の大きさに応じて色分けされたバーが該当する位置に示された図5(b)や図5(d)に相当するグラフが表示部10に表示される構成となっている。
SH波は指向角が大きいため、SH波を用いた測定は、基本的に1本の支柱に対して周方向の4箇所について行えば良いが、場合によっては、図5(b)に示したように周方向の8箇所について測定を行っても良い。これに対し、SV波は指向角が小さいため、1本の支柱に対して周方向の8箇所について測定を行う。ただし、SH波の測定によって傷が認められた箇所については、その周辺をさらに測定することが望ましい。
本考案の支柱路面境界部調査システムにおいては、SV波を用いた調査が可能であるため、接触媒質に粘性の高い物質を用いる必要がない。この場合、探触子の走査性が悪化するおそれがなく、また、エコー高さが安定する。さらに、SH波を用いた調査とSV波を用いた調査を並行して実施するための機構が安価に実現されるという作用を有する。そして、SH波を用いた調査とSV波を組み合わせることで、支柱等の地中埋設部に発生した欠陥を効率良く、かつ、正確に検出することができるという効果を有している。さらに、本考案の支柱路面境界部調査システムは、複数の斜角探触子を備えているため、それらの斜角探触子を上下や左右、あるいはV字状に配置することにより、いわゆるタンデム探傷を行うことができる。
本実施例では、支柱の内部に対し、2種類の斜角探触子61によってSV波とSH波をそれぞれ入射可能であるとともに、垂直探触子50によってP波を入射可能となっているが、本考案の支柱路面境界部調査システムの構造は、これに限定されるものではなく、例えば、SH波を入射させる斜角探触子61と垂直探触子50を備えた構造、あるいはSV波を入射させる斜角探触子61と垂直探触子50を備えた構造とすることもできる。
請求項1乃至請求項4に記載された考案は、街灯や道路標識、あるいはガードレールなどの支柱、又は橋脚や広告塔などの金属構造物において地中埋設部の健全性を評価する必要がある場合に適用可能である。
1…超音波ユニット 2…パーソナルコンピュータ 3…送信側アンプ 4…受信側アンプ 5…信号発生器 6…A/D変換器 7…送受信制御部 8…信号処理部 9…制御部 10…表示部 11…入力部 12…記憶部 13…金属管 13a…外周面 13b…内周面 50…垂直探触子 51…コネクタ 52…ケース 53…振動子 54…吸音材 55…保護板 56…試験体 56a…探傷面 56b…底面 57…欠陥 58…送信波 59,60…反射波 61…斜角探触子 62…クサビ 63…クサビ距離 64…ビーム路程
Claims (4)
- 支柱の表面に設置される一対の探触子と、
この一対の探触子に接続される送信側アンプ及び受信側アンプと、
前記送信側アンプを介してパルス信号を送信し前記一対の探触子に超音波を発生させる信号発生器と、
前記受信側アンプに接続されるA/D変換器と、
前記送信側アンプと前記受信側アンプと前記信号発生器の動作を制御する送受信制御部と、
前記A/D変換器に接続されて前記一対の探触子によって受信された前記超音波の反射波に関するデータの処理を行う信号処理部と、
この信号処理部によって生成される画像データに基づいて前記反射波の時間波形の画像を表示する表示部と、
この表示部と前記信号処理部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記一対の探触子は、前記支柱の内部にP波を入射する垂直探触子と、この垂直探触子に近接配置されるとともに前記支柱の内部にSH波を入射する第1の斜角探触子と、からなることを特徴とする支柱路面境界部調査システム。 - 前記第1の斜角探触子に代えて前記支柱の内部にSV波を入射可能に構成される第2の斜角探触子を備えたことを特徴とする請求項1に記載の支柱路面境界部調査システム。
- 前記送信側アンプ及び前記受信側アンプには、前記第1の斜角探触子とともに、SV波を前記支柱の内部へ入射可能に構成される第2の斜角探触子が複数のチャンネルを介して接続され、
前記送受信制御部の指示を受けた前記送信側アンプ及び前記受信側アンプによって前記チャンネルが切り換えられることで、前記第1の斜角探触子及び前記第2の斜角探触子のいずれか一方が超音波の送受信を行う探触子として選択されることを特徴とする請求項1に記載の支柱路面境界部調査システム。 - 前記制御部に送られた情報を記憶する記憶部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の支柱路面境界部調査システム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017129435A (ja) * | 2016-01-20 | 2017-07-27 | 日本防蝕工業株式会社 | 埋設物健全度評価方法 |
JP2018155666A (ja) * | 2017-03-20 | 2018-10-04 | 有限会社Ns検査 | 腐食部評価方法 |
JP2019015530A (ja) * | 2017-07-04 | 2019-01-31 | 神鋼検査サービス株式会社 | 減肉表示方法及び減肉表示装置 |
WO2020049618A1 (ja) * | 2018-09-03 | 2020-03-12 | 有限会社Ns検査 | 腐食部評価方法 |
-
2015
- 2015-05-14 JP JP2015002371U patent/JP3198840U/ja active Active
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